JP6831756B2 - 飛行機械、輸送システム、および、輸送システムの運用方法 - Google Patents

飛行機械、輸送システム、および、輸送システムの運用方法 Download PDF

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Description

本発明は、空中を飛行して人あるいは荷物を運ぶ飛行機械、およびそれを用いた物流・モビリティシステム等の輸送システムに関する。
近年、地上の道路を走る自動車が担っている、任意の地点から任意の地点へのダイレクトな高速移動および輸送を、空中を飛行する飛行機械によって行うことが検討されつつある。空中を高速に移動可能な飛行機械(航空機)には主に2つの種類がある。一つは、固定翼をもち固定翼が大気中を移動することに伴って発生する空気力(揚力)を用いて浮上する飛行機と、エンジンでローターを回転させること揚力を発生させる回転翼機である。
図1は、固定翼を備える飛行機および回転翼機がそれぞれ空中で巡航飛行をしているときに受ける力を模式的に表す図である。
図1(a)に示すように、飛行機は、動力によって推力(移動する物体を進行方向に推し進める力)を得て前進するとともに、固定翼によって揚力を得て飛行する飛行機械である。飛行機の固定翼は、空中で移動させると、移動方向の反対の方向に働く力(抗力)と、移動方向に垂直な方向(鉛直上向き)に働く力(揚力)を受ける。また、飛行中の飛行機は、鉛直下向きに重力を受け、移動方向にエンジン推力を発生させる。推力と抗力、揚力と重力、がそれぞれ釣り合っていれば、飛行機は空中を一定速度で飛行できる。
空中を移動する飛行機の固定翼が発生する揚力の大きさが、抗力の大きさの何倍であるかを揚抗比という。揚抗比は翼の形状によって決まるが、現在、一般に使用されている飛行機の固定翼の揚抗比は10から20程度のものが多い。胴体など翼以外の部位に起因する有害抗力(parasite drag)を無視すれば、揚抗比20の固定翼を備えた飛行機であれば、エンジン推力の20倍の重さの機体を空中に浮かべることが可能ということである。すなわち、固定翼を備えた飛行機は、機体重量に比べて小さなエンジン推力で飛行可能であり、結果として燃費が優れており航続距離が長い。
しかしながら、固定翼が揚力を発生するのは翼がある程度以上の速度で移動している場合だけであるから、飛行機が空中に浮上するためには、地上で翼に速度を与えること、すなわち、地上で離陸滑走を行うことが必須という欠点がある。離陸滑走にはある程度の広さの空地(滑走路)を備えた設備、すなわち飛行場が必須であり、この点から固定翼を備えた飛行機は、前述の自動車に代わる任意の地点から任意の地点へのダイレクトな高速移動手段とすることが難しい。また、大きな固定翼は地上において邪魔という欠点もある。飛行機を使って目的地に移動した後、そこで人が用事を済ませている間、飛行機は地上で待機させなければならない。飛行機は翼が必要な分自動車等に比べて地上での占有面積が大きく、都市部では待機のための場所を確保するのが困難である。
一方、図1(b)に示すように、回転翼機は、エンジンによって回転翼を回転させ、浮上に必要な揚力および、前進するための推力を発生させて飛行する飛行機械である。回転翼機の利点は垂直離着陸が可能であることである。垂直離着陸可能というのは、前述の自動車に代わる任意の地点から任意の地点へのダイレクトな高速移動手段の実現に際して大きな利点である。
しかしながら、回転翼機は、機体を浮上させるのに必要な揚力全てを回転力が生み出す推力すなわちエンジン推力によってまかなう必要があるという欠点がある。前述のように固定翼を備えた飛行機であれば、エンジン推力の10から20倍程度の重さの機体を浮上させることが可能であることに比べて、回転翼機では機体の重量すべてをエンジン推力で支える必要があるため大出力のエンジンが必要であり、結果として燃費が悪く航続距離が短い。また、ある程度の重量物を運ぶためには大きな回転翼が必要であり地上において邪魔という欠点もある。回転翼は回転するため地上においては単に邪魔なだけではなく危険である。
以上で述べた固定翼を備えた飛行機の高効率性と、回転翼機の垂直離着陸性能とを両立させる試みとして、例えば、特許文献1で例示されている固定翼およびリフトファンを備えた飛行機、特許文献2で例示されているティルトローターを備えた飛行機などが知られている。
特許文献1で例示されているリフトファンを備えた飛行機では、通常の水平方向に推力を生み出すエンジンに加えて、垂直方向に固定され鉛直下向きに推力を生み出すエンジンを配備している。離着陸時には垂直方向に固定されたエンジンが生み出す推力によって垂直離着陸を行い、いったん空中に浮かんだ後は、垂直方向に固定されたエンジンを停止させるあるいは出力を絞り、固定翼および水平方向のエンジンによって飛行機として飛行する。本方式は垂直方向に固定されたエンジンが、水平飛行時にはデッドウェイトとなるため、燃費が悪く航続距離が短い。
特許文献2で例示されているティルトローターを備えた飛行機は、エンジンの取り付け角度を鉛直下向きと水平方向の2つの方向に変更できる仕組みを備えており、離着陸時には鉛直下向きにエンジン推力を発生させて垂直離着陸を行い、いったん空中に浮かんだ後は、エンジン推力を水平方向に変更して、固定翼を備えた飛行機として飛行する。本方式は、エンジンの取り付け角度を変更するための仕組みが複雑かつ重量がかさむためメンテナンスが大変であり、また燃費が悪く航続距離が短い。
ところで、近年、ドローンあるいはUAV(Unmanned Aerial Vehicle)と呼ばれる小型の無人飛行機械を個人宅への荷物の配達等の物流用途に使おうという試みが行われている。例えば、特許文献3では、自律的にGPS(グローバルポジショニングシステム)によって自律的に目的地上空に飛行して荷物を運搬する無人飛行機械およびそれを用いた運搬システムが開示されている。このような用途で主に用いられる無人飛行機械は、必要なペイロード重量が数キログラムから数十キログラムと小さいことが多く、効率よりも利便性を重視して垂直離陸が可能な回転翼型の無人飛行機械を用いることが多い。近年、とくに、マルチコプターと呼ばれる3つ以上の回転翼を備えた小型の無人回転翼機が普及している。
