JP6806328B2 - 電子装置 - Google Patents

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Description

本発明は、フレキシブルな電子装置に関する。
人体との親和性に優れたウェアラブルデバイスの開発が近年注目を集めている。衣類や寝具にデバイス機能を付与することで、日常環境の中で簡便且つ詳細な健康や安全管理が可能になる。ウェアラブルデバイスの開発では、デバイスとしての性能だけでなく、衣類のような着心地で身に着けることができること、衣類と同じように扱うことができることが重要である。最近ではゴムやカーボンナノチューブ(以下、CNTとも称する。)といった柔軟な素材でできたセンサーの開発が進み、トランジスタのような制御回路への柔軟性の要求も高まっている。
しかしながら、従来のトランジスタには、半導体材料であるシリコンやGaAs、絶縁材料であるSiO2やAl2O3、導体である金属などが用いられており、これらの材料はすべて硬く、曲げたり伸ばしたりすることができない。このためトランジスタに衣類のような柔軟性を付与し、丸めたり、折り畳んだり、圧力や衝撃を加えても壊れない丈夫さを両立することは困難であった。トランジスタに柔軟性を持たせる方法としては、従来のトランジスタを波型形状や網目形状に加工する方法と、有機分子やナノカーボンのような柔軟な素材を用いる方法がある。前者については、特定の方向、成分の機械的負荷のみを許容できるため、機械的負荷が複雑になるほど、複雑な構造設計が必要になることが欠点であった。後者については、チャネルならびにゲート絶縁膜の選択がボトルネックとなり、ゴムや衣類のような柔軟性を示す材料のみという組み合わせの実施例はほとんどない。
例えば、中心部位から炭素繊維が三次元的(放射状)に延びているCNTをエラストマー中に配合すると、上記特定のCNTが、その三次元的な形状に由来し、エラストマー中で均一に分散する結果、エラストマー全体に連続的な導電路(導電パス)が形成され、導電性に優れる柔軟電極が実現されている(特許文献1)。
また、CNT、イオン性液体、及びイオン性液体と混和性を有するゴムからなるカーボンナノチューブゴム組成物を含むカーボンナノチューブ複合材料や導電材料は、電子回路の構成材料として用いるのに十分な1S/cm以上の導電率と10%以上の伸長率を有し、フレキシブルエレクトロニクスの実現が可能となる伸長可能なエレクトロニクスデバイスに配線として用いられていた(特許文献2)。
特開2008−198425号公報 国際公開第2009/102077号
半導体としての性質を示すポリマー材料も存在するが、繊維やエラストマーと比較して、弾性率が高く、伸縮性が低い。フレキシブルな電子装置の実現にはさらなる改良が必要である。
また、半導体装置をアッセンブルする工程においては、各部材の選択性と整合性(各部材の加工ならびに半導体装置をアッセンブルする工程で、各部材に熱・薬品・プラズマによるダメージを与えないこと)が要求される。しかし、エラストマーをはじめとするポリマー類は熱・薬品・プラズマに対する耐性が一般的に低いため、伸縮性材料のみで半導体装置をアッセンブルすることが可能な材料とプロセスの組み合わせを見つけることは困難である。
本発明は上述した問題を解決するものであって、優れた柔軟性と、機械的な負荷に対する耐性を併せ持つ電子装置を提供することを課題とする。
本発明の一実施形態によると、ヤング率が10MPa以下、弾性限界ひずみ量が1%以上を備え、且つ、外部からの機械的な負荷として、引張り;100%以下、曲げ;基材の厚さをtとしたときに、r=t以上、ねじり;180度以下に対して耐性を備える電極及び/又は接続体を備える電子装置が提供される。
前記電子装置は基材又は接続体を備え、前記基材はエラストマーを備え、前記電極は導電性フィラーを含有するエラストマー複合材料を備えてもよい。
本発明の一実施形態によると、ヤング率が10MPa以下、弾性限界ひずみ量が1%以上を備え、且つ、外部からの機械的な負荷として、引張り;100%以下、曲げ;基材の厚さをtとしたときに、r=t以上、ねじり;180度以下に対して耐性を備えるトランジスタを備え、前記トタンジスタのオン/オフ比が10以上を維持することを特徴とする電子装置が提供される。
