JP6797737B2 - 加熱管 - Google Patents

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Description

本発明は、化学プラント等において管内を流れるガスを、管壁とガスとの温度差を用いて加熱する加熱管に関する。
化学プラント等においては、ある装置から配管を通じて流出するガスを次の装置に流入させるまでの間に、このガスに外部から熱を与えて加熱または保温する操作が頻繁に行われる。例えば、天然ガス等の炭化水素を水蒸気改質するプラントにおいては、反応性を高めるために改質器に流入するガスを800℃以上に予熱する操作が行われる。このような操作のための装置として熱交換器が一般的に用いられる。
一般的な構造の熱交換器においては、昇温対象のガスを通気させる配管(例えば、直径100mm)をより細い複数の配管(例えば直径20mm)に分流し、この細い配管の外表面を燃焼ガス等で加熱することによって伝熱面積を拡大し、伝熱促進を図る。しかし、メタン等の炭化水素を含有するガス、例えば、天然ガスを800℃以上といった高温に加熱する場合には、被加熱ガス中の炭化水素は、容易にコーキングを生じて多量の煤塵をガス中に生成し、これら細い配管内にコークが堆積して管路を閉塞させる問題を生じうる。また、コーキングは炭化水素ガスを原料として配管内で生じるので、配管入口にフィルタ等を設けて予め流入するコークを除去してもコーキングによる配管閉塞を防止する効果は得られない。
また、被加熱ガスが、コークス炉等において予め加熱されて揮発化させたタールを含有する石炭乾留ガス、例えば、コークス炉ガスである場合には、このガスの予熱を改質炉の直前に設けた熱交換器のみを用いて行うと、コークス炉と熱交換器の間の配管長が十分に長い場合、配管の放冷によって、ガスの通気中に管内においてタールの凝縮が生じ、当該タールにより管内を閉塞させる問題を生じうる。
そこで、このような炭化水素を含有する800℃以上の高温なガスを配管によって比較的長距離に通気する場合には、特許文献1に開示されるような加熱管(ヒーター付抽気管)が用いられることがある。加熱管は、被加熱ガスを単一の(分流しない)配管に通気させ、この配管の管壁を加熱することによって、配管内を通気する被加熱ガスを昇温または保温する装置である。加熱管の加熱方法には、例えば、配管の表面に電気ヒーターを接触させて管壁を加熱する方法がある。あるいは、配管の表面に燃焼炉で生成した燃焼ガスを接触させて加熱する方法もある。
加熱管では比較的太い配管径(例えば、直径150mm)の配管を用いることで、被加熱ガスの流速を低下させるとともに配管の軸方向長さ当たりの配管表面積(伝熱面積)を増大させることによって、被加熱ガスを昇温することができ、また、通気断面積が大きいので、コークによる耐閉塞性も高い。また、熱交換器等と比べて装置構造もより簡易である。しかし、加熱管による加熱方法の場合、装置長さ当たりの被加熱ガスの昇温量が他の方法に比べて小さくなりがちなので、加熱管で被加熱ガスの大きな昇温を目的とする場合には、加熱管によるガスの加熱能力が不足する問題がある。加熱管の加熱能力を評価する指標として、例えば、温度上昇率dT/dLを用いることができる。温度上昇率は、加熱管長当たりのガスの断面平均温度Taveの上昇量であり、温度上昇係数αおよび加熱管の内周面の温度Tを用いて次の式(1)で定義される。

dT/dL=α(T−Tave) ・・・(1)
加熱管が単純な直管である場合、αは0.1前後の値であることが多く、一般的な熱交換器よりも低い。
そこで、加熱管により被加熱ガスを昇温させる効率を高めるための技術が必要とされている。類似技術分野である熱交換器の技術においては、加熱管に相当する伝熱管に対して、様々な伝熱促進(αの増大)技術が提案されている。
伝熱管の内部において伝熱促進を図るためには、伝熱管の内周面上にフィンを設ける方法が広く採用されている。例えば、特許文献2には、伝熱管内周を等分割して内面側に突出する周上等分型の部分楕円状突起を伝熱管軸方向へ等間隔に配設する伝熱管が開示されている。以下、伝熱管の温度がその内部を通気するガスの温度よりも高く、通気するガスを加熱する場合を例に説明する。伝熱管の内面にフィンを設けることによる伝熱促進の原理は、内部を通気する流体への伝熱面積を増加させることによるものである。このためには、フィンの表面を伝熱管の内面並みの高温に維持する必要があり、フィンへの熱供給は、伝熱管の外表面に供給される熱が伝熱管の壁体を経由して熱伝導によってフィンまで伝熱することによってなされる。伝熱管からフィンへの伝熱性(熱伝導率)を高めるため、フィンと伝熱管の内面との間にミクロな隙間のない構造が一般に指向される。例えば、伝熱管を切削してフィンを形成することや、フィンを伝熱管の内面に線溶接によって接続し、フィンを伝熱管と一体化する方法がとられる。
しかし、このような方法は、高価な製造コストを必要とする。特に、本発明が対象とする800℃以上の温度に耐える耐熱材料はそれ自身高価であり、かつ、一般に加工性も普通鋼等の汎用材料に比べて劣るので、この方法による製造コストは、一層増大する。また、この方法は新設の伝熱管にのみ適用でき、既存の伝熱管の伝熱を促進するために当該既存の伝熱管の内面にフィンを追加する工事は、著しく困難である。
そこで、独立したフィンを含む構造物を伝熱管に挿入する方法も提案されている。この方法であれば既存の伝熱管に対してもフィンを追加することが原理的にはできる。例えば、特許文献3には、板状フィンを内側に設けた円筒形のフィン部材が、伝熱管の内周面に密着固定された伝熱管が開示されている。また、特許文献4には、伝熱管の内周面と当接する複数のフィンを有するフィン構造体を複数設け、隣接するフィン構造体間で軸方向にみてフィンの配置が重ならない配置となるような係合構造を有し、かつ、境界層が十分に発達する距離より短い所定の軸方向長さを有する湾曲形状の複数のフィンを備えた熱交換器が開示されている。
特開2012−246350号公報 特開2005−233479号公報 特開2004−317060号公報 特開2007−3115号公報
しかし、上記特許文献3や特許文献4に示されるような従来の伝熱管による加熱方法の場合、常温で伝熱管の内周面に接触するようにフィン構造体を配置したとしても、800℃以上に昇温することを前提とした伝熱管において、フィンと伝熱管の内周面との接触を保つことは困難である。なぜならば、フィン構造体の熱膨張率が伝熱管の熱膨張率よりも小さい場合には、加熱時にフィンの熱膨張量が不足して、フィン若しくはフィン構造体(以下「フィン等」という。)が伝熱管の内周面から離脱することがある。一方、フィン構造体の熱膨張率が伝熱管の熱膨張率よりも大きい場合には、加熱時にフィンの熱膨張量が過剰となってフィン等、または伝熱管が塑性変形する。この後、温度が低下した場合に、やはりフィン等が伝熱管の内周面から離脱することがある。さらに、フィン構造体の熱膨張率が伝熱管の熱膨張率よりも大きい場合でも、ガスの冷却によってフィン構造体の方が伝熱管よりも低温となるので、フィンの熱膨張量が不足してフィン等が伝熱管の内周面から離脱することがある。弾性材料の存在する非高温領域(例えば、800℃未満)では、特許文献4にみられるように、フィンが弾性変形するように湾曲形状のフィンを伝熱管の内周面に接触させることによって加熱時の熱膨張差を弾性変形量の変化で吸収させ、フィンと伝熱管の内周面との接触を維持することができる。しかし、例えば800℃以上の高温領域では弾性材料はほとんど存在しないし、弾性を有するとしても著しく高価で加工性の低い材料しか存在しないので、このような材料でフィンを製作することは困難である。フィンが伝熱管から離脱した場合、上記の従来方法では、伝熱管の内周面から管中心部近傍へのフィンへの熱放射を遮ってしまうようなフィン構造であるため、伝熱効果は著しく低下する。
また、特に、炭化水素を含有するガスを800℃以上に加熱する加熱管では、炭化水素の熱分解に起因するコークによる配管の閉塞対策も必要である。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、内部を通過するガスを加熱するため、加熱管を800℃以上に加熱した場合であっても、伝熱を促進させるために加熱管本体の内部に設置される構造体が、塑性変形して伝熱効果を低下させることがなく、また、高温でコーキングする被加熱ガスを使用した際に、コークに対する耐閉塞性の高い、加熱管を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者の研究の結果、以下の解決手段を発明するに至った。
(1)内部を通過するガスを800℃以上に加熱するための加熱管であって、
円形断面を有する加熱管本体と、
前記加熱管本体の内周面上に載置される少なくとも1つの可動式の伝熱体と、
を備え、
前記伝熱体は、
前記加熱管本体の中心軸に対して平行な前記伝熱体の中央軸の周りに、放射状に3枚以上配置される、略矩形の平板状の伝熱板を有し、
前記3枚以上の伝熱板のうち、少なくとも2枚の伝熱板は、前記加熱管本体の内周面に接触する接触伝熱板であり、少なくとも1枚の伝熱板は、前記加熱管本体の内周面に接触しない非接触伝熱板であることを特徴とする、加熱管。
(2)前記中央軸に対する垂直断面において前記伝熱体を内側に包絡する最小の円を、最小包絡円と定義したときに、前記最小包絡円の直径は前記加熱管本体の内径よりも小さいことを特徴とする、(1)に記載の加熱管。
(3)前記伝熱体は、前記伝熱板を5枚以上有することを特徴とする、(1)又は(2)に記載の加熱管。
(4)前記加熱管本体の内周面側の前記伝熱板の端部から前記中央軸までの長さを、伝熱板幅と定義したときに、全ての前記接触伝熱板の伝熱板幅は、前記非接触伝熱板の伝熱板幅のうちの最大の板幅以上であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の加熱管。
(5)前記伝熱体は、前記加熱管本体の前記中心軸方向に2つ以上並設され、
前記2つ以上の伝熱体のそれぞれは、5枚以上の前記伝熱板を有し、
前記5枚以上の伝熱板は、前記中央軸の周りに略等しい角度で放射状に配置され、
前記5枚以上の伝熱板のうち、2枚の伝熱板のみが前記接触伝熱板であり、残りの3枚以上の伝熱板は前記非接触伝熱板であり、
前記2つ以上の伝熱体のうち、相隣接する2つの伝熱体の一方は、2枚の前記接触伝熱板が前記加熱管本体の周方向に相隣接する構造を有する第1の種類の伝熱体であり、他方は、2枚の前記接触伝熱板の周方向の間に1枚の前記非接触伝熱板が配置される構造を有する第2の種類の伝熱体であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の加熱管。
(6)前記伝熱体は、前記伝熱体の前記中央軸の位置に配置される棒状部材をさらに有し、前記棒状部材に前記伝熱板が接続されることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の加熱管。