特開2007−118891号公報 特開平9−002395号公報 特開2005−263112号公報
前述のように、固定翼を備えた飛行機は燃費に優れ航続距離が長いが、離着陸時に地上滑走を必要とするため運用性が悪くまた固定翼が地上で邪魔である。回転翼機は垂直離着陸が可能で利便性に優れるが、燃費が悪く航続距離が短い。また、固定翼を備えた飛行機と回転翼機の利点を併せ持つことを企図して考案されたリフトファンを備えた飛行機や、ティルトローターを備えた飛行機は、本来、飛行のためには必要ではない追加の機構を必要とし、機体の重量が重くなるため燃費が悪い、あるいは、メンテナンスの手間がかかる、といった課題がある。
本発明は、以上の課題を解決するためになされたものであって、その主要な目的の一つは、固定翼を備えた飛行機の効率の良さと、垂直離着陸が可能な回転翼機の利便性を併せ持ち、かつ飛行に不必要な追加の複雑な機構を必要としない飛行機械を提供することである。
本発明の一側面は、任意の出発地点から目的地点へ、人あるいは荷物を空中輸送する飛行機械である。この飛行機械は、人あるいは荷物を積載するキャビンを備える。このキャビンは、固定翼を分離可能に結合する固定翼結合機構と、キャビンに重力に水平方向成分を持つ推力を与えるとともに固定翼により揚力を発生させる推進ユニットを分離可能に結合する推進ユニット結合機構と、キャビンに重力に垂直方向成分を持つ推力を与え固定翼による揚力がなくてもキャビンを浮上させる浮上ユニットを分離可能に結合する浮上ユニット結合機構と、を備える。より具体的な形態では、固定翼結合機構、推進ユニット結合機構、および、浮上ユニット結合機構は、飛行機械が空中にある状態で、結合および分離の少なくとも一つが可能である。
本発明の他の一側面は、任意の出発地点から目的地点へ、人あるいは荷物を空中輸送する輸送システムの運用方法である。この輸送システムは、人あるいは荷物を積載するキャビンと、空気力による揚力を発生する翼とを持ち、翼はキャビンと分離あるいは結合が可能な構造を備えており、かつ、キャビンと分離した状態で空中に浮上するための手段を利用可能である。出発地点の上空の空中において、翼はキャビンと分離して空中を浮上した状態からキャビンに結合し、翼とキャビンが一体の飛行機械を構成して目的地点へ飛行するように運用される。
本発明のさらに他の一側面は、出発地点と目的地点、出発時刻および到着時刻の少なくとも一つ、および、輸送対象物に関する情報を含む飛行要求を複数受け付け、複数の無人飛行機械を含む飛行のための飛行機材を用いて、前記複数の飛行要求に対応する飛行手段を提供する輸送システム、あるいは輸送システムの管理システムである。このシステムでは、飛行要求に基づいて、飛行機材のなかから飛行に必要な必要飛行機材を決定する算出手段と、決定された必要飛行機材の数と種類の情報である、必要飛行機材情報を記憶する飛行要求データベースと、管理下にある飛行機材の現在の状態の情報である、機材現在状態を記憶する機材現在状態データベースと、必要飛行機材情報と機材現在状態とから、どの飛行機材をどの飛行要求に割り当てるか決定する割り当て手段と、を備え、一つの飛行要求に対して複数の前記飛行機材を割り当てる。
固定翼を備えた飛行機の効率の良さと、垂直離着陸が可能な回転翼機の利便性を併せ持ち、かつ飛行に不必要な追加の複雑な機構を必要としない飛行機械を提供することができる。
固定翼を備える飛行機および回転翼機がそれぞれ空中で受ける力を模式的に表す概念図である。 本発明の実施例1における飛行機械の運用シーケンスを説明する流れ図である。 本発明の実施例1における出発地点地上での飛行機械の様態を模式的に表す斜視図である。 本発明の実施例1における出発地点上空での飛行機械の様態を模式的に表す斜視図である。 本発明の実施例1における出発地点での飛行機械の離陸の様態を模式的に表す斜視図である。 本発明の実施例1における飛行機械の巡航飛行の様態を模式的に表す図である。 本発明の実施例1における目的地点上空での飛行機械の巡航飛行の様態を模式的に表す斜視図である。 本発明の実施例1における目的地点上空での飛行機械の巡航飛行の様態を模式的に表す斜視図である。 本発明の実施例1における目的地点地上での飛行機械の巡航飛行の様態を模式的に表す斜視図である。 本発明の実施例1におけるキャビンと翼との結合機構の一例を示す斜視図である。 本発明の実施例1におけるキャビンを中心とした機体の別の構成を模式的の別の構成を模式的に表す斜視図である。 本発明の実施例1におけるキャビンを中心とした機体の別の構成を模式的の別の構成を模式的に表す斜視図である。 本発明の実施例1におけるキャビンを中心とした機体の別の構成を模式的の別の構成を模式的に表す斜視図である。 本発明の実施例1におけるキャビンを中心とした機体の別の構成を模式的の別の構成を模式的に表す斜視図である。 本発明の実施例2における飛行機械の管理システムの構成を表すブロック図である。 本発明の実施例2における飛行要求データベースに格納されるデータの一例を示す表図である。 本発明の実施例2における機材現在状態データベースに格納されるデータの一例を示す表図である。
以下、本発明の実施形態について述べる。本実施形態は本発明を実現するための一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。本実施形態においては、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。なお、各図において、共通の構成には原則として同一の参照符号を付し、繰り返しの説明は省略する。
