JP6823438B2 - 冷媒輸送用ホース - Google Patents

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本発明は、自動車等の車両用の冷媒を輸送するためのホースとして有用な、冷媒輸送用ホースに関するものである。
従来、オゾン層破壊ガスの蒸散規制強化に伴い、自動車等に使用される冷媒輸送用ホースの冷媒バリア性(耐冷媒透過性)に対する要求が厳しくなっている。そのため、冷媒輸送用ホースの最内層の形成材料には、例えば、ポリアミド樹脂のような結晶性の高い樹脂が使用されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
一方で、オゾン層破壊ガスの蒸散規制強化に伴い、近年、自動車等に使用される冷媒の品質も改良されている。例えば、R−1234yf冷媒(HFO−1234yf冷媒)は、HFC−134a冷媒の代替冷媒として開発されたものであり、HFC−134aに比べオゾン破壊係数および地球温暖化係数が低く、地球環境に極めて優しい冷媒である。そのため、自動車等に使用される冷媒輸送用ホースも、R−1234yfに適した性能のものが求められている。
国際公開2012/115147号公報 特許第5723520号公報 特許第4811531号公報
しかしながら、R−1234yf冷媒のような、二重結合を有するフッ素化合物と潤滑油とを含有する冷媒組成物を用いた場合、高温環境の下、冷媒由来の有機酸(フッ化水素等)や水との接触によって、ホース最内層を構成するポリアミド樹脂が加水分解し、劣化するという問題がある。
上記特許文献1に係るホースは、ポリアミドに2価、3価の金属化合物が配合された最内層を備えており、上記特許文献2に係るホースは、ポリアミドにカルボジイミドが配合された最内層を備えており、上記特許文献3に係るホースは、ポリアミドにハイドロタルサイトが配合された最内層を備えている。上記のような化合物をホースの最内層材料に過剰に配合すると、加水分解防止性能(耐酸性)の向上は一応見られるが、上記最内層材料中で上記化合物が均一に分散しにくいことから、最内層の柔軟性の低下や、最内層材料の二軸混練りや押出し等といった成形加工性の低下につながる。そのため、未だ改良の余地がある。
また半芳香族系のポリアミド樹脂をホースの最内層材料に用いて、先に述べたような最内層の加水分解劣化を防止することも検討されるが、このようなホースは、成形加工性、柔軟性および振動吸収性能の低下が懸念される。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、耐冷媒透過性、柔軟性等に優れるとともに、ホース最内層の加水分解劣化の防止性能に優れる、冷媒輸送用ホースの提供をその目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の冷媒輸送用ホースは、管状の最内層と、上記最内層外周に設けられたゴム層とを備えた冷媒輸送用ホースであって、上記最内層が、下記の(A)を主成分とするポリマー100重量部に対し下記の(B)成分を0.1〜10重量部の範囲で含有する樹脂組成物からなるという構成をとる。
(A)脂肪族ポリアミド樹脂。
(B)水酸化ジルコニウムおよび酸化ジルコニウムの少なくとも一方のジルコニウム化合物を含有する無機陰イオン交換体。
すなわち、本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その研究の過程で、耐冷媒透過性、柔軟性等の観点から、ホース最内層を脂肪族ポリアミド樹脂層とし、さらに、ホース強度、耐屈曲性、耐水性を高めるため、その最内層外周にゴム層を設けることを検討した。そして、冷媒から発生する有機酸に起因した脂肪族ポリアミド樹脂の加水分解を抑制するため鋭意研究を重ねた結果、上記最内層中に、陰イオン交換性能に優れる特定のジルコニウム化合物を含む無機陰イオン交換体を含有させたところ、上記無機陰イオン交換体の少量の添加で、脂肪族ポリアミド樹脂の加水分解を効果的に抑えることができたことから、所期の目的が達成できることを見いだし、本発明に到達した。