(7)前記伝熱体は、前記伝熱体の前記中央軸の一端側に配置される連結板をさらに有し、前記連結板に前記伝熱板が接続されており、
前記伝熱体の前記中央軸およびその周辺には、前記伝熱板が存在しない空間が形成されていることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の加熱管。
(8)前記接触伝熱板のうち前記中央軸より下方に配置される少なくとも2枚の接触伝熱板は、前記加熱管本体内に載置された前記伝熱体を支持する積載伝熱板であり、
前記積載伝熱板の板厚hが次の式を満たすこと特徴とする、(1)〜(7)のいずれか1項に記載の加熱管。
≧{n・sin[θ]/2}1/2・h

:前記積載伝熱板以外の前記伝熱板の平均板厚
n:1つの前記伝熱体が有する前記伝熱板の枚数
θ:2枚の前記積載伝熱板が互いになす周方向の角度
(9)前記加熱管本体の内部を通過する前記ガスの流れが、前記伝熱板上で遷移流または乱流となるように、前記伝熱体の前記中央軸方向の長さが設定されていることを特徴とする、(1)〜(8)のいずれか1項に記載の加熱管。
(10)前記ガスは、煤塵または液滴を含有するガスであることを特徴とする、(1)〜(9)のいずれか1項に記載の加熱管。
(11)前記ガスは、炭化水素を含有するガスであることを特徴とする、(1)〜(10)のいずれか1項に記載の加熱管。
(12)前記炭化水素を含有するガスは、石炭の乾留ガスであることを特徴とする、(11)に記載の加熱管。
(13)前記加熱管本体の内周面と前記接触伝熱板との接触箇所に、焼き付き防止剤が配置されることを特徴とする、(1)〜(12)のいずれか1項に記載の加熱管。
ここで、本発明の特徴は、以下のとおりである。
本発明の第1の特徴を説明する。加熱管を伝熱ヒーターなどで高温に保持し、高温化された加熱管の内周面の熱で、加熱管内部のガスを加熱するガスの加熱形態において、本発明の伝熱体は加熱管とほとんど接触していないので、従来のフィン部材のような加熱管から伝熱板への熱伝導による熱供給の効果はほとんどない。本発明では加熱管が800℃以上に加熱されていることを利用して、加熱管の内周面からの放射伝熱によって、伝熱板の表面温度を加熱管の内周面とほぼ等しい温度まで加熱することができ、加熱管の内周面上とほぼ同等の加熱効率で伝熱板表面によりガスを加熱することができる。これは、800℃以上の高温領域においては、対流伝熱(被加熱ガスによる伝熱板の冷却効果)に対して、加熱管の内周面からの放射伝熱の効果が卓越することによるものである。即ち、略矩形平板状の複数の伝熱板が伝熱体の中央軸から放射状に配置され、加熱管の内周面から、より温度差の大きい中央軸近傍への放射伝熱を妨げないように伝熱板が配置されているので、加熱管の内周面と伝熱板との間での僅かな温度差に基づく放射伝熱によって、伝熱板の全領域を高温に維持できる。これらの効果から、本発明では伝熱面積およびガスに対する伝熱効率をより効率的に増大することができる。
本発明の第2の特徴を説明する。本発明では、加熱管とは独立に製作した伝熱体を、単に加熱配管の片側から加熱管内に挿入して加熱管の内周面上に載置するだけでよく、加熱管との接合は不要である。つまり、本発明の伝熱体は、加熱管本体に固定されておらず、加熱管本体の内部で移動(周方向の回転や、管軸方向の平行移動)可能な可動式の伝熱構造体であり、加熱管又は伝熱管の内周面に固定される従来の固定式のフィン構造体とは異なる。このため、加熱管を複雑に設計する必要はなく、既存の加熱管に対しても加熱管を改造することなしに、伝熱体を容易に設置することができる。また、伝熱体は、平板の組み合わせをベースとした簡易な構造であり、かつ、加熱管の外部で組み立てられるので、容易に製造することができる。また、伝熱板と加熱管の内周面の間には隙間があっても一向にかまわないので、伝熱体の製造時および加熱管への挿入時における寸法管理も緩やかでよい。このことによって、本発明では、自重による変形にさえ気を付ければ、フィン部材を円管内に圧入するような従来技術で生じうる、加熱管またはフィンのクリープ変形を回避できる。さらに、本発明では放射伝熱によって伝熱板を加熱するため、従来のフィンのように熱伝導性を確保するためにフィンの板厚を大きく設定する必要がなく、より薄い伝熱板を用いることができる。このほか、本発明では全ての伝熱板が加熱管の内周面に接する必要がないので、伝熱板の加熱管への載置箇所に焼き付き防止剤を塗布することができ、その結果、伝熱板と加熱管間での熱膨張差が生じた場合でも伝熱板は加熱管内で拘束されることがないので、薄い伝熱板を用いても永久歪を生じることがない。伝熱板が加熱管内で拘束されないので、伝熱板と加熱管間で熱膨張係数の大きく異なる材料を採用することができ、それぞれの材質を最適化できる。これらの効果により、本発明の装置では設備コストが他の方法に比べて低い。
本発明の第3の特徴を説明する。第3の特徴は、本発明の一形態における特徴である。本発明ではガス中で生成したコーク等の微粒子が加熱管内で堆積して管路を閉塞させる現象が生じにくい。一般に特許文献4にみられるように流路を分割して実質的に加熱管内を複数の独立した流路に分割し、かつ、伝熱管を水平に設置した場合には、コークによって管路が閉塞し易い問題を生じる。なぜならば、単一の流路のみを有する伝熱管、例えば、円管を水平に設置した場合では円管中心軸に対する垂直面において生成したコークは下流に流れるにつれて重力によって管内を降下し、やがて円管内の底部に集中して堆積する。その結果、円管内の上方の空間では開口が保たれやすく、閉塞しにくい。一方、水平に設置される加熱管を独立な複数の流路(個々の流路を分割流路とよぶことにする)に分割した場合には、ある分割流路内で生成したコークは、その分割流路内にしか堆積できない。伝熱管内におけるガスおよび管壁の温度は一般に分布を持ち(完全に一定な温度に制御しようとすると、極端に高価な設備になってしまうため)、かつ、配管形状によってコークの堆積し易さにも分布をもつため(例えば、曲管部で流速の低下する領域にはコークが堆積し易い)、コークの堆積しやすい場所は分割流路ごとに異なる。単一の流路の場合にはコークの発生し易さに分布が存在しても、コークが最終的に堆積する場所は、管の底部であり、かつ、管断面内でのコークの落下時間も平均的により長い(コークの落下距離が平均的より大きい)ことによって、管軸方向にコークの堆積場所が分散するので、コーク発生量の分布の閉塞性に対する影響をより受けにくい。しかし、管路が分割されている場合には、コークの平均的な落下時間が短く、コークの堆積場所はコークの発生場所の近傍に集中する。しかも分割流路の断面積は、より小さいので、より少量のコークの堆積によって分割流路の閉塞が生じる。このため、コークの特に発生しやすい部位が特定の分割流路内に存在すると、その場所の近傍でその分割流路が閉塞して下流への通気を妨げる。このような分割流路の閉塞がそれぞれの分流路ごとにコークの発生しやすい個所の近傍で独立に発生して、ついには加熱管全体の閉塞に至る。このため、分割流路ではコークによる閉塞がより生じやすい。
なお、特許文献4では分割流路がブロックごとに軸方向に分割されており、特定のブロックでの特定の分割流路内の下流側には隣接する分割流路が2つずつ存在し、特定の分割流路内で落下するコークは、隣接する下流側の2つの分割流路のいずれかに流出しうる構造であるので、伝熱管全長に渡って完全に分割された分割流路に比べて分割流路内での閉塞の問題は、緩和される。しかし、この装置が水平に配置された場合、フィンの構造上、上部の分割流路内に高度(伝熱管底部からの鉛直上方への距離)が極小値を示してコークの堆積しやすい部位が存在する。例えば、フィンと伝熱管中心との間の空間、フィンと伝熱管の内周面との接触部の近傍、フィン屈曲部の最下点、あるいは、フィンとして用いられる小円管の底部等である。従って、この装置においてコークの大半が伝熱管の底部に堆積することはないので、コークによる伝熱管の耐閉塞性は、単一の流路である伝熱管に比べて劣る。
一方、本発明では、水平に配置された場合でも加熱管の底部以外には分割流路は存在しない。これは、少なくとも伝熱体の外周部が加熱管の内周面との間に隙間を形成するので、いずれの伝熱板間の空間も互いに連結されているからである。さらに、本発明では、伝熱体の中央軸近傍にも伝熱板が一切存在しない構造とすることができる。このため、いずれの伝熱板間に存在するコークであっても、より下方の空間へと自由に落下することができ、コークを加熱管の底部に集約して堆積させることができる。また、本発明では伝熱体が加熱管の軸方向に分割されて、相隣接する伝熱体間ではすべての伝熱板が互いに連続しないように配置されるので、コークがより自由に加熱管内を落下でき、コークの平均的な落下時間をより長くしてコークの堆積場所を軸方向により分散することができる。これらの効果により、本発明では単一の流路である加熱管と同等の高い耐閉塞性が得られる。
本発明の第4の特徴を説明する。第4の特徴は、本発明の一形態における特徴である。管内を分割流路もしくは本発明のような分割的な流路(加熱管内に配置された構造物によって管軸垂直断面内で完全には分割流路には分割されないものの、局所的に軸垂直断面内での流路が極端に狭くなる部分を有する流路)とする場合、管レイノルズ数が低下するため乱流抑制効果を生じることがある。例えば、工業的な様々な目的で管内乱流を層流化するために管軸方向に開口を有するハニカム状の構造物を管内に配置することがしばしば行われる。管内流や管内境界層において乱流は層流に比べて熱伝達率が高く、温度上昇係数を向上させるためにより有利であるので、加熱管の用途としてこの流路分割による乱流抑制効果は望ましいものではない。本発明は、この乱流抑制効果がもたらす伝熱効率の低下効果、即ち、管路内の伝熱面積を増やしたほどには温度上昇率が向上しないという伝熱効率の低下効果を抑制することができる。この乱流抑制効果は、加熱管にコークス炉ガス等の石炭乾留ガスを通気する場合に特に生じやすい。これは、加熱管においては、一般的に、温度上昇率を向上させるために管直径を大きくすることが行われており、その結果、同一流量のとき、管内流速が管径の−2乗に比例して流速低下が生じ、レイノルズ数が低下しがちなためである。また、コークス炉ガスの主成分は水素ガスであり、800℃以上といった高温での水素ガスは動粘性係数があらゆるガスの中で最も小さいもののひとつであるため、高温のコークス炉ガス流れは、そもそも大きなレイノルズ数の管内流を得ることが難しいからである。単純な円管では熱伝達率の高い高レイノルズ数流れであったとしても、同じ流量のガスを同じ円管の分割流路に通気した場合、レイノルズ数の低下に伴って低レイノルズ数乱流、遷移流、層流と流れのモードが変化し、熱伝達率がこの順で低下する。
