本開示は、以上に鑑みてなされたものである。
本開示が解決しようとする第1の課題は、無用な通電を抑制しつつ適切なタイミングでエアロゾルを生成できるエアロゾル生成装置を提供することである。
本開示が解決しようとする第2の課題は、適切なタイミングでエアロゾル生成を停止できるエアロゾル生成装置を提供することである。
本開示が解決しようとする第3の課題は、エアロゾル生成を停止するタイミングをユーザ毎に最適化できるエアロゾル生成装置を提供することである。
上述した第1の課題を解決するため、本開示の第1実施形態によれば、エアロゾル源の霧化及び香味源の加熱の一方又は双方を行うために給電する電源と、前記給電を制御するための測定値を出力するセンサと、前記測定値に基づき、前記給電を制御する制御部とを含み、前記制御部は、前記測定値が第1閾値以上且つ該第1閾値より大きい第2閾値未満の場合、前記電源の給電量を第1の値とし、前記測定値が前記第2閾値以上の場合、前記給電量を前記第1の値より大きくするように制御する、エアロゾル生成装置が提供される。
一実施形態において、前記第1の値の給電量により、前記エアロゾル源又は香味源からエアロゾルは生成されない。
一実施形態において、前記制御部は、前記測定値が前記第1閾値以上になってから又は前記第1の値の給電の開始から、既定時間内に前記第2閾値以上にならない場合、給電を停止する。
一実施形態において、前記第1の値の給電量を与えるための電力又は単位時間当たりの電力量と前記既定時間の少なくとも一方は、前記第1の値が、前記エアロゾル源又は前記香味源から、エアロゾルの生成が開始される給電量以下になるように設定される。
一実施形態において、前記測定値が前記第1閾値以上且つ前記第2閾値未満の場合の単位時間当たりの給電量は、0値と、前記測定値が前記第2閾値以上の場合の単位時間当たりの給電量との間にあり、且つ、前者より後者に近い。
一実施形態において、前記制御部は、前記測定値が前記第2閾値以上の前記第3閾値を下回った場合、給電を停止する。
一実施形態において、前記第2閾値は、前記第3閾値より前記第1閾値に近い。
一実施形態において、前記第2閾値は、前記第1閾値より前記第3閾値に近い。
一実施形態において、前記第2閾値は、前記第3閾値と等しい。
一実施形態において、前記第2閾値と前記第1閾値の差分は、前記第1閾値より大きい。
一実施形態において、前記エアロゾル源及び前記香味源の一方又は双方をある位置へ輸送すること及び該位置で保持することの一方又は双方を、内部に備えた細孔により行う多孔質体を含み、前記位置は、前記電源からの給電で動作する負荷が霧化及び加熱の一方又は双方を可能な位置である。
また、本開示の第1実施形態によれば、センサから出力された測定値に基づき、エアロゾル源の霧化及び香味源の加熱の一方又は双方を行うために電源の給電を制御するためのエアロゾル生成装置の制御方法であって、前記測定値が第1閾値以上且つ該第1閾値より大きい第2閾値未満の場合、前記電源の給電量を第1の値とするステップと、前記測定値が前記第2閾値以上の場合、前記給電量を前記第1の値より大きくするステップとを含むエアロゾル生成装置の制御方法が提供される。
また、本開示の第1実施形態によれば、プロセッサに、上記の制御方法を実行させるためのプログラムが提供される。
また、本開示の第1実施形態によれば、エアロゾル源の霧化及び香味源の加熱の一方又は双方を行うために給電する電源と、前記給電を制御するための測定値を出力するセンサと、前記測定値に基づき、前記給電を制御する制御部とを含み、前記制御部は、前記測定値が第1閾値以上且つ該第1閾値より大きい第2閾値未満の場合、前記電源から第1電力を給電させ、前記測定値が前記第2閾値以上の場合、前記電源から前記第1電力より大きい電力を給電させるように制御する、エアロゾル生成装置が提供される。
また、本開示の第1実施形態によれば、エアロゾル源の霧化及び香味源の加熱の一方又は双方を行うために給電する電源と、前記給電を制御するための測定値を出力するセンサと、前記測定値に基づき、前記給電を制御する制御部とを含み、前記制御部は、前記測定値が第1閾値を越えた場合、前記電源の給電量を第2の値とし、前記電源が前記第2の値を給電した後に、前記測定値が前記第1閾値より大きい第2閾値を下回った場合、前記給電を停止し、前記測定値が前記第1閾値を越える前の前記給電量を前記第2の値より小さくするように制御する、エアロゾル生成装置が提供される。
また、上述した第2の課題を解決するため、本開示の第2実施形態によれば、エアロゾル源の霧化及び香味源の加熱の一方又は双方を行うために給電する電源と、前記給電を制御するための測定値を出力するセンサと、前記測定値に基づき、前記電源の給電を制御する制御部とを含み、前記制御部は、前記測定値が第1閾値以上という第1条件を満たす場合に、単位時間当たりの給電量(以下、「単位給電量」という。)を増加させ、前記測定値が前記第1閾値より大きい第2閾値未満という第2条件及び前記第1条件と前記第2条件とは異なる第3条件を満たす場合に、前記単位給電量を減少させるように制御する、エアロゾル生成装置が提供される。
一実施形態において、前記第3条件は、前記第1条件と同時に満たされない。
一実施形態において、前記第2条件は、前記第3条件より先に満たすことが可能である。
一実施形態において、前記第3条件は、前記測定値に基づく条件である。
一実施形態において、前記第3条件は、前記測定値の時間微分に基づく条件である。
一実施形態において、前記第3条件は、前記測定値の時間微分が0以下であるという条件である。
一実施形態において、前記第3条件は、前記測定値の時間微分が0より小さい第3閾値以下であるという条件である。
一実施形態において、前記制御部は、前記第2条件及び前記第3条件が満たされてから、既定の復帰期間内に前記測定値の時間微分が0を越えた場合に、前記単位給電量を増加させる。
一実施形態において、前記制御部は、前記第1条件を満たす場合に、前記単位給電量を、0値から第2単位給電量へ,該第2単位給電量から該第2単位給電量より大きい第3単位給電量へ、段階的に変化させ、前記第2条件及び前記第3条件が満たされてから、前記復帰期間内に前記測定値の時間微分が0を越えた場合に、前記単位給電量を、0値から前記第3単位給電量へ増加させる。
一実施形態において、前記第3条件は、前記測定値が前記第2閾値以上の第4閾値を越えた後で前記第2閾値を下回ったという条件である。
一実施形態において、前記制御部は、前記第1条件が満たされてから既定の判定期間の内で前記第3条件が満たされない場合に、前記測定値が第1閾値未満という条件が満たされたら前記単位給電量を減少させる。
一実施形態において、前記制御部は、前記給電を開始してから停止するまでの期間毎に、前記測定値の最大値を算出し、算出した複数の前記最大値に基づき、前記第4閾値を更新する。
一実施形態において、前記制御部は、算出した複数の前記最大値の平均値に基づき、前記第4閾値を更新する。
一実施形態において、前記制御部は、算出した複数の前記最大値の加重平均値に基づき、前記第4閾値を更新し、前記加重平均値の算出において、より最近の前記給電を開始してから開始した当該給電が停止するまでの期間について算出された前記最大値に、より大きな重みが割り当てられる。
一実施形態において、前記制御部は、前記給電を開始してから停止するまでの期間毎に、前記測定値の最大値を算出し、算出した複数の前記最大値に基づき、前記第2閾値を更新し、更新した前記第2閾値以上となるように、前記第4閾値を更新する。
一実施形態において、前記制御部は、前記給電を開始してから停止するまでの期間毎に、前記測定値の変化を記憶し、記憶した複数の前記測定値の変化に基づき、前記第2閾値を更新し、更新した前記第2閾値以上となるように、前記第4閾値を更新する。
一実施形態において、前記制御部は、記憶した複数の前記測定値の変化に基づき、前記測定値の変化の持続時間の平均値から規定値を引いた値に基づき、前記第2閾値を更新する。
一実施形態において、前記第3条件は、前記第1条件が満たされてから、既定の不感期間が経過したという条件である。
一実施形態において、前記制御部は、前記給電を開始してから停止するまでの期間毎に、前記第1条件が満たされてから前記測定値が最大値に至るまでの第1所要時間と、前記第1条件が満たされてから前記第1条件が満たされなくなるまでの第2所要時間の少なくとも一方を算出し、複数の前記第1所要時間と複数の前記第2所要時間の少なくとも一方に基づき、前記不感期間を更新する。
一実施形態において、前記制御部は、複数の前記第1所要時間の平均値と複数の前記第2所要時間の平均値の少なくとも一方に基づき、前記不感期間を更新する。
一実施形態において、前記制御部は、複数の前記第1所要時間の加重平均値と複数の前記第2所要時間の加重平均値の少なくとも一方に基づき、前記不感期間を更新し、前記加重平均値の算出において、より最近の前記給電を開始してから開始した当該給電が停止するまでの期間について算出された前記第1所要時間と前記第2所要時間の少なくとも一方に、より大きな重みが割り当てられる。
一実施形態において、前記制御部は、前記給電を開始してから停止するまでの期間毎に、前記測定値の最大値を算出し、算出した複数の前記最大値に基づき、前記第2閾値を更新する。
一実施形態において、前記制御部は、前記給電を開始してから停止するまでの期間毎に、前記測定値の変化を記憶し、記憶した複数の前記測定値の変化に基づき、前記第2閾値を更新する。
一実施形態において、制御部は、複数の前記第3条件を備えた第3条件群から、1以上の前記第3条件を選択可能な選択モードを実行可能である。
一実施形態において、前記選択モードにおいて前記制御部は、前記測定値を記憶し、記憶した前記測定値に基づき、前記第3条件群から1以上の前記第3条件を選択する。
一実施形態において、前記選択モードにおいて前記制御部は、記憶した前記測定値の時間微分に基づき、前記第3条件群から1以上の前記第3条件を選択する。
一実施形態において、前記選択モードにおいて前記制御部は、記憶した前記測定値の最大値に基づき、前記第3条件群から1以上の前記第3条件を選択する。
一実施形態において、前記選択モードにおいて前記制御部は、記憶した前記測定値の変化の持続時間に基づき、前記第3条件群から1以上の前記第3条件を選択する。
一実施形態において、前記選択モードにおいて前記制御部は、前記エアロゾル生成装置に対する操作に基づき、前記第3条件群から1以上の前記第3条件を選択する。
一実施形態において、前記制御部は、前記第3条件群を予め記憶している。
一実施形態において、前記制御部は、前記エアロゾル生成装置の外部に保存された前記第3条件群から、選択された1以上の前記第3条件を取得する。
一実施形態において、前記第3条件は、当該条件を判定する時点で、当該時点までに出力された前記測定値が最大となったときから所定時間以上経過しているという条件である。
一実施形態において、前記制御部は、前記第1条件を満たす場合に、前記単位給電量を0値から第1単位給電量に増加させる。
一実施形態において、前記制御部は、前記第2条件及び前記第3条件が満たされた場合に、前記単位給電量を第1単位給電量から0値に減少させる。
また、本開示の第2実施形態によれば、エアロゾル源の霧化及び香味源の加熱の一方又は双方を行うために給電する電源と、前記給電を制御するための測定値を出力するセンサと、前記測定値に基づき、前記給電を制御する制御部とを含み、前記制御部は、前記測定値が第1閾値以上という第1条件を満たす場合に、単位時間当たりの前記給電量(以下、「単位給電量」という。)を増加させ、前記第1条件が満たされてから既定の不感期間では満たされない条件を満たす場合に、前記単位給電量を減少させるように制御する、エアロゾル生成装置が提供される。
一実施形態において、前記不感期間は、前記制御部の制御周期以上の長さである。