上記のような結果が得られた理由について詳細に検討すると、Zrといったイオン価数の大きい重金属元素を含む上記無機陰イオン交換体は、イオン価数の小さな軽金属元素(Mg,Al)を含むハイドロタルサイト等の金属化合物に比べ、高い陰イオン交換能を発現させることができるため、冷媒中の有機酸を水分子に変換して酸濃度を低下させる性能が高い。さらに、上記無機陰イオン交換体は、脂肪族ポリアミド樹脂に対する分散性も高く、少量の添加で脂肪族ポリアミド樹脂の加水分解を効果的に抑えることができるため、ポリアミド樹脂の柔軟性や成形加工性に悪影響を及ぼすことがない。これらの理由によって、先に述べたような結果が得られたと考えられる。
本発明の冷媒輸送用ホースは、管状の最内層と、上記最内層外周に設けられたゴム層とを備えており、上記最内層が、脂肪族ポリアミド樹脂(A)を主成分とするポリマーと、特定のジルコニウム化合物を含有する無機陰イオン交換体(B)とを含有する樹脂組成物からなる。そのため、耐冷媒透過性、柔軟性等に優れるとともに、ホース最内層の加水分解劣化の防止性能に優れており、結果、従来の冷媒や水はもとより、R−1234yf冷媒のように酸性を帯びやすい冷媒に対しても良好に用いることができる。また、本発明の冷媒輸送用ホースは、上記最内層外周に設けられたゴム層により、耐屈曲性、耐水性、ホース強度等にも優れている。
特に、上記脂肪族ポリアミド樹脂(A)を主成分とするポリマーが、脂肪族ポリアミド樹脂とポリオレフィン系エラストマーとのブレンドポリマーであると、柔軟性、耐久性等により優れるようになる。
また、上記樹脂組成物が、脂肪族ポリアミド樹脂(A)を主成分とするポリマー100重量部に対し、無機陰イオン交換体(B)を0.1〜10重量部の範囲で含有することから、ホースの柔軟性や成形加工性を損なうことなく、良好な加水分解防止効果を得ることができる。
さらに、上記最内層の厚みが0.05〜0.50mmの範囲であると、耐冷媒透過性、振動吸収性等のバランスにより優れるようになる。
本発明の冷媒輸送用ホースの一例を示す断面図である。
つぎに、本発明の実施の形態について詳しく説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限られるものではない。
本発明の冷媒輸送用ホースは、図1に示すように、管状の最内層1と、上記最内層1の外周に設けられたゴム層2とを備えており、上記最内層1が、脂肪族ポリアミド樹脂(A)を主成分とするポリマーと、特定のジルコニウム化合物を含有する無機陰イオン交換体(B)とを含有する樹脂組成物からなる。ここで、上記ポリマーの「主成分」とは、ポリマー全体の50重量%以上を意味するものであり、上記ポリマーの全てが、主成分である脂肪族ポリアミド樹脂(A)のみからなる場合をも含む趣旨である。また、上記無機陰イオン交換体(B)は、特定のジルコニウム化合物を有効成分(陰イオン交換成分)として含有するものであるが、本発明においては、上記無機陰イオン交換体(B)が特定のジルコニウム化合物のみからなる場合も含む趣旨である。
上記最内層1形成用の樹脂組成物のポリマーとして用いられる脂肪族ポリアミド樹脂(A)としては、例えば、ポリアミド46(PA46)、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド610(PA610)、ポリアミド612(PA612)、ポリアミド1010(PA1010)等があげられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。なかでも、耐冷媒透過性により優れることから、PA6、PA66が好適に用いられる。
上記最内層1形成用の樹脂組成物のポリマーは、先に述べたように、その50重量%以上が脂肪族ポリアミド樹脂であり、上記ポリマーの全てが脂肪族ポリアミド樹脂であってもよい。
また、脂肪族ポリアミド樹脂以外のポリマーをブレンドする場合、上記脂肪族ポリアミド樹脂(A)を主成分とするポリマーが、脂肪族ポリアミド樹脂とポリオレフィン系エラストマーとのブレンドポリマーであると、柔軟性、耐久性等により優れるようになる。
