JP6799846B2 - 可食性フィルム - Google Patents

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本発明は、可食性フィルムに関し、特に、水などによって容易に崩壊する性質を有する可食性フィルムに関する。
水溶性多糖類を主剤とした可食性フィルムは公知であり、代表的なものとしては澱粉を主剤としたオブラート、プルラン又は澱粉を主剤とした冷水で溶解するフィルム、カラギナンを主剤とする熱水で溶解するフィルムなどの水溶性フィルムが挙げられる(例えば、特許文献1〜4)。
例えば、特許文献1には、カラギナンを主成分とする多糖類と多価アルコールと水とを主成分とするヒートシール可能な可食性フィルムが記載されている。また、特許文献2には、澱粉を主成分とし、アルギン酸ナトリウムとカルシウムイオンを含む可食性フィルムが記載されている。また、特許文献3には、ホモ多糖類及びヘテロ多糖類から選ばれる多糖類とスクラロースとを含むフィルム状甘味組成物が記載されている。特許文献4には、γ−ポリグルタミン酸と水溶性高分子から形成されるフィルムに有機酸とリゾチームとを含有させた口腔衛生用可食性フィルムが記載されている。
しかし、上記のような水溶性フィルムは溶解するのに時間がかかったり、溶解中のフィルムが粘性を帯びてしまい溶け残りを生じたりするなどの問題点があった。そこで、可食性フィルムの崩壊性を向上させる目的で、ミクロフィブリル化させた水不溶性天然繊維とポリヒドロキシ化合物の混合物を固結剤として含有する可食性フィルムも知られている(例えば、特許文献5参照)。この可食性フィルムは、粉末状、粒子状などの形状を有する補助食品などを含有しており、湯や水に接触したときにそれらの補助食品を元の形状に分離放出する機能を有する。
さらに、可食性フィルムの耐湿性の向上や質感の改善などの目的で、水溶性フィルムの表面に水不溶性材料を存在させるフィルムも知られている(例えば、特許文献6参照)。本文献には、水不溶性材料として繊維状形態を有するものであることも記載されている。
特開平2−308760号公報(請求項1など) 特開2004−248665号公報(請求項1など) 特許第4982669号公報(段落0005など) 特開2007−326808号公報(請求項1など) 特開昭63−36767号公報(請求項1など) 特開2001−162708号公報(請求項1,3など)
しかしながら、特許文献5では、ミクロフィブリル化した水不溶性天然繊維は、懸濁液で存在している状態では均一に分散しているが、乾燥すると粒子どうしのゼータ電位により粒子が凝集するため、水で容易には崩壊しなくなってしまう。よって、水不溶性天然繊維と水溶性ポリヒドロキシ化合物とを共存させるためには、必ず懸濁液の状態でなくてはならない。このように、ミクロフィブリル化された水不溶性天然繊維は、粉末状にすることができないため、日持ちや流通の面で大きな問題がある。また、ミクロフィブリル化された粒子は、懸濁液中においても経時的に凝集して二次粒子を形成して崩壊しにくくなるという欠点がある。さらに、ミクロフィブリル化にはホモジナイザー処理などの特殊な工程を必要とするため、製造コストがかかるという不都合もある。
さらに、本文献では、水不溶性天然繊維とポリヒドロキシ化合物は、可食性フィルム中に1〜10%程度含まれる固着剤として使用されており、水などに接したときに補助食品を元の形状に分離放出する目的で配合されている。このため、本文献の可食性フィルムは、例えば異なる素材の食品どうしを仕切るなどの目的に使用されるものではない。
また、特許文献6では、不溶性素材は耐湿性の向上を目的としてフィルム表面に付着させているため、水などによるフィルム自体の崩壊性の向上は見られず、逆に耐湿性を向上させる目的であるため水によるフィルム自体の崩壊を阻害する。
本発明は、水又は水分の多い食材に接したときに容易に崩壊して原型を留めない可食性フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の性質を有する食物繊維素材を配合することすることで、崩壊特性が良好な可食性フィルムとすることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、水溶性のハイドロコロイドと、食物繊維素材と少なくとも含有し、前記食物繊維素材は、JIS5101−13−1に準拠した方法で測定した保水力が350〜2000質量%(w/w)である天然由来セルロースであることを特徴とする可食性フィルムである。
