<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態における冷却ユニット100の構成について説明する。図1は、冷却ユニット100の構成を概略的に示す図である。なお、図1には、説明の便宜上、鉛直方向Gを示す。
図1に示されるように、冷却ユニット100は、冷却装置10と、空気除去部50とを備えている。冷却装置10は、蒸発器11と、凝縮器12と、蒸気管13と、液管14とを備えている。
また、冷却装置10は、蒸発器11、蒸気管13、凝縮器12および液管14を順に循環する冷媒を有する。すなわち、蒸発器11および凝縮器12の内部には、空洞が設けられている。
冷媒は、蒸発器11、凝縮器12、蒸気管13および液管14により形成される閉鎖空間内に、密閉された状態で閉じ込められる。この冷媒は、密閉された状態で、蒸発器11および凝縮器12の間を、蒸気管13および液管14を介して、循環する。
冷媒は、例えば高分子材料などにより構成されている。また、空気より気相密度が大きくて液相冷媒および気相冷媒に相変化する冷媒を用いる。すなわち、冷媒は、高温になると気化し、低温になると液化する特性を有している。
ここで冷媒には、たとえば、ハイドロフルオロカーボン(Hydrofluorocarbon)、ハイドロフルオロエーテル(Hydrofluoroether)、ハイドロフルオロオレフィン(Hydrofluoroolefin)を用いることができる。
図1に示されるように、蒸発器11は、蒸気管13および液管14によって、凝縮器12に接続されている。蒸発器11は、発熱体HE(Heating Element)に、取り付けられている。蒸発器11は、発熱体HEの熱を受熱する。蒸発器11は、受熱した発熱体HEの熱を、冷媒を用いて、凝縮器12へ伝達する。なお、蒸発器11は発熱体HEに取り付けられると説明したが、これに限定されない。すなわち、蒸発器11は発熱体HEの熱を受熱できればよく、蒸発器11および発熱体HE間の相対的な位置は限定されない。また、蒸発器11は、たとえば、アルミニウム合金等により形成されている。
なお、発熱体HEは、稼働すると熱を発する部品であって、たとえば中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)や集積回路(Multi-chip Module:MCM)などである。発熱体HEは、冷却装置10の冷却対象である。
図1に示されるように、凝縮器12は、蒸気管13および液管14によって、蒸発器11に接続されている。図1に示されるように、凝縮器12は、蒸発器11よりも鉛直方向Gの上方に配置されている。凝縮器12は、蒸発器11により受熱された発熱体HEの熱を受け取り、この熱を冷却装置10の外へ放熱する。すなわち、凝縮器12は、冷媒を介して、蒸発器11から発熱体HEの熱を受け取る。そして、凝縮器12は、受け取った発熱体HEの熱を冷却装置10の外へ放熱する。なお、凝縮器12は、たとえば、アルミニウム合金等により形成されている。
蒸気管13は、蒸発器11および凝縮器12を接続する。同様に、液管14は、蒸発器11および凝縮器12を接続する。蒸気管13および液管14は、蒸発器11および凝縮器12の間で、冷媒を循環させるために用いられる。すなわち、蒸気管13は、蒸発器11で気化した気相冷媒を、蒸発器11から凝縮器12へ導く。逆に、液管14は、凝縮器12で凝縮液化した液相冷媒を、凝縮器12から蒸発器11へ導く。なお、蒸気管13および液管14は、たとえば、アルミニウム合金等により形成されている。
これにより、冷媒は、蒸発器11、蒸気管13、凝縮器12および液管14を順に循環できる。すなわち、発熱体HEの熱により蒸発器11内で気化した気相冷媒は、蒸気管13内を流れ、凝縮器12内に流入する。次に、凝縮器12内で凝縮液化された液相冷媒は、液管14内を流れ、蒸発器11に流入する。以降、上述した処理を繰り返す。
図1に示されるように、空気除去部50は、蒸気管13に取り付けられる。空気除去部15は、蒸気管13に対して取り付け取り外しが行える。図2は、空気除去部50の構成を概略的に示す拡大図である。なお、空気除去部50は、本発明の空気除去装置でもある。空気除去部50は、蒸気管13内に含まれる空気を除去する。好ましくは、空気除去部50は、蒸気管13のうちで、鉛直方向Gで最も高い場所で、蒸気管13に接続されている。また、さらに、好ましくは、空気除去部50は、蒸発器11および凝縮器12よりも、鉛直方向Gで高い場所に設けられている。
図1および図2に示されるように、空気除去部50は、タンク51と、接続管52と、接続管バルブ53と、排気用配管54と、排気用バルブ55とを備えている。
