JP6813903B2 - 荷電粒子ビームの電流測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は荷電粒子ビームの電流測定装置に関する。さらに詳細には、本発明は高い感度で荷電粒子ビームの強度を検出しうる荷電粒子ビームの電流測定装置に関する。
粒子加速器などにより生成された荷電粒子ビームを出力しながら測定することを目的として、荷電粒子ビームのつくる電荷の流れ(以下、「ビーム電流」と呼ぶ)を測定する手法が開発されている。そのための電流計または電流測定装置の典型が超伝導材料を環状または筒状の形状に形成し、その環または筒の内部中央を通り抜けるように荷電粒子のビームを通過させるものである。その測定原理は、ビーム電流からアンペールの法則により生じた磁場が当該環または筒に誘導電流を生じ、その誘導電流が作る二次的な磁束を磁気センサーにより測定する、というものである。その際の二次的な磁束はごく微弱であることから、通例、高感度な磁気センサーである超伝導量子干渉デバイス(SQUID;Superconducting Quantum Interference Device)によるセンサー(以下「SQUIDセンサー」と呼ぶ)が採用される。なお、誘導電流は超伝導体を流れる超伝導電流であるため、ビームから生じた磁場からさらに誘導電流が生じる作用は、超伝導体が完全反磁性体となるマイスナー効果の渦電流(遮蔽電流)と同じである。
本発明者は、理化学研究所におけるRIBF(Radioisotope Beam Factory)において、液体ヘリウムを必要としない高精度な電流測定装置の開発に取り組んでいる(たとえば非特許文献1)。RIBFのビーム電流測定装置は、液体ヘリウムを必須とせず冷凍機により到達可能な比較的高い温度の超伝導臨界温度Tcを示す超伝導材料(以下、「高温超伝導体(high−Tc superconductor)」という)を採用するものである。ただし、高温超伝導体は一般に酸化物などでありセラミックスに近い材質であることから、いったん高温超伝導体材料として形成された後の機械加工が難しい。そこで、本発明者の作製したビーム電流測定装置では、誘導電流を作り測定磁束を生成するという役割と、磁気シールドという別の役割を果たすために、別々の高温超伝導体部材を組み合わせることにより高精度化を目指している(特許文献1;非特許文献1、4の欄;および非特許文献2)。さらに、互いに接して組上げられる別々の部材に、測定磁場を生成する役割と磁気シールドとして振る舞う役割を担わせることによりコンパクトな装置構成となるビーム電流測定装置を創出している(特許文献2)。
特開2004−356573号公報 特開2014−143243号公報
渡邉 環、加瀬 昌之、片山 武司、「SQUIDと超伝導磁気シールドを用いた高感度ビーム電流モニターの開発」、低温工学 38巻、9号、509−521、(2003) Watanabe T., Fukunishi N., Sasaki Y., Kase M., Goto A., and Kamigaito O., "Development of Beam Current Monitor with High-Tc SQUID at RIBF" Proceedings of BIW10, Santa Fe, New Mexico, US, WEIANB02, (2010) M. Kuchnir et al., "SQUID based beam current meter," IEEE Trans. on Magnetics 21, 2, 997-999, (1985), DOI:10.1109/TMAG.1985.1063601 Michael I. Faley, "Epitaxial Oxide Heterostructures for Ultimate High-Tc Quantum Interferometers," Chapt. 7 in "Applications of High-Tc Superconductivity," (Adir Moyses Luiz ed.), InTech,(2011), ISBN 978-953-307-308-8, DOI:10.5772/2522, Chapter 7 URL:http://cdn.intechopen.com/pdfs-wm/16189.pdf (最終検索日:2016年7月14日) 長谷山秀悦、吉澤秀治、村上法史、「スプレー塗布法による銀基板上Bi-2212超伝導厚膜の臨界電流密度(Jc)の向上」、日本金属学会誌 第66巻第7号、723−727(2002)
しかし、上述した従来のビーム電流測定装置と同程度またはそれよりコンパクトな装置構成を採用することや、一層微弱なビーム電流を測定することに対し、継続したニーズが存在する。本発明は少なくともかかる課題のいずれかを解決するものである。
本発明者は、従来のビーム電流測定装置において微弱な電流の測定限界を決定している要因を詳細に解析した。そして、装置のサイズを増大させることなく高い感度を実現しうるビーム電流測定装置の構成を案出し本発明を完成させた。
すなわち、本発明のある実施形態においては、ある空間領域を通る軸の周りに該空間領域を囲んで実質的に環をなしている高透磁率材料のマグネティックコアと、該マグネティックコアと略同軸に配置されている誘導環であって、前記空間領域の少なくとも一部を占めて前記軸の周りに環をなしており、表面または表層のうち前記軸に向かう軸側表面領域と前記マグネティックコアに向かうコア側表面領域との一部または全部に超伝導体が配置されており、該超伝導体がポロイダル方向の径路で超伝導電流を伝えるようになっている、誘導環と、前記マグネティックコアの内部をトロイダル方向に通る磁束に磁気的に結合される磁束検出部を備えるSQUIDセンサーとを備えてなる荷電粒子ビームの電流測定装置が提供される。
上記態様のビーム電流測定装置は、高透磁率材料のマグネティックコアと、表面または表層の少なくとも一部に超伝導体が配置されている誘導環とを備えている。誘導環がマグネティックコアと略同軸に配置されることにより、ビーム電流に応じその周りに生成された磁場が誘導環の超伝導体に電流を誘導する。この電流は超伝導に伴うマイスナー効果の完全反磁性をもたらす強さの超伝導電流となる。この電流は誘導された渦電流であるものの、適切に導けば二次的な磁束を生成させることができる。そのための形状が、誘導環の環状の形状である。そしてその磁束を、可能な限り漏れなく、また外部磁場の影響も排除したまま直接SQUIDセンサーで検出する構成とすることにより高い感度が実現する。実施形態にて後述するように、このような構成を持つビーム電流測定装置は、全体のサイズを特段増大させることなく、高い検出感度を達成することができる。
上記態様のビーム電流測定装置は、前記マグネティックコアと略同軸に配置されて、前記軸の周りに環をなしているシールド環をさらに備えており、前記誘導環と該シールド環とが、前記マグネティックコアを収容する環状の収容空間を形成しており、該収容空間が超伝導体により実質的に囲まれているものであると好ましい。
かかる好ましい構成にて採用されるシールド環は、上記誘導環とともに、環状の収容空間にマグネティックコアを収容し、その収容空間にあるマグネティックコアを誘導環およびシールド環の外界から磁気的に隔離する磁気シールドの役割を補う。本発明の上記態様における好ましい構成においては、例えばビーム電流測定装置の機能を維持するために利用される最小限の経路が侵入路となる点を除き、マグネティックコアやSQUIDセンサーに影響する磁気ノイズが外界から侵入しうるほぼ全ての侵入路が塞がれる。このビーム電流測定装置の機能を維持するために利用される最小限の侵入路として最も典型的なものは、磁気センサーの信号線を外部に取出すための経路のほか、誘導環とシールド環の間の絶縁のための領域である。この好ましい構造では、誘導環のマイスナー効果とシールド環の作用により外界の磁気ノイズが効果的に抑制され、高精度な電流検知動作を実現することが可能となる。これにより、外界の磁気ノイズによる検出感度の悪影響を極力抑制することができる。
本発明のいずれかの態様のビーム電流測定装置においては、装置のサイズを比較的コンパクトに保ったまま微弱な荷電粒子ビームの微弱な電流を正確に測定することができる。
