JP6813797B2 - 浴室洗い場床用洗浄装置 - Google Patents
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Description
まず、本発明の一実施形態による浴室洗い場用洗浄装置100が設置される浴室の一例について説明する。図1は、そのような浴室の一例を表す模式的斜視図である。
次に、図3は、本発明の一実施形態に係る浴室洗い場用洗浄装置を例示する模式図であり、カウンター530を側方から見た様子を示している。図3に示すように、本実施形態に係る浴室洗い場用洗浄装置100(以下、説明の便宜上、「洗浄装置100」と略称する)は、カウンター530の下部に突出するノズル部10aと、カウンター530の内部に収容された制御部30(後述するように散水制御部と回転制御部とを兼ねる)と、を備えている。
本実施形態において、ノズル部10aの位置姿勢は、洗浄水(水道水または低濃度殺菌水)が散水される洗い場床520上の領域を変えるよう、変動することができる。具体的には、ノズル部10aは、電動モータ17によって回転駆動されるようになっている。電動モータ17は、例えばステッピングモータからなる。
次に、以上のような構成からなる本実施形態の洗浄装置100の動作例(作用)について説明する。図6は、本実施形態の洗浄装置100の制御フローを示す概略図である。
以上の通り、本実施形態の洗浄装置100は、浴室500の洗い場を構成すると共に排水口521を有する洗い場床520を洗浄する浴室洗い場床用洗浄装置であって、洗い場床520上に洗浄水を散水する洗浄手段であるノズル部10aと、ノズル部10aを制御する制御部30と、を備えている。そして、制御部30が、ノズル部10aを制御することによって、洗い場床520に残存する黒カビの発生原因である角質が当該洗い場床520から排水口521に排出されるように洗浄水を散水する黒カビ抑制工程S1と、洗い場床520に残存するメチロバクテリウムを含んだ残水がメチロバクテリウムが取り除かれた洗浄水に置換されるように洗浄水を散水するピンクスライム抑制工程S3と、を実施する。
本実施形態の洗浄装置100は、浴室500の洗い場を構成すると共に排水口521を有する洗い場床520を洗浄する浴室洗い場床用洗浄装置であって、洗い場床520上に洗浄水を散水する洗浄手段であるノズル部10aと、ノズル部10aを制御する制御部30と、を備えている。そして、制御部30が、ノズル部10aを制御することによって、洗い場床520に残存する黒カビの発生原因である角質が当該洗い場床520から排水口521に排出されるように洗浄水を散水する黒カビ抑制工程S1と、洗い場床520に残存するメチロバクテリウムを含んだ残水がメチロバクテリウムが取り除かれた洗浄水に置換されるように洗浄水を散水するピンクスライム抑制工程S3と、を実施するようになっている。そして、制御部300は、黒カビ抑制工程S1とピンクスライム抑制工程S3とにおいて、洗い場床520に対する散水を変更するように構成されている。
このように、本実施形態の2つの工程において、異なる要求が存在し、例えば、黒カビ抑制工程S1における散水の水量や水勢でピンクスライム抑制工程S3を実行すると、散水前にメチロバクテリウムを高精度に除去するには、除去手段の性能がとても高いものが要求されることになる。
本実施形態においては、ピンクスライム抑制工程S3では、角質をふやかす、剥がすという要求がない、という本件発明者の特有の知見に基づいて、散水の仕方を最適に変えるという簡単な構成で両工程の要求を高いレベルで満足し、メチロバクテリウムの除去性能を高めている。
ここで、制御部30は、ノズル部10aを制御することによって、黒カビ抑制工程S1とピンクスライム抑制工程S3との両方において、洗い場床520及び洗い場床520の周囲に立ち上がる浴室壁541〜544の下部に散水するようになっていることが更に好ましく、黒カビ抑制工程S1における水道水による浴室壁541〜544の下部に対する散水位置より、黒カビ抑制工程S1の後に実施されるピンクスライム抑制工程S3におけるメチロバクテリウムが取り除かれた洗浄水による浴室壁541〜544の下部に対する散水位置の方が高いことが更に好ましい。
一方、水によって黒カビ抑制工程S1を行う場合には、水中のメチロバクテリウムを増やすように散水することにもなる。従って、黒カビ抑制工程S1は、ピンクスライム抑制工程S3の前に必ず実行することが好ましい。
以上のような単純な制御態様の採用により、水による黒カビ抑制の課題を解決できる。
更に、角質は、使用者が体を洗う際に発生するため、シャワー等の影響で浴室壁541〜544の壁際に溜まりやすい。そのために、黒カビ抑制工程S1の散水を壁下部にも及ぶようにすることで、壁際の角質をも確実に除去できる。
一方、壁際にメチロバクテリウムが散水されれば、壁際にピンクスライムが発生する可能性も高まる。このため、ピンクスライム抑制工程S3の散水領域を黒カビ抑制工程S1の散水領域の全てを網羅するように後者より広い範囲とする、すなわち、ピンクスライム抑制工程S3において浴室壁541〜544のより高い位置まで散水することが好ましい。これにより、簡単な制御での、かつ安価な水での洗浄を実現でき、実用上極めて有用な効果を提供することができる。
一方で、ピンクスライム抑制工程S3における散水量(流量)を増やせば、置換性能は高まるし、置換にかかる時間も短縮できる。しかしながら、メチロバクテリウムを含まない洗浄水の生成量を確保するための生成性能が高いものが必要となってしまう。
要するに、ピンクスライム抑制工程S3では、散水に対する水量や水勢が不要であるという知見に基づき、単位時間あたりの散水水量を減少させることが好ましいのである。これによって、安価でありながら確実に残水置換を行えるシステムを構築できる。
本実施形態の洗浄装置100は、浴室500の洗い場を構成すると共に排水口521を有する洗い場床520を洗浄する浴室洗い場床用洗浄装置であって、洗い場床520上に洗浄水を散水する洗浄手段であるノズル部10aと、ノズル部10aを制御する制御部30と、を備えている。そして、制御部30が、ノズル部10aを制御することによって、洗い場床520に残存する黒カビの発生原因である角質が当該洗い場床520から排水口521に排出されるように洗浄水を散水する黒カビ抑制工程S1と、洗い場床520に残存するメチロバクテリウムを含んだ残水がメチロバクテリウムが取り除かれた洗浄水に置換されるように洗浄水を散水するピンクスライム抑制工程S3と、を実施する。
そして更に、本実施形態の制御部30は、予め設定された条件に従って、黒カビ抑制工程S1とピンクスライム抑制工程S3との少なくとも一方において洗い場床520に対する散水を変更する実行条件変更手段30aを有している(図3参照)。
水や、バクテリアを除去した水や、低濃度の殺菌水を洗浄水として使用する場合、黒カビが発生したりピンクスライムが発生したりしてしまうと、当該洗浄水の散水では殺菌ができないため、黒カビやピンクスライムの増殖を止めることができない。よって、如何に黒カビやピンクスライムを発生させないようにするかが重要となる。
より詳細に説明すれば、角質の除去は、基本的には水でも可能であるのだが、角質が多い場合や角質が乾燥して床面に貼り付いてしまっていた場合には、当該角質の除去が困難で残ってしまうことがある。これが原因で黒カビが発生してしまう。また、ピンクスライムは、一旦発生してしまうと、粘膜に覆われているため、水では除去が困難で、殺菌性能の高いものを用いての対応が必要となる。
従って、実行条件変更手段30aを設けておいて、カビ発生のリスクに応じた条件を予め設定しておいて、状況に応じて丁寧に各工程S1、S3の散水制御を変更することが好ましいのである。これによって、手動の制御や一定の(固定的な)制御を行うものに比べて、飛躍的にカビやピンクスライムの発生を抑制するに成功したものである。
入浴後から洗浄開始までの放置時間が長くなれば、角質の乾燥が生じ、薄い角質は床面に強固に貼り付く。また、水中のメチロバクテリウムも、乾燥によって洗い場床520へ固着する。角質が洗い場床520に固着した状態では、角質の除去性能を高める対応が必要となる。
従って、例えば、放置時間が長いほど乾燥が進み固着が進んでいて、放置時間が短ければ固着があまり進んでいないと判断し、洗浄開始にあたり、放置時間に対応するような散水制御(洗浄制御)を実施することが好ましい。これによって、節水性と除去性の両立を高めることができる。
