JP6833768B2 - アントラサイクリン製剤 - Google Patents

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Description

本出願は、2012年12月13日に出願された米国仮特許出願第61/737,003号に対して優先権を主張する。その出願の開示の全体が本明細書中に参考により組み込まれる。
発明の背景
アントラサイクリンとは、特定の型のストレプトマイセス属の細菌に由来する抗生物質のクラスである。アントラサイクリンは、がん治療薬として使用されることも多く、また、一部において、核酸インターカレート剤、およびDNA修復酵素トポイソメラーゼIIの阻害剤として機能し、それにより、がん細胞内の核酸に損傷を与え、その細胞の複製を防ぐ。アントラサイクリンがん治療薬の一例はドキソルビシンであり、これは、乳がん、肺がん、卵巣がん、リンパ腫、および白血病を含めた様々ながんを処置するために使用される。ドキソルビシンの6−マレイミドカプロイルヒドラゾン(DOXO−EMCH)は、ドキソルビシンと、腫瘍抗原に対するモノクローナル抗体との免疫コンジュゲートを調製するために使用することができる酸感受性リンカーをもたらすために元来合成されたものである(Willnerら、Bioconjugate Chem 4巻:521〜527頁(1993年))。この場合、抗体ジスルフィド結合はジチオスレイトールで還元されて遊離のチオール基を形成し、それが今度はDOXO−EMCHのマレイミド基と反応して安定なチオエーテル結合を形成する。投与されると、ドキソルビシン−抗体コンジュゲートは、当該抗体によって認識される抗原を含有する腫瘍にターゲティングされる。抗原−抗体結合の後、コンジュゲートは腫瘍細胞内に内部移行し、リソソームに輸送される。酸性のリソソーム環境では、酸感受性ヒドラゾンリンカーの加水分解によってドキソルビシンがコンジュゲートから細胞内に放出される。放出されると、ドキソルビシンは細胞核に到達し、その腫瘍細胞を死滅させることができる。ドキソルビシンおよびDOXO−EMCHに関する追加的な記載については、例えば、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,387,771号および同第7,902,144号および米国特許出願第12/619,161号を参照されたい。
その後のDOXO−EMCHの使用は、当該分子をヒト血清アルブミン(HSA)上の遊離のチオール基(Cys−34)とin vitroで反応させて、この循環タンパク質との安定なチオエーテルコンジュゲートを形成させることによって発展した(Kratzら、J Med Chem 45巻:5523〜5533頁(2002年))。これらの結果に基づいて、静脈内に投与されたDOXO−EMCHがHSAとin vivoで急速にコンジュゲートすることと、この高分子コンジュゲートが「血管透過性および滞留性亢進(enhanced permeability and retention)」(EPR)腫瘍内効果に起因して腫瘍内に優先的に蓄積することと、が仮定された(Maedaら、J Control Release 65巻:271〜284頁(2000年))。
マウス、ラット、およびイヌにおけるDOXO−EMCHを用いた急性毒性試験および反復投与毒性試験により、ドキソルビシンに付随する毒性を超える毒性は同定されず、これにより、3つの種の全てが、DOXO−EMCHに対して、ドキソルビシンと比較して有意に高い耐性を有することが示された(Kratzら、Hum Exp Toxicol 26巻:19〜35頁(2007年))。動物腫瘍モデルからの好ましい毒性学プロファイルおよび肯定的な結果に基づいて、進行がん患者41名に対してDOXO−EMCHの第1相臨床試験が行われた(Ungerら、Clin Cancer Res 13巻:4858〜4866頁(2007年))。この試験により、DOXO−EMCHが臨床使用に関して安全であることが見いだされた。いくつかの場合には、DOXO−EMCHにより腫瘍の退縮が誘導された。
DOXO−EMCH内の酸により切断可能なリンカーの感受性に起因して、長期保管下で、ならびに再構成(例えば、予め凍結乾燥した組成物の)および投与の間に安定な製剤形態を有することが望ましい。DOXO−EMCHは、現行の製剤に使用される組成物、希釈剤および投与液体中に存在する場合、低温で保持されたときにのみ安定である。DOXO−EMCHをそのような温度に維持する必要性により、医師が低温(4℃)のDOXO−EMCH組成物を患者に投与することを強いられるという主要な問題が生じる。DOXO−EMCHを低温で維持することは、DOXO−EMCHを4℃で保持し、4℃で希釈して、患者への使用を不適当にさせる分解を予防することが必要であるという点で、その投与を複雑にする。さらに、4℃で投与することは、体温が有意に高い(37℃)患者にとって有害であり得る。
米国特許第7,387,771号明細書 米国特許第7,902,144号明細書
Willnerら、Bioconjugate Chem 4巻:521〜527頁(1993年) Kratzら、J Med Chem 45巻:5523〜5533頁(2002年) Maedaら、J Control Release 65巻:271〜284頁(2000年) Kratzら、Hum Exp Toxicol 26巻:19〜35頁(2007年) Ungerら、Clin Cancer Res 13巻:4858〜4866頁(2007年)
多くの薬物に関して安定な製剤をもたらすために凍結乾燥が使用されてきた。しかし、室温で安定性が維持されない液体中の凍結乾燥DOXO−EMCHの再構成により、DOXO−EMCHの急速な分解(decomposition)が起こり得る。DOXO−EMCHの注射可能組成物を作るために不適切な希釈剤を使用することにより、安定性および/または溶解性が低下する可能性がある。この安定性の低下は、ドキソルビシン部分とEMCH部分との間のリンカーの切断に現れ、その結果DOXO−EMCHが2つの構成成分:ドキソルビシンおよびリンカー−マレイミドに分解される。したがって、アントラサイクリン−EMCH(例えば、DOXO−EMCH)の安定な、再構成された凍結乾燥溶液、およびそれを含有する注射可能組成物は、これらの問題を解決するため、ならびに臨床試験のためにおよび商業的に患者の処置に合理的に使用することができる適切な投与ビヒクルを提供するために必要である。
発明の要約
本発明は、アントラサイクリン化合物の再構成製剤および注射可能組成物を提供する。
例えば、本発明は、アントラサイクリン化合物と再構成液剤とを含む再構成製剤であって、このアントラサイクリン化合物の凍結乾燥組成物を、エタノールおよび水を含む再構成液剤で再構成することによって調製される再構成製剤を提供する。例示的な再構成製剤は、DOXO−EMCHと再構成液剤とを含む。
一部の実施形態では、本発明の再構成製剤中のエタノール:水の体積比は約10:90〜約90:10、例えば、約40:60〜約60:40、約45:55〜約55:45、または約50:50である。
一部の実施形態では、再構成製剤中のアントラサイクリン化合物の濃度は約1mg/mlから約30mg/mlまで、例えば、約5mg/mlから約25mg/mlまでである。ある特定の実施形態では、再構成製剤中のアントラサイクリン化合物の濃度は約10mg/mlである。
本発明は、再構成製剤(上記の通り)と乳酸リンゲル液とを含む、アントラサイクリン化合物の注射可能組成物も提供する。例示的な注射可能組成物は、DOXO−EMCH、再構成液剤、および乳酸リンゲル液を含む。
一部の実施形態では、注射可能組成物中のアントラサイクリン化合物の濃度は約0.1mg/mlから約25mg/mlまで、例えば、約7mg/mlから約17mg/mlまで、約0.1mg/mlから約5mg/mlまで、または約0.25mg/mlから約4.5mg/mlまでである。ある特定の実施形態では、注射可能組成物中のアントラサイクリン化合物の濃度は約2.4mg/mlである。
本発明は、さらに、患者におけるがんの処置において使用するための、上記の再構成製剤または注射可能組成物を提供する。がんは、以下の非限定的な例から選択することができる:固形腫瘍がん、乳がん、肺がん、子宮体がん、卵巣がん、膵がん、副腎皮質のがん、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、カポジ肉腫、ユーイング肉腫、軟部肉腫、腎芽腫、神経膠芽腫、前立腺がん、肝がん、骨がん、軟骨肉腫、腎がん、膀胱がん、および胃がん。ある特定の実施形態では、がんは固形腫瘍がんおよび軟部肉腫から選択される。特定の実施形態では、膵がんは膵管腺癌である。
本発明は、患者におけるがんを処置するための医薬の製造および投与における、上記の再構成製剤または注射可能組成物の使用を提供する。がんは、以下の非限定的な例から選択することができる:固形腫瘍がん、乳がん、肺がん、子宮体がん、卵巣がん、膵がん、副腎皮質のがん、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、カポジ肉腫、ユーイング肉腫、軟部肉腫、腎芽腫、神経膠芽腫、前立腺がん、肝がん、骨がん、軟骨肉腫、腎がん、膀胱がん、および胃がん。ある特定の実施形態では、がんは固形腫瘍がんおよび軟部肉腫から選択される。特定の実施形態では、膵がんは膵管腺癌である。
本発明は、患者におけるがんを処置するための方法であって、上記の再構成製剤または注射可能組成物を患者に投与すること(例えば、静脈内に)を含む方法も提供する。がんは、以下の非限定的な例から選択することができる:固形腫瘍がん、乳がん、肺がん、子宮体がん、卵巣がん、膵がん、副腎皮質のがん、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、カポジ肉腫、ユーイング肉腫、軟部肉腫、腎芽腫、神経膠芽腫、前立腺がん、肝がん、骨がん、軟骨肉腫、腎がん、膀胱がん、および胃がん。ある特定の実施形態では、がんは固形腫瘍がんおよび軟部肉腫から選択される。特定の実施形態では、膵がんは膵管腺癌である。
本発明は、アントラサイクリン化合物(例えば、DOXO−EMCH)の再構成製剤を調製する方法であって、アントラサイクリン化合物の凍結乾燥組成物を、エタノールおよび水を含む再構成液剤で再構成することを含む方法も提供する。ある特定の実施形態では、エタノール:水の体積比は約10:90〜約90:10、例えば、約40:60〜約60:40、約45:55〜約55:45、または約50:50である。一部の実施形態では、当該方法において有用な再構成製剤中のアントラサイクリン化合物の濃度は約1mg/mlから約30mg/mlまで、例えば、約5mg/mlから約25mg/mlまでである。ある特定の実施形態では、再構成製剤中のアントラサイクリン化合物の濃度は約10mg/mlである。
一部の実施形態では、本発明は、アントラサイクリン化合物の注射可能組成物を調製する方法であって、上記の再構成製剤を乳酸リンゲル液で希釈することを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、注射可能組成物中のアントラサイクリン化合物の濃度は約1mg/mlから約25mg/mlまで、例えば、約1mg/mlから約5mg/mlまでまたは約7mg/mlから約17mg/mlまでである。
本発明は、例えば以下を提供する。
(項目1)
アントラサイクリン化合物と再構成液剤とを含む再構成製剤であって、該アントラサイクリン化合物の凍結乾燥組成物を、エタノールおよび水を含む再構成液剤で再構成することによって調製される、再構成製剤。
(項目2)
前記アントラサイクリン化合物がDOXO−EMCHである、項目1に記載の再構成製剤。
(項目3)
エタノール:水の体積比が約10:90〜約90:10である、項目1または項目2に記載の再構成製剤。
(項目4)
エタノール:水の体積比が約40:60〜約60:40である、項目3に記載の再構成製剤。
(項目5)
エタノール:水の体積比が約45:55〜約55:45である、項目4に記載の再構成製剤。
(項目6)
エタノール:水の体積比が約50:50である、項目5に記載の再構成製剤。
(項目7)
前記再構成製剤中の前記アントラサイクリン化合物の濃度が約1mg/mlから約30mg/mlまでである、項目1から項目6までのいずれか一項に記載の再構成製剤。