従来のビーム電流測定装置の一例であるLTc−SQUID電流計の構成を示す模式図である。 従来のビーム電流測定装置の一例であるHTc−SQUID電流計の構成を示す模式図である。 従来のLTc−SQUID電流計のSQUIDセンサーを含む回路系の模式回路図である。 本発明の実施形態におけるビーム電流測定装置の典型的な構成例であり、その要部を示す一部破断分解斜視図(図4A)および断面図(図4B)である。 本発明の実施形態において図4に示したビーム電流測定装置のマグネティックコアと電磁気学的に等価なビーム電流測定装置モデルを示す模式図である。 本発明の実施形態において、有限要素法による数値計算のために採用した四角枠形状を持つ誘導環、シールド環、およびマグネティックコアを備えるビーム電流測定装置モデルの一部破断斜視図である。 本発明の実施形態において軟磁性磁気シールドによりビーム電流測定装置への環境磁場をシールドする構成を示す概略断面図である。 本発明の実施形態においてビーム電流測定装置に適合させた磁場発生装置と環境磁気センサーを配置した様子を模式的に示す斜視図である。 本発明の実施形態におけるビーム電流測定装置において、マグネティックコアとSQUIDセンサーとの関係を示す断面図であり、磁気ギャップを設ける構成(図9A)、磁気ギャップを設けない構成(図9B)、アンテナコアを用いる構成(図9C)、およびアンテナコアを用いてマグネティックコアにファンネル部を設ける構成(図9D)を示す。 本発明の実施形態におけるビーム電流測定装置のためのBi2212テストピースを焼成および徐冷して表面を観察した走査型電子顕微鏡象であり、図10A〜Dは順に(雰囲気、徐冷レート)の組み合わせの条件が(大気、−4℃/時)、(大気、−12℃/時)、(酸素、−4℃/時)、および(酸素、−12℃/時)とした条件のものである。 本発明の実施形態におけるビーム電流測定装置のためのBi2212テストピースを酸素雰囲気にて徐冷レートを−4℃/時として形成して取得したX線回折のチャートである。 本発明の実施形態におけるビーム電流測定装置のためのBi2212テストピースを酸素雰囲気にて徐冷レートを−12℃/時として形成して取得したX線回折のチャートである。 本発明の実施形態におけるビーム電流測定装置のためのBi2212テストピースにおいて超伝導臨界温度を測定するために昇温および降温にて磁化率を測定したグラフである。 本発明の実施形態におけるビーム電流測定装置のためのBi2212テストピースにおいて超伝導臨界電流を測定するために磁化率のヒステリシス特性を測定したグラフである。 本発明の実施形態におけるビーム電流測定装置の実施例において、動作検証のためのセットアップを示す説明図である。 本発明の実施形態におけるビーム電流測定装置の実施例において、SQUIDコントローラーからの出力波形をアナログオシロスコープに表示した表示像の写真である。 本発明の実施形態におけるビーム電流測定装置の実施例において、SQUIDコントローラーからの出力波形をFFT処理して周波数空間で示すFFTアナライザーの表示像の写真である。
以下、本発明に係るビーム電流測定装置に関する実施形態を図面を参照して説明する。当該説明に際し特に言及がない限り、共通する部分または要素には共通する参照符号が付されている。また、図中、各実施形態の要素のそれぞれは、必ずしも互いの縮尺比を保って示されてはいない。
1.ビーム電流検出装置の動作解析
本発明の実施形態の説明に当たり、その動作原理の着想に至る際に従来のビーム電流検出装置の動作を解析し詳細な知見を得たのでその説明から始める。
1−1.従来例1(FNALのLTc−SQUID電流計)
図1は、FNAL(米国、フェルミ国立加速器研究所)にて創出された従来のビーム電流測定装置の一例であるLTc−SQUID電流計700の構成を示す模式図である(非特許文献3)。図1に示すように、超伝導ピックアップループ710が超伝導インプット回路720につながっている。超伝導インプット回路720の先には、自己インダクタンスLを持つSQUID向けコイル(SQUIDインプットコイル)722が接続されている。超伝導ピックアップループ710中をビームが通過すると、誘導電流が荷電粒子ビームの電荷の流れを打ち消すように流れる。例えば荷電粒子が正に帯電していれば、超伝導ピックアップループ710内部と外部において、内部ではビームとは逆向きに、外部では荷電粒子ビームと同じ向きに遮蔽電流iが流れる。超伝導ピックアップループ710は超伝導転移温度以下で動作されるため、遮蔽電流iは超伝導電流であり、マイスナー効果のための完全反磁性を担う。遮蔽電流iは超伝導インプット回路720にも流れ、SQUIDインプットコイル722に磁束を生じさせる。この磁束はSQUIDセンサー730に磁束が伝達される。図1にはこの動作に関与する量を示すシンボルも示している。これらの意味と典型値は表1の通りである。
Figure 0006813903
図1に示すLTc−SQUID電流計700にてビーム電流Iの周囲にアンペールの法則に従って生じる磁束φは、マイスナー効果のために超伝導ピックアップループ710の内部への侵入が妨げられ、その値が以下の式で表される。
Figure 0006813903
この磁束φに応じSQUIDインプットコイル722に流れる電流iは、
Figure 0006813903
となる。SQUIDセンサー730のループ(SQUIDループ)732とSQUIDインプットコイル722の相互インダクタンスMを使うことによりSQUIDループ732内の磁束φは以下の式で表される。
Figure 0006813903
ビーム電流IとSQUIDインプットコイル722に流れる電流iは、
Figure 0006813903
と表される。ここに上記値を代入することにより、i=I/145の関係が得られる。1μAのビーム電流に対しSQUIDループ732内に生じる磁束φを式(3)から算出すると、磁束量子φを単位に用いてφ=6.67×10−2φと表される。
1−2.従来例2(理化学研究所のHTc−SQUID電流計)
図2は、理化学研究所にてプロトタイプとして稼働している従来のビーム電流測定装置の一例であるHTc−SQUID電流計800の構成を示す模式図である(特許文献2)。HTc−SQUID電流計800はHTS電流センサー筒810と磁気センサー830と磁気遮蔽部材840とを備えている。HTS電流センサー筒810は、筒状部材812と、それを基材として形成される高温超伝導体膜814とを備えている。筒状部材812は、内部において筒の軸の方向に向かって荷電粒子ビームIBの通過を許容するようになっている。高温超伝導体膜814は、液体ヘリウム温度より高い温度の超伝導臨界温度Tcを示す高温超伝導体の膜であり、筒状部材812の内表面、外表面、および端部表面に形成されている。磁気センサー830はブリッジ822に近接して配置される。ブリッジ部822が図1のインプットコイル722(図1)として動作することから、HTc−SQUID電流計800の動作解析のために式(1)〜式(4)を採用することができる。HTc−SQUID電流計800についてはすでに感度が測定されているため、ここでの解析は性能を決している動作機構やその実際の数値範囲を調査することが目的である。
まずカップリング係数αを以下のように定義する。
Figure 0006813903
このカップリング係数αは、式(4)から明らかなように、ビーム電流Iに対するインプットコイルに流れる電流iの比率である。なお、このカップリング係数αにより式(3)を表現し直すと次のようになる。
Figure 0006813903
他方、アンペールの法則から、電流iが中心からr(mm)の場所に作り出す磁場Bcalcは、
Figure 0006813903
となる。図2に示したHTc−SQUID電流計800の場合、SQUIDセンサー830として用いるSQUIDグラジオメーターの導通部分(図1のSQUIDループ732に相当)がインプットコイル(ブリッジ部822)から6mm離れて位置している。これを反映するために6mmの値を式(7)に代入すると、ビーム電流1μAの際の計算上の磁場Bcalcは33.3pTとなる。ここで、現実のSQUIDグラジオメーターの感度は実測で0.9nT/Vであり、またプロトタイプのHTc−SQUID電流計の感度が実測で10mV/1μAである。これらから、同プロトタイプでのSQUIDグラジオメーターが直接測定している磁束密度の実際の値は、1μAのビーム電流Iに対して9pTとなっているといえる。この実測値と計算上の磁場Bcalcとにより、上記カップリング係数αが0.270と算出される。また、SQUIDグラジオメーターの磁束と磁場の関係が予め測定されているので、1μAの場合の磁束2.17×10−2φを式(6)に代入すると、SQUIDループと超伝導電流センサーブリッジ回路の相互インダクタンスMは0.166nHと算出される。
超伝導ピックアップループ710(図1)に相当するHTS電流センサー筒810の自己インダクタンスLは、外径R、内径R、高さhを持つため一般のトロイダルコアの解析に基づき、以下の式(8)で与えられる。
Figure 0006813903
プロトタイプのHTc−SQUID電流計800の場合、r=49.5mm、r=43.0mm、h=250mmとなり、比透磁率μ=1とした場合にHTS電流センサー筒810の自己インダクタンスLは7.04nHと算出される。この値を用い式(5)でN=1とおくことにより、超伝導電流センサーブリッジ回路の自己インダクタンスLは19.0nHと算出される。
