JP6795371B2 - ホウ素濃度計及びホウ素濃度の推定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液中のホウ素濃度を計測するためのホウ素濃度計及びその推定方法に関する。
液中に含まれるホウ素の濃度の計測方法として、従来種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、測定対象物に対して中性子線源から速中性子を放出して、この速中性子が前記測定対象物中で変換されて成る熱中性子の数を熱中性子検出器により計測して、その計測結果から前記測定対象物に含有されるホウ素の濃度を求めるホウ素濃度の計測方法が開示されている。この計測方法では、熱中性子の計数比(測定対象物における熱中性子の計数値/測定基準体における熱中性子の計数値)とホウ素濃度との関係を予め求めておき、その関係に基づいて測定対象物におけるホウ素の濃度を推定している(特許文献1([0020]並びに図3及び図4参照)。この計測方法によれば、検水の採取及び前処理を行うことなく、測定対象物中のホウ素濃度を連続的に計測することが可能になる。
特開2002−350369号公報
上述した従来の計測方法の場合、ホウ素濃度を推定する基になる熱中性子の計数比は、測定基準体における熱中性子の計数値に対する測定対象物における熱中性子の計数値の比率であるところ、これらの計数は異なるタイミングで行われるため、測定基準体と測定対象物とでは熱中性子の計数環境を一致させることは極めて困難であり、これらの計測環境が大きく異なることもあり得る。このように異なる計数環境の下で得られた熱中性子の計数比を基にして得られるホウ素濃度は、信頼性が高い値ではない場合がある。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、上記課題を解決することができるホウ素濃度計及びホウ素濃度の推定方法を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様のホウ素濃度計は、高速中性子を放射する中性子線源と、前記中性子線源により高速中性子が放射される被測定溶液を収容する第1収容部、及び当該第1収容部に収容された被測定溶液中で高速中性子が変換されて生じた熱中性子を検出する第1検出器を具備する測定セルと、前記中性子線源により高速中性子が放射され、ホウ素を含まない参照用溶液を収容する第2収容部、及び当該第2収容部に収容された参照用溶液中で高速中性子が変換されて生じた熱中性子を検出する第2検出器を具備する参照セルと、前記第1検出器によって検出された熱中性子の数前記第2検出器によって検出された熱中性子の数との第1の差に基づいて、被測定溶液中のホウ素濃度を推定する推定手段とを備え、前記推定手段は、前記第1収容部及び前記第2収容部にホウ素を含まない溶液が収容された状態で前記中性子線源によって高速中性子が放射された場合に、前記第1検出器によって検出された熱中性子の数と前記第2検出器によって検出された熱中性子の数との第2の差をゼロにするための補正係数を用いて、前記第1の差を補正する。
この態様において、前記第1収容部及び前記第2収容部の収容空間は、前記中性子線源を中心に線対称の形状をなしていることが好ましい。
また、上記態様において、前記第1検出器及び前記第2検出器は、前記中性子線源を中心に線対称に設けられていることが好ましい。
また、上記態様において、前記測定セルは、前記被測定溶液を前記第1収容部に流入させるための流入口、及び前記被測定溶液を前記第1収容部から流出させるための流出口を有していることが好ましい。
本発明の一の態様のホウ素濃度の推定方法は、中性子線源と、被測定溶液を収容する第1収容部を備える測定セルと、参照用溶液を収容する第2収容部を備える参照セルとを用いて、前記被測定溶液中のホウ素濃度を推定するホウ素濃度の推定方法であって、前記第1収容部に収容されている被測定溶液及び前記第2収容部に収容されている参照用溶液に対して、中性子線源から高速中性子を放射するステップと、前記被測定溶液中及び前記参照用溶液中で高速中性子が変換されて生じた熱中性子を検出するステップと、検出した前記被測定溶液中の熱中性子の数前記参照用溶液中の熱中性子の数との第1の差に基づいて、被測定溶液中のホウ素濃度を推定するステップとを有し、前記推定するステップでは、前記第1収容部及び前記第2収容部にホウ素を含まない溶液が収容された状態で前記中性子線源によって高速中性子が放射された場合に、前記第1収容部に収容されている溶液中で検出された熱中性子の数と前記第2収容部に収容されている溶液中で検出された熱中性子の数との第2の差をゼロにするための補正係数を用いて、前記第1の差を補正する。
