JP6824165B2 - 火炎シート燃焼器の所定の輪郭を備えたライナ - Google Patents

火炎シート燃焼器の所定の輪郭を備えたライナ Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、概して、燃料−空気混合物を燃焼システム内へ方向付けるための装置および方法に関する。より具体的には、燃焼ライナ入口領域での不都合な空気力学的影響を最小にしながら、燃焼ライナに進入する燃料−空気混合物の速度をより良好に制御するために、燃料−空気混合物をより有効な形式で方向付けるように、半球状ドームが、燃焼ライナへの入口の近くに位置決めされている。
発明の背景
ガス駆動式タービンから汚染物エミッションの量を低減する努力において、政府省庁は、窒素酸化物(NOx)および一酸化炭素(CO)の量の低減を要求する多くの規則を制定してきた。より少ない燃焼エミッションは、しばしば、特に燃料インジェクタ位置、空気流量および混合効率に関して、より効率的な燃焼プロセスに起因する可能性がある。
初期の燃焼システムは、拡散型ノズルを利用していた。拡散型ノズルでは、燃料は、火炎領域の近くで、拡散によって、燃料ノズルの外部の空気と混合される。拡散型ノズルは、従来、十分な燃焼器安定性および低い燃焼ダイナミクスを維持するために燃料と空気とが、混合することなく、高温において化学量論的に実質的に相互作用時に燃焼することにより、比較的大量のエミッションを発生する。
燃料と空気を予混合し、より低いエミッションを得る択一的な手段は、複数の燃焼段を利用することによって得ることができる。複数の燃焼段を備える燃焼器を提供するために、混合され、燃焼されて高温燃焼ガスを形成する燃料および空気も、段付けされなければならない。燃焼システム内へ通過する燃料および空気の量を制御することにより、利用可能な電力およびエミッションを制御することができる。燃料は、燃料システム内の一連の弁または特定の燃料インジェクタへの専用の燃料回路によって段付けすることができる。しかしながら、エンジン圧縮機によって大量の空気が供給されると、空気を段付けすることはより困難となり得る。実際には、図1に示したように、ガスタービン燃焼システムへの一般的設計により、燃焼器への空気流は通常、燃焼ライナ自体における開口のサイズによって制御され、したがって、容易に調節可能ではない。従来の燃焼システム100の一例が、図1の断面図に示されている。燃焼システム100は、燃焼ライナ104を含む流れスリーブ102を有する。燃料インジェクタ106はケーシング108に固定されており、ケーシング108は半径方向ミキサ110を収容している。ケーシング108の前側部分には、カバー112と、パイロットノズルアセンブリ114とが固定されている。
しかしながら、燃焼の前に燃料と空気を予混合することは、より低いエミッションを助けることが示されたが、噴射される燃料−空気予混合物の量は、様々な燃焼器変数により変化する傾向がある。これにより、燃焼器内へ噴射される燃料−空気予混合物の量を制御することに関して、いまだ障害が残っている。
発明の概要
本発明は、多段燃焼システムの燃焼ライナ内へ燃料−空気混合物を噴射する前に、燃料−空気混合の制御を改善する装置および方法を開示する。より具体的には、本発明の1つの実施形態において、概して円筒形の流れスリーブと、この流れスリーブ内に収容された概して円筒形の燃焼ライナとを有するガスタービン燃焼器が提供される。ガスタービン燃焼器は、さらに、主燃料インジェクタのセットと、燃焼ライナの入口端部を取り囲み、概して半球状の横断面を有する燃焼器ドームアセンブリとを有する。ドームアセンブリは、燃焼ライナ内で主燃料インジェクタのセットに向かって両軸方向に延びており、これにより、一連の通路を形成している。一連の通路を燃料−空気混合物が通過する。通路は、燃料−空気予混合物の流れを調整するように対応してサイズ決めされている。
本発明の択一的な実施形態では、ガスタービン燃焼器用のドームアセンブリが開示される。ドームアセンブリは、燃焼器の軸線を中心に延びる環状で、半球状のキャップと、半球状のキャップの半径方向外側部分に固定された外側環状壁部と、半球状のキャップの半径方向内側部分に固定された内側環状壁部とを有する。結果的に得られるドームアセンブリは、燃焼ライナの入口部分を取り囲むようにサイズ決めされた概してU字形の横断面を有する。
