JP6798554B2 - 溶鋼の製造方法 - Google Patents

溶鋼の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6798554B2
JP6798554B2 JP2018529495A JP2018529495A JP6798554B2 JP 6798554 B2 JP6798554 B2 JP 6798554B2 JP 2018529495 A JP2018529495 A JP 2018529495A JP 2018529495 A JP2018529495 A JP 2018529495A JP 6798554 B2 JP6798554 B2 JP 6798554B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
slag
decarburization
hot
cold
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018529495A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2018021019A1 (ja
Inventor
哲平 鈴木
哲平 鈴木
亘 田代
亘 田代
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Publication of JPWO2018021019A1 publication Critical patent/JPWO2018021019A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6798554B2 publication Critical patent/JP6798554B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21CPROCESSING OF PIG-IRON, e.g. REFINING, MANUFACTURE OF WROUGHT-IRON OR STEEL; TREATMENT IN MOLTEN STATE OF FERROUS ALLOYS
    • C21C7/00Treating molten ferrous alloys, e.g. steel, not covered by groups C21C1/00 - C21C5/00
    • C21C7/04Removing impurities by adding a treating agent
    • C21C7/068Decarburising
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21CPROCESSING OF PIG-IRON, e.g. REFINING, MANUFACTURE OF WROUGHT-IRON OR STEEL; TREATMENT IN MOLTEN STATE OF FERROUS ALLOYS
    • C21C5/00Manufacture of carbon-steel, e.g. plain mild steel, medium carbon steel or cast steel or stainless steel
    • C21C5/28Manufacture of steel in the converter
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21CPROCESSING OF PIG-IRON, e.g. REFINING, MANUFACTURE OF WROUGHT-IRON OR STEEL; TREATMENT IN MOLTEN STATE OF FERROUS ALLOYS
    • C21C7/00Treating molten ferrous alloys, e.g. steel, not covered by groups C21C1/00 - C21C5/00
    • C21C7/04Removing impurities by adding a treating agent
    • C21C7/076Use of slags or fluxes as treating agents
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Carbon Steel Or Casting Steel Manufacturing (AREA)
  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Description