(項目8)
前記再構成製剤中の前記アントラサイクリン化合物の濃度が約5mg/mlから約25mg/mlまでである、項目7に記載の再構成製剤。
(項目9)
前記再構成製剤中の前記アントラサイクリン化合物の濃度が約10mg/mlである、項目8に記載の再構成製剤。
(項目10)
項目1から項目9までのいずれか一項に記載の再構成製剤と乳酸リンゲル液とを含む、アントラサイクリン化合物の注射可能組成物。
(項目11)
前記アントラサイクリン化合物がDOXO−EMCHである、項目10に記載の注射可能組成物。
(項目12)
前記注射可能組成物中の前記アントラサイクリン化合物の濃度が約0.1mg/mlから約25mg/mlまでである、項目10に記載の注射可能組成物。
(項目13)
前記注射可能組成物中の前記アントラサイクリン化合物の濃度が約7mg/mlから約17mg/mlまでである、項目10に記載の注射可能組成物。
(項目14)
前記注射可能組成物中の前記アントラサイクリン化合物の濃度が約0.1mg/mlから約5mg/mlまでである、項目10に記載の注射可能組成物。
(項目15)
前記注射可能組成物中の前記アントラサイクリン化合物の濃度が約0.25mg/mlから約4.5mg/mlまでである、項目14に記載の注射可能組成物。
(項目16)
前記注射可能組成物中の前記アントラサイクリン化合物の濃度が約2.4mg/mlである、項目15に記載の注射可能組成物。
(項目17)
患者におけるがんの処置において使用するための、項目1から項目9までのいずれか一項に記載の再構成製剤、または項目10から項目16までのいずれか一項に記載の注射可能組成物。
(項目18)
前記がんが、固形腫瘍がん、乳がん、肺がん、子宮体がん、卵巣がん、膵がん、副腎皮質のがん、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、カポジ肉腫、ユーイング肉腫、軟部肉腫、腎芽腫、神経膠芽腫、前立腺がん、肝がん、骨がん、軟骨肉腫、腎がん、膀胱がん、および胃がんから選択される、項目17に記載の再構成製剤または注射可能組成物。
(項目19)
前記がんが固形腫瘍がんおよび軟部肉腫から選択される、項目18に記載の再構成製剤または注射可能組成物。
(項目20)
前記膵がんが膵管腺がんである、項目18に記載の再構成製剤または注射可能組成物。
(項目21)
患者におけるがんを処置するための医薬の製造における、項目1から項目9までのいずれか一項に記載の再構成製剤、または項目10から項目16までのいずれか一項に記載の注射可能組成物の使用。
(項目22)
前記がんが、固形腫瘍がん、乳がん、肺がん、子宮体がん、卵巣がん、膵がん、副腎皮質のがん、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、カポジ肉腫、ユーイング肉腫、軟部肉腫、腎芽腫、神経膠芽腫、前立腺がん、肝がん、骨がん、軟骨肉腫、腎がん、膀胱がん、および胃がんから選択される、項目21に記載の使用。
(項目23)
前記がんが固形腫瘍がんおよび軟部肉腫から選択される、項目22に記載の使用。
(項目24)
前記膵がんが膵管腺がんである、項目22に記載の使用。
(項目25)
患者におけるがんを処置するための方法であって、項目1から項目9までのいずれか一項に記載の再構成製剤、または項目10から項目16までのいずれか一項に記載の注射可能組成物を患者に投与する工程を含む方法。
(項目26)
前記再構成製剤または前記注射可能組成物を静脈内に投与する、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記がんが、固形腫瘍がん、乳がん、肺がん、子宮体がん、卵巣がん、膵がん、副腎皮質のがん、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、カポジ肉腫、ユーイング肉腫、軟部肉腫、腎芽腫、神経膠芽腫、前立腺がん、肝がん、骨がん、軟骨肉腫、腎がん、膀胱がん、および胃がんから選択される、項目25または項目26のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
前記がんが固形腫瘍がんおよび軟部肉腫から選択される、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記膵がんが膵管腺がんである、項目27に記載の方法。
(項目30)
アントラサイクリン化合物の再構成製剤を調製する方法であって、該アントラサイクリン化合物の凍結乾燥組成物を、エタノールおよび水を含む再構成液剤で再構成する工程を含む、方法。
(項目31)
前記アントラサイクリン化合物がDOXO−EMCHである、項目30に記載の方法。(項目32)
エタノール:水の体積比が約10:90〜約90:10である、項目30または項目31に記載の方法。
(項目33)
エタノール:水の体積比が約40:60〜約60:40である、項目32に記載の方法。
(項目34)
エタノール:水の体積比が約45:55〜約55:45である、項目33に記載の方法。
(項目35)
エタノール:水の体積比が約50:50である、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記再構成製剤中の前記アントラサイクリン化合物の濃度が約1mg/mlから約30mg/mlまでである、項目25から項目35までのいずれか一項に記載の方法。
(項目37)
前記再構成製剤中の前記アントラサイクリン化合物の濃度が約5mg/mlから約25mg/mlまでである、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記再構成製剤中の前記アントラサイクリン化合物の濃度が約10mg/mlである、項目37に記載の方法。
(項目39)
アントラサイクリン化合物の注射可能組成物を調製する方法であって、項目1から項目9までのいずれか一項に記載の再構成製剤を乳酸リンゲル液で希釈する工程を含む方法。
(項目40)
前記アントラサイクリン化合物がDOXO−EMCHである、項目39に記載の方法。(項目41)
前記注射可能組成物中の前記アントラサイクリン化合物の濃度が約1mg/mlから約25mg/mlまでである、項目39または項目40に記載の方法。
(項目42)
前記注射可能組成物中の前記アントラサイクリン化合物の濃度が約1mg/mlから約5mg/mlまでである、項目41に記載の方法。
(項目43)
前記注射可能組成物中の前記アントラサイクリン化合物の濃度が約7mg/mlから約17mg/mlまでである、項目42に記載の方法。
発明の詳細な説明
本明細書において特に定義されていなければ、本出願において使用される科学技術用語は当業者に一般に理解される意味を有するものとする。一般に、本明細書に記載されている化学、分子生物学、細胞およびがん生物学、免疫学、微生物学、薬理学、ならびにタンパク質および核酸化学に関連して使用される命名法ならびにその技法は当技術分野で周知であり、一般に使用されているものである。
本出願で参照される刊行物、特許および公開特許出願は全て参照により本明細書に明確に組み込まれる。矛盾する場合は、特定の定義を含め、本明細書により支配される。
本明細書全体を通して、「含む(comprise)」という単語または「含む(comprises)」または「含むこと(comprising)」などの変形は、規定された整数(もしくは構成成分)または整数(もしくは構成成分)の群が含まれることを意味するが、任意の他の整数(もしくは構成成分)または整数(もしくは構成成分)の群が排除されることを意味するものではないと理解されたい。
単数形「a(1つの)」、「an(1つの)」、および「the(その)」は、文脈により明確に別段の規定がなされない限り、複数を含む。
「含む(including)」という用語は、「含むが、これだけに限定されない(including but not limited to)」の意味を示すために使用される。「含む(including)」および「含むが、これだけに限定されない(including but not limited to)」は互換的に使用される。
「アントラサイクリン」とは、Streptomyces peucetiusおよび/またはStreptomyces coerulubidusによって産生される抗生物質のクラスのメンバーを指す。アントラサイクリンの具体例は、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、バルルビシン、ピラルビシン、ゾルビシン、アクラルビシン、カミノマイシン(caminomycin)、ミトキサントロン、およびアメタントロンを含むが、これだけに限定されない。
本明細書で使用される場合、「乳酸リンゲル液」(LR)とは、注射用滅菌水中の、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、および乳酸ナトリウムの滅菌溶液を指す。LRの溶液100mLは、一般には、285.0mgから315.0mgの間のナトリウム、14.2mgから17.3mgの間のカリウム、4.90mgから6.00mgの間のカルシウム、368.0mgから408.0mgの間の塩化物イオン、および231.0mgから261.0mgの間の乳酸を含有する。LRは抗菌剤を含有しない。乳酸リンゲル液のpHは、一般に、6から8の間である。乳酸リンゲル液は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるUSP35、Official Monographs、4564〜4565頁(2012年)に記載されている。
「患者」および「個体」という用語は、互換的に使用され、ヒトまたは非ヒト動物のいずれかを指す。これらの用語は、ヒト、霊長類、家畜動物(例えば、ウシ、ブタ)、伴侶動物(例えば、イヌ、ネコ)およびげっ歯類(例えば、マウスおよびラット)などの哺乳動物を含む。
「薬学的に許容される担体」という用語は、本発明のアントラサイクリン化合物と一緒に患者に投与することができ、このアントラサイクリンの薬理活性を壊さない無毒性の担体を指す。「賦形剤」という用語は、薬学的に活性な成分ではない、製剤または組成物中の添加剤を指す。
「薬学的有効量」という用語は、患者におけるがんを処置するために有効な量、例えば、疾患(例えば、がん)に罹患している患者の全体的な健康に関する有益かつ/または望ましい変化をもたらす量を指す。がんの処置は、がん細胞を死滅させること、新しいがん細胞の成長を予防すること、腫瘍の退縮(腫瘍サイズの減少)を引き起こすこと、転移の減少を引き起こすこと、患者の生活機能を改善すること、患者の健康状態を改善すること、疼痛を減少させること、食欲を改善すること、患者の体重を改善すること、およびそれらの任意の組合せを含むが、これだけに限定されないことが当業者には理解されよう。「薬学的有効量」とは、患者の臨床症候を改善するために必要な量も指す。本明細書に記載されている治療方法またはがんを処置する方法は、がんの「治癒」と解釈されるまたは他の方法でこれに限定されるべきではない。
別段の指定がない限り、本発明の実施形態はそれぞれ、単独で、または本発明の1つまたは複数の他の実施形態のいずれかと組み合わせて使用することができることが理解されるべきである。
本発明の化合物
本発明の製剤、組成物、および方法において有用なアントラサイクリン化合物は以下の概略図に記載されており、このアントラサイクリン化合物は、アントラサイクリン、リンカー分子、および少なくとも1種のタンパク質結合性分子を含み、「X」は切断可能な結合を示す。
Figure 0006833768
アントラサイクリンの具体例は、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、バルルビシン、ピラルビシン、ゾルビシン、アクラルビシン、カミノマイシン、ミトキサントロン、およびアメタントロンを含むが、これだけに限定されない。一部の実施形態では、アントラサイクリンはドキソルビシンである。
一部の実施形態では、切断可能な結合(「X」)は酸により切断可能な結合である。酸により切断可能な結合の具体例は、アセタール結合、ケタール結合、イミン結合、ヒドラゾン結合、カルボキシルヒドラゾン結合もしくはスルホニルヒドラゾン結合、またはシス−アコニチル結合あるいは置換もしくは非置換トリチル基を含有する結合を含むが、これだけに限定されない。ある特定の実施形態では、酸により切断可能な結合はヒドラゾン結合である。