前記電子装置は、基材、電極、ゲート絶縁膜及びチャネルを備え、前記基材は前記エラストマーを備え、前記電極は導電性フィラーを含有するエラストマー複合材料を備え、前記ゲート絶縁膜はエラストマー又はイオンゲルを備え、前記チャネルはネットワーク構造を備える半導体型カーボンナノチューブを備えてもよい。
前記電子装置は基材を備え、前記基材は、ヤング率;1000MPa以下、弾性限界ひずみ量;1%以上のエラストマーを備えてもよい。
前記電子装置は電極を備え、前記電極は、ヤング率;1000MPa以下、弾性限界ひずみ量;1%以上を備え、且つ、電気抵抗率が10−2Ωcmよりも小さい部材を備えてもよい。
前記電極は、高アスペクト比の形状を有する導電性フィラーをエラストマーに含有する複合材料を備えてもよい。
前記導電性フィラーは、カーボンナノチューブ、金属ナノワイヤー、金属ナノ粒子、及び金属ナノフレークの群から選択されるいずれか1つであってもよい。
前記電子装置はゲート絶縁膜を備え、前記ゲート絶縁膜は、ヤング率;1000MPa以下、弾性限界ひずみ量;1%以上、チャネルのキャリア密度を変化させるのに十分な比誘電率;1以上を備え、且つ電気抵抗率が10Ωcm以上もしくは電気二重層を形成する部材を備えてもよい。
前記ゲート絶縁膜部材は、電極との界面に電気二重層を形成するイオンゲル又はエラストマーであってもよい。
前記電子装置は、チャネルを備え、前記チャネルは、前記チャネルにかかるひずみが、電極、ゲート絶縁膜、及び基材にかかるひずみより小さい部材を備えてもよい。
前記チャネルは、一次元構造が二次元的に分布するネットワーク構造の半導体型カーボンナノチューブを備えてもよい。
前記何れかに記載の電子装置が、フレキシブル媒体に設けられてもよい。
前記フレキシブル媒体は、繊維媒体、表示媒体、紙媒体及びゴム媒体の群から選択されるいずれか1つであってもよい。
優れた柔軟性と、機械的な負荷に対する耐性を併せ持つ電子装置が提供される。
本発明の一実施形態に係るトップゲート型半導体装置の断面図である。 本発明の一実施例に係るボトムゲート型半導体装置の断面図である。 本発明の一実施例に係るサイドゲート型半導体装置の断面図である。 本発明の一実施例に係る電極又はコンタクト部材を備える電子装置を示す図である。
以下、図面を参照して本発明に係る電子装置について説明する。なお、本発明の電子装置は、以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態及び後述する実施例で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電子装置を示す模式図である。なお、本実施形態においては、トップゲート型半導体装置を例に説明するが、本発明はこれに限定されず、後述するように、ボトムゲート型半導体装置やサイドゲート型半導体装置を備える電子装置にも適用することができる。
本発明の一実施形態に係る電子装置は、ヤング率が10MPa以下、弾性限界ひずみ量が1%以上を備える。また、本発明の一実施形態に係る電子装置は、外部からの機械的な負荷として、引張り;100%以下、曲げ;基材の厚さをtとしたときに、r=t以上、ねじり;180度以下に対して耐性を備える電極及び/又は接続体を備える。
図1は、トップゲート型半導体装置100の断面図を示す。半導体装置100は、基材101と、ソース電極111と、ドレイン電極113と、ゲート電極115とを備える。ゲート電極115は、ゲート絶縁膜121を介して、ソース電極111とドレイン電極113との上層に配置される。本実施形態において、ソース電極111とドレイン電極113とは、ゲート絶縁膜121が配置される基材101の第1の面に配置され、且つ、ソース電極111とドレイン電極113とは基材101に陥入し、ソース電極111とドレイン電極113とは基材101と同一の面でゲート絶縁膜121と接する。また、基材101とゲート絶縁膜121との間には、チャネル131が配置される。
[基材]
一実施形態において、基材101には、ヤング率が1000MPa以下、弾性限界ひずみ量が1%以上のエラストマーを用いることができる。エラストマーは、優れた変形能を有し、本発明に係る電子装置100に求められる柔軟性を得られるため、好ましい。また、電子装置100は、基材に替えて、他の部材に接続させるための接続体を備えてもよい。接続体は、他の部材に接続するための接着性や粘着性を備えてもよい。
