以下の実施形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
また、以下の実施形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
さらに、以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
同様に、以下の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
また、実施形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。以下、本発明の各実施形態について図面を用いて説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る撮像システムの構成の一例を示す図である。撮像システムは、撮像装置101と、現像装置107とを備える。撮像装置101と現像装置107は、互いに通信可能に接続されている。
撮像装置101は、通常のカメラが備えるような結像させるための撮像レンズを用いることなく、外界の物体の画像を取得するものであり、変調器102、画像センサ103、メタデータ設定部105、及びデータ送信部106から構成されている。
現像装置107は、データ受信部108、メタデータ抽出部109、及び画像処理部110から構成されている。また、現像装置107は、画像表示部111と接続されている。画像表示部111は、現像装置107に含まれるように構成することもできる。
図2は、第1実施形態に係る変調器102の構成の一例を示す図である。変調器102は、画像センサ103の受光面に密着して固定されており、格子基板102aと、格子基板102aに形成された撮影用格子パターン104(本発明の「第1の格子パターン」に相当する)とから構成される。可視光での撮影に用いる場合は、格子基板102aは、例えばガラスやプラスティックなどの可視光に対して透明な材料からなる。撮影用格子パターン104は、外側に向かうほど中心からの半径に反比例して格子パターンの間隔、すなわちピッチが狭くなる同心円状の格子パターンからなる。撮影用格子パターン104は、例えば半導体プロセスに用いられるスパッタリング法などによってアルミニウム、クロムなどの金属を蒸着することによって形成される。アルミニウムが蒸着されたパターンと蒸着されていないパターンによって濃淡がつけられる。
なお、撮影用格子パターン104の形成は、蒸着に限定されるものでなく、例えばインクジェットプリンタなどによる印刷などによって濃淡をつけるなど、透過率の変調を実現できる手段であればどのように形成してもよい。例えば、格子基板102aに液晶素子を用いれば、撮影用格子パターン104を可変にすることができる。さらに、ここでは可視光を例に説明したが、例えば遠赤外線での撮影の場合は、格子基板102aには、例えばゲルマニウム、シリコン、カルコゲナイドなどの遠赤外線に対して透明な材料からなる。すなわち、格子基板102aには、撮影対象となる波長に対して透明な材料を用いることができ、撮影用格子パターン104には、撮影対象となる波長を遮断する材料を用いることができる。
また、ここでは変調器102を実現するために、撮影用格子パターン104を格子基板102aに形成する方法について述べたが、これに限定されない。
図3は、第1実施形態に係る変調器の構成の他の例を示す図である。撮影用格子パターン104を薄膜に形成し、これを格子基板102aの替わりに設けた支持部材102bにより保持する構成によっても、変調器102を実現することができる。
図2又は図3に示すように、画像センサ103は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどからなる。画像センサ103の撮像面(受光面)には、受光素子である画素103aがアレイ状に配置されている。撮影用格子パターン104を透過する光は、その格子パターンによって光の強度が変調され、画像センサ103にて受光される。画像センサ103は、画素103aが受光した光学像を電気信号である画像信号に変換する。なお、画像信号(アナログの画像データ)は、例えばアナログ・デジタル変換回路を介してデジタル信号に変換され、デジタルの画像データとして出力される。本明細書では、画像センサ103が画像データを出力するものとして説明する。
図1の説明に戻る。メタデータ設定部105は、画像センサ103から出力される画像データに対して、現像処理で必要となる情報をメタデータとして設定する。現像処理で必要となる情報とは、変調器102の撮影用格子パターン104に関する情報や画像センサ103に関する情報であり、詳細は後述する。
データ送信部106は、画像センサ103から出力された画像データと、メタデータ設定部105によって当該画像データに設定されたメタデータとを、外部の現像装置107に送信する。なお、以下では、データ送信部106から送信される、メタデータが付加された画像データを、送信画像データと呼ぶことがある。
データ受信部108は、撮像装置101のデータ送信部106から送信画像データを受信する。
メタデータ抽出部109は、データ受信部108が受信した送信画像データからメタデータを抽出し、抽出したメタデータから現像用格子パターン(本発明の「第2の格子パターン」に相当する)を生成するためのパラメータを取得する。
画像処理部110は、メタデータ抽出部109により取得されたパラメータを用いて現像用格子パターンを生成し、送信画像データに含まれる画像データと、生成した現像用格子パターンとを用いて画像の現像処理を行う。
なお、撮像装置101のメタデータ設定部105及びデータ送信部106は、例えば、プロセッサ、メモリ、通信装置、処理回路等を備えるコントローラによって実現することができる。コントローラは、入力装置や出力装置が接続される入出力インターフェイスを備えてもよい。現像装置107は、例えば、サーバ、PC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレットなどのコンピュータによって実現することができる。このコンピュータは、例えば、プロセッサ、メモリ、HDD(Hard Disk Drive)等の外部記録装置、通信装置、入力装置や出力装置が接続される入出力インターフェイスなどを備える。現像装置107のデータ受信部108、メタデータ抽出部109、及び画像処理部110は、例えば、コンピュータの備えるプロセッサが所定のアプリケーションプログラムを実行することで実現することができる。撮像装置101と現像装置107は、例えば、有線もしくは無線でダイレクトに、又は、LAN(Local Area Network)、専用回線、インターネット等のネットワークを介して、接続される。画像表示部111は、例えばディスプレイにより実現される。
続いて、撮像システムにおける撮像及び現像の原理の概要について説明する。
まず、中心からの半径に対して反比例してピッチが細かくなる同心円状の格子パターンは、以下のように定義する。レーザ干渉計などにおいて、平面波に近い球面波と参照光として用いる平面波とを干渉させる場合を想定する。同心円の中心である基準座標からの半径をrとし、そこでの球面波の位相をφ(r)とするとき、球面波は、波面の曲がりの大きさを決める係数βを用いて、
球面波にもかかわらず、半径rの2乗で表されているのは、平面波に近い球面波のため、展開の最低次のみで近似できるからである。この位相分布を持った光に平面波を干渉させると、
を満たす半径位置で明るい線を持つ同心円の縞となる。縞のピッチをpとすると、
が得られ、ピッチは、半径に対して反比例して狭くなっていくことがわかる。このような縞を持つプレートは、ガボールゾーンプレートやフレネルゾーンプレートと呼ばれる。
図4は、格子パターンの一例を示す図である。図4には、式(2)のガボールゾーンプレートが示されている。図5は、格子パターンの他の例を示す図である。図5には、式(2)を閾値1で2値化したフレネルゾーンプレートの例が示されている。