この場合において、前記食物繊維素材は、形態が球状又は繊維状であり、前記球状の場合は平均粒子径が10〜150μmであり、前記繊維状の場合は平均繊維長が10〜1000μmであることが好ましい。
また、前記食物繊維素材は、パルプ由来の結晶セルロース、パルプ由来の繊維状セルロース、ビートファイバー、えんどう豆ファイバー、シトラスファイバー、小麦ファイバー、オート麦ファイバー、サトウキビファイバー、ポテトファイバー、コーンファイバー、アップルファイバー、グレープシードファイバー、米ぬか由来ファイバー及び大豆由来ファイバーからなる群より選択される少なくとも1種類であることが好適である。
さらにまた、前記ハイドロコロイドは、グアーガム、タラガム、LMペクチン、HMペクチン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、イオタカラギナン、ラムダカラギナン、ゼラチン、アラビアガム、プルラン、キサンタンガム、サクシノグルカン、寒天、カッパカラギナン、ローカストビーンガム、カシアガム、フェヌグリークガム、タマリンドガム、デンプン、加工デンプン、脱アシル型ジェランガム、ネーティブ型ジェレンガム、サイリューム、CMC−Na,HPC,MCからなる群より選択される少なくとも1種類であることが好ましい。
さらに、ヒートシール性を有するシール剤を表面に備えることが好ましい。
さらにまた、縦50mm×横100mm×厚さ30μmの可食性フィルムを60℃の温水1リットルに浸漬したときに2分以内に崩壊する特性を有することが好適である。
上記の場合において、包装材料、食品のセパレーター、麺類の結束帯から選択される素材に使用されることが好ましい。
本発明によれば、十分なフィルム強度を有しながら、水又は水分の多い食材に接したときに容易に崩壊して原型を留めない可食性フィルムを提供することが可能となる。
1.可食性フィルム
以下、本発明の可食性フィルムについて説明する。本発明の可食性フィルムは、水溶性のハイドロコロイドと、食物繊維素材と少なくとも含有し、食物繊維素材は、JIS5101−13−1に準拠した方法で測定した保水力が350〜2000質量%(w/w)である天然由来セルロースである。そして、本発明の可食性フィルムは、水又は水分の多い食材に接した時に容易に崩壊して原型を留めない性質を有する。以下、各成分について詳細に説明する。
(1)ハイドロコロイド
ハイドロコロイドは、本発明の可食性フィルムを構成する成分の1つであり、水に溶解する性質を有している。ハイドロコロイドの具体例としては、可食性フィルムが使用される目的や、使用対象の食品物性などにより任意のものを使用することができる。
特に、10℃以下の冷水や25℃前後の室温水での可食性フィルムの崩壊を目的とする場合は、例えば、冷水可溶のハイドロコロイド、具体的にはグアーガム、タラガム、LMペクチン、HMペクチン、アルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸塩(カルシウム塩は除く)、アルギン酸プロピレングリコールエステル、イオタカラギナン、ラムダカラギナン、ゼラチン、アラビアガム、プルラン、キサンタンガム、サクシノグルカン、CMC−Na、HPC、MCなどが挙げられる。また、50℃以上での温水での崩壊を目的とする場合は、温水可溶のハイドロコロイド、具体的には寒天、カッパカラギナン、ローカストビーンガム、カシアガム、タマリンドガム、デンプン、加工デンプン、脱アシル型ジェランガム、ネーティブ型ジェランガム、サイリュームシードガムなどが挙げられる。
可食性フィルムに含まれるハイドロコロイドの含有量は、最終的な可食性フィルムの重量に対して5〜95質量%の範囲内が好ましく、20〜80質量%の範囲内がより好ましい。ハイドロコロイドの含有量が5質量%と下回ると十分なフィルム強度が得られにくく、95質量%を上回ると食物繊維素材の比率が相対的に小さくなって十分な崩壊効果が得られにくくなるほか、ハイドロコロイド溶液の粘性が高くなるため、作製したフィルムにおいても糊状感を感じやすく食感において違和感が生じやすい。
(2)食物繊維素材
食物繊維素材は、JIS5101−13−1に準拠した方法で測定した保水力が350%〜2000質量%(w/w)の範囲内である天然由来セルロースである。食物繊維素材の保水力は、400〜1500質量%(w/w)がより好ましい。食物繊維素材の保水力が350質量%より小さいと、可食性フィルムの保水力が小さすぎて十分な崩壊効果が得られにくい。反対に、食物繊維素材の保水力が2000質量%より大きいと、可食性フィルムの保水力が大きすぎて可食性フィルムのフィルム強度が弱くなりやすいほか、可食性フィルムを作製する際、ハイドロコロイド溶液の粘性が高くなり作業しにくい問題もある。
