JP6828411B2 - 回転電機の固定子 - Google Patents

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Description

本発明は、車両等に搭載されて電動機や発電機として使用される回転電機の固定子に関するものである。
回転電機の固定子においては、固定子コアのスロットに固定子巻線が巻装される。この場合、固定子コアと固定子巻線との絶縁性を確保し、かつスロット内で固定子巻線を固定状態で保持すること等を目的として、固定子巻線を囲むようにして絶縁シートを設ける構成が知られている。また、絶縁シートの構成として、シート状の基材の両面に、例えば熱硬化性を有する硬化性発泡樹脂よりなる樹脂層を積層した構成が知られている。
例えば特許文献1には、少なくとも表面が発泡性樹脂により構成されてなる矩形のシート状の発泡樹脂シート(絶縁シート)を、スロットにおけるステータコア内壁面とコイルとの間に挟んだ状態で加熱し膨張させることにより、コイルをステータコアに固着させるようにした技術が開示されている。発泡樹脂シートとして具体的には、シート状のフィルム(例えばポリエチレンナフレタートを用いたPENフィルム)と、球状の発泡剤を複数内包するとともに熱硬化性を有する樹脂(例えばエポキシ樹脂)とを積層した構成が開示されている。
また、特許文献1に記載の技術では、ステータコアに対する発泡樹脂シートの組み付け方法について、予め成形されたコイルの導線に発泡樹脂シートを取り付けてから分割コアに対して組み付けるか、又は、分割コアのスロットに発泡樹脂シートを取り付けてからスロットに導線を巻回してコイルを形成する。そしてその後、発泡樹脂シートの発泡により発泡樹脂層を形成するようにしている。
特開2011−244596号公報
しかしながら、上記先行文献を含め既存の技術では、固定子コアに対して固定子巻線と絶縁シートとを組み付ける過程において、基材表面の樹脂層においてクラックが生じたり、剥がれが生じたりすることが考えられる。すなわち、絶縁シートは、スロットの内壁面に対して隙間無く設けられることが望ましいことから、スロット形状に合わせて折り曲げられ、その状態でスロットに対して組み付けられている。この場合、折り曲げの際、又は絶縁シートを固定子コアや固定子巻線に組み付ける際に、絶縁シートの折り曲げ部において樹脂層のクラックや剥がれの発生が懸念される。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、固定子コアのスロットに挿入される絶縁シートについて樹脂層のクラック等の不具合を抑制することができる回転電機の固定子を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成の符号を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
第1の手段では、
円環状をなし、周方向に複数のスロット(21)を有する固定子コア(20)と、
前記スロットに巻装された固定子巻線(30)と、
前記スロットにおいて前記固定子コアの内壁面と前記固定子巻線との間に挟まれた状態で設けられる絶縁シート(26)と、
を備える回転電機の固定子(13)であって、
前記絶縁シートは、
シート状の基材(61)と、
前記基材の両面のうち少なくとも一方に設けられ、外部刺激により硬化及び発泡する硬化性発泡樹脂よりなる樹脂層(62)と、
を有し、
前記基材は、前記スロットの内壁面における角部(A1,A2)に応じて形成された折り曲げ部(B1,B2)を有し、
前記絶縁シートには、前記折り曲げ部を含む所定範囲において、前記樹脂層の厚さをゼロ又は前記所定範囲に隣り合う部位よりも薄くした厚さ調整部(63)が設けられている。
回転電機の固定子では、固定子コアのスロットに固定子巻線と絶縁シートとが挿入されるようになっており、固定子の製造時には、固定子巻線やスロット形状に合わせて絶縁シートが折り曲げられ、その折り曲げられた状態で、絶縁シートが固定子コアや固定子巻線に組み付けられる。かかる前提では、絶縁シートにおける基材の表面に設けられた樹脂層において、基材の折り曲げ部でのクラックや剥がれ等の不具合の発生が懸念される。この点、上記構成によれば、絶縁シートにおいて折り曲げ部を含む所定範囲に厚さ調整部が設けられ、折り曲げ部における樹脂層の厚さがゼロ又は所定範囲(折り曲げ部を含む所定範囲)に隣り合う部位よりも薄くなっている。そのため、基材の折り曲げ部においてクラックや剥がれ等が生じにくくなっている。その結果、固定子コアのスロットに挿入される絶縁シートについて樹脂層のクラック等の不具合を抑制することができる。
第2の手段では、前記スロットは、前記固定子コアのバックコア部(23)と該バックコア部から径方向内側に延びる一対のティース(24)とにより区画されており、前記ティースにおける径方向内側の先端部には、周方向に延びる内側壁部(25)が形成されており、前記基材は、前記スロットにおいて前記バックコア部と前記ティースとにより形成される第1角部(A1)と、前記ティースと前記内側壁部とにより形成される第2角部(A2)とにそれぞれ対応する位置に前記折り曲げ部を有しており、前記絶縁シートには、前記第1角部及び前記第2角部に対応する前記折り曲げ部を含む所定範囲において前記厚さ調整部が設けられている。