本発明に係る電子装置100の基材101に適用可能なエラストマーとしては、柔軟性、耐久性の点で、例えば、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレン、ウレタンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)から選ばれる一種以上が挙げられる。また、上記の群より選ばれる一種以上を架橋してもよい。
[電極]
一実施形態において、ソース電極111、ドレイン電極113及びゲート電極115には、ヤング率が1000MPa以下、弾性限界ひずみ量が1%以上を備え、且つ、配線と電極の合計した抵抗値が、半導体のオン抵抗よりも十分に小さい導電材料が適している。電極に用いる部材としては、電気抵抗率が10−2Ωcmよりも小さい部材が好ましい。電極は導電性フィラーを含有するエラストマー複合材料で構成される。例えば、網目構造のCNTとエラストマーとの複合物、ナノカーボン材料とエラストマー、樹脂又は金属などとの複合物を電極の材料として用いることができる。網目構造のCNTとエラストマーのとの複合物の具体例としては、CNTとフッ素ゴムの複合材料がある。またナノカーボン材料とエラストマー、樹脂または金属などの複合物の具体例としては、CNTと銀フレークとフッ素系ポリマーの複合材料がある。
また、導電性フィラーとしては、高アスペクト比の形状を有する導電性フィラーが好ましい。ここで、「高アスペクト比の形状」とは、長辺と短辺の比が大きく、針状もしくは繊維状もしくはフレーク状の形状である。高アスペクト比の形状を有する導電性フィラーは、エラストマーに含有されたときに、網目もしくはネットワーク状の構造を形成するため、エラストマーの伸縮性を保持することに適している。よって伸縮下での導電パスを維持するには、高アスペクト比の形状をもつ導電性フィラーが好ましい。導電性フィラーとしては、カーボンナノチューブ、金属ナノワイヤー、金属ナノ粒子、及び金属ナノフレークの群から選択されるいずれか1つが挙げられる。
[ゲート絶縁膜]
一実施形態において、ゲート絶縁膜121には、ヤング率が1000MPa以下、弾性限界ひずみ量が1%以上を備え、且つ、ゲート電圧印加時に半導体の抵抗値を増減させるのに十分な誘電率を有する誘電体が適している。チャネルのキャリア密度を変化させるのに十分な比誘電率とは、1以上の比誘電率である。また、ゲート絶縁膜121に用いる誘電体は、電気抵抗率が10Ωcm以上もしくは電極との界面で電気二重層を形成する部材が適している。
このような誘電体としては、例えば絶縁性を有するエラストマー、繊維材料、イオンゲルが適している。ゲート絶縁膜121の誘電率は、1より大きいことが好ましく、2より大きいことが好ましく、4より大きいことが好ましく、10より大きいことが好ましく、50より大きいことが好ましい。
ゲート絶縁膜121には、自立膜としての取扱いが可能な機械的強度を備えたイオンゲルが好ましい。ゲート絶縁膜121としては、例えば、共重合体ポリマーにイオン液体を含浸させた材料を用いることができる。具体的には、共重合体ポリマー(poly(vinylidene fluoride-co-hexafluoropropylene)、イオン液体(1-ethyl-3-methylimidazolium, bis(trifluoromethylsulfonyl)imide, EMIM-TFSI)等を挙げることができる。
[チャネル]
一実施形態において、チャネル131は、ヤング率が1000MPa以下、弾性限界ひずみ量が1%以上を備える、もしくは、一次元構造を備える物質であり、且つ、その一元構造が二次元的に分布するネットワーク構造を形成する。チャネル131を構成する部材が二次元的構造(一実施形態において薄膜)を備えることで、チャネル131にかかる機械的負荷は、三次元的構造を備える電極や基材と比較して小さい。すなわち、ネットワーク構造を有することにより、チャネル131は機械的負荷を緩和することができる。チャネル131には、例えば、ネットワーク構造を備える半導体型CNT、ナノワイヤー、ナノロッドなどの一次元ナノスケール物質を用いることができる。チャネル131には、一次元構造備え、ネットワーク構造を形成する半導体型の単層CNTを95%以上備える材料を用いることが好ましい。