1−3.従来例3(TARN−IIにおけるLTc−SQUID電流計)
TARN−II(高エネルギー加速器研究機構)において過去に採用されているSQUID電流計(非特許文献1、Fig.7およびFig.8)を例に、ビーム電流が作り出す磁束を計算しビーム電流測定の分解能について説明する。この分解能はTARN−IIのLTc−SQUID電流計のノイズレベルと比較すべきものであり、実測のLTc−SQUID電流計の感度は5mV/1nAである。
TARN−IIのLTc−SQUID電流計900のSQUIDセンサーを含む回路系の模式回路図を図3に示す。LTc−SQUID電流計900は、フィードバックコイル952、フィードバック抵抗954、バッファーアンプ956により構成される、FLL(Flux Lock Loop)動作のためのフィードバックパス950を備えている。ここでピックアップコイル910はマグネティックコア902に巻かれており、荷電粒子ビームの通過によって発生した電流は、このピックアップコイル910内(すなわちマグネティックコア902内)に磁束をもたらす。ピックアップコイル910とインプットコイル922は、それらの間の配線も含めてニオブの超伝導線によって作製されている。このような構成により、マグネティックコア902に生じた磁束φは、上記超伝導線中の超導電流Iを介しSQUIDセンサー930に磁束を生じさせる。マグネティックコア902の仕様は表2のとおりである。
Figure 0006813903
これらの値を上述した式(8)に代入することにより、このマグネティックコア902のインダクタンスつまりピックアップコイル910の自己インダクタンスが27μHと求まる。
図3中の各パラメータの意味とそれらの典型値な値は次の表3の通りである。
Figure 0006813903
ピックアップコイル910に磁束φが生成されることにより、ピックアップコイル910とインプットコイル922とを含むループに生じる遮蔽電流Iとの間に次の関係が成立する。
Figure 0006813903
但し、L≫Lなので、以下のように近似できる。
Figure 0006813903
この電流IによってSQUIDセンサー930に磁束φが伝達されるので、
Figure 0006813903
の関係が成り立つ。フィードバック測定で磁束ロック状態になると、このSQUIDループ932内の磁束がゼロになるようにフィードバックコイル952に電流Iが流れる。したがって、出力電圧VoutをSQUIDセンサー930の出力電圧とすると磁束φは以下の式で表される。
Figure 0006813903
この際Mfs(eff)と表現するのは、フィードバックコイル952とSQUIDループ932の間の実効的な相互インダクタンスであることを示すためである。この値に反映されるのは、フィードバックコイル952からの磁束伝達が直接SQUIDループ932に伝達する成分(つまりMfs)とインプットコイル922経由で伝達する成分である。すなわちMfs(eff)は、
Figure 0006813903
と表される。上記の過程を整理すると信号磁束φと出力電圧Voutの関係が、
Figure 0006813903
と導き出される。
次に、これらに従って具体的な数値を用いて信号磁束φを求め、実際の出力と比較する。ピックアップコイル910の自己インダクタンスLを27μHとすると、1nAのビーム電流に対してピックアップコイル910に生じるべき信号磁束φが2.7×10−14weber、さらに1nAの場合の計算上の出力電圧Voutが26mVとなる。他方、LTc−SQUID電流計900の現実の感度は上述したとおり1nAの場合に5mVである。これらから、実際の感度は計算上の出力の約1/5に相当するといえる。
式(11)よりSQUIDセンサー930上での磁束φは、5×10−18weberとなる。ここで、LTc−SQUID電流計900の磁束換算ノイズは、10μTφ/Hz1/2=2.07E−20weber以下である。このため1Hzの帯域とした場合、1nAのビーム電流が作り出す磁束はLTc−SQUID電流計900の磁束換算ノイズの約250倍となる。このノイズレベルと等価になるような信号の帯域は15Hzである。
2.改良による実施形態
各種のビーム電流測定装置を動作解析して得られた上記詳細な知見を踏まえ、本発明者は、SQUID電流計の高感度化を目指すための重要なパラメータが存在することに気づいた。上記各知見は、超伝導体の超伝導転移温度とは独立しており、ピックアップコイル、インプットコイル、およびSQUIDセンサーの間の電磁気的な結合条件を整理したものである。加えて、ビーム電流計の分解能を決定するのは信号対ノイズ比(SN比)であるため、ノイズ成分が抑制できない状況で分解能を上げるためには信号成分を増大させるしかない。その信号成分とは、式(12)中のSQUIDセンサー上に伝達される磁束φである。この磁束φを効果的に増やすためにピックアップコイルの自己インダクタンスLを増大させることに着目する。
すなわち、自己インダクタンスLが大きくなると、付随するインダクタンスが存在したとしても、それが無視しうる程度であるなら、マイスナー効果のためにビーム電流に伴う遮蔽表面電流とそのビーム電流とが互いに一致する。また式(11)から明らかなように、ピックアップコイルの自己インダクタンスLが大きければ集められる磁束φも多くなり、SQUID上に伝達される磁束φも増える。さらに、LTc−SQUID電流計900(図3)では、ピックアップコイル910で得られた磁束を一旦電流に変換し、SQUIDセンサーのインプットコイル922で磁束を発生させてSQUIDセンサー930に磁束を伝達している。このような方法で磁束の漏れがあると、それだけ伝達される磁束が減少してしまう可能性がある。そこで、本発明者は、HTc−SQUID電流計を改良するために、磁束の漏れが原理的に生じにくく、かつ高いカップリング係数を実現する構造(「ダイレクトカップリング」と呼ぶ)を採用することとする。
2−1.ダイレクトカップリング
図4は、本実施形態のビーム電流測定装置100の典型的な構成例において要部を示す一部破断分解斜視図(図4A)およびその断面図(図4B)である。本実施形態のビーム電流測定装置100は、高透磁率材料により作製されており実質的に環をなしているマグネティックコア102と誘導環110を備えている。これらの相対配置をみると、誘導環110はマグネティックコア102に対して概ね同軸に配置され、典型的には図示するように互いに同軸に配置される。同軸に配置されている場合の荷電粒子ビームIBの典型的な向きは、誘導環110およびマグネティック102の共通する回転対称軸つまり軸102Cに一致する方向である。なお、誘導環110およびマグネティックコア102の相対配置、ならびにこれらに対する荷電粒子ビームIBの向きの相対配置は必要に応じ適宜に調整できる。誘導環110はマグネティックコア102の図示した円環形状のものは典型例であり、本実施形態を実施するためには、例えば矩形の環状や他の形状の環状とすることもできる。ここで、高透磁率材料のマグネティックコア102や誘導環110は任意の形状とすることができ、図4に典型例として示した円環といった特定の形状には限定されない。ただし、説明の目的にて、以降の説明においてマグネティックコア102は概してトロイド形状(円環)であり、誘導環110も回転対称軸がマグネティックコア102の軸102Cと一致して同軸であるような回転対称の環であるとする。
構成例のビーム電流測定装置100における誘導環110は、互いに同軸になっている内筒部110Aと外筒部110Bを備え、これらにより挟まれる空間のうちの軸102Cの延びる方向のうちの一方が底部110Cにより塞がれている。このため図4に示すように、ビーム電流測定装置100における誘導環110はC字型断面を持ち全体が環をなしている。この誘導環110では、当該C字型断面のために三方が囲われ一方が開放された環状の空間(収容空間V)が画定される。
その一方、マグネティックコア102はそれ自体がある軸102C周りに全体に環をなし、軸102Cを通る空間領域Vを囲んでいる。この空間領域Vの少なくとも一部を誘導環110の一部が占めている。図4の構成例では、誘導環110の内筒部110Aが空間領域Vの一部を占めている。マグネティックコア102は高透磁率材料により作製されている。このため、それ自体が環状であるマグネティックコア102にとっての周囲空間に電流が流れると、その電流の周りに生じる磁場がマグネティックコア102中にトロイダル方向に向かう磁束を生成する。
誘導環110の誘導電流はポロイダル方向の成分を持つ超伝導電流であり、同軸に配置された上記マグネティックコア102の内部にはトロイダル方向に磁束が生じる(図4B)。ここで、図4Aに示すように、トロイダル方向は円環の回転対称軸を中心軸にその周りを回る方向であり、ポロイダル方向は円環の表面の各位置においてトロイダル方向に沿った回転軸を持つ回転動作で描かれる軌跡の方向である。