なお、上記のように脂肪族ポリアミド樹脂とポリオレフィン系エラストマーをブレンドし、脂肪族ポリアミド樹脂の海相内にポリオレフィン系エラストマーの島相が分散する、微細なアロイ構造をとるようにすると、脂肪族ポリアミド樹脂による耐冷媒透過性が損なわれることなく、柔軟性、耐久性等の更なる向上効果が得られるため、好ましい。
上記ポリオレフィン系エラストマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、エチレン・ブテン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、変性エチレン・ブテン共重合体、エチレン−エチルアクリルレート共重合体(EEA)、変性EEA、変性EPR、変性EPDM、アイオノマー、α−オレフィン共重合体、変性IR、変性SEBS、ハロゲン化イソブチレン−パラメチルスチレン共重合体、エチレン−アクリル酸変性体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、及びエチレン−酢酸ビニル共重合体の酸変性物、及びそれらを主成分とする混合物等があげられる。これらは、単独であるいは二種以上併せて用いられても良い。
そして、上記のような、脂肪族ポリアミド樹脂とポリオレフィン系エラストマーとのブレンドポリマーにおける、脂肪族ポリアミド樹脂とポリオレフィン系エラストマーとの含有割合は、重量比で、脂肪族ポリアミド樹脂/ポリオレフィン系エラストマー=50/50〜90/10の範囲であることが、柔軟性、耐久性等の観点から好ましく、同様の観点から、より好ましくは、脂肪族ポリアミド樹脂/ポリオレフィン系エラストマー=60/40〜80/20の範囲である。
また、最内層1形成材料として、先にも述べたように、上記ポリマーとともに、特定のジルコニウム化合物を含有する無機陰イオン交換体(B)が配合される。上記特定のジルコニウム化合物としては、水酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウムが、単独であるいは二種以上併せて用いられる。
また、上記無機陰イオン交換体(B)として、例えば、上記特定のジルコニウム化合物が、ハイドロタルサイト等に結合したものを用いてもよい。このような無機陰イオン交換体として、市販のものでは、東亞合成社製のIXE−800を、好ましく用いることができる。
そして、最内層1形成材料である樹脂組成物中において、脂肪族ポリアミド樹脂(A)を主成分とするポリマー100重量部に対する、無機陰イオン交換体(B)の含有割合は、0.1〜10重量部の範囲とし、好ましくは、0.1〜2.0重量部の範囲である。すなわち、このような範囲で上記無機陰イオン交換体(B)を含有すると、ホースの柔軟性や成形加工性を損なうことなく、良好な加水分解防止効果を得ることができるからである。
なお、上記最内層1の形成材料には、必要に応じて、充填剤、可塑剤、老化防止剤等の添加剤を適宜に配合することができる。
上記最内層1外周に設けられたゴム層2を形成する材料としては、例えば、ブチルゴム(IIR)、塩素化ブチルゴム(Cl−IIR),臭素化ブチルゴム(Br−IIR)等のハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、フッ素ゴム(FKM)、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、アクリルゴム、シリコーンゴム、塩素化ポリエチレンゴム(CPE)、ウレタンゴム等のゴムが、単独であるいは二種以上併せて用いられる。また、上記ゴムの他、架橋剤(加硫剤)、カーボンブラック等が適宜に配合される。
特に、上記ゴム層2が、過酸化物架橋剤を含有するゴム組成物からなることが、最内層1との層間接着性により優れるようになるため、好ましい。なお、上記最内層1とゴム層2との層間には、適宜に接着剤を塗布してもよい。