本実施形態では、ガボールゾーンプレートやフレネルゾーンプレートを、撮影用格子パターン104ならびに現像用格子パターンとして用いる。ただし、現像用格子パターンは、画像処理部110の信号処理内で仮想的に生成されて使用される。
図6は、斜め入射平行光による格子基板表面から画像センサへの射影像が面内ずれを生じることを説明する図である。撮影用格子パターン104が形成された厚さdの変調器102に、図6に示すようにx軸方向に角度θ0で平行光が入射したとする。変調器102中の屈折角をθとして、幾何光学的には、表面の格子の透過率が乗じられた光が、k=d・tanθだけずれて画像センサ103に入射する。このとき、
のような強度分布を持つ投影像が画像センサ103上で検出される。このとき、画像センサ103上で検出された撮影用格子パターン104の投影像に対して、撮影用格子パターン104と同じ格子パターンであり同心円の中心を画像センサ103の中心とした現像用格子パターンを、信号処理内で仮想的に形成して、掛け合わせると、
のような強度分布を得られる。この展開式の第4項が、2つの格子のずれの方向にまっすぐな等間隔の縞模様を、2つの格子の重なり合った領域一面に作ることがわかる。このような縞と縞の重ね合わせによって相対的に低い空間周波数で生じる縞は、モアレ縞と呼ばれる。このようにまっすぐな等間隔の縞は、検出画像の2次元フーリエ変換によって得られる空間周波数分布に鋭いピークを生じる。その周波数の値からkの値、すなわち光線の入射角θを求めることが可能となる。このような全面で一様に等間隔で得られるモアレ縞は、同心円状の格子配置の対称性から、ずれの方向によらず同じピッチで生じることは明らかである。このような縞が得られるのは、格子パターンをフレネルゾーンプレートまたはガボールゾーンプレートで形成したことによるものであり、これ以外の格子パターンで、全面で一様な縞を得るのは困難と考えられる。ただし、全面で一様に等間隔なモアレ縞が得ることが目的であり、格子パターンをフレネルゾーンプレートやガボールゾーンプレートに限定するものではない。
上述の展開式の第2項でも、フレネルゾーンプレートの強度がモアレ縞で変調された縞が生じることがわかるが、2つの縞の積の周波数スペクトルは、それぞれのフーリエスペクトルのコンボリューションとなるため、鋭いピークは得られない。式(6)から鋭いピークを持つ成分のみを、
のようになる。ここで、Fはフーリエ変換の演算を表し、uおよびvは、x方向およびy方向の空間周波数座標、括弧を伴うδはデルタ関数である。この結果から、検出画像の空間周波数スペクトルにおいて、モアレ縞の空間周波数のピークがu=±kβ/πの位置に生じることがわかる。その様子を図7に示す。
図7は、撮影用格子パターンと現像用格子パターンの軸がそろった場合のモアレ縞の生成と周波数スペクトルを説明する図である。図7において、左から右にかけて、光線と変調器102の配置図、モアレ縞、および空間周波数スペクトルの模式図を、それぞれ示している。図7の(a)は、光線が垂直入射する場合、図7の(b)は、左側から角度θで光線が入射する場合、図7の(c)は、右側から角度θで光線が入射する場合を、それぞれ示している。
変調器102に形成された撮影用格子パターン104と信号処理上で仮想的に形成された現像用格子パターンとは、軸がそろっている。図7の(a)の場合、撮影用格子パターン104と現像用格子パターンとの影が一致するのでモアレ縞は生じない。
図7の(b)および図7の(c)の場合、撮影用格子パターン104と現像用格子パターンとのずれが等しいために同じモアレが生じ、空間周波数スペクトルのピーク位置も一致して、空間周波数スペクトルからは、光線の入射角が図7の(b)の場合なのか図7の(c)の場合なのかを判別することができなくなる。これを避ける方法の例を、図8に示す。
図8は、撮影用格子パターンと現像用格子パターンの軸をずらして形成した格子基板の一例を示す図である。図8に示すように、変調器102に垂直入射する光線に対しても2つの格子パターンの影がずれて重なるよう予め2つの格子パターンを光軸に対して相対的にずらしておくことが必要である。軸上の垂直入射平面波に対して2つの格子の影の相対的なずれをk0とするとき、入射角θの平面波によって生じるずれkは、
のように表せる。このとき、入射角θの光線のモアレ縞の空間周波数スペクトルのピークは、周波数のプラス側では
の位置となる。画像センサの大きさをS、画像センサのx方向およびy方向の画素数を共にNとすると、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)による離散画像の空間周波数スペクトルは、−N/(2S)から+N/(2S)の範囲で得られる。このことから、プラス側の入射角とマイナス側の入射角を均等に受光することを考えれば、垂直入射平面波(θ=0)によるモアレ縞のスペクトルピーク位置は、原点(DC:直流成分)位置と、例えば+側端の周波数位置との中央位置、すなわち、
の空間周波数位置とするのが妥当である。したがって、2つの格子の相対的な中心位置ずれは、
図9は、撮影用格子パターン104と現像用格子パターンの軸をずらした場合のモアレ縞の生成と周波数スペクトルを説明する図である。図7と同様にして、左から右にかけて、光線と変調器102の配置図、モアレ縞、および空間周波数スペクトルの模式図を、それぞれ示している。図9の(a)は、光線が垂直入射する場合、図9の(b)は、左側から角度θで光線が入射する場合、図9の(c)は、右側から角度θで光線が入射する場合を、それぞれ示している。
図9では、撮影用格子パターン104と現像用格子パターンが、予めk0だけずらして掛け合わされるように、撮影用格子パターン104と画像センサ103がずらして配置されている。現像用格子パターンは信号処理内で形成されるので、撮影用格子パターン104と画像センサ103をずらさずに、現像用格子パターンの中心を画像センサ103の中心からk0だけずらして形成してもよい。2つの格子パターンをずらすことで、図9の(a)でもモアレ縞が生じ、空間周波数スペクトルにピークが現れる。そのずらし量k0は、上記したとおり、ピーク位置が原点から片側のスペクトル範囲の中央に現れるように設定されている。このとき図9の(b)では、ずれkがさらに大きくなる方向、図9の(c)では、ずれkが小さくなる方向となっているため、図7と異なり、図9の(b)と図9の(c)との違いがスペクトルのピーク位置から判別できる。このピークのスペクトル像がすなわち無限遠の光束を示す輝点であり、図1の撮像装置101による撮影像にほかならない。
なお、式(2)で示したように、格子パターンの透過率分布は、基本的に正弦波的な特性があることを想定しているが、格子パターンの基本周波数成分としてそのような成分があればよい。格子パターンの他の例を、図10に示す。
図10は、透過率を変更した場合の格子パターンの例を示す図である。図10の(a)に示すように、格子パターンの透過率は3値化することも可能であり、図10の(b)に示すように、透過率が高い格子領域と低い領域のdutyを変えて、透過率の高い領域の幅を広げて透過率を高めることも考えられる。これにより、格子パターンからの回折を抑圧するなどの効果も得られ、撮影像の劣化を低減可能である。
また、上記では画像センサ103上で検出された撮影用格子パターン104の投影像に対して、現像用格子パターンを信号処理内で仮想的に形成して掛け合わせた際のモアレ縞を用いて、現像処理を行うが、画像センサ103上で検出された撮影用格子パターン104の投影像と、現像用格子パターンの相互相関関数を演算することにより、現像することも可能である。
いずれの手法を用いる場合でも、現像用格子パターンを信号処理上で形成する必要があり、そのパターンは撮影用格子パターン104に依存する。そこで、本実施形態では、現像用格子パターンを生成するためのパラメータ値をメタデータとしてメタデータ設定部105により設定し、現像処理における現像用格子パターンの生成に使用する。