本発明に係るホウ素濃度計及びホウ素濃度の推定方法によれば、液中のホウ素濃度について信頼性が高い推定値を得ることができる。
実施の形態に係るホウ素濃度計の構成を模式的に示すブロック図。 実施の形態に係る濃度計本体の構成を示す正面図。 実施の形態に係る濃度計本体の構成を示す平面図。 図3のIV-IV線矢視断面図。 図2のV-V線矢視断面図。 中性子線源及び中性子線源収容部の構成を示す正面図。 熱中性子の計数差とホウ素濃度との関係を示すグラフ。 ホウ素濃度推定処理の手順を示すフローチャート。
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す各実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
(ホウ素濃度計の構成)
図1は、本実施の形態に係るホウ素濃度計の構成を模式的に示すブロック図である。図1に示すように、ホウ素濃度計1は、濃度計本体1aと、濃度計本体1aから入力された情報に基づいて液中のホウ素濃度の推定を行う制御装置1bを備えている。制御装置1bは、第1カウンタ40、第2カウンタ50、演算部60、記憶部70及び表示部80を備えている。なお、制御装置1bとしては、例えばパーソナルコンピュータを用いることができる。
濃度計本体1aは、ホウ素濃度の測定対象である被測定溶液を収容する測定セル10と、ホウ素を実質的に含まない参照用溶液を収容する参照セル20と、これら被測定溶液及び参照用溶液に対して高速中性子を放射する中性子線源30とを備えている。ここで、ホウ素を実質的に含まないとは、参照用溶液においてホウ素が0.1mg/L(水質環境基準の1/10)程度未満しか存在しないことを意味する。測定セル10及び参照セル20のそれぞれが備える各溶液の収容空間は、仕切り板31によって仕切られている。
測定セル10は、被測定溶液を外部から流入させるための流入管12及び外部へ流出させるための流出管13と接続されている。被測定溶液は、流入管12を介して外部から測定セル10に対して流入し、ホウ素濃度の測定が行われた後、流出管13を介して外部へ流出する。
また、測定セル10は、被測定溶液中で高速中性子が変換されて生じた熱中性子を検出する第1検出器11を備えている。この第1検出器11は、第1カウンタ40と接続されており、熱中性子の検出結果を示す信号をこの第1カウンタ40に対して出力する。同様にして、参照セル20は、参照用溶液中で高速中性子が変換されて生じた熱中性子を検出する第2検出器21を備えている。この第2検出器21は、第2カウンタ50と接続されており、熱中性子の検出結果を示す信号をこの第2カウンタ50に対して出力する。
第1カウンタ40及び第2カウンタ50は、第1検出器11及び第2検出器21からそれぞれ入力された信号に基づいて熱中性子の数を計数し、その計数結果を示す信号を演算部60に出力する。演算部60は、第1カウンタ40及び第2カウンタ50から入力された信号と、記憶部70に記憶されているコンピュータプログラム及び各種データとを用いて、後述するように被測定溶液のホウ素濃度を推定し、その推定結果を示す信号を表示部80に出力する。表示部80は、その推定結果を示す情報を画面上に表示する。
以下、図2乃至図5を参照しながら、濃度計本体1aの詳細な構成について説明する。図2及び図3はそれぞれ、本実施の形態に係る濃度計本体1aの構成を示す正面図及び平面図である。また、図4及び図5はそれぞれ、図3のIV -IV線矢視断面図及び図2のV-V線矢視断面図である。
