JP6799436B2 - 果汁発酵飲料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、果汁発酵飲料の製造方法に関する。
果汁発酵飲料は、果汁を発酵させることにより製造される。果汁発酵飲料は、長期保存時に変色する場合がある。変色の原因は、空気中の酸素による酸化であると考えられている。特に、白ワイン等の透明度が高い果汁発酵飲料は、長期保存時における変色が目立ちやすい。
製品の変色は、外観を損ね、商品価値を低下させる。変色の程度は、原料である果汁の品質に左右される。例えば、ロット番号が異なる(製造日等が異なる)場合、同じ品種の果実から得られた飲料であっても、保存時の変色のし易さが異なる場合がある。保存時に変色しやすい製品は、市場に流通する前に排除しておくことが望ましい。
果汁発酵飲料が変色しやすいか否かを確かめるために、実際に果汁を発酵させて果汁発酵飲料のサンプルを調製した後、調製したサンプルを長期間保存し、変色の有無を確認することが考えられる。しかしながら、この手法では、結果を得るまでにかなりの時間が費やされる。また、実際に発酵処理を行う必要があり、コストが増加する。
一方、特開2014−93956号公報(特許文献1)には、濃縮果汁中の5−ヒドロキシメチルフルフラール(5HMF)の含有量に基づいて、発酵に使用する濃縮果汁を選択する点が記載されている。特許文献1の記載によれば、濃縮果汁中に存在する5HMFの存在量が、果汁発酵飲料の着色の度合いと相関する。
特開2014−93956号公報
特許文献1の記載によれば、発酵前の果汁中の5HMFの含有量に基づいて、発酵後の飲料が変色しやすいか否かを予測できる。一方で、特許文献1には、5HMFの含有量を利用する手法以外に、発酵前の果汁を利用して、発酵後の飲料が保存時に変色しやすいか否かを予測する方法は記載されていない。さらに5HMFを測定するにはHPLCなどの分析機械が必要であり、現場の展開に即していない場合もある。
従って、本発明の課題は、発酵前の果汁を利用して、簡便に発酵後の飲料が保存時に変色しやすいか否か予測する他の方法を提供することにある。
本願発明者らは、発酵前の果汁を加温条件下で保管した後の着色量が、発酵後の飲料を保存した後の着色量と相関することを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の事項を含んでいる。
〔1〕発酵前果汁の試料を準備し、加温条件下で保存し、保存後の試料の着色量を測定する工程と、
前記保存後の試料の着色量に基づいて、前記果汁を選択するか否かを決定する工程と、
前記選択した果汁を発酵させる工程と、を備える果汁発酵飲料の製造方法。
〔2〕前記果汁が、白ぶどう果汁を含む、前記〔1〕に記載の製造方法。
〔3〕前記果汁が酸化防止剤無添加である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法。
〔4〕前記加温条件が、50℃〜70℃の範囲内である、前記〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の製造方法。
〔5〕前記保存後の試料の着色量を測定する工程が、保存後1〜14日経過後の着色量を測定する工程を有する、前記〔1〕から〔4〕のいずれかに記載の製造方法。
〔6〕更に、前記加温条件下で保存する前に、前記試料の着色量の初期値を測定する工程を有し、
前記果汁を選択するか否かを決定する工程が、前記初期値からの前記保存後の試料の着色量の変化量に基づいて、前記果汁を選択するか否かを決定する工程を有している、前記〔1〕から〔5〕のいずれかに記載の製造方法。
〔7〕発酵前果汁の試料を準備し、加温条件下で保存し、保存後の試料の着色量を測定する工程と、
前記保存後の試料の着色量に基づいて、前記発酵前果汁を発酵させて得られる果汁発酵飲料の保存後の着色量を予測する工程と、を備える、果汁発酵飲料の着色予測方法。
〔8〕果汁発酵飲料用の発酵前果汁の選別方法であって、
発酵前果汁の試料を準備し、加温条件下で保存し、保存後の試料の着色量を測定する工程と、
前記保存後の試料の着色量に基づいて、前記発酵前果汁を選択するか否かを決定する工程と、を備える、選別方法。
本発明によれば、発酵前の果汁を利用して、発酵後の飲料が保存時に着色しやすいか否かを予測できる。