本発明のさらに別の実施形態では、ガスタービン燃焼器のための燃料−空気混合物の速度を制御する方法が開示される。この方法は、燃焼ライナの半径方向外側に配置された第1の通路を通って燃料−空気混合物を方向付け、次いで、燃料−空気混合物を、第1の通路から、第1の通路に隣接して配置された第2の通路を通って方向付けることを含む。次いで、燃料−空気混合物は、第2の通路から、半球状ドームキャップによって形成された第4の通路を通って方向付けられ、これにより、燃料−空気混合物の方向を反転させる。次いで、燃料−空気混合物は、燃焼ライナ内に配置された第3の通路を通過する。
本発明のさらに別の実施形態では、ほぼ環状のボディが設けられており、該ほぼ環状のボディは、所定の厚さと、入口端部と、該入口端部の反対側の出口端部と、内面と、該内面の反対側の外面とを有しており、該外面は、前記入口端部近くに所定の輪郭を備えた形状を有していて、すなわち、前記外面は第1の外面と第2の外面とを含んでおり、前記第1の外面は、前記第2の外面の半径方向外側に位置していて、前記第1の外面から前記入口端部へと第1の面取り部が延在するようになっている。遮熱コーティングが、前記内面に施工されており、前記入口端部近くの前記コーティングの一部は第2の面取り部を有していて、これによりコーティングの厚さは前記入口端部に向かってテーパしている。
本発明の別の実施形態では、燃焼ライナの入口部分が設けられていて、該入口部分は、ほぼ環状のボディを有しており、該ボディは第1のライナ厚さからテーパして、第2のライナ厚さを有しており、入口端部近くで第1のライナ厚さから第1の割合でテーパしている。コーティングが、前記ほぼ環状のボディの内壁に施工されており、該コーティングは、前記入口端部で第1のコーティング厚さから第2のコーティング厚さへとテーパしており、前記コーティングは第2の割合でテーパしている。
本発明のさらに別の実施形態では、燃焼ライナにおける再循環区域を減じる方法が提供される。燃焼ライナの外面に沿った面取り部と、燃焼ライナの内面に施工されたコーティングと、内面上のコーティングに対する面取り部とを有した燃焼ライナが提供される。燃料空気混合物は、燃焼ライナの外面に沿って方向付けられ、この混合物が、燃焼ライナの面取りされた部分の少なくとも近くでは維持されるように、燃焼ライナの入口端部のまわりで方向転換され、次いで、燃焼ライナ内へと方向付けられる。
本発明のさらに別の選択的な実施形態では、燃焼ライナが設けられており、該燃焼ライナは、所定の厚さを有したほぼ環状のボディと、入口端部と、該入口端部の反対側の出口端部と、内面と、該内面の反対側の外面とを有しており、該外面は、第1の曲率半径を有した所定の輪郭を備えた形状を有している。前記内面には、遮熱コーティングが施工されており、前記入口端部近くの前記コーティングの一部は面取り部を有していて、これにより前記コーティング厚さは前記燃焼ライナの入口端部に向かってテーパしている。
本発明の別の選択的な実施形態では、燃焼ライナが設けられており、該燃焼ライナは、所定の厚さを有したほぼ環状のボディと、入口端部と、該入口端部の反対側の出口端部と、内面と、該内面の反対側の外面とを有しており、該外面は、燃焼ライナの入口端部に向かう面取りされた形状を有している。前記内面には、遮熱コーティングが施工されており、前記入口端部近くの前記コーティングの一部は第1の曲率半径を有した所定の輪郭を備えた形状を有しており、これにより前記コーティング厚さは前記燃焼ライナの入口端部に向かってテーパしている。
本発明のさらに別の選択的な実施形態では、燃焼ライナが設けられており、該燃焼ライナは、所定の厚さを有したほぼ環状のボディと、入口端部と、該入口端部の反対側の出口端部と、内面と、該内面の反対側の外面とを有しており、該外面は、第1の曲率半径を有した所定の輪郭を備えた形状を有している。前記内面には、遮熱コーティングが施工されており、前記入口端部近くの前記コーティングの一部は第2の曲率半径を有していて、これにより前記コーティング厚さは入口端部に向かってテーパしている。
本発明の付加的な利点および特徴は、以下に続く説明において部分的に示され、部分的に以下の説明の検討により当業者に明らかになるか、または本発明の実施によって学ばれ得る。ここで、添付の図面を特に参照して、本発明を説明する。
図面の簡単な説明
添付の図面を参照して、本発明を以下で詳細に説明する。
従来の燃焼システムの断面図である。 本発明の1つの実施形態によるガスタービン燃焼器の断面図である。 本発明の1つの実施形態による、図2のガスタービン燃焼器の一部の詳細な断面図である。 本発明の1つの実施形態によるドームアセンブリの断面図である。 本発明の選択的な実施形態によるドームアセンブリの断面図である。 ガスタービン燃焼器に進入する燃料−空気混合物を調節するプロセスを開示するフローチャートである。 従来技術による燃焼ライナの一部の断面図である。 本発明の1つの実施形態による燃焼ライナの一部を示す断面図である。 本発明の選択的な実施形態による燃焼ライナの一部を示す断面図である。 本発明のさらに別の選択的な実施形態による燃焼ライナの一部を示す断面図である。 本発明の別の実施形態による燃焼ライナの一部を示す断面図である。 本発明の1つの実施形態による燃焼ライナ内へ燃料空気混合物を方向付けるプロセスを示すフローチャートである。
