JP6813872B2 - シャトルベクター及び外来蛋白質の製造方法 - Google Patents

シャトルベクター及び外来蛋白質の製造方法 Download PDF

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本発明は、コクリア属に属する微生物において複製可能なベクター、並びに大腸菌及びコクリア属に属する微生物において複製可能なシャトルベクターに関する。より詳細には、本発明は、大腸菌内及びコクリア属に属する微生物内において各種外来遺伝子を発現可能なシャトルベクター及びこのシャトルベクターを含む形質転換体、並びにこの形質転換体を用いる外来蛋白質の製造方法に関する。
有機溶媒中での微生物変換反応に使用出来る微生物としてはコクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)NBRC 103217が知られている(非特許文献1)。さらに、コクリア属に属する微生物内で複製可能なシャトルベクターも知られている(特許文献1〜3)。
特開2010−161946号公報 WO2010/082572 WO2011/125467
J. Bacteriol. Vol.190,p4139-4146,2008
本発明は、特許文献1〜3に記載のシャトルベクターとは異なる、コクリア属に属する微生物内及び大腸菌内で複製可能な新たなシャトルベクターを提供することを課題とする。
より具体的には、本発明は、コクリア属に属する微生物において複製可能な新たなベクターを提供し、さらにこのベクターを基礎として、コクリア属に属する微生物内及び大腸菌内で複製可能な新たなシャトルベクターを提供することを課題とする。
さらに本発明は、コクリア属に属する微生物内及び大腸菌内で複製可能なシャトルベクターを含む形質転換体、並びにこの形質転換体を用いた外来蛋白質の製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、以下の通りである。
[1]
下記(1)〜(3)のいずれかのポリヌクレオチドを含む、コクリア属に属する微生物において複製可能なベクター:
(1)配列番号:3若しくは4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(2)配列番号:3若しくは4に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が置換、欠失及び/若しくは挿入された配列を有し、かつコクリア属に属する微生物内において複製可能であるポリヌクレオチド、又は
(3)配列番号:3若しくは4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつコクリア属に属する微生物内において複製可能であるポリヌクレオチド。
[2]
下記(1)〜(3)のいずれかのポリヌクレオチド及び下記(4)のポリヌクレオチドを含み、コクリア属に属する微生物及び大腸菌において複製可能なシャトルベクター。
(1)配列番号:3若しくは4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(2)配列番号:3若しくは4に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が置換、欠失及び/若しくは挿入された配列を有し、かつコクリア属に属する微生物内において複製可能であるポリヌクレオチド、又は
(3)配列番号:3若しくは4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつコクリア属に属する微生物内において複製可能であるポリヌクレオチドを含む、
(4)大腸菌由来の複製起点ポリヌクレオチド
[3]
マルチクローニングサイト、プロモーター配列及び薬剤耐性遺伝子から成る群から選ばれる少なくとも1種の配列をさらに含む[2]に記載のベクター。
[4]
前記マルチクローニングサイトに大腸菌及びコクリア属の何れにも属さない微生物由来の蛋白質(以下、外来蛋白質)をコードするポリヌクレオチドを挿入して、前記外来蛋白質を大腸菌及びコクリア属に属する微生物において発現させるために用いる、[3]に記載のシャトルベクター。
[5]
前記薬剤耐性がカナマイシン耐性、ネオマイシン耐性、又はチオストレプトン耐性である[3]又は[4]に記載のベクター。
[6]
配列番号:5〜12のいずれかに記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドからなる[2]〜[5]のいずれか1項に記載のシャトルベクター。
[7]
前記コクリア属に属する微生物が、コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)、コクリア バリアンス(Kocuria varians)、コクリア フラバ(Kocuria flava)、又はコクリア ツルファネンシス(Kocuria turfanensis)に属する微生物である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載のベクター。
[8]
前記コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)に属する微生物が、コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)DC2201株(NBRC103217)、コクリア バリアンス(Kocuria varians)に属する微生物が、コクリア バリアンス(Kocuria varians)(NBRC15358)、コクリア フラバ(Kocuria flava)に属する微生物が、コクリア フラバ(Kocuria flava)(NBRC107626)、コクリア ツルファネンシス(Kocuria turfanensis)に属する微生物が、コクリア ツルファネンシス(Kocuria turfanensis)(NBRC107627)である、[7]に記載のベクター。
[9]
[1]〜[8]のいずれか1項に記載のベクター及び該ベクターに挿入された外来蛋白質をコードするDNAを含む組換えベクター。
[10]
前記外来蛋白質が、大腸菌及びコクリア属の何れにも属さない微生物由来の蛋白質である[9]に記載の組換えベクター。
[11]
配列番号:14又は15に記載の塩基配列からなる組換えベクターである、[10]に記載の組換えベクター。
[12]
宿主及び該宿主に導入された[1]〜[8]のいずれか1項に記載のベクター又は[9]〜[11]のいずれか1項に記載の組換えベクターを含む、形質転換体。
[13]
宿主が、大腸菌又はコクリア属に属する微生物である[12]に記載の形質転換体。
[14]
前記コクリア属に属する微生物が、コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)、コクリア バリアンス(Kocuria varians)、コクリア フラバ(Kocuria flava)、又はコクリア ツルファネンシス(Kocuria turfanensis)に属する微生物である、[13]に記載の形質転換体。
[15]
前記コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)に属する微生物がコクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)DC2201株(NBRC103217)、コクリア バリアンス(Kocuria varians)(NBRC15358)、コクリア フラバ(Kocuria flava)(NBRC107626)、又はコクリア ツルファネンシス(Kocuria turfanensis)(NBRC107627)である、[14]に記載の形質転換体。
[16]
[12]〜[15]のいずれか1項に記載の形質転換体を培養する工程、及び培養により得られる培養物から外来蛋白質を単離する工程を含む、外来蛋白質の製造方法。
[17]
[13]〜[15]のいずれか1項に記載の形質転換体を、有機溶媒を含有する培地を用いて培養する工程、及び培養により得られる培養物から外来蛋白質を単離する工程を含む、外来蛋白質の製造方法。
本発明によれば、以下の効果が得られる。
(1)コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)DC2201株(NBRC103217)などのコクリア属に属する微生物内で複製可能な新たなベクターを提供することができる。