図1は、試験例1の結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施態様について詳細に説明する。
1.果汁発酵飲料
本実施態様に係る果汁発酵飲料は、果汁を発酵させて得られる飲料である。好ましい果汁発酵飲料は、白色系の果実から得られた飲料である。白色系の果実から得られる飲料は、保管時の変色が目立ちやすい。そのため、製品を流通させる前に変色しやすいか否かを見分けることが、より強く求められ、以下に説明する本実施態様に係る方法により変色のし易さを事前に予測することが有効である。
白色系の果実としては、例えば、白ブドウ、リンゴ、洋ナシ、モモ、ライチ、梅、及びアプリコットからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、白ブドウ、リンゴ、洋ナシ、及びモモからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく挙げられ、白ブドウがより好ましく挙げられる。尚、これらの果汁から得られる果汁発酵飲料としては、例えば、白ワイン、シードル、及びフルーツワイン等が挙げられ、白ワインが好ましい。
果汁発酵飲料には、酸化防止剤が含まれていてもよく、含まれていなくてもよい。好ましくは、果汁発酵飲料には、酸化防止剤が含まれていない。一般的に、果汁に酸化防止剤を添加することにより、長期保管時の変色を抑制することができる。一方で、食品の安心・安全嗜好の高まりから、食品添加物を好ましく思わない消費者もおり、酸化防止剤を含有しない果汁発酵飲料が製造、販売されている。高品質な果汁発酵飲料には、優れた香味を得るため、酸化防止剤が添加されないことが多く、その結果、長期保管時の変色が問題になりやすい。そのため、酸化防止剤を含有しない果汁発酵飲料において、本実施態様に係る方法により変色のし易さを事前に予測することは、有効である。
尚、酸化防止剤としては、例えば、亜硫酸が挙げられる。
2.果汁発酵飲料の製造方法
本実施態様に係る果汁発酵飲料の製造方法は、発酵前果汁の試料を準備し、加温条件下で保存し、保存後の試料の着色量を測定する工程(ステップS1)と、保存後の試料の着色量に基づいて、果汁を選択するか否かを決定する工程(ステップS2)と、選択した果汁を発酵させる工程(ステップS3)とを備えている。
(ステップS1)
まず、発酵前果汁の試料を準備する。生産地で収穫された果実は、果実を搾っただけのストレート果汁、もしくはストレート果汁から濃縮工程を経て濃縮果汁とされ、輸送される。輸送後、濃縮果汁は希釈される。原料として濃縮果汁が用いられる場合には、濃縮果汁が所定の濃度になるように希釈され、試料とされる。
準備した試料について、まず、その着色量の初期値が測定される。
次いで、試料が、加温条件下(室温よりも高い条件下)で保管される。予め定めた日数の経過後、試料の着色量が保管後着色量として測定される。そして、着色量の初期値と、保管後着色量とに基づいて、着色量の経時変化量(以下、変色量という)が求められる。
(ステップS2)
ステップS1で求めた変色量に基づいて、測定した発酵前果汁を選択するか否かを決定する。本発明者の知見によれば、ステップS1で求めた変色量は、発酵工程を経た後の果汁発酵飲料(以下、実製品という)を、ステップS1の保管期間よりも長期間保存した場合(例えば、37℃で1ヶ月)における変色量に対応している。すなわち、ステップS1で求めた変色量が大きければ、実製品を長期間保存した際の変色量も、大きくなると予想される。そこで、ステップS1で求めた変色量を、予め設定した基準値と比較する。ステップS1で求めた変色量が基準値以下である場合に、対応する果汁をその後の工程(発酵工程)に使用する果汁として選択する。逆に、ステップS1で求めた変色量が基準値よりも大きかった場合には、その果汁を排除する。
尚、基準値は、実製品に求められる保存安定性に応じて定められる。基準値は、例えば、予め、多数の果汁について、発酵前果汁を所定温度で所定期間(例えば、60℃で7日)保管した場合の変色量と、実製品を所定温度で所定期間(例えば、37℃で1ヶ月)保存した際の変色量との関係を実測により求め、求めた関係から設定することができる。
(ステップS3)
