JP2015045623A - 静電容量型センサシート及び静電容量型センサ - Google Patents
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Abstract
Description
C=ε0εrS/d・・・(1)
ここで、Cはキャパシタンス、ε0は自由空間の誘電率、εrは誘電層の比誘電率、Sは電極層面積、dは電極間距離である。
このようなセンサシートでは、各検出部における静電容量の変化を測定することにより、
測定対象物の荷重分布を測定することができる。
また、隣接する検出部間のクロストークノイズにより静電容量が上乗せされた場合、静電容量型センサシートを変形させた際に、無変形の領域でも静電容量の変化が計測されその結果、検出精度が不充分になるとの問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、検出感度及び検出精度に優れた静電容量型センサシートを提供することにある。
上記検出部を複数箇所備え、
上記表側電極層上にエラストマー組成物(B1)からなる表側可撓層を介して上記検出部を覆うように形成された表側被覆電極層、及び/又は、上記裏側電極層上にエラストマー組成物(B2)からなる裏側可撓層を介して上記検出部を覆うように形成された裏側被覆電極層を備え、
上記検出部における静電容量の変化を計測するために用いられる
ことを特徴とする。
また、上記エラストマー組成物(B1)及び/又は上記エラストマー組成物(B2)もエラストマーがウレタンゴムであることが好ましい。
本発明の静電容量型センサシートと、
計測手段と、
上記静電容量型センサシートが備える表側電極層及び裏側電極層のそれぞれと、上記計測手段とを接続する外部配線とを備え、
上記静電容量型センサシートが有する検出部における静電容量の変化を計測することにより、伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布及び面圧分布のうちの少なくとも1つの測定することを特徴とする。
(第1実施形態)
図1(a)は、本発明の静電容量型センサシートの一例を模式的に示す上面図であり、図1(b)は、図1(a)に示した静電容量型センサシートのA−A線断面図であり、図2は、図1に示した静電容量型センサシートの分解斜視図である。
更に、表側電極層01A〜16Aの一端、及び、裏側電極層01B〜16Bの一端には、外部配線と接続するための表側接続部01A1〜16A1及び裏側接続部01B1〜16B1がそれぞれ設けられており、表側被覆電極層4Aの一辺の一部、及び、裏側被覆電極層4Bの一辺の一部には、それぞれ外部配線と接続するための被覆電極用接続部4A1、4B1がそれぞれ設けられている。
そして、上記表側電極層と裏側電極層とが表裏方向(誘電層の厚さ方向)で交差する部分が検出部C0101〜C1616となる。なお、検出部の符号「C○○△△」中、上2桁の「○○」は、表側電極層01A〜16Aに対応し、下2桁の「△△」は、裏側電極層01B〜16Bに対応する。
また、上記被覆電極層を備えることにより、外的環境ノイズ(例えば、静電気等)を遮断することができ、それにより、検出感度及び検出精度がより優れたものとなる。
更に、静電容量型センサシート1の最外層には、表側被覆電極層4A及び裏側被覆電極層4Bのそれぞれを覆うようにオーバーコート層5A、5Bが形成されている。
なお、本発明の説明においては、被覆電極層と表側電極層及び裏側電極層とを区別すべく、表側電極層及び裏側電極層の両者を合わせて計測用電極層と称することもある。
また、表側可撓層及び裏側可撓層の両者を合わせて単に可撓層と称することもあり、更には、表側被覆電極層及び裏側被覆電極層の両者を合わせて単に被覆電極層と称すこともある。
なお、本発明において、一軸引張りに耐えられる伸長率とは、JIS K 6251に準拠した引張り試験において、破断時伸び以下の伸長率であって、かつ、引張荷重を開放後元の状態に復元する伸長率をいい、例えば、一軸引張りに耐えられる伸長率が30%であるとは、一軸方向に30%伸長させた際に破断に至らず、かつ、引張荷重を開放した後に元の状態に復元する(即ち、弾性変形範囲にある)ことを意味する。
そのため、上記電極層がカーボンナノチューブを含む導電性組成物からなる場合には、上記静電容量型センサシートの伸長率は、上記誘電層の伸長率に依存することとなり、通常、誘電層の伸長率が200%を超えれば静電容量型センサシートの伸長率も200%を超えることとなる。
図3は、図1、2に示した静電容量型センサシートを用いた静電容量型センサの一例を示す模式図である。
静電容量型センサシート1の表側接続部01A1〜16A1のそれぞれは、複数(16本)の配線が結束された外部配線103を介して計測手段104と接続されており、また、裏側接続部01B1〜16B1のそれぞれは、複数(16本)の配線が結束された外部配線102を介して計測手段104と接続されている。
なお、外部配線は、図2に示すように表側電極層及び裏側電極層の片端にのみ接続されていればよいが、場合によっては両端に接続されていても良い。
このような静電容量型センサシートを備えた静電容量型センサもまた本発明の一つである。
また、上記静電容量型センサでは、被覆電極用接続部(被覆電極層)が接地されているが、本発明の静電容量型センサシートを用いる場合、被覆電極層は必ずしも接地されている必要はない。しかしながら、接地することにより、より確実にクロストークノイズによる静電容量の上乗せを低減することができる。
