JP6817842B2 - バイオガス生成促進剤およびそれを用いたバイオガス生成促進方法、有機性廃棄物の処理方法、処理装置 - Google Patents

バイオガス生成促進剤およびそれを用いたバイオガス生成促進方法、有機性廃棄物の処理方法、処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、バイオガス生成促進剤およびそれを用いたバイオガス生成促進方法、有機性廃棄物の処理方法、処理装置に関する。
下水汚泥、し尿・浄化槽汚泥、家畜糞尿、食品製造残渣、農業残渣、バイオマスエネルギー回収残渣等の有機性廃棄物(バイオマス)や有機性廃液を減容し、安定化する方法としては、それらの有機分を嫌気的培養によりガス化するメタン発酵が用いられている。メタン発酵によって生成した気体(バイオガス)からは、メタン、水素等の可燃性ガスが得られる。得られた可燃性ガスは、熱源や発電等のエネルギー源として利用される。
メタン発酵は、一般的に反応時間が長い上に、発酵効率(消化率)が必ずしも満足が得られるほどの高い効率とはなっていない。
メタン発酵の消化率を高める装置としては、物理的促進処理を施す装置、化学的促進処理を施す装置、生物学的促進処理を施す装置等が挙げられる。
物理的促進処理を施す装置としては、例えば、超音波破砕装置、湿式ミル破砕装置、ボールミル破砕装置、ホモジナイズ破砕装置、熱処理装置、高温高圧処理装置等が挙げられる。
化学的促進処理を施す装置としては、例えば、酸処理を施す装置、アルカリ処理を施す装置、オゾン酸化を施す装置等が挙げられる。
生物学的促進処理を施す装置としては、例えば、酵素剤を用いる装置、バイオ系界面活性剤を用いる装置、発酵促進微生物製剤を用いる装置等が挙げられる。
少ない設備投資で、簡便にメタン発酵の消化率を高める方法としては、添加剤を用いる方法が知られている。その方法としては、例えば、金属イオン、酸化酵素、可溶化微生物、植物抽出成分、界面活性剤等の添加剤を用いる方法が挙げられる。
界面活性剤の中には、発酵阻害を起こすものが知られている。そのため、発酵阻害を起こさない特定の界面活性剤を特定の条件で用いることが求められる。また、界面活性剤の中には、発酵工程で起泡(かき立てると空気が混ざり、気泡ができて泡立つこと)を促進するものがある。そのため、起泡の抑制が求められる。
例えば、油脂を多く含む排水に、特定の界面活性剤を2000ppm以上添加することにより、油脂の分散性を高め、培養時間24時間における発酵阻害を緩和する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載されている発明は、油脂による発酵阻害を緩和することが図られている。
また、メタン発酵液に、微生物培養物および特定のノニオン界面活性剤を添加することによって、有機性廃棄物の減容およびバイオガスの生成量を高める方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2には、ノニオン界面活性剤として、オクチルフェノール系アルコールエトキシレート、トリデシルアルコール系アルコールエトキシレート、Tergitol15−S−7、Tergitol15−S−5(2級アルキル炭素原子数15、エチレンオキシド(EO)付加モル数5)等の2級アルコールエトキシレート、脂肪酸エステルエトキシレート等が記載されている。
特開2009−195852号公報 特表2015−525120号公報
しかしながら、従来の技術では、バイオガスの生成効率を十分に向上することはできなかった。
そこで、本発明は、有機性廃棄物からバイオガスを生成する嫌気発酵処理において、有機性廃棄物の減容およびバイオガスの生成効率を向上することができるバイオガス生成促進剤およびそれを用いたバイオガス生成促進方法、有機性廃棄物の処理方法、処理装置を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を有する。
[1]有機性廃棄物からバイオガスを生成する嫌気発酵処理に用いられ、下記一般式(a)で表される化合物からなるノニオン界面活性剤を含有する、バイオガス生成促進剤。
−CO(ORm1OR ・・・(a)
((a)式中、Rは炭素原子数3〜21の炭化水素基、Rは炭素原子数2〜4のアルキレン基、Rは炭素原子数1〜3のアルキル基である。m1は(OR)の平均繰り返し数を表し、2〜200の数である。)
[2]前記ノニオン界面活性剤を0.1質量%〜95質量%含有する組成物である、[1]に記載のバイオガス生成促進剤。
[3]有機性廃棄物の嫌気発酵処理によってバイオガスを生成するバイオガス生成促進方法であって、前記有機性廃棄物に、[1]または[2]に記載のバイオガス生成促進剤を添加する添加工程と、前記バイオガス生成促進剤を添加した有機性廃棄物をメタン発酵処理する発酵工程と、を備える、バイオガス生成促進方法。
[4]前記有機性廃棄物に対する前記バイオガス生成促進剤の添加量が、前記有機性廃棄物と前記バイオガス生成促進剤からなる培養液全量の0.0001質量%〜90質量%である、[3]に記載のバイオガス生成促進方法。
[5]有機性廃棄物を嫌気性処理する方法であって、前記有機性廃棄物に、[1]または[2]に記載のバイオガス生成促進剤を添加する添加工程と、前記バイオガス生成促進剤を添加した有機性廃棄物をメタン発酵処理する発酵工程と、を備える、有機性廃棄物の処理方法。
[6]有機性廃棄物を嫌気性処理する処理装置であって、[1]または[2]に記載のバイオガス生成促進剤を貯留するバイオガス生成促進剤貯留槽と、前記有機性廃棄物に前記バイオガス生成促進剤を添加する添加手段と、前記有機性廃棄物を貯留する汚泥貯留槽と、前記バイオガス生成促進剤を添加した有機性廃棄物を嫌気性処理する嫌気発酵処理槽と、を具備し、前記バイオガス生成促進剤の添加位置が前記嫌気発酵処理槽であることを含む、処理装置。
本発明によれば、特定のノニオン界面活性剤を嫌気発酵処理に用いることにより、有機性廃棄物の減容およびバイオガスの生成効率を向上することができる。
本発明のバイオガス製造方法に用いられるバイオガス生成装置を示す概略図である。 実施例2、比較例1および比較例5の回分式培養において、培養時間(日)とバイオガス生成量(mL)の関係を示すグラフである。 従来のバイオガス製造方法に用いられるバイオガス生成装置を示す概略図である。
(バイオガス生成促進剤)
本発明のバイオガス生成促進剤は、有機性廃棄物からバイオガスを生成する嫌気発酵処理に用いられ、下記一般式(a)で表される化合物からなるノニオン界面活性剤を含有する組成物である。下記一般式(a)で表される化合物は主に液体である。従って、本発明のバイオガス生成促進剤は、主に液体の組成物である。
下記一般式(a)で表される化合物(以下、「成分(A)」と言うこともある。)は、特定の脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート(MEE)である。
−CO(ORm1OR ・・・(a)
