JP6803678B2 - 帯状疱疹角膜炎の改善又は治療剤 - Google Patents

帯状疱疹角膜炎の改善又は治療剤 Download PDF

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本発明は、ワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物(以下「本抽出物」と表記することがある。)の新規な医薬用途に関するものである。より具体的には、本抽出物を有効成分として含有する帯状疱疹角膜炎の改善又は治療剤に関する。
帯状疱疹は水痘帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus;VZV)の感染により引き起こされるものである。このウイルスは水痘罹患後に後根神経節、三叉神経節に潜伏する。三叉神経は顔に存在する神経で、病気や疲労による免疫低下、その他の誘発原因でウイルスが再活性化し、三叉神経の第一枝または第二枝領域に帯状疱疹が発症すると、まぶたに痛みを伴う発疹と浮腫が生じるほか、様々な眼症状を生じることがある。眼症状としては、痛み症状以外に、偽樹枝状角膜炎、びまん性角膜浮腫・内皮炎、多発性角膜上皮下浸潤、円板状角膜炎等の様々な角膜炎や角膜基質の浮腫(以下、総括して「帯状疱疹角膜炎」という。)がある(「感染性角膜炎診療ガイドライン(第2版)」489頁表5参照)。また、重症の場合は、虹彩毛様体炎や継発性緑内障、急性網膜壊死、時には眼球筋肉麻痺を併発することもある。若年者でも発症することがあるが、加齢とともにその発症頻度は高くなり、重症化する傾向がみられる。
帯状疱疹角膜炎の治療は、発症早期からの抗ウイルス薬の全身投与や眼症状の重症度に応じた適切なステロイド点眼剤の投与により行われ、こうした治療により一定の効果が得られることも多い。しかし、抗ウイルス薬は、単純ヘルペスウイルスに比べて水痘帯状疱疹ウイルスに対する抗ウイルス効果が低い。また、抗ウイルス薬は、腎機能が低下した患者では精神神経症状や急性腎不全などの副作用を回避するために、適切な減量投与をすることが必要になる。さらに、ステロイド剤による点眼治療は眼圧上昇、緑内障、白内障、二次感染等の副作用を引き起こすことがあるので注意を要する。
以上のような現状から、帯状疱疹角膜炎に対して有効で副作用が少ない新たな薬剤が臨床現場で強く求められている。
本発明に係る帯状疱疹角膜炎の改善又は治療剤の有効成分であるワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物については、鎮痛作用、鎮静作用、抗ストレス作用、抗アレルギー作用(特許文献1参照)、免疫促進作用、抗癌作用、肝硬変抑制作用(特許文献2参照)、特発性血小板減少性紫斑病に対する治療効果(特許文献3参照)、帯状疱疹後神経痛、脳浮腫、痴呆、脊髄小脳変性症等への治療効果(特許文献4参照)、レイノー症候群、糖尿病性神経障害、スモン後遺症等への治療効果(特許文献5参照)、カリクレイン産生阻害作用、末梢循環障害改善作用(特許文献6参照)、骨萎縮改善作用(特許文献7参照)、敗血症やエンドトキシンショックの治療に有効な一酸化窒素産生抑制作用(特許文献8参照)、骨粗鬆症に対する治療効果(特許文献9参照)、Nef作用抑制作用やケモカイン産生抑制作用に基づくエイズ治療効果(特許文献10、11参照)、脳梗塞等の虚血性疾患に対する治療効果(特許文献12参照)、線維筋痛症に対する治療効果(特許文献13参照)、感染症に対する治療効果(特許文献14参照)、抗癌剤による末梢神経障害の予防又は軽減作用(特許文献15参照)、慢性前立腺炎、間質性膀胱炎及び/又は排尿障害の治療効果(特許文献16参照)、BDNF等の神経栄養因子の産生促進作用(特許文献17参照)、軟骨細胞におけるコラーゲン及びプロテオグリカン合成促進作用(特許文献18参照)など非常に多岐に及ぶ作用・効果が知られている。そして、本抽出物を有効成分とする製剤が、帯状疱疹痛及び帯状疱疹後神経痛に対する治療効果を有することも知られている(非特許文献1、2、3参照)。しかし、本抽出物が、帯状疱疹角膜炎の改善又は治療に有効であることはこれまで知られていない。