本実施例で説明される飛行機械およびそれを用いた物流・モビリティシステムは、複数の無人飛行機械を用いて人あるいは荷物を積載したキャビンと、翼とを別々に空中に浮上させ、出発地点の上空でキャビンと翼を合体させて固定翼を持つ飛行機として飛行する。目的地点の上空でキャビンと翼とを分離し、目的地点の上空では待機していた複数の無人飛行機械を用いて、キャビンと翼とを別々に地上に着陸させる。なお、ここで出発地点や目的地点の上空とは、ある特定の地点の厳密な垂直上方という意味ではなく、飛行機械の当該地点への離陸あるいは着陸のために使用される空域という意味である。
図2は、本実施例の飛行機械の運用シーケンス概要を説明する図である。この運用シーケンスには、キャビン、浮上ユニットおよびその運搬手段、固定翼およびその運搬手段、推進ユニットおよびその運搬手段を用いる。
キャビンは人や物など運搬対象物を格納して運搬する。浮上ユニット、固定翼および推進ユニットはキャビンと物理的に結合および分離が可能である。浮上ユニットはキャビンを重力に対抗して所定位置まで浮上させる。推進ユニットはキャビンを水平方向に移動させる。固定翼は推進ユニットによる移動により揚力を発生させる構造体である。
浮上ユニット、固定翼および推進ユニットは、キャビンと地上の間を運搬手段によって空輸される。浮上ユニット、固定翼および推進ユニットとそれぞれの運搬手段は、一体の構成でもよいし、分離可能としてもよい。
処理201〜処理206は、飛行機で言うところの離陸のシーケンスである。処理S201ではキャビンを地上に準備する。処理S202ではキャビンと浮上ユニットを合体させる。処理203では浮上ユニットによってキャビンを所定高度まで浮上させる。
処理204では、空中で固定翼および推進ユニットをキャビンに合体させる。固定翼と推進ユニットは別々の構造であってもよいし、一体に構成されていてもよい。固定翼と推進ユニットの合体のタイミングは、基本的にキャビンの浮上中であればいつでもよいが、固定翼と推進ユニットを上昇させるためのエネルギーを節約するためには、キャビンが飛行高度付近まで上昇した段階で合体させるのが好ましい。固定翼と推進ユニットが別々の構造である場合には、合体の時間的前後関係は問わない。
処理S205では、推進ユニットによってキャビンおよび固定翼を所定方向に移動させることにより、揚力を発生させる。処理S206では、揚力が発生したのち浮上ユニットを分離する。処理S207では、キャビンは通常の飛行機と同様に水平方向に飛行する。浮上ユニットの分離のタイミングは、揚力が発生した後ならいつでもよいが、固定翼による揚力が発生している限り不要の構成なので、揚力発生直後が好ましい。
処理S208〜処理S212は、飛行機で言うところの着陸のシーケンスである。着陸のシーケンスは、基本的に離陸のシーケンスの逆順である。水平方向に飛行し目的地付近に到着したら、処理S208で浮上ユニットを合体する。処理S209では、推進ユニットの推力を弱め揚力を消失させる。その後、処理S210で固定翼および推進ユニットを分離する。処理211では、浮上ユニットによりキャビンを降下させ、着陸する。その後、処理212で浮上ユニットを分離する。
図3から図6は本発明の実施例1における飛行機械および物流・モビリティシステムにおいて出発地点における飛行機械の離陸の様態を模式的に表す図であり、図7から図9は目的地点における飛行機械の着陸の様態を模式的に表す図である。以下の例では、浮上ユニットとして用いる無人飛行機械UAV1〜UAV4は、浮上ユニット自体がその運搬手段を兼ねる。また、固定翼WINGとその運搬手段である無人飛行機械UAV5〜UAV6は別々の構成とする。また、推進ユニットとして用いる無人飛行機械UAV7は、推進ユニット自体がその運搬手段を兼ねる。
図3で図2の処理S201の状況を説明する。図3において、人あるいは荷物を積載するキャビンCABINが出発地点の地上に置かれており、移動する人あるいは運搬したい荷物をキャビンCABINに積載する。
同時に、無人飛行機械拠点BASEより、複数の無人飛行機械UAV1からUAV7を出発地点の上空に派遣する。複数の無人飛行機械のうちの一部であるUAV1からUAV4は、キャビンCABINを把持あるいは分離可能なキャビン把持機構を備えている。また、複数の無人飛行機械のうちの一部の機体UAV5およびUAV6は、翼WINGを把持あるいは分離可能な翼把持機構を備えており、無人飛行機械拠点BASEより翼WINGを翼把持機構で把持して運搬しながら出発地点上空に向かう。また、複数の無人飛行機械のうちの一部の機体UAV7は、キャビンCABINとの結合機構を備えている。
なお、これらの無人飛行機械は必ずしも全てが同じ無人飛行機械拠点BASEから派遣される必要はなく、それぞれが異なる無人飛行機械拠点より派遣される、あるいは、別の用途のために出発地点近くに存在している無人飛行機械を派遣する、等でもよい。
また、図3では、無人飛行機械UAV1からUAV7は、マルチコプター型であるとしているが、必ずしもマルチコプター型である必要はなく、固定翼を備える飛行機形、あるいは、回転翼型の無人飛行機械であってもよい。
また、図3ではキャビンCABINは単なる箱型のコンパートメントであって自ら移動する手段を備えていないとしているが、地上を全く移動できないのは不便であるので、キャビンCABINが車輪やエンジン等を備えて地上を移動できるようにする構成も考えられる。あるいは、キャビンCABINが汎用の結合機構を備えており、車輪やエンジン等を備えた台車やトラックあるいは列車や船舶等に結合可能とする構成も考えられる。
図4で図2の処理S202〜S204の状況を説明する。複数の無人飛行機械UAV1からUAV7が出発地点上空に到着したら、図4に示すように、UAV1からUAV4が備えるキャビン把持機構を用いてキャビンCABINを把持し、上空に浮上させる(処理S202〜S203)。
図4では、UAV1からUAV4のキャビン把持機構はそれぞれの機体から紐状のものによってキャビンCABINを吊り下げる構造となっているが、これ以外にも、例えば、キャビンCABINに無人飛行機械との連結機構を用意しておき、該連結機構によってキャビンCABINに無人飛行機械UAV1からUAV4を結合するといった構造も考えられる。