(2)コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)DC2201株(NBRC103217)などのコクリア属に属する微生物内及び大腸菌内で複製可能な新たなシャトルベクターを提供することができる。
(3)コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)DC2201株(NBRC103217)などのコクリア属に属する微生物内におけるコピー数が多く、外来蛋白質を導入して発現させる際の発現効率が比較的高いシャトルベクターを提供することができる。
(4)薬剤耐性を有するシャトルベクターであって、薬剤を含まない培地においても安定的に複製及び保持が可能なシャトルベクターを提供することができる。
(5)コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)DC2201株(NBRC103217)などのコクリア属に属する微生物に対する形質転換効率の高いシャトルベクターを提供することができる。
(6)コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)DC2201株(NBRC103217)などのコクリア属に属する微生物において共存可能な複数のシャトルベクターを提供することができる。
コクリア パルストリス(K. palustris)IPUFS-1株より単離・解析されたプラスミド1の構造を示す。 コクリア パルストリス(K. palustris)IPUFS-1株より単離・解析されたプラスミド3の構造を示す。 プラスミド1の複製最小領域の検討結果を示す。 プラスミド3の複製最小領域の検討結果を示す。 E. coli-Kocuria シャトルベクターpKITE101及びpKITE301の遺伝子構造を示す。 E. coli-Kocuria シャトルベクターpKITE102及びpKITE302の遺伝子構造を示す。 E. coli-Kocuria シャトルベクターpKITE103及びpKITE303の遺伝子構造を示す。 LSADH発現プラスミドの遺伝子構造を示す。 pKITE101およびpKITE301のプラスミド保持率の試験結果を示す。 K. rhizophila DC2201形質転換体からのプラスミドDNA抽出結果を示す。M: DNAマーカー(λ-StyI)、1-3:K. rhizophila DC2201形質転換体、1:pKITE102、2:pKITE303、3:pKITE102/pKITE303共存形質転換体 配列番号1:プラスミド1の塩基配列 配列番号2:プラスミド3の塩基配列 配列番号3:プラスミド1の複製最小領域の塩基配列 配列番号4:プラスミド3の複製最小領域の塩基配列 配列番号5:pKITE101塩基配列 配列番号6:pKITE102塩基配列 配列番号7:pKITE103塩基配列 配列番号8:pKITE301塩基配列 配列番号9:pKITE302塩基配列 配列番号10:pKITE303塩基配列 配列番号11:pKITE103nde塩基配列 配列番号12:pKITE303nde塩基配列 配列番号13:GAPDHプロモーター断片 配列番号14:pKITE103PgapLSADH 配列番号15:pKITE303PgapLSADH 配列番号22:改変pBR322ori(pUCori)塩基配列
[ベクター]
本発明は、下記(1)〜(3)のいずれかのポリヌクレオチドを含む、コクリア属に属する微生物において複製可能なベクターに関する。
(1)配列番号:3若しくは4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(2)配列番号:3若しくは4に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が置換、欠失及び/若しくは挿入された配列を有し、かつコクリア属に属する微生物内において複製可能であるポリヌクレオチド、又は
(3)配列番号:3若しくは4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつコクリア属に属する微生物内において複製可能であるポリヌクレオチド。
さらに本発明は、下記(1)〜(3)のいずれかのポリヌクレオチド及び下記(4)のポリヌクレオチドを含み、コクリア属に属する微生物及び大腸菌において複製可能なシャトルベクター(以下、単にシャトルベクターと呼ぶことがある)に関する。
(1)配列番号:3若しくは4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(2)配列番号:3若しくは4に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が置換、欠失及び/若しくは挿入された配列を有し、かつコクリア属に属する微生物内において複製可能であるポリヌクレオチド、又は
(3)配列番号:3若しくは4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつコクリア属に属する微生物内において複製可能であるポリヌクレオチドを含む、
(4)大腸菌由来の複製起点ポリヌクレオチド。
コクリア属に属する微生物において複製可能なベクターとコクリア属に属する微生物及び大腸菌において複製可能なシャトルベクターにおける(1)〜(3)のポリヌクレオチドは共通する。
配列番号:3に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含む複製可能なベクター(以下、プラスミド1)は、コクリア パルストリス(K. palustris)IPUFS -1株より単離されたベクターであり、図2にその構造を示すように少なくともori、RepA及びRepBを含む。プラスミド1は、コクリア属に属する微生物内において複製可能である。
配列番号:4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含む発現可能なベクター(以下、プラスミド3)は、コクリア パルストリス(K. palustris)IPUFS-1株より単離されたベクターであり、図3にその構造を示すように、少なくともコクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)DC2201株ゲノムDNA相同領域を含む。プラスミド3は、コクリア属に属する微生物内において複製可能である。
(2)のポリヌクレオチドにおいて、数個とは例えば、2〜50個、2〜40個、2〜30個、2〜20個の範囲であり、コクリア属に属する微生物内における複製可能性が高くなるという観点からは、好ましくは2〜10個、より好ましくは2〜8個、さらに好ましくは2〜6個、一層好ましくは2〜4個の範囲である。配列番号:3に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドの場合には、塩基の置換、欠失及び/若しくは挿入は、ori、RepA及びRepB以外の配列においてなされることが、コクリア属に属する微生物内における複製可能性を維持できるという観点から好ましい。配列番号:4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドの場合には、塩基の置換、欠失及び/若しくは挿入は、コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)DC2201株ゲノムDNA相同領域以外の配列においてなされることが、コクリア属に属する微生物内における複製可能性を維持できるという観点から好ましい。
(3)のポリヌクレオチドにおいて、ストリンジェントな条件としては、通常のサザンハイブリダイゼーションの洗浄条件である60℃、1×SSC、0.1%SDS、大腸菌内及びコクリア属に属する微生物内における大腸菌及びコクリア属に属する微生物に対する外来蛋白質の発現可能性が高くなるという観点からは、好ましくは0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度でハイブリダイズする条件が挙げられる。
ポリヌクレオチドにおける1もしくは数個の塩基の置換・欠失・挿入等は、出願時に当業者に公知の技術により適宜行うことができる。