交流インピーダンスを用いた測定方法では、高い周波数信号を用いた測定でも繰返し精度に優れ、高い周波数信号を用いることで、インピーダンスが大きくなり過ぎないため計測精度をより高めることができるばかりでなく、静電容量計測に要する時間を短縮することができ、センサとしては時間あたりの計測回数を増加させることが可能となる。そのため、例えば、測定対象物の歪み(変形)を時間分解して計測することで、動きの速さなどを検知する測定も行うことができる。
そして、本発明に静電容量型センサは、高い周波数信号を用いた測定にも適している。
<誘電層>
上記誘電層は、シート状を有し、エラストマー組成物(A)からなる。なお、その平面視形状は特に限定されず、図1に示すように矩形状であってもよいし、円形状等の他の形状であってもよい。
上記エラストマー組成物(A)は、少なくともエラストマーを含有する。
上記エラストマーとしては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、水素添加ニトリルゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。
これらのなかでは、ウレタンゴム又はシリコーンゴムが好ましい。永久歪みが小さいからである。永久歪みが小さいと、繰り返し使用しても(例えば、1000回の伸縮を繰り返したとしても)初期静電容量(無負荷時の静電容量)が変化しにくく、静電容量型センサシートとして優れた測定精度を長期間に渡って維持することができる。
更に、カーボンナノチューブとの密着性に優れる点から、ウレタンゴムがより好ましい。
また、上記ウレタンゴムは、2種以上の上記ポリオール成分を併用したものであってもよい。
これらのなかでは、体積抵抗率が高い点からはオレフィン系ウレタンゴムが好ましく、伸長率が大きく、比誘電率が高い点からはエステル系ウレタンゴムやエーテル系ウレタンゴムが好ましい。
勿論、誘電層に付与すべき、体積抵抗率、伸長率及び誘電率を考慮して各種ウレタンゴムを混合することもできる。
また、上記エステル系ポリオールとしては、例えば、ポリライト8651(DIC株式会社製)等が挙げられる。
また、上記エーテル系ポリオールとしては、例えば、ポリオキシテトラメチレングリコール、PTG−2000SN(保土谷化学工業株式会社製)、ポリプロピレングリコール、プレミノールS3003(旭硝子株式会社製)等が挙げられる。
上記誘電フィラーを含有する場合、上記エラストマー組成物中におけるその含有量は、通常、0体積%より多く、25体積%以下程度である。
誘電フィラーの含有量が25体積%を超えると、誘電層の硬度が高くなったり、永久歪みが大きくなったりすることがある。また、誘電層の成形に際して硬化前の液粘度が高くなるため高精度の薄膜形成が難しくなることがある。
上記C硬さが10°未満では、誘電層が軟らかすぎるため高品質な加工が難しく、充分な測定精度を確保することができない場合があり、一方、55°を超えると、誘電層が硬すぎるため、測定対象物の変形荷重が小さい場合に測定対象物の変形動作を阻害してしまい、計測目的に対して測定結果がそぐわないおそれがある。
表側電極層及び裏側電極層は、ともに導電材料を含有する導電性組成物からなる。
上記表側電極層及び裏側電極層は通常同一の材料を用いて形成されるが、必ずしも同一材料を用いる必要はない。
上記導電材料としては、例えば、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンナノホーン、カーボンファイバー、導電性カーボンブラック、グラファイト、金属ナノワイヤー、金属ナノ粒子、導電性高分子等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上併用してもよい。
上記導電材料としては、カーボンナノチューブが好ましい。
更に、各カーボンナノチューブの形状(平均長さや繊維径、アスペクト比)も特には限定されず、静電容量型センサの使用目的、計測用電極層に要求される導電性や耐久性、更には計測用電極層を形成するための処理や費用を総合的に判断して適宜選択すればよい。
上記単層カーボンナノチューブの平均長さの下限は、10μmが好ましく、100μmがより好ましく、300μmがさらに好ましく、600μmが特に好ましい。一方、上記平均長さの上限は、700μmが好ましい。
特に、平均長さが100〜700μmの単層カーボンナノチューブを使用することにより、繰返し使用した際の電気抵抗のバラツキを顕著に抑制することができる。
カーボンナノチューブからなる計測用電極層の導電性を向上させる手法としては、一般に、電荷移動材料やイオン液体等の低分子材料をドーパントとして、計測用電極層にコーティング又は混合させる方法が考えられる。しかしながら、本発明の静電容量型センサシートが備える計測用電極層においてドーパントを使用した場合、ドーパントが誘電層や可撓層中に移行することが懸念され、例えば、誘電層中にドーパントが移行した場合、誘電層の絶縁性の低下(体積抵抗率の低下)や、繰り返し使用時の耐久性の低下が懸念され、その結果、測定精度が低下するおそれがある。
これに対し、カーボンナノチューブとして上記のような長尺のカーボンナノチューブを用いた場合には、ドーパントを使用しなくても計測用電極層に充分な導電性を付与することができるのである。
不純物を多量に含有する長尺の単層カーボンナノチューブを用いて計測用電極層を形成した場合、計測用電極層の導電性や伸長率が低下することがあり、また、計測用電極層の弾性率が上昇し、センサシートが硬くなり、その伸縮性が低下するおそれがあるからである。