次いで、選択された果汁を、発酵させる。一般に、濃縮果汁を使用した果汁発酵飲料の製造にあたっては、濃縮果汁等を希釈・混合した溶液に、酵母を添加し、通常15℃から30℃の温度で5日間から30日間発酵させる。この際、使用する濃縮果汁の糖度に応じて更に糖分を補い、発酵後の果汁発酵飲料のアルコール度数を調整してもよい。
また、発酵を助成し、健全な醸造を期するため、果汁に発酵助成剤を添加してもよい。発酵助成剤としては、例えば、リン酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、不活性酵母、酵母細胞壁、酵母エキス、チアミン塩酸塩、葉酸、パントテン酸カルシウム、ナイアシン、及びビオチン等を挙げることができる。
以上のステップS1乃至S3により、果汁発酵飲料(実製品)が製造される。本実施態様に係る方法によれば、発酵工程を経た後の飲料が長期保存時に着色しやすいか否かを、発酵工程を経る前の液を使用して、予測できる。その結果、発酵工程を実施することなく、着色しやすい果汁を見分けることができる。発酵工程を経る必要が無いので、検査に要するコストを低減できる。
尚、ステップS1において測定される着色量は、飲料の色を反映したパラメータであれば特に限定されない。例えば、着色量としては、着色度OD430等を用いることができる。
また、ステップS1における加温条件の温度は、適切な大きさで着色量が経時的に変化し、かつ、メイラード反応が過度に起こらないような条件に設定される。また、メイラード反応は、実製品の保管時には進行しにくいため、メイラード反応が過度に起こるような条件で果汁を保管した場合には、実製品の変色量との間の相関関係が得られにくくなる。以上のような観点から、加温条件の温度は、好ましくは45℃〜80℃、より好ましくは50℃〜70℃である。このような温度範囲であれば、時間の経過に伴い適切な大きさで着色量が変化する。また、過度なメイラード反応も起こりにくい。その結果、高い精度で果汁を取捨選択することが可能になる。
また、ステップS1において、保管後着色量を測定する際の経過日数は、試料の着色量の大きさが適切な大きさになるような範囲で決定される。具体的には、保管後着色量を測定する際の経過日数は、1〜14日、好ましくは3〜7日である。
3.果汁発酵飲料の着色予測方法
本発明者の知見を利用すれば、ある温度である期間保管した発酵前果汁の変色量に基づき、実製品を特定温度で特定期間保管した際の変色量を予測することが可能である。以下に、この点について説明する。
既述のように、発酵前果汁を加温条件下で所定期間保管した際の変色量は、実製品を長期間保存した場合における変色量を反映している。具体的には、実製品の変色量は、発酵前果汁を加温条件下で保管した際の変色量に比例する。そこで、事前に、多数の原料について果汁及び実製品の変色量を実測することにより、所定温度で所定期間保管した場合の果汁の変色量(例えば、60℃、7日保管後の変色量)と、実製品を所定温度で所定期間保存した場合の変色量(例えば、37℃で1ヶ月保管後の変色量)との対応関係(以下、対応関係1という)を求めておく。具体的には、下記数式1に記載されるような対応関係を求めておく。
(数式1)y1=ax+b
数式1中、y1は、実製品を所定温度で所定期間保存した場合の変色量を表し、xは果汁を所定温度で所定期間保存した場合の変色量を表す。aは傾き、bは切片であり、実測により求められる。
また、本発明者の知見によれば、発酵前果汁の変色量は、加温保管時の保管日数に比例する。すなわち、下記数式2の関係が成り立つ。
(数式2)y2=c×D
数式2中、y2は果汁の変色量を表し、Dは保管日数を表す。cは傾きであり、原料に依存する。この関係から、ある期間保管した後の果汁の変色量が判れば、異なる期間保管した後の変色量を予測できる。例えば、3日保管後の果汁の変色量が判れば、同じ温度で7日保管した後の果汁の変色量を求めることができる。
更に、本発明者の知見によれば、特定の温度範囲内では、上記数式2における傾きcの大きさは、保管温度の増加に伴い一定の割合で増加する。言い換えれば、発酵前果汁の変色量は保管温度に比例する。この関係(単位温度あたりの傾きcの変化量)は、原料が異なっていても(製造日などが異なっていても)、原料の種類(品種)が同じであればあまり変化しない。そこで、事前に、実測によって、異なる保管温度で数式2の関係を求めておき、変色量と保管温度との対応関係(例えば、保管温度を10℃上昇させた際のcの増加倍率)を求めておく(以下、対応関係2という)。