なお、図4ではUAV1からUAV4の4機でキャビンを把持し浮上させているが、キャビンの重量と、それぞれの無人飛行機械の余裕ペイロードに応じて必要な機数は異なる。運用の効率を考えると、安全性を見込んだ上で必要十分な最低限の数の無人飛行機械を用いることが望ましい。
キャビンCABINが空中に浮上したら、翼WINGを把持し運搬している無人飛行機械UAV5およびUAV6がキャビンCABINに接近し、空中で翼WINGをキャビンCABINに結合させる。翼WINGとキャビンCABINとの結合機構の詳細については後述する。また、無人飛行機械UAV7は、推進力の方向をキャビンCABINの前方向き(プロペラ等の推力装置の噴出方向はキャビンの後方向きになる)に変更した上で、キャビンCABINに結合する(処理S204)。
なお、図4では、無人飛行機械UAV7は推進力の方向を変更するために機体自体を垂直に傾けているが、無人飛行機械UAV7に機体の向きを変えることなく推進力の方向のみを変更する仕組みを備える構成も考えられる。
図5で図2の処理S205の状況を説明する。図5は、翼WING、および、推力方向をキャビンCABINの後方向きに変更した無人飛行機械UAV7が、空中でキャビンCABINに結合した状態を模式的に表している。
次に、結合している無人飛行機械UAV1からUAV7の推進力の全部あるいは一部を使用して空中でキャビンCABINの前方向きに加速する。これにより、キャビンCABINに結合している翼WINGが、結合後の機体の重量を支える揚力を発生させる。なお、加速は、必ずしも、全ての無人飛行機械UAV1からUAV7が結合している状態で行う必要はなく、後述するように最終的に分離する無人飛行機械UAV1からUAV6の全部または一部が分離した後で、残った無人飛行機械の推力のみで加速を行う構成も考えられる。
図6で図2の処理S206〜S207の状況を説明する。キャビンCABINを浮上させているUAV1からUAV4が備えるキャビン把持機構、および、翼WINGを運搬していたUAV5とUAV6が備える翼把持機構を、空中で分離状態する(処理S206))。その後、これらの機体は、もとの無人飛行機械拠点BASEやその他の無人飛行機械拠点、あるいは、それ以外の任意の場所に帰還する。図6は、UAV1からUAV6までが分離した後の機体の状態を模式的に表している。図6に示した機体は、キャビンCABINに結合した無人飛行機械UAV7が前方に推進力を発生させ、同時に、翼WINGが揚力を発生させることで飛行する(処理S207)。これは、前述の固定翼を備えた飛行機の飛行の仕組みと同じであり、機体重量に比べて小さなエンジン推力で飛行可能であり、結果として燃費が優れており航続距離が長い。
ところで、図6の機体は、尾翼を持たない無尾翼機であり、かつ、翼WINGは動翼(操縦翼面)を持っていない。この場合、機体の制御は、推進力を発生させる無人飛行機械UAV7の機能を用いて行うことができる。例えば、図6に示したように無人飛行機械UAV7が複数の回転翼を供えるマルチコプター型である場合には、複数の回転翼の回転速度あるいはピッチを変えて推力あるいはカウンタートルクを制御することで、図6に示したキャビンCABINを中心とする機体全体の制御が可能である。
他にも、例えば、無人飛行機械UAV7が推力方向を変更する手段を備えている、あるいは、無人飛行機械UAV7が飛行制御のための動翼を供えている場合には、それらを用いてキャビンCABINを中心とする機体全体の制御が可能である。このように、翼WINGに動翼を持たない構成は、翼WINGの製造およびメンテナンスのコストを小さくすることが可能であり運用上望ましいと考えられる。
ただし、人手により推力あるいはカウンタートルクを直接制御して飛行するのは不可能ではないにしろ難しいので、操縦者の意図を電子機器等によって変換して推力やカウンタートルクを制御する、あるいは、人が操縦することなく電子機器によって出発地から目的地まで完全に自動で機体を操縦する等の仕組みがあることが望ましい。なお、想定する運搬物(人および荷物)の重量が大きいなど、運用の形態によっては、翼WINGに動翼を設置し、該動翼を操作することでキャビンCABINを中心とする機体の制御を行う構成も考えられる。また、翼WINGは、必ずしも水平面だけで構成される必要はなく、翼の一部にヨーイングあるいはローリングの安定性を高めるための垂直面をもつことも考えられる。この場合、垂直面内に動翼を設置して方向舵として使用する構成も考えられる。
次に、図6に示したキャビンCABINを中心とする機体の状態で飛行して目的地上空に到達してから目的地に着陸するまでの様態を述べる。キャビンCABINを中心とする機体が目的地上空に到達する時刻に合わせて、目的地近辺の無人飛行機械拠点BASE2より、複数の無人飛行機械UAV8からUAV13を出発地点の上空に派遣する。複数の無人飛行機械のうちの一部機体UAV8からUAV11は、キャビンCABINを把持あるいは分離可能なキャビン把持機構を備えている。また、複数の無人飛行機械のうちの一部の機体UAV12およびUAV13は、翼WINGを把持あるいは分離可能な翼把持機構を備えている。
図7で図2の処理S208の状況を説明する。複数の無人飛行機械UAV8からUAV13が目的地点上空に到着したら、図7に示すように、無人飛行機械UAV8からUAV11が備えるキャビン把持機構を用いて、上空でキャビンCABINを把持する。また、無人飛行機械UAV12およびUAV13が備える翼把持機構を用いて、上空で翼WINGを把持する。
図8で図2の処理S209〜S210の状況を説明する。上空で、後述する翼WINGとキャビンCABINとの結合機構を分離状態にして、翼WINGとキャビンCABINを分離する。また、キャビンCABINに結合している無人飛行機械UAV7をキャビンCABINより分離させる。
図9で図2の処理S211〜S212の状況を説明する。次に、キャビンCABINを無人飛行機械UAV8からUAV11によって把持して地上まで降下させ着陸させる。その後、無人飛行機械UAV8からUAV11はキャビン把持機構を分離状態にしてキャビンCABINより分離する。最後に、無人飛行機械UAV7からUAV13は、無人飛行機械拠点BASE2へと帰還する。なお、念のために記せば、全ての無人飛行機械が必ずしも同一の無人飛行拠点へ帰還する必要がないことは明らかであろう。