本発明の特徴を説明するために必要な伝熱工学的の基礎的説明を行う。円管の場合、管レイノルズ数がおよそ4000〜10000で低レイノルズ数流れ、およそ2000〜4000が遷移流、およそ2000未満が層流である(管の曲率、内面粗さ等の諸条件でこの値は変動する)。加熱管の内周面および伝熱板では、その先端から軸方向下流に向けて徐々に速度境界層が発達し、やがて管内で成長する速度境界層が互いに接触すると定義上、速度境界層は、消失する。天然ガスやコークス炉ガス等のプラントル数が1に近い物質では速度境界層の発達が温度境界層の発達とほぼ相似に進行する。伝熱板の先端において、境界層は、通常、層流であり層流熱伝達によって被加熱ガスは、加熱される。層流境界層においては、境界層が薄いほど局所熱伝達率が高い。伝熱板に沿って下流側に向けて境界層は次第に厚くなり、レイノルズ数の十分に大きな管内流れである場合には、境界層はやがて遷移流となった後、完全な乱流になる。乱流に遷移すると境界層は急激に発達し、遷移後のごく短距離(例えば、管内径の0.5倍の軸方向長さ)で境界層は消失する。比較的狭い流路の場合、境界層が消失した後、流路内で層流から遷移流、または、乱流への移行が生じることもある。本発明におけるこのような急激な境界層の消失は、本発明では管内部に伝熱板が多数存在するため、単純な円管内の境界層に比べてより薄い境界層の状態で境界層同士の接触を生じ、境界層が消失することによるものである。乱流境界層(または発達した乱流)ではより上流の層流境界層に比べて境界層は厚いものの、乱流温度境界層は、層流温度境界層よりもはるかに熱伝達率が高いので、上流の層流境界層よりもより効率的に被加熱ガスを加熱することができる。遷移流での熱伝達率は、層流と乱流のものの中間的なものである。例えば、一様流が加熱管に流入した場合、伝熱体では各伝熱板の先端から層流境界層が発達し、管レイノルズ数が十分に高く、伝熱板の軸方向長さが十分に長ければ、流れは遷移流または乱流となる。
熱伝達率の観点からは、一旦、乱流、または、遷移流となれば、それより下流での熱伝達率はほとんど変化せず、層流境界層に比べより大きな熱伝達が得られるので、熱伝達率のことだけを考えれば伝熱板を可能な限り下流まで切れ間なく連続して配置すればよい。しかし、本発明では管内流を十分に発達させ、遷移流、または、乱流流れとなった後に、伝熱板の軸垂直断面における周方向位置が不連続に変化するように、軸方向に隣り合う伝熱体を配置して、より高い伝熱効率を得ることができる。特に、遷移流のときにより高い温度上昇係数が得られる。これは、熱伝達率以外に温度上昇係数を向上させる効果として流路中心領域(管内の軸垂直断面において、いずれの伝熱面からも比較的遠い領域)での温度を上昇させることによる管の軸垂直断面における平均温度の上昇から得られる効果に基づくものである。ある伝熱体(ここでは伝熱体Aと呼称する。)の伝熱板上で発達させた遷移流を、後続の伝熱体(ここでは伝熱体Bと呼称する。)で不連続な伝熱板に流入させると、伝熱体Bの伝熱板の先端部では層流境界層を生じ、十分に大きなレイノルズ数の流れである場合には、この伝熱板上の境界層はやがて遷移流または乱流流れとなって完全に発達した管内流となる。伝熱体B内で境界層が発達する途中の境界層外端ガス温度は、ブロックAでは伝熱板表面から最も遠い位置にあったためにより低い温度であったガス温度に相当するため、遷移流または乱流域において同じ熱伝達率であっても伝熱板上の伝熱量はより増大する。これは、伝熱量が熱伝達率と(加熱管の内周面の温度と境界層外端ガス温度との差)との積に比例することによるものである。
例えば、特許文献4でのようにブロックAでの境界層が十分に発達する前にブロックBが後続する場合には、熱伝達率のより低い層流境界層のみでの伝熱となり、本発明でのように十分に発達した遷移流または乱流流れで得られるような高い熱伝達を得ることはできない問題がある
本発明の第5の特徴は、本発明の一形態における特徴であり、伝熱体の最小包絡円の直径を加熱管内径よりも小さく設定するとともに、加熱管の内周面と接触する伝熱板を2枚とすることによって、操業中に不可避的に生じる加熱管の振動を利用して自動的に伝熱体の伝熱板の周方向配置を安定化させることである。これは、例えば、隣り合う2枚の伝熱板を加熱管の内周面と接触させ、これらの伝熱板が鉛直となす角が等角になるように伝熱板を配置すると、伝熱体重心が最低な安定状態を実現することができるからである。具体的に説明すると、2枚の伝熱板と加熱管の内周面との2つの接点を通る最小包絡円と、加熱管の内周面の輪郭円は、交差するとともに、安定状態において最小包絡円中心と加熱管内の内周面の輪郭円中心は、同一の鉛直線上に位置する。いずれか一方の接点が安定状態から、鉛直となす角がより小さくなる方向に移動するにつれて、加熱管の内周面と接触する2枚の伝熱板との相対位置を維持しながら最小包絡円は、加熱管の内周面の輪郭円の中心の回りを回転し、最小包絡円の中心と当該輪郭円の中心を結ぶ直線は鉛直に対してより大きい角度となり、その結果、最小包絡円の中心(伝熱体の重心に対応)が高さ方向に上昇する(より不安定な位置になる)からである。従って、本発明では、不安定な周方向配置にある伝熱体に対して、その後の操業中の振動に伴って重力によって自動的に安定状態へと向かう周方向位置の安定化作用が発揮される。これに対して、従来技術で多くみられるように、最小包絡円の直径が加熱管内径と等しい場合には、このような伝熱板の周方向配置の安定化作用が生じることはない。
この第5の特徴を利用して、上記第4の特徴の前提条件となる、軸方向に隣り合う伝熱体間で、周方向の伝熱板配置が異なる状態を安定的に維持することができる。これは、加熱管内に載置されて固定されていない伝熱体が操業中の不可避的な振動によって周方向に回転することによって、自動的に伝熱板の周方向に安定する状態に到るとともに、この安定状態における伝熱板の周方向配置が互いに異なる2種類の伝熱体を交互に軸方向に配置することによって実現できる。
本発明により、内部を通過するガスを加熱するため、加熱管を800℃以上に加熱した場合であっても、伝熱を促進させるために加熱管本体の内部に設置される構造体が、塑性変形して伝熱効果を低下させることなく、また、高温でコーキングする被加熱ガスを使用した際に、コークに対する耐閉塞性の高い、加熱管を提供できる。
本発明の第1の実施形態に係る加熱管の第1の伝熱体(伝熱体A)を示す模式図(正面図(a)と、そのA−A断面図(b))である。 同実施形態に係る加熱管の第2の伝熱体(伝熱体B)を示す模式図(正面図(a)と、そのA−A断面図(b))である。 同実施形態に係る加熱管の第1及び第2の伝熱体(伝熱体A、B)の加熱管内配置を示す模式図(正面図(a)と、そのA−A断面図(b))である。 図3の加熱管内配置における粒子の落下経路を示す模式図(正面図(a)と、そのA−A断面図(b))である。 本発明の第2の実施形態に係る加熱管の第1の伝熱体(伝熱体C)を示す模式図(正面図(a)と、そのA−A断面図(b))である。 同実施形態に係る加熱管の第2の伝熱体(伝熱体D)を示す模式図(正面図(a)と、そのA−A断面図(b))である。 本発明の第3の実施形態に係る加熱管の第1の伝熱体(伝熱体E)を示す模式図(正面図(a)と、そのA−A断面図(b))である。 同実施形態に係る加熱管の第2の伝熱体(伝熱体E)を示す模式図(正面図(a)と、そのA−A断面図(b))である。 同実施形態に係る加熱管の第1及び第2の伝熱体(伝熱体E、F)の加熱管内配置を示す模式図(正面図(a)と、そのA−A断面図(b))である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[1.第1の実施形態]
まず、図1〜図4を参照して、本発明の第1の実施形態に係る加熱管について説明する。
(1.1.構造および配置)
第1の実施形態に係る加熱管の1例を図1に示す。図1(a)は加熱管を管軸方向から見た正面図を表し、図1(b)は、軸水平断面(図1(a)のA−A線での断面図)を表す。
本実施形態に係る加熱管は、加熱管本体1と伝熱体2とを備えており、円形断面の直管である加熱管本体1の内部に、タイプAの伝熱体2(以下、「伝熱体A」と呼称する場合もある。)が載置されている構成となっている。伝熱体2は、例えば5枚の伝熱板3−1〜5(以下、伝熱板3と総称する場合もある。)を放射状に組み合わせて構成される。伝熱板3は例えば矩形の平板であるが、本発明の伝熱板は、図示のような完全な長方形状の例に限定されず、略矩形であれば、例えば、台形、平行四辺形、角部が丸められた矩形、四辺の一部が湾曲若しくは切り欠かれた形状などであってもよい。伝熱体2の中央軸5は、加熱管本体1の中心軸4に対して平行であるが、当該中央軸5と中心軸4は同一線上になくてもよい。なお、伝熱体2の中央軸5は、仮想軸であり、当該中央軸5の位置に実際の軸部材が存在しなくてもよい。伝熱体2の5枚の伝熱板3は、加熱管本体1の中心軸4に対して平行に配置されるとともに、全ての伝熱板3の表面及び裏面の全てが、前記加熱管本体1の中心軸4に平行で、単一の直線である伝熱体2の中央軸5付近において交差するよう配置されている。即ち、複数の伝熱板3は、伝熱体2の中央軸5の周りに放射状に配置される。このとき、複数の伝熱板3は、中央軸5の周方向に等角度で均等に配置されてもよいし、あるいは中央軸5の周方向に不等角度で不均等に配置されてもよい。
直方体とみなすことのできる各伝熱板3には6個の面が存在し、これらの面を空間上に延長した6つの平面が存在する。このうち、伝熱板3の最も広い面から延長した平面を単一の直線(伝熱体2の中央軸5)上で交差するように各伝熱板3を配置すれば、伝熱板3の配置が放射状になる。各伝熱板3は、中央軸5近傍で互いに結合して固定されている。複数の伝熱板3を放射状に組み合わせて固定する方法としては、中央軸5の位置に、当該中央軸5に対して平行に延びる棒状部材(図示せず。)を設け、各伝熱板3の中心側の端部を当該棒状部材に接続すればよい。あるいは、複数の伝熱板3の中心側の端部を相互に、溶接、ボルト締結又はリベット留め等により固定してもよい。
5枚の伝熱板3のうち、少なくとも2枚は、加熱管本体1の内周面1aに接触し、少なくとも1枚は、加熱管本体1の内周面1aとは接触していない。図1の例では、伝熱体2の下部側に配置される伝熱板3−3、3−4の端部が内周面1aに接触し、伝熱体2の上部側に配置される伝熱板3−1、3−2、3−5の端部は内周面1aに接触せずに、離隔している。このように、伝熱体2を加熱管本体1の内部に載置したときに、加熱管本体1の内周面1aに接触する伝熱板3−3、3−4を「接触伝熱板」と称し、加熱管本体1の内周面1aに接触しない伝熱板3−1、3−2、3−5を「非接触伝熱板」と称する。また、図1の例の伝熱体2は、2枚の接触伝熱板3−3、3−4が、加熱管本体1の周方向に相互に隣り合っている構造を有している。このタイプの伝熱体2を、第1の種類の伝熱体(伝熱体A)とも呼称する。
また、伝熱体2の軸垂直断面(中央軸5に対して垂直な断面)において、全ての伝熱板3の断面を内側に含む最小の仮想円、即ち、各伝熱板3の外周面上の端点のうち任意2点を通り、かつ、全ての伝熱板3の断面を内側に含む仮想円のうち最小のものを、最小包絡円と定義する(図1の最小包絡円8を参照。)。この最小包絡円8の直径を、加熱管本体1の内径(即ち、内周面1aの直径)よりも小さく設定することが好ましい。これによって、伝熱体2を加熱管本体1の端部から加熱管本体1の内部に容易に挿入することができ、伝熱体2を、加熱管本体1の内周面1a上に載置することが可能になる。最小包絡円8の直径が加熱管本体1の内径と同一若しくは大きければ、伝熱体2を、加熱管本体1の内部に挿入したり、内周面1a上に載置することが不可能又は困難になる。
