JP6830335B2 - 搾乳用加温具、及びこれを利用した搾乳器 - Google Patents

搾乳用加温具、及びこれを利用した搾乳器 Download PDF

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Description

本発明は、搾乳時に乳房を温める搾乳用加温具、及びこれを利用した搾乳器に関する。
乳児に直接母乳を与えることが困難な場合、乳頭が傷ついている場合、乳腺炎を予防する場合などに、母乳を取り出す搾乳器が用いられている。
この搾乳器は、乳房を覆う搾乳口を有する漏斗状のフード部と、このフード部が接続されると共に、搾乳した母乳を貯留する容器が接続される搾乳器本体と、この搾乳器本体を介して搾乳口で囲まれた空間に負圧を与えたり解除しりするためのポンプ部とを有している。
このような搾乳器を用いて搾乳をする際、使用者は乳房を搾乳口に密着させて使用するため、冷たい搾乳口が乳房を冷やすことになる。この乳房の冷えは、血行を悪化させて血液の量が減ることで母乳の出を悪くさせ、また、乳房に急に冷たい搾乳口を接触させることで緊張状態を生じさせ、この緊張により、母乳を出すためのホルモンが減少することも分かってきた。このため、搾乳する際は、搾乳口は適度に温められているのが好ましい。
従来、搾乳口を加温するための装置としては、例えば特許文献1に示すブレストキャップがある。即ち、特許文献1の図1に示されるように、ブレストキャップ(フード部)の乳房と接触する内面には、薬用パラフィン等の蓄熱材であるゲル状の抵抗発熱体が収容されたパッド16が設けられている。そこで、使用者は、搾乳前にこのパッド16を湯で加温するなどして温め、これにより搾乳時の冷えを解消させている。
また、特許文献1では、その図2に示されるように、ブレストキャップには、パッド16だけではなく、抵抗電熱線からなる加温器9も有している。これにより、パッド16が冷えてきても、加温器9に電力供給して発熱させ、これにより、搾乳中であっても乳房の冷えを解消させている。なお、抵抗電熱線からなる加温器だけで乳房を温める従来の搾乳器については、例えば特許文献2もある。
特許第4431583号公報 特表2009−520524号公報
ところで、特許文献1の図1に示す薬用パラフィン等が収容されたパッド16による蓄熱材方式では、パッド16を湯等で温める必要があり、温めるのに時間がかかって、その作業が大変である。しかも、パッド16は直ぐに冷えてしまうため、結局、特許文献1の図2に示すように、抵抗電熱線からなる加温器をフード部に設ける必要がある。
しかし、この抵抗電熱線による電気ヒーター式では、搾乳中に搾乳口に通電をする必要があり、電源を必要としない手動式搾乳器には使用できない。また、電動式搾乳器についても、抵抗電熱線が見えただけで使用者は緊張をし、このちょっとした緊張感が母乳の出を悪くさせる原因につながってしまう。母乳の出は精神状態に相当に左右されるものである(特許文献2も同様に電気ヒーター式であり、同じ問題が存在する)。更に、電気ヒーター式では薬液及び煮沸消毒を行うこともできない。
なお、発明者は、その他にも蒸しタオル・湯たんぽ・カイロ方式などの様々な方式を試みたが、いずれも加温に時間がかかったり、温度が直ぐに低下したりするなどの問題があることが分かった。
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、直ぐに温められ、かつ、その温度を可及的に維持でき、さらに、搾乳口を乳房に当てた際の緊張感を緩和する乳房加温具、及びこれを利用した搾乳器を提供することを目的とする。
上記課題は、本発明によれば、搾乳時に乳房を覆う搾乳口に接続され、前記搾乳口よりも高い温度で発熱する発熱部を備えた搾乳用加温具であって、前記発熱部は、マイクロ波エネルギーを吸収して発熱するフェライトを有し、前記発熱部を熱硬化性樹脂で被覆することで、搾乳時における前記搾乳口を介した又は直接的な乳房への接触温度が、乳房の温度以上であって、かつ、低温火傷をしない温度以下となるように、前記発熱部から乳房に伝達される温度を低下させる被覆部を有し、前記被覆部は、前記搾乳口を有する略漏斗状のフード部の搾乳器本体に着脱される筒状部が挿通可能な貫通孔と、前記貫通孔から外側に拡がった拡張部とを有し、前記拡張部は、前記搾乳口の外周面に対応した形状とされているとともに、前記搾乳口の略ラッパ状の周方向に沿って配置され、かつ、前記周方向の一部が途切れている搾乳用加温具により解決される。
本発明の構成によれば、搾乳口よりも高い温度で発熱する発熱部を備えた搾乳用加温具は、搾乳時に乳房を覆う搾乳口に接続されるため、例えば搾乳口の外周面側に接続すれば、搾乳口を温めて乳房の冷却を防止することができる。また、搾乳口の内周面側に接続すれば、暖かい搾乳用加温具を直接、乳房に接触させて、乳房の冷却を防止できる。なお、本発明の搾乳用加温具の搾乳口への接続構造は着脱式と固定式のいずれあっても構わない。
ここで、発熱部は、マイクロ波エネルギーを吸収して発熱するフェライト(酸化鉄)を有している。従って、使用者は発熱部を電子レンジで短時間に加熱することができる。また、このフェライトが配合された発熱部は、搾乳時間に対応した長い時間(例えば片胸に約10分)、少なくとも温度が大きく低下する事態も防止できる。
ところで、フェライトは食品を加熱する等の利用方法が多く、一般的なフェライトを配合した発熱部では逆に温度が高過ぎることになる。しかし、本発明の構成によれば、搾乳時における搾乳口を介した又は直接的な乳房への接触温度が、乳房が低温火傷をしない温度となるように、発熱部から乳房に伝達される温度を低下させる被覆部を有している。従って、この被覆部が緩衝材になって、長い時間搾乳しても、乳房の低温火傷を防止できる(例えば、該接触温度を46℃となるように被覆部を厚くすれば、30分程度は皮膚に接触させ続けても低温火傷にならず、安全率を見て長い搾乳時間であったとしても低温火傷を確実に防止できる)。
また、この接触温度は、乳房の温度以上であれば、少なくとも搾乳口を乳房に接触させた際のヒヤッと感から生じる緊張を回避して、ホルモン分泌の減少を防止することもできる。なお、緊張感について言えば、抵抗電熱線もないので、それだけでも使用者の緊張感を緩和できる。
しかも、この被覆部は熱硬化性樹脂であるため、発熱部を電子レンジで加熱する際に変形・溶融することもなく、例えば、搾乳口に対して着脱可能に接続する場合は、搾乳口に合った適切な形状を保持できる。
さらに、この搾乳用加温具は樹脂製の被覆部で覆われているため、搾乳用加温具の搾乳口への接続構造が着脱式と固定式のいずれを問わず、薬液及び煮沸消毒を行うこともでできる。
なお、上記「乳房への接触温度」は、好ましくは乳房に最初に接触する温度であるが、多少前後しても構わない。また、搾乳している最中に乳房から搾乳口を長時間外し、再び乳房に接触する際の接触温度は除かれる。
また、被覆部は、搾乳口を有する略漏斗状のフード部の搾乳器本体に着脱される筒状部が挿通可能な貫通孔と、貫通孔から外側に拡がった拡張部とを有し、拡張部は、搾乳口の外周面に対応した形状とされているため、フード部を搾乳器本体から取り外し、フード部の筒状部を搾乳用加温具の貫通孔に通したり、貫通孔から外したりして、搾乳用加温具を搾乳口に着脱可能に接続することができる。従って、フード部とは別に搾乳用加温具を単独で電子レンジで加熱することができ、フード部(搾乳口を含む)の電子レンジで加熱することによる変形・溶融の恐れを防止できる。