なお、保水力の測定方法は、後述する実施例に記載の方法で測定した値として定義することができる。具体的には、JIS5101−13−1の方法に準じた方法で、試料は5.0gを使用し、精製亜麻仁油の代わりにイオン交換水を使用した方法で測定した値である。ここで、保水力100質量%(w/w)ということは、食物繊維素材5.0gが水5.0gの水を保水したということになる。よって、保水力が「350〜2000質量%」ということは、食物繊維素材5.0gが17.5〜100gの水を吸収したということになる。
食物繊維素材の形態は、特に制限はないが、球状又は繊維状のものが好ましい。ここで、球状とは、二次凝集したものも含む。食物繊維素材の形態が球状の場合、平均粒子径が10μm〜150μmの範囲内であるものが好ましい。食物繊維素材の形態が球状の場合、平均粒子径が10μmを下回ると、可食性フィルムの崩壊効果が弱くなりやすく、さらに粉体が二次凝集を起こして見かけの粒子径が大きくなり可食性フィルムのフィルム強度が低下してしまう。一方、食物繊維素材の形態が球状の場合、平均粒子径が150μmを上回ると、可食性フィルムのフィルム強度が弱くなりやすく、さらに可食性フィルムを作製する際にハイドロコロイド溶液の粘性が高くなり作業しにくい。ここでいう平均粒子径とは、一次粒子の平均粒子径を意味する。
また、食物繊維素材の形態が繊維状の場合、平均繊維長が10μm〜1000μmの範囲内であるものが好ましい。食物繊維素材の形態が繊維状の場合、平均繊維長が10μmを下回ると、可食性フィルムの崩壊効果が弱くなりやすく、さらに粉体が二次凝集を起こして見かけの粒子径が大きくなり可食性フィルムのフィルム強度が低下してしまう。一方、食物繊維素材の形態が繊維状の場合、平均繊維長が1000μmを上回ると、可食性フィルムのフィルム強度が弱くなりやすく、さらに可食性フィルムを作製する際にハイドロコロイド溶液の粘性が高くなり作業しにくい。
球状の天然由来セルロースは、主として直接打錠用賦形剤などに使用されているものを採用することができる。また、繊維状の天然由来セルロースは、主として溶液の分散安定剤や錠剤の賦形剤として使用されているものを採用することができる。
天然由来セルロースとしては、上記の保水力を有するものであれば特に限定されないが、例えば、パルプ由来の結晶セルロース、パルプ由来の繊維状セルロース、ビートファイバー、えんどう豆ファイバー、シトラスファイバー、小麦ファイバー、オート麦ファイバー、サトウキビファイバー、ポテトファイバー、コーンファイバー、アップルファイバー、グレープシードファイバー、米ぬか由来ファイバー、大豆由来ファイバーなどを挙げることができる。
食物繊維素材は、最終的な可食性フィルム中のハイドロコロイドの重量に対して10〜200質量%(w/w)添加するのが良く、20〜130質量%添加することがさらに好ましい。上記の添加量が10質量%より少ないと、十分な崩壊効果が得られにくい。また、上記の添加量が200質量%より多いと、十分なフィルム強度が得られにくく、可食性フィルムを作製する際にハイドロコロイド溶液の粘性が高くなり作業しにくい。
(3)可食性フィルムの特性
可食性フィルムの膜厚は、15μm〜150μmの範囲内が好ましく、25μm〜100μmの範囲内がより好ましい。可食性フィルムの膜厚が15μmより薄いとフィルム強度が弱くなり、包装材料、食品のセパレーター、結束帯などに使用した場合、破損や断裂などの問題が生じる。150μmより厚いと柔軟性に欠け、取扱いが困難になるばかりでなく、水等による崩壊性も悪くなりやすい。
可食性フィルムの崩壊時間は、横50mm×縦100mm×厚さ30μmに調整した可食性フィルムを60℃の温水1Lを入れた1Lビーカーに可食性フィルムの上部を持ち浸漬し、崩壊した時間を測定した場合、2分以内に崩壊することが好ましく、1分以内がさらに好ましい。崩壊時間が2分より長いと、可食性フィルムを食品に適用した場合に崩壊が遅くなり、フィルムの一部が食品に残留して食感等に違和感を与えやすくなる。
本発明の可食性フィルムは、水溶性のハイドロコロイドと食物繊維素材を含有させたことにより、十分なフィルム強度を有しながら、水又は水分の多い食材に接した時に容易に崩壊して原型を留めない崩壊性を付与することができる。
