JP6829845B2 - 液体消費装置 - Google Patents

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Description

本発明は、注入口を通じて液体を補充可能なタンクを有する液体消費装置に関する。
従来より、注入口を通じて液体を補充可能なタンクと、タンクに貯留された液体を消費する液体消費部とを備える液体消費装置が知られている。例えば特許文献1には、視認窓を有するカバーを開いて、インクタンクの上面に設けられた注入口からインク貯留室にインクを充填することができる記録装置が開示されている。
特開2014−79909号公報
上記構成の記録装置において、例えば特許文献1の図11及び図12に示されるように、インクタンクの下方において左右方向に延びる回動軸線周りにカバーが回動する場合、注入口から漏れたインクがカバーに付着して視認窓の視認性を低下させる可能性がある。また他の例として、カバーに貼付されたシールにインクが付着することによって、当該シールに記載された情報の視認性が低下することも考えられる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、タンクの注入口から漏れた液体によって、ユーザに光学的に情報を伝達するためにカバーに設けられた伝達部の視認性が低下するのを抑制可能な液体消費装置を提供することにある。
(1) 本発明に係る液体消費装置は、液体が貯留される液体貯留室、鉛直方向と交差す
る第1方向における上記液体貯留室の一端を画定し且つ上記液体貯留室内の液体が外部から視認可能な立壁、及び上記液体貯留室に液体を注入するために上記立壁を貫通した注入口を有するタンクと、上記液体貯留室に貯留された液体を消費する液体消費部と、上記第1方向において上記立壁を覆う被覆位置及び上記立壁を露出させる露出位置の間を、上記注入口から液体を注入可能な上記タンクの注入姿勢における上記注入口より下方において鉛直方向及び上記第1方向と交差する第2方向に延びる回動軸線周りに回動可能なカバーとを備える。そして、上記露出位置における上記カバーの上面には、該液体消費装置のユーザに光学的に情報を伝達するための伝達部と、上記カバーの上面を移動する液体が上記伝達部に到達するのを阻止する堰止部とが形成されている。
上記構成によれば、注入口から漏れてカバーに付着した液体が堰止部で堰き止められる。その結果、当該液体で汚染されることによる伝達部の視認性の低下を抑制することができる。
(2) 例えば、上記堰止部は、上記露出位置における上記カバーの上面に設けられたリ
ブ、溝、或いは段差である。
(3) 好ましくは、上記堰止部は、表面張力によって液体を保持する。
上記構成によれば、液体が伝達部に到達するのを有効に阻止することができる。なお、表面張力によって液体を保持するための堰止部の具体的な形状は、液体の種類(主に粘度)やカバー表面の濡れ性等によって適宜選択される。
(4) 好ましくは、上記堰止部は、上記伝達部の外縁に沿って延設されており、毛管現
象によって液体を延設方向に導く。
上記構成によれば、堰止部を越えようとする液体の量を削減することができるので、液体が伝達部に到達するのを有効に阻止することができる。なお、毛管現象を生じさせるための堰止部の具体的な形状は、液体の種類(主に粘度)やカバー表面の濡れ性等によって適宜選択される。
(5) 好ましくは、上記堰止部は、上記第1方向における上記立壁及び上記伝達部の間
において上記第2方向に延設されている。
上記構成によれば、カバー上において液体が主に移動する経路を遮断できる。
(6) 好ましくは、上記堰止部は、上記伝達部の周囲を囲んでいる。
上記構成によれば、液体が伝達部に到達するのをさらに有効に阻止できる。
(7) 一例として、上記伝達部は、上記被覆位置において該液体消費装置の外部から上
記立壁を視認可能にする透過窓である。
(8) 他の例として、上記伝達部には、文字、図形、或いは記号が描かれている。
本発明によれば、注入口から漏れてカバーに付着した液体が堰止部で堰き止められるので、当該液体で汚染されることによる伝達部の視認性の低下を抑制することができる。