一部の実施形態では、本発明のリンカーは有機分子である。そのようなリンカーは、1〜12個の炭素原子を有する脂肪族炭素鎖および/または脂肪族炭素環を含んでよく、その炭素原子はいずれも−OHまたは=Oで置換されていてよく、その炭素原子はいずれも、適切かつ化学的に実行可能である場合には酸素原子に置換されていてよい。一部の実施形態では、脂肪族リンカーは、1〜12個の炭素原子を含むアルキル鎖、2〜12個の炭素原子を含むアルケニル鎖、または2〜12個の炭素原子を含むアルキニル鎖を含んでよく、その炭素原子はいずれも−OHまたは=Oで置換されていてよく、その炭素原子はいずれも、適切かつ化学的に実行可能な場合には酸素原子に置換されていてよい。特定の実施形態では、脂肪族リンカーは、1〜12個の炭素原子を含むアルキル鎖であり、その炭素原子はいずれも、適切かつ化学的に実行可能な場合には=Oで置換されていてよい。さらに他の実施形態では、脂肪族リンカーは、3〜9個、4〜8個、または5〜7個の炭素原子を含むアルキル鎖であり、その炭素原子はいずれも、適切かつ化学的に実行可能な場合には=Oで置換されていてよい。特定の実施形態では、脂肪族リンカーは、6個の炭素原子を含むアルキル鎖であり、その切断可能な結合「X」に結合した炭素原子は=0で置換されている。
一部の実施形態では、切断可能な結合(「X」)は酵素により切断可能である。酵素により切断可能なリンカーの具体例は、ペプチドリンカーおよび1つまたは複数のカルバミン酸結合を含むリンカーを含むが、これだけに限定されない。ペプチドリンカーは、例えば、1〜5個、1〜10個、1〜15個、1〜20個、1〜25個、1〜30個、1〜35個、1〜40個、2〜5個、2〜10個、2〜15個、2〜20個、2〜25個、2〜30個、2〜35個、または2〜40個のアミノ酸残基を含んでよい。ペプチドリンカーの具体例は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、または40個のアミノ酸残基を含むリンカーを含むが、これだけに限定されない。ペプチドリンカーは、1種または複数のプロテアーゼによって特異的に切断可能になるように設計することができる。一部の実施形態では、切断される結合は、ペプチド結合、イミド結合、またはカルボキシル−ヒドラゾン結合である。
タンパク質結合性基の具体例は、マレイミド基、ハロアセトアミド基、ハロ酢酸基、ピリジルジチオ基、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル基、およびイソチオシアネート基を含むが、これだけに限定されない。ある特定の実施形態では、タンパク質結合性基はマレイミド基である。タンパク質結合性基の具体例は、ジスルフィド基、ビニルカルボニル基、アジリジン基またはアセチレン基も含む。ジスルフィド基は、交換可能な基としてチオニトロ安息香酸(例えば、5’−チオ−2−ニトロ安息香酸)によって活性化することができる。マレイミド、ピリジルジチオ、またはN−ヒドロキシスクシンイミドエステル基は、適切な場合には、アルキル基または上記の水溶性基で置換されていてよい。一般に、タンパク質結合性基はタンパク質結合特性を保有する、すなわち、生理的環境において、タンパク質の表面上の特定のアミノ酸に共有結合により結合する(「共有結合性タンパク質結合性基」)または非共有結合により結合する(「非共有結合性タンパク質結合性基」)。マレイミド基、ハロアセトアミド基、ハロ酢酸基、ピリジルジチオ基、ジスルフィド基、ビニルカルボニル基、アジリジン基、および/またはアセチレン基はシステインのチオール(−SH)基と反応することが好ましく、一方N−ヒドロキシスクシンイミドエステル基および/またはイソチオシアネート基はタンパク質の表面上のリシンのアミノ基(−NH)と反応することが好ましい。
本発明のアントラサイクリン化合物は、1種または複数のアントラサイクリン、切断可能な結合、リンカー、およびタンパク質結合性基の任意の組合せおよびその全ての組合せを含む。例示的なアントラサイクリン化合物は、アントラサイクリン、酸により切断可能な結合、アルキルリンカー、および共有結合性タンパク質結合性基を含む。ある特定の実施形態では、アントラサイクリン化合物は、アントラサイクリン、酸により切断可能な結合としてヒドラゾン結合、アルキルリンカー、および共有結合性タンパク質結合性基としてマレイミド基を含む。他の実施形態では、アントラサイクリン化合物は、アントラサイクリン、酸により切断可能な結合としてヒドラゾン結合、切断可能な結合に結合した炭素原子が=0で置換されている6−炭素アルキルリンカー、および共有結合性タンパク質結合性基としてマレイミド基を含む(すなわち、アントラサイクリン−EMCH分子)。
本発明の化合物の具体例はDOXO−EMCHである。「DOXO−EMCH」という用語は、単独で、または任意の他の用語との組合せで、以下の構造により示される化合物を指す:
Figure 0006833768
DOXO−EMCHは、(E)−N’−(1−((2S,4S)−4−(4−アミノ−5−ヒドロキシ−6−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ−2,5,12−トリヒドロキシ−7−メトキシ−6,11−ジオキソ1,2,3,4,6,11−ヘキサヒドロテトラセン−2−イル)−2−ヒドロキシエチリデン)−6−(2,5−ジオキソ−2H−ピロール−1(5H)イル)ヘキサンヒドラジド・HClとも称される。
本発明は、凍結乾燥DOXO−EMCHが凍結乾燥後にエタノールと水との混合物で再構成された場合に安定であり、そしてDOXO−EMCHがその後に乳酸リンゲル液で希釈された場合にその安定性が維持されるという驚くべき発見に基づく。以前のDOXO−EMCHの製剤には、N−アセチルトリプトファン、リン酸緩衝液、およびスクロースが含まれていた。実際に、DOXO−EMCHの安定性を維持するためにはN−アセチルトリプトファンが必要であると考えられていた。しかし、N−アセチルトリプトファンの存在下でさえも、それらの以前の製剤中のDOXO−EMCHは室温で分解され、その結果、ドキソルビシンが放出されていた。より詳細には、以前の製剤では、ドキソルビシン部分とEMCH部分との間のイミド結合は酸に触媒される加水分解を受ける。ドキソルビシンの投与は、DOXO−EMCHよりも毒性が強いので望ましくない(特にがんの有効な処置に必要な濃度では)。さらに、DOXO−EMCHとは異なり、ドキソルビシンは腫瘍にターゲティングされない。したがって、アントラサイクリン化合物(例えば、アントラサイクリン−EMCH)の個々の構成成分(すなわち、アントラサイクリンおよびEMCH)への分解の量を減少させる製剤をもたらすことには大きな利益がある。ドキソルビシンなどのアントラサイクリンに付随する毒性を踏まえると、アントラサイクリン化合物の安定性を少し増大させることにさえ大きな利益がある。アントラサイクリン化合物の分解の量を減少させ、かつ室温での再構成および患者への投与を可能にするアントラサイクリン化合物製剤をもたらすことが特に有用である。
驚いたことに、本発明の製剤および組成物では、DOXO−EMCHが安定化され、分解副生成物として生成する遊離のドキソルビシンは低量である。この安定性は、N−アセチルトリプトファンが存在しなくても観察される。さらに驚いたことに、本発明の製剤および組成物は室温で安定である。以前の製剤および組成物は低温(例えば、4℃)でのみ安定であり、それにより、臨床医にとって取扱いおよび投与が難しいものになっていた。さらに、必要とされるDOXO−EMCH製剤の4℃での投与は患者にとって危険であった。本発明の製剤および組成物では、この医薬製品を低温で取り扱う必要性が排除され、医師がこの医薬製品を室温で投与することが可能になる。さらに、エタノールおよび水である再構成液剤により、DOXO−EMCHが安定化されたことは予想外であった。エタノールおよび水である再構成液剤により、DOXO−EMCHが直ちに(1分たたないうちに)可溶化されたことも予想外であった。一般に、凍結乾燥された医薬製剤および組成物はエタノールおよび水では再構成されず、これはおそらく、エタノールが潜在的に毒性であり、患者の中毒症を回避するために慎重に量を決定しなければならないことが理由である。実際に、一般には、毒性が低いことが理由で、緩衝生理食塩水溶液が再構成液剤として使用される。
再構成製剤
凍結乾燥は、しばしば、溶液中で分解しやすい化合物を保管する手段として使用される。しかし、凍結乾燥製剤を再構成するための適切な液体が簡単な努力で決定されるとは限らない。不適当な再構成液剤の使用により、化合物の安定性または溶解性が負の影響を受け、それにより、その凝集または分解が引き起こされる可能性がある。以前は、凍結乾燥DOXO−EMCH製剤は5%D−(+)−グルコース中10mMのリン酸ナトリウムの溶液(pH6.4)(Ungerら、Clin Cancer Res 13巻:4858〜4866頁(2007年)、Kratzら、Hum Exp Toxicol 26巻:19〜35頁(2007年))、または注射可能滅菌水で再構成されていた。しかし、これらの方法は、これらの製剤中のDOXO−EMCHの安定性が低いことに起因して、医薬製品の完全な可溶化を可能にするために広範囲にわたる持続的な混合が必要であり、再構成製剤を静脈内投与のために使用することができる時間帯がほんの短くしか残されなかったので、理想的なものではなかった。
本明細書には、改善された再構成液剤および方法が記載されている。驚いたことに、エタノールと水の混合物での再構成により、DOXO−EMCHの急速な可溶化(数分)ならびに安定性の増強がもたらされる。一部の実施形態では、本発明は、アントラサイクリン化合物(例えば、DOXO−EMCH)と、エタノールおよび水を含む再構成用液剤とを含む再構成製剤を提供する。一部の実施形態では、本発明は、アントラサイクリン化合物(例えば、DOXO−EMCH)と、エタノールおよび水からなる再構成液剤とからなる再構成製剤を提供する。再構成液剤として使用するためのエタノール:水の体積比は、約10:90から約90:10まで、例えば、約10:90、約20:80、約30:70、約40:60、約41:59、約42:58、約43:57、約44:56、約45:55、約46:54、約47:53、約48:52、約49:51、約50:50(例えば、50±5:50±5)、約51:49、約52:48、約53:47、約54:46、約55:45、約56:44、約57:43、約58:42、約59:41、約60:40、約70:30、約80:20、約90:10、またはその間の任意の比であってよい。
本発明の再構成製剤において有用な濃度のアントラサイクリン化合物(例えば、DOXO−EMCH)は、組成物中で安定なままである任意の量のアントラサイクリン化合物である。例えば、アントラサイクリン化合物の濃度は、再構成された組成物中、約1mg/mlから約500mg/mlまでであってよい。一部の実施形態では、アントラサイクリン化合物の濃度は、約1mg/mlから約100mg/mlまで、約1mg/mlから約30mg/mlまで、または約5mg/mlから約25mg/mlまでであってよい。特定の実施形態では、アントラサイクリン化合物の濃度は、1.0±0.5mg/ml、2.0±0.5mg/ml、3.0±0.5mg/ml、4.0±0.5mg/ml、5.0±0.5mg/ml、6.0±0.5mg/ml、7.0±0.5mg/ml、8.0±0.5mg/ml、9.0±0.5mg/ml、10.0±0.5mg/ml、11.0±0.5mg/ml、12.0±0.5mg/ml、13.0±0.5mg/ml、14.0±0.5mg/ml、15.0±0.5mg/ml、16.0±0.5mg/ml、17.0±0.5mg/ml、18.0±0.5mg/ml、19.0±0.5mg/ml、20.0±0.5mg/ml、21.0±0.5mg/ml、22.0±0.5mg/ml、23.0±0.5mg/ml 24.0±0.5mg/ml、および25.0±0.5mg/mlであってよい。一部の実施形態では、アントラサイクリン化合物の濃度は、約1.4mg/mlから約3.4mg/mlまで、例えば、1.4±0.1mg/ml、1.5±0.1mg/ml、1.6±0.1mg/ml、1.7±0.1mg/ml、1.8±0.1mg/ml、1.9±0.1mg/ml、2.0±0.1mg/ml、2.1±0.1mg/ml、2.2±0.1mg/ml、2.3±0.1mg/ml、2.4±0.1mg/ml、2.5±0.1mg/ml、2.6±0.1mg/ml、2.7±0.1mg/ml、2.8±0.1mg/ml、2.9±0.1mg/ml、3.0±0.1mg/ml、3.1±0.1mg/ml、3.2±0.1mg/ml、3.3±0.1mg/ml、または3.4±0.1mg/mlであってよい。しかし、アントラサイクリン化合物(例えば、DOXO−EMCH)の安定性を当技術分野で公知の技法を使用して(例えば、HPLCによって)どのように試験するかは当業者には分かるであろう。