伝熱板3の外周側の端面上の端点(外端点)としては、例えば、中央軸5に対する垂直断面上おける、伝熱板3の外端面の周方向の中点を用いることができる。尚、上記の伝熱体2の中央軸5は、最小包絡円8の中心軸(最小包絡円8の中心を通り、かつ、加熱管本体1の中心軸4に対して平行な直線)とは一般に異なる。しかし、加熱管本体1内における伝熱板3の幅W(後述する伝熱板幅W)には最適値が存在し、可能な限り、各伝熱板3の幅Wをこの最適値に近づけるように設定することが好ましい。
全ての伝熱板3の幅Wが等しい場合、伝熱体2の中央軸5と最小包絡円8の中心軸は、一致する。また、本実施形態のように、1枚の伝熱板3のみの幅Wが他の伝熱板3の幅Wよりも短く、残りの伝熱板3の幅Wが等しい場合にも中央軸5と最小包絡円8の中心軸は、一致する。
従って、以下の説明では、好ましい形態である、伝熱体2の中央軸5と最小包絡円8の中心軸が一致する場合を前提とする。最小包絡円を求める具体的な方法としては、例えば、複数の伝熱板3の複数の外端点のうち任意2点を弦とする円を仮定し、その直径を徐々に増大させていくと、やがて全ての伝熱板3の断面が当該円に内包される場合がある。この全ての伝熱板3の断面が内包される最小の直径の円を、前記2点に関する最小円と定義する。尚、最小円の存在しない組み合わせも存在する。複数の伝熱板3の複数の外端点から選択する2点の組み合わせの全てについて最小円を求め、これら最小円のうち、最も直径の小さいものを最小包絡円と定義することができる。
ここで、伝熱板3の板幅である伝熱板幅Wを定義する。図1に示すように、伝熱板幅Wは、加熱管本体1の内周面1a側の伝熱板3の端部(外端)から、伝熱体2の中央軸5までの長さである。図1おいては、伝熱板3−1から3−5は全て同じ形状であり、伝熱板幅W1〜W5も同一である。伝熱板3−1から3−5は、相隣接する伝熱板3、3のなす角度が一定角72°をなすように、周方向に等間隔に配置される。全ての伝熱板3は、最小包絡円8に内接し、この最小包絡円8の中心が伝熱体2の中央軸5となる。伝熱体2の軸方向垂直断面を軸方向に移動させたときの各断面での最小包絡円8は、全て同一の形状となり、この最小包絡円8を軸方向に連ねて形成される仮想面を、伝熱体2の外周面6と定義する。従って、外周面6は少なくとも中央軸5に対向しており、さらに図1のように伝熱板3が矩形である場合には、外周面6は、中央軸5を中心軸とする円筒形になる。外周面6の直径が加熱管本体1の内径よりも小さく、かつ、水平に配置される加熱管本体1内で伝熱体2は下方に存在するので、中央軸5は、加熱管本体1の中心軸4と一般には一致しない。外周面6の中心軸が直線であり、かつ、外周面6の最大の直径が加熱管本体1の内径よりも小さければ、伝熱体2を加熱管本体1内に挿入することができる。水平に配置された加熱管本体1内に伝熱体2を挿入すると、伝熱体2は、中央軸5より下方に配置された伝熱板3−3および3−4が加熱管本体1の内周面1aに接触することによって、加熱管本体1内に載置される。このように、伝熱体2の中央軸5より下方に配置され、加熱管本体1の内周面1aに接触して、伝熱体2を支える伝熱板3(図1の例では接触伝熱板3−3、3−4)を、積載伝熱板と称する。
本実施形態では、後述の伝熱体Bの場合も含めて、積載伝熱板を伝熱体A、Bごとに2枚のみとする。これによって、操業中に不可避的に生じる加熱管の振動に伴って生じうる伝熱体2の周方向の位置変動を、図1に示す安定姿勢の近傍に保持することができる。積載伝熱板を伝熱体2ごとに2枚のみに限定するには、例えば、伝熱体2の最小包絡円8を加熱管本体1の内径よりも小さく設定すればよい。尚、説明の便宜のために、周方向に隣り合う伝熱板3、3と、伝熱板3の外端から加熱管本体1の内周面1aまで伝熱板方向に延長した直線と、並びに、加熱管本体1の内周面1aとで囲まれた領域を、分割的流路10と称する。例えば、図1において伝熱板3−1と3−5の間の空間は、1つの分割的流路10である。この例では計5個の分割的流路10が存在する。伝熱板3−1や3−5と加熱管本体1の内周面1a間には隙間が存在するので、分割的流路10は、軸垂直断面において閉空間ではなく、流路を厳密に分割するものではない。しかし、加熱管本体1の軸方向(以下、管軸方向と称する場合もある。)に、分割的流路10内へ流入したガスは、その大半が同じ分割的流路10から流出するので、分割的流路10は、ここを通気する流体にとっては一定の閉鎖的な性質を有する空間ということができる。
伝熱体2(伝熱体A)において全ての伝熱板幅Wが同一である必要はない。例えば、加熱管本体1内にはしばしば温度計などの突出物が存在するので、この突出物と伝熱板3との干渉を避けるために、一部の伝熱板幅Wを他の伝熱板幅Wよりも小さく設定できる。
しかしながら、上記の積載伝熱板に関しては、相隣接する伝熱板(図1では、伝熱板3−3と伝熱板3−4)が積載伝熱板となるように、積載伝熱板の伝熱板幅Wは、積載伝熱板以外のいずれの伝熱板3の伝熱板幅Wよりも小さくないことが好ましい。もし、そうでない場合、例えば、伝熱板3−4の伝熱板幅W4が伝熱板幅W3およびW5よりも小さい場合には、積載伝熱板は伝熱板3−3および3−5となりえる。このとき、伝熱体2を初期にどのような向きに配置したとしても、伝熱体2は加熱管本体1内に単に載置されているだけなので、長時間運転を続けるうちに加熱管本体1や伝熱体2に付与される不可避的な振動によって、伝熱体2が管軸方向周りに回転する。この結果、伝熱体2が安定状態となったとき、伝熱板3−4は、鉛直方向に対して平行な向きに配置されることとなる。このような伝熱板3の配置は、後述の伝熱体9(伝熱体B)と実質的に同一となり、管軸方向に相隣接する伝熱体2(伝熱体A)と伝熱体9(伝熱体B)との間で、加熱管本体1内の各伝熱板3の配置が同一になるため、伝熱促進効果が弱まる。よって、伝熱体2が備える5枚の伝熱板3−1〜5のうち、全ての接触伝熱板(積載伝熱板に相当する。)3−3、3−4の伝熱板幅W3、W4は、非接触伝熱板3−1、3−2、3−5の伝熱板幅W1、W2、W5のうちの最大の板幅以上であることが好ましい。これにより、加熱管本体1の内周面1a上に伝熱体2を適切な姿勢で安定的に載置できる。
本実施形態においては、伝熱板3は、5枚に限らず、3枚以上であれば構わない。加熱管本体1の径にもよるが、伝熱板3の枚数は好ましくは5〜20枚である。
本実施形態における別の形状の加熱管の1例を図2に示す。図2の伝熱体は、加熱管本体1と伝熱体9とを備えており、加熱管本体1の内部にタイプBの伝熱体9(以下、「伝熱体B」と呼称する。)が載置されている構成となっている。伝熱体9も、例えば5枚の伝熱板3−6〜10(以下、伝熱板3と総称する場合もある。)を放射状に組み合わせて構成される。
図2の伝熱体9が図1の伝熱体2(伝熱体A)と異なる点は、伝熱板幅Wの設定である。伝熱体9においては、4枚の伝熱板3−6、3−7、3−8、3−10の伝熱板幅W6、W7、W8、W10は同一であるが、1枚の伝熱板3−9の伝熱板幅W9は、他の4枚の伝熱板幅W6、W7、W8、W10よりも小さい。図2に示すように、伝熱体9では、加熱管本体1の内周面1aに接触している2枚の接触伝熱板3−8、3−10(積載伝熱板)の周方向の間に、加熱管本体1の内周面1aに接触していない1枚の非接触伝熱板3−9が配置されている。このタイプの伝熱体9を、第2の種類の伝熱体(伝熱体B)とも呼称する。
すなわち、伝熱体B(伝熱体9)では、加熱管本体1の周方向に隣接する3枚の伝熱板3のうち少なくとも一組(図2では伝熱板3−8〜10)において、両端の2枚の伝熱板(伝熱板3−8と3−10)が積載伝熱板(接触伝熱板)となる。このために、これら2枚の積載伝熱板の中間の伝熱板(伝熱板3−9)の伝熱板幅W9は、伝熱板幅W8、W10よりも小さく、当該伝熱板3−9は非接触伝熱板となっている。さらに、前述の伝熱体2(伝熱体A)と同様に、伝熱体9(伝熱体B)でも、積載伝熱板(接触伝熱板3−8と3−10)の伝熱板幅W8、W10は、他のいずれの非接触伝熱板3−6、3−7、3−9の伝熱板幅W6、W7、W9よりも小さくない。
伝熱体Bは、伝熱体Aと組み合わせて使用することによって、伝熱を一層、促進させるための伝熱構造体である。伝熱体A、Bとも、加熱管本体の内周面1a上に安定的に載置するために、2枚の積載伝熱板が互いになす周方向の角度は、180°未満である必要がある。また、伝熱体Bは、周方向に略等角度で伝熱板3が配置され、積載伝熱板3−8と3−10の間に1枚の伝熱板3−9が配置される構造である。このため、伝熱体Bが4枚以下の伝熱板しか具備しない場合には、2枚の積載伝熱板の互いになす角度が180°以上となってしまうので、好ましくない。従って、本実施形態において伝熱板3の枚数は、加熱管本体1の径にもよるが、5枚以上であることが好ましい。また、本実施形態において伝熱体Bの伝熱板3の枚数は、好ましくは20枚以下である。
水平に配置される加熱管本体1内での伝熱体2、9の配置を、図3を用いて説明する。図3に示すように、加熱管本体1内で伝熱体A(伝熱体2)と伝熱体B(伝熱体9)とが、管軸方向に交互に配置される。このように配置されることによって、相隣接する伝熱体Aと伝熱体Bとの間で、軸垂直断面における伝熱板3の周方向配置は、互いに異なる配置となる。これにより、加熱管本体1内を流れるガスは、異なる伝熱体A、B、A・・を通過するたびに、新たな境界層が伝熱板3上で形成される。軸垂直断面における伝熱板3の周方向配置は、伝熱体A、B間で異なるために、図3のように伝熱体Aと伝熱体Bが、同じ枚数の伝熱板を備えることが好ましい。図3では、2種類の伝熱体A(伝熱体2)と伝熱体B(伝熱体9)を交互に3つ配置しているが、伝熱体の交互配置は2つ以上であればよい。
(1.2.加熱管の配置)
本実施形態に係る伝熱体2、9は、中心軸4が鉛直方向ではない向きに配置される加熱管本体1内に載置されることが好ましい。このような載置は、加熱管本体1の内部に配置される伝熱体2、9の荷重の少なくとも一部を、加熱管本体1の内周面1aに対して垂直な反力によって支えることを意味する。例えば、図1、図2では水平に配置された加熱管本体1を表している。このような加熱管本体1の内部に伝熱体2、9を挿入して載置した場合、伝熱板3は加熱管本体1内で拘束されていないため、操業中の振動等に伴って、伝熱体2、9は、重力によって安定な姿勢を目指して周方向に回転する。例えば、図1、図2に示す伝熱体2、9は、ともに鉛直方向を中心として左右対称であり、かつ、重心が最も低くなる姿勢であるので、安定状態にある。仮に、同タイプの複数の伝熱体2、2のみを加熱管本体1の内部に載置し、この際に管軸方向に隣接する伝熱体2、2間で伝熱板3の周方向配置が一致しないように、各伝熱体2、2を異なる姿勢で設置した場合を考える、この場合であっても、加熱管の操業を継続する間に、各伝熱体2、2は、共通の安定状態の姿勢となるように周方向に回転する。このため、全ての伝熱体2、2において、伝熱板3、3の周方向配置が一致してしまい、伝熱板3の周方向配置を、軸方向に隣接する伝熱体2、3ごとに変更することはできない。このため、本実施形態では、安定状態における伝熱板3の周方向配置の異なる2種類の伝熱体2、9を、管軸方向に交互に配置することによって、伝熱板3の周方向配置を伝熱体2、9ごとに変更することができる。