また、貫通孔から外側に拡がった拡張部は、搾乳口の外周面に対応した形状なので、搾乳口が可撓性の低い樹脂から形成されていても、拡張部を搾乳口の外周面に密着させることができる。
また、拡張部は、搾乳口の略ラッパ状の周方向に沿って配置され、かつ、周方向の一部が途切れている。即ち、拡張部は貫通孔から一部の周縁部(貫通孔と反対側の開口部の周縁部)までが切り欠き部とされており、そうすると、拡張部はこの途切れた切り欠き部分を拡げるようにして周方向の寸法を変化させることができる。従って、搾乳用加温具は、それを接続するフード部が大きくても、周方向の寸法を変化させて接続することができる。
また、好ましくは、前記被覆部はシリコーン樹脂製であって、前記発熱部から前記外周面側の面までの厚み方向の寸法が略1〜2mmであり、前記発熱部は、シリコーン樹脂に前記フェライトを配合した略0.5〜1mmの厚みを有する板状体であり、前記発熱部を構成する前記シリコーン樹脂と前記フェライトの重量比は略6:1〜9:1であることを特徴とする。
かかる構成であれば、電子レンジにより迅速に(例えば500Wの出力の電子レンジであれば60秒前後で)有効な加熱が可能になると共に、搾乳口を介した乳房への接触温度を心地よい温度にして母乳の出を促進することができる。
即ち、乳房の低温火傷を防止するだけであれば、例えば発熱部のシリコーン樹脂のフェライトに対する重量比を2以上にするなどして、搾乳口を介した乳房への接触温度を約46℃に抑えればよい(46℃は30分程度は皮膚に接触させ続けても低温火傷にならない温度であり、通常、片胸約10分程度を要する搾乳時間の安全率を見て長い搾乳時間であったとしても、低温火傷を有効に防止できる温度である)。しかし、より積極的に搾乳を促すには、単に低温火傷を防止するだけではなく、使用者に心地良さを与えることが好ましい。そこで、実験の結果、上記構成であれば、適切に加熱した搾乳用加温具を一般的なポリプロピレン製などの搾乳口の外周面に密着するように配置した際、搾乳口の乳房が接触する内周面側の温度を略37〜42℃にできることが分かった。この37℃は通常の体温よりも若干高めの温度であり、また、42℃は入浴時の少し高めの湯温であるため、この範囲内の接触温度であれば、単に低温火傷を防止するだけではなく、心地良さを使用者に与えることができる。従って、搾乳を効果的に促進することができる。
また、好ましくは、前記搾乳口の外周面には、前記被覆部と係止して位置決めするための位置決め手段が形成されていることを特徴とする。
従って、搾乳用加温具が搾乳口に着脱される構造であっても、搾乳用加温具が搾乳口から外れてしまう恐れを有効に防止できる。
そして、上記課題は、上述したいずれかに記載の搾乳用加温具が接続された前記搾乳口と、前記搾乳口で囲まれた空間を負圧にするための搾乳器本体とを有する搾乳器により解決される。
この構成によれば、上述したように、発熱部はフェライトを有しているので、電子レンジで短時間に加熱でき、しかも、搾乳時間中は温度が大きく低下する事態も防止できる。
また、発熱部の温度が高くても、被覆部が熱的に緩衝材になって、乳房の低温火傷を防止でき、少なくとも搾乳口を乳房にあてがった際のヒヤッと感から生じる緊張を回避して、ホルモン分泌の減少を防止することもできる。
しかも、この被覆部は熱硬化性の樹脂であるため、変形・溶融することなく、接続される搾乳口に合った適切な形状を保持できる。
また、好ましくは、前記搾乳用加温具は前記搾乳口と分離不可能に接続されていることを特徴とする。
従って、搾乳口に搾乳用加温具を接続する手間が要らず、より簡単・迅速に搾乳を始めることができる。
また、好ましくは、前記搾乳口は、前記搾乳用加温具が接続される領域に温度センサを有し、前記温度センサの検出結果に基づいて、前記乳房の低温火傷を招く温度以上であることを使用者に報知する報知部が設けられていることを特徴とする。
従って、使用者が仕様とは異なる使い方をし、搾乳用加温具を電子レンジで加熱し過ぎたとしても、温度センサがそれを感知して、そのことを報知部で使用者に知らせ、使用者の火傷を防止することができる。
以上、本発明によれば、直ぐに温められ、かつ、その温度を可及的に維持でき、さらに、搾乳口を乳房に当てた際の緊張感を緩和する乳房加温具、及びこれを利用した搾乳器を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る搾乳用加温具を接続した搾乳器の概略中央縦断面図。 図1の搾乳用加温具の斜視図。 図1の搾乳用加温具が接続されたフード部の斜視図。 図1の搾乳用加温具とフード部の分解斜視図。 図1の搾乳用加温具が接続されたフード部の斜視図であり、搾乳用加温具の一部が切り欠かれた図。 発熱部の厚さとフェライト配合比率を変えた場合の測定試験であり、図6(A)はその測定条件、図6(B)はその試験結果(搾乳口の内周面の温度)。 電子レンジの出力と加熱時間を変えた場合の測定試験であり、図7(A)はその測定条件、図7(B)は試験結果(搾乳口の内周面の温度)。 被覆部の厚さを変えた場合の測定試験であり、図8(A)はその測定条件、図8(B)は試験結果(搾乳口の内周面の温度)。 被覆部の表面温度の測定試験であり、図9(A)はその測定条件、図9(B)は試験結果(被覆部の表面温度の温度)。 電子レンジで加熱した図1の搾乳用加温具を搾乳口に接続した前後の搾乳口の内周面の温度の推移データ。 本発明の第1実施形態に係る搾乳用加温具の変形例であり、図11(A)は第1変形例の断面を表した部分図、図11(B)は第2変形例の断面を表した部分図。 本発明の第1実施形態の第3変形例に係る搾乳用加温具を接続したフード部の斜視図。 図1の搾乳用加温具を接続した搾乳器の変形例に係る斜視図。 本発明の第2実施形態に係る搾乳用加温具を有するフード部の斜視図。 図14のA−A断面図。 本発明の第3実施形態に係る搾乳用加温具をフード部に接続して縦方向に切断した概略縦断面図。
以下、この発明の好適な実施形態を添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図において付した同じ符号は同様の構成を有している。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る搾乳用加温具10と、これを利用した搾乳器20の概略中央縦断面図である。なお、フード部16と搾乳用加温具10の部分については、断面を表す平行斜線は省略して図示している。
先ず、搾乳器20について説明する。
図1の搾乳器20は、乳児に直接母乳を与えることが困難な場合、乳頭が傷ついている場合、乳腺炎を予防する場合などに用いられ、本発明の例として手動式を示している。
この手動式の搾乳器20は、使用者が手動で操作をして搾乳できる器具であり、自らが操作をするため、軽量であって、かつ、片手での操作を可能とし、疲労を軽減できるものが好ましい。
図1の搾乳器20は、乳房にあてがわれる「フード部16」、このフード部16で囲まれた空間S1と連通した空間である連通部S3を有する「搾乳器本体21」、この本体21の連通部S3に負圧を発生させる負圧発生部材である「ダイヤフラム30」、このダイヤフラム30を変形させる操作部である「ハンドル61」、搾乳した母乳を貯留するための「ボトル11」を備えている。
