本発明の実施形態に係る画像形成装置100を、図1〜図3を用いて説明する。なお、本実施形態では、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の4色の吐出ヘッド(記録ヘッド、インクヘッド)を有する画像形成装置を説明するが、本発明を適用できる画像形成装置はこれらの吐出ヘッドを有するものに限定されない。すなわち、本発明を適用可能な画像形成装置は、グリーン(G)、レッド(R)、ライトシアン(LC)および/またはその他の色に対応する吐出ヘッドをさらに有するもの、または、ブラック(K)のみの吐出ヘッドを有するものなどを含む。ここで、添え字K、C、MおよびYを付与された記号は、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローのそれぞれに対応するものとする。
また、本実施形態では、記録媒体として、ロール状に巻かれた連続紙(以下、「ロール紙Md」という。)を用いるが、本発明に係る画像形成装置が画像を形成することができる記録媒体は、ロール紙に限定されない。すなわち、本発明に係る画像形成装置が画像を形成することができる記録媒体は、カット紙でもよい。また、本発明に係る画像形成装置を用いて画像を形成することができる記録媒体には、普通紙、上質紙、薄紙、厚紙、記録紙およびロール紙、並びに、OHPシート、合成樹脂フィルム、金属薄膜およびその他表面にインク等で画像を形成することができるものを含む。
ここで、ロール紙とは、定型よりも長い連続紙である。ロール紙は切断可能なミシン目が所定間隔で形成された連続紙、ミシン目が形成されない連続紙を含む。ミシン目が形成されている連続帳票においては、ページ(頁)とは、例えば所定間隔のミシン目で挟まれる領域である。
(1.画像形成装置の構成)
図1に示すように、本発明の実施形態に係る画像形成装置100は、搬入手段10と、前処理液付与手段20と、前処理液乾燥手段31、画像形成手段40、後処理液付与手段(後処理剤付与装置)50、浸透手段55、後処理液乾燥手段32、搬出手段60とを備えている。搬入手段10は、ロール紙Md(記録媒体)を搬入する。前処理手段(前処理液付与手段)20は搬入されたロール紙Mdに前処理液を付与する(前処理を実行する)。乾燥手段30のうち前処理液乾燥手段31は、前処理されたロール紙Mdを乾燥させる。画像形成手段40は、ロール紙Mdの表面に画像を形成する。後処理手段(後処理液付与手段)50は、画像が形成されたロール紙Mdの上に後処理剤の一種である後処理液を付与する(後処理する)。浸透手段55はロール紙Md上の液滴を浸透させる。後処理液乾燥手段32は、ロール紙上の液滴(インクおよび後処理液)を乾燥させる。搬出手段60は後処理されたロール紙Mdを搬出する(巻きとる、排出する)。さらに、画像形成装置100は、後述するように、画像形成装置100の動作を制御する制御手段70を有する。なお、本実施形態では、後処理剤は、図2に示す吐出ヘッドから液滴として吐出する液体であるので、後処理液とも称している。
以下に、本発明の実施形態に係る画像形成装置100の各構成を具体的に説明する。また、画像形成装置は、後述する前処理液付与手段20、乾燥手段30(31、32)、浸透手段55等のいずれか1つまたは複数を含まない構成とすることができる。
(2.搬入手段の構成)
搬入手段10は、記録媒体を前処理液付与手段20等に搬送する手段である。搬入手段10は、本実施形態では、給紙部11および複数の搬送ローラ12等で構成される。搬入手段10は、搬送ローラ12等を用いて、給紙部11の給紙ロールに巻き付けて保持されたロール紙Mdを搬入(移動)し、後述する前処理液付与手段20等に搬送する。
(3.前処理液付与手段の構成)
前処理液付与手段20は、画像が形成される前の記録媒体を処理する手段である。前処理液付与手段20は、本実施形態では、搬入手段10によって搬入されたロール紙Mdの表面を、前処理液で前処理する。