また、本開示の第2実施形態によれば、エアロゾル源の霧化及び香味源の加熱の一方又は双方を行うために給電する電源と、前記給電を制御する制御部とを含み、前記制御部は、第1条件群が含む1以上の条件全てが満たされた場合に、単位時間当たりの前記給電量(以下、「単位給電量」という。)を増加させ、第2条件群が含む1以上の条件全てが満たされた場合に、前記単位給電量を減少させるように制御し、前記第1条件群が含む条件は、前記第2条件群が含む条件より少ない、エアロゾル生成装置が提供される。
一実施形態において、前記第1条件群及び前記第2条件群は、共通の変数に関する条件を、それぞれ少なくとも1つ含む。
一実施形態において、前記給電を制御するための測定値を出力するセンサを含み、前記共通の変数は、前記測定値に基づく。
一実施形態において、前記共通の変数に関する条件は、前記共通の変数の絶対値が、閾値以上である、閾値より大きい、閾値以下である又は閾値未満であるという条件であり、前記第1条件群に含まれる前記共通の変数に関する条件における前記閾値と、前記第2条件群に含まれる前記共通の変数に関する条件における前記閾値は、異なる。
一実施形態において、前記第1条件群に含まれる前記共通の変数に関する条件における前記閾値は、前記第2条件群に含まれる前記共通の変数に関する条件における前記閾値より、小さい。
一実施形態において、前記エアロゾル源及び前記香味源の一方又は双方をある位置へ輸送すること及び該位置で保持することの一方又は双方を、内部に備えた細孔により行う多孔質体を含み、前記位置は、前記電源からの給電で動作する負荷が霧化及び加熱の一方又は双方を可能な位置である。
また、本開示の第2実施形態によれば、エアロゾル源を霧化すること及び香味源を加熱することの一方又は双方を行うために給電する電源と、前記給電を制御する制御部と
を含み、前記制御部は、第1条件が満たされた場合に、単位時間当たりの前記給電量(以下、「単位給電量」という。)を増加させ、前記第1条件より厳しい第2条件が満たされた場合に、前記単位給電量を減少させるように給電を制御する、エアロゾル生成装置が提供される。
一実施形態において、前記エアロゾル源及び前記香味源の一方又は双方をある位置へ輸送すること及び該位置で保持することの一方又は双方を、内部に備えた細孔により行う多孔質体を含み、前記位置は、前記電源からの給電で動作する負荷が霧化及び加熱の一方又は双方を可能な位置である。
また、本開示の第2実施形態によれば、センサから出力された測定値に基づき、エアロゾル源の霧化及び香味源の加熱の一方又は双方を行うために電源の給電を制御するためのエアロゾル生成装置の制御方法であって、前記測定値が第1閾値以上という第1条件を満たす場合に、単位時間当たりの給電量(以下、「単位給電量」という。)を増加させるステップと、前記測定値が前記第1閾値より大きい第2閾値未満という第2条件及び前記第1条件と前記第2条件とは異なる第3条件を満たす場合に、前記単位給電量を減少させるステップとを含むエアロゾル生成装置の制御方法が提供される。
また、本開示の第2実施形態によれば、プロセッサに、上記の制御方法を実行させるプログラムが提供される。
また、本開示の第2実施形態によれば、センサから出力された測定値に基づき、エアロゾル源の霧化及び香味源の加熱の一方又は双方を行うために電源の給電を制御するためのエアロゾル生成装置の制御方法であって、前記測定値が第1閾値以上という第1条件を満たす場合に、単位時間当たりの前記給電量(以下、「単位給電量」という。)を増加させるステップと、前記第1条件が満たされてから既定の不感期間では満たされない条件を満たす場合に、前記単位給電量を減少させるステップとを含むエアロゾル生成装置の制御方法が提供される。
また、本開示の第2実施形態によれば、プロセッサに、上記の制御方法を実行させるプログラムが提供される。
また、本開示の第2実施形態によれば、エアロゾル源の霧化及び香味源の加熱の一方又は双方を行うために、電源の給電を制御するためのエアロゾル生成装置の制御方法であって、第1条件群が含む1以上の条件全てが満たされた場合に、単位時間当たりの給電量(以下、「単位給電量」という。)を増加させるステップと、第2条件群が含む1以上の条件全てが満たされた場合に、前記単位給電量を減少させるステップとを含み、前記第1条件群が含む条件は、前記第2条件群が含む条件より少ない、エアロゾル生成装置の制御方法が提供される。
また、本開示の第2実施形態によれば、プロセッサに、上記の制御方法を実行させるプログラムが提供される。
また、本開示の第2実施形態によれば、エアロゾル源を霧化すること及び香味源を加熱することの一方又は双方を行うために電源の給電を制御するためのエアロゾル生成装置の制御方法であって、第1条件が満たされた場合に、単位時間当たりの給電量(以下、「単位給電量」という。)を増加させるステップと、前記第1条件より厳しい第2条件が満たされた場合に、前記単位給電量を減少させるステップとを含む、エアロゾル生成装置の制御方法が提供される。
また、本開示の第2実施形態によれば、プロセッサに、上記の制御方法を実行させるプログラムが提供される。
また、本開示の第2実施形態によれば、エアロゾル源の霧化及び香味源の加熱の一方又は双方を行うために給電する電源と、前記給電を制御するための測定値を出力するセンサと、前記測定値に基づき、前記給電を制御する制御部とを含み、前記制御部は、前記測定値が第1閾値以上という第1条件を満たす場合に、単位時間当たりの前記給電量(以下、「単位給電量」という。)を増加させ、前記測定値が前記第1閾値より大きい第2閾値未満という第2条件を、前記第1条件と前記第2条件とは異なる第3条件を満たした後に満たす場合に、前記単位給電量を減少させるように制御する、エアロゾル生成装置が提供される。
また、本開示の第2実施形態によれば、センサから出力された測定値に基づき、エアロゾル源の霧化及び香味源の加熱の一方又は双方を行うために電源の給電を制御するためのエアロゾル生成装置の制御方法であって、前記測定値が第1閾値以上という第1条件を満たす場合に、単位時間当たりの給電量(以下、「単位給電量」という。)を増加させるステップと、前記測定値が前記第1閾値より大きい第2閾値未満という第2条件を、前記第1条件と前記第2条件とは異なる第3条件を満たした後に満たす場合に、前記単位給電量を減少させるステップとを含むエアロゾル生成装置の制御方法が提供される。
また、本開示の第2実施形態によれば、プロセッサに、上記の制御方法を実行させるプログラムが提供される。
また、上述した第3の課題を解決するため、本開示の第3実施形態によれば、エアロゾル源の霧化及び香味源の加熱の一方又は双方を行うために給電する電源と、前記給電を制御するための第1物理量を表す測定値を出力するセンサと、前記センサが出力した前記測定値を取得し、前記測定値のプロファイルを記憶し、取得した前記測定値と、記憶した前記測定値のプロファイルの少なくとも一部とに基づき前記第1物理量とは異なる第2物理量を制御することで前記給電を制御する制御部と、を含む、エアロゾル生成装置が提供される。
一実施形態において、前記制御部は、前記電源が給電を開始してから停止するまでの期間を含む給電サイクルに対応する前記測定値のプロファイルを記憶し、記憶した前記測定値のプロファイルである第1プロファイルと複数の該第1プロファイルより導出した平均的な前記測定値のプロファイルである第2プロファイルの少なくとも一方に基づき、前記給電の停止と継続の少なくとも一方を制御する。
一実施形態において、前記制御部は、前記第1プロファイルと前記第2プロファイルの少なくとも一方に基づき、前記測定値が変化を開始してから終了するまでに要する第1所要時間を導出し、前記第1所要時間が経過するよりも早いタイミングで、前記給電が停止されるように前記給電を制御する。
一実施形態において、前記制御部は、前記第1プロファイルと前記第2プロファイルの少なくとも一方に基づき、前記測定値が変化を開始してから終了するまでに要する第1所要時間を導出し、前記第1所要時間よりも短い時間だけ、前記給電が継続されるように前記給電を制御する。
一実施形態において、前記制御部は、前記第1プロファイルと前記第2プロファイルの少なくとも一方に基づき、前記測定値が変化を開始してから最大値に至るまでに要する第2所要時間を導出し、前記第2所要時間が経過するよりも遅いタイミングで、前記給電が停止されるように前記給電を制御する。
一実施形態において、前記制御部は、前記第1プロファイルと前記第2プロファイルの少なくとも一方に基づき、前記測定値が変化を開始してから最大値に至るまでに要する第2所要時間を導出し、前記第2所要時間よりも長い時間だけ、前記給電が継続されるように前記給電を制御する。
一実施形態において、前記制御部は、前記第1プロファイルと前記第2プロファイルの少なくとも一方に基づき、前記測定値が変化を開始してから終了するまでに要する第1所要時間と、前記測定値が変化を開始してから最大値に至るまでに要する第2所要時間を導出し、前記第1所要時間が経過するよりも早く且つ前記第2所要時間が経過するよりも遅いタイミングで、前記給電が停止されるように前記給電を制御する。
一実施形態において、前記制御部は、前記第1プロファイルと前記第2プロファイルの少なくとも一方に基づき、前記測定値が変化を開始してから終了するまでに要する第1所要時間と、前記測定値が変化を開始してから最大値に至るまでに要する第2所要時間を導出し、前記第1所要時間より短く且つ前記第2所要時間より長い時間だけ、前記給電が継続されるように前記給電を制御する。
一実施形態において、前記制御部は、前記測定値とともに該測定値の測定タイミングを取得するように、且つ、前記第1プロファイル又は前記第2プロファイルにおける第1特徴点に基づき前記給電を停止するタイミング又は前記給電を継続する時間を設定する第1アルゴリズムと、前記第1変化又は前記第2変化における前記第1特徴点とは異なる第2特徴点に基づき前記給電を停止するタイミング又は前記給電を継続する時間を設定する第2アルゴリズムと、を実行可能なように構成され、複数の前記第1プロファイル又は前記第2プロファイルそれぞれにおける前記第1特徴点の前記測定タイミングの偏差に基づき、前記第1アルゴリズムと前記第2アルゴリズムの少なくとも一方を実行する。
一実施形態において、前記制御部は、複数の前記測定タイミングの偏差に基づく値が閾値以下の場合、前記第1アルゴリズムを実行する。
一実施形態において、前記第1特徴点の前記測定タイミングが取り得る値は、前記第2特徴点の前記測定タイミングが取り得る値より多い。
一実施形態において、前記第1特徴点の前記測定タイミングは、前記第2特徴点の前記測定タイミングより遅い。
一実施形態において、前記第1特徴点の測定値は前記第2特徴点の測定値より小さい。
一実施形態において、前記第1特徴点は、前記第1プロファイル又は前記第2プロファイルにおける終点である。
一実施形態において、前記第2特徴点は、前記第1プロファイル又は前記第2プロファイルにおける測定値が最大となる点である。
一実施形態において、前記制御部は、前記測定値が第1閾値以上という第1条件を満たす場合に、単位時間当たりの給電量(以下、「単位給電量」という。)を増加させ、前記測定値が前記第1閾値より大きい第2閾値未満という第2条件を少なくとも満たす場合に、前記単位給電量を減少させるように前記給電を制御する
一実施形態において、前記エアロゾル源及び前記香味源の一方又は双方をある位置へ輸送すること及び該位置で保持することの一方又は双方を、内部に備えた細孔により行う多孔質体を含み、前記位置は、前記電源からの給電で動作する負荷が霧化及び加熱の一方又は双方を可能な位置である。
また、本開示の第3実施形態によれば、センサから出力された測定値に基づき、エアロゾル源の霧化及び香味源の加熱の一方又は双方を行うために電源の給電を制御するためのエアロゾル生成装置の制御方法であって、第1物理量を表す前記測定値を取得し、前記測定値のプロファイルを記憶するステップと、取得した前記測定値と記憶した前記測定値のプロファイルの少なくとも一部とに基づき前記第1物理量とは異なる第2物理量を制御することで給電を制御するステップとを含むエアロゾル生成装置の制御方法が提供される。
