JP6815161B2 - 太陽電池モジュール製造装置 - Google Patents

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本発明は、太陽電池セルにタブ線をはんだ付けする太陽電池モジュール製造装置および太陽電池モジュールの製造方法に関する。
太陽電池モジュールは、複数の太陽電池セルを、タブ線と呼ばれるインターコネクタにより接続して形成した太陽電池ストリングを、透光性基板とバックシートとの間に封止樹脂を介して挟み込み、封止することによって得られる。タブ線は、太陽電池セルの受光面電極と裏面電極とにはんだ付けによって接続される。
従来、太陽電池セルの受光面電極あるいは裏面電極にタブ線をはんだ付けする際、位置ずれを防止するために種々の方法が提案されている。例えば特許文献1では、複数の押さえピンによって1本のタブ線を固定して、加熱することではんだ付けを実施している。
特許第4358651号公報
特許文献1のタブ線のはんだ付け方法では、1本のタブ線を複数の押さえピンによって、太陽電池セル上に固定している。太陽電池セルにはんだ付けするタブ線の本数は、一般的に2本から4本が多く、押さえピンあるいは押さえピンを保持するための保持体の必要数は、タブ線の本数に比例して増加することになる。これにより、太陽電池セルを高出力化するために、さらにタブ線の本数を増加させる必要が生じた場合に、押さえピンあるいは保持体の設置スペースの制約から、タブ線の本数を増やすことができない可能性がある。また、多数個の押さえピンの高さを揃えるのは多大な困難が伴う上、太陽電池セル表面のわずかな凹凸によっても加圧力が不均一となり、十分な押圧ができないという問題が生じる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、タブ線の本数に影響されず、太陽電池セル上にタブ線を均一な加圧力で固定できるタブ線はんだ付け装置を備えた太陽電池モジュールの製造装置および太陽電池モジュールの製造方法を得ることを目的としている。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、太陽電池セルにタブ線を接続するタブ線はんだ付け装置を備えた太陽電池モジュール製造装置である。タブ線はんだ付け装置は、太陽電池セルを載置する載置台と、複数のワイヤが並行して配列されるとともに、昇降可能に支持され、太陽電池セル上に配されたタブ線を、太陽電池セル表面でタブ線に交差する方向から太陽電池セルに向けて押圧する押圧部と、タブ線を加熱する加熱部とを備える。押圧部は、対向して配された2枚の側板を備え、昇降可能な筐体と、2枚の側板の、相対向する位置に配列された複数対のワイヤ挿通穴を備え、押さえワイヤはワイヤ挿通穴に挿通され、各対のワイヤ挿通穴間で張架されている。
本発明によれば、タブ線の本数に影響されず、太陽電池セル上にタブ線を均一な加圧力で固定できるタブ線はんだ付け装置を備えた太陽電池モジュールの製造装置および太陽電池モジュールの製造方法を得ることができるという効果を奏するものである。
実施の形態1による太陽電池モジュール製造装置のタブ線はんだ付け装置を示す斜視図 実施の形態1による、図1の前面カバーを取り外したタブ線はんだ付け装置の斜視図 実施の形態1による太陽電池モジュール製造装置のタブ線はんだ付け装置において、筐体および加熱源が下降し、太陽電池セル上に配置されたタブ線を固定した場合の斜視図 実施の形態1による、図3の前面カバーを取り外したタブ線はんだ付け装置の斜視図 実施の形態1による太陽電池モジュール製造装置の初期位置のタブ線はんだ付け装置を示す、図1のV-V断面図 実施の形態1による太陽電池モジュール製造装置の初期位置のタブ線はんだ付け装置を示す、図1のVI-VI断面図 実施の形態1による太陽電池モジュール製造装置の筐体および加熱源が下降し、太陽電池セル上に配置されたタブ線を固定した場合のタブ線はんだ付け装置を示す、図3のVII-VII断面図 実施の形態1による太陽電池モジュール製造装置の筐体および加熱源が下降し、太陽電池セル上に配置されたタブ線を固定した場合のタブ線はんだ付け装置を示す、図3のVIII-VIII断面図 実施の形態1にかかるタブ線はんだ付け装置ではんだ付けのなされる太陽電池セルの受光面である表面を示す図 実施の形態1にかかるタブ線はんだ付け装置ではんだ付けのなされる太陽電池セルの裏面を示す図 図9および図10のXI−XI断面図 実施の形態1にかかるタブ線はんだ付け装置で用いられるタブ線を示す斜視図 実施の形態1にかかるタブ線はんだ付け装置を用いたはんだ付け工程を示す図 実施の形態1にかかるタブ線はんだ付け装置を用いてはんだ付けをおこなった太陽電池ストリングを示す斜視図 図6に示した実施の形態1による太陽電池モジュール製造装置の初期位置のタブ線はんだ付け装置の断面図において、押さえワイヤとタブ線との位置関係が均一でない場合を示す図 図8に示した実施の形態1による太陽電池モジュール製造装置の初期位置のタブ線はんだ付け装置の断面図において、押さえワイヤとタブ線との位置関係が均一でない場合を示す図 実施の形態1のタブ線はんだ付け装置の押さえワイヤに異物が付着した場合の断面図 実施の形態1のタブ線はんだ付け装置の押さえワイヤに異物が付着した場合の断面図 実施の形態1のタブ線はんだ付け装置の押さえワイヤに異物が付着した場合の断面図 実施の形態1によるタブ線はんだ付け装置を用いたはんだ付け工程の後、太陽電池モジュールを製造する工程の手順を説明する模式断面図 実施の形態1によるタブ線はんだ付け装置を用いたはんだ付け工程の後、太陽電池モジュールを製造する工程の手順を説明する模式断面図 実施の形態2の太陽電池モジュール製造装置におけるタブ線はんだ付け装置の断面図 図22の押さえワイヤのワイヤ固定部付近の拡大図 実施の形態2にかかるタブ線はんだ付け装置を用いたはんだ付け工程を示す図 実施の形態2にかかるタブ線はんだ付け装置を用いたはんだ付け工程を示す図 実施の形態3の太陽電池モジュール製造装置のタブ線はんだ付け装置の断面図 押さえワイヤに異物が付着したタブ線はんだ付け装置の断面図 巻き取り機で押さえワイヤを巻き取り、押さえワイヤに付着した異物を、異物除去プレートで削り取った場合のタブ線はんだ付け装置を示す図 実施の形態3の太陽電池モジュール製造装置の変形例のタブ線はんだ付け装置の断面図 実施の形態3の太陽電池モジュール製造装置の変形例のタブ線はんだ付け装置の断面図 実施の形態4の太陽電池モジュール製造装置のタブ線はんだ付け装置のワイヤ固定部を構成するワイヤ張架ユニットを示す斜視図 同装置の要部断面図 実施の形態5の太陽電池モジュール製造装置のタブ線はんだ付け装置を示す断面図