特開昭53−101515号公報 特開昭55−87724号公報 特開平1−265028号公報 特開平1−319422号公報 特開平2−28119号公報 特開平7−97336号公報 特開平8−291077号公報 特開平10−194978号公報 特開平11−80005号公報 特開平11−139977号公報 特開2000−336034号公報 特開2000−16942号公報 国際公開WO2004/039383号公報 特開2004−300146号公報 国際公開WO2009/028605号公報 国際公開WO2011/111770号公報 国際公開WO2011/162317号公報 国際公開WO2012/051173号公報
基礎と臨床、17巻、5号、1187頁、1983年 医学のあゆみ、147巻、7号、651頁、1988年 臨床医薬、18巻、11号、1255頁、2002年
本発明の目的は、帯状疱疹角膜炎の改善又は治療に有効で且つ安全性が高い薬剤を提供することにある。
本発明者らは、有効な治療法が求められている帯状疱疹角膜炎の薬剤治療について鋭意研究を行った結果、本抽出物を有効成分として含有する製剤が帯状疱疹角膜炎に対して優れた改善又は治療効果を示すことを見出し、本発明を完成した。
本抽出物は、帯状疱疹角膜炎を改善又は治療するという優れた薬理作用を有する。また、該抽出物を有効成分として含有する薬剤は、副作用等の問題点の少ない安全性の高い薬剤であるため、本発明は極めて有用性の高いものである。
本抽出物は、ワクシニアウイルスを接種して発痘した動物の炎症組織から抽出分離した非蛋白性の活性物質を含有する抽出物である。本抽出物は、抽出された状態では液体であるが、乾燥することにより固体にすることもできる。本抽出物を有効成分として含有する薬剤(以下「本製剤」という。)は、医薬品として非常に有用なものである。この場合、本抽出物が本製剤の有効成分であるから、本抽出物は本製剤の原薬ということになる。本製剤として出願人が日本において製造し販売している具体的な商品に「ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液含有製剤」(商品名:ノイロトロピン/NEUROTROPIN〔登録商標〕)がある。本製剤には、注射剤と錠剤があり、いずれも医療用医薬品(ethical drug)である。
ノイロトロピンの注射剤の適応症は、「腰痛症、頸肩腕症候群、症候性神経痛、皮膚疾患(湿疹、皮膚炎、蕁麻疹)に伴う掻痒、アレルギー性鼻炎、スモン(SMON)後遺症状の冷感・異常知覚・痛み」である。ノイロトロピンの錠剤の適応症は、「帯状疱疹後神経痛、腰痛症、頸肩腕症候群、肩関節周囲炎、変形性関節症」である。本製剤は、出願人が創製し、医薬品として開発したものであり、その有効性と安全性における優れた特長が評価され、長年にわたり販売されて、日本の医薬品市場で確固たる地位を確立しているものである。
本発明におけるワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物はワクシニアウイルスを接種して発痘した炎症組織を破砕し、抽出溶媒を加えて組織片を除去した後、除蛋白処理を行い、これを吸着剤に吸着させ、次いで有効成分を溶出することによって得ることができる。例えば、ワクシニアウイルスをウサギの皮膚に接種して発痘した炎症皮膚組織を採取し、破砕して抽出溶媒を加えて処理した後、組織片を除去し、除蛋白処理を行い、これを酸性条件において吸着剤に吸着させ、次いで有効成分を塩基性条件において溶出することによって得ることができる。
ワクシニアウイルスを接種し炎症組織を得るための動物としては、ウサギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、サル、ラット、マウスなどワクシニアウイルスが感染する種々の動物を用いることができ、炎症組織としてはウサギの炎症皮膚組織が好ましい。ウサギはウサギ目に属するものであればいかなるものでもよい。例としては、アナウサギ、カイウサギ(アナウサギを家畜化したもの)、ノウサギ(ニホンノウサギ)、ナキウサギ、ユキウサギ等がある。これらのうち、カイウサギが使用するには好適である。日本では過去から飼育され家畜又は実験用動物として繁用されている家兎(イエウサギ)と呼ばれるものがあるが、これもカイウサギの別称である。カイウサギには、多数の品種(ブリード)が存在するが、日本白色種やニュージーランド白色種(ニュージーランドホワイト)といった品種が好適に用いられ得る。