この場合、計測用電極層において無伸長状態(0%伸長状態)での電気抵抗を低く抑えることができるとともに、繰返し使用した場合における測定結果のバラツキを抑えることができる。
ここで、上記単層カーボンナノチューブとしては、上述した長尺の単層カーボンナノチューブが好ましい。
一方、上記多層カーボンナノチューブは、2層カーボンナノチューブ(DWNT)であっても良いし、3層以上の多層カーボンナノチューブ(MWNT)であってもよい(本明細書では、両者を合わせて単に多層カーボンナノチューブと称する。)。
より好ましくは1〜5μmであり、更に好ましくは1〜3μmである。
上記繊維径が5nm未満では、多層カーボンナノチューブの分散が悪くなり、その結果導電パスが広がらず、導電性が不充分になることがあり、一方、15nmを超えると、同じ重量でもカーボンナノチューブの本数が少なくなり、導電性が不充分になることがある。
また、上記多層カーボンナノチューブのアスペクト比は、50〜2000が好ましい。
上記単層カーボンナノチューブの含有量が20重量%未満では、繰返し使用した際の測定値のバラツキが大きくなることがあり、一方、上記単層カーボンナノチューブの含有量が70重量%を超えると、電気抵抗(特に無伸長状態(0%伸長状態)での電気抵抗)が高くなることがある。
上記単層カーボンナノチューブの含有量の下限は、より確実に電気抵抗のバラツキを抑制することができる点から30重量%が好ましい。
上記バインダー成分を含有する場合、計測用電極層自体の強度を向上させることができ、計測用電極層の厚さが厚くてもその形状を維持し、計測用電極層に中割れやシワ等が発生することを防止することができる。また、誘電層や可撓層との密着性を向上させることもできる。
さらに、後述した方法で計測用電極層を形成する際に導電材料の飛散を抑制することができるため、計測用電極層形成時の安全性も高めることができる。
また、上記バインダー成分としては、生ゴム(天然ゴム及び合成ゴムの加硫させていない状態のもの)も使用することができ、このように比較的弾性の弱い材料を用いることで、誘電層の変形に対する計測用電極層の追従性も高めることができる。
溶解度パラメータ(SP値)の差が±1(cal/cm3)1/2以内であれば、誘電層や可撓層と計測用電極層との密着性が極めて優れたものとなり、繰返し使用時に両者の間で剥離が発生せず耐久性(長期信頼性)に優れたものとなるからである。
特に、上記バインダー成分と上記エラストマー組成物(A)、(B1)又は(B2)に含まれるエラストマーとは、同種のポリマーであることが好ましい。
δ=[ΣEcoh/ΣV]1/2・・・(1)
(式中、ΣEcohは凝集エネルギーを、ΣVはモル分子容を示す。)
さらに、上記伸長率及び上記硬さは、誘電層や可撓層の伸長率及び硬さと近似することが好ましいく、同一であることがより好ましい。
特に、上記バインダー成分は、上記エラストマー組成物(A)、(B1)又は(B2)に含まれるエラストマーと同一であることが好ましい。
ここで、上記計測用電極層が可塑剤を含有し、かつ、上記エラストマー組成物(A)や(B1)、(B2)もまた可塑剤を含有する場合には、両組成物において可塑剤濃度は同一であることが好ましい。誘電層や可撓層と計測用電極層と間での可塑剤の移行を防止し、これにより静電容量型センサシートにおける反りやシワの発生を抑制することができるからである。
上記バインダー成分の含有量は、より好ましい下限が30重量%であり、更に好ましい下限が50重量%である。一方、より好ましい上限は80重量%である。この範囲であれば、センサシートの柔軟性や伸縮性を阻害することのない膜厚(例えば、10μm以下)で、十分な導電性を確保することができるとともに、計測用電極層の厚さが厚くなっても(例えば、1μm以上)、計測用電極層の層内剥離(計測用電極層の中割れ)をより回避しやすくなるからである。
これに対して、上記平均厚さが0.1μm未満では、導電性が不足し、測定精度が低下するおそれがあり、一方、10μmを超えるとカーボンナノチューブ等に導電材料の補強効果により静電容量型センサシートが硬くなり、測定対象物への追従性が低下し、伸縮等の変形を阻害するおそれがある。
上記計測用電極層の平均厚さは、1〜10μmであることがより好ましい。
具体的には、誘電層の表面に積層された計測用電極層の厚さ方向を0.01μm刻みでスキャンし、その3D形状を測定した後、誘電層の表面に計測用電極層が積層されている領域及び積層されていない領域において、それぞれ縦200×横200μmの矩形領域の平均高さを計測し、その平均高さの段差を計測用電極層の平均厚さとする。
本発明の静電容量型センサシートを構成するエラストマー組成物からなる誘電層は、容易に透明な誘電層とすることもでき、上記計測用電極層の透明性を高めることにより、全体として透明な静電容量型センサシートとすることもできる。しかしながら、例えば、カーボンナノチューブを含む導電性組成物を用いて計測用電極層を形成する場合、カーボンナノチューブに対して高度な分散化処理や精製処理等の前処理が必要となり、計測用電極層の形成工程が煩雑となり経済的にも不利となる。
一方、計測用電極層の透明性は静電容量型センサシートとしての性能には影響しない。
そのため、静電容量型センサシートとして透明性が要求される場合には透明な計測用電極層(例えば、可視光(550nm光)透過率が85%以上)を形成すればよく、そうでない場合には不透明な計測用電極層を形成すればよく、不透明な計測用電極層の方が容易にかつ安価に製造することができる。