誘導環110の表面は、マグネティックコアに向かうコア側表面領域112と、軸102Cに向かう軸側表面領域114とを含んでいる。この誘導環110の表面または表層の一部には超伝導体が配置されており、典型例では、超伝導体は誘導環110の表面または表層を、マグネティックコア102に面する側も含めてすべてを覆っている。ここでの表面または表層とは、文字通りの最表面に達するある厚みの層であることに加え、電磁的な誘導作用や超伝導作用に影響のない追加の物質が超伝導体の上層に形成されることも許容する意味である。さらに、表面または表層の一部とは、ポロイダル方向に超伝導電流を伝える径路が確保される限り超伝導体が配置されないような領域が存在しても構わないことを意味している。誘導環110の超伝導体が形成される基材の材質は特段限定されず、例えば超伝導体の形成に適する任意の材質を採用することができる。このような材質は、例えば、超伝導体の結晶成長を阻害しない材質や、超伝導体と合金を形成しない材質ものが選択される。本出願の図面では誘導環110の断面では超伝導体の範囲を特定せずに示すが、誘導環110はその厚みすべてが超伝導体からなるものとすることができ、逆に必ずしも誘導環110のすべてが超伝導体であることも要さない。超伝導体の厚みは、例えば磁場侵入長を越す厚みであることが好ましい。
上述したマグネティックコア102に磁束を生成させる電流は、典型的には誘導環110をポロイド方向に流れる超伝導になった遮蔽電流である(図4B)。本実施形態においては、コア側表面領域112と軸側表面領域114の一部または全部この空間領域の少なくとも一部にも超伝導体が配置されているため、遮蔽電流を超伝導電流としてポロイド方向に伝えるようになっている。図4Bにはこの超伝導電流を鎖線にて図示している。
荷電粒子ビームIBがマグネティックコア102と誘導環110にとっての回転対称軸である軸102Cに沿って進む場合、ビーム電流が生成する磁場は、アンペールの法則と右ネジの法則に従いマイスナー効果により誘導環110にとってのポロイダル方向に遮蔽電流を生じさせる。このポロイダル方向の遮蔽電流が、マグネティックコアの内部に磁束を生成する。図4Bでは電流、荷電粒子ビームIBを、ともに電荷の流れの向きにより矢印で示している。荷電粒子ビームIBが負の電荷を帯びた粒子の場合には、荷電粒子ビームIBとビーム電流とが逆向きとなるため、電流および磁束とも反転することに注意されたい。また、誘導環110の表面または表層には超伝導体が形成されているため、マグネティックコア102の磁束が収容空間Vから漏れにくくなり、磁束の漏れが原因となったカップリング係数αの悪化が防止される。
好ましい構成においては、収容空間Vの開口には、やはり環をなしているシールド環160が配置される。シールド環160は、誘導環110の形状に概ね適合されており、典型的には穴あき円盤形状を持つ。図4Aの分解斜視図に示すシールド環160は、図4Bに示すとおり、使用時において誘導環110の開口を塞ぐことにより、誘導環110とともにマグネティックコア102のための収容空間Vを完成させている。このシールド環160は、高透磁率材料により作製されるようなもの(高透磁率シールド環)と、誘導環110と同様に少なくとも表面または表層に超伝導体を形成したもの(超伝導シールド環)とのいずれのものでも本実施形態に採用することができる。以下の説明では、特に断らない限りシールド環160の典型例として超伝導シールド環の場合の構成例を説明する。その構成例では、シールド環160の超伝導体にも、荷電粒子ビームIBによる磁場の侵入を防ぐ方向の遮蔽電流が、マイスナー効果に従った超伝導電流となったシールド環にとってのポロイダル方向に流れる(図4B)。
シールド環160を採用する場合に遮蔽電流のうち直接的にマグネティックコア102に作用するのは、誘導環110、シールド環160それぞれにおいて流れる超伝導電流のうち、マグネティックコア102に面する範囲にて流れる成分である。このため、マグネティックコア102からみた場合の電流の方向は、誘導される超伝導電流の示す回転方向が誘導環110の内と外で反転している。図4Bでは、荷電粒子ビームIBの帯びる電荷が正であれば、荷電粒子ビームIBより紙面上の上方では紙面から手前に飛び出す向きに、また荷電粒子ビームIBより下方では紙面に向かって奥に進む向きに、磁束が生じる。図4Bでは、紙面と磁束の向きとの関係を矢印の矢尻を先から向かって見るマークと矢羽根を後ろから見るマークにより示している。このようなシールド環160を採用すると、マグネティックコア102の磁束は、シールド環160誘導環110とが作る収容空間Vに閉じ込められるため、磁束の漏れが原因となったカップリング係数αの悪化は防止される。最終的にマグネティックコア102の内部にトロイダル方向に通る向きに誘起される磁束は、誘導環110およびシールド環160の超伝導体に流れる超伝導電流が収容空間Vに作る磁場に応じたものである。
なお、超伝導電流が誘導環110の表面とシールド環160の表面との間で相互に伝達する場合、誘導環110とシールド環160の外側表面のみを流れてしまうような超伝導電流の成分が生じる。そのような成分は、マグネティックコア102における磁束の生成に寄与しないため、ビーム電流の値に比して磁束が弱まる原因ともなる。実際には、超伝導体が表面または表層に形成されているとしても、誘導環110の表面をシールド環160の表面に接触させたのみで、超伝導状態の領域が連続するとは必ずしもいえない。しかしながら、安定した測定動作のためには、本実施形態においては誘導環110とシールド環160との互いの接触を防止するための電気絶縁用の部材(図示しない)が配置されると好ましい。
マグネティックコア102には、その内部を通る磁束と磁気的に結合する位置に磁束検出部分となるSQUIDループ132を持つようにしてSQUIDセンサー130が配置される。マグネティックコア102が高透磁率材料で作製されていることは、高い磁束密度を通じ、マグネティックコア102の自己インダクタンスを高める作用を持つ(式(2))。さらにマグネティックコア102の透磁率が高いことにより、SQUIDセンサー130のSQUIDループ132つまり磁束検出部に対して誘導電流の作る磁束を集中させる作用も持つ。
上述した超伝導シールド環を対象とした説明は、シールド環160が高透磁率材料により作製される高透磁率シールド環である場合にもほぼ同様に成り立つ。その場合、高透磁率シールド環の高透磁率材料が十分な厚みをもっていれば、収容空間Vと外界とが磁気的に互いに影響しなくなる。この点は超伝導シールド環の場合と同様である。超伝導シールド環の説明からのわずかな修正は、シールド環160に超伝導電流が流れないことに伴うものである。高透磁率シールド環では図4Bにおけるシールド環160のようにポロイダル方向の超伝導電流が誘導されないため、高透磁率シールド環の場合のマグネティックコア102に生じる磁束は、誘導環110に流れるポロイダル方向の超伝導電流によって誘起されるもののみとなる。このため、高透磁率シールド環を採用してもビーム電流は原理的に支障なく測定することができる。
マグネティックコア102に生成される磁束を検出するためのダイレクトカップリングの構成として、本発明者は、マグネティックコア102に磁気ギャップを形成する構成と、磁気ギャップを形成しない構成との両者が有望であると考えている。そこで、磁気ギャップを用いる構成についてまず説明し、次に磁気ギャップを用いないものについて述べる。
2−2.磁気ギャップを用いるSQUIDセンサーとのカップリング
磁気ギャップを用いるダイレクトカップリングでの典型的なマグネティックコア102は、トロイダル方向に高透磁率材料が途切れる磁気ギャップ104が設けられており全体として環状の形状をもつ。SQUIDセンサー130は、磁束検出部が当該磁気ギャップ104に位置するようにして配置されている。SQUIDセンサー130は、典型的には高温超伝導体を採用したHTc−SQUIDセンサーである。例えばSQUIDセンサー130はマグネティックコア102の端面に挟まれるようにして磁気ギャップ104中に配置される。SQUIDセンサー130にてその位置の磁束を定量すれば、荷電粒子ビームIBにより生成されているビーム電流を測定することができる。
この構成例におけるビーム電流測定装置100の測定性能は次のようにして見積もることができる。図5は、図4に示した本実施形態のビーム電流測定装置のマグネティックコア102と電磁気学的に等価な仮想コアモデル200を示す模式図である。マグネティックコア202には磁気ギャップ204(長さG)が形成されている。この磁気ギャップ204がSQUIDセンサー130が配置されるギャップ104(図4)に相当する。図5の磁気回路の動作を解析するための各パラメータは表4のように与えられる。