また、本開示の第3実施形態によれば、プロセッサに、上記の制御方法を実行させるプログラムが提供される。
また、本開示の第3実施形態によれば、エアロゾル源の霧化及び香味源の加熱の一方又は双方を行うために給電する電源と、前記給電を制御するための測定値を出力するセンサと、前記測定値に基づき前記電源の給電を制御し、且つ前記測定値のプロファイルを記憶する制御部とを含み、前記制御部は、前記測定値が第1閾値以上という第1条件を満たす場合に、単位時間当たりの給電量(以下、「単位給電量」という。)を増加させ、前記測定値が前記第1閾値より大きい第2閾値未満という第2条件を少なくとも満たす場合に、前記単位給電量を減少させるように前記給電を制御し、前記第1閾値と前記第2閾値の一方は一定値であり、前記第1閾値と前記第2閾値の他方は前記制御部が記憶した前記測定値のプロファイルの少なくとも一部に基づき更新可能な値である、エアロゾル生成装置が提供される。
一実施形態において、前記第1閾値は一定値であり、前記第2閾値は前記制御部が記憶した前記測定値のプロファイルの少なくとも一部に基づき更新可能な値である。
一実施形態において、前記エアロゾル源及び前記香味源の一方又は双方をある位置へ輸送すること及び該位置で保持することの一方又は双方を、内部に備えた細孔により行う多孔質体を含み、前記位置は、前記電源からの給電で動作する負荷が霧化及び加熱の一方又は双方を可能な位置である。
また、本開示の第3実施形態によれば、センサから出力された測定値に基づき、エアロゾル源の霧化及び香味源の加熱の一方又は双方を行うために電源の給電を制御するためのエアロゾル生成装置の制御方法であって、前記エアロゾル生成装置は、前記測定値が第1閾値以上という第1条件を満たす場合に、単位時間当たりの給電量(以下、「単位給電量」という。)を増加させ、前記測定値が前記第1閾値より大きい第2閾値未満という第2条件を少なくとも満たす場合に、前記単位給電量を減少させるように前記給電を制御し、前記方法は、前記測定値のプロファイルを記憶するステップと、前記第1閾値と前記第2閾値の一方を、記憶した前記測定値のプロファイルの少なくとも一部に基づき更新するステップとを含むエアロゾル生成装置の制御方法が提供される。
また、本開示の第3実施形態によれば、プロセッサに、上記の制御方法を実行させるプログラムが提供される。
また、本開示の第3実施形態によれば、エアロゾル源の霧化及び香味源の加熱の一方又は双方を行うために給電する電源と、前記給電を制御するための測定値を出力するセンサと、前記測定値に基づき前記電源の給電を制御する制御部と
を含み、前記制御部は、前記測定値が第1閾値以上という第1条件を満たす場合に、単位時間当たりの給電量(以下、「単位給電量」という。)を増加させ、前記測定値が前記第1閾値より大きい第2閾値未満という第2条件を少なくとも満たす場合に、前記単位給電量を減少させるように前記給電を制御し、前記第1閾値の更新頻度は、前記第2閾値の更新頻度とは異なる、エアロゾル生成装置が提供される。
一実施形態において、前記第1閾値の更新頻度は、前記第2閾値の更新頻度より低い。
一実施形態において、前記エアロゾル源及び前記香味源の一方又は双方をある位置へ輸送すること及び該位置で保持することの一方又は双方を、内部に備えた細孔により行う多孔質体を含み、前記位置は、前記電源からの給電で動作する負荷が霧化及び加熱の一方又は双方を可能な位置である。
また、本開示の第3実施形態によれば、センサから出力された測定値に基づき、エアロゾル源の霧化及び香味源の加熱の一方又は双方を行うために電源の給電を制御するためのエアロゾル生成装置の制御方法であって、前記エアロゾル生成装置は、前記測定値が第1閾値以上という第1条件を満たす場合に、単位時間当たりの給電量(以下、「単位給電量」という。)を増加させ、前記測定値が前記第1閾値より大きい第2閾値未満という第2条件を少なくとも満たす場合に、前記単位給電量を減少させるように前記給電を制御し、前記方法は、前記第1閾値と前記第2閾値の一方を、他方とは異なる頻度で更新するステップを含むエアロゾル生成装置の制御方法が提供される。
また、本開示の第3実施形態によれば、プロセッサに、上記の制御方法を実行させるプログラムが提供される。
また、本開示の第3実施形態によれば、エアロゾル源の霧化及び香味源の加熱の一方又は双方を行うために給電する電源と、前記給電を制御するための第1物理量を表す測定値を出力するセンサと、前記測定値に基づき前記第1物理量とは異なる第2物理量を制御することで前記電源の給電を制御し、且つ前記給電を開始してから停止するまでの期間を含む給電サイクルに対応する前記測定値のプロファイルを記憶する制御部とを含み、前記制御部は、N−1回目以前(Nは2以上の自然数)の給電サイクルのうちの1以上の給電サイクルに対応する前記測定値のプロファイルに基づき、N回目の給電サイクルにおける前記給電を制御する、エアロゾル生成装置が提供される。
一実施形態において、前記エアロゾル源及び前記香味源の一方又は双方をある位置へ輸送すること及び該位置で保持することの一方又は双方を、内部に備えた細孔により行う多孔質体を含み、前記位置は、前記電源からの給電で動作する負荷が霧化及び加熱の一方又は双方を可能な位置である。
また、本開示の第3実施形態によれば、センサから出力された第1物理量を表す測定値に基づき、エアロゾル源の霧化及び香味源の加熱の一方又は双方を行うために前記第1物理量とは異なる第2物理量を制御することで電源の給電を制御するためのエアロゾル生成装置の制御方法であって、前記電源が給電を開始してから停止するまでの期間を含む給電サイクルに対応する前記測定値のプロファイルを記憶するステップと、N−1(Nは2以上の自然数)回目以前の給電サイクルのうちの1以上の給電サイクルに対応する前記測定値のプロファイルに基づき、N回目の給電サイクルにおける前記給電を制御するステップとを含むエアロゾル生成装置の制御方法が提供される。
また、本開示の第3実施形態によれば、プロセッサに、上記の制御方法を実行させるプログラムが提供される。
本開示の第1実施形態によれば、無用な通電を抑制しつつ適切なタイミングでエアロゾルを生成できるエアロゾル生成装置を提供することができる。
本開示の第2実施形態によれば、適切なタイミングでエアロゾル生成を停止できるエアロゾル生成装置を提供することができる。
本開示の第3実施形態によれば、エアロゾル生成を停止するタイミングをユーザ毎に最適化できるエアロゾル生成装置を提供することができる。
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態について詳細に説明する。
なお、以下の説明において、第1、第2、第3…等の序数は、序数が付された用語を区別するための便宜上のものにすぎない。例えば、明細書及び図面に記載された「第1」が付された用語と、特許請求の範囲に記載された「第1」が付された同じ用語とは、同じものを特定していない場合がある。逆に、例えば、明細書及び図面に記載された「第2」が付された用語と、特許請求の範囲に記載された「第1」が付された同じ用語とが、同じものを特定している場合がある。従って、そのような用語が特定するものは、序数以外の事項により特定されるべきであることに留意されたい。
また、以下の説明は、本開示の実施形態に係る例示にすぎない。従って、本発明は以下に説明されるものに限定されず、その要旨を逸脱しない範囲内において様々な変更が可能であることに留意されたい。
1 本開示の実施形態に係る例示のエアロゾル生成装置100
図1は、本開示の実施形態に係るエアロゾル生成装置100の構成図である。図1はエアロゾル生成装置100が備える各エレメントを概略的且つ概念的に示すものであり、それら各エレメント及びエアロゾル生成装置100の厳密な配置、形状、寸法、位置関係等を示すのではないことに留意されたい。
図1に示されるように、エアロゾル生成装置100は、リザーバ102、霧化部104、吸引センサ106、空気取込流路108、エアロゾル流路110、ウィック112、バッテリ114及び吸口部材116を備えている。エアロゾル生成装置100のこれらのエレメントは、そのうちの幾つかをまとめて着脱可能に構成されたカートリッジとして設けられてもよい。例えば、リザーバ102及び霧化部104を一体化したカートリッジが、エアロゾル生成装置100において着脱可能に構成されてもよい。
リザーバ102は、エアロゾル源を貯留することができる。例えば、リザーバ102は、繊維状又は多孔質性の素材から構成することができ、繊維間の隙間や多孔質材料の細孔に液体としてのエアロゾル源を貯留することができる。リザーバ102は、液体を収容するタンクとして構成されてもよい。エアロゾル源は、グリセリンやプロピレングリコール等の多価アルコール、ニコチン成分などのたばこ原料由来の抽出物を含有する液体、何らかの薬剤を含有する液体等であってよい。特に、本発明は医療用のネブライザー等にも適用可能であるが、その場合、エアロゾル源は、医療用の薬剤を含有することができる。リザーバ102は、エアロゾル源を補充可能な構成又はエアロゾル源が消耗した際に交換可能な構成を有する。なお、エアロゾル源は香味源を意味する場合や香味源を含む場合があることに留意されたい。また、リザーバ102が複数設けられ、それぞれが異なるエアロゾル源を保持する場合があることに留意されたい。なお、エアロゾル源は固体でもよい。
霧化部104は、エアロゾル源を霧化してエアロゾルを生成するように構成されている。霧化部104は、吸引センサ106(例えば、空気取込流路108若しくはエアロゾル流路110の圧力若しくは流量を検知する圧力若しくは流量センサ等)によって吸引動作が検知されると、エアロゾルを生成する。なお、圧力若しくは流量センサに加えて、霧化部104を作動させるために、ユーザが操作可能な操作ボタンを設けることができる。
より詳細には、エアロゾル生成装置100において、ウィック112がリザーバ102と霧化部104を連結するように設けられ、ウィック112の一部がリザーバ102及び霧化部104へと延びている。エアロゾル源は、ウィックに生じる毛細管効果(現象)によってリザーバ102から霧化部104へと運ばれ、少なくとも一時的に保持される。霧化部104は、給電が後述の制御部130及び電力制御部135により制御されるようにバッテリ114に電気的に接続された不図示のヒータ(負荷)を備えている。ヒータは、ウィック112と接触又は近接するように配置され、ウィック112を通じて輸送されたエアロゾル源を、加熱することによって霧化する。なお、ウィック112としては従来ガラス繊維が用いられてきたが、制御部130の制御によれば、ウィック112として比熱の高いセラミック等の多孔質体を用いたとしても、喫煙者の感覚に沿ったタイミングでエアロゾルを供給可能である。ここで、多孔質体は、エアロゾル源を、毛細菅効果(現象)により、ヒータが加熱可能な位置へ輸送すること及び当該位置で保持することの一方又は双方を内部に備えた細孔により行うものである。
霧化部104には空気取込流路108及びエアロゾル流路110が接続されている。空気取込流路108はエアロゾル生成装置100の外部へ通じている。霧化部104において生成されたエアロゾルは、空気取込流路108を介して取り込まれた空気と混合されて、エアロゾル流路110へと送り出される。なお、本例示動作では、霧化部104で生成されたエアロゾルと空気との混合流体を単にエアロゾルと呼称する場合もあることに留意されたい。
吸口部材116は、エアロゾル流路110の終端(即ち霧化部104よりも下流)に位置し、エアロゾル流路110をエアロゾル生成装置100の外部に対して開放するように構成された部材である。ユーザは、吸口部材116を咥えて吸引することで、エアロゾルを含んだ空気を口腔内に取り込む。
