JP6796546B2 - レジスト上層膜形成用組成物、並びに、それを用いたパターン形成方法及び電子デバイスの製造方法 - Google Patents
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Description
昨今では、例えば、線幅90nm程度のレジストパターンを形成する方法として、液浸露光法の利用が拡大している。この方法は、レンズの開口数(NA)を増大させた場合でも、焦点深度が低下し難く、しかも高い解像性が得られるという利点がある。
本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、微細のレジストパターン(例えば、線幅が75nm程度のラインパターン)を加工マスクとして下層をエッチングした場合において、欠陥が少なく、かつ、ラフネス性能に優れた下層パターンを形成可能なレジスト上層膜形成用組成物、並びに、それを用いたパターン形成方法及び電子デバイスの製造方法を提供することにある。
<1>
下記一般式(i)又は(ii)で表される繰り返し単位を有する重合体(P)を含有し、金属の合計含有量が25ppb以下であるレジスト上層膜形成用組成物。
上記一般式(i)中、R 1 は、単結合又は二価の連結基を表す。R 2 及びR 3 は、それぞれ独立して、フッ素原子を有する一価の有機基を表す。R 4 は、水素原子、又は、塩基解離性基を表す。R 5 は一価の有機基を表す。
上記一般式(ii)中、Raは、一価の有機基を表す。Rfは、フッ素原子を有する炭化水素基を表す。
<2>
上記レジスト上層膜形成用組成物の固形分濃度が0.1〜15質量%である、<1>に記載のレジスト上層膜形成用組成物。
<3>
下記一般式(i)又は(ii)で表される繰り返し単位を有する重合体(P)に対して、有機溶剤と、酸性化合物を含有する水とを加えて撹拌し、分離後、上層を回収する工程を含む液液抽出による精製を行う、重合体の製造方法。
上記一般式(i)中、R 1 は、単結合又は二価の連結基を表す。R 2 及びR 3 は、それぞれ独立して、フッ素原子を有する一価の有機基を表す。R 4 は、水素原子、又は、塩基解離性基を表す。R 5 は一価の有機基を表す。
上記一般式(ii)中、Raは、一価の有機基を表す。Rfは、フッ素原子を有する炭化水素基を表す。
<4>
レジスト膜の上に、<1>又は<2>に記載のレジスト上層膜形成用組成物によりレジスト上層膜を形成する工程、
上記レジスト膜を露光する工程、及び、
上記露光されたレジスト膜を現像液により現像する工程を有するパターン形成方法。
<5>
上記露光が液浸露光である、<4>に記載のパターン形成方法。
<6>
上記現像液が、有機溶剤を含む現像液である、<4>又は<5>に記載のパターン形成方法。
<7>
上記現像液が、アルカリ現像液である、<4>又は<5>に記載のパターン形成方法。
<8>
<4>〜<7>のいずれか1項に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
本発明は上記<1>〜<8>に関するものであるが、本明細書には参考のためその他の事項についても記載した。
下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体(P)を含有し、金属の合計含有量が25ppb以下であるレジスト上層膜形成用組成物。
上記一般式(1)中、Lは、単結合、−COO−、又は、−CONR−を表す。R0、R5、及び、Rは、それぞれ独立して、水素原子、又は、一価の有機基を表す。
〔2〕
上記重合体(P)が、下記一般式(i)又は(ii)で表される繰り返し単位を有する重合体である、〔1〕に記載のレジスト上層膜形成用組成物。
上記一般式(i)中、R1は、単結合又は二価の連結基を表す。R2及びR3は、それぞれ独立して、フッ素原子を有する一価の有機基を表す。R4は、水素原子、又は、塩基解離性基を表す。R5は一価の有機基を表す。
上記一般式(ii)中、Raは、一価の有機基を表す。Rfは、フッ素原子を有する炭化水素基を表す。
〔3〕
上記レジスト上層膜形成用組成物の固形分濃度が0.1〜15質量%である、〔1〕又は〔2〕に記載のレジスト上層膜形成用組成物。
〔4〕
下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体(P)に対して、有機溶剤と、酸性化合物を含有する水とを用いた液液抽出による精製を行う、重合体の製造方法。
上記一般式(1)中、Lは、単結合、−COO−、又は、−CONR−を表す。R0、R5、及び、Rは、それぞれ独立して、水素原子、又は、一価の有機基を表す。
〔5〕
更に、前記重合体(P)に対して下記分液精製(1)〜(4)のいずれかを行う、〔4〕に記載の重合体の製造方法。
(1)互いに分離可能な複数種の有機溶剤を用いた液液抽出による精製
(2)有機溶剤と水とを用いた液液抽出による精製
(3)重合装置内で重合体(P)を析出させた後に、前記重合装置内で前記重合体(P)を有機溶剤に溶解させ、粉体として重合体(P)を得ることなく、有機溶剤に溶解した状態で重合体(P)を得る方法
(4)重合装置内で重合体(P)を析出させた後に、前記重合装置内で前記重合体(P)を有機溶剤に溶解させ、更に、有機溶剤に溶解させた重合体(P)を液液抽出により精製し、粉体として重合体(P)を得ることなく、有機溶剤に溶解した状態で重合体(P)を得る方法
〔6〕
レジスト膜の上に、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のレジスト上層膜形成用組成物によりレジスト上層膜を形成する工程、
上記レジスト膜を露光する工程、及び、
上記露光されたレジスト膜を現像液により現像する工程を有するパターン形成方法。
〔7〕
上記露光が液浸露光である、〔6〕に記載のパターン形成方法。
〔8〕
上記現像液が、有機溶剤を含む現像液である、〔6〕又は〔7〕に記載のパターン形成方法。
〔9〕
上記現像液が、アルカリ現像液である、〔6〕又は〔7〕に記載のパターン形成方法。
〔10〕
〔6〕〜〔9〕のいずれか1項に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
尚、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書中における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等を意味する。また、本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。また、本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、EUV光などによる露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
本明細書において、レジスト上層膜形成用組成物における重合体、及び、レジスト組成物における樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分散度(Mw/Mn)は、GPC(Gel Permeation Chromatography)装置(東ソー製HLC−8120GPC)によるGPC測定(溶媒:テトラヒドロフラン、流量(サンプル注入量):10μl、カラム:東ソー社製TSK gel Multipore HXL−M(×4本)、カラム温度:40℃、流速:1.0mL/分、検出器:示差屈折率(RI)検出器)によるポリスチレン換算値として定義される。
本発明に係るレジスト上層膜形成用組成物は、上記したように、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体(P)を含有する。
R0、R5、及び、Rの少なくとも一つは、フッ素原子又はシリコン原子を有する有機基であることが好ましい。
上記一般式(ii)中、Raは、一価の有機基を表す。Rfは、フッ素原子を有する炭化水素基を表す。
R4は、水素原子であることがより好ましい。
一般式(1)で表される繰り返し単位の含有量は、重合体(P)の全繰り返し単位に対して、60〜100モル%であることが好ましく、70〜100モル%であることがより好ましく、80〜100モル%であることが更に好ましい。
反応溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;酢酸エチルなどのエステル溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド溶剤;後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノンなどの本発明のレジスト組成物を溶解する溶媒;等が挙げられる。より好ましくは後述するレジスト上層膜形成用組成物に用いられる溶剤と同一の溶剤を用いて重合することが好ましい。