図1は、複合機10の外観斜視図であって、(A)はカバー70が閉じた状態、(B)はカバー70が開いた状態、(C)はカバー70の回動軸周辺の分解斜視図を示す。 図2は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。 図3は、キャリッジ23及びインクタンク100の配置を示す平面図である。 図4は、インクタンク100の前方斜視図である。 図5は、インクタンク100の後方斜視図である。 図6は、カバー70の斜視図であって、(A)はカバー70を主壁72の外面側から見た斜視図、(B)はカバー70を主壁72の内面側から見た斜視図である。 図7は、被覆位置のカバー70及びインクタンク100の縦断面図である。 図8は、露出位置のカバー70及びインクタンク100の縦断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。すなわち、向きは方向の一成分である。上向き及び下向きは、各々が上下方向7の一成分であって、互いに逆向きである。左向き及び右向きは、各々が左右方向9の一成分であって、互いに逆向きである。前向き及び後ろ向きは、各々が前後方向8の一成分であって、互いに逆向きである。また、本実施形態では、上下方向7が鉛直方向に相当し、前後方向8及び左右方向9が水平方向に相当する。
さらに、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態であって、「使用状態」と表記することがある。)若しくは姿勢(図1の姿勢であって、「使用姿勢」と表記することがある。)を基準として上下方向7が定義され、複合機10の開口13が設けられている側を手前側(前面)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(前面)から見て左右方向9が定義される。前後方向8は第1方向の一例であり、左右方向9は第2方向の一例である。
[複合機10の全体構成]
複合機10は、図1に示されるように、概ね直方体に形成されている。複合機10は、ケーシングの下部にインクジェット記録方式で用紙12(図2参照)に画像を記録するプリンタ部11を有している。プリンタ部11は、図2に示されるように、給送部15と、給送トレイ20と、排出トレイ21と、搬送ローラ部54と、記録部24と、排出ローラ部55と、プラテン42と、インクタンク100(タンクの一例)とを備えている。また、複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。複合機10は、液体吐出装置或いは液体消費装置の一例である。
[給送トレイ20、排出トレイ21]
給送トレイ20は、図1に示されるように、複合機10の前面で且つ左右方向9の中央部に形成された開口13を通じて前後方向8にユーザによって複合機10に対して挿抜される。給送トレイ20は、積層された複数の用紙12を支持可能である。排出トレイ21は、給送トレイ20の上方に配置されており、給送トレイ20と共に挿抜される。排出トレイ21は、排出ローラ部55によって記録部24とプラテン42との間から排出された用紙12を支持する。
[給送部15]
給送部15は、給送トレイ20に支持された用紙12を搬送経路65へ給送する。給送部15は、図2に示されるように、給送ローラ25と、給送アーム26と、軸27とを備えている。給送ローラ25は、給送アーム26の先端側に回転可能に支持されている。給送ローラ25は、搬送モータ(不図示)の逆転によって、用紙12を搬送向き16に搬送する向きに回転する。以下、給送ローラ25、搬送ローラ60、及び排出ローラ62が、用紙12を搬送向き16に搬送する向きに回転することを、「正回転」と表記する。給送アーム26は、プリンタ部11のフレームに支持された軸27に回動可能に支持されている。給送アーム26は、自重或いはバネ等による弾性力によって給送トレイ20側へ回動付勢されている。
[搬送経路65]