本実施形態のフード部16、ダイヤフラム30、ハンドル61、及びボトル11は、好ましい態様として、搾乳器本体21に対して着脱可能となっているが、本発明は必ずしもこれに限られず、本体21に対して固定されていてもよい。
「フード部16」はファネル、或いはブレストキャップ等とも言い、比較的軽く、かつ、硬質な合成樹脂材料により成形され、変形し難くなっており、例えば熱可塑性部材であるポリプロピレンからなるのが一般的である。
フード部16は、全体的には漏斗状とされており、搾乳時に乳房を覆う略ラッパ状・略ドーム状の搾乳口18と、この搾乳口18の最も径の小さい縮径部18Aから延伸して搾乳器本体21に着脱可能に接続される筒状部19を有している。
搾乳口18は、乳房が挿入される部分であり、乳房に対応した形状を有する内周面18Bに囲まれた空間S1を有している。そして、最も径の大きい拡径部18Cから乳房が挿し入れられ、空間S1に乳房が収まって、内周面18Bに乳房が略密着し、これにより縮径部18A付近に配置された乳首周辺が密閉空間とされる。図の搾乳器20の場合、この乳首周辺の密閉空間を負圧にすることで搾乳する構造となっている。なお、搾乳口18は透明又は半透明である。
筒状部19は、搾乳口18の略中心線CLに沿って延伸しており、搾乳口18側と反対側の端部19Aが搾乳器本体21に挿入され、搾乳器本体21から搾乳時には抜けないように嵌合されている。本実施形態の筒状部19は略円筒体とされているが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、正三角形体、正四角形体、正多角形体等であってもよい。
「搾乳器本体21」は、比較的軽く、かつ、硬質な合成樹脂材料により成形されており、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニルサルフォン等により形成されている。
搾乳器本体21のフード部16が装着される装着部17は筒状であって、その内側に通気及び搾乳した母乳の通路とされる通気路23を有している。通気路23は、本体21内の略中央部に形成された内部空間S2を介して、連通部S3と空間的に繋がっている。
連通部S3は負圧が付与される領域であり、この連通部S3を覆って封止するようにダイヤフラム30が接続されている。そして、ダイヤフラム30の変形により連通部S3を負圧状態にすると、内部空間S2と通気路23を介して、フード部16で囲まれた空間S1を負圧にすることができる。
本体21の内部空間S2の下側はボトル11に向かって開口しており、この開口した部分に弁26が設けられている。弁26はシリコーンゴム等の弾性体で形成され、先端にスリット26aを有している。スリット26aは、連通部S3を負圧状態にすると閉じ、負圧状態から解放すると開くようになっている。これにより、連通部S3を負圧状態にすると母乳を内部空間S2に引き込み、該負圧状態を解放するとスリット26aが開いて、内部空間S2にある母乳をボトル11に落とすことができる。
本体21の上部において、フード部16と反対の位置には、アーム48が延びている。このアーム48の上端部には、ハンドル61を取り付けるための支軸部49が形成されている。
これにより、ハンドル61は、本体21の支軸部49を中心に支軸部49回り(図のY方向)に回動自在となり、この回動操作によりダイヤフラムは変形するようになっている。
「ダイヤフラム30」は、負圧を発生させるための負圧発生部材であり、ハンドル61の操作の作用を受けて変形し、連通部S3の空間の容積を変更することで、一定量の負圧を付与するようになっている。具体的には、ダイヤフラム30はハンドル61と結合部70を介して連結されている。結合部70は上方に突出し、例えばポリプロピレン、ポリカーボネート等の硬い合成樹脂で形成されている。なお、ダイヤフラム30は、全体が比較的弾性に富んだ柔軟な変形材料、例えばシリコーンゴム、イソプレンゴム等により形成されている。
「ハンドル61」は長尺の形状であり、比較的硬質であって軽量な合成樹脂、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィン、ポリエーテルサルフォン等で成形されている。
ハンドル61は、ダイヤフラム30の上方に配置されて、結合部70と連結してダイヤフラム30を持ち上げるリフト部61Aと、このリフト部61Aから曲折して搾乳器本体21の側面に対応して位置するレバー部61Bとを有する。
レバー部61Bの外面側にそえた指FGを本体21に接近するように動かすことで、ハンドル61が支軸部49を中心に回動し、リフト部61Aが結合部70を介してダイヤフラム30を上に持ち上げ、これにより連通部S3の空間が大きくなって負圧状態となり、母乳が吸われる。これに対し、指FGの力を弱めると、ダイヤフラム30の弾性力が発揮して、ダイヤフラム30は元の状態に復帰し、連通部S3の負圧状態が解消されると共に弁26が開いて、吸った母乳はボトルに落ちる。
「ボトル11」は、その瓶口の周囲に形成された雄ネジ部(不図示)を有し、搾乳器本体21の下部内面に形成された雌ネジ部(不図示)と螺合されることで着脱可能になっている。尚、ボトル11は、搾乳器20の専用品でもよいし、上述した着脱構造に適合した哺乳瓶等を利用してもよく、また、成形された容器ではなく、袋状とされていてもよい。
ここで、上述した搾乳口18には、搾乳口18よりも高い温度で発熱して、搾乳口18を加温するための発熱部15を備えた搾乳用加温具10が接続されている。
以下、この搾乳用加温具10について、上述した図1と、図2〜図5を用いて説明する。
図2は、搾乳用加温具10の斜視図、図3は搾乳用加温具10を接続した状態のフード部16の外周面(乳房が挿入される内側とは反対側の面)18D側の斜視図、図4は搾乳用加温具10とフード部16の分解斜視図、図5は搾乳用加温具10が接続されたフード部16の斜視図であり、搾乳用加温具10の一部が切り欠かれた図である。なお、図5の円で囲った図は、搾乳用加温具10の切り欠かれた断面付近を拡大した図である。
搾乳用加温具10は、本実施形態の場合、搾乳口18の外周面18Dに配置され、搾乳口18を介して乳房にその発熱温度を伝達するものであり、発熱部15、及び、発熱部15を被覆する被覆部12を有している。
発熱部15は、マイクロ波エネルギーを吸収して発熱するフェライト(Fe)が配合されている。フェライトはMgCuZn系のフェライトであり、例えばスピネル型構造を有している。そして、発熱部15は、粉末状のMgCuZn系フェライトをベース材となるシリコーン樹脂に添加して混練し、これを焼成することで形成されている。シリコーン樹脂とフェライトの重量比は、シリコーン樹脂:フェライトを約2:1〜9:1とするのが適当であり、好ましくは約6:1〜9:1である。この点については、後で測定試験の結果を用いて詳細に説明する。