Figure 0006813903
ここで、起磁力Fは、
Figure 0006813903
と表され、磁束φと磁気抵抗Rを用いて、
Figure 0006813903
の関係がある。また、この磁気ギャップ204がある仮想コアモデル200においてマグネティックコア202の磁気回路全体での磁気抵抗Rは、
Figure 0006813903
で表される。磁束φは式(15)と式(16)を用いると
Figure 0006813903
と表される。例えばマグネティックコア202が高い透磁率材料で作製され、磁気ギャップ204が空気や非磁性材の冷媒である場合、μ≫μの条件が成り立つ。その場合には式(18)は
Figure 0006813903
と近似することができる。このような動作を評価するために、ビーム電流IをI=1nAとした場合の数値を見積もる。その見積りでは、荷電粒子ビームがワンパスであるためにN=1とし、実際に作製した一例のHTc−SQUIDセンサーの詳細な仕様(表5に摘記)を反映させる。
Figure 0006813903
計算のため、マグネティックコア202の断面積SとエアギャップGそれぞれをHTc−SQUIDセンサーの有効面積と高さに等しくなるように製作したと仮定する。これらの値を式(19)に代入すると、HTc−SQUIDセンサー上での磁束φは、5.3×10−19weberとなる。つまり帯域を1Hzとした場合の1nAのビーム電流が作り出す磁束は、HTc−SQUIDセンサーの磁束換算ノイズの約13倍程度の値である。
なお、TARN−IIのために開発されたLTc−SQUID電流計での上記比率を算出すると、約250倍となる(上述1−3)。本実施形態によるビーム電流測定装置を採用した場合にもこの比率と同様の値を実現するためには式(19)に基づいて形状を調整すればよく、例えばエアギャップを1/10の1mm、インプットコイルの有効面積を2倍の8.4mmにそれぞれに設定する。このようにSN比を20倍程度向上させる構成も本実施形態では現実的なものとなる。
さらに、式(19)に至る解析的な近似計算による見積り結果の確認のために、OPERA 3D(英国Cobham Technical Services社製)による有限要素法での電磁場シミュレーションによる数値計算を実施した。数値計算では簡単のために、トロイド形状のマグネティックコア102(図4)に代えて、正方形の四角枠形状をもち比透磁率μを10とした条件でのマグネティックコアを設定し、それを誘導環110およびシールド環160の役割を果たす導体で包んだ形状モデルを利用した。図6は、有限要素法による数値計算のために採用した四角枠形状を持つ誘導環310、シールド環360、およびマグネティックコア302を備えるビーム電流測定装置モデル300の一部破断斜視図である。なお、誘導環110(図4)と異なりトロイド形状ではない物体(例えば図6の四角枠形状)の場合のポロイド方向とは、環を通り抜ける軸を含んで環を輪切りにする平面において環の表面が描く軌跡をたどる方向である。
四角枠形状である誘導環310およびシールド環360により画定される収容空間には、同様に四角枠形状であるマグネティックコア302が収容される。マグネティックコア302の四角枠形状は、10cm×10cmの正方形の辺に枠の各辺の中心を一致させており、枠の各辺のマグネティックコアの断面を2mm×2mmとした。この断面はSQUIDセンサー(図示しない)の磁束検出部となるSQUIDループの有効面積に一致させて設定したものである。マグネティックコア302には、磁気ギャップ304が形成されている。この磁気ギャップ304は、トロイド方向長さを1cmとし、正方形の枠をなす4辺のうちの一辺に1カ所のみ辺の長手方向中央部に設けた。そして数値計算の結果、1nAのビーム電流の条件では、SQUIDセンサーを置くべき磁気ギャップ304の中心の磁束が8.6×10−19weberと計算された。この値は式(19)までの解析的近似計算に基づいて得られた結果(5.3×10−19weber)と同一の桁となる。こうして、解析的計算および数値計算のいずれも性能予測の上において類似した結果をもたらすことを確認した。また、磁気ギャップを用いる場合、ギャップを設けることおよびそのサイズを広げることに応じ磁気抵抗が増大することを確認した。磁束を増大させるためには磁気ギャップを適切な構造とすることが重要である。
2−3.磁気ギャップを用いないSQUIDセンサーとのカップリング
次に磁気ギャップを用いないダイレクトカップリングの構成を説明する。解析的計算のために採用するモデルは、磁気ギャップを形成せず途切れのない環状とする点を除き図5に示した仮想コアモデル200と同じ構造とする。磁気ギャップを式(18)にてG=0とすると、生成される磁束φは次のように表せる。
Figure 0006813903
ここで、μは比透磁率である。マグネティックコアの半径rを50mm、面積Sを4mm、比透磁率μを10、ビーム電流Iを1nAとすると、磁束φは1.6×10−15weberと見積もられる。この磁束φは、HTc−SQUID電流計の磁気ギャップがあった場合(上述2−3)の3000倍もの値であり、TARN−IIで使用されたLTc−SQUID電流計900(図3)に比べても約300倍である。
さらに磁気ギャップがある場合と同様に有限要素法による数値計算を行った。その際もOPERA 3Dを使い、図6に示したビーム電流測定装置モデル300のマグネティックコア302と、磁気ギャップ304が形成されていない点を除き同一の構造を仮定した。マグネティックコアの比透磁率μを10、コアの形状を10cm四方の正方形のギャップのない四角枠形状、断面を2mm×2mmとした。結果、マグネティックコアにおけるコア材質中の中心での磁束φの値は5.0×10−15weberと計算され、解析的計算の値(1.6×10−15weber)の約3倍と算出された。こうして磁気ギャップを用いない場合についても、解析的計算および数値計算のいずれの性能予測においても類似した結果をもたらすことを確認した。
2−4.磁気シールド
2−4−1.磁気シールド性能の見積
さらに、シールド環160と誘導環110とが互いに別体のものから一体化されることや、上述した電気絶縁用の部材を配置して組上げられることがどの程度磁気シールド性能に影響を及ぼすかを見積もった。すなわち、一般に、ビーム電流の測定分解能を決する信号対ノイズ比(SN比)を高めるには、環境磁場などに起因する外部ノイズの遮蔽が役立つ。なお、この環境磁場となるものは、主に地磁気や測定環境に配置される他の機器が生じる磁場である。超伝導体のマイスナー効果による完全反磁性が実現していれば外部磁場は遮蔽されるはずと言える。実際の図4の典型的な構成では、誘導環110とシールド環160は、それぞれの表面または表層の全面に超伝導体が形成され、互いに別体に作製される。これは、本実施形態のマグネティックコアを収容するためであり、そのマグネティックコアに対し誘導電流による磁束を生じさせるためにも採用される構造である。さらに、好ましい構成では、誘導環とシールド環の間には絶縁層が挟まれる。その一方で、これらの構造のために、誘導環とシールド環との間には超伝導体が連続しない領域が生じ、そこからの環境磁場の侵入が問題となり得る。このため、このシールドの性能を有限要素法にて電磁場を計算機上で再現することにより検討したのである。
数値計算による磁場の収容空間への侵入の程度は、具体的には、図6に示したビーム電流測定装置モデル300を対象にTOSCA(Dassault Systemes製)を用いて静磁場のシミュレーションを行うことによりを見積もった。超伝導体の特性を近似的に表すため、誘導環310とシールド環360の比透磁率の値を1.0×10−12として計算している。つまり、マイスナー効果による完全反磁性は正しく計算されていないものの、類似した状況としたのである。ここで、遮蔽率Sを、
S=シールド内部の磁場SIN/シールド外部の環境磁場SOUT
と定義する。誘導環310とシールド環360との間の超伝導体が存在しない領域は、互いの間に比透磁率1で0.5mmの厚さの隙間を設けることによりモデルに反映させた。その結果、遮蔽率Sは環境磁場の向きに依存することが判明した。具体的には、図6に示す座標軸でz方向に向く環境磁場に対する遮蔽率は、マグネティックコア302が配置される全周位置で外部の10−3程度となり、殆ど侵入しなかった。他方、x方向またはy方向に外部磁場をかけた場合は、超伝導体の切れ目となる誘導環310とシールド環360の隙間からの磁場の侵入は大きく、例えばx方向の環境磁場に対して四角枠のうちx方向に延びる辺ではほとんど遮蔽できず遮蔽率Sは0.98程度、y方向に延びる辺ではSが0.09程度となった。上述したように現時点では実際の超伝導体のマイスナー効果は計算に精密には反映されていないものの、ノイズとなる環境磁場の磁気シールドの観点では誘導環310とシールド環360との隙間は有意な影響を持ちうることが確認された。