従来も、水又は温水に溶解する可食性フィルムはあったが、水に溶解してしまうとハイドロコロイドの粘性が発生し、食品と併用した場合には食品の食感を妨げる粘りを発生させていた。また、ハイドロコロイドのみを使用した可食性フィルムは、構造が密状態になっているため、水又は温水による溶解が遅かった。
一方、本発明の可食性フィルムは、ハイドロコロイドと食物繊維素材とを併用することにより、容易に崩壊させることができる。このため、本発明の可食性フィルムは、崩壊性を有しているため、食品の仕切りに使用した場合などでは、電子レンジなどを使用した加温により容易に崩壊し、仕切りの効果がなくなるが、崩壊であるためハイドロコロイドの粘性が少なく食感を妨げることがない。
食物繊維素材を配合することにより可食性フィルムの崩壊が早くなる理由としては、可食性フィルムの主成分であるハイドロコロイドの溶解より早く食物繊維素材が吸水膨潤し、これにより可食性フィルムが破壊され、ばらばらの状態になるためであると考えられる。この後にハイドロコロイドが溶解し始めるが、ばらばらの状態で存在するため、食したときに糊状感を感じることはほとんどない。上述したように、保水力や粒子形状が本発明の範囲外であると、良好な崩壊性やフィルム強度が得られにくい。
特に、食物繊維素材が保水力350〜2000質量%(w/w)の天然由来セルロースであることから、崩壊性が良好で、かつ耐湿性に優れ、さらに触った感じ(質感)が良好で、高い強度を有する可食性フィルムとすることができる。
さらに、本発明では、食物繊維素材として天然由来セルロースを使用しているため、例えば一般に入手容易なセルロース素材や、食品廃材、農業廃材などを利用すれば、安価に可食性フィルムを提供することができる。
(3)その他の成分
可食性フィルムには、従来の可食性フィルムを製造する時に使用される他の成分を配合してもよい。このような他の成分としては、例えば、多価アルコール、色素、香料などを挙げることができる。その他の成分の含有量は、可食性フィルムの全体量に対して、70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが特に好ましい。
(4)シール剤
可食性フィルムは、表面にシール剤を積層又は塗布してヒートシール性を付与することができる。シール剤としては、例えばゼラチン、プルラン、カゼイン、などを挙げることができる。シール剤の積層又は塗布方法は、一般的に行われている方法でよい。積層又は塗布の具体的な方法としては、例えば、作製した可食性フィルムの表面にシール剤溶液をキャスティングして乾燥させたり、スプレーやはけで塗布したりする方法などを挙げることができる。
可食性フィルムの表面にシール剤を塗布することにより、可食性フィルムをヒートシールして袋状などに加工することが可能となる。これにより、例えば袋状にした可食性フィルムの袋内に調味料や油などを充填すれば、軽量な容器となり、手を汚すことがなく、水やお湯に即溶解する製品を作製することができる。
2.可食性フィルムの製造方法
次に、本発明の可食性フィルムの製造方法について説明する。可食性フィルムの製造方法は、原料となるハイドロコロイドと食物繊維素材とを調整し、これを混合することで製造することができる。原料のハイドロコロイドと食物繊維素材は、いずれも粉末状態でもよく、溶媒に溶解させた溶液状態であってもよい。粉末状態の原料を使用する場合、ハイドロコロイドと食物繊維素材と溶媒とを混合して撹拌することで、懸濁液を調整する。溶液状態の場合は予め溶媒に溶解したハイドロコロイドと食物繊維素材とを混合することで懸濁液を調整する。粉末状態、溶液状態のいずれにおいても、溶媒として水を挙げることができる。ハイドロコロイドと食物繊維素材を混合する際の温度は、通常、70〜100℃の範囲内であり、混合時間は1〜60分の範囲内であるが室温で溶解するハイドロコロイドは室温で混合してもかまわない。
調製した懸濁液は、公知の方法で成膜する。成膜方法としては、例えば、キャスティング法、インフレーション法、スプレー法、印刷法などを挙げることができ、キャスティングの場合の支持体としては、PETフィルムや板状プレートなどを挙げることができる。成膜後は乾燥することで可食性フィルムとなる。乾燥条件としては、特に制限はないが、通常、乾燥温度は60〜90℃、乾燥時間は1〜60分間程度である。
3.可食性フィルムの用途