発明の詳細な説明
引用により、本願は、米国特許第6935116号明細書、米国特許第6986254号明細書、米国特許第7137256号明細書、米国特許第7237384号明細書、米国特許第7308793号明細書、米国特許第7513115号明細書および米国特許第7677025号明細書(U.S. Patent Nos. 6,935,116, 6,986,254, 7,137,256, 7,237,384, 7,308,793, 7,513,115, and 7,677,025.)の内容を含む。
本発明は、燃焼システム内へ噴射される燃料−空気混合物の速度を制御するためのシステムおよび方法を開示する。すなわち、燃料−空気混合物が通過する環状の公知の有効流れ領域を形成する2つの同軸的な構造により、所定の有効流れ領域が維持される。
ここで、図2から図8に関して本発明を説明する。本発明が機能するガスタービン燃焼システム200の1つの実施形態が、図2に示されている。燃焼システム200は、多段燃焼システムの一例であり、長手方向軸線A−Aを中心に延びており、所定の量の圧縮機空気を概して円筒状で同軸的な燃焼ライナ204の外面に沿って方向付けるための概して円筒状の流れスリーブ202を有している。燃焼ライナ204は、入口端部206と、反対側の出口端部208とを有する。燃焼システム200は、燃焼ライナ204の半径方向外側で、流れスリーブ202の上流端部の近くに位置決めされた主燃料インジェクタ210のセットも有する。主燃料インジェクタ210のセットは、燃焼システム200のための燃料−空気混合物を提供するために、制御された量の燃料を、通過する空気流内へ方向付ける。
図2に示された本発明の実施形態の場合、主燃料インジェクタ210は、燃焼ライナ204の半径方向外側に配置されており、燃焼ライナ204の周囲に環状の配列で広がっている。主燃料インジェクタ210は、2つの段に分割されており、第1の段は、燃焼ライナ204の周囲に約120°にわたって延びており、第2の段は、燃焼ライナ204の周囲に、残りの環状部分、もしくは約240°にわたって延びている。主燃料インジェクタ210の第1の段は、メイン1火炎を発生するために使用され、主燃料インジェクタ210の第2の段は、メイン2火炎を発生するために使用される。
燃焼システム200は、図2および図3に示したように燃焼ライナ204の入口端部206を包囲する燃焼器ドームアセンブリ212も有する。より具体的には、ドームアセンブリ212は、外側環状壁部214を有する。外側環状壁部214は、主燃料インジェクタ210のセットの近くから、概して半球状のキャップ216まで延びている。キャップ216は、燃焼ライナ204の入口端部206の前方へ所定の距離に位置決めされている。ドームアセンブリ212は、半球状キャップ216において方向転換し、ドームアセンブリ内壁218を通って燃焼ライナ204内へ所定の距離だけ延びる。
燃焼ライナ204に関連した燃焼器ドームアセンブリ212の形状により、燃焼器ドームアセンブリ212の複数の部分と、燃焼ライナ204との間に、一連の通路が形成されている。外側環状壁部214と、燃焼ライナ204との間に、第1の通路220が形成されている。図3を参照すると、第1の通路220のサイズは、主燃料インジェクタ210のセットの近くにおける第1の半径方向高さH1から、第2の通路222におけるより小さな高さH2まで減少している。第1の通路220は、十分な逆火余白を提供するために、位置H2において流れを目標しきい値速度まで加速するために、所定の角度でテーパしている。すなわち、燃料−空気混合物の速度が十分に高い場合、燃焼システムにおいて逆火が生じるならば、第2の通路222を通る燃料−空気混合物の速度は、火炎がこの領域に維持されるのを防止する。
第2の通路222は、外側環状壁部214の円筒状部分と、燃焼ライナの入口端部206の近くの燃焼ライナ204との間に形成されており、第1の通路220と流体通流可能に接続されている。第2の通路222は、2つの円筒状部分の間に形成されており、燃焼ライナ204の外面と、外側環状壁部214の内面との間で測定される第2の半径方向高さH2を有する。燃焼器ドームアセンブリ212は、第3の通路224をも有し、第3の通路224は、やはり円筒状であり、燃焼ライナ204と内壁218との間に位置決めされている。第3の通路は、第3の半径方向高さH3を有しており、第2の通路のように、2つの円筒状壁部、すなわち燃焼ライナ204と、ドームアセンブリ内壁218とによって形成されている。
