JP6811877B2 - 点火装置 - Google Patents

点火装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6811877B2
JP6811877B2 JP2019556472A JP2019556472A JP6811877B2 JP 6811877 B2 JP6811877 B2 JP 6811877B2 JP 2019556472 A JP2019556472 A JP 2019556472A JP 2019556472 A JP2019556472 A JP 2019556472A JP 6811877 B2 JP6811877 B2 JP 6811877B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
power
voltage
power supply
converter
ignition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019556472A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2019106776A1 (ja
Inventor
中川 光
光 中川
亮祐 小林
亮祐 小林
村上 哲
哲 村上
裕一 村本
裕一 村本
棚谷 公彦
公彦 棚谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Publication of JPWO2019106776A1 publication Critical patent/JPWO2019106776A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6811877B2 publication Critical patent/JP6811877B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02PIGNITION, OTHER THAN COMPRESSION IGNITION, FOR INTERNAL-COMBUSTION ENGINES; TESTING OF IGNITION TIMING IN COMPRESSION-IGNITION ENGINES
    • F02P3/00Other installations

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Ignition Installations For Internal Combustion Engines (AREA)

Description

この発明は、主に交流電力によるプラズマ放電を利用する点火装置に関するものである。
車両等に搭載される内燃機関の燃費を向上させる手法として、希薄燃料を燃焼させる希薄燃焼方式や、燃料燃焼後の排気を燃焼室内に再循環させる排気再循環方式、あるいは燃焼室を高圧縮比とする方式などが進められている。しかし、いずれの方式も燃料への点火が難しいという課題があり、着火性の向上が要求されている。
従来、内燃機関の点火装置に於ける燃料への着火性を高める一つの手法として、例えば特許文献1に開示された高周波プラズマ点火装置がある。一般的な内燃機関の点火装置は、点火コイルとイグナイタで構成された絶縁破壊用の高電圧電源によって高電圧を発生させ、点火プラグの電極間に火花放電を発生させるものであるのに対して、高周波プラズマ点火装置は、絶縁破壊用の高電圧電源以外に高周波交流電源を備え、絶縁破壊用の高電圧電源による放電開始直後に点火プラグの電極間にメガヘルツ(以下、MHzと称する)オーダーの高周波電圧を供給して、高温・高圧の高周波プラズマを点火プラグの電極間に継続して発生させることにより、ガス化された燃料への着火性を高めるように構成されている。
特許文献1に開示された点火装置は、絶縁破壊用の高電圧電源と、高周波交流電源を備えており、高周波交流電源は、バッテリと、フルブリッジインバータ回路と、高周波トランスと、LC共振回路と、で構成される。特許文献1には、高周波交流電源のフルブリッジインバータとバッテリの間にDC/DC変換装置を接続してもよい、と記載されている。
周知のように、DC/DC変換装置によりバッテリ電圧を昇圧して出力コンデンサに充電する場合、出力コンデンサの充電電圧(印加電圧若しくは出力電圧とも称されることがあるが、以下の説明では「充電電圧」と称する)を検出しておき、その出力コンデンサの充電電圧が所定の閾値に達したときに充電を停止し、出力コンデンサの充電電圧が前述の閾値を下回ったときに充電を再開するという技術が存在する。出力コンデンサの充電電圧は、負荷側の電力消費や時間経過に伴う自然放電により徐々に低下する。その結果、DC/DC変換装置は電圧変換動作と停止を繰り返し、出力コンデンサの充電電圧を所定の値に保つことになる。
ここで、特許文献1のように構成された従来の点火装置において、高電圧電源が点火プラグに高電圧を印加し、点火プラグの電極間に絶縁破壊を発生させたとき、点火プラグには瞬間的に大きな容量放電電流が流れる。この容量放電電流は、点火プラグに接続されたLC共振回路のコンデンサ及び点火プラグ近傍の寄生容量に充電された電荷が放出されたものであるため、点火プラグ、高周波トランス、LC共振回路の経路にも流れる。したがって、容量放電電流は高周波トランスを介してフルブリッジインバータ及びDC/DC変換装置にも流入し、インバータを構成する半導体スイッチ等を還流して消費される。
また、特許文献1のように構成された従来の点火装置において、フルブリッジインバータから点火プラグに交流電力を出力したとき、その出力された交流電流の一部が内燃機関に接続されている共通接地電位部位である共通GNDに流れ込む。この共通GNDに流れ込む電流は共通GNDを介して、高周波交流電源の基準電位に流れ込み、寄生容量等を介して還流される。
特開2015−86702号公報
前述の従来の点火装置において、容量放電電流や交流電流は、MHzオーダー以上の高い周波数を持つため、DC/DC変換装置の基準電位に流れ込んだ際に配線等の寄生インダクタンスにより電圧振動を引き起こす。特に、容量放電電流と交流電流が同時にDC/DC変換装置の基準電位に流れ込めば、これ等の2つの電流が重畳されることでDC/DC変換装置の基準電位における基準電位の電圧振動が非常に大きくなる。このDC/DC変換装置の基準電位の電圧振動は、制御用の信号やセンサ検出値に重畳されるため、DC/DC変換装置の出力コンデンサの充電電圧を検出する電圧検出装置にも重畳され、その電圧検出装置の検出値に大きな誤差を発生させることがある。
前述の電圧検出装置の検出値の誤差の影響により、出力コンデンサの充電電圧を実際よりも低く検出した場合、DC/DC変換装置は出力コンデンサに必要以上に大きな電力を出力することになる。その結果、出力コンデンサの充電電圧は本来意図した値よりも大きくなってしまうため、点火装置におけるDC/DC変換装置の半導体のスイッチング損失等が増え、電力損失の増大を引き起こすという課題があった。
この発明は、従来の点火装置における前述のような課題を解決するために為されたものであり、電圧検出手段の電圧検出値の誤差によりDC/DC変換装置が必要以上に大きな電力を出力することを防止し、電力損失の増大を防ぐことができる点火装置を提供することを目的とする。
この発明による点火装置は、
間隙を介して対向する第1の電極と第2の電極とを備え、内燃機関の燃焼室の燃料に点火する点火プラグと、
前記点火プラグに電圧を印加して前記間隙に絶縁破壊を生じさせる高電圧電源と、
前記点火プラグに高周波電圧を印加して前記間隙に高周波プラズマを発生させる高周波交流電源と、
前記高電圧電源と前記高周波交流電源に電力を供給する直流電源と、
前記高電圧電源と前記高周波交流電源との動作を制御する制御装置と、
を有する点火装置であって、
前記高周波交流電源は、
直流電力を所定の周波数の交流電力に変換し、前記変換した交流電力を前記点火プラグに出力するDC/AC変換装置と、
直流電源からの直流電力を所定の電圧値を有する直流電力に変換し、前記変換した直流電力を前記DC/AC変換装置に出力するDC/DC変換装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記絶縁破壊により発生する容量放電電流が予め定められた値よりも小さい期間と、前記DC/AC変換装置が前記点火プラグに前記交流電力を出力しない期間と、のうちの少なくとも一方を満たす期間において、前記DC/DC変換装置が電力変換動作を行うように制御するように構成されている、
ことを特徴とする。
また、この発明による点火装置は、
間隙を介して対向する第1の電極と第2の電極とを備え、内燃機関の燃焼室の燃料に点火する点火プラグと、
前記点火プラグに電圧を印加して前記間隙に絶縁破壊を生じさせる高電圧電源と、
前記点火プラグに高周波電圧を印加して前記間隙に高周波プラズマを発生させる高周波交流電源と、
前記高電圧電源と前記高周波交流電源に電力を供給する直流電源と、
前記高電圧電源と前記高周波交流電源との動作を制御する制御装置と、
を有する点火装置であって、
前記高周波交流電源は、
直流電力を所定の周波数を有する交流電力に変換し、前記変換した交流電力を前記点火プラグに出力するDC/AC変換装置と、
直流電源からの直流電力を所定の電圧値を有する直流電力に変換し、前記変換した直流電力を前記DC/AC変換装置に出力するDC/DC変換装置と、
を備え、
前記DC/DC変換装置は、
前記変換した前記直流電力のエネルギを充電する電力供給用コンデンサと、
前記電力供給用コンデンサの充電電圧を検出する電圧検出手段と、
を備え、
前記制御装置は、
前記高電圧電源が前記点火プラグに電圧を印加してから、前記絶縁破壊により生じる容量放電電流が予め定められた値よりも小さくなるまでの期間において、前記高電圧電源が前記点火プラグに電圧を印加する直前の前記電圧検出手段の検出値を用いて、前記DC/DC変換装置の電力変換動作を制御するように構成されている、
ことを特徴とする。
さらに、この発明による点火装置は、
間隙を介して対向する第1の電極と第2の電極とを備え、内燃機関の燃焼室の燃料に点火する点火プラグと、
前記点火プラグに電圧を印加して前記間隙に絶縁破壊を生じさせる高電圧電源と、
前記点火プラグに高周波電圧を印加して前記間隙に高周波プラズマを発生させる高周波交流電源と、
前記高電圧電源と前記高周波交流電源に電力を供給する直流電源と、
前記高電圧電源と前記高周波交流電源との動作を制御する制御装置と、
を有する点火装置であって、
前記高周波交流電源は、
直流電力を所定の周波数を有する交流電力に変換し、前記変換した交流電力を前記点火プラグに出力するDC/AC変換装置と、
直流電源からの直流電力を所定の電圧値を有する直流電力に変換し、前記変換した直流電力を前記DC/AC変換装置に出力するDC/DC変換装置と、
を備え、
前記DC/DC変換装置は、
前記変換された前記直流電力のエネルギを充電する電力供給用コンデンサと、
前記電力供給用コンデンサの充電電圧を検出する電圧検出手段と、
を備え、
前記制御装置は、
前記DC/AC変換装置が前記点火プラグに電流を出力する期間において、前記DC/AC変換装置が点火プラグに電流を出力する直前の前記電圧検出手段の検出値を用いて、前記DC/DC変換装置の電力変換動作を制御するように構成されている、
ことを特徴とする。
この発明による点火装置によれば、前記高周波交流電源は、直流電力を所定の周波数の交流電力に変換し、前記変換した交流電力を前記点火プラグに出力するDC/AC変換装置と、直流電源からの直流電力を所定の電圧値を有する直流電力に変換し、前記変換した直流電力を前記DC/AC変換装置に出力するDC/DC変換装置とを備え、前記制御装置は、前記絶縁破壊により発生する容量放電電流が予め定められた値よりも小さい期間と、前記DC/AC変換装置が前記点火プラグに前記交流電力を出力しない期間と、のうちの少なくとも一方を満たす期間において、前記DC/DC変換装置が電力変換動作を行うように制御するように構成されているので、DC/DC変換装置が電力変換動作を行う期間において、絶縁破壊による容量放電電流とDC/AC変換装置の出力する交流電流とが、同時にDC/DC変換装置の基準電位に流れ込むことを防ぎ、電圧検出手段の検出誤差を抑制することができる。その結果、検出誤差の影響により、DC/DC変換装置が必要以上に大きい電力を出力することを防止し、電力損失の増大を防ぐことができる。
また、この発明によれば、前記DC/DC変換装置は、前記変換した前記直流電力のエネルギを充電する電力供給用コンデンサと、前記電力供給用コンデンサの充電電圧を検出する電圧検出手段とを備え、前記制御装置は、前記高電圧電源が前記点火プラグに電圧を印加してから、前記絶縁破壊により生じる容量放電電流が予め定められた値よりも小さくなるまでの期間において、前記高電圧電源が前記点火プラグに電圧を印加する直前の前記電圧検出手段の検出値を用いて、前記DC/DC変換装置の電力変換動作を制御するように構成されているので、電圧振動が引き起こす検出誤差の影響によりDC/DC変換装置が必要以上に大きい電力を出力することを防止し、電力損失の増大を防ぐことができる。
さらに、この発明によれば、前記DC/DC変換装置は、前記変換された前記直流電力のエネルギを充電する電力供給用コンデンサと、前記電力供給用コンデンサの充電電圧を検出する電圧検出手段とを備え、前記制御装置は、前記DC/AC変換装置が前記点火プラグに電流を出力する期間において、前記DC/AC変換装置が点火プラグに電流を出力する直前の前記電圧検出手段の検出値を用いて、前記DC/DC変換装置の電力変換動作を制御するように構成されているので、電圧振動が引き起こす検出誤差の影響によりDC/DC変換装置が必要以上に大きい電力を出力することを防止し、電力損失の増大を防ぐことができる。
この発明の実施の形態1に係る点火装置の概略構成を成すブロック図である。 この発明の実施の形態1に係る点火装置の構成図である。 この発明の実施の形態1に係る点火装置の概略動作シーケンスを示すタイミングチャートである。 この発明の実施の形態1に係る点火装置の動作シーケンスを示すフローチャートである。 この発明の実施の形態1に係る点火装置の動作シーケンスを示すフローチャートで、図4におけるステップS05の詳細動作シーケンスのフローチャートを示している。 この発明の実施の形態1に係る点火装置の動作シーケンスを示すフローチャートで、図4におけるステップS05の別の詳細動作シーケンスのフローチャートを示している。 この発明の実施の形態1に係る点火装置の動作を説明する説明図である。 この発明の実施の形態1に係る点火装置におけるDC/DC変換装置の動作シーケンスを示すフローチャートである。 DC/DC変換装置が電力変換動作を行うときの条件を示す説明図である。 DC/DC変換装置が電力変換動作を行うときの条件と電圧検出手段の検出誤差との関係を示す説明図である。 この発明の実施の形態2に係る点火装置の概略動作シーケンスを示すタイミングチャートである。 この発明の実施の形態2に係る点火装置の動作シーケンスを示すフローチャートである。 この発明の実施の形態2に係る点火装置の概略動作シーケンスを示す別のタイミングチャートである。 この発明の実施の形態3に係る点火装置の動作シーケンスを示すフローチャートである。 この発明の実施の形態3に係る点火装置の概略動作シーケンスを示す別のタイミングチャートである。
以下、この発明の点火装置について、図を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は、同一または相当部分を示すものとする。
実施の形態1.