このフェライト配合シリコーン樹脂からなる発熱部15は、薄い板状体(シート体)をリング状にして形成され、図5に示す厚みD2は約0.5〜3mmが可能であり、好ましくは約0.5〜1.0mmにするとよい。このように発熱部15は厚み寸法が小さく、かつ、フェライトを軟質性のシリコーン樹脂に配合していることから、所定の弾力性及び可撓性を有している。このため、発熱部15は、力を加えない状態では概ね平らなリング状であるが、被覆部12にカバーされた際は可撓して略円錐筒状となる(この円錐筒の形状は被覆部12で保持される)。円錐筒状の発熱部15は、被覆部12を介して搾乳口18の外周面18Dに配置された際に、外周面18Dに収まる寸法であり、図の場合、幅W1は約15mm、円周の長さは概ね250mmである。以上のサイズの発熱部15であれば、重量が左程大きくなることもなく、搾乳器を持つ腕への負担もそれ程増すわけではない。
被覆部12は、発熱部15が露出しないように発熱部15の全体を覆って、発熱部15から乳房に伝達される温度を低下させる緩衝材である。即ち、発熱部15は電子レンジでマイクロ波を浴びると、かなり高温になり易くなっている(シリコーンとフェライトの配合比率にもよるが、通常の配合比率では100度までは直ぐに上がってしまう)。このため、発熱部15を覆う被覆部12は、搾乳時に搾乳用加温具10を付けた搾乳口18の乳房への接触温度(図1の搾乳口18の内周面18Bの温度であり、好ましくは乳房への最初の接触温度)が、乳房の温度以上であって、かつ、乳房が火傷をしない温度となるように、その材料や厚みを工夫している。
さらに、搾乳には相当な時間を要し、個人差はあるものの片胸でも10分程度を要することが多いことから、被覆部12は、搾乳口18が乳房に長時間接触することで生じる低温火傷を防止する構成とするが好ましい。この際、低温火傷は46度では接触時間が30分で起こる場合があることから、安全率をみて、乳房に接触している最中の接触温度は46℃以下とするのがよい。
本実施形態の場合、被覆部12は発熱部15とは別体に形成され、熱伝導率が比較的低く、耐熱性の高いシリコーン樹脂で形成されている。即ち、発熱部15のベース材となるシリコーン樹脂とは別に、更にシリコーン樹脂で発熱部15を覆うことで、フェライトが存在しない所定の厚みを有する断熱層を形成し、これにより高温になり過ぎる発熱部15の温度を下げている。なお、被覆部12のシリコーン樹脂は、ミラブル型シリコーンと液状シリコーンのいずれであってもよい。
また、被覆部12のシリコーン樹脂は、耐熱性に優れた熱硬化性樹脂であり、このため、電子レンジに入れて、その内側の発熱部15が加熱しても変形・溶融することを防止できる。
図5に示すシリコーン樹脂からなる被覆部12は、発熱部15から搾乳口の外周面18D側の面(内側面)12Dまでの厚みD1として0.5〜3mmが可能であり、好ましくは1〜2mmにするとよい。これにより、搾乳用加温具10の搾乳口18を介した乳房への接触温度を、乳房の温度以上であって、かつ、少なくとも低温火傷をしない温度以下とすることができ、更には、使用者にとって心地の良い温度とすることができる。
また、被覆部12は、搾乳口18と反対側の表面12Eの温度を、乳房への接触温度と同等以上であって、かつ、適正に発熱した搾乳用加温具10を手で触った際に低温火傷をしない温度以下となるようにしている。従って、加熱した搾乳用加温具10の温度を搾乳前に手で容易に感じられるようにして、過熱した搾乳用加温具10の搾乳口18への装着を躊躇させて、乳房の火傷を未然に防止できる。また、被覆部12の該表面12Eの温度は、搾乳用加温具10を搾乳口18に装着する際に低温火傷をしない温度以下となり、搾乳用加温具10が着脱式であっても、手を火傷することなくフード部16に装着できる。
図の場合、発熱部15は、被覆部12の厚み方向の中央部に配置されており、発熱部15から被覆部12の該表面12Eまでの厚みD3を厚みD1と同様にし、適正に発熱した搾乳用加温具10の該表面12Eの温度を凡そ50〜53℃としている。該表面温度が50〜53℃であれば、十分、手で熱を感じて危険の察知が可能である。また、概ね2分間、該表面12Eを直接手で触り続けても低温火傷することはなく、2分間あれば搾乳用加温具10をフード部16に装着可能である。
なお、本実施形態では、発熱部15と被覆部12とは別体に形成され、これらを組み合わせて形成されているが、両者を一体化して構わない。例えば、図5の一点鎖線で囲った図に示すように、シリコーン樹脂にフェライト粉末を配置した発熱部2の層を中央部に形成し、その上下にフェライトが存在しないシリコーン樹脂からなる被覆部3の層を形成するようにして、発熱部2の全周を被覆部3で囲んでも構わない。
図1〜図4に示すように、被覆部12はそのまま搾乳用加温具10の外形形状をなすものであり、被覆部12の外形形状における特徴は搾乳用加温具10の外形形状の特徴となる。
図の被覆部12の外形形状は、搾乳口18の外周面18Dに対応して、全体として円錐筒型・ドーム型をしたリング状とされている。即ち、被覆部12は、フード部16の筒状部19が挿通可能な貫通孔8を中央部に有している。貫通孔8は筒状部19の外径よりも僅かに大きな円形状であり、その直径Lは約50mmである。これにより、搾乳用加温具10は、搾乳器本体21から取り外したフード部16に対して着脱可能となり、従って、ポリプロピレン等の熱可塑性であって熱により変形・溶融する恐れのあるフード部16から取り外して、電子レンジで加熱することができる。
また、図2及び図3に示すように、被覆部12は、貫通孔8から外側に拡がった拡張部12Bを有している。この拡張部12Bが搾乳口18に接続される部分であり、被覆部12の外形形状をなし、本実施形態の場合、搾乳口18の外周面18Dに密着して配置可能なように、外周面18Dに対応した円錐筒型・ドーム型をしたリング状とされている。
従って、被覆部12は、拡張部12Bが搾乳口18の外周面18Dに密着し、また、その材料であるシリコーン樹脂が弾性力を有しているため、グリップ力により搾乳口18の外周面18Dから位置ずれし難くなっている。
さらに、図3〜図5に示すように、搾乳口18の外周面18Dに対する拡張部12Bの適正な配置を維持するため、外周面18Dには、被覆部12と係止して位置決めするための位置決め手段77が設けられている。図の位置決め手段77は、拡張部12Bを搾乳口18の外周面18Dに配置した際の貫通孔8の縁8Aの位置にあり、搾乳口18の外周面18Dから突出して形成されている。この突出度合い(位置決め手段77の高さ)は、フード部16の筒状部19を貫通孔8に通してから、搾乳口18の外周面18Dに拡張部12Bを配置する際、所定の可撓性を有する拡張部12Bが乗り越えられる程度の低い高さである。
このように位置決め手段77の高さが低くても、拡張部12Bはシリコーン樹脂であって所定の弾性力を有することから、拡張部12Bが位置決め手段77を一旦乗り越えると、拡張部12Bと位置決め手段77とは係止されることになる。図の位置決め手段77は同間隔で複数設けられ、夫々が貫通孔8の縁8Aと同様に湾曲している。
なお、図2に示す拡張部12Bは、貫通孔8と反対側の開口部12Cの外縁部24が、図1に示すように、搾乳口18の拡径部18C側に形成された凸部29と係合する凹部28を有し、これにより、搾乳時に搾乳用加温具10が位置ずれする恐れをより効果的に防止しているが、位置決め手段77があれば、この凸部29と凹部28の係合は必ずしも必要ではない。
〔測定試験について〕
