以下、適宜図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。尚、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
(第1の実施形態)
[ファイル管理システムの構成]
図1は、第1の実施形態におけるファイル管理システム100の構成例を示す模式図である。ファイル管理システム100は、PC(Personal Computer)10及びファイル管理サーバ20を備える。PC10及びファイル管理サーバ20は、ネットワーク50を介して接続される。PC10は、クライアント端末の一例である。
ネットワーク50は、有線ネットワークでもよいし、無線ネットワークでもよい。ネットワーク50は、公衆ネットワーク(例えばインターネット)でもよいし、専用ネットワーク(例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network))でもよい。
PC10は、例えば汎用のコンピュータであり、本実施形態のファイル管理に係るクライアント側の動作を行う。つまり、PC10は、ファイル管理に係るクライアント側のアプリケーション(クライアントアプリ)を実行する。ここでは、PC10として説明するが、ユーザが携帯可能なスマートフォン、タブレット端末、携帯情報端末、などでもよい。
ファイル管理サーバ20は、本実施形態のファイル管理に係るサーバ側の動作を行う。つまり、ファイル管理サーバ20は、ファイル管理に係るサーバ側のアプリケーション(サーバアプリ)を実行する。
尚、ここでは、ファイル管理サーバ20を1つのサーバとして説明するが、ファイル管理サーバ20は複数のサーバに分散されてもよい。例えば、同じ動作を行う複数のサーバが設けられてもよいし、機能毎に異なるサーバ(例えば後述するMAPに係る処理を行うMAPサーバ、後述する文書ファイルに係る処理を行うファイルサーバ)が設けられてもよい。また、ファイル管理サーバ20が有するストレージが独立して設けられ、ファイル管理サーバ20の他に、ストレージサーバ(例えば、後述するMAPファイルを保管するストレージ、後述する文書ファイル等を保管するストレージ)が設けられてもよい。尚、MAPファイルは、検索条件ファイルの一例である。
[PCの構成]
図2は、PC10の構成例を示すブロック図である。PC10は、通信デバイス11、プロセッサ12、メモリ13、ディスプレイ14、及び入力デバイス15を備える。
通信デバイス11は、例えば、ネットワーク50を介して他の通信装置(例えばファイル管理サーバ20)との間で各種データや各種ファイルを通信する。
プロセッサ12は、例えばCPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)を含む。プロセッサ12は、メモリ13に保持されたプログラム(例えばファイル管理プログラム、クライアントアプリ)を実行することで、PC10の動作を制御し、各種機能を実現する。各種機能は、例えば、MAP(マップ)編集機能、ラベル置換機能、絞り込み条件編集機能、検索条件設定機能、を含む。
プロセッサ12は、MAP編集機能により、ファイル管理サーバ20に蓄積された文書ファイルを検索するためのMAPファイルを生成する。尚、文書ファイルとは、文字の情報を含むファイルを広く含む。
プロセッサ12は、ラベル置換機能により、MAPファイルに含まれるノードのノード名となるラベル(キーワードともいう)を他のラベルに置換するための置換情報を生成する。
プロセッサ12は、絞り込み条件編集機能により、MAP上で選択されたノード(選択ノード)に基づいて、ファイル検索時の検索条件に含めるか否かを設定する。尚、絞り込み条件編集機能は、MAPファイルの生成時に行われてもよいし、ファイル検索時に行われてもよい。よって、検索条件の候補がMAP(後述する接続ライン付きMAP)により定まり、この検索条件の候補を基に、ラベルの置換情報や検索条件の編集情報により、検索条件が定まる。
プロセッサ12は、検索条件設定機能により、ファイル管理サーバ200と連動して、例えばMAP画面の表示やMAP画面でのノード選択に応じて、文書ファイルを検索するための検索条件を設定する。
メモリ13は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の一次記憶装置を含む。また、メモリ13は、HDD(Hard Disk Memory)、SSD(Solid State Drive)、等の2次記憶装置を含んでもよい。また、メモリ13は、USBメモリやSDカード等の三次記憶装置を含んでもよい。
ディスプレイ14は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electroluminescence)ディスプレイを含み、各種データ、ファイル、画像、等を表示する。また、ディスプレイ14は、各種編集画面を表示する。また、ディスプレイ14は、出力デバイスの1つであるが、出力デバイスとして音声出力するためのスピーカが設けられてもよい。
入力デバイス15は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、マイクロホン、カメラ、スキャナを含む。例えば、入力デバイス15としてのスキャナを設けることで、紙ベースの資料を画像ファイルとして取込み、OCR機能により文字情報として認識可能な文書ファイルに変換し、ファイル管理サーバ20に蓄積し、必要時に容易にファイル検索でできる。
[ファイル管理サーバの構成]
図3は、ファイル管理サーバ20の構成例を示すブロック図である。ファイル管理サーバ20は、通信デバイス21、プロセッサ22、及びメモリ23を備える。
通信デバイス21は、例えば、ネットワーク50を介して他の通信装置(例えばPC10)との間で各種データや各種ファイルを通信する。
プロセッサ22は、例えばCPUやDSPを含む。プロセッサ22は、メモリ23に保持されたプログラム(例えばファイル管理プログラム、サーバアプリ)を実行することで、ファイル管理サーバ20の動作を制御し、各種機能を実現する。各種機能は、例えば、OCR(Optical Character Recognition:光学文字認識)機能、キーワード抽出機能、キーワード付き文書ファイル生成機能、リンク付け機能、文書ファイル検索機能、を含む。
プロセッサ22は、OCR機能により、文字情報を含む画像ファイル(PDFファイル)としての文書ファイルに対して、文字認識処理し、文字情報(テキスト情報)を取得する。文書ファイルは、例えば、文書表示用ソフトウェアで作成された文書表示ファイル、文書作成用ソフトウェアで作成された文書作成ファイル、表計算用ソフトウェアで作成された表計算ファイル、テキスト作成用ソフトウェアで作成されたテキストファイル、プレゼンテーション用ソフトウェアで作成されたプレゼンテーションファイル、等を含む。例えば、PDFファイルに含まれる文字は文字情報として認識されないが、OCR機能により文字認識することで、後述するキーワード抽出等が可能となる。