先ず、この発明の実施の形態1に係る点火装置について、図を用いて説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係る点火装置の概略構成を成すブロック図である。図1において、点火装置10は、点火プラグ1と、高電圧電源2と、DC/AC変換装置とDC/DC変換装置5とを有する高周波交流電源3と、直流電源6と、制御装置7とを備えている。点火プラグ1は、内燃機関(図示せず)に搭載され、内燃機関の燃焼室内に露出される第1の電極1aと第2の電極1bとを備えている。第1の電極1aと第2の電極1bは、所定の間隙を介して対向している。点火装置10は、点火周期Ti毎に制御装置7から出力される点火指令信号に応じて、点火プラグ1の第1の電極1aと第2の電極1bとの間の間隙に高周波プラズマを発生させ、内燃機関の燃焼室の内部の燃料に点火する。
高電圧電源2は、点火プラグ1の第1の電極1aと第2の電極1bとの間の間隙に絶縁破壊を生じさせるための高電圧を発生させる。DC/AC変換装置4は、DC/DC変換装置5から供給された直流電力としてのエネルギを交流電力としてのエネルギに変換する電力変換動作を行う。DC/AC変換装置4から出力された交流電力は、点火プラグ1に供給され、第1の電極1aと第2の電極1bとの間の間隙に高周波放電を発生させる。DC/DC変換装置5は、直流電源6からの直流電力を任意の直流電圧の値を有する直流電力に変換することが可能であり、具体的にはその装置に最適な所定の直流電圧の値を有する直流電力に変換してDC/AC変換装置4に出力する電力変換動作を行う。
直流電源6は、車両に搭載されたバッテリ等からなり、高電圧電源2と高周波交流電源3とに電力を供給する。制御装置7は、エンジンコントロールユニットあるいはマイクロコンピュータ等から構成され、高電圧電源2と高周波交流電源3との動作を制御する。DC/AC変換装置4およびDC/DC変換装置5は、その回路構成において、後述するようにスイッチング素子としての半導体スイッチを具備する。
次に、この発明の実施の形態1に係る点火装置のより具体的な回路構成と動作シーケンスについて説明する。図2は、この発明の実施の形態1による点火装置の構成図であって、図1に示す点火装置の具体的な回路構成を示している。図2において、点火装置10は、第1の電極1aと第2の電極1bとを有する点火プラグ1と、点火プラグ1の第1の電極1aと第2の電極1bとの間の間隙に高電圧を印加してその間隙に絶縁破壊を発生させる高電圧電源2と、所定の周波数を持つ交流電力を点火プラグ1に出力して、第1の電極1aと第2の電極1bとの間の間隙に高周波プラズマを発生させる高周波交流電源3と、高電圧電源2と高周波交流電源3とに電力を供給する直流電源6と、高電圧電源2と高周波交流電源3の動作を制御する制御装置7とを備えている。
高電圧電源2は、トランス21と、半導体スイッチ22と、ダイオード23とを備えている。トランス21は、一端が直流電源6の正極に接続され、他端が半導体スイッチ22の一端に接続された1次巻線21aと、一端が点火プラグ1の第1の電極1aに接続された2次巻線21bとを備えている。ダイオード23は、アノードがトランス21の2次巻線21bの一端に接続され、カソードがトランス21の1次巻線21aの一端に接続されている。ダイオード23は、直流電源6の電力が点火プラグ1に直接印加されないようにする逆流防止ダイオードとして機能する。半導体スイッチ22の他端は、グランドレベルの電位に保持されている車両のグランドレベル部位GNDに接続されている。
トランス21と半導体スイッチ22とはフライバックコンバータを構成しており、半導体スイッチ22のオン、オフを制御することで、直流電圧を昇圧することが可能である。なお、高電圧電源2は、点火プラグ1に高電圧を印加できるものであればよく、図2に示すフライバックコンバータ以外の構成であってもよい。
高周波交流電源3は、直流電力を交流電力に変換して点火プラグ1に出力するDC/AC変換装置4と、直流電圧を所定の電圧値に変換してDC/AC変換装置4に出力するDC/DC変換装置5とを備えている。DC/AC変換装置4は、フルブリッジインバータ回路と、昇圧トランス45と、共振回路を構成する共振インダクタ46および共振コンデンサと、電流検出手段48とを備えている。
フルブリッジインバータ回路は、ブリッジ回路の4辺を構成する4個の半導体スイッチ41、42、43、44を備えている。半導体スイッチ41と半導体スイッチ43の接続点は、DC/DC変換装置5の正側の出力端子に接続され、半導体スイッチ42と半導体スイッチ44の接続点は、DC/DC変換装置5の負側の端子を介してグランドレベル部位GNDに接続されている。
昇圧トランス45は、1次巻線45aと2次巻線45bとを備え、1次巻線45aの一端は、フルブリッジインバータ回路の半導体スイッチ41と半導体スイッチ42の直列接続点に接続され、1次巻線45aの他端は、半導体スイッチ43と半導体スイッチ44の直列接続点に接続されている。昇圧トランス45の2次巻線45bの一端は、共振インダクタ46の一端に接続され、2次巻線45bの他端は、点火プラグ1の第2の電極1bに接続されている。共振インダクタ46の他端は共振コンデンサ47の一端に接続されている。共振コンデンサ47の他端は、点火プラグ1の第1の電極1aに接続されている。
DC/AC変換制御回路49は、制御装置7からの指令に基づいて発生したゲート信号を、フルブリッジインバータ回路の4個の半導体スイッチ41、42、43、44のゲート端子に入力し、これらの半導体スイッチ41、42、43、44のオン、オフ動作を制御する。半導体スイッチ41と半導体スイッチ44は、同時にオンされ且つ同時にオフされる。半導体スイッチ43と半導体スイッチ42は、同時にオンされ且つ同時にオフされる。そして、半導体スイッチ41と半導体スイッチ44が同時にオンされているときは、半導体スイッチ43と半導体スイッチ42は同時にオフされ、半導体スイッチ43と半導体スイッチ42が同時にオンされているときは、半導体スイッチ41と半導体スイッチ44は同時にオフされる。
フルブリッジインバータ回路は、DC/AC変換制御回路49により前述のように4個の半導体スイッチ41、42、43、44が制御されることで、半導体スイッチ41と半導体スイッチ43の接続点に入力された直流電圧を交流電圧に変換し、昇圧トランス45の1次巻線45aに出力する。なお、DC/AC変換装置4は、直流電圧を交流電圧に変換できればよく、図2に示すフルブリッジインバータ回路以外の他の構成であっても良い。
昇圧トランス45は、高周波交流電源3の出力電圧を昇圧するために設けられている。共振インダクタ46と共振コンデンサ47は、共振回路を構成しており、昇圧トランス45の2次巻線45bから出力される出力電力を正弦波に整形する。なお、昇圧トランス45の漏れインダクタンスを用いて共振インダクタ46と同等の機能を実現できる場合、共振インダクタ46を設けなくともよい。
電流検出手段48は、DC/AC変換装置4の出力電流と、点火プラグ1の第1の電極1aと第2の電極1bの間の間隙における絶縁破壊に伴う容量放電電流と、を測定する。電流検出手段48は、例えばカレントトランスで構成されているが、シャント抵抗のように電流を検出する機能を有するものであってもよい。DC/AC変換制御回路49は、集積回路あるいは半導体スイッチにより構成された駆動回路等を備えており、制御装置7からの指令信号に基づいて、前述のようにDC/AC変換装置4の半導体スイッチ41、42、43、44を駆動してDC/AC変換装置4の電力変換動作を制御する。
DC/DC変換装置5は、インダクタ51と、ダイオード52と、電力供給用コンデンサ54と、半導体スイッチ53と、DC/DC変換制御回路56と、電圧検出手段55を備えている。インダクタ51の一端は、直流電源6の正極に接続され、他端はダイオード52のアノードに接続されている、ダイオード52のカソードは、DC/AC変換装置4の正側の入力端子に接続されている。電力供給用コンデンサ54の一端はダイオード52のカソードに接続され、他端はグランドレベル部位GNDに接続されている。
半導体スイッチ53の一端は、インダクタ51とダイオード52の直列接続点に接続され、他端はグランドレベル部位GNDに接続されている。電圧検出手段55は、DC/DC変換装置5の正側の出力端子に設けられ、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2を検出する。DC/DC変換制御回路56は、電圧検出手段55が検出した電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2の検出値に基づいて、半導体スイッチ53のオン、オフ動作を制御する。DC/DC変換制御回路56は、集積回路あるいは半導体スイッチからなる駆動回路等により構成されており、制御装置7からの指令信号に基づいてDC/DC変換装置5の電力変換動作を制御する。
インダクタ51と、ダイオード52と、半導体スイッチ53は、昇圧チョッパ回路を構成している。直流電源6は、車載用の電源としての例えば12[V]の出力電圧を発生する。前述の昇圧チョッパ回路は、直流電源6の12[V]の出力電圧を数十[V]〜数百[V]程度に昇圧して電力供給用コンデンサ54を充電する。DC/DC変換制御回路56は、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2が出力電圧指令値Vb未満のときに半導体スイッチ53をオン、オフ動作させて、電力供給用コンデンサ54を昇圧チョッパ回路50により充電し、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2が出力電圧指令値Vb以上のときに半導体スイッチ53の動作を停止して、昇圧チョッパ回路50による電力供給用コンデンサ54の充電を停止する。
電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2は、主にDC/AC変換装置4の電力変換動作により点火プラグ1にDC/AC変換装置4から交流電力が出力されたときに低下する。しかし、接続された半導体スイッチ53等からも電力供給用コンデンサ54に充電されている電荷が徐々に放電されるため、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2はDC/AC変換装置4が動作しなくても徐々に低下する。しかしながら、点火プラグ1に交流電力を出力していなくとも、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2が出力電圧指令値Vb未満となればDC/DC変換装置5の半導体スイッチ53は動作と停止を繰り返し、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2を出力電圧指令値Vbに維持する。
なお、DC/DC変換装置5は、直流電源6の出力電圧を任意の所定の電圧に変換できるものであればよく、図2に示す昇圧チョッパ回路50以外の構成であってもよい。
制御装置7は、高電圧電源2と、DC/AC変換装置4と、DC/DC変換装置5の動作を制御するとともに、電流検出手段48により対象箇所の電流を検出する。制御装置7は、内燃機関の燃焼室内の燃料に点火するタイミングを指示する点火指令信号を、点火周期毎に出力する。また、制御装置7は、内燃機関にとって最適なタイミングで燃焼が発生するように、点火指令信号を出力するタイミングを内燃機関の環境及び運転状況に合わせて制御する。
なお、点火指令信号は、制御装置7の外部から点火装置10に入力されてもよく、その場合は外部入力された点火指令信号に従って点火動作が実施される。
制御装置7は、DC/DC変換許可信号によってDC/DC変換装置5の電力変換動作を制御しており、DC/DC変換許可信号がハイレベルのときは電力変換動作を許可し、DC/DC変換許可信号がローレベルのときは電力変換動作を禁止する。
また、制御装置7は、DC/AC変換動作期間信号によってDC/AC変換装置4の電力変換動作を制御しており、DC/AC変換動作期間信号がハイレベルのときは電力変換動作を行い、DC/AC変換動作期間信号がローレベルのときは電力変換動作を停止する。制御装置7は、例えばエンジンコントロールユニットあるいはマイクロコンピュータ等により構成されている。
なお、高電圧電源2と、DC/DC変換装置5と、DC/AC変換装置4とに用いられている半導体スイッチ22、41、42、43、44、53は、半導体スイッチであればどのような構成の素子であってもよく、例えばIGBT(Insulated−Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)などが前述の半導体スイッチとして使用される。
次に、以上のように構成されたこの発明の実施の形態1による点火装置10の動作シーケンスについて説明する。図3は、この発明の実施の形態1に係る点火装置の概略動作シーケンスを示すタイミングチャートであって、「a」は点火指令信号、「b」は半導体スイッチ22の駆動制御信号、「c」は点火プラグ1の印加電圧、「d」はDC/AC変換動作期間信号、「e」は電流検出手段48の検出値I1、「f」はDC/DC変換許可信号、「g」はDC/DC変換装置5の出力電流、及び「h」は電力供給用コンデンサ54の充電電圧、をそれぞれ示している。図3の横軸は時間を示す。図4は、この発明の実施の形態1に係る点火装置の動作シーケンスを示すフローチャートである。
図1から図4において、まず、ステップS01では、点火装置10の制御装置7は、点火周期Ti毎に出力する点火指令信号に応じて、動作の内容を判断する。図3の「a」に示す点火指令信号がハイレベルHiのときは、内燃機関の燃焼室内に燃焼を発生させるために、点火装置10は一連の点火動作を開始する。図3の「a」に示す点火指令信号がローレベルLoのときは、DC/DC変換装置5による電力変換動作を許可し、必要に応じてDC/DC変換装置5が動作する。
図3に示すタイミングt1において、制御装置7は、図3の「a」に示す点火指令信号に応じて、「f」に示すDC/DC変換許可信号をローレベルLoに切り替え、DC/DC変換装置5の電力変換動作を禁止する。この段階がステップS02に相当する。これにより、DC/DC変換装置5の半導体スイッチ53のスイッチング動作が停止され、電力供給用コンデンサ54に電力が供給されなくなる。