2−4−2.磁気シールド性能の補完
上述した状況から、磁気シールド性能には完全性は期しがたいといえる。そこで磁気シールド性能のわずかな不完全さを補完する好ましい構成として、ビーム電流測定装置の位置における環境磁場を可能な限り低減するために追加の手段を採用することを検討した。
その補完手法の一つが、ビーム電流測定装置100の全体を内包するような磁気シールドである。具体的には、高透磁率材料(軟磁性材料)であるパーマロイからなる磁気シールド(以下、「軟磁性磁気シールド」と呼ぶ)を単層または複層となるように配置することにより、内部に置かれたビーム電流測定装置に対する環境磁場の影響を低減することができる。図7は、軟磁性磁気シールド400によりビーム電流測定装置100への環境磁場をシールドする構成を示す概略断面図である。軟磁性磁気シールド400には、ビーム電流測定装置100へのおよびビーム電流測定装置100からの荷電粒子ビームIBの通過を許容するポート410、420が開口している。さらに、必要に応じてビーム電流測定装置100にて超伝導転移を起こさせる低温環境のための冷凍機からのコールドヘッド(図示しない)を内部に配置できるように、煙突形状の冷却ポート430および必要な空間が確保されている。このように、好ましい軟磁性磁気シールド400では、機能上必要な通り道以外がカバーされて磁気シールドとして機能する。
もう一つの追加手段が、環境磁場をキャンセルする磁場を能動的に発生する手法である。図8は、ビーム電流測定装置に適合させた磁場発生装置510と環境磁気センサー520を配置した様子を模式的に示す斜視図である。典型的な動作は、ビーム電流測定装置100の周囲の空間に磁場発生装置510を配置して環境磁場をキャンセルするものである。環境磁気センサー520は、磁場発生装置510の生成する磁場および他の原因による環境磁場を測定するために利用される。磁場発生装置510は、ビーム電流測定装置の配置された範囲の空間に概ね均一な磁場を形成できるように一対のコイル512A、512Bおよびそれに直交した向きの別の対のコイル514A、514B、という計2組の対にしたコイルを備えており、荷電粒子ビームIBに直交する平面内の任意の方向に強度を制御しながら磁場を生成することができる。図8に示す磁場発生装置510では、荷電粒子ビームIBの向きをz方向としてコイル512A、512Bによりx方向の磁場を、またコイル514A、514Bによりy方向の磁場を印加することができる。典型的には、適当な制御装置530により、環境磁気センサー520つまり例えば方向別センサー520Aおよび520Bからの測定値に応じて磁場発生装置510を動作させ環境磁場をキャンセルするよう動作する。こうして周囲からの環境磁場がビーム電流の測定値に与える影響を軽減することができる。なお、荷電粒子ビームIBに直交する平面の成分は、図6のビーム電流測定装置モデル300にて侵入が生じやすい磁場成分に相当している。
2−5.具体的材質および構造
本実施形態のマグネティックコアは種々の高透磁率材料のものを採用することができる。微弱な電流による磁束を低いノイズおよび高い線形性で伝えるには、透磁率が高いことに加え、保磁力が十分に小さく、それらの特性が低温でも維持できることが好ましい。この目的では、例えば従来のビーム電流計でも採用されることがあるアモルファス鉄系やアモルファスコバルト系の合金、結晶系合金、ナノクリスタル系材料が適しており、例えばファインメット(日本、日立金属株式会社製)など種々の材質を採用することができる。
2−6.マグネティックコアとSQUIDセンサーの磁気的結合
また、上述したように、本実施形態のマグネティックコアは磁気ギャップが形成されている構成と形成されていない構成により実施することかできる。図9は、マグネティックコアとSQUIDセンサーとの関係を示す断面図であり、荷電粒子ビームに平行な向きに切断した向きに描いたものである。各図は、マグネティックコア自体に磁気ギャップを設ける構成(図9A)、磁気ギャップを設けない構成(図9B)、アンテナコアを用いる構成(図9C)、およびアンテナコアを用いてマグネティックコアにファンネル部を設ける構成(図9D)を示す。
図9Aに示すマグネティックコアに磁気ギャップ部を設ける構成は、ビーム電流測定装置100(図4)に示した通りであり、SQUIDセンサー130のSQUIDループ132がマグネティックコア102の磁気ギャップ104にそのまま配置される。ギャップ部に漏出した磁束を測定することから比較的簡易に製作できる。
図9Bに示す磁気ギャップを設けないマグネティックコア102Aの構成は、SQUIDセンサー130のSQUIDループ132内にマグネティックコア102Aを通すものである。このような構成は磁気的側面のみをみれば有利である。その一方、作製には何らかの工夫が必要となる。例えば最初にSQUIDセンサー130を作製しておいてそのSQUIDループ132にマグネティックコア102Aを通すことによりこのような構成を実現することができる。ここで、マグネティックコア102Aの断面積を大きくすることは、捕捉できる磁束が増えるため、SN比を更に改善できる。そのためには、一つはHTc−SQUIDセンサー130を大口径化し、それを通るマグネティックコア102Aも断面積を増大させる構成が考えられる。
上記作製上の工夫の一つとして、本発明者が開発済みのHTc−SQUID電流計のためにアンテナコアを通す手法を採用することができる(非特許文献4:第7章、第169頁およびFig.13(b))。すなわち図9Cに示すように、SQUIDセンサー130にアンテナコア134を組み付けることが有用である。この場合には、図4に示したような磁気ギャップ104が設けられたマグネティックコア102を採用することができる。その磁気ギャップ104を画定するマグネティックコア102の対向面の双方に当接させながらアンテナコア134を挟むことにより、磁束が切れ目無くマグネティックコア102とアンテナコア134とを通ることができる。この場合、実質的に磁気ギャップが存在しないのと同じ磁気的動作となることから、より多くの磁束が生成されて磁気抵抗を減じることができ、自己インダクタンスLが増大する。加えて、磁束が漏れなくアンテナコア134を通りSQUIDセンサー130で検出されるため、測定感度を高めることができる。この構成におけるSQUIDセンサー130のSQUIDループ132内にマグネティックコアを通すのに比べた工作上の利点は、組立が容易なことである。すなわち、マグネティックコア102に磁気ギャップ104を一旦形成し、またSQUIDセンサー130の磁束検出部となるSQUIDループ132にアンテナコア134を通しておき、これらを磁気的に一体化して実質的に磁気ギャップのない構成とする工程は、組立てが比較的容易である。
さらに、アンテナコア134を用いる場合、マグネティックコアの断面積はSQUIDセンサー130のサイズの制約を必ずしも受けない。これにより一層実用性の高い構成を実現することができる。すなわち図9Dのように、小径のSQUIDセンサーを採用した場合に、磁束集中部となるファンネル部102Fを形成するマグネティックコア102Bを採用することができる。このファンネル部102Fでは、磁気ギャップ104に向けてトロイダル方向にたどったとき磁束が通る断面積が絞りこまれている。このような構造では、磁気ギャップ104に適切にアンテナコア134を磁気的に結合させつつ、マグネティックコア102B中の磁束を相対的に小径のアンテナコア134に集中させることができる。自己インダクタンスを高めうる太いマグネティックコア102Bを採用しつつ、SQUIDセンサー130の径を増す困難を回避することができる。
なお、ファンネル部102Fのような磁束集中部は、必ずしもアンテナコア134が取り付けられたSQUIDセンサー130とのみ組み合わせる必要はない。磁気ギャップ104の間にアンテナコアもマグネティックコアも置くことなく、ファンネル部102Fにより集中させた磁束をSQUIDセンサー130により検出することも有用である(図示しない)。磁気ギャップ104が存在していても例えばファンネル部102Fのような磁束集中部により集中した磁束を形成することができれば、磁気ギャップ104から漏れた磁束をSQUIDセンサー130で捕捉することができ、検出感度を高めることができる。
2−7.誘導環およびシールド環の具体的構造
