JP6819915B1 - 給電ケーブル、及びコネクタ付きケーブル - Google Patents

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Abstract

冷媒が流通する管状部材と、前記管状部材の外周に撚り合わされた導体と、前記導体の外周を覆う絶縁被覆部と、を備え、前記冷媒は電気絶縁性を有し、前記管状部材は、螺旋状に巻回された金属製の帯状材と、前記帯状材における隣り合うターンの側縁部同士が噛み合わされた結合部と、を有し、前記結合部は、前記冷媒を前記管状部材の外部に漏洩させるギャップを有する、給電ケーブル。

Description

本開示は、給電ケーブル、及びコネクタ付きケーブルに関する。
特許文献1は、電気自動車の急速充電に用いられる給電ケーブルを開示する。特許文献1の例えば図18には、2つのケーブルホース(11a,11b)内に導体(12a,12b)がそれぞれ配置され、ケーブルホースと導体との間に冷却液(21)で満たされる空間(15a)が存在するケーブル(10)が記載されている。このケーブルは、2つのケーブルホースを囲むように外側にシース(41)が形成されている。
特許文献2は、電気自動車の急速充電に用いられる給電ケーブルを開示する。この給電ケーブルは、偶数本の電力線と、各電力線の周囲に配設された介在物と、各電力線と介在物とを一体に被覆するシースとを備える。電力線は、冷却管と、冷却管を囲む導電体と、導電体を囲む絶縁体とを有する。
国際公開第2017/133893号 特開2018−18748号公報
本開示の給電ケーブルは、
冷媒が流通する管状部材と、前記管状部材の外周に撚り合わされた導体と、前記導体の外周を覆う絶縁被覆部と、を備え、
前記冷媒は電気絶縁性を有し、
前記管状部材は、
螺旋状に巻回された金属製の帯状材と、
前記帯状材における隣り合うターンの側縁部同士が噛み合わされた結合部と、を有し、
前記結合部は、前記冷媒を前記管状部材の外部に漏洩させるギャップを有する。
本開示のコネクタ付きケーブルは、
本開示の給電ケーブルと、
前記導体に接続される端子を備えるコネクタと、を備える。
図1は、実施形態に係る給電ケーブルの構成を示す概略断面図である。 図2Aは、実施形態に係る給電ケーブルに備える管状部材の一例を示す概略半断面図である。 図2Bは、図2Aの破線で囲む部分を拡大した要部拡大図である。 図3Aは、実施形態に係る給電ケーブルに備える管状部材の別の例を示す概略半断面図である。 図3Bは、図3Aの破線で囲む部分を拡大した要部拡大図である。 図4Aは、実施形態に係る給電ケーブルに備える管状部材の他の例を示す概略半断面図である。 図4Bは、図4Aの破線で囲む部分を拡大した要部拡大図である。 図5は、実施形態に係るコネクタ付きケーブルを備える充電器を説明する概略図である。 図6は、実施形態に係るコネクタ付きケーブルにおけるコネクタの構成を示す概略断面図である。
[本開示が解決しようとする課題]
電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PHEV)などの電動車両に搭載するバッテリを急速充電するための充電器の開発が進められている。充電器には、電動車両に電力を供給する給電ケーブルと、ケーブルの先端に取り付けられるコネクタとを備えるコネクタ付きケーブルが設置されている。給電ケーブルは、電力線として導体を有する。コネクタは、電動車両のインレットに挿入されることにより、充電器と電動車両とを電気的に接続するためのものである。給電ケーブルは、取扱い性の観点から可撓性を有することが求められる。
電動車両の充電時間を短縮するため、より大電流で急速充電を行うことが検討されている。しかし、大電流によって給電ケーブルの電力線の導体が発熱して温度上昇する。導体の温度上昇が所定の範囲を超えると、充電を停止する必要がある。そこで、給電ケーブルの導体を冷却して、導体の温度上昇を抑制することが望まれる。
本開示は、導体を冷却できる給電ケーブル、及びコネクタ付きケーブルを提供することを目的の一つとする。
[本開示の効果]
本開示の給電ケーブル、及びコネクタ付きケーブルは、導体を冷却できる。
[本開示の実施形態の説明]
本発明者らは、冷媒を用いて導体を冷却する構成の給電ケーブルについて鋭意検討した結果、次のような知見を得た。
上述した特許文献1に記載された技術では、ケーブルホース内に導体を配置すると共に、ケーブルホースと導体との間の空間を冷媒で満たすことを提案している。ケーブルホースは、電気絶縁性及び可撓性を有する材料、例えば樹脂やゴムで形成されていると考えられる。特許文献1に記載のケーブルを製造するには、以下の2つの方法が考えられる。
(a)導体の周囲に隙間をあけつつ、樹脂又はゴムを押出してケーブルホースを形成する。
(b)予め作製したケーブルホース内に導体を挿通する。
上記(a)の方法の場合、押出し時に樹脂又はゴムが収縮するため、ケーブルホースと導体との間に意図した寸法と形状の空間を形成することは現実的に困難である。
上記(b)の方法の場合、給電ケーブルの全長は数m以上と長いため、長いケーブルホース内に導体を通すことは非常に作業性が悪い。ケーブルホース内に導体を通し易くするためにケーブルホースの径を大きくすると、給電ケーブルの大径化を招く。
