JP6813192B2 - 両親媒性ブロック共重合体、分子集合体及びその製造方法並びにタンパク質の内包剤 - Google Patents
両親媒性ブロック共重合体、分子集合体及びその製造方法並びにタンパク質の内包剤 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6813192B2 JP6813192B2 JP2017540922A JP2017540922A JP6813192B2 JP 6813192 B2 JP6813192 B2 JP 6813192B2 JP 2017540922 A JP2017540922 A JP 2017540922A JP 2017540922 A JP2017540922 A JP 2017540922A JP 6813192 B2 JP6813192 B2 JP 6813192B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- block copolymer
- vesicle
- amphipathic block
- molecular
- group
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
- 0 C[n]1nnc(*)c1 Chemical compound C[n]1nnc(*)c1 0.000 description 1
- UOYFTDMKBLZLGH-UHFFFAOYSA-N C[n]1nnc(CNC(CCCC(OC)=O)=O)c1 Chemical compound C[n]1nnc(CNC(CCCC(OC)=O)=O)c1 UOYFTDMKBLZLGH-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
Images
Classifications
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K47/00—Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient
- A61K47/30—Macromolecular organic or inorganic compounds, e.g. inorganic polyphosphates
- A61K47/34—Macromolecular compounds obtained otherwise than by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds, e.g. polyesters, polyamino acids, polysiloxanes, polyphosphazines, copolymers of polyalkylene glycol or poloxamers
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K47/00—Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient
- A61K47/30—Macromolecular organic or inorganic compounds, e.g. inorganic polyphosphates
- A61K47/36—Polysaccharides; Derivatives thereof, e.g. gums, starch, alginate, dextrin, hyaluronic acid, chitosan, inulin, agar or pectin
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08F—MACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
- C08F293/00—Macromolecular compounds obtained by polymerisation on to a macromolecule having groups capable of inducing the formation of new polymer chains bound exclusively at one or both ends of the starting macromolecule
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08L—COMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
- C08L79/00—Compositions of macromolecular compounds obtained by reactions forming in the main chain of the macromolecule a linkage containing nitrogen with or without oxygen or carbon only, not provided for in groups C08L61/00 - C08L77/00