図1および図2に示されるように、タンク51は、外観上、円柱の鉛直方向Gの下方側に円錐を連結した形状に形成されている。タンク51内は、空洞が形成されている。したがって、タンク51を鉛直方向Gに対して切断したときのタンク51の内壁に囲われた領域の断面積は、鉛直方向Gの下方側において、鉛直方向Gの下方に向けて徐々に小さくなる。タンク51は、蒸気管30内(冷却装置10内)に含まれる空気を貯留する。タンク51は、たとえば、アルミニウム合金等により形成されている。タンク51の最下部は、接続管52の鉛直方向Gの上方側に接続されている。
図1および図2に示されるように、接続管52は、タンク51の鉛直方向Gの下方側に設けられている。接続管52は、タンク51と蒸気管30を接続する。接続管52は、たとえば、円筒状に形成されている。接続管52の鉛直方向Gの上方側は、タンク51内の空洞に連結されている。接続管52の鉛直方向Gの下方側は、蒸気管13の空洞に連結されている。ここで、蒸気管13のうち、接続管52との接続部には、開閉自在な蓋(不図示)が設けられている。接続管52を蒸気管13に取り付けていないときは、蒸気管13の蓋は閉じられている。接続管52を蒸気管13に取り付けているときは、蒸気管13の蓋は開かれている。したがって、蒸気管13の蓋を開いた状態で接続管52を蒸気管13に取りつけることにより、接続管52の鉛直方向Gの下方側は、蒸気管13の空洞に連結される。接続管52は、蒸気管13内に含まれる空気を蒸気管13からタンク51へ導く。接続管バルブ53は、たとえば、アルミニウム合金等により形成されている。
図1および図2に示されるように、接続管バルブ53は、接続管51に設けられている。接続管バルブ53は、接続管51を開閉する。すなわち、接続管バルブ53が開かれているときには、蒸気管13内に含まれる空気が、蒸気管13からタンク51へ向かって鉛直方向Gの上方へ流れる。このとき、蒸気管13内(冷却装置10内)の冷媒は、空気よりも気相密度が大きいため、基本的には、蒸気管13からタンク51へ向かって鉛直方向Gの上方へ流れることはない。これにより、蒸気管13内の空気を効率よくタンク53に流入させることができる。ただし、接続管バルブ53の開口によって、接続管51および蒸気管13の接続部で乱流が生じることがある。このような乱流が生じた場合、蒸気管13内(冷却装置10内)の冷媒も、空気とともに、タンク51へ向かって流れる場合がある。接続管バルブ53が閉じられているときには、蒸気管13内(冷却装置10内)に含まれる空気が蒸気管13からタンク51へ向かって流れる流動は、接続管バルブ53により遮断される。
図1および図2に示されるように、排気用配管54は、タンク51の鉛直方向Gの上方側に設けられている。排気用配管54の排気用配管54の鉛直方向Gの下方側は、タンク51の鉛直方向Gの上方側に接続されている。排気用配管54は、タンク51の空洞に連結されている。排気用配管54は、たとえば、円筒状に形成されている。また、排気用配管54の鉛直方向Gの上方側は、真空ポンプPに接続されている。排気用配管54は、タンク51内に貯留された空気を真空ポンプPへ導く。排気用配管54は、たとえば、アルミニウム合金等により形成されている。
図1に示されるように、真空ポンプPは、排気用配管54の鉛直方向Gの上方側に接続されている。真空ポンプPは、排気用配管54を介して、タンク51内の空気を吸入して、タンク51内を真空にすることができる。
図1および図2に示されるように、排気用バルブ55は、排気用配管54に設けられている。排気用バルブ55は、排気用配管54を開閉する。すなわち、排気用バルブ55が開かれているときには、タンク51内に貯留されている空気が、タンク51から真空ポンプPへ向かって鉛直方向Gの上方へ流れる。排気用バルブ55が閉じられているときには、タンク51内に貯留されている空気がタンク51から真空ポンプPへ向かって流れる流動は、排気用バルブ55により遮断される。
以上、冷却ユニット100の構成を説明した。
つぎに、冷却装置10の動作について説明する。発熱体HEが動作すると、冷却装置10が発熱体HEの熱を冷却し始める。まず、蒸発器11は、発熱体HEの熱を受熱する。そして、蒸発器11は、受熱した発熱体HEの熱を、冷媒を用いて、凝縮器12へ伝達する。つぎに、凝縮器12は、蒸発器11により受熱された発熱体HEの熱を受け取り、この熱を冷却装置10の外へ放熱する。すなわち、凝縮器12は、冷媒を介して、蒸発器11から発熱体HEの熱を受け取る。そして、凝縮器12は、受け取った発熱体HEの熱を冷却装置10の外へ放熱する。これにより、発熱体HEの熱が冷却される。
以上、冷却装置10の動作について説明した。
つぎに、空気が冷却装置内に混入した場合に、冷却装置10に含まれる空気を除去する方法について、説明する。