上述のように、第1の通路220は、実際には概して円筒状である第2の通路222へテーパしている。第2の半径方向高さH2は、燃料−空気混合物が通過しなければならない制限領域として機能する。半径方向高さH2は、調節され、その形状によって部分ごとに一貫して保たれており、図3に示したように2つの円筒状の(すなわちテーパしていない)面によって制限されている。すなわち、制限流れ領域として円筒状の面を利用することによって、より優れた寸法設定が提供される。なぜならば、テーパした面の場合と比較して、より正確な機械加工技術および円筒面の機械加工公差の調節が達成可能であるからである。例えば、円筒面の公差を±0.001インチ以内に保つことは、標準的な機械加工能力の十分な範囲内である。
第2の通路222および第3の通路224に円筒形状を利用することは、有効流れ領域を制御および調整するためのより有効な方法を提供し、有効流れ領域を調節することにより、燃料−空気混合物を所定の既知の速度に維持することができる。混合物の速度を調節することができることにより、速度を、ドームアセンブリ212において火炎の逆火が生じないことを保証するのに十分な高い速度に維持することができる。
図2〜図4Bに示されたこれらの決定的な通路形状を表すための1つのこのような方法は、第3の通路高さH3に対する第2の通路高さH2の方向転換半径比によるものである。これは、燃焼入口領域の高さに対する最小高さである。例えば、本明細書に示された本発明の実施形態では、H2/H3の比は約0.32である。このアスペクト比は、ライナに隣接して存在する、再循環および安定化捕捉渦のサイズを制御し、これは、全体的な燃焼器安定性を提供する。例えば、図2および図3に示された実施形態の場合、このジオメトリを利用することにより、第2の通路における燃料−空気混合物の速度は、毎秒約40〜80メートルの範囲に留まらせることができる。しかしながら、この比は、所望の通路高さ、燃料−空気混合物の質量流量、および燃焼器速度に応じて変化する。開示された燃焼システムの場合、H2/H3の比は、約0.1〜約0.5の範囲であることができる。より具体的には、本発明の1つの実施形態の場合、第1の半径方向高さH1は、約15mm〜約50mmの範囲であることができ、第2の半径方向高さH2は、約10mm〜約45mmの範囲であることができ、第3の半径方向高さH3は、約30mm〜約100mmの範囲であることができる。
上述のように、燃焼システムは、第4の高さH4を有する第4の通路226も有しており、この第4の通路226は、燃焼ライナの入口端部206と、半球状のキャップ216との間に配置されている。図3から分かるように、第4の通路226は、半球状キャップ216内に位置決めされており、ライナの入口端部206から半球状キャップ216における交差位置までの距離に沿って測定された第4の高さを有している。したがって、第4の高さH4は、第2の半径方向高さH2よりも大きいが、第4の高さH4は、第3の半径方向高さH3よりも小さい。第2、第3および第4の通路のこの相対的な高さの構成により、燃料−空気混合物は、(H2において)制御され、(H4において)半球状キャップ216を通って回転し、(H3において)燃焼ライナ204に進入し、これは全て、燃料−空気混合物の速度が、燃料−空気混合物がドームアセンブリ212の表面に付着したままであるように十分に速いことを保証するような形式でなされる。なぜならば、付着されていない、もしくは分離された燃料−空気混合物は、逆火の際に火炎を助長する可能性のある条件を提供するからである。
図3に示したように、少なくとも部分的に外側環状壁部214の形状の結果、第1の通路220の高さはテーパしている。より具体的には、第1の通路220は、主燃料インジェクタ210のセットに隣接する領域において最大の高さを、第2の通路に隣接する領域において最小の高さを有している。上述の通路形状を有するドームキャップアセンブリ212の択一的な実施形態が、図4Aおよび図4Bにさらに詳しく示されている。