固定子コアのスロットが、バックコア部と一対のティースと内側壁部とに囲まれて形成されている場合、スロットにおいては径方向外側(すなわちバックコア部側)だけでなく、径方向内側にも角部が形成される。上記構成では、スロットにおけるバックコア部の側の第1角部と内側壁部の側の第2角部とに対応する折り曲げ部においてそれぞれ樹脂層の厚さが調整されているため、スロットにおける径方向外側及び内側のいずれにおいても絶縁シートで樹脂層のクラック等を抑制することができる。
第3の手段では、前記絶縁シートは、前記固定子巻線に対して巻き付ける方向の端部どうしが、前記スロット内における径方向内側又は径方向外側の端部にて互いに重なり合う状態で設けられており、前記絶縁シートにおいて前記端部どうしが重なり合う部分に前記樹脂層が設けられており、その重なり合う部分の隣となる前記折り曲げ部を含む所定範囲において前記厚さ調整部が設けられている。
絶縁シートにおいて固定子巻線に対する巻き付け方向の端部付近は、折り曲げ成形された状態からして巻き付け端部と言うことができ、絶縁シートを固定子巻線に巻き付ける際には、固定子巻線への絶縁シートの組み付け後に巻き付け端部の重ね合わせの作業が行われると考えられる。この場合、その重ね合わせ部分の隣となる折り曲げ部において樹脂層のクラック等が懸念される。この点、巻き付け端部が重なり合う部分の隣となる折り曲げ部を含む所定範囲において厚さ調整部を設けたため、固定子巻線への絶縁シートの巻き付け時における樹脂層のクラック等を好適に抑制することができる。
第4の手段では、前記固定子コアにおいて、前記スロット内には、前記固定子巻線を構成する複数の導体セグメント(40)が前記固定子コアの径方向に一列に並べて挿入されており、前記絶縁シートには、前記折り曲げ部と前記複数の導体セグメントの配列方向端部とを含む領域を前記所定範囲として、前記厚さ調整部が設けられている。
上記構成によれば、スロット内において固定子巻線の挿入スペースが大きくなることから、スロット内においてコイル占有率の拡大や、固定子巻線の組み付け性の向上を実現できるものとなっている。
また上記構成では、言うなれば、複数の導体セグメントの配列方向に沿う部分においては樹脂厚さが厚く、配列方向端部となる部分において樹脂厚さが薄いものとなっている。
第5の手段では、前記基材において前記固定子コア側及び前記固定子巻線側の両面に前記樹脂層が設けられる回転電機の固定子であって、前記折り曲げ部において前記固定子コア側及び前記固定子巻線側のうち一方の側に前記厚さ調整部が設けられている。
基材において固定子コア側及び固定子巻線側の両面に樹脂層が設けられる構成では、絶縁性や固定子巻線の固定力を確保する上で有効になると考えられる。そしてかかる構成において、固定子コア側及び固定子巻線側のうち一方の側に厚さ調整部を設ける構成とした。つまり、固定子コア側及び固定子巻線側のうち両方でなく一方のみに樹脂層の厚さ調整部を設ける構成とした。この場合、基材の同一の折り曲げ部において両面に厚さ調整部を設けると、他部分と比べて冷却性の差が過度に大きくなることが懸念されるが、片側の面にのみ厚さ調整部を設ける構成としたため、他部分と比べて冷却性の差が過度に大きくなることを抑制できる。つまり、上記構成によれば、樹脂層のクラック防止を図りつつ、冷却性ばらつきの抑制を実現できる。
第6の手段では、前記絶縁シートには、前記固定子コアの軸方向の端部を含む範囲で前記厚さ調整部が設けられている。
固定子コアのスロットに対してコア軸方向から絶縁シートを挿入する場合には、折り曲げられた状態の絶縁シートの軸方向端部を内側にしぼめ、そのしぼめた側を先頭として、絶縁シートをスロット内に挿入することが考えられる。この場合、絶縁シートの軸方向端部を含む範囲で厚さ調整部(層厚さをゼロ又は薄くした部位)が設けられていることで、そのシート端部を負荷無く内側にしぼめることができる。これにより、絶縁シートの軸方向端部において樹脂層のクラック等を抑制できる。また、絶縁シートをスロットに挿入する際において仮にシート端部がコア端面に当たっても、シート端部における樹脂層のクラック等を抑制できる。
第7の手段では、前記絶縁シートは、前記固定子コアの軸方向端面よりも外側に突出して設けられている。
絶縁シートの一部が固定子コアの軸方向端面よりも外側に突出していると、他部材との接触等により、その突出部分において樹脂層のクラック等が生じ易くなる。この点、上記のとおり樹脂層においてコア軸方向の端部を含む範囲で厚さ調整部が設けられることで、突出部分でのクラック等を抑制できる。
実施形態に係る固定子を搭載した回転電機の軸方向断面図。 固定子の全体を示す斜視図。 固定子コアに導体セグメントを挿入する状態を示す説明図。 固定子の部分断面図。 絶縁シートの断面図。 固定子コアと絶縁シートと固定子巻線との分解斜視図。 折り曲げ加工前の絶縁シートを示す図であり、(a)はシート厚さ方向の断面図、(b)は平面図。 折り曲げ加工後の絶縁シートを示す図。 折り曲げ部において内側の厚さ調整部の構成例を示す図。 折り曲げ部において外側の厚さ調整部の構成例を示す図。 折り曲げ部において内側の厚さ調整部の構成例を示す図。 折り曲げ部において外側の厚さ調整部の構成例を示す図。 絶縁シートの別の構成を示す図。