本発明は、特に、脱炭吹錬の際に添加する媒溶剤の量を削減するために用いて好適な溶鋼の製造方法に関する。
従来、要求される製品規格のりん濃度以下まで低減させるために、脱炭炉で溶銑を吹錬して溶鋼を製造する際に、転炉上に設置された投入シュートから媒溶剤を投入する。溶銑中へ投入された媒溶剤は、高温の溶銑表面で溶融し、CaOおよびSiO2を主体とするスラグを形成する。さらに、吹錬中は溶銑へメインランスを通じて純酸素が吹き込まれ、溶銑中のりんはりん酸化物となり、スラグ中のCaOと固溶体を形成し、スラグ中へ除去される。これにより、溶銑中のりん濃度が低下する。投入される媒溶剤の量は、溶銑予備処理後の溶銑成分、製品規格のりん濃度、及び目標温度に応じて決定されるが、近年、鉄鋼製品のハイエンド化やユーザー規格の厳格化が進んでおり、りん濃度をさらに低下させるために媒溶剤の量が増加傾向にある。
そこで、製鋼工程においてコストを低減するため、新規に投入する媒溶剤の量を削減する方法として、スラグリサイクル法がある。スラグリサイクル法には、コールドリサイクルとホットリサイクルとの2種類の方法がある。以下の説明において、媒溶剤は、スラグリサイクルの系外から導入されるスラグ材を指し、リサイクルされたスラグは含まないものとする。
コールドリサイクルは、従来からSRP法等の向流精錬において広く使用されている技術であり、特許文献1及び2には、コールドリサイクルの技術が開示されている。一般的にコールドリサイクルでは、脱炭炉から滓鍋に排滓されたスラグ(以下、脱炭スラグ)は、冷却後に磁選、破砕、整粒等の工程を経て、製鋼工場へ運搬される。そして、運搬された脱炭スラグをコールドスラグとして脱りん炉内へリサイクルする。
一方、ホットリサイクルは、主にMURC法で使用される技術であり、例えば特許文献3及び4に開示されている。ホットリサイクルでは、脱りん吹錬と脱炭吹錬とを同一転炉で交互に実施する特徴を利用し、脱炭出鋼後に炉内にホットスラグを残留させ、次チャージにスクラップを投入することにより注銑が可能な程度までホットスラグを凝固させ、次チャージの注銑及び脱りん吹錬を行う。このように、工程外でのスラグ処理を省略しつつ、次チャージの脱りん吹錬へスラグを流用することができる。
以上のようにどちらの方法も、高塩基度の脱炭スラグを、脱炭炉よりも塩基度の低い脱りん炉へリサイクルする方法であるが、脱炭炉へスラグをリサイクルすることもできる。これにより、脱りん炉または脱炭炉で新規に投入する媒溶剤の量を少なくすることができる。
また、脱炭炉において排滓時にP25濃度に応じて脱炭スラグを分別回収し、鋼種に応じて最適なP25濃度の脱炭スラグをコールドリサイクルまたはホットリサイクルする技術が特許文献5に開示されているが、ホットリサイクルのスラグを凝固させる際に、コールドリサイクルを使用する方法は開示されていない。また、特許文献5のように、排滓時のP濃度のみに応じて脱炭スラグをコールドリサイクルまたはホットリサイクルした場合、りん濃度の高い溶銑を脱炭炉に装入すると、スラグ中のP濃度が常に高くなるため、ホットリサイクルを全く実施できない課題もある。
また、コールドリサイクルを実施する場合には、コールドスラグは粉分が多く水分を含みやすいことから、転炉投入時の反応性が大きく、排気ダクトや集塵ろ布等へ多くの負荷をかける懸念がある。よってコールドリサイクルでは、脱炭炉で多量にリサイクルすることが困難である。
一方、脱炭炉ではスクラップを使用しない操業が行われる。したがって、脱炭炉でホットリサイクルを実施する場合は、ホットスラグの固化が十分になされないため、新規に媒溶剤等を冷却剤として用いる必要があり、冷却剤を用いない場合は十分な量のホットリサイクルがなされないという課題がある。
さらに、スラグリサイクルには、スラグ中のP25が濃化することによる脱りん不良の懸念が内在している。コールドリサイクルでは、脱炭スラグの成分分析が可能なため、特許文献5に記載の方法を用いて、P25の濃度に応じて分別回収し、鋼種に応じてスラグを選択することができる。ところが、ホットリサイクルでは連続的に脱炭スラグをリサイクルするため、脱炭スラグの成分分析が不可能でありP25の濃化程度が不明瞭である。このため、余裕を持って脱りん不良を回避できる程度までしかP25を濃化することができないため、十分な量のホットリサイクルがなされないという課題もある。
特開平4−120209号公報 特開昭64−75618号公報 特許第2607328号公報 特許第5671801号公報 特許第3829696号公報
材料とプロセス Vol.8(1995)、p.183
本発明は前述の問題点に鑑み、脱炭吹錬で新規に投入する媒溶剤の量を十分に低減できる溶鋼の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は以下のとおりである。
(1)前チャージで発生した脱炭スラグの一部をホットスラグとして脱炭炉内に残した状態で、現チャージにおいて、過去の脱炭吹錬で生成されて排滓された脱炭スラグを固化したコールドスラグを前記脱炭炉へ投入し、次いで、りん濃度が0.060質量%未満の溶銑を前記脱炭炉に装入して脱炭吹錬を行うことを特徴とする溶鋼の製造方法。
(2)現チャージにおける脱炭吹錬で生成された脱炭スラグ中のP25の濃度が所定値以下である場合に、次チャージで用いるホットスラグとして一部を前記脱炭炉に残すことを特徴とする上記(1)に記載の溶鋼の製造方法。
(3)現チャージにおいて、前記固化したコールドスラグを前記脱炭炉へ投入するとともに、媒溶剤を投入し、
前記媒溶剤の量は、前チャージで発生した脱炭スラグ中のP25の濃度に基づいて決定することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の溶鋼の製造方法。
(4)前記固化したコールドスラグの粒径は50mm以下であることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか1つに記載の溶鋼の製造方法。
本発明によれば、脱炭吹錬で新規に投入する媒溶剤の量を十分に低減できる溶鋼の製造方法を提供することができる。
図1は、実施例1〜4及び比較例における脱炭スラグの構成の内訳を示す図である。 図2は、実施例1〜6及び比較例における脱炭炉から出鋼された溶鋼中の[P]を示す図である。 図3は、ホットスラグにおける(P25)と出鋼後の溶鋼中の[P]との関係を示す図である。 図4は、実施例1、5、6における脱炭スラグの構成の内訳を示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。以下、元素記号に付した記号[]は、当該元素の溶銑または溶鋼中の濃度を示し、元素記号や化合物に付した記号()は、当該元素や化合物のスラグ中の濃度であることを示す。