ここで、前処理とは、ロール紙Md(記録媒体)表面に、インクを凝集させる機能を有する前処理液(後述)を均一に付与する処理である。これにより、画像形成装置100は、インクジェット方式の専用紙以外の記録媒体に画像を形成する場合であっても、前処理液付与手段20を用いて記録媒体表面に付与することによって、記録媒体に画像を形成したときに、インクを凝集させることができる。
(4.前処理液乾燥手段の構成)
乾燥手段30は、記録媒体を加熱等により乾燥させる手段である。乾燥手段30は、図1に示すように、本実施形態では、乾燥手段30として、前処理液付与手段20によって前処理されたロール紙Mdを乾燥させる前処理液乾燥手段31と、後処理液付与手段50によって後処理されたロール紙Mdを乾燥させる後処理液乾燥手段32と、を有する。
前処理液乾燥手段31において、複数のヒートローラを例えば80〜100℃に加熱し、ロール紙Mdの裏面をヒートローラに接触等させる。図1の上方の台形状に示す温風機構(温風ヒータ)を追加しても良い。これにより、前処理液乾燥手段31は、前処理液の水分(溶媒)を蒸発させ、ロール紙Mdを乾燥させることができる。
(5.画像形成手段の構成)
画像形成手段40は、記録媒体に画像を形成する手段である。画像形成手段40は、本実施形態では、前処理液乾燥手段31によって乾燥されたロール紙Md上に液滴(インク)を吐出することによって、ロール紙Mdの表面に画像を形成する。
画像形成手段40の外形形状の一例を、図2を用いて説明する。ここで、図2(a)は、本発明の実施形態に係る画像形成装置100の画像形成手段40の全体の構成の一例を示す概略平面図である。図2(b)は、画像形成手段40の要部(ブラック(K)の吐出ヘッド40K)の一例を示す概略平面図である。
図2(a)に示すように、画像形成手段40は、本実施形態では、フルライン型のヘッドであり、記録媒体の搬送方向Xmの上流側からブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)に対応する4つの吐出ヘッド40K、40C、40Mおよび40Yが配置されている。
ここで、ブラック(K)の吐出ヘッド40Kは、本実施形態では、ロール紙Mdの搬送方向Xmと直行する方向に4つのヘッドユニット40K−1、40K−2、40K−3および40K−4を千鳥状に配置している。これにより、画像形成手段40は、ロール紙Md(記録媒体)の画像形成領域(印刷領域)の幅方向(搬送方向と直行する方向)の全域に画像を形成することができる。なお、他の吐出ヘッド40C、40Mおよび40Yの構成は、ブラック(K)の吐出ヘッド40Kの構成と同様のため、説明を省略する。
画像形成手段40のブラック(K)の吐出ヘッド40Kのヘッドユニット40K−1の拡大平面図を図2(b)に示す。図2(b)に示すように、ヘッドユニット40K−1は、本実施形態では、ノズル面(後述する図3(a)のノズル板43の外形表面)に、複数のノズル(吐出口、印字ノズル)40Nを備える。ここで、複数のノズル40Nは、ヘッドユニット40K−1の長手方向に1列に配置されることでノズル列を構成している、主走査方向にノズル列を有するシングルパスインクジェット方式である。なお、ヘッドユニット40K−1は、複数のノズル列を備えてもよい。
図3(a)において、画像形成手段40の吐出ヘッド(40K等)は、吐出するインクの通路を形成する流路板41と、流路板41の下面(吐出ヘッドの内部方向)に接合された振動板42と、流路板41の上面(吐出ヘッドの外側方向)に接合されたノズル板43と、振動板42の周縁部を保持するフレーム部材44とを備える。また、吐出ヘッドは、振動板42を変形させるための圧力発生手段(アクチュエータ手段)45を有する。
本実施形態に係る吐出ヘッドは、流路板41と、振動板42と、ノズル板43とを積層することによって、ノズル(吐出口)40Nに連通する流路であるノズル連通路40Rおよび液室40Fを形成している。また、吐出ヘッドは、フレーム部材44をさらに積層することによって、液室40Fにインクを供給するためのインク流入口40Sおよびインクを液室40Fに供給する共通液室40Lなどを形成している。
また、本実施形態では、フレーム部材44には、圧力発生手段45を収納する収容部、共通液室40Lとなる凹部、および共通液室40Lに吐出ヘッド外部からインクを供給するためのインク供給口40INが形成されている。