以下、各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
本実施形態に係る回転電機10は、車両用交流発電機として用いられるものである。回転電機10は、図1に示すように、回転軸11に固定された回転子12と、回転子12を包囲する位置に設けられる固定子13と、これら回転子12及び固定子13を収容するハウジング14とを備えている。ハウジング14は、有底筒状の一対のハウジング部材14a,14bを有し、ハウジング部材14a,14bが開口部同士で接合された状態でボルト15の締結により一体化されている。
ハウジング14には軸受け16,17が設けられ、この軸受け16,17により回転軸11及び回転子12が回転自在に支持されている。回転子12は、固定子13の内周側に対して径方向に対向する外周側に、周方向に所定距離を隔てて極性が交互に異なるように配置された複数の磁極を有する。これらの磁極は、回転子12の所定位置に埋設された複数の永久磁石により形成されている。回転子12の磁極の数は、回転電機により異なるため限定されるものではない。本実施形態では、8極(N極:4、S極:4)の回転子が用いられている。
次に、固定子13について説明する。固定子13は、図2〜図4に示すように、周方向に複数のスロット21を有する円環状の固定子コア20と、固定子コア20の各スロット21に分布巻で巻装された3相(U相、V相、W相)の固定子巻線30と、を備えている。
固定子コア20は、円環状の複数の電磁鋼板20a(図1参照)を固定子コア20の軸方向に積層して形成された一体型のものである。この固定子コア20は、円環状のバックコア部23と、バックコア部23から径方向内方へ突出し周方向に所定距離を隔てて配列された複数のティース24とを有し、隣り合うティース24の間にスロット21が形成されている。各ティース24の先端部にはフランジ25が形成されており、このフランジ25が、周方向に延びる内側壁部に相当する。固定子コア20に形成されたスロット21の数は、回転子12のNS磁極数(8磁極)に対し、固定子巻線30の1相あたり2個の割合で形成されている。本実施形態では、8×3×2=48により、スロット数が48個とされている。48個のスロット21は、周方向に繰り返し2個ずつ配置されたU相スロット、V相スロット及びW相スロットよりなる。
スロット21は、固定子コア20の径方向を長手として延びる開口形状をなし、そのスロット長手方向に複数の導体セグメント40を並べて配置可能となっている。本実施形態では、固定子コア20のスロット21を、コア内周側のスロット21の端部がフランジ25により狭められ、かつ一部が開通する、いわゆるセミクローズドスロットとしている。ただしこれに代えて、スロット21を、コア内周側のスロット21の端部が内側壁部により閉鎖されたクローズドスロットとしてもよい。
固定子巻線30は、略U字状をなす複数の導体セグメント40を用いて構成されている。導体セグメント40は、一対の直線部41と、一対の直線部41の一端同士を連結するターン部42とからなる。一対の直線部41は、固定子コア20の軸方向の厚さよりも大きい長さを有している。ターン部42の中央部には、固定子コア20の端面20bに沿って延びる頭頂段部43が設けられており、頭頂段部43の両側には、固定子コア20の端面20bに対して所定の角度で傾斜した傾斜部44が設けられている。
導体セグメント40は、断面が長方形の線状材よりなる銅製の導体51と、導体51の外周面を被覆する被覆材としての絶縁被膜52とからなる被覆導線(平角線)を用いて構成され、略U字形状に塑性変形させることで形成されている。図3に示すように、導体セグメント40において直線部41の端部(ターン部42とは逆側の端部)は、絶縁被膜52が切除されることで、導体51が露出した露出部53となっている。導体セグメント40においてスロット挿入状態でコア周方向となる側の幅寸法は、スロット21のコア周方向の開口寸法よりも小さいものとなっている。
固定子コア20には、スロット21内に、複数の導体セグメント40がコア径方向に一列に並べて挿入されている。より具体的には、固定子コア20には、周方向に隣接して同一相の2個ずつのスロット21A,21Bが設けられ、そのスロット21A,21Bには、2個で1組の導体セグメント40A,40Bが挿入配置される。この場合、2個の導体セグメント40A,40Bの各々の直線部41は、同一のスロット21ではなく、隣接した2個のスロット21A,21Bに別々に軸方向一端側(図3の上側)から挿入される。すなわち、図3の右側にある2個の導体セグメント40A,40Bにおいて、一方の導体セグメント40Aは、一方の直線部41が一のスロット21Aの最外層(第8層)に挿入され、他方の直線部41が固定子コア20の反時計回り方向に1磁極ピッチ(6スロットピッチ)離れた他のスロット21A(図示せず)の第7層に挿入される。
また、他方の導体セグメント40Bは、一方の直線部41がスロット21Aと隣接したスロット21Bの最外層(第8層)に挿入され、他方の直線部41が固定子コア20の反時計回り方向に1磁極ピッチ(6スロットピッチ)離れた他のスロット21B(図示せず)の第7層に挿入される。すなわち、2個の導体セグメント40A,40Bは、周方向に1スロットピッチずれた状態に配置される。このようにして、全スロット21に対して偶数本の導体セグメント40の直線部41が挿入配置される。本実施形態の場合には、図4に示すように、各スロット21内に、合計8本の直線部41が径方向1列に整列した状態で収容されている。