その後、ステップS03において、制御装置7は、高電圧電源2により点火プラグ1に高電圧を発生させるために、高電圧電源2における半導体スイッチ22を導通させる。これにより、高電圧電源2のトランス21における1次巻線21aに電流が流れ、トランス21の鉄心に磁束が蓄積される。
ステップS04では、制御装置7は、図3に示すタイミングt2において、「a」に示す点火指令信号がハイレベルHiからローレベルLoに変化することに応じて高電圧電源2の半導体スイッチ22を遮断する。このタイミングt2は、トランス21の鉄心に点火プラグ1に絶縁破壊電圧を印加できるだけのエネルギが蓄積されたタイミングである。タイミングt1からタイミングt2までに要する時間は、内燃機関の動作条件ごとに予め測定しておき、制御装置7の内部に設けられたメモリに予め記録しておく。
高電圧電源2の半導体スイッチ22が遮断されると、トランス21に蓄積されていた磁束のエネルギが放出され、トランス21の2次巻線21bには誘導電圧が発生する。トランス21に蓄積されていた磁束のエネルギは徐々に放出されるため、図3の「c」に示す点火プラグ1の印加電圧V1は、0[V]から時間経過とともに負レベルの方向に増加する。なお、図2の回路構成では点火プラグ1に負電圧が印加されるが、正電圧が印加されるように回路を構成してもよい。
次に、図3に示すタイミングt3において、図3の「c」に示す点火プラグ1の印加電圧V1が絶縁破壊電圧Vaに達し、点火プラグ1の第1の電極1aと第2の電極1bとの間の空隙に絶縁破壊が発生する。点火プラグ1の電極間の空隙に絶縁破壊が発生すると、点火プラグ1には瞬間的に大きな容量放電電流が流れる。
点火プラグ1に流れる容量放電電流は、点火プラグ1に接続された共振コンデンサ47及び点火プラグ1の近傍の寄生容量に充電されていた電荷が放出されたものである。点火プラグ1に流れる容量放電電流は、その容量放電電流が流れる原因となるコンデンサの静電容量が大きいほど大きくなるため、この発明の実施の形態1に係る点火装置10では、共振コンデンサ47に起因する容量放電電流が特に大きい。この容量放電電流は、点火プラグ1と昇圧トランス45と共振インダクタ46と共振コンデンサ47とで構成される経路にも流れる。
その結果、容量放電電流の一部は、昇圧トランス45を介して高周波交流電源3にも流入し、半導体スイッチ41、42、43、44に夫々並列に接続されている並列ダイオードや、電力供給用コンデンサ54等を還流して消費される。制御装置7は、電流検出手段48の検出値I1を取り込み、この検出値I1に基づいて容量放電電流の電流値を測定する。
次に、図3に示すタイミングt4において、制御装置7は、電流検出手段48の検出値I1のピーク値が、予め定められた第1の所定値Ia及び第2の所定値Ib未満に減衰したことを判断する。この段階がステップS05に相当する。予め定められた第1の所定値Iaは、容量放電電流の電流値がその第1の所定値Ia以上のときに、電圧検出手段55が検出誤差を発生させる値として設定されている。
前述の予め定められた第2の所定値Ibは、容量放電電流の電流値がその第2の所定値Ib以上のときに、DC/AC変換装置4の出力電流に前述の容量放電電流の一部が重畳し、DC/AC変換装置4の出力電流を検出する電流検出手段48の検出値に検出誤差を生じる値として設定されている。第2の所定値Ibは、DC/AC変換装置4の出力電流指令値Icの1/2以下とすることが望ましい。制御装置7は、容量放電電流のピーク値が第1の所定値Ia及び第2の所定値Ib未満に減衰したことを判断したとき、高電圧電源2の出力が停止したと判断して次の動作に移る。
図5は、この発明の実施の形態1に係る点火装置の動作シーケンスを示すフローチャートであって、図4におけるステップS05の詳細動作シーケンスのフローチャートを示している。図5に示すフローでは、電流検出手段48の検出値I1を用いて以下に述べる判断を行う。すなわち、制御装置7は、図3のタイミングt1以降で電流検出手段48の検出値I1のピーク値が第1の所定値Iaまたは第2の所定値Ib以上になったとき、点火プラグ1の電極間の間隙における絶縁破壊に伴う容量放電電流の発生を検出する。この段階がステップS51Aに相当する。
図7は、この発明の実施の形態1に係る点火装置の動作を説明する説明図であって、容量放電電流の一例を示すとともに、図5のフローチャートに基づく判断について説明したものである。容量放電電流は交流電流であり、その周波数は主に共振インダクタ46と共振コンデンサ47の共振周波数となるため、[1/共振周波数]の周期をもち、その周期毎に正負のピーク値を生じる。図5のステップS52Aにおいて、制御装置7は、図5におけるステップS51Aの後も電流検出手段48の検出値I1を予め定められた第1の所定値Iaと比較する。
すなわち、図5におけるステップS52Aにおいて、図7に示すように、電流検出手段48が検出した容量放電電流の検出値I1と第1の所定値Iaとを容量放電電流の1周期毎に比較し、周期T2に示すように、容量放電電流の検出値I1が第1の所定値Ia以上になることを検出できなければ、容量放電電流が第1の所定値Ia未満に減衰したと判断する。図7に示す周期T1では、容量放電電流の検出値I1が第1の所定値Ia以上になっており、このときは、容量放電電流が第1の所定値Ia未満に減衰していないと判断する。
次に、図5のステップS53Aにおいて、制御装置7は、容量放電電流の検出値I1を予め定められた第2の所定値Ibと比較する。このステップS53Aにおいても、図7に示す周期T3のように、容量放電電流の1周期毎に検出値I1が第2の所定値Ib以上になることを検出できなければ、容量放電電流が第2の所定値Ib未満に減衰したと判断する。周期T1、T2では、容量放電電流の検出値I1が第2の所定値Ib以上になっており、このときは、容量放電電流が第2の所定値Ib未満に減衰していないと判断する。なお、ステップS52AとステップS53Aの順序は、どちらを先にしてもよい。
図6は、この発明の実施の形態1に係る点火装置の動作シーケンスを示すフローチャートで、図4におけるステップS05の別の詳細動作シーケンスのフローチャートを示している。図6において、ステップS51Bでは、図3の「a」に示す点火指令信号がローレベルLoとなったタイミングt2からの経過時間taを測定し、その経過時間taが予め定められた所定時間Δt以上になった時刻をタイミングt4と判断する。所定時間Δtとしては、例えば、タイミングt2の点火指令信号の立ち下がりから、容量放電電流が第1の所定値Ia及び第2の所定値Ib未満に減衰するまでに要する時間を設定する。
なお、点火プラグ1の電極間の間隙における絶縁破壊発生後の容量放電電流のピーク値が、第1の所定値Ia及び第2の所定値Ib未満に減衰したことを判断する手法としては、前述の図7により説明した手法と同様の効果が得られれば、どのような手法であってもよい。
前述の容量放電電流は、MHzオーダー以上の高い周波数を持つため、高周波交流電源3に流れ込んだ際に、配線等の寄生インダクタンスにより高周波交流電源3の基準電位に電圧振動を引き起こす。このような基準電位の電圧振動は、各部の電圧値に重畳するため、センサ等の信号にも基準電位の電圧振動が重畳し、センサ等の検出値に誤差を生じる。
例えば、電圧検出手段55の検出値に電圧振動が重畳したとき、制御装置7は振動する検出値の最小値を読み取り、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2を実際よりも小さく検出してしまう可能性がある。その結果、DC/DC変換装置5は電力供給用コンデンサ54に必要以上に大きい電力を供給してしまうため、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2は電圧指令値Vbよりも大きくなる。電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2が本来意図していた電圧指令値Vbよりも大きくなると、DC/AC変換装置4の半導体スイッチのスイッチング損失などが増え、電力損失が増大する。
しかし、この発明の実施の形態1に係る点火装置10では、DC/DC変換装置5の電力変換動作を停止した後に高電圧電源2が動作して点火プラグ1に電圧を印加しており、その後に容量放電電流が予め定められた第1の所定値Ia及び第2の所定値Ib未満に減衰するまでの間、DC/DC変換装置5は電力変換動作を停止している。それゆえ、容量放電電流の流入による電圧検出手段55の誤検出の有無に関わらず、電力供給用コンデンサ54への過大な電力供給が発生しない。したがって、電圧検出手段55の検出値の誤差を抑制できるため、DC/DC変換装置5が必要以上に大きい電力を出力することを防止し、高周波交流電源3の電力損失の増大を防ぐことができる。
図3に示すタイミングt4から予め定められた遅延時間td1を経過した後のタイミングt5において、制御装置7は、DC/AC変換制御回路49に図3のdに示すDC/AC変換動作期間信号をハイレベルHiで出力する。DC/AC変換制御回路49は、電力供給用コンデンサ54に充電されたエネルギをDC/AC変換装置4により交流電力に変換し、点火プラグ1に供給する。この段階が図4におけるステップS06である。これにより、点火プラグ1には高周波プラズマが発生する。ここで、遅延時間td1は、例えば50[μs]程度とする。遅延時間td1は、短いほど点火プラグ1の放電維持電圧が低くなるため、必要がなければ設けなくともよい。
高周波交流電源3は、図3に示す点火に必要な時間tac1だけ点火プラグ1に交流電力を供給する。このとき、DC/DC変換装置5は電力変換動作を停止しているため、図3の「h」に示す電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2は徐々に低下する。
ここで、高周波プラズマを用いた点火装置は、一般的に出力電流が大きいほど点火性能が向上し、燃焼し難い環境下でも着火できるようになる。一方で、高周波プラズマの出力電流が大きくなると、点火装置の損失増大や点火プラグの劣化が発生する。したがって、高周波プラズマを用いた点火装置では、出力電流を適切に制御する必要がある。そこで、制御装置7は、電流検出手段48の検出値I1のピーク値が出力電流指令値Icに近づくように、DC/AC変換装置4の出力する交流電力の周波数を制御する。DC/AC変換装置4の出力電流は、共振インダクタ46と共振コンデンサ47の共振周波数と、交流電力の周波数とが、互いに近い値になれば大きくなり、互いに遠い値になれば小さくなる。
このように、高周波交流電源3が交流電力を出力しているときに、高電圧電源2が高電圧を発生させて点火プラグ1の電極間の間隙に絶縁破壊を生じると、DC/AC変換装置4の出力電流に容量放電電流が重畳される。その結果、電流検出手段48はDC/AC変換装置4の出力電流を正確に検出できなくなり、DC/AC変換装置4の出力電流値を正確に制御することが困難になる。その結果、過大な交流電力出力による電力損失増大及び点火プラグの劣化、あるいは交流電力の出力不足による点火不良が発生する可能性がある。
しかし、この発明の実施の形態1に係る点火装置10では、図3に示すように高電圧電源2が電圧を出力せず、容量放電電流が予め定められた許容所定値としての第2の所定値Ibよりも小さいときのタイミングにおいて、DC/AC変換装置4が電力変換動作をするように制御しているため、DC/AC変換装置4の出力電流を正確に検出することができる。これにより、過大な交流電力出力による電力損失増大及び点火プラグの劣化、あるいは交流電力の出力不足による点火不良の発生を防ぐことが可能である。
また、高周波交流電源3が出力する交流電力の一部は、内燃機関の共通のグランドレベル部位GNDを通して高周波交流電源3に流入する。交流電流はMHzオーダーの高い周波数を持つため、高周波交流電源3に流れ込んだ際に、配線等の寄生インダクタンスにより高周波交流電源3の基準電位に電圧振動を引き起こす。このような基準電位の電圧振動は、各部の電圧値に重畳するため、センサ等の信号にも重畳し、検出値に誤差を生じる。
電圧検出手段55の検出値に電圧振動が重畳したとき、制御装置7は振動する検出値の最小値を読み取り、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2を実際よりも小さく検出してしまう可能性がある。その結果、DC/DC変換装置5は電力供給用コンデンサ54に必要以上に大きい電力を供給してしまうため、充電電圧V2は電圧指令値Vbよりも大きくなる。電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2が本来意図していた電圧指令値Vbよりも大きくなると、DC/AC変換装置4の半導体のスイッチング損失などが増え、電力損失が増大する。
しかし、この発明の実施の形態1に係る点火装置10では、DC/AC変換装置4が動作する前にDC/DC変換装置5の電力変換動作を停止しているため、容量放電電流の流入による電圧検出手段55の誤検出の有無に関わらず、電力供給用コンデンサ54への過大な電力供給が発生しない。したがって、電圧検出手段55の検出値の誤差を抑制することができるため、DC/DC変換装置5が必要以上に大きい電力を出力することを防止し、高周波交流電源3の電力損失の増大を防ぐことができる。
また、DC/AC変換装置4から点火プラグ1に供給される電流は、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2に比例する。したがって、電圧検出手段55が誤検出により充電電圧V2を実際よりも小さく検出したときは、必要以上に大きい電力が電力供給用コンデンサ54に供給されて電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2が電圧指令値Vbよりも大きくなり、点火プラグ1に大きな電流が流れて点火プラグ1の劣化を引き起こされる。逆に、電圧検出手段55が誤検出により電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2を実際よりも小さく検出したときは、必要な電力が電力供給用コンデンサ54に供給されず、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2が電圧指令値Vbよりも小さくなり、点火プラグ1の交流電流が不足して点火不良が引き起こされる。