上記一般式(a)中、Rは炭素原子数3〜21の炭化水素基である。Rは、不飽和結合を有していてもよいし、不飽和結合を有していなくてもよい。Rは、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよいし、環状であってもよい。本発明の効果のさらなる向上を図る観点から、Rは、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。また、メタン発酵処理の効率のさらなる向上を図る観点から、Rは、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、または直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基であることが好ましい。Rにおいて、炭素原子数は7〜17であることが好ましく、7〜11であることがより好ましい。炭素原子数が上記下限値以上であれば、有機性廃棄物や微生物(メタン菌)の分散性に優れる。一方、炭素原子数が上記上限値以下であれば、成分(A)は固化し難く、また、成分(A)を用いた嫌気発酵処理において、起泡を抑制することができる。
上記一般式(a)中、Rは炭素原子数2〜4のアルキレン基である。メタン発酵処理の効率のさらなる向上を図る観点から、Rは、炭素原子数2〜3のアルキレン基であることが好ましく、炭素原子数2のアルキレン基がより好ましい。すなわち、上記一般式(a)において、(OR)は、炭素原子数2〜4のオキシアルキレン基である。
上記一般式(a)中、m1は(OR)の平均繰り返し数(すなわち、アルキレンオキシドの平均付加モル数)を表し、2〜200の数である。m1が上記下限値以上であれば、成分(A)は水に溶解し易く、成分(A)を含む溶液の安定性が損なわれることがない。一方、m1が上記上限値以下であれば、成分(A)は低温で固化し難く、取扱いが容易となる。そのため、m1は、5〜100であることが好ましく、10〜50であることがより好ましく、11〜20であることがさらに好ましい。
また、(ORm1は、1種のオキシアルキレン基で構成されていてもよいし、2種以上のオキシアルキレン基で構成されていてもよい。
上記一般式(a)中、Rは炭素原子数1〜3のアルキル基である。メタン発酵処理の効率のさらなる向上を図る観点から、Rは、炭素原子数1のアルキル基(すなわち、メチル基)が好ましい。上記一般式(a)に示すように、末端にアルキル基(R)を有することにより、特表2015−525120号公報等に記載されている親水基の末端が水素(H)となるアルコールエトキシレートおよび脂肪酸エトキシレートに比べて、成分(A)は汚泥中の油分に対する可溶化能に優れる特性を有する。
成分(A)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のバイオガス生成促進剤における成分(A)の含有量は、0.1質量%〜95質量%であることが好ましく、0.9質量%〜90質量%であることがより好ましく、30質量%〜90質量%であることが最も好ましい。
成分(A)の含有量が上記下限値以上であれば、バイオガス生成促進剤の輸送コストを削減することができる。一方、成分(A)の含有量が上記上限値以下であれば、バイオガス生成促進剤の引火性が低下するため、貯蔵に有利となる。
成分(A)は、例えば、公知の触媒を用いて、脂肪酸アルキルエステル(R11−COOR13)に、炭素原子数2〜4のアルキレンオキシドを付加させることによって、容易に製造される。成分(A)の製造に用いられる触媒によって、上記のm1の分布が変動する。
例えば、触媒として、一般的なアルカリ触媒である水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等を用いた場合、m1の分布は比較的広くなる。また、例えば、特公平6−15038号公報に記載されている複合金属酸化物や、特開2000−144179号公報、特開2009−221150号公報に記載されている、表面改質された複合金属酸化物等をアルコキシル化触媒として用いた場合、m1の分布は比較的狭くなる。
表面改質された複合金属酸化物触媒としては、例えば、金属水酸化物等により表面改質された金属イオン(Al3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Co3+、Sc3+、La3+、Mn2+等)が添加された酸化マグネシウム等の複合金属酸化物触媒や、金属水酸化物および/または金属アルコキシド等の表面改質剤により表面改質されたハイドロタルサイトの焼成物触媒等が好適に用いられる。
複合金属酸化物の表面改質においては、複合金属酸化物100質量部に対する表面改質剤の添加量が、0.5質量部〜10質量部であることが好ましく、1質量部〜5質量部であることがより好ましい。
表面改質剤の添加量が0.5質量部以上であれば、複合金属酸化物による改質効果が得られやすい。また、表面改質剤の添加量が10質量部以下であれば、複合金属酸化物による十分な触媒活性が得られやすい。また、複合金属酸化物の表面改質に用いる表面改質剤の添加量を制御することにより、複合金属酸化物触媒により製造される成分(A)のm1の分布を制御できる。表面改質剤の添加量が多いほど、m1の分布が狭い成分(A)が得られる。
また、例えば、脂肪酸(R11−COOH)または脂肪酸アルキルエステル(R11−COOR13)と(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテルとのエステル交換反応により、成分(A)を製造してもよい。
本発明のバイオガス生成促進剤は、成分(A)以外の界面活性剤(任意界面活性剤)、水、アルコール等の有機溶媒、可溶化剤(または減粘剤)、金属イオン、キレート剤、スケール防止剤、酸化防止剤、防腐剤、pH調整剤、着香剤、着色剤、乳濁剤、栄養剤、酵素、エキス、微生物、消泡剤等の任意成分を含有することができる。
任意成分の界面活性剤としては、例えば、成分(A)以外の任意のノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は、必要に応じて、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のバイオガス生成促進剤における任意成分の界面活性剤の含有量は、1質量%〜80質量%であることが好ましく、1質量%〜30質量%であることがより好ましく、5質量%〜20質量%であることがさらに好ましい。本発明のバイオガス生成促進剤における任意成分の界面活性剤の含有量が上記下限値以上であれば、その効果が得られる。一方、本発明のバイオガス生成促進剤における任意成分の界面活性剤が上記上限値以下であれば、本発明のバイオガス生成促進剤における成分(A)の含有量が適切な範囲内となるため、本発明のバイオガス生成促進剤の使用量が適切な量となる。
任意のノニオン界面活性剤としては、成分(A)を除くものであれば特に限定されない。任意のノニオン界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
