JP5134393B2 - 舶用ボイラ - Google Patents

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本発明は、舶用ボイラ過熱器管の保護部材に関し、特に、重油炊きボイラにおける燃料粗悪化に伴う加速高温酸化(バナジウムアタック)による減肉に耐えうるようにした舶用ボイラ過熱器管の保護部材に関するものである。
船舶用主ボイラには,通称スーパーヒータと呼ばれる過熱器管群があり、燃料として一般的に液化天然ガス(LNG:Liquefied Natural Gas)ならびに重油燃料が使用されてきたが、近年、重油の使用量が増加している。しかしながら、重油燃料は粗悪化する傾向があり、その影響でボイラ過熱器管の高温腐食による減肉が問題となっている。
すなわち粗悪重油には、バナジウム、硫黄、ナトリウム等が含まれているが、これらのバナジウム化合物の灰には融点が535℃の5NaO・V、5NaO・V11V、565℃の2NaO・3V、等、融点が600℃以下の低融点の灰が含まれ、これら低融点のバナジウム化合物の灰がエンジンやバーナーの熱により融解して溶けた飴のような状態で過熱器管の外面に付着し、金属面の酸化皮膜を破壊して加速高温酸化(バナジウムアタック)により金属を腐食させる。また、蒸気の漏洩による水分によって過熱器管外面が酸化腐蝕されたり、粗悪重油に含まれる炭素が過熱器管を摺擦し、摩耗を進展させる大きな要因となる。
こういった問題に対しては、一般的にはボイラ過熱器管の材質変更が好ましく、例えば、高温部位には2.25Cr材を適用したり、500℃以下の部位には1Cr鋼を使用したりすることが行われている。また、最高温部位の腐食による減肉が大きい部位には、SUS347ならびにSUS310などを採用したボイラも増えてきている。また、耐蝕性を向上させるためにはニッケル基耐蝕合金を使うことが好ましいが、過熱器管全てをこういった耐蝕合金とすることはコスト的に問題がある。また、工事期間の関係などで応急対策実施による短期間延命措置も必要とされている。
こういった燃焼灰の付着による腐食を防止する技術としては、例えば特許文献1に、火力発電設備などに適用される石炭焚きボイラの燃焼排ガス流路内に配されたストレートフィン付伝熱管の耐久性を向上させるため、ストレートフィンとの取合部を断続溶接としていたものをプロテクタの全長にわたり連続溶接とし、ストレートフィン付根部の伝熱管を完全に覆うと共に、プロテクタの取付範囲を管外ガス流の上流側のみに限定し、伝熱管間ガス流速を低減して伝熱管の耐摩耗性を向上させた伝熱管プロテクタが開示されている。
また特許文献2には、水蒸気を噴出してスート(すす)を除去するスートブロアからボイラチューブを保護するボイラチューブプロテクタを、円筒を分割した形状の複数のセラミックス体の組み合わせで形成し、各セラミックス体の両側の分割面に、その分割面に沿ったずれを抑制する、分割面に対して直角方向への動きをも抑制する形状、もしくは、上下方向に延びるボイラチューブに多段に取付ける場合は、最下段に設けたストッパにより仮止めし、ボイラ運転時の発生熱によりモルタルを硬化させるような段部を形成した、ボイラチューブプロテクタおよびその取付方法が開示されている。
特開平5−215302号公報 特開平10−227403号公報
しかしながらこの特許文献1に示された保護部材は、従来の保護部材が断続溶接であったために選択的な摩耗が生じたり、保護部材によって過熱器管の隙間が一定でなくなって摩耗が進むのを防止するための技術であり、また特許文献2に示された過熱器管の保護部材は、水蒸気を噴出してスート(すす)を除去するスートブロアに関するもので、加速高温酸化(バナジウムアタック)による金属腐食に対応できるものではない。
そのため本発明においては、簡単な構成で加速高温酸化(バナジウムアタック)による金属腐食を防止できるような舶用ボイラ過熱器管の保護部材を提供することが課題である。