プロセッサ22は、キーワード抽出機能により、文字情報を認識可能な文字ファイルに対して公知のキーワード抽出アルゴリズムを施し、文字ファイルから所定のキーワードを抽出する。所定のキーワードは、キーワード抽出の前に予め定められ、例えばメモリ23内に保持されている。
プロセッサ22は、キーワード付き文書ファイル生成機能は、文書ファイルから取得された文字情報のうち、予め定められたキーワードと一致する情報が文書ファイルに付加された「キーワード付きの文書ファイル」を生成する。この文書ファイルのキーワードは、文書ファイルを検索するためのインデックスとして機能し、例えば文書ファイルのヘッダに埋め込まれる。
尚、文書ファイルにキーワードが付加された後には、文書ファイルはキーワード付きの文書ファイルとなるが、キーワード付加後においても、キーワード付きの文書ファイルを単に「文書ファイル」と略称して説明することもある。
プロセッサ22は、リンク付け機能により、MAPファイルに含まれる各ノードと、このノードの文字情報を含む検索条件を満たす文書ファイルと、を関連付け(リンク付け)し、「リンク付きのMAPファイル」を生成する。リンク付けでは、特定の文書ファイルのファイル識別子(「1001」等)と、ノードNDとが、関連付けられる。また、ノードNDと、文書ファイルの文書ファイル名、文書ファイルが文書ファイルDB27に保持されたアドレスを示すアドレス情報(保管位置の情報)、又は文書ファイルに付加されたキーワードと、が関連付けられてもよい。また、1つ以上のMAPファイルのそれぞれが、同じ文書ファイルとの間でリンク付けされてもよい。リンク付けの情報は、文書ファイルに係るリンク情報の一例である。
尚、MAPファイルにリンク付けされた後には、MAPファイルはリンク付きのMAPファイルとなるが、リンク付け後においても、リンク付きのMAPファイルを単に「MAPファイル」と略称して説明することもある。
また、プロセッサ22は、リンク付きのMAPファイルにおいて、リンク付けされた文書ファイルがノードに対して存在する場合には、MAPファイル内の該当ノードにリンクマークLMを付与する。リンクマークLMにより、ユーザは、MAPファイル内の該当ノードが示す検索式(検索条件)によって検索可能な文書ファイルが存在することを把握できる。リンクマークLMは、リンクマークLMが付されたノードNDにおいて、このノードNDに対応する検索条件を満たす文書ファイルが存在する旨の情報の一例である。
また、キーワードは、必要に応じて追加されてもよい。プロセッサ22は、キーワードが追加された場合、MAPファイルと文書ファイルとの間でリンク付けを再度実施してもよい。
また、プロセッサ22は、文書ファイル検索機能により、PC10と連動して、文書ファイルDB27に蓄積された文書ファイルから、PC10を介してユーザに指定された文書ファイルを検索し、PC10へ検索された文書ファイルを送信する。
メモリ23は、ROMやRAM等の一次記憶装置を含む。また、メモリ23は、HDD、SSD、等の2次記憶装置を含んでもよい。また、メモリ23は、USBメモリやSDカード等の三次記憶装置を含んでもよい。また、2次記憶装置としてのストレージは、ファイル管理サーバ20とは別体に設けられてもよい。また、ストレージは、例えばネットワーク50において分散配置されてもよい。図3では、メモリ23は、MAPファイルに関連するデータを保持するMAPファイルDB26と、文書ファイルに関連するデータを保持する文書ファイルDB27と、を含む。
メモリ23は、各種データ、ファイル、プログラムを保持する。メモリ23は、例えば、MAPファイル(リンク付きのMAPファイルを含む)を、MAPファイルDB26に蓄積する。メモリ23は、例えば、文書ファイル(キーワード付きの文書ファイルを含む)を、文書ファイルDB27に蓄積する。
メモリ23は、文書ファイルから特定の文字情報を取得するためのキーワードを保持する。キーワードは、例えば、PC10により特定のユーザ(例えば管理者)又は様々なユーザ(例えば営業担当、経理担当)により指定され、PC10からファイル管理サーバ20に送られ、保持される。例えば、営業担当の場合、顧客名、顧客担当者名、訪問日、などがキーワードとされる。例えば、経理担当の場合、発注日、支払日、などがキーワードとされる。
尚、ファイル管理サーバ20は、PC10と同様に、ディスプレイ等の出力デバイスや入力デバイスを備えてもよい。ファイル管理サーバ20のディスプレイは、例えばディスプレイ14と同様である。ファイル管理サーバ20の入力デバイスは、例えば入力デバイス15と同様である。
[MAPファイルの生成・登録]
次に、MAPファイルの生成及び登録について説明する。
PC10は、クライアントアプリによりMAPファイルを生成する。MAPファイルは、例えば、PC10のユーザ毎に異なるように生成されてもよい。例えば、同じ文書ファイルであっても、経理担当者、人事担当者、営業担当者、開発担当者、等によって検索したいキーワードが異なることが想定される。そのため、各部門(例えば経理部、人事部、営業部、開発部)によって異なるMAPファイルを用意することで、つまり各部門の担当者が頻繁に使うキーワードを予めテンプレートとしてMAPファイルの形式で用意することで、多数の文書ファイルの中から所望の文書ファイルを容易に検索できる。
図4は、MAP編集のためのクライアントアプリが起動したスタート画面G1を示す模式図である。図4では、商品管理部、営業部、研究開発部、経理部のMAPファイルが生成されている、又は生成される。
スタート画面G1では、LOGボタンBT1は、文書ファイルDB27に保持された文書ファイルの一覧を閲覧するためのボタンである。また、MAPボタンBT2は、MAPファイルDB26に保持されたMAPファイルの一覧を表示するためのボタンである。図4では、MAPボタンBT2が選択されており、経理部が選択されており、この状態で入力デバイス15を介してMENUボタンBT3を押下すると、経理管理部のMAP編集画面に移行する。
MAPファイルの生成では、例えばまず、ユーザは、入力デバイス15を介して、検索すべきキーワード(検索時に検索対象となる文言)を入力する。プロセッサ12は、入力された1つのキーワードから、1つのノード(書庫ノード)NDを生成する。ディスプレイ14にノードNDが表示される際には、ノードNDには例えばキーワード(ラベル)が表示される。ノードに示されるラベル(キーワード)には、ノードに対応する検索条件の少なくとも一部が示される。この段階では、ノードND同志(キーワード同志)の接続関係が未定な状態である。この状態のMAPファイルをMAPベース(白地図)ともいう。図5は、MAP編集画面の1つであるMAPベース画面G2の一例を示す模式図である。