配列番号:3若しくは4に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が置換、欠失及び/若しくは挿入された配列を有するポリヌクレオチド、及び配列番号:3若しくは4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドが、コクリア属に属する微生物内において複製可能であるか否かは、例えば、実施例に示す、コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)DC2201株を宿主として用いる薬剤耐性試験(例えば、カナマイシン耐性、ネオマイシン耐性、及び/又はチオストレプトン耐性)により実施できる。
何れのベクターも、コクリア属に属する微生物内において複製可能である。
プラスミド1及び3は概ね以下のように調製された。詳細については実施例を参照のこと。
コクリア パルストリス(K. palustris)IPUFS-1株をDC2201液体培地で培養し、複数の内在性プラスミドの存在を確認した。確認されたプラスミドを精製し、EZ-Tn5TM <R6Kγori/KAN-2> Insertion Kit(http://arb-ls.com/products/eztn5_r6kgammaori_kan2_tnp_transposome_kit/)用いて、トランスポゾン挿入及びE. coli EC100D pir-116への形質転換を行い、得られた形質転換体からトランスポゾンが挿入されたクローンのプラスミドの塩基配列を解析した。その結果、3種類のプラスミドが得られ、それらの遺伝子構造をそれぞれ図1に示す。その内の2種類がプラスミド1及び3の前駆体である。これらの前駆体プラスミドについて複製に必要な最小領域を確認し、複製最小領域を含むプラスミドとして、プラスミド1及び3を特定した。
プラスミド1は、図2に示すように、複製最小領域としてori、RepA及びRepBの各配列を含む。プラスミド3は、図3に示すように、複製最小領域としてコクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)DC2201株のゲノムDNAとの相同領域を含む。但し、この相同領域の機能は不明である。
コクリア属に属する微生物及び大腸菌において複製可能なシャトルベクターの(4)大腸菌由来の複製起点ポリヌクレオチドは、既存の大腸菌由来の複製起点ポリヌクレオチドから適宜選択できる。例えば、大腸菌由来のプラスミドであるColE1やColE1に類縁の臨床分離大腸菌由来プラスミドであるpMB1由来のpBR322oriを挙げることができる。あるいは、pBR322プラスミドが改変された改変pBR322ori(pUC18/pUC19ori)であることもできる。図23に改変pBR322ori(pUCori)(配列番号22)を示す。大腸菌由来の複製起点ポリヌクレオチドは、他に、大腸菌由来のp15AプラスミドやpSC101プラスミドのoriであることもできる。
本発明のシャトルベクターは、前記(1)、(2)又は(3)のコクリア属に属する微生物内において複製可能であるポリヌクレオチド及び(4)大腸菌由来の複製起点ポリヌクレオチドを含む。
本発明のシャトルベクターは、マルチクローニングサイト、プロモーター配列及び薬剤耐性遺伝子から成る群から選ばれる少なくとも1種の配列をさらに含むことができる。
本発明のシャトルベクターは、少なくとも1つのマルチクローニングサイトをさらに含むことができる。マルチクローニングサイトの種類には特に制限はないが、例えば、pUC18やpCOLDTMベクターマルチクローニングサイトなどを挙げることができる。このマルチクローニングサイトに、大腸菌及びコクリア属の何れにも属さない微生物由来の蛋白質(外来蛋白質)をコードするポリヌクレオチドを挿入したプラスミドを用い、大腸菌又はコクリア属に属する微生物を形質転換することで、前記外来蛋白質を大腸菌及びコクリア属に属する微生物において発現させることが可能である。
本発明のシャトルベクターは、外来蛋白質発現用のプロモーター配列をさらに含むこともできる。外来蛋白質発現用のプロモーター配列は、形質転換に用いる宿主の種類に応じて適宜選択することができる。宿主がコクリア属に属する微生物である場合には、その微生物において比較的高い発現を示す蛋白質の発現用のプロモーター配列を用いることが好ましい。宿主がコクリア属に属する微生物の場合、例えば、コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)DC2201株由来の解糖系酵素GAPDHプロモーター配列を例示することができる。但し、これに限定する意図ではない。解糖系酵素GAPDHプロモーター配列は、例えば、配列番号13に示す。宿主が大腸菌の場合は、大腸菌のlac、trp又はtacプロモータなどを挙げることかできる。
本発明のシャトルベクターは、薬剤耐性遺伝子をさらに含むことができる。薬剤としては、例えば、アンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、ハイグロマイシン、ストレプトマイシン、スペクチノマイシン、ゲンタマイシン、ネオマイシン、エリスロマイシン、アプラマイシン、チオストレプトンなどを挙げることができる。但し、薬剤耐性遺伝子は、例えば、選択マーカーとしての適性を考慮すると、カナマイシン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、チオストレプトン耐性遺伝子又はその少なくとも2つであることが好ましい。
配列番号:3に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド、大腸菌由来の複製起点ポリヌクレオチド、外来蛋白質発現用のプロモーター配列、及びマルチクローニングサイト及びカナマイシン耐性遺伝子を含む本発明のシャトルベクターとしては、例えば、図4−1に示すpKITE101を挙げることができる。
配列番号:4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド、大腸菌由来の複製起点ポリヌクレオチド、外来蛋白質発現用のプロモーター配列、マルチクローニングサイト及びカナマイシン耐性遺伝子を含む本発明のシャトルベクターとしては、例えば、図4−1に示すpKITE301を挙げることができる。
配列番号:3又は4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド、大腸菌由来の複製起点ポリヌクレオチド、外来蛋白質発現用のプロモーター配列及びマルチクローニングサイトに加えて、カナマイシン耐性遺伝子以外の薬剤耐性遺伝子を含む本発明のシャトルベクターは、例えば、図4−2に示す、プラスミド1(配列番号:3に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド)にネオマイシン耐性遺伝子を含むpKITE102及びプラスミド3(配列番号:4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド)にネオマイシン耐性遺伝子を含むpKITE302、図4−3に示す、プラスミド1(配列番号:3に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド)にチオストレプトン耐性遺伝子を含むpKITE103及びプラスミド3(配列番号:4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド)にチオストレプトン耐性遺伝子を含むpKITE303を挙げることができる。
コクリア属に属する微生物としては、例えば、コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)、コクリア バリアンス(Kocuria varians)、コクリア フラバ(Kocuria flava)、及びコクリア ツルファネンシス(Kocuria turfanensis)に属する微生物を例示することができる。さらに、コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)に属する微生物は、例えば、コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)DC2201株(NBRC103217)であり、コクリア バリアンス(Kocuria varians)に属する微生物は、例えば、コクリア バリアンス(Kocuria varians)(NBRC15358)であり、コクリア フラバ(Kocuria flava)に属する微生物は、例えば、コクリア フラバ(Kocuria flava)(NBRC107626)であり、コクリア ツルファネンシス(Kocuria turfanensis)に属する微生物は、例えば、コクリア ツルファネンシス(Kocuria turfanensis)(NBRC107627)であることができる。