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08L—COMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
- C08L87/00—Compositions of unspecified macromolecular compounds, obtained otherwise than by polymerisation reactions only involving unsaturated carbon-to-carbon bonds
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08L—COMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
- C08L89/00—Compositions of proteins; Compositions of derivatives thereof
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Polymers & Plastics (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Inorganic Chemistry (AREA)
- Pharmacology & Pharmacy (AREA)
- Epidemiology (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Public Health (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
- Medicinal Preparation (AREA)
- Other Resins Obtained By Reactions Not Involving Carbon-To-Carbon Unsaturated Bonds (AREA)
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
- Polyethers (AREA)
Description
項1. ポリプロピレングリコール(PPG)セグメント(A)と糖鎖セグメント(B)をリンカー基を介して結合してなる両親媒性ブロック共重合体であって、前記糖鎖セグメント(B)がマルトトリオースユニットを含み、マルトトリオースのアノマー炭素がPPGセグメント(A)と2価のリンカー基を介して結合している、両親媒性ブロック共重合体。
項2. 下記式(I)
で表される基であり、n1は10〜500である。)
で表される項1に記載の両親媒性ブロック共重合体。
項3. Y1又はY2で表される2価のリンカー基は、−NH−、下記式
で表される基のいずれかである、項2に記載の両親媒性ブロック共重合体。
項4. 項1〜3のいずれか1項に記載の少なくとも1種の両親媒性ブロック共重合体から構成される分子集合体。
項5. 前記分子集合体がベシクル、球状ミセル、棒状ミセル、あるいはチューブ構造である項4に記載の分子集合体。
項6. タンパク質を内包する、項5に記載の分子集合体。
項7. 前記タンパク質が酵素である、項6に記載の分子集合体。
項8. 項1〜3のいずれか1項に記載の少なくとも1種の両親媒性ブロック共重合体を水中に分散させることを特徴とする、項4又は5に記載の分子集合体の製造方法。
項9. 項4又は5に記載の分子集合体からなる、タンパク質の内包剤。
pは1〜4の整数、好ましくは1,2又は3、より好ましくは1又は2,特に1である。
XはO,NR4又はSであり、好ましくはNR4である。
R4は水素原子、アシル基又はアルキル基であり、好ましくは水素原子又はアルキル基である。
糖鎖セグメントにおけるグルコース残基の数は3以上、例えば3〜100、好ましくは3〜50、より好ましくは3〜30、さらに好ましくは3〜20、特に3〜10である。糖鎖セグメントは、グルコース残基のみから構成されていてもよく、グルコース以外の糖残基が含まれていてもよい。グルコース以外の糖残基としては、ガラクトース、マンノース、フルクトースが挙げられる。糖鎖セグメントにおけるグルコースの割合は、モル比で50%超、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは100%である。
で表される基が挙げられる。
スキーム1において、化合物(1a)1モルに対し化合物(2a)を1モルから過剰量使用し、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)などの溶媒中で触媒量から過剰量のCuSO4の存在下に、室温から溶媒の沸騰する温度下に1〜24時間反応させることで目的とする化合物(IA)を得ることができる。
実施例1