エアロゾル生成装置100は、更に、制御部130、電力制御部135及びメモリ140を備えている。ここで、図1におけるバッテリ114と電力制御部135とを結ぶ直線及び電力制御部135と霧化部104とを結ぶ直線は、バッテリ114から霧化部104へと電力制御部135を介して給電されることを表している。図1における2つのエレメントを結ぶ双方向矢印は、信号、データ又は情報が当該2つのエレメント間で伝送されることを表している。なお、図1に表されたエアロゾル生成装置100は例示であり、別のエアロゾル生成装置においては、図1における双方向矢印が結ぶ2つのエレメントの少なくとも1セットについて、信号、データ又は情報等が伝送されない場合がある。また、別のエアロゾル生成装置において、図1における双方向矢印が結ぶ2つのエレメントの少なくとも1セットについて、一方のエレメントのみが他方のエレメントに信号、データ又は情報を伝送する場合がある。
制御部130は、マイクロプロセッサ又はマイクロコンピュータとして構成された電子回路モジュールである。制御部130は、メモリ140に格納されたコンピュータ実行可能命令に従ってエアロゾル生成装置100の動作を制御するようにプログラムされる。また、制御部130は、センサ106から信号を受信して、当該信号から上述した圧力又は流量を取得する。更に、制御部130は、霧化部104及びバッテリ114から信号を受信して、当該信号からヒータの温度やバッテリ残量等を取得する。更に、制御部130は、バッテリ114から霧化部104への給電を、電圧、電流及び電力のうちの少なくとも1つの大きさを時間にわたり制御することによって制御するよう、電力制御部135に指示する。なお、制御部130が給電を制御することは、制御部130が電力制御部135に給電を制御するよう指示することを含む。
電力制御部135は、上述のように、バッテリ114から霧化部104への給電を、電圧、電流及び電力のうちの少なくとも1つの大きさを時間にわたり制御することによって制御する。例えば、電力制御部135として、スイッチ(コンタクタ)やDC/DCコンバータなどを用いることができ、パルス幅変調(PWM,Pulse Widh Modulation)制御やパルス周波数変調(PFM,Pulse Frequency Modulation)制御によって、バッテリ114から霧化部104に給電される電圧,電流,電力のいずれかを制御できる。なお、電力制御部135は、霧化部104、バッテリ114及び制御部130のうちの少なくとも1つと一体化されている場合もある。
メモリ140は、ROM、RAM、フラッシュメモリ等の情報記憶媒体である。メモリ140には、コンピュータ実行可能命令の他、エアロゾル生成装置100の制御に必要な設定データが格納される。また、制御部130は、吸引センサ106の測定値等のデータをメモリ140に記憶することができる。
概略的に、制御部130は、エアロゾル源及び香味源の加熱の一方又は双方を行うための給電、即ち、少なくとも霧化部104のヒータに供給される電力を、少なくとも吸引センサ106の検出結果に応じて制御する。以下、制御部130の動作について詳細に説明する。
2 制御部130の第1例示動作
図2は、制御部130の第1例示動作を示すフローチャート200である。
2−1 フローチャート200の概略
まず、フローチャート200の概略について説明する。
ステップS202において、制御部130は、吸引センサ106からの測定値が、第1閾値Thre1を上回ったか否かを判定する。測定値が第1閾値Thre1を上回っていれば、ステップS204へ進み、そうでなければ、ステップS202へ戻る。
ステップS204において、制御部130はタイマを起動し、ステップS206において、制御部130は、電源から霧化部104のヒータに電力P1で給電がなされるようにする。
ステップS208において、制御部130は、タイマの経過時間が既定時間Δt1に達しているか否かを判定する。タイマの経過時間がΔt1に達していなければ、ステップS210に進み、達していれば、ステップS216に進む。
ステップS210において、制御部130は、吸引センサ106からの測定値が、第1閾値Thre1より大きい第2閾値Thre2を上回ったか否かを判定する。測定値が第2閾値Thre2を上回っていれば、ステップS212へ進み、そうでなければ、ステップS208に戻る。
ステップS212において、制御部130は、電源から霧化部104のヒータに、P1より大きい電力P2で給電がなされるようにする。
ステップS214において、制御部130は、給電停止条件を満たしたか否かを判定する。給電停止条件を満たしていればステップS216に進み、そうでなければステップS214に戻る。
ステップS216において、制御部130は、給電を停止させる。
2−2 フローチャート200の詳細
次に、フローチャート200の動作等の詳細について説明する。
2−2−1 測定値
ステップS202及びS210における測定値は、本例示動作において、吸引センサ106からの生の信号の値、例えば電圧値ではなく、当該生の信号の値から求められた圧力[Pa]又は流量[m3/s]の値であり、吸引が生じたときに正の値をとることを意図している。また、測定値は、ローパスフィルタ等によるフィルタ処理後のものや、単純平均値や移動平均値といった平滑化されたものであってよい。なお、測定値として吸引センサからの生の信号の値を用いてもよいことは言うまでもない。この点について、以下、その他の例示動作においても同様である。なお、圧力と流量の次元としては、例えばそれぞれ[mmH2O]や[L/min]といった任意の単位系を使用してよい。
2−2−2 閾値
ステップS202及びステップS210における第1閾値Thre1及び第2閾値Thre2ついて、図3A及び3Bを参照して詳述する。
310は、吸引が生じていないときの、吸引センサ106からの時間にわたる実際の測定値を示している。吸引が生じていないとき、吸引センサ106からの時間にわたる理想的な測定値は0値で一定となるはずであるが、実際の測定値310には0値からの変動が含まれている。この変動は、エアロゾル生成装置100が存在する周囲環境の人の話し声等による空気の振動や、回路内の熱擾乱等によって生ずる背景ノイズによるものである。また、この背景ノイズには他にも、エアロゾル生成装置100が存在する周囲環境の気圧変化や、エアロゾル生成装置100に加えられた衝撃に起因する。さらには吸引センサ106に静電容量型のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)センサを用いる場合は、電極板の振動が収束するまでの出力値も、この背景ノイズの要因となり得る。第1閾値Thre1は、予熱を応答性良く行うために、多少の背景ノイズを拾い得る値に設定することができる。例えば、図3Aにおいて、測定値310の一部311は、第1閾値Thre1を多少超えている。即ち、
Thre1−0〜Npmax (1)
としてよく、ここで、Npmaxは背景ノイズの時間にわたる正の最大値である。
320は、第1閾値Thre1程度の測定値が得られる吸引が生じたときの、背景ノイズ込みの実際の測定値を示している。第1閾値Thre1は、本来、この程度の吸引を検出するものである。第2閾値Thre2は、この程度の吸引が生じたときでもノイズを拾わないように設定することができ、即ち、
Thre1+Npmax<Thre2 (2)
とすることができる。ここで、(1)式の特別な場合として
Thre1−0=Npmax (3)
を考えると、(2)式は以下のように変形できる。
Thre1+Thre1−0<Thre2
Thre1<Thre2−Thre1 (4)
(4)式は、第2閾値Thre2と第1閾値Thre1との差分が、第1閾値Thre1よりも大きければ、エアロゾルを生じさせることなく予熱をすべき状況と、エアロゾルを生じさせるべき状況とを、背景ノイズの大きさを決定することなく明確に区別できることを示している。言い換えると、第1閾値Thre1と第2閾値Thre2とを誤認することがなくなり、測定値が第1閾値Thre1より大きく第2閾値Thre2以下の場合の給電量であるP1と、測定値が第2閾値Thre2より大きい場合の給電量であるP2を適切な値に設定すれば、確実なタイミングでエアロゾルの生成を開始することができる。
2−2−3 給電停止条件
ステップS214における給電停止条件の一例は、吸引センサ106からの測定値が、第2閾値Thre2以上である第3閾値Thre3を下回ることである。このような第3閾値Thre3と、第2閾値Thre2及び第1閾値Thre1との関係について、再び図3A及び3Bを参照しつつ詳述する。
図3A及び3Bのように、第2閾値Thre2は、第3閾値Thre3より第1閾値Thre1に近いように設定することができる。このように設定することで、より早くエアロゾル生成を開始できるため、結果的に早めに給電を停止できる。またユーザの吸引に対してより違和感の少ない態様でエアロゾル生成を行える。
また、図3A及び3Bとは異なり、第2閾値Thre2は、第1閾値Thre1より第3閾値Thre3に近いか又は第3閾値Thre3と等しいように設定することができる。このように設定することで、給電停止条件を測定値が第3閾値Thre3以下であるという単純なものとした場合であっても、測定値が徐々に増加するという仮定のもとで、最初にステップS214を実行するときに測定値が第3閾値Thre3以下となる可能性が減り、エアロゾル生成の強制終了を回避しやすくなる。
2−2−4 電源及び電力
ステップS206及びステップS212において、電源は、バッテリ114と電力制御部135とから少なくとも構成されるものを意図したものである。この点について、以下、その他の例示動作においても同様である。
また、ステップS206及びステップS212において、ヒータに給電される電力は、時間にわたり一定であるか、又は、時間にわたり変化するが単位時間当たりの給電量が一定となるように供給することができる。本例示動作において、電力P1及びP2の値は、単位時間当たりの給電量(エネルギー)を意図している。但し、単位時間の長さは1sを含む任意の長さを意図したものであり、例えば、給電にPWM制御を用いる場合、PWM1周期の長さであり得る。なお、単位時間の長さが1sでない場合、電力P1及びP2の物理量は「電力」でないが、便宜上、「電力」と表記している。この点について、以下、その他の例示動作においても同様である。
電力P1及びP2について、図4を参照して詳述する。図4は、吸引センサ106の測定値410(実線)の時間にわたる変化(以下、「パフプロファイル」または「測定値のプロファイル」ともいう。)と、霧化部104のヒータに供給される電力420(点線)との時間にわたる変化を表している。図4は、測定値410が第1閾値Thre1を上回ったときt1に、電力P1での給電が開始されること、電力P1での給電の開始から既定時間Δt1の経過前に測定値410が第2閾値Thre2を上回っているため、測定値410が第2閾値Thre2を上回ったときt2に、電力P2での給電が開始されること、及び、測定値410が第3閾値Thre3を下回ったときt3に、給電が停止されることを示している。なお、時刻t1における判定は図2のフローチャートにおけるステップS202の判定,時刻t2における判定は図2のフローチャートのステップS210における判定,時刻t3における判定は図2のフローチャートのステップS214における判定,既定時間Δt1は図2のフローチャートのステップS208におけるΔt1にそれぞれ相当する。