本発明のシャトルベクターは、大腸菌及びコクリア属に属する微生物の何れの菌体内においても、大腸菌及びコクリア属に属する微生物に対する外来蛋白質を発現可能である、所謂シャトルベクターとして機能する。
[組換えベクター]
本発明は、上記本発明の発現ベクター及びこの発現ベクターに挿入された外来蛋白質をコードするDNAを含む組換えベクターに関する。外来蛋白質には特に制限はなく、例えば、酵素、ホルモン、サイトカインなどを挙げることができる。特に、非水系、例えば、有機溶媒中または有機溶媒と水との混合溶媒系において物質生産を行い得る酵素等であることができる。そのような酵素としては、エステラーゼ、リパーゼ、アミノペプチターゼ、プロテアーゼ、ヒダントイナーゼ、アルコール脱水素酵素、アミノ酸脱水素酵素、アルコールオキシダーゼ、アミノ酸オキシダーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、チトクロームP450、モノオキシゲナーゼ、ジオキシゲナーゼ、ハロヒドリンエポキシダーゼ、ヒドロキシラーゼ、ニトリルヒドラターゼ、ニトリラーゼ、アミノトランスフェラーゼ、各種イソメラーゼ、アミノ酸リガーゼなどを挙げることができる。但し、これらに限定される意図ではない。
[形質転換体]
本発明は、宿主及び該宿主に導入された上記本発明の発現ベクター又は上記本発明の組換えベクターを含む、形質転換体に関する。
宿主は、特に制限はないが、例えば、大腸菌又はコクリア属に属する微生物であることができ、コクリア属に属する微生物は、例えば、コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)、コクリア バリアンス(Kocuria varians)、コクリア フラバ(Kocuria flava)、コクリア ツルファネンシス(Kocuria turfanensis)などに属する微生物であることができる。
本発明の形質転換体においては、コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)に属する微生物は、例えば、コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)DC2201株(NBRC103217)であり、コクリア バリアンス(Kocuria varians)に属する微生物は、例えば、コクリア バリアンス(Kocuria varians)(NBRC15385)であり、コクリア フラバ(Kocuria flava)に属する微生物は、例えば、コクリア フラバ(Kocuria flava)(NBRC107626)であり、コクリア ツルファネンシス(Kocuria turfanensis)に属する微生物は、例えば、コクリア ツルファネンシス(Kocuria turfanensis)(NBRC107627)などであることができる。
形質転換の方法は、特に制限はなく、常法を用いることができ、常法としては、例えばエレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法などを挙げることが出来る。外来蛋白質を発現させるための宿主及びベクタープラスミドの増殖、回収に用いる宿主として、コクリア属微生物を用いることができる。
[外来蛋白質の製造方法]
本発明は、上記本発明の形質転換体を培養する工程、及び培養により得られる培養物から外来蛋白質を単離する工程を含む、外来蛋白質の製造方法を包含する。
本発明において「培養物」とは、菌体、培養物、無細胞抽出液、細胞膜などの培養により得られるものを意味する。無細胞抽出液は、培養後の菌体を、例えばリン酸ナトリウム緩衝液を加えてホモジナイザーなどで物理的に破砕した後、遠心分離し、破砕できない菌体(細胞)が存在しないように上清を回収して得ることができる。細胞膜は、上記遠心で得られたペレットを溶解バッファーで懸濁することにより得ることができる。
目的外来蛋白質は、培養液をそのまま用いてもよいし、透析や硫安沈殿などの公知の方法、あるいはゲルろ過、イオン交換、アフィニティー等の各種クロマトグラフィーなどの公知の方法を単独または適宜組み合わせることによって、濃縮、精製したものを用いてもよい。
さらに本発明は、宿主がコクリア属に属する微生物である上記本発明の形質転換体を、有機溶媒を含有する培地を用いて培養する工程、及び培養により得られる培養物から外来蛋白質を単離する工程を含む、外来蛋白質の製造方法を包含する。
有機溶媒を含有する培地は、例えば、溶媒として有機溶媒のみを含有する培地及び溶媒として有機溶媒に加えて水を含有する培地を意味する。コクリア属微生物は有機溶媒を含有する培地においても細胞構造を維持する微生物であるので、有機溶媒を含有する培地において、目的物質の原料となる化学物質とコクリア属微生物形質転換体とを接触させた場合でも、形質転換体が溶けることで失活することもなく、高い生産性で目的物質を得ることが出来る。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。但し、実施例は本発明の例示であって、本発明は実施例に限定される意図ではない。
本実施例では、コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)DC2201株で自律的に複製、保持される大腸菌シャトルベクターを構築し、かつ外来遺伝子発現ベクターとして使用した。
実験方法
使用ベクターおよび宿主
野生型プラスミド取得にはKocuria palustris IPUFS-1株(石川県立大学より分譲)を用いた。クローニング宿主にはE. coli JM109 およびE. coli EC100D pir-116を用いた。野生型プラスミドの取得にはEZ-Tn5TM <R6Kγori/KAN-2> Insertion Kit (epicentre)を用いた。野生型プラスミドのサブクローニングにはpTA2 (Toyobo)を、qRT-PCRコントロールプラスミド構築にはpGEM-T Easy (Promega)、E. coli-Kocuria シャトルベクター構築<にはpUC118およびpHSG298を用いた。
遺伝子操作
プラスミド抽出、ゲノムDNA抽出、制限酵素処理、シーケンス解析等、一般的な遺伝子操作は常法に従い行った。シーケンス反応はBigDye Terminator Thermal Cycler Sequencing Kit ver3.1を用いて、メーカーのプロトコルに従い行った。シーケンス解析はキャピラリーDNAシーケンサー3130を用いて行った。
培養条件
K. palustris およびK. rhizophila DC2201 の培養には主にDC2201培地(1% トリプトン、1% 酵母エキス、0.5% NaCl、0.5% グルコース、0.3% カツオエキスpH 7.0)を用い、30℃で3〜7日間培養した。E. coliの培養にはLB培地を用い、37℃で培養した。それぞれ必要に応じて適宜抗生物質等を添加した。
K. palustris からのプラスミド粗抽出
K. palustris をDC2201寒天培地にストリークし、30℃で4日間培養した。生育したコロニーを一白金耳掻き取り、4 mLのDC2201培地に稙菌し30℃で3日間培養した。前培養液1 mLを100 mLのDC2201液体培地に稙菌し、30℃、200 rpmで3日間培養した。培養した菌体を遠心12,000 rpm、室温、5分間で集菌し、TEバッファーで洗菌した。洗菌後再び遠心により菌体を回収し、プラスミド抽出へ供した。