一部の実施形態では、再構成製剤に含まれる遊離のドキソルビシンは2.5%未満である(例えば室温で)。ある特定の実施形態では、このドキソルビシンは、DOXO−EMCHの分解によって生成したものである。例えば、ある特定の実施形態では、室温で再構成製剤に含まれる遊離のドキソルビシンは、2.4%未満、2.3%未満、2.2%未満、2.1%未満、2.0%未満、1.9%未満、1.8%未満、1.7%未満、1.6%未満、1.5%未満、1.4%未満、1.3%未満、1.2%未満、1.1%未満、1.0%未満、0.9%未満、0.8%未満、または0.75%未満である。一部の実施形態では、再構成製剤において、DOXO−EMCHの再構成後、室温で5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、65分、70分、75分、80分、85分、90分、95分、100分、105分、110分、115分、または120分あるいはそれより長くにわたって、これらのドキソルビシンの量が維持される(すなわち、再構成製剤中に存在するDOXO−EMCHの分解による追加的なドキソルビシンの形成が生じない)。他の実施形態では、再構成製剤において、DOXO−EMCHの再構成後、室温で2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間、6時間、6.5時間、7時間、7.5時間、8時間、8.5時間、9時間、9.5時間、10時間、10.5時間、11時間、11.5時間、または12時間またはそれより長くにわたって、これらのドキソルビシンの量が維持される(すなわち、再構成製剤中に存在するDOXO−EMCHの分解による追加的なドキソルビシンの形成が生じない)。特定の実施形態では、DOXO−EMCHの再構成の10分後、再構成製剤に含まれる遊離のドキソルビシンは室温で0.75%未満である(例えば、DOXO−EMCHを10mg/mlに再構成した場合)。特定の実施形態では、DOXO−EMCHの再構成の20分後、再構成製剤に含まれる遊離のドキソルビシンは、室温で1.1%未満である(例えば、DOXO−EMCHを10mg/mlに再構成した場合)。
ある特定の実施形態では、再構成製剤に含まれるDOXO−EMCHは96.0%超である(例えば室温で)。特定の実施形態では、再構成製剤に含まれるDOXO−EMCHは、96.1%超、96.2%超、96.3%超、96.4%超、96.5%超、96.6%超、96.7%超、96.8%超、96.9%超、97.0%超、97.1%超、97.2%超、97.3%超、97.4%超、97.5%超、97.6%超、97.7%超、97.8%超、97.9%超、98.0%超、98.1%超、98.2%超、98.3%超、98.4%超、98.5%超、98.6%超、98.7%超、98.8%超、98.9%超、99.0%超、99.1%超、99.2%超、99.3%超、99.4%超、99.5%超、99.6%超、99.7%超、99.8%超、99.9%超、または100.0%である。一部の実施形態では、再構成製剤において、DOXO−EMCHの再構成後、室温で、5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、65分、70分、75分、80分、85分、90分、95分、100分、105分、110分、115分、または120分あるいはそれより長くにわたって、これらのDOXO−EMCHの量が維持される(すなわち、分解される追加的なDOXO−EMCHはない(例えば、遊離のドキソルビシンに))。一部の実施形態では、再構成製剤において、DOXO−EMCHの再構成後、室温で、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間、6時間、6.5時間、7時間、7.5時間、8時間、8.5時間、9時間、9.5時間、10時間、10.5時間、11時間、11.5時間、または12時間あるいはそれより長くにわたって、これらのDOXO−EMCHの量が維持される(すなわち、分解される追加的なDOXO−EMCHはない(例えば、遊離のドキソルビシンに))。特定の実施形態では、再構成製剤に含まれるDOXO−EMCHは、DOXO−EMCHの再構成の10分後、室温で99.0%超である(例えば、DOXO−EMCHを10mg/mlに再構成した場合)。特定の実施形態では、再構成製剤に含まれるDOXO−EMCHは、DOXO−EMCHの再構成後、室温で10分にわたって96.0%超である(例えば、DOXO−EMCHを10mg/mlに再構成した場合)。特定の実施形態では、再構成製剤に含まれるDOXO−EMCHは、DOXO−EMCHの再構成の10分後、室温で100.0%である(例えば、DOXO−EMCHを10mg/mlに再構成した場合)。特定の実施形態では、再構成製剤に含まれるDOXO−EMCHは、DOXO−EMCHの再構成の20分後、室温で96.2%超である(例えば、DOXO−EMCHを10mg/mlに再構成した場合)。特定の実施形態では、再構成製剤に含まれるDOXO−EMCHは、DOXO−EMCHの再構成の20分後、室温で98.2%超である(例えば、DOXO−EMCHを10mg/mlに再構成した場合)。
注射可能組成物
エタノールおよび水を含む再構成用液剤は、それ自体では非経口投与(例えば、注射による投与)に適さない場合がある。したがって、アントラサイクリン化合物と再構成液剤とを含む注射可能組成物が必要とされている。そのような注射可能組成物は、室温で安定であり、再構成された医薬製品の安定性を維持し、かつ投与が容易であるという点で、静脈内投与溶液に適するものでもあるべきである。Physicians’ Desk Referenceに記載されている全ての腫瘍学的医薬製品の調査により、静脈内投与される腫瘍学的製品の全てについて、5%デキストロース、0.9%NaCl、または5%プラス0.45%NaClが推奨されることが示されている。DOXO−EMCHを用いて試験した場合、これらの溶液の全てで、この医薬製品を患者に室温で合理的に投与することができるようになる前に急速な加水分解および遊離のドキソルビシンの放出が伴った。驚いたことに、本発明の再構成製剤には、室温で投与するのに適した注射可能組成物を創製するために、投与溶液として乳酸リンゲル液(LR)が必要であった。
患者に注射される組成物中のアントラサイクリン化合物(例えば、DOXO−EMCH)の総量は、その患者に適したものである。異なる個体には異なる総量のアントラサイクリン化合物が必要になり得ることが当業者には理解されよう。一部の実施形態では、アントラサイクリン化合物の量は薬学的有効量である。当業者は、患者を処置するために必要な、組成物中のアントラサイクリン化合物の量を、例えば、患者の年齢、体重、および健康状態などの因子に基づいて決定することができよう。アントラサイクリン化合物(例えば、DOXO−EMCH)の濃度は、静脈内投与溶液中でのその溶解性および投与することができる液体の体積に左右される。例えば、アントラサイクリン化合物の濃度は、注射可能組成物中約0.1mg/mlから約50mg/mlまでであり得る。一部の実施形態では、アントラサイクリン化合物の濃度は、約0.1mg/mlから約25mg/mlまで、約7mg/mlから約17mg/mlまで、約0.1mg/mlから約5mg/mlまで、または約0.25mg/mlから約4.5mg/mlまでであり得る。特定の実施形態では、アントラサイクリン化合物の濃度は約0.1mg/ml、約0.2mg/ml、約0.3mg/ml、約0.4mg/ml、約0.5mg/ml、約0.6mg/ml、約0.7mg/ml、約0.8mg/ml、約0.9mg/ml、約1.0mg/ml、約1.1mg/ml、約1.2mg/ml、約1.3mg/ml、約1.4mg/ml、約1.5mg/ml、約1.6mg/ml、約1.7mg/ml、約1.8mg/ml、約1.9mg/ml、約2.0mg/ml、約2.1mg/ml、約2.2mg/ml、約2.3mg/ml、約2.4mg/ml、約2.5mg/ml、約2.6mg/ml、約2.7mg/ml、約2.8mg/ml、約2.9mg/ml、約3.0mg/ml、約3.1mg/ml、約3.2mg/ml、約3.3mg/ml、約3.4mg/ml、約3.5mg/ml、約3.6mg/ml、約3.7mg/ml、約3.8mg/ml、約3.9mg/ml、約4.0mg/ml、約4.1mg/ml、約4.2mg/ml、約4.3mg/ml、約4.4mg/ml、約4.5mg/ml、約4.6mg/ml、約4.7mg/ml、約4.8mg/ml、約4.9mg/ml、約5.0mg/ml、約5.1mg/ml、約5.2mg/ml、約5.3mg/ml、約5.4mg/ml、約5.5mg/ml、約5.6mg/ml、約5.7mg/ml、約5.8mg/ml、約5.9mg/ml、または約6.0mg/mlであり得る。一部の実施形態では、アントラサイクリン化合物の濃度は、約7mg/ml、約8mg/ml、約9mg/ml、約10mg/ml、約11mg/ml、約12mg/ml、約13mg/ml、約14mg/ml、約15mg/ml、約16mg/ml、約17mg/ml、約18mg/ml、約19mg/ml、約20mg/ml、約21mg/ml、約22mg/ml、約23mg/ml、約24mg/ml、約25mg/ml、約26mg/ml、約27mg/ml、約28mg/ml、約29mg/ml、または約30mg/mlであり得る。
一部の実施形態では、注射可能組成物に含まれる遊離のドキソルビシンは3.0%未満である(例えば室温で)。ある特定の実施形態では、このドキソルビシンは、DOXO−EMCHの分解によって生成したものである。例えば、ある特定の実施形態では、注射可能組成物に含まれる遊離のドキソルビシンは、2.9%未満、2.8%未満、2.7%未満、2.6%未満、2.5%未満、2.4%未満、2.3%未満、2.2%未満、2.1%未満、2.0%未満、1.9%未満、1.8%未満、1.7%未満、1.6%未満、1.5%未満、1.4%未満、1.3%未満、1.2%未満、1.1%未満、1.0%未満、0.9%未満、0.8%未満、または0.75%未満である。一部の実施形態では、再構成製剤において、DOXO−EMCHの再構成後、室温で5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、65分、70分、75分、80分、85分、90分、95分、100分、105分、110分、115分、または120分あるいはそれより長くにわたって、これらのドキソルビシンの量が維持される(すなわち、再構成製剤中に存在するDOXO−EMCHの分解による追加的なドキソルビシンの形成が生じない)。他の実施形態では、再構成製剤において、DOXO−EMCHの再構成後、室温で2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間、6時間、6.5時間、7時間、7.5時間、8時間、8.5時間、9時間、9.5時間、10時間、10.5時間、11時間、11.5時間、または12時間あるいはそれより長くにわたって、これらのドキソルビシンの量が維持される(すなわち、再構成製剤中に存在するDOXO−EMCHの分解による追加的なドキソルビシンの形成が生じない)。特定の実施形態では、注射可能組成物に含まれる遊離のドキソルビシンは、希釈した0分後、室温で1.0%未満または1.1%未満である(例えば、乳酸リンゲル液中でおよび/またはDOXO−EMCH濃度2.4mg/mlにおいて)。特定の実施形態では、注射可能組成物に含まれる遊離のドキソルビシンは、希釈した30分後、室温で1.1%未満または1.3%未満である(例えば、乳酸リンゲル液中でおよび/またはDOXO−EMCH濃度2.4mg/mlにおいて)。特定の実施形態では、注射可能組成物に含まれる遊離のドキソルビシンは、希釈した60分後、室温で1.3%未満または1.5%未満である(例えば、乳酸リンゲル液中でおよび/またはDOXO−EMCH濃度2.4mg/mlにおいて)。特定の実施形態では、注射可能組成物に含まれる遊離のドキソルビシンは、90分後、室温で1.7%未満である(例えば、乳酸リンゲル液中でおよび/またはDOXO−EMCH濃度2.4mg/mlにおいて)。特定の実施形態では、注射可能組成物に含まれる遊離のドキソルビシンは、120分後、室温で1.9%未満または2.1%未満である(例えば、乳酸リンゲル液中でおよび/またはDOXO−EMCH濃度2.4mg/mlにおいて)。特定の実施形態では、注射可能組成物に含まれる遊離のドキソルビシンは、希釈した150分後、室温で2.3%未満である(例えば、乳酸リンゲル液中でおよび/またはDOXO−EMCH濃度2.4mg/mlにおいて)。特定の実施形態では、注射可能組成物に含まれる遊離のドキソルビシンは、希釈した240分後、室温で3.4%未満である(例えば、乳酸リンゲル液中でおよび/またはDOXO−EMCH濃度2.4mg/mlにおいて)。