以下に、本発明にかかる太陽電池モジュール製造装置および太陽電池モジュールの製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す図面においては、理解の容易のため、各部材の縮尺が実際とは異なる場合がある。各図面間においても同様である。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による太陽電池モジュール製造装置のタブ線はんだ付け装置201を示す斜視図である。また図2は図1の前面カバーを外したタブ線はんだ付け装置を示す斜視図である。実施の形態1のタブ線はんだ付け装置は、太陽電池セル10を載置する載置台であるホットプレート30と、ワイヤ挿通穴51に挿通される押さえワイヤ60が並行して配列され、昇降可能に支持された押圧部40と、タブ線20を加熱する加熱源44とを備える。押圧部40の、ワイヤ挿通穴51に挿通された押さえワイヤ60によって、太陽電池セル10上に配されたタブ線20を、太陽電池セル10の表面上でタブ線20に直交する方向から太陽電池セル10に向けて押圧しながらはんだ溶融温度まで加熱することで、タブ線20を太陽電池セル10にはんだ付けするものである。タブ線20は相対向する第1のタブ線20aと第2のタブ線20bとで構成される。ワイヤ挿通穴51はワイヤ固定部50を構成し、押さえワイヤ60の位置を決定するガイドの役割を担う。押さえワイヤ60は、はんだよりも高融点の金属線を用いる。
押圧部40は、押さえワイヤ60を支持するワイヤ挿通穴51を備えた筐体41と、上下動可能な4本の筐体支持部45と、筐体への振動を吸収する緩衝部である筐体用ダンパー46とを備え、押さえワイヤ60を並列状態で保持する。図示しないが筐体支持部45は昇降機構と接続されており、昇降可能となっている。筐体41と筐体支持部45の間には、筐体用ダンパー46が配置されている。また筐体41は、断熱性部材からなる四角柱の筒状体で構成され、前面カバー41aと、背面カバー41bと、2枚の側板である側面カバー41cとを具備し、相対向する2枚の側面カバー41cの下部に一列にワイヤ挿通穴51が配列されている。12本の押さえワイヤ60が相対向して設けられた2枚の側面カバー41c間で、ワイヤ挿通穴51に張架された押さえワイヤ60がタブ線20に直交配置され、筐体41の下降によってタブ線20を太陽電池セル10に向けて押圧する。押圧時には、押さえワイヤ60はタブ線20と直交する方向に等間隔で配列されている。
また、太陽電池セル10は、載置台である予備加熱用のホットプレート30に載置される。タブ線20を予備加熱用のホットプレート30上に配置された太陽電池セル10上に固定するための、押さえワイヤ60がワイヤ固定部50で固定されており、筐体41が昇降するのに合わせて、押さえワイヤ60も昇降する。ここで、ワイヤ固定部50は、筐体41の2枚の側面カバー41cに設けられたワイヤ挿通穴51と各ワイヤ挿通穴51内に配設された不図示のベアリングとから構成される。つまりワイヤ挿通穴51にはベアリングが内蔵されており、対向する側面カバー41cに配設されたワイヤ固定部50を結ぶ線を中心軸として、押さえワイヤ60が回転できる構造となっている。また、筐体41の内部には、はんだ付け時の熱源となる加熱源44が配されている。加熱源44は加熱源支持部43で支持されており、筐体支持部45と同様に図示しない別の昇降機構と接続され、筐体41と独立して昇降可能となっている。ここで加熱源44は、ランプヒータ、エアヒータをはじめとする、太陽電池セル10と非接触な状態で加熱できる非接触熱源であればよい。
次に、図3に筐体41および加熱源44が下降し、太陽電池セル10上に配置されたタブ線20を固定した場合のタブ線はんだ付け装置の斜視図を示す。また、図4に図3で示したタブ線はんだ付け装置の前面カバー41aを取り外した状態の斜視図を示す。筐体41および加熱源44は、独立して、太陽電池セル10の表面から一定の高さレベルまで下降できる。加熱源44は、適切な位置からタブ線20を加熱するとともに、筐体41に支持された押さえワイヤ60は、タブ線20の配列方向に直交して配列された状態で太陽電池セル10上に配置されたタブ線20を太陽電池セル10表面に向けて押圧し固定する。
続いて、実施の形態1によるタブ線はんだ付け装置の動作を説明する。図5および図6は、初期位置のタブ線はんだ付け装置を示す、図1のV-V断面図およびVI-VI断面図である。図7および図8は、筐体41および加熱源44が下降し、太陽電池セル10上に配置されたタブ線20を固定した場合のタブ線はんだ付け装置を示す、図3のVII-VII断面図およびVIII-VIII断面図である。実施の形態1のタブ線はんだ付け装置では、図5に示すように、筐体41の側面カバー41cに配設されたワイヤ挿通穴51によって複数本の押さえワイヤ60が固定されているが、押さえワイヤ60は図8に示すように、タブ線はんだ付け装置内に張架されている。ここで、押さえワイヤ60は、タブ線20と直交する方向に張架されて配置されているため、タブ線20の本数に依存することがないため、タブ線20の本数が増加しても、押さえワイヤ60の本数を増やすことなく、確実な押さえを実現することができる。実施の形態1では、タブ線20のうち、受光面側の第1のタブ線20aと裏面側の第2のタブ線20bとは、同一本数としたが、異なる場合もあり、両面でタブ線20の本数が異なる場合にも、同一のはんだ付け装置で確実な押さえを実現することができる。
筐体支持部45が下降することにより、筐体41も下降し、筐体41の側面カバー41cに固定されている押さえワイヤ60も下降する。これにより、図7、図8に示すように、予熱用のホットプレート30上に配置された太陽電池セル10の受光面側および裏面側の複数の第1のタブ線20aおよび第2のタブ線20bと、押さえワイヤ60とが接触し、第1のタブ線20aおよび第2のタブ線20bが太陽電池セル10の受光面側および裏面側に固定された状態となる。押さえワイヤ60によってタブ線20を固定する場合、太陽電池セル10の厚みあるいは、第1のタブ線20aまたは第2のタブ線20bの厚みのばらつきによって、押さえワイヤ60でタブ線20を押さえつける荷重にもばらつきが生じる場合がある。荷重が大きくなった場合には、太陽電池セル10が破損する可能性があり、また、荷重が加わらなかった場合は、はんだ付け時に接合不良となり出力低下の原因となる。