本発明の可食性フィルムは、包装材料、食品のセパレーター、結束帯から選択される素材に好適に使用することができる。包装材料は、食品や菓子などを包装する素材であり、例えば、可溶性コーヒーなどを入れる小袋、キャンディーやチョコレート、チーズなどを包む包装素材(包装紙、カップ状、シート状容器等を含む)などを挙げることができる。また、食品のセパレーターとしては、二以上の食品要素を仕切る素材であり、例えば、ケーキのスポンジと生クリームを仕切る部材、焼き菓子や調理パン、惣菜などの具材と生地との間を仕切る部材などを挙げることができる。また、結束帯は、麺類などを結束する素材であり、例えば、パスタ、そばなどを結束する部材などを挙げることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、これらは本発明の目的を限定するものではない。また、以下の実施例において「%」表示は特に規定しない限り重量基準(重量パーセント)である。
(食物繊維素材の保水力測定法)
試料(植物繊維素材)の5.0gを用い、精製あまに油の代わりにイオン交換水を使用し、JIS5101−13−1の方法に準じた方法で試料の保水力を測定した。
(可食性フィルムの崩壊時間測定)
縦50mm×横100mm×厚さ30μmの可食性フィルムを、20℃の水1Lを入れたビーカーと、60℃の温水1Lを入れたビーカーに、それぞれ可食性フィルムの上部を持ち浸漬し、崩壊した時間を測定した。
(可食性フィルムの強度測定法)
可食性フィルムを、横30mm×縦50mmに切断し、これをテクスチャーアナライザーTA.XT.Plus(英弘精機)を使用し、引っ張り速度20mm/分,温度20℃で引っ張り強度を測定した。
(食物繊維素材の粒子径測定)
粒子状のものは、Microtrac MT3000(日機装社製)を使用し、分散溶媒99%エタノールを使用して測定した。繊維状のものは顕微鏡法で測定した。また、一部の試料については、食物繊維素材のメーカーが開示している測定結果を引用した。
食物繊維素材は表1の素材を、ハイドロコロイドは表2の素材を使用した。
Figure 0006799846
Figure 0006799846
1.実験例1
表3に示した配合にて可食性フィルムを作製した。具体的には水にカッパカラギナン、寒天、食物繊維素材、ソルビトールを加えた後、95℃にて5分間溶解した(溶液作製量500g)。植物繊維素材は、表4に示すものを使用した。得られた混合物を、支持体を使用してキャスティング法にて流延させた後、85℃にて乾燥し、厚さ35μmの可食性フィルムを作製した。作製した可食性フィルムについて崩壊時間とフィルム強度を測定した。その結果を表4に示す。
Figure 0006799846
Figure 0006799846
以上のように、保水力が350%を下回る比較例2,3は、崩壊時間が長く、フィルム強度が低かったのに対して、保水力が350%以上の実施例1〜9では、崩壊時間が短く、フィルム強度が高いことがわかった。したがって、保水力が350%を上回る食物繊維素材をフィルム素材とすることにより、容易に崩壊し強度が高い可食性フィルムを作製することができることがわかった。
2.実験例2
表5に示した配合にて可食性フィルムを作製した。製法は、実験例1と同様に各成分を水に添加し溶解後キャスティング法にて作製した。さとうきびファイバーの配合量は表6に記載のものとした。可食性フィルムの膜厚は45μmに調整した。作製した可食性フィルムについて、実験例1と同様の方法で崩壊時間とフィルム強度を測定した。その結果を表6に示す。
Figure 0006799846
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以上のように、保水力が350%を下回る比較例5は、崩壊時間が長く、フィルム強度が低かったのに対して、保水力が350%以上の実施例10〜14では、崩壊時間が短く、フィルム強度が高いことがわかった。したがって、保水力が350%を上回る食物繊維素材をフィルム素材とすることにより、容易に崩壊し強度が高い可食性フィルムを作製することができることがわかった。
また、実施例10〜14を比較すると、さとうきびファイバーの添加量が100%の場合は、崩壊速度が速く、かつフィルム強度が高いことがわかった。したがって、食物繊維素材を100%となるように配合することで、容易に崩壊し強度が高い可食性フィルムを作製することができることがわかった。
3.実験例3