ワクシニアウイルス(vaccinia virus)は、いかなる株のものであってもよい。例としては、リスター(Lister)株、大連(Dairen)株、池田(Ikeda)株、EM−63株、ニューヨーク市公衆衛生局(New York City Board of Health)株等が挙げられる。
本抽出物の基本的な抽出工程としては、例えば、以下のような工程が用いられる。
工程(A)について
ウサギの皮膚にワクシニアウイルスを皮内接種して発痘させた炎症皮膚組織を採取する。採取した皮膚組織はフェノール溶液等で洗浄、消毒を行なう。この炎症皮膚組織を破砕し、その1乃至5倍量の抽出溶媒を加える。ここで、破砕とは、ミンチ機等を使用してミンチ状に細かく砕くことを意味する。また、抽出溶媒としては、蒸留水、生理食塩水、弱酸性乃至弱塩基性の緩衝液などを用いることができ、フェノール等の殺菌・防腐剤、グリセリン等の安定化剤、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム等の塩類などを適宜添加してもよい。この時、凍結融解、超音波、細胞膜溶解酵素又は界面活性剤等の処理により細胞組織を破壊して抽出を容易にすることもできる。得られた懸濁液を、5日乃至12日間放置する。その間、適宜攪拌しながら又は攪拌せずに、30乃至45℃に加温してもよい。得られた液を固液分離(濾過又は遠心分離等)によって組織片を除去して粗抽出液(濾液又は上清)を得る。
工程(B)について
工程(A)で得られた粗抽出液について除蛋白処理を行う。除蛋白は、通常行われている公知の方法により実施でき、加熱処理、蛋白質変性剤(例えば、酸、塩基、尿素、グアニジン、アセトン等の有機溶媒など)による処理、等電点沈澱、塩析等の方法を適用することができる。次いで、不溶物を除去する通常の方法、例えば、濾紙(セルロース、ニトロセルロース等)、グラスフィルター、セライト、ザイツ濾過板等を用いた濾過、限外濾過、遠心分離などにより析出してきた不溶蛋白質を除去した濾液又は上清を得る。
工程(C)について
工程(B)で得られた濾液又は上清を、酸性、好ましくはpH3.5乃至5.5に調整し、吸着剤への吸着操作を行う。使用可能な吸着剤としては、活性炭、カオリン等を挙げることができ、抽出液中に吸着剤を添加し撹拌するか、抽出液を吸着剤充填カラムに通過させて、該吸着剤に有効成分を吸着させることができる。抽出液中に吸着剤を添加した場合には、濾過や遠心分離等によって溶液を除去して、活性成分を吸着させた吸着剤を得ることができる。
工程(D)について
工程(C)で得られた吸着剤から活性成分を溶出(脱離)させるには、当該吸着剤に溶出溶媒を加え、塩基性、好ましくはpH9乃至12に調整し、室温又は適宜加熱して或いは撹拌して溶出し、濾過や遠心分離等の通常の方法で吸着剤を除去する。用いられる溶出溶媒としては、塩基性の溶媒、例えば塩基性のpHに調整した水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等又はこれらの適当な混合溶液を用いることができ、好ましくはpH9乃至12に調整した水を使用することができる。溶出溶媒の量は適宜設定することができる。このようにして得られた溶出液を、原薬として用いるために、適宜pHを中性付近に調整するなどして、最終的にワクシニアウイルス接種ウサギ炎症皮膚抽出物(本抽出物)を得ることができる。
本抽出物は、できた時点では液体であるので、適宜濃縮・希釈することによって所望の濃度のものにすることもできる。本抽出物から製剤を製造する場合には、加熱滅菌処理を施すのが好ましい。注射剤にするためには、例えば塩化ナトリウム等を加えて生理食塩液と等張の溶液に調製することができる。また、液体の状態の本抽出物に適切な濃縮乾固等の操作を行うことによって、錠剤等の経口用固形製剤を製造することもできる。本抽出物からこのような経口用固形製剤を製造する具体的な方法は、日本特許第3818657号や同第4883798号の明細書に記載されている。本製剤はこうして得られる注射剤や経口用固形製剤等である。