図11は、第1実施形態に係る画像データの構成の一例を示す図である。送信画像データは、メタデータとしてのパラメータ値1101〜1108と、画像のバイナリデータなどの画像データ本体1109とを含む。パラメータ値1101は、格子パターンの種別であり、フレネルゾーンプレート及びガボールゾーンプレートなどの格子パターンの種類を示す識別子である。パラメータ値1102は、格子パターンのピッチを決める係数であり、式(2)のβに相当する。パラメータ値1103は、格子パターンの透過率分布を表す係数である。パラメータ値1104は、格子パターンの透過率が高い領域と低い領域のduty比を表す。パラメータ値1105,1106は、画像センサ103のサイズであり、式(11)のSに相当する。パラメータ値1107,1108は、画像センサ103の画素数であり、式(11)のNに相当する。また、図11には記載していないが、送信画像データは、パラメータ値として、式(12)のk0に相当する撮影用格子パターンと現像用格子パターンの中心位置ずれ情報を含んでもよい。
メタデータ設定部105は、例えば、撮像装置101の記憶装置に予め工場出荷時に設定された各パラメータ値を取得して、送信画像データのメタデータとして設定することができる。当該記憶装置上の各パラメータ値は、撮像装置101の入力装置や通信装置を通じて、任意のタイミングでユーザにより設定変更されてもよい。また、メタデータ設定部105は、少なくとも一部のパラメータ値を画像センサ103や変調器102から取得してもよい。例えば、変調器102に液晶等を用いることで撮影用格子パターン104を可変にする場合、変調器102の制御による格子パターンの変更に応じてパラメータ値1101〜1104を連動させる必要がある。
図12は、第1実施形態に係る画像データ送信処理の一例を示すフローチャートである。データ送信部106は、画像センサ103から出力される画像データ(撮影用格子パターン104の投影像)を取得する(ステップS1201)。メタデータ設定部105は、取得された画像データに対してメタデータを付与する(ステップS1202)。データ送信部106は、メタデータが付与された送信画像データを現像装置107に送信する(ステップS1203)。
図13は、第1実施形態に係る現像処理の一例を示すフローチャートである。データ受信部108は、撮像装置101のデータ送信部106から送信画像データを受信する(ステップS1301)。メタデータ抽出部109は、受信された送信画像データからメタデータを抽出し、現像用格子パターンを生成するためのパラメータ値を取得する(ステップS1302)。画像処理部110は、取得されたパラメータ値を用いて現像用格子パターンを生成する(ステップS1303)。また、画像処理部110は、送信画像データから画像データ本体(撮影用格子パターン104の投影像)を抽出し、当該画像データと現像用格子パターンとを掛け合わせてモアレ縞像を算出し(ステップS1304)、このモアレ縞像に対して2次元FFT演算を行い(ステップS1305)、撮影対象の像を現像する。そして、画像処理部110は、得られた画像に対してノイズ除去処理を行い(ステップS1306)、続いてコントラスト強調処理(ステップS1307)などを行う。その後、画像処理部110は、画像のカラーバランスを調整して(ステップS1308)、画像を画像表示部111に出力する。以上のようにして、現像装置107による現像処理が終了となる。
第1実施形態では、撮像装置101は、撮影用格子パターン104の投影像である画像データに加え、現像用格子パターンを生成するためのパラメータ値を含むメタデータを、現像装置107に送信する。そして、現像装置107は、撮像装置101から送信されたメタデータを用いて現像用格子パターンを信号処理で生成し、モアレ像縞の演算に用いる。これにより、撮像装置101外の現像装置107でも撮像画像を現像することができる。
また、撮像装置101は、撮影用格子パターン104が変更された場合でも、その変化に応じたパラメータ値を送信することができる。これにより、現像装置107は、正しく現像用格子パターンを生成して、正しく撮像画像を現像することができる。
また、現像用格子パターンの生成を含む画像処理は、現像装置107側で実行される。これは、撮像装置101の小型化及び薄型化に寄与する。
[第2実施形態]
第2実施形態は、フォーカス調整をできる点で第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
まず、本実施形態におけるフォーカス調整の原理について説明する。
図14は、撮像する物体が有限距離にある場合に、画像センサ103に投影される撮影用格子パターン104の射影が、撮影用格子パターン104より拡大されることを説明する図である。物体を構成する点1401からの球面波が撮影用格子パターン104を照射し、その投影像1402が画像センサ103に投影される場合、投影像1402はほぼ一様に拡大される。なお、この拡大率αは、撮影用格子パターン104から点1401までの距離fを用いて、
そのため、平行光に対して設計された現像用格子パターンの透過率分布をそのまま乗じたのでは、図15に示すように、等間隔な直線状のモアレ縞は生じなくなる。図15は、物体が有限距離にある場合に生成されるモアレ縞の一例を示す図である。しかし、一様に拡大された撮影用格子パターン104の影に合わせて、現像用格子パターンを拡大するならば、図16に示すように、拡大された投影像1402に対して再び、等間隔な直線状のモアレ縞を生じさせることができる。図16は、物体が有限距離にある場合に現像用格子パターンを補正したモアレ縞の一例を示す図である。このためには、現像用格子パターンの係数βをβ/αとすることで補正が可能である。αは、拡大率である。これによって、任意の位置にフォーカスを合わせて撮影を行うことができる。
図17は、第2実施形態に係る撮像システムの構成の一例を示す図である。現像装置107は、第1実施形態の図1と異なり、フォーカス位置設定部1701を有する。フォーカス位置設定部1701は、現像処理において、焦点を合わせる位置を設定する。焦点を合わせる位置は、例えば、撮像装置101の記憶装置に予め設定されていてもよいし、ユーザにより入力されてもよい。
図18は、第2実施形態に係るフォーカス位置を調整した現像処理の一例を示すフローチャートである。図18のフローチャートは、第1実施形態の図13と異なり、ステップS1302の直後にステップS1801が挿入されている。フォーカス位置設定部1701は、記憶装置に設定されているフォーカス位置あるいは入力されたフォーカス位置を取得して設定する(ステップS1801)。ステップS1303では、画像処理部110は、メタデータに含まれる後述する距離dを用いて、ステップS1801で設定されたフォーカス位置に焦点が合うように拡大率αを計算し、当該拡大率αに基づいて現像用格子パターンを生成する。
図19は、第2実施形態に係る画像データの構成の一例を示す図である。本実施形態の送信画像データは、第1実施形態の図11と異なり、撮影用格子パターン104と画像センサ103の距離情報(距離d)であるパラメータ値1901を、メタデータとして含む。メタデータ設定部105は、パラメータ値1901を、記憶装置から、ユーザから、あるいは画像センサ103や変調器102から取得する。
[第3実施形態]
第3実施形態は、被写体の距離情報を取得できる点で第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
まず、本実施形態における距離情報の取得の原理について説明する。
本実施形態では、DFD(Depth From Defocus)手法を用いた距離情報の取得について説明する。DFDは、2次元画像のボケ量の解析から距離情報を求める方法である。距離wにある点光源に対して、距離rの位置に焦点を合わせたときのPSF(Point Spread Function)をh(w、r)とすると、距離rに対して焦点を合わせた画像g(r)は、