任意のノニオン界面活性剤としては、具体的には、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製のレオコールTD−50(商品名)、レオコールTD−90(商品名)、TD−200(商品名)、エソミンT/25(商品名)、日本エマルジョン社のエマレックス715(商品名)、エマレックス750(商品名)、第一工業製薬社製のノイゲンSD−30(商品名)、ノイゲンSD−300(商品名)、ノイゲンXL−100(商品名)、ノイゲンXL−400(商品名)、日本触媒社製のソフタノール50(商品名)、ソフタノール200(商品名)、ソフタノール12030(商品名)等のアルコールエトキシレート、花王社製のレオドールTW−0106V(商品名)、東京化成社製のTween80(商品名)、NIKKOL SO−30V(商品名)等のソルビタン脂肪酸エステル 日本エマルジョン社製のEMALEX SSG−10(商品名)等のグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、例えば、SO基またはSO基を有するものが挙げられる。SO基またはSO基を有するアニオン界面活性剤としては、公知のものを用いることができる。このようなアニオン界面活性剤としては、例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸またはその塩;α−オレフィンスルホン酸塩;直鎖または分岐鎖のアルキル硫酸エステル塩;アルキルエーテル硫酸エステル塩またはアルケニルエーテル硫酸エステル塩;アルキル基を有するアルカンスルホン酸塩;α−スルホ脂肪酸エステル塩等が挙げられる。これらの塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸またはその塩としては、直鎖アルキル基の炭素原子数8〜16であるものが好ましく、炭素原子数10〜14であるものがより好ましい。
α−オレフィンスルホン酸塩としては、炭素原子数10〜20であるものが好ましい。
直鎖または分岐鎖のアルキル硫酸エステル塩としては、炭素原子数10〜20であるものが好ましい。
アルキルエーテル硫酸エステル塩またはアルケニルエーテル硫酸エステル塩としては、炭素原子数10〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基または炭素原子数10〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基を有し、平均1〜10モルのエチレンオキシド(EO)を付加したもの(すなわち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩またはポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩)が好ましい。
アルキル基を有するアルカンスルホン酸塩の炭素原子数は、10〜20であることが好ましく、14〜17であることがより好ましい。アルキル基を有するアルカンスルホン酸塩の中でも、二級アルカンスルホン酸塩が特に好ましい。
α−スルホ脂肪酸エステル塩としては、炭素原子数10〜20であるものが好ましい。
これらのアニオン界面活性剤としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸またはその塩、アルキル基を有するアルカンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩およびα−オレフィンスルホン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
これらのアニオン界面活性剤は、市場において入手したものであってもよいし、公知の方法により合成したものであってもよい。
公知の方法により合成したアニオン界面活性剤としては、例えば、ヤシ油脂肪酸等の高級脂肪酸またはその塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸塩、アルキル(またはアルケニル)アミドエーテルカルボン酸塩、アシルアミノカルボン酸塩等のカルボン酸型、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル塩、グリセリン脂肪酸エステルモノリン酸エステル塩等のリン酸エステル型アニオン界面活性剤等が挙げられる。アニオン界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、イミダゾリン型、アルキルアミノスルホン型、アルキルアミノカルボン酸型、アルキルアミドカルボン酸型、アミドアミノ酸型、リン酸型両性界面活性剤等が挙げられる。両性界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カチオン界面活性剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ミリスチルトリメチルアンモニウム、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製のエソカードC/12等の4級アンモニウム塩、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製のトリアミンY12D等の3級アンモニウム塩、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製のデュオミンCD等の2級アンモニウム塩等が挙げられる。カチオン界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のバイオガス生成促進剤において、水および有機溶媒を含有することは、低温での安定性や成分(A)の粘度を調節する点で好ましい。
有機溶媒としては、アルコール類、多価アルコール類、グリコールエーテル類、ポリグリコールエーテル類、ピロリドン系溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールヘキシルエーテル、ジエチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、ブチルカルビトール、グリセリン、平均分子量200〜10000のポリエチレングリコール等が挙げられる。これらの有機溶媒の中でも、エタノール、プロピレングリコールが好ましく、プロピレングリコールが最も好ましい。
本発明のバイオガス生成促進剤は、エタノールおよびプロピレングリコールを含有することにより、発酵阻害を起こすことなく、成分(A)のみを含有する場合に比べて、バイオガスの生成量を多くすることができる。
これらの水または有機溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のバイオガス生成促進剤中の有機溶媒の含有量は、1質量%〜50質量%であることが好ましく、3質量%〜20質量%であることがより好ましく、5質量%〜15質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒の含有量が上記下限値以上であれば、本発明のバイオガス生成促進剤は低温での安定性に優れる。また、本発明のバイオガス生成促進剤は、有機性廃棄物に対して均一に混合するために適した粘度となる。一方、有機溶媒の含有量が上記上限値以下であれば、製造コストが高くなることを抑制できる。
本発明のバイオガス生成促進剤中の水の含有量は、0質量%〜99.9質量%であることが好ましく、5質量%〜99.1質量%であることがより好ましく、10質量%〜70質量%であることがさらに好ましい。水の含有量が上記下限値以上であれば、本発明のバイオガス生成促進剤は低温での安定性に優れる。一方、水の含有量が上記上限値以下であれば、本発明の効果を得るために必要とされる、本発明のバイオガス生成促進剤の容積が増えることがなく、輸送や保管に有利である。