K. palustris からのプラスミド抽出はフェノール抽出法により、常法に従い行った。回収した菌体を10 mg/mL リゾチームを含むTEバッファー 10 mLに懸濁し、30℃で1時間処理した。菌体懸濁液にSDS(ラウリル硫酸ナトリウム)およびNaOHをそれぞれ終濃度1%、0.2 M になるように添加し、室温で5分間静置した。10 mLの3 M 酢酸ナトリウム溶液(pH 4.5)を添加し、転倒混和後12,000 rpm、4℃、20分間遠心し、上清を新しいチューブに回収した。等量のPCI(フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール, 25:24:1)を添加し転倒混和後、遠心(12,000 rpm、室温、10分間)により上清を回収した(フェノール抽出)。フェノール抽出を5回繰り返した後、等量のクロロホルムを添加し混和後、同様に遠心により上清を回収した。回収した上清に等量のイソプロピルアルコールを添加し室温で10分間静置後、12,000 rpm、4℃で20分間遠心した。ペレットを70%エタノールでリンスした後、風乾によりペレットを乾燥させた。乾燥したペレットを5 mLのTEバッファーに溶解後、10 UのRNase を添加し37℃で処理した。再びPCI抽出、クロロホルム抽出、エタノール沈殿を行い、最終的に得られたペレットをTEバッファーに溶解し、プラスミド粗抽出液とした。
塩化セシウム密度勾配超遠心法によるプラスミドの精製
得られたプラスミド粗抽出液をTEバッファーで20 mLに調整し、20 gの塩化セシウムを添加し溶解した。2 mLの10 mg/mL臭化エチジウム溶液を添加・混和し、必要に応じて塩化セシウムを添加して溶液密度を1.55 g/mLに調整した。超遠心チューブに分注し、65,000 rpm、室温、20時間超遠心を行った。超遠心終了後、UVライト照射下でプラスミドと思われるバンドをシリンジ及び注射針を用いて回収し、新しいチューブに移した。3倍量のTEバッファーを添加して希釈後、等量のイソアミルアルコールを添加し混和した。12,000 rpm、室温、5分間遠心して上層のイソアミルアルコールを取り除き、再び等量のイソアミルアルコールを添加した。この操作を水相中の臭化エチジウムが除かれるまで繰り返した。臭化エチジウム除去後、水相に等量のイソプロパノールを添加し室温で10分間静置した。常法に従いアルコール沈殿、風乾を行い得られたペレットを500μLのTEバッファーに溶解し、精製プラスミドサンプルとした。
EZ-Tn5TM <R6Kγori/KAN-2> Insertion Kitを用いたプラスミドレスキュー
精製プラスミドへのトランスポゾン挿入反応は、メーカーのマニュアルに従い行った。
反応液組成
200 ng プラスミドDNA
等モル量 EZ-Tn5 <R6Kγori/KAN-2> transposon
1μL 10x反応バッファー
1μL EZ-Tn5 transposase
滅菌水
Total 10μL
37℃で2時間反応後、1μLのEZ-Tn5 10x stop solution を加えて混和後、70℃で10分間加熱処理を行い、反応を停止した。
反応液1μLを用いて、50μLのE. coli EC100D pir-116コンピテントセル(epicentre)をエレクトロポレーション法により形質転換した。エレクトロポレーション後、950μLのSOC培地を添加して回復培養を行い、回復培養液100μLを50μg/mL カナマイシン入りLB寒天培地に塗布し37℃で一晩培養した。培養後生育したコロニーを新たなLBカナマイシンプレートにレプリカし、野生型プラスミドの解析に供した。
K. rhizophila DC2201 の薬剤耐性試験
K. rhizophila DC2201 野生株を4 mL DC2201液体培地に稙菌し、30℃、130 rpmで二日間培養した。培養液100μLを各薬剤1〜500μg/mLを含むDC2201寒天培地上に撒き、30℃で3〜7日間培養した。薬剤にはアンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、ハイグロマイシン、ストレプトマイシン、スペクチノマイシン、ゲンタマイシン、ネオマイシン、エリスロマイシン、アプラマイシン、チオストレプトンを検討した。培養後コロニー形成の有無を確認し、コロニーを形成しない薬剤濃度を最少生育阻止濃度(MIC)とした。
薬剤耐性遺伝子の合成
K. rhizophila DC2201 で機能する薬剤耐性遺伝子として、チオストレプトン耐性遺伝子(tsr; Accession no. CAA38132)、クロラムフェニコール耐性遺伝子(catSa; AGI91459)、テトラサイクリン耐性遺伝子(tetSl; AAA26830)、ゲンタマイシン耐性遺伝子(aacC1; AAB60000)、およびネオマイシン耐性遺伝子(aph1; AAA26699)を用いた。各遺伝子配列をデータベースより取得し、K. rhizophila DC2201 にコドンを最適化した後に合成した。合成はGenewiz 社に委託した。
複製最小領域の特定
得られたプラスミド配列を基にPCRプライマーを設計し、特定領域を順次欠失させたPCR断片を増幅した。ドナーベクターとしてInverse PCRにより増幅したpHSG298増幅断片を制限酵素Bgl II/Nco IないしBgl II/Nde Iで処理し、アガロースゲル電気泳動にて分離精製した。精製したドナーベクターに各プラスミド増幅断片をライゲーションしE. coli JM109へ形質転換した。得られた形質転換体からプラスミド抽出を行い、制限酵素処理によるインサート導入確認およびシーケンスによる配列確認後、K. rhizophila DC2201の形質転換に供した。
E. coli-Kocuria シャトルベクターの構築
解析したプラスミドの複製最小領域を増幅するPCRプライマーを設計し、超遠心精製したプラスミドサンプルをテンプレートとしてinverse PCRを行った。得られたPCR増幅断片を制限酵素Bgl II/Nco Iで処理し、アガロースゲル電気泳動による分離、精製後インサートとした。同様にpHSG298およびpUC118に対してもinverse PCRを行い、増幅断片の制限酵素処理を行った。使用したPCRプライマーは表1-1に記載した。制限酵素処理後、アガロースゲル電気泳動により分離・精製したインサートおよびベクターの断片を用いてライゲーションし、E. coli JM109 へ形質転換した。得られたコロニーをピックアップし、プラスミド抽出・制限酵素処理により断片挿入を確認した。さらに、必要に応じて薬剤耐性遺伝子を導入する場合には、薬剤耐性遺伝子の両末端にBgl IIおよびBamH I制限酵素サイトを付加してPCR増幅を行い、同制限酵素で処理後、構築したプラスミドのBgl IIサイトに導入した。それぞれ構築したプラスミドを用いて、K. rhizophila DC2201の形質転換を行った。
K. rhizophila DC2201 の形質転換
K. rhizophila DC2201は4 mL DC2201培地で2日間前培養した。100 mLのLB液体培地(1.5 % グリシン含有)に1 mLの前培養液を稙菌し、30℃、150 rpmでOD600が0.7になるまで培養した。培養液を10分間氷上で冷却し、1,500×g、4℃、10分間遠心し菌体を回収した。菌体を氷冷した滅菌水30 mLで洗菌後、再び遠心により集菌した。洗菌作業を2回繰り返した後、1 mLの10%グリセロール溶液に菌体を懸濁し、OD600を測定した。測定後、OD600が50になるように菌体懸濁液を希釈し、エッペンチューブに100μLずつ分注して液体窒素で凍結しコンピテントセルとした。
K. rhizophila DC2201の形質転換はエレクトロポレーション法により行った。1μgのプラスミドDNAサンプルとコンピテントセルを混和し、35℃で5分間処理した。氷上で30分間静置後、菌体-プラスミド混合液をキュベット(2 mm ギャップ)に移した。2.5 kv, 400オーム,25μFでエレクトロポレーション後、900μLのSOC 培地を添加・混和し50 mLファルコンチューブに移した。30℃、130 rpmで16時間回復培養し、抗生物質を含むDC2201寒天培地に100μLずつ撒いて30℃で3〜7日間培養した。
RT-qPCRによるプラスミドコピー数測定
RT-qPCR(Real Time-quantitative PCR)にはニッポンジーン社のGeneAce SYBR(R) qPCR Mix α Low ROX を用い、Applied Biosystems 7500 Real-Time PCR Systemにより行った。
反応組成
1μL 鋳型DNA
25μM primers
2x GeneAce SYBR qPCR Mix a Low ROX
MilliQ 水
total 25μL