反応温度は、通常10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、さらに好ましくは60〜100℃である。
また、酸性化合物としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等を挙げることができる。酸性化合物を含有する水における酸性化合物の濃度は、0.001〜3Nであることが好ましく、0.01〜1Nであることがより好ましい。
(2)有機溶剤と水とを用いた液液抽出による精製
(3)重合装置内で重合体(P)を析出させた後に、上記重合装置内で前記重合体(P)を有機溶剤に溶解させ、粉体として重合体(P)を得ることなく、有機溶剤に溶解した状態で重合体(P)を得る方法
(4)重合装置内で重合体(P)を析出させた後に、上記重合装置内で前記重合体(P)を有機溶剤に溶解させ、更に、有機溶剤に溶解させた重合体(P)を液液抽出により精製し、粉体として重合体(P)を得ることなく、有機溶剤に溶解した状態で重合体(P)を得る方法
上記(2)は、有機溶剤と水とを用いて、液液抽出により重合体(P)の精製を行う方法である。有機溶剤は、非極性溶媒であることが好ましく、非極性溶媒としては、前掲したものがそのまま挙げられる。なお、この精製に用いる水は、上記酸性化合物を含有しない。
上記(3)は、粉体として重合体(P)を得ることなく、重合体(P)を液体として(有機溶剤に溶解した状態で)得る方法であり、重合体(P)と外気との接触によるコンタミネーションの懸念が少ない。
上記(4)は、上記(3)に加えて、更に、液液抽出により重合体(P)の精製を行う方法である。低分子成分、オリゴマー成分、及び、金属不純物のいずれに対しても低減の効果が大きい。
上記(4)における「液液抽出」としては、上記(1)及び(2)の液液抽出による精製が挙げられる。
重合体(P)の重量平均分子量の特に好ましい別の形態は、GPC法によるポリスチレン換算値で3,000〜9,500である。
分散度(分子量分布)は、通常1〜5であり、好ましくは1〜3、更に好ましくは1.2〜3.0、特に好ましくは1.2〜2.0の範囲のものが使用される。
上記化合物の具体例及び好ましい例、並びに、レジスト上層膜形成用組成物の全固形分に対する含有量の好ましい範囲等は、国際公開2016/136596号の段落〔0141〕〜〔0256〕に記載の内容を援用できる。
本発明のレジスト上層膜形成用組成物は、更に界面活性剤を含有していてもよい。
界面活性剤としては特に制限はなく、レジスト上層膜形成用組成物を均一に成膜することができ、かつ、レジスト上層膜形成用組成物の溶剤に溶解することができれば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤のいずれも用いることができる。
界面活性剤の添加量は、好ましくは0.001〜20質量%であり、更に好ましくは、0.01〜10質量%である。
界面活性剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレートなどのソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレートなどの界面活性剤;下記に挙げる市販の界面活性剤;等が挙げられる。
使用できる市販の界面活性剤としては、例えば、エフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431、4430(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、F113、F110、F177、F120、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)、GF−300、GF−150(東亜合成化学(株)製)、サーフロンS−393(セイミケミカル(株)製)、エフトップEF121、EF122A、EF122B、RF122C、EF125M、EF135M、EF351、352、EF801、EF802、EF601((株)ジェムコ製)、PF636、PF656、PF6320、PF6520(OMNOVA社製)、FTX−204D、208G、218G、230G、204D、208D、212D、218、222D((株)ネオス製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
本発明におけるレジスト上層膜形成用組成物は、通常、溶剤を含有する。
レジスト膜を溶解せずに良好なパターンを形成するために、本発明におけるレジスト上層膜形成用組成物は、レジスト膜を溶解しない溶剤を含有することが好ましく、有機溶剤を含有する現像液(有機系現像液)を用いて現像を行う場合には、有機系現像液とは異なる成分の溶剤を用いることがより好ましい。
また、液浸液への溶出防止の観点からは、液浸液への溶解性が低い方が好ましく、水への溶解性が低い方がさらに好ましい。本明細書においては、「液浸液への溶解性が低い」とは液浸液不溶性であることを示す。同様に、「水への溶解性が低い」とは水不溶性であることを示す。また、揮発性及び塗布性の観点から、溶剤の沸点は90℃〜200℃が好ましい。
液浸液への溶解性が低いとは、水への溶解性を例にとると、レジスト上層膜形成用組成物をシリコンウエハ上に塗布、乾燥し、膜を形成させた後に、純水に23℃で10分間浸漬し、乾燥した後の膜厚の減少率が、初期膜厚(典型的には50nm)の3%以内であることをいう。
本発明では、レジスト上層膜を均一に塗布する観点から、レジスト上層膜形成用組成物の固形分濃度が好ましくは0.01〜20質量%、更に好ましくは0.1〜15質量%、最も好ましくは、1〜10質量%となるように溶剤を使用する。このような固形分濃度範囲を満たすレジスト上層膜形成用組成物において、上記したように金属の合計含有量が25ppb以下であることにより、本発明の効果が確実に得られるものである。
エーテル系溶剤としては、上記グリコールエーテル系溶剤の他、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、イソアミルエーテル等が挙げられる。エーテル系溶剤のなかでも、分岐構造を有するエーテル系溶剤が好ましい。
エステル系溶剤としては、例えば、国際公開2016/136596号の段落〔0052〕に記載のものが挙げられる。エステル系溶剤のなかでも、分岐構造を有するエステル系溶剤が好ましい。
炭化水素系溶剤としては、例えば、国際公開2016/136596号の段落〔0053〕に記載のものが挙げられる。
上記以外の溶剤を混合する場合、その混合比は、レジスト上層膜形成用組成物の全溶剤量に対して、通常0〜30質量%、好ましくは0〜20質量%、更に好ましくは0〜10質量%である。上記以外の溶剤を混合することで、レジスト膜に対する溶解性、レジスト上層膜形成用組成物中の重合体の溶解性、レジスト膜からの溶出特性、などを適宜調整することができる。
上記金属含有量の合計は、典型的には、0.1ppb以上である。
ここで、Na原子、K原子、Mg原子、Al原子、Ca原子、Cr原子、Mn原子、Fe原子、Ni原子、Cu原子、Zn原子、Pb原子、Sn原子、Co原子、Li原子、Ti原子、Ag原子、W原子、V原子、Ba原子、Au原子、As原子、Cd原子、Mo原子、及び、Zr原子の含有量は、各々、1ppb以下であることが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、レジスト膜の上に、上記した本発明に係る上層膜形成用組成物により上層膜を形成する工程、レジスト膜を露光する工程、及び、露光されたレジスト膜を現像する工程を有するパターン形成方法である。
本発明のパターン形成方法は、ネガ型パターン形成方法であっても、ポジ型パターン形成方法であってもよい。
レジスト膜の上に、本発明に係る上層膜形成用組成物により上層膜を形成する工程は、レジスト膜上に本発明に係る上層膜形成用組成物を塗布することにより、レジスト膜上に上層膜を形成する工程bであることが好ましい。
レジスト膜を露光する工程は、上層膜が形成されたレジスト膜を露光する工程cとして後に説明する。
露光されたレジスト膜を現像する工程は、露光されたレジスト膜を、現像液を用いて現像してパターンを形成する工程dであることが好ましい。
工程aでは、レジスト組成物を基板上に塗布してレジスト膜を形成する。塗布方法としては、特に限定されず、従来公知のスピンコート法、スプレー法、ローラーコート法、浸漬法などを用いることができ、好ましくはスピンコート法である。
レジスト組成物を塗布後、必要に応じて基板を加熱(プリベーク)してもよい。これにより、不溶な残留溶剤の除去された膜を均一に形成することができる。プリベークの温度は特に限定されないが、50℃〜160℃が好ましく、より好ましくは、60℃〜140℃である。