図5を参照すると、ガスタービン燃焼器のための燃料−空気混合物の速度を調節する方法500が開示されている。この方法500は、燃焼ライナの半径方向外側に配置された第1の通路を通して燃料−空気混合物を方向付けるステップ502を含む。次いで、ステップ504において、燃料−空気混合物は、第1の通路から、やはり燃焼ライナの半径方向外側に配置された第2の通路内へ方向付けられる。ステップ506において、燃料−空気混合物は、第2の通路から、半球状ドームキャップ216によって形成された第4の通路内へ方向付けられる。その結果、燃料−空気混合物は、流れ方向を反転させ、今や燃焼ライナ内へ方向付けられる。次いで、ステップ508で、燃料−空気混合物は、燃焼ライナ内に配置された第3の通路を通って方向付けられ、燃料−空気混合物は、燃焼ライナ内へ下流に向けて通流する。
当業者が理解するように、ガスタービンエンジンは通常、複数の燃焼器を有する。概して、議論のために、ガスタービンエンジンは、ここに開示されるような低エミッション燃焼器を有してよく、ガスタービンエンジンの周囲に缶型環状構成で配置されていてよい。ガスタービンエンジンの1つのタイプ(例えばヘビーデューティガスタービンエンジン)には、通常、6〜18個の個々の燃焼器が設けられていてよいが、このような数に限定されない。各燃焼器は、上に概説した構成部材によって取り付けられている。したがって、ガスタービンエンジンのタイプに基づいて、ガスタービンエンジンを作動させるために利用される複数の異なる燃料回路があり得る。図2および図3に開示された燃焼システム200は、エンジンの負荷に基づいて4つの燃料噴射段を有する多段予混合燃焼システムである。しかしながら、特定の燃料回路および関連する制御機構を、より少ないまたは付加的な燃料回路を有するように変更することができると考えられる。
図6〜図11を参照して、燃焼ライナ入口領域の態様に関する付加的な詳細を説明し、議論する。まず、最初に図6を参照すると、従来技術の燃焼ライナの入口端部の詳細図が示されている。特に、燃焼ライナ600は、所定の厚さ604を有したほぼ環状のボディ602と、ほぼ環状のボディ602の内面608に沿って施工された遮熱コーティング606とを有している。燃焼ライナ600は入口端部610を有している。この従来技術の実施形態では、遮熱コーティング606は、入口端部610へと延在しており、一緒にブラフ端面612を形成している。すなわち、従来技術の実施形態では、入口端部610は、燃焼ライナ600に使用される金属薄板の厚さに応じて、0.090インチ以上の合計厚さ(金属+遮熱コーティング)を有している。このような燃焼ライナ600を、図2〜図5の燃焼システムと共に使用すると、燃焼ライナ600と入口端部610とは、燃料空気流が入口端部610に沿って、かつ入口端部610のまわりを通過するときに望ましくない結果を生じさせる可能性があるブラフボディ(鈍頭物体)を形成する。特に、燃料空気流が、入口端部610のまわりを通過するとき、燃料空気混合物は、このブラフボディの形状により、燃焼ライナ600へと入るときに剥離する傾向がある。当業者が理解するように、このような流れの剥離は、入口端部610に、または入口端部610近くに火炎を留まらせることを助長する恐れがある。この望ましくない結果は、燃焼ライナ600の入口端部610を、この再循環領域に形成された火炎によって侵食して、燃焼ライナの早期修理または交換という結果となる。
この従来技術の燃焼ライナの入口端部610の改良が、図7に示されている。本発明の実施形態では、ほぼ環状のボディ702を有する燃焼ライナ700が設けられている。この環状のボディ702は、前方領域704に向かって変化する厚さTを有している。燃焼ライナ700はさらに、入口端部706と、反対側の出口端部(図示せず)とを有する。ほぼ環状のボディ702はさらに、内面708と、この内面とは反対側の外面とを有している。この外面は、入口端部706の近くに所定の輪郭を備えた形状を有していて、第1の外面710と第2の外面712とを含んでいる。この場合、第1の外面710は、第2の外面712の半径方向外側に位置している。
燃焼ライナ700の前方領域704も、第1の外面710から入口端部706に向かって延在する第1の面取り部714を有しており、これにより、前方領域704における燃焼ライナ700の厚さは減じられている。図7に示した実施形態では、第1の面取り部714は、約5〜75°の角度で方向付けられていて、燃焼ライナ700の厚さを約0.1〜0.25インチから入口端部706では約0.005〜0.1インチへと減じている。面取り角度、その結果生じる厚さ、および燃焼ライナの厚さの変化率は、単なる代表例であり、本発明の範囲を限定することを意味するものではない。当業者は理解するように、燃焼ライナの厚さ、面取り角度および、入口端部706に向かって変化する厚さの変化率は、変更可能である。しかしながら、第1の割合での第1の面取り部714による厚さの減少により、ほぼ環状のボディ702の外面に沿って通過する燃料空気流のより多くは、従来技術の設計とは対照的に、環状のボディ702に付着したままである。