治療の必要な患者へ薬学的に有効な量を投与する方法としては、経口投与の他に皮下、筋肉内、静脈内投与等が挙げられ、投与量はワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物の種類によって適宜設定することができる。市販の製剤で認められている投与量は、基本的には内服では1日16NU、注射剤では1日3.6乃至7.2NUを投与するよう医療用医薬品としては示されているが、疾患の種類、重傷度、患者の個人差、投与方法、投与期間等によって適宜増減可能である(NU:ノイロトロピン単位。ノイロトロピン単位とは、疼痛閾値が正常動物より低下した慢性ストレス動物であるSARTストレスマウスを用い、Randall-Selitto変法に準じて試験を行い、鎮痛効力のED50値をもって規定する。1NUはED50値が100 mg/kgであるときのノイロトロピン製剤の鎮痛活性含有成分1mgを示す活性である。)
以下に、本抽出物の製造方法の例、並びに本抽出物の新規な薬理作用、帯状疱疹角膜炎に関する薬理試験結果を示すが、本発明はこれらの実施例の記載によって何ら制限されるものではない。
実施例1(本抽出物の製造)
健康な成熟家兎の皮膚にワクシニアウイルスを皮内接種し、発痘した皮膚を切り取り採取した。採取した皮膚はフェノール溶液で洗浄・消毒を行なった後、余分のフェノール溶液を除去し、破砕して、フェノール溶液を加え混合し、3〜7日間放置した後、さらに3〜4日間攪拌しながら35〜40℃に加温した。その後、固液分離して得た抽出液を塩酸でpH4.5〜5.2に調整し、90〜100℃で30分間、加熱処理した後、濾過して除蛋白した。さらに、濾液を水酸化ナトリウムでpH9.0〜9.5に調整し、90〜100℃で15分間、加熱処理した後、固液分離した。
得られた除蛋白液を塩酸でpH4.0〜4.3に調整し、除蛋白液質量の2%量の活性炭を加えて2時間撹拌した後、固液分離した。採取した活性炭に水を加え、水酸化ナトリウムでpH9.5〜10とし、60℃で90〜100分間撹拌した後、遠心分離して上清を得た。遠心分離で沈澱した活性炭に再び水を加えた後、水酸化ナトリウムでpH10.5〜11とし、60℃で90〜100分間撹拌した後、遠心分離して上清を得た。両上清を合せて、塩酸で中和し、本抽出物を得た。
実施例2(試験方法)
次に、上記実施例1で得られた本抽出物を有効成分として含有する製剤(本製剤)の帯状疱疹角膜炎に対する作用(治療効果)についての試験結果の一例を示す。
本製剤の帯状疱疹角膜炎に対する効果を調べるために、以下の通りヒトにおいて試験を行った。
(1) 試験1(試験期間:2010年6月から2013年6月)
帯状疱疹角膜炎と診断された患者60例を30例ずつ、無作為に投与群と対照群の2組に群分けした。この2組に対して、アシクロビルの全身投与、クロラムフェニコールの外用剤並びにアシクロビル点眼剤及びレボフロキサシン点眼剤による治療を行った。アシクロビルは抗ウイルス薬であり、クロラムフェニコールとレボフロキサシンは抗菌薬である。投与群に対しては対照群と同様の治療を行った上で、「ノイロトロピン注射液3.6単位」(本製剤のうち注射剤の商品名)を20日間点滴で投与した(1回2管、1日1回投与)。基本的に他の薬剤は併用しなかった。20日間の治療の終了後に治療効果の判定を行った。
(2) 試験2(試験期間:2012年4月から2014年4月)
帯状疱疹角膜炎と診断された患者80例を40例ずつ、無作為に投与群と対照群の2組に群分けした。この2組に対して、試験1と同様の試験を行った。
(3) 治療効果の判定
治療効果判定のため、次の診断基準を用いた。
「治癒」は、眼部の痛みや刺激感が消失し、角膜炎が完全に回復し、角膜が透明であり、蛍光染色(陰性)、毛様体充血を伴う結膜充血が消失し、額顔面の疱疹が引き、かさぶたができた状態とする。
「好転」は、毛様体充血を伴う結膜充血や刺激症状が軽減され、角膜炎がほぼ回復し、蛍光が減少し、額顔面の疱疹が一部消え、局所の痛みや違和感が軽減された状態とする。
