(実施形態1)
本実施形態の温度検出装置1の概要について図1を参照して説明する。
温度検出装置1は、複数(3つ)の感温部2を含む直列回路8と、複数(3つ)の電圧制限部3と、検出ユニット10と、を備える。検出ユニット10は、電圧計測部4と、判定部5と、を備える。検出ユニット10は、電流出力部11を更に備える。3つの感温部2はそれぞれ、温度に応じて電気抵抗が変化する温度検出素子6を有する。より詳細には、3つの感温部2の各々は、1つの温度検出素子6で構成されている。3つの感温部2の温度検出素子6は、電気的に直列に接続されている。直列回路8は、直列接続された3つの温度検出素子6を含んでいる。電圧計測部4と、電流出力部11と、判定部5とは、検出ユニット10を構成している。
直列回路8における両端のうち第1端81には、第1接続線91が電気的に接続されており、直列回路8における両端のうち第2端82には、第2接続線92が電気的に接続されている。第1接続線91及び第2接続線92は、例えば銅などの導電性を有する材料からなる。直列回路8は、第1接続線91及び第2接続線92を介して検出ユニット10の電圧計測部4と電気的に接続されている。検出ユニット10の電流出力部11は、電流の大きさが一定の所定電流I1を直列回路8に出力する。検出ユニット10の電圧計測部4は、直列回路8の両端間である第1端81と第2端82との間の電圧V1(以下、直列回路8の電圧V1、又は単に電圧V1とも呼ぶ。)を計測する。検出ユニット10の判定部5は、直列回路8の両端電圧の変化に基づいて3つの感温部2のうち少なくとも1つの感温部2の温度が所定温度T1(例えば60度)に達したか否かを判定する。
温度検出装置1は、例えば、被測定対象110において、温度を測定したい複数箇所(例えば、3箇所)の各々の温度を測定するために用いることができる。ここにおいて、「温度を測定」とは、例えば、温度が規定温度に達したか否かを検出できればよく、絶対温度を求めることを必須とはしない。また、「規定温度」とは、所定温度T1と略同じ温度である。したがって、温度検出装置1は、測定した温度が所定温度T1に達したと判定したときには、被測定対象110の温度が規定温度に達したとみなすことができる。
被測定対象110は、一例として、複数(3つ)の蓄電池100を含んでいる。蓄電池100は、例えば、鉛蓄電池からなる。被測定対象110では、複数の蓄電池100が直列接続されている。3つの蓄電池100の直列回路は、電線112,113を介して充放電部111に電気的に接続されている。充放電部111は、3つの蓄電池100に流れる電流を制御することにより3つの蓄電池100の充電及び放電を制御する。以下、3つの蓄電池100をそれぞれ区別する場合には、3つの蓄電池100をそれぞれ、第1蓄電池101、第2蓄電池102、第3蓄電池103と呼ぶ。3つの蓄電池100及び直列回路8は、例えば、電気的絶縁性を有する樹脂材料で形成された筐体に収納されている。筐体は、屋外に設置されている。
検出ユニット10及び充放電部111は、例えば、電気的絶縁性を有する樹脂材料で形成された別の筐体に収納されて、屋内に設置されている。なお、この筐体は、3つの蓄電池100及び直列回路8が収納される上述した筐体とは別の筐体である。
検出ユニット10は、充放電部111が3つの蓄電池100を充電又は放電している際に3つの感温部2のうち少なくとも1つの感温部2の温度が所定温度T1に達したと判定すると、充放電部111に、判定結果を通知する通知信号を出力する。所定温度T1とは、例えば、3つの蓄電池100の通常の使用状態における温度よりも高い温度であり、3つの蓄電池100のうち少なくとも1つが例えば異常状態とみなすことができる温度である。
充放電部111は、通知信号を受け取ると、3つの蓄電池100の充電又は放電を停止するか、又は3つの蓄電池100を流れる電流の大きさを小さくするように構成されている。これにより、充放電部111は、3つの蓄電池100のうち少なくとも1つの蓄電池100が発熱し続けることを抑制することができる。
次に、温度検出装置1の詳細な構成について図1及び図2を参照して説明する。
まず、温度検出装置1の直列回路8について説明する。直列回路8は、3つの感温部2を電気的に直列接続されることにより構成されている。3つの感温部2の各々が有する温度検出素子6は、例えばPTCサーミスタ(Positive Temperature Coefficient Thermistor)からなる。つまり温度検出素子6は、温度検出素子6の温度が上昇するにつれて電気抵抗が大きくなる素子である。したがって、3つの感温部2の各々に、所定電流I1が流れている場合、温度検出素子6の温度が上昇するにつれて、当該温度検出素子6を含む感温部2の両端電圧が大きくなる。
所定電流I1の大きさは、感温部2の温度が所定温度T1(60度)に達すると感温部2の両端電圧が(後述の)ダイオード7の順方向電圧(Vf)に達するような大きさに定められている。
以下、3つの感温部2の各々を区別して呼ぶ場合には、3つの感温部2のうち第1蓄電池101の温度を計測する感温部2のことを「第1感温部21」と呼ぶ。同様に、3つの感温部2のうち、第2蓄電池102の温度を計測する感温部2のことを「第2感温部22」と呼び、第3蓄電池103の温度を計測する感温部2のことを「第3感温部23」と呼ぶ。また、第1感温部21の両端電圧のことを両端電圧V21と呼ぶ。第2感温部22の両端電圧のことを両端電圧V22と呼ぶ。第3感温部23の両端電圧のことを両端電圧V23と呼ぶ。
3つの感温部2には、3つの電圧制限部3がそれぞれ電気的に並列接続されている。3つの電圧制限部3の各々は、定電圧素子としてダイオード7を有している。ダイオード7は、半導体(例えば、シリコン)のpn接合の整流性を利用した半導体ダイオードである。3つのダイオード7は、直列回路8の第1端81から第2端82に電流が流れる方向が順方向となるように、3つの感温部2にそれぞれ1つずつ並列接続されており、3つの感温部2に一対一に対応している。
ダイオード7は、ダイオード7の両端電圧が順方向電圧(例えば0.7V)に達するとオン状態となってダイオード7を流れる電流の大きさが増加し、所定電流I1のほとんどがダイオード7を流れる。そのため、例えば感温部2の温度が所定温度T1(60度)を超えて上昇した場合でも、3つの感温部2の両端電圧V21〜V23は、ダイオード7の順方向電圧に制限される。言い換えると、3つの電圧制限部3はそれぞれ、3つの感温部2の両端電圧V21〜V23をダイオード7の順方向電圧以下に制限する機能を有する。
以下、3つの電圧制限部3の各々を区別して呼ぶ場合には、3つの電圧制限部3のうち第1感温部21と並列接続された電圧制限部3のことを「第1電圧制限部31」と呼ぶ。同様に、3つの電圧制限部3のうち、第2感温部22と並列接続された電圧制限部3のことを「第2電圧制限部32」と呼び、第3感温部23と並列接続された電圧制限部3のことを「第3電圧制限部33」と呼ぶ。
次に、温度検出装置1の検出ユニット10の詳細な構成について説明する。検出ユニット10は、一例として、電圧計測部4と、電流出力部11と、判定部5と、を含んでいる。
電圧計測部4の第1端41及び第2端42にはそれぞれ、第1接続線91と第2接続線92とが電気的に接続されている。電圧計測部4は、第1接続線91と第2接続線92とを介して、直列回路8の両端電圧を計測するように構成されている。
電流出力部11は、第1接続線91と第2接続線92とに電気的に接続されている。電流出力部11は、例えば定電流回路などを有しており、第1接続線91と第2接続線92とを介して直列回路8に電流値が一定の所定電流I1を出力するように構成されている。