そこで実施の形態1のタブ線はんだ付け装置では、筐体41と筐体支持部45の間に筐体用ダンパー46を設けることで、図7および図8に示すようにダンパー接続されている筐体41および、押さえワイヤ60が、太陽電池セル10とタブ線20等の厚さばらつきに倣うため、タブ線20全体を均一な荷重で固定することを可能としている。また押さえワイヤ60の両端が筐体41の側面カバー41cに固定された、両持ち構造を有しているため、片持ち構造とは違い、複数のタブ線にかかる荷重を均一にできる。
ここでは詳細には記載しないが、筐体41が下降しタブ線20を固定した場合にかかる圧力は、太陽電池セル10を破壊しない圧力である。また、タブ線20を固定する際に押さえワイヤ60が変形し、ワイヤ固定部50近傍と、ワイヤ固定部50の中間、すなわち押さえワイヤ60の中央部とで、荷重が大きく変化する場合がある。このような場合は、側面カバー41cの位置を調整することにより、押さえワイヤ60にかかる張力を調整することで固定部と中央部の荷重差を減少できる。側面カバー41cの位置を調整して側面カバー41c間の間隔を調整する他、太陽電池セル10の端部と側面カバー41cとの間にガイドロールを挿入することによって、押さえワイヤ60にかかる張力を調整することも可能である。
次に、実施の形態1のタブ線はんだ付け装置を用いた太陽電池モジュールの製造方法について説明する。図9は、実施の形態1にかかるはんだ付け方法ではんだ付けのなされる太陽電池セルの受光面である表面を示す図である。図10は、図9に示す太陽電池セルについて、受光面とは対向面側である裏面を示す図である。図11は、図9および図10のXI−XI断面図である。図9および図10には位置関係を示すために第1のタブ線20a、第2のタブ線20bと押さえワイヤ60とを破線で示している。
太陽電池セル10の受光面1Aには、受光面グリッド電極4Gおよび受光面バス電極4Bからなる第1の集電電極としての受光面電極4が設けられている。受光面グリッド電極4Gおよび受光面バス電極4Bは互いに直交している。また、太陽電池セル10の裏面1Bには、裏面アルミニウム電極5Aおよび裏面バス電極5Bからなる第2の集電電極としての裏面電極5が設けられている。図9、図10の矢印XIで示した水平方向が受光面グリッド電極4Gの長手方向である。
図11は受光面グリッド電極4Gの存在しない断面を示す図である。図中、上側が受光面1Aである。太陽電池セル10においては、p型単結晶シリコン基板1の上面にリン拡散によりn型不純物拡散層2が形成されて、pn接合を有する光電変換部が形成されている。n型不純物拡散層2の上側には、反射防止膜3が成膜されている。反射防止膜3上には受光面バス電極4Bが設けられている。受光面バス電極4Bの下の反射防止膜3は焼成によって溶融され、受光面バス電極4Bはn型不純物拡散層2と電気的に接触している。p型単結晶シリコン基板1の裏面1B側には、裏面アルミニウム電極5Aおよび裏面バス電極5Bが設けられている。なお、図11は、隣接する受光面グリッド電極4G間の領域における受光面グリッド電極4Gの長手方向に沿った断面を示しているため、受光面グリッド電極4Gは示されていない。
次に、図9から図11に示す太陽電池セル10を製造するための工程を説明する。なお、ここで説明する工程は、シリコン基板を用いた一般的な太陽電池セルの製造工程と同様であるため、特に図示しない。
まず、p型単結晶シリコン基板1を、加温した水酸化ナトリウムの水溶液中に浸漬する。これにより、p型単結晶シリコン基板1の表面がエッチングされて、p型単結晶シリコン基板1の表層に微小な凹凸構造が形成される。
次いで、p型単結晶シリコン基板1を熱酸化炉へ投入し、オキシ塩化リン(POCl)蒸気の存在下で加熱する。これにより、p型単結晶シリコン基板1の表面にリンガラスが形成されてp型単結晶シリコン基板1中にリンが拡散され、p型単結晶シリコン基板1の表層にn型不純物拡散層2が形成される。なお、拡散工程に先立ち、裏面1Bにマスクを形成し、拡散を阻止するかあるいは、拡散後、裏面側のn型不純物拡散層をエッチング除去するかにより、受光面1A側にのみn型不純物拡散層2を形成する。
次に、フッ酸溶液中でp型単結晶シリコン基板1のリンガラス層を除去した後、反射防止膜3としてたとえばプラズマCVD法により窒化シリコン膜(SiN膜)をn型不純物拡散層2上に形成する。反射防止膜3の膜厚および屈折率は、光反射の抑制効果が最も高い値に設定する。なお、屈折率の異なる2層以上の膜を積層してもよい。また、反射防止膜3は、スパッタリング法など、異なる成膜方法により形成してもよい。
次に、p型単結晶シリコン基板1の裏面1Bに電極形成用のペーストを全面にスクリーン印刷にて印刷するとともに、裏面バス電極5Bを形成する。
そしてさらに、p型単結晶シリコン基板1の受光面1Aに電極形成用のペーストをスクリーン印刷にて印刷し、受光面グリッド電極4Gを形成したのち、受光面バス電極4Bを塗布する。受光面バス電極4Bを塗布した後、焼成処理を実施して受光面電極4と裏面電極5とを形成する。
p型単結晶シリコン基板1に塗布されたペーストは、一般に焼成と称される処理によって電極となる。焼成工程では、ピーク温度を800℃以下、望ましくは720℃から770℃とする加熱処理を実施する。p型単結晶シリコン基板1の受光面1Aでは、受光面電極4の下の反射防止膜3は焼成によって溶融され、受光面電極4はn型不純物拡散層2と電気的に接触する。以上のようにして、図9から図11に示した太陽電池セル10が作製される。
次に、図12に示すように、実施の形態1のタブ線はんだ付け装置を用いたはんだ付け方法で用いられる、タブ線本体20mの表面および裏面をはんだ層20sで被覆したタブ線20を用意する。図12は、実施の形態1にかかるタブ線はんだ付け装置で用いられるタブ線を示す斜視図である。
そして図9から図11に示した太陽電池セル10の受光面1A側および裏面1B側に上記第1のタブ線20aおよび第2のタブ線20bを配し、図1から図8に示したタブ線はんだ付け装置を用いて受光面電極4および裏面電極5と、第1のタブ線20aおよび第2のタブ線20bとのはんだ付けを行う。図13は、はんだ付け工程を示す図である。