続いて、ユーザは、入力デバイス15を介して、検索条件を限定するために合わせて使用すべきノードND同志を選択する。これにより、プロセッサ12は、選択された複数のノードに対して接続ラインCLを描く。接続ラインCLは、検索条件としてAND条件の候補を示すものであり、上位ノードが示すキーワードを下位ノードへ伝達するための導線を示す。つまり、下位ノードに対応する検索条件は、この下位ノードに対応するキーワードだけでなく、上位ノードが示すキーワードについても、AND条件による検索条件の候補に含む。例えば、「請求書」というノードNDと「平成28年1月」というノードNDとが接続ラインCLで接続された場合、「請求書」のノードNDが「平成28年1月」のノードNDに対して上位ノードであれば、「平成28年1月」のノードが選択されると、「請求書、且つ、平成28年1月」という検索条件により、文書ファイルを検索できる。尚、例えばラベルの置換や検索条件の編集により、検索条件の一部を変更可能である。
図6は、MAP編集画面の1つである接続ライン付きMAPを含むMAP編集画面G3の一例を示す模式図である。また、MAP編集画面G3には、例えば、接続ライン付きMAPの情報が表示されるMAP領域D1と、ラベルの置換情報が表示されるラベル置換領域D2と、ファイル検索のための絞り込み条件の情報が表示される絞り込み条件領域D3と、が含まれる。尚、絞り込み条件の情報は、検索条件選択情報の一例である。
接続ラインCLで接続された2つのノードNDは、上下の階層に分かれる。例えば、図6では、接続ラインCLの上端に位置するノードND1は、接続ラインCLの下端に位置するノードND2よりも上位の(上層の)ノードとなる。直列に上下の階層で接続された複数のノードに対応する各キーワードは、AND条件を形成するキーワードの候補となる。
また、MAP編集画面G3における横方向に配置される複数のノードは、これらのノード間では直接には接続ラインCLで接続されず、同じ階層のノードとなる。同じ階層のノードは、OR条件を示すものである。
また、MAPファイルでは、同じ階層のノードが複数選択された場合、選択された複数のノードはOR条件を形成する。例えば、「平成28年1月」というノードと「平成28年2月」というノードの2つが選択された場合、「平成28年1月、又は、平成28年2月」を含む文書ファイルを検索できる。
また、プロセッサ12は、MAPファイルの生成において、ラベルの置換情報の生成を行ってもよい。MAPファイルにラベルの置換情報が含まれることで、MAPファイル内のノード指定に基づく検索条件の一部を置換可能である。例えば、入力デバイス15により、「平成28年」と「2016年」とを入力し、プロセッサ12がこれらの文字情報をラベルの置換情報として対応付ける。この場合、プロセッサ12は、例えば、検索条件に含まれる平成28年を2016年に置換して、文書ファイルを検索できる。
また、プロセッサ12は、MAPファイルの生成において、絞り込み条件を生成してもよい。絞り込み条件は、絞り込み条件の設定対象のノード(例えば図6では「商品A」のノード)の選択によって編集可能となり、絞り込み条件領域D3が出現する。PC10は、絞り込み条件の編集により、AND条件を形成する候補となっていた各キーワードから、実際にAND条件を形成して検索するためのキーワードを選定する。
絞り込み条件の項目(絞り込み項目)として、例えば、選択ノードよりも上位層に含まれるノードのノード名(キーワード)が表示される。例えば、図6では、商品Aが選択された場合、絞り込み項目として、「請求書」、「平成28年1月」、「平成(株)」が表示される。各絞り込み項目には、チェックボックスCBが合わせて表示される。ユーザは、入力デバイス15を用いて、各絞り込み項目を検索条件として適用するかどうか(AND条件に組み込むかどうか)を選択する。例えば検索条件として適用する場合はチェックマークを入れ、適用しない場合はチェックマークをはずす。
図6では、一例として、各絞り込み項目が検索条件に適用されたことを示している。つまり、このMAPでは、接続ライン付きMAP、ラベルの置換情報、及び絞り込み条件に基づき、「請求書、且つ、平成28年1月又は2016年1月、且つ、平成(株)、且つ、商品A」が検索条件となる。
プロセッサ12によりMAPファイルが生成されると、例えば入力デバイス15を介したMAPファイルのアップロード指示により、通信デバイス11が、MAPファイルをファイル管理サーバ20へ送信する。ファイル管理サーバ20では、通信デバイス21がMAPファイルを受信すると、メモリ13のMAPファイルDB26がMAPファイルを保持する。
[文書ファイルのアップロード]
次に、文書ファイルのアップロード時の動作について説明する。
PC10は、文書ファイルを、通信デバイス11による通信により取得してもよいし、三次記憶装置を介して取得してもよいし、入力デバイス15としてのスキャナを用いて取得してもよい。PC10は、例えば入力デバイス15を介した文書ファイルのアップロード指示により、通信デバイス11が、文書ファイルをファイル管理サーバ20へ送信する。
図7は、文書ファイルのアップローダとしてのアップロード操作画面G4の一例を示す模式図である。図7では、入力デバイス15を介してアップロード操作画面G4に文書ファイル(ここでは「請求書2」の文書ファイル)をドラッグにより挿入することを例示している。例えば、ドラッグによりアップロード操作画面G4に挿入されることで、通信デバイス11は文書ファイルをファイル管理サーバ20へ送信する。
ファイル管理サーバ20では、通信デバイス21が文書ファイルを受信すると、メモリ23の文書ファイルDB27が文書ファイルを保持する。文書ファイルが文字認識不可能な画像ファイルである場合、OCR等により文字認識可能な文書ファイルに変換し、文書ファイルDB27に保存する。プロセッサ22は、メモリ23に保持されたキーワードを参照し、文書ファイルからキーワードと一致する文字情報を抽出し、文書ファイルに付加する。これにより、プロセッサ22はキーワード付きの文書ファイルを生成する。キーワード付きの文書ファイルは、メモリ23の文書ファイルDB27に蓄積される。