圧力発生手段45は、本実施形態では、電気機械変換素子である圧電素子45Pと、圧電素子45Pを接合固定するベース基板45Bと、隣り合う圧電素子45Pの間隙に配置された支柱部とを備えている。また、圧力発生手段45は、圧電素子45Pを駆動回路(駆動IC)に接続するためのFPCケーブル45C等を備えている。
ここで、圧電素子45Pは、図3(b)に示すように、圧電材料45Ppと内部電極45Peとを交互に積層した積層型圧電素子(PZT)を用いる。内部電極45Peは、複数の個別電極45Peiと複数の共通電極45Pecとを有する。内部電極45Peは、本実施形態では、圧電材料45Ppの端面に交互に個別電極45Peiまたは共通電極45Pecを接続している。
以下に、吐出ヘッドがノズル40Nからインクを吐出する動作(引き−押し打ち動作)を具体的に説明する。
吐出ヘッドにおいて、先ず、圧電素子45P(圧力発生手段45)に印加している電圧を基準電位から下げ、圧電素子45Pをその積層方向に縮小させる。また、吐出ヘッドは、圧電素子45Pの縮小によって振動板42を撓み変形させる。このとき、吐出ヘッドは、振動板42の撓み変形によって液室40Fの容積(体積)を拡大(膨張)させる。この動作により、吐出ヘッドにおいて、共通液室40Lから液室40F内にインクを流入させる。
次に、吐出ヘッドは、圧電素子45Pに印加している電圧を上げ、圧電素子45Pを積層方向に伸長させる。また、吐出ヘッドは、圧電素子45Pの伸長によって、振動板42をノズル40N方向に変形させる。このとき、吐出ヘッドは、振動板42の変形によって、液室40Fの容積(体積)を縮小(収縮)させる。この動作により、吐出ヘッドは、液室40F内のインクに圧力を付加する。また、吐出ヘッドは、インクを加圧することによって、ノズル40Nからインクを吐出(噴射)する。
その後、吐出ヘッドは、圧電素子45Pに印加している電圧を基準電位に戻し、振動板42を初期位置に戻す(復元する)。このとき、吐出ヘッドは、液室40Fの膨張によって液室40F内を減圧し、共通液室40L内から液室40F内にインクを充填(補充)する。次いで、吐出ヘッドは、ノズル40Nのメニスカス面の振動が減衰(安定)した後、次のインクの吐出のための動作に移行し、上記の動作を繰り返す。
このように、吐出ヘッドは、圧力発生手段45を用いて、振動板42を変形(撓み変形)する。これにより、吐出ヘッドは、液室40Fの容積(体積)を変化させ、液室40F内のインクに作用する圧力を変化させ、その結果、吐出ヘッドは、ノズル40Nから、インクを吐出させる。
なお、本発明を適用可能な吐出ヘッドの駆動方法は、上記の例(引き−押し打ち)に限定されるものではない。例えば、吐出ヘッドの駆動方法は、圧電素子45Pに印加する電圧(駆動波形)を制御することによって、引き打ちまたは押し打ち等を行ってもよい。さらに、圧力発生手段45は、発熱抵抗体を用いて液室40F内のインクを加熱して気泡を発生させるサーマル型や、液室40Fの壁面に振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させた静電力によって振動板を変形させる静電型のものを用いてもよい。
以上により、本実施形態の画像形成装置100は、画像形成手段40(4つの吐出ヘッド40K、40C、40Mおよび40Y)を用いて、1回の記録媒体(ロール紙Md)の搬送動作で、画像形成領域の全域に、白黒またはフルカラーの画像を形成する。
(6.後処理液付与手段の構成)
後処理液付与手段(後処理液付与装置)50は、画像が形成された後の記録媒体を処理する手段である。後処理液付与手段50は、画像形成手段40によって画像が形成されたロール紙Mdの表面を、後処理液で後処理する。図2(a)に示すように、後処理液付与手段50は、画像形成手段40に対して、記録媒体の搬送方向Xmの下流側に配置されている。また、後処理液付与手段50は、画像形成手段40と同様に、ロール紙Mdの搬送方向Xmと直行する方向に吐出ヘッド50H(吐出手段)を千鳥状に配置している。