エラストマーや繊維は、小さい力で曲げたり、伸ばしたりすることができ、圧力や衝撃を吸収緩和することができる。弾性ひずみ量が大きく、数%以上(最大で100%以上)のひずみを加えても、破壊せずに元の形状に回復することができる。本発明に係る電子装置100は、エラストマーや繊維と機械的特性が近い材料のみで構成されている。このため曲げ、引張り、ねじり、圧縮、衝撃、集中荷重、繰り返し荷重といったあらゆるタイプの機械的負荷に対して、エラストマーや繊維のような弾性的変形挙動を示し、圧力や衝撃を吸収緩和することができる。
また、電子装置100は、1軸の機械的負荷だけではなく、2軸もしくは3軸の負荷に対しても柔軟である。また1つの負荷成分だけでなく、数種類の負荷成分が混合している場合にも、柔軟性を維持することができる。
電子装置100は、エラストマーや繊維に近い弾性定数(ヤング率)と限界弾性ひずみ量をもつ材料のみで構成されているため、機械的負荷を加えた際に、各部材間でのひずみ量の違いを抑制することができる。このため全ての部材が一体化して変形することができる。同様に、各部材界面でのひずみや応力集中を抑制する効果があるため、界面ならびに界面近傍での剥離や破壊が抑制される。このため様々な機械的負荷(曲げ、引張り、ねじり、圧縮、衝撃、集中荷重、繰り返し荷重)に対して高い許容量を示す。
機械的特性が異なる部材間の界面は剥離や破壊の拠点になりやすいため、柔らかく、伸縮性が高い半導体装置や電極の設計において、界面ならびに界面近傍での整合性や安定性は重要である。例えば金属やセラミックのように硬く伸縮しにくい材料と、エラストマーや繊維のような伸縮性に優れた材料の界面では、引張りや曲げのような機械的負荷下でのひずみ量の違いが大きくなる。機械的特性が近い材料のみを使用することで、界面ならびにその近傍でのひずみや力の整合性、均一性を高めることができる。
電子装置100に用いる各部材は、エラストマーや繊維に近い機械特性を持つだけではなく、機械的負荷下において、弾性ひずみの領域では、電気特性が一定、もしくは一定の変化量で変化することが必要である。
電子装置100は、全ての部材が、エラストマーや繊維と近い機械的特性を持つ材料であるため、機械的負荷を許容するために装置の一部もしくは全体の構造設計に、波状構造や網目構造などの、ひずみを緩和するための構造を設ける必要がない。
電子装置100に機械的負荷が印加された場合、各部材のひずみエネルギーは、各部材の体積、ひずみ、応力に比例するため、占有体積の大きい基材や配線については、より高度な柔軟性を有することが好ましい。
電子装置100は、各部材の設計により伸長性を持つことが可能である。例えば、波型形状や網目形状の電子装置、もしくは微細化した電子装置をエラストマーに埋め込むことで、伸長性を持たない材料で、伸長性を有する電子装置を実現することができる。
[電極の導電性]
電子装置100において電極は、好ましくは0.01 S/cm以上、より好ましくは0.1 S/cm以上、さらいに好ましくは1 S/cm以上の導電性を有することが好ましい。導電性の上限は特にないが、導電性フィラーとして炭素材料を用いた場合、炭素材料の導電性10 S/cmを凌駕することはできない。導電性の下限は、電極と配線の抵抗値の合計が、半導体のオン抵抗よりも1桁以上低い値である。配線と電極の合計した抵抗値がチャネルのオン抵抗よりも小さい。
[ゲート絶縁膜の機械特性]
一実施形態において、ゲート絶縁膜121は、ヤング率が1000MPa以下、弾性限界ひずみ量が1%以上を備える。
上述した特徴を有する電子装置100は、オン電流が−50μA以下、オン/オフ比が10以上、好ましくは10以上である。
本発明に係る電子装置は、フレキシブル媒体に設けることができる。フレキシブル媒体は、繊維媒体、表示媒体、紙媒体及びゴム媒体の群から選択されるいずれか1つである。
[実施例1]