レジスト膜の膜厚は、20〜200nmであることが好ましく、30〜100nmであることがより好ましい。
反射防止膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、アモルファスシリコン等の無機膜型と、吸光剤とポリマー材料からなる有機膜型のいずれも用いることができる。また、有機反射防止膜として、ブリューワーサイエンス社製のDUV30シリーズや、DUV−40シリーズ、シプレー社製のAR−2、AR−3、AR−5、日産化学社製のARC29AなどのARCシリーズ等の市販の有機反射防止膜を使用することもできる。
工程bでは、工程aで形成したレジスト膜上に、上層膜形成用組成物(トップコート組成物)を塗布し、その後、必要に応じて加熱(プリベーク(PB;Prebake))することにより、レジスト膜上に上層膜(以下、「トップコート」ともいう)を形成する。これにより、上述したように、現像後のレジストパターンにおいては、超微細の幅又は孔径(例えば、60nm以下)を有するトレンチパターン又はホールパターンを、高いDOF性能にて形成することができる。
本発明の効果がより優れるという理由から、工程bにおけるプリベークの温度(以下、「PB温度」ともいう)は、100℃以上が好ましく、105℃以上がより好ましく、110℃以上が更に好ましく、120℃以上が特に好ましく、120℃超が最も好ましい。
PB温度の上限値は、特に限定されないが、例えば、200℃以下が挙げられ、170℃以下が好ましく、160℃以下がより好ましく、150℃以下が更に好ましい。
なお、トップコート組成物を、レジスト膜の表面に、レジスト膜を溶解せずに均一に塗布するために、トップコート組成物は、レジスト膜を溶解しない溶剤を含有することが好ましい。レジスト膜を溶解しない溶剤としては、後述する有機系現像液とは異なる成分の溶剤を用いることがさらに好ましい。トップコート組成物の塗布方法は、特に限定されず、従来公知のスピンコート法、スプレー法、ローラーコート法、浸漬法などを用いることができる。
トップコート組成物の詳細は、上述の通りである。
トップコートを形成後、必要に応じて基板を加熱する。
トップコートの屈折率は、解像性の観点から、レジスト膜の屈折率に近いことが好ましい。
トップコートは液浸液に不溶であることが好ましく、水に不溶であることがより好ましい。
トップコートの後退接触角は、液浸液追随性の観点から、トップコートに対する液浸液の後退接触角(23℃)が50〜100度であることが好ましく、80〜100度であることがより好ましい。
液浸露光においては、露光ヘッドが高速でウエハ上をスキャンし露光パターンを形成していく動きに追随して、液浸液がウエハ上を動く必要があることから、動的な状態におけるレジスト膜に対する液浸液の接触角が重要になり、より良好なレジスト性能を得るためには、上記範囲の後退接触角を有することが好ましい。
ここで、トップコートの有機系現像液に対する溶解速度とは、トップコートを成膜した後に現像液に暴露した際の膜厚減少速度であり、本発明においては23℃の酢酸ブチル溶液に浸漬させた際の速度とする。
トップコートの有機系現像液に対する溶解速度を1nm/sec秒以上、好ましくは10nm/sec以上とすることによって、レジスト膜を現像した後の現像欠陥発生が低減する効果がある。また、300nm/sec以下、好ましくは100nm/sec以下とすることによって、おそらくは、液浸露光時の露光ムラが低減した影響で、レジスト膜を現像した後のパターンのラインエッジラフネスがより良好になるという効果がある。
トップコートはその他の公知の現像液、例えば、アルカリ水溶液などを用いて除去してもよい。使用できるアルカリ水溶液として具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液が挙げられる。
工程cにおける露光は、一般的に知られている方法により行うことができ、例えば、トップコートが形成されたレジスト膜に対して、所定のマスクを通して、活性光線又は放射線を照射する。このとき、好ましくは、活性光線又は放射線を、液浸液を介して照射するが、これに限定されるものではない。露光量は適宜設定できるが、通常1〜100mJ/cm2である。
本発明における露光装置に用いられる光源の波長は、特に限定されないが、250nm以下の波長の光を用いることが好ましく、その例としては、KrFエキシマレーザー光(248nm)、ArFエキシマレーザー光(193nm)、F2エキシマレーザー光(157nm)、EUV光(13.5nm)、電子線等が挙げられる。この中でも、ArFエキシマレーザー光(193nm)を用いることが好ましい。
液浸液は、露光波長に対して透明であり、かつ膜上に投影される光学像の歪みを最小限に留めるよう、屈折率の温度係数ができる限り小さい液体が好ましいが、特に露光光源がArFエキシマレーザー光(波長:193nm)である場合には、上述の観点に加えて、入手の容易さ、取り扱いのし易さといった点から水を用いるのが好ましい。
水を用いる場合、水の表面張力を減少させるとともに、界面活性力を増大させる添加剤(液体)を僅かな割合で添加してもよい。この添加剤は基板上のレジスト膜を溶解させず、且つレンズ素子の下面の光学コートに対する影響が無視できるものが好ましい。使用する水としては、蒸留水が好ましい。更にイオン交換フィルター等を通して濾過を行った純水を用いてもよい。これにより、不純物の混入による、レジスト膜上に投影される光学像の歪みを抑制することができる。
また、さらに屈折率が向上できるという点で屈折率1.5以上の媒体を用いることもできる。この媒体は、水溶液でもよく有機溶剤でもよい。
0℃である。PEBは、1回でも複数回であってもよい。
工程dにおいて使用される現像液は、アルカリ現像液であってもよく、有機溶剤を含む現像液であってもよい。アルカリ現像液による現像工程と有機溶剤を含む現像液による現像工程を組み合わせてもよい。
アルカリ現像液としては、通常、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドに代表される4級アンモニウム塩が用いられるが、これ以外にも無機アルカリ、1〜3級アミン、アルコールアミン、環状アミン等のアルカリ水溶液も使用可能である。
具体的には、アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水などの無機アルカリ類;エチルアミン、n−プロピルアミンなどの第一アミン類;ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミンなどの第二アミン類;トリエチルアミン、メチルジエチルアミンなどの第三アミン類;ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルコールアミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの第四級アンモニウム塩;ピロール、ピペリジンなどの環状アミン類;等のアルカリ性水溶液を使用することができる。これらの中でもテトラエチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液を用いることが好ましい。
さらに、上記アルカリ現像液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加してもよい。アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%である。アルカリ現像液のpHは、通常10.0〜15.0である。
アルカリ現像液を用いて現像を行う時間は、通常10〜300秒である。
アルカリ現像液のアルカリ濃度(及びpH)及び現像時間は、形成するパターンに応じて、適宜調整することができる。
アルカリ現像液を用いた現像の後にリンス液を用いて洗浄してもよく、そのリンス液としては、純水を使用し、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
また、現像処理または、リンス処理の後に、パターン上に付着している現像液またはリンス液を超臨界流体により除去する処理を行うことができる。
更に、リンス処理または超臨界流体による処理の後、パターン中に残存する水分を除去するために加熱処理を行うことができる。
ケトン系溶剤としては、例えば、国際公開2016/136596号の段落〔0276〕に記載のものが挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、国際公開2016/136596号の段落〔0276〕に記載のものが挙げられる。