本研究では膜タンパク質の組み込みを必要とせず、よりシンプルな分子で物質透過能を持つ区画化された空間を構築するためにポリマーベシクル膜自身に物質透過能を付与することを試みた。ポリマーの分子設計では、膜の流動性を上げるためにガラス転移点が低いPPGを疎水基として利用し、親水基は、疎水基の質量とのバランスと生体親和性を考慮し、グルコースが5つ連なったマルトペンタオースを用いることとした。
M5P2.5ベシクルの調製は、Hubbellらの開発したDirect Hydration法に従って行った。得られたベシクルは、TEM観察及びDLS測定を行い、TEM像を図1左図に、DLS測定結果を右図に示す。 TEM像より、ベシクルは球状で、ふちのある会合体であることがわかった。このことから、M5P2.5は水溶液中でベシクル構造体を形成していることがわかった。また、DLS測定から、その粒子径は約120nm程度であった。また、PDIが0.16であり、比較的粒子径の揃ったベシクルを形成している事がわかった。
低分子量(MW1000〜3000)のPPGは、5〜40℃の温度領域で臨界下限共溶温度(LCST)があり、これらの温度領域で、水溶液中でPPGは溶解する事が知られている。そこで、M5P2.5分子集合体溶液の温度変化を行いながら濁度測定を行ない、濁度の変化から曇点があるか評価を行った。その結果を図2に示す。
図2より降温過程において透過率の増大が見られた。このことからM5P2.5はLCSTを示すことがわかった。一次微分曲線(dTλ/dT)からM5P2.5集合体の曇点は、7℃であった。この事からM5P2.5ベシクルは、7℃以下への冷却によって崩壊させる事が可能である事がわかった。
次にM5P2.5ベシクルにFITCラベル化された分子量の異なるPEG及びウシ血清アルブミン(BSA)を内包させ、その放出挙動を調べることで透過能について評価を行った。結果を図3に示す。
図3より、3時間後では分子量の大きなBSA(分子量:66000)は、ほぼ放出されない。一方で分子量が小さい内包分子(PEG:分子量550〜5000)は放出されていることがわかる。また、その透過速度は内包分子の分子量に依存し、分子量が5000以下で速やかに放出される。これらのことから、M5P2.5ベシクルは、低分子の物質の選択的な透過が可能であることがわかった。
(4-1)キモトリプシン内包M5P2.5ベシクルの機能
M5P2.5からなるベシクルの内水相へ酵素を内包させ、酵素反応場として機能するか評価を行った。内包させた酵素は、加水分解酵素であるキモトリプシン、基質はN-benzoyl-l-tyrosine p-nitroanilideを用いた。また、分子量5000以上のものはベシクル膜の透過が著しく遅いことから、キモトリプシンの阻害剤であるaprotinin(6.5K)を用いて、M5P2.5ベシクルの選択的物質透過能についても評価をおこなった。結果を図4に示す。図4より、M5P2.5へ内包させたキモトリプシンは、天然状態のキモトリプシンに比べ反応速度は遅いものの活性を示している。また、ベシクルへ内包されたキモトリプシンは阻害剤の存在下でも、同程度の活性を示しており、ベシクルの二分子膜は選択的に分子の透過を行っていることもわかる。阻害剤の有無で、反応速度に変化が認められない事から、天然状態のキモトリプシンに比べて反応速度が遅い要因として、基質のベシクル膜への拡散が律速となっていることが考えられる。これらのことからM5P2.5からなるベシクルは、酵素活性を阻害せずに酵素反応場として機能することがわかった。
(4-2)β-ガラクトシダーゼ内包M5P2.5ベシクルの機能
酵素反応場としての有用性を確かめる為に、β-ガラクトシダーゼをM5P2.5ベシクルへ内包させ、上記と同様に活性の評価を行った。図5より、M5P2.5ベシクルへ内包させたβ-ガラクトシダーゼは、天然状態のβ-ガラクトシダーゼに比べ反応速度は遅いものの活性を示している。また、ベシクルへ内包されたβ-ガラクトシダーゼは分子量の大きなタンパク質加水分解酵素(プロテイナーゼK)の存在下でも、活性を示しており、ベシクルの二分子膜により内水相に保持したβ-ガラクトシダーゼが保護されていることがわかった。
上記の結果より、β-ガラクトシダーゼ内包M5P2.5ベシクルは、水溶液中で酵素活性を維持している事が判明した。
(4-3)β-ガラクトシダーゼ内包M5P2.5ベシクルの細胞内での機能
上記結果より、医薬用途を目的として、細胞内での抗癌剤プロドラッグの活性化を試みた。M5P2.5ベシクル細胞への親和性を付与するために、TATペプチドを修飾したPPOを合成し、M5P2.5へ1mol%添加しTATペプチド提示ベシクルを調製した。得られたベシクルのサイズや表面電荷は、M5P2.5ベシクルと同程度で、β-ガラクトシダーゼの内包も可能であった。そこで、HeLa細胞にβ-ガラクトシダーゼ内包TAT提示M5P2.5ベシクルを添加し、細胞内に取り込ませた。その後、培地を交換し、基質であるプロドラッグ5-Fluorouridine-5'-O-b-D-galactopyranoside (FURG)を添加し、24時間培養後にcell counting kit-8を用いて細胞毒性を評価した(図6)。図6よりプロドラッグ(FURG)だけの添加では、細胞毒性を示さないのに対し、β-ガラクトシダーゼ内包TAT提示M5P2.5ベシクルの存在下では、プロドラッグ(FURG)は抗癌剤(5-FUR)と同程度の細胞毒性を示した。このことから、プロドラッグ(FURG)が細胞内に取り込まれた後、β-ガラクトシダーゼ内包TAT提示M5P2.5ベシクルによりプロドラッグが変換され、抗癌剤(5-FUR)となり顕著な細胞毒性を示したと考えられる。以上のことから、β-ガラクトシダーゼ内包ベシクルは、細胞内においても低分子基質の選択的な透過と内包酵素の機能維持を示す事が明らかとなった。