搬送経路65は、図2に示されるように、その一部がプリンタ部11の内部において、所定間隔で対向する外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19によって形成される空間を指す。搬送経路65は、給送トレイ20の後端部からプリンタ部11の後方側に延びる経路である。また、搬送経路65は、プリンタ部11の後方側において下方から上方に延びつつUターンし、記録部24とプラテン42との間の空間を経て排出トレイ21に至る経路である。搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間における搬送経路65は、図2及び図3に示されるように、左右方向9における複合機10の概ね中央部に設けられており、且つ前後方向8に延びている。なお、搬送経路65内における用紙12の搬送向き16は、図2において一点鎖線の矢印で示されている。
[搬送ローラ部54]
搬送ローラ部54は、図2に示されるように、記録部24より搬送向き16の上流側に配置されている。搬送ローラ部54は、互いに対向する搬送ローラ60及びピンチローラ61を有する。搬送ローラ60は、搬送モータによって駆動される。ピンチローラ61は、搬送ローラ60の回転に伴って連れ回る。用紙12は、搬送モータの正転によって正回転する搬送ローラ60及びピンチローラ61に挟持されて搬送向き16に搬送される。
[排出ローラ部55]
排出ローラ部55は、図2に示されるように、記録部24より搬送向き16の下流側に配置されている。排出ローラ部55は、互いに対向する排出ローラ62及び拍車63を有する。排出ローラ62は、搬送モータによって駆動される。拍車63は、排出ローラ62の回転に伴って連れ回る。用紙12は、搬送モータの正転によって正回転する排出ローラ62及び拍車63に挟持されて搬送向き16に搬送される。
[記録部24]
記録部24は、図2に示されるように、搬送向き16における搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間に配置されている。また、記録部24は、搬送経路65を挟んでプラテン42と上下方向7に対向配置されている。すなわち、記録部24は、搬送経路65より上下方向7の上方で、且つ搬送経路65に対面する位置に配置されている。記録部24は、キャリッジ23と、記録ヘッド39(ヘッド或いは液体消費部の一例)とを備えている。
キャリッジ23は、図3に示されるように、前後方向8に離間する位置において各々が左右方向9に延設されたガイドレール43、44に支持されている。ガイドレール43、44は、プリンタ部11のフレームに支持されている。キャリッジ23は、ガイドレール44に設けられた公知のベルト機構に連結されている。このベルト機構は、キャリッジモータ(不図示)によって駆動される。すなわち、ベルト機構に連結されたキャリッジ23は、キャリッジモータの駆動によって左右方向9に往復移動する。キャリッジ23の移動範囲は、図3の一点鎖線で示されるように、搬送経路65より左右方向9の右方及び左方にまで及ぶ。
また、キャリッジ23からは、インクタンク100及び記録ヘッド39を接続するインクチューブ32と、制御部(不図示)が実装された制御基板及び記録ヘッド39を電気的に接続するフレキシブルフラットケーブル33とが延出されている。インクチューブ32は、インクタンク100に貯留されたインクを記録ヘッド39に供給する。より詳細には、各色(ブラック、マゼンタ、シアン、イエロー)のインクが流通する4本のインクチューブ32B、32M、32C、32Y(これらを総称して、「インクチューブ32」と表記することがある。)がインクタンク100から延出され、これらが束ねられた状態でキャリッジ23に接続されている。フレキシブルフラットケーブル33は、制御部から出力される制御信号を記録ヘッド39に伝達する。
記録ヘッド39は、図2に示されるように、キャリッジ23に搭載されている。記録ヘッド39の下面には、複数のノズル40が形成されている。複数のノズル40の先端は、記録ヘッド39及び記録ヘッド39を搭載するキャリッジ23の下面から露出されている。以下、ノズル40の先端が露出された面を「ノズル面」と表記することがある。記録ヘッド39は、ノズル40からインクを微小なインク滴として吐出する。キャリッジ23が移動する過程において、プラテン42に支持されている用紙12に向けて記録ヘッド39がインク滴を吐出する。これにより、用紙12に画像が記録される。
[プラテン42]