アルコール系溶剤としては、例えば、国際公開2016/136596号の段落〔0276〕に記載のものが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、国際公開2016/136596号の段落〔0276〕に記載のグリコールエーテル系溶剤の他、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が使用できる。
炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤;ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素系溶剤;等が挙げられる。
なお、炭化水素系溶剤である脂肪族炭化水素系溶剤においては、同じ炭素数で異なる構造の化合物の混合物であってもよい。例えば、脂肪族炭化水素系溶媒としてデカンを使用した場合、同じ炭素数で異なる構造の化合物である2−メチルノナン、2,2−ジメチルオクタン、4−エチルオクタン、イソオクタンなどが脂肪族炭化水素系溶媒に含まれていてもよい。また、上記同じ炭素数で異なる構造の化合物は、1種のみが含まれていてもよいし、上記のように複数種含まれていてもよい。
上記の溶剤は、複数混合してもよいし、上記以外の溶剤や水と混合し使用してもよい。ただし、本発明の効果を十二分に奏するためには、現像液全体としての含水率が10質量%未満であることが好ましく、実質的に水分を含有しないことがより好ましい。
すなわち、有機系現像液に対する有機溶剤の使用量は、現像液の全量に対して、90質量%以上100質量%以下が好ましく、95質量%以上100質量%以下がより好ましい。
5kPa以下(2kPa以下)の蒸気圧を有する具体的な例としては、特開2014−71304号公報の段落[0165]に記載された溶剤が挙げられる。
界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、イオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができる。これらのフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、好ましくは、非イオン性の界面活性剤である。非イオン性の界面活性剤としては特に限定されないが、フッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を用いることが更に好ましい。
界面活性剤の使用量は現像液の全量に対して、通常0.001〜5質量%、好ましくは0.005〜2質量%、更に好ましくは0.01〜0.5質量%である。
有機系現像液は、塩基性化合物を含んでいてもよい。本発明で用いられる有機系現像液が含みうる塩基性化合物の具体例及び好ましい例としては、レジスト組成物が含みうる塩基性化合物として後述するものと同様である。
リンス液としては、レジストパターンを溶解しなければ特に制限はなく、一般的な有機溶剤を含む溶液を使用することができる。上記リンス液としては、例えば、有機系現像液に含まれる有機溶剤として前掲した、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤から選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。より好ましくは、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤から選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有するリンス液を用いて洗浄する工程を行う。更に好ましくは、炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤又はエステル系溶剤を含有するリンス液を用いて洗浄する工程を行う。特に好ましくは、1価アルコールを含有するリンス液を用いて洗浄する工程を行う。
リンス液としてエステル系溶剤を用いる場合には、エステル系溶剤(1種または2種以上)に加えて、グリコールエーテル系溶剤を用いてもよい。この場合の具体例としては、エステル系溶剤(好ましくは、酢酸ブチル)を主成分として、グリコールエーテル系溶剤(好ましくはプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME))を副成分として用いることが挙げられる。これにより、残渣欠陥が抑制される。
リンス液中の含水率は、10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。含水率を10質量%以下にすることで、良好な現像特性を得ることができる。
リンス液の蒸気圧は、20℃において0.05〜5kPaが好ましく、0.1〜5kPaがより好ましく、0.12〜3kPaがさらに好ましい。リンス液の蒸気圧を0.05〜5kPaにすることにより、ウエハ面内の温度均一性が向上し、更にはリンス液の浸透に起因した膨潤が抑制され、ウエハ面内の寸法均一性が良化する。
リンス液には、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
上記各種材料から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、フィルターを用いた濾過を挙げることができる。フィルター孔径としては、ポアサイズ10nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましく、3nm以下が更に好ましい。フィルターの材質としては、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、ナイロン製のフィルターが好ましい。フィルターは、有機溶剤であらかじめ洗浄したものを用いてもよい。フィルター濾過工程では、複数種類のフィルターを直列又は並列に接続して用いてもよい。複数種類のフィルターを使用する場合は、孔径及び/又は材質が異なるフィルターを組み合わせて使用しても良い。また、各種材料を複数回濾過してもよく、複数回濾過する工程が循環濾過工程であっても良い。
また、上記各種材料に含まれる金属等の不純物を低減する方法としては、各種材料を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する、各種材料を構成する原料に対してフィルター濾過を行う、装置内をテフロン(登録商標)でライニングする等してコンタミネーションを可能な限り抑制した条件下で蒸留を行う等の方法を挙げることができる。各種材料を構成する原料に対して行うフィルター濾過における好ましい条件は、上記した条件と同様である。
フィルター濾過の他、吸着材による不純物の除去を行っても良く、フィルター濾過と吸着材を組み合わせて使用しても良い。吸着材としては、公知の吸着材を用いることができ、例えば、シリカゲル、ゼオライトなどの無機系吸着材、活性炭などの有機系吸着材を使用することができる。
本発明のパターン形成方法は、DSA(Directed Self-Assembly)におけるガイドパターン形成(例えば、ACSNanoVol.4 No.8 Page4815-4823参照)にも用いることができる。
また、上記の方法によって形成されたレジストパターンは、例えば特開平3−270227号公報及び特開2013−164509号公報に開示されたスペーサープロセスの芯材(コア)として使用できる。
本発明の方法により形成されるパターンに対して、パターンの表面荒れを改善する方法を適用しても良い。パターンの表面荒れを改善する方法としては、例えば、WO2014/002808A1に開示された水素を含有するガスのプラズマによってレジストパターンを処理する方法が挙げられる。その他にも、特開2004−235468、US2010/0020297A、特開2009−19969、Proc. of SPIE Vol.8328 83280N−1”EUV Resist Curing Technique for LWR Reduction and Etch Selectivity Enhancement”に記載されているような公知の方法を適用してもよい。
次に、本発明のパターン形成方法に用いるレジスト組成物について説明する。
本発明におけるレジスト組成物は、ネガ型レジスト組成物であっても、ポジ型レジスト組成物であってもよく、典型的には、酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む現像液に対する溶解度が減少する樹脂を含有する。
酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む現像液に対する溶解度が減少する樹脂(以下、「樹脂(A)」ともいう)は、樹脂の主鎖若しくは側鎖、又は、主鎖及び側鎖の両方に、酸の作用により分解し、極性基を生じる基(以下、「酸分解性基」ともいう)を有する樹脂(以下、「酸分解性樹脂」又は「酸分解性樹脂(A)」ともいう)であることが好ましい。