なお、図4に表したパフプロファイルは、説明のために簡略化した例示のものであることに留意されたい。制御部130は、1回のある期間、例えば1回の給電サイクルにおいて得られた測定値に基づくパフプロファイル、複数回のある期間において得られた測定値の平均に基づくパフプロファイル、複数回のある期間において得られた測定値の回帰分析に基づくパフプロファイル等に基づき、給電を制御することができる。なお、「給電サイクル」は、給電を開始してから停止するまでの期間を含み、測定値が0若しくは所定の微小値を上回ってから0に戻る若しくは所定の微小値を下回るまでの期間、又は、当該期間の前及び後ろの一方若しくは双方に所定の時間を加えた期間であってよい。図4に示されたグラフの時間軸の左端から右端までの期間は、「給電サイクル」の一例である。この点について、以下、その他の例示動作においても同様である。
電力P1は、測定値410が第1閾値Thre1より大きく且つ第2閾値Thre2以下の期間に供給されるものである。この期間が霧化部104のヒータの予熱として用いられる場合には、電力P1は以下の式を満たさなければならない。
Jatomize/Δt1>P1/Δtunit (5)
ここで、Jatomizeは霧化部104において霧化が生ずる最小のエネルギーである。なお、Jatomizeはエアロゾル源の組成や霧化部104のヒータの構成に基づいて理論的又は実験的に求められてもよい。また、Δtunitは単位時間の長さであり、単位時間の長さが1sの場合、「/Δtunit」は省略してよい。なお、Jatomizeは必ずしも固定値である必要はなく、条件や他の変数によって変動する変数でもよい。一例として制御部130は、エアロゾル源の残量に応じてJatomizeを修正してもよい。
電力P2は、測定値410が第2閾値Thre2を越えた場合に供給されるもので、霧化部104において霧化を生じさせるための電力である。従って、電力P2は、霧化部104に悪影響を与えない、例えばそのヒータに過熱による故障を引き起こさない限度において、できる限り大きい値であることが好ましく、少なくとも以下の条件を満たすことができる。
P2>P1 (6)
また、電力P1は、(5)式を満たすのであれば、可能な限り大きくすることができ、それによって、既定期間Δt1を小さくすることができる。よって、0値<P1<P2である電力P1は、0値ではなくP2により近いように設定することができる。
2−2−5 フローチャート200から導ける処理
フローチャート200が含む一連のステップは、吸引センサ106の測定値が第1閾値Thre1より大きく第2閾値Thre2以下の場合の電源からの給電量を、高々所定の値(電力P1×既定時間Δt1)とする処理の一例である。
このような処理によれば、吸引センサ106からの測定値が第1閾値Thre1より大きく且つ第2閾値Thre2以下の場合の電源からの給電量を第1の値とおいた場合、第1の値は必ず所定の値以下となるから、当該測定値が第2閾値Thre2より大きい場合の給電量が第1の値より大きくなるように給電を制御することが可能である。従って、このような処理によれば、例えば背景ノイズの影響により意図せず測定値が頻繁に超えてしまうような値に第1閾値Thre1を設定した場合であっても、無駄な電力消費やエアロゾル源の消費が抑制されることになる。
上記所定の値は、霧化部104においてエアロゾルの生成が開始される給電量未満とすることができる。このような値を用いることにより、第1の値の給電量によって、霧化部104において霧化は発生しないが、霧化部104のヒータの予熱が行われることになる。予熱によれば、無駄なエアロゾル源の消費を生じさせず、且つ、意図しないエアロゾル発生による周囲への影響を与えずに、意図したエアロゾルの発生を応答性よく開始することができる。別の観点から述べると、第1の値の給電量を与えるための電力又は単位時間当たりの電力量P1と、既定時間Δt1との少なくとも一方は、第1の値が、エアロゾル源からエアロゾルの生成が開始される給電量以下になるように設定することができる。なお、既定時間Δt1は既定の上限と下限の間で設定されるものとすることができる。既定時間Δt1の上限の一例としては、500msec,300msec,100msecなどが挙げられる。また既定時間Δt1の下限の一例としては、10msec,30msecなどが挙げられる。
フローチャート200が含む一連のステップは、測定値が第1閾値Thre1を超えてから又は電力P1での給電の開始から、既定時間Δt1内に測定値が第2閾値Thre2より大きくならない場合、給電を停止する処理の一例でもある。このような処理によれば、通電開始に関連した第1閾値Thre1を、ノイズを拾い得るようなピーキーな値に設定したとしても、ノイズによりほぼ常時通電するという状況にはならないから、電源の蓄電量の低下を避けることができる。
2−3 フローチャート200の変形例
更に、フローチャート200の変形例について説明する。
上述したように、吸引センサ106としては、圧力又は流量センサと操作ボタンとの双方を用いることができる。吸引センサ106として操作ボタンも設けられている場合、ステップ202は、測定値が第1閾値Thre1を上回ったか否かではなく、操作ボタンが押下されたか否かを判定するものであってもよい。
また、ステップS206はステップ204の前に実行されてもよいし、ステップS204とステップS206とを同時に(並列に)実行してもよい。
ステップS214における給電停止条件の別例は、電源が第2の値を給電した後に、吸引センサ106からの測定値が第3閾値Thre3を下回ることである。第2の値は、測定値が第2閾値Thre2を超えた場合の、電源からの最低限の給電量であり、測定値が第2閾値Thre2を越える前の給電量である上述した第1の値よりも大きくすることができる。この場合、測定値が第2閾値Thre2を越える前の給電量は、第2の値より小さいことになる。
更に、フローチャート200は、ステップS204を削除し、ステップS208を、当該ステップの時点での延べ給電量が所定の値以下であるか否かを判定するステップとするように変形することができる。変形後のフローチャート200が含む一連のステップは、吸引センサ106の測定値が第1閾値Thre1より大きく第2閾値Thre2以下の場合の電源からの給電量を、最大でも所定の値(電力P1×既定時間Δt1)とする処理の別例である。なお、当該処理は、上に示した2例に限定されないことに留意されたい。
3 制御部130の第2例示動作
図5Aは、制御部130の第2例示動作を示すフローチャート500である。
3−1 フローチャート500の概略
まず、フローチャート500の概略について説明する。
ステップS502において、制御部130は、第1条件を満たしたか否かを判定する。第1条件を満たしている場合、ステップS504へ進み、そうでなければ、ステップS502へ戻る。ステップS504において、制御部130は、霧化部104のヒータに給電される電力の値(上述したように、単位時間当たりの給電量。以下、「単位給電量」という。)を増加させる。
ステップS506において、制御部130は、第2条件を満たしたか否かを判定する。第2条件を満たしている場合、ステップS508へ進み、そうでなければ、ステップS506へ戻る。ステップS508において、制御部130は、第3条件を満たしたか否かを判定する。第3条件を満たしている場合、ステップS510へ進み、そうでなければ、ステップ506へ戻る。ステップS510において、制御部130は、単位給電量を減少させる。
ステップS512において、制御部130は、第4条件を満たしたか否かを判定する。第4条件を満たしている場合、制御部130が単位給電量を増加させるステップS514へ進み、そうでなければ、フローチャート500は終了する。
3−2 フローチャート500の詳細
次に、フローチャート500の動作等の詳細について説明する。
3−2−1 第1条件
ステップS502における第1条件は、吸引センサ106からの測定値が、第1閾値Thre1又は第2閾値Thre2を上回っていることであってよい。
3−2−2 第2条件
ステップS506における第2条件は、吸引センサ106からの測定値が、第3閾値Thre3を下回っていることであってよい。ここで、第3閾値Thre3は更新することができる。
第3閾値Thre3の更新手法の第1例として、制御部130は、給電を開始してから停止するまでの期間又は給電サイクル毎に、測定値の最大値を算出し、記憶しておき、算出した複数の最大値に基づき、第3閾値Thre3を更新することができる。
より詳細には、制御部130は、算出した複数の最大値から導出した、平均値vmax_aveに基づき、第3閾値Thre3を更新することができる。単純な平均演算の一例を以下に示す。
また、加重平均演算の一例を以下に示す。
ここで、式(7)及び(8)において、Nは最大値を算出した期間の数であり、vmax(i)はi番目の期間の最大値(iの値が大きいほどより新しいことを示す。)である。このような平均演算は、エアロゾル生成装置100を長期間使用する場合に有用である。特に、加重平均演算によると、より最近の給電を開始してから開始した当該給電が停止するまでの期間について算出された最大値に、より大きな重みが割り当てられるため、エアロゾル生成装置100を長期間使用した場合のパフプロファイルの変化に対応できる。
第3閾値Thre3を更新すべき値を求める式の例を以下に示す。
Thre3=vmax_ave×α (9)
ここで、αは0より大きく1以下の値であり、好ましくは第3閾値Thre3が第2閾値Thre2より大きくなる値である。
第3閾値Thre3の更新手法の第2例として、制御部130は、給電を開始してから停止するまでの期間又は給電サイクル毎に、測定値の変化即ちプロファイルを記憶し、記憶した複数の測定値の変化に基づき、第3閾値Thre3を更新することができる。特に、第3閾値Thre3は、測定値の変化の持続時間(例えば、測定値が0又は所定の微小値を上回ってから0に戻る又は所定の微小値を下回るまでの長さ)の平均値Δtduration_aveから既定値Δt2を引いた値に基づき更新することができる。第3閾値Thre3を更新すべき値を求める式の例を以下に示す。
Thre3=v(Δtduration_ave−Δt2) (11)
ここで、図6Aを参照して説明すると、v(t)はパフプロファイル610を表す関数であり、Δtduration_ave及びΔt2は、図に示された時間に相当する。なお、図6Aに表したパフプロファイルは、複数回のある期間において得られた測定値の平均に基づくものであることを意図しているが、説明のために簡略化した例示のものであることに留意されたい。
なお、本実施形態においては、測定値の持続時間を導出するにあたっては、測定値が0又は所定の微小値を上回ってから0に戻る又は所定の微小値を下回るまでの長さを用いた。これに代えて、0又は所定の微小値を連続して複数下回るまでの長さを用いてもよい。またこれらと併せて、測定値の時間微分値を用いてもよい。
3−2−3 第1条件と第2条件の比較
ウィック112の熱容量が大きい場合、ユーザの吸引に対して違和感なくエアロゾル生成を行うためには、制御部130が単位給電量を増加させるタイミングと減少させるタイミングを早めることが好ましい。すなわち、0から連続的に増加して最大値に至り、その後に連続的に減少して0に至るという理想的なユーザプロファイルを考慮すると、図5AのステップS502における第1条件で用いる第1閾値Thre1又は第2閾値Thre2は、図5AのステップS506における第2条件で用いる第3閾値Thre3より小さい値であることが好ましい。
しかし、後述する第3条件を用いずに、第1条件と第2条件のみを用いて制御部130が単位給電量を増減させる場合、次のような不具合が生じ得る。第1条件で用いる第1閾値Thre1又は第2閾値Thre2が、第2条件で用いる第3閾値Thre3より小さいことから、第1条件が満たされた直後に第2条件が満たされ、増加した単位給電量によるエアロゾル生成が行われないまま、単位給電量が減少する。より詳述すると、ステップS502における第1条件で用いる第1閾値Thre1又は第2閾値Thre2を上回った測定値は、ステップS506において第3閾値Thre3を下回ったか否かが判断される。測定値が理想的には連続的に変化する点と制御部130の制御周期や演算速度を考慮すると、第1閾値Thre1又は第2閾値Thre2を上回った直後の測定は、第3閾値未満である可能性が高い。