次に生体内オルガネラである小胞体が持つ機能の1つである、変性タンパク質の再生機能が、M5P2.5ベシクルにあるか調べた。用いた酵素は炭酸脱水素酵素(CAB)、基質は、N-benzoyl-l-tyrosine p-nitroanilideを用い、M5P2.5ベシクルとの混合後1時間の活性の評価を行なった。以下の表1に結果を示す。
図7より、混合後1時間足らずでCABの活性が8割程度まで回復していることが分かった。以上のことから、M5P2.5は化学変性したタンパク質のリフォールディングを促進させる、分子シャペロン様の機能を有することがわかった。
ブロック共重合体(M5P2.5)の合成法を図8に示す。
N3-PPO(12)の合成
Poly(Propylene glycol) monobutylether(11)(4.98g, 2.0 mmol)を脱水Pyridine(5mL)ヘ溶解させた後、メシルクロライド(0.46g, 4.0 mmol)を加えた。30℃で20時間撹拌した後、50 mLの超純水へ反応液を添加した。水相をDCM(ジクロロメタン)で抽出した後、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ紙でろ過後減圧乾燥を行なった。得られたメシル化化合物は、精製する事なく次の反応に用いた。得られた淡黄色のオイル状化合物を脱水DMF(5mL)溶解させ、NaN3(1.3g, 20.0 mmol)を加え、45℃で48時間撹拌した。室温まで冷却後に、反応液を超純水(50mL)ヘ添加し、水相を酢酸エチルで抽出した。有機層を超純水、brineで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ紙でろ過後に減圧乾燥を行ない、N3-PPO (12)を得た。
マルトペンタオース(13)(1.0g, 1.22mmol)をプロパギルアミン(1.34g, 24.4mmol)に溶解させ、室温で72時間撹拌した。反応溶液にメタノール10mLを加え、ジクロロメタン溶液100mLに滴下し、白色固体を得た。得られた固体をジクロロメタン/メタノール混合溶液=9:1(100mL)で洗浄した。洗浄した固体を脱水メタノール(100mL)に溶解させ、無水酢酸(7.23g, 96.4mmol)を加え室温で24時間撹拌を行なった。溶媒を除去し、超純水20mLを加え凍結乾燥し、目的化合物(14)を得た。
得られたN3-PPO(12)(0.53g, 0.21 mmol)とアルキン修飾マルトペンタオース(13)(0.29g, 0.32mmol)、硫酸銅5水和物(5 mg, 0.02mmol), アスコルビン酸ナトリウム(8mg, 0.04mmol)を脱水DMF(5mL)へ加え、50℃で17時間撹拌した。室温に冷却後, 透析を行なった(spectra por 7 MWCO1000, 25mM EDTA, water、4日)。透析後、凍結乾燥を行ないブロックポリマーM5P2.5を白色粉末として得た。ポリマーは1H-NMRスペクトル測定を行い同定した(図9)。
ベシクルの調製法
1.5mLのsafe-lock tubeに約5mgのM5P2.5と10倍量(重量比)のPEG dimethoxyether(MW550)を加えたのちに、95℃で20分加熱後、15分室温で冷却した。その後、100μL, 200μL, 約700μLのPBS(4mM, pH=7.4)をMMPの最終濃度が5mg/mlとなるように添加した。また、各緩衝液を添加時に30秒ボルテックスをかけ混和させた。作成後、0.22μmのPVDFフィルターを通し、M5P2.5ベシクル溶液を調製した。
エラスチックカーボン支持膜(ELS-C10 STEM, 応研商事)上に、上記で調製したベシクル溶液を5μL滴下した。余分な水分をろ紙で拭き取り1wt %リンタングステン酸溶液をグリッドに滴下した。再度、余分な水分をろ紙で拭き取り、デシケーターで一晩乾燥させた。Hitachi HT-7700を用いてTEM観察を行った。
上記で調製したベシクル溶液をMalvern zetasizer ナノZSPを用いて25℃でベシクルの粒子径測定を行った。
ベシクルへの物質の内包
1.5 mL safe-lock tube に約 5mg のM5P2.5 と 10 倍量(重量比)の PEG dimethoxyether(MW550)を加えた。95°Cで 20 分加熱後、15 分室温で冷却した後にゲスト分子溶液をM5P2.5の 10wt%となるよう添加し、30 秒ボルテックスをかけ混和させた。 次いで100μL, 200μL, 約700μLのPBS(4mM,pH=7.4)をMMPの最終濃度が5mg/mlとなるように添加した。また、 各緩衝液を添加時に 30 秒ボルテックスをかけ混和させた。作成した溶液を1時間静置後に、MWCO 300kDa の透析膜による透析またはSephadex g-50により精製を行なった。精製後のサンプル100μL と DMSOを200μL と混合し、内包率算出用のサンプルとした。
