JP6826780B2 - ガス機器のガス圧調整装置 - Google Patents
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Description
しかし、可搬形ガス回収装置は特殊機材であって、保有箇所や台数も限られていることから、緊急時には可搬形ガス回収装置の手配と作業に時間を要するという課題があった。
また、可搬形ガス回収装置の接続作業では、ガス機器のガス封入タンクに大気を混入させないよう、ガス封入タンクと回収タンク等を接続する接続ホース内の真空引きを行う必要があることから、作業者にガス純度等の品質管理についての専門知識が求められる。そのため、人的にも容易に接続作業を行うことが困難であるという課題があった。
さらに、ガス機器内の接続ホース内に残存した絶縁ガスを回収することができず、絶縁ガスが大気中に放出されてしまい、環境に悪影響を及ぼすおそれがあるという課題もあった。
そこで、上記のような課題を解決するための先行技術が開発されており、それに関して既にいくつかの発明や考案が開示されている。
以下、特許文献1に開示された考案について説明する。特許文献1に開示された考案は、SF6ガス封入タンクとしゃ断器操作用の空気タンクが、内部に真空ポンプを有するバルブを備えた配管で接続されることを特徴とする。
このような特徴を有するガスしゃ断器によれば、ガスしゃ断器内部の点検のためにSF6ガスを回収する際、空気タンク内の圧縮空気を排出し、さらにバルブ内の真空ポンプによって真空排気を行う。これにより、SF6ガス封入タンク内のSF6ガスを、配管を介して空気タンクに回収することができる。点検完了時には、空気タンクに回収されたSF6ガスを、再度配管を介してSF6ガス封入タンク内に戻すことができる。したがって、空気タンクをSF6ガスの回収タンクとして使用することができるので、点検作業時の段取作業の簡易化、点検設備の縮小化及び運搬費の低減を図ることができる。
以下、特許文献2に開示された発明について説明する。特許文献2に開示された発明は、遮断器操作用の空気タンクに予め絶縁ガスを充填し、空気タンクより遮断器の遮断部に迂回路を設け、この迂回路を通じて空気タンクより絶縁ガスを遮断部に流入させ規定ガス圧力とすることを特徴とする。
このような特徴を有するガス遮断器の絶縁ガス充填方法によれば、空気タンクに絶縁ガスを予め充填して輸送し、現地で据え付け後に空気タンクから遮断部に充填することができる。したがって、現地でガスボンベ、圧力調整器が不要となり、またガスボンベからのガス充填も不要となるので、作業を簡便化できるとともに作業時間も短縮可能である。
以下、特許文献3に開示された発明について説明する。特許文献3に開示された発明は、ガス封入構造物とガス回収容器とをつなぎ、ガス封入構造物のガス圧とガス回収容器のガス圧とが互いに平衡になるまでガス封入構造物からガス回収容器へとガスを流入させる配管と、吸気側がガス封入構造物に、排気側がガス回収容器にそれぞれ接続され、ガス封入構造物内のガスをガス回収容器に回収する真空ポンプとを備えたことを特徴とする。
このような特徴を有するガス回収装置によれば、コンプレッサやボンベなどの特別な装置を用いることなく、ガス封入構造物からガスを簡単にガス回収容器に回収することができるため、ガス回収装置のコンパクト化を図ることが可能となる。
また、操作用空気タンク内やしゃ断器タンク内の真空引きを行うことから、前述の専門知識を有する作業者が作業する必要があり、人的にも容易に接続作業を行うことが困難であるという課題が解決されていないおそれがある。
さらに、ポンプ使用時にホース接続を伴うことから、このホース接続を解除した際にホース内部に残る微量のSF6ガスが大気へ放出されるおそれがある。すなわち、環境への悪影響という課題を十分に解決することができない可能性がある。
また、加圧手段としては、例えば、真空ポンプが考えられる。そして、加圧手段は、ガス圧調整装置に設けられた電動機の駆動力によって駆動される。また、加圧手段を駆動する電動機は、ガス機器に既設の電動機である他、ガス機器に新設される電動機であってもよい。