図2乃至図5に示すように、濃度計本体1aは、円筒状の円管部2を備えている。この円管部2の両端には、円管部2の開口部を塞ぐ円板状の管板15,15が設けられている。各管板15は、第1管板15a及び第2管板15bが積層されて構成されている。管板15において測定セル10及び参照セル20のそれぞれに対応する位置には、2つの円形状の貫通孔が設けられており、このうち、参照セル20に対応する位置に設けられている貫通孔は、当該貫通孔を塞ぐための閉塞部材26によって閉塞されている。他方、測定セル10に対応する位置に設けられている貫通孔は閉塞されず、流入管12及び流出管13と連通している。より具体的には、管板15,15と流入管12及び流出管13との間に、流入管12及び流出管13の内径と同一径の貫通孔を有している円形板16が設けられており、この円形板16の貫通孔を介して、管板15,15において測定セル10に対応する位置に設けられた貫通孔と流入管12及び流出管13とが連通している。なお、円形板16は、貫通孔が形成された第1円形板16a及び第2円形板16bが積層されて構成されている。
円管部2は、測定セル10及び参照セル20によって構成されている。図4に示すように、測定セル10は被測定溶液を収容する第1収容部14を備えており、参照セル20は参照用溶液を収容する第2収容部24を備えている。これらの第1収容部14及び第2収容部24は、熱中性子を実質的に吸収しない材料によって構成されている。図5に示すように、円管部2の内部は、仕切り板31によって半円筒状をなす同一形状の2つの空間に分割されており、これらの空間のうちの一方が第1収容部14の収容空間14aとなり、他方が第2収容部24の収容空間24aとなっている。収容空間14a及び24aの大きさは特定のものに限定されないが、液中において熱中性子が移動する範囲を考慮すれば、半円筒の半径Rは100mm以下が好ましく、50mm以下がより好ましい。
図4に示すとおり、第1収容部14において、流入管12及び流出管13と対応する位置には、流入口14b及び流出口14cがそれぞれ設けられている。これらの流入口14b及び流出口14cを介して、第1収容部14の収容空間14aと流入管12及び流出管13とがそれぞれ連通する。これにより、流入管12を介して外部から被測定溶液が収容空間14aに流入するとともに、流出管13を介して収容空間14aから外部へ被測定溶液が流出する。その結果、後述するようにホウ素濃度の連続的な測定が可能になる。
第2収容部24の収容空間24aには参照用溶液が封入されている。作業者は、閉塞部材26,26の何れかを取り外すことによって管板15の貫通孔を開放し、その貫通孔を介して参照用溶液を収容空間24aに供給する。その後、取り外した閉塞部材26を管板15に取り付けて貫通孔を閉塞することにより、収容空間24aに参照用溶液が封入される。本実施の形態において、参照用溶液はホウ素を実質的に含まない溶液である。例えば水又は海水等が参照用溶液として用いられる。
仕切り板31には、図4の紙面上下方向に貫通する円筒状の貫通孔が設けられており、その貫通孔には円筒状の中性子線源収容部33が収容されている。中性子線源収容部33は、管板15上に設けられた係止具32によって管板15に係止されている。この中性子線源収容部33内に中性子線源30が収容されている。中性子線源30は、高速中性子を全方向に放射する線源であり、例えば、カリホルニウム252(Cf−252)中性子密封線源を用いることができる。この中性子線源30は、図6にも示すとおり、その先端部が中性子線源収容部33から露出している。上述した第1収容部14の収容空間14a及び第2収容部24の収容空間24aは、中性子線源30における中性子線源収容部33からの露出部分を中心に線対称の形状をなしている。
測定セル10が備える第1検出器11は、第1収容部14の外周面に対向して配設されており、第1収容部14を通過した熱中性子を検出する。同様にして、参照セル20が備える第2検出器21は、第2収容部24の外周面に対向して配設されており、第2収容部24を通過した熱中性子を検出する。ここで、第1検出器11及び第2検出器21は、中性子線源30における中性子線源収容部33からの露出部分を中心に線対称に設けられている。第1検出器11及び第2検出器21としては、例えばHe3検出器を用いることができる。