まず、ステージS1に示すように、予熱用のホットプレート30上に、第2のタブ線20bを配列し、その上に太陽電池セル10を配置し、さらに第1のタブ線20aを配置する。ステージS1は、ホットプレート30上に第2のタブ線20b、太陽電池セル10、第1のタブ線20aとが配置された状態を示し、押さえワイヤ60はまだ、第1のタブ線20aに接触していない。
次いで、ステージS2に示すように、押さえワイヤ60を降下させ第1のタブ線20aおよび太陽電池セル10の表面に当接させ、押さえワイヤ60の張力でタブ線20を太陽電池セル10の表面にむけて押圧する。ステージS2は、ホットプレート30上に配置された太陽電池セル10上の複数のタブ線20と、押さえワイヤ60が接触した状態を示す。ステージS2では、タブ線20が太陽電池セル10上に固定された状態となる。この状態でホットプレート30を通電し昇温させるとともに、加熱源支持部43によって加熱源44を下降させ、加熱源44をオンにすることでステージS2で示すようにはんだが溶融し、タブ線20と太陽電池セル10とのはんだ付けが完了する。
そして、加熱源44をオフにして引き上げ、ホットプレート30への通電を停止し、ステージS3に示すように、ワイヤ固定部50を上昇させることで、押さえワイヤ60をタブ線20から離間させるとともにホットプレート30からタブ線20の接続された太陽電池セル10をはずす。ここでホットプレート30は、はんだ融点以下の温度で保持するならば、通電し続けても良い。
以上のように、押さえワイヤ60によってタブ線20を太陽電池セル10に押圧した状態で加熱源44によってタブ線20を加熱することで、太陽電池セル10の受光面10A側および裏面10B側にそれぞれ第1のタブ線20aおよび第2のタブ線20bを位置ずれなく固着し、はんだ付けを完了する。
順次、太陽電池セル10毎にタブ線20との接続を行うことで、図14に示すように、太陽電池ストリング10Sを得る。図14は、実施の形態1にかかるタブ線はんだ付け装置を用いてはんだ付けをおこなった太陽電池ストリングを示す斜視図である。
ここまでは、押さえワイヤとタブ線との位置関係が均一である場合について説明したが、押さえワイヤとタブ線との位置関係が均一とならない場合がある。図15および図16は、図6および図8に示した、押さえワイヤとタブ線との位置関係が均一でない場合を示す。図15に示すように太陽電池セル10およびタブ線20の厚みが不均一となった場合にも、押さえワイヤ60によってタブ線20を固定したタブ線はんだ付け装置の断面を図16に示すように、筐体用ダンパー46により、適切な位置まで筐体41が変位し、押さえワイヤ60によってタブ線20を太陽電池セル10に押圧することができ、確実にはんだ付けを実現することができる。
なお上記例では、筐体41が変位した状態を示したが、2枚の側面カバー41cと、2枚の側面カバー41cの内側で最短距離にあるタブ線との距離が十分に大きければ、押さえワイヤ60自体が2枚の側面カバー41cの近傍で緩衝部となり、筐体41の側面カバー41c自体は変位することなく、太陽電池セル10に対しタブ線20を均一な力で押圧することもできる。つまり、ワイヤ挿通穴51の位置はそのまま、太陽電池セル10との距離が一定である状態のまま、側面カバー41cの内側で押さえワイヤ60のみが変位し太陽電池セル10に対しタブ線20を均一な力で押圧することができる。
以上のように、実施の形態1のタブ線はんだ付け装置によれば、タブ線20に直交する方向に押さえワイヤ60を配してタブ線20を固定する構造であるため、1本の押さえワイヤ60で、複数本のタブ線20を保持することが可能となる。また、タブ線20の本数の増加にかかわらず、確実にタブ線20を固定することができる。言い換えれば、押さえワイヤ60の本数は、タブ線20の本数に依存することがないため、設計上、太陽電池セル10の出力を向上させるために、タブ線20の本数を増加させる場合でも、押さえワイヤ60の本数を増加させる必要がない。
また、押さえワイヤ60とタブ線20との接触面に異物が付着した場合も、特にタブ線20に大きな荷重がかかり、太陽電池セル10を破損させる要因となることは少なく、異物によってタブ線20の押さえが不十分となり、はんだ付け性を悪化させる要因となることもない。また、押さえワイヤ60によってタブ線20を太陽電池セル10に固定する構成であるため、タブ線20の高さに追従して押さえワイヤ60は変位可能である。従って、押さえワイヤ60によって確実にタブ線20を押さえることができ、はんだ付け性を悪化させたり、太陽電池セル10の破損の要因となることもない。また、押さえワイヤ60をチェックすればよいため、メンテナンスが簡単である。さらに、線状体である押さえワイヤ60がタブ線20上に配されるだけであるため、加熱部からの熱を遮断することも少なく、加熱の均一化を妨げることもなく、タブ線20のはんだ付けの品質のばらつきを招くこともない。
次に、図17に押さえワイヤ60に異物70が付着した場合の実施の形態1のタブ線はんだ付け装置の断面図を、図18と図19に異物70が付着した押さえワイヤ60で、タブ線20を固定した場合の、異物70とタブ線20との接触状態を表した実施の形態1のタブ線はんだ付け装置の断面図を示す。実施の形態1のタブ線はんだ付け装置によれば、図18および図19に示すように押さえワイヤ60に付着した異物70がタブ線20と接触した場合、異物表面は平面ではないため、押さえワイヤ60を押さえワイヤ60の軸に対して回転させる分力がはたらき、押さえワイヤ60が回転する。このため、押さえワイヤ60に異物70が付着した場合にも、押さえワイヤ60を固定するワイヤ固定部50が回転するため、押さえワイヤ60の異物70が付着していない表面とタブ線20が接触することになり、異物70の影響を回避することができる。
以上のように、押さえワイヤ60でタブ線20を固定した状態で、加熱源44からの熱によってはんだ付けを行い、はんだが溶融した時点で、押さえワイヤ60を上昇させ、図5および図6に示した初期状態に戻すとともに、タブ線20がはんだ付けされた太陽電池セル10を搬出または移載する。その後、ホットプレート30上に新たに、太陽電池セル10とタブ線20を載置し、上述の動作を繰り返すことで、図14に示したように直列接続のなされた太陽電池セル10からなる太陽電池ストリング10Sを作製する。
