JP6801702B2 - 摩擦撹拌接合部材および摩擦撹拌接合方法 - Google Patents

摩擦撹拌接合部材および摩擦撹拌接合方法 Download PDF

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本発明は、異種金属材料の摩擦撹拌接合部材および摩擦撹拌接合方法に関する。具体的には、鋼板と純アルミニウム板またはアルミニウム合金板との重ね摩擦撹拌接合部材において、接合時に鋼板へのツール押込量が変動したとしても接合された部材の継手強度を安定して確保することができる、摩擦撹拌接合部材および摩擦撹拌接合方法に関するものである。
摩擦撹拌接合は、回転ツールを被接合材間の未接合部に挿入し回転させながら移動させ、この回転ツールとの摩擦熱による被接合材の軟化と、その軟化部を回転ツールが撹拌することにより生じる塑性流動を利用して、溶加材を添加することなく被接合材の接合を行う技術である。本接合法は異種金属の接合にも適用できることが知られている。本発明は、鋼板とアルミニウム板(純アルミニウム板またはアルミニウム合金板)を重ね合わせ、アルミニウム板の表面側からツールを挿入して摩擦撹拌接合された部材を対象としている。鋼板とアルミニウム板の重ね摩擦撹拌接合に関しては、一例として、アルミニウム合金製のフランジと亜鉛鋼板製の平板カバーとを摩擦撹拌接合した構造体で、フランジ側からツールを押し込んで移動させて接合した自動車用構造体が知られている(例えば特許文献1)。
摩擦撹拌接合した構造体においては、その接合強度についても、検討が進められている。例えば、特許文献2では、異種金属材料の重ね摩擦撹拌接合において、十分な接合強度を得るために、ツールの挿入位置を規定した、異種金属材料の接合方法が記載されている。また例えば、特許文献3では、摩擦撹拌接合に伴って発生する塑性流動部の巻き上げ高さが小さい領域がアルミニウム材の一方側に配置され、前記塑性流動部の巻き上げ高さが大きい領域が前記アルミニウム材の前記他方側に配置された異種材接合体とすることで、強度を高めることが記載されている。
特開2009−126472号公報 特開2003−170280号公報 WO2011/125376A1公報
しかしながら、特許文献2では、ツール挿入位置を厳密に管理する必要がある。そのため、部品の寸法精度および接合時のティーチング精度が低い状況下では、特許文献2に記載の発明の適用は極めて制限される。特許文献3でも、適用可能な接合条件範囲については明らかではない。また特許文献3には、上記した塑性流動部の巻き上げは、鋼材およびアルミニウム材のいずれの流動を対象としているかは記載されておらず、巻き上げを抑制する方法が不明確であった。
また、部品の寸法精度および接合時のティーチング精度が低い状況下においては、ツール押込量が接合中に変動する場合があり、その際は欠陥が発生することで継手強度が得られない場合があった。
本発明は、上記の課題を解決するものであり、接合条件、特にツール挿入位置に関する接合条件として鋼板へのツール押込量が変動したとしても、接合された部材の継手強度を安定して確保することができる摩擦撹拌接合部材および摩擦撹拌接合方法を提供するものである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた。
最初に、図1および図2を用いて、本明細書における名称の説明をする。図1には、摩擦撹拌接合におけるツールの回転方向とツールの移動方向の関係を示す。図1に示すように、ツール13の回転方向とツール移動方向1が同じになる側をアドバンシングサイドと呼び、ツール13の回転方向とツール移動方向1が逆になる側をリトリーティングサイドと呼ぶ。なお、図1中の細矢印は、ツール13の回転方向がツール移動方向1と移動方向左手側で逆になる例を示している。
また、鋼板とアルミニウム板の重ね摩擦撹拌接合においては、ツールをアルミニウム板側から挿入し、ツール先端が鋼板とアルミニウム板の界面またはその界面の極近傍となるようにツールの挿入位置を制御して接合することが一般的である。図2に、ツールをアルミニウム板側から挿入している模式図を示す。図2に示すように、ツール13の先端が鋼板とアルミニウム板の界面から鋼板内に挿入されている部分の長さを、鋼板内へのツール押込量と呼ぶ。