さらに、樹脂(A)は、単環又は多環の脂環炭化水素構造を有する樹脂(以下、「脂環炭化水素系酸分解性樹脂」ともいう)であることがより好ましい。単環又は多環の脂環炭化水素構造を有する樹脂は、高い疎水性を有し、有機系現像液によりレジスト膜の光照射強度の弱い領域を現像する場合の現像性が向上すると考えられる。
好ましい極性基としては、カルボン酸基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール)、スルホン酸基等が挙げられる。
酸で分解し得る基(酸分解性基)として好ましい基は、これらの極性基の水素原子を酸で脱離する基で置換した基である。
酸で脱離する基としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、−C(R01)(R02)(OR39)等を挙げることができる。
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
R01〜R02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
酸分解性基としては好ましくは、クミルエステル基、エノールエステル基、アセタールエステル基、第3級のアルキルエステル基等である。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基である。
R11は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はsec−ブチル基を表し、Zは、炭素原子とともにシクロアルキル基を形成するのに必要な原子団を表す。
R12〜R16は、各々独立に、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル基を表す。但し、R12〜R14のうち少なくとも1つ、もしくはR15、R16のいずれかはシクロアルキル基を表す。
R17〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル基を表す。但し、R17〜R21のうち少なくとも1つはシクロアルキル基を表す。また、R19、R21のいずれかは炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル基を表す。
R22〜R25は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル基を表す。但し、R22〜R25のうち少なくとも1つはシクロアルキル基を表す。また、R23とR24は、互いに結合して環を形成していてもよい。
R11´及びR12´は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
Z´は、結合した2つの炭素原子(C−C)を含み、脂環式構造を形成するための原子団を表す。
R13´〜R16´は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、−COOH、−COOR5、酸の作用により分解する基、−C(=O)−X−A´−R17´、アルキル基あるいはシクロアルキル基を表す。Rl3´〜R16´のうち少なくとも2つが結合して環を形成してもよい。
ここで、R5は、アルキル基、シクロアルキル基又はラクトン構造を有する基を表す。
Xは、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−NHSO2−又は−NHSO2NH−を表す。
A´は、単結合又は2価の連結基を表す。
R17´は、−COOH、−COOR5、−CN、水酸基、アルコキシ基、−CO−NH−R6、−CO−NH−SO2−R6又はラクトン構造を有する基を表す。
R6は、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
nは、0又は1を表す。
Aは、単結合、アルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルホンアミド基、ウレタン基、又はウレア基よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせを表す。好ましくは単結合である。
Rp1は、上記式(pI)〜(pV)のいずれかの基を表す。
ラクトン基又はスルトン基としては、ラクトン構造又はスルトン構造を有していればいずれでも用いることができるが、好ましくは5〜7員環のラクトン構造又はスルトン構造であり、5〜7員環のラクトン構造又はスルトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものが好ましい。下記一般式(LC1−1)〜(LC1−17)、(SL1−1)及び(SL1−2)のいずれかで表されるラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。また、ラクトン構造又はスルトン構造が主鎖に直接結合していてもよい。好ましいラクトン構造又はスルトン構造としては(LC1−1)、(LC1−4)、(LC1−5)、(LC1−8)であり、(LC1−4)であることがより好ましい。特定のラクトン構造又はスルトン構造を用いることでLWR、現像欠陥が良好になる。
極性基で置換された脂環炭化水素構造としては、下記一般式(VIIa)〜(VIId)で表される部分構造が好ましい。
R2c〜R4cは、各々独立に、水素原子又は水酸基、シアノ基を表す。ただし、R2c〜R4cのうち少なくとも1つは水酸基、シアノ基を表す。好ましくはR2c〜R4cのうち1つまたは2つが水酸基で残りが水素原子である。
一般式(VIIa)において、更に好ましくはR2c〜R4cのうち2つが水酸基で残りが水素原子である。
R1cは、水素原子、メチル基、トリフロロメチル基、ヒドロキメチル基を表す。
R2c〜R4cは、一般式(VIIa)〜(VIIc)におけるR2c〜R4cと同義である。
分散度(分子量分布)は、通常1〜5であり、好ましくは1〜3、更に好ましくは1.2〜3.0、特に好ましくは1.2〜2.0の範囲のものが使用される。分散度の小さいものほど、解像度、レジスト形状が優れ、且つレジストパターンの側壁がスムーズであり、ラフネス性に優れる。
また、本発明において、樹脂(A)は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
本発明におけるレジスト組成物は、典型的には、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(「光酸発生剤」又は「化合物(B)」ともいう)を含有する。
化合物(B)は、低分子化合物の形態であっても良く、重合体の一部に組み込まれた形態であっても良い。また、低分子化合物の形態と重合体の一部に組み込まれた形態を併用しても良い。
化合物(B)が、低分子化合物の形態である場合、分子量が3000以下であることが好ましく、2000以下であることがより好ましく、1000以下であることが更に好ましい。
化合物(B)が、重合体の一部に組み込まれた形態である場合、前述した酸分解性樹脂の一部に組み込まれても良く、酸分解性樹脂とは異なる樹脂に組み込まれても良い。
本発明において、化合物(B)は、低分子化合物の形態であることが好ましい。
化合物(B)としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
化合物(B)としては、例えば、下記一般式(3)で表される活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(特定酸発生剤)を好適に挙げることができる。
一般式(3)中、
Xfは、各々独立に、フッ素原子、又は、少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
R4及びR5は、各々独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基、又は、少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、複数存在する場合のR4、R5は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Lは、2価の連結基を表し、複数存在する場合のLは同一でも異なっていてもよい。
Wは、環状構造を含む有機基を表す。
oは、1〜3の整数を表す。pは、0〜10の整数を表す。qは、0〜10の整数を表す。
Xfは、好ましくは、フッ素原子又は炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。Xfは、フッ素原子又はCF3であることがより好ましい。特に、双方のXfがフッ素原子であることが好ましい。