図10は、キャビンCABINと翼WINGとの結合機構の一例を示す図である。図10(a)に分離状態を、図10(b)に結合状態を示す。図10に示す結合機構は、翼WING側に設置される先端に設置された八面体の構造をしている突起部901を備える翼側機構1001と、キャビンの側面に設置される穴の大きさが可変な4面体の窪み部902を備えるキャビン側機構1002とで構成される。
図10(a)に示す分離状態ではキャビン側機構1002の窪み部902は広がっている。空中で、翼WINGとキャビンCABINの相対位置を合わせて接近させ、翼側機構1001がもつ八面体の突起部901を、キャビン側機構の窪み部902に挿入する。このとき、翼WINGとキャビンCABINの相対位置に多少のずれがあっても、八面体の稜の傾斜によって相対位置ずれが吸収され、突起部は窪み部の中心に収まる。その後、図10(b)に示すように、キャビン側機構1002の窪み部902を閉じて、翼側機構1001とキャビン側機構1002を結合する。
なお、空中でのキャビンCABINと翼WINGとの位置あわせは、カメラと画像認識マーカー等を用いた画像処理あるいは、レーザーや超音波による精密測距法といった公知の手段でキャビンCABINと翼WINGとの相対的な位置関係を測定し、それをもとにキャビンCABANを把持している無人飛行機械UAV1からUAV4および、翼WINGを把持している無人飛行機械UAV5およびUAV6の位置を制御することで行うことができる。結合状態から分離状態にする場合には、キャビン側機構1002の窪み部902を広げて、翼側機構1001の突起部901をキャビン側機構1002の窪み部902から引き抜くことで行う。
図11は、本発明の実施例1における飛行機械および物流・モビリティシステムにおいて、複数の無人飛行機械を用いて空中で組み上げる、キャビンCABINを中心とした機体の別の構成を模式的に表す図である。
まず出発地点の地上におかれたキャビンCABINを複数の無人飛行機械UAV1、UAV2、および、UAV14で把持して上空に浮上させる。ここで、無人飛行機械UAV14は、キャビンCABINとの連結機構を備えており、該連結機構によってキャビンCABINに結合して浮上させる。出発地点上空で、別の無人飛行機械UAV5とUAV6により運搬されてきた翼WINGを結合する。また、連結機構によってキャビンと結合している無人飛行機械UAV14が発する推進力の方向をキャビンの前向きの方向に変更する。
図11の例では、キャビンCABINと無人飛行機械UAV14との連結機構が折り曲げ可能な機構を備えており、連結機構を折り曲げることで無人飛行機械UAV14の機体の向き自体を垂直にすることで、無人飛行機械UAVの推進力の方向を変更している。これ以外にも、無人飛行機械UAV14自体に、機体の向きを変えることなく推進力の方向を変更できる仕組みを備える構成も考えられる。その後、キャビンを中心とした機体の推進力を発生する無人飛行機械UAV14以外の無人飛行機械を分離することで、キャビンを中心とした機体を組み上げ目的地上空まで飛行する。目的地上空では、目的地上空で待機している複数の無人飛行機械を用いて、以上で述べた組み上げの手順を逆に行って、キャビンCABINと翼WINGを分離し、キャビンCABINを目的地点に着陸させる。
以上のように、図11における構成は、キャビンCABINを把持して地上から浮上させる無人飛行機械の全部または一部の機体が、そのまま最終的なキャビンCABINを中心とした機体に結合して推進力を発生することを特徴とする。本構成は、前述の図3から図9で説明したキャビンCABINを空中に浮上される無人飛行機械とは別にキャビンCABINを中心とした機体の推進力を発生させる無人飛行機械の構成と比べて、必要な無人飛行機械の数が少ないため効率的な運用が可能になる利点がある。
図12は、本発明の実施例1における飛行機械および物流・モビリティシステムにおいて、複数の無人飛行機械を用いて空中で組み上げるキャビンCABINを中心とした機体の別の構成を模式的に表す図である。図3から図11までで前述した構成においては、翼WINGは左翼と右翼とが分離しており、それぞれ別の無人飛行機械UAVを用いて空中に浮上させた後、でキャビンCABINに左翼と右翼とを結合させていた。それに対して、本構成では、翼WING2を、左右の両翼を一体構成としている。左右一体翼WING2を1機または複数の無人飛行機械UAVを用いて出発地点の上空に浮上させ、CABINの上あるいは下に結合し、キャビンCABINを中心とした機体を構成して目的地まで飛行する。
キャビンCABINを中心とした機体は、飛行時に、キャビンは鉛直下向きの重力を、翼は鉛直上向きの揚力を受けるため、翼とキャビンの結合部には大きな曲げモーメントがかかることになる。このため、前述の翼WINGは左翼と右翼とが分離している構成では、翼とキャビンの結合機構に大きな強度が必要となる。これに対して、本構成は、左右両翼は最初から一体構成としているため曲げモーメントを結合機構ではなく翼を構成する部材全体で受け持つことが可能という利点がある。
なお、図12において、左右一体翼WING2は、翼の平面形を後退翼としているが、必ずしも後退翼である必要はなく、直線翼やその他の翼平面形としてもよい。逆に、図3から図11までで前述した左翼と右翼とが分離した構成において、直線翼ではなく、後退翼やその他の翼平面形を採用することも可能である。
図13は、本発明の実施例1における飛行機械および物流・モビリティシステムにおいて、複数の無人飛行機械を用いて空中で組み上げるキャビンを中心とした機体の別の構成を模式的に表す図である。本構成では、単体で固定翼と推進装置とを備え飛行可能な無人飛行機械UAV15とUAV16を、キャビンCABINに結合させ、キャビンを中心とした機体の翼と推進装置として用いることを特徴としている。図3から図12までで前述した構成が翼を運搬してきた無人飛行機械を最終的に分離する必要があるのに対して、本構成では、無人飛行機械UAV15とUAV16が最終的に結合したままキャビンを中心とした機体の翼あるいは推進装置となるため、効率的な運用が可能になる利点がある。