さらに、後処理液付与手段50は、吐出ヘッド50Hに入力する駆動波形を制御することによって、後処理液の吐出量を制御する。これにより、後処理液付与手段50は、吐出ヘッド50Hを用いて、ロール紙Md(記録媒体)の画像形成領域(印刷領域)の幅方向(搬送方向と直行する方向)の全域に後処理液を吐出することができる。なお、吐出ヘッド50Hの構成は、画像形成手段40の構成(図2および図3)と同様のため、説明を省略する。
ここで、後処理とは、ロール紙Md上に後処理液を吐出(堆積)する処理である。この処理により、画像が形成された記録媒体は、画像が形成された記録媒体の表面が他の物体(例えば他の記録媒体)と擦れることによって記録媒体上の画像(インク)の剥離(剥奪)を防止する、すなわち、耐擦過性(耐擦性)が向上する。さらに、光沢度や、保存安定性(耐水性、耐光性、耐ガス性など)等を向上させることができる。
(7.浸透手段の構成)
浸透手段55はインク中の溶剤を記録媒体へ浸透させる手段である。浸透手段55では、記録媒体であるロール紙Mdの搬送距離を長くすることで、溶剤が浸透する時間を稼いでいる。さらに図1に示す加熱手段56により、記録媒体およびインクを加熱し、30〜100℃の(水分が蒸発しない)雰囲気温度に設定することで、インク中の高沸点溶媒を含む水溶液の状態のまま粘度を低下させ、浸透速度を加速させる。
(8.後処理乾燥手段の構成)
図1に示す後処理液乾燥手段32において、いくつかのヒートローラを例えば80〜100℃に加熱し、ロール紙Mdの裏面をヒートローラに接触等させる。図1の上方の台形状に示す温風機構(温風ヒータ)を追加しても良い。これにより、後処理液乾燥手段32は、インクおよび後処理液の水分を蒸発させ、ロール紙Mdを乾燥させることができる。
(9.搬出手段の構成)
搬出手段60は、画像が形成等された記録媒体を搬出(排出)する手段である。図1に示すように、搬出手段60は、保管部61および複数の搬送ローラ62等で構成される。搬出手段60は、搬送ローラ62等を用いて、保管部61の保管ロールに画像が形成されたロール紙Mdを巻き付けて、保管する。
なお、ロール紙Mdを保管部61の保管ロールに巻き付けるときに、ロール紙Mdに作用する圧力が大きくなる場合には、ロール紙Mdの裏面に他の画像が転写することを防止するため、巻き取り直前にロール紙Mdをさらに乾燥させる乾燥手段を設けてもよい。
(10.制御手段の構成)
制御手段70は、画像形成装置100の動作を制御する手段である。制御手段70は、画像形成装置100の各構成に動作を指示し、その動作を制御する。図4〜図7を用いて、本実施形態に係る制御手段70を説明する。
なお、本発明の実施形態に係る画像形成装置100は、印刷システムとして、プロダクションプリンティングを用いてもよい。ここで、プロダクションプリンティングとは、ジョブ管理や印刷データの管理などを効率的に行うことによって、短時間に大量の印刷物(画像形成媒体、印字物)を印刷(画像形成、印字)することができる製造システムである。具体的には、画像形成装置100は、複数の装置、例えばRIP(Raster Image Processor)装置とプリンタ装置とからなる。RIP装置は、印刷データの印刷順等の制御と印刷データのラスタイメージデータへの変換を行う装置である。プリンタ装置は、変換されたラスタイメージデータに基づく印刷動作を制御装置である。
また、画像形成装置100(制御手段70)は、印刷データの作成から印刷物の分配までの管理を行うワークフローのシステムを構築する。すなわち、画像形成装置100(制御手段70)は、当該ワークフローのように処理時間の長いシステムにおいて、RIP装置とプリンタ装置のように装置を分離し処理を分散させることで、印刷の高速化を可能とする。全体の画像形成システムでは制御装置(RIPS装置)を有する。
図4(a)は、本発明の実施形態における画像形成システム例の概念図と、図4(b)は上位装置の一例の概略構成図である。
図4(a)に示すように、本発明の実施形態に係る画像形成装置100の制御手段70は、RIP処理などを行う上位装置(RIP装置、DFE:Digital Front End)71と、印刷処理などを行うプリンタ装置72とを含む。ここで、上位装置71とプリンタ装置72とは、複数のデータ線70LDと制御線70LCとで接続されている。