温度が高くなれば、角質が早く乾燥するため、固着が発生しやすい。また、湿度が高くなれば、カビ等の増殖は激しくなる。温度や湿度の情報は、これらの測定結果を用いる他、時期(季節)の情報に基づいて推定してもよい。これらに対応するような制御を採用することで、浴室500にカビやピンクスライムという最終的に嫌なものを発生させることを長期間抑制できる。
洗い場を長年使用することによって、洗い場床520上に傷や凹凸が形成され、角質やピンクスライムが固着しやすくなる。また、汚れの付着やコーティングの劣化等によって排水性の低下等が生じて、角質やピンクスライムが床面に残りやすくなる懸念が高まる。従って、経年変化で変化する浴室500の状態に合わせた洗浄制御を採用することが好ましい。浴室500の使用期間によって経年補正を行えば、簡単な構成であって煩わしさもない一方で、本発明の効果を高めることができる。
入浴者数が増加すれば、角質が多くなり、使用水量も多くなるため残留するメチロバクテリウムも多くなる。入浴者数に見合った洗浄制御が採用されれば、節水性を維持した上で、最適な黒カビ及びピンクスライムの抑制が実現できる。
角質除去や、メチロバクテリウムを含まない洗浄水への置換に際して、浴室500の使用状態等に応じて、水量、水勢、水温、殺菌濃度の少なくとも一つが変化するため、洗浄強度を変更でき、当該状態にとって最適な洗浄が実現できる。
例えば、角質やメチロバクテリウムの乾燥等による床面貼り付きに対する対策として、角質については再度ふやかすことが水でも対応できるのでそのような対応が望ましく、メチロバクテリウムを含まない洗浄水への置換については散水水量の増加で置換の確実性を高めることが望ましい。従って、各工程S1、S3の洗浄水の単位面積あたりの散水水量の総量を変更することによって、安価に確実に黒カビ、ピンクスライムの発生要因を除去できる。
前述してきたような予め設定された条件に基づく自動制御によっても、洗い場床520は「きれいな状態」を長持ちできる。しかし、「きれいな状態」に対する個々人の評価値や、使用状態のばらつき(過酷さ)、来客等の際に普段よりも更に一層「きれいな状態」にしておきたい、といった要望に応えることができるように、利用者による入力条件に従って手動で制御内容を調整できるような手動変更手段30bを設けておけば、利用者の満足度や使用勝手を更に向上することができる。
カビやピンクスライムの発生原因を取り除くことで浴室500の洗い場床520の「きれいな状態」を長持ちさせる事前対応制御のみならず、発生したカビやピンクスライムにも対応できる従来型の事後対応制御をも兼ね備えておくことで、浴室500の洗い場床520の「きれいな状態」をより確実に長期間維持でき、掃除の手間を相当量低減できる。
このように、事前対応制御と事後対応制御の各々の頻度を最適化するように調整しておくことで、ランニングコストを最適化しつつ、「きれいな状態」をより確実に長時間維持することができる。
前述してきたような予め設定された条件に基づく自動制御によっても、洗い場床520は「きれいな状態」を長持ちできる。しかし、如何なる状況にあっても確実にカビの発生を防止するというのは難しい。例えば、角質以外の栄養分の堆積によってカビが発生したり、メチロバクテリウムが飛散したり置換水でない水を置換後に撒いてしまった場合などにはピンクスライムが発生してしまう。黒カビやピンクスライムが発生してしまった場合、水やメチロバクテリウムを含まない洗浄水では、それらを除去できない。そこで、例えば殺菌性を高めた洗浄を行う手動モードを設けておけば、「きれいな状態」の長持ち機能に加えて、発生してしまったカビ等を殺菌する機能も実装でき、利用者の満足度はより一層高められる。
本実施形態の洗浄装置100は、浴室500の洗い場を構成すると共に排水口521を有する洗い場床520を洗浄する浴室洗い場床用洗浄装置であって、洗い場床520上に洗浄水を散水する洗浄手段であるノズル部10aと、ノズル部10aを制御する制御部30と、を備えている。そして、制御部30が、ノズル部10aを制御することによって、洗い場床520に残存するメチロバクテリウムを含んだ残水がメチロバクテリウムが取り除かれた洗浄水に置換されるように洗浄水を散水するピンクスライム抑制工程S3を実施するようになっている。
さらに、水膜の状態を維持できた場合であっても、先に散水された洗浄水よりも下流側に後からの洗浄水が着水してしまうと、着水時の水跳ねが発生して、メチロバクテリウムを含む水が飛散して、バクテリアを含む水を洗浄水で置換したにも関わらず置換した領域にバクテリアを含む水が飛散してしまう。そこで、先に散水され水膜を形成した洗浄水よりも上流側に着水させることによって、着水時のバクテリウムを含む水の飛散を防止することができる。
洗浄手段であるノズル部10aから遠い壁面の高い位置に水を着水させると、洗い場床520の床面の傾斜の稜線を通りこしてしまう場合がある。すなわち、逆流が発生してしまって、バクテリアを含まない水で置換が完了した領域に、バクテリアを含む水が到達してしまう場合がある。そこで、洗浄手段であるノズル部10aから遠い壁面に対しては、より低い位置に着水させることで、床面に着水した水と壁面からの水との速度成分を相殺させて、そのような逆流が発生することを効果的に抑制することができる。
この場合、メチロバクテリウムが洗い場床520に付着しても、洗い場床520と水との親和性が高いことが、バクテリアの除去に際して極めて有効に作用する。すなわち、少ない洗浄水の水量、低い洗浄水の水勢でも、迅速かつ十分にピンクスライム抑制(メチロバクテリウムを含まない水への置換)を果たすことができる。
この場合、散水された洗浄水が洗い場床520に衝突した際や洗い場床520上を流れる際に、洗浄水が溝522に衝突して上下方向の波(水の脈動)が形成される。このように水の流れが乱れることにより、洗い場床520からメチロバクテリウムが剥がれ易くなる。また、洗浄水が洗い場床520上に広がって流れる際にも、当該波によってメチロバクテリウムの床への再付着が抑制される。これにより、散水される洗浄水の水勢や水量が小さくても、メチロバクテリウムを床から確実に除去できる。
本実施形態の洗浄装置100は、浴室500の洗い場を構成すると共に排水口521を有する洗い場床520を洗浄する浴室洗い場床用洗浄装置であって、洗い場床520上に洗浄水を散水する洗浄手段であるノズル部10aと、ノズル部10aを制御する制御部30と、を備えている。そして、制御部30が、ノズル部10aを制御することによって、洗い場床520に残存するメチロバクテリウムを含んだ残水がメチロバクテリウムが取り除かれた洗浄水に置換されるように洗浄水を散水するピンクスライム抑制工程S3を実施するようになっている。
より具体的には、図13に示すように、本実施形態の低濃度殺菌水生成部20の下流部が、除去装置20bとなっていて、当該低濃度殺菌水生成部20の上流部である殺菌剤生成装置の一例である次亜塩素酸生成槽20aにおいて生成された次亜塩素酸を用いて水道水中のメチロバクテリウムを死滅させることによって、メチロバクテリウムを含まない洗浄水を生成するようになっている。
除去装置20bは、低濃度殺菌水生成部20の上流部である殺菌剤生成装置の一例である次亜塩素酸生成槽20aで生成された次亜塩素酸(殺菌剤の一例)を含む原水の濃度を分散させることによって、原水中のメチロバクテリウムを死滅させて、メチロバクテリウムを含まない洗浄水を生成する分散部20cを有している。分散部20cは、具体的には、互い違いに配置された隔壁20dによって形成されている。その他、図13において、20eは電極であり、20fは外郭ケースである。
これにより、ピンクスライム抑制工程S3において、洗い場床520の前記第1の範囲では、殺菌と置換とが行われ、洗い場床520の前記第1の範囲外である第2の範囲では、置換のみが行われる、ということが実現できる。
メチロバクテリウムを含まない洗浄水によって残水を置換することにより、ピンクスライムの発生を飛躍的に向上でき、きれいな状態を長持ちさせることができる。しかしながら、浴室500では、洗濯やバケツの水の散水なども行われるため、メチロバクテリウムが完全にない状態を維持することは難しい。そして、一旦メチロバクテリウムによってピンクスライムが発生すると、殺菌性のないメチロバクテリウムを含まない洗浄水では、ピンクスライムを除去することができず、使用者の手による除去(こすり取ることや殺菌剤を用いての除去)が必要となる。