表7に示した配合にて可食性フィルムを作製した。製法は、実験例1と同様に各成分を水に添加し溶解後キャスティング法にて作製した。ハイドロコロイドの種類と配合量は表7に記載のものとした。膜厚は50μmに調整した。作製した可食性フィルムについて崩壊時間とフィルム強度を測定し、結果を表8に記載した。また、比較例としてポテトファイバー無添加のフィルムも作製した。
Figure 0006799846
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以上のように、食物繊維素材を添加した可食性フィルムは、ハイドロコロイドの種類が異なっても良好に崩壊した。
4.実験例4(シール剤を塗布)
実施例16で作製した可食性フィルムに20%ゼラチン溶液をスプレーして乾燥することにより、表面にゼラチンが塗布された可食性フィルムを作製した(実施例28)。同様に、表面に3%カゼイン溶液をスプレーした可食性フィルムを作製した(実施例29)。インパルスシーラー(200℃)を使用して30mm×30mmの袋状に製袋し、中にラー油、砂糖をそれぞれ充填した。ラー油を充填したものはラーメンに、砂糖を充填したものはコーヒーに添加した。その結果、加えてから直ぐに可食性フィルムが崩壊後溶解し増粘することなく違和感のないものになった。
5.実験例5(セパレートに使用)
実施例3、実施例7、実施例8、実施例9で作製した可食性フィルムを12cm×12cmに成形し、電子レンジで用時加熱して食する市販されている表9の食品にセパレート用フィルムとして応用した。具体的には、市販商品の麺やご飯部分とカレーやスープなどの調味部分を分けてそこに可食性フィルムを入れて再びあわせた。これを電子レンジにて適宜加熱して食すのに適した状態にしたときの状態を観察し、表9に結果を記載した。
Figure 0006799846
以上のように、ハイドロコロイドと食物繊維素材とを配合した可食性フィルムは、食品のセパレート用に好適に使用できることがわかった。

Claims (6)

  1. 水溶性のハイドロコロイドと、食物繊維素材と少なくとも含有し、
    前記食物繊維素材は、JIS5101−13−1に準拠した方法で測定した保水力が350〜1500質量%(w/w)であって、形態が球状又は繊維状であり、
    前記球状の場合は平均粒子径が10〜150μmであり、前記繊維状の場合は平均繊維長が10〜1000μmである天然由来セルロースであることを特徴とする可食性フィルム。
  2. 前記食物繊維素材は、パルプ由来の結晶セルロース、パルプ由来の繊維状セルロース、ビートファイバー、えんどう豆ファイバー、シトラスファイバー、小麦ファイバー、オート麦ファイバー、サトウキビファイバー、ポテトファイバー、コーンファイバー、アップルファイバー、グレープシードファイバー、米ぬか由来ファイバー及び大豆由来ファイバーからなる群より選択される少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1に記載の可食性フィルム。
  3. 前記ハイドロコロイドは、グアーガム、タラガム、LMペクチン、HMペクチン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、イオタカラギナン、ラムダカラギナン、ゼラチン、アラビアガム、プルラン、キサンタンガム、サクシノグルカン、寒天、カッパカラギナン、ローカストビーンガム、カシアガム、フェヌグリークガム、タマリンドガム、デンプン、加工デンプン、脱アシル型ジェランガム、ネーティブ型ジェレンガム、サイリューム、CMC−Na,HPC,MCからなる群より選択される少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1又は2に記載の可食性フィルム。
  4. ヒートシール性を有するシール剤を表面に備えることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の可食性フィルム。
  5. 縦50mm×横100mm×厚さ30μmの可食性フィルムを60℃の温水1リットルに浸漬したときに2分以内に崩壊する特性を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の可食性フィルム。
  6. 包装材料、食品のセパレーター、麺類の結束帯から選択される素材に使用されることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の可食性フィルム。
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