仮に理想通りにユーザプロファイルが変化するならば、ユーザプロファイルの最大値は極大値と同義であることから、例えば、リアルタイムに変化するユーザプロファイルにおいて測定値の変化を計算し、測定値が最大値(極大値)に達した後に、測定値が第3閾値を下回ったか否かを判断すればこの不具合を容易に解消できる。しかし、現実のユーザプロファイルには大きな個人差があり、加えて図3Aと図3Bにおいて説明した測定値に混ざり込む背景ノイズが存在するため、複数の極大値が存在してしまうことから、この不具合を解消できない。そこで本実施形態では、この不具合を解消すべく第3条件を導入する。
3−2−4 第3条件
ステップS508における第3条件は、第1条件及び第2条件とは異なる条件である。従って、第3条件は、第1条件と同時に満たされない任意の条件であることができる。このような第3条件によると、第1条件が満たされ、単位給電量が増加した直後に減少するといった事態を抑制することができる。また、第3条件は、第2条件より後に満たす(言い換えると、第2条件が第3条件より先に満たされる)ことが可能な任意の条件であることができる。このような第3条件によると、吸引センサ106からの測定値が第3閾値Thre3以下となってもすぐには単位給電量が減少せず、給電を続行できる。
3−2−4−1 測定値に基づく第3条件
第3条件は、吸引センサ106からの測定値に基づく条件であることができる。このような第3条件によると、吸引の強さを考慮しつつ、単位給電量が増加した直後に減少するといった事態を回避できる。
具体的にいうと、第3条件の第1例は、測定値の時間微分に基づく条件である。このような条件によると、吸引の強さの変化も考慮することで、ユーザの感覚に沿った形で単位給電量を減少させるか否かを判断できる。より詳細には、第3条件は、測定値の時間微分が0又は0より小さい第4閾値Thre4以下であるという条件であることができる。このような条件によると、吸い込みの強さが増え続けている間は、単位給電量が減少することがなくなる。
なお、前述したように測定値には背景ノイズが混ざり込む。従って、厳密には吸い込みの強さが増え続けている場合でも、測定値の時間微分は0より小さくなる可能性がある。第3条件を、測定値の時間微分が0より小さい第4閾値Thre4以下であるという条件とすることで、測定値の時間微分が瞬時的にマイナスとなる場合でも、単位給電量が減少することがなくなる。ただし、あまり第4閾値Thre4の絶対値を大きい値としてしまうと、吸い込みの弱さが減り続けパフの終わりが近づいていることを認識できなくなってしまう。従って、より精度を高めるためには第4閾値Thre4は背景ノイズの大きさを考慮して設定された値でもよい。
背景ノイズの大きさを考慮する場合は、エアロゾル生成装置100の製造時に背景ノイズの大きさを考慮した固定値を第4閾値Thre4としてメモリ140に記憶させてもよい。または、フローチャート500を実行させる前に、キャリブレーションのような形で背景ノイズの時間変化を記憶し続け、そこから導出した最大値や平均値に基づき第4閾値Thre4を設定してもよい。
本実施形態においては、第3条件には、測定値の時間微分が0又は0より小さい第4閾値Thre4以下であるという条件を用いた。これに代えて、測定値の時間微分が0又は0より小さい第4閾値Thre4以下という点を、既定時間にわたって連続して満たしたという条件を第3条件に用いてもよい。背景ノイズが図3A又は図3Bのように変化するならば、吸い込みの強さが増え続けている間は、測定値の時間微分が0又は0より小さい第4閾値Thre4以下になり続けないからである。
第3条件の第2例は、測定値が、第2閾値Thre2以上の第5閾値Thre5を超えた後で第2閾値Thre2を下回ったという条件である。このような条件によると、第5閾値Thre5を想定される最大値近傍の値とすることにより、少なくとも最大値近傍までは単位給電用が減少しないようにすることができる。
ここで、第5閾値Thre5は、更新することができる。
第5閾値Thre5の更新手法の第1例として、制御部130は、給電を開始してから停止するまでの期間又は給電サイクル毎に、測定値の最大値を算出し、記憶しておき、算出した複数の最大値に基づき、第5閾値Thre5を更新することができる。より詳細には、制御部130は、算出した複数の最大値の平均値に基づき、第5閾値Thre5を更新することができる。平均値を求めるための平均演算は、第3閾値Thre3の更新に関連して上述した平均演算を用いることができる。第5閾値Thre5を更新すべき値は、以下のように求めることができる。
Thre5=vmax_ave−Δv1 (10)
ここで、Δv1は0以上の所与の値である。第5閾値Thre5を更新することで、第5閾値Thre5に適切な大きさの値が設定され、不適切なタイミングで単位給電量が減少する可能性が減少する。
第5閾値Thre5の更新手法の第2例として、制御部130は、まず第3閾値Thre3を更新し、更新した第3閾値Thre3以上となるように第5閾値Thre5を更新することができる。第5閾値Thre5を更新すべき値を求める式の例を以下に示す。
Thre5=Thre3+Δv2 (11)
ここで、Δv2は0以上の所与の値である。
3−2−4−2 不感期間に基づく第3条件
第3条件として、不感期間を利用してもよい。即ち、第3条件の第3例は、第1条件が満たされてから既定の不感期間Δtdeadが経過したという条件である。このような第3条件によると、少なくとも不感期間が経過するまでは単位給電量が減少しないため、単位給電量が増加した直後に減少するといった事態を抑制できる。
不感期間Δtdeadは更新することができる。例えば、制御部130は、給電サイクル毎に、第1条件が満たされてから測定値が最大値に至るまでの第1所要時間と、第1条件が満たされてから当該第1条件が満たされなくなるまでの第2所要時間の少なくとも一方を算出し、複数の第1所要時間と複数の第2所要時間との少なくとも一方に基づき、不感期間Δtdeadを更新することができる。
より詳細には、制御部130は、複数の第1所要時間の平均値と複数の第2所要時間の平均値との少なくとも一方に基づき、不感期間Δtdeadを更新することができる。単純な平均演算の一例を以下に示す。
また、加重平均演算の一例を以下に示す。
なお、式(12)及び(13)において、Nは第1所要時間又は第2所要時間を算出した期間の数であり、Δt(i)はi番目の期間の第1所要期間又は第2所要期間(iの値が大きいほどより新しいことを示す。)である。このような平均演算は、エアロゾル生成装置100を長期間使用する場合に有用であり、特に、加重平均演算によると、より最近の給電を開始してから開始した当該給電が停止するまでの期間について算出された第1所要期間又は第2所要期間に、より大きな重みが割り当てられるため、エアロゾル生成装置100を長期間使用した場合のパフプロファイルの変化に対応できる。
不感期間Δtdeadを更新すべき値を求める式の3つの例を以下に示す。
ここで、上式における各変数の関係について、図6Bを参照されたい。特に、tover_Thre1_aveは測定値が0又は所定の微小値を上回ってから第1条件を満たすまでの平均値である。従って、tmax_ave−tover_Thre1_aveは上記第1所要時間の平均値に相当する。tunder_Thre1_aveは測定値が0又は所定の微小値を上回ってから第1条件を満たさなくなるまでの平均値である。従って、tunder_Thre1_ave−tover_Thre1_aveは上記第2所要時間の平均値に相当する。Δt3、Δt4及びΔt5はその大きさが0以上の所与の値であり、好適には、図6Bにおいて640の示す値が第3閾値Thre3となるように設定される。不感期間Δtdeadを更新することで、不感期間Δtdeadに適切な大きさの値が設定され、予期しないタイミングで単位給電量が減少する可能性が減少する。
3−2−4−3 その他の第3条件
第3条件の第4例は、第3条件を判定する時点で、当該時点までに出力された測定値が最大となったときから所定時間以上経過しているという条件である。
3−2−4−4 第3条件の選択
第3条件は、複数の第3条件から選択することができる。図7は、様々なパフプロファイルを表すグラフである。図7からわかるように、第3条件として適切なものは、パフプロファイルごとに異なる。例えば、710で示されるパフプロファイルに対しては、最大値に至るまえに極大値を持つため、換言すれば最大値に至る前に測定値の時間微分がマイナスの値になるため、第3条件において微分値を用いるもの(第1例)が使いにくい。また、720で示されるパフプロファイルに対しては、測定値が概して小さいため、第3条件において複数の閾値を用いるもの(第2例)が、複数の閾値に対して互いに有意差を持たせにくく、使いにくい。更に、730で示されるパフプロファイルに対しては、最大値に至るまで時間がかかるため、第3条件において不感期間を用いるもの(第3例)が使いにくい。従って、制御部130は、複数の第3条件を備えた第3条件群から、第3条件を選択可能な選択モードを実行可能であってもよい。特に、制御部130は、吸引センサ106の測定値を記憶し、記憶した測定値に基づき、例えば記憶した測定値に基づくパフプロファイルに基づき、第3条件群から第3条件を選択することができる。
図8は、第3条件群から第3条件を選択するための例示の方法800を表している。なお、図8において、第3条件群が含む第3条件は、第3条件A、B及びCの3つであると仮定しているが、第3条件群は2以上の任意の数の第3条件を含むことができる。
ステップS810において、制御部130は、第3条件Aの除外条件を満たしたかを判定する。第3条件Aの除外条件は、極大値を持つ等の、記憶した測定値の時間微分に基づく条件であることができる。第3条件Aの除外条件を満たしている場合、ステップS815に進み、第3条件Aを候補から外したうえでステップS820にさらに進む。第3条件Aの除外条件を満たしていない場合、ステップS820に進み、従ってこの場合、第3条件Aは候補から外されない。
ステップS820及び830は、それぞれ、第3条件Aとは異なる第3条件B及びCについて判定する、ステップS810に対応するステップである。ここで、第3条件Bの除外条件は、測定値が概して小さい等の、測定値の最大値に基づく条件であることができる。また、第3条件Cの除外条件は、最大値に至るまで時間がかかる等の、測定値の変化の持続時間に基づく条件であることができる。ステップS825及びS835は、それぞれ、第3条件Aとは異なる第3条件B及びCを候補から外す、ステップS815に対応するステップである。
ステップS840において、制御部130は、候補に残った第3条件から第3条件を選択する。但し、候補が複数残っている場合、残った候補から1つの第3条件を選択することができる。また、候補が残っていない場合、制御部130は、第3条件群に含まれる任意の第3条件を選択してもよい。制御部130が複数の第3条件のうちの1以上を選択する手法としては、ランダム選択、予め設定された優先順位に基づく選択、ユーザ選択等が考えられる。なお、エアロゾル生成装置100は、ユーザ選択を受けるための図示しない入力手段を有することができる。また、エアロゾル生成装置100は、WiFiやBluetooth(登録商標)等によりスマートフォン等のコンピュータに接続するための図示しない通信手段を有することができ、接続されたそのようなコンピュータからユーザ選択を受けることができる。