R4及びR5としてのアルキル基は、置換基を有していてもよく、炭素数1〜4のものが好ましい。R4及びR5は、好ましくは水素原子である。
少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基の具体例および好適な態様は一般式(3)中のXfの具体例および好適な態様と同じである。
2価の連結基としては、例えば、−COO−(−C(=O)−O−)、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜6)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3〜10)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2〜6)又はこれらの複数を組み合わせた2価の連結基などが挙げられる。これらの中でも、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CO−、−O−、−SO2−、−COO−アルキレン基−、−OCO−アルキレン基−、−CONH−アルキレン基−又は−NHCO−アルキレン基−が好ましく、−COO−、−OCO−、−CONH−、−SO2−、−COO−アルキレン基−又は−OCO−アルキレン基−がより好ましい。
環状の有機基としては、例えば、脂環基、アリール基、及び複素環基が挙げられる。
脂環基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。単環式の脂環基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロオクチル基などの単環のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環基としては、例えば、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が挙げられる。中でも、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ジアマンチル基及びアダマンチル基などの炭素数7以上のかさ高い構造を有する脂環基が、PEB(露光後加熱)工程での膜中拡散性の抑制及びMEEF(Mask Error Enhancement Factor)の向上の観点から好ましい。
複素環基は、単環式であってもよく、多環式であってもよいが、多環式の方がより酸の拡散を抑制可能である。また、複素環基は、芳香族性を有していてもよく、芳香族性を有していなくてもよい。芳香族性を有している複素環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、及びピリジン環が挙げられる。芳香族性を有していない複素環としては、例えば、テトラヒドロピラン環、ラクトン環、スルトン環及びデカヒドロイソキノリン環が挙げられる。複素環基における複素環としては、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、又はデカヒドロイソキノリン環が特に好ましい。また、ラクトン環及びスルトン環の例としては、前述の樹脂において例示したラクトン構造及びスルトン構造が挙げられる。
一態様において、一般式(3)中のoが1〜3の整数であり、pが1〜10の整数であり、qが0であることが好ましい。Xfは、フッ素原子であることが好ましく、R4及びR5は共に水素原子であることが好ましく、Wは多環式の炭化水素基であることが好ましい。oは1又は2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。pが1〜3の整数であることがより好ましく、1又は2であることが更に好ましく、1が特に好ましい。Wは多環のシクロアルキル基であることがより好ましく、アダマンチル基又はジアマンチル基であることが更に好ましい。
一般式(3)中、X+は、カチオンを表す。
X+は、カチオンであれば特に制限されないが、好適な態様としては、例えば、後述する一般式(ZI)中のカチオン(Z−以外の部分)が挙げられる。
特定酸発生剤の好適な態様としては、例えば、下記一般式(ZI)で表される化合物が挙げられる。
R201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
R201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
Z-は、一般式(3)中のアニオンを表し、具体的には、下記のアニオンを表す。
化合物(B)は、1種類単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
化合物(B)の組成物中の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全固形分を基準として、0.1〜30質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜25質量%、更に好ましくは3〜20質量%、特に好ましくは3〜15質量%である。
レジスト組成物は、通常、溶剤(C)を含有する。
溶剤(C)としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4〜10)、環を有してもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、及びピルビン酸アルキル等の有機溶剤が挙げられる。
これらの溶剤の具体例としては、米国特許出願公開2008/0187860号明細書[0441]〜[0455]に記載のものが挙げられる。
水酸基を含有する溶剤、及び水酸基を含有しない溶剤としては前述の例示化合物が適宜選択可能であるが、水酸基を含有する溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、又は乳酸アルキル等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME、別名1−メトキシ−2−プロパノール)、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、又は乳酸エチルがより好ましい。また、水酸基を含有しない溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルキルアルコキシプロピオネート、環を含有してもよいモノケトン化合物、環状ラクトン、又は酢酸アルキル等が好ましく、これらの内でもプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、別名1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、又は酢酸ブチルがより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、エチルエトキシプロピオネート、又は2−ヘプタノンが更に好ましい。
水酸基を含有する溶剤と水酸基を含有しない溶剤との混合比(質量比)は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜60/40である。水酸基を含有しない溶剤を50質量%以上含有する混合溶剤が塗布均一性の点で特に好ましい。
溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含むことが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート単独溶剤、又は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含有する2種類以上の混合溶剤であることが好ましい。
本発明におけるレジスト組成物は、(D)疎水性樹脂を含有してもよい。疎水性樹脂としては、レジスト上層膜形成用組成物において説明した前述の重合体(P)を好適に使用できる。疎水性樹脂は、常温(25℃)において、固体であることが好ましい。さらに、ガラス転移温度(Tg)は50〜250℃が好ましく、70〜250℃がより好ましく、80〜250℃が更に好ましく、90〜250℃が特に好ましく、100〜250℃が最も好ましい。疎水性樹脂は、単環式又は多環式のシクロアルキル基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。単環式又は多環式のシクロアルキル基は、繰り返し単位の主鎖及び側鎖のいずれに含まれていてもよい。
疎水性樹脂(D)は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
疎水性樹脂(D)の組成物中の含有量は、本発明のレジスト組成物中の全固形分に対し、一般的には0.01〜30質量%であり、0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜8質量%がより好ましく、0.1〜7質量%が更に好ましい。