<上位装置>
本発明の実施形態に係る画像形成装置100(制御手段70)の上位装置71は、ホスト装置から出力される印刷ジョブデータ(ジョブデータ、印刷データ)に基づいて、RIP処理を行う装置である。すなわち、本実施形態に係る上位装置71は、印刷ジョブデータに基づいて、各色に対応する印刷画像データをそれぞれ作成する。ここで、印刷画像データは、後処理液付与手段50が吐出する後処理液の吐出に関する「後処理に関する画像データ」をさらに含む。
また、上位装置71は、印刷ジョブデータおよびホスト装置の情報などに基づいて、印刷動作を制御するための制御情報データを作成する。ここで、制御情報データとは、印刷条件として、印刷形態、印刷種別、給排紙情報、印刷面順、印刷用紙サイズ、印刷画像データのデータサイズ、解像度、紙種情報、階調、色情報および印刷を行うページ数の情報などに関するデータを含む。また、制御情報データは、後処理液付与手段50が吐出する後処理液の吐出に関す後処理液制御データをさらに含む。
図4(b)に示すように、上位装置71は、本実施形態では、CPU(Central Processing Unit)71a、ROM(Read Only Memory)71b、RAM(Random Access Memory)71c、HDD(Hard Disk Drive)71dを備える。また、上位装置71は、外部I/F71e、制御情報用I/F71fおよび画像データ用I/F71gを備える。さらに、上位装置71は、CPU71a等をそれぞれ接続するバス71hを備えることによって、上位装置71は、バス71hを介して、CPU71a等を相互に送受信可能になる。
CPU71aは、上位装置71全体の動作を制御するものである。CPU71aは、ROM71bおよび/またはHDD71dに格納(記憶)されている制御プログラムや後処理剤付与制御プログラム等を用いて、上位装置71の動作を制御する。
ROM71b、RAM71cおよびHDD71dは、データ等を記憶する記憶手段である。ROM71bおよび/またはHDD71dには、CPU71aを制御するための制御プログラムを予め格納されている。RAM71cは、CPU71aのワークメモリとして用いられる。
外部I/F71eは、画像形成装置100外部(ホスト装置等)との通信(送受信)を制御する。制御情報用I/F71fは、制御情報データの通信(送受信)を制御する。画像データ用I/F71gは、印刷画像データの通信(送受信)を制御する。
<プリンタ装置>
図5は、本発明の実施形態における画像形成装置の機能ブロック図である。本発明の実施形態に係る画像形成装置100の制御手段70におけるプリンタ装置72は、上位装置71から入力された印刷画像データおよび制御情報データに基づいて、記録媒体に画像を形成する動作を制御する装置である。プリンタ装置72は、プリンタコントローラ72Cとプリンタエンジン72Eとを有する。
プリンタコントローラ72Cは、プリンタエンジン72Eの動作を制御するものである。プリンタコントローラ72Cは、制御線70LCを介して、上位装置71との間で制御情報データ等の送受信を行う。また、プリンタコントローラ72Cは、制御線72LCを介して、プリンタエンジン72Eと制御情報データ等の送受信を行う。また、プリンタコントローラ72Cは、制御情報データに基づいてプリンタエンジン72Eを制御し、記録媒体の種類、印刷速度、打滴する液滴の体積等を含む、制御情報データに従った印刷を実行することができる。
図5に示すように、プリンタコントローラ72Cは、CPU72Cpおよび印刷制御部72Ccを有する。また、プリンタコントローラ72Cは、CPU72Cpと印刷制御部72Ccとを互いに送受信可能にバス72Cbで接続している。ここで、バス72Cbは、通信I/Fを介して、制御線70LCに接続されている。
CPU72Cpは、ROM71b(図4(b))に格納されている制御プログラムを用いて、プリンタ装置72全体の動作を制御する。印刷制御部72Ccは、上位装置71から送信された制御情報データに基づいて、プリンタエンジン72Eとの間でコマンドやステータス情報の送受信を行い、印刷制御部72Ccは、プリンタエンジン72Eの動作を制御する。