更に、ケーブルホースの周囲にゴムのシースを被覆する場合、加熱及び加圧による加硫処理が必要となる。加硫処理する際の加圧により、ケーブルホースと導体との間の空間が潰れる可能性がある。
上述した特許文献2に記載された技術では、冷却管の周囲に導電体を配置することを提案している。特許文献2には、冷却管をナイロン又はシリコーン樹脂により形成することが記載されている。特許文献2に記載の給電ケーブルは、冷却管を介して導電体を間接的に冷却するものであり、冷媒で導電体を直接冷却するものではない。また、冷却管の材質が樹脂であるため、熱伝導率が低い。したがって、特許文献2で用いられる冷却管では、十分な冷却能力を発揮できない。
本発明者らは、金属製の冷却管を用いることを検討した。金属は樹脂に比較して熱伝導率が高い。しかし、通常の金属製の管は、十分な可撓性を有していない。そのため、可撓性が求められる給電ケーブルに金属製の冷却管を使用することは困難である。具体的には、給電ケーブル使用時の屈曲の繰り返しによる金属疲労や加工硬化などによって冷却管が破断する可能性がある。
本開示のコネクタは、上記の課題に基づいてなされたものである。
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の実施形態に係る給電ケーブルは、
冷媒が流通する管状部材と、前記管状部材の外周に撚り合わされた導体と、前記導体の外周を覆う絶縁被覆部と、を備え、
前記冷媒は電気絶縁性を有し、
前記管状部材は、
螺旋状に巻回された金属製の帯状材と、
前記帯状材における隣り合うターンの側縁部同士が噛み合わされた結合部と、を有し、
前記結合部は、前記冷媒を前記管状部材の外部に漏洩させるギャップを有する。
上記管状部材は、金属製で、可撓性及び液漏れ性を有する。管状部材が可撓性を有する理由は、帯状材における隣り合うターンの側縁部同士が噛み合わされていることで、帯状材の隣り合うターン同士が互いに所定の範囲で可動自在に連結されているからである。管状部材が液漏れ性を有する理由は、帯状材の側縁部同士が噛み合わされた結合部が冷媒を漏洩させるギャップを有するからである。
更に、上記管状部材は、帯状材の隣り合うターン同士が結合部によって連結されているので、引っ張っても伸び難い。また、隣り合うターンの帯状材の側縁部同士が噛み合わされていることで、引張強度だけでなく、側圧強度も高い。
本開示の給電ケーブルは、冷媒が流通する管状部材の外周に導体が配置された構造であるので、管状部材によって導体を冷却できる。更に、管状部材が金属製の帯状材で形成されていることで、導体を効率よく冷却できる。金属は樹脂やゴムに比較して熱伝導率が高いからである。加えて、管状部材は、帯状材の隣り合うターン同士の結合部にギャップを有しており、このギャップから管状部材の外部に冷媒を漏洩させることができる。そのため、管状部材が液漏れ性を有することで、管状部材の外部に漏洩した冷媒によって導体を直接冷却することが可能である。よって、本開示の給電ケーブルは、導体の冷却能力が高いので、導体の温度上昇を大幅に抑制できる。冷媒は電気絶縁性を有するので、冷媒を介して導体とタンクやポンプ、冷却装置などの冷媒循環用の機器との導通を回避できる。
また、管状部材が可撓性を有することで、給電ケーブルを屈曲させることができる。給電ケーブル使用時の屈曲の繰り返しによる管状部材の破断を抑制できる。
上述したように、管状部材は引っ張っても伸び難い。そのため、ケーブル製造時、管状部材にテンションをかけて管状部材を直線状にした状態で、管状部材の外周に導体を撚り合わせることができる。よって、本開示の給電ケーブルは製造性の点でも優れる。
(2)上記の給電ケーブルの一形態として、
前記管状部材の耐水圧が0.2MPa以下であることが挙げられる。
上記形態は、管状部材が十分な液漏れ性を有する。管状部材の外部に冷媒を十分に漏洩させることができる。耐水圧とは、管状部材に流れる冷媒の圧力がこれより高くなると、結合部のギャップから冷媒が漏洩する圧力のことをいう。
(3)上記の給電ケーブルの一形態として、
前記管状部材の最小曲げ半径が100mm以下であることが挙げられる。
上記形態は、管状部材が十分な可撓性を有する。給電ケーブルとして十分な曲げ半径を確保できる。
(4)上記の給電ケーブルの一形態として、
180°繰り返し曲げ試験における前記管状部材の曲げ回数が5000回以上であることが挙げられる。
上記形態は、管状部材が十分な可撓性を有する。給電ケーブルとして十分な曲げ回数を確保できる。180°繰り返し曲げ試験は、管状部材を片側90°ずつ、往復180°の繰り返し曲げを行い、管状部材が破断するまでの曲げ回数を測定するものである。曲げ試験の条件は、曲げ速度を15回/分とする。曲げ回数は1往復を1回とする。
(5)上記の給電ケーブルの一形態として、
前記管状部材の引張強度が60MPa(60N/mm)以上であることが挙げられる。
上記形態は、管状部材が十分な引張強度を有する。そのため、ケーブル製造時、管状部材にテンションをかけても管状部材が伸びたり、破断したりすることがなく、管状部材の外周に導体を撚り合わせることができる。
(6)上記の給電ケーブルの一形態として、
前記管状部材の側圧強度が50MPa(50N/mm)以上であることが挙げられる。
上記形態は、管状部材が十分な側圧強度を有する。給電ケーブルとして十分な側圧強度を確保できる。側圧強度とは、長さ300mmの管状部材の軸方向と直交する横方向、即ち径方向の外側から内側に向かって荷重を加えて管状部材が破壊したときの応力のことをいう。