一方で、メチロバクテリウムという細菌の段階での死滅であれば、殺菌剤の劣化が低く、死滅させた後であっても低濃度の殺菌性を維持させることが容易であり、そのような殺菌剤を生成することに困難はないし、低濃度の殺菌性であれば機器への影響も小さい。
そこで、本実施形態では、好適な一態様として、洗い場床520の全体に対して殺菌性を維持するのではなく、第1の範囲において安全かつ容易に殺菌性を確保した散水を実現できるようにしている。当該範囲においては、残水を置換することによる「きれい」の維持に加えて、殺菌性も維持できるようにして、置換後にまかれてしまった水のメチロバクテリウムを除去したり、発生してしまったピンクスライムをアタックしたりする。これにより、より一層「きれい」を維持でき、洗浄の手間も大幅に抑制できる。
前記のように、第1の範囲では、置換による「きれい」の維持に加えて、殺菌性をも確保できる。従って、第1の範囲内にカウンター530及び排水口521が位置するように工夫することで、メチロバクテリウムが残存し易くピンクスライムの発生懸念が高い部分について、殺菌性を確保できる。すなわち、簡単な配置の工夫により、浴室500において最大の効果を得ることができる。
図18は、このような除菌領域と置換領域との一例を示す概略図である。この例では、洗い場床520のカウンター530側(ノズル部10a側)の略半分が、除菌領域となっており、カウンター530(及びノズル部10a)から遠い側の略半分が、置換領域となっている。
洗浄水が洗い場床520を経由して排水口521に至る場合、有機物との接触や残水との接触によって、洗浄水の殺菌濃度が下がってしまって、殺菌効果が期待できなくなる場合がある。これを回避したい場合には、空中を経由して直接排水口521に着水するような制御を採用すれば、簡単な構成で、ピンクスライムの発生リスクが高い排水口521に対する置換をより確実に実施できる。
この場合には、ノズル部10aは、カウンター530側で、且つ、排水口521に近接するように配設されていることが更に好ましい。
殺菌剤は、空中を経由するだけでも、空気との接触で殺菌濃度が下がるため、低濃度になって効果が期待できなくなる場合がある。そこで、ノズル部10aを排水口521の近くに偏倚配置することで、簡単な構成で殺菌濃度の減衰を抑制することができ、すなわち、殺菌剤を高濃度にする必要なく、すなわち、メチロバクテリウム殺菌後の殺菌剤によって、排水口521に対するピンクスライムの殺菌を実現できる。
カウンター530の周辺は、入浴者の浴び水やシャワーによる水の飛散が多く、特にカウンター530側の浴室壁542の壁面はピンクスライムが発生するリスクが高い。そこで、カウンター530側の壁面に置換水を着水させて確実に置換を行えるようにし、更に前記リスクの大きい当該領域において殺菌作用をも維持させることで、ピンクスライムの発生をより確実に抑制し、「きれいな状態」を長持ちさせることができる。
カウンター530の下方は、飛散水が最も多く、カウンター530の下方の壁面は、ピンクスライム発生のリスクが最も大きい。ノズル部10aをカウンター530の下方に配置しておくことにより、そのようなリスクを顕著に低減することができる。
ピンクスライム抑制工程S3における洗浄水での置換によって、きれいな状態を長持ちさせることはできるが、置換後に水等がまかれてしまうこと等によってピンクスライムが一旦発生すると、メチロバクテリウムを含まない洗浄水の散水では、対応ができない。洗い場床520の全領域を殺菌作用を確保した第1の範囲にするのは、高濃度化が必要であり、無駄が生じ得るし、装置腐食等の懸念もある。そこで、第1の範囲を可変にして、すなわち、洗浄水の殺菌成分の濃度調整を行うことにして、利用者の多様なニーズへの柔軟な対応を提供することが有益である。これにより、掃除の手間の抑制と、高濃度化頻度の低下にともなう機器の保全や洗浄時間の短縮など、実用上有用な効果を奏しつつ、置換技術の課題を軽減できる。
具体的には、本実施形態の制御部30によれば、除去装置20bを制御することで、洗い場床520の第1の範囲をゼロにして洗い場床520の床面全体を第2の範囲とするモードをも実施可能であるし、かつ、洗い場床520の第2の範囲をゼロにして洗い場床520の床面全体を第1の範囲とするモードをも実施可能である。
このように、水道水を使える状況であれば、水道水中の塩素を利用して、低濃度であるが即効性の次亜塩素酸を生成することが便利である。次亜塩素酸は、空気減衰も多いため、第2の範囲が大きくなるが、メチロバクテリウムを除去するための除去装置20bを近傍に配置しておけば、メチロバクテリウムを死滅させるのに十分な殺菌性を容易に確保できるため、実用上有用である。
本実施形態では、前述の通り、有効塩素濃度が通常は0.1〜0.3ppmである水道水を電気分解することによって次亜塩素酸を生成し、当該次亜塩素酸を用いて水道水中のメチロバクテリウムを死滅させることによって、メチロバクテリウムを含まない洗浄水を生成するようになっている。これにより、低濃度殺菌水生成部20は、流路構成を複雑にすることなく、水道水から低濃度殺菌水(メチロバクテリウムを含まない洗浄水の一例)を効率よく生成できるようになっている。
そして、除去装置20bの内部、特には出口領域、における洗浄水の有効塩素濃度は、0.4〜1.0ppmに調整されている。これは、ピンクスライム抑制工程S3において有効な洗浄水は、除去装置20bの内部、特には出口領域、における有効塩素濃度が0.4〜1.0ppmであるような洗浄水である、という本件発明者の知見に基づくものである。
次亜塩素酸生成槽20aにおいて局所的に生成され得る次亜塩素酸を、分散部20cにおいて原水内で効果的に分散させることにより、有効塩素濃度の低い次亜塩素酸であっても、より確実にメチロバクテリウムと反応させることができ、原水内のメチロバクテリウムを効果的に除去することができる。
これにより、ピンクスライム抑制工程S3において、洗い場床520の前記第1の範囲では、殺菌と置換とが行われ、洗い場床520の前記第1の範囲外である第2の範囲では、置換のみが行われる、ということが実現できる。
そして、本実施形態の場合、洗い場床520の第1の範囲に着水された後の洗浄水の有効塩素濃度は、0.4ppm以上であることが好ましい。
メチロバクテリウムを含まない洗浄水によって残水を置換することにより、ピンクスライムの発生を飛躍的に向上でき、きれいな状態を長持ちさせることができる。しかしながら、浴室500では、洗濯やバケツの水の散水なども行われるため、メチロバクテリウムが完全にない状態を維持することは難しい。そして、一旦メチロバクテリウムによってピンクスライムが発生すると、殺菌性のないメチロバクテリウムを含まない洗浄水では、ピンクスライムを除去することができず、使用者の手による除去(こすり取ることや殺菌剤を用いての除去)が必要となる。
一方で、メチロバクテリウムという細菌の段階での死滅であれば、殺菌剤の劣化が低く、死滅させた後であっても低濃度の殺菌性を維持させることが容易であり、そのような殺菌剤を生成することに困難はないし、低濃度の殺菌性であれば機器への影響も小さい。
そこで、本実施形態では、好適な一態様として、洗い場床520の全体に対して殺菌性を維持するのではなく、第1の範囲において安全かつ容易に殺菌性を確保した散水を実現できるようにしている。当該範囲においては、残水を置換することによる「きれい」の維持に加えて、殺菌性も維持できるようにして、置換後にまかれてしまった水のメチロバクテリウムを除去したり、発生してしまったピンクスライムをアタックしたりする。これにより、より一層「きれい」を維持でき、洗浄の手間も大幅に抑制できる。
浴室500に関する顧客要求が高い項目としては、黒カビに対する対策もある。その中でも、使用者の入浴行為後に、黒カビの原因である角質が集まって貯留される傾向が高い排水口521およびトラップにおける黒カビの発生の抑制に関しては、特に要求が高い。カウンター530および排水口521を含む第1の範囲に着水する洗浄水の有効塩素濃度を0.8ppm以上としておくことで、メチロバクテリウムに加えて、黒カビを除去することも可能である。