RT-qPCRによるプラスミドコピー数算出は、絶対定量法により行った。検量線作成には、K. rhizophila DC2201 ゲノム配列中の解糖系酵素遺伝子(TPI:トリオースリン酸イソメラーゼ、PGK:ホスホグリセリン酸キナーゼ、ENO:エノラーゼ)および構築したプラスミドベクターのカナマイシン耐性遺伝子からそれぞれ約200塩基対程度の領域を選び、それらの領域のPCR産物をpTA2ベクターへクローニングしたものを適宜希釈して用いた。RT-qPCR用のプライマーは"Primer3"(http://bioinfo.ut.ee/primer3-0.4.0/)を用いて設計した(表1−2)。
プラスミド保持率試験
構築したプラスミドベクターを導入したK. rhizophila DC2201菌体を4 mL DC2201液体培地(400μg/mL カナマイシン)で2日間培養した。培養液40μLを抗生物質を含まない4 mL DC2201液体培地に稙菌し、30℃、130 rpmで12時間培養した。培養12時間ごとに植え継ぎを繰り返すと同時に、106倍希釈した培養液100μLをDC2201寒天培地(カナマイシン含有および非含有)に撒き30℃で3日間培養した。カナマイシン含有および非含有培地にそれぞれ生育したコロニーの数を計数し、プラスミド保持率を算出した。
プラスミド共存試験
構築したシャトルベクターpKITE102をK. rhizophila DC2201へ導入し、得られた形質転換体を用いてコンピテントセルを調製した。調製したコンピテントセルにpKITE303を導入し、二剤耐性形質転換体を選抜した。得られた形質転換体よりプラスミドを抽出し、アガロースゲル電気泳動により2種のプラスミドの共存を確認した。
構築したシャトルベクターを用いたアルコール脱水素酵素(LSADH)遺伝子の発現
構築したE. coli-Kocuria シャトルベクターが遺伝子発現に利用できるか調べるため、Leifsonia sp. S749 由来アルコール脱水素酵素(LSADH)をpKITE103およびpKITE303へ導入し、K. rhizophila DC2201 による発現を試みた。構築したpKITE103 およびpKITE303のマルチクローニングサイト内にNde I 認識配列を導入するため、変異導入用プライマー(表1-3)を用いたPCRを行った。K. rhizophila DC2201 ゲノムDNAを鋳型としてPCRを行い、グリセルアルデヒド3-リン酸脱水素酵素(GAPDH)遺伝子のプロモーター配列を増幅し、制限酵素Nco IおよびNde Iで処理後、同制限酵素で切断処理を行った上記ベクターのNco I サイトおよびNde I サイトに導入した。得られたGAPDHプロモーター導入ベクターのNde IサイトおよびHind III サイトを用いて、Leifsonia sp. S749 ゲノムDNAより増幅したLSADH遺伝子をライゲーションしE. coli JM109へ形質転換した。得られたプラスミドをK. rhizophila DC2201へ形質転換し、10μg/mLのチオストレプトンを含む選択培地上で形質転換体を得た。得られた形質転換体を10 mLのDC2201液体培地に稙菌し、30℃で2日間培養した。培養菌体を遠心回収し、50 mM KPB (pH 7.0)で洗菌後、LSADH活性測定へと供した。
LSADH活性測定
集菌したK. rhizophila DC2201 菌体を50 mM KPB (pH 7.0)へ再懸濁し、超音波破砕機により菌体を破砕した。遠心(15,000 rpm, 10分間)により上清を回収し、酵素液としてLSADH活性測定に供した。LSADH活性測定は以下の通りに行った。反応液として50 mM KPB (pH 6.0)、10 mM トリフルオロアセトフェノン、0.2 mM NADHが全量990μLになるように調製し、30℃で3分間予備加温した。10μLの酵素液を予備加温した反応液に添加・懸濁後、分光光度計(島津UV2550)を用いて340 nmの吸光度の減少を測定した。LSADH活性はNADHの分子吸光係数6,220 M-1cm-1を用いて算出した。
実験結果
K. palustris からのプラスミド精製
石川県立大学より分譲頂いたK. palustris IPUFS-1株をDC2201液体培地で培養し、Wizard SV DNA purification system (Promega)によりプラスミド精製を行った。アガロースゲル電気泳動により複数のバンドが確認できたことから、本菌株が数種類の内在性プラスミドを有することが示唆された。
これらのプラスミドの大量調製を行うために、100 mL の培養液からフェノール抽出法によりプラスミドの粗精製を行い、塩化セシウム密度勾配超遠心法により精製を行った。電気泳動により精製プラスミドの純度を確認し、以降の操作に供した。
EZ-Tn5TM <R6Kγori/KAN-2> Insertion Kitを用いたプラスミドレスキュー
精製したプラスミドを用いて、EZ-Tn5TM <R6Kγori/KAN-2> Insertion Kit(http://arb-ls.com/products/eztn5_r6kgammaori_kan2_tnp_transposome_kit/)によるトランスポゾン挿入及びE. coli EC100D pir-116 への形質転換を行った。得られた形質転換体をランダムに選抜し、プラスミド抽出および制限酵素処理によるサイズ確認を行った。その結果、複数のクローンにおいて野生型プラスミドへのトランスポゾン挿入の結果と推測されるバンドが確認された。これらのクローンについて、シーケンスによる配列確認を行った。シーケンスプライマーにはキットに付属のトランスポゾン配列に対応するプライマーを用いた。その結果、これらのクローンでプラスミドの一部に相当すると思われる配列が確認された。プライマーウォーキング法によりこれらのクローンの塩基配列を解析した結果、得られたクローンは3種類のプラスミド1〜3に分類されることが明らかになった。
K. palustris 野生型プラスミドの遺伝子構造
3種のプラスミドの内、プラスミド1[配列番号1]及びプラスミド3[配列番号2]の遺伝子構造を図1に示す。プラスミド1及びプラスミド3はそれぞれ2251, 4443 塩基対からなる環状プラスミドであった。プラスミド2からは、後述するように形質転換体は得られなかった。プラスミド1は、replicase ABから構成される複製遺伝子を有していた。これに対しプラスミド3には、replicaseのような複製遺伝子は見いだされなかった。しかし、塩基配列の相同性検索の結果、プラスミド3の配列の一部でK. rhizophilaのゲノムDNA配列と高度に一致する領域が見出された(図1 plasmid3 黒色BOX領域)。ORF検索プログラムによる検索結果、プラスミド1 にはRepABのみがコードされていた。またこのプラスミドには他の細菌類プラスミドの複製開始起点(ori)と相同な配列がコードされていた(表2-1)。プラスミド3には6つのORFが見出され、そのうちの一つはDNA組換え酵素の一種であるリコンビナーゼと50%程度の相同性を示した。しかし、他のORFについては該当する遺伝子が無いか、もしくは未同定のhypothetical proteinとのみ相同性を示した。各プラスミドに見出されたORFの相同性検索の結果を表2-2に示す。
K. rhizophila DC2201 の薬剤耐性試験
シャトルベクター構築に当たり、K. rhizophila DC2201で選択マーカーとして使用可能な薬剤を検討した。各薬剤のK. rhizophila DC2201に対する最少生育阻止濃度(MIC)を表3に示す。アンピシリンおよびエリスロマイシンは1μg/mL以下の濃度で生育を阻害することが明らかとなり、使用薬剤としては適さないと考えられた。またアプラマイシン、ストレプトマイシン、スペクチノマイシンは500μg/mLの濃度においても生育するコロニーが見られたことからこれらも選択マーカーとしては適さないと考えられる。最終的にカナマイシン、テトラサイクリン、ゲンタマイシン、ネオマイシン、チオストレプトンを選択マーカーとして検討することとした。
E. coli-Kocuria シャトルベクター構築