上記課題を解決するため本発明になる舶用ボイラは、
重油を主燃料とした舶用ボイラであって、
舶用ボイラ過熱器管と、
前記舶用ボイラ過熱器管の一部に設けられ、バナジウム含有燃焼灰付着による腐蝕を防止する舶用ボイラ過熱器管の保護部材と、
を備え、
前記保護部材は、モリブデン(Mo)を添加したニッケル(Ni)−クロム(Cr)合金を用い、前記舶用ボイラ過熱器管に面接触する曲率を有して前記舶用ボイラ過熱器管周囲を複数で覆う板状部材として形成され、
前記複数の板状部材からなる保護部材はそれぞれ断面が半円状に形成されて前記舶用ボイラ過熱器管を面接触して覆い、一の保護部材における周方向縁部が他の保護部材における周方向縁部に接する位置の前記一の保護部材側に係合フックが、他の保護部材側に係合突起がそれぞれ設けられ、前記係合突起に係合フックを係合させて前記舶用ボイラ過熱器管に取り付けるようにし、
隣り合う前記舶用ボイラ過熱器管に取り付けられる前記保護部材間において、取り付け角度を逆方向に異ならせる
ことを特徴とする。
このように舶用ボイラ過熱器管の保護部材を、モリブデン(Mo)を添加したニッケル(Ni)−クロム(Cr)合金を用いて舶用ボイラ過熱器管に面接触して覆うように形成することで、過熱器管に対し前記したバナジウム化合物の灰が付着するのを防止でき,かつニッケル(Ni),クロム(Cr)ならびにモリブデン(Mo)の存在で高耐蝕性を有し、加速高温酸化(バナジウムアタック)による金属腐食、減肉速度を効果的に低減することができる保護部材とすることができる。
また、燃焼ガスが通過しやすい部位の保護部材は高温になり、逆側は相対的に前記部位より温度が低くなることで膨張率に差が生じ、場合によっては係合が外れて保護部材が脱落してしまう可能性がある。そのため、前記保護部材を形成する板状部材における一の板状部材は軸方向長さが他の板状部材より短く形成され、前記一の板状部材の無い領域を、該領域に周方向端部が存在する他の板状部材のそれぞれに別個に溶接されて相対する部位に隙間を形成した副板状部材で覆ったことで、相対する部位の隙間の存在で両者の膨張率の違いが補償され、また、副板状部材と位置の板状部材が過熱器官全週を覆うことになるから、例え係合が外れても保護部材が過熱器管からはずれることがなくなる。
以上記載のごとく本発明の舶用ボイラにおける舶用ボイラ過熱器管の保護部材は、前記したバナジウム化合物の灰が付着するのを防止でき、ニッケル(Ni)クロム(Cr)ならびにモリブデン(Mo)の存在で高耐蝕性を有するから、加速高温酸化(バナジウムアタック)による金属腐食、減肉速度を効果的に低減することができ、また、係合部材によって簡単に取り付けられると共に副板状部材の存在で、膨張率の違いによる脱落をも防止することができる舶用ボイラ過熱器管の保護部材とすることができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
最初に図4、図3を用い、本発明になる舶用ボイラ過熱器管の保護部材を組み込む舶用ボイラの構造について説明する。図4は本発明になる舶用ボイラ過熱器管の保護部材を組み込む舶用ボイラの構造の一例を示す図である。
図示した舶用ボイラは、重油を燃焼させる燃焼装置1と燃焼室2とを有する炉と、水ドラム3とこの水ドラム3の上方に配置されて蒸気を収容する蒸気ドラム4とからなる密閉容器であるボイラ本体とからなっている。燃焼装置は燃料の種類によって異なる装置が使用されるが、図示したボイラでは燃焼装置1は重油や気体燃料を燃料とするバーナからなる。
バーナ1は火炎を発生して燃焼ガスを生成し、燃焼室2ではバーナでほぼ燃焼されたガスを高温の下空気と接触させ、よく燃焼させる。ボイラ本体は、前記した水ドラム3と蒸気ドラム4間に延びるフロントバンクチューブ、又は前部蒸気管5及びリヤバンクチューブ又は後部蒸気管6〜10とを有し、ドラム3、4、前部蒸気管5及び後部蒸気管6〜10には水が充填され、水面は蒸気ドラム4の所定高さに設定されている。