キーワード付きの文書ファイルが文書ファイルDB27に保持されると、プロセッサ22は、MAPファイルDB26に保持された各MAPファイルを参照する。プロセッサ22は、各MAPファイル内の各ノードが示す検索式(検索条件)と、この検索式に合致するキーワード付きの文書ファイルとをリンク付けする。アップロードされた文書ファイルとの間でリンク付けされるMAPファイルは、例えば、メモリ23に保持されたMAPファイルの全てであるが、一部のMAPファイルの各ノードに対してリンク付けされてもよい。よって、リンク付けは、1つのキーワード付きの文書ファイルに対して複数のMAPファイルとの間で実施され得る。
尚、ファイル管理サーバ20にファイルが蓄積された状態で、新しいMAPファイルが生成され、追加でアップロードされると、プロセッサ22は、新しいMAPファイルの各ノードと蓄積済みのキーワード付きの文書ファイルとの間で、リンク付けする。つまり、新しいMAPファイルの各ノードが示す検索条件に含まれるキーワードと、キーワード付きの文書ファイルのキーワードとが合致する場合、該当するノードとキーワード付きの文書ファイルとがリンク付けされる。
[文書ファイルの検索]
次に、ファイル管理サーバ20に蓄積された文書ファイルの検索について説明する。尚、ファイルの検索時には、文書ファイルはキーワード付きの文書ファイルとなっている。
文書ファイルの検索は、クライアントアプリとサーバアプリとが連携して実施される。まず、PC10では、入力デバイス15を介してMAP選択画面(不図示)においてMAPファイルを指定し、ディスプレイ14が選択されたMAPファイルに基づくMAP画面G5を表示する。MAP画面では、事前に準備された接続ライン付きMAP(MAP領域D1)が表示される。
尚、ラベルの置換情報及び絞り込み条件については、MAPファイル生成時に生成されているが、ファイル検索時に改めて設定してもよい。ラベルの置換情報及び絞り込み条件を改めて設定する場合には、ラベル置換領域D2と絞り込み条件領域D3とがMAP画面G5に含まれてもよい。
図8は、経理部用のMAP画面G5が示されている。経理部用のMAP画面G5では、ノード名の一例として、上位層から、文書ファイルの種類を示す「請求書」、請求書の発行月を示す「平成28年1月」等、請求先を示す「平成(株)」等、請求が発生した商品に係る「商品A」等、が表示される。
また、各ノードの左上部には、リンクマークLMが付されている。リンクマークLMにより、ユーザは、各ノードNDの選択により決定される検索条件を満たす文書ファイルが、文書ファイルDB27に少なくとも1つ蓄積されていることを視覚的に理解できる。つまり、各ノードNDに対してリンク付けされている文書ファイルが存在する場合には、リンクマークLMが付されて表示される。
ユーザが、入力デバイス15を介して「商品A」のノードを選択すると、プロセッサ12は、ディスプレイ14に表示される画面を選択されたノード(選択ノード)の下位ページの画面であるファイル一覧画面G6に移行する。
図9は、商品Aが選択された場合のファイル一覧画面G6の一例を示す模式図である。ファイル一覧画面G6では、選択ノードの検索条件に合致する文書ファイルが、例えばリスト形式で表示される。ここでは、文書ファイルのファイル名「請求書」とともに、検索条件を満たすキーワード付きの文書ファイルのキーワード(例えば、請求書、平成28年1月、平成(株)、商品A、等のデータ)やメタデータ(例えばファイル名、ファイルの作成日時、ファイルの作成者等のデータ)の少なくとも1つが、表示される。ファイル一覧画面G6でのデータ形式は、HTML(HyperText Markup Language)形式でもよいし、その他の形式でもよい。
尚、図9では検索条件に該当する文書ファイルが1つであるが、複数存在してもよい。
PC10では、ユーザが入力デバイス15を介して、ファイル一覧画面G6に表示された文書ファイルから所望の文書ファイル(例えば「請求書」の文書ファイル)を選択すると、通信デバイス11は、この文書ファイルのメタデータを含むファイル転送要求をファイル管理サーバ20へ送信する。
ファイル管理サーバ20では、通信デバイス21がファイル転送要求を受信すると、プロセッサ22がファイル転送要求に含まれるメタデータに係る文書ファイルを文書ファイルDB27から取得し、通信デバイス21が取得された文書ファイルをPC10へ送信する。これにより、PC10は所望の文書ファイルを表示可能となり、ユーザが所望の文書ファイルを確認可能となる。図10は、取得された文書ファイルDFの一例を模式図である。
尚、ここでは選択ノードにリンク付けされた文書ファイルが存在する場合にリンクマークLMが表示されることを例示したが、リンクマークLMとともに、又はリンクマークの代わりに、選択ノードに選択に応じて次のページ(上位ページ又は改ページ)に移行するための矢印ボタンBT4が表示されてもよい。例えば、入力デバイス15を介して矢印ボタンBT4として下ボタンが押下された場合、プロセッサ12が、表示されるページを選択ノードの下位ページに遷移する。
尚、ここでは経理部用のMAP画面G5を例示したが、当然、他の部門用のMAP画面が設けられてもよい。図11は、営業部用のMAP画面G5Aの一例を示す模式図である。図12は、研究開発部用のMAP画面G5Bの一例を示す模式図である。図13は、商品開発部用のMAP画面G5Cの一例を示す模式図である。各部門のMAP画面から理解できるように、MAPファイル毎にノード名や接続ラインCLの接続方法が異なり、異なる検索方法が設定され得る。
次に、ファイル検索の検索条件の詳細について説明する。
図14は、MAPファイルによる検索構造を可視化した模式図である。ここでは、ノード名(つまりキーワード)をα、β、γ、・・・とし、ノードNDに対応するキーワードを抽象化して示している。ファイル管理サーバ20では、プロセッサ22は、MAPファイルとして作成されたツリーTR1(木構造)(接続ライン付きMAPに相当)に応じて、検索条件を示す検索式((式1)〜(式8))のリストLS1を生成する。尚、図14では、オーバーライン「 ̄」は否定を示し、吹き出し中のワードはラベルの置換情報としてのワード(置換ワード)を示す。
例えば、ノードζに対応する(式6)は、以下のように表される。
(式6):α&NOT.β&Δ&ζ
尚、「&」はAND条件を示す。NOTはNOT条件を示す。
また、ノードεはラベルの置換情報を有する。ノードεに対応する(式5)は、以下のように表される。
(式5):α&NOT.β&Δ&(ε∨A∨B)
尚、「∨」はOR条件を示す。
プロセッサ22は、(式1)〜(式8)の検索式を一括して実行する。プロセッサ22は、各ノードを、検索式の実行によって得られた1つ以上の文書ファイル(ファイルセット)に対応付ける(「リンク付け」に相当)。