プラテン42は、図2及び図3に示されるように、搬送向き16における搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間に配置されている。プラテン42は、上下方向7において記録部24に対向するようにして配置されており、搬送ローラ部54によって搬送される用紙12を下側から支持する。
[インクタンク100]
インクタンク100は、図1に示されるように、複合機10の内部に収容されている。インクタンク100は、複合機10から容易に取り外すことができないように、当該複合機10に固定されている。より詳細には、インクタンク100は、複合機10のケーシングの前面で且つ左右方向9の右端に形成された開口22を通じて、複合機10の内部に収容されている。開口22は、左右方向9において、開口13と隣接している。但し、インクタンク100の前面(後述する基壁101A及び傾斜壁101Bの一部)は、前後方向8における開口22より前方(より詳細には、開口22を画定するケーシングの前壁より前方)に位置する。
また、複合機10には、開口22よりも前方に位置するインクタンク100の前面を覆うことができる箱形状のカバー70が設けられている。カバー70は、開口22及びインクタンク100の前壁101を覆う被覆位置(図1(A)参照)と、開口22及びインクタンク100の前壁101を複合機10の外部に露出させる露出位置(図1(B)参照)との間を回動可能に、複合機10のケーシングによって支持されている。被覆位置におけるカバー70の上面は、概ね水平であるか、回動基端側から回動先端側に向かって下り傾斜している。
カバー70は、図1、図7、及び図8に示されるように、上下方向7の下端側において左右方向9に延びる回動軸線71周りに回動可能に、複合機10のケーシングによって支持されている。本実施形態における回動軸線71は、前後方向8における前壁101より前方(すなわち、前壁101に対するインク室111の反対側)で、且つ上下方向7におけるインクタンク100より下方に位置している。但し、回動軸線71の位置は、少なくとも注入口112より下方であればよい。また、インクタンク100と回動軸線71とは、インクタンク100が注入姿勢のときに前述の位置関係であればよい。
インクタンク100は、図4及び図5に示されるように、概ね直方体の外形を呈する。インクタンク100は、前壁101と、右壁102と、左壁103と、上壁104と、下壁105とを有する。一方、インクタンク100の後面は開放されている。そして、右壁102、左壁103、上壁104、下壁105の後端面にフィルム106が溶着されることによって、インクタンク100の後面が封止される。すなわち、フィルム106は、インクタンク100の後壁を構成する。上記構成のインクタンク100は、例えば、樹脂材料を射出成型することによって一体成型される。例えば、後述するインクタンク100の内部形状は、インクタンク100の開放された後面から後ろ向きに引き抜かれる金型(不図示)によって規定される。
上壁104は、上下方向7におけるインク室111の上端を画定する。下壁105は、上下方向7におけるインク室111の下端を画定する。立壁の一例である前壁101、右壁102、及び左壁103は、上壁104及び下壁105の間において、上壁104及び下壁105と交差する向きに立設されている。また、各壁101〜105は、インク室111内のインクがインクタンク100の外部から視認可能な程度の透光性を少なくとも有している。
前壁101は、下壁105から概ね上下方向7に延びる基壁101Aと、基壁101Aの上端において基壁101Aと連続し且つ上下方向7及び前後方向8に対して傾斜された傾斜壁101Bとで構成されている。傾斜壁101Bには、傾斜壁101Bを厚み方向に貫通する注入口112が形成されている。傾斜壁101Bは、基壁101Aに対して後方側(すなわち、インク室111側)に傾斜している。
[インク室111]
インクタンク100の内部には、図5に示されるように、内部空間を区画する複数の隔壁107、108、109が設けられている。隔壁107、108、109は、各々が上下方向7及び前後方向8に延設されており、前壁101、上壁104、下壁105、及びフィルム106に接続されている。また、隔壁107〜109は、左右方向9に離間して設けられている。その結果、インクタンク100の内部空間は、左右方向9に隣接する4つのインク室111B、111M、111C、111Yに区画される。インク室111は、ノズル40から吐出されるインクを貯留する液体貯留室の一例である。