炉で発生した燃焼ガスはボイラ本体に向かって流れ、ボイラ本体に輻射や接触によって熱を伝えた後、ボイラ本体出口11から排出される。燃焼ガスによって生成されたドラム3、前部蒸気管5及び後部蒸気管6〜10の蒸気は蒸気ドラム4に送られる。
ボイラ本体は、燃焼室2の外部においてドラム3、4間に延びる降水管12、13、14を有し、これらの降水管12、13、14は、蒸気ドラム4に収集された蒸気が、ここに留まることにより凝縮した水滴を水ドラム3に戻すための非加熱降水管である。
図示したボイラは蒸気ドラム4からの蒸気を過熱蒸気にするため、過熱器管16を更に有し、この過熱器管16は、第1過熱器管マニホールド17、過熱器管出入口ヘッダ17と平行に延びる過熱器管中間ヘッダ18、過熱器管ヘッダ17、18間を図4で見たときに逆U字形に延びる過熱器管19とを有している。
図3は、図4における舶用ボイラ過熱器管の保護部材を組み込む過熱器管19の部分にA−A’として示した位置の断面図(A)と、その一部の拡大図(B)である。過熱器管出入口ヘッダ17には飽和水蒸気管15(図4参照)を介して蒸気ドラム4に連結された入口20が形成され、また蒸気タービン等(図示せず)に連結される出口21が形成されている。なお、図3(B)については後記する。
また過熱器管中間ヘッダ18と過熱器管出入口ヘッダ17との間には、過熱器管19が延びている。そのため、蒸気ドラム4からの蒸気は飽和蒸気管15を介して過熱器管出入口ヘッダ17の入口20から入り、過熱器管出入口ヘッダ17と過熱器管中間ヘッダ18との間を過熱器管19を介して次々に流れることによって過熱され、過熱器管出入口ヘッダ17の出口21から蒸気タービン等(図示せず)に供給される。
このように構成された舶用ボイラは、過熱器管19が一般的に1Cr鋼ならびに2.25Cr鋼などの耐熱、耐蝕合金で形成されていて、前記したようにSUS347、SUS310、SUS304、SUS316などに代表されるステンレス鋼およびニッキル基合金などのニッケル、クロムを含む耐熱、耐蝕合金で構成することが好ましいが、過熱器管19全てをニッケル、クロムを含む耐熱、耐蝕合金で製作することはコスト的に問題となる。そのため、前記したように重油の燃焼灰が付着し、加速高温酸化(バナジウムアタック)により金属が腐食するため、本発明においてはこの過熱器管19を保護部材で覆い、過熱器管19に燃焼灰が付着しないようにして、バナジウムアタックを防止するようにした。
図1は本発明に係る舶用ボイラ過熱器管の保護部材を、異なった角度で取り付けた状態を示した図であり、図2は舶用ボイラ過熱器管の保護部材30の構成を説明するための分解図(A)と、(B)と(C)は第1、第2の保護部材31、32とを係合する係合突起(B)と係合フック(C)の正面図と側面図、及び(D)はこれらの部材を組み立てた状態を示した斜視図である。
本発明に係る舶用ボイラ過熱器管19の保護部材は、組成がNi−45Cr−1Mo(mass%)のモリブデン(Mo)を添加したニッケル(Ni)−クロム(Cr)の3〜5mmの厚さの合金(三菱マテリアル株式会社製の商品名MCアロイ(Alloy)が相当する)を用い、舶用ボイラ過熱器管19に面接触する曲率を設けて半円形断面形状に形成し、舶用ボイラ過熱器管19の周囲を複数で覆う板状部材31、32、41、42からなっている。
前記したように粗悪重油には、バナジウム、硫黄、ナトリウム等が含まれ、これらのバナジウム化合物の灰は融点が600℃以下の低融点の灰が含まれ、エンジンやバーナーの熱により融解して溶けた飴のような状態で過熱器管の外面に付着し、金属面の酸化皮膜を破壊して加速高温酸化(バナジウムアタック)により金属を腐食させる。