本発明では、転炉以外での溶銑予備処理や脱りん炉での脱りん処理などで脱りんされた溶銑を脱炭炉において脱炭吹錬する際に生成されるスラグをコールドリサイクルとホットリサイクルとで併用し、コールドリサイクルにより生成されたコールドスラグとホットリサイクルにより生成されたホットスラグとを用いて脱炭吹錬を行い、溶鋼中の[P]を低下させる。
コールドリサイクルでは、脱炭炉から溶鋼を出鋼した後に脱炭スラグを滓鍋へ排滓し、排滓した脱炭スラグを冷却後に破砕し、篩を通して所定の粒径まで調整してコールドスラグを得る。そして、数日後のチャージにおいて、脱炭炉上に設置された投入シュートよりコールドスラグを脱炭炉内へ投入する。本実施形態では、脱りん炉ではなく脱炭炉で用いるコールドスラグを生成する。
ホットリサイクルでは、脱炭炉から溶鋼を出鋼した後にスラグを排滓せず、脱炭炉内に高温の脱炭スラグ(ホットスラグ)を残留させ、冷却効果の高い媒溶剤などを投入して固化させる。その後、次チャージの溶銑を注銑し、脱炭吹錬へ移行する。
本実施形態では、まず、コールドリサイクルによりコールドスラグを予め生成しておく。そして、前チャージで生成されたホットスラグを脱炭炉に残したまま、現チャージにおいて、ホットスラグが存在する状態でコールドスラグを投入し、スラグ量が不足している場合はさらに媒溶剤を投入し、その後溶銑を装入して脱炭吹錬を行う。そして、好ましくは、現チャージにおいてスラグ中の(P25)を事前に予測し、現チャージに発生する脱炭スラグの次チャージへのリサイクル可否を判定する。リサイクルが可能であると判定した場合は、次チャージのホットスラグとして脱炭スラグの一部を脱炭炉に残すようにする。以下、操業手順について詳細に説明する。
まず、前チャージの脱炭吹錬によって生成された脱炭スラグの一部を脱炭炉に残しておく。この脱炭スラグは、リサイクルの判定によりリサイクルが可能と判定されたスラグである。リサイクルの判定の詳細については後述する。続いて、現チャージにおいて、溶銑、コールドスラグおよび媒溶剤を脱炭炉に投入し、脱炭吹錬を行う。
脱炭炉に投入する溶銑における[P]は0.060質量%未満とする。溶銑中の[P]を0.060質量%未満とした理由は、溶銑中の[P]が0.060質量%以上であると、脱りん量を大きくする必要があり、スラグ中の(P25)が高くなり、脱炭炉にリサイクルするスラグとして適さなくなる。好ましくは脱炭炉に投入する溶銑における[P]は0.035質量%以下である。一般的に、高炉から出銑される溶銑中の[P]は0.100質量%を超える程度であるが、溶銑中の[P]を0.060質量%未満にする方法については特に限定されない。例えば脱りん炉での脱りん処理により溶銑中の[P]を0.060質量%未満にしてもよく、また、周知の溶銑予備処理技術を適用することによって、溶銑中の[P]を容易に0.060質量%未満とすることもできる。
脱炭吹錬では、目標となる溶鋼の[P]、及び脱りん処理後の[P]に応じて、必要りん分配比を決定し、これにより必要スラグ量を算出する。また、脱炭吹錬では、塩基度を3.6〜3.8とし、溶解炉内の耐火物を保護する観点から、スラグ中の(MgO)を6〜9質量%とする。これらの条件を基に、媒溶剤の投入量を決定することができる。
ここで、りん分配比は、スラグ中のりん濃度を溶鋼中のりん濃度で除したものであり((P)/[P])、必要りん分配比は、30〜60程度の範囲であり、目標となる溶鋼の[P]が小さい場合には、必要りん分配率は大きめの値が設定される。出鋼される溶鋼量は予め予測できるため、りん分配比が設定できると必要スラグ量を算出することができる。
一方、りん分配比は、脱炭炉における各種スラグ成分、及び終点温度と相関が有ることが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。そこで、必要スラグ量、塩基度、スラグ中の(MgO)、および上記相関式を満足できるように、複数種の媒溶剤の組合せを決定する。なお、媒溶剤の組合せの決定方法は、一義的に定まるものではなく、各炉における操業経験や媒溶剤調達の容易性、コスト等のローカル条件を勘案して決定される。媒溶剤の種類としては、生石灰、ドロマイト、硅石、カンラン岩、軽焼ドロマイトなどが挙げられる。生石灰の場合、粒径は3〜10mmであることが好ましく、軽焼ドロマイトの場合、粒径は5〜30mmであることが好ましい。
また、前チャージ出鋼から現チャージにおいて溶銑の投入を開始するまでの間に、コールドスラグを脱炭炉内へ投入しておく。この期間にコールドスラグを投入する理由は、前チャージで生成されたホットスラグを固化させるためであり、さらにコールドスラグを投入することによる突沸反応を防止するためでもある。この期間にコールドスラグを投入すると、ホットスラグによりコールドスラグ中の水分が除去される。ここで、コールドスラグを生成する際には、篩を通して粒径を50mm以下に調整しておくことが好ましい。コールドスラグの粒径を50mm以下にした理由は、溶解炉上のホッパーへ貯蔵しやすく、さらにホッパーから脱炭炉へコールドスラグを投入しやすく、脱炭炉内で円滑に滓化することができるからである。一方、コールドスラグの粒径が50mmを超えると、ホッパーへの搬送、切り出し等のハンドリングに伴うトラブルが生じたり、脱炭炉内において伝熱および滓化に多くの時間を要したりする可能性がある。また、コールドスラグ、媒溶剤とともに温度調整用の冷材としてスケールを投入してもよい。
以上のように脱炭炉に溶銑、コールドスラグおよび媒溶剤が投入されると、メインランスから酸素ガスを吹き込み、脱炭吹錬を開始する。そして、所定の[C]に到達すると、脱炭炉から取鍋へ溶鋼が出鋼される。脱炭スラグについては、そのままホットスラグとして脱炭炉に残す。このとき、脱炭スラグ中の(P25)によってホットリサイクルするか否かを判定してもよい。
ホットリサイクルを実施する場合、新規に投入する媒溶剤により生成されたスラグで脱りんする場合に比べて、スラグ中の(P25)が濃化している。(P25)が過度に濃化していると、スラグの脱りん能は低下する。そのため、スラグ中の(P25)を事前に予測し、現チャージに発生する脱炭スラグを次チャージへリサイクル可能か否かを判定してもよい。スラグ中の(P25)は、以下の式(1)〜式(3)に示すりんのマスバランス式により予測する。
スラグ中(P25)(質量%)=スラグ中(P25)(kg/t)÷スラグ量(kg/t)×100 ・・・(1)