判定部5は、例えば、マイクロコンピュータが内蔵するメモリに保持されているプログラムなどをマイクロコンピュータが読み込んで実行することにより、実現される。判定部5は、電圧計測部4の計測結果を電圧計測部4から周期的(例えば1秒ごと)に取得する。言い換えると、判定部5は、直列回路8の両端電圧を周期的に取得する。判定部5は、直列回路8の両端電圧の変化に基づいて、3つの感温部2のうち少なくとも1つの感温部2の温度が所定温度T1に達したか否かを判定する。判定部5は、3つの感温部2のうち少なくとも1つの感温部2の温度が所定温度T1に達した場合に、充放電部111に通知信号を出力する。
次に、判定部5の動作について図1及び図2を参照して説明する。図2では、第1感温部21の温度が上昇した際の、直列回路8の合成抵抗の変化を実線G1,G2で示している。直列回路8の合成抵抗とは、3つの感温部2の温度検出素子6と、3つの電圧制限部3のダイオード7と、の合成抵抗である。実線G1は、第1感温部21の温度が所定温度T1未満の場合における直列回路8の合成抵抗の変化を示している。実線G2は、第1感温部21の温度が所定温度T1以上の場合における直列回路8の合成抵抗の変化を示している。また、図2では、仮に3つの電圧制限部3が直列回路8に設けられていない場合における、第1感温部21の温度と直列回路8の合成抵抗との関係を点線G3で示している。
第1感温部21の温度が所定温度T1未満の場合、第1感温部21の温度が上昇するにつれて第1感温部21の電気抵抗が大きくなる。第1感温部21の温度が所定温度T1未満の場合、第1感温部21の両端電圧V21は、ダイオード7の順方向電圧未満となっている。そのため、第1電圧制限部31のダイオード7に電流がほとんど流れず、ダイオード7は所謂「オフ状態」となっている。したがって、第1感温部21の温度が所定温度T1未満の場合、所定電流I1は第1感温部21を流れる。
第1感温部21の温度が所定温度T1未満の場合、第1感温部21の温度が上昇するにつれて、第1感温部21の両端電圧V21が大きくなる。第1感温部21の温度が所定温度T1に達すると、第1感温部21の両端電圧V21がダイオード7の順方向電圧に達し、第1電圧制限部31のダイオード7に所定電流I1のほとんどが流れ、ダイオード7は所謂「オン状態」となる。言い換えると、第1電圧制限部31のダイオード7の電気抵抗が、第1感温部21の電気抵抗よりも小さくなる。つまり、ダイオード7がオン状態になると、ダイオード7がオフ状態の場合と比べて、直列回路8の合成抵抗が急激に小さくなる。第1電圧制限部31のダイオード7がオン状態になると、第1感温部21の温度が上昇し続けても、所定電流I1のほとんどが第1電圧制限部31のダイオード7を流れるため、直列回路8の合成抵抗はほとんど変化せずに略一定となる。
上記の構成によれば、第1感温部21の温度が所定温度T1未満の場合、直列回路8の合成抵抗は第1感温部21の温度上昇に応じて大きくなる。しかしながら、第1感温部21の温度が所定温度T1に達すると、直列回路8の合成抵抗は、急激に小さくなって、略一定の大きさになる。言い換えると、直列回路8の合成抵抗は、第1感温部21の温度が所定温度T1未満の場合と所定温度T1以上の場合とで、非連続的に変化することになる。また、直列回路8の合成抵抗が非連続的に変化すると、直列回路8の電圧V1も非連続的に変化することになる。
判定部5は、直列回路8の電圧V1の計測値を電圧計測部4から周期的に取得する。判定部5は、過去に取得した直列回路8の電圧V1の値を数回分、マイクロコンピュータのメモリなどに保持させている。判定部5は、過去に取得した直列回路8の電圧V1の値と、最新の直列回路8の電圧V1の値とを比較する。最新の直列回路8の電圧V1の値とは、メモリに保持された最も新しい電圧V1の値である。過去に取得した直列回路8の電圧V1の値とは、判定部5が最新の直列回路8の電圧V1の値を取得する直前に取得した直列回路8の電圧V1の値である。判定部5は、直列回路8の電圧V1の変化量と、所定の閾値とを比較し、直列回路8の電圧V1の変化量が所定の閾値を超えた場合に、第1感温部21の温度が所定温度T1に達したと判定する。所定の閾値は、例えば、第1感温部21の温度が所定温度T1前後で非連続的に変化する場合における、直列回路8の電圧V1の変化幅よりも小さい値に設定されている。したがって、判定部5は、直列回路8の電圧V1の変化量が所定の閾値を超えた場合に、直列回路8の合成抵抗が非連続的に変化したと判定する。言い換えると、判定部5は、直列回路8の電圧V1の変化量が所定の閾値を超えた場合に、第1感温部21の温度が所定温度T1未満から所定温度T1に達したと判定する。判定部5は、直列回路8の電圧V1の変化幅が所定の閾値を超えた場合に、充放電部111に通知信号を出力する。
上記の説明では、第1感温部21の温度が上昇した際の、直列回路8の合成抵抗の変化について説明したが、第2感温部22及び第3感温部23の各々の温度が上昇した場合も同様である。その場合、「第1感温部21」を「第2感温部22」と読み替え、「第1電圧制限部31」を「第2電圧制限部32」と読み替えればよい。又は、「第1感温部21」を「第3感温部23」と読み替え、「第1電圧制限部31」を「第3電圧制限部33」と読み替えればよい。同様に、「両端電圧V21」を「両端電圧V22」(又は「両端電圧V23」)と読み替えればよい。
また、3つの感温部2のうち2つ又は3つの感温部2の温度がそれぞれ上昇した場合であっても、直列回路8の電圧V1は、所定温度T1前後で非連続的に変化する。そのため、判定部5は、3つの感温部2のうち少なくとも1つの感温部2の温度が所定温度T1に達したことを判定することができる。
以上説明したように、本実施形態の温度検出装置1は、直列回路8と、電圧計測部4と、判定部5と、複数(3つ)の電圧制限部3と、を備える。直列回路8は、温度に応じて電気抵抗が変化する複数(3つ)の感温部2を含み、複数(3つ)の感温部2が直列接続されている。電圧計測部4は、直列回路8の両端(例えば第1端81及び第2端82)間の電圧V1を計測する。判定部5は、電圧計測部4が計測した電圧計測部4により計測された電圧V1に基づいて複数(3つ)の感温部2のうち少なくとも1つの感温部2の温度が所定温度T1に達したか否かを判定する。複数(3つ)の電圧制限部3は、複数(3つ)の感温部2にそれぞれ並列接続され、対応する感温部2の両端電圧V21〜V23を所定電圧(例えばダイオード7の順方向電圧)以下に制限する。判定部5は、電圧V1が非連続的に変化した場合に、複数(3つ)の感温部2のうち少なくとも1つの感温部2の温度が所定温度T1に達したと判定する。
上記構成によれば、電圧計測部4は、2つの接続線(例えば第1接続線91及び第2接続線92)を介して、直列回路8の両端間の電圧V1を計測することができる。直列回路8では、複数(3つ)の感温部2のうち少なくとも1つの感温部2の温度が変化すると電気抵抗が変化するが、複数(3つ)の電圧制限部3が複数(3つ)の感温部2のそれぞれの両端電圧V21〜V23を所定電圧以下に制限する。そのため、複数(3つ)の感温部2のうち少なくとも1つの感温部2の温度が所定温度T1に達すると、所定温度T1に達した感温部2の両端電圧が所定電圧以下に制限されることになり、直列回路8の両端間の電圧V1が非連続的に変化する。判定部5は、直列回路8の両端間の電圧V1が連続的に変化している状態から非連続的に変化した場合に、複数(3つ)の感温部2のうち少なくとも1つの感温部2の温度が所定温度T1に達したと判定する。言い換えると、温度検出装置1は、複数(3つ)の感温部2のうち少なくとも1つの感温部2の温度が所定温度T1に達したことを検出可能で、かつ複数(3つ)の感温部2に接続される接続線の数をより少なくする(2本にする)ことができる。
ところで、上記の説明では、3つの蓄電池100のうち何れかの温度が所定温度T1に達したか否かを、3つの感温部2が検出する例を説明したが、感温部2の数は、3つに限定されず、例えば2つでもよいし4つ以上でもよい。その場合、直列回路8に含まれる感温部2及び電圧制限部3のそれぞれの数は、被測定対象110の複数の部位の数と同数以上であればよい。温度検出装置1は、被測定対象110の複数の部位の数が、例えば8つなどであっても、2本の接続線(第1接続線91及び第2接続線92)を介して8つの部位のうち少なくとも1つの部位の温度が所定温度T1に達したことを検出することができる。そのため、被測定対象110の複数の部位の数に応じた本数の接続線が必要な場合と比べて、接続線を設置する本数を増やさずに済むので、低コスト化を図ることが可能となる。