上記ゴム層2は、図1では単層構造であるが、二層以上の積層構造であってもよい。そして、上記ゴム層2を二層以上とする場合、各層を形成するゴム組成物は、同じであっても、異なっていてもよい。また、二層以上のゴム層の層間には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリエチレンナフタレート(PEN),アラミド,ポリアミド(ナイロン),ポリビニルアルコール(ビニロン),レーヨン,金属ワイヤ等の補強糸を、スパイラル編組,ニット編組,ブレード編組等によって編組することにより形成される補強層を設けてもよい。
ここで、前記図1に示すような、本発明の冷媒輸送用ホースは、例えばつぎのようにして作製することができる。すなわち、まず、先に述べた最内層1形成用の各材料を溶融混合し、最内層1形成用の樹脂組成物を調製する。また、ゴム層2用材料も準備する。つぎに、上記最内層1形成用の樹脂組成物とゴム層2用材料とをホース状に共押出成形する。この時、マンドレルを用いても差し支えない。また、先に最内層1形成用の樹脂組成物をホース状に押出成形した後、ゴム層2を押出成形してもよい。そして、これを所定の条件(好ましくは、170℃×30〜60分)で加硫した後、マンドレルを抜き取る。このようにして、目的とする層構造の冷媒輸送用ホースを作製することができる。
本発明の冷媒輸送用ホースにおいて、ホース内径は5〜40mmの範囲が好ましい。また、上記最内層1の厚みは、0.05〜0.50mmの範囲が好ましく、特に好ましくは0.10〜0.20mmの範囲である。すなわち、上記最内層1の厚みが薄すぎると、所望の耐冷媒透過性が得にくくなり、上記最内層1の厚みが厚すぎると、振動吸収性が悪化するおそれがあるからである。一方、上記ゴム層2の厚みは、耐圧性の観点から、通常1〜39mmの範囲に設定される。
本発明の冷媒輸送用ホースは、R−1234yf冷媒のように酸性を帯びやすい冷媒をはじめ、エアコン・ラジエター等に用いられる二酸化炭素,フロン,代替フロン,プロパン,水等の冷媒の輸送用ホースに好適に用いられる。そして、上記冷媒輸送用ホースは、自動車用のみならず、その他の輸送機械(飛行機,フォークリフト,ショベルカー,クレーン等の産業用輸送車両、鉄道車両等)や自動販売機等にも好ましく用いられる。
つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
まず、実施例および比較例に先立ち、最内層材料として、下記に示す材料を準備した。
〔ポリアミド1〕
ポリアミド6(UBE1030B、宇部興産社製)75重量%と、ポリオレフィン(タフマーMH7020、三井化学社製)25重量%との混合樹脂
〔ポリアミド2〕
ポリアミド11(Rilsan BESN O TL、アルケマ社製)
〔イオン交換体1〕
IXE−800、東亞合成社製
〔TiO2
堺化学工業社製
〔ハイドロタルサイト〕
DHT−4A、協和化学工業社製
[実施例1〜10、比較例1〜7]
後記の表1および表2に示す各材料(最内層材料)を、後記の表1および表2に示す割合で、240℃で溶融混合し、最内層形成用のポリアミド樹脂組成物を調製した。つぎに、樹脂製のマンドレル(外径8mm)上に、最内層形成用のポリアミド樹脂組成物の溶融押出成形を行った。このようにして形成された最内層(厚み0.2mm)の外周面に、過酸化物架橋剤を含有するEPDMの押出成形を行い、熱架橋させて、ゴム層(厚み0.5mm)の形成を行った。そして、上記熱架橋後、この積層ホース体からマンドレルを抜き取り、長尺の成形品を切断することにより、目的とする冷媒輸送用ホースを作製した(図1参照)。
このようにして得られた、実施例および比較例の冷媒輸送用ホースに関して、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。その結果を、後記の表1および表2に併せて示した。
<耐冷媒・冷凍機油性>
オイル(ダフニーハーメチックオイル、出光興産社製)45gに450μlの水を加えた混合液中に、実施例および比較例の各ホースの最内層から採取した試験片(DIN 53504−S3Aダンベル)を投入した。続いて、上記試験片が投入された混合液中に、低温(−35℃)で30秒間真空引きを実施し、代替フロンガス(R−1234yf)60gを加えた後、上記試験片が投入された混合液を、150℃のオーブンに72時間放置した。その後、上記混合液から取り出した試験片に対し、雰囲気温度23℃、引張速度200mm/分で引張試験を実施し、引張伸び(%)を測定した。そして、引張伸びが100%以上のものを○、引張伸びが100%未満のものを×と評価した。