スロット21内には、固定子コア20と固定子巻線30(導体セグメント40)との間を電気絶縁する絶縁シート26が設けられている。絶縁シート26は、スロット21内に挿入される複数(本実施形態では8個)の導体セグメント40の形状及び大きさに応じて折り曲げられ、これら複数の導体セグメント40をまとめて囲むように設けられている。これにより、スロット21内において固定子コア20の内壁面と導体セグメント40との間に挟まれた状態となっている。絶縁シート26は、固定子コア20の端面20bよりも外側に突出して設けられている。
スロット21から軸方向他端側(図3の下側)へ延出した一対の直線部41の先端部は、固定子コア20の端面20bに対して所定の角度をもって斜めに斜行するように互いに周方向反対側へ捻られ、略半磁極ピッチ分の長さの捻り部45(図2参照)が形成されている。そして、固定子コア20の軸方向他端側において、導体セグメント40の2層ずつの捻り部45の先端部同士が例えば溶接により接合されることで、各導体セグメント40が所定のパターンで電気的に接続されている。つまり、固定子13では、各導体セグメント40の一対の直線部41が径方向に1つずれた層にそれぞれ配置される構成において、層ごとに周方向反対側への捻り部45が形成されることで、各導体セグメント40同士が連続的に接続されている。
この場合、所定の導体セグメント40が直列に接続されて、各スロット21内に収容された第m層(mは1以上の自然数)と第m+1層のスロット収容部(直線部41)とが電気的に接続されることにより、固定子コア20のスロット21に沿って周方向に波巻きにて各相巻線31U,31V,31Wが巻回され、その各相巻線31U,31V,31Wにより固定子巻線30が形成されている。なお、固定子巻線30は、各相巻線31U,31V,31Wの巻線端が星型結線で結線されている。
固定子コア20に固定子巻線30が巻装された状態では、固定子コア20の軸方向一端側に、その一端側の端面20bからスロット21の外部に複数のターン部42が突出し、これにより全体としてリング状の第1コイルエンド部47(図2参照)が形成されている。また、固定子コア20の軸方向他端側には、その他端側の端面からスロット21の外部に複数の捻り部45及び端末接合部46が突出し、これにより全体としてリング状の第2コイルエンド部48(図2参照)が形成されている。第1コイルエンド部47では、導体セグメント40のターン部42により6スロットピッチでスロット間の電気接続がなされ、第2コイルエンド部48では、捻り部45及び端末接合部46により6スロットピッチでスロット間の電気接続がなされている。
次に、スロット21内において固定子コア20と導体セグメント40との間に設けられる絶縁シート26について詳しく説明する。
図5は、絶縁シート26の断面図である。絶縁シート26は、シート状の基材61と、基材61の両面に設けられ、外部刺激により硬化及び発泡する硬化性発泡樹脂よりなる樹脂層62とを有している。基材61は、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂やポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂からなる所定強度を有するシート材である。また、樹脂層62は、外部刺激により硬化及び発泡する硬化性発泡樹脂よりなる。例えば、樹脂層62は、熱硬化樹脂であるエポキシ樹脂に、熱刺激により発泡するビーズが分散されることで構成されている。樹脂層62は、基材61の両面に塗布されることで設けられており、その厚さは例えば数10μm〜1m程度である。樹脂層62は、基材61の外側でスロット内壁面に対して接着され、基材61の内側で固定子巻線30に対して接着される。その意味からすると、樹脂層62は接着層であるとも言える。
なお、基材61として、樹脂材に代えて不織布を用いることも可能である。また、樹脂層62において、発泡材として、ビーズ以外にアクリルやウレタンを用いることも可能である。熱硬化樹脂に代えて、紫外線の照射(紫外線刺激)により硬化する紫外線硬化樹脂や、嫌気により硬化する嫌気性硬化樹脂を用いることも可能である。
ところで、絶縁シート26は、導体セグメント40の形状及び大きさに応じて折り曲げられた状態でスロット21内に挿入されているが、折り曲げ部において樹脂層62のクラックや剥がれ等が生じることが懸念される。この不都合について固定子13の製造手順と共に説明する。
固定子13の製造に際しては、図6に示す状態で、固定子コア20に対して絶縁シート26と固定子巻線30(導体セグメント40)とが組み付けられる。この組み付け時には、複数の導体セグメント40が所定の配列で互いに組み合わされて固定子巻線30が形成されており、導体セグメント40の直線部41が8個ずつ一列に接合されている。また、絶縁シート26は、8個の導体セグメント40の直線部41を囲むことができるように、4カ所で折り曲げ成形されている。つまり、スロット21には、径方向外側においてバックコア部23とティース24とにより2カ所に第1角部A1が形成されるとともに、径方向内側においてティース24とフランジ25とにより2カ所に第2角部A2が形成されている。そして、絶縁シート26には、スロット21の角部A1に対応する2カ所に折り曲げ部B1が形成されるとともに、角部A2に対応する2カ所に折り曲げ部B2が形成されている。