本発明者らは、鋼板にツールを過剰に挿入(鋼板内へのツール押込み量が0.2mm以上)して接合する際に、ツールによる撹拌の影響で鋼板がアルミニウム板へ流入する場合があることを見出した。更に、この場合に、図3の断面マクロ写真のようにリトリーティングサイドで鋼板のアルミニウム板への流入が顕著となることを発見した。図3に示すように、アルミニウム板に鋼板が流入した箇所では、アルミニウム板の板厚が減少することになるため、接合部に引張負荷が生じた際にこの板厚減少部で破断が生じやすくなり、強度(継手強度)が低下してしまう。なお、図3に示す例では、アルミニウム板としてJIS H4000に準拠のA5052を用い、鋼板として270GA(270MPa級GA鋼板)を用いた。
天井部と、該天井部の端から同じ側へ曲げられた立壁部と、該立壁部の先端から外側へ延びるフランジ部とを有する摩擦撹拌接合部材を製造するにあたり、重ね合わせられた鋼板とアルミニウム板のうち少なくとも1枚において、上記した板厚減少により強度が低下することは、重大な問題を引き起こす要因となる。
そこで、本発明者らは、部材(以下、構造部材、構造体とも称する場合がある。)の接合部における上記板厚減少を抑制可能な接合方法および接合部の構造について、種々検討し、図4に示す構成でフランジ部を摩擦撹拌接合した。ここでは、図4に示すように、天井部11a、立壁部11b、フランジ部11cを有する鋼板11と、天井部12a、立壁部12b、フランジ部12cを有するアルミニウム板12を用いた。即ち、それぞれ立壁部11bを有する鋼板11と立壁部12bを有するアルミニウム板12とを摩擦撹拌混合して構造部材(構造体)を作成するにあたり、ツール13を細矢印で示した方向に回転させながらツール移動方向1に移動させることにより、立壁部11b、12b側をアドバンシングサイドとして接合部14を形成した。
その結果、図4に示すように、立壁部11b、12b側がアドバンシングサイドとなるように接合をすることで、構造部材の変形時に大きい負荷(引張負荷)が生じる立壁部側のアルミニウム板12中への鋼板の流入を抑制することができた。さらに、構造部材としての強度(継手強度)を良好に保つことができることが分かった。なお、ここで立壁部11b、12bとは、天井部11a、12aの端から同じ側へ曲げられた部分を言う。
本発明は、上記の知見に立脚するものであり、上記の課題を解決するための本発明の要旨は以下の通りである。
[1] 鋼板とアルミニウム板を重ね合わせて摩擦撹拌接合されてなる摩擦撹拌接合部材であって、
重ね合わせられた鋼板とアルミニウム板のうち少なくとも1枚が、天井部と、該天井部の端から同じ側へ曲げられた立壁部と、該立壁部の先端から外側へ延びるフランジ部とを有し、
前記アルミニウム板の板厚をtAlとした際、ツールの移動軸に直交する断面において、
前記アルミニウム板中への鋼板の最大流入高さがアドバンシングサイドでtAl×3/4以下、リトリーティングサイドでtAl×4/5以下である接合部を有することを特徴とする、摩擦撹拌接合部材。
[2] 上記[1]に記載の摩擦撹拌接合部材を作製する摩擦撹拌接合方法であって、
アルミニウム板の表面側からツールを挿入して摩擦撹拌接合するにあたり、アドバンシングサイドが立壁部側となるようにフランジ部にツールを配置し、該フランジ部を接合することを特徴とする、摩擦撹拌接合方法。
本発明によれば、接合条件、特にツール挿入位置に関する接合条件として鋼板へのツール押込量が変動したとしても、接合された部材の継手強度を安定して確保することができる。そのため、寸法精度が低い部品の高速接合においても、品質に優れた(すなわち、良好な継手強度を有する)摩擦撹拌接合部材を得ることができる。
図1は、摩擦撹拌接合におけるツールの回転方向とツールの移動方向の関係を示す図である。 図2は、ツールをアルミニウム板側から挿入している模式図である。 図3は、リトリーティングサイドでのアルミニウム板への鋼板の流入を示す断面マクロ写真である。 図4は、本発明における、構造部材のフランジ部を摩擦撹拌接合している一例を示す模式図である。 図5は、アドバンシングサイドとリトリーティングサイドの材料の塑性流動挙動を模式的に示す図である。 図6(a)〜(d)は、それぞれ、本発明の摩擦撹拌接合部材における立壁部の形態を示す図である。 図7(a)〜(b)は、本発明の実施例において、摩擦撹拌接合部材の引張強度の評価に用いた継手形式を示す図である。