ここで図示しないが、押さえワイヤ60の形状は、丸型あるいは平角型をはじめとし、形状を限定するものではなく、また、中実であっても中空であっても良い。
押さえワイヤ60の形状は、外形断面が円形であると、タブ線20に対して最初に当接する領域が線状となり、回転も可能となることから、確実に均一な力でタブ線20を押圧することができる。また、押さえワイヤ60に円筒状の細線を用いる場合には内部に発熱体を挿通し、押圧部で加熱できるようにすることも可能である。また、押さえワイヤ60が平角型である場合には、押圧面積を大きくとることができることから、確実な押さえが実現される。
なお、押さえワイヤ60は、図9および図10に破線で示すように、第1のタブ線20a、第2のタブ線20bと直交した方向に配置されるのが望ましいが、1点鎖線60’で示すように、直交方向に対して若干角度θをもつように交差して形成しても良い。角度θは5.5度以下とするのが望ましい。角度θが5.5度を超えた場合に、全体を押さえようとすると、はんだ付け装置が大きくなるという不都合がある。また、30度を超えると第1のタブ線20aとの当接長が長く、加熱源44からの熱を遮断する領域が大きくなるとともに、本数を多くできない。また、角度θが大きくなると、太陽電池セル表面の凹凸によって変位し易い点をはじめとする種々の不都合が生じる場合があるためである。また、タブ線20を太陽電池セル10に確実に固定するには、ワイヤ間隔は15mm以下とするのが望ましい。
図20および図21は、実施の形態1によるタブ線はんだ付け装置を用いたはんだ付工程の後、太陽電池モジュールを製造するラミネート工程の手順を説明する模式断面図である。前述したようにタブ線はんだ付け装置を用いて受光面側および裏面側に集電電極の形成された複数の太陽電池セル10を、タブ線20によって接続し、透光性樹脂部材21Aおよび21Bを介して透光性基板22および裏面シート23との間に挟み込みこれらの部材を圧着させた状態で図示しないラミネート装置上で加熱処理を施すものである。以上の工程でタブ線付きの太陽電池セル10が封止された透光性樹脂部材21と、透光性基板22と、裏面シート23とが一体化された太陽電池モジュール100が作製される。
まず、ラミネート工程においては、透光性基板22の上に透光性樹脂部材21Bを設置する。透光性樹脂部材21B上には、図14に示した、タブ線付きの太陽電池セル10を設置する。タブ線付きの太陽電池セル10は、各太陽電池セル10の裏面を上にして、透光性樹脂部材21Bに設置する。
タブ線付きの太陽電池セル10の上には、さらに透光性樹脂部材21Aおよび裏面シート23を設置する。図20には、図の下部から順に、透光性基板22、透光性樹脂部材21B、タブ線付きの太陽電池セル10、透光性樹脂部材21Aおよび裏面シート23を重ね合わせた状態を示している。
太陽電池モジュールの作製における加熱および圧着の処理には、ラミネータと称される真空加熱圧着装置を用いたラミネート装置を使用することが望ましい。ラミネータは、図21に示すように透光性樹脂部材21あるいは裏面シート23を加熱変形させ、さらにこれらを熱硬化させることにより一体化させるとともに透光性樹脂部材21に太陽電池セル10を封止する。
真空加熱圧着装置は、減圧環境下において、各部材を加熱および圧着させる。これにより、透光性基板22および透光性樹脂部材21間、透光性樹脂部材21およびタブ線付きの太陽電池セル10間、タブ線付きの太陽電池セル10および透光性樹脂部材21間、透光性樹脂部材21および裏面シート23間のいずれについても、空隙あるいは気泡の残留を防ぎ、各部材を均一な圧力で圧着させることができる。
真空加熱圧着装置での加熱および圧着の処理は、200℃以下、望ましくは150℃から200℃の温度下で実施する。加熱および圧着の処理における温度は、透光性樹脂部材21の材質により適宜変更可能であるものとする。また、同時にタブ線のはんだ付けを行う場合には、はんだの溶融温度以上の温度下で加熱圧着処理を実施する。
透光性基板22としては、例えばガラス基板を使用する。透光性基板22は、太陽光を透過可能であれば良く、ガラス以外の材質からなるものとしても良い。透光性樹脂部材21は、エチレンビニルアセテート系、ポリビニルブチラール系、エポキシ系、アクリル系、ウレタン系、オレフィン系、ポリエステル系、シリコン系、ポリスチレン系、ポリカーボネート系およびゴム系をはじめとする樹脂のうちの一つあるいは複数を含む。透光性樹脂部材21は、太陽光を透過可能であれば、ここで挙げる以外のいずれの材質を使用するものであっても良い。
裏面シート23としては、ポリエステル系、ポリビニル系、ポリカーボネート系およびポリイミド系をはじめとする樹脂のうちの一つあるいは複数からなるシートを使用する。裏面シート23は、太陽電池モジュールの保護に十分な強度、耐湿性および耐候性を有するものであれば、ここで挙げる以外のいずれの材質からなるものであっても良い。裏面シート23は、強度、耐湿性および耐候性を向上させるために、樹脂材料のみならず、金属箔材料を貼り合わせた複合材料からなるものとしても良い。また、裏面シート23は、高い反射率を持つ金属材料あるいは、高い屈折率を持つ透光性部材を、蒸着法をはじめとする成膜方法により樹脂材料の表面に成膜したり貼り合わせたものとしても良い。
太陽電池モジュールの端面は、ラミネート加工の密着性を向上させ、外部からの水分の浸入を防ぐために、ゴム系樹脂部材をはじめとする樹脂材料からなるテープにより保護することとしても良い。ゴム系樹脂部材としては、例えば、ブチルゴムをはじめとするゴム材を使用する。さらに、太陽電池モジュールは、構造体としての取り扱い易さに鑑み、外周を囲うフレームを設けることとしても良い。フレームは、アルミニウム、アルミニウム合金をはじめとする金属部材を用いて構成する。
実施の形態1では、タブ線はんだ付け装置により、はんだ付け前のタブ線をずらすことがないため、太陽電池モジュールの外観不良の発生を抑制でき、またメンテナンスも容易である。また、タブ線の位置ずれなく高精度のはんだ付けが達成できているため、ラミネート工程においても高額の装置設備を要することなく、簡便な手法によりタブ線の位置ずれを生じることなく、高性能の太陽電池モジュールを得ることができ、工業上非常に有用である。
実施の形態2.