本発明におけるレジスト組成物は、露光から加熱までの経時による性能変化を低減するために、(E)塩基性化合物を含有することが好ましい。
塩基性化合物としては、好ましくは、下記式(A)〜(E)で示される構造を有する化合物を挙げることができる。
R200、R201及びR202は、同一でも異なってもよく、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(炭素数6〜20)を表し、ここで、R201とR202は、互いに結合して環を形成してもよい。
R203、R204、R205及びR206は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜20個のアルキル基を表す。
これら一般式(A)〜(E)中のアルキル基は、無置換であることがより好ましい。
塩基性化合物の使用量は、本発明のレジスト組成物の固形分を基準として、通常、0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%である。
本発明におけるレジスト組成物は、更に(F)界面活性剤を含有することが好ましく、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することがより好ましい。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤としては、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、特開2002−277862号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
本発明におけるレジスト組成物は、(G)カルボン酸オニウム塩を含有してもよい。カルボン酸オニウム塩としては、カルボン酸スルホニウム塩、カルボン酸ヨードニウム塩、カルボン酸アンモニウム塩などを挙げることができる。特に、(G)カルボン酸オニウム塩としては、ヨードニウム塩、スルホニウム塩が好ましい。更に、(G)カルボン酸オニウム塩のカルボキシレート残基が芳香族基、炭素−炭素2重結合を含有しないことが好ましい。特に好ましいアニオン部としては、炭素数1〜30の直鎖、分岐、単環または多環環状アルキルカルボン酸アニオンが好ましい。さらに好ましくはこれらのアルキル基の一部または全てがフッ素置換されたカルボン酸のアニオンが好ましい。アルキル鎖中に酸素原子を含んでいてもよい。これにより220nm以下の光に対する透明性が確保され、感度、解像力が向上し、疎密依存性、露光マージンが改良される。
本発明におけるレジスト組成物には、必要に応じてさらに染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、アルカリ可溶性樹脂、溶解阻止剤及び現像液に対する溶解性を促進させる化合物(例えば、分子量1000以下のフェノール化合物、カルボキシル基を有する脂環族、又は脂肪族化合物)等を含有させることができる。
カルボキシル基を有する脂環族、又は脂肪族化合物の具体例としてはコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸などのステロイド構造を有するカルボン酸誘導体、アダマンタンカルボン酸誘導体、アダマンタンジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
固形分濃度とは、レジスト組成物の総重量に対する、溶剤を除く他のレジスト成分の重量の重量百分率である。
本発明の電子デバイスは、電気電子機器(家電、OA・メディア関連機器、光学用機器及び通信機器等)に、好適に、搭載される。
シクロヘキサノン 53.4gを窒素気流下、80℃に加熱した。この液を攪拌しながら、下記構造式(M−1)で表されるモノマー 47.1g、下記構造式(M−2)で表されるモノマー 43.3g、シクロヘキサノン 97.3g、及び、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル〔V−601、和光純薬工業(株)製〕2.7gの混合溶液を6時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で更に2時間攪拌した。これを下記(1)及び(2)のいずれかの精製方法にて処理し、重合体(P−5)10質量%の4−メチル−2−ペンタノール溶液を調製した。
(2)重合反応液に多量のメタノールを接触させることで重合体を再沈殿させた後、反応釜(重合装置)から溶媒を除去し(留去ではない)、さらに酢酸エチル200g、酸性化合物を含有する水としての0.1Nの希塩酸200gを加えた。撹拌、分離後、上層を回収し、0.1Nの希塩酸200gを加えた。さらに撹拌、分離後、上層を回収し、水200gを加えた。再び撹拌、分離後、上層を回収し、重合体溶液における溶媒を4−メチル−2−ペンタノールに置換した。
2−ブタノン 268g、下記構造式M−1で表されるモノマー 160g、下記構造式M−2で表されるモノマー 95.3gを窒素気流下、75℃に加熱した。この液を攪拌しながら、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)12.1gを2−ブタノン18.3gに溶解させた溶液を5分間かけて滴下し、6時間熟成した。
次いで、得られた重合反応液に2−ブタノンを加えて222gに希釈した後、分液漏斗に移した。この分液漏斗にメタノール222g及びn−ヘキサン1,111gを投入し、分液精製を実施した。分離後、下層液を168g回収した。回収した下層液にメタノール168g及びn−ヘキサン842gを投入し、分液精製を実施した。分離後、下層液を219g回収した。回収した下層液に2−ブタノン109g及びn−ヘキサン656gを投入し、分液精製を実施した。分離後、上層液を806g回収した。回収した上層液を4−メチル−2−ペンタノールに置換し、フッ素原子含有重合体を含む溶液を400g得た。次いで、得られた溶液を分液漏斗に移し、この分液漏斗に水400gを投入し、分液精製を実施した後、上層液を440g回収した。回収した上層液を4−メチル−2−ペンタノールに置換し、フッ素原子含有重合体(P’−1)を含む溶液を得た。この精製方法を後の表では「(3)」と記す。
シクロヘキサノン 268gを窒素気流下、80℃に加熱した。この液を攪拌しながら、下記構造式M−1で表されるモノマー 160g、下記構造式M−2で表されるモノマー 95.3g、シクロヘキサノン 498g、及び、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル〔V−601、和光純薬工業(株)製〕5.54g)の混合溶液を6時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で更に2時間攪拌した。反応液を放冷後、多量メタノールで再沈殿、ろ過し、得られたウェット個体を4−メチル−2−プロパノールに再溶解し、減圧下で加熱しながら残存しているメタノールとシクロヘキサノンを追い出した後に、重合体溶液を0.05μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターでろ過して、重合体(P’−1)10質量%の4−メチル−2−ペンタノール溶液 2210gを調製した。この精製方法を後の表では「(4)」と記す。
下記表に示す成分を下記に示す溶剤に溶解させ、固形分濃度2.7質量%の溶液を調製し、これを0.03μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターでろ過して、上層膜形成用組成物(1)〜(10)を調製した。下表1の表中、添加剤(AD)の含有量(質量%)は、上層膜形成用組成物の全固形分を基準とするものである。
S−1:4−メチル−2−ペンタノール
S−2:3−ペンテン−2−オン
S−3:2−ノナノン
S−4:デカン
S−5:2−ノナノン
S−6:イソアミルエーテル
S−7:イソ酪酸イソブチル
表2に記載の各成分を溶剤に溶解させ、固形分濃度4質量%の溶液を調製し、これを0.05μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターで濾過することで、レジスト組成物を調製した。
以下、樹脂(A)の構造を以下に示す。また、下記表3に、各樹脂における繰り返し単位のモル比率(構造式における左から順)、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を示す。
W−1:メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製、フッ素系)