実施例1として、ソース電極111、ドレイン電極113、ゲート電極115及びチャネル131を同一面上に形成して構成される半導体装置(トランジスタ)を備える電子装置100を作製した。電子装置100は、ヤング率が10MPa以下、弾性限界ひずみ量が1%以上を備え、かつ外部からの機械的な負荷に対してトランジスタを構成するソース電極111、ドレイン電極113、ゲート電極115及びチャネル131が、引張;100%以下、曲げ;基材の厚さをtとしたときに、r=t以上、ねじり;180度以下に対して耐性を備え、トランジスタのオン/オフ比が10以上を維持した。なお、ヤング率と弾性限界ひずみ量は、島津社製精密万能試験機オートグラフ(AG-IS 10kN)を用いた引張試験の応力ひずみ曲線から求めた。トランジスタ性能はアジレント(現キーサイトテクノロジー)社製半導体アナライザー(4155C, 41501B)とレークショア社製低温用プローブステーション(TTP4 probe station)を用いて真空雰囲気下(<0.2Pa)で測定した。
電子装置100は、基材101としてシリコーンゴムを備え、電極として網目構造の単層CNTとゴムとの複合材料を備え、ゲート絶縁膜として、ヤング率;1000MPa以下、弾性限界ひずみ量;1%以上を備える。また、チャネル131はキャリア密度を変化させるのに十分な誘電率を有し、電極との界面に電気二重層を形成する、イオンゲルを備える。チャネル131として半導体型が95wt%以上の単層CNTを備える。
CNTエラスマー複合物構造体をソース電極111、ドレイン電極113及びゲート電極115として用いる場合、CNTは単層CNTが好ましい。単層CNTは優れた変形能を有するため、好ましい。イオンゲルをゲート絶縁膜121として用いた場合は、電極とゲート絶縁膜121との界面で電気二重層が形成されるため、ソース電極111、ドレイン電極113及びゲート電極115が同一面内に形成されるサイドゲート型構造も可能である。
[製造方法]
[工程1]電極用CNT複合膜の成膜
CNT複合膜の成膜法としては、スプレー、スピンコート、キャスト、ブレードコート等を用いることができる。本実施例においては、シリコン基板101上にCNT複合膜をスプレーコートにより成膜した。
[CNTの配合量]
CNTエラスマー複合物構造体のCNTの配合量は、CNT複合材料全体の重量を100重量%とした場合、0.001重量%以上40重量%以下である。下限は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは1重量%以上、更に好ましくは2重量%以上であり、上限は、好ましくは40重量%以下、より好ましくは15重量%以下、更に好ましくは8重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。本実施例においては、CNTとして、単層CNTを用い、エラストマーとして、フッ素ゴムを用い、CNTの配合量を8重量%としたが、CNTとエラストマー、CNTの配合量はこれに限らない。
[工程2]CNT複合物電極の加工
CNTエラスマー複合物構造体の加工方法としては、反応性イオンエッチング、集束イオンビーム、レーザー加工を用いることができる。反応性イオンエッチングによりCNTエラストマー複合構造体を加工する場合は、リソグラフィプロセスもしくはシャドウマスクプロセスにより、CNTエラスマー複合物構造体上にエッチングマスクを形成する。本実施例においては、リソグラフィプロセスによりCNT複合膜上にエッチングマスクを形成し、反応性イオンエッチングによりCNTエラスマー複合物構造体を加工し、電極構造を形成した。
[工程3]CNTエラスマー複合物構造体電極のエラストマー基板への転写
硬化(架橋)前の液状もしくはゲル状のエラストマーを、エラストマー以外の任意基板上のCNTエラスマー複合物構造体に塗布し、硬化によるひずみを利用して基板から剥離する。CNTエラストマー複合物構造体とエラストマー以外の基板との界面剥離が起こり易いように、剥離層を設けるか、エラストマー以外の基板表面の改質もしくはCNTエラストマー複合物構造体表面の改質により剥離を促進することは好適である。加熱による硬化を行なう場合、冷却速度を上げることで熱ひずみを増加させることは剥離の促進に好適である。本実施例においては、CNTとフッ素ゴムとの複合物構造体を、シリコン基板からシリコーンゴムに転写した。
[工程4]半導体製造装置のアッセンブル