なお、透明な静電容量型センサシートとする場合には、可撓層や被覆電極層、オーバーコート層においても透明性(例えば、可視光(550nm光)透過率が85%以上)を確保する必要がある。
上記表側可撓層はエラストマー組成物(B1)からなり、上記裏側可撓層はエラストマー組成物(B2)からなる。また、上記表側可撓層及び裏側可撓層はともに、その平面視形状が上記誘電層と略同様であり、シート状を有している。
上記エラストマー組成物(B1)及び(B2)としては、それぞれ上記エラストマー組成物(A)として例示したエラストマー組成物と同様のエラストマー組成物を用いることができ、その好ましい組成も上記エラストマー組成物(A)と同様である。
また、上記エラストマー組成物(B1)及び(B2)は、両方又は一方がエラストマーとしてウレタンゴムを含有することが好ましい。エラストマーがウレタンゴムであるエラストマー組成物からなる可撓層は、計測用電極層や被覆電極層との密着性が極めて良好となるからである。
平均厚さ1μm未満の可撓層は、欠陥のなく、均一な層として形成することが困難であり、もし欠陥が生じた場合には、その欠陥を通じて計測用電極層と被覆電極層とが短絡してしまい静電容量型センサシートとして性能を確保することができない場合がある。更に、平均厚さが1μm未満では、計測用電極層と被覆電極層との距離が近すぎ、クロストークノイズは充分に除去されるものの、計測用電極層の導電性が不充分となり、結果として静電容量型センサシートの性能が不充分となることがある。特に、高い信号周波数で計測を行った際に計測誤差が大きくなるおそれがある。なお、計測用電極層の導電性が低くなるのは、計測用電極層と被覆電極層との間の静電容量が大きすぎるためである。
一方、上記可撓層の平均厚さが200μmを超えると、静電容量型センサシートの柔軟性や伸縮性が低下するとともに、計測用電極層と被覆電極層との距離が遠すぎ、クロストークノイズの除去能力が不充分となることがある。なお、クロストークノイズを充分に除去することができないのは、計測用電極層と被覆電極層との間の静電容量が小さすぎるためである。
勿論、上記可撓層の平均厚さは、上記範囲に限定される訳ではなく、誘電層の比誘電率や厚さ、可撓層の比誘電率、計測用電極層の寸法や本数などのパータン等に応じて適宜設計変更することができる。
上記表側被覆電極層及び上記裏側被覆電極層は、ともに導電材料を含有する導電性組成物からなる電極層であり、それぞれ表側可撓層及び裏側可撓層を介して検出部を覆うように形成されている。
上記導電性組成物としては、上記計測用電極層を構成する導電性組成物として例示したものと同様の導電性組成物が挙げられる。
上記被覆電極層もまた、静電容量型センサシートの変形に追従して変形するため、繰返し変形への耐久性に優れることが求められ、また、クロストークノイズをより確実に除去するために高い導電性が求められるからである。
また、上記被覆電極層を構成する導電性組成物は、上記計測用電極層を構成する導電性組成物と同様、バインダー成分等を含んでいてもよく、この場合、上記バインダー成分は、上記エラストマー組成物(B1)又は(B2)や、オーバーコート層に含まれるエラストマーと近いSP値を有するか、同種又は同一のポリマーであることが好ましい。
これに対して、上記平均厚さが0.1μm未満では、導電性の不足により、クロストークを除去する能力が不充分となる恐れがある。特に、高い信号周波数での計測においてクロストークノイズを充分に除去することができない場合がある。
一方、10μmを超えるとカーボンナノチューブ等の導電材料による補強効果により静電容量型センサシートが硬くなり、測定対象物への追従性が低下し、伸縮等の変形を阻害するおそれがある。
上記被覆電極層の平均厚さは、1〜10μmであることがより好ましい。
上記オーバーコート層は、その平面視形状が上記誘電層と略同様であり、シート状を有している。上記オーバーコート層を備えることにより、被覆電極層等を外部からの衝撃やゴミや埃から保護することができ、また、被覆電極層が外部の部材と導通することを抑制することができる。
また、例えば、オーバーコート層を接着性又は粘着性を有する層とすることで、測定対象物を静電容量型センサシートに貼り付けることができ、また、例えば、オーバーコート層の表面を摩擦係数の低い低μ表面層とすることもできる。
より具体的には、例えば、溶剤系インクであれば、主に溶剤、顔料、ビヒクル、及び、更に必要に応じて配合される補助剤からなる従来公知の溶剤系インクを使用すればよい。
ここで、上記溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、低沸点芳香族ナフサ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
また、上記顔料としては、カーボンブラック(ブラック)、銅フタロシアニン(シアン)、ジメチルキナクリドン(マゼンタ)、ピグメント・イエロー(イエロー)、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、ニッケル化合物等が挙げられるが、既に、種々の顔料が知られており、勿論上記したものに限定されるわけではない。
なお、本発明の静電容量型センサシートは、上記オーバーコート層を必ずしも備える必要はなく、上記オーバーコート層は本発明の静電容量型センサシートにおいて必須構成要件ではない。