本実施形態に係る伝熱体を、鉛直方向に対する中心軸4の角度が0°、即ち、鉛直の加熱管本体1に適用してもよい。但し、この場合、伝熱板3の周方向配置の安定状態は自明ではないので、本実施形態のように2種類の伝熱体2、9を同時に用いる必然性はない。本発明の伝熱体は、加熱管が水平に配置される際に最も安定しやすく好適である。
(1.3.詳細構造)
伝熱体2、9の伝熱板3は、軸垂直断面において周方向に等角度で均等に配置されることが好ましい。伝熱板3の設置枚数は、加熱管本体1の内周面1a上で伝熱体2、9が安定的に載置されるために、3枚以上である必要があり、伝熱促進の観点から5枚以上であることが好ましい。また、伝熱促進の観点から、軸垂直断面において、複数の伝熱板3が周方向に等角度で均等に配置されることが好ましい。
これらのことは、加熱管本体1の温度および通気ガスの温度、流速、伝熱特性との関係で、分割的流路10の適切な形状範囲が存在するからである。伝熱板3が互いになす角度(例えば、図1では72°)が小さいほど、分割的流路10内で加熱管本体1の内周面1aの面積当たりの伝熱板3の面積が増大するとともに、通気ガス流量当たりの伝熱面積も増える。このため、伝熱面積を増大する観点からは、伝熱板3が互いになす角度を小さくすること(即ち、伝熱板3の枚数を増やすこと)が好ましい。しかし、伝熱板3が互いになす角度が過小な場合、加熱管本体1から伝熱板3が受ける単位面積当たりの放射熱流束の低下、および通気ガスによる冷却量の増大によって、伝熱板3の温度が著しく低下して、伝熱効率の向上代が大幅に低下する。一方、現実の伝熱板3には板厚が存在するので、伝熱板3の枚数の増加によって、加熱管本体1内の有効な通気断面積が減少し、且つ、ガス流量当たりの伝熱板3への接触面積の増大によって、通気抵抗が増大するとともに、加熱管本体1の閉塞も発生しやすくなる問題を生じる。また、有限な板厚を有する複数の伝熱板3を、伝熱体2、9の中央軸5またはその近傍で接合するためには、伝熱板3の枚数の構造上の上限も存在する。従って、伝熱体2、9内の伝熱板3の枚数は、加熱管本体1の径にもよるが、概ね20枚以下が好ましい。
このように伝熱板3の互いになす角度には最適値が存在するので、伝熱板3の互いになす角度をこの最適値に固定すること、即ち、軸垂直断面において伝熱板3が周方向に等角度で配置されることが好ましい。同一種類の伝熱体2(又は伝熱体9)のみを管軸方向に連続して配置する前提では、当該伝熱体2の伝熱板の枚数は、3枚以上である必要がある。伝熱体2は一般に加熱管本体1の内周面1a上に載置されるだけなので、操業時に不可避的に生じる加熱管の振動に伴って伝熱体2の位置は周方向に変動(回転)しうる。伝熱体2の周方向への回転には、加熱管本体1内の温度計等の突起物と衝突する問題がある。さらには、伝熱促進のために複数の伝熱体2を管軸方向に隣接して配置する際に、相隣接する2つの伝熱体2、2の間で、伝熱板3の周方向配置を異なる配置にしようとしても、この初期の配置が操業中に乱れて、十分な伝熱促進効果が得られなくなる問題もある。従って、伝熱板3の周方向配置は、安定化される必要がある。伝熱体2の周方向の運動を安定化するためには、2枚の積載伝熱板が互いになす角を180°未満にすればよい。このため、伝熱板3が周方向に略等角に配置される伝熱体2において、伝熱板の枚数は3枚以上である必要がある。
また、3枚以上の伝熱板3を用いて伝熱体2を構成すれば、伝熱増進効果(伝熱体2の表面積/加熱管本体1の内周面1aの表面積)を概ね2以上にでき、加熱管本体1のみの場合と同程度の伝熱量を伝熱体2のみで与えることができ、大きな伝熱促進効果が得られる。もし、2枚の積載伝熱板が互いに180°の角度をなして配置される場合には、これといった安定化作用が働かないために、伝熱板3の周方向配置が不安定になる。これに対して、2枚の積載伝熱板が互いに180°未満の角度をなして配置される場合には、2枚の積載伝熱板が鉛直方向に対してそれぞれなす角度が等しくなる配置が、伝熱体2の重心の最も低い状態、即ち、伝熱体2の姿勢が安定状態になる。なぜならば、2つの積載伝熱板の加熱管本体1の内周面1aとの接点において、伝熱体2の最小包絡円8と、加熱管本体1の内周面1aの輪郭円とが交差するとともに、最小包絡円8の半径が輪郭円の半径よりも小さいからである。即ち、最小包絡円8の半径が輪郭円の半径と一致する系では、このような伝熱板3の周方向配置の安定化作用が生じない。このため、なんらかの原因でいずれか一方の積載伝熱板が鉛直方向に対してより小さい角度をなす配置となった場合、伝熱体2の重心が安定状態よりも高くなる。そうすると、その後の操業中の振動に伴って、重力によって伝熱体2の重心が低下して、伝熱体2の姿勢が安定状態へ至るように、伝熱体2が周方向に回転するという、伝熱板3の周方向配置の安定化作用を生じる。この安定化作用は、安定状態において鉛直に配置されうる伝熱板を有する、伝熱体B(伝熱体9)においても存在する。伝熱体Bでは、積載伝熱板の間に存在して安定状態において鉛直に配置されうる伝熱板3(例えば図2での伝熱板3−9)の伝熱板幅Wは、加熱管本体1の内周面1aに接触しない長さに設定されているので、伝熱体Aの場合と同様に、2枚の積載伝熱板(例えば図2での伝熱板3−8、3−10)が鉛直方向に対してなす角度が等しい状態(即ち、図2の状態)が、伝熱体Bの重心の最も低い安定状態になる。
また、もし、1つの伝熱体に積載伝熱板が3枚以上存在するとき、これら積載伝熱板と加熱管本体1の内周面1aとの3つの接触点(積載伝熱板が3枚のケース)を通る円が内周面1aの輪郭円と一致することになる。従って、これら3枚の積載伝熱板を維持したまま、伝熱体を回転させても、伝熱体の重心高さはほとんど変化しない。このため、3枚以上の積載伝熱板を有する伝熱体では、伝熱板3の周方向配置の安定化作用が生じず、伝熱板3の周方向配置が不定になる問題があるので、1つの伝熱体において積載伝熱板は2枚であることが好ましい。
また、異なる形状の伝熱体を管軸方向に交互に配置する前提の場合、例えば、上記の伝熱体A、Bを交互に配置する場合、伝熱板3は、5枚以上であることが好ましい。なぜならば、伝熱体Bにおいて、上記の伝熱体Bの周方向運動の安定化のために2枚の積載伝熱板が互いになす角を180°未満にしようとすれば、5枚以上の伝熱板が必要であり(積載伝熱板の間に1枚の非接触伝熱板が配置されるから)、これに伴って、伝熱体Aの伝熱板3の枚数を伝熱体Bと同じに設定すれば、伝熱板3の周方向配置を伝熱体A、Bごとに確実に変更できて、伝熱促進を一層、図れるからである。
尚、第1の種類の伝熱体Aと第2の種類の伝熱体Bの間では、必ずしも同一の枚数の伝熱板3を用いなくてもよい。但し、上記のように伝熱板3の枚数には最適値が存在するので、第1の種類の伝熱体Aおよび第2の種類の伝熱体Aとも、その最適枚数にする、即ち、第1の伝熱体と第2の伝熱体で同一の枚数にすることが好ましい。なお、エンジニアリング上の便宜等の理由があれば、複数の伝熱板3が互いになす周方向の角度を必ずしも一定にしなくてもよい。
軸垂直断面における伝熱体2の外周面6の直径と加熱管本体1の内径との差は、加熱管本体1内に伝熱体2を挿入するのに支障ない隙間間隔以上に設定できる。例えば、伝熱体2の外周面6の直径と加熱管本体1の内径との差を5mm以上にすることで、伝熱体2の挿入を支障なくできる。伝熱効率の観点からは、伝熱板幅Wが大きい方が好ましいので、例えば、伝熱体2の外周面6の軸垂直断面(最小包絡円8)の直径と加熱管本体1の内径との差は、20mm以下であることが好ましい。
伝熱板3の中央軸方向の長さは、加熱管本体1内を通過するガスの流れが乱流、または、遷移流の場合、伝熱板3上で境界層が十分に発達する長さ以上にすることが好ましい。分割的流路10内では、隣接する伝熱板3、3間の周方向距離が大きく変動し、伝熱体2の中央軸5に近いほどこの周方向距離がより小さく、その結果、境界層が十分発達するのに要する軸方向距離がより短い。なぜならば、2枚の対向する伝熱板3、3(本明細書においては、対向する伝熱板3、3とは、互いに鋭角をなして隣接する伝熱板3、3に相当し、対向する伝熱板3、3間の距離が、この隣接する伝熱板3、3間の周方向距離に相当する。)上でそれぞれ発達した境界層が、伝熱板3、3間の空間において互いに接触した段階で、定義上、境界層は消失するので、対向する伝熱板3、3間の距離が小さいほど、より薄い境界層の状態で各境界層が互いに接触するためである。ところで、一般に伝熱板3上での境界層の発達状態は、境界層の上流端からの軸方向距離の関数として表現できるものの、上記のように分割的流路10内での伝熱板3、3の面間距離(隣接する伝熱板3、3間の周方向距離)には分布が存在するので、分割的流路10内での代表的な面間距離を次のように定義し、この代表的な面間距離を用いて、分割的流路10内での境界層の発達状態の目安を表現することにする。代表的な面間距離の一例として、分割的流路10の断面積に等しい断面積を有する矩形を想定し、この矩形の長辺を加熱管本体1の内周面1aの半径とおいた場合の当該矩形の短辺長さHを用いることができる。加熱管本体1の内径D、伝熱板3の枚数nを用いると、Hは、次の式(2)で表される。

H=D・π/(2n) ・・・(2)
例えば、n=5のとき、Hはおよそ0.31Dとなる。管内流れが乱流または遷移流の場合、伝熱板3上の境界層は一般に約10Dで十分に発達する。この関係を上記のn=5の分割的流路10に援用すると、伝熱板3上の境界層は、伝熱板3の先端(最上流部)からの軸方向距離が10H、即ち、3.1Dで十分に発達する。境界層が十分に発達すると、助走区間である層流境界層に比べて熱伝達率が著しく向上するとともに、断面内での温度差も大幅に低下するので、伝熱体の軸方向長さは、10H以上であることが好ましい。一方、伝熱を促進するためのもうひとつの因子として、境界層外端部温度(十分に発達した流れでは管内の中心温度)と伝熱板壁面温度との差をできるだけ低減することが有効である。この観点からは、管軸方向に隣接する伝熱体間で、軸垂直断面における伝熱板3の周方向配置を、不連続、かつ、頻繁に、軸方向で変更することが好ましい。本実施形態では、管軸方向に伝熱体A(伝熱体2)と伝熱体B(伝熱体9)とを交互に配置することによって、伝熱板3の周方向配置を不連続に変更することができる。但し、伝熱体の軸方向長さを短く設定して、伝熱板3の周方向配置を頻繁に変更することによって、伝熱板3上の境界層に占める助走区間の長さの割合が増大することは、熱伝達率向上の観点から好ましくない。そこで、本発明者の調査の結果、熱伝達率を大きく損なうことなく、伝熱板3の周方向配置を、管軸方向に十分な頻度で変更するための条件として、伝熱体の軸方向長さは、10D以下であることが好ましいことが判明した。