W−2:メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製、フッ素及びシリコン系)
W−3:ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製、シリコン系)
W−4:トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)
W−5:PF656(OMNOVA社製、フッ素系)
W−6:PF6320(OMNOVA社製、フッ素系)
SL−1’: シクロヘキサノン
SL−2’: プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA:1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)
SL−3’: 乳酸エチル
SL−4’: プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME:1−メトキシ−2−プロパノール)
SL−5’: γ−ブチロラクトン
SL−6’: プロピレンカーボネート
シリコンウエハ上に有機反射防止膜形成用組成物ARC29SR(Brewer Science社製)を塗布し、205℃で60秒間ベークして、膜厚98nmの反射防止膜を形成した。その上に、表2に示すレジスト組成物を塗布し、100℃で60秒間ベークして、膜厚90nmのレジスト膜を形成した。次いで、レジスト膜の上層に、表1に記載の上層膜形成用組成物を塗布し、90℃で60秒間ベークして、膜厚100nmのレジスト上層膜を形成した。
レジスト膜に対して、ArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製;XT1700i、NA1.20、C−Quad、アウターシグマ0.730、インナーシグマ0.630、XY偏向)を用いて、線幅75nmの1:1ラインアンドスペースパターンの6%ハーフトーンマスクを介して露光した。液浸液は、超純水を使用した。
露光後のレジスト膜を120℃で60秒間ベークした後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液(2.38質量%)で30秒間現像し、次いで純水で30秒間リンスした。その後、これをスピン乾燥してポジ型のレジストパターンを得た。
走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9220)を用いて、得られたレジストパターンを下記の方法で、金属含有量、エッチング後欠陥、エッチング後ラインウィズスラフネス(Line Width Roughness;LWR)について、下記の方法に基づき、評価した。結果を下表4に示す。
各上層膜形成用組成物を全固形分濃度が0.27質量%となるようにN−メチルピロリドン(N−methylpyrrolidone;NMP)にて希釈し、ICP−質量分析計(PerkinElmer社製の「NexION 2000」)を用いて、各組成物に含まれる金属(Na原子、K原子、Mg原子、Al原子、Ca原子、Cr原子、Mn原子、Fe原子、Ni原子、Cu原子、Zn原子、Pb原子、Sn原子、Co原子、Li原子、Ti原子、Ag原子、W原子、V原子、Ba原子、Au原子、As原子、Cd原子、Mo原子、Zr原子)について含有量を測定した。その各含有量の測定値から金属の合計含有量を算出した。
上記のようにして形成したパターンを加工マスクとして、HITACHI U−621でAr/C4F6/O2ガス(体積比率100/4/2の混合ガス)を用い、シリコンウエハを60秒間ドライエッチング処理した。ドライエッチング処理を行った後に、得られたパターンに対して、ケー・エル・エー・テンコール社製の欠陥検査装置KLA2360(商品名)を用い、欠陥検査装置のピクセルサイズを0.16μmに、また閾値を20に設定して、ランダムモードで測定し、比較イメージとピクセル単位の重ね合わせによって生じる差異から抽出される欠陥を検出して、単位面積あたりの欠陥数(個/cm2)を算出した。値が0.3未満のものをA、0.3以上0.8未満のものをB、0.8以上のものをCとした。値が小さいほど良好な性能であることを示す。
上記のようにして形成したパターンを加工マスクとして、HITACHI U−621でAr/C4F6/O2ガス(体積比率100/4/2の混合ガス)を用い、シリコンウエハを60秒間ドライエッチング処理した。ドライエッチング処理を行った後に、得られたパターンに対して、測長走査型電子顕微鏡(SEM((株)日立製作所S−9380II))を使用してパターン上部から観察する際、線幅を任意のポイントで観測し、ラフネスが殆ど見られないものをA、ラフネスがやや見られるものをB、ラフネスが大きいものをCで分類した。
下記表5に示す成分を下記表5に示す溶剤に溶解させ、固形分濃度3.5質量%の溶液を調製し、これを0.03μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターでろ過して、レジスト組成物Re−1〜Re−12を調製した。
以下、樹脂(1)’〜(12)’における各繰り返し単位の組成比(モル比;左から順に対応)、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を、表6にまとめて示す。
疎水性樹脂としては、表7に示す樹脂(B−1)〜(B−8)を使用した。
SL−1”: プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
SL−2”: シクロヘキサノン
SL−3”: プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
SL−4”: γ−ブチロラクトン
レジスト膜に対して、ArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製;XT1700i、NA1.20、C−Quad、アウターシグマ0.730、インナーシグマ0.630、XY偏向)を用いて、線幅75nmの1:1ラインアンドスペースパターンの6%ハーフトーンマスクを介して露光した。液浸液は、超純水を使用した。
露光後のレジスト膜を120℃で60秒間ベークした後、表8に記載の有機系現像液で30秒間現像し、次いで表8に記載のリンス液で30秒間リンスした。その後、これをスピン乾燥してネガ型のレジストパターンを得た。
走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9220)を用いて、得られたレジストパターンを下記の方法で、金属含有量、エッチング後欠陥、エッチング後LWRについて、上述の方法に基づき、評価した。結果を下表8に示す。
Claims (8)
- 下記一般式(i)又は(ii)で表される繰り返し単位を有する重合体(P)を含有し、金属の合計含有量が25ppb以下であるレジスト上層膜形成用組成物。
上記一般式(i)中、R 1 は、単結合又は二価の連結基を表す。R 2 及びR 3 は、それぞれ独立して、フッ素原子を有する一価の有機基を表す。R 4 は、水素原子、又は、塩基解離性基を表す。R 5 は一価の有機基を表す。
上記一般式(ii)中、Raは、一価の有機基を表す。Rfは、フッ素原子を有する炭化水素基を表す。 - 前記レジスト上層膜形成用組成物の固形分濃度が0.1〜15質量%である、請求項1に記載のレジスト上層膜形成用組成物。
- 下記一般式(i)又は(ii)で表される繰り返し単位を有する重合体(P)に対して、有機溶剤と、酸性化合物を含有する水とを加えて撹拌し、分離後、上層を回収する工程を含む液液抽出による精製を行う、重合体の製造方法。
上記一般式(i)中、R 1 は、単結合又は二価の連結基を表す。R 2 及びR 3 は、それぞれ独立して、フッ素原子を有する一価の有機基を表す。R 4 は、水素原子、又は、塩基解離性基を表す。R 5 は一価の有機基を表す。
上記一般式(ii)中、Raは、一価の有機基を表す。Rfは、フッ素原子を有する炭化水素基を表す。 - レジスト膜の上に、請求項1又は2に記載のレジスト上層膜形成用組成物によりレジスト上層膜を形成する工程、
前記レジスト膜を露光する工程、及び、
前記露光されたレジスト膜を現像液により現像する工程を有するパターン形成方法。 - 前記露光が液浸露光である、請求項4に記載のパターン形成方法。
- 前記現像液が、有機溶剤を含む現像液である、請求項4又は5に記載のパターン形成方法。
- 前記現像液が、アルカリ現像液である、請求項4又は5に記載のパターン形成方法。
- 請求項4〜7のいずれか1項に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
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