インク室111Bは、前壁101、右壁102、上壁104、下壁105、フィルム106、及び隔壁107によって画定される空間である。インク室111Mは、前壁101、上壁104、下壁105、フィルム106、及び隔壁107、108によって画定される空間である。インク室111Cは、前壁101、上壁104、下壁105、フィルム106、及び隔壁108、109によって画定される空間である。インク室111Yは、前壁101、左壁103、上壁104、下壁105、フィルム106、及び隔壁109によって画定される空間である。
以下、インク室111B、111M、111C、111Yを総称して、「インク室111」と表記することがある。また、各インク室111に対応して4つ設けられた構成要素には、末尾のアルファベット(B、M、C、Y)のみが異なる参照番号を付し、これらを総称する場合に当該アルファベットを省略して表記することがある。
各インク室111には、異なる色のインクが貯留される。具体的には、インク室111Bにはブラックインクが貯留され、インク室111Cにはシアンインクが貯留され、インク室111Mにはマゼンタインクが貯留され、インク室111Yにはイエローインクが貯留される。各色インクは、液体の一例である。但し、インク室111の数及びインクの色は上記の例に限定されない。インク室111は、左右方向9に沿って配置されている。また、4つのインク室111B、111M、111C、111Yの中で、インク室111Bが最も右側に配置され、インク室111Yが最も左側に配置されている。さらに、インク室111Bは、他のインク室111M、111C、111Yより容積が大きい。
[注入口112]
インクタンク100の傾斜壁101Bには、各インク室111にインクを注入するための注入口112B、112M、112C、112Yが設けられている。注入口112は、傾斜壁101Bを厚み方向に貫通して、対応するインク室111をインクタンク100の外部に連通させる。傾斜壁101Bは、その内面がインク室111に面し、外面がインクタンク100の外部に面している。傾斜壁101Bは、外面が内面より上方に位置するように傾斜している。したがって、注入口112は、インク室111とインクタンク100の外部とを直接連通させる。すなわち、注入口112とインク室111との間には、注入口よりも断面積が小さく、且つ屈曲しているような流路は存在しない。また、注入口112は、傾斜壁101Bに代えて上壁104に設けられていてもよい。
傾斜壁101B及び傾斜壁101Bに設けられた注入口112は、図1(B)に示されるように、カバー70を露出位置に位置させることによって複合機10の外部に露出される。また、注入口112は、開口22より前方において傾斜壁101Bに設けられている。本実施形態において、注入口112を通じてインク室111にインクを注入可能なインクタンク100の姿勢(注入姿勢)は、複合機10が使用姿勢にあるときのインクタンク100の姿勢と一致する。すなわち、複合機10が使用姿勢にあるときに、注入口112を通じてインク室111にインクが注入される。本実施形態における注入口112は円形状であるが、注入口112の形状はこれに限定されず、楕円形状、多角形状等であってもよい。
インクタンク100は、注入口112に対して着脱可能なキャップ113B、113M、113C、113Yを有する。図1(A)に示されるように、注入口112に取り付けられたキャップ113は、注入口112の周縁に密着して注入口112を閉塞させる。一方、図1(B)に示されるように、注入口112から取り外されたキャップ113は、注入口112を開放する。キャップ113は、カバー70を露出位置に位置させた状態で、注入口112に対して着脱される。また、キャップ113を注入口112から取り外すことによって、インク室111にインクが注入可能となる。
なお、インク室111B〜111Yそれぞれには、インク流出路(図示省略)が接続されている。インク流出路は、対応するインク室111に貯留されたインクをインクタンク100の外部に流出させる流路である。インク流出路の一端は対応するインク室111に接続されており、インク流出路の他端に対応するインクチューブ32が接続される。これにより、インク室111に貯留されたインクは、対応するインク流出路及びインクチューブ32を経由して記録ヘッド39に供給される。