しかし、この発明の実施の形態1に係る点火装置10では、前述のようにDC/DC変換装置5の電力変換動作を停止しているときにDC/AC変換装置4が動作するため、電圧検出手段55の誤検出を防ぎ、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2を電圧指令値Vbに追随するように制御することができる。その結果、DC/AC変換装置4が点火プラグ1に供給する電流値が、必要以上に過大になる、あるいは過小になることを防ぎ、点火プラグ1の劣化と点火不良との防止に寄与する。
図3に示すタイミングt5から点火に必要な時間tac1だけ経過したタイミングt6において、制御装置7は、図3の「d」に示すDC/AC変換動作期間信号をローレベルLoとする。これにより、DC/AC変換制御回路49は、DC/AC変換装置4の電力変換動作を停止する。この段階が図4におけるステップS07である。これにより、点火プラグ1に発生していた高周波プラズマが消滅する。
図3に示すタイミングt6において、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2は、所定の電圧値Vcまで低下している。制御装置7は、DC/AC変換装置4の電力変換動作を停止した後に、図3の「f」に示すDC/DC変換許可信号をハイレベルHiに切り替え、DC/DC変換装置5の電力変換動作を許可する。この段階が図4のステップS08である。
図8は、この発明の実施の形態1に係る点火装置におけるDC/DC変換装置の動作シーケンスを示すフローチャートである。DC/DC変換装置5は、制御装置7に電力変換動作を許可されたとき、図8のフローチャートに従って動作する。図8のステップS81において、DC/DC変換制御回路56は、図3の「f」に示すDC/DC変換許可信号の状態判定と、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2とDC/DC変換装置5の出力電圧指令値Vbとの比較とを行う。図3の「f」に示すDC/DC変換許可信号がハイレベルHiであり、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2が出力電圧指令値Vbよりも小さいとき、DC/DC変換制御回路56は半導体スイッチ53を動作させ、電力供給用コンデンサ54に直流電力を出力する。この段階が図8におけるステップS82である。DC/DC変換許可信号がローレベルLo、あるいは電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2が出力電圧指令値Vb以上のとき、DC/DC変換制御回路56は半導体スイッチ53を停止させ、電力供給用コンデンサ54への直流電力の供給を停止する。この段階が図8のステップS83である。
制御装置7は、図3のaに示す点火指令信号がハイレベルHiになるまで、DC/DC変換装置5による電力変換動作を許可し、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2が出力電圧指令値Vbに維持されるように制御する。
実際の点火装置は、電力供給用コンデンサ54と並列に様々な素子が接続されているため、電力供給用コンデンサ54ではそれらの抵抗成分によって徐々に充電電荷が放電され、充電電圧V2が低下する。したがって、DC/DC変換装置5の半導体スイッチ53は動作と停止を繰り返し、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2を維持するように電力を供給する。このシーケンス動作は、内燃機関の点火周期Ti毎に繰り返される。代表的な点火周期Tiは10[ms]〜100[ms]程度である。また、DC/AC変換装置4からの出力電流の出力期間Tacは100[μs]程度である。
図9Aは、DC/DC変換装置が電力変換動作を行うときの条件を示す説明図、図9Bは、DC/DC変換装置が電力変換動作を行うときの条件と電圧検出手段の検出誤差との関係を示す説明図である。図9Bにおいて、「a」は容量放電電流、「b」はDC/AC変換装置4の出力電流、「c」はDC/DC変換装置5の動作許可状態、「d」は電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2、「e」は電圧検出手段55の検出値、をそれぞれ示している。
図9Aにおいて、条件1では、必要に応じて、DC/DC変換装置5が電力変換動作を行う。条件2では、容量放電電流が予め定められた値よりも小さい期間において、DC/DC変換装置5が電力変換動作を行う。条件3では、DC/AC変換装置4が点火プラグに交流電力を出力しない期間において、DC/DC変換装置5が電力変換動作を行う。条件4では、容量放電電流が予め定められた値よりも小さい期間と、DC/AC変換装置4が点火プラグ1に交流電力を出力しない期間とにおいて、DC/DC変換装置5が電力変換動作を行う。
ここで、図9Bに示すように、「a」に示す容量放電電流は、前述の条件1、条件2、条件3、及び条件4の何れにおいても同様に、点火プラグ1の電極間の間隙に絶縁破壊が発生する絶縁破壊タイミングで直ちに最大値となり、振動しながら次第に減衰して所定時間後に予め定められた値よりも小さくなる。また、「b」に示すDC/AC変換装置4の出力電流は、前述の条件1、条件2、条件3、及び条件4の何れにおいても同様に、絶縁破壊タイミングから若干遅れたタイミングで一定の振幅および周波数で振動して所定期間に流れるものとして図示されている。
条件1では、前述のように、必要に応じてDC/DC変換装置5が電力変換動作を行うものであり、ここでは「c」に示すように、所定のタイミングtaから所定のタイミングtbまでの所定の期間A1で、DC/DC変換装置5は動作許可状態となる。
条件2では、前述のように、容量放電電流が予め定められた値よりも小さくなっている期間においてDC/DC変換装置5が電力変換動作を行うものであり、ここでは「c」に示すように、タイミングtaからタイミングtcの期間A2、およびタイミングtdからタイミングtbまでの期間A3で、DC/DC変換装置5は動作許可状態となる。タイミングtcからタイミングtdまでの期間B1は、DC/DC変換装置5の動作禁止区間となる。
条件3では、前述のように、DC/AC変換装置4が点火プラグ1に交流電力を出力しない期間に於いて、DC/DC変換装置5が電力変換動作を行うものであり、ここでは「c」に示すように、タイミングtaからタイミングteの期間A4、およびタイミングtfからタイミングtbまでの期間A5で、DC/DC変換装置5は動作許可状態となる。タイミングteからタイミングtfまでの期間B2は、DC/DC変換装置5の動作禁止区間となる。
条件4では、前述のように、容量放電電流が予め定められた値よりも小さい期間と、DC/AC変換装置4が点火プラグ1に交流電力を出力しない期間とにおいて、DC/DC変換装置5が電力変換動作を行うものであり、ここでは「c」に示すように、タイミングtaからタイミングtcの期間A2、およびタイミングtfからタイミングtbまでの期間A5で、DC/DC変換装置5は動作許可状態となる。タイミングtcからタイミングtfまでの期間B3は、DC/DC変換装置5の動作禁止区間となる。
図9Bに示すように、条件1、条件2、条件3、および条件4の何れにおいても、高電圧電源2が点火プラグ1の電極間の間隙に絶縁破壊が発生してから容量放電電流が予め定められた値未満に減衰するまでの期間と、DC/AC変換装置4が点火プラグ1に交流電力を出力する期間とにおいて、「e」に示すように電圧検出手段55の検出値には電圧振動が重畳され、電圧検出手段55の検出値に誤差が生じる。
高電圧電源2が点火プラグ1の電極間の間隙に絶縁破壊が発生してから容量放電電流が予め定められた値未満に減衰するまでの期間と、DC/AC変換装置4が点火プラグ1に交流電力を出力する期間との2つの期間が重なると、それぞれの振動が重畳されるため、「e」に示すように電圧検出手段55の検出誤差はより一層大きくなる。したがって、制御装置7が、電圧振動が重畳した電圧検出手段55の検出値の最小値を読み取った場合、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2が実際にはDC/DC変換装置5の出力電圧指令値Vbであったとしても、電力供給用コンデンサ54のV2が出力電圧指令値Vbよりも小さいと判断してしまう。
その結果、図3の「f」に示すDC/DC変換許可信号がハイレベルHiであれば、図8のステップS81からステップS82に移行して、DC/DC変換装置5は電力供給用コンデンサ54に必要以上に大きい電力を出力し、図9Bの「e」における条件1に示すように、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2がDC/DC変換装置5の出力電圧指令値Vbよりも大きくなる可能性がある。このように電力供給用コンデンサ54の出力電圧V2が必要以上に大きくなると、高周波交流電源3の半導体スイッチのスイッチング損失等が増え、電力損失を増大させることになる。
図9Bに示す条件2では、「a」に示す容量放電電流が、タイミングtcから予め定められた値に減衰するタイミングtdまでの期間B1において、DC/DC変換装置5の電力変換動作が禁止され、DC/DC変換装置5は電力変換動作が停止する。したがって、制御装置7は、容量放電電流が予め定められた所定値よりも小さい期間において、DC/DC変換装置5の電力変換動作を行うように制御する。この場合、条件1の場合に比べて、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2は、小さくなり、高周波交流電源3の半導体スイッチのスイッチング損失等が抑制され、電力損失の増大が抑制される。
図9Bに示す条件3では、「b」に示すDC/AC変換装置4の出力電流が流れるタイミングteからタイミングtfまでの期間B2において、DC/DC変換装置5の電力変換動作が禁止され、DC/DC変換装置5は電力変換動作が停止する。しかし、期間B2に至るまでの容量放電電流が予め定められた所定値よりも大きい期間において、DC/DC変換装置5の電力変換動作が行われるので、条件2の場合に比べて、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2は大きくなり、条件2に比べて高周波交流電源3の半導体スイッチのスイッチング損失等が大きくなり、電力損失が増大する。
図9Bに示す条件4では、「a」に示す容量放電電流が、絶縁破壊が発生するタイミングtcからDC/AC変換装置4の出力電流が流れなくなるタイミングtfまでの期間B3において、DC/DC変換装置5の電力変換動作が禁止され、DC/DC変換装置5は電力変換動作が停止する。したがって、制御装置7は、容量放電電流が予め定められた所定値よりも小さく且つDC/AC変換装置4の出力電流が流れていない期間A2、A5において、DC/DC変換装置5の電力変換動作を行うように制御する。この場合、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2は、出力電圧指令値Vbを超えることはなく、高周波交流電源3の半導体スイッチのスイッチング損失等が抑制され、電力損失の増大が抑制される。
この発明の実施の形態1による点火装置では、図9Bの条件2に基づいてDC/DC変換装置5を制御することを第1の基礎技術とする。具体的には、図3の「e」に示す電流検出手段48の検出値I1が第1の所定値Iaよりも小さい期間において、制御装置7は、図3の「f」に示すDC/DC変換許可信号をハイレベルHiとする。
これにより、DC/DC変換装置5の電力変換動作時において、容量放電電流がDC/DC変換装置5の基準電位に流入しなくなる、あるいは容量放電電流が微小であるため、電圧検出手段55における検出値の誤差を抑制することができる。その結果、DC/DC変換装置5が必要以上に大きい電力を出力することを防止し、高周波交流電源3の電力損失の増大を防ぐことができる。
更に、この発明の実施の形態1による点火装置では、図9Bの条件4に基づいてDC/DC変換装置5を制御することを第2の基礎技術とする。具体的には、図3の「e」に示す電流検出手段48の検出値I1が第1の所定値Iaよりも小さく且つDC/AC変換装置4の出力電流が流れていない期間において、制御装置7は、図3の「f」に示すDC/DC変換許可信号をハイレベルHiとする。
これにより、DC/DC変換装置5の電力変換動作時において、容量放電電流がDC/DC変換装置5の基準電位に流入しなくなる、あるいは容量放電電流が微小であるため、電圧検出手段55における検出値の誤差を抑制することができる。その結果、DC/DC変換装置5が必要以上に大きい電力を出力することを防止し、高周波交流電源3の電力損失の増大を防ぐことができる。
すなわち、この発明の実施の形態1による点火装置10は、具体的には、高電圧電源2が点火プラグ1に電圧を発生させてから絶縁破壊に伴う容量放電電流が予め定められた第1の所定値Iaに減衰するまでの期間と、DC/AC変換装置4が点火プラグ1に交流電力を出力する期間との少なくとも一方において、DC/DC変換装置5の電力変換動作を停止する。この場合、制御装置7は、容量放電電流が予め定められた第1の所定値Iaよりも小さい期間と、DC/AC変換装置4が交流電力を出力しない期間との少なくとも一方を満たす期間において、DC/DC変換装置5が電力変換動作を行うように制御する。
これにより、DC/DC変換装置5が電力変換動作を行う期間において、絶縁破壊による容量放電電流とDC/AC変換装置4の出力電流とが、同時にDC/DC変換装置5の基準電位に流れ込むことを防ぎ、電圧検出手段55における検出誤差を抑制することができる。その結果、検出誤差の影響により、DC/DC変換装置5が必要以上に大きい電力を出力することを防止し、電力損失の増大を防ぐことができる。
また、この発明の実施の形態1に係る点火装置10では、高電圧電源2が点火プラグ1に電圧を発生させてから絶縁破壊に伴う容量放電電流が予め定められた値に減衰するまでの期間と、DC/AC変換装置4が点火プラグ1に交流電力を出力する期間との両方において、DC/DC変換装置5の電力変換動作を停止してもよい。図3は、この場合のタイミングチャートを示している。すなわち、制御装置7は、容量放電電流が予め定められた第1の所定値Iaよりも小さい期間と、DC/AC変換装置4が交流電力を出力しない期間との両方において、DC/DC変換装置5が電力変換動作を行うように制御する。