ある特定の実施形態では、注射可能組成物に含まれるDOXO−EMCHは96.0%超である(例えば、室温で、かつ/または2.4mg/mlのDOXO−EMCHにおいて、かつ/または乳酸リンゲル液で希釈した場合)。特定の実施形態では、注射可能組成物に含まれるDOXO−EMCHは、96.1%超、96.2%超、96.3%超、96.4%超、96.5%超、96.6%超、96.7%超、96.8%超、96.9%超、97.0%超、97.1%超、97.2%超、97.3%超、97.4%超、97.5%超、97.6%超、97.7%超、97.8%超、97.9%超、98.0%超、98.1%超、98.2%超、98.3%超、98.4%超、98.5%超、98.6%超、98.7%超、98.8%超、98.9%超、99.0%超、99.1%超、99.2%超、99.3%超、99.4%超、99.5%超、99.6%超、99.7%超、99.8%超、99.9%超、または100.0%である。一部の実施形態では、再構成製剤において、DOXO−EMCHの再構成後、室温で、5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、65分、70分、75分、80分、85分、90分、95分、100分、105分、110分、115分、または120分あるいはそれより長くにわたって、これらのDOXO−EMCHの量が維持される(すなわち、分解される追加的なDOXO−EMCHはない(例えば、遊離のドキソルビシンに))。一部の実施形態では、再構成製剤において、DOXO−EMCHの再構成後、室温で2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間、6時間、6.5時間、7時間、7.5時間、8時間、8.5時間、9時間、9.5時間、10時間、10.5時間、11時間、11.5時間、または12時間あるいはそれより長くにわたって、これらのDOXO−EMCHの量が維持される(すなわち、分解される追加的なDOXO−EMCHはない(例えば、遊離のドキソルビシンに))。
賦形剤
一部の実施形態では、本発明の再構成製剤または注射可能組成物中に1種または複数の賦形剤を含めることが有益であり得る。いずれか1種の賦形剤の選択が他のいずれかの賦形剤の選択に影響を及ぼす可能性があることが当業者には理解されよう。例えば、特定の賦形剤の選択により、賦形剤の組合せによって望ましくない影響が生じると思われることが原因で1種または複数の追加的な賦形剤の使用が妨げられる可能性がある。当業者は、もしあれば、どの賦形剤を本発明の製剤または組成物中に含めるかを経験的に決定することができよう。本発明の賦形剤として、共溶媒、可溶化剤、緩衝剤、pH調整剤、増量剤、界面活性物質、カプセル封入剤、張度調整剤、安定化剤、保護剤、および粘度調整剤(viscosity modifier)が挙げられ得るが、これだけに限定されない。一部の実施形態では、本発明の組成物および製剤中に薬学的に許容される担体を含めることが有益であり得る。
可溶化剤
一部の実施形態では、本発明の製剤または組成物中に可溶化剤を含めることが有益であり得る。可溶化剤は、アントラサイクリン化合物(例えば、DOXO−EMCH)または賦形剤を含めた製剤または組成物の構成成分のいずれかの溶解性を増大させるために有用であり得る。本明細書に記載されている可溶化剤は、網羅的な一覧を構成するものではなく、単に、本発明の製剤または組成物に使用することができる可溶化剤の具体例として提供される。ある特定の実施形態では、可溶化剤として、エチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、および任意の薬学的に許容される塩および/またはこれらの組合せが挙げられるが、これだけに限定されない。
緩衝液
本発明の再構成製剤および注射可能組成物のpHは、製剤または組成物に望ましい特性をもたらす任意のpHであってよい。望ましい特性は、例えば、アントラサイクリン化合物(例えば、DOXO−EMCH)の安定性、他のpHの組成物と比較して増大したアントラサイクリン化合物の保持、および改善された濾過効率を含み得る。一部の実施形態では、本発明の再構成製剤および注射可能組成物のpHは約3.0から約9.0まで、例えば、約5.0から約7.0までであり得る。特定の実施形態では、本発明の再構成製剤および注射可能組成物のpHは、5.5±0.1、5.6±0.1、5.7±0.1、5.8±0.1、5.9±0.1、6.0±0.1、6.1±0.1、6.2±0.1、6.3±0.1、6.4±0.1、または6.5±0.1であり得る。
一部の実施形態では、組成物中に1種または複数の緩衝剤を含めることによってpHを緩衝することが有益であり得る。ある特定の実施形態では、緩衝剤のpKaは、例えば、約5.5、約6.0、または約6.5であり得る。適切な緩衝剤を、本発明の組成物中に含めるために、そのpKaおよび他の特性に基づいて選択することができることが当業者には理解されよう。緩衝剤は当技術分野で周知である。したがって、本明細書に記載されている緩衝剤は、網羅的な一覧を構成するものではなく、単に、本発明の製剤または組成物に使用することができる緩衝剤の具体例として提供される。ある特定の実施形態では、緩衝剤として、Tris、Tris HCl、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、リン酸ナトリウムとリン酸カリウムとの組合せ、Tris/Tris HCl、炭酸水素ナトリウム、アルギニンリン酸塩、アルギニン塩酸塩、ヒスチジン塩酸塩、カコジル酸塩、コハク酸塩、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、マレイン酸塩、ビス−トリス、リン酸塩、炭酸塩、および任意の薬学的に許容される塩および/またはこれらの組合せが挙げられるが、これだけに限定されない。
pH調整剤
一部の実施形態では、本発明の組成物中にpH調整剤を含めることによって再構成製剤および注射可能組成物のpHを調整することが有益であり得る。製剤または組成物のpHを改変することは、例えば、アントラサイクリン化合物の安定性もしくは溶解性に対して、有益な影響を及ぼし得る、または、非経口投与に適した製剤または組成物の作製において有用であり得る。pH調整剤は当技術分野で周知である。したがって、本明細書に記載されているpH調整剤は、網羅的な一覧を構成するものではなく、単に、本発明の製剤または組成物に使用することができるpH調整剤の具体例として提供される。pH調整剤は、例えば、酸および塩基を含んでよい。一部の実施形態では、pH調整剤として、酢酸、塩酸、リン酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、およびこれらの組合せが挙げられるが、これだけに限定されない。
増量剤
一部の実施形態では、本発明の再構成製剤および注射可能組成物中に増量剤を含めることが有益であり得る。増量剤は、組成物に付加的な体積をもたらすため、および、組成物の可視化を補助するために(特に、そうでなければ凍結乾燥ペレットを見ることが難しい例において)、凍結乾燥組成物に一般に使用される。また、増量剤は、医薬組成物の活性構成成分(複数可)の吹き飛びの予防、および/または組成物の凍結保護の補助に役立ち得る。増量剤は当技術分野で周知である。したがって、本明細書に記載されている増量剤は、網羅的な一覧を構成するものではなく、単に、本発明の製剤または組成物に使用することができる増量剤の具体例として提供される。
増量剤の具体例は、炭水化物、単糖、二糖、多糖、糖アルコール、アミノ酸、および糖酸、ならびにこれらの組合せを含み得る。炭水化物増量剤として、モノ炭水化物、ジ炭水化物、またはポリ炭水化物、デンプン、アルドース、ケトース、アミノ糖、グリセルアルデヒド、アラビノース、リキソース、ペントース、リボース、キシロース、ガラクトース、グルコース、ヘキソース、イドース、マンノース、タロース、ヘプトース、グルコース、フルクトース、メチルa−D−グルコピラノシド、マルトース、ラクトン、ソルボース、エリトロース、トレオース、アラビノース、アロース、アルトロース、グロース、イドース、タロース、エリトルロース、リブロース、キシルロース、プシコース、タガトース、グルコサミン、ガラクトサミン、アラビナン、フルクタン、フカン、ガラクタン、ガラクツロナン、グルカン、マンナン、キシラン、イヌリン、レバン、フコイダン、カラギーナン、ガラクトカロロース、ペクチン、アミロース、プルラン、グリコーゲン、アミロペクチン、セルロース、プスツラン、キチン、アガロース、ケラチン、コンドロイチン、デルマタン、ヒアルロン酸、キサンチンゴム、スクロース、トレハロース、デキストラン、およびラクトースが挙げられるが、これだけに限定されない。糖アルコール増量剤として、アルジトール、イノシトール、ソルビトール、およびマンニトールが挙げられるが、これだけに限定されない。アミノ酸増量剤として、グリシン、ヒスチジン、およびプロリンが挙げられるが、これだけに限定されない。糖酸増量剤として、アルドン酸、ウロン酸、アルダル酸、グルコン酸、イソアスコルビン酸、アスコルビン酸、グルカル酸、グルクロン酸、グルコン酸、グルカル酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸、ノイラミン酸、ペクチン酸、およびアルギン酸が挙げられるが、これだけに限定されない。
界面活性物質
一部の実施形態では、本発明の再構成製剤および注射可能組成物中に界面活性物質を含めることが有益であり得る。界面活性物質により、一般に、液体組成物の表面張力が低下する。これにより、改善された濾過の容易さなどの有益な特性がもたらされ得る。界面活性物質は、乳化剤(emulsifying agent)および/または可溶化剤としての機能も果たし得る。界面活性物質は当技術分野で周知である。したがって、本明細書に記載されている界面活性物質は、網羅的な一覧を構成するものではなく、単に、本発明の製剤または組成物に使用することができる界面活性物質の具体例として提供される。含めることができる界面活性物質として、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20およびポリソルベート80)などのソルビタンエステル、リポ多糖、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400およびPEG3000)、ポロキサマー(すなわち、プルロニック)、エチレンオキシドおよびポリエチレンオキシド(例えば、トリトンX−100)、サポニン、リン脂質(例えば、レシチン)、およびこれらの組合せが挙げられるが、これだけに限定されない。
カプセル封入剤
一部の実施形態では、本発明の再構成製剤および注射可能組成物中にカプセル封入剤を含めることが有益であり得る。カプセル封入剤により、分子を隔離し、その安定化または可溶化を助けることができる。カプセル封入剤は当技術分野で周知である。したがって、本明細書に記載されているカプセル封入剤は、網羅的な一覧を構成するものではなく、単に、本発明の製剤または組成物に使用することができるカプセル封入剤の具体例として提供される。組成物に含めることができるカプセル封入剤として、ジメチル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、およびトリメチル−β−シクロデキストリン、ならびにこれらの組合せが挙げられるが、これだけに限定されない。