また、インク室111B〜111Yそれぞれには、大気連通孔(図示省略)が設けられている。大気連通孔は、対応するインク室111を大気に連通させる。これにより、各インク室111の内部圧力が大気圧に維持される。その結果、インク室111の内部圧力の上昇によるインクの過剰供給、或いはインク室111の内部圧力の減少によるインクの逆流等が抑制される。また、大気連通孔には、インク漏れを抑制するための半透膜等が設けられる。
[カバー70]
カバー70は、図6に示されるように、概ね矩形状を呈する主壁72と、主壁72の外縁から主壁72の厚み方向に突出する側壁73、74、75とを有する箱形状である。側壁73は、カバー70の回動先端側において主壁72の外縁に沿って延設されている。側壁74は、左右方向9における側壁73の一方側の端部から主壁72の外縁に沿って延設されている。側壁75は、左右方向9における側壁73の他方側の端部から主壁72の外縁に沿って延設されている。すなわち、側壁74、75は、左右方向9において互いに対向して設けられている。カバー70の外面(換言すれば、主壁72及び側壁73〜85の外面)は、複合機10の外面と連続する。すなわち、カバー70の外面は、複合機10の外面の一部を構成する。
また、カバー70には、透過窓76が設けられている。透過窓76は、カバー70を被覆位置に位置させた状態において、インクタンク100の前壁101を複合機10の外部から視認可能にする。透過窓76は、複合機10のユーザに光学的に情報を伝達するための伝達部の一例である。
本実施形態において光学的に伝達される情報とは、前壁101を通して確認できるインクの液面の位置を指す。すなわち、本実施形態における伝達部は、伝達すべき情報を伝達部そのものが有しているのではなく、伝達すべき情報を有する対象物(本実施形態では、前壁101)を外部から視認可能にするものである。
透過窓76は、主壁72を厚み方向に貫通する概ね矩形の開口77と、当該開口77を閉塞するフィルム78とで構成されている。フィルム78は、光透過性の材料で形成されている。本実施形態におけるフィルム78は、主壁72の外面(すなわち、前壁101と対面するカバー70の内面と反対側の面)側において、開口77の周縁に貼付されている。
また、側壁74、75には、カバー70の回動基端側の端部に軸受部79、80が設けられている。軸受部79、80は、カバー70がケーシングに取り付けられた状態において、回動軸線71上に配置される。また、開口22の下方を画定するケーシングには、図1(C)に示されるように、回動軸線71上において互いに離れる向きに突出する一対の支軸91、92が設けられている。カバー70がケーシングに取り付けられた状態において、軸受部79、80は支軸91、92を受け入れる。これにより、カバー70は、ケーシングに対して回動軸線71周りに回動可能となる。
さらに、主壁72の内面には、図6に示されるように、開口77の周囲を囲む位置にリブ81が設けられている。リブ81は、主壁72の内面から突出し且つ開口77の周囲に沿って延設されている。主壁72の内面とは、カバー70が被覆位置のときにインクタンク100に対面する側の面を指す。換言すれば、主壁72の内面とは、カバー70が露出位置のときの主壁72の上面を指す。そして、リブ81は、カバー70の上面を移動するインクが透過窓76に到達するのを阻止する堰止部の一例である。
リブ81は、カバー70の回動基端側に設けられた第1リブ82と、カバー70の回動先端側に設けられた第2リブ83と、側壁74の側に設けられた第3リブ84と、側壁75の側に設けられた第4リブ85とで構成されている。第1リブ82及び第2リブ83と、第3リブ84及び第4リブ85とは、その端部同士が互いに接続されている。第1リブ82及び第2リブ83は、左右方向9(延設方向の一例)に延設されている。第3リブ84及び第4リブ85は、カバー70が被覆位置のときに上下方向7(延設方向の他の例)に延設され、カバー70が露出位置のときに前後方向8(延設方向の他の例)に延設されている。