本発明の実施の形態を以下に述べる。なお、本発明はこの実施形態に限定されない。
まず、本発明の摩擦撹拌接合部材について説明する。
本発明の摩擦撹拌接合部材は、鋼板とアルミニウム板を重ね合わせて摩擦撹拌接合されてなる摩擦撹拌接合部材であって、重ね合わせられた鋼板とアルミニウム板のうち少なくとも1枚が、天井部と、該天井部の端から同じ側へ曲げられた立壁部と、該立壁部の先端から外側へ延びるフランジ部とを有し、アルミニウム板の板厚をtAlとした際、ツールの移動軸に直交する断面において、アルミニウム板中への鋼板の最大流入高さがアドバンシングサイドでtAl×3/4以下、リトリーティングサイドでtAl×4/5以下である接合部を有する。
本発明は、図4に示すように、鋼板11とアルミニウム板12を重ね合わせて、アルミニウム板の表面側からツール13を挿入し、摩擦撹拌接合(以下、接合と称する場合もある。)によって作製された部材(摩擦撹拌接合部材)である。重ね合わせられた板のうち少なくとも1枚が、天井部と該天井部の端から同じ側へ曲げられた立壁部と該立壁部の先端から外側へ延びるフランジ部とを有する断面ハット形状の板であり、かつ、アドバンシングサイドが立壁部側となるようにツールをフランジ部に配置して該フランジ部を接合して作製されたことが重要である。これにより、ツールの移動軸に直交する溶接部の断面において、アドバンシングサイドおよびリトリーティングサイドでのアルミニウム板中への鋼板の最大流入高さを所定の範囲に形成することができる。なお、ここで、アルミニウム板とは、純アルミニウム板とアルミニウム合金板(アルミニウム50質量%以上)の総称である。
本発明により、上述したように部材の変形時に大きい負荷(引張負荷)が生じる立壁部側において、アルミニウム板中への鋼板の流入が抑制されるため、部材としての強度(継手強度)を確保することができる。
ここで、図5を用いて、材料の塑性流動挙動を説明する。図5はアドバンシングサイドとリトリーティングサイドでの材料の塑性流動挙動を模式的に示す図であり、図5中の破線はアドバンシングサイドとリトリーティングサイドでの材料の塑性流動挙動を示している。また、図5中の実線の矢印はツールの回転方向を示し、ここではツール13の回転方向がツール移動方向1と移動方向左手側で逆になる例を示している。
図5に示すように、回転ツールとの摩擦熱により軟化して撹拌された材料(鋼板)は、アドバンシングサイドではツール13の直近を一周するような経路を辿って流動するのに対して、リトリーティングサイドではツール13の周りを避けるように流動する。このような塑性流動をするため、アドバンシングサイドでのツールによる加熱温度および加工量はリトリーティングサイドの加熱温度および加工量よりも大きくなると言われている。しかしながら、接合速度(=ツール移動速度)が大きくなると、アドバンシングサイドでは軟化した鋼板がツール直近を一周して塑性流動するよりも先にツールが通過してしまうため、アルミニウム中への鋼板の流入が抑制され、接合強度が確保できることを本発明者らは新たに発見したのである。
なお、本発明の摩擦撹拌接合部材は、重ね合わせる鋼板とアルミニウム板が、図6(a)のように鋼板とアルミニウム板のいずれかが立壁部を有しても良いし、図6(b)のように両方の板が立壁部を有しても良い。また、図6(c)および図6(d)のように立壁部とフランジ部が交わる角度は垂直である必要はない。さらに、上下の板のどちらがアルミニウム板あるいは鋼板かは問わない。
本発明では、アルミニウム板の板厚(mm)をtAlとした際、ツールの移動軸に直交する断面において、アルミニウム板中への鋼板の最大流入高さ(mm)がアドバンシングサイドでtAl×3/4以下、リトリーティングサイドでtAl×4/5以下とする接合部を有することで、上記した本発明の効果をより有効に得ることができる。
最大流入高さの定義は、図3に示すように、鋼板とアルミニウム板の合わせ面から、アルミニウム板側へ流入した鋼板の板厚方向の距離の最大値とする。また、アルミニウム板の板厚tAlは、鋼板とアルミニウム板の合わせ面からアルミニウム板の他方の表面までの距離(即ち、接合前のアルミニウム板の板厚)とすれば良い。