図3は、冷却ユニット100の冷却装置10に含まれる空気を除去する方法を説明するためのフローである。
まず、冷却装置10内に空気が混入したとの疑いが発生したことを認識する(ステップ(STEP:以下、単にSと称する。)10)。ここで、この空気混入の認識は、冷却装置10内の圧力の上昇を検知することにより、行われる。冷媒の他に空気が冷却装置10内に混入すると、空気の分の分圧により冷却装置10内の圧力が上昇することが知られている。ここでは、この現象を利用して、冷却装置10内の圧力が所定値以上に上昇したことを検知した場合に、冷却装置10内に空気が混入したと判断する。なお、冷却装置10内に空気が混入する要因に関して、たとえば、経年変化により蒸気管13等に小さな穴が形成された場合に、この穴から冷却装置10内に空気が混入することが知られている。また、冷却装置10に冷媒を注入する際に、冷媒注入口から冷却装置10内に空気が混入することが知られている。
つぎに、空気除去部50の接続管バルブ53を閉口して、排気用バルブ55を開口した状態で排気用配管54を介して真空ポンプPで真空引きを行う(S20)。これにより、タンク51内の空気が除去され、タンク51内が真空状態となる。
つぎに、排気用バルブ55を閉口する。そして、排気用バルブ55を閉口した状態で、接続管バルブを開口し、冷却装置10を一定時間運転させて、冷却装置10内の空気(とくに、蒸気管13内に含まれる空気)をタンク51内に充填する(S30)。このとき、冷却装置10内の空気(とくに、蒸気管13内に含まれる空気)は、冷媒よりも気相密度が小さいため、鉛直方向Gの上方側へ流れて、タンク51へ流入する。これにより、タンク51内は、空気によって充填される。よって、冷却装置10内の空気(とくに、蒸気管13内に含まれる空気)を除去することができる。なお、S30の一定時間は、冷媒が冷却装置10内を循環することにより、冷却装置10に含まれる空気(特に蒸気管に含まれる空気)をタンク51内に充填できる時間であればよい。具体的には、S30の一定時間は、冷媒量と、発熱体HEの発熱量に応じて、調整される。
つぎに、接続管バルブ53を閉口する(S40)。これにより、元々冷却装置10内に含まれていた空気(とくに、蒸気管13内に含まれる空気)は、タンク51内に閉じこめられる。したがって、タンク51内に貯留されている空気が、蒸気管13へ流入することはない。
最後に、排気用配管54を介して真空ポンプPで真空抜きすることで、タンク51内の空気を除去する(S50)。具体的には、排気用バルブ55を開口して、真空ポンプPで真空抜きを行う。これにより、タンク51内に貯留された空気を外気へ放出することができる。この結果、冷却装置10内の圧力は冷媒の飽和蒸気圧と等しくなり、冷却装置10内に密閉された冷媒の沸点が室温近傍となる。
以上、冷却装置10に含まれる空気を除去する方法について、説明した。このようにして、冷却装置10内に含まれる空気(とくに、蒸気管13内に含まれる空気)を、冷却装置10内から除去することができる。
以上のように、本発明の第1の実施の形態における冷却ユニット100は、空気より気相密度が大きくて液相冷媒および気相冷媒に相変化する冷媒を循環させる。また、冷却ユニット100は、蒸発器11と、凝縮器12と、蒸気管13と、液管14と、空気除去部50とを備えている。蒸発器11は、発熱体HEの熱を受熱する。凝縮器12は、蒸発器11により受熱された熱を放熱する。蒸気管13は、蒸発器11および凝縮器12を接続し、冷媒を蒸発器11から凝縮器12へ導く。液管14は、蒸発器11および凝縮器12を接続し、冷媒を凝縮器12から蒸発器11へ導く。空気除去部50は、蒸気管13内に含まれる空気を除去する。空気除去部50は、タンク51と、接続管52と、接続管バルブ53とを有する。タンク51は、蒸気管13内に含まれる空気を貯留する。接続管52は、タンク51の鉛直方向Gの下方側に設けられている。接続管52は、タンク51と蒸気管13を接続する。接続管52は、蒸気管13内に含まれる空気を蒸気管13からタンク51へ導く。接続管バルブ53は、接続管52を開閉する。