スラグ中(P25)(kg/t)=持越しスラグ中(P25)(kg/t)+コールドスラグ中(P25)(kg/t)+現チャージスラグ中(P25)(kg/t)+前チャージホットスラグ中(P25)(kg/t) ・・・(2)
スラグ量(kg/t)=持越しスラグ量(kg/t)+コールドスラグ量(kg/t)+現チャージスラグ量(kg/t)+前チャージホットスラグ量(kg/t) ・・・(3)
ここで、「持越しスラグ」とは、前工程からの溶銑に随伴するスラグを指し、その量はスラグ成分のマスバランス調査結果によって把握できる。「現チャージスラグ」とは、媒溶剤から由来するスラグを指す。
「前チャージホットスラグ」とは、現チャージの直前の前チャージで生成した脱炭スラグを完全排滓せずに、炉内に残すことによってリサイクルされたホットスラグであり、その量は、排滓時の転炉最終傾動角度によって決まるため、把握できる。前チャージホットスラグ中(P25)(kg/t)は、直接にサンプルを成分分析することは困難であるが、前チャージにおいて式(1)によりスラグ中(P25)(質量%)が算出されているため、把握することができる。
以上のようにスラグ中(P25)(質量%)が所定値以下である場合は、脱炭スラグを一部排滓してホットリサイクルを実施し、次チャージにおいて、スラグ中の(P)を算出してりん分配率を算出し、媒溶剤の量を決定する。このとき、排滓した脱炭スラグでコールドリサイクルを実施してもよい。また、ホットリサイクルを実施しない場合は、脱炭スラグをすべて排滓し、次チャージでは、コールドスラグ及び媒溶剤のみを用いて脱炭吹錬を行う。また、次チャージにおいて媒溶剤のみを用いて脱炭吹錬を行ってもよい。
なお、コールドスラグを生成するために、スラグ中(P25)(質量%)が所定値以下である場合に、一部のチャージにおいてホットリサイクルを実施せずに、コールドリサイクルを実施するようにしてもよい。
以上により、脱炭炉で脱炭スラグのリサイクル量を拡大でき、新規に投入する媒溶剤量を大幅に低減することが可能となる。
以下、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
本発明の効果を確認するために、実施例1〜4ではりん濃度が0.060質量%未満の溶銑を脱炭炉において脱炭吹錬する操業を行った。使用した溶銑は、溶銑脱りん処理を行った脱りん銑280〜290tであり、溶銑の成分には、[C]=3.3〜3.8質量%、[Si]≦0.01質量%、[Mn]=0.10〜0.30質量%、[P]=0.010質量%以上0.060質量%未満が含まれている。
脱炭吹錬は、[P]=0.018%を製品規格の上限とした鋼種を対象として実施した。なお、二次精錬以降でスラグから復りんする等のばらつきを考慮して、脱炭炉から出鋼される溶鋼中の[P]≦0.015%をより好ましい範囲として設定した。脱炭スラグについては、非特許文献1に記載の水渡の式でりん分配比を30〜60の範囲とし、生石灰、ドロマイト、硅石、カンラン岩などの媒溶剤、コールドスラグ、及びホットスラグを用いて脱炭吹錬を行った。
まず、コールドスラグについては、予め別チャージにおいて、脱炭炉スラグを排滓して冷却後に、磁選を実施し、クラッシャーで破砕後、25mm径の篩にかけ、篩い上は再度クラッシャーへ戻して破砕し、再度篩にかけた。そして、篩い下についてはコールドスラグとして製鋼工場へ運搬した。製鋼工場で受け入れたコールドスラグの平均粒径は10mmであった。
このように製造されたコールドスラグを、本チャージにおいて転炉の炉上ホッパーから投入シュートを介して、所定量脱炭炉内に投入した。本発明の効果は、媒溶剤の削減量および脱炭炉から出鋼された溶鋼中の[P]の2つの指標により評価した。なお、以下に説明する実施比率とは、全チャージに対してリサイクルを実施したチャージの比率である。リサイクルを実施しなかったチャージについては、リサイクル可否判定により「否」とした場合の他に、その他の操業的な要因により実施しなかったチャージも含まれる。
(実施例1(発明例1))
まず、ホットスラグとして、前チャージの脱炭炉スラグを完全排滓せずに、脱炭炉内に約15kg/t残留させておき、コールドスラグとして上述のように粒度調整をした脱炭炉スラグを、脱炭炉上に設置した投入シュートより10kg/t投入した。また、コールドスラグとともに媒溶剤として生石灰、ドロマイト、硅石、カンラン岩を投入し、温度調整用の冷材としてスケールを7kg/t程度投入した。コールドスラグおよび媒溶剤の投入後、上述の脱りん銑280〜290tを脱炭炉内へ装入し、脱炭吹錬を実施した。また、ホットスラグ及びコールドスラグ中において、(CaO)=42質量%、(SiO2)=11質量%であった。この段階で、
CaO:(ホットスラグ+コールドスラグ)(kg/t)×0.42
SiO2:(ホットスラグ+コールドスラグ)(kg/t)×0.11
に相当する媒溶剤を削減した。
また、現チャージにおける脱炭吹錬前、又は脱炭吹錬中に、現チャージのスラグ中(P25)濃度を上述した式(1)〜(3)により計算した。そして、脱炭吹錬後、溶鋼を出鋼し、計算によりスラグ中(P25)(質量%)が2.5質量%以上となった場合は脱炭スラグの完全排滓を実施し、スラグ中(P25)(質量%)が2.5質量%未満であった場合は完全排滓をせずにホットスラグが15kg/t程度となるように脱炭スラグを少量排滓した。なお、完全排滓した場合は、次チャージにおいて、コールドスラグおよび媒溶剤、または媒溶剤のみを用いて脱炭吹錬を行った。
そして、以上のような操業を200チャージ分繰り返した。その結果、ホットリサイクル実施比率(=ホットリサイクル実施チャージ数÷総チャージ数)は61%、コールドリサイクル実施比率(=コールドリサイクル実施チャージ数÷総チャージ数)は98%となった。
(実施例2(発明例2))
まず、ホットスラグとして、前チャージの脱炭炉スラグを完全排滓せずに、脱炭炉内に約15kg/t残留させておき、コールドスラグとして上述のように粒度調整をした脱炭炉スラグを、脱炭炉上に設置した投入シュートより10kg/t投入した。また、コールドスラグとともに媒溶剤として生石灰、ドロマイト、硅石、カンラン岩を投入し、温度調整用の冷材としてスケールを7kg/t程度投入した。コールドスラグおよび媒溶剤の投入後、上述の脱りん銑280〜290tを脱炭炉内へ装入し、脱炭吹錬を実施した。また、ホットスラグ及びコールドスラグ中において、(CaO)=42質量%、(SiO2)=11質量%であった。この段階で、
CaO:(ホットスラグ+コールドスラグ)(kg/t)×0.42