利用者数の多い浴室(汚れの原因菌が多い)や、長期間使用していなかった浴室においては、洗い場床520の全体にメチロバクテリウムや黒カビが存在している可能性がある(黒カビは、空中を浮遊している)。ピンクスライム抑制工程S3で散水される洗浄水は、有効塩素濃度が低いため、このような状況では、メチロバクテリウムや黒カビを殺菌することができない。そこで、このような状況に対応するべく、高濃度化除去工程を用意しておくことで、利用者が多い浴室や長期間使用していなかった浴室において、メチロバクテリウムや黒カビを殺菌することができる。
図19は、有効塩素濃度毎の、浴室における発生後の黒カビ及びピンクスライム殺菌時間と散水量との関係を示すグラフである。これによれば、黒カビ及びピンクスライム殺菌時間と散水量とが互いにトレードオフの関係にあることが確認できる。また、有効塩素濃度が高い程、黒カビ及びピンクスライム殺菌時間を短くすることができる、あるいは、散水量を少なくすることができることも確認できる。
しかしながら、散水後の有効塩素濃度を1ppmとしても、散水量を顕著に低減するには至らず、すなわち、依然として相応の散水量が必要である。
本実施形態のように、散水前のバクテリアを死滅させた洗浄水を用いたピンクスライム抑制工程S3を実施することは、節水面で非常に有効である。
図20は、有効塩素濃度毎の散水後の濃度減衰を示すグラフである。図20に示すように、散水前の有効塩素濃度が1ppmであっても、浴室内での散水中の濃度減衰により、着水後の有効塩素濃度は大きく低下してしまう。
浴室500の全体に洗浄水を飛ばして(散水距離2m程度)、浴室500の全体において着水後の有効塩素濃度0.4ppmを達成しようとすると、図20に示すように、吐水時の有効塩素濃度を2ppm程度にする必要がある。しかしながら、水道水中の有効塩素成分からそのような高濃度の有効塩素濃度を実現するのは、容易ではない(高濃度化手段が必要である)。
図21は、有効塩素濃度のメチロバクテリウムの死滅時間を示すグラフである。図21に示すように、有効塩素濃度が0.4ppmであれば、メチロバクテリウムは略瞬殺される。すなわち、散水前の(減衰前の)事前処理による当該濃度の洗浄水による残水置換で、ピンクスライムの発生を抑制できるのである。(逆に、有効塩素濃度が0.3ppmでは、メチロバクテリウムが生き残ってしまうと言える。)
本実施形態の浴室500は、当該浴室500の洗い場を構成する洗い場床520と、洗い場床520上の残水を排水するために洗い場床520に設けられた排水口521と、洗い場床520の周囲から立ち上がる浴室壁541〜544と、洗い場床520上に洗浄水を散水するノズル部10aを有する洗浄手段と、洗浄手段のノズル部10aを制御する制御部30と、を備えている。そして、制御部30が、ノズル部10aを制御することによって、洗い場床520に残存する黒カビの発生原因である角質が当該洗い場床520から排水口521に排出されるように洗浄水を散水する黒カビ抑制工程S1を実施するようになっている。
そして更に、黒カビ抑制工程S1においてノズル部10aから散水される洗浄水が、洗い場床520の角質を取り除く一方で、取り除いた角質を洗い場床520の周囲と浴室壁541〜544との角部に堆積させることがないように流動するようになっている。
本実施形態によれば、洗い場床520に残存する黒カビの発生原因である角質を除去する黒カビ抑制工程S1を実施することによって、洗い場床520上の角質を顕著に低減することができ、ひいては洗い場床520におけるカビの発生を顕著に抑制することができる。
また、角質を洗い場床520から取り除くために散水し、角質を取り除くことができても、ノズル部10aから散水される洗浄水は一方向に指向して散水されるため、その方向の延長線上にある洗い場床520と浴室壁541〜544との角部に到達し、折角剥ぎ取った角質が当該角部と衝突して当該角部に堆積してしまい、洗い場床520の黒カビ発生を抑制できても、当該角部の黒カビ発生を十分に抑制できない、という問題があった。
本実施形態の洗浄装置100によれば、黒カビ抑制工程S1においてノズル部10aから散水される洗浄水が、洗い場床520の角質を取り除く一方で、取り除いた角質を洗い場床520の周囲と浴室壁541〜544との角部に堆積させることがないように流動することにより、洗い場床520のみならず前記角部での黒カビ発生をも抑制できる。
散水される洗浄水によって角質が剥ぎ取られても、当該洗浄水中に含まれることとなった当該角質は、排水口521に至る流動過程で洗い場床520に再付着してしまうことがある。このため、洗い場床520から取り除かれた角質が洗い場床520へ再付着することを防止するために洗浄水を更に散水する再付着防止散水工程を実施することによって、角質の再付着がより確実に防止でき、洗い場床520から確実に角質を除去できる。
角質を剥ぎ取るための第1流動水だけで、排水口521までの流動過程における洗浄水の拡散に伴う水位低下によって角質が洗い場床に再付着することを抑制しようとすると、大量の洗浄水を一度に散水して、水位低下による角質の再付着を発生させないようにする必要がある。第1流動水と第2流動水とを分離して、第1流動水を角質を剥がすために散水し、第2流動水を剥がされた角質を搬送するために散水すれば、結果的により少ない洗浄水の量で、洗い場床520から角質を除去し、確実に排水口521まで排出できる。
第1流動水と第2流動水とを同時に散水したのでは、両者の散水を分離して制御する趣旨が活かされないが、両者の散水の間の時間が長すぎても、角質が乾燥して再付着しやすくなるため好ましくない。従って、両者の散水の間の時間を適度に制御することが有効である。本実施形態では、第1流動水が洗い場床520の所定部位上を流動するようになっており、第2流動水は第1流動水が到達してから所定時間の経過後に当該所定部位上を流動するようになっているため、簡単な構成でありながら、少ない洗浄水の量で確実に角質の再付着を防止できる。
排水口521に近づくにつれて、第1流動水の拡散による水位低下によって、角質は再付着しやすくなる。従って、洗い場床520の各部位において第1流動水の到着から第2流動水の到着までの時間を一定に制御するよりも、排水口521に近づくにつれて短くする、更には、排水口521に至る前に追いつかせて合流させる、ことが有効である。これにより、第1流動水の拡散による水位低下を効果的に補うことができ、より確実に角質の再付着を防止することができる。
すなわち、ノズル部10aの回転の送り速度を制御することによって、第1流動水が排水口521に向かう流動速度、及び/または、第2流動水が排水口521に向かう流動速度を比較的容易に制御することができ、ひいては、両者間の遅れ時間や両者の合流位置を比較的容易に調整することができる。
散水距離が遠いほど、散水される洗浄水の水勢が低下するため、排水口521に向かって流動する洗浄水の速度も低下する。この傾向を補償するべく、散水距離が遠いほど回転速度を低くして散水水量を増大させることにより、簡単な制御でありながら、第1流動水の散水制御と第2流動水の散水制御との各々の最適化を図ることができる。
本実施形態の浴室500は、当該浴室500の洗い場を構成する洗い場床520と、洗い場床520上の残水を排水するために洗い場床520に設けられた排水口521と、洗い場床520の周囲から立ち上がる浴室壁541〜544と、当該浴室500の一側に設けられ回転しながら洗い場床520上に洗浄水を散水するノズル部10aを有する洗浄手段と、洗浄手段のノズル部10aを制御する制御部30と、を備えている。そして、制御部30が、ノズル部10aを制御することによって、洗い場床520に残存する黒カビの発生原因である角質が当該洗い場床520から排水口521に排出されるように洗浄水を散水する黒カビ抑制工程S1を実施するようになっている。
そして更に、黒カビ抑制工程S1においてノズル部10aの回転が制御されることによって、ノズル部10aから散水される洗浄水の着水位置が浴室500の一側から排水口521に向かって移動する第1洗浄工程(前半の黒カビ抑制工程)と、ノズル部10aの回転が制御されることによってノズル部10aから散水される洗浄水の着水位置が浴室500の他側から排水口521に向かって移動する第2洗浄工程(後半の黒カビ抑制工程)と、が実施されるようになっている
