JP6809434B2 - フッ化グラフェン及びその製造方法、複合材料、並びに、リチウム二次電池、光学部品、エレクトロニクス部品、及びガスバリア膜 - Google Patents

フッ化グラフェン及びその製造方法、複合材料、並びに、リチウム二次電池、光学部品、エレクトロニクス部品、及びガスバリア膜 Download PDF

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Description

本発明は、フッ化グラフェン及びその製造方法、複合材料、並びに、リチウム二次電池、光学部品、エレクトロニクス部品、及びガスバリア膜に関し、さらに詳しくは、F/C比(原子比)が1以上であるシート状のフッ化グラフェン及びその製造方法、このようなフッ化グラフェンを含む複合材料、並びに、このようなフッ化グラフェンを用いたリチウム二次電池、光学部品、エレクトロニクス部品、及びガスバリア膜に関する。
グラフェンは、黒鉛結晶の1原子層〜数原子層からなるシート状物質であり、室温におけるキャリア移動度が極めて高く、かつ、深紫外からテラヘルツまでのあらゆる波長の光を吸収できる特性を有している。本来グラフェンは1原子層の場合のみであるが、電界制御の効果が期待できる数層の場合もグラフェンと呼ばれる。「フッ化グラフェン」とは、このグラフェンがフッ素化されたシート状物質をいう。また、「フッ化黒鉛」とは、フッ素と黒鉛とを反応させることにより生成する物質であって、フッ素化された炭素のシート状物質が積層構造を形成しているものをいう。
フッ化グラフェンを合成する方法として、黒鉛から直接、フッ化黒鉛を合成し、フッ化黒鉛の層間を剥離させる方法が知られている。しかし、剥離法によってフッ化黒鉛から単層のフッ化グラフェンを得るのは非常に困難である。一般的には、有機溶剤やイオン液体などの液相剥離法を用いるため、溶剤の洗浄が必要となり、工程が複雑となる。さらに、層間剥離させる際に、フッ化グラフェンに欠陥が導入され易くなる(非特許文献1〜非特許文献4)。
また、フッ化黒鉛の歴史は古く、1934年のRuffらにより最初に発表された(非特許文献5)。その後の研究で構造解析が進み、1960年代後半にフッ化黒鉛が優れた固体潤滑剤であることが見出された。また、これとほぼ同時期に、リチウム電池の正極活物質として有用であることが見出された。特に、リチウム電池用途の開発が進み、フッ化黒鉛を正極とするLi/(CF)n電池は実用化され(非特許文献6)、現在も市販されている。しかし、現在量産されているフッ化黒鉛は結晶性が低く、炭素六員環構造を有するフッ化黒鉛は合成が困難である。そのため、フッ化黒鉛を出発原料に用いる方法では、良好なフッ化グラフェンを合成することができない。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、酸化グラフェンと、N2及びF2の混合ガスとを、20℃〜200℃で0.5時間〜24時間反応させる方法が開示されている。
同文献には、このような方法により、F含有量が0.5〜40質量%、O含有量が15〜30質量%であるフッ化酸化グラフェンが得られる点が記載されている。
特許文献2には、酸化グラフェンとフッ化アンモニウムとを、200℃〜1000℃で1時間〜10時間反応させる方法が開示されている。
同文献には、このような方法により、F含有量が最大で53.5質量%であるフッ化グラフェンが得られる点が記載されている。
さらに、特許文献3には、グラフェンとXeF2とを、70〜450℃で反応させる方法が開示されている。
同文献には、このような方法により、C+Fが77.1〜96.34atom%であり、かつ、C/F比(原子比)が1.06〜1.72(F/C比(原子比)が0.58〜0.94)であるフッ化グラフェンが得られる点が記載されている。
高温で黒鉛をフッ化させると、F/C比(原子比)がほぼ1であるフッ化黒鉛を合成することができる。しかしながら、フッ化黒鉛を層間剥離させるのは困難である。
一方、グラフェンをフッ化させると、フッ化グラフェンを合成することができる。しかしながら、F/C比(原子比)が1以上であり、不純物が少なく、かつ、結晶性の高いフッ化グラフェンが合成された例は、従来にはない。
特表2014−504248号公報 特表2013−544223号公報 特表2013−529176号公報
R. Zboril, et al., Small, 6, 2885-2891(2010) S. -H. Cheng, Phys. Rev. B81, 205435(2010) P. Gong. et al., J. Mater. Chem. 22, 16950(2012) P. Chen et al., Carbon 81, 702(2015) O. Ruff and O. Bretschneider, Z. anorg. Allg. Chem. 217, 1(1934) 「黒鉛層間化合物」、炭素材料学会編、リアライズ社(1990)
本発明が解決しようとする課題は、F含有量が相対的に多い新規なフッ化グラフェン及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、このようなフッ化グラフェンを含む複合材料を提供することにある。
さらに、本発明が解決しようとする他の課題は、このようなフッ化グラフェンを用いたリチウム二次電池、光学部品、エレクトロニクス部品、及びガスバリア膜を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係るフッ化グラフェンは、F、C、及びOを含み、次の式(1’)、式(2”)、式(3)、及び、式(4)を満たすことを要旨とする。
41.2atom%≦[C]≦57.4atom% …(1’)
0.09atom%≦[O]≦4.11atom% …(2”)
[C]+[F]+[O]=100atom% …(3)
1≦[F]/[C]≦1.3 …(4)
但し、[X]は、元素Xのatom%を表す。
本発明に係る複合材料の1番目は、本発明に係るフッ化グラフェンからなる第1相粒子と、第2相粒子との混合物からなる。