エラストマー基板101もしくはソース電極111、ドレイン電極113及びゲート電極115に損傷を与えずに、ソース・ドレイン電極間に任意形状・サイズの半導体を形成することが可能である。また、ソース電極111、ドレイン電極113及びゲート電極115の位置制御が可能である。例えば、インクジェット印刷、スクリーン印刷、シャドウマスクプロセス、反応性イオンエッチング加工が可能である。本実施例においては、重量濃度95%以上が半導体型の単層CNTである水分散液を、シリコーンゴム基板内に埋め込んだCNTフッ素ゴム複合物のソース・ドレイン電極間へ、インクジェット印刷で塗布した。
[ゲート絶縁膜形成技術]
エラストマー基板101、ソース電極111、ドレイン電極113及びゲート電極115、チャネル131上に、各部材に損傷を与えずに、任意形状・サイズのゲート絶縁膜121を形成することが可能である。また、ゲート絶縁膜121の位置制御が可能である。例えば、インクジェット印刷、スクリーン印刷、シャドウマスクプロセス、反応性イオンエッチング加工、自立膜の貼り合せが可能である。本実施例においては、スピンコート成膜したイオンゲルをレーザー加工し、自立膜としてエラストマー基板101上のソース・ドレイン電極間に転写することで、ゲート絶縁膜121を形成した。
基材に用いたシリコーンゴムのヤング率は2.3MPaであり、弾性限界ひずみ量は57.5%であった。また、電極用のCNTとフッ素ゴムの複合材料は、ヤング率が83MPaであり、弾性限界ひずみ量が11%であった。また、ゲート絶縁膜121に用いたイオンゲルは、ヤング率が1.7MPaであり、弾性限界ひずみ量は36%であった。なお、ヤング率と弾性限界ひずみ量は、島津社製精密万能試験機オートグラフ(AG-IS 10kN)を用いた引張試験の応力ひずみ曲線から求めた。
(実施例2)
実施例2として、ボトムゲート型半導体装置200について説明する。図2は、ボトムゲート型半導体装置200の断面図を示す。半導体装置200は、基材201と、ソース電極211と、ドレイン電極213と、ゲート電極215とを備える。ソース電極211とドレイン電極213とは、ゲート絶縁膜221を介して、ゲート電極215の上層に配置される。本実施例において、ゲート電極215は、ゲート絶縁膜221が配置される基材201の第1の面に配置され、且つ、ゲート電極215は基材201に陥入し、ゲート電極215は基材201と同一の面でゲート絶縁膜221と接する。また、ソース電極211とドレイン電極213との間には、チャネル231が配置される。その他の構成については、上述した実施例1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
本実施例においては、電子装置として、優れた柔軟性と、機械的な負荷に対する耐性を併せ持つボトムゲート型半導体装置を実現することができる。
(実施例3)
実施例3として、サイドゲート型半導体装置300について説明する。図3は、サイドゲート型半導体装置300の断面図を示す。半導体装置300は、基材301と、ソース電極311と、ドレイン電極313と、ゲート電極315とを備える。ソース電極211とソース電極311と、ドレイン電極313と、ゲート電極315とは、基材301及びゲート絶縁膜221により絶縁される。本実施例において、ソース電極311と、ドレイン電極313と、ゲート電極315とは、ゲート絶縁膜321が配置される基材301の第1の面に配置され、且つ、ソース電極311と、ドレイン電極313と、ゲート電極315とは基材301に陥入し、ソース電極311と、ドレイン電極313と、ゲート電極315とは基材201と同一の面でゲート絶縁膜321と接する。また、ソース電極311とドレイン電極313とに接して、チャネル331が配置される。その他の構成については、上述した実施例1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
本実施例においては、電子装置として、優れた柔軟性と、機械的な負荷に対する耐性を併せ持つサイドゲート型半導体装置を実現することができる。
(実施例4)
実施例4として、電極又はコンタクト部材を備える電子装置400について説明する。図4は、電極又はコンタクト部材を備える電子装置400の断面図を示す。電子装置400は、基材401と、絶縁膜421と、導電部411と、を備える。導電部411は、絶縁膜421を介して基材401上に配置される。導電部411は電極又はコンタクト部材であり、絶縁膜421により基材401とは絶縁される。その他の構成については、上述した実施例1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