また、本発明の静電容量型センサシートにおいて、オーバーコート層は表側又は裏側のいずれか一方にのみ形成されていてもよい。
その理由は、平均厚さ1μm未満のオーバーコート層は、欠陥のなく、均一な層として形成することが困難であり、もし欠陥が生じた場合には、その欠陥を通じて計測用電極層や被覆電極層が露出してしまい、これらを保護する役割を果たすことができない場合がある。
一方、上記オーバーコート層の平均厚さが100μmを超えると、静電容量型センサシートの柔軟性や伸縮性が低下することがある。
勿論、上記オーバーコート層の平均厚さは上記範囲に限定される訳ではなく、上述の通り、オーバーコート層には、印字された表面としたり、接着性や低μ性の表面とする等の付加機能を付与することが可能であるため、上記付加機能に応じて適宜設計変更することができる。
検出部C0101〜C1616は、図1にハッチングで示すように、表側電極層01A〜16Aと、裏側電極層01B〜16Bとが誘電層の表裏方向(厚さ方向)に交差する部分(重複する部分)に配置されている。検出部C0101〜C1616は、静電容量型センサシート1では、合計256個(=16個×16個)配置されている。検出部C0101〜C1616は、静電容量型センサシート1の略全面に亘って、略等間隔に配置されている。検出部C0101〜C1616は、それぞれ表側電極層01A〜16Aの一部と、裏側電極層01B〜16Bの一部と、誘電層2の一部とを備えている。
また、本発明の静電容量型センサシートは、伸長率が高く、1軸方向に30%以上繰り返し伸長させることが可能であり、柔軟な測定対象物の変形や動作に追従することが可能で、かつ伸縮変形や繰り返し変形に対する耐久性に優れ、例えば測定対象物の形をトレースしたり、測定対象物の動きを直接的に検知したりすること等ができる。
本発明の静電容量型センサシートの構成は、図1及び2に示した静電容量型センサシートの構成に限定されるわけではなく、例えば、図4に示したような構成を備えていてもよい。
図4は、本発明の静電容量型センサシートの別の一例を模式的に示す断面図である。
このように、本発明の静電容量型センサシートでは片面側にのみ被覆電極層が形成されていてもよく、この場合も同様の効果を奏し、その目的を達成することができる。
なお、静電容量型センサシート201では表側被覆電極層のみが形成されているが、静電容量型センサシートにおいて、片面側にのみ被覆電極層が形成されている場合には、裏側被覆電極層のみが形成されていてもよい。
ここで、両方を備えるか、又は、いずれか一方のみを備えるかは、静電容量型センサシートに要求される特性を考慮して適宜選択すればよい。
具体的には、クロストークノイズによる静電容量の上乗せをより確実に除去することができる点、及び、センサシートとしての測定精度により優れる点、からは表側被覆電極層及び裏側被覆電極層の両方を備えることが好ましく、一方、被覆電極層を形成しつつ計測用電極層の導電性を維持しやすい点、静電容量型センサシートの柔軟性を確保しやすい点、及び、静電容量型センサシートの薄型化を達成しやすい点、からは表側被覆電極層及び裏側被覆電極層のいずれか一方を備えることが好ましい。
図5(a)は、本発明の静電容量型センサシートの別の一例を模式的に示す上面図であり、(b)は、(a)のB−B線断面図である。
図5に示す静電容量型センサシート301は、シート状の誘電層302と、誘電層302の表面に積層された帯状の表側電極層01D〜16Dと、誘電層302の裏面に積層された帯状の裏側電極層01E〜16Eと、表側電極層01D〜16Dの一端と接続され、誘電層302の外縁部まで延設された表側配線01d〜16dと、裏側電極層01E〜16Eの一端と接続され、誘電層302の外縁部まで延設された裏側配線01e〜16eとを備える。
また、表側電極層01D〜16D上には表側可撓層303Aを介して積層された表側被覆電極層304Aを、裏側電極層01E〜16E上には裏側可撓層303Bを介して積層された裏側被覆電極層304Bを備え、さらに、表側被覆電極層304A上及び裏側被覆電極層304B上のそれぞれにはオーバーコート層305A、305Bが積層されている。
より具体的には、計測用電極層を形成する材料と同様の材料を用いて、線幅を細く、かつ、厚さが厚くなるように上記表側配線及び裏側配線を形成することにより、充分な導電性を確保しつつ、センサシートの伸縮性を損なわず追従することができ、計測用電極層と同様に繰返し伸張に耐えられる配線とすることができる。
これに対し、例えば、上記表側配線及び裏側配線が金属材料を用いて形成された場合には、配線を形成した部分の伸縮性が損なわれるおそれがあるため不利である。
例えば、図1、2に示した実施形態における静電容量型センサシート1では、表側電極層01A〜16A及び裏側電極層01B〜16Bの配置数を16個としているが、この配置数は特に限定されない。また、上記実施形態における表側電極層01A〜16Aと裏側電極層01B〜16Bの交差角度も特に限定されない。
なお、上記静電容量型センサシートが、表側被覆電極層及び裏側被覆電極層を備える場合、両者の形状は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
ここでは、図1、2に示した静電容量型センサシート1を例にその製造方法を説明する。
上記静電容量型センサシートは、例えば、
(1)誘電層、表側可撓層、裏側可撓層及びオーバーコート層をそれぞれ別々に形成する工程(以下、「工程(1)」ともいう)、