このように、冷却ユニット100では、空気より気相密度が大きくて液相冷媒および気相冷媒に相変化する冷媒を用いている。また、接続管52は、タンク51の鉛直方向Gの下方側に設けられており、タンク51と蒸気管13を接続する。すなわち、タンク51は、蒸気管13よりも鉛直方向Gの上方側に設けられている。したがって、蒸気管13内に含まれる空気は、接続管52内を鉛直方向Gの上方側へ向けて上昇し、タンク51内に流入する。また、接続管バルブ53は、接続管52を開閉することができる。このため、接続バルブ53を閉口することにより、タンク51内の空気が、冷媒とともに、鉛直方向Gの下方に流れてしまい、蒸気管13に戻ってしまうことを抑制することができる。液相冷媒および気相冷媒の間で相変化する冷媒の気相冷媒は、一般的に水ほど比重は高くない。このため、接続管バルブ53を設けなければ、タンク51内の空気が冷媒とともに、蒸気管13へ流れ込んでしまう場合があった。一方、冷却ユニット100では、上述の通り、接続管52を開閉する接続管バルブ53を設けることにより、接続バルブ53を閉口することができるようにした。これにより、タンク51内に空気が貯留された状態で接続管バルブ53を閉口したとき、タンク51内の空気が冷媒とともに鉛直方向Gの下方に流れてしまい、蒸気管13に戻ってしまうことを抑制することができる。また、接続管バルブ53を閉口することにより、冷却装置10内の冷媒が上昇してタンク51内に流入することを抑制できる。このため、接続管バルブ53を設けない場合と比較して、冷却装置10内からタンク51内に流入する冷媒の量を減少させることができる。したがって、排気用配管54を介して外気へ放出される冷媒の量を減少することができる。このように、接続管バルブ53を設けたことにより、冷却装置10内の冷媒の減少を抑制することができる。
したがって、本発明の第1の実施の形態における冷却ユニット100によれば、液相冷媒および気相冷媒の間で相変化する冷媒を用いた場合であっても、冷却装置内の冷媒の減少を抑制しつつ、冷却装置10内に混入した空気を効率よく排出することができる。
また、接続管バルブ53の開閉は、冷却装置10が動作している間でも、行える。このため、冷却装置10の運転を停止することなく、冷却装置10内に混入した空気を排出することができる。この結果、冷却装置10の故障を抑止でき、冷却装置10を安定的に継続して動作し続けることができる。
とくに、液相冷媒および気相冷媒に相変化する冷媒を冷却装置10に用いた場合に、冷却装置10内に空気が混入すると、次のような2つの問題が生じる。
すなわち、まず、1つ目の問題として、冷媒に相変化が生じると、液相冷媒と気相冷媒との間で大きく体積が異なる。このため、たとえば、冷媒が液相冷媒から気相冷媒に相変化すると、冷却装置10内の圧力が上昇する。そして、冷却装置10内の圧力が上昇した状態で空気が冷媒に混入すると、冷却装置10内において、冷媒による圧力に、空気による分圧が加わる。このため、冷却装置10内の圧力がより上昇する。冷却装置10内の圧力の上昇は、冷却装置10自体の故障の原因となる。
2つ目の問題として、空気の気相密度は冷媒の気相密度よりも小さいため、冷却装置10内に空気が混入した場合、空気は冷却装置10の上部に溜まる。このため、冷却装置10内の冷媒の循環を阻害し、冷却装置10の冷却機能を低下させたりする、また、ポンプで強制循環を行う場合には、ポンプの電力を上昇させてしまう。
一方、本発明の第1の実施の形態における冷却ユニット100では、上述の通り、液相冷媒および気相冷媒の間で相変化する冷媒を用いた場合であっても、冷却装置10内に混入した空気を排出することができるので、上記2つの問題についても解決することができる。
すなわち、1つ目の問題については、冷却ユニット100では、上述の通り、液相冷媒および気相冷媒の間で相変化する冷媒を用いた場合であっても、冷却装置10内に混入した空気を排出することができるので、冷却装置10内で空気による分圧が加わることを抑制できる。したがって、冷却装置10の圧力の上昇も抑制できる。この結果、冷却装置10自体の故障の発生も抑制できる。
2つ目の問題については、冷却ユニット100では、上述の通り、液相冷媒および気相冷媒の間で相変化する冷媒を用いた場合であっても、冷却装置10内に混入した空気を排出することができるので、空気が冷却装置10の上部に溜まることを抑制できる。したがって、冷却装置10内の冷媒の循環が冷却装置10内の空気を要因として阻害されることを抑制でき、冷却装置10の冷却機能を低下も抑制できる、また、ポンプで強制循環を行う場合には、ポンプの電力の上昇を抑制できる。
また、本発明の第1の実施の形態における冷却ユニット100において、接続管52は、蒸気管13のうちで、鉛直方向Gで最も高い場所で、蒸気管13に接続されている。空気は、冷媒よりも気相密度が低い。このため、空気は、蒸気管13のうちで、鉛直方向Gで最も高い場所に溜まる。したがって、蒸気管13のうちで、鉛直方向Gで最も高い場所に、空気除去部50の接続管52を接続することにより、蒸気管13内に含まれる空気をタンク51内により効率よく流入させることができる。この結果、冷却装置10内に混入した空気をより効率よく排出することができる。