中性子線源30から放射された高速中性子は、測定セル10及び参照セル20にそれぞれ収容されている被測定溶液及び参照用溶液を通過する。このとき、高速中性子の一部が各溶液を構成する原子核に衝突して減速し、熱中性子に変換される。このようにして生じた熱中性子の一部は溶液中の元素と衝突して吸収される。熱中性子は、比較的軽い元素に吸収されやすい。比較的軽い元素の主なものにおける熱中性子の吸収断面積は、表1に示すとおりである。
Figure 0006795371
各溶液に対して放射された高速中性子は、溶液中の大量の水素原子に衝突して減速することにより熱中性子になり、その熱中性子は溶液中を伝播する。ここで、熱中性子の吸収断面積が他の元素と比べて格段に大きいホウ素が溶液中に存在する場合、熱中性子の多くがホウ素に吸収されるため、溶液中の熱中性子の数が減少する。他方、ホウ素は存在せず、ホウ素とは異なる他の元素が存在する溶液においては、熱中性子が当該他の元素に吸収されることはほとんどないため、溶液中の熱中性子の数の減少は極めて僅かである。上記のとおり、本実施の形態において参照用溶液はホウ素を実質的に含んでいないため、熱中性子の減少量は、参照用溶液よりも被測定溶液の方が大きくなる。そのため、各溶液において熱中性子を計数した場合、その数には差が生じることになる。この計数差と被測定溶液中のホウ素濃度との関係を予め求めておくことにより、後述するように被測定溶液中のホウ素濃度の推定を行うことが可能になる。
上記の熱中性子の計数差とホウ素濃度との関係を示すデータは、制御装置1bの記憶部70に予め記憶されている。以下、この関係をホウ素濃度検量線と称する。図7は、そのホウ素濃度検量線のグラフの一例を示す図である。このグラフにおいて、縦軸は熱中性子の計数差(−(Nm−Mr)個/min)を、横軸は被測定溶液中のホウ素濃度(ppm)をそれぞれ示している。ここで、Nmは測定セル10における熱中性子の計数値を、Mrは参照セル20における熱中性子の計数値をそれぞれ意味している。
制御装置1bの演算部60は、ホウ素濃度の測定時における被測定溶液及び参照用溶液での熱中性子の計数差と、上記のホウ素濃度検量線とを用いることにより、被測定溶液中のホウ素濃度を推定する。
なお、被測定溶液中にホウ素が存在しなければ、被測定溶液及び参照用溶液での熱中性子の計数差はほぼゼロになるはずであるが、実際には、中性子の方向、測定セル10及び参照セル20の製作誤差、並びに測定環境中の外乱となる熱中性子の存在等によって、ゼロにはならないことが多い。そのため、この場合の熱中性子の計数差がゼロになるような操作を実施しておくことが好ましい。例えば、ホウ素が存在しない溶液を測定セル10及び参照セル20に収容させ、中性子線源33から高速中性子を放射させた後に各溶液の熱中性子を計数した上で、測定セル10における計数値に特定の係数(以下、「補正係数」という)を乗ずることによってそれらの計数差をゼロにすること等が想定される。本実施の形態では、この補正係数を用いて熱中性子の計数差を算出することとする。具体的には、測定セル10における熱中性子の計数値に当該補正係数を乗じて得た値と参照セル20における熱中性子の計数値との差を、熱中性子の計数差とする。
(ホウ素濃度計の動作)
次に、上述したように構成されているホウ素濃度計1の動作について、フローチャートを参照しながら説明する。以下では、海水淡水化プラントにおいて海水から得られた淡水中のホウ素濃度を計測する場合を例に挙げて説明する。
海水淡水化プラントは、海水から得られた淡水を貯蔵するタンクを備えている。このタンクと濃度計本体1aが備える流入管12とが接続されており、当該タンクから流入管12に対して連続して淡水が供給可能とされている。これにより、流入管12を介して測定セル10が備える第1収容部14の収容空間14aに淡水(被測定溶液)が供給される。他方、参照セル20が備える第2収容部24の収容空間24aには、ホウ素を実質的に含んでいない参照用溶液が上述したようにして事前に封入されている。以上により、事前準備が完了する。