(2)カーボンナノチューブ等の導電材料及び分散媒等を含む電極層形成用塗布液を調製する工程(以下、「工程(2)」ともいう)、及び、
(3)誘電層、表側可撓層、裏側可撓層及びオーバーコート層を所定の順序で積層しつつ、所定の時期に電極層形成用塗布液を塗布、乾燥させることにより、電極層(計測用電極層又は被覆電極層)の形成を行う工程(以下、「工程(3)」ともいう)
を経ることより製造することができる。
以下、工程順に説明する。
本工程では、誘電層、可撓層(表側可撓層、裏側可撓層)及びオーバーコート層をそれぞれ別々に形成する。上記誘電層、上記可撓層及び上記オーバーコート層はいずれもエラストマーを含有する原料組成物をシート状に成形することにより形成することができる。
まず、原料組成物としてエラストマー(又はその原料)に、必要に応じて、誘電フィラー、可塑剤、鎖延長剤、架橋剤、加硫促進剤、触媒、酸化防止剤、老化防止剤、着色剤等の添加剤を配合した組成物を調製する。
具体的には、エラストマーがウレタンゴムである場合には、例えば、ポリオール成分、可塑剤及び酸化防止剤を計量し、加熱、減圧下において一定時間撹拌混合し、混合液を調製する。次に、混合液を計量し、温度を調整した後、触媒を添加しアジター等で撹拌する。その後、所定量のイソシアネート成分を添加し、アジター等で撹拌後、即座に混合液を図6に示す成形装置に注入し、保護フィルムでサンドイッチ状にして搬送しつつ架橋硬化させ、保護フィルム付きの所定厚みのロール巻シートを得る。そのあと、必要に応じて、さらに炉で一定時間架橋反応(後架橋)させることで、誘電層、可撓層(表側可撓層、裏側可撓層)及びオーバーコート層のいずれかとなるシート状物を製造することができる。
また、エラストマーがシリコーンゴムである場合には、シリコーンゴムと架橋剤とを混合した後、得られた混合物を図6に示した成形装置に投入し、硬化させることにより誘電層を製造することができる。
本工程では、カーボンナノチューブ等の導電材料及び分散媒等を含む電極層形成用塗布液を調製する。
具体的には、まず、導電材料をトルエン等の分散媒に添加する。このとき、必要に応じて、バインダー成分(又はその原料)、分散剤、その他各種添加剤等を添加してもよい。
次に、導電材料を含む各成分を湿式分散機を用いて分散媒中に分散(又は溶解)させることより電極層形成用塗布液を調製する。ここでは、例えば、超音波分散機、ジェットミル、ビーズミル、スターラーなど既存の分散機を用いて分散させればよい。
0.01重量%未満では、カーボンナノチューブの濃度が薄すぎて繰返し塗布する必要が生じる場合があり、一方、10重量%を超えると、塗布液の粘度が高くなりすぎ、また再凝集によりカーボンナノチューブの分散性が低下し、均一な電極層(計測用電極層、被覆電極層)を形成することが困難となる場合がある。
本工程では、誘電層、表側可撓層、裏側可撓層及びオーバーコート層を所定の順序で積層しつつ、所定の時期に電極層形成用塗布液を塗布、乾燥させることにより、電極層(表側電極層、裏側電極層、表側被覆電極層又は裏側被覆電極層)の形成を行う。
具体的には、例えば、
(3−1)工程(1)で形成したオーバーコート層(完成品において裏側のオーバーコート層5Bとなる)の片面の所定の位置に、エアブラシ等を用い、工程(2)で調製した電極層形成用塗布液を塗布して乾燥させることにより、裏側被覆電極層を形成する。このとき、必要に応じて、裏側被覆電極層を形成しない位置をマスキングしてから塗布液を塗布してもよい。
上記塗布液の乾燥条件は特に限定されず、分散媒の種類等に応じて適宜選択すればよい。
また、上記塗布液を塗布する方法は、エアブラシを用いた方法に限定されるわけではなく、その他、スクリーン印刷法、インクジエット印刷法等も採用することができる。
ここで、上記電極層形成用塗布液の塗布方法や乾燥条件としては、上記(3―1)と同様の方法を採用することができる。
また、例えば、図4に示したような片側にのみ被覆電極層を備えた静電容量型センサシートを製造する場合には、裏面被覆電極層及び裏面可撓層を形成する工程を削除すればよい。
上記プライマー溶液としては、例えば、上記エラストマー組成物(A)のトルエン希釈液等が挙げられる。
例えば、上述した方法により誘電層、可撓層(表側可撓層、裏側可撓層)及びオーバーコート層をそれぞれ作製した後、誘電層の表面には表側電極層及び裏側電極層を、表側可撓層の表面には表側被覆電極層を、裏側可撓層の表面には裏側被覆電極層を、それぞれ予め形成した後、表側電極層及び裏側電極層が形成された誘電層と、表側被覆電極層が形成された表側可撓層と、裏側被覆電極層が形成された裏側可撓層と、オーバーコート層とを所定の順で積層することにより静電容量型センサシートを製造してもよい。
また、例えば、上述した方法により誘電層、可撓層(表側可撓層、裏側可撓層)及びオーバーコート層をそれぞれ作製した後、オーバーコート層には被覆電極層(表側被覆電極層及び裏側被覆電極層のいずれか)を、表側可撓層には表側電極層を、裏側可撓層には裏側電極層を先に形成した後、表側被覆電極層又は裏側被覆電極層が形成されたオーバーコート層と、表側電極層又は裏側電極層が形成された可撓層と、誘電層とを所定の順で積層することにより静電容量型センサシートを製造してもよい。
即ち、上記静電容量型センサシートを製造する場合には、各電極層(表側電極層、裏側電極層、表側被覆電極層又は裏側被覆電極層)を、それと接する誘電層、可撓層及びオーバーコート層のいずれかに予め形成した後、各層を所定の順で積層してもよい。