また、本発明の第1の実施の形態における冷却ユニット100は、排気用配管54と、排気用バルブ55とをさらに有する。排気用配管54は、タンク51の鉛直方向Gの上方側に接続されている。排気用配管54には、真空ポンプPが接続されている。また、排気用配管54は、タンク51内に貯留された空気を真空ポンプPへ導く。排気用バルブ55は、排気用配管55を開閉する。これにより、排気用バルブ55を開口することにより、排気用配管55を介して、タンク51内の空気を外気へ放出することができる。したがって、冷却ユニット100内の空気を除去することができる。
また、本発明の第1の実施の形態における空気除去装置(空気除去部50)は、空気より気相密度が大きくて液相冷媒および気相冷媒に相変化する冷媒が流れる配管(蒸気管13)に接続され、配管内に含まれる空気を除去する。空気除去装置(空気除去部50)は、タンク51と、接続管52と、接続管バルブ53とを有する。タンク51は、配管(蒸気管13)内に含まれる空気を貯留する。接続管52は、タンク51の鉛直方向Gの下方側に設けられている。接続管52は、タンク51と蒸気管13を接続する。接続管52は、蒸気管13内に含まれる空気を蒸気管13からタンク51へ導く。接続管バルブ53は、接続管52を開閉する。この空気除去装置(空気除去部50)も、上述した冷却ユニット100と同様の効果を奏することができる。
また、本発明の第1の実施の形態における空気除去装置(空気除去部50)において、接続管52は、配管(蒸気管13)のうちで、鉛直方向Gで最も高い場所で、配管(蒸気管13)に接続されている。この空気除去装置(空気除去部50)も、上述した冷却ユニット100と同様の効果を奏することができる。
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態における冷却ユニット100Aの構成について説明する。図4は、冷却ユニット100Aの構成を概略的に示す図である。なお、図4には、説明の便宜上、鉛直方向Gを示す。図4は、図1に対応する。なお、図4では、図1〜図3で示した各構成要素と同等の構成要素には、図1〜図3に示した符号と同等の符号を付している。
図4に示されるように、冷却ユニット100Aは、冷却装置10と、空気除去部50Aとを備えている。冷却装置10は、蒸発器11と、凝縮器12と、蒸気管13と、液管14とを備えている。
図4に示されるように、空気除去部50Aは、蒸気管13に取り付けられる。空気除去部15Aは、蒸気管13に対して取り付け取り外しが行える。図5は、空気除去部50Aの構成を概略的に示す拡大図である。なお、空気除去部50Aは、本発明の空気除去装置でもある。空気除去部50Aは、蒸気管13内に含まれる空気を除去する。好ましくは、空気除去部50Aは、蒸気管13のうちで、鉛直方向Gで最も高い場所で、蒸気管13に接続されている。また、さらに、好ましくは、空気除去部50Aは、蒸発器11および凝縮器12よりも、鉛直方向Gで高い場所に設けられている。
図4および図5に示されるように、空気除去部50は、タンク51と、接続管52と、接続管バルブ53と、排気用配管54と、排気用バルブ55と、気体検知センサー57を備えている。気体検知センサー57は、本発明の気体検知部である。
ここで、図1に記載の冷却ユニット100と、図4に記載の冷却ユニット100Aとを対比する。図4に記載の冷却ユニット100Aでは、空気除去部50Aが気体検知センサー57を有している点で、図1に記載の冷却ユニット100と異なる。
図4および図5に示されるように、気体検知センサー57は、タンク51に取り付けられている。気体検知センサー57は、所定量の空気がタンク51内に貯留されているか否かを検知する。なお、気体検知センサー57を設けた場合において、冷却ユニット100Aには、気体検知センサー57の検知結果に応じて接続管バルブ53、排気用バルブ55および真空ポンプPを制御する制御部(不図示)を有する。
以上、冷却ユニット100Aの構成を説明した。
つぎに、冷却装置10の動作については、第1の実施の形態で説明した通りであるので、ここでは説明を繰り返さないこととする。
つぎに、たとえば、冷却装置10に冷媒を注入する際などに、空気が冷却装置内に混入する場合を想定して、冷却装置10に含まれる空気を除去する方法について、説明する。
図6は、冷却ユニット100Aの冷却装置10に含まれる空気を除去する方法を説明するためのフローである。なお、図6では、図1〜図5で示した各構成要素と同等の構成要素には、図1〜図5に示した符号と同等の符号を付している。図6は、図3に対応する。したがって、図3の説明と重複するステップについては、説明を簡略化する。
まず、冷却装置10内に空気が混入したとの疑いが発生したことを認識する(ステップ(S10)。