この対応関係2を求めておくことにより、ある保管温度(例えば50℃)における果汁の変色量から、別の保管温度(例えば60℃)における果汁の変色量を予測できる。
すなわち、上述の知見を利用すれば、事前に上記の対応関係1及び2を求めておくことにより、任意の温度で任意の期間保存した果汁の変色量から、所定温度で所定期間保存した実製品の変色量を予測できる。例えば、以下の手順により、実製品の変色量を予測できる。
(A)まず、ある温度である期間保管した果汁の変色量(例えば、50℃で3日保管後の変色量)を測定する。
(B)数式2に記載されるように、果汁の変色量は保管日数に比例するので、(A)で得られた測定結果を、対応関係1を求めた時の保管日数の値(50℃で7日保管後の変色量)に変換する。
(C)次いで、事前に求めておいた変色量と保管温度との関係(対応関係2)を参照し、(B)で得られた値を、対応関係1を求めた時の保管温度の値(例えば、60℃で7日保管後の変色量)に変換する。
(D)更に、対応関係1を参照し、(C)で得られた値から、実製品を所定温度で所定期間保管した場合の変色量(37℃、1ヶ月保管後の変色量)を予測する。
(実施例)
以下、本発明について実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
[試験例1]:発酵前果汁の変色量と実製品の変色量との対応関係の検討
手順1:原料として白ブドウ濃縮果汁(Bx.68%)を用い、Bx.20%になるように水で希釈した。
手順2:次いで、希釈した果汁を300mlガラス瓶に充填し、60℃で15分間殺菌し、試料を準備した。
手順3:試料の着色度OD430を測定し、測定結果を初期値とした。
手順4:更に、試料を60℃で保存した。7日保存後に、試料の着色度OD430を測定した。
手順5:7日間保存後の測定値と初期値との差(保存後の着色度−初期値)を、果汁の変色量“ΔOD430(果汁)”として求めた。
手順6:手順2乃至5とは別に、手順1で希釈した果汁に酵母及び栄養源を加え、25℃で発酵させた。
手順7:発酵終了後、遠心分離処理及びベントナイト処理を行った。さらに、得られた液を濾過し、ワイン原酒を得た。
手順8:ワイン原酒を分析し、規定値になるように調合した。調合後のワインのアルコール度数は11.2体積%、滴定酸度は酒石酸換算で5.8g/L、エキス分は5.0質量%であった。
手順9:ワインを300mlガラス瓶に充填し、65℃で15分間殺菌した。
手順10:ワインの着色度OD430を初期値として測定した。
手順11:ワインを37℃で1ヶ月保存し、保存後の着色度OD430を測定した。
手順12:保存後の着色度と初期値との間の差(保存後の着色度−初期値)を、ワインの変色量“ΔOD430(ワイン)”として算出した。
上記手順1〜12を、異なる供給元から購入した複数の原料A乃至Eについて実施した。また、原料A乃至Cのそれぞれについては、更に、複数の異なるロット番号のものについても、実施した。
手順5及び12で得られた変色量の結果を、表1に示す。また、図1は、横軸を果汁の変色量OD430(果汁)とし、縦軸をワイン(実製品)の変色量OD430(ワイン)としたときのグラフである。
表1および図1に示されるように、OD430(果汁)とOD430(ワイン)との間には、高い相関関係が得られた。そして、OD430(果汁)が大きい試料(例えば、原料AのロットNo.3、原料D、及び原料E)は、OD430(ワイン)も大きいことが理解できる。
また、図1に示されるグラフから、下記数式4に記載される対応関係が得られた。
(数式4):y1=0.4172x+0.0103
尚、y1は、実製品の変色量(37℃で1ヶ月保管時)を示し、xは果汁の変色量(60℃で7日)を示す。この対応関係を用いることにより、60℃で7日保管した後の果汁の変色量から、実製品の変色量(37℃で1ヶ月保管時)を予測できることが理解できる。
[試験例2]:保管温度、保管日数の検討
手順1:原料として白ブドウ濃縮果汁(Bx.68%)を用い、Bx.20%になるように水で希釈した。
手順2:次いで、希釈した果汁を100mlガラス瓶に充填し、60℃で15分間殺菌し、試料を準備した。
手順3:試料の着色度OD430を測定し、測定結果を初期値とした。
手順4:試料を、異なる温度(37℃、50℃、60℃、70℃)で保存した。
手順5:保存中、毎日サンプリングを行い、着色度OD430を測定した。