(伝熱板の厚み)
装置の軽量化や通気抵抗の低減の観点から、伝熱板3の板厚は、800℃以上といった高温で形状を保ちうる範囲内でなるべく薄いことが好ましい。伝熱板3の板厚は、例えば0.3mm以上2mm未満の板厚にすることができる。本実施形態に係る伝熱板3は、放射伝熱の授受を行う媒体として主に機能する。従って、従来のフィンのようにフィンの内部での熱伝導が伝熱促進上の重要な因子である場合と比べて、伝熱板3の板厚を大きく設定する必要がない。
積載伝熱板以外の伝熱板3の板厚hは、自重による変形を防ぐだけのものであればよい。伝熱体の中央軸5で水平に固定支持される幅Wなる均一な板厚の伝熱板3では、以下の式(3)で表される曲げモーメントMに耐えるように、板厚hを設定すればよい。Mにちょうど耐える板厚hを、hn,limと定義する。この板厚hの伝熱板3を水平以外の角度で保持する場合には、上記のMより小さい曲げモーメントしか付与されないので強度上の問題はない。尚、伝熱体2の中で各伝熱板3の板幅Wは一般に同一ではないものの、強度上の安全側条件とするために、以下の式のWとしては、伝熱体2内で最大の積載伝熱板の板幅を用いる。
=m”・h・g・W/2 ・・・(3)

m”:単位幅および単位厚当たりの伝熱板3の質量
:積載伝熱板以外の伝熱板3の板厚
g:重力加速度
W:伝熱板3の伝熱板幅
一方、積載伝熱板の板厚hには、伝熱板3の自重を支えるだけではなく、伝熱体の全体の荷重を支えて変形しないことが求められる。例えば、図2の伝熱体9での積載伝熱板3−8、3−10に付与される曲げモーメントMは、次の式(4)で表される。この曲げモーメントMに積載伝熱板が耐える(クリープ変形しない)ように、hを設定しなければならない。
=n・m”・h・g・W・sin[θ]/4 ・・・(4)

θ:隣接する2枚の積載伝熱板3、3が互いになす周方向の角度
n:1つの伝熱体が備える伝熱板3の枚数
また、全ての伝熱板3の重量は、伝熱体の中心に働くものと近似した。Mにちょうど耐えるhをhH,limと定義する。尚、2枚の積載伝熱板でn枚の伝熱板3を支えるので、一枚当たりの積載伝熱板は、n/2枚の伝熱板3を支えればよい。同じnの場合、図1に示す伝熱体2(伝熱体A)における積載伝熱板3−3、3−4に作用する曲げモーメントは上記のMよりも小さいので、図2に示す伝熱体9(伝熱体B)に要求される曲げモーメントに耐えるように伝熱体2を設計すれば、強度上の問題はない。
ところで、上記の式(3)及び式(4)の定義から、以下の式(5)が導かれる。上述のとおり、hn,limは、Mに耐えうるものであった。伝熱板3の耐えうる曲げモーメントは、板厚hの2乗に比例する。従って、n・sin[θ]・Mなる曲げモーメントに耐えうる板厚、即ち、hH,limは、以下の式(6)で表される。実際のhは、hn,lim以上の値に設計されるので、Mは、hがhn,limの場合のh/hn,lim倍になるが、hを[n
sin[θ] /2]1/2H,limに設定すれば、強度上の問題はない。即ち、次の式(7)に示すように、積載伝熱板の板厚hを非積載伝熱板の板厚hの、[n・sin[θ]/2]1/2倍以上の値に設定すれば、積載伝熱板は変形しないことがわかった。
=n・sin[θ]・M/2 ・・・(5)
H,lim=[n・sin[θ]/2]1/2・hn,lim ・・・(6)
≧{n・sin[θ]/2}1/2・h ・・・(7)
例えば、数値解析を行えば、hの最小寸法を算出することはできるものの、計算の前提となる800℃以上といった高温でのクリープ特性のデータを常に得られるとは限らない。本実施形態に係る方法を用いれば、1枚の伝熱板を800℃以上の高温炉内で水平に保持する簡易な試験を行って、当該材料における最小の板厚を求めるだけで、このデータから伝熱体の全体が変形しない板厚分布を求めることができる。従来のフィンによる伝熱促進方法の場合、フィン内での熱伝導率を十分に確保する必要性から、フィン厚が極端に大きな値、例えば、加熱管本体の内径の5%以上、に設定されていたため、フィンの変形が問題とされることはなかった。
(1.4.材質)
伝熱板3を含めた伝熱体2、9の材質としては、800℃以上の高温に耐え、かつ、加熱管本体1内を流れるガスによって腐食し難い材質であれば、どのような材質でも適用できる。例えば、伝熱体2、9の材質として、市販される、耐熱鋼、耐熱ニッケル合金、耐熱セラミックス、または、耐熱ガラス等を用いることができる。本実施形態では、伝熱板3内の熱伝導を利用した伝熱促進をほとんど期待しないので、伝熱板3の材質が、従来のフィンを用いた場合のような熱伝導率の高い材料に限定されることがない。また、伝熱板3は加熱管本体1内で拘束されておらず、自由に移動できるので、加熱管本体1と伝熱体2、9間で熱膨張率の大きく異なる材質を用いることができる。加熱管本体1と伝熱体2、9は、ともに耐熱性が必要であるものの、加熱管本体1は、内圧に耐えるように強度が求められるので、実質的にニッケル合金等の耐熱金属に材質が限定されることが多く、このような材料は、通常、熱膨張率が大きい。一方、伝熱体2、9は、自重で破壊しない程度の強度しか求められないので、材料の選択肢がより広く、例えば、熱膨張率の比較的低いセラミックスを伝熱体2、9に用いることができる。従来技術では、熱膨張が問題となるような高温領域(例えば800℃以上)において、加熱管本体とフィンの材質として、このように大きく熱膨張率の異なる材料の組み合わせを用いることは困難であった。
(1.5.製作方法)
上記複数の伝熱板3を結合して伝熱体2を制作する方法について例示する。伝熱板3を結合する方法としては、例えば、溶接、ボルト締結、リベット留め等を用いて隣接する伝熱板3、3を互いに結合することができる。この結合にボルト締結やリベット留めを用いる場合には、隣接する伝熱板3、3の間に適当な形状の継手(図示せず。)を適宜、設けることができる。あるいは、伝熱体2、9の中央軸5の位置に、軸方向に延びる棒状部材(図示せず。)を設け、この棒状部材に各伝熱板3を溶接等によって接合してもよい。
(1.6.被加熱ガス)
加熱管本体1内を流れる加熱対象のガス(被加熱ガス)としては、加熱管本体1内での熱放射を著しく吸収または遮断しないものであれば、どのようなガスでも適用きる。特に、本実施形態に係る加熱管は、炭化水素を含むガス、例えば、天然ガス又は石油蒸留ガス等を加熱するために適用することができる。このようなガスは、800℃以上の高温下では炭化水素ガスの一部がコーキングを生じて固体炭素粒子を生成するので、従来のフィン構造体等を用いて加熱管本体に分割流路を設けた場合、流路が閉塞し易いという問題を生じる。しかし、本実施形態に係る加熱管では、コーキングによる流路の閉塞の影響を低減することができるので、炭化水素を含む高温ガスの加熱に対して好適に適用できる。さらに、本実施形態に係る加熱管では、乱流化しにくい、コークス炉ガス等の石炭乾留ガスを加熱する際にも、伝熱を促進することができる。コークス炉ガスは、メタン等の炭化水素及び一酸化炭素を含有する水素ガスである。コークス炉ガスの主成分である水素ガスは、他のガス種に比べて800℃以上での動粘性係数が極端に大きいため、コークス炉ガスを加熱管内に通気する際には、管内流速の上昇に対して流れが乱流化しにくい。このため、比較的低流量の場合、乱流を促進することによって伝熱促進を図る手段では効果が得られにくい場合がある。これに対し、本実施形態に係る加熱管では、管内流が層流であっても伝熱を促進できるので、このような種類のガスに対しても効果的である。
(1.7.加熱管本体1内での粒子の流れ)
前述のように炭化水素を含有する作動ガスを加熱管内に通気させる場合には、通気中にコーキングによって炭化水素から固体炭素粒子(コーク粒子)がガス中に生じ、これがガス中を浮遊、落下しながら水平管内に堆積する。従来技術において流路をフィン等で分割して分割流路を形成した場合には、この堆積する粒子によって管路が容易に閉塞しうる問題がある。これに対し、本実施形態に係る加熱管においては、このような閉塞がより起こりにくいことを説明する。
図3に示す2種類の伝熱体2(伝熱体A)、伝熱体9(伝熱体B)が管軸方向に交互に配置される加熱管において、加熱管本体1内で発生したコーク粒子の落下経路の一例を、図4を用いて説明する。図4(b)に示すように、伝熱体2の点aでコーク粒子が発生する。点aは、図4(a)において、伝熱体2の伝熱板3−1と伝熱板3−5の間の分割的流路10内に位置する。点aで発生したコーク粒子は、重力によってこの分割的流路10内を、点bを経由して落下し、後続の伝熱体9の伝熱板3−6と伝熱板3−10の間の分割的流路10に流入して点cを経由する。その後、コーク粒子は、後続の伝熱体2の伝熱板3−5と伝熱板3−4の間の分割的流路10に流入して点dを経由し、さらに、後続の伝熱体9の伝熱板3−10と伝熱板3−9の間の分割的流路10内に存在する堆積コーク11内の点eに沈着する。ここで、1番目の伝熱体2と3番目の伝熱体2の間で5枚の伝熱板3の周方向配置は略一致するので、それぞれの伝熱体2、2間で互いに対応する伝熱板3を同一の符号を用いた。2番目の伝熱体9と4番目の伝熱体9の間の伝熱板3の対応関係も同様である。
このように、軸垂直断面における伝熱板3の周方向配置の異なる伝熱体2、9を管軸方向に交互に配置することによって、加熱管本体1内においてコーク粒子の落下を伝熱板3により妨げることを抑制することができる。もし、伝熱体2または伝熱体9のいずれか一種類の伝熱体のみを、加熱管本体1内に管軸方向に隣接して配置した場合には、伝熱板3の周方向配置が加熱管本体1の全長に渡って不変となる。例えば、仮に図4の伝熱体2(伝熱体A)の下流に全て同じ種類の伝熱体Aのみを配置した場合には,点aで発生したコーク粒子は、伝熱板3−5に落下を阻まれて同じ分割的流路10内(伝熱板3−1と伝熱板3−5の間の分割的流路10内)に堆積することになり、伝熱体が設置されていない加熱管に比べて、管路の閉塞を生じやすくなる。
これに対し、本実施形態に係る加熱管では、1番目の伝熱体2と3番目の伝熱体2(ともに伝熱体A)の間に、異なる種類の伝熱体9(伝熱体B)を配置することによって、コーク粒子が伝熱板3−1と伝熱板3−5の間の分割的流路10の堆積することを防止して、下方に落下させ、最終的に加熱管本体1の底部(点e)に集約して堆積させることができる。この結果、本実施形態では、加熱管本体1内の上部空間にはコークが堆積しにくく、加熱管本体1全体の閉塞に到達しにくい。
(1.8.伝熱板の載置方法)
伝熱体2、9を構成する3枚以上の伝熱板3のうち2枚以上の積載伝熱板(接触伝熱板)は、加熱管本体1の内周面1aに接触させて載置してよい。また、積載伝熱板の外端と加熱管本体1の内周面1aとの間に、焼き付き防止剤を配置してもよい。焼き付き防止剤を用いることによって、高温下でも伝熱体2、9の積載伝熱板(接触伝熱体)が加熱管本体1の内周面1aに焼き付くことがなく、加熱管本体1内での積載伝熱板の可動性を維持できる。これは、特に、積載伝熱板と加熱管本体1の間で熱膨張量差が大きい場合、例えば、これら両者で異なる材質を用いる場合に効果的である。