精製後の ベシクル溶液(1.0mL)を MWCO 300kDa の透析膜に添加し、20mL の PBS(4mM, pH=7.4)中で透析を行なった。透析時の温度は、25℃とした。一定時間ごとに 48 時間まで透析チューブ内の溶液を 20μL 分取し、40μL の DMSO と混合した。この溶液を UV-Vis 測定しチューブ内に残存している ゲスト分子のUV吸収から放出量を算出した。
safe-lock tubeに約5mgのM5P2.5と10倍量(重量比)のpolyethylene glycol dimethoxyether(MW 500)を加えた。95℃で20分加熱後、15分室温で冷却した。15mg/mlのchymotrypsinストック溶液を最終濃度がM5P2.5の重量の10wt%となるよう添加し、30秒ボルテックスをかけ混和させた。100μL, 200μL, 約700μLのPBS(4mM, pH=7.4)をM5P2.5の最終濃度が5mg/mlとなるように添加した。また、各緩衝液を添加時に30秒ボルテックスをかけ混和させた。作成した溶液をMWCO300kDaの透析膜を用いて、精製し内包されていないchymotrypsinを除きchymotrypsin内包M5P2.5ベシクル溶液を得た。内包されているα-chymotrypsinの濃度はUV-VisおよびBCAアッセイを行い定量した。
−阻害剤存在下−
上記で得たchymotrypsin内包M5P2.5溶液を100μL, 基質N-benzoyl-l-tyrosine p-nitroanilide, 阻害剤(aprotinin)20μL(0.81mg/ml stock溶液、最終濃度100μM), PBS 280μL(1×, pH=7.4)を混合した。紫外分光光度計で410nmのp-ニトロフアニリンに由来する吸光度の変化を15分間追跡し、酵素活性を測定した。
上記で得たchymotrypsin内包M5P2.5溶液を100μL, 基質20μL(0.81mg/ml stock溶液、最終濃度100μM), PBS 260μL(1×, pH=7.4)を混合した。紫外分光光度計で410nmの吸光度の変化を15分間追跡し、酵素活性を測定した。
(10) β-galactosidase内包M5P2.5ベシクルの調製法および酵素活性測定法
β-galactosidaseを内包したM5P2.5ベシクルは、chymotrypsin内包M5P2.5ベシクルと同様の方法で調製した。
上記で得たβ-galactosidase内包M5P2.5溶液([M5P2.5]=5.0mg/ml, [β-galactosidase]=25μg/mL)から60μL, PBS 1936μL, TokyoGreen β-gal溶液(25μg/ml)4μLを混合し、蛍光分光光度計で510nmの蛍光光度の変化を追跡した。
また、細胞内での抗癌剤プロドラッグの活性化は、以下の通り行なった。96穴プレートに前培養したHeLa細胞にβ-galacotsidase内包TAT提示ベシクル([β-galactosidase]=25μg/ml)を添加し、24時間後に培地を除去しPBSで洗浄後、5-Fluorouridine-5'-O-b-D-galactopyranoside (FURG, 100μM)を添加した。さらに、24時間培養後、Cell counting kit-8を10μLを添加し、37℃で2時間インキュベートしたのちプレートリーダーで450nmの吸光度を測定し、細胞毒性の評価を行った。
化学変性タンパク質のリフォールディング
化学変性した炭酸脱水酵素溶液(6mg/ml)から12μL取り、2400μLのポリマー溶液(5.0 mg/ml)又はバッファーで200倍に希釈した。メチルβシクロデキストリンを添加する場合は、ここで117μLの溶液を添加した(CABの終濃度は1.0 μM (0.03mg/ml), ポリマーは1.5mM)。26〜28℃、30〜40rpmで撹拌させ、リフォールディングを行なった。一定時間ごとにリフォールディング溶液を400 μL分取した。その溶液にpNPA溶液(50 mM アセトニトリル溶液)を11μL添加しpNPAの加水分解速度をUV-Visスペクトルを用いて評価した。(UV-Vis測定:JASCO, V-660, 10mm×2mm cell, 400nmの吸光度の増加を60秒測定し、吸光度の増加分を活性の指標とした)
X線小角散乱測定によるM5P2.5ベシクルの構造解析
サンプルおよび実験条件
サンプル:Direct hydrationおよび冷却法により作成したM5P2.5ベシクル(5mg/ml in PBS(1×))
SAXS測定:あいちシンクロトロン光センター BL8S3
カメラ長:2120mm, 波長:0.92Å, 検出器:Rigaku R-axis IV (Imaging plate型)サンプルセル:石英キャピラリー(Hilgenberg, φ=2mm)、照射時間:600秒得られたデータの円環平均はFit 2D, データ解析はIgorのプログラムを用いた。