本発明のバイオガス生成促進剤によれば、成分(A)からなるノニオン界面活性剤をメタン発酵処理に用いることにより、有機性廃棄物と、それを分解してメタンを生成する微生物(メタン菌)とが十分に接触することができる。また、酵素反応を高め、菌体膜の透過性を向上させ、結果として、バイオガスの生成効率を向上することができる。すなわち、本発明のバイオガス生成促進剤によれば、バイオガスの生成を抑制することなく、メタン発酵処理の効率を高めることができる。バイオバスの生成効率を高めることにより、メタン発酵処理に要する時間も短縮することができる。
また、本発明のバイオガス生成促進剤によれば、メタン発酵処理によって生じる消化汚泥(発酵残渣)や消化液の固形物量や浮遊粒子やコロイド状物質を減少することができ、これに伴って、消化汚泥の粘度や、消化汚泥や消化液から発生する臭気も低減することができる。
また、本発明のバイオガス生成促進剤によれば、成分(A)からなるノニオン界面活性剤は生分解性が良好であるため、消化汚泥への残存率が低く、消化液および消化汚泥の処理工程で発泡等の不具合を生じないため、安定に発酵残渣を処理することができる。
また、本発明のバイオガス生成促進剤によれば、嫌気発酵処理槽内で泡立ちが生じることを抑制することができ、メタン発酵処理における発酵阻害を防止できる。
また、本発明のバイオガス生成促進剤によれば、嫌気発酵処理槽内でのスカム発生を誘発することを抑制することができる。
さらに、本発明のバイオガス生成促進剤によれば、嫌気発酵処理槽の機械撹拌装置の水封止部からの汚泥流出や移送ポンプ配管やバイオガス回収配管系への逆流等の設備不具合が生じることを抑制することができる。なお、機械撹拌装置の水封止部とは、メタン発酵槽内の水やガスが外部に流出しないように、機械撹拌装置の撹拌軸と発酵槽上面の撹拌軸貫通穴との隙間を密封した部分のことである。
(バイオガス生成促進方法)
本発明のバイオガス生成促進方法は、有機性廃棄物の嫌気発酵処理によってバイオガスを生成するバイオガス生成促進方法であって、有機性廃棄物に、上述の本発明のバイオガス生成促進剤を添加する添加工程と、バイオガス生成促進剤を添加した有機性廃棄物をメタン発酵処理する発酵工程と、を備える方法である。
以下、本発明のバイオガス生成促進方法に用いられるバイオガス生成装置の一例を図示し、本発明のバイオガス生成促進方法を詳細に説明する。
図1は、本発明のバイオガス生成促進方法に用いられるバイオガス生成装置を示す概略図である。
このバイオガス生成装置1は、バイオガス生成促進剤貯留槽10と、汚泥貯留槽20と、前処理槽30と、嫌気発酵処理槽40と、消化汚泥貯留槽50と、脱硫塔60と、バイオガスタンク70と、余剰ガス燃焼装置80と、を備えている。
すなわち、バイオガス生成装置1は、有機性廃棄物を嫌気性処理する処理装置である。
バイオガス生成促進剤貯留槽10は、配管を介して、上述のバイオガス生成促進剤の供給源(バイオガス生成促進剤供給源)100、前処理槽30および嫌気発酵処理槽40に接続されている。バイオガス生成促進剤貯留槽10は、バイオガス生成促進剤供給源100から供給されたバイオガス生成促進剤を貯留する。また、バイオガス生成促進剤貯留槽10は、前処理槽30内の有機性廃棄物および嫌気発酵処理槽40内の有機性廃棄物にバイオガス生成促進剤を添加するための添加手段を有する。その添加手段により、前処理槽30内の有機性廃棄物および嫌気発酵処理槽40内の有機性廃棄物にバイオガス生成促進剤を供給する。
汚泥貯留槽20は、配管を介して、後述する有機性廃棄物(以下、「汚泥」とも言う。)の供給源(以下、「汚泥供給源」と言う。)200および前処理槽30に接続されている。汚泥貯留槽20は、汚泥供給源200から供給された汚泥を貯留する。また、汚泥貯留槽20は、前処理槽30に汚泥を供給する。
前処理槽30は、配管を介して、バイオガス生成促進剤貯留槽10、汚泥貯留槽20および嫌気発酵処理槽40に接続されている。前処理槽30は、汚泥貯留槽20から供給された汚泥を汚泥分解反応により分解する。また、前処理槽30は、汚泥貯留槽20から供給された汚泥に、バイオガス生成促進剤貯留槽10から供給されたバイオガス生成促進剤を添加(混合)することもできる。さらに、前処理槽30は、このように処理した汚泥を嫌気発酵処理槽40に供給する。
嫌気発酵処理槽40は、配管を介して、バイオガス生成促進剤貯留槽10、前処理槽30、消化汚泥貯留槽50および脱硫塔60に接続されている。嫌気発酵処理槽40は、メタン生成細菌等を含む汚泥を保持しており、汚泥のメタン発酵処理を行う。
消化汚泥貯留槽50は、配管を介して、嫌気発酵処理槽40に接続されている。消化汚泥貯留槽50は、嫌気発酵処理槽40で汚泥をメタン発酵処理することにより生成した消化汚泥(発酵残渣)および消化液(メタン発酵液または嫌気性処理液)を貯留する。
脱硫塔60は、配管を介して、嫌気発酵処理槽40およびバイオガスタンク70に接続されている。脱硫塔60は、嫌気発酵処理槽40にて生成したバイオガスに含まれる硫化水素等を除去する。脱硫塔60としては、例えば、硫酸鉄(Fe(OH))等を充填した乾式脱硫塔が用いられる。また、脱硫塔60は、脱硫後のバイオガスをバイオガスタンク70に供給する。
バイオガスタンク70は、配管を介して、脱硫塔60および余剰ガス燃焼装置80に接続されている。バイオガスタンク70は、配管を介して、ガスボイラー、バイオガス発電機、燃料電池、ガス燈等のバイオガス利用設備300に直接、接続されていてもよい。その場合、バイオガスタンク70は、バイオガス利用設備300にバイオガスを供給する。また、バイオガスタンク70は、余剰ガス燃焼装置80に余剰のバイオガスを供給して、余剰ガス燃焼装置80にて、そのバイオガスを燃焼させ、バイオガスタンク70内のガス量が貯留可能な範囲を超えないようにする。
消化汚泥貯留槽50は、配管を介して、排液処理装置400に接続されていてもよい。その場合、消化汚泥貯留槽50は、その内部に貯留している消化汚泥(発酵残渣)や消化液(メタン発酵液または嫌気性処理液)を排液処理装置400に供給する。排液処理装置400は、消化汚泥貯留槽50から供給された消化汚泥や消化液を好気性処理する。
排液処理装置400は、配管を介して、汚泥脱水装置500に接続されていてもよい。その場合、排液処理装置400は、好気性処理後の消化汚泥や消化液を汚泥脱水装置500に供給する。汚泥脱水装置500は、排液処理装置400から供給された好気性処理後の消化汚泥や消化液を脱水し、処理水として排出する(汚泥脱水装置500から伸びる上側の矢印)とともに、脱水汚泥として排出する(汚泥脱水装置500から伸びる下側の矢印)。
本発明のバイオガス生成促進方法にて用いられる有機性廃棄物としては、例えば、下水汚泥、家畜糞尿、食物製造残渣、農業残渣等が挙げられる。また、有機性廃棄物としては、トウモロコシや海草等のエネルギー作物を用いてもよい。これらの中でも、有機性廃棄物の収集・運搬に相当する管路網が構築されている点から、下水汚泥が好ましい。下水汚泥は、下水試験方法(公益社団法人日本下水道協会、2012年版)で示される蒸発残留物(TS)濃度が、1質量%〜25質量%であることが好ましく、2質量%〜20質量%であることがより好ましく、3質量%〜15質量%であることがさらに好ましい。TS濃度が上記下限値以上であれば、嫌気発酵処理槽40を大きくし過ぎる必要がない。一方、TS濃度が上記上限値以下であれば、発酵阻害が生じ難い。
次に、バイオガス生成装置1を用いたバイオガス生成促進方法を説明する。