温度検出装置1において、直列回路8に所定電流I1を流す電流出力部11を更に備え、所定電流I1は定電流であることが好ましい。上記構成によれば、温度検出装置1では、直列回路8に定電流が流れることにより、直列回路8の合成抵抗の変化の度合いに応じて直列回路8の電圧V1が変化することになる。そのため、判定部5は、直列回路8の合成抵抗の変化を計測することなく電圧計測部4が計測した電圧V1の変化に基づいて、少なくとも1つの感温部2の温度が所定温度T1に達したことを検出することができる。
温度検出装置1において、複数(3つ)の感温部2の各々は、温度が上昇するにつれて電気抵抗が大きくなる少なくとも1つの温度検出素子6を有し、複数(3つ)の電圧制限部3の各々は、少なくとも1つのダイオード7を有することが好ましい。これにより、温度検出装置1は、複数の温度検出素子6と、複数のダイオード7とを用いて、少なくとも1つの感温部2の温度が所定温度T1を超えるまで上昇した際に、直列回路8の両端間の電圧V1を非連続的に変化させることができる。
温度検出装置1において、複数(3つ)の感温部2はそれぞれ、複数(3つ)の蓄電池100に一対一に対応し、対応する蓄電池100の温度に応じて電気抵抗が変化するように構成されたことが好ましい。これにより、温度検出装置1は、複数(3つ)の蓄電池100のうち少なくとも1つの蓄電池100の温度が所定温度T1に達したと判定することができる。
ところで、判定部5が直列回路8の合成抵抗の非連続的な変化を判定する動作において、直列回路8の電圧V1の値の変化量とは、最新の電圧V1の値と、判定部5が最新の電圧V1の値を取得する直前に取得した電圧V1の値との差であることに限定されない。直列回路8の電圧V1の値の変化量は、例えば、判定部5が過去に複数回取得した直列回路8の電圧V1の平均値と、最新の電圧V1の値との差でもよい。判定部5が最新の電圧V1の値を取得する前に取得した電圧V1の値とは、所定時間前(例えば5分よりも前)までに判定部5が複数回取得した過去の電圧V1の平均値と、所定時間以内(5分以内)に判定部5が複数回取得した電圧V1の平均値との差でもよい。
判定部5が直列回路8の合成抵抗の非連続的な変化を判定する動作は、直列回路8の電圧V1の値の変化量が所定の閾値を超えたか否かを判定する動作に限定されない。判定部5は、上記した電圧V1の変化量に代えて、最新の電圧V1の値と、判定部5が最新の電圧V1の値を取得する前に取得した電圧V1の値との比率を用いるように構成されてもよい。判定部5は、例えば、(最新の電圧V1の値)/(過去の電圧V1の値)で求まる比率が、第2の所定の閾値(例えば0.7)未満である場合に、判定部5は、直列回路8の合成抵抗が非連続的に変化したと判定してもよい。
温度検出装置1における電圧制限部3のダイオード7は、ツェナーダイオード又は発光ダイオードなどでもよい。また、本実施形態の温度検出装置1において、所定電流I1は定電流であるが、所定電流I1は定電流に限定されず、交流電流などでもよい。
温度検出素子6は、PTCサーミスタに限らず、例えばNTCサーミスタ(Negative Temperature Coefficient Thermistor)で構成されていてもよい。その場合、複数(3つ)の感温部2がそれぞれ所定温度T1未満では、複数(3つ)の電圧制限部3のダイオード7がオン状態となっていて、直列回路8の電圧V1は、3つのダイオード7の順方向電圧の合計値と略等しくなっている。複数(3つ)の感温部2のうち少なくとも1つの感温部2の温度が所定温度T1を超えると、所定温度T1を超えた感温部2に並列接続されている電圧制限部3のダイオード7がオン状態からオフ状態になり、所定温度T1を超えた感温部2に所定電流I1が流れる。温度検出素子6がNTCサーミスタで構成されている場合も、直列回路8の合成抵抗は、所定温度T1前後で急激に変化する。そのため、判定部5は、電圧V1が非連続的に変化した場合に、複数(3つ)の感温部2のうち少なくとも1つの感温部2の温度が所定温度T1に達したと判定することができる。
PTCサーミスタ及びNTCサーミスタは、直熱型でも傍熱型でもよい。
蓄電池100の種類は、鉛蓄電池の他にも、リチウムイオン電池及びニッケル水素電池など、適宜の種類の電池でもよい。また、被測定対象110は、蓄電池100の他にも、例えば一次電池でもよいし、使用時に発熱する部位を含む適宜の素子、及びその素子を含む電気回路又は装置などであってもよい。
電圧計測部4と、判定部5と、電流出力部11とは、検出ユニット10の筐体内に収納されることに限らず、電圧計測部4と、判定部5と、電流出力部11とのうち少なくとも1つが検出ユニット10とは別に構成されていてもよい。
ところで、温度検出装置1は、必ずしも感温部2と電圧制限部3とを複数(3つ)ずつ備えていなくてもよい。例えば、温度検出装置は、感温部2と電圧制限部3とを1つずつ備えていてもよい。その場合、直列回路8の第1端81及び第2端82は、感温部2の両端となる。その場合、温度検出装置は、感温部2と、電圧計測部4と、判定部5と、電圧制限部3と、を備えることになる。感温部2は、温度に応じて電気抵抗が変化する。電圧計測部4は、感温部2の両端間の電圧を計測する。判定部5は、電圧計測部4が計測した電圧に基づいて感温部2の温度が所定温度T1に達したか否かを判定する。電圧制限部3は、感温部2に並列接続され、感温部2の両端電圧を所定電圧(例えばダイオード7の順方向電圧)以下に制限する。判定部5は、電圧計測部4により計測された電圧が非連続的に変化した場合に、感温部2の温度が所定温度T1に達したと判定する。
上記構成によれば、電圧計測部4は、2つの接続線(第1接続線91及び第2接続線92)を介して、感温部2の両端間の電圧を計測することができる。感温部2の温度が所定温度T1に達すると、所定温度T1に達した感温部2の両端電圧が所定電圧以下に制限されることになり、感温部2の両端間の電圧が非連続的に変化する。判定部5は、感温部2の両端間の電圧が連続的に変化している状態から非連続的に変化した場合に、感温部2の温度が所定温度T1に達したと判定する。言い換えると、温度検出装置は、感温部2を1つだけ備えている場合であっても、その感温部2の温度が所定温度T1に達したことを検出可能であり、かつ感温部2に接続される接続線の数をより少なくする(2本にする)ことができる。
また、温度検出装置が感温部2と電圧制限部3とを1つずつ備えている場合、当該温度検出装置は、温度検出素子6とダイオード7とを1つずつ備えていることになる。この場合の温度検出装置において、感温部2は、温度が上昇するにつれて電気抵抗が大きくなる温度検出素子6を有し、電圧制限部3は、ダイオード7を有する。これにより、温度検出装置は、1つの温度検出素子6と、1つのダイオード7とを用いて、感温部2の温度が所定温度T1を超えるまで上昇した際に、温度検出素子6の両端間の電圧を非連続的に変化させることができる。
温度検出装置が感温部2と電圧制限部3とを1つずつ備えている場合、温度検出装置は、感温部2に所定電流I1を流す電流出力部11を更に備え、所定電流I1は定電流であることが好ましい。これにより、温度検出装置では、感温部2に定電流が流れることになるので、感温部2の電気抵抗の変化の度合いに応じて感温部2の両端電圧が変化する。そのため、判定部5は、感温部2の電気抵抗の変化を計測することなく電圧計測部4が計測した電圧の変化に基づいて、感温部2が所定温度T1に達したことを検出することができる。
(実施形態2)