図6〜図10は、上述した実施形態と同様、約1mmの厚さを有するポリプロピレン製の搾乳口の外周面に搾乳用加温具を密着させて、搾乳口の内周面の温度(これが乳房への接触温度となる)等を測定した試験結果である(なお、以下の図6〜図10の説明において記載する符号については、図5に示す符号を参照)。
この測定試験により、上述した被覆部12の発熱部15から搾乳口の外周面側の面(内側面)12Dまでの厚み方向の寸法D1が略1〜2mm、発熱部15がシリコーン樹脂にフェライトを配合した略0.5〜1mmの厚みを有する板状体、発熱部12のシリコーン樹脂とフェライトの重量比が略3:1〜9:1であるのが適当であり、更には、発熱部15のシリコーン樹脂とフェライトの重量比が略6:1〜9:1であるのがより好ましいことが分かる。以下、図毎に説明する。
図6は、発熱部15の厚さD2とフェライト配合比率の夫々を変えた場合の測定試験であり、図6(A)はその測定条件、図6(B)はその試験結果(搾乳口の内周面の最高温度)である。
図6(A)に示すように、測定試験は、被覆部12の発熱部15から内側面12Dまでの寸法(以下、「被覆部12の厚さ」という)D1が2mmである搾乳用加温具を、出力500Wの電子レンジで60秒間加熱した。そうしたところ、図6(B)に示すように、発熱部15の厚みD2が0.5〜1mmの場合、発熱部12のシリコーン樹脂とフェライトの重量比が3:1〜9:1の範囲において、搾乳口の内周面の温度を37〜42℃にすることができた。37℃は通常の体温よりも若干高めの温度、42℃は入浴時の少し高めの湯温であるため、この範囲内の接触温度であれば、単に低温火傷を防止するだけではなく、積極的に心地良さを使用者に与えて、搾乳を効果的に促進することができる。なお、単に低温火傷を防止するだけであれば、発熱部15を構成するシリコーン樹脂とフェライトの重量比を約2:1にすることも可能である。
図7は電子レンジの出力と加熱時間を変えた場合の測定試験であり、図7(A)はその測定条件、図7(B)は試験結果(搾乳口の内周面の最高温度)である。
図7から分かるように、発熱部15の厚さD2が1mm、被覆部12の厚さD1が2mm、発熱部15のシリコーン樹脂とフェライトの重量比が6:1の搾乳用加温具について、電子レンジが出力500Wであっても1000Wであっても、加熱時間を対応させることで、搾乳口の内周面の温度を37〜42℃にすることができる。
なお、例えば、発熱部15のシリコーン樹脂とフェライトの重量比について、図7の6:1から9:1に測定条件を変更した場合、図6に示すように1〜2℃温度ほど低下するので、加熱時間をその分増やせば、搾乳口の内周面の温度を37〜42℃にできることが分かる。該重量比を3:1に測定条件を変更した場合も、図6に示すように2〜3℃温度ほど上昇するので、加熱時間をその分減らせば、搾乳口の内周面の温度を37〜42℃にできることも分かる。
また、発熱部15の厚さD2についても、図7の1mmから0.5mmに測定条件を変更した場合、図6に示すように、1mmに比べて1〜2℃の低下があるため、その分、加熱時間を増やせば、搾乳口の内周面の温度を37〜42℃にできることも分かる。
また、被覆部12の厚さD1についても、図7の2mmから1mmに測定条件を変更した場合、後述する図8に示すように、2℃ほど上昇するので、その分、加熱時間を減らせば、搾乳口の内周面の温度を37〜42℃にできることも分かる。
以上のように、電子レンジの出力値と加熱時間は、被覆部12の厚さD1が略1〜2mm、発熱部15の厚さD2が0.5〜1mm、発熱部15のシリコーン樹脂とフェライトの重量比が3:1〜9:1の範囲内である場合、加熱時間を大きく変えることなく、搾乳口の内周面の温度を37〜42℃にできることが分かる。このように電子レンジの出力値と加熱時間は種々の条件により変更して決めることができるため、先ず、目標とする搾乳口の内周面の温度(乳房への接触温度)を決め、次に、発熱部15の厚さD2、被覆部12の厚さD1、及び発熱部15のシリコーン樹脂とフェライトの重量比を特定し、最後に、これらの条件を満たすように使用者側の使用条件として電子レンジの出力値と加熱時間を決めればよい。
図8は被覆部12の厚さD1を変えた場合の測定試験であり、図8(A)はその測定条件、図8(B)は試験結果(搾乳口の内周面の最高温度)である。
図8に示すように、発熱部15のシリコーン樹脂とフェライトの重量比が6:1であって、発熱部15の厚さD2が1mmである場合には、被覆部12の厚さD1が1〜2mmの範囲内で、搾乳口の内周面の温度を40〜42℃とすることができた。
この点、発熱部15のシリコーン樹脂とフェライトの重量比が9:1の場合は、6:1の時と比べて搾乳口の内周面の温度は低下(例えば、図6に示すように重量比が6:1の時と比べて1〜2℃低下)するので、該重量比が9:1の場合も、同様に被覆部12の厚さD1が1〜2mmの範囲内で、心地良さを与える37〜42℃の範囲内にできることが分かる。
しかし、該重量比が3:1の場合は、反対に搾乳口の内周面の温度は上昇するため、被覆部12の厚さD1が1mmの場合は、図8(B)に示す試験結果の42℃を超えてしまうことが分かる。
従って、被覆部12の厚さD1を1〜2mmとする条件であれば、発熱部15のシリコーン樹脂とフェライトの重量比は略6:1〜9:1とすることが、心地良さを与える観点からは好ましいことが分かる。
なお、単に低温火傷を防止するという観点の場合、搾乳口の内周面の温度は約46℃以下であれば十分であり、図6と図8を併せて考慮すれば、被覆部12の厚さD1を約1〜2mm、発熱部15の厚さD2を約0.5〜1mm、発熱部15のシリコーン樹脂とフェライトの重量比を約2:1(少なくとも3:1)〜9:1にすることで可能なことが分かる。
図9は被覆部12の表面温度の測定試験であり、図9(A)はその測定条件、図9(B)は試験結果(被覆部の表面温度の最高温度)である。
図9に示されるように、被覆部12の厚さD1を2mm、発熱部15の厚さD2を1mm、発熱部15のシリコーン樹脂とフェライトの重量比を6:1にした場合、被覆部12自体の表面温度は53℃となる。
この点、53℃は、約2分間、手で接触し続けて低温火傷する温度であり、2分間あれば、着脱可能な搾乳用加温具を搾乳口に接続できるので、低温火傷を防止することができる。また、該重量比が9:1の場合、被覆部12自体の表面温度は53℃を下回るため、同様に低温火傷を防止できることは分かる。しかし、フェライトに対するシリコーン樹脂の重量比が6を下回る場合は、場合によっては、低温火傷を防止可能な時間内で、搾乳用加温具を搾乳口に接続することが出来ないことが想定される。従って、この搾乳用加温具を搾乳口に接続するという点でも、発熱部15のシリコーン樹脂とフェライトの重量比は略6:1〜9:1とすることがより好ましい。
なお、このように被覆部12自体の表面温度は手で触れても、その温度を十分に感知できるため、過熱してしまった場合、使用者に搾乳用加温具の搾乳口への装着を躊躇させて、乳房の火傷を未然に防止することができる。
図10は、被覆部12の厚さD1を2mm、発熱部15の厚さD2を1mm、発熱部15のシリコーン樹脂とフェライトの重量比を6:1にし、出力500Wの電子レンジで60秒間加熱した場合、搾乳用加温具を搾乳口に接続した前後の搾乳口の内周面の温度の推移データである。なお、図10では、乳房を実際に搾乳口に当てて搾乳口の内周面の温度を測定している。また、図10のA点は、搾乳口に加熱した搾乳用加温具を装着した時、B点は搾乳口を乳房に当てた時、C点は搾乳口を乳房から一時的に外した時、D点は搾乳口を再び乳房に当てた時、E点は搾乳を終えて搾乳口を乳房から外した時である。