つぎに、空気除去部50の接続管バルブ53を閉口して、排気用バルブ55を開口した状態で排気用配管54を介して真空ポンプPで真空引きを行う(S20)。これにより、タンク51内の空気が除去され、タンク51内が真空状態となる。
つぎに、排気用バルブ55を閉口する。そして、排気用バルブ55を閉口した状態で、接続管バルブを開口し、冷却装置10を一定時間運転させて、冷却装置10内の空気(とくに、蒸気管13内に含まれる空気)をタンク51内に充填する(S30)。なお、S30の一定時間は、冷媒が冷却装置10内を循環することにより、冷却装置10に含まれる空気(特に蒸気管に含まれる空気)をタンク51内に充填できる時間であればよい。具体的には、S30の一定時間は、冷媒量と、発熱体HEの発熱量に応じて、調整される。
つぎに、接続管バルブ53を閉口する(S40)。これにより、元々冷却装置10内に含まれていた空気(とくに、蒸気管13内に含まれる空気)は、タンク51内に閉じこめられる。したがって、タンク51内に貯留されている空気が、蒸気管13へ流入することはない。
つぎに、気体検知センサー57は、タンク51内に貯留されている空気が所定量(たとえば、タンク51の容量の3分の2)以下かを検知する。
タンク51内に貯留されている空気が所定量以下であると気体検知センサー57により検知された場合(S60、YES)、冷却ユニット100Aの制御部(不図示)は、冷却装置10内に空気が含まれていないと判断して(S70)、接続管バルブ53、排気用バルブ55および真空ポンプPに対する更なる制御を行わず、空気除去処理を終了する。
一方、タンク51内に貯留されている空気が所定量以下であると気体検知センサー57により検知されない場合(S60、NO)、冷却ユニット100Aの制御部(不図示)は、冷却装置10内に空気が含まれていると判断して(S80)、S50の処理を行った後、S30以降の処理を行う。
ここで、タンク51内に貯留されている空気がタンク51の容量の3分の2以下となるということは、タンク内に貯留されている冷媒がタンク51の容量の3分の1以上になることを意味する。空気よりも気相密度の大きい冷媒がタンク51の容量の3分の1までタンク51内に流入している場合、蒸気管13を含めた冷却装置10内には空気は含まれない。したがって、タンク51内に貯留されている空気が所定量(たとえば、タンク51の容量の3分の2)以下かを検知することにより、冷却装置10内の空気の有無を検知することができ、この検知結果に基づいて空気除去処理を制御することができる。
なお、上記では、タンク51内に貯留されている空気が所定量を、タンク51の容量の3分の2としたが、これに限定されない。また、所定量の設定内容に応じて、気体検知センサー57の設置位置をタンク51の鉛直方向Gで調整したり、気体検知センサー57の数を調整したりすることができる。
以上、冷却装置10に含まれる空気を除去する方法について、説明した。このようにして、冷却装置10内に含まれる空気(とくに、蒸気管13内に含まれる空気)を、冷却装置10内から除去することができる。
以上のように、本発明の第2の実施の形態における冷却ユニット100Aにおいて、空気除去部50Aは、気体検知センサー57(気体検知部)をさらに有する。気体検知センサー57は、タンク51内に貯留されている空気が所定量以下か否かを検知する。また、排気用バルブ55は、気体検知センサー57の検知結果に基づいて、排気用配管54を開閉する。このように、気体検知センサー57を用いることにより、タンク51内に貯留される空気が所定量以下か否かを検知することができる。また、タンク51内に貯留されている空気が所定量以下であることを検知することで、蒸気管13を含む冷却装置10内の空気の有無を検知することができる。したがって、冷却ユニット100Aは、蒸気管13を含む冷却装置10内の空気の有無を確認したうえで、排気用配管54を介して外タンク51内の空気を外気へ放出することができる。この結果、冷却ユニット100Aによれば、冷却装置10内の冷媒を外気へ放出することを抑制することができる。
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態における冷却ユニット100Bの構成について説明する。図7は、冷却ユニット100Bの構成を概略的に示す図である。なお、図7には、説明の便宜上、鉛直方向Gを示す。図7は、図1、4に対応する。なお、図7では、図1〜図6で示した各構成要素と同等の構成要素には、図1〜図6に示した符号と同等の符号を付している。
図7に示されるように、冷却ユニット100Bは、冷却装置10と、空気除去部50Bとを備えている。冷却装置10は、蒸発器11と、凝縮器12と、蒸気管13と、液管14とを備えている。