なお、スロット21内に絶縁シート26が挿入された状態では、絶縁シート26は折り曲げ部B1,B2で略90度で折り曲げられた状態となっているが、スロット21への挿入前は、絶縁シート26は90度よりも大きい角度(鈍角)で塑性変形された状態となっている。ただし、絶縁シート26が略90度の折り曲げ角度で塑性変形されるようになっていてもよい。また、図6では、スロット21の径方向外側で絶縁シート26の端部どうしが重ね合わされているが、これを変更し、スロット21の径方向内側で絶縁シート26の端部どうしが重ね合わされていてもよい。
固定子コア20に対して絶縁シート26と固定子巻線30とを組み付ける際には、例えば先に絶縁シート26の組み付けが行われ、後に固定子巻線30の組み付けが行われる。そして、スロット21内に配置された絶縁シート26に対して熱刺激を付与することで、樹脂層62が発泡及び硬化される。なお、樹脂層62は、固定子コア20に対する組み付け前におけるシート折り曲げ成形時に、エポキシ樹脂が完全には硬化していない半硬化状態(いわゆるBステージ状態)となっており、固定子コア20への組み付け後の加熱及びその後の冷却により完全硬化する。
固定子13の製造過程では、絶縁シート26の折り曲げ成形時において樹脂層62でのクラック発生が懸念される。また、固定子コア20に対して絶縁シート26を組み付ける際に、絶縁シート26の折り曲げ部B1,B2がスロット内壁に当たることで、その折り曲げ部B1,B2において外側の樹脂層62にクラック等が生じることが懸念される。さらに、絶縁シート26の内側に固定子巻線30を組み付ける際に、固定子巻線30の角部が絶縁シート26の折り曲げ部B1,B2に当たることで、その折り曲げ部B1,B2において内側の樹脂層62にクラック等が生じることが懸念される。
そこで本実施形態では、絶縁シート26において、導体セグメント40の折り曲げ部B1,B2に相当する部位で樹脂層62を部分的に無くし、それにより樹脂層62におけるクラック等の発生を抑制することとしている。
図7は、折り曲げ加工前の絶縁シート26を示す図であり、(a)はシート厚さ方向の断面図、(b)は平面図である。図8は、折り曲げ加工後の絶縁シート26を示す図である。
絶縁シート26には、基材61の両面に樹脂層62が形成されている。樹脂層62は、所定厚さで設けられているが、基材61の折り曲げ部B1,B2に相当する部位で樹脂層62の厚さが部分的にゼロにされ、その厚さゼロの部分が厚さ調整部63となっている。なお、厚さ調整部63は、樹脂層62が部分的に無くなっていることからすると、間引き部であるとも言える。厚さ調整部63は、絶縁シート26において基材61の折り曲げ部B1,B2を含む所定範囲で複数設けられ、その所定範囲の幅は例えば0.5〜20mm程度であるとよい。折り曲げ部の頂点からの距離で言えば、例えば0.3〜10mm程度で厚さ調整部63が設けられているとよい。樹脂層62において、厚さ調整部63の両隣となる部位はスロット21内において直線状に配置される部分であり、その直線部分では樹脂層62の厚さが均等になっているとよい。
絶縁シート26において、図7(b)の左右方向が導体セグメント40に対して巻き付けが行われる巻き付け方向であり、上下方向が固定子コア20の軸方向である。樹脂層62における厚さ調整部63は、コア軸方向の一端から他端に延びるように設けられている。また、絶縁シート26のコア軸方向の長さL1は、固定子コア20の軸方向長さよりも大きいものとなっている。そのため、スロット21内に絶縁シート26を挿入した状態では、固定子コア20の一端側及び他端側の両方において、固定子コア20の軸方向端面よりも外側に絶縁シート26が突出するようになっている。要するに、絶縁シート26では、固定子コア20の端面から外側に突出する部分を含めて、コア軸方向における全域で厚さ調整部63が設けられている。
固定子コア20のスロット21に対してコア軸方向から絶縁シート26を挿入する場合には、折り曲げられた状態の絶縁シート26の軸方向端部が内側にしぼめられ、そのしぼめられた側を先頭として、絶縁シート26がスロット21内に挿入される。この場合、絶縁シート26の軸方向端部を含む範囲で厚さ調整部63が設けられていることで、そのシート端部を負荷無く内側にしぼめることができる。これにより、絶縁シート26の軸方向端部において樹脂層62のクラック等が抑制される。また、絶縁シート26をスロット21に挿入する際において仮にシート端部がコア端面に当たっても、シート端部における樹脂層62のクラック等が抑制される。
絶縁シート26において、巻き付け方向(図7の左右方向)の両端部は互いに重ね合わされ、樹脂層62どうしが互いに接触して重なるようになっている。絶縁シート26には、その重ね合わせ部分の隣となる折り曲げ部B1を含む所定範囲に厚さ調整部63が設けられている。