しかしながら前記したMCアロイは、例えば図6に3%HF+17%HNO溶液中の温度変化に伴う腐蝕速度の変化を示したグラフからわかるように、一般的なステンレスSUS304、広範囲な腐蝕環境に対して優れているニッケル基耐蝕合金MA276(三菱マテリアル株式会社製の商品名)、耐硫酸鋳造合金を改良した展伸用合金MA20Nbなどに比較し、優れた耐蝕性を有している。この図6において横軸は液の温度(単位:℃)、縦軸は腐蝕速度(単位mm/年)であり、MA20Nbは5mm/年、MA276が6.5mm/年、SUS304が40mm/年であるのに対し、MCアロイが100℃を超えても1.5mm/年程度と優れた耐蝕性を示している。
また、3〜5mmの厚さのMCアロイ、高温酸化雰囲気に耐え、耐浸炭性にも優れたMA601、耐酸、耐熱に優れたSUS310、を1150℃大気中で24時間加熱し、室温まで冷却するという処理を繰り返した場合の重量減少を示したグラフ図7に示したように、30回の試験でMA601が−90mg/cm、SUS310が360mg/cmであるのに対し、MCアロイが−50mg/cm程度と優れた減量特性を示している。なお、この図7のグラフにおいて、横軸は回数、縦軸は減少重量変化量(単位:mg/cm)である。
図2(A)において本発明に係る過熱器管19の保護部材30は、一例として半円形断面形状を有する第1の保護部材31と、同じく半円形断面形状を有して第1の保護部材31よりは図上、高さが低い第2の保護部材部材32、第2の保護部材32の高さが第1の保護部材31より低いために過熱器管19を覆うことができない領域を覆うため、1/4円形断面形状を有した副板状部材たる第3の保護部材41、第4の保護部材42で構成される副保護部材40、そして第1の保護部材31と第2の保護部材32とを係合する係合突起33(B)、係合フック34(C)からなっている。
このうち副板状部材たる第3の保護部材41、第4の保護部材42は、第2の保護部材32の高さが第1の保護部材31より低いために過熱器管19を覆うことができない領域を覆うため、図2(D)に示したように第1の保護部材31におけるこの領域に面する周方向端部のそれぞれに別個に溶接される。そしてこの溶接に際し、第1の保護部材31と第2の保護部材32とが係合したとき、第3の保護部材41と第4の保護部材42とが相対する部分に隙間ができるような位置関係で溶接される。
これは、バーナー1からの燃焼ガスの当たり具合で保護部材の膨張率が異なり、保護部材30が過熱器管19から外れてしまうのをふせぐためである。すなわち、バーナー1の火炎は燃焼室2からボイラ本体に向かって流れてボイラ本体に輻射や,その燃焼ガスとの接触によって熱を伝えた後、ボイラ本体出口11から排出されるわけであるが、バーナー1の火炎が直接当たる部位の保護部材(図2では第1の保護部材31)は高温になり、逆側(第2の保護部材32)は相対的に直接燃焼ガスが当たる部位より温度が低くなるから、膨張率の差によって第1の保護部材31と第2の保護部材の係合が外れ、保護部材が脱落してしまう可能性があるからである。
そのため、副板状部材たる第3の保護部材41、第4の保護部材42を第1の保護部材31に溶接し、かつ、第1の保護部材31と第2の保護部材32とが係合したとき、第3の保護部材41と第4の保護部材42とが相対する部分に隙間を設けることで、両者の膨張率の違いを隙間で補償すると共に、例え第1の保護部材31と第2の保護部材32との係合が外れても、この第3の保護部材41、第4の保護部材42が過熱器管19を囲っているからはずれることが防止できるわけである。
また図2(B)に示した係合突起33は、(C)に示した係合フック34の中央に設けたフック穴35に係合するよう斜面部が設けられ、一方(C)に示した係合フック34は、その斜面部に係合フック34の中央に設けたフック穴35を係合させて押し込んで両者を係合させる。そのため係合フック34は、図2(D)に示したように第1の保護部材31の第2の保護部材32と端部が相対する部分に溶接され、係合突起33は第2の保護部材32の第1の保護部材31と端部が相対する部分に溶接される。なお、この位置関係は逆であっても構わない。