本発明では、最大流入高さ(mm)をアドバンシングサイドでtAl×3/4以下とすることで、アルミニウム板の板厚減少が抑えられ、継手強度の低下を防ぐことができる。車体骨格など、より高強度が要求される部材においては、アドバンシングサイドの最大流入高さ(mm)をtAl×1/2以下とすることが望ましい。より望ましくは、tAl×1/3以下である。なお、アドバンシングサイドの最大流入高さは小さいほど望ましく、0mmも含む。
また、リトリーティングサイドは、上述のとおり本発明では部材の変形時に生じる負荷が小さい側に配置されるが、アルミニウム板の過剰な減厚は継手強度を低下させる可能性がある。そのため、継手強度低下の可能性を低くする観点より、リトリーティングサイドの最大流入高さをtAl×4/5以下とすることが有効である。車体骨格など、より高強度が要求される部材においては、リトリーティングサイドの最大流入高さをtAl×3/4以下とすることが望ましい。より望ましくは、tAl×2/3以下である。なお、リトリーティングサイドの最大流入高さは小さいほど望ましく、0mmも含む。
次に、本発明の摩擦撹拌接合方法について説明する。
本発明の摩擦撹拌接合方法は、上記した本発明の摩擦撹拌接合部材を作製する摩擦撹拌接合方法であって、アルミニウム板の表面側からツールを挿入して摩擦撹拌接合するにあたり、アドバンシングサイドが立壁部側となるようにフランジ部にツールを配置し、フランジ部を接合する。なお、被接合材である鋼板とアルミニウム板は少なくとも1枚がフランジ部と立壁部を有する断面ハット形状の板である。
例えば、図4に示すように、被接合材として鋼板11とアルミニウム板12を重ね合わせた後、アルミニウム板12の表面側で所定の位置にツール先端を挿入してツール13を配置し、その後、ツール移動方向1とは移動方向左手側で逆になる方向にツール13を回転させながら移動させて摩擦撹拌接合する摩擦撹拌接合方法である。本発明では、上述した効果を有効に得る観点より、摩擦撹拌接合する際の接合条件を次のように制御することが好ましい。
(接合条件)
<継手形式>
本発明における継手形式とは、後述する図7に示すように、鋼板とアルミニウム板の重ね接合において、ツール13の回転方向をツール移動方向1と移動方向左手側で逆にして接合した継手(図7(a)を参照)と、ツール13の回転方向をツール移動方向1と同じにして接合した継手(図7(b)を参照)とを指す。
なお、図7(b)の継手形式では、最大流入高さが大きくなるリトリーティングサイド側のアルミニウム板に引張負荷が加わるため、継手強度が低下する。その結果、上記した本発明の効果は得られない。
<ツールの前傾角(°)>
本発明では、ツール13の前傾角(°)は、−15〜15°の範囲に調整することが好ましい。ツール13の前傾角(°)が−15°未満または15°超えでは、撹拌が不安定となり欠陥が発生しやすくなるため、正常な撹拌部が得られない恐れがある。より好ましくは−10°以上であり、さらに好ましくは−5°以上である。また、より好ましくは10°以下であり、さらに好ましくは5°以下である。なお、ツールの前傾角とはツール進行方向1に傾斜させる角度を指す。
<鋼板内へのツール押込量(mm)>
本発明では、鋼板内へのツール押込量(mm)の設定値は、0.01〜2.0mmの範囲に調整することが好ましい。鋼板内へのツール押込量(mm)の設定値が0.01mm未満では、撹拌不足により接合が達成されない恐れがある。一方、鋼板内へのツール押込量(mm)の設定値が2.0mm超えではアルミニウム板内への鋼板の流入およびツール損耗が顕著となるため、継手強度が得られない恐れがある。
また、車体骨格など、より高強度が要求される部材においては、鋼板内へのツール押込量(mm)の設定値は0.05〜1.5mmの範囲に調整することが好ましい。より好ましくは0.10mm以上であり、より好ましくは1.0mm以下である。
<ツール13の回転速度(rpm)>
本発明では、ツール13の回転速度(rpm)は、200〜2500rpmの範囲に調整することが好ましい。ツール回転速度(rpm)が200rpm未満では、撹拌不足により接合が達成されない恐れがある。一方、ツール回転速度(rpm)が2500rpm越えでは、過度な撹拌によってアルミニウム板内への鋼板の流入が顕著となるため、継手強度が得られない恐れがある。
また、車体骨格など、より高強度が要求される部材においては、ツール回転速度(rpm)は300〜2000rpmの範囲に調整することが好ましい。より好ましくは400rpm以上であり、より好ましくは1300rpm以下である。
<ツール13の移動速度(mm/min)>