図22は実施の形態2の太陽電池モジュール製造装置におけるタブ線はんだ付け装置202の断面図である。図23は、図22の押さえワイヤ60のワイヤ固定部50付近の拡大図である。実施の形態2のタブ線はんだ付け装置では、図22、図23に示すように、タブ線20と直交する方向に配置された複数本の押さえワイヤ60が個別にワイヤ固定部50に固定され、さらにワイヤ固定部50は側面カバー41cに設けられたワイヤ挿通穴51内に配されたワイヤ固定部用ダンパー52内で、押さえワイヤ60が図中の上下方向に可動できる状態で支持されている。ワイヤ固定部50はスプリングを備えたワイヤ固定部用ダンパー52によって、ワイヤ固定ガイドであるワイヤ挿通穴51の図中における下方に押さえつけられた状態となっている。また図示しないが、ワイヤ固定部50のワイヤ固定部用ダンパー52にはベアリングが内蔵されており、対向する側面カバー41cにあるワイヤ固定部50の中心同士を結ぶ線を中心軸として、押さえワイヤ60が回転できる構造となっている。なお、押さえワイヤ60自体もワイヤ自体の軸を中心として回転可能である。他の部分は実施の形態1のタブ線はんだ付け装置と同様であるため、ここでは説明を省略する。
実施の形態2によるタブ線はんだ付け装置の動作を説明する。図24には、筐体41が下降し、押さえワイヤ60でタブ線20を固定した場合の断面図が示されており、図25にはワイヤ固定部50付近の拡大図を示している。実施の形態2のタブ線はんだ付け装置では、図22に示すように、筐体41の側面カバー41cに押さえワイヤ60が固定されているが、押さえワイヤ60は図22に示すように、はんだ付け装置内に12本配置されている。ここでも、押さえワイヤ60は、タブ線20と直交する方向に配列されている。
次に、実施の形態2の太陽電池モジュール製造装置におけるタブ線はんだ付け装置の動作について説明する。図22から図25は、実施の形態2にかかるタブ線はんだ付け装置を用いたはんだ付け工程を示す図である。図22および図23は押圧開始前の初期状態を示す図である。図22および図23に示すように、タブ線はんだ付け装置のホットプレート30上にタブ線20と太陽電池セル10とを位置合わせして配置する。
この後、図24および図25に示すように、筐体41が下降し、太陽電池セル10上のタブ線20と押さえワイヤ60とが接触する。太陽電池セル10上のタブ線20と押さえワイヤ60とが接触際に、ワイヤ固定部用ダンパー52によって、太陽電池セル10あるいはタブ線20の厚さばらつきを吸収し、均一な荷重でタブ線20を太陽電池セル10上に固定することができる。押さえワイヤ60でタブ線20を押圧した状態で加熱源支持部43によって加熱源44を下降させ、タブ線20を加熱することで、位置ずれもなくはんだ付けを完了する。そして加熱源44をオフにして引き上げ、ワイヤ固定部50を上昇させることで、押さえワイヤ60をタブ線20から離間させる。
この後、実施の形態1と同様、ラミネート装置によってラミネート処理を行い、太陽電池モジュールが完成する。
以上の構成をとることで、荷重が局所的に大きくなった場合の太陽電池セル10の破損あるいは、荷重が加わらなかった場合のはんだ付け時の接合不良による出力低下の懸念を解消できる。
このように実施の形態2のタブ線はんだ付け装置によれば、実施の形態1の効果に加え、ワイヤの変形をワイヤにかかる張力とワイヤ固定部用ダンパーとによってより効率よくタブ線に対する押さえワイヤの押圧力が不均一となるのを抑制し、また、はんだ付け前のタブ線20をずらすことがないため、太陽電池モジュールの外観不良の発生を抑制でき、またメンテナンスも容易である。
実施の形態3.
図26は、実施の形態3の太陽電池モジュール製造装置のタブ線はんだ付け装置203の断面図を、図27は押さえワイヤ60に異物70が付着したタブ線はんだ付け装置の断面図を示す。実施の形態3のタブ線はんだ付け装置では、図26に示すように、タブ線20と直交する方向に押さえワイヤ60が配置され、押さえワイヤ60は側面カバー41cから筐体41の外部へ取り出される。さらに押さえワイヤ60は滑車80を介して、巻き取り機81につながっている。側面カバー41cのワイヤ挿通穴51には、異物除去プレート82が配置されている。また押さえワイヤ60は巻き取り機81によって張力を調整できる構成となっている。他の部分は実施の形態1のタブ線はんだ付け装置と同様であるため、ここでは説明を省略する。
実施の形態3によるタブ線はんだ付け装置の動作を説明する。実施の形態3のはんだ付け装置では、図26に示すように、実施の形態1および2のタブ線はんだ付け装置と同様、筐体41の側面カバー41cに押さえワイヤ60が固定されており、実施の形態1および2のタブ線はんだ付け装置による作用効果を奏する。そしてさらに、より均一で確実なはんだ付けを実現することができる。
さらに、図28に巻き取り機81で押さえワイヤ60を巻き取り、押さえワイヤ60に付着した異物70を、異物除去プレート82で削り取った場合のタブ線はんだ付け装置を示す。図27に示すように押さえワイヤ60に異物70が付着した場合、実施の形態3によるタブ線はんだ付け装置では、押さえワイヤ60に付着した異物70を、巻き取り機81で押さえワイヤ60を巻き取ることで、異物70を異物除去プレート82で削り取ることができる。このため、押さえワイヤ60の異物70が付着していない表面とタブ線20とが接触することになり、異物70の影響を回避することができる。また、特許文献1の装置の場合、押さえピンとタブ線との接触面に異物が付着すると、タブ線に大きな荷重がかかり太陽電池セルを破損させる要因となることに加えて、異物によってタブ線の押さえが不十分となり、はんだ付け性を悪化させるという課題があった。上記課題は、実施の形態3のタブ線はんだ付け装置によれば、異物除去プレート82を用いることで、異物を除去し、克服することができる。例えば、1回のはんだ付処理毎あるいは数回のはんだ付処理毎に押さえワイヤ60を巻き取ることで、異物を除去し、異物の付着していない押さえワイヤ60を用いてはんだ付けを実現することができる。
以上のように、実施の形態3のタブ線はんだ付け装置によれば、実施の形態1および2のタブ線はんだ付け装置の効果に加え、より確実に、はんだ付け前のタブ線のずれを低減することができるため、外観不良の発生を抑制できるし、またメンテナンスも容易である。
なお、異物除去プレート82は、図29および30に実施の形態3の変形例のタブ線はんだ付け装置203Sを示すように、異物除去ブラシ83のようなブラシ状であってもよい。実施の形態3の異物除去プレート82を異物除去ブラシ83に代えたもので、他の構成については実施の形態3のタブ線はんだ付け装置と同様である。
実施の形態4.