(7)上記の給電ケーブルの一形態として、
前記管状部材の内径が4mm以上、外径が12mm以下であることが挙げられる。
管状部材の内径が4mm以上であることで、冷媒の流量を十分に確保できる。管状部材の外径が12mm以下であることで、給電ケーブルの大径化を抑制できる。
(8)上記の給電ケーブルの一形態として、
電動車両の充電に用いられることが挙げられる。
本開示の給電ケーブルは、電動車両用の給電ケーブルに好適である。特に、導体の冷却能力が高いので、電動車両の急速充電に好適に利用できる。
(9)本開示の実施形態に係るコネクタ付きケーブルは、
上記(1)から(8)のいずれか一つに記載の給電ケーブルと、
前記導体に接続される端子を備えるコネクタと、を備える。
本開示のコネクタ付きケーブルは、上記の給電ケーブルを備えることで、導体を冷却できる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の給電ケーブル、及びコネクタ付きケーブルの具体例を、図面を参照して説明する。図中の同一符号は同一又は相当部分を示す。なお、本願発明はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
《ケーブル》
図1〜図4を参照して、実施形態に係る給電ケーブル1について説明する。
<概要>
実施形態に係る給電ケーブル1は、図1に示すように、冷媒90が流通する管状部材20と、導体10と、絶縁被覆部30とを備える。本例では、管状部材20と、導体10と、絶縁被覆部30とをそれぞれ一体に備える2つの絶縁線心15を有する。2つの絶縁線心15は撚り合わされている。実施形態の給電ケーブル1における特徴の一つは、図2A〜図4Aに示すように、管状部材20が、螺旋状に巻回された金属製の帯状材21と、帯状材21における隣り合うターンの側縁部21s同士が噛み合わされた結合部22とを有することにある。結合部22は、図2B〜図4Bに示すように、冷媒90を管状部材の外部に漏洩させるギャップ22gを有する。
以下、給電ケーブル1の構成を詳しく説明する。図1は、給電ケーブル1の軸方向と直交する平面で切断した横断面図である。図2A〜図4Aは、管状部材20の中心軸を通る平面で切断した半断面図である。
(管状部材)
図1に示すように、管状部材20の内部には冷媒90が流通する。本実施形態では、二つの管状部材20を備える。後述するように、管状部材20は、可撓性及び液漏れ性を有する。管状部材20は、図2Aなどに例示するように、金属製の帯状材21が螺旋状に巻回されることで形成されている。帯状材21における隣り合うターンの側縁部21s同士は噛み合うように結合されている。
管状部材20のサイズは適宜選択できる。管状部材20の内径は4mm以上であることが好ましい。管状部材の内径が4mm以上であることで、冷媒90の流量を十分に確保できる。管状部材20の内径は、例えば4mm以上10mm以下が挙げられる。管状部材20の内径は、更に6mm以上、8mm以上でもよい。管状部材20の外径は12mm以下であることが好ましい。管状部材20の外径が12mm以下であることで、給電ケーブル1の大径化を抑制できる。管状部材20の外径は、例えば6mm以上12mm以下が挙げられる。管状部材20の外径が6mm以上であることで、導体10(図1)との接触面積を十分に確保し易い。管状部材20と導体10との接触面積が増えることにより、導体10をより冷却し易くなる。管状部材20の外径は、更に10mm以下、8mm以下でもよい。管状部材20の内径及び外径とは、管状部材20を軸方向から見たときの最内径及び最外径をいう。
管状部材20の厚みは、例えば0.5mm以上2mm以下、更に0.8mm以上1.6mm以下が挙げられる。管状部材20の厚みが0.5mm以上であることで、強度特性を確保し易い。管状部材20の厚みが2mm以下であることで、可撓性を確保し易い。管状部材20の厚みとは、結合部22での厚みであり、結合部22における外径と内径との差の1/2の値をいう。管状部材20の厚みは、帯状材21の厚みの例えば2.5倍以上6倍以下程度である。
〈帯状材〉
帯状材21の材質は、例えばステンレス鋼、銅又は銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金、チタン又はチタン合金が挙げられる。中でも、ステンレス鋼、銅又は銅合金が好適である。ステンレス鋼は、熱伝導性、強度特性、耐食性に優れ、加えて材料コスト、加工コストを抑えることができる。銅又は銅合金は、高い熱伝導性と導電性とを有する。帯状材21の材質が銅又は銅合金であれば、導体10(図1)に流れる通電電流の一部を管状部材20に分担させることができる。
〈結合部〉
結合部22は、図2Aなどに例示するように、螺旋状に巻回された帯状材21において、隣り合うターンの側縁部21s同士が噛み合わされた部分である。この結合部22によって、帯状材21の隣り合うターン同士が連結されている。結合部22は、図2Bなどに例示するように、隣り合うターンの帯状材21の側縁部21sが互いに折り曲げられ、折り曲げられた側縁部21s同士が機械的に噛み合わされることで構成されている。