本実施形態の温度検出装置1aの概要について図3を参照して説明する。なお、実施形態1の温度検出装置1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
温度検出装置1aは、複数(3つ)の感温部2aと、複数(3つ)の電圧制限部3aと、電圧計測部4と、判定部5aと、を備える。温度検出装置1aは、電流出力部11aを更に備える。3つの感温部2aは、第1感温部21aと、第2感温部22aと、を含み、第3感温部23aを更に含む。3つの電圧制限部3aは、第1電圧制限部31aと、第2電圧制限部32aと、を含み、第3電圧制限部33aを更に含む。
第1感温部21aは、温度検出素子6を1つ有する。第2感温部22aは、2つの温度検出素子6を有する。2つの温度検出素子6は電気的に直列接続されている。第3感温部23aは、4つの温度検出素子6を有する。4つの温度検出素子6は電気的に直列接続されている。3つの感温部2aは、電気的に直列に接続されて直列回路8aを形成している。電圧計測部4と、電流出力部11aと、判定部5aとは、検出ユニット10aを構成している。電流出力部11aは、電流の大きさが一定の所定電流I1aを直列回路8aに出力している。
第1電圧制限部31aは、ダイオード7を1つ有する。第1電圧制限部31aは、第1感温部21aの両端電圧V21aを第1所定電圧(1つのダイオード7の順方向電圧)以下に制限する機能を有する。
第2電圧制限部32aは、2つのダイオード7を有する。2つのダイオード7は、直列回路8aの第1端81から第2端82に電流が流れる方向が順方向となるように直列接続されている。第2電圧制限部32aは、第2感温部22aの両端電圧V22aを第2所定電圧(2つのダイオード7の順方向電圧の合計値)以下に制限する機能を有する。
直列回路8aにおける7つの温度検出素子6の各々の仕様は、実施形態1における温度検出装置1の温度検出素子6の各々の仕様と同様である。また、7つのダイオード7の各々の仕様は、実施形態1における温度検出装置1のダイオード7の各々の仕様と同様である。
第3電圧制限部33aは、4つのダイオード7を有し、4つのダイオード7は、直列回路8aの第1端81から第2端82に電流が流れる方向が順方向となるように直列接続されている。第3電圧制限部33aは、第3感温部23aの両端電圧V23aを第3所定電圧(4つのダイオード7の順方向電圧の合計値)以下に制限する機能を有する。
したがって、第1感温部21aの温度が所定温度T1に達した際の第1感温部21aの抵抗値をRとすると、第2感温部22a及び第3感温部23aの温度が所定温度T1に達した際の抵抗値はそれぞれ、2R,4Rとなる。そのため、3つの感温部2aがそれぞれ異なる抵抗値となる。3つの感温部2aの何れかの温度が所定温度T1に達すると、所定温度T1に達した感温部2aに対応する電圧制限部3aのダイオード7がオン状態となり、当該ダイオード7がオフ状態の場合と比べて、直列回路8の合成抵抗が小さくなる。
例えば、第1感温部21aの温度のみが所定温度T1に達した際に、直列回路8の合成抵抗の減少幅は抵抗値Rと略等しくなる。第2感温部22aの温度のみが所定温度T1に達した際には直列回路8の合成抵抗の減少幅は抵抗値Rの2倍の2Rと略等しくなり、第3感温部23aの温度のみが所定温度T1に達した際の直列回路8の合成抵抗の減少幅は、抵抗値Rの4倍の4Rと略等しくなる。直列回路8の合成抵抗の大きさが変化すると、直列回路8の合成抵抗の変動幅に応じて直列回路8の電圧V1が変化する。
以下では、電流出力部11aが所定電流I1aを直列回路8aに出力している状態で、第1感温部21a〜第3感温部23aの温度がそれぞれ徐々に上昇している場合の直列回路8aの合成抵抗の変化について図4を参照して説明する。
3つの感温部2aの温度が全て所定温度T1未満となっている状態から、3つの感温部2aの温度がそれぞれ上昇すると、実線G4に示すように、直列回路8aの合成抵抗は大きくなる。ここで、第1感温部21aの温度上昇の変化度合いが、第2感温部22a及び第3感温部23aよりも大きくて、第1感温部21aの温度のみが所定温度T1に達すると、直列回路8aの合成抵抗は、急激に減少する。この場合の直列回路8aの合成抵抗は、一点鎖線G5上の点P5で示すように、第1感温部21aの温度が所定温度T1に達する前と比べて、非連続的に減少する。直列回路8aの合成抵抗の減少幅は、抵抗値Rと略等しくなる。
ところで、第2感温部22aの温度上昇の変化度合いが、第1感温部21a及び第3感温部23aよりも大きい場合は、第2感温部22aの温度のみが所定温度T1に達することになる。その場合の直列回路8aの合成抵抗は、二点鎖線G6上の点P6で示すように、第2感温部22aの温度が所定温度T1に達する前と比べて、非連続的に減少する。直列回路8aの合成抵抗の減少幅は、抵抗値2Rと略等しくなる。
同様に、第3感温部23aの温度上昇の変化度合いが、第1感温部21a及び第2感温部22aよりも大きい場合は、第3感温部23aの温度のみが所定温度T1に達することになる。その場合の直列回路8aの合成抵抗は、実線G7上の点P7で示すように、第3感温部23aの温度が所定温度T1に達する前と比べて、非連続的に減少する。直列回路8aの合成抵抗の減少幅は、抵抗値4Rと略等しくなる。
電流出力部11aは、電流の大きさが一定の所定電流I1aを直列回路8aに出力しているため、直列回路8の合成抵抗の変動幅に比例して、直列回路8の電圧V1が変化する。本実施形態における温度検出装置1aの判定部5aは、直列回路8の電圧V1が非連続的に変化した際の変化幅(減少幅)に基づいて、3つの感温部2aのうちどの感温部2aの温度が所定温度T1に達したかを判定する。
判定部5aの動作について図4を参照して説明する。判定部5aは、直列回路8aの電圧V1を電圧計測部4から周期的(例えば1秒ごと)に取得する。判定部5aは、過去に取得した直列回路8aの電圧V1の値を数回分、マイクロコンピュータのメモリなどに保持させている。判定部5aは、過去に取得した直列回路8aの電圧V1の計測値と、最新の直列回路8aの電圧V1の計測値との差を時間微分して直列回路8aの合成抵抗の変化幅(減少幅)を求める。判定部5aは、直列回路8aの合成抵抗の変化幅と、3つの所定の閾値とを比較し、3つの感温部2aのうちどの感温部2aの温度が所定温度T1に達したかを判定する。3つの所定の閾値はそれぞれ、例えば、Rより小さい値(第1閾値と呼ぶ。)、Rより大きく2Rより小さい値(第2閾値と呼ぶ。)、2Rより大きく4Rより小さい値(第3閾値と呼ぶ。)である。
判定部5aは、直列回路8aの合成抵抗の変化幅が第3閾値を超えた場合、第3感温部23aの温度が所定温度T1に達した判定する。同様に、判定部5aは、直列回路8aの合成抵抗の変化幅が第2閾値を超えた場合、第2感温部22aの温度が所定温度T1に達した判定し、直列回路8aの合成抵抗の変化幅が第1閾値を超えた場合、第1感温部21aの温度が所定温度T1に達した判定する。
判定部5aは、3つの感温部2aのうちどの感温部2aの温度が所定温度T1に達したかを通知する通知信号を、充放電部111に出力する。充放電部111は、例えば、所定温度T1に達した感温部2aの数が多くなるにつれて、3つの蓄電池100の充放電電流の大きさを小さくすることができる。
3つの感温部2aのうち1つの感温部2aの温度が所定温度T1に達した後に、他の2つの感温部2aの温度が上昇し続けた場合、一点鎖線G5と、二点鎖線G6と、実線G7とに示すように、直列回路8aの合成抵抗は上昇し始める。そして他の2つの感温部2aのうち1つの温度が所定温度T1に達すると、直列回路8aの合成抵抗は、所定温度T1に達する前後で急激に減少するので非連続的に変化することになる。判定部5aは、直列回路8aの合成抵抗の非連続的な変化に基づいて、他の2つの感温部2aのうちどの感温部2aの温度が所定温度T1に達したかを判定することができる。