実施の形態1から3では、ワイヤ固定部50は、筐体41に形成されたワイヤ挿通穴51を有するものであったが、ワイヤ固定部50は、筐体41に支持されている必要はなく、押さえワイヤ60を等間隔で平行に並列して走行可能な支持手段であれば、適宜変更可能である。実施の形態4では、図31および図32に示すように、ワイヤ固定部50を、筐体41に代えてワイヤ張架ユニット50Uで構成する。図31は実施の形態4の太陽電池モジュール製造装置のタブ線はんだ付け装置のワイヤ固定部を構成するワイヤ張架ユニット50Uを示す斜視図、図32は同装置の要部断面図である。ワイヤ張架ユニット50Uは、4本の筒状ローラ84aから84dで構成し、押さえワイヤ60を1本のワイヤを供給ローラ85aから巻き取りローラ85bに巻き取りながら4本の筒状ローラ84aから84d間で巻回し、12本の押さえ部60Mを構成する。他の部分は実施の形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。また図32に筒状ローラ84aの断面図を示すように、筒状ローラ84aに挿通溝86が形成され、押さえワイヤ60の挿通ガイドを構成している。筒状ローラ84bから84dについても同様に形成されている。4つのローラのうちの2つの筒状ローラ84cおよび84dを下方に変位させることで、実施の形態1から3と同様、タブ線20を太陽電池セル10に向けて押圧することができる。
あるいは通電部を付加することで、押さえワイヤ60自体を加熱し、加熱源を兼ねることも可能である。押さえワイヤ60自体を加熱する場合、押さえワイヤ60側の面では押さえワイヤ60に当接する部分のみが、加熱されるため、下部のホットプレートは、全面が十分に加熱されるようにするのが望ましい。さらにまたはんだ付け後に太陽電池ストリングを樹脂封止するラミネート工程でラミネート温度をはんだの融点よりも高くすることで、タブ線20全体を確実に太陽電池セル10の電極にはんだ付けすることができる。また、加熱源は、実施の形態1のものと同様ランプヒータ、エアヒータをはじめとする、太陽電池セル10と非接触な状態で加熱できる非接触熱源としてもよい。
上記構成によれば、押さえワイヤ60のワイヤ間隔を縮小し、より高密度に押圧部を配することも可能である。さらにまた、実施の形態4のタブ線はんだ付け装置では、筒状ローラを用いることで、押さえワイヤ60を支持するための筐体41を不要とするため、実施の形態1から3のタブ線はんだ付け装置に比べ構成も簡単となる。
また、押さえ部60Mと筒状ローラ84cおよび84dとの間に、別途昇降可能な昇降用筒状ローラを配することで、昇降用筒状ローラのみで、押圧の切り替えを制御することも可能である。
また、押さえ部60Mと筒状ローラ84cおよび84dとの間に、別途ガイド用の筒状ローラを配することで、押さえワイヤ60の押さえ部60Mの位置を高精度に維持することができる。昇降用筒状ローラのみで、押圧のオンオフを制御することも可能である。
実施の形態5.
図33は、実施の形態5の太陽電池モジュール製造装置のタブ線はんだ付け装置205を示す断面図である。実施の形態5では、図33に示すように、実施の形態1の太陽電池モジュール製造装置のタブ線はんだ付け装置のワイヤ挿通穴51を備えたワイヤ固定部50に昇降可能なガイドローラ87を追加し、ガイドローラ87の昇降によって押圧部40の切り替えつまり、タブ線20を太陽電池セル10に押圧するタイミングおよび押圧力の調整を図るものである。他の部分は実施の形態1のタブ線はんだ付け装置と同様であるため、ここでは説明を省略する。
実施の形態5の押圧部40の構成によれば実施の形態1のタブ線はんだ付け装置の効果に加え、タブ線20を太陽電池セル10に押圧するタイミングおよび押圧力の調整が簡単となる。
また、変形例として、実施の形態5の構成に加えてワイヤ挿通穴51を側面カバー41c上で千鳥配置するなどにより、密接配置し、押さえワイヤ60を挿通した上でガイドローラ87により、タブ線20と押さえワイヤ60との距離および押圧力を制御することができるため、より簡単な構成で、かつ押圧点密度を高めることが可能となる。
また、実施の形態1では、タブ線はんだ付け装置を用いたタブ線を太陽電池セルにはんだ付けし、はんだ付け後、ラミネート装置でラミネートし、太陽電池モジュールを形成したが、実施の形態2から5についても同様である。あるいは、ラミネート装置に押さえワイヤを配し、ラミネート装置の押圧用のダイヤフラムを上方に配し、タブ線はんだ付け装置でタブ線を太陽電池セルにはんだ付けし、はんだ付け後、押さえワイヤをシフトさせ、ダイヤフラムを下降させることでラミネート工程に入るようにしてもよい。
あるいはまた、上記実施の形態1から5では、押さえワイヤを金属線で構成したが、押さえワイヤを樹脂で構成してもよい。押さえワイヤは、溶融温度がはんだ付け温度よりもの高い材料である必要がある。
また、実施の形態1から5のタブ線はんだ付け装置では、載置台としてホットプレートを用いたが、太陽電池セルの片面に加熱手段を配しても良い。
なお、前述した特許文献1の押さえピンを用いたタブ線はんだ付け装置では、1本のタブ線に対し複数の押さえピンが必要となる関係から、タブ線の本数が増加すれば、それに比例して押さえピンの本数も増加することになる。よって、太陽電池セルの出力を向上させるために、タブ線の本数を増加させる場合には、押さえピンの設置スペースの制約から限界が決まり、所望のタブ線の本数を実現できない可能性が生じる。