帯状材21における隣り合うターンの側縁部21s同士は、互いに遊びを有するように噛み合わされている。この遊びによって、帯状材21の隣り合うターン同士が互いに所定の範囲で可動自在に連結されると共に、冷媒90(図1)を漏洩させるギャップ22gが形成される。帯状材21の隣り合うターン同士が可動自在に連結されると共に、結合部22がギャップ22gを有することで、可撓性及び液漏れ性が得られる。液漏れ性とは、管状部材20内に流通する冷媒90が管状部材20の外部に漏れる性能のことである。
結合部22がギャップ22gを有することで、ギャップ22gから管状部材20の外部に冷媒90(図1)を漏洩させることができる。そのため、管状部材20の外部に漏洩した冷媒90によって、導体10を直接冷却することが可能である。
(冷媒)
冷媒90は電気絶縁性を有する絶縁冷媒である。冷媒90としては、例えばフッ素系不活性液体、絶縁油、シリコーン油などが挙げられる。絶縁油は鉱物油、合成油などが挙げられる。給電ケーブル1は、一般に正極線及び負極線を構成する導体10a,10bがある。各導体10a,10bは、後述する図6に示すコネクタ101に備える正極端子及び負極端子を構成する端子111,112にそれぞれ接続される。図6に例示するように、両端子111,112間で冷媒90を流通させた際、冷媒90を介して端子111,112間が短絡しないことが重要である。そのため、冷媒90の電気絶縁性は、端子間電圧に対する耐電圧を有するような絶縁性を有することが好ましい。冷媒90の絶縁耐力は、例えば20kV(2.5mmgap)以上であることが挙げられる。上記絶縁耐力は、ギャップが2.5mmでの絶縁破壊電圧である。
次に、管状部材20の具体例を、図2〜図4を参照して説明する。管状部材20の構造としては、例えば次の3種類が挙げられる。
(1)ケーシングタイプ(図2A、図2B)
(2)セミインターロックタイプ(図3A、図3B)
(3)インターロックタイプ(図4A、図4B)
以下、それぞれのタイプの特徴について詳しく説明する。
〈ケーシングタイプ〉
図2A、図2Bを参照して、ケーシングタイプについて説明する。ケーシングタイプの管状部材20は、帯状材21の両側縁部21sに、管状部材20の径方向に折り曲げられた折り曲げ部23(図2B)を有する。具体的には、一方の側縁部21sの折り曲げ部23は管状部材20外周側に折り曲げられる。他方の側縁部21sの折り曲げ部23は管状部材20内周側に折り曲げられる。つまり、帯状材21の各側縁部21sは、L字状に屈曲されている。帯状材21の断面形状はS字状である。隣り合うターンの帯状材21を見たとき、一方の帯状材21の側縁部21sと他方の帯状材21の側縁部21sとは、管状部材20の径方向に互いに重なり合う。また、帯状材21の一方の側縁部21sは、隣り合う帯状材21の側縁部21sよりも管状部材20の内周側に配置される。帯状材21の他方の側縁部21sは、隣り合う帯状材21の側縁部21sよりも管状部材20の外周側に配置される。ケーシングタイプでは、隣り合うターンの帯状材21の各々の側縁部21sにおける折り曲げ部23が互いに噛み合うことによって、結合部22が構成される。上記折り曲げ部23の噛み合い部にギャップ22g(図2B)が形成されている。
〈セミインターロックタイプ〉
図3A、図3Bを参照して、セミインターロックタイプについて説明する。上述したケーシングタイプと共通する事項については説明を省略する。セミインターロックタイプの管状部材20は、帯状材21の両側縁部21sに、U字状に折り返された折り返し部24(図3B)を有する。具体的には、一方の側縁部21sの折り返し部24は管状部材20外周側に折り返される。他方の側縁部21sの折り返し部24は管状部材20内周側に折り返される。隣り合うターンの帯状材21を見たとき、一方の帯状材21の側縁部21sと他方の帯状材21の側縁部21sとは、U字状の折り返し部24の開口側が互いに向き合うように屈曲されている。セミインターロックタイプでは、隣り合うターンの帯状材21の各々の側縁部21sにおける折り返し部24が互いに噛み合わされることによって、結合部22が構成される。上記折り返し部24の噛み合わせ部にギャップ22g(図3B)が形成されている。
〈インターロックタイプ〉
図4A、図4Bを参照して、インターロックタイプについて説明する。インターロックタイプは、上述したセミインターロックタイプにおいて、上記折り返し部24の噛み合わせ部にパッキン材25が介在する構成である。パッキン材25は、例えば綿糸などの繊維である。インターロックタイプでは、パッキン材25を有することで、冷媒90の漏れ量を調整できる。
セミインターロックタイプ及びインターロックタイプは、折り返し部24が噛み合わされる構造のため、管状部材20の径方向だけでなく、軸方向にも帯状材21の側縁部21s同士が噛み合わされる。セミインターロックタイプ及びインターロックタイプは、ケーシングタイプに比較して、帯状材21の隣り合うターン同士がより強固に結合される。そのため、セミインターロックタイプ及びインターロックタイプは、ケーシングタイプに比較して強度特性により優れる。
〈耐水圧〉
管状部材20の耐水圧は0.2MPa以下であることが好ましい。耐水圧が0.2MPa以下であることで、ギャップ22gから管状部材20の外部に冷媒90を十分に漏洩させることができる。そのため、管状部材20が十分な液漏れ性を有する。耐水圧の下限は、特に制限されないが、例えば0.01MPa以上が挙げられる。耐水圧は、更に0.15MPa以下、0.1MPa以下でもよい。