なお、前者の場合の切替手段として、既設の電動機の駆動力を投入バネ又は加圧手段のいずれかに切り替えて伝達可能な切替クラッチが考えられる。これに対し、後者の場合の切替手段としては、既設の電動機又は新設の電動機のいずれを駆動させるかを選択可能な切替スイッチが考えられる。
また、第1乃至第3の係合部材としては、例えば、それぞれ歯車が使用されることが考えられる。より詳細には、第1の係合部材は、駆動軸の長さ方向に沿って並ぶ2個の歯車であって、そのうちの一方が第2の係合部材である歯車のみに噛合し、他方が第3の係合部材である歯車のみに噛合する構成が考えられる。この他、第1の係合部材として歯車が1個のみ備えられ、第2の係合部材である歯車と第3の係合部材である歯車のいずれにも噛合可能な構成も考えられる。
このような構成の発明においては、第2の発明の作用に加えて、通常時においては、第1の係合部材であるかさ歯車が第2の係合部材であるかさ歯車に係合し、電動機の駆動力が投入バネに伝達される。移動時等においては、第1の係合部材であるかさ歯車が第3の係合部材であるかさ歯車に係合し、電動機の駆動力が加圧手段に伝達される。すなわち、既設された1台の電動機によって、投入バネの蓄勢と加圧手段の作動がそれぞれ異なるタイミングで行われる。
このような構成の発明においては、第1乃至第3のいずれかの発明の作用に加えて減圧用タンクが有する第2の容量は、ガス封入タンクの第1の容量と等しいため、減圧用タンクに収容された絶縁ガスのガス圧は、複数のガス封入タンクに封入されていた場合の絶縁ガスのガス圧よりも高くなっている。よって、減圧用タンクに収容された絶縁ガスは、加圧手段を作動させなくとも複数のガス封入タンクに移動する。
このような構成の発明においては、第1乃至第4のいずれかの発明の作用に加えて、減圧用タンクが架台が形成する内部空間に配置されるため、減圧用タンクがガス機器からはみ出さないように設置される。
また、減圧用タンクが配管を介してガス封入タンクと常時接続されることから、大気中への絶縁ガス放出を防止することができる。さらに、配管等の真空引きが不要となるため、ガス純度等の専門知識を有しない作業者によってもガス圧の調整することができる。
加えて、第1の発明によれば、減圧用タンクと、配管と、加圧手段と、切替部材からなる簡易な構成であるため、比較的容易に製造や設置が可能であり、それぞれのコストを抑制することができる。
最初に、ガス機器50について説明すると、図1及び図2に示すように、ガス機器50は、絶縁ガスが封入されるガス封入タンク51と、電動機52と、この電動機52の駆動力で蓄勢されるとともに放勢手段(図示せず)で放勢されてガス封入タンク51に内蔵される遮断部(図示せず)を投入する投入バネ53(図3参照)を備える。なお、投入バネ53は、投入バネ機構53Aに収容されている。
また、ガス封入タンク51は、三相分並置され、一相分毎にブッシング碍管54,54が立設されている。また、ガス封入タンク51の側方には、投入バネ53の投入により蓄勢される遮断バネ(図示せず)が収容される操作箱56が設置される。
さらに、ガス機器50は、ガス封入タンク51や複数のブッシング碍管54を下方から支持する架台55を備える。
ガス圧調整装置1は、ガス封入タンク51に封入される絶縁ガスを移動させて収容し、ガス封入タンク51の内部における絶縁ガスの圧力を減圧する減圧用タンク2と、この減圧用タンク2と三相分の複数のガス封入タンク51を接続する配管3と、この配管3に設けられ、絶縁ガスを加圧して送気する加圧手段4と、投入バネ機構53Aに収容される投入バネ53と加圧手段4の間に配置され、電動機52の駆動力を投入バネ53又は加圧手段4へ選択的に伝達する切替部材5(図1参照)を備える。
また、減圧用タンク2は、架台55が形成する内部空間に配置される。したがって、減圧用タンク2は、ガス機器50からはみ出すことがないように設置されている。さらに、ガス機器に備えられる三相分の複数のガス封入タンク51は、それぞれ同一の第1の容量を有し、減圧用タンク2が有する第2の容量は、ガス封入タンク51の第1の容量と等しい。