本発明に係る複合材料の2番目は、本発明に係るフッ化グラフェンを含む第1層と、第2層とが層状に積層した積層体を含む。
本発明に係るフッ化グラフェンの製造方法は
黒鉛から酸化グラフェンを合成する第1工程と、
前記酸化グラフェンをF2含有ガス雰囲気下において、300℃以上500℃以下の温度で、1時間以上48時間反応させ、本発明に係るフッ化グラフェンを得る第2工程と
備え、
前記第2工程は、28〜100vol%F 2 を含む雰囲気下において、前記酸化グラフェンとF 2 とを反応させるものからなる
(削除)
本発明に係るリチウム二次電池は、本発明に係るフッ化グラフェンを正極材料に用いたことを要旨とする。
本発明に係る光学部品は、基材の表面に、本発明に係るフッ化グラフェンをコーティングしたことを要旨とする。
本発明に係るエレクトロニクス部品は、本発明に係るフッ化グラフェンをワイドギャップ半導体として用いたことを要旨とする。
さらに、本発明に係るガスバリア膜は、本発明に係るフッ化グラフェンからなる。
2含有ガスを用いて酸化グラフェンをフッ化する場合において、熱処理温度を相対的に高くすると、F含有量が相対的に高いフッ化グラフェンが得られる。また、フッ化処理前に酸化グラフェンの還元処理を行うと、酸素量が少ないフッ化グラフェンが得られる。
このようにして得られたフッ化グラフェンは、F含有量が高いために、超撥水性を示し、かつ、バンドギャップが大きい。また、二次元材料であるため、潤滑性を有し、比表面積も大きい。さらに、炭素六員環構造を備えているので、ガスバリア性も高い。
そのため、本発明に係るフッ化グラフェンは、ワイドギャップ半導体、超撥水性のコーティング材料、ガスバリア膜、可視光高透過ガスバリア膜、固体潤滑剤、リチウム二次電池の正極材料などに使用することができる。
空間群P−3m1及びP−6m2の(CF)n結晶モデルである。 空間群P−3m1及びP−6m2の(C2F)n結晶モデルである。 図3(a)及び図3(b)は、それぞれ、合成した酸化グラフェンの明視野像(BF)、及び電子回折パターン(DP)である。 合成した酸化グラフェンエアロゲルの二次電子像である。 合成した酸化グラフェン膜のXRDパターンである。
酸化グラフェンエアロゲルの400℃フッ化処理前後の外観写真(図6(a):フッ化処理前、図6(b):フッ化処理後)である。 酸化グラフェン膜の400℃フッ化処理前後の外観写真(図7(a):フッ化処理前、図7(b):フッ化処理後)である。 400℃フッ化処理後のエアロゲル(図8(a))、及び膜(図8(b))の二次電子像である。 400℃フッ化処理後のエアロゲル及び膜のXRDパターンである。
400℃フッ化処理後のエアロゲルのTEM観察結果(図10(a):明視野像、図10(b):電子回折パターン)である。 フッ化グラフェン膜に水滴を押しつけた後、離す様子を撮影した連続写真である。 フッ化グラフェン膜上の水の接触角を示す写真である。 フッ化グラフェンエアロゲルの光学顕微鏡写真である。 フッ化グラフェンエアロゲルの吸収スペクトルである。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. フッ化グラフェン]
本発明に係るフッ化グラフェンは、F、C、及びOを含み、次の式(1)〜式(3)を満たす。フッ化グラフェンは、さらに次の式(4)を満たしているのが好ましい。
38.6atom%≦[C]≦57.4atom% …(1)
0.09atom%≦[O]≦9.8atom% …(2)
[C]+[F]+[O]=100atom% …(3)
1≦[F]/[C]≦1.3 …(4)
但し、[X]は、元素Xのatom%を表す。
[1.1. 組成]
[1.1.1. 主構成元素]
本発明において、フッ化グラフェンの主構成元素は、C、F、及びOである。フッ化グラフェンは、理想的にはCとFのみからなる物質である。しかし、本発明に係るフッ化グラフェンは、後述するように酸化グラフェンを原料としているため、通常、微量のOが含まれる。
式(1)〜式(3)は、主構成元素の総量に対するC、F又はOの割合の範囲を表す。本発明に係るフッ化グラフェンは、従来に比べてF含有量が多い。製造条件を最適化すると、次の式(1’)及び式(2’)をさらに満たすフッ化グラフェンが得られる。
41.2atom%≦[C]≦57.4atom% …(1’)
0.09atom%≦[O]≦5.0atom% …(2’)
式(4)は、Cに対するFの原子比を表す。フッ化グラフェンのF/C比は、理想的には1である。しかしながら、実際には、合成条件に応じてF/C比が若干変動する。後述する方法を用いる場合において、製造条件を最適化すると、式(4)を満たすフッ化グラフェンが得られる。なお、F/C比がほぼ1であるフッ化黒鉛は知られているが、F/C比が1以上であるフッ化グラフェンが合成された例は、従来にはない。
[1.1.2. 不可避的不純物]
本発明に係るフッ化グラフェンは、出発原料、あるいは製造工程に由来する不可避的不純物を含むことがある。不可避的不純物としては、例えば、S、Na、Fe、Si、Al、K、Caなどがある。後述する方法を用いると、実質的に不可避的不純物を含まないフッ化グラフェンが得られる。不可避的不純物の総量は、通常、5wt%未満である。
[1.2. 構造]
グラフェンは、炭素六員環が同一平面上に並んだ原子層を備えている。このグラフェンをフッ化すると、炭素六員環構造を備えたフッ化グラフェンが得られる。但し、炭素結合がsp2混成からsp3混成に移行するため、原子層が平面性を失い、ジグザグ構造となる。本発明に係るフッ化グラフェンは、このようなジグザグ構造を持つ原子層を備えたシート状物質からなる。フッ化グラフェンは、1原子層からなる場合と、数原子層からなる場合とがある。
[1.3. フレークサイズ]
「フレークサイズ」とは、シートの最大寸法をいう。本発明に係るフッ化グラフェンは、酸化グラフェンを原料に用いて合成される。また、酸化グラフェンは、黒鉛を原料に用いて合成される。そのため、フッ化グラフェンのフレークサイズは、主として、原料に用いる黒鉛の粒径に依存する。また、合成された酸化グラフェンを分級すれば、所望のフレークサイズを持つフッ化グラフェンを得ることができる。