〈最小曲げ半径〉
管状部材20の最小曲げ半径は100mm以下であることが好ましい。最小曲げ半径が100mm以下であることで、十分な可撓性を有する。給電ケーブル1として十分な曲げ半径を確保できる。最小曲げ半径の下限は、帯状材21の材質や管状部材20のサイズにもよるが、例えば15mm以上が挙げられる。最小曲げ半径は、更に80mm以下、50mm以下でもよい。
〈曲げ回数〉
180°繰り返し曲げ試験における管状部材20の曲げ回数が5000回以上であることが好ましい。曲げ回数が5000回以上であることで、給電ケーブル1の使用時における屈曲の繰り返しによる管状部材20の破断を十分に抑制できる。そのため、給電ケーブル1として十分な曲げ回数を確保できる。曲げ回数の上限は、特に制限されないが、例えば15000回以下が挙げられる。曲げ回数は、更に6000回以上でもよい。
〈引張強度〉
管状部材20の引張強度は60MPa(60N/mm)以上であることが好ましい。引張強度が60MPa以上であることで、十分な引張強度を有する。そのため、給電ケーブル1の製造時、管状部材20にテンションをかけても管状部材20が伸びたり、破断したりすることを十分に抑制できる。管状部材20にテンションをかけた状態で、管状部材20の外周に導体10を撚り合わせることができる。引張強度の上限は、特に制限されないが、例えば300MPa(300N/mm)以下が挙げられる。引張強度は、更に100MPa(100N/mm)以上、200MPa(200N/mm)以上でもよい。
管状部材20に引張荷重を加えたとき、結合部22が破断箇所となり易い。管状部材20の引張強度は次のようにして求める。管状部材20から長さ200mmに切断した試験片を用意する。試験片の両端を掴んで、管状部材20の軸方向に引っ張り、試験片が破断したときの荷重を測定する。そして、破断したときの荷重を結合部22での断面積で除した値を引張強度とする。ここで、結合部22の断面積は、“結合部22の中心径に帯状材21の厚みの1/2を加えた値を直径とする外円”と“結合部22の中心径から帯状材21の厚みの1/2を減じた値を直径とする内円”とによって形成される円環の面積とする。上記中心径は、結合部22における外径と内径との和の1/2である。結合部22の外径及び内径とは、結合部22での最外径及び最内径をいう。結合部22の外径及び内径は、管状部材20の外径及び内径と同じである。上記断面積をAとしたとき、断面積Aは、具体的には次式により算出することができる。
A=(Ra+(t/2))×π−(Ra−(t/2))×π
上式において、Raは結合部の中心径である。tは帯状材の厚みである。中心径Raは次式で表される。
Ra=(Ro+Ri)/2
上式において、Roは結合部の外径である。Riは結合部の内径である。
〈側圧強度〉
管状部材20の側圧強度は50MPa(50N/mm)以上であることが好ましい。側圧強度が50MPa以上であることで、十分な側圧強度を有する。給電ケーブル1として十分な側圧強度を確保できる。例えば2tの車両に給電ケーブル1が踏まれるようなことがあっても、管状部材20が潰れることを抑制できる。側圧強度の上限は、特に制限されないが、例えば150MPa(150N/mm)以下が挙げられる。側圧強度は、更に80MPa(80N/mm)以上、120MPa(120N/mm)以上でもよい。
管状部材20の側圧強度は次のようにして求める。管状部材20から長さ300mmに切断した試験片を用意する。試験片を板材に挟んで、管状部材20の径方向に圧縮荷重を加え、径方向に向かい合う内周面同士が接するまで試験片を潰したときの荷重を求める。上記板材は、試験片の全長にわたって挟むことができる大きさを有する。そして、試験片が潰れたときの荷重を、管状部材20の軸方向に沿って切断した断面の面積で除した値を側圧強度とする。ここで、上記断面の面積をSとしたとき、面積Sは、具体的には次式により算出する。
S=t×L×2
上式において、tは帯状材の厚みである。Lは試験片の長さ、即ち300mmである。
管状部材20は、上述した耐水圧、最小曲げ半径、180°繰り返し曲げ試験による曲げ回数、引張強度、側圧強度のうち、少なくとも一つの特性を備えることが好ましく、全ての特性を兼ね備えることが特に好ましい。
ケーシングタイプの管状部材20について、最小曲げ半径、強度特性を調べた結果を以下に示す。帯状材21の材質はSUS304である。
外径が5.6mm、内径が4mmの場合、最小曲げ半径は19mmである。外径が12.3mm、内径が9.5mmの場合、最小曲げ半径は31mmである。
帯状材21の厚さが0.2mmの場合、引張強度は250MPa(250N/mm)以上280MPa(280N/mm)以下であり、側圧強度は96MPa(96N/mm)以上98MPa(98N/mm)以下である。
インターロックタイプの管状部材20について、耐水圧、180°繰り返し曲げ試験による曲げ回数を調べた結果を以下に示す。帯状材21の材質はSUS304である。
インターロックタイプの耐水圧は約0.02MPaである。ケーシングタイプ及びセミインターロックタイプの場合は、パッキン材がないため、耐水圧はより低くなると考えられる。