このように、ノズル部10aと排水口521とを同一辺上に配置しないことにより、角質の角部への堆積を効果的に防止することができる。ノズル部10aと排水口521とを同一辺上に配置すると、洗浄によって角質を剥ぎ取って掻き集めてきて、排水口位置において洗浄を停止させたとしても、角質が第1辺の角部に堆積してしまうリスクが高くなってしまう。本実施形態では、前記のような配置の工夫によって、そのようなリスクを低減している。
特に、ノズル部10aをカウンター530側(第1辺側)に配置することで、角質除去性能を高めている。具体的には、体を洗うとカウンター530前に角質が多く残存するが、第1辺側にノズル部10aを配置することで、洗浄水の水勢ないし水量を多く確保することができ、角質の剥ぎ取りをより確実に行うことができる。
更に、排水口521を第2辺上に配置すると、排水口521がノズル部10aからの洗浄水の散水方向と対面する状態となるため、排水口521の位置で洗浄水の散水を止めても、散水される洗浄水の水勢で第2辺に角質が堆積(残存)してしまうリスクが高い。この場合、排水口521へ確実に角質を搬送することが難しくなる。これに対して、本実施形態では、排水口521を第3辺の側に配置することによって、角質をいずれの角部にも堆積(残存)させることなく、排出口521まで確実に導くことができる。
排水口521の周囲には、洗浄水によって剥ぎ取られた角質が多く含まれた洗浄水が、最終的に到達してくる。更に洗浄水は、上流から流れてくる過程で拡散し、下流においては水位や流速が低下する。これらの要因により、排水口521の周囲では、角質が床面に再付着しやすい。この傾向を考慮して、第3辺と第4辺との中間を含む第4辺の側にノズル部10aを配置しておくことにより、ノズル部10aから散水される洗浄水を排水口方向に指向すれば、角質が再付着しやすい排水口521の周囲を直接的に洗浄することが容易であり、また、洗い場床520上の洗浄水(排水流れ)の水位を増大させ、排水口521に角質を押し込む力を増大させることも容易である。これにより、排水口521の周囲における角質の再付着を効果的に抑制することができる。
排水口521の周囲は、前述の通り、洗浄水によって掻き集められた角質が堆積しやすく、黒カビ発生のリスクが高い。また、排水口521の周囲で洗浄水の散水を止める場合、排水口521への洗浄水の排出性は高まるが、角質の一部が排水口521の周囲に再付着する懸念が残る。従って、第1洗浄工程と第2洗浄工程との両方において排水口521に洗浄水の一部を直接的に着水させる、すなわち、角質の再付着しやすい排水口521の周囲を2度丁寧に洗浄する、ことにより、角質残りをより効果的に抑制することができる。
第1洗浄工程と第2洗浄工程とを、時間をずらして段階的に実施する場合、一方の洗浄領域の洗浄が終わった時に、角質を含む洗浄水の一部が他方の洗浄領域に広がってしまって、当該洗浄水の一部に含まれていた角質が他方の洗浄領域に再付着してしまう虞がある。更に、一方の洗浄工程の終了時から他方の洗浄工程の開始時までの時間が長いと、洗浄水の排水が進んで角質が洗い場床520に再付着するリスクが高まる。従って、2つの洗浄工程の間の時間は短いことが望ましい。そこで、本実施形態のように、一方の洗浄工程の終了時から他方の洗浄工程の開始時までの時間が短くなるように、第1洗浄工程と第2洗浄工程との各々によって洗浄される洗浄領域に予め差を設けておいて、より広い範囲の洗浄を先に実施することにより、角質の再付着のリスクを低減することができる。
カウンター530の周囲は、角質の残存が多く、特にカウンター530の裏には角質が溜まりやすい。そこで、第1辺の洗浄を実施する第1辺洗浄工程を別に先に行うことで、第1辺の側から角質を第1洗浄工程及び第2洗浄工程で洗浄される各洗浄領域に追い出すことができ、結果としてカウンター530周辺の洗浄性能を高めることができる。
第1洗浄工程と第2洗浄工程とは、2つのノズル部を設けておいて、それぞれのノズル部から別個に実施する、ということも可能である。例えば、排水口521を両側から挟み込むように、同時に散水することも可能である。しかしながら、2つのノズル部を設けることは、コストが高い。本実施形態により、1つのノズル部であっても、2つのノズル部を設けておくことと略同様の効果を実現できることが確認できた。すなわち、第1洗浄工程を実施した後、ノズル部10aからの洗浄水の散水を停止(もしくは減量)し、第2洗浄工程の開始位置までノズル部10aを回転させてから、第2洗浄工程を実施することでも、高い角質除去性能を実現することができる。第1洗浄工程の後、洗浄水の散水を停止もしくは減量させるのは、節水の他、剥がした角質を第1辺の側(第2洗浄領域)に搬送しないためでもある。
本実施形態の洗浄装置100に関する各種の実験の結果、洗い場床520においてヌメリの発生をより確実に抑制するためには、制御部30は、ピンクスライム抑制工程S3の実施の際に、黒カビ抑制工程S1の後に洗い場床520上に残存する水道水の80〜100%を低濃度殺菌水に置換するようになっていることが好ましい。
本件発明者の更なる検討によれば、黒カビ抑制工程S1において、ノズル部10aから水道水が散水される領域が排水口521にさしかかる手前の位置で、ノズル部10aの回転を一時停止させるか、あるいは、当該位置を含む回転領域におけるノズル部10aの平均回転速度を超低速(例えば1〜3°/s程度)に減速させることが好ましい。
以上に説明してきた本実施形態の浴室500は、当該浴室500の洗い場を構成する洗い場床520と、洗い場床520上の残水を排水するために洗い場床520に設けられた排水口521と、洗い場床の周囲から立ち上がる浴室壁541〜544と、当該浴室500の一側に設けられ当該浴室500内に洗浄水を散水するノズル部10aを有する洗浄手段と、洗浄手段のノズル部10aを制御する制御部30と、を備えている。そして、制御部30が、ノズル部10aを制御することによって、洗い場床520に残存する黒カビの発生原因である角質が当該洗い場床520から排水口521に排出されるように洗浄水を散水する黒カビ抑制工程S1を実施するようになっている。
そして更に、黒カビ抑制工程S1においてノズル部10aから散水される洗浄水が、洗い場床520の角質を取り除く一方で、取り除いた角質を洗い場床520の周囲と浴室壁541〜544との角部に堆積させることがないように流動するようになっている。
そして、本実施形態においては、黒カビ抑制工程S1においてノズル部10aから散水される洗浄水の少なくとも一部が、浴室壁541〜544にも着水するようになっていて、浴室壁541〜544に着水した洗浄水は、当該浴室壁541〜544との衝突によって排水口521方向に反射されて壁面反射水を生成するようになっていて、当該壁面反射水は、洗い場床520の周囲と浴室壁541〜544との角部に堆積した角質を剥ぎ取りながら、剥ぎ取った角質を排水口521に導くように流動するようになっている。
ここで、排水口521に指向するように、複数のノズル部を異なる角度で設定しておけば、角質を残すことなく上手に取り除くために有効であると考えられる。しかしながら、このような対応は、浴室500に複数のノズル部を設置する必要があってスペース上の問題があるし、各ノズル部に対する給水配管も複雑になるため高コストとなって現実的でない。
本実施形態のように、単一のノズル部10aを浴室500の一側に設定することが一般的であるが、この場合には、ノズル部10aから散水される洗浄水の全てを排水口521に指向させることが容易でなく、散水される洗浄水の力で角質が浴室500の壁際に追いやられるような状況も生じ得て、結果的に黒カビを発生させてしまうことがあり得る。
具体的には、シャワーや掛け湯によって、洗い場床520の周囲と浴室壁541〜544との角部に角質が堆積してしまうことがある。この堆積した角質を除去するに際して、一側から散水すると、全ての方向において角質を角部から剥ぎ取る力を作用させることができず、少なくともその一部では、散水力が角部に角質を押し付けるように作用してしまう。角質を剥がしたい床面に散水した時でさえ、散水によって床面から剥ぎ取られた角質が、前記角部に積極的に堆積されるように作用してしまうこともある。
本件発明者は、洗い場床520の一側から洗浄水を散水する形式において、コストを上げることなく角質を上手に除去でき、また、壁際に角質を追いやって集めてしまうということもない、優れた散水形態を見出したものである。