先ず、前処理槽30に、汚泥貯留槽20から汚泥を供給する。
次いで、前処理槽30にて、汚泥を汚泥分解反応する。ここで、汚泥分解反応とは、汚泥を前処理槽30に予め存在する微生物の力によって分解する反応である。
また、汚泥分解反応が終了した汚泥に、バイオガス生成促進剤貯留槽10から供給されたバイオガス生成促進剤を添加(混合)して、汚泥とバイオガス生成促進剤からなる培養液を調製してもよい(添加工程)。
前処理槽30にて、汚泥とバイオガス生成促進剤を混合する方法は特に限定されず、例えば、特開2002−263462号公報等に記載されている公知の混合方法が用いられる。
汚泥に対するバイオガス生成促進剤の添加量は、汚泥とバイオガス生成促進剤からなる培養液全量の0.0001質量%〜90質量%となる範囲であることが好ましく、0.05質量%〜5質量%となる範囲であることがより好ましい。
次いで、前処理槽30から嫌気発酵処理槽40に、汚泥分解反応のみが終了した汚泥、または、汚泥分解反応が終了した汚泥とバイオガス生成促進剤からなる培養液を供給する。
次いで、嫌気発酵処理槽40にて、汚泥(培養液)のメタン発酵処理を行う(発酵工程)。このメタン発酵処理により、メタン(バイオガス)と消化液が生成する。
なお、前処理槽30から嫌気発酵処理槽40に、汚泥分解反応のみが終了した汚泥が供給された場合、嫌気発酵処理槽40にて、バイオガス生成促進剤貯留槽10から供給されたバイオガス生成促進剤を添加(混合)して(添加工程)、汚泥分解反応が終了した汚泥とバイオガス生成促進剤からなる培養液を調製した後、その培養液のメタン発酵処理を行う。一方、前処理槽30から嫌気発酵処理槽40に、予め前処理槽30で調製された培養液が供給された場合、その培養液のメタン発酵処理を行う。
汚泥にバイオガス生成促進剤を添加する位置は、前処理槽30であっても、嫌気発酵処理槽40であってもよい。バイオガス生成促進剤と、汚泥や消化液との接触時間が長いほど、バイオガス生成促進剤が生分解を受けやすくなる。そのため、汚泥にバイオガス生成促進剤を添加する位置は、メタン発酵処理が行われて、消化液が存在する嫌気発酵処理槽40が好ましい。この場合、嫌気発酵処理槽40には、汚泥のメタン発酵処理によって生成した消化液が含まれることが好ましい。汚泥と消化液を混合した後、その混合物にバイオガス生成促進剤を添加した場合には、汚泥とバイオガス生成促進剤を混合した後、その混合物に消化液を添加した場合よりも、メタンの生成量が多くなる。
嫌気発酵処理槽40における、バイオガス生成促進剤に含まれる成分(A)の最終的な濃度は、汚泥のTS濃度が0.5質量%〜10質量%の場合、1ppm〜10000ppmであることが好ましく、10ppm〜2000ppmであることがより好ましく、10ppm〜1000ppmであることがさらに好ましく、50ppm〜500ppmであることが最も好ましい。
また、嫌気発酵処理槽40において、TSの100質量部に対する、バイオガス生成促進剤に含まれる成分(A)の添加率は、汚泥のTS濃度が0.5質量%〜10質量%の場合、0.001質量部〜200質量部であることが好ましく、0.01質量部〜40質量部であることがより好ましく、0.01質量部〜20質量部であることがさらに好ましく、0.05質量部〜10質量部であることが最も好ましい。
嫌気発酵処理槽40における汚泥のメタン発酵処理は、回分式培養法(バッチ生産、非連続生産)または連続培養法で行われる。
回分式培養法(バッチ生産、非連続生産)は、fill−and−drawで処理する方式であり、嫌気発酵処理槽40に汚泥を供給して培養開始後、反応終了時まで汚泥の追加や、嫌気発酵処理槽40から発酵液の引き抜きを行わない方法である。
連続培養法は、嫌気発酵処理槽40に一定量の汚泥を連続供給すると同時に、供給した汚泥と等量の発酵液を嫌気発酵処理槽40から引き抜き、嫌気発酵処理槽40内の発酵液量を一定量に保持しながら処理する方法である。
回分式培養法の場合、嫌気発酵処理槽40内における培養液の培養時間は2日〜90日であることが好ましく、7日〜60日であることがより好ましく、10日〜45日であることがさらに好ましく、10日〜30日であることが最も好ましい。
回分式培養法の場合、嫌気発酵処理槽40内における培養液の培養温度は、20℃〜70℃であることが好ましく、30℃〜60℃であることがより好ましく、30℃〜40℃または50℃〜60℃であることがさらに好ましく、30℃〜40℃であることが最も好ましい。
連続培養法の場合、嫌気発酵処理槽40内に汚泥(培養液)を連続的に供給するとともに、供給した汚泥(培養液)と同量の消化液を嫌気発酵処理槽40から抜き出す。これにより、嫌気発酵処理槽40内の培養液に含まれる汚泥の組成が時間的に変化しない状態、すなわち定常状態で培養を行う。
連続培養法によれば、回分式培養法よりもメタンの生成量が多くなる。連続培養法では、培養初期に発酵阻害を生じない。したがって、連続培養法において、連日のように定期的に、汚泥(培養液)にバイオガス生成促進剤を添加することは、連続培養法における負の制御を軽減する上で効果的である。
連続培養法の場合、嫌気発酵処理槽40内における培養液の培養温度は、20℃〜70℃であることが好ましく、30℃〜60℃であることがより好ましく、30℃〜40℃または50℃〜60℃であることがさらに好ましく、30℃〜40℃であることが最も好ましい。
嫌気発酵処理槽40で生成した消化液は、消化汚泥貯留槽50で貯留されるが、その消化液をそのまま排出して、液肥等として用いることもできる。また、消化液を好気処理し、汚泥脱水機で脱水処理してもよい。
嫌気発酵処理槽40にて生成したバイオガスは、硫化水素等の不純物ガスを含むため、脱硫塔60に送られて、これらの不純物ガスが除去される。
脱硫塔60にて不純物ガスが除去されたバイオガスは、バイオガスタンク70に送られて貯留される。
バイオガスタンク70に貯留されているバイオガスは、適宜、ガスボンベ等に供給されて用いられるか、または、バイオガスタンク70に直接、接続されているバイオガス利用設備300に供給されて用いられる。
バイオガスタンク70に貯留されているバイオガス量が、貯留可能な範囲を超えた場合、バイオガスタンク70から余剰ガス燃焼装置80に余剰のバイオガスを供給して、余剰ガス燃焼装置80にて、そのバイオガスを燃焼させ、バイオガスタンク70内のガス量が貯留可能な範囲を超えないようにする。
本発明のバイオガス生成促進方法によれば、成分(A)からなるノニオン界面活性剤をメタン発酵処理に用いることにより、有機性廃棄物と、それを分解してメタンを生成する微生物(メタン菌)とが十分に接触することができる。また、酵素反応を高め、菌体膜の透過性を向上させ、結果として、バイオガスの生成効率を向上することができる。すなわち、本発明のバイオガス生成促進方法によれば、バイオガスの生成を抑制することなく、メタン発酵処理の効率を高めることができる。バイオバスの生成効率を高めることにより、メタン発酵処理に要する時間も短縮することができる。
また、本発明のバイオガス生成促進方法によれば、メタン発酵処理によって生じる消化汚泥や消化液の固形物量や浮遊粒子やコロイド状物質を減少することができ、これに伴って、消化汚泥の粘度や、消化汚泥や消化液から発生する臭気も低減することができる。