図7に示されるように、空気除去部50Bは、蒸気管13に取り付けられる。空気除去部15Bは、蒸気管13に対して取り付け取り外しが行える。図8は、空気除去部50Bの構成を概略的に示す拡大図である。なお、空気除去部50Bは、本発明の空気除去装置でもある。空気除去部50Bは、蒸気管13内に含まれる空気を除去する。好ましくは、空気除去部50Bは、蒸気管13のうちで、鉛直方向Gで最も高い場所で、蒸気管13に接続されている。また、さらに、好ましくは、空気除去部50Bは、蒸発器11および凝縮器12よりも、鉛直方向Gで高い場所に設けられている。
図7および図8に示されるように、空気除去部50Bは、タンク51と、接続管52と、接続管バルブ53と、排気用配管54と、排気用バルブ55と、接続管上部バルブ58とを備えている。
ここで、図4に記載の冷却ユニット100Aと、図7に記載の冷却ユニット100Bとを対比する。図7に記載の冷却ユニット100Bでは、空気除去部50Bが接続管上部バルブ58を有している点で、図4に記載の冷却ユニット100Aと異なる。
図7および図8に示されるように、接続管上部バルブ58は、接続管バルブ53よりも鉛直方向Gの上方で、接続管52に取り付けられている。接続管上部バルブ58は、接続管バルブ53より鉛直方向Gの上方で、接続管52を開閉する。
以上、冷却ユニット100Bの構成を説明した。
冷却装置10の動作については、第1の実施の形態で説明した通りであるので、ここでは説明を繰り返さないこととする。
つぎに、たとえば、冷却装置10に冷媒を注入する際などに、空気が冷却装置内に混入する場合を想定して、冷却装置10に含まれる空気を除去する方法について、説明する。
図9は、冷却ユニット100Bの冷却装置10に含まれる空気を除去する方法を説明するためのフローである。なお、図9では、図1〜図8で示した各構成要素と同等の構成要素には、図1〜図8に示した符号と同等の符号を付している。図9は、図3、図6に対応する。したがって、図1および図3の説明と重複するステップについては、説明を簡略化する。
まず、冷却装置10内に空気が混入したとの疑いが発生したことを認識する(ステップ(S10)。
つぎに、空気除去部50の接続管上部バルブ58を開口し接続管バルブ53を閉口して、排気用バルブ55を開口した状態で排気用配管54を介して真空ポンプPで真空引きを行う(S20A)。これにより、タンク51内の空気が除去され、タンク51内が真空状態となる。
つぎに、排気用バルブ55を閉口する。そして、排気用バルブ55を閉口した状態で、接続管バルブ53および接続管上部バルブ28の両方を開口し、冷却装置10を一定時間運転させて、冷却装置10内の空気(とくに、蒸気管13内に含まれる空気)をタンク51内に充填する(S30A)。なお、S30Aの一定時間は、冷媒が冷却装置10内を循環することにより、冷却装置10に含まれる空気(特に蒸気管に含まれる空気)をタンク51内に充填できる時間であればよい。具体的には、S30Aの一定時間は、冷媒量と、発熱体HEの発熱量に応じて、調整される。接続管バルブ53および接続管上部バルブ28の両方を開口し、冷却装置10を一定時間運転させることにより、冷媒よりも気相密度が低い空気は、タンク51内に流入する。
つぎに、接続管バルブ53のみを閉口する(S40A)。これにより、元々冷却装置10内に含まれていた空気(とくに、蒸気管13内に含まれる空気)は、タンク51内に閉じこめられる。したがって、タンク51内に貯留されている空気が、蒸気管13へ流入することはない。
つぎに、接続管バルブ53を閉口した後一定時間運転させた後、接続管上部バルブ58を閉口する(S90)。これにより、接続管バルブ53および接続管上部バルブ58の両方が閉口される。このとき、接続管バルブ53を閉口した後の一定時間は、空気除去部50B内に混在する冷媒および空気が両者の気相密度差によって鉛直方向Gの上方および下方に分離するのに十分な時間とする。これにより、空気除去部50B内で、冷媒および空気が分離した状態となる。すなわち、冷媒は空気除去部50Bの鉛直方向Gの下方側の接続管52に溜まる。より具体的には、冷媒は、接続管52の接続管バルブ53および接続管上部バルブ58の間に閉じこめられている。また、空気は空気除去部50Bの鉛直方向Gの上方側のタンク51に溜まる。なお、S90の一定時間は、冷媒が冷却装置10内を循環することにより、冷却装置10に含まれる空気(特に蒸気管に含まれる空気)をタンク51内に充填できる時間であればよい。具体的には、S90の一定時間は、冷媒量と、発熱体HEの発熱量に応じて、調整される。