これにより、DC/DC変換装置5が電力変換動作を行う期間において、絶縁破壊による容量放電電流とDC/AC変換装置4の出力電流との両方が、DC/DC変換装置5に流れ込むことを防ぎ、電圧検出手段55の検出誤差をより一層抑制することができる。この結果、検出誤差の影響により、DC/DC変換装置5が必要以上に大きい電力を出力することを防止し、電力損失の増大を防ぐことができる。
この発明の実施の形態1に係る点火装置10では、制御装置7は、容量放電電流が予め定められた第2の所定値Ibよりも小さい期間と、DC/DC変換装置5が電力変換動作を停止している期間とにおいて、DC/AC変換装置4が電力変換動作を行うように制御する。これにより、DC/AC変換装置4の出力電流に容量放電電流が重畳することにより、電流検出手段48において検出できなくなることを防ぎ、電流検出手段48の検出値I1を用いたDC/AC変換装置4の出力電流の制御が可能となる。
その結果、点火プラグ1に過大な電流が供給されることによる点火プラグの劣化、及び電流不足による点火性能の低下を防ぐことができる。ここで、点火性能の低下として、火炎伝播速度の低下による燃費悪化、あるいは不完全燃焼による排出ガスの有害物質の増加等を挙げることができる。
制御装置7は、容量放電電流が予め定められた第1の所定値Ia及び第2の所定値Ibよりも小さい期間と、DC/DC変換装置5が電力変換動作を停止している期間とにおいて、DC/AC変換装置4が電力変換動作を行うように制御することができる。これにより、前述のように、DC/AC変換装置4の出力電流に容量放電電流が重畳することにより検出できなくなることを防ぎ、電流検出手段48の検出値I1を用いたDC/AC変換装置4の出力電流の制御が可能となる。
また、電圧検出手段55の検出誤差を防ぎ、DC/DC変換装置5が過大あるいは過小な電力を出力することがなくなり、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2が出力電圧指令値Vbよりも過大あるいは過小になることを防止できる。DC/AC変換装置4の出力電流は、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2に比例するため、電圧検出手段55の検出誤差を防ぐことにより、過大な電流が供給されることによる点火プラグの劣化や電流不足による点火性能の低下を防ぐことができる。従て、DC/AC変換装置4の点火プラグ1への出力電流をより正確に制御することができ、点火プラグ1に過大な電流が供給されることによる点火プラグ1の劣化と、点火プラグ1に供給される電流が不足することによる点火性能の低下とをより一層防ぐことができる。
この発明の実施の形態1に係る点火装置10では、DC/DC変換装置5とDC/AC変換装置4が電力変換動作を行わない期間において、高電圧電源2が前記点火プラグに電圧を印加して絶縁破壊を発生させる。その結果、DC/DC変換装置5の電力変換動作時において、容量放電電流の一部がDC/DC変換装置5に流入することを防ぎ、電圧検出手段55の検出誤差を抑制できる。加えて、容量放電電流がDC/AC変換装置4の出力電流に重畳することを防ぎ、電流検出手段48の検出値I1を用いたDC/AC変換装置4の出力電流の制御が可能となる。したがって、高周波交流電源3の電力損失の増大を防ぐとともに、点火プラグ1の劣化と点火性能低下の防止に寄与する。
この発明の実施の形態1に係る点火装置10では、図3の「a」に示す点火指令信号に従って、高電圧電源2と、DC/AC変換装置4と、DC/DC変換装置5とを制御する。点火指令信号は、内燃機関の環境や運転状況に適したタイミングに点火するように制御されるため、点火指令信号に従って点火装置10を動作させることにより、容易に最適タイミングで点火することができる。
この発明の実施の形態1に係る点火装置10では、図3に示すように、DC/AC変換装置4の電力変換動作が行われてから次の点火指令信号が出力されるまでの期間において、DC/DC変換装置5が電力変換動作を行う。これにより、タイミングt1の電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2は、指令値Vbと実質的に同一程度に維持されるため、タイミングt5における点火プラグの印加電圧V1を放電維持電圧以上にするでき、点火プラグ1に高周波プラズマが発生できないことによる点火性能の低下を防ぐことができる。
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2に係る点火装置について説明する。この発明の実施の形態2に係る点火装置の回路構成は、実施の形態1と同一である。したがって、実施の形態1に対応する構成要素と同一符号を付して説明を省略する。この発明の実施の形態2に係る点火装置では、絶縁破壊の発生後でも、放電プラズマによる燃料への着火が行われる。したがって、点火プラグに放電プラズマを長時間発生させ、絶縁破壊からより遅いタイミングでも燃料に着火でき、点火性能の向上に寄与することができる。この発明の実施の形態2の点火装置においては、高周波交流電源3から交流電力を長時間出力することにより、難燃性の燃料混合気への着火や燃焼速度の早期化が可能となる。
一方で、高周波交流電源3から点火プラグ1に交流電力を出力して高周波プラズマを長時間継続するためには、多くのエネルギを消費する。それゆえ、電力供給用コンデンサ54の静電容量を十分に大きくして、高周波プラズマを発生中の電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2の低下を抑制し、点火プラグ1の印加電圧V1が放電維持電圧を下回ることを防ぐ必要がある。しかしそのためには、電力供給用コンデンサ54が大きくする必要があり、点火装置が大型化してしまう。
この発明の実施の形態2では、点火装置の電力供給用コンデンサ54の静電容量を増やすことなく、高周波プラズマを長時間発生させるために、高周波交流電源3のDC/AC変換装置4が、一度の点火周期Tiにおいて交流電力を複数回間欠的に点火プラグ1に出力する。
次に、この発明の実施の形態2による点火装置10の動作シーケンスについて説明する。図10は、この発明の実施の形態2に係る点火装置の概略動作シーケンスを示すタイミングチャート、図11は、この発明の実施の形態2に係る点火装置の動作シーケンスを示すフローチャートである。図10におけるタイミングt1からt6までの動作は、前述の図3におけるタイミングt1からt6までの動作と同様である。
図10に示すタイミングt6において、制御装置7は、DC/AC変換装置4の電力変換動作を停止し、DC/DC変換装置5の電力変換動作を許可する。この段階が図11におけるステップS08である。これにより、DC/DC変換装置5は、前述の図8のフローチャートに従って、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2が出力電圧指令値Vb以上になるように電力変換動作を行う。
その後、図11のステップS01での判定の結果、図10の「a」に示す点火指令信号の出力がハイレベルHiでなければ、タイミングt6から休止期間ts1だけ経過したタイミングt7において、制御装置7はDC/AC変換動作期間信号をハイレベルHiとして出力する。制御装置7は、DC/AC変換動作期間信号のハイレベルHiにすると同時若しくは実質的に同時に、「f」に示すDC/DC変換許可信号をローレベルLoとし、DC/DC変換装置5の動作を禁止する。この段階が図11におけるステップS10である。このとき、図10の「h」に示す電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2は、出力電圧指令値Vb以上でなくともよい。代表的な休止期間ts1は50[μs]程度である。
ステップS10においてDC/DC変換装置5の動作を禁止すると同時若しくは実質的に同時に、制御装置7はDC/AC変換装置4による電力変換動作を行う。これにより、DC/AC変換装置4は点火プラグ1に交流電流を供給して高周波プラズマを発生させる。この段階が図11におけるステップS11である。高周波交流電源3は、点火に必要な交流電力出力期間tac2だけ点火プラグ1に交流電力を供給し続ける。このとき、DC/DC変換装置5は、電力変換動作を停止しているため、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2は徐々に低下する。
次に、図10に示すように、タイミングt7から交流電力出力期間tac2だけ経過したタイミングt8において、制御装置7は「d」に示すDC/AC変換動作期間信号をローレベルLoとする。これにより、DC/AC変換制御回路49は、DC/AC変換装置4の電力変換動作を停止する。この段階が図11に於けるステップS12である。代表的な交流電力出力期間tac2は、50[μs]程度である。
次に、DC/AC変換装置4の電力変換動作を停止すると同時若しくは実質的に同時に、制御装置7は、タイミングt8において、「f」に示すDC/DC変換許可信号をハイレベルHiに切り替え、DC/DC変換装置5の電力変換動作を許可する。この段階が図11におけるステップS08である。
この発明の実施の形態2に係る点火装置10は、図10に示すタイミングt1からタイミングt8までのシーケンス動作を、図10の「a」に示す点火指令信号及び「d」に示すDC/AC変換動作期間信号に従って、内燃機関の点火周期Ti毎に繰り返す。
以上のように、この発明の実施の形態2に係る点火装置10は、一度の点火周期Tiにおいて、高周波交流電源3のDC/AC変換装置4が交流電力を出力した後に、所定の休止期間を設けてから再び点火プラグ1に交流電力を出力する。これにより、休止期間を設けずに交流電力を出力し続ける場合よりも少ない消費電力で、点火プラグ1の電極間の間隙における絶縁破壊の発生からより遅いタイミングに高周波プラズマを発生させることができるため、電力供給用コンデンサ54の大容量化に伴う大型化を防ぐことができる。
この発明の実施の形態2に係る点火装置10では、DC/AC変換装置4の電力変換動作の休止期間に、DC/DC変換装置5の電力変換動作を行う。これにより、点火周期1回におけるDC/AC変換装置4の消費電力を、電力供給用コンデンサ54に予め充電されたエネルギのみで賄う必要がなくなるため、電力供給用コンデンサ54の大容量化に伴う大型化を防ぐことができる。
また、この発明の実施の形態2に係る点火装置10では、点火指令信号がハイレベルHiになり次の点火周期に移行するまで、DC/AC変換動作期間信号に従ってDC/AC変換装置4とDC/DC変換装置5の動作を制御する。したがって、DC/AC変換装置4の交流電力出力期間と休止期間をそれぞれ複数回設けてもよい。次に、その一例として、DC/AC変換装置4の交流電力出力期間と休止期間をそれぞれ1回ずつ増やした場合のタイミング動作を、図12を用いて説明する。
図12は、この発明の実施の形態2に係る点火装置の概略動作シーケンスを示す別のタイミングチャートである。図12におけるタイミングt8までの動作は、図10と同様である。タイミングt8において、制御装置7は、DC/AC変換装置4の電力変換動作を停止し、DC/DC変換装置5の電力変換動作を許可する。この段階が図11におけるステップS08である。これにより、DC/DC変換装置5は、前述の図8のフローチャートに従って電力変換動作を行い、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2が出力電圧指令値Vb以上になるように制御される。
図12において、タイミングt8から休止期間ts2だけ経過したタイミングt9にて制御装置7は「d」に示すDC/AC変換動作期間信号をハイレベルHiで出力する。制御装置7は、DC/AC変換動作信号のハイレベルHiにすると同時若しくは実質的に同時に、「f」に示すDC/DC変換許可信号をローレベルLoとし、DC/DC変換装置5の動作を禁止する。この段階が図11におけるステップS10である。代表的な休止期間ts2は50[μs]程度である。
ステップS10においてDC/DC変換装置5の動作を禁止するとともに、ステップS11において、制御装置7はDC/AC変換装置4による電力変換動作を行う。これにより、DC/AC変換装置4は点火プラグ1に交流電流を供給して高周波プラズマを発生させる。高周波交流電源3は、点火に必要な交流電力出力期間tac3だけ点火プラグ1に交流電力を供給し続ける。
タイミングt9からtac3だけ経過したタイミングt10において、制御装置7は、「d」に示すDC/AC変換動作期間信号をローレベルLoとする。これにより、DC/AC変換制御回路49はDC/AC変換装置4の電力変換動作を停止する。この段階が図11におえるステップS12である。代表的な交流電力出力期間tac3は50[μs]程度である。DC/AC変換装置4の電力変換動作を停止するとともに、制御装置7は、「f」に示すDC/DC変換許可信号をハイレベルHiに切り替え、DC/DC変換装置5の電力変換動作を許可する。この段階が図11に於けるステップS08である。
以上述べたこの発明の実施の形態2に係る点火装置の動作シーケンスでは、タイミングt6からt8まで、およびタイミングt8からt10のように、制御装置7の出力するDC/AC変換動作期間信号に応じて、DC/AC変換装置4は一回の点火周期に交流電力の出力と停止をそれぞれ複数回繰り返す。なお、DC/AC変換装置4の交流電力出力期間と休止期間をそれぞれ複数回設けてもよい。
その結果、この発明の実施の形態2に係る点火装置では、DC/AC変換装置4の交流電力出力期間と休止期間を複数回設けない場合に比べて、点火プラグ1に交流電流をより長時間出力することができ、点火性能の向上に寄与することができる。
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3による点火装置について説明する。前述の実施の形態1では、DC/AC変換装置4とDC/DC変換装置5の動作と停止を制御することにより、DC/DC変換装置5が過大な電力を出力することを防ぐようにしていたが、この実施の形態3に係る点火装置では、電圧検出手段55の検出値に電圧振動が重畳された場合においても、DC/DC変換制御回路56がその電圧振動が重畳される直前の電圧検出値を用いてDC/DC変換装置5を制御することにより、DC/DC変換装置5が過大な電力を出力することを防ぐようにしたものである。