外径が12.5mm、内径が9.5mmのインターロックタイプについて、180°繰り返し曲げ試験による曲げ回数は6000回以上8000回以下である。曲げ試験による曲げ半径は、自然に曲がる半径とした。上記インターロックタイプの管状部材の場合、曲げ半径は約60mmである。ケーシングタイプは、インターロックタイプより柔軟性が高く、曲げ回数はより大きくなると考えられる。
(導体)
導体10は、管状部材20の外周に撚り合わされている。導体10と管状部材20とは直接接触している。導体10は、後述する図5に示す電動車両500に電力を供給する電力線である。本実施形態では、二つの管状部材20の各々の外周に導体10a,10bがそれぞれ配置されている。第一の導体10aが正極線であり、第二の導体10bが負極線である。
導体10は、例えば複数の素線、又は複数の素線が撚り合わされた撚線などで構成されている。素線は、丸線でも平角線でもよい。導体10の材質は、例えば銅又は銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金などが挙げられる。導体10の断面積は、導体10に流す通電電流に応じて適宜選択すればよい。導体10の断面積は、例えば20mm以上40mm以下が挙げられる。
管状部材20の外周に導体10を撚り合わせるときは、管状部材20にテンションをかけて管状部材20を直線状にした状態で行う。
(絶縁被覆部)
絶縁被覆部30は、導体10の外周を覆う。絶縁被覆部30は、導体10の電気絶縁性を確保すると共に、管状部材20の外部に漏洩した冷媒90が導体10の外側に漏れることを防止する。つまり、絶縁被覆部30は、冷媒90の流路を構成する。本実施形態では、第一の導体10aが設けられる一方が冷媒90の往路となり、第二の導体10bが設けられる他方が冷媒90の復路となるように構成されている。
絶縁被覆部30は、電気絶縁性及び可撓性を有する材料、例えば樹脂やゴムなどで構成されている。樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、熱可塑性エラストマー、フッ素樹脂などが挙げられる。ゴムとしては、例えばシリコーンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。
絶縁被覆部30は、導体10の外周に上記樹脂又はゴムを押出して形成されている。導体10と絶縁被覆部30との間にラッピング材35が介在してもよい。ラッピング材35は、導体10の外周に巻き付けられる。ラッピング材35によって導体10の外周面を平滑化することにより、導体10の外周に押出しにより絶縁被覆部30を施し易くなる。ラッピング材35は、例えば絶縁紙、プラスチックテープなどを利用できる。
絶縁被覆部30の厚みは、例えば1.0mm以上1.5mm以下が挙げられる。絶縁被覆部30の厚みが1.0mm以上であることで、電気絶縁性の確保と冷媒90の漏れの防止を図ることができる。絶縁被覆部30の厚みが1.5mm以下であることで、給電ケーブル1の大径化を抑制できる。
(その他)
本例の給電ケーブル1は、図1に示すように、更に介在物40とシース50とを有する。給電ケーブル1では、絶縁被覆部30が施された導体10を含んで構成される絶縁線心15が介在物40と共に撚り合わされている。撚り合わされた絶縁線心15及び介在物40の周囲にシース50が被覆されている。介在物40は、絶縁線心15間に充填されると共に、撚り合わされた絶縁線心15の外周を円形に仕上げる詰め物である。給電ケーブル1の断面の真円度は、介在物40の配置と量で調整される。絶縁線心15及び介在物40が撚り合わされた集合体とシース50との間には、ラッピング材36が介在されてもよい。ラッピング材36は、上記集合体の外周に巻き付けられる。ラッピング材36によって撚り合わせた絶縁線心15及び介在物40を固定することにより、上記集合体の外周にシース50を施し易くなる。介在物40の材質は、例えばジュートやポリプロピレンなどが挙げられる。シース50の材質は、例えばクロロプレンゴム、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)などが挙げられる。ラッピング材36は、例えば絶縁紙、プラスチックテープなどを利用できる。
なお、本実施形態では図示していないが、給電ケーブル1には、電力線の他にも、グランド線、後述する図5に示す電動車両500との間で充電制御に必要な制御信号を伝送するための信号線などが設けられていてもよい。本例の給電ケーブル1は、グランド線及び信号線を共に有している。
<作用効果>
上述した実施形態の給電ケーブル1は、次の作用効果を奏する。
(1)冷媒90が流通する管状部材20の外周に導体10が配置された構造であるので、導体10を冷却できる。管状部材20が螺旋状に巻回された金属製の帯状材21で形成されているので、導体10を効率よく冷却できる。更に、管状部材20と導体10とは直接接触しているため、冷却効率が高い。加えて、帯状材21の隣り合うターン同士の結合部22にギャップ22gを有することで、管状部材20の外部に冷媒90を漏洩させることができる。そのため、管状部材20が液漏れ性を有することから、管状部材20の外部に漏洩した冷媒90によって導体10を直接冷却することができる。
したがって、給電ケーブル1は、導体10の冷却能力が高いので、導体の温度上昇を大幅に抑制できる。また、導体10の断面積を削減でき、給電ケーブル1の仕上がり外径を小さくすることが可能である。