後述する方法を用いる場合において、製造条件を最適化すると、フレークサイズが1μm未満である微細なフッ化グラフェンから、フレークサイズが2〜3mmである粗大なフッ化グラフェンまで合成することができる。
[1.4. 使用方法]
フッ化グラフェンを各種の用途に用いる場合、その使用方法は特に限定されない。例えば、フッ化グラフェンは、単独で用いても良く、あるいは、他の材料との複合材料として用いても良い。また、フッ化グラフェンから薄膜又はエアロゲルを作製し、薄膜又はエアロゲルの状態で使用しても良い。
[1.5. 特性]
[1.5.1. 超撥水性]
本発明に係るフッ化グラフェンは、F含有量が多いので、高い撥水性を示す。具体的には、製造条件を最適化すると、水の接触角は、150°以上となる。
[1.5.2. バンドギャップ、透光性]
本発明に係るフッ化グラフェンは、F含有量が多いので、バンドギャップが大きい。理論計算で算出されるフッ化グラフェンのバンドギャップは、3.5eVである。また、バンドギャップが大きいため、可視光を透過させる。
[1.5.3. ガスバリア性]
本発明に係るフッ化グラフェンは、酸化グラフェンと同様の炭素六員環構造を有するため、ガスバリア性が高い。
[1.5.4. 潤滑性]
本発明に係るフッ化グラフェンは、二次元材料であるため、潤滑性を示す。また、フッ素と炭素の結合は、圧力、雰囲気、及び温度に対して安定であるため、フッ化グラフェンは、過酷な条件下でも潤滑性を示す。
[1.5.5. 比表面積]
本発明に係るフッ化グラフェンは、二次元材料であるため、フッ化黒鉛に比べて比表面積が大きい。
[2. フッ化グラフェンの用途]
本発明に係るフッ化グラフェンは、上述した優れた特性を持つので、各種の用途に使用することができる。具体的には、以下のような用途がある。
[2.1. リチウム二次電池]
本発明に係るリチウム二次電池は、本発明に係るフッ化グラフェンを正極材料に用いたものからなる。フッ化グラフェンは、フッ化黒鉛に比べて比表面積が大きいので、これを正極材料に用いると、電池を高容量化することができる。
[2.2. 光学部品]
本発明に係る光学部品は、基材の表面に、本発明に係るフッ化グラフェンをコーティングしたものからなる。基材の材料、形状等は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適なものを選択することができる。
本発明に係るフッ化グラフェンは、超撥水性、及び透光性を示すので、光学部品のコーティング材料として使用することができる。このような光学部品としては、例えば、ガラス基板にフッ化グラフェンを塗布したUVカットフィルターなどがある。
[2.3. エレクトロニクス部品]
本発明に係るエレクトロニクス部品は、本発明に係るフッ化グラフェンをワイドギャップ半導体として用いたものからなる。このようなエレクトロニクス部品としては、例えば、グラフェンなどの二次元材料を半導体層として用いた電界効果トランジスタにおけるゲート絶縁層や、ディスプレーの透明電極への応用などがある。
[2.4. ガスバリア膜]
本発明に係るガスバリア膜は、本発明に係るフッ化グラフェンからなる。本発明に係るフッ化グラフェンは、ガスバリア性が高く、超撥水性であり、かつ、可視光を透過させる。そのため、本発明に係るフッ化グラフェンを用いると、水も透過させないガスバリア膜、あるいは、透明なガスバリア膜を実現することができる。
[2.5. エレクトレット]
フッ化グラフェンを帯電させ、エレクトレットとすることが可能である。このフッ化グラフェンエレクトレットを用いて、振動発電器や圧力センサーを作製できる。
[3. 複合材料(1)]
本発明の第1の実施の形態に係る複合材料は、本発明に係るフッ化グラフェンからなる第1相粒子と、第2相粒子との混合物からなる。
上述したように、フッ化グラフェンは、膜あるいはエアロゲルの状態で使用することもできる。しかし、フッ化グラフェンのみからなる構造体は、強度が不十分となる場合が多い。このような場合には、第2相粒子と混合するのが好ましい。
第2相粒子の材料は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な材料を選択することができる。第2相粒子の材料としては、例えば、
(a)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素樹脂、
(b)ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニルスルホン(PPSU)などのスーパーエンジニアリング・プラスチック、
などがある。
特に、フッ素樹脂は、フッ化グラフェンとの相溶性が良いので、第2相粒子の材料として好適である。
[4. 複合材料(2)]
本発明の第2の実施の形態に係る複合材料は、本発明に係るフッ化グラフェンを含む第1層と、第2層とが積層した積層体を含む。複合材料は、1つの第1層と1つの第2層との積層体を含むものでも良く、あるいは、複数の第1層と複数の第2層が交互に積層された積層体を含むものでも良い。
このような複合材料は、機械的強度が高い、光透過性が高いという利点がある。
第2層の材料は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な材料を選択することができる。第2層の材料としては、例えば、フッ素樹脂、スーパーエンジニアリング・プラスチックなどがある。
特に、フッ素樹脂は、フッ化グラフェンとの相溶性が良いので、第2層の材料として好適である。
[5. フッ化グラフェンの製造方法(1)]
本発明の第1の実施の形態に係るフッ化グラフェンの製造方法は、
黒鉛から酸化グラフェンを合成する第1工程と、
前記酸化グラフェンをF2含有ガス雰囲気下において、200℃超500℃以下の温度で、1時間以上48時間反応させ、本発明に係るフッ化グラフェンを得る第2工程と
を備えている。
フッ化グラフェンの製造方法は、必要に応じて、
(a)前記酸化グラフェンを分級する第3工程、及び/又は、