プリンタエンジン72Eは、上位装置71から入力された印刷画像データおよびプリンタコントローラ72Cから入力された制御情報データに基づいて、記録媒体に画像を形成する動作を制御する装置である。また、プリンタエンジン72Eは、上位装置71から入力された印刷画像データおよび後処理吐出パターンデータおよびプリンタコントローラ72Cから入力された制御情報データおよび後処理制御データに基づいて、後処理する動作を制御する装置である。
図5に示すように、プリンタエンジン72Eは、複数のデータ線70LD(70LDY、70LD−C、70LD−M、70LD−Kおよび70LD−P)が接続されている。プリンタエンジン72Eは、複数のデータ線70LDを介して、上位装置71から印刷画像データを受信する。これにより、プリンタエンジン72Eは、受信した印刷画像データに基づいて、各色の印刷動作および後処理の動作を実施することができる。
プリンタエンジン72Eは、複数のデータ管理部72EC、72EM、72EY、72EKおよび72EPを有する。また、プリンタエンジン72Eは、データ管理部72EC等から印刷画像データ等が入力される画像出力部(例えば、ヘッドモジュール)72Eiと、記録媒体の搬送を制御する搬送制御部72Ecとを有する。さらに、プリンタエンジン72Eは、データ管理部(後処理制御手段)72EPから後処理に関する画像データが入力される後処理液出力部72Epを有する。
なお、プリンタエンジン72Eは、後処理乾燥制御部、前処理液付与制御部、前処理後乾燥制御部、浸透制御部73および巻取前乾燥制御部等をさらに含むか、或いは接続されてもよい。
ここで、後処理に係るデータ管理部72EPの構成を、図6を用いて説明する。図6に示すように、データ管理部72EPは、ロジック回路72EPlとメモリ72EPmとを含む。データ管理部72EP(ロジック回路72EPl)は、データ線70LD−Pを介して、上位装置71に接続されている。また、データ管理部72EP(ロジック回路72EPl)は、制御線72LPを介して、プリンタコントローラ72C(印刷制御部72Cc)に接続されている。
ロジック回路72EPl(制御手段)は、プリンタコントローラ72C(印刷制御部72Cc)から出力された制御信号に基づいて、上位装置71から出力された後処理に関する画像データをメモリ72EPmに格納(記憶)する。
メモリ72EPmは、プリンタコントローラ72C(印刷制御部72Cc)から出力された制御信号に基づいて、上位装置71から出力された印刷画像データを格納する。
また、ロジック回路72EClは、プリンタコントローラ72C(印刷制御部72Cc)から出力された制御信号に基づいて、メモリ72ECmからシアン(C)に対応する印刷画像データ(駆動波形)Icを読み出し、画像出力部72Eiに出力する。
さらに、ロジック回路72EPlは、画像形成システム全体の制御手段である印刷制御部(制御手段)72Ccから、記録媒体の種類、インクの総量規制値、印刷速度等、作成する画像の解像度、滴構成(大滴、非打滴の2値、大滴、中滴、小滴、非打滴の4値など)、インクの種類などの情報(以下、「動作パラメータ情報」とする)を受け取る。
なお、インクの総量規制値は、記録媒体の種類、印刷速度、作成する画像の解像度により推奨値が決定される。そのため、ロジック回路72EPlは、インクの総量規制値について推奨値を採用するように設定されている場合、印刷制御部(制御手段)72Ccから受け取る必要がなく、記録媒体の種類、印刷速度、作成する画像の解像度からその推奨値を決定するように構成されていても良い。
ロジック回路72EPlは、上位装置71(または印刷制御部Cc)から受け取った上記情報を基に、後処理液の単位面積当たりの打滴量(打滴密度)(以下、「後処理液の付与量」とする)を決定する。
ロジック回路72EPlは、上述のように決定した後処理液の付与量に応じた後処理吐出パターン(特定の吐出パターン)Ipに対応する駆動波形を、後処理液出力部72Epに出力する、あるいは、一時的に、後処理液吐出パターンIpをメモリ72EPmへ格納させ、制御信号に応じて後処理液出力部72Epへ出力する。