最後に、排気用配管54を介して真空ポンプPで真空抜きすることで、タンク51内の空気を除去する(S50)。具体的には、排気用バルブ55を開口して、真空ポンプPで真空抜きを行う。これにより、タンク51内に貯留された空気を外気へ放出することができる。この結果、冷却装置10内の圧力は冷媒の飽和蒸気圧と等しくなり、冷却装置10内に密閉された冷媒の沸点が室温近傍となる。このとき、S90の処理により、空気除去部50B内に含まれる冷媒は、空気と分離されて、接続管52の接続管バルブ53および接続管上部バルブ58の間に閉じこめられている。したがって、冷却装置10内の冷媒が外気へ放出することを抑制することができる。すなわち、冷却装置10から外気へ放出される冷媒の量を減少することができる。
以上、冷却装置10に含まれる空気を除去する方法について、説明した。このようにして、冷却装置10内に含まれる空気(とくに、蒸気管13内に含まれる空気)を、冷却装置10内から除去することができる。
以上のように、本発明の第3の実施の形態における冷却ユニット100Bにおいて、前記空気除去部50Bは、接続管上部バルブ58をさらに有する。接続管上部バルブ58は、接続管バルブ53より鉛直方向Gの上方で、接続管52を開閉する。
このように、冷却ユニット100Bでは、接続管バルブ53に加えて、接続管上部バルブ28が設けられている。このため、接続管バルブ53および接続管上部バルブ28の両方を開口し、冷却装置10内の空気(とくに、蒸気管13内に含まれる空気)をタンク51内に充填することができる。このとき、接続管バルブ53および接続管上部バルブ28の両方を開口することによって、蒸気管13および接続管52の接続部付近は乱流状態となる。この状態で、冷却装置10内では、冷媒が循環している。このため、冷却装置10内で循環している冷媒が、蒸気管13および接続管52の接続部から、空気とともに空気除去部50Bの接続管53へ流入する場合がある。
そこで、接続管バルブ53および接続管上部バルブ28の両方を開口した後、接続管バルブ53のみを先に閉口し、一定時間をかけて、空気除去部50B内で冷媒および空気を分離させ、接続管上部バルブ58を閉口して、接続管52の接続管バルブ53および接続管上部バルブ58の間に冷媒を閉じこめる。なお、一定時間は、冷媒が冷却装置10内を循環することにより、冷却装置10に含まれる空気(特に蒸気管に含まれる空気)をタンク51内に充填できる時間であればよい。具体的には、一定時間は、冷媒量と、発熱体HEの発熱量に応じて、調整される。
すなわち、接続管バルブ53および接続管上部バルブ28の両方を開口した後、接続管バルブ53のみを先に閉口することにより、元々冷却装置10内に含まれていた空気(とくに、蒸気管13内に含まれる空気)は、タンク51内に閉じこめられる。したがって、タンク51内に貯留されている空気が、蒸気管13へ流入することはない。
そして、接続管バルブ53を閉口した後一定時間運転させた後、接続管上部バルブ58を閉口することにより、接続管バルブ53および接続管上部バルブ58の両方が閉口される。これにより、空気除去部50B内で、冷媒および空気が分離した状態となる。すなわち、冷媒は空気除去部50Bの鉛直方向Gの下方側の接続管52に溜まる。より具体的には、冷媒は、接続管52の接続管バルブ53および接続管上部バルブ58の間に閉じこめられている。また、空気は空気除去部50Bの鉛直方向Gの上方側のタンク51に溜まる。なお、一定時間は、冷媒が冷却装置10内を循環することにより、冷却装置10に含まれる空気(特に蒸気管に含まれる空気)をタンク51内に充填できる時間であればよい。具体的には、一定時間は、冷媒量と、発熱体HEの発熱量に応じて、調整される。
このように、空気除去部50B内で、冷媒および空気が分離した状態となる。すなわち、空気除去部50B内に含まれる冷媒は、空気と分離されて、接続管52の接続管バルブ53および接続管上部バルブ58の間に閉じこめられている。このため、タンク51内を真空ポンプP等により真空抜きした際に、空気除去部50Bのタンク51内の空気のみが外気へ放出され、空気除去部50Bの接続管52の接続管バルブ53および接続管上部バルブ58の間に閉じこめられた冷媒は外気へ放出されない。この結果、冷却装置10内の冷媒が外気へ放出することを抑制することができる。すなわち、冷却装置10から外気へ放出される冷媒の量を減少することができる。
なお、上記実施の形態の説明では、空気除去部50は、蒸気管30に対して取り付け取り外しが行えると説明したが、取り外し出来ないように蒸気管30に固定されてもよい。
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。実施の形態は例示であり、本発明の主旨から逸脱しない限り、上述各実施の形態に対して、さまざまな変更、増減、組合せを加えてもよい。これらの変更、増減、組合せが加えられた変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。