(b)前記酸化グラフェンから三次元構造体を作製する第4工程
をさらに備えていても良い。
[5.1. 第1工程(酸化グラフェン合成工程)]
まず、黒鉛から酸化グラフェンを合成する(第1工程)。
酸化グラフェンは、具体的には、
(a)強酸(例えば、濃硫酸)、及び酸化剤(例えば、過マンガン酸カリウム、硝酸カリウムなど)を含む水溶液に黒鉛粒子を加えて黒鉛粒子を酸化させ、
(b)酸化した黒鉛粒子(酸化グラファイト)を層間剥離させる
ことにより合成することができる。
この時、黒鉛粒子の粒径を制御すると、酸化グラフェン(及び、酸化グラフェンから合成されるフッ化グラフェン)のフレークサイズを制御することができる。反応条件は、特に限定されるものではなく、目的とする酸化グラフェンが効率良く得られるように、最適な条件を選択するのが好ましい。
[5.2. 第2工程(フッ化工程)]
次に、酸化グラフェンをF2含有ガス雰囲気下において、200℃超500℃以下の温度で、1時間以上48時間反応させる(第2工程)。これにより、本発明に係るフッ化グラフェンが得られる。
反応時の雰囲気中のF2濃度は、フッ化グラフェン中のF含有量に影響を与える。一般に、雰囲気中のF2濃度が高くなるほど、F含有量の高いフッ化グラフェンを容易に合成することができる。従って、雰囲気中のF2濃度は、10vol%以上が好ましい。F2濃度は、好ましくは、50vol%以上、さらに好ましくは、80vol%以上、さらに好ましくは、100vol%である。
反応温度は、フッ化グラフェン中のF含有量に影響を与える。一般に、反応温度が高くなるほど、F含有量の高いフッ化グラフェンを容易に合成することができる。従って、反応温度は、200℃超が好ましい。反応温度は、好ましくは、300℃以上、さらに好ましくは、350℃以上である。
一方、反応温度が高くなりすぎると、フルオロカーボンに分解してしまう。従って、反応温度は、500℃以下が好ましい。反応温度は、好ましくは、450℃以下、さらに好ましくは、400℃以下である。
反応時間は、雰囲気中のF2濃度、及び反応温度に応じて、最適な時間を選択するのが好ましい。一般に、雰囲気中のF2濃度が高くなるほど、及び/又は、反応温度が高くなるほど、短時間でフッ化が進行する。反応時間は、通常、1時間〜48時間である。
なお、酸化グラフェンとF2含有ガスとを反応させる前に、還元性ガス(例えば、N2ガス、ヒドラジンガスなど)と反応させても良い。加熱炉内に酸化グラフェンを挿入し、先に加熱炉内に還元性ガスを流すと、加熱条件に応じて、酸化グラフェンを部分的に又はほぼ完全に還元することができる。次いで、加熱炉内にF2含有ガスを流すと、酸素含有量が相対的に少ないフッ化グラフェンを合成することができる。
[5.3. 第3工程(分級工程)]
本実施の形態において、第1工程と第2工程との間に、酸化グラフェンを分級する第3工程をさらに備えていても良い。酸化グラフェンをフッ化する前に分級すると、所望のフレークサイズを持つフッ化グラフェンを合成することができる。
分級方法は、特に限定されない。分級方法としては、例えば、遠心分離機による分級や、重力沈降分級法などがある。
また、第3工程は、フレークサイズの直径が1μm以上である酸化グラフェンが50%以上となるように、酸化グラフェンを分級するものが好ましい。これは、フレークサイズが大きい方が、フッ化処理時にフルオロカーボンに分解しにくいためである。
[5.4. 第4工程(三次元構造体作製工程)]
本実施の形態において、第1工程と第2工程との間に、酸化グラフェンから三次元構造体を作製する第4工程をさらに備えていても良い。酸化グラフェンからなる三次元構造体を還元すると、フッ化グラフェンからなる三次元構造体が得られる。分級(第3工程)を行う場合、三次元構造体の作製は、分級後に行う。
ここで、「三次元構造体」とは、酸化グラフェン粒子(又は、フッ化グラフェン粒子)がx軸方向、y軸方向、及びz軸方向に相互に連結している構造体をいう。三次元構造体としては、例えば、膜、エアロゲルなどがある。
酸化グラフェンからなる膜は、例えば、酸化グラフェンを水に分散させた分散液を、フィルターを用いて真空濾過することにより作製することができる。
また、酸化グラフェンからなるエアロゲルは、酸化グラフェンを水に分散させた分散液を凍結乾燥させることにより作製することができる。
[6. フッ化グラフェンの製造方法(2)]
本発明の第2の実施の形態に係るフッ化グラフェンの製造方法は、
黒鉛から酸化グラフェンを合成する第1工程と、
前記酸化グラフェンを還元し、グラフェン還元体を得る第2工程と、
前記グラフェン還元体をF2含有ガス雰囲気下において、200℃超500℃以下の温度で、1時間以上48時間反応させ、本発明に係るフッ化グラフェンを得る第3工程と
を備えている。
フッ化グラフェンの製造方法は、必要に応じて、
(a)前記酸化グラフェン又は前記グラフェン還元体を分級する第3工程、及び/又は、
(b)前記酸化グラフェン又は前記グラフェン還元体から三次元構造体を作製する第4工程
をさらに備えていても良い。
[6.1. 第1工程(酸化グラフェン合成工程)]
まず、黒鉛から酸化グラフェンを合成する(第1工程)。第1工程の詳細は、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
[6.2. 第2工程(還元工程)]
次に、前記酸化グラフェンを還元し、グラフェン還元体を得る(第2工程)。
「グラフェン還元体」とは、酸化グラフェンから、酸素のほぼ全部又は一部を除去したものをいう。酸化グラフェンは、相対的に多量の酸素を含んでいる。この状態のままフッ化すると、相対的に多量の酸素を含むフッ化グラフェンが得られる。これに対し、酸化グラフェンを還元した後にフッ化すると、酸素含有量が相対的に少ないフッ化グラフェンを合成することができる。
酸化グラフェンの還元方法は、特に限定されない。還元方法としては、例えば、
(a)酸化グラフェンを還元性ガス(例えば、N2ガス、ヒドラジンガスなど)中において加熱する方法、
(b)L−アスコルビン酸による還元方法、
(c)ヨウ化水素酸による還元方法、