ステップS850において、制御部130は、選択した第3条件を取得する。選択した第3条件を取得することは、当該条件を判定するためのアルゴリズムに従うプログラムを取得することを含む。第3条件群の取得される可能性ある1以上の第3条件は、メモリ140に予め記憶しておくこともできるし、外部から、例えば、上述したようなスマートフォン等のコンピュータから取得したり、上記通信手段を介してインターネットからダウンロードしたりすることもできる。第3条件を外部やインターネットから取得する場合は、メモリ140に第3条件群に含まれる第3条件の全てを記憶させておく必要がないため、他の用途のためにメモリ140の空き容量を確保できる、高容量のメモリ140を搭載する必要がなくなることによりエアロゾル生成装置100のコストを低減できる、大型のメモリ140を搭載する必要がなくなることによりエアロゾル生成装置100を小型化できる、といった利点が得られることになる。
ステップS860において、制御部130は、選択された第3条件が満たされているかが判定されるように、自身を構成する。
3−2−5 第4条件
ステップS512における第4条件は、第2条件及び第3条件が満たされてから、既定の復帰期間内に、吸引センサ106からの測定値の時間微分が0を超えたという条件であることができる。このような第4条件によると、ノイズや僅かな吸引の強さの減少によって単位給電量が減少した場合に即座に単位給電量を増加させることができるので、エアロゾル生成装置100の使い勝手がよくなる。
3−2−6 単位給電量の増加
ステップS504における単位給電量の増加は、0値からのある大きさの単位給電量への増加であってよい。また、この増加は段階的なものであってもよく、例えば、単位給電量を、0値から第1単位給電量へ、該第1単位給電量から該第1単位給電量より大きい第2単位給電量へ、段階的に変化させてよい。
ステップS514における単位給電量の増加は、0値から、ステップS504において増加した大きさの単位給電量への増加であってよい。
3−2−7 単位給電量の減少
ステップS510について、単位給電量の減少は、ある大きさの単位電力量から0値への減少であってよい。
3−3 フローチャート500の変形例
更に、フローチャート500の変形例について説明する。
ステップS508はステップS506の前に実行してもよいし、ステップS506とステップS508とを同時に(並列に)実行してもよい。
また、ステップS508は、第1条件が満たされてから既定の判定期間の内で第3条件が満たされない場合に、ステップS510に進むように変形することができる。このようにすることで、第3条件が満たされない場合であっても単位給電量を減少させることができ、通電が止まらないという事態を避けることができる。
ステップS504〜S510は、それぞれ、図5Bに示されるステップ504’〜S510’のようなステップであってもよい。即ち、制御部130は、ステップ504’において単位給電量を増加させた後、ステップS508’において第3条件を満たしたか否かを判定することができる。第3条件を満たしている場合、ステップS506’へ進み、そうでなければ、ステップS508’に戻ることができる。更に、制御部130は、ステップS506’において、第2条件を満たしたか否かを判定し、第2条件を満たしている場合、ステップS510’に進んで単位給電量を減少させ、そうでない場合、ステップS506’に戻ることができる。図5Bに表されるような変形によると、制御部130は、第2条件を、第1条件及び第2条件とは異なる第3条件を満たした後に満たす場合に、単位給電量を減少させることになる。
4 制御部130の第3例示動作
図9は、制御部130の第3例示動作を示すフローチャート900である。
4−1 フローチャート900の概略
まず、フローチャート900の概略について説明する。
ステップS902において、制御部130は、第5条件を満たしたか否かを判定する。第5条件を満たしている場合、ステップS904へ進み、そうでなければ、ステップS902へ戻る。ステップS904において、制御部130は、単位給電量を増加させる。
ステップS906において、制御部130は、第5条件が満たされてから既定の不感期間では満たされない第6条件を満たしたか否かを判定する。第6条件を満たしている場合、ステップS908へ進み、そうでなければ、ステップS906に戻る。ステップS908において、制御部130は、単位給電量を減少させる。
4−2 フローチャート900の詳細
次に、フローチャート900の動作等の詳細について説明する。
ステップS902における第5条件の例は上述した第1条件であり、ステップS906における第6条件の例は、第3条件において上述した、不感期間に基づく条件である。また、ステップS906における既定の不感期間は、制御部130の制御周期(1制御周期ごとに1ステップが実行される。)以上であることが好ましい。このような第6条件によると、単位給電量を増加させるための条件が満たされた直後に単位給電量を減少させるための条件が満たされ、いつまでも実質的な給電ができないといった状態を回避することができる。
ステップS904及びS908は、それぞれ、フローチャート500のステップS504及びS510に相当するものである。
5 制御部130の第4例示動作
図10は、制御部130の第4例示動作を示すフローチャート1000である。
5−1 フローチャート1000の概略
まず、フローチャート1000の概略について説明する。
ステップS1002において、制御部130は、第1条件群が含む1以上の条件全てを満たしたか否かを判定する。当該1以上の条件全てを満たしている場合、ステップS1004へ進み、そうでなければ、ステップS1002へ戻る。ステップS1004において、制御部130は、単位給電量を増加させる。
ステップS1006において、制御部130は、第2条件群が含む1以上の条件全てを満たしたか否かを判定する。当該1以上の条件全てを満たしている場合、ステップS1008へ進み、そうでなければ、ステップS1006に戻る。ステップS1008において、制御部130は、単位給電量を減少させる。
5−2 フローチャート1000の詳細
次に、フローチャート1000の動作等の詳細について説明する。
第1条件群が含む条件は、第2条件群が含む条件より少なくすることができる。このようにすることで、単位給電量を減少させるための条件が単位給電量を増加させるための条件よりも満たされにくくなるため、単位給電量の減少が起きにくくなる。
より詳細には、第1条件群及び第2条件群は、共通の変数に関する条件を、それぞれ少なくとも1つ含むことができる。このようにすることで、単位給電量の増加・減少の確実性を担保することができる。例えば、共通の変数は、吸引センサ106の測定値に基づくことができ、このようにすることで、ユーザの意図を反映した給電制御が可能となる。また、共通の変数に関する条件は、当該共通の変数の絶対値が、ある閾値以上である、ある閾値より大きい、ある閾値以下である又はある閾値未満であるという条件であることができ、第1条件群に含まれる共通の変数に関する条件における閾値と、第2条件群に含まれる共通の変数に関する条件における閾値とは、異なることができる。このとき、前者の閾値は後者の閾値より小さいことができる。このようにすることで、単位給電量が増加してから減少するまでのタイミングを早めることができる。
なお、第1条件群が含む1以上の条件の例は、上述した第1条件であり、第2条件群が含む1以上の条件の例は、上述した第2条件及び第3条件である。また、ステップS1004及びS1008は、それぞれ、フローチャート500のステップS504及びS510に相当するものである。また、第1条件群が含む1以上の条件は、上述した第1条件のみに限られず、第1条件に代えて又は加えて他の条件を用いてもよい。同様に、第2条件群が含む1以上の条件は、上述した第2条件及び第3条件に限られず、これらの条件に代えて又は加えて他の条件を用いてもよい。
6 制御部130の第5例示動作
図11は、制御部130の第5例示動作を示すフローチャート1100である。
6−1 フローチャート1100の概略
まず、フローチャート1100の概略について説明する。
ステップS1102において、制御部130は、第7条件を満たしたか否かを判定する。第7条件を満たしている場合、ステップS1104へ進み、そうでなければ、ステップS1102へ戻る。ステップS1104において、制御部130は、単位給電量を増加させる。
ステップ1106において、制御部130は、第7条件より厳しい第8条件を満たしたか否かを判定する。第8条件を満たしている場合、ステップS1108へ進み、そうでなければ、ステップS1106に戻る。ステップS1108において、制御部130は、単位給電量を減少させる。
6−2 フローチャート1100の詳細
ステップS1102における第7条件は、ステップS1106における第8条件の必要条件ではあるが十分条件ではない条件であることができる。別の観点から述べると、第7条件の例は上述した第1条件であり、第8条件の一例は、上述した第2条件及び第3条件の組み合わせであることができる。このような第8条件によると、満たすためには第2条件及び第3条件の組み合わせという複雑な条件を満たす必要があり、単位給電量を減少させるための条件の方が単位給電量を増加させるための条件よりも満たされにくいため、単位給電量の減少が起きにくくなる。第7条件と第8条件の厳しさの程度の違いは、上述した内容に限定して解釈されるべきではない。例えば、第7条件よりも第8条件の方が満たされる可能性が低い条件である場合、第8条件は第7条件よりも厳しいということができる。また、例えば、第7条件が満たされても同時に第8条件が満たされない場合、第8条件は第7条件よりも厳しいということができる。
ステップS1104及びS1108は、それぞれ、フローチャート500のステップS504及びS510に相当するものである。
7 制御部130の第6例示動作
図12は、制御部130の第6例示動作を示すフローチャート1200である。
7−1 フローチャート1200の概略
まず、フローチャート1200の概略について説明する。
ステップS1202において、制御部130は、給電を制御するための第1物理量を表す測定値である吸引センサ106の測定値を取得する。ステップS1204において、制御部130は、第1物理量を表す測定値の変化即ちプロファイルを記憶する。ステップS1206において、制御部130は、取得した第1物理量を表す測定値と、記憶した第1物理量を表す測定値のプロファイルの少なくとも一部とに基づき、第1物理量とは異なる第2物理量を制御することで給電を制御する。第2物理量の一例としては、給電に係る電流値,電圧値,電流値などが挙げられる。
7−2 フローチャート1200の詳細
次に、フローチャート1200の動作等の詳細について説明する。
7−2−1 測定値のプロファイルの記憶
ステップS1204における給電を制御するための第1物理量を表す測定値のプロファイルの記憶の一例は、ステップS1202において取得した第1物理量を表す測定値と、第1物理量を表す測定値を取得した時刻との双方を、メモリ140に記憶することである。なお、少なくともステップS1202は複数回実行されることに留意されたい。また、制御部130は、給電を開始してから停止するまでの期間を含む給電サイクル毎に、第1物理量を表す測定値のプロファイルを記憶することができる。即ち、制御部130は、給電サイクルに対応した測定値のプロファイルを記憶することができる。
7−2−2 記憶した測定値のプロファイルに基づく給電制御
制御部130は、給電を開始してから停止するまでの期間をそれぞれ含む過去の複数の給電サイクルのうちの1つの給電サイクルに対応する、給電を制御するための第1物理量を表す測定値のプロファイルである第1プロファイル、及び、複数の第1プロファイルより導出した平均的な第1物理量を表す測定値のプロファイルである第2プロファイルの一方又は双方を求めることができる。ここで、制御部130は、第1プロファイル及び第2プロファイルの少なくとも一方に基づき、給電の停止と継続の少なくとも一方を制御することができる。