また、特許文献1の押さえピンを用いたタブ線はんだ付け装置では、押さえピンとタブ線との接触面に異物が付着した場合、タブ線に大きな荷重がかかり、太陽電池セルを破損させる要因となることに加えて、異物によってタブ線の押さえが不十分となり、はんだ付け性を悪化させる要因ともなり、太陽電池セルの出力を低下させることにつながることがある。また、押さえピンの高さがばらついた場合は異物が付着した場合と同様に、押さえ荷重の増加により太陽電池セルの破損の要因ともなり得る。太陽電池セルの破損に至らない場合にも、タブ線の押さえが不十分となり、はんだ付け性を悪化させる要因となり、太陽電池セルの出力低下につながる。また、押さえピンの変形によってタブ線を押さえることができず、はんだ付け性を悪化させる要因となり、太陽電池セルの出力を低下させる場合もある。このように、押さえピンの管理が重要となるため、押さえピンの本数が増加することは、メンテナンスが複雑あるいは困難になるといえる。さらに、押さえピンの本数が増加すると、押さえピンで太陽電池セルの表面を覆うこととなり、均一に太陽電池セルを加熱するのが困難となり、タブ線のはんだ付けの品質がばらつく要素となり、太陽電池セルの出力低下の原因となるといった課題があった。
またタブ線全体を加圧する方法として、ベルトと弾性体による加圧も提案されているが、ベルトは撓みを生じやすい上、しわにより圧力が不均一となる可能性が高い。また押さえ方法にもよるが、ベルトあるいは弾性体による荷重によって、はんだ付け前のタブ線が所望の位置よりずれて外観不良になる可能性がある。また、ベルトと弾性体が常に擦れるため、摩耗によるベルトの劣化が大きくメンテナンス頻度が高まる。また、コーティングをはじめとする保護部材でベルト表面を保護すると、ベルトが高価となる課題がある。
以上のように、実施の形態1から5の太陽電池モジュール製造装置および太陽電池モジュールの製造方法は上記課題を解決することのできるものである。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
10 太陽電池セル、20 タブ線、30 ホットプレート、40 押圧部、41 筐体、41a 前面カバー、41b 背面カバー、41c 側面カバー、43 加熱源支持部、44 加熱源、45 筐体支持部、46 筐体用ダンパー、50 ワイヤ固定部、51 ワイヤ挿通穴、52 ワイヤ固定部用ダンパー、60 押さえワイヤ、60M 押さえ部、70 異物、80 滑車、81 巻き取り機、82 異物除去プレート、83 異物除去ブラシ、84aから84d 筒状ローラ、85a 供給ローラ、85b 巻き取りローラ、86 挿通溝、87 ガイドローラ、100 太陽電池モジュール、201,202,203,203S,205 タブ線はんだ付け装置。

Claims (9)

  1. 太陽電池セルにタブ線を接続するタブ線はんだ付け装置を備えた太陽電池モジュール製造装置であって、
    前記タブ線はんだ付け装置は、
    太陽電池セルを載置する載置台と、
    複数の押さえワイヤが並行して配列されるとともに、昇降可能に支持され、前記太陽電池セル上に配された前記タブ線を、前記太陽電池セル表面で前記タブ線に対し交差する方向から前記太陽電池セルに向けて押圧する押圧部と、
    前記タブ線を加熱する加熱部と、
    を備え、
    前記押圧部は、
    対向して配された2枚の側板を備え、昇降可能な筐体と、
    前記2枚の側板の、相対向する位置に配列された複数対のワイヤ挿通穴を備え、
    前記押さえワイヤは前記ワイヤ挿通穴に挿通され、各対の前記ワイヤ挿通穴間で張架されたことを特徴とする太陽電池モジュール製造装置。
  2. 前記筐体は、緩衝部を介して支持部に支持されたことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール製造装置。
  3. 前記押さえワイヤは、前記タブ線に直交する方向に配列されたことを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池モジュール製造装置。
  4. 前記加熱部は、前記押圧部と独立して昇降可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール製造装置。
  5. 前記押圧部は、前記押さえワイヤを巻き取るワイヤ巻き取り機構を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール製造装置。
  6. 前記ワイヤ巻き取り機構は、各対の前記ワイヤ挿通穴間で前記押さえワイヤを走行可能に形成され、
    前記ワイヤ挿通穴間に異物除去部を備えたことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池モジュール製造装置。
  7. 前記加熱部は、前記タブ線に非接触な状態で前記タブ線を加熱する非接触熱源を備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール製造装置。
  8. 太陽電池セルにタブ線を接続するタブ線はんだ付け装置を備えた太陽電池モジュール製造装置であって、
    前記タブ線はんだ付け装置は、
    太陽電池セルを載置する載置台と、
    複数の押さえワイヤが並行して配列されるとともに、昇降可能に支持され、前記太陽電池セル上に配された前記タブ線を、前記太陽電池セル表面で前記タブ線に対し交差する方向から前記太陽電池セルに向けて押圧する押圧部と、
    前記タブ線を加熱する加熱部と、
    を備え、
    前記押さえワイヤは、前記押さえワイヤの軸を中心として回転可能であることを特徴とする太陽電池モジュール製造装置。
  9. 太陽電池セルにタブ線を接続するタブ線はんだ付け装置を備えた太陽電池モジュール製造装置であって、
    前記タブ線はんだ付け装置は、
    太陽電池セルを載置する載置台と、
    複数の押さえワイヤが並行して配列されるとともに、昇降可能に支持され、前記太陽電池セル上に配された前記タブ線を、前記太陽電池セル表面で前記タブ線に対し交差する方向から前記太陽電池セルに向けて押圧する押圧部と、
    前記タブ線を加熱する加熱部と、
    を備え、
    前記押圧部は、前記押さえワイヤを巻き取るワイヤ巻き取り機構を備えたことを特徴とする太陽電池モジュール製造装置。
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