などがある。
[6.3. 第3工程(フッ化工程)]
次に、前記グラフェン還元体をF2含有ガス雰囲気下において、200℃超500℃以下の温度で、1時間以上48時間反応させる(第3工程)。これにより、本発明に係るフッ化グラフェンが得られる。第3工程(フッ化工程)の詳細は、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
[6.4. 第4工程(分級工程)]
本実施の形態において、第1工程と第3工程との間に、前記酸化グラフェン又は前記グラフェン還元体を分級する第4工程をさらに備えていてもよい。すなわち、分級は、酸化グラフェンの還元前に行っても良く、あるいは、還元後に行っても良い。
また、第4工程は、フレークサイズの直径が1μm以上である前記酸化グラフェン又は前記グラフェン還元体が50%以上となるように、前記酸化グラフェン又は前記グラフェン還元体を分級するものが好ましい。
第4工程(分級工程)に関するその他の点については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
[6.5. 第5工程(三次元構造体作製工程)]
本実施の形態において、第1工程と第3工程との間に、前記酸化グラフェン又は前記グラフェン還元体から三次元構造体を作製する第5工程をさらに備えていても良い。すなわち、三次元構造体の作製は、酸化グラフェンの還元前に行っても良く、あるいは、還元後に行っても良い。但し、分級(第4工程)を行う場合、三次元構造体の作製は、分級後に行う。
第5工程(三次元構造体作製工程)に関するその他の点については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
[7. 作用]
[7.1. フッ化黒鉛の構造]
炭素とフッ素の化合物は、
(a)共有結合性のフッ化黒鉛である(CF)n、及び(C2F)nと、
(b)イオン結合性のフッ素−グラファイト層間化合物であるCx
に大別される。
共有結合性のフッ化黒鉛は、フッ素ガス雰囲気中において350〜600℃で熱処理することにより合成される。一方、イオン結合性の層間化合物は、種々のフッ化物の存在下において、100℃以下の低温熱処理で合成されている。
(CF)nと(C2F)nの結晶構造に関しては、種々の構造が報告されてきた。
結晶構造が明確に決定されにくい要因として、
(a)単結晶の育成が困難であるため、
(b)出発原料の結晶性及びフッ化処理条件により、形成される結晶構造が異なるため、及び、
(c)(CF)n構造と(C2F)n構造とが混合しやすいため、
と推測される。
例えば、出発原料が天然黒鉛の場合、400℃以下のフッ化処理では(C2F)nが得られるが、反応温度が高くなるにつれて(CF)nの割合が高くなり、600℃におけるフッ化処理では(CF)n単相になると報告されている(参考文献1参照)。
一方、石油コークスを原料とした場合は、原則的には低温フッ化処理では(C2F)nとなり、高温処理では(CF)nが形成されるが、フッ化処理前の黒鉛化熱処理の有無、及び温度によっても、形成される結晶は変化する(参考文献2、3参照)。
[参考文献1] Y. Kita, et al., J. Am. Chem. Soc. 101, 3832(1979)
[参考文献2] N. Watanabe, et al., Bull. Chem. Soc. Jpn., 55, 3197(1982)
[参考文献3] 渡辺 信淳、他、日本化学会誌、6、1033(1974)
フッ化黒鉛の構造解析の長年の研究をまとめると、最も可能性が高いヘキサゴナル結晶構造は、(CF)n、(C2F)n共に、2通りのスタッキングモデルが考えられる。特に、文献(非特許文献6、参考文献1、参考文献4)を参考にして、(CF)n結晶モデルの構造パラメータを求めた。表1に、空間群P−3m1の(CF)n結晶の構造パラメータを示す。表2に、空間群P−6m2の(CF)n結晶の構造パラメータを示す。さらに、図1に、空間群P−3m1及びP−6m2の(CF)n結晶モデルを示す。図1の左図はユニットセルであり、右図はスタッキングモデルである。
[参考文献4] H. Fujimoto, Carbon, 35, 1061(1997)
Figure 0006809434
Figure 0006809434
(C2F)nの結晶モデルに関しては、構造パラメータを明記した文献はない。そのため、図2に、文献(参考文献5、参考文献6)を元にユニットセル(左図)及びスタッキング(右図)のみを示す。空間群P−3m1の(C2F)n結晶の格子定数は、a=2.51Å(0.251nm)、c=8.1Å(0.81nm)である。
[参考文献5] H. Touhara, et al., Z. anorg. Allg. Chem. 544, 7(1987)
[参考文献6] Y. Sato, et al., Carbon 42, 2897(2004)
[7.2. 共有結合性のフッ化黒鉛(CF)n、(C2F)nの合成条件]
[7.2.1. 高結晶性黒鉛]
結晶性が高い黒鉛をフッ素ガス中で熱処理すると、表3に示すように、熱処理温度に依存して生成物が変化する(参考文献1、参考文献7)。300℃以下では、フッ素と高結晶性の黒鉛とは反応しない。
[参考文献7] 中島 剛、炭素 145、295−310(1990)
Figure 0006809434
[7.2.2. 低結晶性黒鉛]
カーボンブラックや石油コークスなどの結晶性が低い炭素材料は、フッ素ガス含有雰囲気中での熱処理温度が低温でも、フッ化黒鉛(CN)nが生成することが知られている。カーボンブラックは300℃(参考文献8)、石油コークスは375〜400℃(参考文献3)で、(CF)nが生成する。しかし、結晶性を上げるために、フッ化処理前に2000℃前後の高温で熱処理を行い、黒鉛化させると、それらは400℃以上の高温でフッ化処理しなければ、(CF)nは合成されない。
[参考文献8] N. Watanabe, et al., Carbon 17, 359(1979)
[7.2.3. 剥離黒鉛]