張度調整剤
一部の実施形態では、本発明の再構成製剤および注射可能組成物中に張度調整剤を含めることが有益であり得る。液体組成物の張度は、組成物を患者に投与する場合(例えば非経口投与によって)に、重要な考慮事項である。したがって、張度調整剤を使用して、投与に適した製剤または組成物の作製を助けることができる。張度調整剤は当技術分野で周知である。したがって、本明細書に記載されている張度調整剤は、網羅的な一覧を構成するものではなく、単に、本発明の製剤または組成物に使用することができる張度調整剤の具体例として提供される。張度調整剤はイオン性であっても非イオン性であってもよく、無機塩、アミノ酸、炭水化物、糖、糖アルコール、および炭水化物が挙げられるが、これだけに限定されない。無機塩の具体例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、および硫酸カリウムを含み得る。アミノ酸の具体例はグリシンである。糖の具体例は、グリセロール、プロピレングリコール、グルコース、スクロース、ラクトース、およびマンニトールなどの糖アルコールを含み得る。
安定化剤
一部の実施形態では、本発明の再構成製剤および注射可能組成物中に安定化剤を含めることが有益であり得る。安定化剤は本発明の組成物中のアントラサイクリン化合物の安定性を増大させるのに役立つ。これは、例えば、アントラサイクリン化合物の分解が減少すること、または凝集が防止されることによって起こり得る。理論に束縛されることを望むものではないが、安定性を増強する機構としては、アントラサイクリン化合物を溶媒から隔離すること、またはアントラサイクリン化合物のフリーラジカルによる酸化を阻害することが含まれ得る。安定化剤は当技術分野で周知である。したがって、本明細書に記載されている安定化剤は、網羅的な一覧を構成するものではなく、単に、本発明の製剤または組成物に使用することができる安定化剤の具体例として提供される。安定化剤として、乳化剤(emulsifier)および界面活性物質が挙げられ得るが、これだけに限定されない。
保護剤
一部の実施形態では、本発明の再構成製剤および注射可能組成物中に保護剤を含めることが有益であり得る。保護剤は、薬学的に活性な成分(例えば、アントラサイクリン化合物)を望ましくない状態(例えば、凍結もしくは凍結乾燥または酸化によって引き起こされる不安定性)から保護する薬剤である。保護剤として、例えば、凍結保護剤、凍結乾燥保護剤(lyoprotectant)、および抗酸化剤が挙げられ得る。凍結保護剤は、製剤がその凝固点を下回る温度に曝露された際に、活性医薬成分(例えば、アントラサイクリン化合物)の効力の消失を予防することに有用である。例えば、本発明の再構成された凍結乾燥製剤に凍結保護剤を含めることができ、したがって、製剤を、静脈内(IV)投与のために希釈する前に凍結させることができた。凍結保護剤は当技術分野で周知である。したがって、本明細書に記載されている凍結保護剤は、網羅的な一覧を構成するものではなく、単に、本発明の製剤または組成物に使用することができる凍結保護剤の具体例として提供される。凍結保護剤として、溶媒、界面活性物質、カプセル封入剤、安定化剤、粘度調整剤、およびこれらの組合せが挙げられるが、これだけに限定されない。凍結保護剤として、例えば、二糖(例えば、スクロース、ラクトース、マルトース、およびトレハロース)、ポリオール(例えば、グリセロール、マンニトール、ソルビトール、およびズルシトール)、グリコール(例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール)が挙げられ得る。
凍結乾燥保護剤は、凍結乾燥製剤または組成物の構成成分を安定化することに有用である。例えば、アントラサイクリン化合物を、再構成前に凍結乾燥保護剤と一緒に凍結乾燥することができた。凍結乾燥保護剤は当技術分野で周知である。したがって、本明細書に記載されている凍結乾燥保護剤は、網羅的な一覧を構成するものではなく、単に、本発明の製剤または組成物に使用することができる凍結乾燥保護剤の具体例として提供される。凍結乾燥保護剤として、溶媒、界面活性物質、カプセル封入剤、安定化剤、粘度調整剤、およびこれらの組合せが挙げられるが、これだけに限定されない。凍結乾燥保護剤の具体例は、例えば、糖およびポリオールであり得る。凍結乾燥保護剤の非限定的な例は、トレハロース、スクロース、デキストラン、およびヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリンである。
抗酸化剤は、製剤または組成物の構成成分の酸化を予防するのに有用である。酸化により、医薬製品の凝集または医薬製品の純度もしくはその効力に対する他の有害な影響が生じる可能性がある。抗酸化剤は当技術分野で周知である。したがって、本明細書に記載されている抗酸化剤は、網羅的な一覧を構成するものではなく、単に、本発明の製剤または組成物に使用することができる抗酸化剤の具体例として提供される。抗酸化剤は、例えば、アスコルビン酸ナトリウム、クエン酸塩、チオール、メタ重亜硫酸塩、およびこれらの組合せであってよい。
粘度調整剤
一部の実施形態では、本発明の再構成製剤および注射可能組成物中に粘度調整剤(viscocity modifying agent)を含めることが有益であり得る。粘度調整剤は、本発明の液体製剤または組成物の粘度を変えるものである。これは、粘度が液体組成物の濾過の容易さにおいて重要な役割を果たすので、有益であり得る。本発明の再構成製剤を凍結乾燥および再構成の前、または再構成の後に濾過することができる。粘度調整剤は当技術分野で周知である。したがって、本明細書に記載されている粘度調整剤は、網羅的な一覧を構成するものではなく、単に、本発明の製剤または組成物に使用することができる粘度調整剤の具体例として提供される。粘度調整剤としては、溶媒、可溶化剤、界面活性物質、およびカプセル封入剤が挙げられる。組成物に含めることができる粘度調整剤の具体例は、N−アセチル−DL−トリプトファンおよびN−アセチル−システインを含むが、これだけに限定されない。
疾患および/または状態の処置
本明細書において提供される再構成製剤および注射可能組成物は、種々の臨床的適用に有用である。アントラサイクリンは、がんの処置において有用である。例えば、ドキソルビシンはインターカレート剤ならびにトポイソメラーゼII阻害剤であり、腫瘍細胞などの急速に分裂している細胞を優先的に死滅させる。DOXO−EMCHは、固形腫瘍ならびに血液悪性腫瘍を処置するために使用することができるアントラサイクリン化合物である。DOXO−EMCHはアルブミンと共有結合することによって作用し、その際、アルブミンのシステイン−34の遊離のチオールとDOXO−EMCHマレイミドがMichael攻撃によって結合する。次いで、DOXO−EMCH−アルブミンコンジュゲートは腫瘍に到達するまで血流中を循環し、そこで、腫瘍内のpHがより低いことにより、ドキソルビシンとEMCH部分との間のヒドラゾン結合が切断され、それにより、ドキソルビシンが放出されると考えられる。
本発明の再構成製剤および注射可能組成物は、種々の疾患または状態を処置するために投与することもでき、種々の疾患または状態を処置するための医薬の製造に使用することもできる。処置することができるがんの具体例としては、以下の非限定的な例が挙げられる:固形腫瘍がん、乳がん、肺がん、子宮体がん、卵巣がん、膵がん、副腎皮質のがん、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、カポジ肉腫、ユーイング肉腫、軟部肉腫、腎芽腫、神経膠芽腫、前立腺がん、肝がん、骨がん、軟骨肉腫、腎がん、膀胱がん、および胃がん。ある特定の実施形態では、がんは固形腫瘍がんおよび軟部肉腫から選択される。特定の実施形態では、膵がんは膵管腺がんである。
注射可能組成物の投与
本明細書に記載されている通り、本発明の注射可能組成物は、非経口投与に適している。これらの組成物は、例えば、腹腔内、静脈内、またはくも膜下腔内に投与することができる。本発明のアントラサイクリン化合物の製剤または組成物を投与する方法は、処置される患者の年齢、体重、および健康状態、ならびに処置される疾患または状態などの因子に左右されることが当業者には理解されよう。したがって、当業者は、患者にとって最適な投与方法を個々の場合に応じて選択することができよう。
アントラサイクリン化合物製剤の調製および使用
一部の実施形態では、本発明の再構成製剤または注射可能組成物は、がんを処置するための医薬の製造において使用することができる。一部の実施形態では、本発明の再構成製剤は、凍結乾燥アントラサイクリン化合物組成物を、エタノールおよび水を含む再構成液剤で再構成することによって調製することができる。そのような再構成は、再構成液剤を添加し、混合すること(例えば、混合物を旋回させることまたはボルテックスすることによって)を含んでよい。次いで、乳酸リンゲル液を製剤と混合して注射可能組成物を創製することによって再構成製剤を注射に適したものにすることができる。
アントラサイクリン化合物組成物の安定性
本発明の再構成製剤および注射可能組成物の重要な因子は、組成物中に存在するアントラサイクリン化合物の安定性である。例えば、溶液中でDOXO−EMCHからドキソルビシンおよびEMCHへの分解が起こることが分かっている。したがって、本発明のアントラサイクリン化合物の安定性について試験することが重要である(例えばHPLCによって)。安定性は、試料中のアントラサイクリン化合物(例えば、DOXO−EMCH)またはその分解生成物(例えば、ドキソルビシン)の量を2つまたはそれより多くの時点で測定し、その量を比較することによって測定することができる。本発明のアントラサイクリン化合物(例えば、DOXO−EMCH)が由来する親アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン)が存在することにより、本発明のアントラサイクリン化合物の不安定性が示される。同様に、アントラサイクリン化合物の凝集によっても、不安定性が示される。一部の実施形態では、第2の時点における未分解のアントラサイクリン化合物の量が、第1の時点における未分解のアントラサイクリン化合物の量の約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%である場合、組成物は安定である。一部の実施形態では、第2の時点における未分解のアントラサイクリン化合物の量が、第1の時点における未分解のアントラサイクリン化合物の量の少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%である場合、組成物は安定である。
一部の実施形態では、再構成製剤または注射可能組成物は、約−80℃から約30℃までの温度で保管した場合、例えば、約−80℃から約−70℃まで、約−25℃から約−15℃まで、約0℃から約10℃まで、約2℃から約8℃まで、約15℃から約30℃まで、または約20℃から約30℃までの温度で保管した場合に安定である。温度の具体例は、−85.0±1.0℃、−84.0±1.0℃、−83.0±1.0℃、−82.0±1.0℃、−81.0±1.0℃、−80.0±1.0℃、−79.0±1.0℃、−78.0±1.0℃、−77.0±1.0℃、−76.0±1.0℃、−75.0±1.0℃、−74.0±1.0℃、−73.0±1.0℃、−72.0±1.0℃、−71.0±1.0℃、−70.0±1.0℃、−69.0±1.0℃、−68.0±1.0℃、−67.0±1.0℃、−66.0±1.0℃、および−65.0±1.0℃を含むが、これだけに限定されない。温度の別の具体例は、−25.0±1.0℃、−24.0±1.0℃、−23.0±1.0℃、−22.0±1.0℃、−21.0±1.0℃、−20.0±1.0℃、−19.0±1.0℃、−18.0±1.0℃、−17.0±1.0℃、−16.0±1.0℃、および−15.0±1.0℃を含む。温度のさらに別の具体例は、0.0±1.0℃、0.5±1.0℃、1.0±1.0℃、1.5±1.0℃、2.0±1.0℃、2.5±1.0℃、3.0±1.0℃、3.5±1.0℃、4.0±1.0℃、4.5±1.0℃、5.0±1.0℃、5.5±1.0℃、6.0±1.0℃、6.5±1.0℃、7.0±1.0℃、7.5±1.0℃、および8.0±1.0℃を含む。温度の追加的な具体例は、20.0±1.0℃、21.0±1.0℃、22.0±1.0℃、23.0±1.0℃、24.0±1.0℃、25.0±1.0℃、26.0±1.0℃、27.0±1.0℃、28.0±1.0℃、29.0±1.0℃、および30.0±1.0℃を含む。