以上説明したように、本実施形態の温度検出装置1aにおいて、複数(3つ)の感温部2aは、第1感温部21aと、第2感温部22aと、を含む。複数(3つ)の電圧制限部3aは、第1電圧制限部31aと、第2電圧制限部32aと、を含む。第1感温部21aの電気抵抗と第2感温部22aの電気抵抗とが互いに異なる。第1電圧制限部31aと第2電圧制限部32aとは、所定電圧の大きさが互いに異なる。
上記構成によれば、複数(3つ)の感温部2aは、複数(3つ)の感温部2aごとに電気抵抗が異なる。複数(3つ)の感温部2aの両端電圧V21a〜V23aは、複数(3つ)の電圧制限部3aによってそれぞれ異なる所定電圧以下に制限される。複数(3つ)の感温部2aのうち所定温度T1に達した感温部2aの電気抵抗は、感温部2aごとに異なる。判定部5aは、複数(3つ)の感温部2aが電気的に直列接続された直列回路8aの合成抵抗の変化幅に基づいて、複数(3つ)の感温部2aのうちどの感温部2aの温度が所定温度T1に達したかを判定することができる。
ところで、所定の閾値は、3つに限定されず、例えば7つでもよい。例えば、複数の感温部2aのうち2つ以上の感温部2aの温度が所定温度T1に達する前後で直列回路8aの合成抵抗の変化幅がR,2R,3R,…,7Rの何れであるかを判定できるように、判定部5aが7つの閾値と比較するように構成されていてもよい。その場合、3つの感温部2aのうち2つ以上の感温部2aの温度が所定温度T1に達しても、判定部5aは、3つの感温部2aのうちどの感温部2aの温度が所定温度T1に達したかを判定することができる。例えば、直列回路8aの合成抵抗の変化幅が抵抗値3Rと略等しい場合、判定部5aは、第1感温部21aと第2感温部22aとの温度が所定温度T1に達したと判定する。
第1感温部21a〜第3感温部23aが有する温度検出素子6の数はそれぞれ、1つ、2つ、4つに限定されない。要するに、第1感温部21a〜第3感温部23aは、互いに抵抗値が異なるように構成されていればよく、例えば、互いに異なる抵抗値を有する温度検出素子を1つずつ有していてもよい。
第1電圧制限部31a〜第3電圧制限部33aが有するダイオード7の数はそれぞれ、1つ、2つ、4つに限定されない。要するに、第1電圧制限部31a〜第3電圧制限部33aがそれぞれ、第1感温部21a〜第3感温部23aの両端電圧V21a〜V23aを第1所定電圧〜第3所定電圧以下に制限できるように構成されていればよい。例えば、第1電圧制限部31a〜第3電圧制限部33aはそれぞれ、順方向電圧の電圧値が互いに異なるダイオードを1つずつ有していてもよい。
本実施形態の温度検出装置1aにおける判定部5aは、直列回路8aの電圧V1を時間微分した値に基づいて直列回路8aの合成抵抗の変化幅(減少幅)を求めるが、時間微分する構成は必須ではない。判定部5aは、例えば、直列回路8aの電圧V1における2つの計測値の差の大小に基づいて直列回路8aの合成抵抗の変化幅(減少幅)を求めてもよい。
(実施形態2の変形例1)
実施形態2の変形例1の温度検出装置について、図5A〜図5Cを参照して説明する。変形例1の温度検出装置における電流出力部11aは、定電流の所定電流I1aに代えて、電流波形がのこぎり波となるように、電流の大きさを変化させた所定電流I1aを、直列回路8aに出力するように構成されている。電流出力部11aは、例えば、微少時間(例えば数十ミリ秒)が経過するごとに電流値を離散的に上昇させるデジタル制御の電流増幅器と、フィルタ回路と、を有する。電流出力部11aは、電流増幅器の出力電流を、フィルタ回路で平滑化して、連続的に電流値を増加させ、一定時間(例えば5秒)が経過するごとに所定電流I1aを略ゼロにすることにより、電流波形がのこぎり波となる所定電流I1aを出力する。変形例1の温度検出装置における他の構成は、実施形態2の温度検出装置1aと同様であるため、説明を省略する。
図5A〜図5Cに示すグラフは、横軸が時間軸であり、左側の縦軸が電圧軸であり、右側の縦軸が電流軸である。時間軸の方向は、タイミングt0からタイミングt7に向かって時間が経過する方向となっている。図5A〜図5Cのグラフは、電流出力部11aが出力する所定電流I1aの時間変化と、直列回路8aの電圧V1aの時間変化とを示している。
電流出力部11aは、タイミングt0で所定電流I1aを出力し始め、時間経過に比例して所定電流I1aの大きさを大きくし、タイミングt7に達した時点で最大電流となるように所定電流I1aを出力する。電流出力部11aは、タイミングt7に達した時点で最大電流を出力した後、所定電流I1aの大きさを略ゼロにし、以降、タイミングt0〜t7の期間を周期的に繰り返して、電圧波形がのこぎり波となる所定電流I1aを繰り返し出力する。
以下、直列回路8aの電圧V1aの変化と、判定部5aの判定動作と、について図5A〜図5Cを参照して説明する。以下の説明では、7つの温度検出素子6の各々について、所定温度T1に達していない場合の温度検出素子6の抵抗値をr(ただしr<R)として説明する。
図5Aにおける直列回路8aの電圧V1aは、3つの感温部2aの全ての温度が所定温度T1未満となっている場合の直列回路8aの電圧V1aを示している。所定電流I1aが時間経過に比例して大きくなると、タイミングt0〜t1における直列回路8aの電圧V1aは、時間経過に比例して大きくなる。直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値(つまりグラフの傾き)は、直列回路8aの合成抵抗の大きさ(7r)に比例している。タイミングt1(t0<t1<t7)に達した時点で、直列回路8aの電圧V1aは、7つのダイオード7の順方向電圧の合計の電圧Vmに達し、以後、直列回路8aの電圧V1aは、一定の電圧Vmとなる。タイミングt7を超えると、所定電流I1aが略ゼロになるため、直列回路8aの電圧V1aも略ゼロとなる。
判定部5aは、タイミングt0〜t7の期間中に、周期的(1秒ごと)に直列回路8aの電圧V1aを電圧計測部4から取得し、直列回路8aの電圧V1aの変化幅を時間微分することにより、直列回路8aの合成抵抗の変化幅を求めている。つまり、判定部5aは、直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値から直列回路8aの合成抵抗の変化幅を求め、3つの感温部2aのうちどの感温部2aの温度が所定温度T1に達したかを判定する判定動作を行う。
判定部5aは、図5Aでは、タイミングt0〜t1における直列回路8aの電圧V1aの時間微分の値が略一定値であり変化していない場合、判定動作を行わない。判定部5aは、タイミングt1〜t7では、直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値が略ゼロであると判別する。直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値が略一定値から略ゼロに変化した場合、判定部5aは、3つの感温部2aが全て所定温度T1未満であると判定する。
図5Bにおける電圧V1aは、3つの感温部2aのうち、第1感温部21aの温度が所定温度T1に達している状態における、直列回路8aの電圧V1aを示している。所定電流I1aが時間経過に比例して大きくなると、タイミングt0〜t2(t0<t2<t7)における直列回路8aの電圧V1aは、時間経過に比例して大きくなる。タイミングt0〜t2における直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値は、直列回路8aの合成抵抗の大きさ(7r)に比例している。