キャビンCABINを、複数の無人飛行機械UAVを用いて出発地点の上空に浮上させ、空中で、キャビンCABINに、単体で固定翼と推進装置とを備え飛行可能な無人飛行機械UAV15とUAV16を結合することで、キャビンCABINを中心とした機体を構成して目的地点上空まで飛行する。目的地点上空で、あらかじめ待機していた複数の無人飛行機械UAVを用いてキャビンCABINを空中に保持した状態で、単体で固定翼と推進装置とを備え飛行可能な無人飛行機械UAV15とUAV16をキャビンCABINから分離し、キャビンCABINは目的地点に着陸する。
図14は、本発明の実施例1における飛行機械および物流・モビリティシステムにおいて、複数の無人飛行機械を用いて空中で組み上げるキャビンを中心とした機体の別の構成を模式的に表す図である。本構成では、図13で前述した構成と同様に、単体で固定翼と推進装置とを備え飛行可能な無人飛行機械UAVを、キャビンCABINに結合するが、左右の固定翼が一体で構成されている。
以上で説明した本発明の実施例1における飛行機械および物流・モビリティシステムでは、出発地からキャビンCABINと翼WINGを分離した状態で無人飛行機械を用いて別々に浮上させて、空中でキャビンを中心とした機体を組み上げ、目的地上空で再びキャビンCABINと翼WINGを分離して無人飛行機械を用いて着陸するとしている。しかしながら、必ずしも、離陸時と着陸時ともにキャビンと翼を分離する必要があるわけではない。
例えば、出発地が飛行場や広い空地や道路等の離陸滑走が可能な場所であるなら、地上でキャビンを中心とする飛行機を組み上げて、通常の固定翼を備える飛行機と同様に地上で離陸滑走を行って離陸し、目的地上空でキャビンCABINと翼WINGを分離して無人飛行機械を用いて着陸する、といった運用も可能である。あるいは、出発地点がビルの屋上等の高所である場合には、離陸滑走することなく、出発地点から滑空することで離陸してもよい。逆に、離陸時はキャビンCABINと翼WINGが分離した状態で行って空中でキャビンを中心とした機体を組み上げ、目的地では分離せずに、そのまま通常の固定翼を備えた飛行機と同様に着陸滑走を行って着陸することもできる。
なお、出発地点の地上でキャビンを中心とする機体を組み上げる場合においても、翼や推進力を構成する無人飛行機械UAVは、必ずしも出発地点の地上に待機している必要はない。すなわち、これらの無人飛行機械UAVは、他所から出発地点に飛来し、出発地点の地上に着陸することなく、地上にあるキャビンCABINに結合して、キャビンを中心とした機体を構成すればよい。これは、空中でキャビンCABINに翼などを結合してキャビンを中心とした機体を組み上げるのと同様の操作を、地上にあるキャビンCABINに対して行うことにより達成できる。
キャビンを中心とした機体を分離することなく地上に着陸する能力は、何らかの原因で目的地上空に無人飛行機械が待機していない事態が起こったときにも人や荷物を自力で地上に着陸することが可能であることを意味しており、安全性の観点からも有用な能力である。なお、離陸滑走あるいは着陸滑走する場合には、機体に車輪等の地上滑走用の設備が必要である。前述のようにキャビンCABINに車輪を備える構成としてもよいし、あるいは、翼WINGあるいは、キャビンCABINを中心とする機体に結合して推進力を発生する無人飛行機械に地上滑走の設備を備える構成も考えられる。
本発明の実施例1における飛行機械および物流・モビリティシステムには例えば以下のような利点がある。まず、本発明の実施例1における飛行機械は、人あるいは荷物を積載するキャビンは、単純な箱型のコンパートメントでよく、翼や回転翼、あるいはエンジンといった機構を備える必要がない。これにより、製造あるいはメンテナンスコストを抑えることが可能であり、信頼性も高い。また、翼や回転翼を供えた飛行機械は前述のように、地上においては邪魔あるいは危険であり、地上での待機場所の確保が難しい等の問題があったが、本発明の実施例1における飛行機械のキャビンは、翼も回転翼もなくこれらの問題が生じない。
次に、本実施例の飛行機械は、原理的には、従来の固定翼を備えた飛行機よりも効率のよい、すなわち燃費に優れる飛行が可能である。従来の固定翼を備えた飛行機は、最もエンジンのパワーを必要とする離陸滑走を自らのエンジンで行うため、重量が大きい大出力のエンジンを備える必要がある。通常、巡航飛行時には離陸時よりもずっと小さなエンジン出力で十分であるから、巡航のみを考えれば大出力のエンジンは不要であり、巡航時には重たい大出力のエンジンは一種のデッドウェイトになっている。
これに対して、本発明の実施例1における飛行機械は、無人飛行機械の推力を借りて加速を行うため、図6に示した最終的な巡航飛行時の形態では巡航飛行に必要な最小限のパワーのエンジンのみを搭載すればよく効率がよい。同様のことが翼についても言える。従来の固定翼を備えた飛行機では、飛行速度が遅い離着陸時に必要な揚力を得るために大面積の翼や高揚力装置といった複雑な機構を必要とするのに対して、本発明の実施例1における飛行機械では、十分な速度を得て巡航しているときのみを考えればよく、必要最小限の面積の簡素な翼でよい。これにより、翼の重量が小さくなり飛行の効率が増すだけでなく、翼の製造やメンテナンスあるいは保管に必要なコストを低減できる。
また、すでに前述したが、図6に示した機体は、キャビンや翼に動力あるいは動翼等の稼動部を持たず、キャビンに結合した無人飛行機械UAV7が持つ推進器や飛行制御機構を用いて、結合後の機体の制御を行っている。これにより、キャビンおよび翼の製造や
メンテナンスのコストを抑えることができる。ただし、当然ながら、キャビンにエンジンやプロペラ等の推進装置や、最終的なキャビンを中心とした機体を制御するための動翼を供え、空中で翼のみを結合させるという構成も可能であり、運用の仕方によっては、この構成が望ましい場合もあると考えられる。