第1リブ82〜第4リブ85は、図7に示されるように、カバー70が被覆位置のときに主壁72の内面から後方へ突出している。そこで、第1リブ82〜第4リブ85の突出量は、カバー70が被覆位置のときに、インクタンク100の前壁101に接触しない範囲に設定される。また、第1リブ82〜第4リブ85は、図8に示されるように、カバー70が露出位置のときに主壁72の内面から上方へ突出している。なお、第1リブ82は、主壁72に対して概ね垂直に突設されている。一方、第2リブ83は、主壁72に対して傾斜している。このように、主壁72に対するリブ81の角度は特に限定されない。また、第1リブ82の厚みは、突出基端側から突出先端側に向かって徐々に薄く(すなわち、先細り)なっている。一方、第2リブ83の厚みは、突出向きにおいて概ね同一となっている。このように、突出向きにおけるリブ81の厚みは、特に限定されない。
[本実施形態の作用効果]
上記の実施形態の複合機10において、インクタンク100にインクを補充しようとするユーザは、カバー70を露出位置に回動させ、キャップ113を注入口112から外し、開放された注入口112からインクを注入する。このとき、注入口112に入らなかったインク或いは注入口112から溢れたインクは、前壁101を伝って下方に流れ落ち、カバー70の内面(上面)に付着する。しかしながら、上記の実施形態によれば、カバー70の内面に付着したインクは、リブ81によって堰き止められ且つリブ81の延設方向に導かれる。その結果、当該インクで透過窓76が汚染されることによる前壁101の視認性の低下を抑制することができる。
なお、上記の実施形態では、透過窓76の周囲を囲む第1リブ82〜第4リブ85を有するリブ81の例を説明した。これにより、透過窓76にインクが付着することを有効に抑制できる。また、リブ81は、開口77を設けることによって低下したカバー70の剛性を補強する補強部としても機能する。その結果、カバー70を回動させる際に当該カバー70が捻れることを抑制できる。但し、リブ81の配置はこれに限定されない。例えば、カバー70が露出位置のときに、前後方向8における前壁101及び透過窓76の間に位置する第1リブ82のみが設けられていればよい。これにより、カバー70上においてインクが主に移動する経路を遮断することができる。また、カバー70が露出位置のときにインクタンク100から最も遠い位置にある第2リブ83を省略し、第1リブ82〜第4リブ85でリブ81が構成されていてもよい。
また、上記の実施形態では、堰止部の一例としてリブ81を説明したが、堰止部の具体例はこれに限定されない。例えば、リブ81に代えて、主壁72の内面に溝や段差等を設けてもよい。溝は、主壁72の内面を凹ませて実現してもよいし、主壁72の内面に平行に立設された一対のリブの間に形成されてもよい。段差は、透過窓76に近い側が高くなる段差であればよい。また、堰止部は、リブ、溝、及び段差等を組み合わせたものであってもよい。
また、インクを吸収するインク吸収部材を堰止部の周辺に配置してもよい。インク吸収部材は、例えば、発泡ポリウレタンなどの多孔材料で形成されている。堰止部がリブ81或いは段差の場合、当該リブ81或いは段差に沿ってインク吸収部材を配置すればよい。また、堰止部が溝の場合、当該溝の内部にインク吸収部材を充填すればよい。これにより、透過窓76に向かうインクをさらに有効に堰き止めることができる。
また、堰止部は、例えば表面張力によってインクを保持するものであってもよい。これにより、インクが透過窓76に到達するのを有効に阻止することができる。なお、表面張力によってインクを保持するための堰止部の具体的な形状は、インクの種類(主に粘度)やカバー70の表面の濡れ性等によって適宜選択される。
また、堰止部は、例えば毛管現象によってインクを左右方向9に導くものであってもよい。これにより、堰止部を越えようとするインクの量を削減することができるので、インクが透過窓76に到達するのを有効に阻止することができる。なお、毛管現象を生じさせるための堰止部の具体的な形状は、インクの種類(主に粘度)やカバー70の表面の濡れ性等によって適宜選択される。毛管現象を作用させるための堰止部は、溝によって実現されることが望ましい。