と表すことができる。なお、*は畳込み演算を表している。g(w)は、距離wに焦点が合っている画像である。このとき、異なる距離r
n、r
mに対して焦点を合わせた画像g(r
n)、g(r
m)を用意した場合、
という式が成り立つ。この式を満たすPSFのパラメータwが被写体までの距離となる。実際には、両辺の差が極小となる値を被写体までの距離とすることが多い。レンズを用いたカメラでは、PSFはレンズの開口等に依存するが、本実施形態では、撮影用格子パターンに依存する。また、PSFの代わりに任意の距離の点光源に対して焦点位置を変更して撮影した画像データ等を用いてもよい。
図20は、第3実施形態に係る撮像システムの構成の一例を示す図である。現像装置107は、第1実施形態の図1と異なり、距離計測部2001を有する。また、現像装置107には、距離情報表示部2002が接続される。距離情報表示部2002は、例えばディスプレイにより実現される。距離情報表示部2002は、画像表示部111と一体となっていてもよい。距離計測部2001は、画像データにおける距離情報を算出し、距離情報表示部2002に表示する。
図21は、第3実施形態に係る距離計測処理の一例を示すフローチャートである。ステップS1301及びS1302の処理は、図13と同様である。ステップS1302の後、距離計測部2001は、初期位置にフォーカスを設定する(ステップS2101)。その後、画像処理部110は、設定されたフォーカス位置について、図13と同様にステップS1303〜S1305の処理を実行し、画像が現像される。その後、距離計測部2001は、DFDに必要な所定枚数(少なくとも2枚)の画像が作成されたか否かを判定する(ステップS2102)。所定枚数の画像が作成されていない場合(ステップS2102:NO)、距離計測部2001は、再びステップS2101の処理を実行し、前回と異なる位置にフォーカスを設定する。所定枚数の画像が作成された場合(ステップS2102:YES)、距離計測部2001は、作成された複数の画像を用いて、DFDによる距離情報の算出を行い(ステップS2103)、距離情報を距離情報表示部2002に出力する。
図22は、第3実施形態に係る画像データの構成の一例を示す図である。本実施形態の送信画像データは、第1実施形態の図11と異なり、DFDに用いるPSFの種類を示すパラメータ値2201を、メタデータとして含む。メタデータ設定部105は、パラメータ値2201を、記憶装置から、ユーザから、あるいは画像センサ103や変調器102から取得する。また、本実施形態におけるPSFは、撮影用格子パターンに依存するため、メタデータとして含まれなくてもよい。その場合の画像データの構成の一例は、実施形態1の図11と同様である。
本実施形態では、DFDを用いて距離情報を取得したが、別の方法を用いてもよい。例えば、距離計測部2001は、複数の位置に焦点を合わせた画像を作成し、各画像から最もコントラストの高い画像を選択し、その焦点位置から距離情報を取得してもよい。
[第4実施形態]
第1実施形態の原理の説明で、式(6)において信号の鋭いピークが得られるのは、第4項のモアレ縞の周波数のみであることを説明した。しかし、光学系や被写体の条件によっては、第2、第3項がノイズとなって現像画像の画質に影響を与える場合があり得る。そこで、第4実施形態は、それらのノイズを除去する構成を備える。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
ノイズの除去のために、本実施形態では、格子パターンの位相を変えて取得した複数の画像を合成する。これは干渉計測で縞解析に用いられるフリンジスキャンという技術に基づいている。撮影用格子パターンの初期位相をΦF、現像用格子パターンの初期位相をΦBとすると、入射角が異なるk個の平行光束が入射すると仮定すると、その強度分布は、
と表すことができる。式(16)のうち、第2項は撮影用格子パターンの影、第3項は現像用格子パターンの強度変調、第4項と第5項はそれぞれ撮影用格子パターンの影と現像用格子パターンの和周波成分、差周波成分を示している。モアレ縞を表す成分は第5項であるため、この成分だけを抜き出すことができればよい。そこで、Φ
FとΦ
Bに注目して、式(16)を積分すると、
となり、第5項のみを抜き出すことが可能となる。ここで、現像用格子パターンは信号処理内で仮想的に生成するため、複素振幅の情報を扱えることに着目すると、0を基準に正負の値を持つ現像用格子パターンを用いた場合には、撮影用格子パターンと現像用格子パターンの位相を一致させても同様の効果を得られる。その場合、式(16)は、
となる。つまり、撮影用格子パターンと現像用格子パターンの位相を一致して計算させることで、2重積分を1重積分のみの計算で実現可能とし、大幅に演算量を低減できる。式(18)及び式(20)では、積分の形で演算を示したが、撮影用格子パターン及び現像用格子パターンの位相は0から2πの間を3以上の分割数で離散的に切り替えればよい。
本実施形態のフリンジスキャンに基づくノイズキャンセル方法を行うための構成について、図23〜30を用いて説明する。フリンジスキャンでは、撮影用格子パターン104として初期位相の異なる複数のパターンを使用する必要がある。これを実現するには、時分割でパターンを切り替える方法(図23〜26)と、空間分割でパターンを切り替える方法(図27〜30)がある。
図23は、第4実施形態に係る時分割フリンジスキャンを用いる場合の撮像システムの構成の一例を示す図である。第4実施形態の撮像装置101は、第1実施形態の変調器102に替えて、変調器2301を有する。また、第4実施形態の撮像装置101は、変調器制御部2302を有する。
図24は、時分割フリンジスキャンに係る格子パターンの例を示す図である。変調器2301は、例えば図24に示す複数の初期位相を電気的に切り替えて表示することが可能(すなわち、撮影用格子パターンを変更可能)な液晶表示素子などで構成される。図24の(a)〜(d)のパターンは、初期位相ΦFもしくは位相差Φがそれぞれ{0、π/2、π、3π/2}である。
変調器制御部2302は、上記の変調器2301の格子パターンの切り替えタイミングと画像センサ103のシャッタタイミングを同期して複数回の撮像を制御し、撮像された各画像に使用された格子パターンの初期位相情報を含んだ情報をメタデータ設定部105に出力する。
メタデータ設定部105は、撮像された各画像データに対して、変調器制御部2302から取得した初期位相情報を含む格子パターンの情報を、メタデータとして付加する。
データ送信部106は、画像センサ103から出力される初期位相の異なる複数の画像データを取得する。また、データ送信部106は、メタデータが付与された送信画像データを現像装置107に送信する。
メタデータ抽出部109は、フリンジスキャンによるノイズ低減処理と現像処理に必要な情報を、受信された送信画像データから取得する。
画像処理部110は、メタデータ抽出部109から必要な情報を取得し、ノイズ低減処理および現像処理を行い、画像表示部111に現像画像を表示する。
図25は、第4実施形態に係る時分割フリンジスキャンを用いた現像処理の一例を示すフローチャートである。ステップS1301及びS1302の処理は、図13と同様である。ステップS1302の後、画像処理部110は、取得されたパラメータ値に基づいてフリンジスキャンの実行の要否を判定する(ステップS2501)。フリンジスキャンの実行の要否の判定は、例えば、フリンジスキャンを実行の有無を示すフラグをメタデータに格納してこれを基に判定してもよいし、フリンジスキャンに関する情報がメタデータに格納されているか否かで判定してもよい。フリンジスキャンを実行しないと判定した場合(ステップS2501:NO)、画像処理部110は、第1実施形態の図13のステップS1303〜SS1308と同様の現像処理を行う(S2502)。