以上説明したように、本発明の実施例1における飛行機械および物流・モビリティシステムにおける飛行機械は、複数の無人飛行機械を用いることで、人あるいは荷物を積載したキャビンCABINを任意の出発地点から任意の目的地点へダイレクトに空中で移動させることができる。
図15は本発明の実施例2における飛行機械および物流・モビリティシステムにおいて、飛行機械の管理システムの構成を表すブロック図である。本実施例の飛行機械および物流・モビリティシステムは、実施例1で前述したように、多数の無人飛行機械UAVや翼WINGといった離着陸あるいは飛行に必要な機材を、必要な時に必要な場所に派遣することで成立する。そのためには、多数の無人飛行機械UAVや翼WING等の機材を管理する管理システムが必要である。
図15の管理システムUAV_SYSTEMは、飛行要求受付部REQ、飛行機体算出部REQI、飛行要求データベースREQ_DB、機材管理部MAN、機材現在状態データベースEQUIP_DB、飛行機体割り当て部ASGN、機材スケジュールデータベースSC_DB、および、1つまたは複数の無人飛行機械拠点BASEと、管理システムUAV_SYSTEM全体の管理を行う管理部CTRLと、から構成される。
飛行要求受け付け部REQは、外部(ユーザー)からの飛行要求を受け付ける。飛行要求には、出発地、出発時刻、キャビンおよび乗員を含むペイロードの重量、目的地、および、目的地への希望到着時刻等のユーザーが希望する飛行に関する情報が含まれる。
飛行機体算出部REQIは、飛行要求受け付け部REQが受け付けた飛行要求から、その飛行を行うのに必要な機材、すなわち、必要な無人飛行機械UAVの種類および数、および、翼WINGの種類等を、離陸時、巡航飛行時、着陸時にわけて算出する。必要な無人飛行機械UAVの種類および数は、実施例1に前述したように、キャビンおよびペイロードを出発地点上空に浮上させる、また、翼WINGを出発地点上空へ運搬する、あるいは、合体後のキャビンCABINを中心とした機体の推進力を発生する必要性から決まる。なお、キャビンの仕様や、垂直離着陸の必要性があるか等の飛行の形態に応じて、必要な無人飛行機械UAVの種類や数は異なる。無人飛行機械UAVおよび翼WINGの種類、性能や仕様は、別途データベース化されているものとする。
外部から入力された飛行要求と、飛行機体算出部REQIによって決定された飛行要求を満たすのに必要な無人飛行機械UAVの種類および数は、飛行要求データベースREQ_DBに格納される。
図16は、飛行要求データベースREQ_DBに格納される飛行要求データ1600の一例を示す図である。飛行要求データベースREQ_DBに格納される飛行要求データ1600は、出発地点、目的地点、搭乗人数、ペイロードの重量、離陸時刻、到着時刻、優先度といった外部からの飛行要求の情報と、飛行機体算出部REQIによって算出された離陸、飛行(巡航)、着陸時における、無人飛行機械UAVや翼WING等の必要機材の情報と、から構成される。
出発地点および目的地点は、GPS座標、あるいは、既知の物流倉庫や飛行場の名前等の、緯度・経度を特定可能な情報を表す。搭乗人数は移動する人の数である。人を乗せる場合と、人を乗せずに荷物のみを運搬する場合で、必要とされる設備や安全対策等が異なることが想定される。ペイロード重量は、運びたい人や荷物の重量である。なお、ペイロード重量にキャビンCABINの重量を含ませる構成も考えられる。出発時刻および到着時刻は、出発地点を出発したい時刻、および、目的地点に到着したい時刻を表す。なお、到着時刻は、出発時刻と、出発地点と目的地点の間の距離からシステムによって計算するという構成も考えられる。優先度は、その飛行要求がどれくらい切迫しているかを表す相対的な指標である。
機材管理部MANは、管理システムUAV_SYSTEMが管理する無人飛行機械UAVや翼WING等の機材の現在の状況を把握し管理する。具体的には、機材管理部MANは、1つまたは複数の無人飛行機械拠点BASEにある機材の情報、あるいは、後述する機材スケジュールデータベースSC_DBの情報を参照して、各機材の現在状態を更新し、機材現在状態データベースEQUIP_DBに格納する。
図17は、機材現在状態データベースEQUIP_DBに格納される機材現在状態データ1700の一例を示す図である。EQUIP_DBに格納される機材現在状態データ1700は、機材ID、現在位置、移動先、状態、作業終了予定時刻といった機材の現在の状態を表す情報、および、機材自体の属性を表す機材情報と、からなる。
機材IDは、管理システムUAV_SYSTEMが管理する無人飛行機械UAVや翼WING等の全ての機材を一意に区別するIDである。現在位置は、拠点Aあるいは拠点Bといった既知の地点の名前、あるいは、緯度・経度を特定するGPS座標といった、その機材が現在ある地点を表す情報である。移動先は、現在、機材が飛行中である場合などの移動予定先を表す。状態は、拠点において待機中、あるいは整備中や飛行中といった、機材の現在の状態を表す。作業終了予定時刻は、機材が整備中あるいは飛行中などといった理由で、すぐに使用することが不可能な場合に、使用可能になる予定時刻を格納する。
機材情報は、種別、重量、ペイロード、航続時間、機能から構成される。種別は、無人飛行機械UAVあるいは翼WING等といった機材の種別を表す。重量は、機材の重量である。ペイロードは無人飛行機械UAVであればそのペイロード、翼WINGであればその翼を用いることで飛行可能な重量を表す。無人飛行機械UAVのペイロードの情報は、例えば、キャビンを浮上させるのに何機の飛行機械が必要かを決定する際に必要となる。航続時間は、無人飛行機械UAVの後続可能時間を表す。機能は、翼を運搬可能であるか、キャビンを運搬可能であるか、キャビンを中心とした機体の推進用として使用可能か、といった機材がもつ機能を表す。多くの場合、翼を運搬可能であるか、キャビンを運搬可能であるかは、結合機構の有無によって決まると考えられるため、より具体的に。どのような結合機構を備えているかという情報を格納する構成も考えられる。