さらに、加圧手段4と、切替部材5と、電動機52と、投入バネ機構53Aは、操作箱56の反対側の操作箱57に収容される。
図3に示すように、ガス機器50は、既設の1台の電動機52と、この電動機52の駆動軸52aに取り付けられる第1の係合部材58と、投入バネ53と接続される回動軸53aに取り付けられ、第1の係合部材58に係合する第2の係合部材59を備える。なお、第1の係合部材58及び第2の係合部材59と、後述する第3の係合部材6は、それぞれかさ歯車である。
また、第2の係合部材59は、第2の係合部材59の中心に固定される軸体53dと、互いに噛合する平歯車53b,53cを介して回動軸53aに取り付けられる。なお、平歯車53cとは反対側の回動軸53aの一端は、操作箱57の内壁によって、図示しないベアリングを介して回動可能に支持される。
具体的には、第3の係合部材6は、第3の係合部材6の中心に固定される軸体6aと、互いに噛合する平歯車6b,6cを介して作動軸5aに取り付けられる。なお、作動軸5aは、平歯車6cを軸支し、一端が操作箱57の内壁によって、図示しないベアリングを介して回動可能に支持され、他端が加圧手段4と連結されて加圧手段4を作動させる。また、第3の係合部材6とは反対側の軸体6aの一端は、操作箱57の内壁によって、図示しないベアリングを介して回動可能に支持される。
よって、把持部7bをX1方向に移動させると、スライドレール57a上を支持部7aと電動機52がX1方向にスライド移動し、第1の係合部材58が第2の係合部材59に係合する。したがって、電動機52の駆動力によって第1の係合部材58が回動することで、第2の係合部材59と、軸体53dと、平歯車53bは一体的に回動し、さらに、平歯車53cと、回動軸53aも回動して投入バネ53を巻き上げ蓄勢する。
これに対し、把持部7bをX2方向に移動させると、スライドレール57a上を支持部7aと電動機52がX2方向にスライド移動し、第1の係合部材58が第3の係合部材6に係合する。したがって、電動機52の駆動力によって第1の係合部材58が回動することで、第3の係合部材6と、軸体6aと、平歯車6bは一体的に回動し、さらに、平歯車6cと、作動軸5aが回動して加圧手段4を作動させる。
これに対し、輸送準備時や点検時において、加圧手段4を作動させてガス封入タンク51から減圧用タンク2の方向へ絶縁ガスを加圧して送気したり、減圧用タンク2からガス封入タンク51の方向へ絶縁ガスを送気したりする場合は、開閉バルブ8,9はいずれも開いた状態に保持され、絶縁ガスが配管3内を通過可能である。
図4は、保管場所に保管されたガス機器50等を使用場所まで移動させるために、保管場所においてガス封入タンク51に封入された絶縁ガスを減圧用タンク2へ移動させ、ガス封入タンク51の内部における絶縁ガスを減圧する場合と、使用場所においてガス機器50等を使用するために、減圧用タンク2に移動した絶縁ガスを再度ガス封入タンク51へ移動させてガス封入タンク51の内部における絶縁ガスを昇圧する場合の作業手順を示したものである。
当初保管場所に保管されたガス機器50においては、ガス封入タンク51に封入された絶縁ガスのガス圧は、定格ガス圧(例えば0.5MPa)に維持されている。このとき、第1の係合部材58が第2の係合部材59に係合している、又は第2の係合部材59及び第3の係合部材6のいずれにも係合していない状態であるとともに、開閉バルブ8,9は閉じられている。
そこで、最初の手順1として、把持部7bを把持して電動機52や第1の係合部材58等をX2方向へスライド移動させ、第1の係合部材58を第3の係合部材6と係合させる。
手順2として、開閉バルブ8,9を開放し、ガス封入タンク51に封入された絶縁ガスが配管3を通過して減圧用タンク2へ移動可能な状態とする。
使用場所においては、ガス機器50を使用するための準備を行う。その手順6として、把持部7bを把持して電動機52や第1の係合部材58等をX1方向へスライド移動させ、第1の係合部材58を第2の係合部材59と係合させる。