本発明では、ツール13の移動速度(mm/min)は50〜2000mm/minの範囲に調整することが好ましい。ツール移動速度(mm/min)が50mm/min未満では、過度な撹拌によってアルミニウム板内への鋼板の流入が顕著となるため、継手強度が得られない恐れがある。一方、ツール移動速度(mm/min)が2000mm/min超えでは、撹拌不足により接合が達成されない恐れがある。
また、車体骨格など、より高強度が要求される部材においては、ツール移動速度(mm/min)は70〜1500mm/minの範囲に調整することが好ましい。より好ましくは100mm/min以上であり、より好ましくは1000mm/min以下である。
なお本発明は、鋼板やアルミニウム板の材質や板組みによらず、具体的には、鋼板やアルミニウム板における母材強度、板厚、成分、表面の金属めっき層の有無や厚さ、酸化皮膜の組成や厚さ、などによらず適用することができる。また、接合に使用するツールの材質や形状にも制限は無い。
本発明の実施例を以下に示す。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
本実施例では、供試材料として、表1に示したアルミニウム板と鋼板、表2に示した摩擦撹拌接合ツールを用いて、アルミニウム板表面側からツールを挿入して重ね摩擦撹拌接合を表3に示した接合条件でそれぞれ行なった。
得られた継手に対し、以下に示す方法により各継手の引張強度を評価した。得られた評価結果は、表3に示す。
図7には、摩擦撹拌接合部材の引張強度の評価に用いた継手形式をそれぞれ示す。試験片は図7(a)および図7(b)に示すような引張せん断試験の形状とした。ここでは、図7(a)のようにアルミニウム板のアドバンシングサイドに引張荷重が生じる場合と、図7(b)のようにアルミニウム板のリトリーティングサイドに引張荷重が生じる場合における引張せん断強度を比較した。
継手強度の評価としては、引張せん断強度が6.0kN以上の場合を記号:◎で示し、4.0kN以上かつ6.0kN未満の場合を記号:○で示し、4.0kN未満の場合を記号:×で示した。ここでは記号◎および○を優れると評価し、記号×を劣ると評価した。
なお、アルミニウム板中への鋼板の最大流入高さは、上記した引張試験用継手と同条件で作製した継手の断面観察を行うことで算出した。表3に示すように、図7(a)のアルミニウム板のアドバンシングサイドに引張荷重が生じる場合は、鋼板内へのツール押込量の設定値が変動したとしても、アルミニウム板中への鋼板の最大流入高さが上記した所定値を超えない限り、大半の条件において、継手強度は記号◎または○の評価であった。一方、図7(b)のアルミニウム板のリトリーティングサイドに引張荷重が生じる場合は、継手強度は記号×の評価となることが確認された。
以上の評価結果から、フランジ部と立壁部を有する断面ハット形状の板を含む摩擦撹拌接合部材において、アドバンシングサイドが立壁部側となるようにフランジ部にツールを配置して該フランジ部を接合することで、上記した接合部が形成できる。これにより、継手強度の安定化が期待される。
1 ツール移動方向
11 立壁部を有する鋼板
12 立壁部を有するアルミニウム板
13 ツール
14 接合部

Claims (2)

  1. 鋼板とアルミニウム板を重ね合わせて摩擦撹拌接合されてなる摩擦撹拌接合部材であって、
    重ね合わせられた鋼板とアルミニウム板のうち少なくとも1枚が、天井部と、該天井部の端から同じ側へ曲げられた立壁部と、該立壁部の先端から外側へ延びるフランジ部とを有し、
    前記アルミニウム板の板厚をtAlとした際、ツールの移動軸に直交する断面において、
    前記アルミニウム板中への鋼板の最大流入高さが、立壁部側のアドバンシングサイドでtAl×3/4以下、リトリーティングサイドでtAl×4/5以下である接合部を有することを特徴とする、摩擦撹拌接合部材。
  2. 請求項1に記載の摩擦撹拌接合部材を作製する摩擦撹拌接合方法であって、
    アルミニウム板の表面側からツールを挿入して摩擦撹拌接合するにあたり、アドバンシングサイドが立壁部側となるようにフランジ部にツールを配置し、該フランジ部を接合することを特徴とする、摩擦撹拌接合方法。
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