具体的には、ノズル部10aから散水される洗浄水の一部を、積極的に壁に衝突するように散水するのである。このような簡単な構成によって、ノズル部10aから散水される排水口521方向に指向していない洗浄水を、排水口521方向に方向転換させることができる。すなわち、浴室壁500による反射の採用という簡単な工夫で、散水された洗浄水が確実に排水口521方向に指向しながら流動して角質を取り除き、取り除いた角質を排水口521に導く、ということを可能にしたものである。この壁面反射水は、壁からの落下によって洗い場床520の周囲と浴室壁541〜544との角部(洗い場床520の壁際)の角質を剥ぎ取ることができ、当該角部での角質の堆積も防止することができ、確実に角質を排水口521に流すことができる。
そこで、上下方向が横方向より長いノズル開口11a、12aを採用することで、散水位置を狭く安定させることが有効である。これにより、壁面反射水の反射角度の変化の影響を抑制することができ、安定した角質除去が可能となる。また、一つのノズル部10aで浴室壁541〜544への散水と洗い場床520への散水とを同時に行える。更に、洗い場床520に着水する洗浄水を先行して散水されて浴室壁541〜544に着水した洗浄水によって生成された壁面反射水に衝突させる制御についても、一つのノズル部10aであるため、散水のタイミングを安定化でき、確実に実施することができる。従って、角部に角質を押し付けるような作用が発生してしまうことを、より確実に防止することができる。
別の観点では、以上に説明してきた本実施形態の浴室500は、当該浴室500の洗い場を構成する洗い場床520と、洗い場床520上の残水を排水するために洗い場床520に設けられた排水口521と、洗い場床の周囲から立ち上がる浴室壁541〜544と、当該浴室500の一側に設けられ回転しながら洗い場床520上に洗浄水を散水する単一のノズル部10aを有する洗浄手段と、洗浄手段のノズル部10aを制御する制御部30と、を備えており、制御部30が、ノズル部10aを制御することによって、洗い場床520に残存する黒カビの発生原因である角質が当該洗い場床520から排水口521に排出されるように洗浄水を散水する黒カビ抑制工程S1を実施するようになっている。
そして、黒カビ抑制工程S1において単一のノズル部10aから同一時間に散水される洗浄水が、浴室壁541〜544の下部に着水する第1着水部と、洗い場床520の床面上に着水する第2着水部と、を有している。
第1着水部は、当該浴室壁541〜544の下部によって反射されて壁面反射水を生成するようになっており、当該壁面反射水は、排水口521の方向に方向転換されて、洗い場床520の床面上に残存する角質を取り除きながら洗い場床520の床面上を排水口521に向かって流動するようになっている。
そして更に、制御部30は、黒カビ抑制工程S1を実施する際、所定の第1時間に散水される洗浄水の第1着水部によって生成される壁面反射水が洗い場床520の床面上を流動する過程において、当該壁面反射水がその後の所定の第2時間に散水される洗浄水の第2着水部によって追い越されることがないように、前記壁面反射水が流動する領域に追従するようにノズル部10aの回転を制御するようになっている。
ここで、排水口521に指向するように、複数のノズル部を異なる角度で設定しておけば、角質を残すことなく上手に取り除くために有効であると考えられる。しかしながら、このような対応は、浴室500に複数のノズル部を設置する必要があってスペース上の問題があるし、各ノズル部に対する給水配管も複雑になるため高コストとなって現実的でない。
本実施形態のように、単一のノズル部10aを浴室500の一側に設定することが一般的であるが、この場合には、ノズル部10aから散水される洗浄水の全てを排水口521に指向させることが容易でなく、散水される洗浄水の力で角質が浴室500の壁際に追いやられるような状況も生じ得て、結果的に黒カビを発生させてしまうことがあり得る。
本件発明者は、洗い場床520の一側から洗浄水を散水する形式において、コストを上げることなく角質を上手に除去でき、また、壁際に角質を追いやって集めてしまうということもない、優れた散水形態を見出したものである。
具体的には、ノズル部10aから散水される洗浄水の一部を、積極的に壁に衝突するように散水するのである。このような簡単な構成によって、ノズル部10aから散水される排水口521方向に指向していない洗浄水を、排水口521方向に方向転換させることができる。すなわち、浴室壁500による反射の採用という簡単な工夫で、散水された洗浄水が確実に排水口521方向に指向しながら流動して角質を取り除き、取り除いた角質を排水口521に導く、ということを可能にしたものである。この壁面反射水は、壁からの落下によって洗い場床520の周囲と浴室壁541〜544との角部(洗い場床520の壁際)の角質を剥ぎ取ることができ、当該角部での角質の堆積も防止することができ、確実に角質を排水口521に流すことができる。
更に、本件発明者は、ノズル部10aの回転、特には回転速度、をコントロールすることも有効であることを知見した。壁面反射水は、最も先に洗い場床520を流れるため、残存する角質を最も多く含み得る。これを追い越さないように散水することで、折角取り除いた角質を洗浄が完了した領域に逆戻りさせたり、再付着させたり、ということが抑制される。そのような態様で洗い場床520への更なる洗浄水の散水を行うことにより、角質の除去性を高めることができる。これにより、1本のノズル部10aであっても、洗い場床520の「きれいな状態」の長持ちを実現できるのである。
洗い場床520に散水された洗浄水は、洗い場床520を流動する過程で拡散して、水位が必ず低下する。このような水位の低下により、折角除去した角質を洗い場床に再付着させてしまうことがあり得る。そこで、先に着水された第1着水部によって生成された壁面反射水を追い越すことなく合流する(追いかける、追従する)ように後の時間に第2着水部を着水させる、というようにノズル部10aの回転を制御することによって、角質除去性を向上させることができる。特に、拡散に伴う水位低下を抑制することによって、角質の再付着を効果的に抑制することができる。
推進力を付与する、というのは、合流後の壁面反射水(排水流れ)の速度が維持ないし増大されることを意味している。この場合、壁面反射水中に多く含まれ得る角質の排水口521までの送り速度を高めることができる。移動速度が低いと、角質の除去力低下だけでなく、角質の再付着も多くなってしまうところ、移動速度を高めることにより、時間の短縮とともに、角質の除去力の向上及び再付着防止を実現できる。
洗浄水は、浴室壁541〜544による反射角度によって、反射される力が変わる。また、散水距離が長いと、散水エネルギが低くなって壁によって反射される力も低下して、着水後の洗浄水の流動速度が低くなる。そのような傾向に合わせて、ノズル部10aの回転速度を調整して散水水量を調整することで、角質の除去力や再付着防止性能を維持ないし向上させることができる。
散水距離が長いと、散水エネルギが低くなって壁によって反射される力も低下して、着水後の洗浄水の流動速度が低くなる。そのような傾向に合わせて、ノズル部10aの回転速度を調整して散水水量を調整することで、角質の除去力や再付着防止性能を維持ないし向上させることができる。
以上に説明してきた本実施形態の洗浄装置100は、浴室500の洗い場を構成すると共に排水口521を有する洗い場床520を洗浄する浴室洗い場床用洗浄装置であって、洗い場床520上に洗浄水を散水するノズル部10aを有する洗浄手段と、ノズル部10aを制御する制御部30と、を備えている。そして、制御部30が、ノズル部10aを制御することによって、洗い場床520に残存する黒カビの発生原因である角質が当該洗い場床520から排水口521に排出されるように洗浄水を散水する黒カビ抑制工程S1を実施するようになっている。
そして、本実施形態においては、黒カビ抑制工程S1時において、洗い場床520に付着する角質を剥がすエネルギを波の上昇するエネルギによって作り出すように、洗い場床520に散水された洗浄水は、排水口521に至るまで、連続的な波を発生しながら流動するようになっている。