そして第1の保護部材31と第2の保護部材32とで過熱器管19を囲むように配置し、係合突起33と係合フック34とを係合させて第1の保護部材31と第2の保護部材32とを過熱器管19の周囲に取り付ける。その後第3の保護部材41、第4の保護部材42とを第1の保護部材31に、図2(D)に示したように溶接するわけである。
再度図1に戻って、このようにして過熱器管19に第1〜第4の保護部材を取り付けた状態を一部破断した図として示したのが図1で、図中30は以上説明してきた保護部材、31は第1の保護部材、32は第2の保護部材、33は係合突起、34は係合フック、41は第3の保護部材、42は第4の保護部材である。この図1における(A)と(B)は、過熱器管19に取り付けた保護部材30を、図の上部に示した正面図に示したように、角度を異ならせて取り付けた状態の一部分を示しており、(A)は第1の保護部材31を反時計方向に30度回転させた状態で、(B)は逆に時計方向に30度回転させた状態で取り付けたことを示している。
そしてこれらの第1の保護部材31、第2の保護部材32は、前記したように舶用ボイラ過熱器管19に面接触する曲率を有して舶用ボイラ過熱器管19の周囲を複数(この場合は2)で覆うよう形成され、第1の保護部材31における周方向縁部が、第2の保護部材32における周方向縁部に接する位置の第1の保護部材31側に係合フック34を、第2の保護部材32側に係合突起33をそれぞれ設け、係合突起33に係合フック34を係合させて舶用ボイラ過熱器管19に取り付けるから、非常に簡単に取り付け、取り外しを行うことができる。
また、第2の保護部材32は軸方向長さが第1の保護部材31より短く形成されていて、第2の保護部材32の無い領域を、この領域に周方向端部が存在する第1の保護部材31のそれぞれに別個に溶接して相対する部位に隙間を形成した副板状部材たる、第3の保護部材41、第4の保護部材42で覆ったことで、燃焼ガスが直接当たる部位と逆側に温度差が生じ、係合が外れるようなことになっても保護部材30が脱落することを防ぐことができるわけである。
このように3〜5mmの厚さの板状のMCアロイを用い、舶用ボイラ過熱器管19に面接触する曲率を有して半円形、または1/4円形断面形状に形成し、第1〜第4の保護部材で構成される保護部材30で過熱器管19の周囲を覆うことで、過熱器管19に燃焼灰が付着しないようにしてバナジウムアタックを防止するわけである。
再度図3に戻って、このようにして過熱器管19に保護部材30を取り付けた状態を上から見た拡大図が図3(B)である。この図3(B)は図3(A)における25で示した部分の過熱器管19における1列を拡大したものであり、過熱器管19に保護部材30が図1(A)、(B)の上部に示したような角度を持って取り付けられていることを示している。この取り付け角度は、保護部材上部に存在するバナジウム系の燃焼灰が溶融し、落下することによる過熱器管と保護部材との隙間に入りにくいような角度、例えば図の例では30°とする。
以上が本発明に係る舶用ボイラ過熱器管の保護部材であるが、このMCアロイで作成した保護部材(プロテクタ)を実際の過熱器管に取り付け、時間経過による肉厚の変化を調べたグラフが図5である。この図5において(A)と(B)は別の過熱器管について調べた結果であり、それぞれのグラフにおいて横軸は年、縦軸は過熱器管の肉厚(単位:mm)を示していて、(A)のグラフでは1994年8月に就航した時点から7年ほど経過した2001年7月に、以上説明してきた保護部材を取り付け、(B)のグラフは、1994年8月に就航した時点から7年ほど経過した2001年10月に、以上説明してきた保護部材を取り付け、炉底からの高さ550、600、700、800の部位の肉厚を調べたものである。