<引張弾性率(柔軟性)>
実施例および比較例の各ホースの最内層材料の、Tダイによる押出成形により、厚み0.15mmの樹脂フィルムを作製した。ついで、上記樹脂フィルムを引張評価用に打ち抜き成形し、テストピースを作製した。このテストピースに対し、ASTMD638に準拠して引張弾性率(MPa)の測定を行った。そして、上記引張弾性率が900MPa未満のものを◎、上記引張弾性率が900MPa以上1000MPa未満のものを○、上記引張弾性率が1000MPa以上1200MPa未満のものを△、上記引張弾性率が1200MPa以上のものを×と評価した。
<加工性>
実施例および比較例の各ホースの最内層材料の、Tダイによる押出成形により、厚み0.15mmの樹脂フィルムを作製した。そして、上記押出成形の際に、厚み0.15mmで安定して押し出し加工することができ、誤差50μm未満の厚みで成形できたものを○、押出成形後の樹脂フィルムの厚みにばらつき(誤差50μm以上100μm未満)がみられたものを△、押出成形後の樹脂フィルムの厚みにばらつきが多く、その誤差も大きい(誤差100μm以上)ため、表面肌の悪さが顕著にみられたものを×と表示した。
Figure 0006823438
Figure 0006823438
上記表の結果から、実施例のホースは、いずれも、耐冷媒・冷凍機油性、引張弾性率、加工性に優れていることがわかる。なお、実施例1〜5のホースの最内層を走査電子顕微鏡(SEM)で観察すると、ポリアミド6を海相(マトリクス)とし、ポリオレフィンを島相(ドメイン)とするアロイからなるものであることが確認された。
これに対し、比較例のホースは、耐冷媒・冷凍機油性、引張弾性率、加工性の少なくとも一つの評価が×となるものであった。なお、比較例2〜7のホースは、ハイドロタルサイトやTiO2といった、イオン交換体となり得るものを最内層中に含有するが、本発明に要求される耐冷媒・冷凍機油性を得るには、比較例3,5,7に示されるように、イオン交換体を多量に含有しなければならず、そのため、引張弾性率および加工性に悪影響を及ぼす結果となった。
本発明の冷媒輸送用ホースは、R−1234yf冷媒のように酸性を帯びやすい冷媒をはじめ、エアコン・ラジエター等に用いられる二酸化炭素,フロン,代替フロン,プロパン,水等の冷媒の輸送用ホースに好適に用いられる。そして、上記冷媒輸送用ホースは、自動車用のみならず、その他の輸送機械(飛行機,フォークリフト,ショベルカー,クレーン等の産業用輸送車両、鉄道車両等)や自動販売機等にも好ましく用いられる。
1 最内層
2 ゴム層

Claims (4)

  1. 管状の最内層と、上記最内層外周に設けられたゴム層とを備えた冷媒輸送用ホースであって、上記最内層が、下記の(A)を主成分とするポリマー100重量部に対し下記の(B)成分を0.1〜10重量部の範囲で含有する樹脂組成物からなることを特徴とする冷媒輸送用ホース。
    (A)脂肪族ポリアミド樹脂。
    (B)水酸化ジルコニウムおよび酸化ジルコニウムの少なくとも一方のジルコニウム化合物を含有する無機陰イオン交換体。
  2. 上記脂肪族ポリアミド樹脂(A)を主成分とするポリマーが、脂肪族ポリアミド樹脂とポリオレフィン系エラストマーとのブレンドポリマーである、請求項1記載の冷媒輸送用ホース。
  3. 上記無機陰イオン交換体(B)が、水酸化ジルコニウムとハイドロタルサイトの結合物である、請求項1または2記載の冷媒輸送用ホース。
  4. 上記最内層の厚みが0.05〜0.50mmの範囲である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の冷媒輸送用ホース。
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