本件発明者は、長年の研究の末、洗い場床520に付着した状態の角質について、多量の洗浄水を散水しなくても、短時間で綺麗に剥ぎ取る技術を見出した。同時に、角質を剥ぎ取って排水口521に排出する搬送過程で洗い場床に角質が再付着するという問題についても解決できる技術を見出した。
具体的には、本実施形態において、洗い場床520上に散水される洗浄水が、排水口521に至る過程の間、連続的な波を発生させながら流動することを特徴とする。波の発生に伴う振幅の発生によって、洗い場床520の床面に対する上方側へのエネルギが発生する。この上昇エネルギによって、洗い場床520に付着した角質を洗い場床520から剥がすことができるのである。そして、角質は、一旦洗い場床520から剥がすと、水面上を浮遊するか、もしくは、水中に含まれてしまうため、波の振幅に伴う下方側へのエネルギによって影響される程度は低い。すなわち、角質にとって、波の影響は、上昇エネルギによる寄与の方が顕著に大きい。
要するに、波(脈動)を発生させることで、上手にかつ綺麗に角質を剥ぎ取ることができるのである。また、この波を、排水口521に至るまでの過程で、連続的に作り出すことが特に有効である。これによって、洗い場床520の全面において角質を満遍なく除去でき、また、剥ぎ取った角質に上昇エネルギを連続的に作用させることができるため、洗い場床520への角質の再付着をより確実に抑制できる。
図29は、波が角質を運ぶ様子を示す模式図であり、図29(a)は概略平面図であり、図29(b)は、概略断面図である。
そして、本実施形態では、制御部30は、黒カビ抑制工程S1を実施する際、第1着水部が洗い場床520の前記通過部位を流動する過程において、当該第1着水部が第2着水部によって合流されて排水口521に向かう方向の推進力が増大されるように、ノズル部10aの回転を制御するようになっている。
浴室500では、散水された洗浄水は、洗い場床520を排水口521に向かって移動する過程で、洗い場床520に広く拡散しながら進むため、洗浄水の水位は下がっていく。この水位低下によって、角質が洗い場床520と接触することにより、角質の再付着が起こりやすくなる(図30参照)。本実施形態によれば、前記合流によって水位を上げることができる。すなわち、波の上昇エネルギのみならず、この水位増大の効果によっても、角質の再付着の防止効果を高めることができる。
更に、本実施形態では、波の上昇エネルギを確実に作り出すことができる。すなわち、第1着水部に第2着水部が合流する時に第1着水部に対して第2着水部が排水口521方向への推進力を増大させるようにノズル部10aの回転速度が制御されることにより、第1着水部に第2着水部が勢いを増すように合流して、第1着水部の波の上昇エネルギを確実に作り出せる(図31参照)。これにより、第1着水部は、より多くの角質を剥ぎ取れるようになり、より効率的に洗い場床の角質を除去できる。
これにより、散水された洗浄水(第1着水部または第2着水部)が洗い場床520に衝突した際や洗い場床520上を流れる際に、洗浄水が溝522に衝突することによっても上下方向の波(水の脈動)が形成される。このように水の流れが乱れることにより、洗い場床520から角質が剥がれ易くなる。また、洗浄水が洗い場床520上に広がって流れる際にも、当該波によって角質の床への再付着が抑制される。これにより、散水される洗浄水の水勢や水量が小さくても、角質を床から確実に除去できる。
散水距離が長いと、散水エネルギが低下して、着水後の洗浄水の流動速度が低くなる。そのような傾向、特に第2着水部の傾向に合わせて、ノズル部10aの回転速度を調整することで、第1着水部への合流による連続的な波の形成を調整しやすくなり、角質の除去力や再付着防止性能を維持ないし向上させることができる。
更に、本実施形態では、前記連続的な波は、相対的に小さな振幅を有する小波と、相対的に大きな振幅を有する大波と、の少なくとも2種類の波を含んでいる。
波の生成方法としては、様々な形態が採用可能であり、例えば、洗い場床520の床面に振動を与える方法や、気流によって振動を生じさせる方法なども採用可能である。しかし、回転するノズル部10aの回転送り速度を変化させることによって、より簡単に波を発生することができる。この場合、簡単かつ安価な態様でありながら、浴室500において最適な構造であって、より確実な効果を得ることができる。
そして、制御部30は、黒カビ抑制工程S1を実施する際、所定の第1時間に散水される洗浄水の第1着水部によって生成される壁面反射水が洗い場床520の床面上を流動する過程において、当該壁面反射水がその後の所定の第2時間に散水される洗浄水の第2着水部によって合流されて排水口521の方向に移動する推進力を付加されるように、前記壁面反射水が流動する領域に追従するようにノズル部10aの回転を制御するようになっている。そして、前記壁面反射水と前記所定の第2時間に散水される洗浄水の第2着水部との合流によって、前記大波が発生されるようになっている。
本実施形態によれば、浴室壁541〜544による反射の採用という簡単な工夫で、散水された洗浄水が確実に排水口521方向に指向しながら流動して角質を取り除き、取り除いた角質を排水口521に導く、ということが可能である。この壁面反射水によって、洗い場床520の壁際に角質を溜めることもなく、確実に角質を排水口521に流すことができる。
角質は、洗い場床520の周縁と浴室壁541〜544との角部に堆積しやすく、また、当該角部に堆積した角質を剥がす力を散水によって発生させることは難しい。しかし、壁面反射水が角質を剥ぎ取るように流動するため、角部のような角質を剥がし難い領域においても角質も剥がすことができる。
また、壁面反射水がその後の所定の第2時間に散水される洗浄水の第2着水部によって合流されて排水口521の方向に移動する推進力を付加されることによっても、角質を確実に排水口521まで搬送して除去することができ、角質の再付着も防止できる。
更に、壁面反射水と前記所定の第2時間に散水される洗浄水の第2着水部との合流によって、大波が発生されるようになっていることにより、確実に狙った位置において大波が発生され得て、角質を剥がし難い領域においても効果的に角質も剥がすことができる。そして、その手法も、合流タイミングを合わせる様に、ノズル部10aの回転の送り速度を制御すれば足りるため、比較的容易である。
浴室500では、散水された洗浄水は、洗い場床520を排水口521に向かって移動する過程で、洗い場床520に広く拡散しながら進むため、洗浄水の水位は下がっていく。この水位低下によって、角質が洗い場床520と接触することにより、角質の再付着が起こりやすくなる。本実施形態によれば、前記合流によって水位を上げることができる。すなわち、波の上昇エネルギのみならず、この水位増大の効果によっても、角質の再付着の防止効果を高めることができる。
小波と大波とを重合させて発生させる制御は、一般には容易ではない。特に、大波は、タイミング合わせが必要であるため、詳細な設計ないし制御が必要である。しかしながら、小波は、角質の再付着防止のために略連続的に発生されれば足りる性質のものであるから、簡易な構成によって発生されることが好ましい。
本実施形態において、ステッピングモータは、1ステップずつ送る駆動方式であるため、構造上、1ステップ送る度に自動的(機械的)に速度変化を起こす。言い換えると、断続的な送り方式である。そして、ステッピングモータの当該速度変化が微小で視認できない程度であっても、ノズル部10aの回転によって拡大されると、着水位置では大きく拡大され、より大きな速度変化として現れ得る。そして、当該速度変化により、着水位置での散水量の変化が生み出され、小波が発生され得る。
すなわち、本実施形態のようにステッピングモータを用いれば、自動的にノズル部10aを送るだけで、小波を作ることができる。換言すれば、ステッピングモータを採用し、ノズル部10aによって微小振動を拡大するという機械的な構成によって、実用的に有用な小波を簡易に作り出すことができる。
洗い場床520を排水口521方向に流れる壁面反射水に対して、全ての領域で合流タイミングを最適化するためには、非常にゆっくりとノズル部10aを回転させなければならない領域が存在し得る。反射力が弱い領域では、壁面反射水が流れる流速が遅いためである。非常にゆっくりとノズル部10aの回転を制御することは容易ではなく、すなわち、ゆっくり移動させる過程で散水を行うと誤ったタイミングで合流しやすくなり、角質を上流側に戻してしまう場合さえあり得る。そこで、送りを一旦停止させることで、タイミングの最適化制御をより簡単かつ正確に実施できる。