(2)管状部材20が可撓性を有することで、給電ケーブル1を屈曲させることができる。給電ケーブル1の使用時における屈曲の繰り返しによる管状部材20の破断を抑制できる。
(3)管状部材20は、帯状材21の隣り合うターン同士が結合部22によって連結されているので、引っ張っても伸び難い。また、隣り合うターンの帯状材21の側縁部21s同士が噛み合わされる構造のため、引張強度だけでなく、側圧強度も高い。管状部材20が引っ張っても伸び難いことで、給電ケーブル1の製造時、管状部材20にテンションをかけた状態で、管状部材20の外周に導体10を撚り合わせることができる。よって、給電ケーブル1は製造性の点でも優れる。
<用途>
給電ケーブル1は、電動車両用の給電ケーブルに好適である。特に、冷却能力が高いので、電動車両500(図5)の急速充電に好適に利用できる。
《コネクタ付きケーブル》
図5及び図6を主に参照して、実施形態に係るコネクタ付きケーブル100について説明する。給電ケーブル1の構成については図1も適宜参照する。
<概要>
実施形態に係るコネクタ付きケーブル100は、後述する充電器200(図5)に設けられている。コネクタ付きケーブル100は、図5に示すように、本実施形態の給電ケーブル1と、コネクタ101とを備える。コネクタ101は給電ケーブル1の先端に取り付けられる。コネクタ101は、図6に示すように、給電ケーブル1の導体10に接続される端子110を備える。
以下、先に充電器200の構成を図5に基づいて説明し、その後にコネクタ付きケーブル100におけるコネクタ101の構成を主に図6に基づいて説明する。図6は、端子110の中心軸を通る平面で切断したコネクタ101の縦断面図である。コネクタ101において、インレット501(図5)に挿入される側を先端とし、先端とは反対側を基端とする。図6では、上側が先端側であり、下側が基端側である。コネクタ101の基端側は、給電ケーブル1が接続される側である。
(充電器)
本例の充電器200は、電動車両500に搭載されるバッテリ510を急速充電する急速充電器である。電動車両500は、例えばEV、PHEVなどである。電動車両500は、普通自動車の他、例えば自動二輪車、バスやトラックといった大型自動車、トラクターやフォークリフトといった特殊自動車など、建設機械や農業機械なども含まれる。充電器200は、電力変換装置210を備える。充電器200は、図示しない電力系統から供給される交流を電力変換装置210により直流に変換して、給電ケーブル1の導体10(図1、図6)に出力する。出力電流は、例えば250A以上、更に400A以上とすることが挙げられる。コネクタ101を電動車両500のインレット501に挿入することにより、充電器200と電動車両500とが電気的に接続される。
更に、本例の充電器200は、冷媒90を貯留するタンク220と、ポンプ221と、タンク220からポンプ221に送られる冷媒90を冷却する冷却装置222とを備える。ポンプ221は、冷却装置222から冷媒90を給電ケーブル1の管状部材20(図1、図6)に圧送する。
充電器200は、電動車両500のバッテリ510から放電した電力をコネクタ付きケーブル100を介して受け取り、例えば家庭などに供給する機能を有していてもよい。
(コネクタ)
コネクタ101は、電動車両500(図5)のインレット501に挿入される。コネクタ101がインレット501に挿入されたとき、端子110(図6)はインレット501に設けられる図示しない相手側端子に接続される。本実施形態では、図6に示すように、二つの端子111,112を備える。端子111,112は、電動車両500に電力を供給する電力端子である。第一の端子111が正極端子であり、第二の端子112が負極端子である。本実施形態では図示していないが、コネクタ101には、電力端子の他にも、グランド端子、電動車両500との間で充電制御に必要な制御信号を入出力するための信号端子などが設けられている。端子110は、図示しない筐体に収納されている。
端子110の材質は、例えば銅又は銅合金などが挙げられる。端子110の形状やサイズ、配置などは、予め定められた仕様に準拠して設計されている。電動車両用のコネクタの仕様としては、例えばCHAdeMoが挙げられる。本例の端子110は丸棒状のオス端子である。
端子110の先端部は、インレット501(図5)の図示しない相手側端子と電気的に接触する。端子110の先端部が相手側端子に接触することで、端子110と相手側端子とが電気的に接続される。
端子110の基端部には、給電ケーブル1の導体10が電気的に接続される。端子110の基端部は、相手側端子に接触しない部分である。本例の端子110の基端部は内部が空洞になっている。端子110の基端部の端面には開口が設けられている。本例の場合、第一の端子111の基端部の開口に第一の導体10aが接続される。第二の端子112の基端部の開口に第二の導体10bが接続される。第一の端子111の基端部の内部空間と第二の端子112の内部空間とは連通部120を介して連通している。連通部120は、例えば樹脂やゴムなどの絶縁材料で構成されている。