また、本実施形態に係るインクタンク100は、4色のインクそれぞれを収容する4つのインク室111B〜111Yを有しているが、インクタンク100の具体的な構成はこれに限定されない。インクタンクは、例えば、ブラックインク1色のみを収容するものであってもよい。
また、上記の実施形態では、伝達部の一例として透過窓76を説明したが、伝達部の具体例はこれに限定されない。例えば、変形例に係る伝達部は、主壁72の内面に描かれた文字、図形、或いは記号等(以下これらを総称して、「文字等」と表記する)であってもよい。より詳細には、伝達部は、カバー70が露出位置のときにユーザが視認可能であって、インクの補充の手順、インク補充時の注意事項等が記載されたものであってもよい。
すなわち、変形例に係る伝達部は、伝達すべき情報を伝達部そのものが有している点において、上記の実施形態に係る伝達部と相違する。そして、変形例に係る伝達部は、カバー70が露出位置のときに、伝達部そのものが有する情報をユーザに光学的に伝達する。換言すれば、ユーザは、変形例に係るカバー70を露出位置にすることによって、伝達部に描かれた文字等を見ることができる。
そして、主壁72に描かれた文字等に向かうインクを前述の堰止部で堰き止めることにより、当該文字等の視認性の低下を抑制することができる。なお、文字等は、主壁72の内面に形成された凹凸によって表現されてもよいし、主壁72の内面に貼付されたシールに描かれていてもよい。
さらに、上記の実施形態では、インクを液体の一例として説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、インクに代えて、印刷時にインクに先立って記録用紙に吐出される前処理液、或いは記録ヘッド39のノズル40の乾燥を防止するために記録ヘッド39のノズル40近傍に噴霧される水等を液体としてもよい。なお、本発明は、有色の液体を貯留するタンクを備える液体消費装置に適用することによって、特に有利な効果を奏する。
10・・・複合機
24・・・記録部
70・・・カバー
71・・・回動軸線
76・・・透過窓
81・・・リブ
82・・・第1リブ
83・・・第2リブ
84・・・第3リブ
85・・・第4リブ
100・・・インクタンク
101・・・前壁
111・・・インク室
112・・・注入口

Claims (7)

  1. 液体が貯留される液体貯留室、鉛直方向と交差する第1方向における上記液体貯留室の一端を画定し且つ上記液体貯留室内の液体が外部から視認可能な立壁、及び上記液体貯留室に液体を注入するために上記立壁を貫通した注入口を有するタンクと、
    上記液体貯留室に貯留された液体を消費する液体消費部と、
    上記立壁を覆うカバーと、を備える液体消費装置であって、
    上記カバーの上記立壁と対向する面には、該液体消費装置のユーザに光学的に情報を伝達するための伝達部が形成されており、
    当該伝達部は、開口と、当該開口を閉塞するフィルムを備えており、
    上記カバーの上記面のうち、上記開口よりも外側、且つ、上記カバーの上記面の外縁よりも内側には、上記カバーの上記面を移動する液体が上記フィルムに到達するのを阻止する堰止部が形成されており、
    上記カバーは、上記第1方向において上記立壁を覆う被覆位置及び上記立壁を露出させる露出位置の間を、上記注入口から液体を注入可能な上記タンクの注入姿勢における上記注入口より下方において鉛直方向及び上記第1方向と交差する第2方向に延びる回動軸線周りに回動可能である液体消費装置。
  2. 上記堰止部は、上記カバーの上記面に設けられたリブ、溝、或いは段差である請求項1に記載の液体消費装置。
  3. 上記堰止部は、表面張力によって液体を保持する請求項2に記載の液体消費装置。
  4. 上記堰止部は、上記開口の外縁に沿って延設されており、毛管現象によって液体を延設方向に導く請求項2又は3に記載の液体消費装置。
  5. 上記堰止部は、上記面から上記立壁に向かって延設されている請求項1から4のいずれかに記載の液体消費装置。
  6. 上記堰止部は、上記開口の周囲を囲んでいる請求項1から4のいずれかに記載の液体消費装置。
  7. 上記カバーの上記面には、文字、図形、或いは記号が描かれている請求項に記載の液体消費装置。
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