図10に得られたSAXSプロファイルを示す。TEM像からベシクル様構造を形成している可能性が高いことから、以下に示す二分子膜モデル(J. Phys. Chem. B 2007, 111, 10357, J. Phys. Chem. B 1998, 102, 5737)によりSAXSプロファイルのフィッティングを行なった。
(1)糖鎖およびPPGセグメントの異なるブロック共重合体の合成と分子集合体の構造解析
M5P2.5の合成スキームと同様の手法を用いて、糖鎖およびPPGセグメントの異なる一連の化合物を合成した(図12)。以後、PPO(Mn=2000)の両末端がマルトペンタオースで修飾された化合物をBisM5P2、PPO(Mn=1000)の片末端がマルトペンタオースで修飾されたものをM5P1、PPO(Mn=2500)の片末端がマルトオクタオースで修飾されたものをM8P2.5, PPO(Mn=1000)の片末端がマルトトリオースで修飾されたものをM3P1、PPO(Mn=3500)の片末端がマルトペンタオースで修飾された化合物をM5P3.5とする。得られた化合物の同定は1H-NMRより行ない、ブロック共重合体(BisM5P2、M5P1、M8P2.5、M3P1、M5P3.5)のNMRスペクトルをそれぞれ図13〜図17に示す。
上記で得られたブロック共重合体は、水溶液中に分散させ、水溶液中での分子集合体の構造解析をTEMを用いて行なった。以下の図18〜22に示すTEM像の解析結果から、ブロック共重合体(M5P1、M8P2.5、M3P1、M5P3.5)は水中において分子集合体としてベシクルを形成することがわかった。
BisM5P2を冷却しながら、PBSバッファーに溶解させゆっくりと室温に戻す事でBisM5P2分子集合体を得た。得られた分子集合体のTEM観察結果を図18に示す。
M5P1を冷却しながらPBSバッファーに溶解させ、ゆっくりと室温に戻す事でM5P1分子集合体溶液を得た。分子集合体のTEM像を図19に示す。
M8P2.5を冷却しながらPBSバッファーに溶解させ、ゆっくりと室温に戻し分子集合体溶液を得た。得られた分子集合体のTEM像を図20に示す。
M3P1を冷却しながらPBSバッファーに溶解させ、ゆっくりと室温に戻し分子集合体溶液を得た。得られた分子集合体のTEM像を図21に示す。
M5P3.5を冷却しながらPBSバッファーに溶解させ、ゆっくりと室温に戻し分子集合体溶液を得た。得られた分子集合体のTEM像を図22に示す。
M5P2.5を糖鎖プライマーとした酵素重合反応による直鎖および多分岐型糖鎖を有するブロック共重合体の合成
M5P2.5をプライマ-として用いてホスホリラーゼ a(GPa)による糖鎖重合反応で直鎖状糖鎖の合成、さらにGPaとグリコーゲンブランチングエンザイム(GBE)によるタンデム酵素反応で、多分岐型糖鎖の酵素合成反応を行なった。直鎖状糖鎖重合反応では、プライマーの最終濃度が0.5 mMとなるように調製し、グルコース1リン酸を0.36mmol, ホスホリラーゼaを0.77nmol加えて、0.1M Bis tris緩衝液中37℃で行なった。また、分岐型糖鎖重合反応では、上記の化合物に加えGBEを1.2nmol加えて反応を行なった。一定時間毎に10μLずつサンプリングし、遊離リン酸の定量を行い、重合の進行の確認を行った。また、反応終了後に1H-NMR測定を行ないα1,6位アノマー由来のプロトンの有無の確認を行なった。それらの結果を図23に示す。
Claims (13)
- ポリプロピレングリコール(PPG)セグメント(A)と糖鎖セグメント(B)をリンカー基を介して結合してなる両親媒性ブロック共重合体であって、前記糖鎖セグメント(B)がマルトトリオースユニットを含み、マルトトリオースのアノマー炭素がPPGセグメント(A)と2価のリンカー基を介して結合している、両親媒性ブロック共重合体。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の少なくとも1種の両親媒性ブロック共重合体から構成される分子集合体。
- 前記分子集合体がベシクル、球状ミセル、棒状ミセル、あるいはチューブ構造である請求項4に記載の分子集合体。
- タンパク質を内包する、請求項5に記載の分子集合体。
- 前記タンパク質が酵素である、請求項6に記載の分子集合体。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の少なくとも1種の両親媒性ブロック共重合体を水中に分散させることを特徴とする、請求項4又は5に記載の分子集合体の製造方法。
- 請求項4又は5に記載の分子集合体からなる、タンパク質の内包剤。
- 前記両親媒性ブロック共重合体から構成される分子集合体がベシクルである請求項1に記載の両親媒性ブロック共重合体。
- 前記両親媒性ブロック共重合体から構成される分子集合体がベシクルであって、かつ、分子量に依存した選択的な物質透過能を有する、請求項1に記載の両親媒性ブロック共重合体。
- 前記両親媒性ブロック共重合体から構成される分子集合体が温度に依存して形成あるいは崩壊するベシクルである、請求項1に記載の両親媒性ブロック共重合体。