この発明の実施の形態3に係る点火装置の回路構成は、実施の形態1と同一である。したがって、実施の形態1に対応する構成要素と同一符号を付して説明を省略する。DC/DC変換装置5は、前述の図8のフローチャートに従って、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2が出力電圧指令値Vb以上になるように電力変換動作を行う。すなわち、DC/DC変換許可信号がハイレベルであり、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2が出力電圧指令値Vbよりも小さいとき、DC/DC変換制御回路56は半導体スイッチ53を動作させ、電力供給用コンデンサ54に直流電力を出力する。DC/DC変換許可信号がローレベル、あるいは充電電圧V2が出力電圧指令値Vb以上のとき、DC/DC変換制御回路56は半導体スイッチ53を停止させ、電力供給用コンデンサ54への直流電力の供給を停止する。
電力供給用コンデンサ54には、図2に図示していない様々な素子が並列接続されているため、電力供給用コンデンサ54に充電された電力は常に消費されている。これにより電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2は徐々に低下するため、DC/AC変換装置4の電力変換動作により充電エネルギが消費されなくとも、DC/DC変換装置5の半導体スイッチ53は動作と停止を繰り返し、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2が出力電圧指令値Vb以上になるように電力を供給する。
次に、この発明の実施の形態3による点火装置10の動作シーケンスについて説明する。図13はこの発明の実施の形態3に係る点火装置の動作シーケンスを示すフローチャート、図14は、この発明の実施の形態3に係る点火装置の概略動作シーケンスを示す別のタイミングチャートである。
図13、図14において、点火装置10の制御装置7は、図14の「a」に示す点火周期Ti毎に出力する点火指令信号に応じて、点火装置10の動作の内容を判断する。即ち図13のステップS101では、点火信号の信号レベルがハイレベルHiか否かを判定し、ハイレベルHiであれば(YES)、内燃機関内の燃焼室の燃料に点火するために、以下に述べる一連の点火動作を開始し、ローレベルLoであればステップS101に戻る。
ステップS101からステップS102に進むと、図13のタイミングt2において、制御装置7は、点火指令信号の立ち下がりに応じて図14の「g」に示す電圧検出値の取込停止信号をハイレベルHiに切り替え、DC/DC変換制御回路56が電圧検出手段55の検出値の取り込みを停止するように制御する。DC/DC変換制御回路56は、タイミングt2における電圧検出手段55による電圧検出値を保持しておき、電圧検出値の取込停止信号がローレベルLoになるタイミングt4までの期間において、タイミングt2での電圧検出値に基づいて、DC/DC変換装置5の動作を制御する。
ステップS103において、制御装置7は、高電圧電源2により点火プラグ1に高電圧を発生させるために、半導体スイッチ22をタイミングt1にて導通させる。これにより、トランス21の1次巻線21aに電流が流れ、トランス21の鉄心に磁束が蓄積される。
次に、タイミングt2において、制御装置7は点火指令信号の立ち下がりに応じて高電圧電源2の半導体スイッチ22を遮断する。この段階がステップS104である。このタイミングt2は、トランス21の鉄心において、点火プラグ1に絶縁破壊電圧を印加できるだけのエネルギが蓄積されたタイミングである。
半導体スイッチ22が遮断されると、トランス21に蓄積された磁束のエネルギが放出され、2次巻線21bには誘導電圧が発生する。磁束のエネルギは徐々に放出されるため、「c」に示す点火プラグ1の印加電圧V1は、時間経過とともに負側に増加する。
タイミングt3において、点火プラグ1の出力電圧V1が絶縁破壊電圧Vaに達し、点火プラグ1の対向電極間の間隙に絶縁破壊が発生する。これにより、点火プラグ1の電極間、つまり点火プラグ1に瞬間的に大きな容量放電電流が流れる。
容量放電電流は、点火プラグ1に接続された共振コンデンサ47及び点火プラグ1の近傍の寄生容量に充電された電荷が放出されたものである。容量放電電流は、原因となるコンデンサの静電容量が大きいほど大きくなる。この発明の点火装置では、共振コンデンサ47に起因する容量放電電流が特に大きい。この容量放電電流は、点火プラグ1と昇圧トランス45と共振インダクタ46と共振コンデンサ47とで構成される経路にも流れる。
その結果、容量放電電流の一部は昇圧トランス45を介して高周波交流電源3にも流入し、半導体スイッチ41、42、43、44にそれぞれ並列接続された並列ダイオードや電力供給用コンデンサ54等を還流して消費される。制御装置7は、図14の「e」に示す電流検出手段48の検出値I1を取り込み、容量放電電流の電流値を測定する。
タイミングt4において、制御装置7は電流検出手段48の検出値I1のピーク値が、予め定められた第1の所定値Ia未満に減衰したことを判断する。この段階が図13におけるステップS105である。予め定められた第1の所定値Iaは、容量放電電流の電流値がこの第1の所定値Ia以上のときに、電圧検出手段55において検出誤差を発生させる値とする。制御装置7は、容量放電電流のピーク値が第1の所定値Ia未満に減衰したと判断したとき、高電圧電源2の出力が停止したと判断して次の動作に移る。
制御装置7は、予め定められた第1の所定値Ia未満に減衰したことを判断した後に、図14の「g」に示す電圧検出値の取込停止信号をローレベルLoに切り替え、DC/DC変換制御回路56が電圧検出手段55の検出値の取り込みを開始するように制御する。この段階が図13におけるステップS106である。これにより、DC/DC変換制御回路56は、電圧検出手段55の検出値に基づいて、DC/DC変換装置5の動作を制御するようになる。
前述の容量放電電流は、MHzオーダー以上の高い周波数を持つため、高周波交流電源3の基準電位に流れ込んだ際に、配線等の寄生インダクタンスにより高周波交流電源3の基準電位に電圧振動を引き起こす。このような基準電位の電圧振動は、各部の電圧値に重畳するため、センサ等の信号にも重畳し、検出値に誤差を生じる。
例えば、電圧検出手段55の検出値に電圧振動が重畳したとき、制御装置7は振動する検出値の最小値を取り込み、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2を実際よりも小さく検出してしまう可能性がある。その結果、DC/DC変換装置5は電力供給用コンデンサ54に必要以上に大きい電力を供給してしまうため、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2は電圧指令値Vbよりも大きくなる。電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2が本来意図していた電圧指令値Vbよりも大きくなると、DC/AC変換装置4の半導体のスイッチング損失などが増え、電力損失が増大する。
しかしながら、この発明の実施の形態3に係る点火装置では、電圧検出手段55の検出値に対して容量放電電流による電圧振動が重畳する期間において、DC/DC変換制御回路56が電圧検出手段55の検出値の取り込みを停止するように制御されており、取り込み停止期間におけるDC/DC変換装置5は、高電圧電源2が点火プラグ1に電圧を発生させる直前の検出値を用いて電力変換動作を行うように制御される。すなわち、制御装置7は、高電圧電源2が点火プラグ1に電圧を発生させてから点火プラグ1の電極間の間隙に発生する絶縁破壊に伴う容量放電電流が予め定められた値に減衰するまでの期間において、高電圧電源2が点火プラグ1に電圧を発生させる直前の電圧検出手段55の検出値を用いて、DC/DC変換装置5の電力変換動作を制御する。
これにより、電圧振動による検出誤差が大きいときの電圧検出手段55の検出値に基づいて、DC/DC変換装置5の電力変換動作を行うことがなくなるため、検出誤差により引き起こされるDC/DC変換装置5の誤出力を防ぐことができる。
タイミングt4から予め定められた遅延時間td1を経過した後のタイミングt5において、制御装置7は、図14の「g」に示す電圧検出値の取込停止信号をハイレベルHiに切り替え、DC/DC変換制御回路56が電圧検出手段55の検出値の取り込みを停止するように制御する。この段階がステップS107である。DC/DC変換制御回路56は、タイミングt5の検出値を保持しておき、電圧検出値の取込停止信号がローレベルLoになるタイミングt6までの期間において、タイミングt5の検出値に基づいて、DC/DC変換装置5の動作を制御する。
制御装置7は、前述のようにDC/DC変換制御回路56が電圧検出手段55の検出値の取り込みを停止するように制御した後、図14の「d」に示すDC/AC変換制御回路49に、DC/AC変換動作期間信号をハイレベルHiで出力する。DC/AC変換制御回路49は、電力供給用コンデンサ54に充電されたエネルギをDC/AC変換装置4により交流電力に変換し、点火プラグ1に供給する。この段階が図13のステップS108である。これにより、点火プラグ1には高周波プラズマが発生する。ここで、遅延時間td1は、例えば50[μs]程度とする。遅延時間td1は、短いほど点火プラグ1の放電維持電圧が低くなるため、必要がなければ設けなくともよい。
高周波交流電源3は、点火に必要な時間tac1だけ点火プラグ1に交流電力を供給する。すなわち、タイミングt5から点火に必要な時間tac1だけ経過したタイミングt6において、制御装置7は、「d」に示すDC/AC変換動作期間信号をローレベルLoとする。これにより、DC/AC変換制御回路49は、DC/AC変換装置4の電力変換動作を停止する。この段階がステップS109である。これにより、点火プラグ1に発生していた高周波プラズマが消滅する。
制御装置7は、DC/AC変換装置4の電力変換動作を停止した後に、図14の「g」に示す電圧検出値の取込停止信号をローレベルLoに切り替え、DC/DC変換制御回路56が電圧検出手段55の検出値の取り込みを開始するように制御する。この段階がステップS110である。これにより、DC/DC変換制御回路56は、電圧検出手段55の検出値に基づいて、DC/DC変換装置5の動作を制御するようになる。
高周波交流電源3の出力する交流電力の一部は、内燃機関の共通のグランドレベル部位GNDを通して高周波交流電源3に流入する。交流電流はMHzオーダーの高い周波数を持つため、高周波交流電源3の基準電位に流れ込んだ際に、配線等の寄生インダクタンスにより高周波交流電源3の基準電位に電圧振動を引き起こす。このような基準電位の電圧振動は、各部の電圧値に重畳するため、センサ等の信号にも重畳し、検出値に誤差を生じる。
電圧検出手段55の検出値に電圧振動が重畳したとき、制御装置7は振動する検出値の最小値を取り込み、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2を実際よりも小さく検出してしまう可能性がある。その結果、DC/DC変換装置5は電力供給用コンデンサ54に必要以上に大きい電力を供給してしまうため、電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2は電圧指令値Vbよりも大きくなる。電力供給用コンデンサ54の充電電圧V2が本来意図していた電圧指令値Vbよりも大きくなると、DC/AC変換装置4の半導体のスイッチング損失などが増え、電力損失が増大する。
しかしながら、この発明の実施の形態3に係る点火装置では、電圧検出手段55の検出値に対して交流電力が重畳する期間において、DC/DC変換制御回路56が電圧検出手段55の検出値の取り込みを停止するように制御されており、取り込み停止期間におけるDC/DC変換装置5は、高周波交流電源3が点火プラグ1に交流電力を出力する直前の検出値を用いて電力変換動作を行うように制御される。
すなわち、制御装置7は、高周波交流電源3が点火プラグ1に交流電力を出力する期間において、高周波交流電源3が点火プラグ1に交流電力を出力する直前の電圧検出手段55の検出値を用いて、DC/DC変換装置5の電力変換動作を制御する。これにより、電圧振動による検出誤差が大きいときの電圧検出手段55の検出値に基づいて、DC/DC変換装置5の電力変換動作を行うことがなくなるため、検出誤差により引き起こされるDC/DC変換装置5の誤出力を防ぐことができる。
この発明の実施の形態3による点火装置は、以上述べたシーケンス動作を内燃機関の点火周期Ti毎に繰り返す。代表的な点火周期Tiは10[ms]〜100[ms]程度である。
以上述べたこの発明の各実施の形態に係る点火装置は、以下の(1)から(16)の発明のうちの何れかの発明を具体化したものである。
(1)間隙を介して対向する第1の電極と第2の電極とを備え、内燃機関の燃焼室の燃料に点火する点火プラグと、
前記点火プラグに電圧を印加して前記間隙に絶縁破壊を生じさせる高電圧電源と、
前記点火プラグに高周波電圧を印加して前記間隙に高周波プラズマを発生させる高周波交流電源と、
前記高電圧電源と前記高周波交流電源に電力を供給する直流電源と、
前記高電圧電源と前記高周波交流電源との動作を制御する制御装置と、
を有する点火装置であって、
前記高周波交流電源は、
直流電力を所定の周波数の交流電力に変換し、前記変換した交流電力を前記点火プラグに出力するDC/AC変換装置と、
直流電源からの直流電力を所定の電圧値を有する直流電力に変換し、前記変換した直流電力を前記DC/AC変換装置に出力するDC/DC変換装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記絶縁破壊により発生する容量放電電流が予め定められた値よりも小さい期間と、前記DC/AC変換装置が前記点火プラグに前記交流電力を出力しない期間と、のうちの少なくとも一方を満たす期間において、前記DC/DC変換装置が電力変換動作を行うように制御するように構成されている、
ことを特徴とする点火装置。
この発明によれば、DC/DC変換装置が電力変換動作を行う期間において、絶縁破壊による容量放電電流とDC/AC変換装置の出力する交流電流とが、同時にDC/DC変換装置の基準電位に流れ込むことを防ぎ、電圧検出手段の検出誤差を抑制することができる。その結果、検出誤差の影響により、DC/DC変換装置が必要以上に大きい電力を出力することを防止し、電力損失の増大を防ぐことができる。
この発明は、実施の形態1により具体化されている。
(2)前記制御装置は、
前記容量放電電流が予め定められた値よりも小さい期間と、前記DC/AC変換装置が前記点火プラグに交流電力を出力しない期間とにおいて、前記DC/DC変換装置が電力変換動作を行うように制御する、
ことを特徴とする上記(1)に記載の点火装置。
この発明によれば、DC/DC変換装置が電力変換動作を行う期間において、絶縁破壊による容量放電電流とDC/AC変換装置の出力電流との両方が、DC/DC変換装置の基準電位に流れ込むことを防ぎ、電圧検出手段の検出誤差をより一層抑制することができる。その結果、検出誤差の影響により、DC/DC変換装置が必要以上に大きい電力を出力することを防止し、電力損失の増大を防ぐことができる。
この発明は、実施の形態1により具体化されている。
(3)間隙を介して対向する第1の電極と第2の電極とを備え、内燃機関の燃焼室の燃料に点火する点火プラグと、
前記点火プラグに電圧を印加して前記間隙に絶縁破壊を生じさせる高電圧電源と、
前記点火プラグに高周波電圧を印加して前記間隙に高周波プラズマを発生させる高周波交流電源と、
前記高電圧電源と前記高周波交流電源に電力を供給する直流電源と、
前記高電圧電源と前記高周波交流電源との動作を制御する制御装置と、
を有する点火装置であって、
前記高周波交流電源は、
直流電力を所定の周波数を有する交流電力に変換し、前記変換した交流電力を前記点火プラグに出力するDC/AC変換装置と、
直流電源からの直流電力を所定の電圧値を有する直流電力に変換し、前記変換した直流電力を前記DC/AC変換装置に出力するDC/DC変換装置と、
を備え、
前記DC/DC変換装置は、
前記変換した前記直流電力のエネルギを充電する電力供給用コンデンサと、
前記電力供給用コンデンサの充電電圧を検出する電圧検出手段と、
を備え、
前記制御装置は、
前記高電圧電源が前記点火プラグに電圧を印加してから、前記絶縁破壊により生じる容量放電電流が予め定められた値よりも小さくなるまでの期間において、前記高電圧電源が前記点火プラグに電圧を印加する直前の前記電圧検出手段の検出値を用いて、前記DC/DC変換装置の電力変換動作を制御するように構成されている、
ことを特徴とする点火装置。
この発明は、電圧検出手段の検出値に電圧振動が重畳する期間において、電圧振動が重畳する前の検出値を用いてDC/DC変換装置が電力変換動作を行うため、電圧振動が引き起こす検出誤差の影響によりDC/DC変換装置が必要以上に大きい電力を出力することを防止し、電力損失の増大を防ぐことができる。
この発明は、実施の形態3により具体化されている。
(4)間隙を介して対向する第1の電極と第2の電極とを備え、内燃機関の燃焼室の燃料に点火する点火プラグと、
前記点火プラグに電圧を印加して前記間隙に絶縁破壊を生じさせる高電圧電源と、
前記点火プラグに高周波電圧を印加して前記間隙に高周波プラズマを発生させる高周波交流電源と、
前記高電圧電源と前記高周波交流電源に電力を供給する直流電源と、
前記高電圧電源と前記高周波交流電源との動作を制御する制御装置と、
を有する点火装置であって、
前記高周波交流電源は、
直流電力を所定の周波数を有する交流電力に変換し、前記変換した交流電力を前記点火プラグに出力するDC/AC変換装置と、
直流電源からの直流電力を所定の電圧値を有する直流電力に変換し、前記変換した直流電力を前記DC/AC変換装置に出力するDC/DC変換装置と、
を備え、
前記DC/DC変換装置は、
前記変換された前記直流電力のエネルギを充電する電力供給用コンデンサと、
前記電力供給用コンデンサの充電電圧を検出する電圧検出手段と、
を備え、
前記制御装置は、
前記DC/AC変換装置が前記点火プラグに電流を出力する期間において、前記DC/AC変換装置が点火プラグに電流を出力する直前の前記電圧検出手段の検出値を用いて、前記DC/DC変換装置の電力変換動作を制御するように構成されている、
ことを特徴とする点火装置。
この発明によれば、電圧検出手段の検出値に電圧振動が重畳する期間において、電圧振動が重畳する前の検出値を用いてDC/DC変換装置が電力変換動作を行うため、電圧振動が引き起こす検出誤差の影響によりDC/DC変換装置が必要以上に大きい電力を出力することを防止し、電力損失の増大を防ぐことができる。
この発明は、実施の形態3により具体化されている。
(5)前記制御装置は、
前記容量放電電流が予め定められた値よりも小さい期間と、前記DC/DC変換装置が電力変換動作を停止する期間とにおいて、前記DC/AC変換装置が電力変換動作を行うように制御する、
ことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の点火装置。
この発明によれば、容量放電電流がDC/AC変換装置4の出力電流に重畳することを防ぎ、電流検出手段48の検出値I1を用いたDC/AC変換装置4の出力電流の制御が可能となる。加えて、DC/DC変換装置5の電力変換動作時において、DC/AC変換装置4の出力電流が、DC/DC変換装置5の基準電位に流入することを防ぎ、電圧検出手段55における検出誤差を抑制することができる。検出誤差を抑制すれば、DC/DC変換装置5が過大あるいは過小な電力を電力供給用コンデンサ54に供給することがなくなり、点火プラグ1の劣化と点火不良とが防止できる。その結果、高周波交流電源3の電力損失の増大を防ぐとともに、点火プラグ1の劣化と点火性能低下の防止に寄与する。
この発明は、実施の形態1により具体化されている。
(6)前記制御装置は、
前記DC/DC変換装置が電力変換動作を行わない期間と、前記DC/AC変換装置が前記点火プラグに交流電力を出力しない期間とにおいて、前記高電圧電源が前記点火プラグに電圧を印加して前記絶縁破壊を発生させるように制御する、
ことを特徴とする上記(1)(2)、(6)のうちの何れか一つに記載の点火装置。
この発明によれば、DC/DC変換装置5の電力変換動作時において、容量放電電流の一部がDC/DC変換装置5の基準電位に流入することを防ぎ、電圧検出手段55の検出誤差を抑制できる。加えて、容量放電電流がDC/AC変換装置4の出力電流に重畳することを防ぎ、電流検出手段48の検出値I1を用いたDC/AC変換装置4の出力電流の制御が可能となる。したがって、高周波交流電源3の電力損失の増大を防ぐとともに、点火プラグ1の劣化と点火性能低下の防止に寄与する。
この発明は、実施の形態1により具体化されている。
(7)前記制御装置は、
前記燃料に点火するタイミングを指示する点火指令信号に基づいて、前記高電圧電源と前記DC/DC変換装置と前記DC/AC変換装置の動作を制御するように構成されている、
ことを特徴とする上記(1)から(6)のうちの何れか一つに記載の点火装置。
この発明によれば、点火指令信号は、内燃機関の環境や運転状況に適したタイミングに点火するように制御されるため、点火指令信号に従って点火装置を動作させることにより、容易に最適タイミングで点火することができる。
この発明は、実施の形態1により具体化されている。
(8)前記制御装置は、
前記燃料に点火するタイミングを指示する点火指令信号に基づいて、前記高電圧電源と前記DC/DC変換装置と前記DC/AC変換装置の動作を制御するように構成され、前記点火指令信号に基づいて、前記DC/DC変換装置が電力変換動作を停止した後に、前記高電圧電源を動作させて前記点火プラグに電圧を印加する、
ことを特徴とする上記(1)、(2)、(5)から(7)のうちの何れか一つに記載の点火装置。
この発明は、DC/DC変換装置の停止と、高電圧電源による電圧発生を、点火指令信号に基づいて実施する際の具体的な動作であり、上記(1)、(2)、(5)から(7)に記載の発明の効果を得るために有効な制御手段である。
この発明は、実施の形態1により具体化されている。
(9)前記DC/AC変換装置は、
前記DC/AC変換装置の出力電流、及び前記絶縁破壊により生じる容量放電電流を検出する電流検出手段を備え、
前記制御装置は、
前記電流検出手段の検出値に基づいて、前記DC/AC変換装置の電力変換動作を制御する、
ことを特徴とする上記(1)から(8)のうちの何れか一つに記載の点火装置。
この発明によれば、絶縁破壊に伴う容量放電電流とDC/AC変換装置の出力電流の検出手法と、DC/AC変換装置の電力変換の具体的動作であり、上記(1)から(8)に記載の発明の効果を得るために有効な制御手段である。
この発明は、実施の形態1により具体化されている。
(10)前記制御装置は、
前記容量放電電流の発生を検出した後において、前記容量放電電流の1周期毎のピーク値が予め定められた値未満になることを検出した後に、前記DC/AC変換装置が電力変換動作を行うように制御する、
ことを特徴とする上記(9)に記載の点火装置。
この発明によれば、絶縁破壊後の容量放電電流が減衰を検出した後に、DC/AC変換装置による交流電力の出力動作を具体的に記載したものであり、上記(9)に記載の発明の効果を得るために有効な制御手段である。
この発明は、実施の形態1により具体化されている。
(11)前記制御装置は、
前記高電圧電源が点火プラグに電圧を出力するための動作を実施したタイミングから、予め定められた時間が経過した後に、前記DC/AC変換装置が電力変換動作を行うように制御する、
ことを特徴とする上記(1)から(10)のうちの何れか一つに記載の点火装置。
この発明によれば、絶縁破壊後の容量放電電流が減衰した後に、DC/AC変換装置による交流電力を出力する動作を具体的に記載したものであり、上記(1)から(10)に記載の発明の効果を得るために有効な制御手段である。
この発明は、実施の形態1により具体化されている。
(12)前記制御装置は、
前記DC/AC変換装置の電力変換動作を停止した後に、前記DC/DC変換装置の電力変換動作を許可する、
ことを特徴とする上記(1)、(2)、(5)から(11)のうちの何れか一つに記載の点火装置。
この発明によれば、DC/AC変換装置の動作停止とDC/DC変換装置の動作許可の具体的なタイミングを記載したものであり、上記(1)、(2)、(5)から(11)に記載の発明の効果を得るために有効な制御方法である。
この発明は、実施の形態1により具体化されている。
(13)前記制御装置は、
前記燃料に点火するタイミングを指示する点火指令信号に基づいて、前記高電圧電源と前記DC/DC変換装置と前記DC/AC変換装置の動作を制御するように構成され、前記DC/AC変換装置の電力変換動作を停止してから次の点火指令信号が出力されるまでの期間において、前記DC/DC変換装置が電力変換動作を行うように制御する、
ことを特徴とする上記(1)、(2)、(5)から(12)のうちの何れか一つに記載の点火装置。
この発明によれば、点火タイミングにおいて、電力供給用コンデンサの充電電圧が出力電圧指令値に維持されるため、交流電力出力中の点火プラグの印加電圧が放電維持電圧以上に保たれ、高周波プラズマが発生できないことによる点火性能の低下を防ぐことができる。
この発明は、実施の形態1により具体化されている。
(14)前記制御装置は、
前記燃料に点火するタイミングを指示する点火指令信号に基づいて、前記高電圧電源と前記DC/DC変換装置と前記DC/AC変換装置の動作を制御するように構成され、前記点火指令信号が出力されてから次の点火指令信号が出力されるまでの1回の点火期間において、前記DC/AC変換装置が電力変換動作を停止してから所定の休止期間を設けた後に、再度、前記DC/AC変換装置が電力変換動作を行うように制御する、
ことを特徴とする上記(1)から(13)のうちの何れか一つに記載の点火装置。
この発明によれば、休止期間を設けずに交流電力を出力し続ける場合よりも少ない消費電力で、絶縁破壊からより遅いタイミングに高周波プラズマを発生させることができるため、電力供給用コンデンサの大容量化に伴う大型化を防ぐことができる。
この発明は、実施の形態2により具体化されている。
(15)前記制御装置は、
前記DC/DC変換装置が前記休止期間に電力変換動作を行うように制御することを特徴とする上記(14)に記載の点火装置。
この発明によれば、DC/AC変換装置の点火周期1回におけるすべての消費電力を、電力供給用コンデンサに予め充電されたエネルギのみで賄う必要がなくなるため、電力供給用コンデンサの大容量化に伴う大型化を防ぐことができる。
この発明は、実施の形態2により具体化されている。
(16)前記制御装置は、
前記1回の点火期間において、前記DC/AC変換装置が電力変換動作を行って前記点火プラグに交流電力を供給する交流電力出力期間と、前記休止期間とを、それぞれ複数回設けるように制御することを特徴とする上記(14)または(15)に記載の点火装置。
この発明によれば、電力供給用コンデンサの容量を増加させることなく、DC/AC変換装置が点火プラグに交流電力をより長時間出力することができ、点火性能の向上に寄与する。
この発明は、実施の形態2により具体化されている。
尚、この発明は前述の実施の形態1から3による点火装置に限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態1、2、及び2の構成を適宜組み合わせたり、その構成に一部変形を加えたり、構成を一部省略することが可能である。
この発明は、内燃機関の点火装置の分野、ひいては自動車産業の分野に利用することができる。
1 点火プラグ、1a 第1の電極、1b 第2の電極、2 高電圧電源、3 高周波交流電源、4 DC/AC変換装置、5 DC/DC変換装置、6 直流電源、7 制御装置、10 点火装置、21 トランス、21a トランスの1次巻線、21b トランスの2次巻線、22 半導体スイッチ、23 ダイオード、41、42、43、44 半導体スイッチ、45 昇圧トランス、45a 昇圧トランスの1次巻線、45b 昇圧トランスの2次巻線、46 共振インダクタ、47 共振コンデンサ、48 電流検出手段、49 DC/AC変換制御回路、50 昇圧チョッパ回路、51 インダクタ、52 ダイオード、53 半導体スイッチ、54 電力供給用コンデンサ、55 電圧検出手段、56 DC/DC変換制御回路、GND グランドレベル部位

Claims (16)

  1. 間隙を介して対向する第1の電極と第2の電極とを備え、内燃機関の燃焼室の燃料に点火する点火プラグと、
    前記点火プラグに電圧を印加して前記間隙に絶縁破壊を生じさせる高電圧電源と、
    前記点火プラグに高周波電圧を印加して前記間隙に高周波プラズマを発生させる高周波交流電源と、
    前記高電圧電源と前記高周波交流電源に電力を供給する直流電源と、
    前記高電圧電源と前記高周波交流電源との動作を制御する制御装置と、
    を有する点火装置であって、
    前記高周波交流電源は、
    直流電力を所定の周波数の交流電力に変換し、前記変換した交流電力を前記点火プラグに出力するDC/AC変換装置と、
    直流電源からの直流電力を所定の電圧値を有する直流電力に変換し、前記変換した直流電力を前記DC/AC変換装置に出力するDC/DC変換装置と、
    を備え、
    前記制御装置は、
    前記絶縁破壊により発生する容量放電電流が予め定められた値よりも小さい期間と、前記DC/AC変換装置が前記点火プラグに前記交流電力を出力しない期間と、のうちの少なくとも一方を満たす期間において、前記DC/DC変換装置が電力変換動作を行うように制御するように構成されている、
    ことを特徴とする点火装置。
  2. 前記制御装置は、
    前記容量放電電流が予め定められた値よりも小さい期間と、前記DC/AC変換装置が前記点火プラグに交流電力を出力しない期間とにおいて、前記DC/DC変換装置が電力変換動作を行うように制御する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の点火装置。
  3. 間隙を介して対向する第1の電極と第2の電極とを備え、内燃機関の燃焼室の燃料に点火する点火プラグと、
    前記点火プラグに電圧を印加して前記間隙に絶縁破壊を生じさせる高電圧電源と、
    前記点火プラグに高周波電圧を印加して前記間隙に高周波プラズマを発生させる高周波交流電源と、
    前記高電圧電源と前記高周波交流電源に電力を供給する直流電源と、
    前記高電圧電源と前記高周波交流電源との動作を制御する制御装置と、
    を有する点火装置であって、
    前記高周波交流電源は、
    直流電力を所定の周波数を有する交流電力に変換し、前記変換した交流電力を前記点火プラグに出力するDC/AC変換装置と、
    直流電源からの直流電力を所定の電圧値を有する直流電力に変換し、前記変換した直流電力を前記DC/AC変換装置に出力するDC/DC変換装置と、
    を備え、
    前記DC/DC変換装置は、
    前記変換した前記直流電力のエネルギを充電する電力供給用コンデンサと、
    前記電力供給用コンデンサの充電電圧を検出する電圧検出手段と、
    を備え、
    前記制御装置は、
    前記高電圧電源が前記点火プラグに電圧を印加してから、前記絶縁破壊により生じる容量放電電流が予め定められた値よりも小さくなるまでの期間において、前記高電圧電源が前記点火プラグに電圧を印加する直前の前記電圧検出手段の検出値を用いて、前記DC/DC変換装置の電力変換動作を制御するように構成されている、
    ことを特徴とする点火装置。
  4. 間隙を介して対向する第1の電極と第2の電極とを備え、内燃機関の燃焼室の燃料に点火する点火プラグと、
    前記点火プラグに電圧を印加して前記間隙に絶縁破壊を生じさせる高電圧電源と、
    前記点火プラグに高周波電圧を印加して前記間隙に高周波プラズマを発生させる高周波交流電源と、
    前記高電圧電源と前記高周波交流電源に電力を供給する直流電源と、
    前記高電圧電源と前記高周波交流電源との動作を制御する制御装置と、
    を有する点火装置であって、
    前記高周波交流電源は、
    直流電力を所定の周波数を有する交流電力に変換し、前記変換した交流電力を前記点火プラグに出力するDC/AC変換装置と、
    直流電源からの直流電力を所定の電圧値を有する直流電力に変換し、前記変換した直流電力を前記DC/AC変換装置に出力するDC/DC変換装置と、
    を備え、
    前記DC/DC変換装置は、
    前記変換された前記直流電力のエネルギを充電する電力供給用コンデンサと、
    前記電力供給用コンデンサの充電電圧を検出する電圧検出手段と、
    を備え、
    前記制御装置は、
    前記DC/AC変換装置が前記点火プラグに電流を出力する期間において、前記DC/AC変換装置が点火プラグに電流を出力する直前の前記電圧検出手段の検出値を用いて、前記DC/DC変換装置の電力変換動作を制御するように構成されている、
    ことを特徴とする点火装置。
  5. 前記制御装置は、
    前記容量放電電流が予め定められた値よりも小さい期間と、前記DC/DC変換装置が電力変換動作を停止する期間とにおいて、前記DC/AC変換装置が電力変換動作を行うように制御する、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の点火装置。
  6. 前記制御装置は、
    前記DC/DC変換装置が電力変換動作を行わない期間と、前記DC/AC変換装置が前記点火プラグに交流電力を出力しない期間とにおいて、前記高電圧電源が前記点火プラグに電圧を印加して前記絶縁破壊を発生させるように制御する、
    ことを特徴とする請求項1、2、5のうちの何れか一項に記載の点火装置。
  7. 前記制御装置は、
    前記燃料に点火するタイミングを指示する点火指令信号に基づいて、前記高電圧電源と前記DC/DC変換装置と前記DC/AC変換装置の動作を制御するように構成されている、
    ことを特徴とする請求項1から6のうちの何れか一項に記載の点火装置。
  8. 前記制御装置は、
    前記燃料に点火するタイミングを指示する点火指令信号に基づいて、前記高電圧電源と前記DC/DC変換装置と前記DC/AC変換装置の動作を制御するように構成され、前記点火指令信号に基づいて、前記DC/DC変換装置が電力変換動作を停止した後に、前記高電圧電源を動作させて前記点火プラグに電圧を印加する、
    ことを特徴とする請求項1、2、5から7のうちの何れか一項に記載の点火装置。
  9. 前記DC/AC変換装置は、
    前記DC/AC変換装置の出力電流、及び前記絶縁破壊により生じる容量放電電流を検出する電流検出手段を備え、
    前記制御装置は、
    前記電流検出手段の検出値に基づいて、前記DC/AC変換装置の電力変換動作を制御する、
    ことを特徴とする請求項1から8のうちの何れか一項に記載の点火装置。
  10. 前記制御装置は、
    前記容量放電電流の発生を検出した後において、前記容量放電電流の1周期毎のピーク値が予め定められた値未満になることを検出した後に、前記DC/AC変換装置が電力変換動作を行うように制御する、
    ことを特徴とする請求項9に記載の点火装置。
  11. 前記制御装置は、
    前記高電圧電源が点火プラグに電圧を出力するための動作を実施したタイミングから、予め定められた時間が経過した後に、前記DC/AC変換装置が電力変換動作を行うように制御する、
    ことを特徴とする請求項1から10のうちの何れか一項に記載の点火装置。
  12. 前記制御装置は、
    前記DC/AC変換装置の電力変換動作を停止した後に、前記DC/DC変換装置の電力変換動作を許可する、
    ことを特徴とする請求項1、2、5から11のうちの何れか一項に記載の点火装置。
  13. 前記制御装置は、
    前記燃料に点火するタイミングを指示する点火指令信号に基づいて、前記高電圧電源と前記DC/DC変換装置と前記DC/AC変換装置の動作を制御するように構成され、前記DC/AC変換装置の電力変換動作を停止してから次の点火指令信号が出力されるまでの期間において、前記DC/DC変換装置が電力変換動作を行うように制御する、
    ことを特徴とする請求項1、2、5から12のうちの何れか一項に記載の点火装置。
  14. 前記制御装置は、
    前記燃料に点火するタイミングを指示する点火指令信号に基づいて、前記高電圧電源と前記DC/DC変換装置と前記DC/AC変換装置の動作を制御するように構成され、前記点火指令信号が出力されてから次の点火指令信号が出力されるまでの1回の点火期間において、前記DC/AC変換装置が電力変換動作を停止してから所定の休止期間を設けた後に、再度、前記DC/AC変換装置が電力変換動作を行うように制御する、
    ことを特徴とする請求項1から13のうちの何れか一項に記載の点火装置。
  15. 前記制御装置は、
    前記DC/DC変換装置が前記休止期間に電力変換動作を行うように制御することを特徴とする請求項14に記載の点火装置。
  16. 前記制御装置は、
    前記1回の点火期間において、前記DC/AC変換装置が電力変換動作を行って前記点火プラグに交流電力を供給する交流電力出力期間と、前記休止期間とを、それぞれ複数回設けるように制御することを特徴とする請求項14または15に記載の点火装置。
JP2019556472A 2017-11-30 2017-11-30 点火装置 Active JP6811877B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2017/042956 WO2019106776A1 (ja) 2017-11-30 2017-11-30 点火装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2019106776A1 JPWO2019106776A1 (ja) 2020-10-22
JP6811877B2 true JP6811877B2 (ja) 2021-01-13

Family

ID=66664444

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019556472A Active JP6811877B2 (ja) 2017-11-30 2017-11-30 点火装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6811877B2 (ja)
WO (1) WO2019106776A1 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008002336A (ja) * 2006-06-22 2008-01-10 Denso Corp 内燃機関の点火装置
US9709017B2 (en) * 2013-06-04 2017-07-18 Mitsubishi Electric Corporation Ignition device of spark-ignition internal combustion engine
JP5897099B1 (ja) * 2014-12-04 2016-03-30 三菱電機株式会社 点火装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2019106776A1 (ja) 2020-10-22
WO2019106776A1 (ja) 2019-06-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6469321B2 (ja) 共振型インバータ
US7944678B2 (en) Low voltage power supply for spark igniter and flame sense
JP5676721B1 (ja) 高周波放電点火装置
KR101190944B1 (ko) 스위칭 전원 장치
KR20180029059A (ko) 내연 기관용 전자식 점화 시스템 및 그 구동 방법
US8922127B2 (en) High-frequency discharge ignition coil apparatus and high-frequency discharge ignition apparatus
EP2836699A1 (en) Ignition system including a measurement device for providing measurement signals to a combustion engine's control system
JP6773004B2 (ja) 内燃機関用点火装置
JP5253144B2 (ja) 内燃機関用点火装置
JP6811877B2 (ja) 点火装置
US9546637B2 (en) Ignition apparatus
JP6824194B2 (ja) 内燃機関用電子点火システムおよび該電子点火システムの制御方法
JP6125139B1 (ja) 内燃機関点火装置
WO2017115511A1 (ja) 内燃機関点火装置
JP5340431B2 (ja) 点火装置
KR20180029196A (ko) 내연 기관을 위한 전자 점화 시스템 및 상기 전자 점화 시스템을 위한 제어 방법
JP2012143071A (ja) 電源装置および電子機器
JP5154371B2 (ja) イオン電流検出装置
JP4912484B2 (ja) プラズマ式点火装置
JP5230351B2 (ja) イオン電流検出装置
JP5579594B2 (ja) 制御回路
JP5154372B2 (ja) イオン電流検出装置
JP5601642B2 (ja) 内燃機関用点火装置
CN116324158A (zh) 用于控制每火花塞具有至少两个线圈的多电荷点火系统的方法和装置
KR20130138215A (ko) 고압 방전 램프를 시동시키기 위한 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200311

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201117

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201215

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6811877

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250