SiO2:(ホットスラグ+コールドスラグ)(kg/t)×0.11
に相当する媒溶剤を削減した。
また、脱炭吹錬後、溶鋼を出鋼し、次チャージへのホットリサイクルの実施可否は考慮せずに、ホットスラグが15kg/t程度となるように脱炭スラグを少量排滓して連続的にホットリサイクルを実施した。そして、以上のような操業を200チャージ繰り返した。その結果、ホットリサイクル実施比率は82%、コールドリサイクル実施比率は98%となった。
(実施例3(従来例1))
まず、ホットスラグとして、前チャージの脱炭炉スラグを完全排滓せずに、脱炭炉内に約15kg/t残留させておき、媒溶剤として生石灰、ドロマイト、硅石、カンラン岩を投入し、温度調整用の冷材としてスケールを7kg/t程度投入した。なお、コールドスラグは投入しなかった。媒溶剤の投入後、上述の脱りん銑280〜290tを脱炭炉内へ装入し、脱炭吹錬を実施した。また、ホットスラグ中において、(CaO)=42質量%、(SiO2)=11質量%であった。この段階で、
CaO:ホットスラグ(kg/t)×0.42
SiO2:ホットスラグ(kg/t)×0.11
に相当する媒溶剤を削減した。
また、脱炭吹錬後、溶鋼を出鋼し、次チャージへのホットリサイクルの実施可否は考慮せずに、ホットスラグが15kg/t程度となるように脱炭スラグを少量排滓して連続的にホットリサイクルを実施した。そして、以上のような操業を200チャージ繰り返した。その結果、ホットリサイクル実施比率は72%となった。ホットリサイクル実施比率が実施例2よりも低位であったが、これはコールドリサイクルを実施していないことから、ホットスラグを固化するのに時間を要し、チャージ間が短い場合等、時間に余裕の無い状況では、脱炭スラグを完全排滓したためである。
(実施例4(従来例2))
ホットリサイクルは実施せずに前チャージで脱炭スラグを完全排滓し、上述の脱りん銑280〜290tを脱炭炉内へ装入し、脱炭吹錬を実施した。そして、溶解促進のため吹錬開始から5分以内に上述のコールドスラグを10kg/t投入するとともに、媒溶剤として生石灰、ドロマイト、硅石、カンラン岩を投入し、温度調整用の冷材としてスケールを7kg/t程度投入した。また、コールドスラグ中において、(CaO)=42質量%、(SiO2)=11質量%であった。この段階で、
CaO:コールドスラグ(kg/t)×0.42
SiO2:コールドスラグ(kg/t)×0.11
に相当する媒溶剤を削減した。
そして、脱炭吹錬後、溶鋼を出鋼し、脱炭スラグの完全排滓を実施した。以上のような操業を200チャージ繰り返した。その結果、コールドリサイクル実施比率は65%となり、コールドリサイクル実施比率が実施例1及び2よりも低位であった。ホットリサイクルを実施せずにコールドスラグを注銑前に投入すると、溶銑の注銑時に転炉滓に付着した粉分、及び水分起因で大きな突沸反応が発生する。そのため、実施例4ではコールドスラグを吹錬開始5分後に転炉へ投入した。この場合もコールドスラグ投入時に突沸反応が発生するが、注銑前に投入した場合の反応と比較すると小さかった。しかし、雨天時に水分を含んでいるコールドスラグを搬送した場合等はコールドスラグ中に水分を多く含み、反応が顕著なため、安定した使用は困難であり、コールドリサイクルのみではリサイクル量を確保できないことがわかった。
(実施例5(発明例3))
実施例5ではりん濃度が0.035質量%以下の溶銑を脱炭炉において脱炭吹錬する操業を行った。使用した溶銑は、溶銑脱りん処理を行った脱りん銑280〜290tであり、溶銑の成分には、[C]=3.3〜3.8質量%、[Si]≦0.01質量%、[Mn]=0.10〜0.30質量%、[P]=0.010〜0.035質量%が含まれている。
まず、ホットスラグとして、前チャージの脱炭炉スラグを完全排滓せずに、脱炭炉内に約22kg/t残留させておき、コールドスラグとして上述のように粒度調整をした脱炭炉スラグを、脱炭炉上に設置した投入シュートより11kg/t投入した。また、媒溶剤を投入せず、温度調整用の冷材としてスケールを7kg/t程度投入した。コールドスラグの投入後、上述の脱りん銑280〜290tを脱炭炉内へ装入し、脱炭吹錬を実施した。また、ホットスラグ及びコールドスラグ中において、(CaO)=42質量%、(SiO)=11質量%であった。この段階で、
CaO:(ホットスラグ+コールドスラグ)(kg/t)×0.42
SiO:(ホットスラグ+コールドスラグ)(kg/t)×0.11
に相当する媒溶剤を削減した。
また、現チャージにおける脱炭吹錬前、又は脱炭吹錬中に、現チャージのスラグ中(P)濃度を上述した式(1)〜(3)により計算した。そして、脱炭吹錬後、溶鋼を出鋼し、計算によりスラグ中(P)(質量%)が2.5質量%以上となった場合は脱炭スラグの完全排滓を実施し、スラグ中(P)(質量%)が2.5質量%未満であった場合は完全排滓をせずにホットスラグが20kg/t程度となるように脱炭スラグを少量排滓した。なお、完全排滓した場合は、次チャージにおいて、コールドスラグおよび媒溶剤、または媒溶剤のみを用いて脱炭吹錬を行った。
そして、以上のような操業を50チャージ分繰り返した。その結果、ホットリサイクル実施比率は100%、コールドリサイクル実施比率は97%となった。
(実施例6(従来例3))
実施例6ではりん濃度が0.100質量%以下の溶銑を脱炭炉において脱炭吹錬する操業を行った。使用した溶銑は、溶銑脱りん処理を行った脱りん銑280〜290tであり、溶銑の成分には、[C]=3.3〜3.8質量%、[Si]≦0.01質量%、[Mn]=0.10〜0.30質量%、[P]=0.060〜0.100質量%が含まれている。
まず、ホットスラグとして、前チャージの脱炭炉スラグを完全排滓せずに、脱炭炉内に約15kg/t残留させておき、コールドスラグとして上述のように粒度調整をした脱炭炉スラグを、脱炭炉上に設置した投入シュートより10kg/t投入した。また、コールドスラグとともに媒溶剤として生石灰、ドロマイト、硅石、カンラン岩を投入し、温度調整用の冷材としてスケールを7kg/t程度投入した。コールドスラグおよび媒溶剤の投入後、上述の脱りん銑280〜290tを脱炭炉内へ装入し、脱炭吹錬を実施した。また、ホットスラグ及びコールドスラグ中において、(CaO)=42質量%、(SiO)=11質量%であった。この段階で、
CaO:(ホットスラグ+コールドスラグ)(kg/t)×0.42
SiO:(ホットスラグ+コールドスラグ)(kg/t)×0.11
に相当する媒溶剤を削減した。