- 前記両親媒性ブロック共重合体から構成される分子集合体がベシクルであって、かつ、分子シャペロン様機能を有する、請求項1に記載の両親媒性ブロック共重合体。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015187148 | 2015-09-24 | ||
JP2015187148 | 2015-09-24 | ||
PCT/JP2016/078042 WO2017051882A1 (ja) | 2015-09-24 | 2016-09-23 | 両親媒性ブロック共重合体、分子集合体及びその製造方法並びにタンパク質の内包剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2017051882A1 JPWO2017051882A1 (ja) | 2018-07-12 |
JP6813192B2 true JP6813192B2 (ja) | 2021-01-13 |
Family
ID=58386086
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017540922A Active JP6813192B2 (ja) | 2015-09-24 | 2016-09-23 | 両親媒性ブロック共重合体、分子集合体及びその製造方法並びにタンパク質の内包剤 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6813192B2 (ja) |
WO (1) | WO2017051882A1 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7296610B2 (ja) * | 2018-05-07 | 2023-06-23 | 国立大学法人東京工業大学 | 人工シャペロン分子及びこれを用いたタンパク質の品質管理法 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009138473A2 (en) * | 2008-05-15 | 2009-11-19 | Biocompatibles Uk Limited | Intracellular antibody delivery |
BRPI0915885A2 (pt) * | 2008-07-09 | 2015-11-03 | Univ Nebraska | micelas funcionais para a liberação direcionada de substâncias químicas em tecido duro |
JP5997479B2 (ja) * | 2012-03-30 | 2016-09-28 | 日澱化學株式会社 | 酵素法による糖脂肪酸エステルの合成方法 |
WO2014130488A1 (en) * | 2013-02-19 | 2014-08-28 | University Of Massachusetts | Functionalized nanoparticles for medical treatments |
-
2016
- 2016-09-23 WO PCT/JP2016/078042 patent/WO2017051882A1/ja active Application Filing
- 2016-09-23 JP JP2017540922A patent/JP6813192B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2017051882A1 (ja) | 2017-03-30 |
JPWO2017051882A1 (ja) | 2018-07-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Blanazs et al. | Self‐assembled block copolymer aggregates: from micelles to vesicles and their biological applications | |
Schatz et al. | Polysaccharide‐containing block copolymers: synthesis, properties and applications of an emerging family of glycoconjugates | |
He et al. | Controlled drug release system based on cyclodextrin-conjugated poly (lactic acid)-b-poly (ethylene glycol) micelles | |
Cao et al. | A hyperbranched amphiphilic acetal polymer for pH-sensitive drug delivery | |