図7に示す絶縁シート26の製造に際しては、例えば、基材61において厚さ調整部63に相当する部位にマスキングを施しておき、その状態で基材61の表面に樹脂層62を塗布するとよい。又は、基材61の全面に樹脂層62を塗布した後に、厚さ調整部63に相当する部位において樹脂層62の除去を行うようにしてもよい。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
固定子コア20のスロット21に挿入される絶縁シート26において、基材61の折り曲げ部B1,B2を含む所定範囲に、樹脂層62の厚さをゼロにすることで厚さ調整部63を設ける構成とした。これにより、基材61の折り曲げ部B1,B2においてクラックや剥がれ等が生じにくくなる。その結果、絶縁シート26について樹脂層62のクラック等の不具合を抑制することができる。
つまり、上記構成により、絶縁シート26を折り曲げる際に樹脂層62にクラックが生じたり、絶縁シート26をスロット21に挿入する際や絶縁シート26の内側に固定子巻線30を組み付ける際に樹脂層62のクラックや剥がれが生じたりすることを抑制できる。これにより、回転電機10の固定子13において固定子巻線30に対する絶縁性や固定力が意図せず低下するといった不都合を抑制できるものとなっている。
固定子コア20のスロット21が、バックコア部23と一対のティース24とフランジ25とに囲まれて形成されている場合、スロット21においては径方向外側(すなわちバックコア部23側)だけでなく、径方向内側にも角部が形成される。上記構成では、スロット21における径方向外側の第1角部A1と径方向内側の第2角部A2とに対応する折り曲げ部B1,B2においてそれぞれ樹脂層62の厚さが調整されているため、スロット21における径方向外側及び内側のいずれにおいても絶縁シート26で樹脂層62のクラック等を抑制することができる。
絶縁シート26を固定子巻線30に巻き付ける際には、固定子巻線30への絶縁シート26の組み付け後に巻き付け端部の重ね合わせの作業が行われ、その重ね合わせ部分の隣となる折り曲げ部B2において樹脂層62のクラック等が懸念される。この点、巻き付け端部が重なり合う部分の隣となる折り曲げ部B2を含む所定範囲において厚さ調整部63を設けたため、固定子巻線30への絶縁シート26の巻き付け時における樹脂層62のクラック等を好適に抑制することができる。
絶縁シート26において、固定子コア20の軸方向端部を含む範囲で厚さ調整部63を設けたため、絶縁シート26をスロット21内に挿入する際にそのシート端部を負荷無く内側にしぼめることができる。これにより、絶縁シート26の軸方向端部において樹脂層62のクラック等を抑制できる。また、絶縁シート26をスロット21に挿入する際において仮にシート端部がコア端面に当たっても、シート端部における樹脂層62のクラック等を抑制できる。
絶縁シート26の一部が固定子コア20の軸方向端面よりも外側に突出していると、他部材との接触等により、その突出部分において樹脂層62のクラック等が生じ易くなる。この点、上記のとおり樹脂層62においてコア軸方向の端部を含む範囲で厚さ調整部63が設けられていることで、突出部分でのクラック等を抑制できる。
(他の実施形態)
上記実施形態を例えば次のように変更してもよい。
・絶縁シート26において、基材61の両面、すなわち内側(固定子巻線30側)及び外側(固定子コア20側)の両面の樹脂層62のうちいずれか一方のみに厚さ調整部63が設けられていてもよい。つまり、折り曲げ状態での内側及び外側のいずれか一方において、厚さ調整部63が設けられていてもよい。また、厚さ調整部63は、基材61の折り曲げ部B1,B2を含む所定範囲において、樹脂層62の厚さがゼロ又は所定範囲に隣り合う部位よりも薄くなっていればよい。以下、厚さ調整部63の構成例を説明する。ここでは、
(1)折り曲げ部B2において内側の厚さ調整部63と、
(2)折り曲げ部B2において外側の厚さ調整部63と、
(3)折り曲げ部B1において内側の厚さ調整部63と、
(4)折り曲げ部B1において外側の厚さ調整部63と、
に分けて、これら各厚さ調整部63の構成例を図9〜図12を用いて説明する。
図9は、折り曲げ部B2において内側の厚さ調整部63の構成例を示す図である。
・図9(a)では、折り曲げ部B2を含む2カ所の所定範囲において、樹脂層62の厚さをゼロにすることで厚さ調整部63が設けられている。
・図9(b)では、折り曲げ部B2を含む2カ所の所定範囲において、樹脂層62の厚さを所定範囲に隣り合う部位よりも薄くすることで厚さ調整部63が設けられている。
・図9(c)では、隣り合う2つの折り曲げ部B2とその間の部分とを含む所定範囲において、樹脂層62の厚さをゼロにすることで厚さ調整部63が設けられている。
・図9(d)では、隣り合う2つの折り曲げ部B2とその間の部分とを含む所定範囲において、樹脂層62の厚さを所定範囲に隣り合う部位よりも薄くすることで厚さ調整部63が設けられている。
なお、図9(b)、(d)では、絶縁シート26における樹脂層62の厚さが均一であるとした場合において、折り曲げ部B2を含む所定範囲に、樹脂層62の厚さを所定範囲以外の部位よりも薄くすることで厚さ調整部63が設けられている。この場合、厚さ調整部63においては、他の樹脂層62における平均樹脂厚さよりも樹脂厚さが薄くなっているとよい。この点、後述の図10〜図12においても同様である。