焼き付き防止剤には、例えば、ニッケル、銅、黒鉛等の微粉を含有するコンパウンド剤、又は耐熱グリース等の市販の焼き付き防止剤を用いることができる。また、これにMoS等を添加して高温での潤滑性を与えた焼き付き防止剤も用いることができる。一般に焼き付き防止剤の熱伝導率は、加熱管本体1の熱伝導率に比べて小さい。従って、従来のフィンによる伝熱促進装置ではフィンと加熱管本体の間に焼き付き防止剤を配置することは、フィンと加熱管本体との間の熱伝導を妨げるので好適でない。このため、800℃以上といった高温下でフィンと加熱管本体に異なる材料を適用することは困難であった。これに対し、本実施形態に係る加熱管では、伝熱板3と加熱管本体1間の熱伝導による伝熱は不要なので、このような問題が生じない。
[2.第2の実施形態]
次に、図5及び図6を参照して、本発明の第2の実施形態に係る加熱管について説明する。第2の実施形態は、上記第1の実施形態と比べて、各伝熱体がより多くの枚数の伝熱板3を具備する例である。
(2.1.構造および配置)
図5、図6は、8枚の伝熱板3を有する伝熱体12、13を備えた加熱管の例を示す。図5は、タイプCの伝熱体12(以下、「伝熱体C」と呼称する場合もある。)が加熱管本体1の内部に載置された例である。図6は、タイプDの伝熱体13(以下、「伝熱体D」と呼称する場合もある。)が加熱管本体1の内部に載置された例である。
図5に示すように、伝熱体12(伝熱体C)は、略同一の伝熱板幅Wを有する8枚の伝熱板3−11〜3−18を有し、これら8枚の伝熱板3は周方向に等角度で均等配置されている。この伝熱体12(伝熱体C)では、上記第1の実施形態に係る伝熱体2(伝熱体A)と同様に、加熱管本体1の内周面1aに接触している2枚の接触伝熱板3−15、3−16(積載伝熱板)が、加熱管本体1の周方向に隣り合っている構造を有する。
一方、図6に示すように、伝熱体13(伝熱体D)は、8枚の伝熱板3−19〜3−26を有し、これら8枚の伝熱板3は周方向に等角度で均等配置されている。ただし、8枚の伝熱板3のうち、1枚の伝熱板3−23の伝熱板幅W23は、他の7枚の伝熱板3の伝熱板幅Wよりも小さい。この伝熱体13(伝熱体D)は、上記第1の実施形態に係る伝熱体9(伝熱体B)と同様に、加熱管本体1の内周面1aに接触している2枚の接触伝熱板3−22、3−24(積載伝熱板)の周方向の間に、当該内周面1a面に接触していない1枚の非接触伝熱板3−23が配置されている構造を有する。
このような2種類の伝熱体12(伝熱体C)と伝熱体13(伝熱体D)を加熱管本体1の管軸方向に交互に配置すればよい。これにより、上記第1の実施形態と同様な作用効果が得られる。
[3.第3の実施形態]
次に、図7〜図9を参照して、本発明の第3の実施形態に係る加熱管について説明する。第3の実施形態は、伝熱体の中央軸5の一端側に配置された連結板16により複数の伝熱板3を連結することによって、伝熱体の中央軸5及びその周辺に伝熱板3が存在しない例である。
(3.1.構造および配置)
図7、図8は、5枚の伝熱板3が連結板16で連結された伝熱体14、15を備えた加熱管の例を示す。図7は、タイプDの伝熱体14(以下、「伝熱体D」と呼称する場合もある。)が加熱管本体1の内部に載置された例である。図8は、タイプEの伝熱体15(以下、「伝熱体E」と呼称する場合もある。)が加熱管本体1の内部に載置された例である。
図7に示すように、伝熱体14(伝熱体E)は、略同一の伝熱板幅Wを有する5枚の伝熱板3−27〜3−31を有し、これら5枚の伝熱板3は周方向に等角度で均等配置されている。この伝熱体14(伝熱体E)では、上記第1の実施形態に係る伝熱体2(伝熱体A)と同様に、加熱管本体1の内周面1aに接触している2枚の接触伝熱板3−29、3−30(積載伝熱板)が、加熱管本体1の周方向に隣り合っている構造を有する。
一方、図8に示すように、伝熱体15(伝熱体E)は、5枚の伝熱板3−32〜3−36を有し、これら5枚の伝熱板3は周方向に等角度で均等配置されている。ただし、5枚の伝熱板3のうち、1枚の伝熱板3−34の伝熱板幅W34は、他の4枚の伝熱板3の伝熱板幅Wよりも小さい。この伝熱体15(伝熱体E)は、上記第1の実施形態に係る伝熱体9(伝熱体B)と同様に、加熱管本体1の内周面1aに接触している2枚の接触伝熱板3−33、3−35(積載伝熱板)の周方向の間に、当該内周面1a面に接触していない1枚の非接触伝熱板3−34が配置されている構造を有する。
このような2種類の伝熱体14(伝熱体E)と伝熱体15(伝熱体F)を加熱管本体1の管軸方向に交互に配置すればよい。これにより、上記第1の実施形態と同様な作用効果が得られる。
さらに、第3の実施形態では、伝熱体14、15の中央軸5の軸方向の一端部に、複数の伝熱板3を保持するための保持部材として連結板16が設けられている。連結板16は、中央軸5に対して垂直な例えば円板状の平板である。各伝熱板3は、この連結板16に接続されて、伝熱板3同士が周方向に互いに一定の角度をなして配列するように固定される。これにより、各伝熱板3が伝熱体14、15の中心部(中央軸5付近)で互いに接合される必要はなく、伝熱体14、15の中央軸5及びその周辺にいずれの伝熱板3が存在しない空間(中空の空間領域)を設けることができる。この空間を中空領域17と呼称することにする。
(3.2.中空領域)
中空領域17を設定する目的は、炭化水素を含有する作動ガスを加熱管本体1内に通気する際に、管内で発生しうるコーク粒子が加熱管本体1内で落下することを阻害しないように、伝熱板3、3の間にコーク粒子が通過できる通路を設けることである。本実施形態における積載伝熱板以外の伝熱板3では、伝熱板3の外周面6と加熱管本体1の内周面1aとの間に隙間を設けるので、この隙間がコーク粒子の通路となりうる。しかし、例えば、図1の伝熱体2の伝熱板3−1と伝熱板3−2の間の分割的流路10に存在するコーク粒子が落下する際、伝熱板3−2にコーク粒子が到達すると、コーク粒子は、さらに伝熱板3−2の表面に沿って転動などして、伝熱体2の中央軸5へと移動した後、中央軸5の近傍において伝熱板3−1と伝熱板3−2に囲まれた領域に堆積してしまうことがある。一方、図7の伝熱体14の場合、伝熱板3−27、伝熱板3−28の間の空間で落下したコーク粒子は、伝熱板3−28に沿って伝熱体14の中央軸5に向けて転動する場合でも、中空領域17までコーク粒子が移動すれば、伝熱板3−28から離脱して伝熱体14内をさらに落下し続けることができる。これにより、落下したコーク粒子を伝熱体14の下部側に集中して堆積させることができるので、加熱管本体1の閉塞が図1の伝熱体2に比べてより生じにくい。
中空領域17が存在すると、その分、伝熱板3の面積が減少して伝熱効率を低下させるので、中空領域17は、必要最小限の大きさとすることが好ましい。また、中空領域17の大きさが過小な場合、複数の伝熱板3の中央軸5側の端面間でコークが架橋を生じ、中空領域17を閉塞させうる問題を生じる。これらの点を考慮して、中空領域17の直径は、加熱管本体1の内径の5%以上、かつ、30%以下とすることが好ましい。
(3.3.連結板)
連結板16は、中空領域17の近傍において各伝熱板3を効率的に結合する形状が好ましい。例えば、円盤形状やリング形状の連結板16を用いることができる。また、軸垂直断面が多角形の形状を用いることもできる。連結板16の中心部に孔を有する形状、例えば、リング形状の連結板16を用いた場合、加熱管本体1内を通気するガスの通気抵抗を、円盤形状を用いる場合よりも低下させることができる。一方、円盤形状の連結板16を用いた場合には、連結板16の後流は、必ず伝熱板3上を流れるので、伝熱効率がリング形状を用いる場合よりも向上する。連結板16は、伝熱体14、15の軸方向端部に配置されるが、伝熱体14、15の上流側、または、下流側に単独で配置することができる。また、上流側および下流側の双方に連結板16を設けることもできる。連結板16の材質としては、伝熱板3と結合することができ、高温下で自重や流体力に耐えうるものであれば、どのような材質でも適用することができる。例えば、上記の伝熱板3の材料として列記した伝熱体14、15を用いることができる。連結板16と伝熱板3の結合方法は、例えば、溶接を用いることができる。あるいは、伝熱板3と連結板16を組み合わせた構造体を、鋳造等によって一体成型してもよい。連結板16は加熱管本体1内のガス流れを阻害する要素なので、中央軸5に対して垂直方向の連結板16の断面積が小さいことが好ましい。また、連結板16の外径が過小な場合、伝熱板3との接合部面積を十分に確保できず強度上の問題を生じる。これらの観点から、連結板16の外径は、中空領域17の外径の105%以上、かつ、150%以下であることが好ましい。伝熱板3の厚みは、伝熱効率の低下の抑制や、質量低減の観点から、伝熱体としての強度を保持しうる最小の値とすることが好ましい。例えば、0.3mm以上、かつ、50mm以下とすることができる。
(3.4.加熱管内での粒子の流れ)
2種類の伝熱体14(伝熱体E)、伝熱体15(伝熱体F)が管軸方向に交互に配置される加熱管において、加熱管本体1内で発生したコーク粒子の落下経路の一例を、図9を用いて説明する。図9(b)に示すように、伝熱体14の点a’でコーク粒子が発生する。点a’は、図9(a)において、伝熱体14の伝熱板3−27と伝熱板3−31の間の分割的流路10内に位置する。点a’で発生したコーク粒子は、重力によってこの分割的流路10内を落下して、点b’にて伝熱板3−31に接触し、伝熱板3−31に沿って移動を続けた後、伝熱板3−31から離脱して、中空領域17に進入する。その後、コーク粒子は、中空領域17内の点c’にて伝熱体14の連結板16に衝突して、連結板16の表面に沿って点d’まで移動した後、連結板16の表面から離脱する。その後、コーク粒子は、後続の伝熱体15の伝熱板3−34と伝熱板3−35の間の分割的流路10に流入して点e’を経由した後、後続の伝熱体14の伝熱板3−29と伝熱板3−30間の分割的流路10に流入して点f’を経由する。さらに、コーク粒子は、後続の伝熱体15の伝熱板3−34と伝熱板3−35間の分割的流路10内に存在する堆積コーク11内の点g’に沈着する。ここで、1番目の伝熱体14と3番目の伝熱体14の間で5枚の伝熱板3の周方向配置は略一致するので、それぞれの伝熱体14、14間で互いに対応する伝熱板3を同一の符号を用いた。2番目の伝熱体15と4番目の伝熱体15の間の伝熱板3の対応関係も同様である。ここで、もし、1番目の伝熱体14に中空領域17が存在せず、伝熱体14の伝熱板3−27と伝熱板3−31が中央軸5上で接合して隙間が存在しなければ、点b’から落下したコーク粒子は、伝熱体14の中央軸5の近傍に堆積する可能性がある。本実施形態では、中空領域17を設けることによって、点b’から点c’へとコーク粒子が移動でき、最終的に伝熱体14、15の下部までコークが到達できる。