図10に示すように、搾乳用加温具を搾乳口に装着する前の搾乳口の内周面の温度は約25℃であったが、搾乳用加温具を加熱して約60秒後に搾乳口の外周面に装着したA点から約90秒後のB点(搾乳口を乳房に当てた時点であり、加熱後からは約150秒後)には約40℃になっている。そして、搾乳口を乳房に当てたB点直後、急激に温度が低下していることから、搾乳口の内周面の温度が乳房に奪われていることが窺える。このことは、搾乳口を乳房に最初に接触した際、冷やっと感を防止できていることに他ならない。なお、実験以外の使用場面においても、搾乳口に加熱した搾乳用加温具を装着し終えた後、フード部を搾乳器本体に取り付けたり、洋服をめくったりするなどして、搾乳を始めるには相当の作業時間がかかるため、最初に搾乳口に乳房を接触させる際には、搾乳口の内周面の温度は(勿論、使用者の作業スピードにもよるが)36度程度から最高温度に近似した温度に到達していることが推定できる。従って、搾乳口を乳房に最初に接触した際、冷やっと感を防止することができる。
さらに、図10に示すように、搾乳口を乳房に当てたB点から温度が急激に低下した後、逆に搾乳口の内周面の温度は僅かに上昇し、その後は、搾乳口の内周面の温度は、乳房に接触させている限り、僅かに低下していくものの、左程大きな変化がないことが分かる。
なお、図10のC点は搾乳口を乳房から一時的に外した点であり、C点以降、搾乳口を再び乳房に当てたD点まで、搾乳口の内周面の温度は低下している。このことから、実際の使用場面では、乳房の温度も搾乳口の内周面の温度に関与していることが窺える。そして、搾乳口を再び乳房に当てたD点から搾乳を終えたE点までは、僅かに搾乳口の内周面の温度を持ち直しつつ、概ねその温度を維持している。実験以外の使用場面でも、図10と同様に搾乳口は乳房から何度か一時的に外すかも知れないが、その回数は少なく、基本的に搾乳口は乳房に当て続けられるため、図10に示す試験のように搾乳が終わるまで乳房の温度を下回ることは殆どない。少なくとも搾乳口を乳房に最初に当てる際、搾乳口の内周面の温度は少なくとも乳房に近い温度まで上がっているため、冷やっと感を与えることはない。
以上の実験結果により、本発明の第1実施形態の構成によれば、図1に示す電子レンジで加熱した搾乳用加温具10を搾乳口18の外周面18Dに密着するように接続させれば、搾乳する際に、搾乳口18の内周面18Bの乳房への接触温度が、乳房の温度以上であって、かつ、乳房が低温火傷をしない温度とすることが可能なことが分かる。
ところで、上述した実施形態の被覆部12は、シリコーン樹脂を利用して、搾乳口18の外周面18Dに対応した形状に形成されているが、本発明は必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、本発明の第1実施形態の第1〜第3の変形例を示した図11及び図12のようにしてもよい。
図11(A)は第1実施形態の第1変形例に係る搾乳用加温具100の断面を表した部分図であり、図5の円で囲った図に対応している。
この搾乳用加温具100の被覆部40は、シリコーン樹脂からなる部材41だけではなく、他の構成要素と組み合わせて形成されている。
即ち、被覆部40は、その表面(図の場合は搾乳口の外周面側の表面)40Aと発熱部15との間に中空空間42を有している。中空空間42は空気の層であって、熱伝導率がシリコーン樹脂に比べて小さいため、断熱効果を発揮して確実に被覆部40の表面温度を下げ、乳房が低温火傷をしない温度、好ましくは乳房への接触温度を37〜42℃にすることができる。
そして、中空空間42が断熱材となる分、シリコーン樹脂からなる部材41の量を減らして、被覆部40全体の重量の低減できる。
なお、図11(A)の被覆部40では、シリコーン樹脂と空気との組み合わせであるが、本発明はこれに限られず、例えば、中空空間42を大きくすることで、シリコーン樹脂よりも熱伝導率のよい熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂)と中空空間42との組み合わせにしてもよい。
図11(B)は第1実施形態の第2変形例に係る搾乳用加温具101の断面を表した部分図であり、図5の円で囲った図に対応している。
この搾乳用加温具101の被覆部43は、搾乳口の外周面18D側の表面43Aが、搾乳口の外周面18Dに対して全体的には概ね対応した形状ではあるものの、凸部45及び/又は凹部46を有することで、フード部16に接続した状態において、搾乳口の外周面18Dとの間に空間Sが形成されるようになっている。
従って、この空間Sが断熱効果を発揮して、発熱部15からフード部16に伝わる熱を確実に減少させることができる。従って、空間Sが断熱効果を有する分、シリコーン樹脂の量を減らして、被覆部43全体の重量を低減できる。
図12は第1実施形態の第3変形例に係る搾乳用加温具102を接続したフード部16の斜視図である。
この搾乳用加温具102は、上述した実施形態と同様、貫通孔8から外側に拡がり、搾乳口18の略ラッパ状の周方向Rに沿って配置される拡張部12Bを有しているが、図12の拡張部12Bは、該周方向Rの一部が途切れた途切れ部80を有する。この途切れ部80は、拡張部12Bの貫通孔8から一部の外縁部24まで延びる切り欠き部であるとも言え、一箇所に形成されている。
そうすると、拡張部12Bは可撓性を備えた弾性体であるシリコーン樹脂をベースに形成されているため、この途切れ部80の周方向Rの寸法を手で拡げることが可能である。従って、搾乳用加温具102は、それを接続しようとするフード部16が多少大きくても、周方向Rの寸法を大きく変化させて接続することができる。
また、拡張部12Bは弾性力も有するため、手で途切れ部80の周方向Rの寸法を一時的に大きくして搾乳口に接続した後は、該弾性力により搾乳口18への密着性を高めることができる。
なお、図12の途切れ部80は空隙となっているが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、途切れ部80の領域に対して、被覆部12のシリコーン樹脂よりも伸縮性の高い弾性体を配設してもよい。
〔第1実施形態の搾乳器の変形例〕
図13は、図1の搾乳用加温具10を利用した搾乳器103側の変形例に係る斜視図である。なお、図13では、搾乳用加温具10の一部を切り欠いて図示している。
図13において、図1〜図12で用いた符号と同一の符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複した説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
この搾乳器103では、搾乳用加温具10は上述した第1実施形態と同じであるが、これを接続した搾乳器側の構成が異なっている。
即ち、図13の搾乳器103は電動式になっており、搾乳ユニット55と、この搾乳ユニット55とパイプ44により接続された圧力変更手段としてのポンプユニット57とを備えている。