図10は、折り曲げ部B2において外側の厚さ調整部63の構成例を示す図である。
・図10(a)では、折り曲げ部B2を含む2カ所の所定範囲において、樹脂層62の厚さをゼロにすることで厚さ調整部63が設けられている。
・図10(b)では、折り曲げ部B2を含む2カ所の所定範囲において、樹脂層62の厚さを所定範囲に隣り合う部位よりも薄くすることで厚さ調整部63が設けられている。
・図10(c)では、隣り合う2つの折り曲げ部B2とその間の部分とを含む所定範囲において、樹脂層62の厚さをゼロにすることで厚さ調整部63が設けられている。
・図10(d)では、隣り合う2つの折り曲げ部B2とその間の部分とを含む所定範囲において、樹脂層62の厚さを所定範囲に隣り合う部位よりも薄くすることで厚さ調整部63が設けられている。
図11は、折り曲げ部B1において内側の厚さ調整部63の構成例を示す図である。
・図11(a)では、折り曲げ部B1を含む所定範囲において、樹脂層62の厚さをゼロにすることで厚さ調整部63が設けられている。
・図11(b)では、折り曲げ部B1を含む所定範囲において、樹脂層62の厚さを所定範囲に隣り合う部位よりも薄くすることで厚さ調整部63が設けられている。
図12は、折り曲げ部B2において外側の厚さ調整部63の構成例を示す図である。
・図12(a)では、折り曲げ部B1を含む所定範囲において、樹脂層62の厚さをゼロにすることで厚さ調整部63が設けられている。
・図12(b)では、折り曲げ部B1を含む所定範囲において、樹脂層62の厚さを所定範囲に隣り合う部位よりも薄くすることで厚さ調整部63が設けられている。
図9(a)、図10(a)、図11(a)、図12(a)の構成によれば、スロット21内の絶縁シート26の折り曲げ部付近においてコア軸方向に貫通する空間部を形成することが可能となる。そのため、固定子13の冷却を必要とする場合において、折り曲げ部付近の空間を冷媒通路として用いることが可能となる。
図9(b)、図10(b)、図11(b)、図12(b)の構成によれば、基材61の表面において樹脂材にて被覆されていない部分を無くす(又は減らす)ことができるため、基材61の保護を図る上で好適である。
図9(c)、図10(c)の構成によれば、スロット21内において固定子巻線30の挿入スペースが大きくなり、コイル占有率を大きくすることが可能となる。また、固定子巻線30の組み付け性の向上を図ることができる。
図9(d)、図10(d)の構成によれば、基材61表面において樹脂材にて被覆されていない部分を無くす(又は減らす)ことができるため、基材61の保護を図る上で好適である。
ここで、図9(c)、(d)、図10(c)、(d)に関して言えば、その構成は、絶縁シート26に、折り曲げ部B2と複数の導体セグメント40の配列方向端部(図の上下方向上端部)とを含む領域を所定範囲として、厚さ調整部63が設けられているものとなっている。この場合、スロット21内においてコイル占有率の拡大や、固定子巻線30の組み付け性の向上を実現できるものとなっている。
図9(a)〜(d)の構成、図10(a)〜(d)の構成、図11(a)〜(b)の構成、図12(a)〜(b)の構成は、いずれも任意に組み合わせることが可能である。厚さ調整部63において、厚さ調整部63でない部分の樹脂層62との境界部を、樹脂厚さを徐々に薄くすることで繋ぐようにすることも可能である。
絶縁シート26の外側全面に樹脂層62を形成する構成、又は外側全面に樹脂層62を形成しない構成とし、その上で図9(a)〜(d)の構成や図11(a)〜(b)の構成を採用することも可能である。また、絶縁シート26の内側全面に樹脂層62を形成する構成、又は内側全面に樹脂層62を形成しない構成とし、その上で図10(a)〜(d)の構成や図12(a)〜(b)の構成を採用することも可能である。
図13(a)には、絶縁シート26の外側全面に樹脂層62を形成した構成において、図9(a)及び図11(a)の構成を採用したものを示し、図13(b)には、絶縁シート26の内側全面に樹脂層62を形成した構成において、図10(a)及び図12(a)の構成を採用したものを示す。
この場合、図13(a)の構成では、基材61の両面に樹脂層62が設けられた上で、折り曲げ部B1,B2の内側にのみ厚さ調整部63が複数設けられている。また、図13(b)の構成では、基材61の両面に樹脂層62が設けられた上で、折り曲げ部B1,B2の外側にのみ厚さ調整部63が複数設けられている。これらの構成では、例えば折り曲げ部B1を含む内外の所定範囲において、基材61の両面のうち一方のみに厚さ調整部63が設けられている。
基材61の両面に樹脂層62が設けられる構成では、絶縁性や固定子巻線30の固定力を確保する上で有効になると考えられる。ただし、基材61の同一の折り曲げ部において両面に厚さ調整部63を設けると、他部分と比べて冷却性の差が過度に大きくなることが懸念される。この点上記構成では、片側の面にのみ厚さ調整部63を設ける構成としたため、他部分と比べて冷却性の差が過度に大きくなることを抑制できる。つまり、上記構成の絶縁シート26によれば、樹脂層62のクラック防止を図りつつ、冷却性ばらつきの抑制を実現できる。