第1感温部21aの温度が所定温度T1に達しているため、第1感温部21aの温度検出素子6の抵抗値はRとなっている。Rはrよりも大きい抵抗値であるため、所定電流I1aの大きさが最大値に達する前に、第1感温部21aの両端電圧V21aは第1所定電圧に達し、第1電圧制限部31aのダイオード7がオン状態になる。例えばタイミングt2に達した時点で、第1電圧制限部31aのダイオード7がオン状態となると、第1電圧制限部31aのダイオード7がオフ状態の場合と比べて直列回路8aの合成抵抗が略Rだけ小さくなる。したがって、タイミングt2直後の直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値は、タイミングt0〜t2における電圧V1aを時間微分した値よりも小さくなる。直列回路8aの電圧V1aは、タイミングt3(t2<t3)で電圧Vmに達して一定となる。タイミングt2〜t3における電圧V1aを時間微分した値は、直列回路8aの合成抵抗の大きさ(6r)に比例している。つまり、直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値(グラフの傾き)は、所定温度T1に達していない6つの温度検出素子6における抵抗値rの合計値に比例する。
判定部5aは、タイミングt0〜t2における直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値よりも、タイミングt2〜t3における直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値が小さくなったことを検知する。判定部5aは、タイミングt2〜t3における直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値が、6rに比例する値であることを判別し、かつ、タイミングt3以降に電圧V1aを時間微分した値が略ゼロとなった場合に、判定動作を行う。判定部5aは、タイミングt2〜t3における直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値が6rに比例する値であることから、1つの温度検出素子6により構成されている第1感温部21aの温度が所定温度T1に達したと判定する。
図5Cにおける直列回路8aの電圧V1aは、3つの感温部2aのうち、第1感温部21aと第2感温部22aとがそれぞれ所定温度T1に達している状態における、直列回路8aの電圧V1aを示している。所定電流I1aが時間経過に比例して大きくなると、タイミングt0〜t4(t0<t4<t7)における直列回路8aの電圧V1aは、時間経過に比例して大きくなる。直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値は、直列回路8aの合成抵抗の大きさ(7r)に比例している。
第1感温部21aの温度が所定温度T1に達しているため、所定電流I1aの大きさが最大値に達する前に、第1感温部21aの両端電圧V21aは第1所定電圧に達し、第1電圧制限部31aのダイオード7がオン状態になる。例えばタイミングt4に達した時点で、第1電圧制限部31aのダイオード7がオン状態となると、第1電圧制限部31aのダイオード7がオフ状態の場合と比べて直列回路8aの合成抵抗が略Rだけ小さくなる。したがって、タイミングt4直後の直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値は、タイミングt0〜t4における電圧V1aを時間微分した値よりも小さくなる。タイミングt4直後の直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値は、直列回路8aの合成抵抗の大きさ(6r)に比例している。
第2感温部22aの温度が所定温度T1に達しているため、所定電流I1aの大きさが最大値に達する前に、第2感温部22aの両端電圧V22aは第2所定電圧に達し、第2電圧制限部32aの2つのダイオード7がオン状態になる。例えばタイミングt5(t0<t4<t5<t7)に達した時点で、第2電圧制限部32aの2つのダイオード7がオン状態となると、第2電圧制限部32aの2つのダイオード7がオフ状態の場合と比べて直列回路8aの合成抵抗が略2Rだけ小さくなる。したがって、タイミングt5直後の直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値は、タイミングt4直後における電圧V1aを時間微分した値よりも更に小さくなる。タイミングt5直後の直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値は、直列回路8aの合成抵抗の大きさ(4r)に比例している。そして、電圧V1aは、タイミングt6(t5<t6)で電圧Vmに達して一定となる。
判定部5aは、タイミングt0〜t4における直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値よりも、タイミングt4〜t5における直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値が小さくなったことを検知する。判定部5aは、タイミングt4〜t5における直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値(6rに比例する値)よりも、タイミングt5〜t6における直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値(4rに比例する値)が小さくなったことを検知する。
判定部5aは、タイミングt4〜t5における直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値が、6rに比例する値であると判別する。続いて判定部5aは、タイミングt5〜t6における直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値が、4rに比例する値であると判別し、かつ、タイミングt6以降に電圧V1aを時間微分した値が略ゼロである場合に、判定動作を行う。判定部5aは、タイミングt4〜t5における直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値が、6rに比例する値であることから、1つの温度検出素子6により構成されている第1感温部21aの温度が所定温度T1に達したと判定する。また、判定部5aは、タイミングt5〜t6における直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値が、4rに比例する値であることから、2つの温度検出素子6の直列回路により構成されている第2感温部22aの温度が所定温度T1に達したと判定する。
以上説明したように、本変形例に係る温度検出装置において、直列回路8aに所定電流I1aを流す電流出力部11aを更に備え、電流出力部11aは、所定電流I1aの大きさを変化させるように構成されている。これにより、温度検出装置は、定電流ではなく電流の大きさを変化させた所定電流I1a(例えば電流波形がのこぎり波)を直列回路8aに流す場合でも、複数(3つ)の感温部2aのうちどの感温部2aの温度が所定温度T1に達したかを判定することができる。
(実施形態2の変形例2)
実施形態2の変形例2の温度検出装置について、図6A及び図6Bを参照して説明する。変形例2の温度検出装置における電流出力部11aは、電流波形が三角波となるように電流の大きさを変化させた所定電流I1aを、直列回路8aに出力するように構成されている。変形例2の温度検出装置における他の構成は、実施形態2の温度検出装置1aと同様であるため、説明を省略する。