「無効」は、角膜炎症状は改善せず、又は悪化し、緑内障や眼球筋肉麻痺などの合併症まで発症した状態とする。
上記の診断基準を用いて治療効果の判定を行い、それぞれの群における全症例数に対する治癒率、好転率及びそれらを合計した総合有効率を算出した。試験1の結果を表1に、試験2の結果を表2に示す。
(4) 統計解析
2群間は、カイ二乗検定を用いて比較した。p<0.05であった場合を「有意」とした。
Figure 0006803678
Figure 0006803678
上記表1及び表2の試験結果を統計解析した。その結果、帯状疱疹角膜炎患者に本製剤を投与することにより、対照群と比較して治癒率及び総合有効率が有意に増加した。このことから、本製剤は、帯状疱疹角膜炎の症状を全般的に改善・治療する有効な薬剤であることが示された。
試験1及び2においては、本製剤と抗ウイルス薬、抗菌薬が併用されている。しかし、これらの両薬が本製剤の帯状疱疹角膜炎に対する効果に必須であることを示すものではない。帯状疱疹角膜炎はウイルス(VZV)によるものであるので、特に、抗菌剤の併用は必要ではない。また、併用する場合であっても、抗ウイルス薬は、試験1及び2で併用されたアシクロビルに限定されるものではない。例えば、帯状疱疹角膜炎に用いられる抗ウイルス薬であるペンシクロビル、バラシクロビル塩酸塩、ファムシクロビルなども好適な抗ウイルス薬として挙げられる。また、同様に、抗菌薬(外用剤、点眼剤)は、試験1及び2において併用されたクロラムフェニコール及びレボフロキサシンに限定されるものではない。例えば、外用剤としてはゲンタマイシン硫酸塩、クロラムフェニコール・フラジオマイシン硫酸塩配合剤、バシトラシン・フラジオマイシン硫酸塩配合剤などが、点眼剤としてはゲンタマイシン硫酸塩、トブラマイシン、ジベカシン、コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム、バンコマイシン塩酸塩、ノルフロキサシン、オフロキサシン、ロメフロキサシン塩酸塩、ガチフロキサシン水和物、トスフロキサシントシル酸塩水和物、モキシフロキサシン塩酸塩、セフメノキシム塩酸塩などが、それぞれ使用され得る。
以上のとおり、本製剤は帯状疱疹角膜炎の症状に対して優れた改善・治療効果を有することが認められた。また、本製剤は長年に亘って使用され、非常に安全性の高い薬剤として認められている。従って、本製剤は帯状疱疹角膜炎の改善又は治療剤として極めて有用性の高いものである。

Claims (12)

  1. ワクシニアウイルス接種ウサギ炎症皮膚組織抽出物を有効成分として含有し、抗ウイルス薬と併用することを特徴とする帯状疱疹角膜炎の改善又は治療剤。
  2. 更に抗菌薬と併用することを特徴とする請求項1に記載の改善又は治療剤。
  3. 帯状疱疹角膜炎による眼部の痛み、眼部の刺激症状、角膜の混濁又は結膜炎に対する請求項1又は2に記載の改善又は治療剤。
  4. 注射剤である請求項1乃至のいずれか一項に記載の改善又は治療剤。
  5. 注射剤がワクシニアウイルス接種ウサギ炎症皮膚組織抽出物を3.6単位/mL含有し、1日2回投与されるものである、請求項4に記載の改善又は治療剤。
  6. 経口剤である請求項1乃至のいずれか一項に記載の改善又は治療剤。
  7. 抗ウイルス薬と併用されることを特徴とする帯状疱疹角膜炎の改善又は治療剤の製造のためのワクシニアウイルス接種ウサギ炎症皮膚組織抽出物の使用。
  8. 帯状疱疹角膜炎の改善又は治療剤が更に抗菌薬と併用されるものである請求項7に記載の使用
  9. 帯状疱疹角膜炎による眼部の痛み、眼部の刺激症状、角膜の混濁又は結膜炎の改善又は治療剤の製造のための請求項7又は8に記載の使用。
  10. 帯状疱疹角膜炎の改善又は治療剤が注射剤である請求項7乃至のいずれか一項に記載の使用。
  11. 注射剤がワクシニアウイルス接種ウサギ炎症皮膚組織抽出物を3.6単位/mL含有し、1日2回投与されるものである、請求項10に記載の使用。
  12. 帯状疱疹角膜炎の改善又は治療剤が経口剤である請求項7乃至のいずれか一項に記載の使用。
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