尚、本発明は、以上にあげた実施形態に限られるものではない。第1の種類の伝熱体と第2の種類の伝熱体の安定状態において、これらの伝熱体間で分割的流路10が重ならないことが本発明の本質である。従って、設計上の便宜等の理由によって、第1の種類の伝熱体において、周方向に隣り合う伝熱板3を積載伝熱板とせずに、周方向の間に偶数枚数の非積載伝熱板(非接触伝熱板)をはさんだ2枚の接触伝熱板3を積載伝熱板としてもよい。同様に、第2の種類の伝熱体において、周方向の間に1枚の非積載伝熱板(非接触伝熱板)をはさんだ2枚の伝熱板3を積載伝熱板とせずに、3枚以上の奇数枚数の非積載伝熱板(非接触伝熱板)をはさんだ2枚の伝熱板3を積載伝熱板とすることも可能である。その他、第2の種類の伝熱体において、積載伝熱板に挟まれる非積載伝熱板を省略するなどして、伝熱板3の周方向間隔を不等間隔にしてもよい。あるいは、設計上の便宜等のために、管軸方向に並設される複数の伝熱体群の一部に、第1又は第2の種類の伝熱体のうち、同一の種類の伝熱体が管軸方向に連続する部分を含んでもよい。
精製コークス炉ガスを790℃に昇温する昇温装置から、当該昇温された精製コークス炉ガスを50Nm/hの流量で抽気して、内径150mm、長さ2mの加熱管本体1に導入した。精製コークス炉ガスの成分は、概数値で、水素60体積%、メタン等の炭化水素ガス30体積%、その他のガス10体積%であった。加熱管本体1の外周面に電気ヒーターを設け、加熱管本体1の外周面の温度が830℃となるように温度制御した。加熱管本体1の内周面1aと外周面の間の温度差は、伝熱計算の結果、3℃以内であると見積もられた。加熱管本体1の材質には、耐熱鋳鋼(線膨張係数1.5×10−5 1/K)を用いた。この加熱管本体1の内部に以下の実施例1、実施例2の条件で、伝熱体を挿入した(条件ごとに、加熱管本体1の内部の伝熱体を入れ替えた。)。
(実施例1)
実施例1では、図1、図2に示す第1の実施形態に係る2種類の伝熱体2(伝熱体A)と伝熱体9(伝熱体B)を、加熱管本体1の内部に挿入して、内周面1a上に載置した。このとき、図3と同様に上流側から伝熱体2、伝熱体9、伝熱体2の順に、管軸方向に隣接する伝熱体2、9間に隙間を設けることなく、配置して、複数の伝熱体2、9、2の列、即ち、伝熱体群を構成した。各伝熱体の軸方向長さを500mmとし、伝熱板3の外端と加熱管本体1の内周面1aとの間の隙間は、最大10mmとした。伝熱体の材質には耐熱ステンレス鋼(線膨張係数2.0×10−5 1/K)を用いた。各伝熱板3は、全て同じ形状とした。但し、伝熱板3の板厚に関しては、積載伝熱板では2mm、これ以外の伝熱板では0.3mmとした。積載伝熱板の外端面に、ニッケルとMoSの微粒子を主性分とする焼き付き防止剤を塗布した上で、加熱管本体1の内周面1a上に伝熱体を載置した。
(実施例2)
実施例2では、図5、図6に示す第2の実施形態に係る2種類の伝熱体12(伝熱体C)と伝熱体13(伝熱体D)を、加熱管本体1の内部に挿入して、内周面1a上に載置した。このとき、上流側から伝熱体12、伝熱体13、伝熱体12の順に、管軸方向に隣接する伝熱体12、13間に隙間を設けることなく、配置して、伝熱体群を構成した。これ以外の条件は、上記実施例1と同様にした。
(比較例1)
本実施例の比較例1として、加熱管本体1内において上記実施例1、2で伝熱体を配置した部分に何も配置せず、単なる円管の加熱管本体1内にガスを通気する条件でも試験を行った。
上記実施例1、2の伝熱体群の上流側と下流側の加熱管本体1内の空間に熱電対を設け、当該熱電対を用いてガス温度分布を測定し、各断面での平均ガス温度を算出した。また、各伝熱体の代表的な伝熱板3の平面中央部に熱電対を取り付け、伝熱板3の表面温度も測定した。
これら各条件での試験結果における伝熱体の上流温度と下流温度との温度差と、伝熱体群の軸方向長さから算出した温度上昇係数αを表1に示す。伝熱体を用いることによって、温度上昇係数αは、比較例1の約2.5倍(実施例1)から約4倍(実施例2)に向上する伝熱促進効果が得られた。また、実施例1、2とも、伝熱体の下流では800℃以上のガス温度が得られた。
Figure 0006797737
また、伝熱板3上の代表点での温度測定値は、実施例1、2とも826℃であり、流入ガス温度との差に比べて加熱管本体1の温度との差が著しく小さく、伝熱に関して伝熱板3が実質的に加熱管本体1の内周面1aの面積を増大する効果を示すことが分かった。
各条件での試験後に加熱管本体1の内部を観察した結果、試験中に生成されたコークが伝熱体の底部のみに堆積していた。この結果から、本発明での伝熱体を用いた場合には、伝熱体がコーク粒子の落下の大きな妨げにはならないことがわかった。また、試験後に取り出した伝熱体の寸法測定を行ったが、伝熱体の顕著な変形は、認められなかった。
(実施例3)
実施例3では、加熱管本体1内に図1に示す伝熱体2(伝熱体A)のみ管軸方向に3個直列に並設する以外は、上記の実施例1と同一の条件で試験を行った。その結果、得られた実施例3の温度上昇係数αは、0.28であり、実施例1のα=0.31に比べて、約10%低下した。また、試験後の加熱管本体1内の観察結果では、伝熱体2の上部側の伝熱板3上にコークの堆積が認められた。従って、実施例3のように同種の伝熱体2を管軸方向に複数並設する場合よりも、実施例1のように異種の伝熱体2、9を管軸方向に複数並設する場合の方が、伝熱促進効果と、コークに対する耐閉塞性の効果に優れることが分かった。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 加熱管
2 伝熱体(第1の種類の伝熱体A)
3 伝熱板
4 中心軸
5 中央軸
6 外周面
8 最小包絡円
9 伝熱体(第2の種類の伝熱体B)
10 分割的流路
11 堆積コーク
12 伝熱体(第1の種類の伝熱体C)
13 伝熱体(第2の種類の伝熱体D)
14 伝熱体(第1の種類の伝熱体E)
15 伝熱体(第2の種類の伝熱体F)
16 連結板
17 中空領域
a〜e 微粒子の伝熱体内での落下経路の一例
a’〜g’ 微粒子の伝熱体内での落下経路の一例

Claims (13)

  1. 内部を通過するガスを800℃以上に加熱するための加熱管であって、
    円形断面を有する加熱管本体と、
    前記加熱管本体の内周面上に載置される少なくとも1つの可動式の伝熱体と、
    を備え、
    前記伝熱体は、
    前記加熱管本体の中心軸に対して平行な前記伝熱体の中央軸の周りに、放射状に3枚以上配置される、略矩形の平板状の伝熱板を有し、
    前記3枚以上の伝熱板のうち、少なくとも2枚の伝熱板は、前記加熱管本体の内周面に接触する接触伝熱板であり、少なくとも1枚の伝熱板は、前記加熱管本体の内周面に接触しない非接触伝熱板であることを特徴とする、加熱管。
  2. 前記中央軸に対する垂直断面において前記伝熱体を内側に包絡する最小の円を、最小包絡円と定義したときに、前記最小包絡円の直径は前記加熱管本体の内径よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の加熱管。
  3. 前記伝熱体は、前記伝熱板を5枚以上有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の加熱管。
  4. 前記加熱管本体の内周面側の前記伝熱板の端部から前記中央軸までの長さを、伝熱板幅と定義したときに、全ての前記接触伝熱板の伝熱板幅は、前記非接触伝熱板の伝熱板幅のうちの最大の板幅以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱管。
  5. 前記伝熱体は、前記加熱管本体の前記中心軸方向に2つ以上並設され、
    前記2つ以上の伝熱体のそれぞれは、5枚以上の前記伝熱板を有し、
    前記5枚以上の伝熱板は、前記中央軸の周りに略等しい角度で放射状に配置され、
    前記5枚以上の伝熱板のうち、2枚の伝熱板のみが前記接触伝熱板であり、残りの3枚以上の伝熱板は前記非接触伝熱板であり、
    前記2つ以上の伝熱体のうち、相隣接する2つの伝熱体の一方は、2枚の前記接触伝熱板が前記加熱管本体の周方向に相隣接する構造を有する第1の種類の伝熱体であり、他方は、2枚の前記接触伝熱板の周方向の間に1枚の前記非接触伝熱板が配置される構造を有する第2の種類の伝熱体であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱管。
  6. 前記伝熱体は、前記伝熱体の前記中央軸の位置に配置される棒状部材をさらに有し、
    前記棒状部材に前記伝熱板が接続されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の加熱管。
  7. 前記伝熱体は、前記伝熱体の前記中央軸の一端側に配置される連結板をさらに有し、
    前記連結板に前記伝熱板が接続されており、
    前記伝熱体の前記中央軸およびその周辺には、前記伝熱板が存在しない空間が形成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の加熱管。
  8. 前記接触伝熱板のうち前記中央軸より下方に配置される少なくとも2枚の接触伝熱板は、前記加熱管本体内に載置された前記伝熱体を支持する積載伝熱板であり、
    前記積載伝熱板の板厚hが次の式を満たすこと特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の加熱管。

    ≧{n・sin[θ]/2}1/2・h

    :前記積載伝熱板以外の前記伝熱板の平均板厚
    n:1つの前記伝熱体が有する前記伝熱板の枚数
    θ:2枚の前記積載伝熱板が互いになす周方向の角度
  9. 前記加熱管本体の内部を通過する前記ガスの流れが、前記伝熱板上で遷移流または乱流となるように、前記伝熱体の前記中央軸方向の長さが設定されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の加熱管。
  10. 前記ガスは、煤塵または液滴を含有するガスであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の加熱管。
  11. 前記ガスは、炭化水素を含有するガスであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の加熱管。
  12. 前記炭化水素を含有するガスは、石炭の乾留ガスであることを特徴とする、請求項11に記載の加熱管。
  13. 前記加熱管本体の内周面と前記接触伝熱板との接触箇所に、焼き付き防止剤が配置されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の加熱管。

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