フリンジスキャンを実行すると判定した場合(ステップS2501:YES)、画像処理部110は、ステップS1302で取得されたパラメータ値に含まれる第1の画像の初期位相を取得するとともに、送信画像データから第1の画像の画像データ本体(第1の初期位相の撮影用格子パターンの投影像)を抽出する(S2503)。その後、ステップS1303では、画像処理部110は、ステップS2503で取得した初期位相の現像用格子パターンを生成し、ステップS1304では、画像処理部110は、同位相の画像データ(撮影用格子パターンの投影像)と現像用格子パターンとを掛け合わせてモアレ縞像を算出する。それから、画像処理部110は、前回ステップS1304で算出したモアレ縞像に、今回ステップS1304で算出したモアレ縞像を加算する(ステップS2504)。
その後、画像処理部110は、フリンジスキャンに用いる全ての画像データの処理が完了したか否か判定する(ステップS2505)。フリンジスキャンに用いる画像データの枚数は、後述するようにメタデータに設定されている。全ての画像データの処理が完了していない場合(ステップS2505:NO)、画像処理部110は、再びステップS2503の処理を実行し、ステップS1302で取得されたパラメータ値に含まれる第2の画像の初期位相を取得するとともに、送信画像データから第2の画像の画像データ本体(第2の初期位相の撮影用格子パターンの投影像)を抽出する。全ての画像データの処理が完了した場合(ステップS2505:YES)、画像処理部110は、ステップS2504で加算した結果に対して2次元FFT演算を行う(S1305)。以降のステップS1305〜S1308の処理は、第1実施形態の図13と同様である。
図26は、第4実施形態に係る時分割フリンジスキャンを用いる場合の画像データの構成の一例を示す図である。本実施形態の送信画像データは、第1実施形態の図11と異なり、メタデータとしてのパラメータ値2601,2602を含み、さらに、初期位相の異なる撮影用格子パターンで撮像された画像ごとに、メタデータとしてのパラメータ値(符号2603,2605)と、画像データ本体(符号2604,2606)とを含む。パラメータ値2601は、フリンジスキャンの種別(時分割又は空間分割、本図では、時分割に設定される)を示す識別子である。パラメータ値2602は、フリンジスキャンに使用する画像データの枚数である。パラメータ値2603は、1枚目の画像データ(第1の画像)における撮影用格子パターンの初期位相である。第1の画像の画像データ本体2604は、例えばバイナリデータである。パラメータ値2605は、2枚目の画像データ(第2の画像)における撮影用格子パターンの初期位相である。第2の画像の画像データ本体2606は、例えばバイナリデータである。図示していないが、送信画像データには、パラメータ値2602に設定された枚数分だけ、初期位相と画像データ本体のセットが繰り返し設定される。
なお、図26では、フリンジスキャンに用いる全ての画像データを1つの送信画像データに連結したが、これに限定されない。例えば、初期位相が異なる画像データ毎に個別に送信画像データを生成してもよい。この場合、各送信画像データは、各種パラメータ値と、初期位相と画像データ本体を1セット含む。
図27は、第4実施形態に係る空間分割フリンジスキャンを用いる場合の撮像システムの構成の一例を示す図である。第4実施形態の撮像装置101は、第1実施形態の変調器102に替えて、変調器2701を有する。また、第4実施形態の撮像装置101は、画像領域設定部2702を有する。
図28は、空間分割フリンジスキャンに係る格子パターンの例を示す図である。変調器2701は、複数の格子パターンを備える撮影用格子パターンを備える。撮影用格子パターンは、例えば図28に示すように、複数の初期位相の格子パターンを2次元的にそれぞれの領域に配列して構成される。配列された各格子パターンは、初期位相ΦFもしくは位相差Φがそれぞれ{0、π/2、π、3π/2}である。
画像領域設定部2702は、フリンジスキャンに用いる各画像領域を示す領域データとその領域の格子パターンの初期位相を設定し、メタデータ設定部105に出力する。
メタデータ設定部105は、撮像された画像データに対して、画像領域設定部2702から取得した各画像領域を示す領域データとその初期位相を、メタデータとして付加する。
データ送信部106は、画像センサ103から出力される初期位相の異なる複数の画像領域から構成される画像データを取得する。また、データ送信部106は、メタデータが付与された送信画像データを現像装置107に送信する。
メタデータ抽出部109は、フリンジスキャンによるノイズ低減処理と現像処理に必要な情報を、受信された画像データから取得する。
画像処理部110は、メタデータ抽出部109から必要な情報を取得し、ノイズ低減処理および現像処理を行い、画像表示部111に現像画像を表示する。
図29は、第4実施形態に係る空間分割フリンジスキャンを用いた現像処理の一例を示すフローチャートである。ステップS1301及びS1302の処理は、図13と同様である。ステップS1302の後、画像処理部110は、取得されたパラメータ値に基づいてフリンジスキャンの実行の要否を判定する(ステップS2901)。フリンジスキャンの実行の要否の判定は、例えば、フリンジスキャンを実行の有無を示すフラグをメタデータに格納してこれを基に判定してもよいし、フリンジスキャンに関する情報がメタデータに格納されているか否かで判定してもよい。フリンジスキャンを実行しないと判定した場合(ステップS2901:NO)、画像処理部110は、第1実施形態の図13のステップS1303〜SS1308と同様の現像処理を行う(S2902)。
フリンジスキャンを実行すると判定した場合(ステップS2901:YES)、画像処理部110は、ステップS1302で取得されたパラメータ値から第1の領域の領域データとその初期位相を取得する(ステップS2903)。また、画像処理部110は、送信画像データから画像データ本体(複数の格子パターンの投影像)を取得し、ステップS2903で取得した第1の領域の領域データに基づいて、画像データから第1の領域に対応する画像データを抽出する(S2904)。その後、ステップS1303では、画像処理部110は、ステップS2904で抽出した領域の画像データに対して、ステップ2903で抽出した同じ初期位相の現像用格子パターンを生成し、ステップS1304では、画像処理部110は、これらの同位相の領域の画像データと現像用格子パターンとを掛け合わせて、当該領域のモアレ縞像を算出する。それから、画像処理部110は、前回ステップS1304で算出したモアレ縞像に、今回ステップS1304で算出したモアレ縞像を加算する(ステップS2905)。
その後、画像処理部110は、フリンジスキャンに用いる全ての領域の画像データの処理が完了したか否か判定する(ステップS2906)。フリンジスキャンに用いる領域の数は、後述するようにメタデータに設定されている。全ての領域の画像データの処理が完了していない場合(ステップS2906:NO)、画像処理部110は、再びステップS2903の処理を実行し、ステップS1302で取得されたパラメータ値から第2の領域の領域データとその初期位相を取得するとともに、再びステップS2904の処理を実行し、ステップS2903で取得した第2の領域の領域データに基づいて、画像データから第2の領域に対応する画像データを抽出する。全ての領域の画像データの処理が完了した場合(ステップS2906:YES)、画像処理部110は、ステップS2905で加算した結果に対して2次元FFT演算を行う(S1305)。以降のステップS1305〜S1308の処理は、第1実施形態の図13と同様である。