水添水酸基末端液状ポリオレフィンポリオール(エポール、出光興産株式会社製)100質量部、アルキル置換ジフェニルエーテルを主成分とした高温用潤滑油(モレスコハイルーブLB−100、MORESCO社製)100質量部を計量し、自転公転ミキサー(THINKY社製)を用いて2000rpmで3分間撹拌混合した。次に、得られた混合物に触媒(Fomrez catalyst UL−28、Momentive社製)0.07質量部を添加し、自転公転ミキサーで1.5分間撹拌した。その後、イソホロンジイソシアネート(デスモジュールI、住化バイエルウレタン社製)11質量部を添加し、自転公転ミキサーで3分間撹拌し、1.5分間脱泡し、誘電層用の原料組成物を調製した後、これを図6に示した成形装置30に注入し、保護フィルムでサンドイッチ状にして搬送しつつ、炉内温度110℃、炉内時間30分間の条件で架橋硬化させ、保護フィルム付きの所定厚みのロール巻シートを得た。その後、80℃に調節した炉で12時間後架橋させたのち裁断し、オレフィン系ウレタンゴムを含むエラストマー組成物からなる150mm×150mm×厚さ50μmの誘電層を作製した。
ここで、破断時伸びは、JIS K 6251に準拠して測定した。
比誘電率は、20mmΦの電極でシート状の測定試料(誘電層)を挟み、LCRハイテスタ(日置電機社製、3522−50)を用いて計測周波数1kHzで静電容量を測定し、電極面積と測定試料の厚さから算出した。
(1)単層カーボンナノチューブ分散液
単層カーボンナノチューブとして、スーパーグロースCNT(繊維径の中央値が約3nm、成長長さ500μm〜700μm、アスペクト比約100,000、炭素純度99.9%、産業技術総合研究所提供)50mgをメチルイソブチルケトン24.95gに添加し、ジェットミル(ナノジェットパル JN10−SP003、常光社製)を用いて湿式分散処理を施し、さらにメチルイソブチルケトン25gを添加し、濃度0.1重量%の単層カーボンナノチューブ分散液を得た。
なお、カーボンナノチューブの成長長さとは、カーボンナノチューブを作製する際に成長基板上で成長したフォレストの高さをいい、実質的にカーボンナノチューブの平均長さに相当する。
多層カーボンナノチューブとして、ナノシル社製、NC7000(繊維径9.5nm、平均長さ1.5μm、アスペクト158、炭素純度90%)50mgをメチルイソブチルケトン24.95gに添加し、ジェットミル(ナノジェットパル JN10−SP003、常光社製)を用いて湿式分散処理を施し、さらにメチルイソブチルケトン25gを添加し、濃度0.1重量%の多層カーボンナノチューブ分散液を得た。
上記単層カーボンナノチューブ分散液と上記多層カーボンナノチューブ分散液とを30:70(重量比)で混合し、単層カーボンナノチューブ及び多層カーボンナノチューブの混合物からなるカーボンナノチューブ塗布液とした。
上述した誘電層の作製と同様の方法を用いて、オレフィン系ウレタンゴムを含むエラストマー組成物からなる層厚50μmの表側可撓層及び裏側可撓層を作製した。
上述した誘電層の作製と同様の方法を用いて、オレフィン系ウレタンゴムを含むエラストマー組成物からなる層厚50μmのオーバーコート層を作製した。
誘電層用の原料組成物と同配合の組成物をトルエンに溶解した0.1重量%トルエン溶液を調製し、これをプライマー溶液とした。
ここでは、下記の方法により、表側電極層及び裏側電極層における帯状電極の本数は異なるものの、図1、2に示した静電容量型センサシートと同様の層構成の静電容量型センサシートを作製した。
(1)オーバーコート層の片面に、上記カーボンナノチューブ塗布液(電極層材料)をエアブラシで塗布して乾燥させ、137mm×137mm×厚さ1μmの裏側被覆電極層を形成した。その後、裏側被覆電極層の1辺の端部に銅箔を貼り付けて被覆電極用接続部を形成した。
ここでは、オーバーコート層を出発材料とし、誘電層の片側にのみ被覆電極層を形成した以外は実施例1と同様の構成の静電容量型センサシートを作製した。
(1)オーバーコート層の表面に、上記カーボンナノチューブ塗布液(電極層材料)をエアブラシで塗布して乾燥させ、裏側電極層を形成した。裏側電極層は互いに平行に配置された帯状の電極層であり、平均厚さが約1μm、幅が10mm、長さが140mmのものを、5mm間隔で8本形成した。その後、各帯状電極の端部に銅箔を貼り付け裏側接続部を形成した。
ここでは、被覆電極層を備えていない静電容量型センサシートを作製した。
(1)オーバーコート層の表面に、上記カーボンナノチューブ塗布液(電極層材料)をエアブラシで塗布して乾燥させ、裏側電極層を形成した。裏側電極層は互いに平行に配置された帯状の電極層であり、平均厚さが約1μm、幅が10mm、長さが140mmのものを、5mm間隔で8本形成した。その後、各帯状電極の端部に銅箔を貼り付け裏側接続部を形成した。
実施例1、2及び比較例1で作製した各静電容量型センサシートにつき、センサシートの4辺を剛体フレームで固定した後、表側接続部及び裏側接続部のそれぞれを、リード線、端子台及びDIPスイッチを介してLCRメータ(日置電機株式会社製、LCRハイテスタ3522−50)と接続し、被覆電極用接続部をリード線を介してLCRメータのGND端子と接続し、静電容量型センサとした。
比較例1の静電容量型センサシートを用いて作製した静電容量型センサの実物写真を図7(a)に示した。
次に、図7(b)に示すように、センサシートの2箇所を先端にシリコーン樹脂製の球状(直径10mm)の当接部を備えたガラス棒で下側から押し込み、センサシートを変形させ、その状態における各検出部の静電容量を測定した。結果を3次元グラフにプロットした。なお、ガラス棒の押し込み量は、12.7mmとした。