燃焼ライナ700はさらに、ほぼ環状のボディ702の内面708に施工されたコーティング716を有している。燃焼ライナ700のために使用されるこのようなコーティングの1つは遮熱コーティングである。内面708に施工された遮熱コーティング716は、接合コーティング718とセラミックトップコーティング720とを有している。例えば、接合コーティング718は、約0.001〜0.010インチの厚さに施工されてよく、セラミックトップコーティング720は、接合コーティング718の上に約0.010〜0.200インチの厚さに施工されてよい。当業者が理解するように、遮熱コーティングは、上述したように標準的な市販のコーティングであってよく、または、より有利には、緻密な垂直亀裂コーティング(DVCコーティング)のような遮熱コーティングであってもよい。図7に示したように、入口端部706近くのコーティング部分は、5〜75°の角度で方向付けられた第2の面取り部722によりテーパされていて、この面取り部は、コーティング厚さを入口端部706に向かって第2の割合でテーパする。第2の面取り部722は、予め施工されたコーティングを研削するといった機械加工プロセスにより形成することができ、または施工される接合コーティングおよび遮熱コーティングの層をテーパした結果として形成することができる。
したがって、図7によりわかるように、第1の面取り部714と第2の面取り部722とは、入口端部706に減じられたブラフボディ領域724を形成する。本発明の実施形態では、減じられたブラフボディ領域724は、約0.020インチの厚さを有している。しかしながら、別の減じられたブラフボディ領域724を、燃焼ライナ700の所望の構造に応じて、利用することができる。上述したように、ブラフボディ領域は、再循環区域を形成する。しかしながら本発明による面取り角度714および722は、このような領域のサイズを減じるので、燃料空気流が、入口端部706に向かって流れるときに剥離する傾向を減じることができる。
しかしながら、本発明により形成された減じられたブラフボディ領域724により、ほぼ環状のボディ702の外側領域に沿って通過する燃料空気流は、テーパ面714および722に沿って維持され、これにより、従来技術のブラフボディによる悪影響を減じることができる。
本発明の選択的な実施形態では、ライナの入口端部706における面取り部は、代わりに、図8〜図10に示したような、丸み付けされたブラフボディ領域またはライナの入口端部の丸み付けされた部分を有していてもよい。特に、図8〜図10に示したように、燃焼ライナ800は入口端部806を有していて、図7に示した面取り角度714および722の代わりに、燃焼ライナ800は、入口端部806に1つ以上の曲率半径を有している。すなわち、燃焼ライナ800は、入口端部806と出口端部(図示せず)を有したほぼ環状のボディ802を有している。環状のボディ802は、内面808と外面810とを有している。この実施形態では、内面808は、この内面808に施工される遮熱コーティング820を有している。しかしながら、図7の実施形態とは異なり、この実施形態は、ライナ入口で燃焼ライナ800内に形成される1つ以上の半径を含む。特に、図8では、1つ以上の半径は、入口端部806近くで外面810のまわりにほぼ環状のボディ802に対する曲率半径Rを含む。曲率半径Rは、様々な要素に応じて変更してよい。しかしながら、半径Rは、図7の実施形態のテーパ面714の長さとほぼ等しく延在するように、所定の距離を延びているのが好ましい。したがって、半径Rは、テーパ面714の同じ一般領域をカバーしている。しかしながら、半径は、テーパ面714により得られる効果と同様の効果を提供するが、テーパ面714ほど有利ではない。半径Rは、湾曲面の結果として空気流の剥離の危険を増加させている。また、このような半径は、この領域に保持されている全ての火炎に不都合に作用する。
選択的に、図9に示したように、燃焼ライナ800に対する1つ以上の半径Rが、入口端部806で内面808に施工された遮熱コーティング820に沿って形成されてもよい。遮熱コーティング820の半径Rは、コーティング厚さに応じて変更可能である。図8の実施形態と同様に、遮熱コーティングに対する半径Rも、入口端部806に保持される火炎に対して不都合に作用する。