各プラスミドの複製最小領域を特定するため、各プラスミドをそれぞれPCRにより増幅し各領域を欠失した増幅断片を得た。これらの増幅断片をpHSG298にクローニングしK. rhizophila DC2201への形質転換を行った結果、プラスミド1およびプラスミド3をクローニングしたクローンでのみ形質転換体が得られた。しかし、プラスミド2由来の形質転換体は得られなかった。またプラスミド1の複製最小領域はレプリカーゼA,Bおよびその上流に位置する複製起点(ori)を含む領域であることが明らかとなった(図3)。一方、プラスミド3の複製最小領域は、K. rhizophila DC2201 ゲノム配列と高度に相同性を有する領域であることが分かり、リコンビナーゼ(XerD)と推測される領域は複製には必須ではないことが明らかとなった(図4)。プラスミド1の複製最小領域の塩基配列は[配列番号3]に示す。プラスミド3の複製最小領域の塩基配列は、[配列番号4]に示す。
これらの結果を踏まえ、プラスミド1およびプラスミド3を用いたシャトルベクター構築を行った。各プラスミドの複製最小領域をPCRにより増幅し、制限酵素Bgl II およびNco I サイトを用いてpHSG298のInverse PCR 増幅断片へとクローニングした。得られたベクターをそれぞれpKITE101およびpKITE301とした。これらのベクターを用いてK. rhizophila DC2201への形質転換を行った結果、それぞれカナマイシン耐性を有する形質転換体を得ることができた。また、他の薬剤耐性マーカーを持つベクターを構築するために、上記の複製最小領域PCR断片をpUC118 Inverse PCR 増幅断片へクローニングした。合成した薬剤耐性遺伝子をBamH IおよびBgl IIで切断処理した後にアガロースゲル電気泳動で分離・精製し、Bgl II 処理を行ったプラスミドとライゲーション後E. coli JM109へ形質転換した。得られたプラスミドへの薬剤耐性遺伝子挿入を確認後、K. rhizophila DC2201への形質転換を行った。この結果、ネオマイシン耐性遺伝子(aph1)およびチオストレプトン耐性遺伝子(tsr)をそれぞれ導入したプラスミドを用いた時、それぞれの薬剤耐性を示すK. rhizophila DC2201 形質転換体を得ることができた。これにより得られたシャトルベクターをそれぞれpKITE102(ネオマイシン耐性)、pKITE103(チオストレプトン耐性)、pKITE302(ネオマイシン耐性)、pKITE303(チオストレプトン耐性)とした。構築したベクターを図4-1〜4-3および表4にまとめた。また、各ベクターの塩基配列は[配列番号5]〜[配列番号10]に示す。
E. coli-Kocuria シャトルベクターのコピー数
pKITE101またはpKITE301を導入した K. rhizophila DC2201よりDNAを抽出し、解糖系遺伝子(TPI、PGK、ENO)およびカナマイシン耐性遺伝子(kan)に対するRT-qPCRを行った。絶対定量法により各増幅断片を定量しプラスミドコピー数を算出した結果、一細胞あたりpKITE101は約50〜90コピー、pKITE301は約10〜30コピーであることが明らかとなった。
E. coli-Kocuria シャトルベクターのプラスミド保持率
構築したシャトルベクターのK. rhizophila DC2201細胞内における安定性・保持率を調べるために、薬剤を含まない培地で継代培養を行い、一定の継代回数ごとに薬剤含有プレート上に撒きコロニー形成率を算出した(図6)。pKITE101については100回継代培養を行った後でもコロニー形成率は99%を超えていた。このことからpKITE101は薬剤を含まない培地中においても安定に複製、保持されることが明らかとなった。一方でpKITE301については継代10回目においてコロニー形成率が約3%以下にまで低下し、選択圧がない条件下ではプラスミドが安定に保持されないことが推測される。両プラスミドはそのコピー数がそれぞれ異なり、pKITE101は50〜90コピー、pKITE301は10〜30コピーとpKITE101の方がコピー数が多いことが明らかとなっている。これらのプラスミドは細胞分裂の際に自然拡散的にそれぞれの娘細胞に受け継がれると考えられることから、コピー数の違いがプラスミドの安定保持率に大きく寄与していることが推測される。
E. coli-Kocuria シャトルベクターの形質転換効率
pKITE101のK. rhizophila DC2201に対する形質転換効率は 5〜10×102 cfu(コロニー生成単位)/μgDNA、pKITE301では 2〜5×106 cfu/μgDNAであった。
構築プラスミドの共存試験
構築したE. coli-Kocuria シャトルベクターがK. rhizophila DC2201内で共存できるか調べるため、pKITE102およびpKITE303を同時に導入した形質転換体を作成した。得られた形質転換体はネオマイシンおよびチオストレプトンの両薬剤に対して耐性を示した。またこれらの形質転換体を培養しプラスミドを抽出したところ、それぞれのプラスミドに由来すると考えられるバンドが確認できた(図7)。
構築したシャトルベクターを用いたアルコール脱水素酵素(LSADH)遺伝子の発現
構築したE. coli-Kocuria シャトルベクターの実用性を確認するため、Leifsonia sp. S749 由来アルコール脱水素酵素LSADHの導入、発現を試みた。pHSG298が有するlacZプロモーターはK. rhizophila DC2201内で機能しない可能性が推測されたため、K. rhizophila DC2201由来のプロモーターの使用を検討した。解糖系酵素GAPDHは比較的高発現であることが知られていることから、本遺伝子プロモーターの使用を検討した。K. rhizophila DC2201ゲノムDNAを鋳型としてPCRを行い、GAPDH開始コドン上流の約300塩基対の配列を増幅した。同時に、pKITE103およびpKITE303のマルチクローニングサイトのEcoR I サイト直上にNde I サイトを導入するため、変異導入プライマーを用いたPCRを両ベクターに対して行った。得られたNde I サイト導入ベクターpKITE103nde [配列12]およびpKITE303nde [配列13]を制限酵素Nco I, Nde I で切断処理後、増幅したGAPDHプロモーター断片[配列14を挿入しpKITE103PgapおよびpKITE303Pgap を得た。これらのベクターを制限酵素Nde I、Hind III により切断し、PCR増幅したLSADH遺伝子を導入し最終的にpKITE103PgapLSADHおよびpKITE303PgapLSADHを得た[図5、配列15、16]。これらのプラスミドをK. rhizophila DC2201へ形質転換し、チオストレプトン耐性を示す形質転換体を選抜した。
得られた形質転換体をDC2201 培地で培養し、菌体の回収及び超音波破砕を行った。得られた細胞破砕液上清を用いたLSADH活性測定を行った結果、それぞれのプラスミド導入株において2.39 U/mgおよび1.13 U/mg の比活性が得られた。このことから、K. rhizophila DC2201 由来のGAPDHプロモーターが正常に機能し、Kocuria 菌体内でLSADH遺伝子が正常に発現していることが明らかになるとともに、構築したベクターがK. rhizophila DC2201における遺伝子発現に有効であることが実証できた。
本発明は、コクリア属に属する微生物内及び大腸菌内で複製可能なシャトルベクターを含む形質転換体を用いた外来蛋白質の製造方法に関連する分野に有用である。
配列番号1:プラスミド1の塩基配列
配列番号2:プラスミド3の塩基配列
配列番号3:プラスミド1の複製最小領域の塩基配列
配列番号4:プラスミド3の複製最小領域の塩基配列
配列番号5:pKITE101塩基配列
配列番号6:pKITE102塩基配列
配列番号7:pKITE103塩基配列
配列番号8:pKITE301塩基配列
配列番号9:pKITE302塩基配列
配列番号10:pKITE303塩基配列
配列番号11:pKITE103nde塩基配列
配列番号12:pKITE303nde塩基配列
配列番号13:GAPDHプロモーター断片
配列番号14:pKITE103PgapLSADH
配列番号15:pKITE303PgapLSADH
配列番号16〜21:複製起点付近配列。pColE2-P9; Shigella sp. (Accession no. D30054), pB264; Rhodococcus sp. B264 (AY297818), pNC903; Rhodococcus ruber (NG_036129), pRGI00846; Uncultured bacterium plasmid (HG796382), pCASE1; Corynebacterium casei (CP004351).