本実施例においては、電子装置として、優れた柔軟性と、機械的な負荷に対する耐性を併せ持つ電極又はコンタクト部材を備える電子装置を実現することができる。
本発明に係る電子装置は高導電性を備え、主表面の高い平坦性を有するためエレクトロニクスデバイスの配線や導電層として用いることができ、例えば、アクチュエータ、センサー、トランスデューサ等の電子機器や、太陽電池、有機EL等に用いることができる。
100:電子装置、101:基材、111:ソース電極、113:ドレイン電極、115:ゲート電極、121:ゲート絶縁膜、131:チャネル、200:電子装置、201:基材、211:ソース電極、213:ドレイン電極、215:ゲート電極、221:ゲート絶縁膜、231:チャネル、300:電子装置、301:基材、311:ソース電極、313:ドレイン電極、315:ゲート電極、321:ゲート絶縁膜、331:チャネル、400:電子装置、401:基材、411:導電部、421:絶縁膜

Claims (11)

  1. ヤング率が10MPa以下、弾性限界ひずみ量が1%以上を備え、且つ、
    外部からの機械的な負荷として、引張り;100%以下、曲げ;基材の厚さをtとしたときに、r=t以上、ねじり;180度以下に対して耐性を備えるトランジスタを備える電子装置であって
    前記電子装置は、基材と、電極と、ゲート絶縁膜と、を備え、
    前記電極は、ゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極と、を備え、
    前記トランジスタは、ソース電極とドレイン電極とに接して配置されたチャネルを備え、
    前記基材はエラストマーを備え、前記電極は導電性フィラーを含有するエラストマー複合材料を備え、前記ゲート絶縁膜はエラストマー又はイオンゲルを備え、前記チャネルはネットワーク構造を備える半導体型カーボンナノチューブを備え、
    前記トランジスタのオン/オフ比が10以上を維持することを特徴とする電子装置。
  2. 前記基材は、ヤング率;1000MPa以下、弾性限界ひずみ量;1%以上のエラストマーを備えることを特徴とする請求項に記載の電子装置。
  3. 前記電極は、ヤング率;1000MPa以下、弾性限界ひずみ量;1%以上を備え、且つ、電気抵抗率が10−2Ωcmよりも小さい部材を備えることを特徴とする請求項1又はに記載の電子装置。
  4. 前記電極は、高アスペクト比の形状を有する導電性フィラーをエラストマーに含有する複合材料を備えることを特徴とする請求項に記載の電子装置。
  5. 前記導電性フィラーは、カーボンナノチューブ、金属ナノワイヤー、金属ナノ粒子、及び金属ナノフレークの群から選択されるいずれか1つであることを特徴とする請求項に記載の電子装置。
  6. 前記ゲート絶縁膜は、ヤング率;1000MPa以下、弾性限界ひずみ量;1%以上、チャネルのキャリア密度を変化させるのに十分な比誘電率;1以上を備え、且つ電気抵抗率が10Ωcm以上もしくは電気二重層を形成する部材を備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一に記載の電子装置。
  7. 前記ゲート絶縁膜の部材は、電極との界面に電気二重層を形成するイオンゲル又はエラストマーであることを特徴とする請求項に記載の電子装置。
  8. 前記チャネルは、前記チャネルにかかるひずみが、電極、ゲート絶縁膜、及び基材にかかるひずみより小さい部材を備えることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一に記載の電子装置。
  9. 前記チャネルは、一次元構造が二次元的に分布するネットワーク構造の半導体型カーボンナノチューブを備えることを特徴とする請求項に記載の電子装置。
  10. 請求項1乃至の何れか一に記載の電子装置が、フレキシブル媒体に設けられることを特徴とする電子装置。
  11. 前記フレキシブル媒体は、繊維媒体、表示媒体、紙媒体及びゴム媒体の群から選択されるいずれか1つであることを特徴とする請求項10に記載の電子装置。
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