7−2−3 第1観点からの給電制御の例
制御部130は、第1プロファイルと第2プロファイルの少なくとも一方に基づき、給電を制御するための第1物理量を表す測定値が変化を開始してから終了するまでに要する第1所要時間を導出することができる。第1物理量を表す測定値の変化の開始は、第1物理量を表す測定値が0又は所定の微小値を上回ったときであってよい。また、第1物理量を表す測定値の変化の終了は、第1物理量を表す測定値の変化が開始した後に第1物理量を表す測定値が0になるか又は所定の微小値を下回ったときであってよい。ここで、制御部130は、第1所要時間が経過するよりも早いタイミングで給電が停止されるように、給電を制御することができる。言い換えると、制御部130は、第1所要時間よりも短い時間だけ給電が継続されるように、給電を制御することができる。
あるいは、制御部130は、第1プロファイルと第2プロファイルの少なくとも一方に基づき、第1物理量を表す測定値が変化を開始してから最大値に至るまでに要する第2所要時間を導出することができる。ここで、制御部130は、第2所要時間が経過するよりも遅いタイミングで給電が停止されるように、給電を制御することができる。言い換えると、制御部130は、第2所要時間よりも長い時間だけ給電が継続されるように、給電を制御することができる。
なお、制御部は、第1所要時間と第2所要時間の双方を導出してもよい。ここで、制御部130は、第1所要時間が経過するよりも早いタイミングで且つ第2所要時間が経過するよりも遅いタイミングで給電が停止されるように、給電を制御することができる。言い換えると、制御部130は、第1所要時間より短く且つ第2所要時間より長い時間だけ給電が継続されるように、給電を制御することができる。
7−2−4 第2観点からの給電制御の例
制御部130は、第1プロファイル又は第2プロファイルにおける複数の種類の特徴点に基づき給電を停止するタイミング又は給電を継続する時間を設定する複数のアルゴリズムを実行可能なように構成することができる。ここで、複数の種類の特徴点のうちの1種類である第1特徴点について、複数の第1プロファイル又は複数の第2プロファイルから複数の第1特徴点を導出することができるから、制御部130は、複数の第1特徴点の偏差に基づき、第1特徴点に基づく第1アルゴリズムと、複数の種類の特徴点のうちの別の1種類である第2特徴点に基づく第2アルゴリズムの一方を実行することができる。特徴点の偏差は、特徴点における第1物理量を表す測定値の偏差か、又は、任意の時刻例えば第1物理量を表す測定値の変化が開始した時刻を基準とした、特徴点の時刻即ち特徴点における測定値の測定タイミングの偏差であることができる。
より詳細には、制御部130は、複数の第1特徴点の偏差に基づく値が閾値以下の場合、第1アルゴリズムを実行することができる。複数の偏差に基づく値は、複数の偏差の絶対値の平均値(平均偏差)、複数の偏差の二乗の平均値(分散)、及び、複数の偏差の二乗の平均値の平方根(標準偏差)を含む。
複数の種類の特徴点のうちの1種類の例は、第1プロファイル又は第2プロファイルが終了した点即ち終点である。複数の種類の特徴点のうちの1種類の別例は、第1プロファイル又は第2プロファイルにおける第1物理量を表す測定値が最大となる点である。後者の特徴点における第1物理量を表す測定値(最大値)の測定タイミングがとり得る値は、前者の特徴点における第1物理量を表す測定値(0又は微小値)の測定タイミングがとり得る値よりも多いであろう。また、後者の特徴点における第1物理量を表す測定値の測定タイミングは、前者の特徴点における第1物理量を表す測定値の測定タイミングより遅いであろう。更に、前者の特徴点は、後者の特徴点より時系列で後に存在するであろう。
なお、第1特徴点に第1プロファイル又は第2プロファイルにおける終点を、第2特徴点に第1プロファイル又は第2プロファイルにおける第1物理量を表す測定値が最大となる点をそれぞれ用いる場合、第1特徴点の測定値は、第2特徴点の測定値より小さくなる。またそれぞれの特徴点の性質上、第1プロファイル又は第2プロファイルにおいて、第1特徴点に該当し得る点(給電サイクルにおける、測定値が0又は微小値以下である点。通常は複数存在する。)は、第2特徴点に該当し得る点(給電サイクルにおける、測定値が最大である点。ただ1つであることが多いが、連続して最大の測定値が得られた場合には複数存在する。)より通常は多い。換言すれば、第2特徴点に比べて第1特徴点を、第1プロファイル又は第2プロファイルにおいて見極めることは通常は難しいといえる。
7−2−5 第3観点からの給電制御の例
制御部130は、現在の給電を停止するタイミングを取得することができる。現在の給電を停止するタイミングは、過去に第1プロファイル若しくは第2プロファイルから導出されたか又はメモリ140に記憶された、給電を停止するタイミングであってよい。ここで、制御部130は、第1プロファイル又は第2プロファイルから導出される給電を停止するタイミングと、現在の給電を停止するタイミングの差分が閾値以下である場合、現在の給電を停止するタイミングに基づき給電を制御してよい。制御部130は、第1プロファイル又は第2プロファイルから導出される給電を停止するタイミングと、現在の給電を停止するタイミングの差分が僅かな場合でも、第1プロファイル又は第2プロファイルから導出される給電を停止するタイミングを厳格に用いてしまうと、頻繁に給電を停止するタイミングが変更されることになり、制御が煩雑になるのみならず、却ってユーザに違和感を与えてしまう。
言い換えると、制御部130は、現在の給電を継続する時間を取得することができる。現在の給電を継続する時間は、過去に第1プロファイル若しくは第2プロファイルから導出されたか又はメモリ140に記憶された、給電を継続する時間であってよい。ここで、制御部130は、第1プロファイル又は第2プロファイルから導出される給電を継続する時間と、現在の給電を継続する時間の差分が閾値以下である場合、現在の給電を継続する時間に基づき給電を制御してよい。制御部130は、第1プロファイル又は第2プロファイルから導出される給電を継続する時間と、現在の給電を継続する時間の差分が僅かな場合でも、第1プロファイル又は第2プロファイルから導出される給電を継続する時間を厳格に用いてしまうと、頻繁に給電を継続する時間が変更されることになり、制御が煩雑になるのみならず、却ってユーザに違和感を与えてしまう。
7−2−6 給電を停止するタイミング又は給電を継続する時間を設定する例
以下、給電を停止するタイミング又は給電を継続する時間を設定する例について、図13を参照しながら詳述する。図13において、1310はパフプロファイルを示し、1320は変化の終了点を示し、1330は変化の最大点を示している。図13に表したパフプロファイルは、複数回のある期間において得られた給電を制御するための測定値の平均に基づくものであることを意図しているが、説明のために簡略化した例示のものであることに留意されたい。また、以下、変化の終了点が第1特徴点であり、変化の最大点が第2特徴点であるものとする。
制御部130は、給電を開始してから停止するまでの期間毎に、任意の時刻例えば変化の開始時刻を基準とした変化の終了時刻tend(i)を算出する。次に、制御部130は、複数の変化の終了時刻tend(i)の平均値tend_aveを求め、期間毎の変化の終了時刻tend(i)の偏差(tend_ave−tend(i))を算出する。その後、制御部130は、複数の偏差(tend_ave−tend(i))に基づく値を算出し、当該値を閾値と比較し、当該値が閾値以下である場合、複数の変化の終了時刻tend(i)の平均値tend_aveから0以上の所与の値Δt6を減算した時刻のパフプロファイル1310の値(給電を制御するための測定値)1340を、上述した第3閾値Thre3とする。一方、複数の偏差(tend_ave−tend(i))に基づく値が閾値以下でない場合、制御部130は、パフプロファイル1310の最大値(給電を制御するための測定値の最大)1350から0以上の所与の値Δv3を減算した値1360を、上述した第3閾値Thre3とすることができる。以上のように第3閾値Thre3を設定することにより、間接的に給電を停止するタイミング又は給電を継続する時間が設定されることになる。なお、複数の偏差(tend_ave−tend(i))に基づく値の一例としては、標準偏差や平均偏差が挙げられる。
なお、本実施形態においては、給電を停止するタイミング又は給電を継続する時間の設定には、パフプロファイルの変化の終了点1320と最大点1330のいずれか一方を用いる。これに代えて、パフプロファイルの変化の終了点1320と最大点1330の双方を用いて、給電を停止するタイミング又は給電を継続する時間を設定してもよい。一例として、パフプロファイルの変化の終了点1320と最大点1330の間に給電を停止するタイミングを設けてもよい。言い換えると、パフプロファイルの変化の終了点1320と最大点1330の間の任意の時刻まで給電が継続するようにしてもよい。
8 制御部130の第7例示動作
第7例示動作は、第5例示動作と類似の動作を行う制御部130を前提としたものである。但し、第7例示動作において、第7条件は、吸引センサ106からの給電を制御するための測定値が第6閾値Thre6以上という条件である。また、第7例示動作において、第8条件は、第7条件より厳しいことは必須でないが、給電を制御するための測定値が第6閾値Thre6より大きい第7閾値Thre7未満という条件を含む複数の条件から構成される条件であり、複数の条件全てを満たす場合にステップS1108へ進むことになる。
第7例示動作において、制御部130は、給電を制御するための測定値のプロファイルを記憶し、第6閾値Thre6と第7閾値Thre7との一方を、記憶した給電を制御するための測定値のプロファイルに基づき更新する。言い換えると、第7例示動作において、第6閾値Thre6と第7閾値Thre7との一方は一定値であり、他方は更新可能な値である。
なお、第6閾値Thre6は一定値としての上述した第1閾値Thre1又は第2閾値Thre2に相当するものであることができ、第7閾値Thre7は、記憶した給電を制御するための測定値のプロファイルに基づき更新可能な上述した第3閾値Thre3に相当するものであることができる。
9 制御部130の第8例示動作
第8例示動作は、第7例示動作と類似の動作を行う制御部130を前提としたものである。但し、第7例示動作において、給電を制御するための測定値のプロファイルの記憶は必須でないし、第6閾値Thre6と第7閾値Thre7との一方が一定値であることは必須でない。
第8例示動作において、制御部130は、第6閾値Thre6と第7閾値Thre7の一方を、他方とは異なる頻度で更新する。言い換えると、第8例示動作において、第6閾値Thre6の更新頻度と第7閾値Thre7の更新頻度は異なる。
なお、第6閾値Thre6の更新頻度は、第7閾値Thre7の更新頻度より低いことができる。第6閾値Thre6の更新頻度が第7閾値Thre7の更新頻度より低いことは、第6閾値Thre6が更新されず一定である一方で、第7閾値Thre7が更新されることを含む。
10 制御部130の第9例示動作
第9例示動作は、第6例示動作と類似の動作を行う制御部130を前提としたものである。
第9例示動作において、制御部130は、電源が給電を開始してから停止するまでの期間を含む給電サイクルに対応する、給電を制御するための第1物理量を表す測定値のプロファイルを記憶し、N−1回目以前の給電サイクルのうちの1以上の給電サイクルに対応する測定値のプロファイルに基づき、N回目の給電サイクルにおける給電を制御する。なお、Nは2以上の自然数である。