搾乳ユニット55は、上述したボトル11、フード部16、及びこれらを着脱できる搾乳器本体21を備えている。これらの構成は、後述するフード部16に設けられた温度センサ59を除き、既に説明したので省略する。
搾乳器本体21の上部には、ポンプユニット57で調整された圧力が伝えられる圧力伝達部54が着脱可能に接続されている。圧力伝達部54の密封された内側空間には、弾性力のあるダイヤフラム(不図示)が収容されており、このダイヤフラムの動きによりフード部16内を負圧にしたり、その負圧状態を解除したりしている。
ポンプユニット57は、この圧力伝達部54と可撓性のパイプ44を介して接続されている。ポンプユニット57は、真空ポンプとして、スイッチSWがオンされると、搾乳ユニット50の圧力伝達部54内の空間を負圧に引いたり、この負圧状態から大気圧状態まで戻したりして、圧力の変動を連続して行い(これが脈動となる)、これにより、圧力伝達部54内のダイヤフラムを動かしている。
また、図のポンプユニット57には、負圧形成における脈動の周期を調整するためのサイクルノブ38と、負圧の圧力を調整するためのツマミ37が設けられている。
これらスイッチSW、サイクルノブ38、ツマミ37は、ポンプユニット57内の制御部60と電気的に接続され、制御部60はこれらのスイッチ類SW,37,38の作動に従って、真空ポンプ(不図示)を制御するようになっている。
制御部60は、全体的な動作の制御を行うものであり、例えばワンチップのマイクロコンピュータを用いており、ROM(読み出し専用メモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、不揮発性メモリ、クロックを有している。
ここで、フード部16は、搾乳用加温具10が接続される領域(図の場合は、搾乳口18の外周面18Dであって発熱部と対向する領域)に温度センサ59を有している。温度センサ59は、搾乳用加温具10の搾乳口18側の面(即ち、図5に示す被覆部12の内側面12D)の温度を測定する測温計であり、サーミスタ薄膜形測温体等の公知のセンサを用いることができる。
そして、搾乳器103には、温度センサ59からの信号SGに基づいて、乳房の低温火傷を招く温度以上であることを使用者に報知する報知部22が設けられている。報知部22は、図ではポンプユニット57に設けられたLEDや液晶などからなる表示部である。
具体的には、温度センサ59からの信号SGは、ポンプユニット57内の制御部60に送信されるようになっている(図示していないが、データ信号SGはパイプ44内の信号線を通って制御部60に送信される)。信号SGを受信した制御部60は、ROMに書き込まれたデータテーブルに基づいて、報知部22を駆動させるか否かを決定する。データテーブルには、図6の「被覆部の内側面の温度」と、それに対応した「搾乳口の内周面の温度」のデータが格納されており、これにより、制御部60は、例えば「被覆部の内側面の温度」が59℃を超えていた場合、「搾乳口の内周面の温度」が46℃を超えていると判断して、低温火傷になる恐れがあるという警告を図13の表示部37に出すように、表示部ドライバ69に信号を送り、表示部ドライバ69はその命令に基づいて報知部22を駆動するようになっている。
本変形例の搾乳器103は以上のように構成されており、搾乳用加温具10は手動式だけでなく電動式搾乳器にも利用可能であり、さらに、使用者が仕様とは異なる使い方をし、乳房加温具10を加熱し過ぎたとしても、温度センサ59がそれを感知して、報知部22でそれを使用者に知らせることができる。即ち、乳房への搾乳口を介した接触温度が低温火傷を招く温度以下にするためには、上述したように、板状の発熱部がシリコーン樹脂にフェライトを配合したものであり、このシリコーン樹脂とフェライトの重量比が約2:1〜9:1、発熱部の厚みが0.5〜3mm、被覆部の発熱部から内側面までの厚みが0.5〜3mmであることが必要である。この点、この構成で低温火傷を防止するには、使用者側の使用条件について、例えば500Wの電子レンジであれば、加熱時間を約30〜90秒とする必要がある。しかし、この使用条件は使用者によっては守ることができない場合があり、その場合は低温火傷(火傷を含む)を起こす恐れがある。そこで、温度センサ59が低温火傷を招く所要の温度以上となった場合、報知部22でそのことを使用者に知らせるようにした。
なお、図13では報知部22は表示部とされているが、本発明はこれに限られず、報知部22をブザーやスピーカーにして、温度センサ59の検出結果に基づいて、音で使用者に危険を知らせてもよい。
〔第2実施形態〕
図14は、本発明の第2実施形態に係る搾乳用加温具10を有するフード部104の斜視図、図15は図14のA−A断面図である。
これらの図において、図1〜図13で用いた符号と同一の符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複した説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
図14及び図15のフード部104が上述した実施形態と異なるのは、搾乳用加温具10を固定している点である。
すなわち、フード部104は、異なる素材である「搾乳口18及び筒状部19」と「搾乳用加温具10」とを二色成形で一体的に形成することで、搾乳用加温具10は搾乳口18と分離不可能に接続されている。
具体的には、搾乳用加温具10は、第1実施形態で説明した構成と同様、シリコーン樹脂にフェライトを配合した発熱部15と、この発熱部15の全体を覆う熱硬化性樹脂(例えばシリコーン樹脂)製の被覆部12とを有し、この被覆部12の部分が搾乳口18と二色成形で形成されている。発熱部15については、例えば、被覆部12内に発熱部15を収容可能な空間と、該空間と繋がった切れ目(不図示)とを形成し、該切れ目から発熱部15を被覆部12内の該空間に挿入した後、該切れ目を接着するなどして閉じればよい。
なお、搾乳口18及び筒状部19は、第1実施形態と同様に、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂でも構わないが、もしも搾乳用加温具10を加熱し過ぎた場合、熱可塑性樹脂では溶融の恐れもある。このため、搾乳口18及び筒状部19は熱硬化性樹脂から形成するのが好ましい。
本第2実施形態は以上のように構成され、このためフード部104に搾乳用加温具10を接続する手間が要らず、より簡単・迅速に搾乳を始めることができる。また、本第2実施形態のフード部104には、図1に示す位置決め手段77は不要である。
なお、図15では、搾乳用加温具10と搾乳口18とを二色成形により固定しているが、接着剤により固定しても構わない(接着剤による場合は、上述した被覆部12の切れ目は不要である)。
〔第3実施形態〕
図16は、本発明の第3実施形態に係る搾乳用加温具105をフード部16に接続して縦方向に切断した概略縦断面図である。なお、図16の一点鎖線で囲った図は、発熱部65と被覆部66の周辺の拡大断面図であり、この拡大断面図を除き、図16では断面を示す平行斜線は省略している。
図16において、図1〜図15で用いた符号と同一の符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複した説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