図8は、本実施の形態のホウ素濃度計によって実行されるホウ素濃度推定処理の手順を示すフローチャートである。上述したようにして被測定溶液及び参照用溶液が収容空間14a及び24aにそれぞれ収容された後、中性子線源30から全方向に高速中性子が放射される。これにより、中性子線源30における中性子線源収容部33からの露出部分から、被測定溶液及び参照用溶液に対して高速中性子が放射される(S101)。このようにして放射された高速中性子は、各溶液中を伝播する。そのように伝播する際、高速中性子の一部は、各溶液を構成する原子核に衝突して減速し、熱中性子に変換される。
被測定溶液中で高速中性子から変換された熱中性子の一部は、被測定溶液中に存在している元素に衝突して吸収される。上述したように、ホウ素は熱中性子の吸収断面積が他の元素と比べて格段に大きいため、被測定溶液中の元素に吸収される熱中性子のほとんどはホウ素に衝突して吸収されることになる。他方、当該元素に吸収されずに第1収容部14を通過した熱中性子は、第1収容部14の外周面に設けられた第1検出器11によって検出される(S102)。
また、参照用溶液中で高速中性子から変換された熱中性子の一部は、被測定溶液中に存在している元素に衝突して吸収される。但し、参照用溶液にはホウ素が実質的に存在していないため、ほとんどの熱中性子は吸収されることなく第2収容部24を通過する。このようにして第2収容部24を通過した熱中性子は、第2収容部24の外周面に設けられた第2検出器21によって検出される(S102)。
上述した熱中性子の検出は一定時間(例えば、1分間)にわたって行われ、その検出結果を示す信号が第1検出器11及び第2検出器21からそれぞれ第1カウンタ40及び第2カウンタ50に対して出力される。第1カウンタ40及び第2カウンタ50はそれぞれ、入力された信号に基づいて測定セル10及び参照セル20における熱中性子の数を計数し(S103)、その計数結果を示す信号を演算部60へ出力する。
演算部60は、第1カウンタ40及び第2カウンタ50から入力された信号に基づいて、測定セル10及び参照セル20における熱中性子の計数差を算出する(S104)。このとき、演算部60は、上記のとおり補正係数を用いて測定セル10における熱中性子の計数値を補正した上で、計数差を算出する。
次に、演算部60は、算出した熱中性子の計数差を記憶部70に記憶されているホウ素濃度検量線に当てはめることによって、被測定溶液中のホウ素濃度を推定する(S105)。このようにして推定された被測定溶液中のホウ素濃度は、表示部80上に表示される(S106)。
上記のようにして被測定溶液中のホウ素濃度の推定が行われた後、第1収容部14の収容空間14aから流出管13を介して被測定溶液が外部へ排出されるとともに、流入管12を介して被測定溶液が収容空間14aに供給されることによって、被測定溶液の入れ替えが行われる。このように、ホウ素濃度の推定及び被測定溶液の入れ替えが繰り返し行われることによって、上記タンク中の淡水についてホウ素濃度の測定が連続して行われることになる。
上述したように、本実施の形態の場合、測定セル10及び参照セル20のそれぞれに対して中性子線源30が同一のタイミングで高速中性子を放射し、測定セル10及び参照セル20のそれぞれにおいて高速中性子が変換されて生じた熱中性子の検出を行い、その数が計数される。そのため、測定セル10において熱中性子を計数する際の環境と、その比較対象である参照セル20における熱中性子を計数する際の環境とを一致させやすいというメリットがある。このようにして得られた熱中性子の計数差に基づいて推定される被測定溶液中のホウ素濃度は、信頼性が高い値であるといえる。
また、本実施の形態の場合、第1収容部14の収容空間14a及び第2収容部24の収容空間24aが中性子線源33を中心に線対称の形状をなしているため、熱中性子の計数環境が測定セル10と参照セル20とでさらに一致しやすくなる。しかも、第1検出器11及び第2検出器21が中性子線源33を中心に線対称に配置されているため、これらの計数環境はより一層一致しやすくなる。したがって、ホウ素濃度の推定値の信頼性を向上させることが可能になる。
(その他の実施の形態)
上述した実施の形態においては、第1収容部14の収容空間14a及び第2収容部24の収容空間24aが半円筒状であるが、これに限定されるわけではなく、円筒状等の他の形状でもよい。また、第1収容部14の収容空間14a及び第2収容部24の収容空間24aが中性子線源30を中心に線対称の形状をなしているが、このように線対称の形状をなしていなくても構わない。但し、ホウ素濃度の推定値の信頼性を高めるためには、本実施の形態のように中性子線源33を中心に線対称の形状をなしていることが好ましい。