図30は、第4実施形態に係る空間分割フリンジスキャンを用いる場合の画像データの構成の一例を示す図である。本実施形態の送信画像データは、第1実施形態の図11と異なり、メタデータとしてのパラメータ値3001,3002を含み、さらに、初期位相の異なる領域ごとに、メタデータとしてのパラメータ値(符号3003〜3007)を含む。パラメータ値3001は、フリンジスキャンの種別(時分割又は空間分割、本図では、空間分割に設定される)を示す識別子である。パラメータ値3002は、画像データの領域分割数であり、例えば図28の格子パターンを用いた場合は、4が設定される。パラメータ値3003〜3006は、第1の領域を示すパラメータ値であり、それぞれ第1の領域のx座標、y座標、幅、高さを示している。パラメータ値3007は、第1の領域における撮影用格子パターンの初期位相である。図示していないが、送信画像データには、パラメータ値3002に設定された数分だけ、各領域に関するパラメータ値のセットが繰り返し設定される。
第4実施形態によれば、時分割フリンジスキャンあるいは空間分割フリンジスキャンに基づく演算よって、ノイズの影響なく撮影対象を現像することができる。
[第5実施形態]
第5実施形態は、キャリブレーション情報を用いて現像処理における補正を行う点で第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図31は、第5実施形態に係る撮像システムの構成の一例を示す図である。撮像装置101は、第1実施形態の図1と異なり、キャリブレーション情報設定部3101を有する。キャリブレーション情報設定部3101は、変調器102と画像センサ103を撮像装置101に取り付けた際に生じた、変調器102と画像センサ103の相対的な位置ずれに関するキャリブレーション情報(例えば、位置ずれの量と方向などの相対位置情報)を設定し、メタデータ設定部105に出力する。キャリブレーション情報は、撮像装置101の記憶装置に予め工場出荷時に設定されていてもよいし、任意のタイミングでユーザにより設定変更されてもよい。位置ずれの測定方法としては、例えば、工場出荷時の検査時に、規定位置の点光源からの光を用いて撮影用格子パターンを画像センサに投影することにより測定することができる。
なお、キャリブレーション情報は、上述した位置ずれに限定されない。キャリブレーション情報には、例えば、画像センサ103の欠陥画素の情報(座標や番号などの位置情報)、変調器102と画像センサ103の相対的な傾き(チルト)、変調器102の歪み、等を設定してもよい。
ここで、変調器102と画像センサ103の中心がずれていた場合、式(12)で設定するk0の値が想定していたものと異なり、画像の現像位置がずれてしまう可能性がある。そこで、画像処理部110は、キャリブレーション情報(位置ずれ)を用いて、現像用格子パターンの中心位置をずらすことで、現像画像に対する位置の補正を行うことができる。また、画像処理部110は、現像用格子パターンに対して補正を行うのではなく、現像後の画像に対して補正を行ってもよい。
また、画像センサ103に欠陥画素があった場合、該画素のデータを使用すると、ノイズとなってしまうことがある。そこで、画像処理部110は、キャリブレーション情報(欠陥画素の情報)を用いて、欠陥画素を現像処理の計算から除外する、又は周囲の画素情報から補間することで、ノイズを低減することができる。また、第4実施形態の空間分割フリンジスキャンを本実施形態に適用する場合、位相が異なる画像の状態は全て共通とする方がよく、一部の画像データのみが欠陥画素を含んでいると、ノイズが増大する可能性がある。そこで、画像処理部110は、それぞれの画像領域で欠陥画素に対応する画素を使用しないことで、ノイズを低減することができる。
また、空間分割フリンジスキャンを行う場合、各位相の格子パターン適用される領域を適切に分割しなければ、正しくノイズをキャンセルすることができない。そこで、画像処理部110は、キャリブレーション情報(傾きや歪み)を用いて、各領域の補正をすることが重要となる。
図32は第5実施形態に係るキャリブレーション情報による補正処理を組み込んだ現像処理の一例を示すフローチャートである。図32のフローチャートは、第1実施形態の図13と異なり、ステップS1303の直後にステップS3201が挿入されている。画像処理部110は、メタデータから取得されたキャリブレーション情報を用いて、ステップS1303で生成した現像用格子パターンを補正する(ステップS3201)。なお、ステップS3201を省略し、ステップS1305の処理よりも後ろで、画像処理部110は、S1305で現像した画像に対して補正を行ってもよい。
図33は、第5実施形態に係る画像データの構成の一例を示す図である。図33は、キャリブレーション情報として位置ずれに関する情報を設定する場合を示している。送信画像データは、メタデータとしてのパラメータ値3301,3302を含む。パラメータ値3301は、画像センサ103と変調器102のx座標における位置ずれ量及び方向である。パラメータ値3302は、画像センサ103と変調器102のy座標における位置ずれ量及び方向である。もちろん、メタデータのキャリブレーション情報には、位置ずれに替えてあるいは加えて、欠陥画素などの他の情報を設定してもよい。
[第6実施形態]
第6実施形態は、撮像装置101に取り付けられたセンサから取得した情報をキャリブレーション情報として用いる点で第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図34は、第6実施形態に係る撮像システムの構成の一例を示す図である。撮像装置101は、第1実施形態の図1と異なり、撮像装置101の環境を測定するセンサ3401を備える。センサ3401は、例えば、温度センサ及び湿度センサである。メタデータ設定部105は、センサ3401から出力されるセンサデータ(温度情報及び湿度情報)を取得し、画像データにメタデータとして付加する。
図35は、第6実施形態に係るキャリブレーション情報による補正処理を組み込んだ現像処理の一例を示すフローチャートである。図35のフローチャートは、第1実施形態の図13と異なり、ステップS1302の直後にステップS3501が挿入されている。画像処理部110は、メタデータから取得されたキャリブレーション情報(温度情報及び湿度情報)を解析する(ステップS3501)。具体的には、画像処理部110は、例えば、温度及び湿度と変調器102の膨張との関係を定義した数式あるいはデータを用いて、キャリブレーション情報が示す温度及び湿度のときの変調器102の膨張率αを算出する。ステップS1303では、画像処理部110は、現像用格子パターンをα倍に拡大する補正を行う。
図36は、第6実施形態に係る画像データの構成の一例を示す図である。本実施形態の送信画像データは、パラメータ値3601,3602を含む。パラメータ値3601は、温度情報である。パラメータ値3602は、湿度情報である。
なお、本実施形態では、温度センサと湿度センサの両方を用いているが、一方のみを用いてもよい。
[第7実施形態]
第7実施形態は、撮像装置101が画像を現像する点で第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図37は、第7実施形態に係る撮像システムの構成の一例を示す図である。撮像装置101は、第1実施形態の図1と異なり、画像処理部3701を有する。画像処理部3701は、画像センサ103から出力される画像データを取得し、この画像データに対して、現像用格子パターンを生成して掛け合わせ、2次元FFT演算を行う(図13のステップS1303〜S1305と同様の処理を実行する)。メタデータ設定部105は、画像処理部3701で用いた現像用格子パターンの情報をメタデータとして設定する。データ送信部106は、画像処理部3701から出力される画像データと、当該画像データに付与されたメタデータを取得し、送信画像データとして現像装置107に送信する。
本実施形態には、さらに、第2実施形態及び第3実施形態の少なくとも一方を変形して組み合わせる。すなわち、本実施形態では、撮像装置101において2次元FFT演算が実行された後の画像データに対して、現像装置107においてフォーカス調整あるいは距離情報の取得を実行する。2次元FFT演算を実行した後の画像データに対するフォーカス調整と距離測定の原理について説明する。