図13(a),(b)の変形例として、折り曲げ部B1では内側にのみ厚さ調整部63が設けられるとともに、折り曲げ部B2では外側にのみ厚さ調整部63が設けられていてもよい。また、その逆の構成であってもよい。
・上記実施形態では、固定子コア20のスロット21を、セミクローズドスロット又はクローズドスロットとしたが、これに代えて、スロット内周側に内側壁部を有していないオープンスロットとしてもよい。スロット21をオープンスロットとする場合には、スロット21に、径方向外側においてバックコア部23とティース24とにより2カ所に角部A1が形成され、絶縁シート26には、スロット21の角部A1に対応する2カ所に折り曲げ部B1が形成されるものとなる。この場合、固定子13の製造に際しては、固定子巻線30に応じて折り曲げ成形された絶縁シート26が固定子巻線30に組み付けられ、その状態で絶縁シート26及び固定子巻線30が固定子コア20に対して組み付けられる。
絶縁シート26においては、折り曲げ部B1を含む所定範囲において厚さ調整部63が設けられているとよい。
・導体セグメント40は、断面矩形状をなすものに限られず、断面円形状をなすものであってもよい。
・回転電機は、車両に搭載される発電機、電動機、あるいはそれら両者の機能を発揮し得るものとして実用化できる。また、車両搭載以外の用途にて、上記構成の回転電機を用いることも可能である。
13…固定子、20…固定子コア、21…スロット、26…絶縁シート、30…固定子巻線、61…基材、62…樹脂層、63…厚さ調整部、B1,B2…折り曲げ部。

Claims (7)

  1. 円環状をなし、周方向に複数のスロット(21)を有する固定子コア(20)と、
    前記スロットに巻装された固定子巻線(30)と、
    前記スロットにおいて前記固定子コアの内壁面と前記固定子巻線との間に挟まれた状態で設けられる絶縁シート(26)と、
    を備える回転電機の固定子(13)であって、
    前記スロットは、前記固定子コアのバックコア部(23)と該バックコア部から径方向内側に延びる一対のティース(24)とにより区画されており
    前記絶縁シートは、
    シート状の基材(61)と、
    前記基材の両面のうち少なくとも一方に設けられ、外部刺激により硬化及び発泡する硬化性発泡樹脂よりなる樹脂層(62)と、
    を有し、
    前記基材は、前記スロットにおいて前記バックコア部と前記ティースとにより形成される角部に対応する位置に折り曲げ部を有しており、
    前記絶縁シートには、前記折り曲げ部を含む所定範囲において、前記樹脂層の厚さをゼロ又は前記所定範囲に隣り合う部位よりも薄くした厚さ調整部(63)が設けられており、かつ、前記スロット内において前記バックコア部に沿って周方向に延びる前記樹脂層の厚さが、前記ティースに沿って径方向に延びる前記樹脂層の厚さよりも薄くなっている回転電機の固定子。
  2. 記ティースにおける径方向内側の先端部には、周方向に延びる内側壁部(25)が形成されており、
    前記基材は、前記スロットにおいて前記バックコア部と前記ティースとにより形成される第1角部(A1)と、前記ティースと前記内側壁部とにより形成される第2角部(A2)とにそれぞれ対応する位置に前記折り曲げ部を有しており、
    前記絶縁シートには、前記第1角部及び前記第2角部に対応する前記折り曲げ部を含む所定範囲において前記厚さ調整部が設けられている請求項1に記載の回転電機の固定子。
  3. 前記絶縁シートは、前記固定子巻線に対して巻き付ける方向の端部どうしが、前記スロット内における径方向内側又は径方向外側の端部にて互いに重なり合う状態で設けられており、
    前記絶縁シートにおいて前記端部どうしが重なり合う部分に前記樹脂層が設けられており、その重なり合う部分の隣となる前記折り曲げ部を含む所定範囲において前記厚さ調整部が設けられている請求項2に記載の回転電機の固定子。
  4. 前記固定子コアにおいて、前記スロット内には、前記固定子巻線を構成する複数の導体セグメント(40)が前記固定子コアの径方向に一列に並べて挿入されており、
    前記絶縁シートには、前記複数の導体セグメントの配列方向端部における前記折り曲げ部を前記所定範囲として、前記厚さ調整部が設けられている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回転電機の固定子。
  5. 前記基材において前記固定子コア側及び前記固定子巻線側の両面に前記樹脂層が設けられる回転電機の固定子であって、
    前記折り曲げ部において前記固定子コア側及び前記固定子巻線側のうち一方の側に前記厚さ調整部が設けられている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の回転電機の固定子。
  6. 前記絶縁シートには、前記固定子コアの軸方向の端部を含む範囲で前記厚さ調整部が設けられている請求項1乃至5のいずれか1項に記載の回転電機の固定子。
  7. 前記絶縁シートは、前記固定子コアの軸方向端面よりも外側に突出して設けられている請求項6に記載の回転電機の固定子。
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