飛行機体割り当て部ASGNは、飛行要求データベースREQ_DBに格納された飛行要求を満たすのに必要な機材と、機材現在状態データベースEQUIP_DBに格納された管理システムUAV_SYSTEMが管理する無人飛行機械UAVや翼WING等の機材の現在の状態と、を参照して、どの機材をどの飛行要求に割り当てるかを決定して、機材スケジュールデータベースSC_DBに格納する。同時に、飛行が可能かどうか、すなわち、飛行要求を満たすのに必要な機材の手配が可能かどうかを飛行要求受付部REQに通知し、飛行要求受付部REQは、これを外部(飛行要求を行ったユーザー)に対して回答する。なお、必要な機材が不足して、全ての飛行要求を満たすことが不可能な場合に、どの飛行要求を優先するかは、飛行要求の優先度にしたがって決定する。
飛行機体割り当て部ASGNが、飛行要求と機材の現在要求とから、どの機材をどの飛行要求に割り当てるかを決定するには、例えば、出発時刻が早い飛行要求から順に使用可能な機体を割り当てていく貪欲法といった既存の手法を用いることができる。また、単純に出発時刻順に機材を割り当てる貪欲法ではなく、後の飛行で必要となる機材とその出発地点や目的地点を勘案して最適な飛行機材を割り当てる手法も考えられる。さらには、未来の飛行要求を統計的な手段で予測し、最適な飛行機材を割り当てるといった手法も考えられる。また、場合によっては、出発時刻が後の飛行で必要となる機材が必要地点の近くにない場合、あらかじめ必要な機材を飛行要求なしで空荷で移動させておく、といったことも考えられる。
また、実際に飛行を行うにあたっては、現地の天候や不意の災害等といった外部の要因に左右される場合がある。これらの情報を、外部より、飛行機体割り当て部ASGNに入力し、これらの情報をも勘案して、飛行するかどうか、あるいは、どの機材を割り当てるかを決定する構成も考えられる。
無人飛行機械拠点BASEは、機材スケジュールデータベースSC_DBに格納された各機材のスケジュールにしたがって、各拠点にある無人飛行機械UAVあるいは翼WING等を運行する。すなわち、図3〜図9でも説明したように、無人飛行機械UAVは場合により翼WING等を空輸して、無人飛行機械拠点BASEとキャビンCABINの間を移動し、キャビンCABINとの結合あるいは分離を行う。これらは例えば無人飛行機械拠点BASEからの無線通信により、無人飛行機械UAVが搭載するコンピュータに指示を行い、飛行やキャビンCABINとの結合あるいは分離を行わせる。これらは自動運転で行ってもよいし、無人飛行機械拠点BASEにいるオペレータによる遠隔操作でもよい。上記の無人飛行機械拠点BASEの機能はハードウェア構成としては、管理システムUAV_SYSTEMに含めてもよい。
拠点より機材を他所に派遣する、あるいは、機材が拠点に帰還する、機材の整備が完了する、といった機材の現在状態の変化があった際には、機材管理部MANに通知し、機材現在状態データベースEQUIP_DBを更新する。
管理部CTRLは、管理システムUAV_SYSTEM全体のモニタリングおよび管理を行う。また、UAV_SYSTEM全体の現在の状態を外部(管理者)に提示する、あるいは、管理要求を受け付けるための管理UIを提供する。
以上説明したように、本発明の実施例2における飛行機械および物流・モビリティシステムにおける管理システムは、複数の拠点に分散配備された多数の無人飛行機械あるいは翼といった機材を統合的に管理することで、多数の飛行要求を満たすことが可能となる。
以上説明した本実施例の飛行機械およびそれを用いた物流・モビリティシステムは、無人飛行機械を用いることで人あるいは荷物を積載したキャビンを離陸滑走することなく空中に浮かべることが可能である。その後、空中で別に運んできた固定翼とキャビンを合体させて固定翼を備えた飛行機として飛行するため、効率の良い飛行が可能であり、燃費に優れ航続距離が長い。また、地上では大きく邪魔な固定翼がキャビンとは分離しているため、地上で待機するために必要な場所が小さいという利点もある。
なお、本実施例の飛行機械およびそれを用いた物流・モビリティシステムは、複数の無人飛行機械を必要とするが、これは近年普及が始まっている個人宅への荷物の配達等の物流用途に用いられる小型の無人飛行機械を用いることが可能である。散発的に発生する配達等の物流需要にすばやく対応するためには、常時ある程度まとまった数の無人飛行機械が待機状態にあることが必要である。本実施例の飛行機械およびそれを用いた物流・モビリティシステムは、これら待機状態にある無人飛行機械に新たな活用方法を与えるものである。

Claims (4)

  1. 任意の出発地点から目的地点へ、人あるいは荷物を空中輸送する飛行機械であって、
    人あるいは荷物を積載するキャビンを備え、
    前記キャビンは、
    固定翼を分離可能に結合する固定翼結合機構と、
    前記キャビンに重力に水平方向成分を持つ推力を与えるとともに前記固定翼により揚力を発生させる推進ユニットを、分離可能に結合する推進ユニット結合機構と、
    前記キャビンに重力に垂直方向成分を持つ推力を与え前記固定翼による揚力がなくても前記キャビンを浮上させる浮上ユニットを、分離可能に結合する浮上ユニット結合機構と、
    を備え
    前記固定翼は、自己を空中搬送するための第2の飛行機械を分離可能に結合する搬送用結合機構を備える飛行機械。
  2. 前記固定翼結合機構、前記推進ユニット結合機構、および、前記浮上ユニット結合機構は、飛行機械が空中にある状態で、結合および分離の少なくとも一つが可能である、
    請求項1記載の飛行機械。
  3. 前記固定翼に前記推進ユニットが結合されており、
    前記固定翼結合機構が前記推進ユニット結合機構を兼ねる、
    請求項1記載の飛行機械。
  4. 前記固定翼、前記推進ユニット、および、前記浮上ユニットの少なくとも一つは、前記キャビンとは独立して飛行可能な構成である、
    請求項1記載の飛行機械。
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