PC10では、入力デバイス15が特定のノードを選択すると、通信デバイス11がこの選択情報を送信する。この選択情報は、MAP、ラベルの置換情報、絞り込み条件の情報に基づいて生成された検索条件(例えば検索式)が含まれる。ファイル管理サーバ20では、通信デバイス21が選択ノードの選択情報を受信すると、選択ノードに対応付けられたファイルセットの情報をPC10へ送信する。PC10では、通信デバイス11がファイル管理サーバ20からファイルセットの情報を受信すると、例えばリスト形式でファイルセットの一覧を表示する。
また、プロセッサ22は、PC10において1つのMAPファイルにおいて複数のノードが選択された場合、複数の選択ノードに対応する検索式を実行し、実行結果から重複した結果を除外してもよい。PC10では、ディスプレイ14が、この重複した結果が除外された検索式の実行結果を表示してもよい。
例えば、PC10の入力デバイス15を介してノードζ及びノードεが選択された場合、ファイル管理サーバ20のプロセッサ22は、(式5)と(式6)とを一括して実行し、それぞれの式で導出されたファイルセットから重複を除外し、1つのビュー(例えばファイル一覧画面G6に相当)にファイル一覧を表示する。
[ファイル管理システムの動作例]
次に、ファイル管理システム100の動作例について説明する。
まず、ファイルアップロード時について説明する。図15は、ファイル管理システム100のファイルアップロード時の動作例を示すフローチャートである。図16は、ファイル管理システム100のアップロード時の動作を説明するための概念図である。
PC10では、プロセッサ12は、MAPファイルを生成する(S11)。通信デバイス11は、生成されたMAPファイルMFをファイル管理サーバ200へ送信する。ファイル管理サーバ200は、PC10からのMAPファイルMFを受信し、MAPファイルDB26に登録する(S12)。
また、通信デバイス11は、文書ファイルDFをファイル管理サーバ200へ送信(アップロード)する(S13,T11)。この場合、ユーザが入力デバイス15を介してアップロードする文書ファイルDFを選択し、選択された文書ファイルDFをアップロードする。
ファイル管理サーバ200では、通信デバイス21が、PC10からの文書ファイルDFを受信し、プロセッサ22が、受信した各種の文書ファイルDFに対して文言解析し、1つ以上のキーワードを抽出する(S14,T12)。抽出対象のキーワードは、例えば予めメモリ23に保持されている。プロセッサ22は、抽出されたキーワードを文書ファイルDFのヘッダ等に付加し、キーワード付きの文書ファイルDFを生成する(S15)。プロセッサ22は、生成されたキーワード付きの文書ファイルDFを、文書ファイルDB27に保持させる(S16)。
プロセッサ22は、MAPファイルDB26に保持された各MAPファイルMFの各ノードを参照し、各ノードでのノード論理式(各ノードでの検索条件)に、文書ファイルDFから抽出されたキーワードが含まれるか否かを判定する(T13)。つまり、プロセッサ22は、抽出されたキーワードが、ノード論理式に合致するか否かを判定する。
ノード論理式にキーワードが合致した場合、この論理式が成立したノードに対して、文書ファイルDFが保存されたアドレス情報を、リンク付けの情報としてMAPファイルMFに付加する(T14)。このように、プロセッサ22は、MAPファイルMFとキーワード付きの文書ファイルDFとをリンク付けする(S17)。
尚、MAPファイルMFのアップロードと文書ファイルDFのアップロードとは、順序が逆であってもよい。つまり、図15のS11,S12とS13〜S16とは逆であってもよい。
続いて、ファイルの検索時について説明する。図17は、ファイル管理システム100のファイル検索時の動作例を示すフローチャートである。図18は、ファイル管理システム100のファイル検索時の動作を説明するための概念図である。
PC10では、ユーザが入力デバイス15を介して、MAPファイルDB26に蓄積されたMAPファイルのうち、所望のMAPファイルを例えばファイル名により検索し、使用すべきMAPファイルを選択する(S21,T21)。MAPファイルが選択されると、ディスプレイ14は、ファイル管理サーバ20と連動し、このMAPファイルに係るMAP画面G5を表示する(S22)。尚、MAP画面G5では、プロセッサ12は、必要に応じてラベルの置換情報及び絞り込み条件の少なくとも一方を設定してもよい。
MAP画面G5において、入力デバイス15を介して所望のノードNDを選択する(S23)。ノードが選択されると、この選択情報がPC10からファイル管理サーバ200へ送られ、プロセッサ22が選択ノードに基づいて下位ページのファイル一覧画面G6に遷移させる。これにより、PC10のディスプレイ14は、ファイル一覧画面G6を表示する(S24)。
PC10では、ファイル一覧画面G6において、入力デバイス15を介してファイル一覧に含まれる任意の文書ファイルを選択する(S25,T22)。文書ファイルが選択されると、通信デバイス11は、この選択情報をファイル管理サーバ200へ送信する。つまり、MAPファイルの選択ノードにリンクされた文書ファイルを呼び出す(T23)。尚、選択情報は、例えば選択された文書ファイルの識別子を含む。
ファイル管理サーバ200では、通信デバイス21が選択情報を受信し、プロセッサ22は、文書ファイルDB27を参照する。プロセッサ22は、選択情報に基づいて、例えば選択情報に含まれる文書ファイルの識別子に合致する、文書ファイルを文書ファイルDB27から取得する。通信デバイス21は、取得された文書ファイルをPC10へ送信する。
PC10では、ファイル管理サーバ200からの文書ファイルを受信し、文書ファイルの表示等を行う。このようにして、PC10は、入力デバイス15を介して選択されたファイルをダウンロードする(S26)。
次に、ここまでに説明したファイル管理システム100の概要について説明する。
図19は、ファイル管理システム100の概要の説明図である。例えば、会社組織において、営業担当であるユーザU1は、文書ファイルDFを分類せずに、例えば見積書の文書ファイルDFを、アップローダUL1へドラッグ操作等により挿入する。同様に、開発担当であるユーザU2は、製品カタログの文書ファイルDFを分類せずにアップローダUL1へドラッグ操作等により挿入する。アップローダUL1に挿入された文書ファイルDFは、PC10からファイル管理サーバ20へ転送され、ファイル管理サーバ20の文書ファイルDB27に蓄積される。
ファイル管理サーバ20には、各種の検索条件を示すMAPファイルMFが、MAPファイルDB26に蓄積される。各MAPファイルMFは、各部門の特性や各部門のユーザの特性に合わせて、PC10により生成される。各文書ファイルDFと各MAPファイルMFとは、キーワードを基にリンク付けされる。