一部の実施形態では、約−80℃から約30℃まで、例えば、約−80℃から約0℃まで、約−80℃から約−10℃まで、または約−30℃から約−10℃までの温度で保管した場合に、再構成製剤または注射可能組成物は安定である。温度の具体例は、−30.0±1.0℃、−29.0±1.0℃、28.0±1.0℃、−27.0±1.0℃、−26.0±1.0℃、−25.0±1.0℃、−24.0±1.0℃、−23.0±1.0℃、−22.0±1.0℃、−21.0±1.0℃、−20.0±1.0℃、−19.0±1.0℃、−18.0±1.0℃、−17.0±1.0℃、−16.0±1.0℃、−15.0±1.0℃、−14.0±1.0℃、−13.0±1.0℃、−12.0±1.0℃、−11.0±1.0℃、および−10.0±1.0℃を含むが、これだけに限定されない。一部の実施形態では、再構成製剤または注射可能組成物は、約−5℃から約10℃まで、または約2℃から約8℃までの温度で保管した場合に安定である。温度の具体例は、2.0±1.0℃、3.0±1.0℃、4.0±1.0℃、5.0±1.0℃、6.0±1.0℃、7.0±1.0℃、および8.0±1.0℃を含むが、これだけに限定されない。一部の実施形態では、再構成製剤または注射可能組成物は、約10℃から約35℃までの温度で保管した場合、例えば、約15℃から約30℃まで、約18℃から約30℃まで、または約20℃から約30℃までの温度で保管した場合に安定である。温度の具体例は、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、および約30℃を含むが、これだけに限定されない。
アントラサイクリン化合物(例えば、DOXO−EMCH)の安定性を当技術分野で公知の技法を使用して(例えば、HPLCによって)どのように試験するかは当業者には分かるであろう。
変更および改変
当業者には、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載されている事項の変更、改変、および他の実行が想起されよう。したがって、本発明は、前述の例示的な説明にのみ限定されるものではない。本明細書に記載されている実施形態を含めた、本発明で使用することができる追加的な例示的特徴に関しては、そのそれぞれの全体が参照によって組み込まれる、本明細書において列挙されている文書(例えば、米国特許第7,387,771号および同第7,902,144号および米国特許出願第12/619,161号)を参照されたい。
本発明の実施形態のそれぞれは、1つまたは複数の本発明の他の実施形態と個別に組み合わせてもよいし、またはそれらの組み合わせと組み合わせてもよい。
例証
ここで本発明の態様が一般に記載されており、これらは、単に本発明のある特定の特徴および実施形態を例示するために含まれ限定的なものではない以下の実施例を参照することによってより容易に理解されよう。
等価物
当業者は、本明細書に記載されている化合物、組成物、およびその使用方法に対する多数の等価物を理解する、または常套的な実験だけを使用してそれを確認することができる。そのような等価物は、本発明の範囲内に入るとみなされる。
本出願全体で引用された全ての参考文献、特許および公開特許出願の内容ならびにそれらの関連する図面は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
分析方法論
溶液中でのDOXO−EMCHの挙動を分析するために、DOXO−EMCHおよび種々の不純物ならびに分解生成物を定量化するための逆相(RP)HPLC法を利用した。試料(注入量1.0μL)を、毎分0.3mLの流速でPhenomenex Gemini C18カラム、100×2.0mm、3μmに適合させたHPLC系においてアッセイした。使用した移動相は酢酸/アセトニトリル勾配であった。分解生成物EMCHは、上記のHPLC法を使用して検出することができず、したがって、液体クロマトグラフィー−質量分析(LC−MS)法を使用して決定した。
(実施例1)
DOXO−EMCH安定性に対するpHの影響を検査するために試験を実施した。これらの試験では、3〜5時間にわたってドキソルビシンが3%未満であるという基準をDOXO−EMCHの安定性の目標として設定した。全体的に見れば、室温におけるDOXO−EMCHからのドキソルビシンおよびEMCHへの分解を測定するために試験を設計した。ドキソルビシンを出発DOXO−EMCH材料に対する百分率として測定した。表4〜6には、pH安定性試験の結果が列挙されている。溶解性の問題に起因して、本試験の、緩衝液により制御されたpH部分は、pH5.0、5.5、6.0および7.0では完了できなかった。以下の結果は、低濃度(2.0mg/mL)でDI水に溶解させたDOXO−EMCHおよび高濃度(20.0mg/mL)でDI水に溶解させたDOXO−EMCH、ならびに低濃度でpH4.0のリン酸クエン酸緩衝液に溶解させたDOXO−EMCHについてのものである。要約すると、いずれの条件も、3〜5時間の期間にわたってドキソルビシンHClが3%未満であるという目標に適わなかった。低濃度DOXO−EMCHは、高濃度DOXO−EMCHよりもDI水中で安定であった(表4および表5)。pH4.0のリン酸クエン酸緩衝液に溶解させたDOXO−EMCHは非常に不安定であり、これは、おそらくこの分子の約4.5未満のpH値での崩壊の結果であった(表6)。
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追加的な試験を実施して、手動のpH調整を伴う、DI水に溶解させたDOXO−EMCHの安定性に関するデータを得た。DI水に溶解させたDOXO−EMCH溶液(約2.0mg/mL)の最初のpHは5.4であった。30分の間隔でこのDOXO−EMCH溶液のpHを確認し、そして0.1NのNaOH溶液を滴下添加することによってpHを約6.1に調整した。その結果は、3〜5時間にわたってドキソルビシンが3%未満であるという目標に適わなかったが(表7)、ドキソルビシンWt%は、pH調整を伴わない試験におけるものよりも6時間の期間にわたって低かった。
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(実施例2)
使用時点でのDOXO−EMCHの安定性に関するベースラインデータを得るために、候補静脈内(IV)バッグ溶液と組み合わせた場合のDOXO−EMCHの分解を決定するための試験を設計した。水中デキストロース5%(D5W)、乳酸リンゲル(LR)および塩化ナトリウム溶液0.9%(通常の生理食塩水;NS)を含むIVバッグ溶液を使用した。DOXO−EMCH活性医薬成分(API)100mgをIVバッグ溶液50mLに溶解させ、DOXO−EMCH APIの濃度を約2mg/mLにした。次いで、APIを含有するIVバッグ溶液をガラスバイアルに分注した。このバイアルを安定性チャンバー内、25℃で実験期間中保管した。IVバッグ安定性試験の開始前に、全てのIVバッグ溶液を、pHと、DOXO−EMCHに干渉するあらゆるピーク、または対象のあらゆる分解ピークの存在とについて試験した。0時間、2時間、4時間および6時間の時間をおいて試料を引き抜き、pHについて試験し、そしてHPLCによって2回反復で試験した。
以下の表8〜10には、0.9%NaCl、D5W、および乳酸リンゲル液を使用したIVバッグ試験についての結果が列挙されている。要約すると、0.9%NaClおよび乳酸リンゲル液は、3〜5時間にわたってドキソルビシンが3%未満であるという目標に適った。しかし、DOXO−EMCHは、0.9%NaCl中または乳酸リンゲル中で完全には可溶性でなかった。その試料は不透明であり、沈殿した材料は2時間の期間にわたって可視的に沈降した。対照的に、DOXO−EMCHは、エタノール:水中で完全に可溶性であり、驚いたことに、直ちに(例えば、1分たたないうちに)溶液になった。HPLCアッセイのために各試料の希釈の前に試料を十分に混合したが、、これらの試料の不均一性が、これらの2種のIVバッグ溶液についてのDOXO−EMCH回収率の値に反映されている。D5W溶液は、透明な赤色の溶液を形成し、これは、DOXO−EMCHはD5W中で完全に可溶性であったことを示すが、6時間にわたって有意なDOXO−EMCHの分解およびドキソルビシンの形成もまたあった(表9)。D5WのpHは、試験した全てのIVバッグ溶液の中で最低であった。
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(実施例3)
NS、LR、およびD5Wに溶解させた場合のDOXO−EMCHの特性に関する予備情報が確立したので、(1)再構成の際の選択された希釈剤中でのDOXO−EMCHの溶解性および安定性、ならびに(2)種々のIV混和物のその後の安定性を評価するために追跡試験を設計した。希釈剤には注射可能滅菌水(SWFI)、乳酸リンゲル液(LR)、および50%(v/v)エタノール/SWFIが含まれた。この試験は、凍結乾燥DOXO−EMCHが、上記の希釈剤の少なくとも1種の中において10mg/mLで完全に可溶性であるかどうか、および最大20分にわたって安定であるかどうかを決定するための第1部と;最終的なDOXO−EMCH濃度およそ2.4mg/mLでのLR混和物の安定性を決定するための第2部との2部で行った。
SWFI、LR、および50%(v/v)エタノール/SWFI中に再構成した、凍結乾燥DOXO−EMCHの溶解性および安定性を評価する試験を、標的DOXO−EMCH濃度10mg/mLを使用して行った。10mg/mL濃度を得るために、凍結乾燥DOXO−EMCH200mgを含有するバイアルに希釈剤20mLを添加し、バイアルを穏やかに旋回させて内容物を溶解させ、均一な混合物を得た。試料を混合し、a)およそ30秒、b)およそ60秒、およびc)120秒、次いで合計10分に至るまでにわたって透明な溶液への完全な再構成について視覚的に検査した。視覚的に透明になるまでに120秒超が必要であった場合には、バイアルを最大10分に至るまで断続的に旋回した場合があった。各試験について2回反復のバイアルを調製した。各バイアルを、再構成希釈剤の添加の10分後および20分後に、再構成された溶液の視覚的な外観について評価し、また、DOXO−EMCH含有量、ドキソルビシン含有量、および溶液のpHを決定するためにこれらの時点で試料採取した。所与の希釈剤により、環境条件で20分後にバイアル内容物の許容される可溶化および安定性がもたらされることが決定された場合、その希釈剤は、試験の第2部に直接進めた。
IV混和物安定性試験を、第1部で適切であることが見いだされた再構成希釈剤を下で概説されている手順に従って使用するように設計した。簡単に述べると、およそ2.4mg/mLのDOXO−EMCHを含有するIV混和物溶液を調製するために、最終的な投与用のIV注入溶液バッグから再構成に必要な体積を取り出した。再構成に必要な体積のそれぞれの希釈剤を計り、凍結乾燥DOXO−EMCHのバイアルに移した。DOXO−EMCHおよび希釈剤のバイアルを穏やかに旋回させて、バイアル内容物を溶解させ、均一な混合物を得た。医薬製品の再構成された溶液を検査して、薬物が完全に溶解したこと、および外来物質が存在しないことを確実にした。この手順を、IV注入溶液中におけるDOXO−EMCHの算出された用量を調製するために必要なバイアルの総数について繰り返した。次いで、必要な体積の再構成DOXO−EMCH溶液を、医薬製品バイアルから適切なサイズのシリンジを使用して取り出し、IV注入(infution)溶液バッグに注射した。IV注入溶液バッグの内容物を徹底的に混合して均一な混合物を得た。次いで、IV注入バッグを室温で光から保護して保管した。