また、現チャージにおける脱炭吹錬前、又は脱炭吹錬中に、現チャージのスラグ中(P)濃度を上述した式(1)〜(3)により計算した。そして、脱炭吹錬後、溶鋼を出鋼し、計算によりスラグ中(P)(質量%)が2.5質量%以上となった場合は脱炭スラグの完全排滓を実施し、スラグ中(P)(質量%)が2.5質量%未満であった場合は完全排滓をせずにホットスラグが15kg/t程度となるように脱炭スラグを少量排滓した。なお、完全排滓した場合は、次チャージにおいて、コールドスラグおよび媒溶剤、または媒溶剤のみを用いて脱炭吹錬を行った。
そして、以上のような操業を50チャージ分繰り返した。その結果、ホットリサイクル実施比率は20%、コールドリサイクル実施比率は40%となった。
(比較例)
ホットリサイクルは実施せずに前チャージで脱炭スラグを完全排滓し、上述の脱りん銑280〜290tを脱炭炉内へ装入し、脱炭吹錬を実施した。そして、媒溶剤として生石灰、ドロマイト、硅石、カンラン岩を投入し、温度調整用の冷材としてスケールを7kg/t程度投入した。脱炭吹錬後、溶鋼を出鋼し、脱炭スラグの完全排滓を実施した。以上のような操業を200チャージ繰り返した。
(実験結果)
図1は、実施例1〜4及び比較例における脱炭スラグの構成の内訳を示す図である。また、図1に示すように、脱炭スラグは、ホットスラグ、コールドスラグ、媒溶剤(現チャージスラグ)および持越しスラグで構成される。いずれのケースも、合計の量は38kg/t程度であり、持越しスラグは、5.3kg/tである。したがって、リサイクルされたスラグ(ホットスラグおよびコールドスラグ)の量は、削減できた媒溶剤の量と評価できる。
また、図1において、ホットスラグおよびコールドスラグの値は、各実施例における投入量に実施比率を乗じたものである。このようにコールドリサイクルおよびホットリサイクルを併用した実施例1及び2は本発明例であり、新規に投入する媒溶剤量をより削減することができた。特に、スラグ中(P25)(質量%)によらずホットリサイクルを実施した実施例2で新規の媒溶剤量が最も低位となった。媒溶剤の削減量は、実施例2が22.1kg/tと最も大きく、実施例1が次いで19.0kg/tという結果となった。また、従来例である実施例3及び4では、新規の媒溶剤の削減量は少ない結果となった。
図2は、実施例1〜4及び比較例における脱炭炉から出鋼された溶鋼中の[P]を示す図である。実施例1〜4及び比較例において、いずれもすべてのチャージにおいて製品規格の上限である[P]=0.018質量%よりも小さな値となった。
比較例では、スラグのリサイクルを行わず、全て媒溶剤を用いているため、溶鋼中の[P]は低位であった。
実施例1では、比較例1と同等に溶鋼中の[P]は低位であった。これは、新規に投入する媒溶剤よりも、一度溶融したスラグを再利用する方が滓化性が向上したためであり、さらにスラグ中(P25)(質量%)が2.5質量%未満となる場合にのみ、ホットスラグを用いるようにして脱りん能を確保したためと考えられる。
実施例2では、ホットスラグのリサイクル可否を判定していないので、媒溶剤の削減量は大きいが、溶鋼中の[P]のバラツキが大きい結果となった。なお、全200チャージのうち2.0%の割合で、好ましい範囲である[P]≦0.015質量%の範囲から外れたが、製品規格の上限である[P]=0.018質量%よりも小さな値となったため、製品上問題ないことが確認できた。
実施例3では、ホットリサイクルの可否を判断していないので、溶鋼中の[P]のバラツキが大きい結果になった。なお、全200チャージのうち1.0%の割合で、好ましい範囲である[P]≦0.015質量%の範囲から外れたが、製品規格の上限である[P]=0.018%よりも小さな値となった。
実施例4は、コールドリサイクルのみを実施し、脱りん能を確保したため、媒溶剤の削減量は少ないものの、溶鋼中の[P]は実施例2及び3と比較して低位となった。
実施例5は、実施例1よりもさらに溶鋼中の[P]は低位であった。これは、りん濃度が0.035質量%以下の溶銑のみで脱炭処理を行っていたことから、ホットスラグ中(P25)(質量%)が比較的低位に保たれていたためと考えられる。
実施例6は、りん濃度が0.065質量%以上の溶銑を脱炭することから、脱りん能を確保するために新規の媒溶剤が増えたことにより、溶鋼中の[P]は低位であった。また、ホットリサイクルの可否を判断したため、バラツキは大きくなかった。
図3は、ホットスラグにおける(P25)と出鋼後の溶鋼中の[P]との関係を示す図である。関係を明確にするために、吹錬条件(脱りん後の溶銑中の[P]、スラグ量、実塩基度、及び終点[C])の影響を排除したデータを抽出した。ホットスラグにおける(P25)の増加と共に、出鋼後の溶鋼中の[P]も増加する傾向があった。このことから、実施例2及び3において、出鋼後の溶鋼中の[P]のバラツキは、ホットスラグにおける(P25)の濃化によるものと考えられる。
図4は、実施例1、5、6における脱炭スラグの構成の内訳を示す図であり、りん濃度が0.035質量%以下、0.060質量%未満、0.100質量%以下の溶銑における、脱炭スラグの構成の影響を示している。また、図4に示すように、脱炭スラグは、ホットスラグ、コールドスラグ、媒溶剤(現チャージスラグ)および持越しスラグで構成される。いずれのケースも、合計の量は38kg/t程度である。したがって、リサイクルされたスラグ(ホットスラグおよびコールドスラグ)の量は、削減できた媒溶剤の量と評価できる。
図4において、ホットスラグおよびコールドスラグの値は、各実施例における投入量に実施比率を乗じたものである。このようにコールドリサイクルおよびホットリサイクルを併用した実施例5は本発明例であり、新規に投入する媒溶剤量をゼロとすることができた。
一方、実施例6では、新規に投入する媒溶剤量が最大となり、媒溶剤の量を削減することができなかった。これは、脱炭スラグ中の(P)が高いと予測されるチャージが多く、ホットリサイクルの実施比率が大きく低下してしまったためである。
以上の結果より、本発明例である実施例1、2及び5では、適正なホットリサイクルとコールドリサイクルとの組み合わせにより、コールドスラグによりホットスラグが固化され、ホットスラグによりコールドスラグ中の水分が除去されるため、双方の課題を緩和することができる。これにより、リサイクル量は拡大するため、新規に投入する媒溶剤の低減させることができ、脱炭スラグをリサイクルする時にスラグの滓化性の向上効果により安定的に溶鋼を低[P]化させることができる。
本発明によれば、脱炭吹錬で新規に投入する媒溶剤の量を十分に低減できる溶鋼の製造方法を提供することができ、産業的価値は非常に大きい。

