JP6826409B2 - 鉄骨造建物 - Google Patents
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Description
しかしながら、このような技術では、プレートの外周を溶接して鉄骨材に固定しているため、煩雑な溶接作業を必要とし、ウェブの補強のための作業が複雑となる。
この構成では、ウェブの一部に焼入れをすることによって高強度化領域を形成しており、これによりウェブに補強用のプレートを溶接した場合と同様の補強効果を得ている。よって、補強用のプレートを溶接する作業が不要となり、ウェブが簡易に補強された鉄骨造建物を提供できる。
この構成によれば、換気用配管や電線用配管などの設備配管が挿通可能な開孔をウェブに形成しつつ、補強を必要とする開孔の周囲のウェブ部分を高強度化領域によって簡易に補強することができる。また、補強用のプレートを溶接する場合に比べて補強のためのスペースが少なくて済むため、開孔を挿通する設備配管の配置自由度を増すことができる。
この構成によれば、柱梁接合部を構成しているウェブの部分を高強度化領域によって簡易に補強することができる。これにより、地震等の揺れによる破損を抑制するための構造を簡易に実現できる。
この構成によれば、地震等によって揺れが発生した場合に特に応力のかかる方向に沿って高強度化領域が配置されており、ウェブを効果的に補強することができる。これにより、高強度化領域の形成範囲を必要最小限にとどめることができ、焼入れのための作業時間を短縮することができる。
この施工方法によれば、前述と同様の効果を奏することができる。
以下、本発明の第1実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。
図1に示すように、鉄骨造建物1は、複数の梁用鉄骨材10と、複数の柱用鉄骨材20とを備えた複数階建て建物である。梁用鉄骨材10と柱用鉄骨材20との接合形態としては、図示される通り、ト形接合、十字形接合、L形接合、及び、T形接合がある。
図1で示されるA1,A2は後述する高強度化領域である。
なお、図1では、開孔13は、ウェブ12のうち柱用鉄骨材20の近傍に配置されているが、本実施形態は、開孔13が形成される位置は限定されるものではなく、任意の位置に形成されていればよい。また、図1では、開孔13の数は1本の梁用鉄骨材10に1つ形成されているが、複数形成されていてもよい。
高強度化領域A1の1辺の長さは、開孔13の直径に対して2倍以上であることが好ましい。または、ウェブ12の片面について、高強度化領域A1の面積は、開孔13の面積の3倍以上であることが好ましい。
柱用鉄骨材20のうち、その材軸方向における一部は、少なくとも片側に梁用鉄骨材10が接合された柱梁接合部25を構成している。例えば、柱梁接合部25は、両側のフランジ21に梁用鉄骨材10が接合された部分でもよいし(図3参照)、片側のフランジ21に梁用鉄骨材10が接合された部分でもよい。また、柱梁接合部25は、ウェブ22の両側面又は片側面に梁用鉄骨材10が接合された部分でもよい。また、これらが組み合わさっていてもよい。柱用鉄骨材20は、複数の柱梁接合部25を含んでいる。
なお、以下では、柱梁接合部25を構成しているウェブ22の部分を、単に、柱梁接合部25のウェブ部分220と記載する場合がある。
なお、開孔13の形成は、焼入れの後であってもよい。
(1)鉄骨造建物1では、梁用鉄骨材10のウェブ12の一部に焼入れをすることによって高強度化領域A1を形成している。また、柱用鉄骨材20のウェブ22の一部に焼入れをすることによって高強度化領域A2を形成している。これらの高強度化領域A1、A2によれば、補強用のプレートを溶接した場合と同様の補強効果が得られる。よって、補強用のプレートを溶接する作業が不要となり、ウェブ12、22が簡易に補強された鉄骨造建物1を提供できる。
次に、本発明の第2実施形態を図4及び図5に基づいて説明する。図4は図2に対応し、図5は図3に対応する。
図5に示すように、高強度化領域A4は、柱梁接合部25のウェブ部分220の中央に配置されており、柱用鉄骨材20の材軸方向に対して45°傾斜する2方向X3、X4に沿って延びる部分が交差して成る十字形状を呈している。
(4)仮に地震等により鉄骨造建物1に揺れが生じた場合、梁用鉄骨材10及び柱用鉄骨材20には、例えば図4又は図5において白抜き矢印Pで示すような力が作用する。このとき、図4では、開孔13の周囲には、梁用鉄骨材10の材軸方向に対して45°傾斜する方向X1、X2の各々に引張応力又は圧縮応力が加わる。同様に、図5では、柱梁接合部25のウェブ部分220には、柱用鉄骨材20の材軸方向に対して45°傾斜する方向X3、X4の各々に引張応力又は圧縮応力が加わる。
第2実施形態の高強度化領域A3、A4は、地震等によって揺れが発生した場合に特に応力のかかる方向X1〜X4に沿って形成されており、ウェブ12、22を効果的に補強することができる。これにより、高強度化領域A3、A4の形成範囲を必要最小限にとどめることができ、焼入れのための作業時間及び熱処理量を短縮することができる。
なお、本発明は前述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前述の各実施形態において、梁用鉄骨材10及び柱用鉄骨材20は、それぞれ、高強度化領域A1、A2の形成されたウェブ12、22を有しているが、本発明はこれに限られない。すなわち、梁用鉄骨材及び柱用鉄骨材のいずれか一方は、ウェブに高強度化領域が形成されていなくてもよいし、いずれか一方がウェブを有さなくてもよい。例えば、柱用鉄骨材がウェブを有さない場合、形鋼に代えて鋼管を用いてもよい。
また、鉄骨造建物1において、全ての柱梁接合部25のウェブ部分220に高強度化領域A2、A4が形成されることは必須ではない。
第2実施形態において、高強度化領域A3、A4の十字形状が沿って配置される2方向X1〜X4について、それぞれ材軸方向に対して少なくとも傾斜していればよく、傾斜角度は45°でなくともよい。このような形態によっても前述の(4)の効果が得られる。
また、本発明では、建築構造物以外にも、橋等の土木構造物に利用することができる。
Claims (3)
- 柱用鉄骨材と、前記柱用鉄骨材に接合された梁用鉄骨材とを備え、
前記梁用鉄骨材及び前記柱用鉄骨材の少なくとも一方が有するウェブの一部には、焼入れによって高い強度にされた高強度化領域が形成され、
前記梁用鉄骨材は、開孔が形成された前記ウェブを有し、
前記高強度化領域は、前記開孔を内側に含むように形成されている
ことを特徴とする鉄骨造建物。 - 柱用鉄骨材と、前記柱用鉄骨材に接合された梁用鉄骨材とを備え、
前記梁用鉄骨材及び前記柱用鉄骨材の少なくとも一方が有するウェブの一部には、焼入れによって高い強度にされた高強度化領域が形成され、
前記高強度化領域は、前記梁用鉄骨材又は前記柱用鉄骨材の材軸方向に対して傾斜した2方向に沿って延びる部分が交差して成る十字形状を呈している
ことを特徴とする鉄骨造建物。 - 請求項1または請求項2に記載された鉄骨造建物において、
前記柱用鉄骨材は、前記ウェブを有しており、
前記柱用鉄骨材の一部は、少なくとも片側に前記梁用鉄骨材が接合された柱梁接合部を構成しており、
前記高強度化領域は、前記柱梁接合部を構成している前記ウェブの部分に形成されている
ことを特徴とする鉄骨造建物。
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