誘導環110や超伝導シールド環によるシールド環160(図4)を作製する材質は、基板または基材となる材質として銀を採用し、例えばビスマス系酸化物高温超伝導体Bi2212(組成式:BiSrCaCu8+δ)、を採用することが好ましい。この際、δが0以上の任意の値であるような組成を採用することができる。Bi2212は比較的高い超伝導転移温度(T〜80K)を示し液体ヘリウムでの冷却を必要とせず、さらに銀を基材にして十分な性能の超伝導体の層を形成できる。なお、銀はBi2212と合金を形成しないためBi2212の超伝導特性に悪影響を与えない。また、誘導環110やシールド環160のようなC字形状断面程度の複雑さを持つ形状は、電子ビーム溶接を用いた手法などにより作製することができる。たとえビーム電流測定装置モデル300(図6)程度に複雑な形状となっても同様である。銀表面へ成膜されたBi2212では、雰囲気や温度条件を適切にした溶融法などの適切な成膜手法により、高い超伝導転移温度を発揮させることができる。したがって、本実施形態のビーム電流測定装置は高い実用性を発揮するものである。銀以外に誘導環110や超伝導シールド環によるシールド環160のための基板または基材のために採用可能な材質の例はMgOである。
また、シールド環160を高透磁率シールド環とした場合には、シールド環160のためには例えばパーマロイなどの高透磁率材料を採用することができる。
3.実施例
上述した本実施形態のビーム電流測定装置100の動作を確認する実施例について以下具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順、要素または部材の向きや具体的配置等は本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することかできる。したがって、本発明の範囲は以下の具体例に限定されるものではない。また、上述した各図の説明は実施例の説明でも引き続きそのまま参照する。実施例では、第1に、誘導環110やシールド環160に形成するためのBi2212の形成条件を探索する実験を行った。また、第2に、誘導環110には超伝導体を形成し、それと組み合わせるシールド環160には高透磁率シールド環を採用した構成の動作検証用のビーム電流測定装置を作製することにより、ビームの電流の代用に用いた交流電流(模擬電流)の実測に成功し、感度を決定することができた。
3−1.Bi2212の形成条件の探索
実際の誘導環110にBi2212の超伝導層を形成するための作製条件は、雰囲気、焼成温度、焼成温度からの徐冷レート、といった各種条件を調整して良好な超伝導状態が実現するようなものに決定することができる。本実施例のためには、Bi2212の超伝導層についての報告例(非特許文献5)の開示に基づいて原材料を準備した上で大気雰囲気と酸素雰囲気において、徐冷レートを調整する最適化を実施した。評価指標は、表面SEM観察、X線回折での結晶性評価、超伝導臨界温度、超伝導臨界電流とした。
具体的には、原材料となる純度99.9%のBi、SrCO、CaO、CuOを用い、さらに微量のPbを添加して、組成比がBi:Sr:Ca:Cu=2:2:1:2となるようとなるよう秤量し、混合粉を作製した。混合粉に、焼成と粉砕を繰り返すことにより、粒径が平均3μmとなるBi2212の仮焼粉を作製した。その後、Bi2212の仮焼粉に有機ビヒクルを混合することにより、超伝導ペーストを作製し、スプレーガンで塗布が可能なように、酢酸ブチルを希釈材として添加した。これを複数片の銀基板(4mm×8mm矩形、1.5mm厚)の片面にスプレー塗布法によって均一の厚みに塗布した。そして150℃、30分の条件で動作する強制排気乾燥機において、スプレー塗布と乾燥を繰り返したものをテストピースとして複数準備した。そしてBi2212のための焼成処理には電気炉を使用し、各テストピースを、酸素雰囲気では、炉の内部にセラミックの管を通して、強制的に酸素を送り込みながら、60℃/時で昇温し、10分間保持して焼成処理をした。そして焼成処理の直後に続けてその温度からの830℃まで一定レートで徐冷処理した。このような一連の熱処理では、塗布された材料が焼成処理で溶融し、ペロブスカイト構造のBi2212結晶が徐冷処理を通じて形成される。雰囲気ごとの焼成処理の条件は予め調査済であり、大気雰囲気のものは880℃、酸素雰囲気のものは884℃(温度はいずれも雰囲気温度計の指示値)としている。本実施例の記載では、決定すべき条件を、大気雰囲気または酸素雰囲気のいずれとするか、および徐冷レートを−4℃/時または−12℃/時のいずれとするか、に絞って説明する。これら条件は、例示のものであり、本実施形態のビーム電流測定装置に採用可能な条件を限定するものではない。
図10は、Bi2212テストピースを焼成して徐冷して表面を観察した走査型電子顕微鏡象であり、図10A〜Dは順に(雰囲気、徐冷レート)の組み合わせの条件が(大気、−4℃/時)、(大気、−12℃/時)、(酸素、−4℃/時)、および(酸素、−12℃/時)とした条件のものである。表面に針状などの不定形粒子形状に見える構造物は適切に形成されない結晶や非結晶部分であり、そういった構造物が少ないほど目的とする結晶が良好に形成されていると考えている。図11および図12は、Bi2212のテストピースを酸素雰囲気にて徐冷レートをそれぞれ−4℃/時または−12℃/時として形成して取得したX線回折のチャートである。図12に示される−12℃/時に比べ、図11の−4℃/時では008、0010、0012の各ピークが−12℃/時に比べて高く、−4℃/時と−12℃/時とを比較した範囲ではBi2212の結晶が−4℃/時でより良好に形成されていることを確認した。なお、大気雰囲気でも−4℃/時または−12℃/時を比較すると−4℃/時のほうが一層良好な結晶が形成されていることを確認している(図示しない)。
次に、これら4片のテストピースにおける超伝導層の性能を確認するために、超伝導臨界温度、超伝導臨界電流を測定した。図13は、Bi2212のテストピースにおいて超伝導臨界温度を測定するために昇温および降温にて磁化率を測定したグラフである。まず、絶対温度50 Kで測定装置(Quantum Design社MPMS−XL7)に配置したテストピースのセンタリング操作を行う。磁化率の測定は、テストピースに対しその厚み方向に100Oeの外部磁場を印加し続けた状態で、表6に示す順の温度操作のような各温度区間の温度刻みの昇温および降温操作を行いつつ、各温度で実施した。なお、Oeを単位とする磁場の強さについて、10,000Oeは795.8kA/mに相当しており、真空に1Tの磁束密度を生じさせる磁場の強さに換算される。
Figure 0006813903
その結果は図13に示すとおりである。図13の曲線から、各テストピースについての臨界温度(K)は表7のように得られた。
Figure 0006813903
また、図14は、Bi2212のテストピースにおいて超伝導臨界電流を測定するために磁化率のヒステリシス特性を測定したグラフである。この測定では、最初に着磁した磁束を開放する操作として、磁場を0Oeにした状態で一旦300Kまで昇温させた。その後、いずれのテストピースでも超伝導状態に転移する77Kまで降温して温度を保持しながら測定した。ヒステリシス特性を測定する磁場印加条件は、最初に磁場を0Oeから70300Oeまで一度掃引することによって初期磁化を打ち消し、その後に測定のための磁場操作として表8に示すように各磁場の区間についての磁場強度の刻みで外部磁場を操作し、各磁場の値で磁化率を測定した。
Figure 0006813903
その結果は図14に示すとおりである。図14の曲線から、各テストピースについての臨界電流値J(A/cm)は表9のように得られた。
Figure 0006813903

なお、表9の臨界電流値Jは、以下の式(21)により与えられる。
Figure 0006813903
ここで、サンプルの超伝導体部分が長さl、幅w、厚さtの平板形状であり、Δmは、測定装置(MPMS−XL7)のSQUIDを用いて計測された磁化されたヒステリシス(磁気モーメント)の幅、すなわち、測定された磁気モーメントの2倍の値とする。表9において同じ値の磁気モーメントのものが臨界電流値Jが異なる値を与えているのは、実際のテストピースにおける超伝導体のサイズに基づいて式(21)に従って値を求めたためである。
これらの結果から、最高の転移温度(84K)と最大の臨界電流密度(361.10A/cm)が得られる条件、すなわち、雰囲気を大気として徐冷レート−4℃/時で作製したBi2212を選択することが合理的である。
3−2.動作検証