また、本発明のバイオガス生成促進方法によれば、成分(A)からなるノニオン界面活性剤は生分解性が良好であるため、消化汚泥への残存率が低く、消化液および消化汚泥の処理工程で発泡等の不具合を生じないため、安定に発酵残渣を処理することができる。
成分(A)からなるノニオン界面活性剤は、嫌気性条件における生分解性が知られている(Detergents Ingredients Database,version 2014.1参照)。しかしながら、これまでに、このノニオン界面活性剤の分解速度を十分に把握できていなかった。本発明のバイオガス生成促進方法によれば、偏性嫌気性菌の生育する絶対的な嫌気条件となるメタン発酵において、成分(A)はアルコールエトキシレートに比べて優れた分解性を示す。また、成分(A)を下水処理場等のメタン発酵において、下水汚泥に添加しても、成分(A)は容易に生分解される。したがって、連日のように定期的に、汚泥に成分(A)を添加する連続培養を行なっても、その後、消化液を河川に放流したり、返流水として曝気槽等に添加したりした場合に、成分(A)の除去を行なうための後処理を軽減することができる。
また、本発明のバイオガス生成促進方法によれば、嫌気発酵処理槽内で泡立ちが生じることを抑制することができる。
また、本発明のバイオガス生成促進方法によれば、嫌気発酵処理槽内でのスカム発生を誘発することを抑制することができる。
さらに、本発明のバイオガス生成促進方法によれば、嫌気発酵処理槽の水封止部からの汚泥流出や移送ポンプ配管やバイオガス回収配管系への逆流等の設備不具合が生じることを抑制することができる。
(有機性廃棄物の処理方法)
本発明の有機性廃棄物の処理方法は、有機性廃棄物を嫌気性処理する方法であって、有機性廃棄物に、上述の本発明のバイオガス生成促進剤を添加する添加工程と、バイオガス生成促進剤を添加した有機性廃棄物をメタン発酵処理する発酵工程と、を備える方法である。
本発明の有機性廃棄物の処理方法は、上述の本発明のバイオガス生成促進方法と同様に実施することができる。
本発明の有機性廃棄物の処理方法によれば、上述の本発明のバイオガス生成促進方法と同様の効果が得られる。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
[成分(A)の調製]
表1に示す実施例1〜実施例8で用いられる成分(A)(CxEOy)を、下記の調製例1〜調製例5に示す通りに調製した。
なお、CxEOyにおいて、xは疎水基の炭素原子数、yはエチレンオキシド(EO)の平均付加モル数を示す。
表1において、C8EO15、C12EO11、C14EO15、C16EO25、C18EO10はラボ合成品である。
「調製例1」
(MEE(C12EO11)の調製)
特開2000−144179号公報に記載されている方法に準じて、MEE(C12EO11、一般式(a)中のRが11、Rが2、Rが1、m1が11の化合物。)を調製した。
キョーワード300(商品名、協和化学工業社製)を600℃で1時間、窒素雰囲気下で焼成して得られた焼成水酸化アルミナ・マグネシウム触媒2.2gと、表面改質剤として0.5N水酸化カリウムエタノール溶液2.9mLと、ラウリン酸メチルエステル(東京化成社製)342gとを、容量4Lのオートクレーブに仕込んだ。
次いで、オートクレーブ内を窒素で置換した後、昇温し、オートクレーブ内を温度180℃、圧力3×10Paに維持しつつ、エチレンオキシド(エアウォーター社製)774gを導入して攪拌しながら反応させた。
次いで、反応液を80℃まで冷却し、水126gと、濾過助剤として活性白土および珪藻土をそれぞれ5g添加した後、触媒をろ別除去して、MEE(C12EO11、疎水基の炭素鎖長12でEO平均付加モル数11)を純分90%品として得た。
「調製例2」
(MEE(C8EO15)の調製)
ラウリン酸メチルエステル342gの代わりにオクタン酸メチルエステル(東京化成社製)253gを用い、エチレンオキシド1052gを用い、水148gを用いたこと以外は調製例1と同様にして、MEE(C8EO15、疎水基の炭素鎖長8でEO平均付加モル数15、一般式(a)中のRが7、Rが2、Rが1、m1が15の化合物。)を純分90%品として得た。
「調製例3」
(MEE(C14EO15)の調製)
ラウリン酸メチルエステル342gの代わりにミリスチン酸メチルエステル(東京化成社製)387gを用い、エチレンオキシド1052gを用い、水164gを用いたこと以外は調製例1と同様にして、MEE(C14EO15、疎水基の炭素鎖長14でEO平均付加モル数15、一般式(a)中のRが13、Rが2、Rが1、m1が15の化合物。)を純分90%品として得た。
「調製例4」
(MEE(C16EO25)の調製)
ラウリン酸メチルエステル342gの代わりにパルミチン酸メチルエステル(東京化成社製)432gを用い、エチレンオキシド1760gを用い、水249gを用いたこと以外は調製例1と同様にして、MEE(C16EO25、疎水基の炭素鎖長16でEO平均付加モル数25、一般式(a)中のRが15、Rが2、Rが1、m1が25の化合物。)を純分90%品として得た。
「調製例5」
(MEE(C18EO10)の調製)
ラウリン酸メチルエステル342gの代わりにオレイン酸メチルエステル(東京化成社製)473gを用い、エチレンオキシド704gを用い、水133gを用いたこと以外は調製例1と同様にして、MEE(C18EO10、疎水基の炭素鎖長18でEO平均付加モル数10、一般式(a)中のRが17、Rが2、Rが1、m1が10の化合物。)を純分90%品として得た。
「ノニオン界面活性剤」
表1に示す比較例1〜比較例4では、成分(A)の代わりに、下記のノニオン界面活性剤を用いた。
アルコールエトキシレート(商品名:レオコールTD−90、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(商品名:Tween80、東京化成工業社製)
硬化ヒマシ油系ノニオン界面活性剤(商品名:EMALEX HC−10およびHC−50、日本エマルジョン社製)
[回分式培養]
下水処理場から採取した嫌気性消化汚泥15mLおよび混合生汚泥1.5mLを、容量30mLのバイアル瓶に投入した。
また、この汚泥に、1w/v%の成分(A)(調製例1〜調製例5)またはノニオン界面活性剤を含む水溶液0.083mL〜0.25mLを添加して、成分(A)またはノニオン界面活性剤の濃度を50ppm〜150ppmとし水溶液を調製した。さらに、この水溶液に、10w/v%の成分(A)またはノニオン界面活性剤を含む水溶液0.083mL〜0.17mLを添加して、成分(A)またはノニオン界面活性剤の濃度を500ppm〜1000ppmとした培養液を調製した。なお、「w/v%」は、液体100mLに含まれる固体の質量(g)を表わす。
培養液を収容したバイアル瓶の気相部を窒素で置換した後、バイアル瓶をゴム栓およびアルミ栓を用いて密封した。
密封したバイアル瓶を37℃で1時間保温して、膨張した窒素をシリンジで排出し、その後、温度37℃、回転数120rpmで振とう培養を21日間〜24日間行なった。
培養中に生成するバイオガスを、培養4日〜7日おきにシリンジで抽出して定量し、その積算値(mL)を求めた。
1w/v%の成分(A)またはノニオン界面活性剤を添加した場合の積算値(表1にて「ガス生成量(mL)」と示す。)から1w/v%の成分(A)またはノニオン界面活性剤を添加しなかった場合(blank)の積算値(表1にて「blankガス生成量(mL)」と示す。)を差し引いた値をM(表1にて「対blankガス生成量(mL)」と示す。)とした。