また、上述した実施の形態においては、第1検出器11及び第2検出器21が中性子線源33を中心に線対称に配置されているが、線対称に配置されていなくても構わない。但し、ホウ素濃度の推定値の信頼性を高めるためには、本実施の形態のように中性子線源33を中心に線対称に配置されていることが好ましい。
本発明のホウ素濃度計及びホウ素濃度の推定方法はそれぞれ、海水淡水化プラント等に設けられるホウ素濃度計及び海水淡水化プラント等で用いられるホウ素濃度の推定方法等として有用である。
1 ホウ素濃度計
1a 濃度計本体
1b 制御装置
2 円管部
10 測定セル
11 第1検出器
12 流入管
13 流出管
14 第1収容部
14a 収容空間
14b 流入口
14c 流出口
15 管板
20 参照セル
21 第2検出器
24 第2収容部
24a 収容空間
30 中性子線源
31 仕切り板
32 係止具
33 中性子線源収容部
40 第1カウンタ
50 第2カウンタ
60 演算部
70 記憶部
80 表示部

Claims (5)

  1. 高速中性子を放射する中性子線源と、
    前記中性子線源により高速中性子が放射される被測定溶液を収容する第1収容部、及び当該第1収容部に収容された被測定溶液中で高速中性子が変換されて生じた熱中性子を検出する第1検出器を具備する測定セルと、
    前記中性子線源により高速中性子が放射され、ホウ素を含まない参照用溶液を収容する第2収容部、及び当該第2収容部に収容された参照用溶液中で高速中性子が変換されて生じた熱中性子を検出する第2検出器を具備する参照セルと、
    前記第1検出器によって検出された熱中性子の数前記第2検出器によって検出された熱中性子の数との第1の差に基づいて、被測定溶液中のホウ素濃度を推定する推定手段と
    を備え
    前記推定手段は、前記第1収容部及び前記第2収容部にホウ素を含まない溶液が収容された状態で前記中性子線源によって高速中性子が放射された場合に、前記第1検出器によって検出された熱中性子の数と前記第2検出器によって検出された熱中性子の数との第2の差をゼロにするための補正係数を用いて、前記第1の差を補正する、
    ホウ素濃度計。
  2. 前記第1収容部及び前記第2収容部の収容空間は、前記中性子線源を中心に線対称の形状をなしている、
    請求項1に記載のホウ素濃度計。
  3. 前記第1検出器及び前記第2検出器は、前記中性子線源を中心に線対称に設けられている、
    請求項1又は2に記載のホウ素濃度計。
  4. 前記測定セルは、前記被測定溶液を前記第1収容部に流入させるための流入口、及び前記被測定溶液を前記第1収容部から流出させるための流出口を有している、
    請求項1乃至3の何れかに記載のホウ素濃度計。
  5. 中性子線源と、被測定溶液を収容する第1収容部を備える測定セルと、参照用溶液を収容する第2収容部を備える参照セルとを用いて、前記被測定溶液中のホウ素濃度を推定するホウ素濃度の推定方法であって、
    前記第1収容部に収容されている被測定溶液及び前記第2収容部に収容されている参照用溶液に対して、中性子線源から高速中性子を放射するステップと、
    前記被測定溶液中及び前記参照用溶液中で高速中性子が変換されて生じた熱中性子を検出するステップと、
    検出した前記被測定溶液中の熱中性子の数前記参照用溶液中の熱中性子の数との第1の差に基づいて、被測定溶液中のホウ素濃度を推定するステップと
    を有し、
    前記推定するステップでは、前記第1収容部及び前記第2収容部にホウ素を含まない溶液が収容された状態で前記中性子線源によって高速中性子が放射された場合に、前記第1収容部に収容されている溶液中で検出された熱中性子の数と前記第2収容部に収容されている溶液中で検出された熱中性子の数との第2の差をゼロにするための補正係数を用いて、前記第1の差を補正する、
    ホウ素濃度の推定方法。
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