最後に、手順8として、開閉バルブ8,9を閉鎖し、ガス封入タンク51に封入された絶縁ガスが配管3を通過して減圧用タンク2へ移動不可能な状態とする。これにより、使用場所においてガス機器50を使用する準備が完了する。
このように、ガス圧調整装置1によれば、可搬形ガス回収装置等の特殊機材を調達して使用する必要がないため、従来技術と比較してガス圧の調整作業を早期に開始することができるとともに、この調整作業を極めて容易に実施可能である。具体的には、可搬形ガス回収装置等の準備が不要であることにより、ガス機器50が必要となる停電事故時(供給支障含む)の対応を、短時間に行うことができるので、供給支障発生時間を短縮することが可能となる。したがって、電力供給信頼度の向上を図ることができる。
加えて、ガス圧調整装置1は、減圧用タンク2と、配管3と、加圧手段4と、切替部材5からなる簡易な構成であるため、比較的容易に製造や設置が可能であり、それぞれのコストを抑制することができる。このうち、切替部材5は、かさ歯車等の汎用部材を使用して構成することができるので、導入容易である。
また、第3の係合部材6がかさ歯車でなく、平歯車であっても良い。この場合、軸体52dの長さ方向に沿って1個の平歯車が軸体52dに軸支されて第1の係合部材58と並列し、この平歯車が第3の係合部材である平歯車に噛合する構成が考えられる。
さらに、加圧手段4として、減圧用タンク2からガス封入タンク51の方向へ、絶縁ガスを加圧して送気可能なポンプが使用されても良い。そして、第1の係合部材58と電動機52を接続する構成、第2の係合部材59と投入バネ53を接続する構成、及び第3の係合部材6と加圧手段4を接続する構成は、それぞれ、実施例に示すもの以外の構成であっても良い。
Claims (5)
- 絶縁ガスが封入されるガス封入タンクと、電動機と、この電動機の駆動力で蓄勢されるとともに放勢手段で放勢されて遮断部を投入する投入バネを備えるガス機器の、前記ガス封入タンクの内部における前記絶縁ガスの圧力を変化させるガス圧調整装置であって、
前記ガス封入タンクに封入される前記絶縁ガスを移動させて収容し、前記内部における前記圧力を減圧する減圧用タンクと、
この減圧用タンクと前記ガス封入タンクを接続する配管と、
この配管の途中に設けられ、前記絶縁ガスを加圧して送気する加圧手段と、
前記投入バネと前記加圧手段の間に配置され、前記駆動力を前記投入バネ又は前記加圧手段へ選択的に伝達する切替部材を備えることを特徴とするガス機器のガス圧調整装置。 - 前記ガス機器は、既設の1台の前記電動機と、この電動機の駆動軸に取り付けられる第1の係合部材と、前記投入バネと接続される回動軸に取り付けられ、前記第1の係合部材に係合する第2の係合部材を備え、
前記切替部材は、加圧手段を作動させる作動軸と、この作動軸に取り付けられ、前記第1の係合部材に係合し前記駆動力を前記作動軸に伝達する第3の係合部材と、前記第1の係合部材を前記第2の係合部材又は前記第3の係合部材へ選択的に係合させるために、前記電動機を往復移動させる移動部材を備えることを特徴とする請求項1に記載のガス機器のガス圧調整装置。 - 前記第1乃至第3の係合部材は、それぞれかさ歯車であることを特徴とする請求項2に記載のガス機器のガス圧調整装置。
- 前記ガス機器は、複数の前記ガス封入タンクを備え、
複数の前記ガス封入タンクは、それぞれ同一の第1の容量を有し、
前記減圧用タンクが有する第2の容量は、前記ガス封入タンクの前記第1の容量と等しいことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のガス機器のガス圧調整装置。 - 前記ガス機器は、前記ガス封入タンクを下方から支持する架台を備え、
前記減圧用タンクは、前記架台が形成する内部空間に配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のガス機器のガス圧調整装置。
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