手順6:手順5の測定結果と初期値との差を、変色量として求めた。
上記手順1〜6を、異なる原料(原料A−3、原料D及び原料E)のそれぞれについて行った。得られた結果を表2に示す。また、表2には、傾き、相関係数r、および傾きの倍率も併せて示されている。「傾き」は、横軸を保管日数、縦軸を変色量としたグラフにおける直線の傾きを計算したものである。「傾きの倍率」は、保管温度が10℃上昇した場合に傾きが何倍になるかを示した値である。例えば、60℃における「傾きの倍率」は、「60℃における傾き」/「50℃における傾き」として計算した。
表2に示されるように、保管温度が37℃である場合には、保管後においても、ほとんど着色量が変化せず(変色量が極めて小さく)、保管日数と着色量との間に明確な関係性が得られなかった。一方、50℃〜70℃の各保管温度においては、保管日数と変色量との間に比例的な関係が見られた。すなわち、保管日数の増加に伴い、変色量が比例的に増加した。また、その関係における傾きは、温度及び原料の種類によって異なっていた。このことから、50℃〜70℃の保管温度においては、ある日数が経過した後の果汁の変色量の実測値を、異なる日数が経過した後の変色量に変換できることが理解できる。
また、表2の結果から、少なくとも保管温度が50〜70℃の範囲内である場合、傾きの倍率は、いずれの原料においても、2.7程度である。このことは、保管日数が同じであれば、変色量が保管温度に比例し、その傾きが原料によらず概ね一定であることを意味している。従って、この対応関係から、ある保管温度における変色量が判れば、異なる保管温度における変色量が予測できることが判る。
すなわち、表2に示される結果から、特定の温度範囲内(例えば50〜70℃)では、果汁の変色量が保管日数、及び保管温度に比例する点が理解できる。そのため、果汁の変色量と保管温度との対応関係(傾きの倍率)を事前に求めておけば、ある温度である期間保存した果汁の変色量の実測値から、任意の温度で任意の期間保存した果汁の変色量を予測でき、更に、図1に記載されるような、果汁の変色量と実製品の変色量との対応関係を利用し、実製品の変色量を予測できることが理解できる。
Figure 0006799436
Figure 0006799436

Claims (6)

  1. 発酵前の白ぶどう果汁の試料を準備し、50℃から70℃の範囲内の加温条件下で保存し、保存後の試料の着色量を測定する工程と、
    前記保存後の試料の着色量に基づいて、前記果汁を選択するか否かを決定する工程と、 前記選択した果汁に酵母を添加し、15℃から30℃の温度で5日間から30日間発酵させる工程と、を備える白ぶどう果汁発酵飲料の製造方法。
  2. 前記果汁が酸化防止剤無添加である、請求項1記載の製造方法。
  3. 前記保存後の試料の着色量を測定する工程が、保存後1〜14日経過後の着色量を測定する工程を有する、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 更に、前記加温条件下で保存する前に、前記試料の着色量の初期値を測定する工程を有し、
    前記果汁を選択するか否かを決定する工程が、前記初期値からの前記保存後の試料の着色量の変化量に基づいて、前記果汁を選択するか否かを決定する工程を有している、請求項1からのいずれかに記載の製造方法。
  5. 発酵前の白ぶどう果汁の試料を準備し、50℃から70℃の範囲内の加温条件下で保存し、保存後の試料の着色量を測定する工程と、
    前記保存後の試料の着色量に基づいて、前記発酵前の白ぶどう果汁に酵母を添加し、15℃から30℃の温度で5日間から30日間発酵させて得られる白ぶどう果汁発酵飲料の保存後の着色量を予測する工程と、を備える、白ぶどう果汁発酵飲料の着色予測方法。
  6. 白ぶどう果汁に酵母を添加し、15℃から30℃の温度で5日間から30日間発酵させて得られる発酵飲料用の発酵前果汁の選別方法であって、
    発酵前の白ぶどう果汁の試料を準備し、50℃から70℃の範囲内の加温条件下で保存し、保存後の試料の着色量を測定する工程と、
    前記保存後の試料の着色量に基づいて、前記発酵前の白ぶどう果汁を選択するか否かを決定する工程と、を備える、選別方法。
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