剥離黒鉛は、天然黒鉛を発煙硝酸中に所定の時間浸漬させ、その後熱処理し、黒鉛層間を膨張、剥離させることにより得られる。剥離黒鉛の比表面積は、天然黒鉛の10倍以上となる。このような剥離黒鉛は、天然黒鉛よりもフッ化反応速度が速くなる(参考文献9)。
[参考文献9] 渡辺 信淳、他、日本化学会誌、191(1977)
[7.2.4. 高配向熱分解黒鉛(HOPG)]
HOPGを100%F2ガス雰囲気中において、600℃で36〜48時間熱処理することによって、炭素とフッ素の組成比が1:0.7のフッ化黒鉛(C10.7nが合成された(非特許文献2)。
[7.3. 本発明の利点]
[7.3.1. フッ化処理の容易化]
高結晶性の白色フッ化黒鉛(CF)nは、天然黒鉛又は人造黒鉛を出発原料とし、フッ素ガス雰囲気下で600℃という高温で熱処理しなければ得られない。しかし、フッ素ガス雰囲気下で600℃熱処理を実現するには、熱処理容器などの高温になる器具類を溶接なしの純Ni製にしなければならない。そのため、処理可能な設備は非常に限定され、処理炉の大型化も困難であるため、量産には適さない。
本発明では、まず黒鉛から酸化グラフェンを合成し、酸化グラフェンをフッ化処理することによってフッ化グラフェンを合成することを特徴とする。層間隔が3.35Å(0.335nm)の黒鉛と比較して、層間隔が6〜9Å(0.6〜0.9nm)の酸化グラフェンは、フッ素の拡散が容易である。また、酸化グラフェンを還元する工程が入る場合も、酸化グラフェンの三次元構造体を維持しているため、比表面積が非常に大きく、フッ素との反応が容易である。そのため、500℃以下(好ましくは、400℃以下)の低温でのフッ化処理でフッ化グラフェンを合成することが可能となる。さらに、500℃以下(好ましくは、400℃以下)では、フッ化処理時に溶接部があるNi容器が使用可能なため、炉を大型化することができ、量産に適する。
天然黒鉛又は人造黒鉛を出発原料とした場合、熱処理温度が600℃未満では、(C2F)n構造が形成される。一度形成された(C2F)nは、その後にフッ素雰囲気下で600℃以上の高温熱処理を行っても(CF)nに変態することはない。よって、黒鉛から確実に(CF)n構造を得るためには、600℃以上の高温熱処理をしなければならない。
本発明では、酸化グラフェンの合成工程を含んでいる。単層の酸化グラフェンに剥離させた後、フッ素と反応させているため、500℃以下(好ましくは、400℃以下)の低温でも、単層の酸化グラフェンを構成するすべての炭素にフッ素が終端した(CF)n構造が形成される。
[7.3.2. 結晶性]
石油コークスなどの低結晶性の炭素材料をフッ素雰囲気下において、400℃で熱処理すると、(CF)nが形成される。この(CF)nは、炭素六員環構造を保持しておらず、アモルファス化している。よって、炭素六員環構造に由来する物性は期待できない。
本発明のフッ化グラフェンは、炭素六員環構造を有する酸化グラフェンをフッ化処理するため、合成したフッ化グラフェンもまた炭素六員環構造を保持している。
フッ化黒鉛からフッ化グラフェンを合成するためには、フッ化黒鉛を剥離させる工程が必要となる。しかし、フッ化黒鉛から単層のフッ化グラフェンを得るのは、非常に困難である。さらに、有機溶剤やイオン液体などの液相剥離法を用いているため、溶剤の洗浄が必要となる。そのため、工程が複雑となり、かつ、フッ化グラフェンに欠陥が導入されやすくなる。
本発明においては、酸化グラフェンのシート面方位がランダムに積層した酸化グラフェンの三次元構造体を原料としているため、フッ化黒鉛よりもファンデルワールス力が弱い。よって、容易に剥離し、単層のフッ化グラフェンが得られる。
[7.3.3. バンドギャップ]
グラフェンはゼロギャップであるため、可視光を透過せず、多層になると黒色となる。一方、炭素とフッ素の組成比が1:1である(CF)n構造は、3.5eVのバンドギャップを有する。一般的に、(CF)nは灰色〜白、(C2F)nは黒〜灰色を呈し、F濃度の増加と共に白色化が進行する。これは、フッ素濃度の増加に伴ってバンドギャップが大きくなることに起因する。
本発明の合成方法で得られたフッ化グラフェンは、炭素とフッ素の組成比が1:1の(CF)nからなる。そのため、可視光を透過させるフッ化グラフェン膜を作製することができる。また、本発明に係るフッ化グラフェンは、(CF)n単相からなり、3.5eVのバンドギャップを有するため、ワイドギャップ半導体として使用できる。
[7.3.4. ガスバリア性]
グラフェンは、室温において1〜5atm(0.1〜0.5MPa)の圧力差まではガスバリア性を有することが示されている(参考文献10)。また、酸化グラフェン膜もまた、ヘリウムを透過させないことが示されている。しかし、ガスバリア膜を合成する場合において、グラフェンに欠陥がある時には、ガスバリア性が低下するため、実際に使用するのはほぼ不可能である。また、酸化グラフェン膜は親水性であるため、水を透過させてしまう。さらに、酸化グラフェン膜は、高湿下で層間が広がるため、他の分子も透過してしまう。よって、酸化グラフェン膜は、ガスバリア膜としては機能しない。
本発明のフッ化グラフェンを使用した薄膜は、炭素六員環構造を有し、さらにすべての炭素にフッ素が終端しているため、超撥水性を示す。よって、ガスだけでなく、水も透過しないガスバリア膜を製造することが可能となる。
[参考文献10] J. S. Bunch, et al., Nano Lett., 8, 2458-2462(2008)
(実施例1〜2、比較例1)
[1. 試料の作製]
[1.1. 酸化グラフェン分散液の合成]
結晶粒径が2000mm以下の天然黒鉛(Graphite flake, natural, -10 mesh, 99.9%; Alfa Aesar社)を用いて、酸化グラフェン(GO)を合成した。酸化グラフェンの合成方法は、Hummers法(参考文献11)を基に、以下の手順で行った。
[参考文献11] W. S, Hummers and R. E. Offeman, J. Am. Chem. Soc., 1958, 80, 1339