Claims (4)

  1. 前チャージで発生した脱炭スラグの一部をホットスラグとして脱炭炉内に残した状態で、現チャージにおいて、過去の脱炭吹錬で生成されて排滓された脱炭スラグを固化したコールドスラグを前記脱炭炉へ投入し、次いで、りん濃度が0.060質量%未満の溶銑を前記脱炭炉に装入して脱炭吹錬を行うことを特徴とする溶鋼の製造方法。
  2. 現チャージにおける脱炭吹錬で生成された脱炭スラグ中のP25の濃度が所定値以下である場合に、次チャージで用いるホットスラグとして一部を前記脱炭炉に残すことを特徴とする請求項1に記載の溶鋼の製造方法。
  3. 現チャージにおいて、前記固化したコールドスラグを前記脱炭炉へ投入するとともに、媒溶剤を投入し、
    前記媒溶剤の量は、前チャージで発生した脱炭スラグ中のP25の濃度に基づいて決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の溶鋼の製造方法。
  4. 前記固化したコールドスラグの粒径は50mm以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の溶鋼の製造方法。
JP2018529495A 2016-07-27 2017-07-11 溶鋼の製造方法 Active JP6798554B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016147313 2016-07-27
JP2016147313 2016-07-27
PCT/JP2017/025296 WO2018021019A1 (ja) 2016-07-27 2017-07-11 溶鋼の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2018021019A1 JPWO2018021019A1 (ja) 2018-11-01
JP6798554B2 true JP6798554B2 (ja) 2020-12-09