次いで、図10を参照すると、1つ以上の半径Rは、第1の半径R1と第2の半径R2とを有することができる。特に、ほぼ環状のボディ802は、遮熱コーティング820の半径R2よりも著しく大きな第1の半径R1を有している。したがって、入口端部806におけるR1とR2の組合わせは、燃焼ライナへの入口における丸みのある先端に匹敵する形状を形成する。
図8〜図10に開示された構造は、ライナの構造的統一性にとって必要な燃焼ライナのブラフ前縁を提供する。しかしながら、前縁の厚さを減じることにより、火炎を保持する傾向を減じさせることによって、燃焼ライナの入口端部806の早期の熱摩耗を防止している。半径R、R1および/またはR2は、好適には、ライナおよび/または遮熱コーティングに対する研削工程により形成される。
図11を参照すると、ガスタービン燃焼器における再循環区域を減じる方法1100が開示されている。特に、ステップ1102では、燃焼ライナの外面に沿った面取り部と、燃焼ライナの内面に施工されたコーティングと、内面上のコーティングに対する面取り部とを有した燃焼ライナが提供される。次いで、ステップ1104では、燃料空気混合物が、燃焼ライナの外面に沿って方向付けられる。燃料空気混合物は、次いで、ステップ1106で燃焼ライナの入口端部のまわりで方向転換され、これにより混合物は少なくとも、燃焼ライナの面取り部の近くに留まる。次いで、ステップ1108で、燃料空気混合物は燃焼ライナ内へと方向付けられ、ここで噴射されて、ガスタービンエンジンに出力を供給する。
現時点で好適な実施形態として知られるものについて、本発明は説明されているが、本発明は、開示された実施形態に限定されるのではなく、反対に、以下の請求項の範囲の様々な変更および同等の配列を包含することが意図されている。本発明は、全ての観点から制限的ではなく例示的である特定の実施形態に関して説明されている。
前記説明から、本発明が、システムおよび方法にとって明白でかつ固有である他の利点とともに、全ての目的および課題を達成するために十分に適応されたものであることが分かる。ある特徴および準組合せは利用でき、他の特徴および準組合せを参照することなく使用されてよいことが理解されるであろう。これは、請求項の範囲によっておよび請求項範囲において考慮される。

Claims (21)

  1. 燃焼ライナであって、
    所定の厚さを有したほぼ環状のボディと、入口端部と、該入口端部の反対側の出口端部とを有しており、前記ほぼ環状のボディは、内面と、該内面の反対側の外面とを有しており、該外面は、前記入口端部近くに所定の輪郭を備えた形状を有していて、すなわち、前記外面は第1の外面と第2の外面とを含んでおり、前記第1の外面は、前記第2の外面の半径方向外側に位置していて、前記第1の外面から前記入口端部へと第1の面取り部が延在するようになっており、
    当該燃焼ライナはさらに、
    前記内面に施工されたコーティングを有しており、該コーティングは、接合コーティングとセラミックトップコーティングとを含み、前記入口端部近くの前記コーティングの少なくとも一部は、第2の面取り部を有していて、これによりコーティング厚さは、前記入口端部に向かって軸方向にテーパしている、
    燃焼ライナ。
  2. 前記第1の外面の厚さは、前記第2の外面の厚さよりも大きい、請求項1記載の燃焼ライナ。
  3. 前記第1の面取り部と前記第2の面取り部とは、前記入口端部で減じられたブラフボディ領域を形成する、請求項1または2記載の燃焼ライナ。
  4. 前記入口端部における前記ブラフボディは、前記燃焼ライナの前記入口端部近くに再循環区域を形成するように設けられている、請求項3記載の燃焼ライナ。
  5. 前記第1の面取り部は、前記入口端部に向かってテーパしている、請求項1から4までのいずれか1項記載の燃焼ライナ。
  6. 前記燃焼ライナの前記内面に施工された前記コーティングは、緻密な垂直亀裂微細構造を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載の燃焼ライナ。
  7. 燃焼ライナの入口部分であって、ほぼ環状のボディを有しており、該ボディの外面は第1のライナ厚さからテーパして、第2のライナ厚さを有しており、入口端部近くで第1のライナ厚さから第1の割合でテーパしており、
    当該燃焼ライナの入口部分はさらに、
    前記ほぼ環状のボディの内壁に施工されたコーティングを有しており、該コーティングの少なくとも一部は、前記入口端部で第1のコーティング厚さから第2のコーティング厚さへと軸方向にテーパしており、前記コーティングは第2の割合でテーパする、
    燃焼ライナの入口部分。
  8. 前記入口端部は、約0.005〜0.100インチの厚さを有している、請求項7記載の入口部分。