(1)グラファイト(1g)、硝酸ナトリウム(1.03g)に濃硫酸(62g)を加え、氷浴下で10℃以下になるまで撹拌した。
(2)分散液に過マンガン酸カリウム(4.5g)を少量ずつ加え、そのまま氷浴下で2時間撹拌した。
(3)分散液をさらに室温で2日間撹拌した。
(4)分散液に氷浴下でイオン交換水(140mL)を加え、20〜30℃を維持しながら、30wt%過酸化水素水(2.5mL)を滴下し、2時間撹拌した。
(5)反応溶液を濾過後、濾物に1M塩酸(100mL)を加え、再度濾過した。
(6)濾物をイオン交換水に再分散させ、遠心分離(6000rpm、30min)し、上澄みを廃棄した。
(7)分散液が中性になるまで遠心分離、及び上澄み廃棄を繰り返した。
(8)分散液を7日間透析し、精製した。
[1.2. 酸化グラフェンエアロゲルの合成]
上記の方法にて合成した酸化グラフェン分散液を凍結乾燥し、酸化グラフェンエアロゲルを合成した。
[1.3. 酸化グラフェン膜の合成]
上記の方法にて合成した酸化グラフェン分散液液を0.4g/Lに希釈した。希釈分散液50mL又は100mLを、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルター(孔径:0.2μm)を用いて真空濾過し、厚さが約20μm又は40μmの酸化グラフェン膜を合成した。
[1.4. フッ化処理]
試料には、酸化グラフェンエアロゲル(実施例1)、酸化グラフェン膜(実施例2)、及び黒鉛SP−1(Bay Carbon Inc.製)(比較例1)を用いた。試料を炉内に配置し、N2ガスで炉内をガス置換した。その後、400℃まで昇温し、28%F2ガス(N2:2L/min、F2:0.77L/min)中で7時間熱処理を行った。その後、炉を密閉し、28%F2ガス雰囲気で18時間炉冷した。さらに、炉内をN2置換後に試料を取り出した。処理温度350℃でも同様の工程でフッ化処理を行った。
[2. 評価]
[2.1. 酸化グラフェンのTEM観察]
図3(a)及び図3(b)に、それぞれ、合成した酸化グラフェンの明視野像(BF)、及び電子回折パターン(DP)を示す。φ1μm以上の酸化グラフェンが剥離し、分散しているのが認められた。また、電子回折パターンでは、100面間隔に対応する明瞭なスポットがリング状に連なっていた。これは、炭素六員環構造を有する酸化グラフェンが異方的に重なっていることを示している。
[2.2. 酸化グラフェンエアロゲルのSEM観察]
図4に、合成した酸化グラフェンエアロゲルの二次電子像を示す。図4より、エアロゲルがシート状物質の凝集体からなることがわかる。
[2.3. 酸化グラフェン膜のX線回折]
図5に、合成した酸化グラフェン(GO)膜のXRDパターンを示す。XRDパターンは、酸化グラフェン膜の平面を2θ−θ法の試料面として測定した。サンプルによってばらつきはあるが、7.9〜8.6Å(0.79〜0.86nm)の層間隔を示した。酸化グラフェン膜は、湿度によって6.4Å(0.64nm)から9.8Å(0.98nm)もの広範囲にわたり層間隔が変化することが報告されている(参考文献12)。よって、合成した酸化グラフェンの層間隔は、妥当な値である。
[参考文献12] J. Abraham, et al., Nature Nanotechnology 12, 546-550(2017)
[2.4. フッ化処理前後の外観変化]
図6に、酸化グラフェンエアロゲルの400℃フッ化処理前後の外観写真(図6(a):フッ化処理前、図6(b):フッ化処理後)を示す。図7に、酸化グラフェン膜の400℃フッ化処理前後の外観写真(図7(a):フッ化処理前、図7(b):フッ化処理後)を示す。いずれも、処理前は茶色〜黒色であったものが、処理後には白色化した。図示はしないが、350℃のフッ化処理でも同様に白色化していた。
[2.5. フッ化グラフェン構造体のSEM観察及び組成分析]
図8に、400℃フッ化処理後のエアロゲル(図8(a))、及び膜(図8(b))の二次電子像を示す。表4に、400℃及び350℃でフッ化処理したサンプルのEDXによる組成分析結果を示す。表4中、「high F」は、SP−1の組成分析結果の中でフッ素濃度が高い領域の分析結果を表し、「low F」は、フッ素濃度が低い領域の分析結果を表す。また、エアロゲル及び膜に付された番号は、同一サンプル内で複数箇所測定したことを表す。
Figure 0006809434
黒鉛粉末であるSP−1は、異方性がある板状結晶をしており、フッ素はエッジから拡散する。よって、同一結晶粒内でもフッ素濃度に分布があり、エッジ部分は高濃度になり、{001}面は低濃度になる傾向が見られた。高濃度エリアでも、400℃及び350℃のフッ化処理では、それぞれ、C10.21組成及びC10.04組成までしかF濃度は高くならなかった。
一方、酸化グラフェンから合成したエアロゲル及び膜は、350℃のフッ化処理においても、ほぼ化学量論組成のC11に近い値を示した。フッ素組成が1を若干超えているのは、グラフェンの面だけでなく、エッジにもフッ素が終端するためである。また、出発原料が酸化グラフェンであるため、酸素が若干含まれたフッ化グラフェンとなった。
[2.6. フッ化グラフェン構造体のX線回折]
図9に、400℃フッ化処理後のエアロゲル及び膜のXRDパターンを示す。両サンプルの組成がCFであることを考慮すると、両サンプルから検出された6〜7Å(0.6〜0.7nm)のピークは、(CF)n結晶の001回折であり、エアロゲルから検出された2.2Å(0.22nm)のピークは、100回折であると考えられる。
膜のサンプルから100回折が検出されない要因は、(a)サンプル面積が小さいため、及び、(b)膜のフラットな面を2θ−θの試料面にしているために面内のピークが検出されにくいため、である。
以上より、(CF)nの面間隔は、エアロゲルで6.6Å(0.66nm)、膜で6.3Å(0.63nm)であった。これは、フッ化グラフェンのスタッキングの差に起因している。単結晶の黒鉛をフッ化した場合に得られる(CF)nの面間隔は、6.05Å(0.605nm)である。そのため、合成過程において酸化グラフェンを経由することによって、層間が開いたフッ化グラフェンが得られることがわかった。