Perouzel et al. | Synthesis and formulation of neoglycolipids for the functionalization of liposomes and lipoplexes | |
Kundu et al. | Guar gum benzoate nanoparticle reinforced gelatin films for enhanced thermal insulation, mechanical and antimicrobial properties | |
Chen et al. | Dual redox-triggered shell-sheddable micelles self-assembled from mPEGylated starch conjugates for rapid drug release | |
JP4064108B2 (ja) | 遺伝子キャリヤー | |
CN102260356B (zh) | 一种用作基因载体的壳聚糖衍生物及其制备方法和用途 | |
Yue et al. | A comparison of mesoporous silica nanoparticles and mesoporous organosilica nanoparticles as drug vehicles for cancer therapy | |
CN113292608B (zh) | 一种外泌体药物递送系统及其制备方法和应用 | |
Huang et al. | Light and reductive dual stimuli-responsive PEI nanoparticles:“AND” logic response and controllable release | |
Kalva et al. | Controlled micellar disassembly of photo-and pH-cleavable linear-dendritic block copolymers | |
CN102234658A (zh) | 靶向性季铵盐类阳离子高分子脂质基因载体、制备方法及应用 | |
Poon et al. | Fluorescent Labeling and Biodistribution of Latex Nanoparticles Formed by Surfactant‐Free RAFT Emulsion Polymerization | |
CN102145173A (zh) | 人血清白蛋白复合的疏水改性普鲁兰多糖纳米粒子及制备方法 | |
CN102091025B (zh) | 抗肿瘤可注射水凝胶及其制备方法和用途 | |
Arno et al. | Exploiting topology-directed nanoparticle disassembly for triggered drug delivery | |
Jana et al. | Low molecular weight polyethyleneimine conjugated guar gum for targeted gene delivery to triple negative breast cancer | |
Zhu et al. | Simultaneously and separately immobilizing incompatible dual-enzymes on polymer substrate via visible light induced graft polymerization | |
JP6813192B2 (ja) | 両親媒性ブロック共重合体、分子集合体及びその製造方法並びにタンパク質の内包剤 | |
Yang et al. | Synthesis of the light/pH responsive polymer for immobilization of α-amylase | |
Kedracki et al. | DNA–polymer conjugates: from synthesis, through complex formation and self-assembly to applications | |
CN107099007B (zh) | 两亲性嵌段聚合物、光和pH双重响应的聚合物复合型囊泡及其制备方法和应用 | |
CN101440136B (zh) | 胺糖化几丁聚糖复合物的制备方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20190606 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20200512 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20201201 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20201210 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6813192 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |