以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。固液分離施設は、例えば、沈砂池や沈殿池等の沈降池部を備えた下水処理を行う施設に用いられる。また、固液分離方法は、例えば、沈砂池や沈殿池等の沈降池部を備えた固液分離施設において実施される。本実施形態では、沈降池部として沈砂池を備えた固液分離施設と、この沈砂池を備えた固液分離施設で実施される固液分離方法を例に挙げて説明する。沈砂池は、下水処理施設の上流側に配置され、下水または雨水などの汚水に含まれる砂を汚水から取り除くものである。
図1は、固液分離施設10を上方から見た平面図であり、図2は、図1に示す固液分離施設10のA−A断面図である。なお、図2では、本来であればA−A断面図に表れない、揚砂ポンプP1、集砂水ポンプP2および揚水ポンプP3を、説明の便宜のため示している。
図1に示すように、固液分離施設10は、沈砂池11と、ポンプ井部12と、沈砂池11とポンプ井部12とを結ぶ連接部13とを備えた平面視長方形状の池である。以下、固液分離施設10の長辺方向を長手方向と称し、短辺方向を池幅方向と称することがある。すなわち、本実施形態では、池幅方向に直交する方向が長手方向に相当する。図1および図2に示す固液分離施設10は、図の左側から汚水を受け入れ、受け入れた汚水は図の右側に向かってポンプ井部12までゆっくりと流れていく(図1および図2に示す太い矢印参照)。図1および図2では、図の左側が上流側になり右側が下流側になり、図の右方向が流下方向になる。すなわち、受け入れた汚水は、長手方向に流下する。
図2に示すWLは汚水の水面を表し、この水面WLの位置は、設定された水位に保たれている。汚水に含まれている砂は、汚水がポンプ井部12に向けてゆっくりと流れていく間に沈砂池11に沈降する。沈砂池11は、固液分離施設10が受け入れた汚水に含まれている砂を沈降させる池であり、沈降池部の一例に相当する。沈砂池11を通過した汚水は、連接部13を越えてポンプ井部12に流入し、ポンプ井部12に設置された揚水ポンプP3によって排出される。沈砂池11では、連接部13から下方の領域が、砂をためる砂溜まりR1を形成し、この砂溜まりR1よりも上の領域に汚水が流れる。すなわち、連接部13から水面WLまでの領域が、汚水が流れる流下領域R2を形成する。この流下領域R2を幅方向に切断した面の面積が流下断面積に相当する。
沈砂池11の上流側には、除塵機2が設けられている。この除塵機2は、沈砂池11に流れ込もうとする汚水に含まれている固体のうち、所定の大きさ以上の石塊やし渣等を除去するためのものである。除塵機2は、無端チェーン21と、その無端チェーン21に間隔をあけて取り付けられた複数のレーキ22と、水中に没する濾過スクリーン23とを有する。無端チェーン21は、固液分離施設10の幅方向両側それぞれに斜めに起立した状態で設けられたものであり、図2に示すように、地上側スプロケット211と、池底側スプロケット212に巻きかけられている。無端チェーン21が駆動すると、レーキ22は水中を出入りする。濾過スクリーン23は、無端チェーン21の下流側に配置されている。この濾過スクリーン23は、上下方向に延びるバーが所定間隔(例えば、25mm〜75mm)で並べられ、所定間隔以上の大きさの固体の通過を遮るものである。本実施形態では、上下方向に延びるバーが75mm間隔で並べられている。濾過スクリーン23で遮られた固体は、レーキ22によって掻き揚げられ、掻き揚げられた固体は、地上側で不図示のベルトコンベア等の運搬手段に載せられる。
図1および図2に示すように、除塵機2の下流側に設けられた沈砂池11は、上流側から下流側にかけて記載順に設けられた、上流側池底部110a、集砂ピット4および下流側池底部110bを備えている。以下、上流側池底部110aと下流側池底部110bを区別する必要がない場合は、池底部110と総称することがある。池底部110に沈降した砂は、後述する集砂ノズル71から吐出された水によって集砂ピット4に移動する。これによって、沈砂池11に流れ込んだ汚水中の砂は、集砂ピット4に集められる。すなわち、集砂ピット4は集積部の一例に相当し、沈砂池11に流れ込んだ汚水中の砂は、受け入れた液体に含まれている固体の一例に相当する。具体的には、上流側池底部110aでは、上流側から集砂ピット4に向かう方向(図1および図2に示す右方向の細い矢印参照)が砂の移動方向になり、下流側池底部110bでは、下流側から集砂ピット4に向かう方向(図1および図2に示す左方向の細い矢印参照)が砂の移動方向になる。このため、上流側池底部110aでは、流下方向(図の太い矢印)と移動方向(図の細い矢印)は一致するが、下流側池底部110bでは、流下方向(図の太い矢印)と移動方向(図の細い矢印)は反対向きになる。
図1に示すように、上流側池底部110aには、長手方向に延在し池幅方向に並んだ2つのトラフ31,31が設けられている。これら上流側池底部110aに設けられた2つのトラフ31,31のうち、以下の説明では、図1の上側に位置するトラフ31を上流側第1トラフ31aと称し、図1の下側に位置するトラフ31を上流側第2トラフ31bと称して区別する場合がある。また、下流側池底部110bにも、長手方向に延在し池幅方向に並んだ2つのトラフ31,31が設けられている。これら下流側池底部110bに設けられた2つのトラフ31,31のうち、以下の説明では、図1の上側に位置するトラフ31を下流側第1トラフ31cと称し、図1の下側に位置するトラフ31を下流側第2トラフ31dと称して区別する場合がある。これらトラフ31は、池幅方向と直交する方向に延在し池幅方向に並んだ複数の溝に相当する。また、上流側第1トラフ31aおよび上流側第2トラフ31bは、複数の上流側溝部に相当し、下流側第1トラフ31cおよび下流側第2トラフ31bは、複数の下流側溝部に相当する。本実施形態では、これらトラフ31それぞれは、全長が10m程度に設定されている。
これらトラフ31それぞれには、池幅方向両側からトラフ31に向けて下方に傾斜した一対の傾斜面32,32が設けられている。この一対の傾斜面32,32は、上方に向かうにつれて互いに離れていく面である。本実施形態では、傾斜面32は、コンクリートを打設することで形成されている。また、上流側池底部110aおよび下流側池底部110bそれぞれの池幅方向の略中央には、傾斜面32と傾斜面32との接続部33が長手方向に延在した状態で形成されている。
図1に示すように、複数のトラフ31それぞれには、集砂ノズル71が設けられている。具体的には、上流側第1トラフ31aの上流側には上流側第1集砂ノズル71aが設けられ、上流側第2トラフ31bの上流側には上流側第2集砂ノズル71bが設けられている。また、下流側第1トラフ31cの下流側には下流側第1集砂ノズル71cが設けられ、下流側第2トラフ31dの下流側には下流側第2集砂ノズル71dが設けられている。図2では、上流側第1トラフ31aの上流側に配置された上流側第1集砂ノズル71aと、下流側第1トラフ31cの下流側に配置された下流側第1集砂ノズル71cを示している。
図1に示すように、上流側第1トラフ31aおよび上流側第2トラフ31bそれぞれの下流側は、集砂ピット4に接続し、下流側第1トラフ31cおよび下流側第2トラフ31dそれぞれの上流側も、集砂ピット4に接続している。トラフ31内には、空間形成部材8が設けられている。この空間形成部材8は、トラフ31に沿って延在したものである。トラフ31および空間形成部材8についての詳しい説明は後述する。
図1に示すように、集砂ピット4は、池幅方向中央部分に設けられた平坦面部41と、この平坦面部41の池幅方向両側にそれぞれ設けられた一対の傾斜面部42,42を有している。平坦面部41は、平面視矩形状の平坦な面によって構成され、この平坦面部41の中央部分に揚砂ポンプP1が配置されている。図2に示すように、揚砂ポンプP1は、平坦面部41から所定高さに位置する吸引口POを備えている。この揚砂ポンプP1は、集砂ピット4に集められた砂を、吸引口POから吸引し、不図示の揚砂管を通して沈砂分離機等に搬送するものである。
傾斜面部42は、平坦面部41に向かって下方に傾斜した傾斜面によって構成され、これにより、傾斜面部42に沈降した砂は、平坦面部41に配置された揚砂ポンプP1に向かって傾斜面部42を伝っていく。なお、傾斜面部42の面積やその傾斜角度は、集砂ピット4の池幅方向の長さ等に応じて設定される。例えば、集砂ピット4の池幅方向の長さが長い場合には、傾斜面部42の面積を相対的に大きく、また、傾斜角度を相対的に大きく設定する。反対に、集砂ピット4の池幅方向の長さが短く、沈降した砂を、後述するピット集砂ノズル72から吐出する水によって揚砂ポンプP1の周囲に十分に移動させることができる場合には、傾斜面部42を省略する場合もある。本実施形態では、傾斜面部42の傾斜角度を、トラフ31に接続する傾斜面32の傾斜角度よりも大きく設定している。
図1に示すように、集砂ピット4の内部には、一対の傾斜面部42,42それぞれに沿って配置された一対のピット集砂ノズル72,72が設けられている。ピット集砂ノズル72それぞれは、二股に分かれて長手方向に間隔をあけて配置された2つの吐出口721を有している。これら吐出口721は、集砂ピット4の幅方向中央に配置された揚砂ポンプP1に向け、傾斜面部42に沿って水を吐出するものである。これにより、集砂ピット4内に集まってきた砂は、揚砂ポンプP1の周囲に集められる。
図1に示すように、集砂ピット4の内部には、さらに一対の撹拌ノズル73,73が設けられている。図1では、図面を簡略化するため撹拌ノズル73のみを示し、撹拌ノズル73に接続されている給水枝管は省略している。また、図2では、撹拌ノズル73自体も省略している。一対の撹拌ノズル73,73は、揚砂ポンプP1の周囲に配置されており、揚砂ポンプP1の吸引口PO(図2参照)の周辺に向けて水を吐出し、吸引口POの周辺に堆積した砂を撹乱させるものである。これによって、揚砂ポンプP1の吸引口PO(図2参照)が塞がれてしまうことを防ぎ、いわゆる砂噛み等によるポンプ始動時のロックを防止するものである。なお、集砂ピット4の池幅方向の長さが短い場合には、ピット集砂ノズル72と撹拌ノズル73のいずれか一方を省略し、いずれか他方によって、ピット集砂ノズル72と撹拌ノズル73双方の機能を持たせる構成も採用することができる。
図1及び図2に示すように、下流側池底部110bとポンプ井部12とは連接部13によって接続されており、前述したように、この連接部13の高さ位置が、砂溜まりR1と流下領域R2(図2参照)との境界になる。ポンプ井部12には、砂が取り除かれた汚水が貯留される。ポンプ井部12の内部には、集砂水ポンプP2と揚水ポンプP3が設けられている。図2に示すように、集砂水ポンプP2は、給水本管741と複数の給水枝管742によって、各ノズルに接続されている。図2では、集砂水ポンプP2が、上流側第1集砂ノズル71a、下流側第1集砂ノズル71c、および一方側のピット集砂ノズル72に接続されている様子を示している。なお、図示は省略しているが、集砂水ポンプP2は、上流側第2集砂ノズル71b、下流側第2集砂ノズル71d、および他方側のピット集砂ノズル72にも接続され、さらに、一対の撹拌ノズル73,73(図1参照)にも接続されている。
給水本管741は、一端が集砂水ポンプP2に接続し、他端から複数の給水枝管742が分岐している。複数の給水枝管742それぞれには、集砂調整弁V1と集砂弁V2が設けられている。集砂調整弁V1は、各ノズルに供給される水の流量を調整するものであり、例えば手動ボール弁によって構成されている。集砂弁V2は、開放することで各ノズルへ水を供給し、閉鎖することで各ノズルへの水の供給を停止するものであり、例えば電動ボール弁によって構成されている。本実施形態では、集砂弁V2の開閉時間を30秒に設定している。このため、全閉状態から集砂弁V2の開放を開始すると、その集砂弁V2に接続されたノズルから吐出される水の流量が徐々に増加していき、およそ30秒で全開状態になる。集砂弁V2が全開状態になると、集砂調整弁V1で調整された流量の水がノズルから吐出される。また、全開状態から集砂弁V2の閉鎖を開始すると、ノズルから吐出される水の流量が徐々に減少していき、およそ30秒で全閉状態になる。集砂弁V2が全開状態になると、ノズルからの水の吐出が完全に停止する。なお、集砂弁V2の開閉時間は適宜設定が可能であり、集砂ノズル71、ピット集砂ノズル72および撹拌ノズル73毎に開閉時間を異ならせてもよい。なお、本実施形態では、一対のピット集砂ノズル72,72に対して、集砂調整弁V1と集砂弁V2を1つ設ける構成を採用している。これにより、一対のピット集砂ノズル72,72それぞれからは、同じタイミングで水が吐出され、吐出する水の流量も同じになる。また、図示は省略しているが、一対の撹拌ノズル73,73に対しても、集砂調整弁V1と集砂弁V2を1つ設ける構成を採用している。もちろん、一対のピット集砂ノズル72,72それぞれに、集砂調整弁V1と集砂弁V2を設けてもよいし、一対の撹拌ノズル73,73それぞれに、集砂調整弁V1と集砂弁V2を設けてもよい。
次に、図3を用いて、トラフ31と傾斜面32の構成を詳細に説明する。図3は、図2に示す固液分離施設10のB−B断面図である。なお、上流側池底部110aと下流側池底部110bは、集砂ピット4を挟んで対称に構成されている。このため、ここでは、下流側池底部110bに設けられた構成を例に挙げて説明する。
図3に示すように、下流側第1トラフ31cおよび下流側第2トラフ31dそれぞれは、開口を画定する一対の上縁311,311を有し、これら一対の上縁311,311それぞれから斜め上方に延びる傾斜面32が設けられている。図3では、下流側第1トラフ31cの左側の上縁311から延びる傾斜面32は、沈砂池11の側壁34に接続し、下流側第2トラフ31dの右側の上縁311から延びる傾斜面32も、沈砂池11の側壁34に接続している。また、下流側第1トラフ31cの右側の上縁311から延びる傾斜面32と、下流側第2トラフ31dの左側の上縁311から延びる傾斜面32とは、池幅方向中央でつながり、接続部33を形成している。本実施形態では、接続部33を、傾斜面32と傾斜面32とが突き当たった尖った部位で構成しているが、例えば、図3の一点鎖線で示すように、沈降する砂が堆積しない限度において接続部33を平坦な部位で構成してもよいし、傾斜面32と傾斜面32とを円弧状に接続させた接続部33としてもよい。下流側池底部110bに沈降した砂は、傾斜面32を伝って流れ落ち、一対の上縁311,311によって画定される開口からトラフ31内に入り込む。
複数のトラフ31と、トラフ31の一対の上縁311,311それぞれから延びる傾斜面32を設けることで、沈砂池11の池幅が広い場合であっても、沈降した砂を傾斜面32に堆積させてしまうことなくトラフ31に集めることが可能になる。ここで、固液分離施設10の池幅が広くなっていくと、傾斜面32に砂が堆積してしまうことを防ぐために3つ以上のトラフ31を池幅方向に並べて設ける態様が必要になる場合もある。その場合であっても、傾斜面32を備えているため、この傾斜面32の分、トラフ31の数を抑えることができる。これにより、移動機構としての集砂ノズル71等の数も抑えられ、建設費の増加を抑制することもできる。
さらに、接続部33は、高さが、連接部13の高さ以下であるため、連接部13よりも上方の流下領域R2を傾斜面32が遮ることがない。この結果、流下断面積が減少し集砂効率が低下してしまうことが防止される。すなわち、流下断面積が減少することで沈砂池11を流れる汚水の流速が早くなり、砂が池底部110に沈降しにくくなるといった問題が生じない。また、接続部33の高さを、連接部13の高さ以下に抑えることで、例えば傾斜面32がコンクリートによって形成されている場合には、その打設量の増加も抑えることができる。
本実施形態では、傾斜面32の傾斜角度(水平面に対する角度(仰角))αを、25度程度に設定している。この傾斜角度αは、15度以上45度以下の範囲で設定することが好ましく、15度以上40度以下の範囲で設定することが特に好ましい。傾斜角度αが15度未満であると、傾斜面32に沈降してきた砂が傾斜面32を伝ってトラフ31まで流れ落ちず、傾斜面32に堆積してしまう虞がある。一方、傾斜面32に沈降してきた砂をトラフ31まで移動させるためには、傾斜角度αを45度にすれば十分であり、傾斜角度αが45度を超えると、傾斜面32を形成するコンクリートの打設量が大幅に増加してしまうため好ましくない。また、傾斜面32を形成するコンクリートの打設量を十分に抑えるには、傾斜角度αは40度以下にするとよい。なお、本実施形態では、複数の傾斜面32の傾斜角度αを同程度に設定しているが、例えば、側壁34に接続する傾斜面32の傾斜角度αを、他の傾斜面32と接続して接続部33を形成する傾斜面32の傾斜角度αよりも大きくする等、傾斜面32毎に傾斜角度αを異ならせてもよい。
次に、図4を用いて、トラフ31、集砂ノズル71および空間形成部材8の構成を詳細に説明する。図4は、図3において円で囲んだC部を拡大して示す図である。ここでは、下流側第1トラフ31cおよび下流側第1集砂ノズル71cを例に挙げて説明する。なお、図4では、紙面の奥から手前に向かう方向が砂の移動方向になる。
本実施形態のトラフ31は、全長10m、直径300mm、板厚3mm程度のステンレス製の円筒体の上方の略1/3を切り欠いた形状のものであり、上方に向かって開口している。また、トラフ31は、内周面312を有し、この内周面によって画定される空間S1が形成されている。なお、トラフ31の池幅方向の断面形状は円弧状に限られず、U字状やV字状等であってもよい。
空間形成部材8は、トラフ31内の空間S1を仕切るものであって、下端より上の部分が閉塞した空間S2を形成するものである。また、本実施形態の空間形成部材8は、直径150mm、板厚3mm程度のステンレス製の円筒体の下方の略1/6を切り欠いた形状のものであり、下方に向かって開口している。以下、この開口している部分を吸込口81と称する。空間形成部材8は、その移動方向上流側の端部と移動方向下流側の端部が、不図示の支持部材によってトラフ31に支持されている。
集砂ノズル71は、その後端部分に給水枝管742が接続され、その先端部分に吐出口711を備えたものである。本実施形態の集砂ノズル71は、丸パイプを扁平状につぶして形成したものである。図2に示すポンプ井部12に貯留された水を、集砂水ポンプP2によって給水本管741および給水枝管742を介して集砂ノズル71に供給すると、集砂ノズル71に供給された水が吐出口711から吐出される。本実施形態では、吐出口711から吐出される水の吐出流速は、8m/sec以上に設定され、吐出圧は、0.05MPa以上0.3MPa以下に設定されている。また、トラフ31の全長が10m程度に設定されている本実施形態では、吐出口711から吐出される水の流量は、毎分2000リットル程度に調整される。なお、トラフ31の全長を5m程度に設定する場合には、吐出口711から吐出される水の流量は、毎分1500リットル程度に調整される。このように、吐出口711から吐出される水の流量は、トラフ31の全長等に応じて適宜調整される。なお、本実施形態では、吐出口711から吐出する水は、ポンプ井部12に貯留された汚水を用いているが、汚水処理場に受け入れた他の汚水を使用してもよく、上水等その他の水を使用してもよい。
集砂ノズル71の吐出口711から空間形成部材8の空間S2内に水が吐出されると、空間形成部材8の内(空間S2)と外とで圧力差が生じ、トラフ31内(空間S1)に堆積した砂は、図4に示す曲線の矢印のように、吸込口81から空間S2内に吸い込まれる。さらに、その空間形成部材8の空間S2内では、吸い込まれた砂が、吐出口711から吐出された水の流れによって集砂ピット4(図1および図2参照)に向かって移動する。空間S2内を移動する砂は、圧力差が生じている部分では、空間形成部材8の外に出にくく、砂の巻き上がりが抑えられる。したがって、砂を十分に移動させながら砂の巻き上がりを抑えることができる。すなわち、集砂ノズル71および空間形成部材8が、移動機構の一例に相当する。
続いて、ここまで説明してきた固液分離施設10で実施される固液分離方法について説明する。初めに沈降ステップまでの工程を説明する。固液分離施設10では、汚水を受け入れている間は、沈降ステップまでの工程が継続される。
固液分離施設10に流れ込んだ汚水は図1および図2に示す除塵機2を通過する際に、その汚水に混入しているし渣等が取り除かれる。除塵機2を通過した汚水は、上流側池底部110aの上流端に到達し、図2に示す流下領域R2をポンプ井部12に向かってさらに流れる。汚水がポンプ井部12まで流れる間に、汚水に含まれている砂の多くが砂溜まりR1に沈降していく。集砂ピット4に沈降する砂もあれば、上流側池底部110aや下流側池底部110bに沈降する砂もあり、上流側池底部110aや下流側池底部110bに沈降した砂は傾斜面32を伝ってトラフ31に流れ落ちる。こうして、トラフ31の空間S1(図4参照)内に砂を沈降させる。トラフ31内に砂を沈降させる工程が沈降ステップの一例に相当する。
図5は、図1および図2に示す固液分離施設10に設置されたポンプやノズルの駆動タイミングや停止タイミングを示すタイミングチャートである。図5に示すポンプやノズルは、前述した沈降ステップと並行して駆動されるものであり、図5では、図の左から右に向かって時間が経過する。また、図5の一番上には、集砂水ポンプP2の駆動(ON)と停止(OFF)が示され、その下には、揚砂ポンプP1の駆動(ON)と停止(OFF)が示されている。
また、図5には、図1に示す、上流側第1集砂ノズル71a、上流側第2集砂ノズル71b、撹拌ノズル73、ピット集砂ノズル72、下流側第1集砂ノズル71cおよび下流側第2集砂ノズル71dそれぞれの駆動と停止も示されている。上述のごとく、これらのノズル(71a〜71d、72、73)それぞれには、集砂弁V2が一つずつ設けられており、図5のタイミングチャートでは、各ノズル(71a〜71d、72、73)の集砂弁V2の開閉状態によって、各ノズル(71a〜71d、72、73)の状態を表している。すなわち、「全開」とは、集砂弁V2が全開状態であるときのノズルの状態を表し、「全閉」とは、集砂弁V2が全閉状態であるときのノズルの状態を表す。なお、前述したように、本実施形態では、集砂弁V2の開閉時間は総て30秒程度に設定され、集砂弁V2が全閉状態から開放するにつれてノズルから吐出される水の流量が増加し、集砂弁V2の開放開始から30秒程度経過し、集砂弁V2が全開状態になると、ノズルからは、集砂調整弁V1で調整された流量の水が吐出される。一方、集砂弁V2が全開状態から閉鎖するにつれてノズルから吐出される水の流量が減少し、集砂弁V2の閉鎖開始から30秒程度経過し、集砂弁V2が全閉状態になると、ノズルからの水の吐出が停止する。
図5に示す、各ポンプ(P1,P2)や各ノズル(71a〜71d、72、73)の駆動は、例えば、1週間に3回程度の頻度で実行される。図5に示すように、まず、撹拌ノズル73の集砂弁V2の開放を開始し、この集砂弁V2の開放開始から15秒程度経過したら、集砂水ポンプP2の運転を開始する。集砂水ポンプP2の運転開始から15秒程度経過すると、撹拌ノズル73の集砂弁V2が全開状態になり、撹拌ノズル73から揚砂ポンプP1の吸引口POの周辺に向けて、例えば毎分500リットル〜2000リットル程度の水が吐出される。この水の吐出により、揚砂ポンプP1の吸引口POの周辺に堆積した砂を撹拌することができる。これにより、揚砂ポンプP1の吸引口POが砂で塞がれてしまうことを防ぎ、続いて運転が開始される揚砂ポンプP1の、いわゆる砂噛み等によるロックを防止することができる。すなわち、撹拌ノズル73が、撹拌機構の一例に相当し、撹拌ノズル73からの水の吐出による砂の撹拌が、撹拌ステップの一例に相当する。
撹拌ノズル73の集砂弁V2が全開状態になってから15秒程度経過したら、揚砂ポンプP1の運転を開始する。揚砂ポンプP1の運転が開始されると、集砂ピット4に堆積した砂が揚砂ポンプP1によって排出され沈砂分離機等に搬送される。ここで揚砂ポンプP1によって排出される砂は、主として集砂ピット4に沈降した砂である。揚砂ポンプP1による砂の排出が排出ステップの一例に相当する。本実施形態では、この排出ステップは、後述する複数の下流側移動ステップの総てが終了した後に終了する。すなわち、本実施形態の排出ステップは、後述する複数の上流側移動ステップの実行中に実行されており、複数の下流側移動ステップの実行中にも実行されているステップである。
撹拌ノズル73から全開状態で水を90秒程度吐出させてから、撹拌ノズル73の集砂弁V2の閉鎖を開始する。この集砂弁V2の閉鎖を開始してから30秒程度経過すると全閉状態になり撹拌ノズル73からの水の吐出が停止する。また、撹拌ノズル73の集砂弁V2の閉鎖開始と略同時に、上流側第1集砂ノズル71aの集砂弁V2の開放を開始する。上流側第1集砂ノズル71aの集砂弁V2は、開放開始から30秒程度で全開状態になり、上流側第1集砂ノズル71aから空間形成部材8の空間S2内に、毎分2000リットルの水が吐出される。これにより、上流側第1トラフ31a内に堆積した砂を沈砂ピットに移動させることができる。上流側第1集砂ノズル71aから水を吐出させることによる砂の移動は、上流側移動ステップの一例に相当する。上流側第1集砂ノズル71aから全開状態で水を60秒程度吐出させた後、上流側第1集砂ノズル71aの集砂弁V2の閉鎖を開始する。
上流側第1集砂ノズル71aの集砂弁V2の閉鎖開始と略同時に、集砂ピット4に設けられた一対のピット集砂ノズル72の集砂弁V2の開放を開始する。ピット集砂ノズル72の集砂弁V2は、開放開始から30秒程度で全開状態になり、一対のピット集砂ノズル72それぞれから池幅方向の中央部分に配置された揚砂ポンプP1に向けて、毎分500リットル〜2000リットルの水が吐出される。これにより、集砂ピット4内の砂を揚砂ポンプP1に向けて移動させることができる。すなわち、ピット集砂ノズル72が、補助移動機構の一例に相当し、揚砂ポンプP1に向けての集砂ピット4内の砂の移動が補助移動ステップの一例に相当する。この補助移動ステップにより、上流側移動ステップによって上流側第1トラフ31aから集砂ピット4内に移動してきた砂を揚砂ポンプP1に向けて移動させ揚砂ポンプP1によって効率的に排出することができる。本実施形態では、一対のピット集砂ノズル72から同時に水を吐出させているが、上流側移動ステップが実行された後の補助移動ステップでは、上流側第1トラフ31a側のピット集砂ノズル72(図1の上側のピット集砂ノズル72)のみから水を吐出させてもよい。ただし、一対のピット集砂ノズル72それぞれから同時に水を吐出させる方が、集砂ピット4内で移動させた砂が揚砂ポンプP1の周囲に集まりやすくなる。
ピット集砂ノズル72の吐出口721から全開状態で水を60秒程度吐出させてから、ピット集砂ノズル72の集砂弁V2の閉鎖を開始する。閉鎖を開始してから30秒程度経過するとピット集砂ノズル72の集砂弁V2は全閉状態になりピット集砂ノズル72からの水の吐出が停止する。また、ピット集砂ノズル72の集砂弁V2の閉鎖開始と略同時に、上流側第2集砂ノズル71bの集砂弁V2の開放を開始する。上流側第1集砂ノズル71aと同様に、上流側第1集砂ノズル71aから毎分2000リットルの水を60秒程度吐出し、上流側第2トラフ31b内に堆積した砂を集砂ピット4に移動させる。この上流側第2集砂ノズル71bから水を吐出させることによる砂の移動も、上流側移動ステップの一例に相当する。上流側第2集砂ノズル71bから水を吐出させた後には、ピット集砂ノズル72から水を吐出させて補助移動ステップを実行する。
ピット集砂ノズル72の集砂弁V2の閉鎖開始と略同時に、今度は下流側第1集砂ノズル71cの集砂弁V2の開放を開始する。下流側第1集砂ノズル71cからも毎分2000リットルの水を60秒程度吐出し、下流側第1トラフ31c内に堆積した砂を集砂ピット4に移動させる。この下流側第1集砂ノズル71cから水を吐出させることによる砂の移動は、下流側移動ステップの一例に相当する。下流側第1集砂ノズル71cから水を吐出させた後には、ピット集砂ノズル72の吐出口721から水を吐出させて補助移動ステップを実行する。
次に、下流側第2集砂ノズル71dからも毎分2000リットルの水を60秒程度吐出し、下流側第2トラフ31d内に堆積した砂を集砂ピット4に移動させる。この下流側第2集砂ノズル71dから水を吐出させることによる砂の移動も、下流側移動ステップの一例に相当する。このように、下流側移動ステップは、複数の上流側移動ステップ総てが終了した後に終了するステップである。これにより、上流側移動ステップによって下流側池底部110bに移動してきた砂も、下流側移動ステップによって集砂ピット4に移動させることができ、下流側第1トラフ31cや下流側第2トラフ31dに砂が残りにくい。受け入れた汚水は上流側から下流側に流下するため、下流側移動ステップを実行しても、上流側池底部110aまでは砂が移動しにくいため、下流側移動ステップを実行した後に上流側移動ステップを実行しなくても、上流側第1トラフ31aや上流側第2トラフ31bに砂が残りにくい。この結果、池底部110に残ってしまう砂が少なくなり、受け入れた汚水に含まれている砂を効率よく分離することができる。
また、本実施形態では、複数の上流側移動ステップは、上流側移動ステップそれぞれの実行時間が重ならないように、一つの上流側移動ステップが終了した後に他の上流側移動ステップを開始し、複数の下流側移動ステップは、下流側移動ステップそれぞれの実行時間が重ならないように、一つの下流側移動ステップが終了した後に他の下流側移動ステップを開始している。すなわち、4つの集砂ノズル71それぞれの集砂弁V2が開放している時間がずれている。このため、本実施形態のように1つの集砂ノズル71から毎分2000リットルの水を吐出する態様の場合に、2つの集砂ノズル71,71から併せて毎分4000リットルの水の吐出が必要になることはない。これにより、最大吐出量が多い高性能なポンプを集砂水ポンプP2に採用する必要がなくなり、設備コストを抑えることができるとともに、集砂水ポンプP2の電動機を小型化でき、ランニングコストを抑えることも可能になる。
また、本実施形態では、各ノズルの集砂弁V2が全開状態になる時間をずらしている。さらに、各ノズルの集砂弁V2の開閉時間を同一に設定し、一つのノズルの集砂弁V2の閉鎖開始と同時に他のノズルの集砂弁V2の開放を開始することで、一つのノズルの集砂弁V2が全閉状態になる時点で他のノズルの集砂弁V2が全開状態になるように設定している。これによっても、集砂水ポンプP2に必要な最大吐出量を抑えることができる。
下流側第2集砂ノズル71dから水を吐出させた後には、ピット集砂ノズル72から水を吐出させて補助移動ステップを実行する。すなわち、補助移動ステップは、複数の下流側移動ステップのうちの少なくとも最後に終了する下流側移動ステップが終了した後に終了するステップである。こうすることで、補助移動ステップが終了した後に下流側移動ステップによって集砂ピット4に砂が移動してくることが防止され、集砂ピット4に砂が残りにくくなる。また、補助移動ステップが、複数の上流側移動ステップそれぞれが終了する毎に実行され、複数の下流側移動ステップそれぞれが終了する度にも実行されるため、集砂ピット4に砂が大量に溜まることが防止され、揚砂ポンプP1から砂を効率よく排出することができる。なお、図5では一点鎖線で示すように、ピット集砂ノズル72からの水の吐出と並行して、撹拌ノズル73の吐出口からも水を吐出し、補助移動ステップと撹拌ステップを並行して実行してもよい。
図5ではDで示す、ピット集砂ノズル72の集砂弁V2の閉鎖が開始される時点と略同時に、集砂水ポンプP2の運転を停止し、ピット集砂ノズル72の集砂弁V2が全閉状態になった後に、揚砂ポンプP1の運転を停止する。以上の工程を実行することで、固液分離施設10が受け入れた汚水から砂を分離することができる。ここで、池底部110に沈降する砂の量が多い場合には、図5に示すような駆動を1通り実行しても沈降した砂を十分に排出できない虞がある。このため、図5ではD’で示す、上流側第1集砂ノズル71aの集砂弁V2の開放を開始する時点から、図5ではDで示す、ピット集砂ノズル72の集砂弁V2の閉鎖が開始される時点までを1サイクルとし、このサイクルを沈降する砂の量に応じて複数回実行してもよい。こうすることで、池底部110に沈降する砂の量が多い場合であっても沈降した砂を十分に排出することができる。
なお、本実施形態では、各ノズルからの吐出量を集砂調整弁V1で調整することで前述した所定流量に設定し、集砂弁V2が全開状態の時間を60秒程度に設定したが、設置された集砂水ポンプP2の最大吐出量等の範囲の中で、試運転時に、各ノズルからの吐出量や、集砂弁V2が全開状態となる時間を調整してもよい。
本発明は前述の実施の形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。
これまでに説明した固液分離施設は、受け入れた液体に含まれている固体を沈降させる沈降池部と、
前記沈降池部よりも下流側に設けられ、該沈降池部を通過してきた液体を排出するポンプが設置されたポンプ井部と、
前記沈降池部と前記ポンプ井部とを結ぶ連接部とを備え、
前記沈降池部は、
池幅方向と直交する方向に延在し該池幅方向に並んだ複数の溝と、
前記溝の延在方向に沈降物を移動させる移動機構と、
前記溝の開口を画定する一対の上縁それぞれから斜め上方に延びる傾斜面とを有するものであり、
前記池幅方向に隣り合う二つの溝のうちの一方の溝における他方の溝側の上縁から延びる傾斜面と該他方の溝における該一方の溝側の上縁から延びる傾斜面がつながる接続部は、高さが、前記連接部の高さ以下であることを特徴とする。
また、これまで説明した固液分離方法は、受け入れた液体を流下させ液体に含まれている固体を沈降させる沈降池部と、
前記沈降池部よりも下流側に設けられ、該沈降池部を通過してきた液体を排出するポンプが設置されたポンプ井部と、
前記沈降池部と前記ポンプ井部とを結ぶ連接部とを備え、
前記沈降池部は、
池幅方向と直交する方向に延在し該池幅方向に並んだ複数の溝と、
前記溝の延在方向に沈降物を移動させる移動機構と、
前記溝の開口を画定する一対の上縁それぞれから斜め上方に延びる傾斜面とを有するものであり、
前記池幅方向に隣り合う二つの溝のうちの一方の溝における他方の溝側の上縁から延びる傾斜面と該他方の溝における該一方の溝側の上縁から延びる傾斜面がつながる接続部は、平坦な部位であり、高さが、前記連接部の高さ以下であることを特徴とする。
ここで、前記接続部は、平坦な部位であってもよいし、前記傾斜面が突き当たった尖った部位であってもよい。また、前記沈降池部は、前記固体を排出するポンプが設けられた集積部を有するものであってもよく、前記溝は、集積部に向かって延在したものであってもよい。さらに、前記沈降池部は、該集積部を挟んで上流側と下流側それぞれに前記溝が設けられたものであってもよいし、前記集積部の下流側にのみ前記溝が設けられたものであってもよい。
上記固液分離施設によれば、前記複数の溝と前記傾斜面とを有しているため、前記沈降池部の池幅が広い場合であっても、池幅に対応した数の溝を設けることで、該傾斜面に前記沈降物が堆積してしまうことなく、該沈降物を該溝に集めることができる。また、前記傾斜面の分、前記溝の本数を抑えることができ、これに伴い前記移動機構の数も抑えられる。この結果、前記移動機構が増えることによる建設費の増加を抑制することが可能になる。さらに、前記接続部は、高さが、前記連接部の高さ以下であるため、前記傾斜面をコンクリートで形成している場合でもその打設量の増加を抑えることができる。またさらに、液体が流れる領域が前記傾斜面によって遮られることがなくなり、この結果、流下断面積が減少し集砂効率が低下してしまうことが防止される。
また、上記固液分離施設において、前記移動機構は、
前記溝に沿って延在したものであって、上端部分が閉塞した空間を形成し、該上端部分より下方に該溝の底部から離間した吸込口が設けられた空間形成部材と、
前記空間内に流体を吐出する吐出口とを備えたものであり、
前記吸込口は、前記溝内で開口し、該溝内に堆積した沈降物を、前記吐出口から流体が吐出されることで前記空間内に吸い込む開口として機能するものであり、
前記空間形成部材は、前記空間内に吸い込まれた沈降物が、前記吐出口から流体が吐出されることで該流体の吐出方向下流側に向かって移動する経路として機能するものであってもよい。
前記移動機構によれば、前記吐出口から前記空間内に流体を吐出すると、前記空間形成部材の内と外とで圧力差が生じ、前記溝の底部に堆積した沈降物が、前記吸込口から該空間内に吸い込まれる。前記空間内では、吸い込まれた沈降物が、前記流体の流れによって該流体の吐出方向下流側に向かって移動する。前記空間内を移動する沈降物は、圧力差が生じている部分では、前記空間形成部材の外に出にくい。このため、例えば砂等の沈降物を十分に移送しながら沈降物の巻き上がりを抑えることができる。
さらに、上記固液分離施設において、前記傾斜面は、傾斜角度が15度以上45度以下であってもよい。
ここで、前記傾斜角度は、15度以上40度以下であることが好ましい。
前記傾斜面の傾斜角度が15度未満であると、該傾斜面に沈降してきた沈降物が該傾斜面を伝って前記溝まで移動しにくくなり、該傾斜面に堆積してしまう虞がある。一方、前記傾斜面に沈降してきた沈降物を前記溝まで移動させるためには、前記傾斜角度を45度にすれば十分であり、該傾斜角度が45度を超えると、流下断面積の減少やコンクリートの打設量の増加の点で好ましくない。
また、これまで説明した固液分離方法は、受け入れた液体を流下させ液体に含まれている固体を沈降させる沈降池部と、
前記沈降池部よりも下流側に設けられ、該沈降池部を通過してきた液体を排出するポンプが設置されたポンプ井部と、
前記沈降池部と前記ポンプ井部とを結ぶ連接部とを備え、
前記沈降池部は、
池幅方向と直交する方向に延在し該池幅方向に並んだ複数の溝と、
前記溝の延在方向に沈降物を移動させる移動機構と、
前記溝の開口を画定する一対の上縁それぞれから斜め上方に延びる傾斜面とを有するものであり、
前記池幅方向に隣り合う二つの溝のうちの一方の溝における他方の溝側の上縁から延びる傾斜面と該他方の溝における該一方の溝側の上縁から延びる傾斜面がつながる接続部は、平坦な部位または円弧状に接続された部位であることを特徴とする。
また、この固液分離施設において、前記沈降池部における前記池幅方向端部の側壁に接続する傾斜面は、前記接続部に接続する傾斜面よりも傾斜角度が大きなものであってもよい。
また、この固液分離施設において、前記傾斜面は、コンクリートによって形成され、傾斜角度が15度以上40度以下であることが好ましい。