電流出力部11aは、タイミングt0〜t20において単調増加の区間と単調減少の区間とを有する三角波となる所定電流I1aを直列回路8aに出力する。図6Aにおける直列回路8aの電圧V1aについて、タイミングt0〜t7までの説明については、実施形態2の変形例1における図5Aの説明と同様である。つまり、図6Aにおける直列回路8aの電圧V1aは、3つの感温部2aの全ての温度が所定温度T1未満となっている場合の直列回路8aの電圧V1aを示している。電流出力部11aは、タイミングt7に達すると所定電流I1aを時間経過に比例して小さくする。直列回路8aの電圧V1aは、タイミングt10(t7<t10)に達すると、以降、時間経過に比例して小さくなる。タイミングt7〜t10の期間は、タイミングt1〜t7の期間と略同じである。電流出力部11aは、タイミングt20で所定電流I1aを略ゼロにする。タイミングt10〜t20における直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値(つまりグラフの傾き)の大きさ(絶対値)は、タイミングt0〜t1における直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値の大きさと略同じである。タイミングt10〜t20の期間は、タイミングt0〜t1の期間と略同じである。
判定部5aは、タイミングt0〜t7における直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値に基づく判定動作と、タイミングt10〜t20における直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値の大きさに基づく判定動作との、2回の判定動作を行う。判定部5aは、2回とも同じ判定結果になった場合に、判定結果に応じた信号を充放電部111に出力するので、判定結果の信頼性が向上する。これにより、例えば電磁波による電磁誘導によって直列回路8aの電圧V1aが変動して、判定部5aが1回目の判定動作で誤判定したとしても、判定部5aは、1回目と2回目との判定動作が一致しなければ判定結果に応じた信号を充放電部111に出力しない。そのため、判定部5aは誤判定をしにくくなる。
図6Bにおける電圧V1aについて、タイミングt0〜t7までの説明については、実施形態2の変形例1における図5Bの説明と同様である。つまり、図6Bにおける電圧V1aは、3つの感温部2aのうち、第1感温部21aの温度が所定温度T1に達している状態における、直列回路8aの電圧V1aを示している。電流出力部11aは、タイミングt7に達すると所定電流I1aを時間経過に比例して小さくする。直列回路8aの電圧V1aは、タイミングt11(t7<t11)に達すると、以降、時間経過に比例して小さくなり、タイミングt12(t11<t12)に達すると、単調減少の傾きの大きさが更に大きくなる。タイミングt7〜t11の期間は、タイミングt3〜t7の期間と略同じである。
電流出力部11aは、タイミングt20で所定電流I1aを略ゼロにする。タイミングt11〜t12における直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値(つまりグラフの傾き)の大きさ(絶対値)は、タイミングt2〜t3における直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値の大きさと略同じである。タイミングt11〜t12の期間は、タイミングt2〜t3の期間と略同じである。
同様に、タイミングt12〜t20における直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値の大きさは、タイミングt0〜t2における直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値の大きさと略同じである。タイミングt12〜t20の期間は、タイミングt0〜t2の期間と略同じである。
判定部5aは、タイミングt0〜t2における直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値に基づく判定動作と、タイミングt12〜t20における直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値の大きさに基づく判定動作との、2回の判定動作を行う。同様に、判定部5aは、タイミングt2〜t3における直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値に基づく判定動作と、タイミングt11〜t12における直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値の大きさに基づく判定動作との、2回の判定動作を行う。判定部5aは、2回とも同じ判定結果になった場合に、判定結果に応じた信号を充放電部111に出力するので、判定結果の信頼性が向上する。
以上説明したように、本変形例に係る温度検出装置において、電流出力部11aは、所定電流I1aの電流波形が三角波となるように所定電流I1aの大きさを変化させるように構成されている。上記構成によれば、温度検出装置は、電流の大きさが単調増加及び単調減少する三角波の所定電流I1aを直列回路8aに出力する。そのため、直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値(つまりグラフの傾き)は、正(単調増加の傾き)と負(単調減少の傾き)との2つの値(傾き)となる。判定部5aは、直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値に基づく判定動作を2回行って、複数(3つ)の感温部2aのうちどの感温部2aの温度が所定温度T1に達したかを判定することができるようになるので、判定結果の信頼性が向上する。
(実施形態2の変形例3)
実施形態2の変形例3の温度検出装置について、図7及び図8を参照して説明する。変形例3の温度検出装置における電流出力部11aは、図7に示すように、正弦波状の交流電流(交流成分)を直流電流(直流成分)で正方向にバイアスした所定電流I1aを直列回路8aに出力する。所定電流I1aの交流成分の振幅Imは、直流成分の電流の大きさI0より小さく定められているため、所定電流I1aの電流値は常に正となっている。
図8は、直列回路8aに流れる電流の大きさと電圧V1aの大きさとの関係を示すグラフである。破線G20〜G27はそれぞれ、所定電流I1aの最大値I0+Imより大きい最大値となるのこぎり波状の電流を直列回路8aに流した際に得られる電圧V1aの波形である。
破線G20は、直列回路8aにおける7つの温度検出素子6が全て所定温度T1未満である場合の電圧V1aの波形である。破線G21は、直列回路8aにおける7つの温度検出素子6のうち1つの温度検出素子6の温度が所定温度T1に達した場合の電圧V1aの波形である。破線G22は、直列回路8aにおける7つの温度検出素子6のうち2つの温度検出素子6の温度が所定温度T1に達した場合の電圧V1aの波形である。同様に、破線G23〜G27はそれぞれ、直列回路8aにおける7つの温度検出素子6のうち、3〜7つの温度検出素子6が1つずつ順に所定温度T1に達した場合における、直列回路8aの電圧V1aの波形である。
所定電流I1aの最大値I0+Im及び最小値I0−Imは、所定電流I1aを直列回路8aに流した際に、所定温度T1に達した温度検出素子6の数に応じて直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値(グラフの傾き)が異なるように定められている。図8に示す点P1は、例えば、直列回路8aにおける第3感温部23aの温度が所定温度T1に達した状態で、直列回路8aに電流I0が流れた際の直列回路8aの電圧V1aを示している。点P1は、所定電流I1aの交流成分に応じて、実線G24上を移動することになる。7つの温度検出素子6のうち、第3感温部23aが含む4つの温度検出素子6を除いた3つの温度検出素子6の温度が所定温度T1未満となっているため、実線G24を時間微分した値は、抵抗値3rに比例する値となっている。