第3実施形態で説明した式(15)に関して、w=rmだった場合を考えると、式(15)は、
となる。h(r
m、r
m)は、焦点が合っている場合のPSFなので、点光源と同じである。そのため、式(20)は、
と表すことができる。つまり、現像後の画像であっても、適切なPSFを掛け合わせることで、任意の位置に焦点を合わせた画像を作成することが可能である。また、任意の位置に焦点を合わせた画像を作成することができるならば、DFDを用いた距離情報の算出が可能となる。
なお、式(21)からも分かるように、現像後の画像から任意の位置に焦点を合わせた画像を作成するPSFを求めるためには、現像に用いた格子パターンの情報が必要である。そのため、本実施形態では、現像に用いた格子パターンの情報がメタデータとして画像データに付加される。
図38は、第7実施形態に係るフォーカス位置を調整した現像処理の一例を示すフローチャートである。図38のフローチャートは、第2実施形態の図18と異なり、ステップS1303〜S1305の処理に替えて、ステップS3801〜S3802の処理が挿入されている。画像処理部110は、ステップS1801でフォーカス位置設定部1701により設定されたフォーカス位置の画像を現像するためのPSFを生成する(ステップS3801)。また、画像処理部110は、送信画像データに含まれる画像データにPSFを掛け合わせる(ステップS3802)。
図39は、第7実施形態に係る距離計測処理の一例を示すフローチャートである。図39のフローチャートは、第3実施形態の図21と異なり、ステップS1303〜S1305の処理に替えて、ステップS3901〜S3902の処理が挿入されている。画像処理部110は、S2101で距離計測部2001により設定されたフォーカス位置の画像を現像するためのPSFを生成する(ステップS3901)。また、画像処理部110は、送信画像データに含まれる画像データにPSFを掛け合わせる(ステップS3902)。
図40は、第7実施形態に係る画像データの構成の一例を示す図である。本実施形態の送信画像データは、第1実施形態の図11と異なり、画像処理部3701で用いた現像用格子パターンに関するパラメータ値4001〜4004を、メタデータとして含む。メタデータ設定部105は、パラメータ値4001〜4004を、記憶装置から、ユーザから、あるいは画像センサ103や変調器102から取得する。また、実施形態3と同様にPSFに関する情報をメタデータとして付加してもよい。
なお、本実施形態には、第4実施形態を変形して組み合わせてもよい。すなわち、撮像装置101は、図23あるいは図27に示す構成に加えて、上述した画像処理部3701を有する。画像処理部3701は、2次元FFT演算の前に、時分割フリンジスキャンあるいは空間分割フリンジスキャンによるノイズ低減処理を実行する。
また、画像処理部3701で2次元FFT演算をしたデータは、複素振幅の情報を持っており、画像データとして記録する際は、直交形式や極形式で記録される。また、実部と虚部の両方のデータを記録しても良いし、どちらか一方のデータのみを記録してもよい。また、絶対値と位相を取るなど、何らかの処理を実行した後のデータを記録してもよい。
また、本実施形態では、画像処理部3701が、その信号処理内で現像用格子パターンを生成し画像データを作成しているが、これに限られない。例えば、格子基板102aの撮影用格子パターン104とは逆側に現像用格子パターンを印刷した変調器102を使用してもよい。この場合、画像処理部3701は、画像センサ103から出力された画像データ(モアレ縞画像)に対して、2次元FFT演算を実行する。
[第8実施形態]
第8実施形態は、送信画像データの構成が第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態のメタデータ設定部105は、撮影用格子パターン104に関する情報や画像センサ103に関する情報の替わりに、現像用格子パターンの画像データをメタデータとして設定する。データ送信部106は、画像センサ103から出力された画像データと、メタデータ設定部105によって当該画像データに設定されたメタデータ(現像用格子パターンの画像データ)とを、現像装置107に送信する。画像処理部110は、現像処理において、メタデータ抽出部109により抽出された現像用格子パターンの画像データを取得し、現像用格子パターンとして使用する。
図41は、第8実施形態に係る画像データの構成の一例を示す図である。本実施形態の送信画像データは、メタデータとしての現像用格子パターンの画像データ4101と、撮影用格子パターンで撮像された画像データ本体1109とを含む。画像データ4101は、例えば、撮影用格子パターンで撮像された画像データと同じデータが設定される。現像用格子パターンの画像データは、例えば、撮像装置101の記憶装置に予め設定されていてもよいし、ユーザにより設定変更されてもよい。
なお、画像データ4101には、現像用格子パターンの画像データそのものではなく、現像処理で使用される現像用格子パターンと理論的に生成した基準格子パターンとの差分を示す特徴量を記録してもよい。この場合、画像処理部110は、現像処理において、メタデータ抽出部109により抽出された特徴量を取得し、予め設定された基準格子パターンと取得した特徴量とに基づいて現像用格子パターンの生成を行う。
[第9実施形態]
第9実施形態は、現像装置107においてメタデータを管理する点で第1実施形態と異なる。なお、本実施形態には、キャリブレーションを行う第5実施形態及び第6実施形態、フリンジスキャンを行う第4実施形態の1つ以上を組み合わせることができる。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図42は、第9実施形態に係る撮像システムの構成の一例を示す図である。現像装置107は、第1実施形態の図1と異なり、メタデータ管理部4201を有する。メタデータ管理部4201は、各種パラメータ値を含むメタデータを記録した後述する各種テーブルを管理する。各種テーブルは、例えば、記憶装置に予め格納される。
メタデータ設定部105は、メタデータ管理部4201からメタデータを取得するために使用される識別子(メタデータID)を、メタデータとして設定する。メタデータ抽出部109は、送信画像データから抽出したメタデータIDを用いて、現像用格子パターンの生成に必要な情報、キャリブレーション情報、及びフリンジスキャンに必要な情報を、メタデータ管理部4201から取得する。画像処理部110は、メタデータ抽出部109により取得された情報を用いて、現像用格子パターンの生成、キャリブレーション情報を用いた補正処理、及びフリンジスキャンによるノイズ低減処理を含む現像処理を実行する。
図43は、第9実施形態に係るメタデータ情報管理テーブルの構成の一例を示す図である。メタデータ情報管理テーブルは、メタデータIDと、格子パターンIDと、キャリブレーションIDと、フリンジスキャンIDとを関連付けたレコードを格納する。格子パターンID、キャリブレーションID、及びフリンジスキャンIDは、それぞれ図44〜46に示すテーブルを参照するキーとして使用される。
図44は、第9実施形態に係る格子パターン情報管理テーブルの構成の一例を示す図である。格子パターン情報管理テーブルは、格子パターンIDと、パターン種別と、ピッチ係数と、透過率分布係数と、Duty比と、画像センササイズとを関連付けたレコードを格納する。
図45は、第9実施形態に係るキャリブレーション情報管理テーブルの構成の一例を示す図である。キャリブレーション情報管理テーブルは、キャリブレーションIDと、位置ずれに関する情報と、欠陥画素の情報とを関連付けたレコードを格納する。各レコードには、温度情報や湿度情報が関連付けられてもよい。
図46は、第9実施形態に係るフリンジスキャン情報管理テーブルの構成の一例を示す図である。フリンジスキャン情報管理テーブルは、フリンジスキャンIDと、フリンジスキャンの方式(時分割又は空間分割)と、フリンジスキャンに使用される画像の枚数と、各画像の初期位相及び画像データあるいは領域データとを関連付けたレコードを格納する。