[ガス生成効率の算出]
下記の式(1)により、添加した成分(A)またはノニオン界面活性剤1モルが完全に分解した際に理論上生成するCHのモル数およびCOのモル数が算出される。
+(n−a/4−b/2)HO→(n/2+a/8−b/4)CH+(n/2−a/8+b/4)CO ・・・(1)
それぞれの成分(A)またはノニオン界面活性剤の添加量に相当するモル数を求め、そこから生成するCHおよびCOのモル数を導くことができる。それらのモル数より導かれるガス生成量をT(mL)とした。MをTで割った値(M/T)をガス生成効率とし、それぞれの成分(A)またはノニオン界面活性剤によるガス生成効率を比較した。結果を表1に示す。
Figure 0006817842
表1の結果から、実施例1〜実施例5と比較例1〜比較例4を比較すると、成分(A)を用いることにより、一般的なノニオン界面活性剤を用いた場合よりもガス生成効率が向上することが分かった。
また、実施例8のように、成分(A)を1000ppm添加しても、汚泥の発酵が抑制されず、21日〜24日後のガス生成量は、成分(A)が分解して得られる理論量を上回った。
また、実施例2、比較例1、および成分(A)もノニオン界面活性剤も添加しない場合(比較例5とする。)の回分式培養において、培養時間(日)とガス生成量(mL)の関係を調査した。結果を図2に示す。
図2の結果から、比較例1のアルコールエトキシレート(レオコールTD−90)を150ppm添加した場合には、培養初期にガス生成量が抑制された。これに対して、実施例2の成分(A)(C12EO11)を150ppm添加した場合には、培養初期からガス生成量が抑制されず、21日目のガス生成量が3つの例の中で最も高くなった。
[ノニオン界面活性剤の生分解性評価]
容量30mLのバイアル瓶に、下水処理場より採取した消化液15mLと下水汚泥1.5mLを投入した。
また、この汚泥に、1w/v%の成分(A)(C12EO11)を含む溶液0.25mLまたは1w/v%のアルコールエトキシレート(商品名:レオコールTD−90、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を含む溶液0.25mLを添加して培養液を調製した。
培養液を収容したバイアル瓶の気相部を窒素で置換した後、バイアル瓶をゴム栓およびアルミ栓を用いて密封した。
密封したバイアル瓶を37℃で1時間保温して、膨張した窒素をシリンジで排出し、その後、温度37℃、回転数120rpmで振とう培養を14日間行なった。
14日間培養した培養液5mLとメタノール5mLを混合し、1分間ボルテックスミキサーで激しく攪拌した。さらに、その培養液に5分間超音波処理を施し、界面活性剤(成分(A)(C12EO11)、アルコールエトキシレート)を溶出させた。
その溶出液を回転数3000rpmで5分間遠心分離した後、0.2μmのシリンジフィルターで上清をろ過し、試験液を得た。
試験液に含まれる成分(A)(C12EO11)の濃度をガスクロマトグラフィ(GC)により測定した。ガスクロマトグラフィ条件を下記の通りとした。また、試験液に含まれるアルコールエトキシレート(レオコールTD−90)の濃度を高速液体クロマトグラフィ(HPLC)により測定した。高速液体クロマトグラフィ条件を下記の通りとした。
なお、成分(A)およびアルコールエトキシレート(レオコールTD−90)の所定濃度の水溶液を調製して検量線を作成し、それぞれの成分が残存する濃度を求めた。
<ガスクロマトグラフィ条件>
カラム:DB1−HT(長さ30m、内径0.25mm、膜圧0.1μm、アジレント・テクノロジー社製)
カラム温度:150℃→昇温(5℃/分)→350℃(5分保持)
キャリアガス:ヘリウム、線速度:30cm/秒
試料注入量:1μL(スプリットモード、スプリット比2)
検出器:FID
<高速液体クロマトグラフィ条件>
カラム:Inertsil ODS−3(長さ150mm、内径4.6mm、粒子径5μm、ジーエルサイエンス社製)
カラム温度:40℃ 流量:0.5mL/分 移動相:85v/v%メタノール
検出器:RI
試料導入量:100μL
成分(A)(C12EO11)は、培養開始から14日後に99%以上が生分解していた。一方、アルコールエトキシレート(レオコールTD−90)は、培養開始から14日後では、生分解が77%に留まっていた。
[連続培養]
下水処理場から採取した下水汚泥(B)と、工場の食品加工廃液(C)とを実験原料として用い、連続培養による嫌気発酵処理試験を行った。表2に実験原料の性状を示す。
ここで、図3は、従来のバイオガス製造方法に用いられるバイオガス生成装置を示す概略図である。図3において、図1に示すバイオガス生成装置と同一の構成要素には同一の符号を付して、説明を省略する。
ここで、バイオガス生成装置600を用いたバイオガス製造方法を説明する。
先ず、汚泥貯留槽20から嫌気発酵処理槽40に汚泥を供給する。
次いで、嫌気発酵処理槽40にて、汚泥のメタン発酵処理を行う。
以下、メタン発酵処理後の処理フローは、バイオガス生成装置1を用いたバイオガス製造方法と同様である。
実施例9では、図1に示すバイオガス生成装置1の処理フローに従い、下水汚泥(B)の嫌気発酵処理試験を行った。実施例10では、図1に示すバイオガス生成装置1の処理フローに従い、食品加工廃液(C)の嫌気発酵処理試験を行った。比較例6では、図3に示すバイオガス生成装置600の処理フローに従い、下水汚泥(B)の嫌気発酵処理試験を行った。比較例7では、図3に示すバイオガス生成装置600の処理フローに従い、食品加工廃液(C)の嫌気発酵処理試験を行った。実施例9、実施例10、比較例6および比較例7における嫌気発酵処理試験の試験条件を表3に示す。
嫌気発酵処理試験では、耐熱塩化ビニル製の完全混合型嫌気発酵処理装置を用い(総容積10L、有効容積8L)、37℃で運転した。ガス発生量の定量には、湿式ガスメータWS−1A型(シナガワ社製)を用いた。
原料の投入は、チューブポンプRP−60型(東京理化器械社製)を用い、1日あたり3回に分けて、合計240mLをタイマー制御で行った。
実施例9と実施例10では、バイオガス生成促進剤としては、成分(A)(C12EO11)の濃度が0.9w/v%の溶液を用い、その溶液を1日1回、タイマー制御で汚泥槽にポンプ注入した。一方、比較例6と比較例7では、実施例9および実施例10におけるバイオガス生成促進剤の注入量と等量の水道水をポンプ注入した。
この嫌気発酵処理試験では、3週間程度の連続運転で定常状態を確認した後、引続き1ヵ月間の連続運転で性能を評価した。
この嫌気発酵処理試験では、湿式ガスメータによるガス発生量の計測と、1週間に1回採取した消化汚泥の性状分析データとに基づいて、評価期間中の平均値で、実施例9、実施例10、比較例6および比較例7における嫌気発酵処理試験の性能解析を行った。
性能解析を下記の条件で行った。
・TS(Total Solids、蒸発残留物);105℃蒸発残留物質量(下水試験方法)
・VS(Volatile Solids、強熱減量);600℃強熱減量(下水試験方法)
・SS(Suspended Solids、懸濁物質);遠心分離機による回転数3000rpm、10分間での沈殿物質量(下水試験方法)
・VSS(Volatile Suspended Solids、揮発性懸濁物質);懸濁物質の600℃強熱減量(下水試験方法)