つまり、所定電流I1aが直列回路8aに流れている状態で、直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値は常に、所定温度T1未満となっている温度検出素子6の数に比例した値になっている。言い換えると、所定電流I1aが直列回路8aに流れている状態で、直列回路8aの電圧V1aのグラフの傾きは常に、所定温度T1に達した温度検出素子6の数に応じた傾きになっている。判定部5aは、任意のタイミングで直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値(グラフの傾き)が、抵抗値r〜7rのどれに比例する値かを判定するだけで、3つの感温部2aのうちどの感温部2aの温度が所定温度T1に達したかを判定することができる。
例えば、実施形態2の変形例1の温度検出装置では、判定部5aは、タイミングt0〜t7(図5B参照)の期間中に直列回路8aの電圧V1aを4回以上の複数回取得して判定動作を行う。一方、本変形例の温度検出装置では、判定部5aは、直列回路8aの電圧V1aを2回取得するだけ判定動作を行うことができるので、簡単に判定動作を行うことができる。
以上説明したように、本変形例に係る温度検出装置において、所定電流I1aは、直流成分と、直流成分の大きさI0よりも小さい振幅Imの交流成分とを含む。上記構成によれば、所定電流I1aは常に正となるので、直列回路8aに常にI0−Im以上の電流が流れることになり、直列回路8aの電圧V1aは、所定電流I1aの大きさと、直列回路8aの合成抵抗の抵抗値と、に応じた大きさの電圧となっている。したがって、判定部5aは、直列回路8aの電圧V1aをいつでも取得できるので、直列回路8aの電圧V1aを時間微分した値(のグラフの傾き)を簡単に求めることができる。これにより、判定部5aは、複数(3つ)の感温部2aのうちどの感温部2aの温度が所定温度T1に達したかを判定することができる。
ところで、判定部5aは、直列回路8aにおける電圧V1aを時間微分した値を求める手段は、演算に限定されず、例えば、マイクロコンピュータなどのメモリに予め保持された数値テーブルを参照してもよい。数値テーブルは、例えば、直列回路8aの電圧V1aを2回計測した場合の計測値の差と、時間微分した値とが、一対一に対応付けられたテーブルである。また、判定部5aは、直列回路8aにおける電圧V1aを時間微分した値を求める手段は、時間微分に限定されず、所定期間にわたって計測した電圧波形を波形解析することによって求めるように構成されていてもよい。
(実施形態2の変形例4)
実施形態2の変形例4の温度検出装置1bについて、図9を参照して説明する。温度検出装置1bは、実施形態2の温度検出装置1aの3つの電圧制限部3aに代えて3つの電圧制限部3bを備えている。温度検出装置1bにおいて、複数(3つ)の感温部2aの各々は、温度が上昇するにつれて電気抵抗が大きくなる少なくとも1つの温度検出素子6を有し、複数(3つ)の電圧制限部3bの各々は、少なくとも1つの発光ダイオード70を有する。3つの電圧制限部3bはそれぞれ、実施形態2の温度検出装置1aにおける3つの電圧制限部3aについて1つのダイオード7を1つの発光ダイオード70に代えた構成となっている。発光ダイオード70は、例えば、可視光を放射する発光ダイオードであることが好ましい。温度検出装置1bにおける他の構成は、実施形態2の温度検出装置1aと同様であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
上記構成によれば、3つの感温部2aのうち少なくとも1つの感温部2aの温度が所定温度T1に達すると、所定温度T1に達した感温部2aと並列接続されている少なくとも1つの発光ダイオード70がオン状態となって発光する。これにより、3つの感温部2aのうちどの感温部2aの温度が所定温度T1に達したかを作業者が確認する際に、作業者は、発光ダイオード70の発光状態に基づいて所定温度T1に達した感温部2aを特定することができる。
なお、実施形態2の温度検出装置1aにおける3つの電圧制限部3aのそれぞれについて、電圧制限部3aが2つ以上のダイオード7を有する場合、電圧制限部3aの2つ以上のダイオード7を2つ以上の発光ダイオード70に代えてもよい。
(実施形態3)
本実施形態の温度検出装置1cの概要について図10を参照して説明する。温度検出装置1cは、実施形態1の温度検出装置1と同様の構成であるが、被測定対象110の構成が実施形態1の被測定対象110の構成と異なる。なお、実施形態1の温度検出装置1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
被測定対象110は、1つの蓄電池104で構成されている。蓄電池104は、例えば、鉛蓄電池からなる。蓄電池104は、電線112,113を介して充放電部111に電気的に接続されている。充放電部111は、蓄電池104に流れる電流を制御することにより蓄電池104の充電及び放電を制御する。蓄電池104及び直列回路8は、例えば、電気的絶縁性を有する樹脂材料で形成された筐体に収納されている。筐体は、屋外に設置されている。
3つの感温部2は、蓄電池104のうち3つの異なる部位の温度をそれぞれ計測する。蓄電池104のうち3つの異なる部位のことを第1部位B1、第2部位B2、第3部位B3と呼ぶ。第1部位B1、第2部位B2、第3部位B3はそれぞれ、例えば、略直方体状の蓄電池104における底面と、底面と交差する第1側面と、底面及び第1側面の両方と交差する第2側面である。
第1感温部21は、第1部位B1の温度を計測する。第2感温部22は、第2部位B2の温度を計測する。第3感温部23は、第3部位B3の温度を計測する。この構成により、温度検出装置1cは、1つの蓄電池104のうち3つの異なる部位の温度を個別に計測することができる。
以上説明したように、本実施形態の温度検出装置1cにおいて、複数(3つ)の感温部2はそれぞれ、1つの蓄電池104における複数の部位(例えば第1部位B1〜第3部位B3)に一対一に対応する。複数の感温部2はそれぞれ、対応する部位の温度に応じて電気抵抗が変化するように構成されている。上記構成によれば、温度検出装置1cは、1つの蓄電池104のうち3つの異なる部位のうち少なくとも1つの部位の温度が所定温度T1を超えたか否かを判定することができる。例えば、蓄電池104が発熱した際に、蓄電池104の複数の異なる部位の各々の温度がばらつく可能性がある。温度検出装置1cは、例えば、蓄電池104のうち複数の異なる部位のうち最も温度が高い部位の温度が所定温度T1を超えたか否かを判定することができる。
ところで、蓄電池104の複数の部位のうち1つの部位は、例えば、略直方体状の蓄電池104における天面などでもよい。また、蓄電池104の第1部位B1、第2部位B2、第3部位B3はそれぞれ、例えば、略直方体状の蓄電池104における底面(又は第1、第2側面)における3つの異なる部位でもよいし、蓄電池104の内部における3つの異なる箇所でもよい。例えば、蓄電池104の表面から蓄電池104の内部に向かって窪んだ3つの凹部が形成されていて、当該3つの凹部内に3つの感温部2がそれぞれ配置されることにより、感温部2が蓄電池104の内部の温度を測定するように構成されていてもよい。また、蓄電池104には、凹部に代えて、蓄電池104を貫く孔などが形成されていてもよい。蓄電池104の形状は、略直方体状の他にも、例えば、略円柱状であってもよい。
ところで、実施形態1〜3及び実施形態2の変形例1〜4のそれぞれの温度検出装置の構成を互いに組み合わせてもよい。例えば、実施形態1の温度検出装置1の検出ユニット10を、実施形態2の温度検出装置1aの検出ユニット10aに代えてもよいし、実施形態1の温度検出装置1のダイオード7を発光ダイオード70に代えてもよい。
実施形態1,3の温度検出装置1の検出ユニット10、及び実施形態2の温度検出装置1aの検出ユニット10aはそれぞれ、電流出力部11及び電流出力部11aを必ずしも備えていなくてよい。その場合、直列回路8,8aに電流を出力する電流源が、温度検出装置1,1aとは別に設けられていればよい。