本実施形態では、充電器200(図5)の冷却装置222からポンプ221によって、冷媒90が第一の導体10aが配置される一方の管状部材20を通って給電ケーブル1の先端側に送られる。給電ケーブル1の先端側に送られた冷媒90は、第一の端子111の基端部の開口から内部空間に導入される。第一の端子111の内部空間に導入された冷媒90は、連通部120を介して第二の端子112の基端部の内部空間に送られ、第二の端子112の基端部の開口から排出される。第二の端子112の開口から排出された冷媒90は、第二の導体10bが配置される他方の管状部材20を通ってタンク220に戻される。タンク220に戻された冷媒90は、冷却装置222からポンプ221によって、再び一方の管状部材20を通って給電ケーブル1の先端側に送られる。つまり、二つの管状部材20によって冷媒90の循環流路が構成される。冷媒90は電気絶縁性を有しているため、冷媒90を介して端子111,112間が短絡することを回避できる。
その他、給電ケーブル1の内部に、各管状部材20に流れる冷媒90をそれぞれ循環させるための循環用配管(図示せず)を別途設けてもよい。循環用配管は、例えば、第一の端子111及び第二の端子112の各々の基端部の側面に接続される。循環用配管を用いて冷媒90を循環させる場合は、例えば、冷媒90を冷却装置222からポンプ221によって循環用配管に送り、循環用配管を通して冷媒90を給電ケーブル1の先端側に送る。各循環用配管を通って第一の端子111及び第二の端子112の各々の基端部の側面から内部空間に導入された冷媒90は、各々の基端部の開口から排出され、各管状部材20を通ってタンク220に戻される。よって、管状部材20と循環用配管とで冷媒90の循環流路が構成される。上記の例では、冷媒90は循環用配管を通してコネクタ101に送られ、先に端子111,112を冷却した後、各管状部材20を通って導体10a,10bを冷却する。先に端子111,112を冷却するので、端子111,112の温度上昇が大きい場合に有効である。上記の例では、冷媒90が循環用配管を通ってコネクタ101に送られた後、管状部材20を通ってタンク220に戻される例を示したが、冷媒90を流す方向は逆でもよい。具体的には、冷媒90を、各管状部材20を通してコネクタ101に送った後、循環用配管を通してタンク220に戻してもよい。この場合、先に導体10a,10bを冷却した後、端子111,112を冷却できる。
<作用効果>
実施形態のコネクタ付きケーブル100は、次の作用効果を奏する。
本実施形態の給電ケーブル1を備えることで、導体10を効率よく冷却できる。本例では、電力線である第一の導体10a及び第二の導体10bを冷却するため、大電流で急速充電を行う場合に電力線の温度上昇を抑制できる。よって、コネクタ付きケーブル100は電動車両500の急速充電に好適に利用できる。
1 給電ケーブル
10 導体、15 絶縁線心
10a 第一の導体、10b 第二の導体
20 管状部材
21 帯状材、21s 側縁部
22 結合部、22g ギャップ
23 折り曲げ部、24 折り返し部
25 パッキン材
30 絶縁被覆部、35,36 ラッピング材
40 介在物、50 シース
90 冷媒
100 コネクタ付きケーブル
101 コネクタ
110 端子
111 第一の端子、112 第二の端子
120 連通部
200 充電器
210 電力変換装置
220 タンク、221 ポンプ、222 冷却装置
500 電動車両、501 インレット、510 バッテリ

Claims (9)

  1. 冷媒が流通する管状部材と、前記管状部材の外周に撚り合わされた導体と、前記導体の外周を覆う絶縁被覆部と、を備え、
    前記冷媒は電気絶縁性を有し、
    前記管状部材は、
    螺旋状に巻回された金属製の帯状材と、
    前記帯状材における隣り合うターンの側縁部同士が噛み合わされた結合部と、を有し、
    前記結合部は、前記冷媒を前記管状部材の外部に漏洩させるギャップを有する、
    給電ケーブル。
  2. 前記管状部材の耐水圧が0.2MPa以下である請求項1に記載の給電ケーブル。
  3. 前記管状部材の最小曲げ半径が100mm以下である請求項1又は請求項2に記載の給電ケーブル。
  4. 180°繰り返し曲げ試験における前記管状部材の曲げ回数が5000回以上である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の給電ケーブル。
  5. 前記管状部材の引張強度が60MPa以上である請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の給電ケーブル。
  6. 前記管状部材の側圧強度が50MPa以上である請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の給電ケーブル。
  7. 前記管状部材の内径が4mm以上、外径が12mm以下である請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の給電ケーブル。
  8. 電動車両の充電に用いられる請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の給電ケーブル。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の給電ケーブルと、
    前記導体に接続される端子を備えるコネクタと、を備える、
    コネクタ付きケーブル。
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