・S−CODMn(化学的酸素消費量);過マンガン酸カリウム法(下水試験方法)
・VFA(揮発性有機酸);高速液体クロマトグラフ(エルマ光学社製ERC−8710(商品名)、検出器:RI、カラム:Shodex RSpak KC−811(昭和電工社製)、カラム温度:60℃、移動相:0.1%リン酸)
・溶解性画分;ガラス繊維ろ紙GF/B(1μm、ワットマン社製)でのろ液
・汚泥粘度(汚泥粘度とは、消化汚泥の粘度のことである。);B型回転粘度計(東京計器社製BL型、ロータNo.1、ロータ回転数12rpm、30rpm、60rpm)を用いて35℃で測定(下水試験方法)
・CH、CO;ガスクロマトグラフ(ジーエルサイエンス社製GC−323型、検出器:TCD、TCD電流値:50A、分離カラム:Unibeads C60/80、カラム温度:150℃、キャリアガス:アルゴン(Ar))
・汚泥の臭気指数;メタン発酵液200mLを5リットル臭気袋に入れ、活性炭を通した無臭臭気(評価試験室内の空気を活性炭に通して臭気を感じられなくした空気)を袋内に充填して、30℃、24時間静置後、袋内の臭気指数を臭気センサー(新コスモス電機社製ニオイセンサーXP−329IIIR型)で分析した。臭気指数は、臭気レベルより、次の式(1)により換算した。臭気指数=(0.0338×臭気レベル)+20.438・・・(1)
Figure 0006817842
Figure 0006817842
Figure 0006817842
表4の結果から、実施例9および実施例10における嫌気発酵処理試験では、比較例6および比較例7における従来方式による嫌気発酵処理試験と比較して、メタンガス発生率が10%以上向上していることが分かった。
さらに、実験原料の性状において、実施例9および実施例10では、比較例6および比較例7よりも汚泥濃度(SS濃度)が減少し、汚泥粘度(消化汚泥の粘度)も低下し、S−CODMn濃度も低下しており、S−CODの減少からは溶解性有機物が減少していることが推定できる。このことから、実施例9および実施例10では、バイオガス生成促進剤による実験原料の分解促進効果が発揮されていることが分かった。
なお、実施例9、実施例10、比較例6および比較例7のいずれの嫌気発酵性処理槽でも揮発性有機酸の残留は全く認められず、かつ、嫌気発酵処理槽内での発泡現象も認められなかった。このことから、実施例9および実施例10における嫌気発酵処理反応は、発酵阻害等の問題は生じることなく順調に進行したものと考えられる。
[界面活性剤添加時の泡高評価]
容量250mLのポリ容器に、下水処理場より採取した消化液100mLと下水汚泥10mLを投入し、これらを攪拌、混合して、混合液を調製した。
この混合液を栄研化学社製の滅菌丸底スピッツ(白)に3mLずつ分注した後、1w/v%のアルコールエトキシレート(商品名:レオコールTD−90、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)(比較例8とする。)、1w/v%のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(商品名:Tween80、東京化成工業社製)(比較例9とする。)、1w/v%の成分(A)(C8EO15)(実施例11とする。)、1w/v%の成分(A)(C12EO11)(実施例12とする。)、1w/v%の成分(A)(C14EO15)(実施例13とする。)、1w/v%の成分(A)(C16EO25)(実施例14とする。)または1w/v%の成分(A)(C18EO10)(実施例15とする。)を0.3mL添加した。
その後、その混合液を上下に激しく撹拌した後、1分間静置して、ノギスにより、液面からの泡の高さ(泡高)を測定した。さらに10分間静置後、同様に泡高を測定した。結果を表5に示す。
Figure 0006817842
表5の結果から、実施例11〜15のように、成分(A)を1000ppm添加しても、比較例8のアルコールエトキシレート(レオコールTD−90)や比較例9のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween80)を1000ppm添加した場合と比較して、明らかに発泡しないことが分かった。
[作用]
成分(A)の添加によってガス発生率が高まるメカニズムについては分かっていないが、培養液中の凝集物や菌体の分散性の向上、発酵原料と発酵菌体との接触効率の向上、培養液中の酵素反応の向上、菌体膜の物質透過性の向上、菌叢の変化等の効果が得られるものと考えられる。
また、下水汚泥および下水消化液の混合液に成分(A)を添加した場合に、成分(A)の発泡が少なかったメカニズムについても分かっていないが、成分(A)の発泡性の低さに加えて、成分(A)が加水分解した場合に生成した脂肪酸によって破泡効果が示されたことも考えられる。
1 バイオガス生成装置
10 バイオガス生成促進剤貯留槽
20 汚泥貯留槽
30 前処理槽
40 嫌気発酵処理槽
50 消化汚泥貯留槽
60 脱硫塔
70 バイオガスタンク
80 余剰ガス燃焼装置
100 バイオガス生成促進剤供給源
200 汚泥供給源
300 バイオガス利用設備
400 排液処理装置
500 汚泥脱水装置
600 バイオガス生成装置

Claims (6)

  1. 有機性廃棄物からバイオガスを生成する嫌気発酵処理に用いられ、下記一般式(a)で表される化合物からなるノニオン界面活性剤を含有する、バイオガス生成促進剤。
    −CO(ORm1OR ・・・(a)
    ((a)式中、Rは炭素原子数17の炭化水素基、Rは炭素原子数のアルキレン基、Rは炭素原子数のアルキル基である。m1は(OR)の平均繰り返し数を表し、1025の数である。)
  2. 前記ノニオン界面活性剤を0.1質量%〜95質量%含有する組成物である、請求項1に記載のバイオガス生成促進剤。
  3. 有機性廃棄物の嫌気発酵処理によってバイオガスを生成するバイオガス生成促進方法であって、
    前記有機性廃棄物に、請求項1または2に記載のバイオガス生成促進剤を添加する添加工程と、
    前記バイオガス生成促進剤を添加した有機性廃棄物をメタン発酵処理する発酵工程と、を備える、バイオガス生成促進方法。
  4. 前記有機性廃棄物に対する前記バイオガス生成促進剤の添加量が、前記有機性廃棄物と前記バイオガス生成促進剤からなる培養液全量の0.0001質量%〜90質量%である、請求項3に記載のバイオガス生成促進方法。
  5. 有機性廃棄物を嫌気性処理する方法であって、
    前記有機性廃棄物に、請求項1または2に記載のバイオガス生成促進剤を添加する添加工程と、
    前記バイオガス生成促進剤を添加した有機性廃棄物をメタン発酵処理する発酵工程と、を備える、有機性廃棄物の処理方法。
  6. 有機性廃棄物を嫌気性処理する処理装置であって、
    請求項1または2に記載のバイオガス生成促進剤を貯留するバイオガス生成促進剤貯留槽と、
    前記有機性廃棄物に前記バイオガス生成促進剤を添加する添加手段と、前記有機性廃棄物を貯留する汚泥貯留槽と、
    前記バイオガス生成促進剤を添加した有機性廃棄物を嫌気性処理する嫌気発酵処理槽と、を具備し、
    前記バイオガス生成促進剤の添加位置が前記嫌気発酵処理槽であることを含む、処理装置。
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