図16の搾乳用加温具105が上述した実施形態と異なるのは、搾乳口18の内周面18Bに配置される点である。
即ち、図16の搾乳用加温具105における発熱部65や被覆部66の素材は、図1〜図5の発熱部15や被覆部12と素材と基本的には同じであるが、その形状が異なっている。
具体的には、図16の発熱部65はシリコーン樹脂をベースにフェライトを配合した可撓性部材、被覆部66はシリコーン樹脂からなる可撓性のある弾性体からなっているが、これら発熱部65及び被覆部66を含む搾乳用加温具105は、搾乳口18の内周面18Bに配置される構造とされ、乳房が直接、被覆部66に接触するようになっている。
図16の搾乳用加温具105では、搾乳口18の拡径部18C側において、搾乳口18の内周面18Bの形状に概ね沿った略ラッパ状とされ、搾乳口18の内周面18Bとの間に所定の空間S4を有するようにして、搾乳口18の内側に入り込むようにして装着される。
また、搾乳用加温具105は、使用者の乳房を当接させた状態で、乳首が挿入される貫通孔75と、この貫通孔75よりも拡径部18C側に設けられ、乳輪側に突出する同心円状の突出部であって、使用者の乳輪に当接する乳輪当接部78と、この乳輪当接部78よりも拡径部18C側に設けられ、乳房側に突出する同心円状の突出部であって、使用者の乳房に密着する乳房密着部79を備えている。
従って、搾乳用加温具105は、搾乳口カバーとしての機能も兼ねることができる。即ち、乳房が搾乳器に吸い込まれた際にクッションになり、痛みを和らげることができる。また、搾乳口18と乳房の形状が合致していなくても、確実に乳房と搾乳用加温具105の被覆部66とを密着させて乳首周辺の空間を負圧にし、搾乳を行うことができる。しかも、本実施形態の場合、乳房が被覆部66内に受容された状態で、乳輪には乳輪当接部78が当たるため、負圧による吸引力で母乳が吸い出されることに加えて、乳輪当接部78がこの乳輪を効果的に押すことにより、母乳の出を良くすることができる。そして、乳房密着部80が乳房に密接に面状に当接してシールすることにより、負圧の外部へのリークを防止するとともに、母乳の外部への漏れを効果的に防止することができる。
このような搾乳用加温具105は、搾乳口18の外縁部24に対して着脱可能に接続される。図の場合、被覆部66の外面には、狭い溝状部74を有する取付け部76が設けられ、この溝状部74に対して搾乳口18のラッパ状に開いた外縁部24が嵌入して装着される。なお、被覆部66は所定の可撓性及び弾力性を有することから、この取付け部74を手指にて外方にめくることが可能であり、これにより搾乳用加温具105を搾乳口18から取り外すことができる。
ここで、被覆部66は、発熱部65から乳房と接触する内面80までの厚み方向の寸法D4が、図5の厚み方向の寸法D1に比べて大きく、例えば約4mm以上とされている。また、図16の発熱部65の厚み方向の寸法D5は図5の寸法D2と同等以下とされ、0.5mm以下とされている。このようにして、図16の被覆部66の内面80は乳房に直接接触しても低温火傷しない温度(約46℃)以下となるようにされ、更に、乳房が接触した際のクッション性を高めている。
なお、被覆部66の発熱部65から内面80までの寸法D4は上記寸法に限られることなく、例えば、発熱部65のシリコーン樹脂とフェライトの重量比を9:1にして、発熱部65を加熱し難くすることで該寸法D4を抑制して重量の増大を防止するようにしてもよい。但し、該寸法D4を小さくすることは、被覆部66のクッション性を低下させることになるため、好ましくは、被覆部66の内面80とは反対側の外面81から発熱部65までの厚み方向の寸法D6を、該寸法D4に比べて小さくし、これにより、該寸法D4が大きくても、搾乳用加温具105の重量の大幅な増加を防止するとよい。
また、被覆部66はJIS硬度20ないし80程度のシリコーン樹脂を使用するのが好ましく、これにより乳房が接触した際に好ましい弾力性を発揮することができる。
ところで本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、上述の実施形態の個別の構成は、必要により省略したり、説明しない他の構成と組み合わせたりしてもよい。
例えば、図16の搾乳用加温具105をフード部18と接続固定して構わない。
なお、上述した実施形態では、被覆部は低温火傷を防止するための部材となっているが、勿論、低温火傷以外の火傷も防止することができる。
10,100,101,102,104,105・・・搾乳用加温具、12,40,43,66・・・被覆部、8・・・貫通孔、12B・・・拡張部、15,65・・・発熱部、16・・・フード部、18・・・搾乳口、18B・・・搾乳口の内周面、18D・・・搾乳口の外周面、19・・・筒状部、21・・・搾乳器本体、59・・・温度センサ

Claims (6)

  1. 搾乳時に乳房を覆う搾乳口に接続され、前記搾乳口よりも高い温度で発熱する発熱部を備えた搾乳用加温具であって、
    前記発熱部は、マイクロ波エネルギーを吸収して発熱するフェライトを有し、
    前記発熱部を熱硬化性樹脂で被覆することで、搾乳時における前記搾乳口を介した又は直接的な乳房への接触温度が、乳房の温度以上であって、かつ、低温火傷をしない温度以下となるように、前記発熱部から乳房に伝達される温度を低下させる被覆部を有し、
    前記被覆部は、前記搾乳口を有する略漏斗状のフード部の搾乳器本体に着脱される筒状部が挿通可能な貫通孔と、前記貫通孔から外側に拡がった拡張部とを有し、
    前記拡張部は、前記搾乳口の外周面に対応した形状とされているとともに、前記搾乳口の略ラッパ状の周方向に沿って配置され、かつ、前記周方向の一部が途切れている
    ことを特徴とする搾乳用加温具。
  2. 前記被覆部は、シリコーン樹脂製であって、前記発熱部から前記外周面側の面までの厚み方向の寸法が略1〜2mmであり、
    前記発熱部は、シリコーン樹脂に前記フェライトを配合した略0.5〜1mmの厚みを有する板状体であり、
    前記発熱部を構成する前記シリコーン樹脂と前記フェライトの重量比は略6:1〜9:1である
    ことを特徴とする請求項に記載の搾乳用加温具。
  3. 前記搾乳口の外周面には、前記被覆部と係止して位置決めするための位置決め手段が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の搾乳用加温具。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の搾乳用加温具が接続された前記搾乳口と、
    前記搾乳口で囲まれた空間を負圧にするための搾乳器本体と
    を有することを特徴とする搾乳器。
  5. 前記搾乳用加温具は前記搾乳口と分離不可能に接続されていることを特徴とする請求項に記載の搾乳器。
  6. 前記搾乳口は、前記搾乳用加温具が接続される領域に温度センサを有し、
    前記温度センサの検出結果に基づいて、前記乳房の低温火傷を招く温度以上であることを使用者に報知する報知部が設けられている
    ことを特徴とする請求項又はに記載の搾乳器。
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