例えば、経理担当のユーザU3は、経理部用のMAPファイルMFを選択すると、見積書の文書ファイルDFを取引先別に参照できる。この場合、MAPファイルMFにおいて、例えば見積書と取引先名とをAND条件で含む検索条件となるノードが選択される。これにより、PC10は、ファイル管理サーバ20と連動して、取引先別の見積書の文書ファイルDFをファイル一覧で表示できる。よって、ユーザは、所望の見積書の文書ファイルDFを探索できる。
また、経理担当のユーザU3は、選択ノードの付近に商品カタログを示すノードが存在する場合、ユーザU3は、MAPファイルMFを目視することで容易に商品カタログを含む検索条件を指定できる。そのため、経理担当のユーザU3は、取引先から商品仕様の問合せがあった場合でも、MAPファイルMFを用いることで、容易に応答できる。
また、例えば、営業担当のユーザU4は、営業部用のMAPファイルMFを選択すると、過去の販売履歴を商品別に参照できる。この場合、MAPファイルMFにおいて、例えば商品名と取引先名と価格とをAND条件で含む検索条件となるノードが選択される。これにより、PC10は、ファイル管理サーバ20と連動して、商品別に取引先の価格が記載された文書ファイルDFをファイル一覧で表示できる。よって、ユーザは、商品インデックスから(商品別に)、前回、どの取引先に、いくらで販売したかを確認できる。
[効果等]
コンピュータを用いた従来の情報管理方法では、ファイルが収容されるフォルダ(ディレクトリ)が予め定められ、そのフォルダに入れることで管理されている。しかし、このフォルダの構造は、その構造の製作者に固有で任意である。そのため、フォルダの製作者以外の人が、必要な情報に適切にアクセスすることは困難である。つまり、情報の共有や再利用をすることは決して容易ではない。
例えば、チームでの作業において、フォルダ管理の方法について取り決めがあるとしても、フォルダ管理方法を変更する場合、チームのメンバが迷わず理解できる変更を加えることは容易ではない。また、新しくファイルを作成した場合、そのファイルをどのフォルダに収納するかは、必ずしも明瞭でなく、属人的である。
このような状況で大量にファイルが作成された結果、必要時に目的のファイルの検索に要する時間が増大しており、情報検索(ファイル検索)が労働時間に占める割合も増大している。
これに対し、ファイル管理システム100は、例えば、検索用のキーワードをMAPファイルのノードNDとして管理する。ファイル管理システム100は、ノードND間を接続ラインCLで結合する。接続ラインCLの一端となる後続ノード(例えば下端に位置するノードND)は、他端の先行ノード(例えば上端に位置するノードND)に対して、検索条件の絞り込みの条件になる。ファイル管理システム100は、ノードNDが接続ラインCLで結線して得られる木構造の情報を、MAPファイルとして蓄積する。MAPファイルは、クライアント端末としてのPC10で選択されると、木構造を再現して表示可能である。接続ラインCLで結ばれた一列の直系ノード(上位層から下位層にかけて結ばれた一連の複数のノードND)は、検索条件としてのキーワードの連語となる。
ファイル管理システム100によれば、様々なMAPファイルを蓄積することで、様々な検索方法で検索ができる。つまり、従来のように、ファイルシステム毎にフォルダ(ディレクトリ)を1つに定めるのでなく、例えば一カ所のデータベースやストレージにまとめて蓄積し、蓄積後に様々な検索条件によって所望の文書ファイルを取得できる。よって、ファイル管理システム100は、フォルダを用いて文書ファイルを整理しなくても、必要時に、視覚的に設定可能な検索条件を用いて、所望の文書ファイルを検索できる。また、フォルダを用いないことで、文書ファイルをどのフォルダに分類したかを記憶することを不要にできる。また、あるファイルをチェックしたい、あるファイルをチェックしたくない、などを、ファイル管理システム100は、ファイルの保存時ではなく、ファイルを検索するときに設定できる。
また、MAPファイルを用いることで、ユーザ毎に検索条件を設定でき、例えば検索者の特性・思想に合わせて、文書ファイルを検索できる。また、検索条件の典型例をMAPファイルとしてテンプレートとして扱うことで、例えば各組織や各部門で共通のMAPファイルを使用し、その部門において頻繁に利用するキーワードを用いて容易に文書ファイルを検索できる。また、各部門でファイル用のストレージを共通化でき、各部門でファイルを保管する場合と比較して、全文書ファイルの保存に必要なデータ量を削減できる。
また、MAPファイル内では、接続ラインCLにより各ノードNDが結ばれているので、ユーザは検索方法を視覚的に容易に理解できる。また、MAPファイルを複数用意することで、1つの文書ファイルに対して、複数の検索方法で文書ファイルを検索できる。
また、例えば大量の文書ファイルを適正量となるように迅速に絞り込むためには、検索に係る適切なキーワードを選択し、キーワードを連結する適切な論理演算子(AND、OR、NOT、等)を選択して、適切な検索条件を示すセンテンスを生成することが必要となる。
これに対し、ファイル管理システム100によれば、MAPファイルを文書ファイルの検索の前に用意することで、適切なキーワードの連結パターンを用意することができる。よって、ユーザは、ファイル検索のための特別なスキルがなくても、適切な検索条件を導出できる。ユーザは、この検索条件を用いることで、所望の文書ファイルを容易に取得できる。
尚、ファイル管理システム100は、ノードNDに対して、「〜ではない」を意味する否定の記号を付与してもよい。この場合、ファイル管理システム100は、否定の記号を持つノードNDに相当するキーワードを除外して、文書ファイルを検索する。ファイル管理システム100は、ノードNDに対応するキーワードの置換情報を保持してもよい。置換情報は、例えば、平成28年と2016年とを置換するための情報である。ファイル管理システム100は、ノードNDを選択すると、選択ノードと選択ノードよりも上位のノードとにより複合キーワードとしての検索条件を生成し、この検索条件で検索し、検索の結果得られた文書ファイルの一覧を表示できる。ファイル管理システム100は、一覧で表示された1つ以上の文書ファイルを、例えば選択ノードに対応する検索条件に含まれるキーワードの出現頻度、文書ファイルの作成者、文書ファイルの作成日付、等のメタデータを用いて、ソートしてもよい。
ファイルを予めフォルダに整理することなく、膨大なファイル群から特定のテーマに沿った書類を任意のタイミングで収集する場合、検索エンジンへ送られるパラメータは、複雑かつ長くなることがある。このパラメータは、複数のキーワードを論理演算子で結合され、とても長く複雑な構文を持つ式となることがあり、ユーザが記述できるレベルを超えることがある。