このグラフから分かるとおり、保護部材(プロテクタ)を取り付ける以前は肉厚が時間に比例して減少しているのに対し、保護部材(プロテクタ)を取り付けた後は(A)のグラフでは明らかに肉厚減少速度が落ち、(B)のグラフではいずれの高さも初期は減少速度が多少増加しているが、550の高さのものはその後明らかに減少速度が落ちており、一定の効果があることがわかる。
以上種々述べてきたように本発明に係る舶用ボイラ過熱器管の保護部材は、バナジウム化合物の灰が付着するのを防止し,ニッケル(Ni)クロム(Cr)ならびにモリブデン(Mo)の存在で高耐蝕性を有するから、加速高温酸化(バナジウムアタック)による金属腐食、減肉速度を効果的に低減することができ、また、係合部材によって簡単に取り付けられると共に副板状部材の存在で、膨張率の違いによる脱落をも防止することができる舶用ボイラ過熱器管の保護部材とすることができる。
本発明によれば、舶用ボイラ過熱器管の肉厚減少を効果的に防ぐことができ、舶用ボイラ過熱器管に用いて大きな効果を得ることができる。
本発明に係る舶用ボイラ過熱器管の保護部材を、異なった角度で過熱器管に取り付けた状態を示した図である。 本発明に係る舶用ボイラ過熱器管の保護部材の構成を説明するための分解図(A)と、第1、第2の保護部材31、32とを係合する係合突起(B)、係合フック(C)、及びこれらの部材を組み立てた状態(D)を示した斜視図である。 本発明に係る舶用ボイラ過熱器管の保護部材を組み込む過熱器管の部位を示した図(A)とその一部拡大図(B)である。 本発明になる舶用ボイラ過熱器管の保護部材を組み込む舶用ボイラの構造を示す図である。 本発明になる舶用ボイラ過熱器管の保護部材を舶用ボイラに組み込み、減肉の状況を調べたグラフである。 3%HF+17%HNO3溶液中の温度変化に伴う腐蝕速度の変化のグラフである。 1150℃大気中の24時間毎の減量を調べたグラフである。
符号の説明
19 過熱器官
30 保護部材
31 第1の保護部材
32 第2の保護部材
33 係合突起
34 係合フック
35 フック穴
41 第3の保護部材
42 第4の保護部材

Claims (2)

  1. 重油を主燃料とした舶用ボイラであって、
    舶用ボイラ過熱器管と、
    前記舶用ボイラ過熱器管の一部に設けられ、バナジウム含有燃焼灰付着による腐蝕を防止する舶用ボイラ過熱器管の保護部材と、
    を備え、
    前記保護部材は、モリブデン(Mo)を添加したニッケル(Ni)−クロム(Cr)合金を用い、前記舶用ボイラ過熱器管に面接触する曲率を有して前記舶用ボイラ過熱器管周囲を複数で覆う板状部材として形成され、
    前記複数の板状部材からなる保護部材はそれぞれ断面が半円状に形成されて前記舶用ボイラ過熱器管を面接触して覆い、一の保護部材における周方向縁部が他の保護部材における周方向縁部に接する位置の前記一の保護部材側に係合フックが、他の保護部材側に係合突起がそれぞれ設けられ、前記係合突起に係合フックを係合させて前記舶用ボイラ過熱器管に取り付けるようにし、
    隣り合う前記舶用ボイラ過熱器管に取り付けられる前記保護部材間において、取り付け角度を逆方向に異ならせる
    ことを特徴とする舶用ボイラ。
  2. 前記保護部材を形成する板状部材における一の板状部材は軸方向長さが他の板状部材より短く形成され、前記一の板状部材の無い領域を、該領域に周方向端部が存在する他の板状部材のそれぞれに別個に溶接されて相対する部位に隙間を形成した副板状部材で覆ったことを特徴とする請求項1に記載した舶用ボイラ。
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