次に、実際に超伝導体が形成された誘導環110を利用し、高透磁率のパーマロイを採用したシールド環160に組み合わせた構成で動作検証を行ったので説明する。図15は、この動作検証のためのセットアップを示す説明図である。なお、誘導環110に形成した超伝導体は銀基体に形成したBi2212であり、3−1欄で説明したものとは徐冷の条件は異なるものの、大気雰囲気での焼成条件により形成したものである。また、この動作検証を行った誘導環110それ自体に形成した超伝導体の示す超伝導転移温度は測定できていないものの、別途用意し同条件で溶融したサンプルでは約90〜92Kで超伝導転移することが確認されており、また、動作検証を行った誘導環110でも測定動作の前にマグネットを近づけることにより液体窒素温度(77K)にてマイスナー効果が生じて超伝導に転移したことを確認した上で測定を実施した。動作検証のための測定は、本来測定するビーム電流ではなく、シールド環160にビーム電流の位置に通した模擬電流を対象とした。この模擬電流は、信号発生器で発生させた20Hzの周波数の交流正弦波電流である。
計算上の出力は、模擬電流IによってSQUIDセンサー130上に生じる磁束密度Bは、同センサー上での磁束をφ、マグネティックコアの断面積をS、エアギャップをG、ターン数をNとすると以下の式(22)で表される。
Figure 0006813903
式(22)から、ターン数N=1、ギャップ長G=17×10−3m、模擬電流I=0.5mAの条件では、磁束密度Bは37.0nTと計算される。SQUIDセンサー130の信号を処理するSQUIDコントローラー(住友電工ハイテックス株式会社(現:住友電工システムソリューション株式会社)製、図15)が14nT/Vの磁場―電圧変換係数をもつので、コントローラーからの出力は上記条件において2.64Vと計算される。
実際のビーム電流測定装置100の検証では、ピークトゥーピークでの振幅0.5mAの模擬電流によってビーム電流測定装置100を動作させた。図16は、コントローラーからの出力波形をアナログオシロスコープに表示した表示像の写真であり、図17はその出力波形をFFT(高速フーリエ変換)処理して周波数空間で示すFFTアナライザーの表示像の写真である。振幅0.5mAの正弦波模擬電流に対して約2.2Vの振幅をもつコントローラー出力波形が観察された。こうして計算値と実測値の間に良い一致が見出せることを確認した。さらに、図17のFFTアナライザーの表示像では、20Hzの成分が高いSN比の信号により確認された。この表示像においてノイズフロアを規定するピーク周辺のノイズレベルの値は、50nAのビーム電流に相当する値である。したがって、本実施例のビーム電流測定装置100を採用すれば、実際のビーム電流は50nA程度まで測定可能となって高い感度をもちうることが確認された。なお、50nAと対比されるべき数値例を挙げれば、従来本発明者が開発してきた電流測定装置では電流分解能が約500nA程度、従来市販されている非接触直流電流計の電流分解能が10μA、である。
以上本発明の実施形態について具体的に説明した。上述の各実施形態および実施例は、発明を説明するために記載されたものであり、本出願の発明の範囲は、請求の範囲の記載に基づいて定められるべきものである。また、各実施形態の他の組合せを含むコンビネーションおよびサブコンビネーションのうち本発明の範囲内に存在する変形例もまた請求の範囲に含まれるものである。
本発明のビーム電流測定装置は荷電粒子ビームを生成する任意の機器に利用可能である。
100 ビーム電流測定装置
102、102A、102B、202、302 マグネティックコア
102C 軸
102F ファンネル部
104 磁気ギャップ
110、310 誘導環
110A 内筒部
110B 外筒部
110C 底部
112 コア側表面領域
114 軸側表面領域
130 SQUIDセンサー
132 SQUIDループ
134 アンテナコア
160、360 シールド環
200 仮想コアモデル
300 ビーム電流測定装置モデル
204、304 磁気ギャップ
400 磁気シールド
410、420 ポート
430 冷却ポート
510 磁場発生装置
512A、512B、514A、514B コイル
520、520A、520B 磁気センサー
530 制御装置

Claims (14)

  1. ある空間領域を通る軸の周りに該空間領域を囲んで実質的に環をなしている高透磁率材料のマグネティックコアと、
    該マグネティックコアと略同軸に配置されている誘導環であって、前記空間領域の少なくとも一部を占めて前記軸の周りに環をなしており、表面または表層のうち前記軸に向かう軸側表面領域と前記マグネティックコアに向かうコア側表面領域との一部または全部に超伝導体が配置されており、該超伝導体がポロイダル方向の径路で超伝導電流を伝えるようになっている、誘導環と、
    前記マグネティックコアの内部をトロイダル方向に通る磁束に磁気的に結合される磁束検出部を備えるSQUIDセンサーと
    を備えてなる荷電粒子ビームの電流測定装置。
  2. 前記マグネティックコアと略同軸に配置されて前記軸の周りに環をなしているシールド環
    をさらに備えており、
    前記誘導環と該シールド環とが、前記マグネティックコアを収容する環状の収容空間を形成しているものである、請求項1に記載の電流測定装置。
  3. 前記シールド環と前記誘導環とが互いに電気的に絶縁されている、請求項2に記載の電流測定装置。
  4. 前記シールド環は、高透磁率材料を含む高透磁率シールド環である、請求項2に記載の電流測定装置。
  5. 前記シールド環は、その表面または表層の少なくとも一部に超伝導体が形成されているものであり、
    前記収容空間が前記誘導環および前記シールド環の超伝導体により実質的に囲まれているものである、請求項2に記載の電流測定装置。
  6. 前記超伝導体がBi2212である、請求項1に記載の電流測定装置。
  7. 前記SQUIDセンサーの前記磁束検出部に前記マグネティックコアが通っている、請求項1に記載の電流測定装置。
  8. 前記マグネティックコアは、トロイダル方向にたどって前記高透磁率材料が途切れる磁気ギャップ部が形成されており、
    前記SQUIDセンサーは、該磁気ギャップ部に前記磁束検出部を位置付けるように配置されているものである、請求項1に記載の電流測定装置。
  9. 前記マグネティックコアは、トロイダル方向にたどって前記磁気ギャップに向かうにつれ断面積が絞られている磁束集中部が形成されているものである、請求項8に記載の電流測定装置。
  10. 前記SQUIDセンサーの前記磁束検出部を通る高透磁率材料のアンテナコアをさらに備えている請求項8または請求項9に記載の電流測定装置。
  11. 前記電流測定装置は検知する荷電粒子ビームが前記空間領域のうち前記誘導環より内側を通るように設置されており、
    前記誘導環および前記SQUIDセンサーがそれぞれの超伝導転移温度以下に保たれており、
    前記誘導環は、前記荷電粒子ビームの強度に応じ誘導された前記超伝導電流が、前記軸側表面領域から前記コア側表面領域を通って前記軸側表面領域に戻ることによって、前記超伝導体の前記ポロイダル方向の径路を流れうるようになっており、
    前記SQUIDセンサーは、前記超伝導電流が前記マグネティックコアの内部に作るトロイダル方向の磁束を前記磁束検出部で検出するようになっている、請求項1に記載の電流測定装置。
  12. 前記電流測定装置は検知する荷電粒子ビームが前記空間領域のうち前記誘導環および前記シールド環より内側を通るように設置されており、
    前記誘導環、前記シールド環および前記SQUIDセンサーがそれぞれの超伝導転移温度以下に保たれており、
    前記誘導環は、前記荷電粒子ビームの強度に応じ誘導された前記超伝導電流が、前記軸側表面領域から前記コア側表面領域を通って前記軸側表面領域に戻ることによって、前記超伝導体の前記ポロイダル方向の径路を流れうるようになっており、
    前記シールド環は、前記荷電粒子ビームの強度に応じ誘導された超伝導電流が、前記シールド環の前記超伝導体のポロイダル方向の径路を流れうるようになっており、
    前記SQUIDセンサーは、前記超伝導電流が前記マグネティックコアの内部に作るトロイダル方向の磁束を前記磁束検出部で検出するようになっている、請求項5に記載の電流測定装置。
  13. 前記マグネティックコア、前記誘導環、および前記SQUIDセンサーの少なくともいずれかを内包する形状にされ、環境磁場を遮蔽するようになっている磁気シールド
    をさらに備えている請求項1に記載の荷電粒子ビームの電流測定装置。
  14. 前記マグネティックコア、前記誘導環、および前記SQUIDセンサーの少なくともいずれかに対し制御された磁場を与える磁場発生装置と、
    該磁場発生装置の生成する磁場を含みうる環境磁場の強さおよび方向の少なくともいずれかを測定するための環境磁気センサーと、
    該環境磁気センサーの検出した磁場の強さおよび方向の少なくともいずれかに応じ、前記磁場発生装置が与える前記磁場を制御するための制御装置と
    をさらに備えている請求項1に記載の荷電粒子ビームの電流測定装置。
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