ファイル管理システム100は、この長く複雑な式を、ビジュアルな(視覚的な)インターフェースを用いて検索条件を示すフロー(MAPに該当)を生成し、そのフローから該当する式を生成可能である。これにより、ファイル管理システム100は、高精度でファイル等のデータ絞り込みを実施でき、フォルダを必要としないファイル管理システムを実現する。
以上、図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
上記実施形態では、ファイル管理システム100は、絞り込み条件において、チェックボックスCBを用いて、選択ノードの上位ノードを検索のためのAND条件に含まめるか否かを設定することを例示したが、検索条件におけるAND条件以外の条件(例えばNOT条件)を設定してもよい。
図20は、否定の情報を含む検索条件が表示されたMAP編集画面G3Aの一例を示す模式図である。否定の情報は、絞り込み条件として設定される。つまり、否定の情報は、下位ノードに対応するAND条件の候補として組み込まれている上位ノードのキーワードの少なくとも1つに付加される。
例えば、図20では、ユーザにより入力デバイス15を用いてラジオボタンRBのオンオフが入力され、プロセッサ12によりこのオンオフの情報が設定される。ラジオボタンRBがオンの場合には否定であることを示し、このラジオボタンRBに対応するキーワード(図20では「平成(株)」)を含まない用語が、検索の結果得られる。一方、ラジオボタンRBがオフの場合には否定でないことを示し、このラジオボタンRBに対応するキーワード(図20では「平成(株)」)を含む用語が、検索の結果得られる。尚、否定の情報を含む検索式の一例は、先述の図14の(式5)、(式6)に示されている。
上記実施形態では、チェックボックスCBを用いて任意の項目を選択することを示したが、他の形式(例えばラジオボタン)により任意の項目を選択することを示してもよい。また、ラジオボタンRBを用いて任意の項目を選択することを示したが、他の形式(例えばチェックボックス)により任意の項目を選択することを示してもよい。
上記実施形態では、MAPファイルのノードと文書ファイルの識別子とがリンク付けされることを例示した。尚、MAPファイルのノードと、文書ファイルの記憶先を示すアドレス情報と、がリンク付けされてもよい。
上記実施形態では、ファイル管理システム100が会社組織で用いられることを例示したが、これに限られない。例えば、ファイル管理システム100が病院で用いられ、カルテ、医療伝票、等に係る文書ファイルが管理されてもよい。また、ファイル管理システム100が一般事業所で用いられカタログ、伝票、大腸、営業記録、取引先の案内等に係る文書ファイルが管理されてもよい。また、ファイル管理システム100が工場で用いられ、図面、出荷記録、製造履歴、等に係る文書ファイルが管理されてもよい。
また、ファイル管理システム100が高齢者宅や高齢者施設で用いられ、権利書、登記書、電化製品マニュアル、保証書、等に係る文書ファイルが管理されてもよい。このファイル管理システム100を用いて、警備会社による見回りサービスが実施されてもよい。
また、ファイル管理システム100が役所で用いられ、行政文書、条例、台帳、議事録、等に係る文書ファイルが管理されてもよい。また、ファイル管理システム100が法律事務所で用いられ、訴状、判例、等に係る文書ファイルが管理されてもよい。同様に、ファイル管理システム100が司法書士事務所、経理事務所、行政書士事務所、特許事務所、等で用いられてもよい。また、ファイル管理システム100が図書館で用いられ、書籍等に係る文書ファイルが管理されてもよい。
上記実施形態では、ファイル管理システム100は、本運用のファイル管理システムとして導入されてもよいし、本運用のバックアップとして機能するバックアップ用のファイル管理システムとして導入されてもよい。例えば、本運用に既存のファイル管理システムを採用し、バックアップ用に上記実施形態のファイル管理システム100を採用した場合、既存の方法でも検索でき、上記実施形態で説明した方法で検索することもできる。
上記実施形態では、ファイル管理サーバ20にアップロードされて登録(保持)されたMAPファイルを、PC10により編集して再作成してもよい。この場合、PC10は、通信デバイス11により再作成されたMAPファイルをアップロードし、ファイル管理サーバ20に再登録してもよい。この場合、プロセッサ22は、再登録されたMAPファイルと文書ファイルとの間でリンク付けを再度実施してもよい。
尚、PC10が有する各機能の一部をファイル管理サーバ20が実施してもよいし、ファイル管理サーバ20が有する各機能の一部をPC10が実施してもよい。例えば、OCR機能やキーワード抽出機能をPC10が実施してもよい。また、ファイル管理サーバ200が例えば入力デバイスやディスプレイを備え、マップ編集、ラベル置換、絞り込み条件編集の少なくとも一部をファイル管理サーバ200が実施してもよい。また、検索条件設定をファイル管理サーバ200が実施してもよい。例えば、ファイル管理サーバ200が、例えばタイマによって時刻を計時し、定期的に所定の文書ファイルが文書ファイルDB27から検索されるようにしてもよい。
(本開示の一実施形態の概要)
本開示の一実施形態のファイル管理システムは、クライアント端末と、文書ファイルを管理するファイル管理サーバと、が接続されたファイル管理システムであって、前記クライアント端末は、文書ファイルを検索するための検索条件ファイルを生成し、前記検索条件ファイルを前記ファイル管理サーバへ送信し、前記ファイル管理サーバは、前記検索条件ファイルを受信して保持し、前記検索条件ファイルは、前記文書ファイルを検索するための複数のキーワードをそれぞれ示す複数のノードと、前記複数のノードのうち、AND条件により連結される候補となる2つのキーワードに対応する2つのノードを接続する接続ラインと、を含む。
この構成によれば、ファイル管理システムは、検索条件ファイルにおけるノードと接続ラインとをユーザが指定することで、ユーザ毎に検索条件の候補を設定でき、例えば検索者の特性・思想に合わせて、文書ファイルを管理できる。また、ファイル管理システムは、検索条件ファイルを用いて文書ファイルを検索することで、特別な専門知識を必要とせず、様々な検索方法で容易に文書ファイルを検索できる。また、ファイル管理システムは、文ファイルの蓄積時に文書ファイルの保存先を考える必要がなく、文書ファイルの保存時の作業スピードを向上できる。このように、ファイル管理システムは、検索条件ファイルを用いることで、ファイルが保管されるディレクトリを意識せずに、ファイルを容易に管理できる。
また、本開示の一実施形態のファイル管理システムは、前記検索条件ファイルが、前記ノードが示すキーワードを他のキーワードに置換するための置換情報を含んでもよい。