図8には実施例1の静電容量型センサシートを用いた静電容量型センサの評価結果を、図9には実施例2の静電容量型センサシートを用いた静電容量型センサの評価結果を、図10には比較例1の静電容量型センサシートを用いた静電容量型センサの評価結果を、それぞれ3次元グラフで示した。
図8〜10のそれぞれにおいて、(a)は初期状態(未変形状態)における各検出部の静電容量を示し、(b)はセンサシートを変形させた際の各検出部の静電容量を示し、(c)はセンサシートを変形させた際の各検出部の静電容量の初期状態の静電容量に対する変化量を示す。
また、被覆電極層を形成することにより、検出感度及び検出精度が向上することが明らかとなり、特に、誘電層の両側に被覆電極層を形成することにより、誘電層の片側にのみ被覆電極層を形成した場合に比べて、検出感度及び検出精度がより向上することが明らかとなった。
上記評価1で使用した、実施例1で作製した静電容量型センサシートを用いた静電容量型センサにおいて、被覆電極用接続部をGND端子と接続せず、この状態で初期状態の静電容量、及び、変形時の各検出部における静電容量を測定した。なお、センサシートの変形条件は上記評価1と同条件とした。結果を3次元グラフにプロットし、図11に示した。
また、被覆電極層は接地することにより、測定精度が向上することも明らかとなった。
そして、本発明の静電容量型センサシートを用いた静電容量型センサは、例えば、柔軟物の形状をトレースするためのセンサや、人など測定対象物の動きを計測するセンサ等として使用することができる。より具体的には、例えば、足裏による靴底インナーの変形や、臀部による座面クッション変形等を測定(検出)することができる。
また、測定対象物がセンサシートに接触した状態で移動した際の位置情報を検出するのにも適している。
更に、例えば、タッチパネル用の入力インターフェイスとしても使用することができる。
なお、本発明の静電容量型センサは、既存のセンサである光学式のモーションキャプチャーでは測定できない光の遮蔽部位での測定にも利用することが可能である。
2、302 誘電層
3A、303A 表側可撓層
3B、303B 裏側可撓層
4A、304A 表側被覆電極層
4B、304B 裏側被覆電極層
5A、5B、305A、305B オーバーコート層
01A1〜16A1 表側接続部
01A〜16A、01D〜16D 表側電極層
01B1〜16B1 裏側接続部
01B〜16B、01E〜16E 裏側電極層
C0101〜C1616、F0101〜F1616 検出部
01d〜16d 表側配線
01e〜16e 裏側配線
30 成形装置
101 静電容量型センサ
102、103 外部配線
104 計測手段
105A、105B GND線
Claims (9)
- エラストマー組成物(A)からなる誘電層と、前記誘電層の表面に積層された表側電極層と、前記誘電層の裏面に積層された裏側電極層とを備え、厚さ方向における前記表側電極層と前記裏側電極層との交差部分を検出部とする静電容量型センサシートであって、
前記検出部を複数箇所備え、
前記表側電極層上にエラストマー組成物(B1)からなる表側可撓層を介して前記検出部を覆うように形成された表側被覆電極層、及び/又は、前記裏側電極層上にエラストマー組成物(B2)からなる裏側可撓層を介して前記検出部を覆うように形成された裏側被覆電極層を備え、
前記検出部における静電容量の変化を計測するために用いられる
ことを特徴とする静電容量型センサシート。 - 前記表側電極層及び前記裏側電極層は、カーボンナノチューブを含む導電性組成物からなる請求項1に記載の静電容量型センサシート。
- 前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブと多層カーボンナノチューブとの混合物である請求項1又は2に記載の静電容量型センサシート。
- 前記エラストマー組成物(A)は、エラストマーがウレタンゴムである請求項1〜3のいずれかに記載の静電容量型センサシート。
- 前記エラストマー組成物(B1)及び/又は前記エラストマー組成物(B2)は、エラストマーがウレタンゴムである請求項1〜4のいずれかに記載の静電容量型センサシート。
- 一軸引張りに耐えられる伸長率が30%以上である請求項1〜5のいずれかに記載の静電容量型センサシート。
- 伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布及び面圧分布のうちの少なくとも1つの測定に使用される請求項1〜6のいずれかに記載の静電容量型センサシート。
- 伸縮変形歪み量及び/又は伸縮変形歪み分布の測定に使用される請求項1〜6のいずれかに記載の静電容量型センサシート。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の静電容量型センサシートと、
計測手段と、
前記静電容量型センサシートが備える表側電極層及び裏側電極層のそれぞれと、前記計測手段とを接続する外部配線とを備え、
前記静電容量型センサシートが有する検出部における静電容量の変化を計測することにより、
伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布及び面圧分布のうちの少なくとも1つの測定することを特徴とする静電容量型センサ。
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