  9. 燃焼ライナの前記厚さは、約5〜75°の角度でテーパしている、請求項7または8記載の入口部分。
  10. 前記コーティングの前記厚さは、約5〜75°の角度でテーパしている、請求項7から9までのいずれか1項記載の入口部分。
  11. 前記コーティングは、緻密な垂直亀裂微細構造を有している、請求項7から10までのいずれか1項記載の入口部分。
  12. 前記第1のコーティング厚さは、約0.010インチ〜0.200インチである、請求項7から11までのいずれか1項記載の入口部分。
  13. 燃焼ライナにおける再循環区域を減じる方法であって、
    燃焼ライナを設けるステップであって、前記燃焼ライナは、該燃焼ライナの外面に沿った第1の外面および前記第1の外面から入口端部へ延在する面取り部と、前記燃焼ライナの内面に施工されたコーティングと、前記内面上の前記コーティングの少なくとも一部に設けられ、軸方向にテーパする面取り部と、を有している、ステップと、
    前記燃焼ライナの前記外面に沿って燃料空気混合物を方向付けるステップと、
    前記混合物が、前記燃焼ライナの面取りされた部分の少なくとも近くを通るように前記燃焼ライナの前記入口端部のまわりで前記燃料空気混合物を方向転換させるステップと、
    前記混合物を前記燃焼ライナ内に方向付けるステップと、
    を有している、燃焼ライナにおける再循環区域を減じる方法。
  14. 前記入口端部は、前記第1の外面及び前記コーティングの厚さと比較して減じられた厚さを有する、ブラフボディを形成する、請求項13記載の方法。
  15. 前記ブラフボディは、約0.005〜0.050インチの厚さを有している、請求項14記載の方法。
  16. 燃焼ライナであって、
    所定の厚さを有したほぼ環状のボディと、入口端部と、該入口端部の反対側の出口端部とを有しており、前記ほぼ環状のボディは、内面と、該内面の反対側の外面とを有しており、該外面は、第1の曲率半径により所定の輪郭を備えており、
    当該燃焼ライナはさらに、
    前記内面に施工されるコーティングを有しており、該コーティングは、接合コーティングとセラミックトップコーティングとを含み、前記コーティングの少なくとも一部は、第2の曲率半径により、前記入口端部に向かって軸方向に前記コーティングの厚さが小さくなる所定の輪郭を備えており、前記入口端部で前記第1の曲率半径は前記第2の曲率半径に滑らかに移行するようになっている、
    燃焼ライナ。
  17. 前記第1の曲率半径による輪郭は、前記第2の曲率半径による輪郭に接線方向で接続する、請求項16記載の燃焼ライナ。
  18. 前記第1の曲率半径は前記第2の曲率半径よりも大きい、請求項16または17記載の燃焼ライナ。
  19. 前記第2の曲率半径は前記第1の曲率半径よりも大きい、請求項16または17記載の燃焼ライナ。
  20. 燃焼ライナであって、
    所定の厚さを有したほぼ環状のボディと、入口端部と、該入口端部の反対側の出口端部と、を有しており、前記ほぼ環状のボディは、内面と、該内面の反対側の外面とを有しており、該外面は、前記入口端部近くに所定の輪郭を備えた形状を有していて、すなわち、前記外面は第1の外面と第2の外面とを含んでおり、前記第1の外面は、前記第2の外面の半径方向外側に位置していて、前記第1の外面から前記入口端部へと第1の面取り部が延在するようになっており、
    当該燃焼ライナはさらに、
    前記内面に施工されたコーティングを有しており、該コーティングは、接合コーティングとセラミックトップコーティングとを含み、前記入口端部近くの前記コーティングの少なくとも一部は、前記入口端部において、前記入口端部に向かって軸方向に前記コーティングの厚さが小さくなる曲率半径を有している、
    燃焼ライナ。
  21. 燃焼ライナであって、
    所定の厚さを有したほぼ環状のボディと、入口端部と、該入口端部の反対側の出口端部とを有しており、前記ほぼ環状のボディは、内面と、該内面の反対側の外面とを有しており、該外面は、曲率半径により所定の輪郭を備えており、
    当該燃焼ライナはさらに、
    前記内面に施工されるコーティングを有しており、該コーティングは、接合コーティングとセラミックトップコーティングとを含み、前記入口端部近くの前記コーティングの少なくとも一部は面取り部を有していて、これによりコーティング厚さは前記入口端部に向かって軸方向にテーパしている、
    燃焼ライナ。
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