Family

ID=61017082

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018529495A Active JP6798554B2 (ja) 2016-07-27 2017-07-11 溶鋼の製造方法

Country Status (5)

Country Link
JP (1) JP6798554B2 (ja)
KR (1) KR102234126B1 (ja)
CN (1) CN108699613A (ja)
TW (1) TWI637062B (ja)
WO (1) WO2018021019A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7243185B2 (ja) * 2018-12-27 2023-03-22 日本製鉄株式会社 ホットスラグリサイクル方法
JP6954500B1 (ja) * 2020-03-18 2021-10-27 Jfeスチール株式会社 スラグ製品の製造方法及びスラグ製品

Family Cites Families (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6475618A (en) 1987-09-18 1989-03-22 Sumitomo Metal Ind Method for treating converter slag
JPH0726140B2 (ja) * 1989-06-07 1995-03-22 新日本製鐵株式会社 転炉製鋼法
JPH04120209A (ja) 1990-09-10 1992-04-21 Sumitomo Metal Ind Ltd 転炉滓再利用による造滓剤
JP2607328Y2 (ja) 1993-11-12 2001-07-09 株式会社シマノ 自転車用リヤディレーラ
JP2002167616A (ja) * 2000-11-30 2002-06-11 Kawasaki Steel Corp 転炉製鋼法
JP3829696B2 (ja) 2001-11-19 2006-10-04 Jfeスチール株式会社 転炉滓の利用方法
KR101091954B1 (ko) * 2004-10-29 2011-12-13 주식회사 포스코 탈린용선을 이용한 전로 용강의 제조방법
JP4937828B2 (ja) * 2007-05-09 2012-05-23 新日本製鐵株式会社 溶鋼の吹錬方法
JP5671801B2 (ja) 2010-01-13 2015-02-18 新日鐵住金株式会社 転炉精錬方法
CN102747181B (zh) * 2011-04-18 2015-01-07 宝山钢铁股份有限公司 9Ni钢的冶炼方法
CN102212640B (zh) * 2011-06-01 2013-11-27 首钢总公司 一种减少渣量的转炉炼钢法
JP5807720B2 (ja) * 2012-10-30 2015-11-10 Jfeスチール株式会社 溶銑の精錬方法
JP6136379B2 (ja) * 2013-03-05 2017-05-31 新日鐵住金株式会社 溶鋼製造方法
JP6213174B2 (ja) * 2013-11-15 2017-10-18 新日鐵住金株式会社 脱りん予備処理溶銑を用いる転炉の操業方法
CN103614508B (zh) * 2013-12-10 2015-02-25 首钢总公司 一种转炉冶炼高钛铁水的方法
JP6347174B2 (ja) * 2014-08-05 2018-06-27 新日鐵住金株式会社 脱りん予備処理溶銑を用いる転炉の操業方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2018021019A1 (ja) 2018-11-01
TW201812025A (zh) 2018-04-01
TWI637062B (zh) 2018-10-01
WO2018021019A1 (ja) 2018-02-01
KR102234126B1 (ko) 2021-04-01
KR20180099878A (ko) 2018-09-05
CN108699613A (zh) 2018-10-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6798554B2 (ja) 溶鋼の製造方法
JP2001192741A (ja) 製鋼スラグの利用方法
JP2007138209A (ja) クロム含有鋼精錬スラグの分離方法及び再利用方法
JP5477170B2 (ja) 焼結鉱の製造方法
JP2019194350A (ja) 転炉スラグのリサイクル方法
JP4661305B2 (ja) 溶銑の脱炭精錬方法
JP5884599B2 (ja) クロム含有ダストのリサイクル方法
JP2016180161A (ja) 鋼の溶製方法
JP3511808B2 (ja) ステンレス鋼の溶製方法
JP5332769B2 (ja) 電気炉スラグの利用方法
JP7243185B2 (ja) ホットスラグリサイクル方法
JP6468084B2 (ja) 転炉排滓方法
JPH0277516A (ja) 製鋼過程で発生する製鋼スラグの処理法
JPS61213309A (ja) 溶銑脱燐スラグを原料とする精錬用フラツクスの製造方法
JPH10265827A (ja) クロム含有鋼精錬スラグの再生利用方法および該スラグに含有される金属成分の回収利用方法
JP2006241478A (ja) 転炉操業方法
JP2001294926A (ja) 酸化クロム含有スラグを用いた精錬方法
JP2017137532A (ja) 低燐低硫鋼の製造方法
JP6468083B2 (ja) 転炉排滓方法
JP3375528B2 (ja) 転炉炉口に付着した地金の回収方法及び再利用方法
KR101460194B1 (ko) 강의 제조 방법 및 이에 사용되는 재활용 슬래그
JP2000256719A (ja) 製鋼方法
JP2003306709A (ja) 製鉄所内発生物または廃棄物の処理方法
JP2002371312A (ja) 製鉄工程で発生する地金の使用方法
JP2021046591A (ja) 含鉄材の溶解方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180717

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190730

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190903

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200310

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200508

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201020

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201102

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6798554

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151