IV混和物試験を、まず、−20℃で保管した凍結乾燥DOXO−EMCH医薬製品200mgのバイアルを3つ取り出し、そのバイアルを室温にすることによって実施した。次に、DOXO−EMCH医薬製品のバイアル3つの再構成に必要な体積(10mg/mLに再構成される医薬製品については60mL)を、IV混和物を調製するために使用する注入溶液バッグからシリンジを使用して取り出した。バイアルのそれぞれを上記の通り再構成した。必要な体積の再構成希釈剤(20mL)を適切なプラスチックシリンジ中に針を使用して抜き取り、各バイアルの止め栓を通じて注射した。次いで、再構成されたバイアルを旋回させ、完全な再構成について視覚的に検査して透明な均一の溶液を形成させた。透明な均一の溶液が形成されるのに必要な時間を記録した。必要な体積(10mg/mLに構成された溶液20.0mL)を、再構成されたバイアルそれぞれから移して上記のIV混和物溶液250mLにした。簡単に述べると、必要な体積(10mg/mLに構成された溶液20.0mL)を、適切なプラスチックシリンジおよび針を使用して取り出し、必要な体積の構成された医薬製品を、適切なプラスチックシリンジおよび針を使用して3つのバイアルのそれぞれから移してIV混和物250mLにさせ、そしてこのIV混和物の内容物を完全に混合して、標的濃度およそ2.4mg/mLの均一な混合物を得た。構成された医薬製品を注射する前にIVバッグを秤量した。次いで、IV混和物注入バッグの内容物を、0分、60分、および120分、150分、および240分の時点で、溶液10.0mLだけ取り出し、冷却したHPLC法の希釈剤で希釈して0.24mg/mLの標的濃度を実現し、そしてHPLCに注射することによって分析した。各時点で2回反復の注射を行った。IV混和物およびHPLC分析のために調製した試料のpHも各時点で測定した。空のIVバッグを試験完了時に秤量して、各バッグ中の実際のIV混和物溶液体積を算出した。
再構成された溶液を、30秒混合するごとに色、透明性、およびバイアル中に不溶性材料が存在しないことについて評価した。再構成された医薬製品溶液をIVバッグに添加した後、生じたIV混和物を、混合したすぐ後、および各分析時点で色、透明性、および、いかなる不溶性材料も存在しないことについて評価した。分解生成物であるドキソルビシンの量(面積%)を各時点で決定した。
DOXO−EMCHを、まず、SWFIでの再構成について試験した。溶液は、SWFIと90〜120秒間混合した後、視覚的に透明に見えたが、わずかな溶解していない粒子がバイアル中に残っていた。表11に試験の結果が示されており、これにより、ドキソルビシンの平均百分率が2つの試験について、それぞれ、20分の時点で1.54%および1.27%であったことが実証された。対照的に、DOXO−EMCHをLRで再構成した場合には、20分の時点でのドキソルビシンの平均量はこれよりも低かった(2つの試験について0.97%および0.95%)(表12)。この溶液も同様に、120秒間混合した後、視覚的に透明に見えた。SWFIおよびLRのどちらにおいても、RRT1.02においてピークがゆっくりと形成された(示されていない)。このピークは、二量体の形態のDOXO−EMCHを含有することが示されている。最後に、DOXO−EMCHの50:50エタノール:水への再構成について試験する試験を実施した(表13)。20分の時点でのドキソルビシンの平均量(2つの試験について1.03%および1.05%)は、LRで再構成された医薬製品について見られたものと同様であり、その溶液は120秒間混合した後、視覚的に透明に見えた。
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次に、DOXO−EMCHを、SWFI、LR、または50:50エタノール/水で再構成した後のLR中での安定性について試験した。簡単に述べると、凍結乾燥DOXO−EMCHを、上記の希釈剤のそれぞれをおよそ10mg/mLの濃度で用いて再構成し、次いで、LRのIVバッグ250mLにさらに希釈して最終濃度をおよそ2.4mg/mLにした。このIVバッグを試験期間中環境温度で維持し、示されている時点で試料採取した。各試料についてDOXO−EMCHの分解(溶液のドキソルビシン含有量によって測定された)およびpHを決定した。SWFIで再構成し、LRで希釈したDOXO−EMCH医薬製品についての結果が表14に示されている。ドキソルビシン含有量は2時間の時点で約2.3%であった。pHはゼロ時間から2時間までに約0.4単位降下した(約6.1から約5.7に)。
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LRで再構成し、LRで希釈したDOXO−EMCH医薬製品を使用した2つの試験についての結果が表15および16に示されている。平均ドキソルビシン含有量は2時間の時点で約2.4%であった。2つの試験において、pHはゼロ時間から2時間までに0.2〜0.3単位降下した。
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50:50エタノール:水で再構成し、LRで希釈したDOXO−EMCH医薬製品を使用した2つの試験についての結果が表17および18に示されている。平均ドキソルビシン含有量は2時間の時点で2.0%であった。2つの試験において、pHはゼロ時間から2時間までに0.3〜0.4単位降下した。予想外に、この時点のpHは、SWFIで再構成したIV溶液およびLRで再構成したIV溶液(それぞれ5.7および平均5.8)よりも高かった(平均5.9)。
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要約すると、3種の希釈剤(SWFI、LR、および50:50エタノール/水)のいずれかで再構成した凍結乾燥DOXO−EMCH医薬製品を用いて調製したLR中DOXO−EMCHのIV溶液は、試験溶液中のドキソルビシン分解生成物の蓄積に基づいて、2時間もしくはそれより長くにわたって比較的安定であった。2時間の時点で、エタノール/水を再構成希釈剤として使用して調製したIV溶液で見られた分解は(2.0%ドキソルビシン)他の再構成希釈剤を使用して調製した溶液よりも(SWFIおよびLRについて、それぞれ2.3%および2.4%のドキソルビシン)少なかった。DOXO−EMCHの主要な分解経路は低pHにおける酸に不安定なリンカーの切断であるので、エタノール/水希釈剤の使用ではより高いpHがもたらされることが、その性能がより優れていることの説明になり得る。

Claims (37)

  1. アントラサイクリン化合物と、再構成液剤と、可溶化剤と、炭酸水素ナトリウムとを含む再構成製剤であって、該再構成製剤が、エタノールおよび水を含む再構成液剤中で凍結乾燥アントラサイクリン化合物を再構成することによって調製され、該再構成製剤が溶液であり、該アントラサイクリン化合物がDOXO−EMCHである、再構成製剤。
  2. エタノール:水の体積比が、約10:90〜約90:10である、請求項1に記載の再構成製剤。
  3. エタノール:水の体積比が、約40:60〜約60:40である、請求項2に記載の再構成製剤。
  4. エタノール:水の体積比が、約45:55〜約55:45である、請求項3に記載の再構成製剤。
  5. エタノール:水の体積比が約50:50である、請求項4に記載の再構成製剤。
  6. 前記再構成製剤中の前記アントラサイクリン化合物の濃度が、約1mg/ml〜約30mg/mlである、請求項1に記載の再構成製剤。
  7. 前記再構成製剤中の前記アントラサイクリン化合物の濃度が、約5mg/ml〜約25mg/mlである、請求項6に記載の再構成製剤。
  8. 前記再構成製剤中の前記アントラサイクリン化合物の濃度が、約10mg/mlである、請求項7に記載の再構成製剤。
  9. 前記可溶化剤が、t−ブチルアルコールである、請求項1に記載の再構成製剤。
  10. 請求項1に記載の再構成製剤と乳酸リンゲル液とを含む、アントラサイクリン化合物の注射可能組成物。
  11. 前記注射可能組成物中の前記アントラサイクリン化合物の濃度が、約0.1mg/ml〜約25mg/mlである、請求項10に記載の注射可能組成物。
  12. 前記注射可能組成物中の前記アントラサイクリン化合物の濃度が、約7mg/ml〜約17mg/mlである、請求項11に記載の注射可能組成物。
  13. 前記注射可能組成物中の前記アントラサイクリン化合物の濃度が、約0.1mg/ml〜約5mg/mlである、請求項1に記載の注射可能組成物。
  14. 前記注射可能組成物中の前記アントラサイクリン化合物の濃度が、約0.25mg/ml〜約4.5mg/mlである、請求項13に記載の注射可能組成物。
  15. 前記注射可能組成物中の前記アントラサイクリン化合物の濃度が、約2.4mg/mlである、請求項14に記載の注射可能組成物。
  16. 患者におけるがんを処置するための、請求項1に記載の再構成製剤であって、該再構成製剤が該患者に投与されることを特徴とする、再構成製剤。
  17. 前記再構成製剤が、静脈内投与されることを特徴とする、請求項16に記載の再構成製剤。
  18. 前記がんが、固形腫瘍がん、乳がん、肺がん、子宮体がん、卵巣がん、膵がん、副腎皮質のがん、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、カポジ肉腫、ユーイング肉腫、軟部肉腫、腎芽腫、神経膠芽腫、前立腺がん、肝がん、骨がん、軟骨肉腫、腎がん、膀胱がん、および胃がんから選択される、請求項16に記載の再構成製剤。
  19. 前記がんが、固形腫瘍がんおよび軟部肉腫から選択される、請求項18に記載の再構成製剤。
  20. 前記膵がんが膵管腺癌である、請求項18に記載の再構成製剤。
  21. 患者におけるがんを処置するための、請求項10に記載の注射可能組成物であって、該注射可能組成物が、該患者に投与されることを特徴とする、注射可能組成物。
  22. 前記注射可能組成物が、静脈内投与されることを特徴とする、請求項21に記載の注射可能組成物。
  23. 前記がんが、固形腫瘍がん、乳がん、肺がん、子宮体がん、卵巣がん、膵がん、副腎皮質のがん、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、カポジ肉腫、ユーイング肉腫、軟部肉腫、腎芽腫、神経膠芽腫、前立腺がん、肝がん、骨がん、軟骨肉腫、腎がん、膀胱がん、および胃がんから選択される、請求項21に記載の注射可能組成物。
  24. 前記がんが、固形腫瘍がんおよび軟部肉腫から選択される、請求項23に記載の注射可能組成物。
  25. 前記膵がんが膵管腺癌である、請求項23に記載の注射可能組成物。
  26. 請求項1に記載の再構成製剤を調製する方法であって、エタノールおよび水を含む再構成液剤中で凍結乾燥アントラサイクリン化合物を再構成することを含む、方法。
  27. エタノール:水の体積比が、約10:90〜約90:10である、請求項26に記載の方法。
  28. エタノール:水の体積比が、約40:60〜約60:4である、請求項27に記載の方法。
  29. エタノール:水の体積比が、約45:55〜約55:4である、請求項28に記載の方法。
  30. エタノール:水の体積比が約50:50である、請求項29に記載の方法。
  31. 前記再構成製剤中の前記アントラサイクリン化合物の濃度が、約1mg/ml〜約30mg/mlである、請求項26に記載の方法。
  32. 前記再構成製剤中の前記アントラサイクリン化合物の濃度が、約5mg/ml〜約25mg/mlである、請求項31に記載の方法。
  33. 前記再構成製剤中の前記アントラサイクリン化合物の濃度が、約10mg/mlである、請求項32に記載の方法。
  34. アントラサイクリン化合物の注射可能組成物を調製する方法であって、請求項1に記載の再構成製剤を乳酸リンゲル液で希釈することを含む、方法。
  35. 前記注射可能組成物中のアントラサイクリン化合物の濃度が、約1mg/ml〜約25mg/mlである、請求項34に記載の方法。
  36. 前記注射可能組成物中のアントラサイクリン化合物の濃度が、約1mg/ml〜約5mg/mlである、請求項35に記載の方法。
  37. 前記注射可能組成物中のアントラサイクリン化合物の濃度が、約7mg/ml〜約17mg/mlである、請求項3に記載の方法。
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