図47は、第9実施形態に係る画像データの構成の一例を示す図である。本実施形態の送信画像データは、メタデータID4701と、撮影用格子パターンで撮像された画像データ本体1109とを含む。
メタデータ管理部4201は、メタデータ情報管理テーブルを参照し、メタデータ抽出部109から入力されたメタデータIDに関連付けられた格子パターンID、キャリブレーションID、及びフリンジスキャンIDを特定する。また、メタデータ管理部4201は、少なくとも、格子パターン情報管理テーブルを参照し、特定した格子パターンIDに対応するレコードの情報を、メタデータ抽出部109に出力する。メタデータ管理部4201は、キャリブレーション情報管理テーブルを参照し、特定したキャリブレーションIDに対応するレコードの情報を、メタデータ抽出部109に出力してもよい。メタデータ管理部4201は、フリンジスキャン情報管理テーブルを参照し、特定したフリンジスキャンIDに対応するレコードの情報を、メタデータ抽出部109に出力してもよい。メタデータ抽出部109は、このようにして各種のパラメータ値を取得することができる。
なお、メタデータ設定部105は、メタデータIDに加えて、格子パターンID、キャリブレーションID、及びフリンジスキャンIDの少なくとも1つを、メタデータとして設定してもよい。この場合、メタデータ管理部4201は、メタデータ抽出部109から入力された格子パターンID、キャリブレーションID、あるいはフリンジスキャンIDを用いて、格子パターン情報管理テーブル、キャリブレーション情報管理テーブル、あるいはフリンジスキャン情報管理テーブルから、情報を取得する。
なお、上述した各種テーブルの構成は一例であり、図示した例に限定されない。例えば、上述の4つのテーブルは、一つのテーブルにまとめて構成されてもよい。
本実施形態によれば、現像用格子パターンを生成するためのメタデータが現像装置107で管理されるため、現像装置107でメタデータが管理されている画像データ以外の画像データの現像を制限することができる。また、送信画像データのデータサイズを小さくすることができる。
[第10実施形態]
第10実施形態は、撮像装置101が画像データを保持することのできる記憶装置を備える点で第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図48は、第10実施形態に係る撮像システムの構成の一例を示す図である。撮像装置101は、画像記憶部4801を有する。画像記憶部4801は、フラッシュROMやHDDなどの記録装置で実現することができる。画像記憶部4801には、画像センサ103から出力された1枚以上の画像データが保存される。また、画像記憶部4801の各画像データは、メタデータ設定部105によりメタデータが付加され、所定のファイルフォーマットで保存される。例えば、メタデータは、独自の画像ファイルフォーマットのヘッダ情報として記録されてもよいし、既存のファイルフォーマットのヘッダ情報として記録されてもよい。既存のファイルフォーマットのヘッダ情報としては、例えば、Exif(Exchangeable Image File Format)のメーカーノート、mpeg4の拡張メタデータ、ファイルシステムの拡張メタデータ、などを利用できる。
データ送信部106は、所定のタイミング、例えば、撮像装置101が現像装置107に接続されたタイミング、接続されている状態でユーザの指示を受け付けたタイミングなどで、画像記憶部4801から送信画像データを1枚ずつ取得して現像装置107に送信する。これにより、現像装置107は、第1〜第9実施形態のように撮像されたタイミングではなく、任意のタイミングで画像を現像することができる。
なお、現像装置107に画像記憶部を設けてもよい。この場合、現像装置107は、例えばユーザから現像の指示を受け付けるまで、画像記憶部に送信画像データを保存しておくことができる。
[第11実施形態]
第1実施形態では、撮像装置101がメタデータを含む送信画像データを現像装置107に送信する場合を説明している。しかし、メタデータを含まない送信画像データを現像装置107に送信する撮像装置も想定することができる。第11実施形態の現像装置107は、メタデータを送信しない撮像装置と接続された場合にも対処可能な構成を備える。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図49は、第11実施形態に係る現像処理の一例を示すフローチャートである。図49のフローチャートは、第1実施形態の図13と異なり、ステップS1301の後に、ステップS4901〜S4903の処理が挿入されている。メタデータ抽出部109は、受信された送信画像データにメタデータが含まれるか否かを判定する(ステップS4901)。メタデータが含まれると判定した場合(ステップS4901:YES)、メタデータ抽出部109は、処理をステップS1302に進める。メタデータが含まれないと判定した場合(ステップS4901:NO)、メタデータ抽出部109は、ユーザにメタデータを要求する(ステップS4902)。例えば、メタデータ抽出部109は、現像装置107の備えるディスプレイあるいは通信装置を介してGUI(Graphical User Interface)画面を表示することで、ユーザにメタデータが必要であることを通知する。それから、メタデータ抽出部109は、ユーザからメタデータを取得する(ステップS4903)。例えば、メタデータ抽出部109は、入力装置あるいは通信装置を介してユーザからメタデータの入力を受け付ける。メタデータ抽出部109は、予め設定されているメタデータを記憶装置から取得してもよい。それから、メタデータ抽出部109は、処理をステップS1302に進める。ステップS1302では、メタデータ抽出部109は、送信画像データからメタデータを抽出するか、ステップS4903で取得したメタデータを使用する。
[第12実施形態]
第1〜第11実施形態では、撮像装置101と現像装置107とが接続される構成を説明している。第12実施形態では、現像装置107を省略し、撮像装置101が現像処理を行う構成を説明する。メタデータの設定及び抽出の両方が撮像装置101内で実行される。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図50は、第12実施形態に係る撮像システムの構成の一例を示す図である。撮像システムは、撮像装置101のみを備える。撮像装置101は、画像表示部111と接続されている。撮像装置101は、データ送信部106が省略され、メタデータ設定部105と、画像記憶部4801と、メタデータ抽出部109と、画像処理部110とを有する。
メタデータ設定部105及び画像記憶部4801は、第10実施形態の図48と同様である。メタデータ抽出部109及び画像処理部110は、第1実施形態の図1では現像装置107が備える機能と基本的に同様であるが、異なる点は次のとおりである。画像処理部110は、所定のタイミング、例えば、撮像が実行されたタイミング、ユーザの指示を受け付けたタイミングなどで、画像記憶部4801から送信画像データを取得して、現像処理を行う。メタデータ抽出部109は、現像処理対象の送信画像データからメタデータを抽出する。また、画像処理部110は、現像した画像を画像表示部111に出力する。
以上、本発明について複数の実施形態を用いて説明した。もちろん、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD(Digital Versatile Disk)等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
本発明は、撮像装置、現像装置、及び撮像システムに限られず、撮像方法、現像方法、コンピュータ読み取り可能なプログラム、などの様々な態様で提供できる。