配列番号22:改変pBR322ori(pUCori)塩基配列
配列番号23〜24:Tn5 プライマー
配列番号25〜42:プラスミド1 シーケンス用プライマー
配列番号43〜56:プラスミド3 シーケンス用プライマー
配列番号57〜62:シャトルベクター構築用プライマー
配列番号63〜74:RT-qPCR 用プライマー
配列番号75〜80:プロモーター、LSADH遺伝子導入用プライマー

Claims (17)

  1. 下記(1)〜(3)のいずれかのポリヌクレオチドを含む、コクリア属に属する微生物において複製可能なベクター:
    (1)配列番号:3若しくは4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド、
    (2)配列番号:3に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が置換、欠失及び/若しくは挿入された配列を有し、コクリア属に属する微生物内において複製可能であり、かつコクリア属に属する微生物内において存在可能なコピー数が50〜90の範囲であるポリヌクレオチド、
    (3)配列番号:4に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が置換、欠失及び/若しくは挿入された配列を有し、コクリア属に属する微生物内において複製可能であり、かつコクリア属に属する微生物内において存在可能なコピー数が10〜30の範囲であるポリヌクレオチド
  2. 下記(1)〜(3)のいずれかのポリヌクレオチド及び下記(4)のポリヌクレオチドを含み、コクリア属に属する微生物及び大腸菌において複製可能なシャトルベクター。
    (1)配列番号:3若しくは4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド、
    (2)配列番号:3に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が置換、欠失及び/若しくは挿入された配列を有し、コクリア属に属する微生物内において複製可能であり、かつコクリア属に属する微生物内において存在可能なコピー数が50〜90の範囲であるポリヌクレオチド、
    3)配列番号:4に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が置換、欠失及び/若しくは挿入された配列を有し、コクリア属に属する微生物内において複製可能であり、かつコクリア属に属する微生物内において存在可能なコピー数が10〜30の範囲であるポリヌクレオチド
    (4)大腸菌由来の複製起点ポリヌクレオチド
  3. マルチクローニングサイト、プロモーター配列及び薬剤耐性遺伝子から成る群から選ばれる少なくとも1種の配列をさらに含む請求項2に記載のベクター。
  4. 前記マルチクローニングサイトに大腸菌及びコクリア属の何れにも属さない微生物由来の蛋白質(以下、外来蛋白質)をコードするポリヌクレオチドを挿入して、前記外来蛋白質を大腸菌及びコクリア属に属する微生物において発現させるために用いる、請求項3に記載のシャトルベクター。
  5. 前記薬剤耐性がカナマイシン耐性、ネオマイシン耐性、又はチオストレプトン耐性である請求項3又は4に記載のベクター。
  6. 配列番号:5〜12のいずれかに記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドからなる請求項2〜5のいずれか1項に記載のシャトルベクター。
  7. 前記コクリア属に属する微生物が、コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)、コクリア バリアンス(Kocuria varians)、コクリア フラバ(Kocuria flava)、又はコクリア ツルファネンシス(Kocuria turfanensis)に属する微生物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のベクター。
  8. 前記コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)に属する微生物が、コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)DC2201株(NBRC103217)、コクリア バリアンス(Kocuria varians)に属する微生物が、コクリア バリアンス(Kocuria varians)(NBRC15358)、コクリア フラバ(Kocuria flava)に属する微生物が、コクリア フラバ(Kocuria flava)(NBRC107626)、コクリア ツルファネンシス(Kocuria turfanensis)に属する微生物が、コクリア ツルファネンシス(Kocuria turfanensis)(NBRC107627)である、請求項7に記載のベクター。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のベクター及び該ベクターに挿入された外来蛋白質をコードするDNAを含む組換えベクター。
  10. 前記外来蛋白質が、大腸菌及びコクリア属の何れにも属さない微生物由来の蛋白質である請求項9に記載の組換えベクター。
  11. 配列番号:14又は15に記載の塩基配列からなる組換えベクターである、請求項10に記載の組換えベクター。
  12. 宿主及び該宿主に導入された請求項1〜8のいずれか1項に記載のベクター又は請求項9〜11のいずれか1項に記載の組換えベクターを含む、形質転換体。
  13. 宿主が、大腸菌又はコクリア属に属する微生物である請求項12に記載の形質転換体。
  14. 前記コクリア属に属する微生物が、コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)、コクリア バリアンス(Kocuria varians)、コクリア フラバ(Kocuria flava)、又はコクリア ツルファネンシス(Kocuria turfanensis)に属する微生物である、請求項13に記載の形質転換体。
  15. 前記コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)に属する微生物がコクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)DC2201株(NBRC103217)、コクリア バリアンス(Kocuria varians)(NBRC15358)、コクリア フラバ(Kocuria flava)(NBRC107626)、又はコクリア ツルファネンシス(Kocuria turfanensis)(NBRC107627)である、請求項14に記載の形質転換体。
  16. 請求項12〜15のいずれか1項に記載の形質転換体を培養する工程、及び培養により得られる培養物から外来蛋白質を単離する工程を含む、外来蛋白質の製造方法。
  17. 請求項13〜15のいずれか1項に記載の形質転換体を、有機溶媒を含有する培地を用いて培養する工程、及び培養により得られる培養物から外来蛋白質を単離する工程を含む、外来蛋白質の製造方法。
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