ノズル部10aの回転の速度制御について、一旦停止制御と速度可変制御との両方を実施することによって、より高い自由度で好ましい合流タイミングの制御を実施することができる。
そして、前記予め決定された位置は、洗浄水の着水位置が洗い場床520のコーナー部に対応する位置であることが好ましい(図26参照)。
散水距離が遠い領域では、洗浄水の流速が低いため、壁面反射水の流速も低い。更に、洗い場床520の四隅であるコーナー部では、洗浄水は2つの壁によって反射され得る。そして、四隅のコーナー部では、角質が堆積しやすく、当該コーナー部から角質を上手に排出させることが重要で、遅れて散水される洗浄水の第2着水部で後戻りさせてしまうことは回避すべきである。
そのようなコーナー部では、ノズル部10aの回転を停止させ、壁面反射水がゆっくりと排水口521方向へ流動することを促すことが好ましく、更に、壁面反射水が排水口521方向に十分に流れた後に遅れて散水される洗浄水の第2着水部を合流させることが、コーナー部に洗浄水を戻すことを回避する上でも有効である。
ノズル部10aの回転を停止させて合流を遅らせると、水位低下による角質の再付着の懸念は高まる可能性があったが、コーナー部では散水された水が集まって十分な水量が見込めるため、合流を遅らせても水位低下による再付着は生じないことが確認できている。
下流側の、例えば排水口521が設定されている側のコーナー部には、上流側から集められてきた角質が溜まりやすい。また、当該コーナー部は、排水勾配が終わる領域であって、洗浄水が壁に衝突してその速度がゼロになった後に更に横方向に移動して排水口521に進む、という領域である。従って、壁への衝突によって洗浄水が飛び散っているし、流れも遅いため、遅れて散水される洗浄水の第2着水部の合流タイミングは、壁面反射水が落ち着いて十分に排水口521方向に横移動し始めた後であることが好ましい。従って、そのようなコーナー部に対応する位置において、ノズル部10aの回転が一旦停止することが好ましいのである。この場合、角質を含んで飛び散っていた洗浄水を、遅れて散水される洗浄水第2着水部が綺麗に取り除くことができる。
また、上流側のコーナー部についても、下流側のコーナー部に対応する位置における停止時間より短い時間だけ一旦停止するか、もしくは、減速するようになっていることが、角質除去性能を高める上で好ましい。
以上の実施形態では、黒カビ抑制工程S1の実施を開始する際、ノズル部10aがカウンター530の下部の第2壁542に向けて略垂直に水道水を着水させることができる位置(初期位置P1)から、ノズル部10aの回転が開始されるようになっている。このため、黒カビ抑制工程の開始の際にノズル部10aに汚れが生じていても、そのことによって生じ得る水道水の吐水方向の一時的な乱れの影響は、第2壁542に向けて略垂直に吐水される際に現れるに留まり、汚れは水道水の吐水によって直ちに飛ばされて消失するため、その後に洗い場床520の中央部へ吐水される際には現れない。従って、ノズル部に一時的な汚れが生じていても、洗い場床520の中央部への黒カビ抑制工程S1の吐水制御を設計通りに実施することができる。
また、浴室500は、一般に、出入口と、出入口を開閉するドアと、を更に備えている。制御部30は、黒カビ抑制工程S1の実施の際に、ノズル部10aから洗い場床520上のドアの手前の領域に水道水を着水させ、ドアには散水させないようになっており、且つ、ピンクスライム抑制工程S3の実施の際に、ノズル部10aから洗い場床520上のドアの手前の領域に低濃度殺菌水を着水させ、ドアには散水させないようになっていることが好ましい。
10x 回転軸
11a 第1ノズル開口
12a 第2ノズル開口
13 貯水部
14a 第1貯水部
14b 第2の貯水部
17 モータ
20 低濃度殺菌水生成部
30 制御部(散水制御部、回転制御部)
30a 実行条件変更手段
30b 手動変更手段
35 操作部
51 給水管
52 給湯管
53a、53b ストレーナ
54a 第1電磁弁
54b 第2電磁弁
55 調圧弁
56 逆止弁
57 バキュームブレーカ
100 洗浄装置
500 浴室
510 浴槽
520 洗い場床
521 排水口
530 カウンター
531 天板
532 下カバー
541〜544 第1壁〜第4壁
Claims (9)
- 浴室の洗い場を構成すると共に排水口を有する洗い場床を洗浄する浴室洗い場床用洗浄装置であって、
前記洗い場床上に洗浄水を散水する洗浄手段と、
前記洗浄手段を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記洗浄手段を制御することによって、
前記洗い場床に残存するメチロバクテリウムを含んだ残水が、水中のメチロバクテリウムを取り除いて生成されるメチロバクテリウムを含まない洗浄水によって置換されるように、当該洗浄水を散水するピンクスライム抑制工程
を実施するようになっており、
前記洗浄手段は、
前記洗浄水を吐水するためのノズル部と、
前記ノズル部よりも上流の流路内に設けられ、水からメチロバクテリウムを取り除く除去装置と、
前記除去装置よりも上流の流路内に設けられ、即効性の殺菌剤を生成する殺菌剤生成装置と、
を有しており、
前記除去装置は、前記殺菌剤生成装置で生成された即効性の殺菌剤を用いて水中のメチロバクテリウムを死滅させることによって、メチロバクテリウムを含まない洗浄水を生成するようになっており、
前記除去装置は、メチロバクテリウムを死滅させた後の前記洗浄水が前記ノズル部から吐水された後も浴室全長より短い第1の範囲では殺菌能力が残存している、というような殺菌水を前記洗浄水として生成するようになっており、
前記ピンクスライム抑制工程において、前記洗い場床の前記第1の範囲では、殺菌と置換とが行われるようになっており、前記洗い場床の前記第1の範囲外である第2の範囲では、置換のみが行われるようになっている
ことを特徴とする浴室洗い場床用洗浄装置。 - 前記ノズル部は、浴室のカウンター側に配置されており、
前記第1の範囲に、前記カウンター及び前記排水口が含まれている
ことを特徴とする請求項1に記載の浴室洗い場床用洗浄装置。 - 前記制御部は、前記洗浄手段を制御することによって、前記洗浄水が空中を経由して直接排水口に着水するように、前記洗浄水を散水できるようになっている
ことを特徴とする請求項2に記載の浴室洗い場床用洗浄装置。 - 前記ノズル部は、前記カウンター側で、且つ、前記排水口に近接するように、配設されている
ことを特徴とする請求項3に記載の浴室洗い場床用洗浄装置。 - 前記ピンクスライム抑制工程において、
前記第1の範囲では、前記洗い場床の床面周囲から立ち上がる壁面下部にも着水するように前記洗浄水が散水されるようになっており、且つ、前記カウンター側の壁面に対する着水の高さが最も高いというように散水されるようになっている
ことを特徴とする請求項2に記載の浴室洗い場床用洗浄装置。 - 前記ノズル部は、前記カウンターの下方に配置されている
ことを特徴とする請求項5に記載の浴室洗い場床用洗浄装置。 - 前記制御部は、前記除去装置を制御して前記洗浄水の殺菌成分の濃度調整を行うことで、前記第1の範囲を変更できるようになっている
ことを特徴とする請求項2に記載の浴室洗い場床用洗浄装置。 - 前記制御部は、前記除去装置を制御して、
前記洗い場床の前記第1の範囲をゼロにして、前記洗い場床の床面全体を前記第2の範囲とするモードと、
前記洗い場床の前記第2の範囲をゼロにして、前記洗い場床の床面全体を前記第1の範囲とするモードと、
を実施可能になっている
ことを特徴とする請求項7に記載の浴室洗い場床用洗浄装置。 - 前記殺菌剤生成装置は、即効性の殺菌剤として、水道水中の塩素を殺菌成分生成手段で分解することによって次亜塩素酸を生成するようになっており、
前記除去装置は、前記殺菌剤生成装置で生成された次亜塩素酸を用いて水道水中のメチロバクテリウムを死滅させることによって、メチロバクテリウムを含まない洗浄水を生成するようになっている
ことを特徴とする請求項2に記載の浴室洗い場床用洗浄装置。
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