この構成によれば、ファイル管理システムは、類似する用語を確実に検索対象にできる。また、類似しない用語であっても、ユーザの特性や嗜好に応じて同一視される用語を指定でき、ファイル管理システムは、ユーザの意図に沿ったファイル管理を実現できる。
また、本開示の一実施形態のファイル管理システムは、前記検索条件ファイルが、任意のノードが選択された場合に、当該ノードと前記AND条件により連結された他のノードが示すキーワードのうち、前記検索条件として採用するキーワードを選択するための検索条件選択情報を含んでもよい。
この構成によれば、ファイル管理システムは、選択ノードによって設定される検索条件を固定せずに柔軟に変更可能とし、この検索条件をベースに微修正できるので、ユーザのファイル検索に係る利便性を向上できる。
また、本開示の一実施形態のファイル管理システムは、前記検索条件ファイルが、前記ファイル管理サーバに保持された文書ファイルのうち、当該検索条件ファイルに含まれる任意のノードが示す検索条件を満たす文書ファイルが存在する場合、当該ノードと前記検索条件を満たす文書ファイルの識別子とを関連付けたリンク情報を含んでもよい。
この構成によれば、ファイル管理システムは、検索条件ファイルのノードを指定して文書ファイルを検索する際に、ノードに対応する文書ファイルを容易に検索できる。よって、ファイル管理システムは、リンク情報を用いることで、文書ファイルの検索時間を短縮でき、検索効率を向上できる。
また、本開示の一実施形態のファイル管理システムは、前記クライアント端末は、前記ファイル管理サーバに保持された文書ファイルのうち、当該検索条件ファイルに含まれる任意のノードが示す検索条件を満たす文書ファイルが存在する場合、当該ノードにおいて前記検索条件を満たす文書ファイルが存在する旨を表示してもよい。
この構成によれば、ユーザは、実際にユーザがノードを選択してファイル検索する前に、各検索条件に合致する文書ファイルが存在するか否かを把握できる。よって、ファイル管理システムは、例えば文書ファイルが存在しない検索条件に対応するノードをユーザが選択することを抑制でき、検索効率を向上できる。
また、本開示の一実施形態のファイル管理システムは、前記クライアント端末が、前記文書ファイルを前記ファイル管理サーバへ送信し、前記ファイル管理サーバが、前記文書ファイルを前記クライアント端末から受信した際、前記検索条件ファイルに含まれる、前記文書ファイルに係るリンク情報を生成してもよい。
この構成によれば、ファイル管理システムは、ファイル管理サーバによってリンク情報の生成を実施でき、蓄積された検索条件ファイルが多数であっても、検索条件ファイルとアップロード対象の文書ファイルとのリンク付けを迅速に行うことができる。
また、本開示の一実施形態のファイル管理システムは、前記ファイル管理サーバが、画像としての文字を含む前記文書ファイルを光学文字認識し、前記文字を文字情報として認識可能な文書ファイルに変換し、変換された文書ファイルを保持してもよい。
この構成によれば、ファイル管理システムは、クライアント端末からファイル管理サーバへ文字認識不能な画像ファイルとしての文書ファイルがアップロードされても、ファイル管理サーバにて文字認識可能に変化できる。よって、ファイル管理システムは、検索条件ファイルを用いて、文書ファイル内のキーワードを用いた検索が可能になる。
また、本開示の一実施形態のファイル管理システムは、前記ファイル管理サーバが、前記検索条件ファイルを受信した際、前記検索条件ファイルに係る前記リンク情報を生成してもよい。
この構成によれば、ファイル管理システムは、ファイル管理サーバによってリンク情報の生成を実施でき、蓄積された文書ファイルが多数であっても、アップロード対象の検索条件ファイルと文書ファイルとのリンク付けを迅速に行うことができる。
また、本開示の一実施形態のファイル管理システムは、前記クライアント端末が、前記検索条件ファイルに含まれる前記複数のノードと前記接続ラインとを表示してもよい。
この構成によれば、検索条件ファイルによって規定された検索条件の候補を可視化でき、ユーザが検索条件の候補を容易に把握できる。よって、ユーザは、所望の文書ファイルの検索をスムーズに実施でき、検索作業の時間を短縮化できる。
また、本開示の一実施形態のファイル管理システムは、前記クライアント端末が、前記検索条件ファイルにおける任意のノードを選択した場合、当該ノードが示す検索条件を満たす少なくとも1つの文書ファイルの情報を表示してもよい。
この構成によれば、ユーザは、選択ノードに基づく検索条件に合致する文書ファイルを一見して確認できる。
また、本開示の一実施形態のファイル管理システムは、前記クライアント端末が、前記文書ファイルの情報を選択した場合、当該文書ファイルの識別子を前記ファイル管理サーバへ送信し、前記ファイル管理サーバは、前記文書ファイルの識別子を受信し、前記文書ファイルの識別子に合致する文書ファイルを前記クライアント端末へ送信し、前記クライアント端末が、前記ファイル管理サーバから前記文書ファイルを受信し、前記文書ファイルを表示してもよい。
この構成によれば、ユーザは、文書ファイルがどのストレージやどのフォルダに保存されているかを意識せずに、検索条件ファイルを用いて、所望の文書ファイルを容易に取得し、文書ファイルの内容を確認できる。
また、本開示の一実施形態のファイル管理方法は、クライアント端末と、文書ファイルを管理するファイル管理サーバと、が接続されたファイル管理システムにおけるファイル管理方法であって、前記クライアント端末は、文書ファイルを検索するための検索条件ファイルを生成し、前記検索条件ファイルを前記ファイル管理サーバへ送信し、前記ファイル管理サーバは、前記検索条件ファイルを受信して保持し、前記検索条件ファイルは、前記文書ファイルを検索するための複数のキーワードをそれぞれ示す複数のノードと、前記複数のノードのうち、AND条件により連結される候補となる2つのキーワードに対応する2つのノードを接続する接続ラインと、を含む。
この方法によれば、ファイル管理システムは、検索条件ファイルにおけるノードと接続ラインとをユーザが指定することで、ユーザ毎に検索条件の候補を設定でき、例えば検索者の特性・思想に合わせて、文書ファイルを管理できる。また、ファイル管理システムは、検索条件ファイルを用いて文書ファイルを検索することで、特別な専門知識を必要とせず、様々な検索方法で容易に文書ファイルを検索できる。また、ファイル管理システムは、文ファイルの蓄積時に文書ファイルの保存先を考える必要がなく、文書ファイルの保存時の作業スピードを向上できる。このように、ファイル管理システムは、検索条件ファイルを用いることで、ファイルが保管されるディレクトリを意識せずに、ファイルを容易に管理できる。