[2.7. フッ化グラフェン構造体のTEM観察]
400℃フッ化処理後のエアロゲル及び膜をエタノール中に超音波処理せずに分散させ、グリッド上に滴下してTEM観察を行った。図10に、400℃フッ化処理後のエアロゲルのTEM観察結果(図10(a):明視野像、図10(b):[001]入射方向の電子回折パターン(DP))を示す。
フッ化処理後のエアロゲルは、図10(a)に示すように、超音波処理を行わなくても非常に薄いシート状のフッ化グラフェンとなってエタノール中に分散することが確認された。また、このフッ化グラフェンは、粒径がμmオーダーと大きく、DPでは炭素六員環由来の100回折点が現れているため、炭素六員環構造が維持されていることがわかった。図示はしないが、膜でも同様のDPとなり、炭素六員環構造が維持されていることがわかった。
[2.8. フッ化グラフェン構造体の撥水性]
合成したフッ化グラフェンエアロゲル(15mg)をエタノール(2.0mL)中に超音波で分散させた。PTFEフィルタ(孔径:0.2μm)を用いて分散液を真空濾過し、フッ化グラフェン膜を作製した。そのフッ化グラフェン膜上の水の接触角を固液界面測定装置で測定した。
図11に、フッ化グラフェン膜に水滴を押しつけた後、離す様子を撮影した連続写真を示す。図11(c)のように、水滴が潰れるまで押しつけても水滴が滴下しなかったため、このフッ化グラフェン膜が超撥水性を有することが確認された。暫定的に水滴を膜に接触させた状態で測定した接触角は、164.3℃であった(図12参照)。この値は、ポリテトラフルオロエチレンはもちろんのこと、フッ化黒鉛(145°)よりも高い値である(参考文献13)。
[参考文献13] 渡辺 伸淳、高島 正之、有機合成化学 31、455(1973)
[2.9. フッ化グラフェンエアロゲルのバンドギャップ]
拡散反射法によって、400℃で合成したフッ化グラフェンエアロゲルのバンドギャップを測定した。図13に、測定に用いたフッ化グラフェンエアロゲルの光学顕微鏡写真を示す。白色の領域の中に、完全にフッ化されていない灰色のグラフェン(図13中、矢印で表示)が存在するため、サンプルは二種類の物質の混合物になっている。よって、反射率をKubelka-Munk式によって変換した。
図14に、フッ化グラフェンエアロゲルの吸収スペクトルを示す。吸収スペクトルから、1.7eVと3.2eVのバンドギャップが確認された。フッ化グラフェンの色から、灰色の領域が1.7eVであり、完全にフッ化された白色の領域が3.2eVであることがわかる。以上から、可視光を透過するフッ化グラフェンが確認された。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係るフッ化グラフェンは、リチウム二次電池の正極材料、超撥水性コーティング材、ワイドギャップ半導体、ガスバリア膜、固体潤滑剤、可視光フィルターなどに用いることができる。

Claims (17)

  1. F、C、及びOを含み、次の式(1’)、式(2”)、式(3)、及び、式(4)を満たすフッ化グラフェン。
    41.2atom%≦[C]≦57.4atom% …(1’)
    0.09atom%≦[O]≦4.11atom% …(2”)
    [C]+[F]+[O]=100atom% …(3)
    1.02<[F]/[C]≦1.3 …(4)
    但し、[X]は、元素Xのatom%を表す。
  2. F、C、及びO以外の元素の含有量が5wt%未満である請求項1に記載のフッ化グラフェン。
  3. 炭素六員環構造を備えたシート状物質からなる請求項1又は2に記載のフッ化グラフェン。
  4. 水の接触角が150°以上である請求項1から3までのいずれか1項に記載のフッ化グラフェン。
  5. 請求項1から4までのいずれか1項に記載のフッ化グラフェンからなる第1相粒子と、第2相粒子との混合物からなる複合材料。
  6. 前記第2相粒子は、フッ素樹脂からなる請求項5に記載の複合材料。
  7. 請求項1から4までのいずれか1項に記載のフッ化グラフェンを含む第1層と、第2層とが層状に積層した積層体を含む複合材料。
  8. 前記第2層は、フッ素樹脂からなる請求項7に記載の複合材料。
  9. 黒鉛から酸化グラフェンを合成する第1工程と、
    前記酸化グラフェンをF2含有ガス雰囲気下において、300℃以上500℃以下の温度で、1時間以上48時間反応させ、請求項1から4までのいずれか1項に記載のフッ化グラフェンを得る第2工程と
    を備え、
    前記第2工程は、28〜100vol%F 2 を含む雰囲気下において、前記酸化グラフェンとF 2 とを反応させるものからなる
    ッ化グラフェンの製造方法。
  10. 前記第1工程と前記第2工程との間に、前記酸化グラフェンを分級する第3工程をさらに備えている請求項9に記載のフッ化グラフェンの製造方法。
  11. 前記第3工程は、フレークサイズの直径が1μm以上である前記酸化グラフェンが50%以上となるように、前記酸化グラフェンを分級するものからなる請求項10に記載のフッ化グラフェンの製造方法。
  12. 前記第1工程と前記第2工程との間に、前記酸化グラフェンから三次元構造体を作製する第4工程をさらに備えている請求項9から11までのいずれか1項に記載のフッ化グラフェンの製造方法。
  13. 前記三次元構造体は、膜又はエアロゲルである請求項12に記載のフッ化グラフェンの製造方法。
  14. 請求項1から4までのいずれか1項に記載のフッ化グラフェンを正極材料に用いたリチウム二次電池。
  15. 基材の表面に、請求項1から4までのいずれか1項に記載のフッ化グラフェンをコーティングした光学部品。
  16. 請求項1から4までのいずれか1項に記載のフッ化グラフェンをワイドギャップ半導体として用いたエレクトロニクス部品。
  17. 請求項1から4までのいずれか1項に記載のフッ化グラフェンからなるガスバリア膜。
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