ここで、データ管理部72EPは、論理回路などの組み合わせによって構成されるハードウェアのロジック回路を用いてもよい。
画像出力部72Eiの構成を、図7を用いて説明する。図7に示すように、画像出力部(ヘッドモジュール)72Eiは、出力制御部72Eicと各吐出ヘッド40C、40M、40Yおよび40Kを含む。出力制御部72Eicは、各色に対応する印刷画像データ(画像情報)を基にした印刷画像パターン(駆動波形)を各色に対応する吐出ヘッド40C、40M、40Yおよび40K(図4)に出力する。これにより、出力制御部72Eicは、印刷画像データに基づいて、吐出ヘッド40C等の動作を制御することができる。
詳しくは、各データ管理部72EC、72EM、72EY、72EKのロジック回路で作成された画像形成パターン(Ic、Im、Iy、Ik)に対応する駆動波形は、出力制御部72Eicでタイミングを制御されながら、吐出ヘッド40C、40M、40Y、40Kの圧力発生手段である圧電素子45Pへ印加される。駆動波形が印加されると、圧電素子45Pは、伸縮する。圧電素子45Pから、振動板42を介して、液室40F内のインクへと伸縮力が働き、液室40F内に圧力変化が生じることで、ノズル40Nからインク液滴が吐出する。このように、出力制御部72Eicは、印刷画像パターン(駆動波形)Ic〜Ikに基づいて、吐出ヘッド40C等の動作を制御することができる。
出力制御部72Eicは、複数の吐出ヘッド40C等を個別に制御する。また、出力制御部72Eicは、入力された印刷画像データ(例えば図5のIc)を用いて、複数の吐出ヘッド40C等を同時に制御してもよい。さらに、出力制御部72Eicは、制御装置から入力される制御信号に基づいて、吐出ヘッド40C等を制御してもよい。出力制御部72Eicは、例えばユーザの操作入力に基づいて、吐出ヘッド40C等を制御してもよい。
図7と同様に、後処理液出力部(ヘッドモジュール)72Epは、出力制御部72epと吐出ヘッド50Hとを含む。出力制御部は、上記後処理液吐出パターンIpを吐出ヘッド50H(図2)に出力する。詳しくは、データ管理部72EPのロジック回路72EClで作成された、後処理液吐出パターンIpに対応する駆動波形が出力制御部でタイミングを制御されながら吐出ヘッド50Hの圧電素子45Pへ印加される。振動板42を介して液室40F内に発生する圧力変化により、ノズル50Nからインク液滴が吐出される。出力制御部72epは、後処理液吐出パターン(駆動波形)Ipに基づいて、吐出ヘッド50Hの動作を制御することができる。
このように、プリンタ装置72は、各色の画像形成を互いに独立して制御することができる。また、プリンタ装置72は、印刷画像データの色数(C、M、YおよびK、または、K色のみ等)または吐出ヘッド数に応じて、プリンタエンジン72Eの構成を変更してもよい。
図5に戻って、画像形成装置100は、印刷制御部72Ccに接続された浸透制御部、後処理液乾燥性制御部を用いて、記録媒体の種類やインクや後処理液の付与量を用いて、乾燥手段30および浸透手段55を制御する。
さらに、画像形成装置100は、印刷制御部72Ccに接続された前処理制御部、前処理乾燥制御部について、記録媒体の種類や、画像データに応じて、前処理動作を適宜制御する。
(11.後処理液吐出パターンの制御)
画像形成装置100が画像を形成する際の動作について、図8を参照して説明する。図8は、本実施形態に係る画像形成装置100が画像を形成する際の動作を説明するためのフローチャートである。画像形成装置100における各手段は、以下のステップに従い画像形成動作を行う。
画像形成装置100は、外部から入力される印刷ジョブデータ、動作パラメータ情報等に基づいて、画像の形成(または印刷)を開始する(S801)。画像形成装置100は、入力された印刷ジョブデータ、動作パラメータ情報等を制御手段70の上位にある記憶手段(ROM71b、RAM71c、およびHDD71d等)に記憶(設定)する(S802)。
画像形成装置100は、制御手段70を用いて、記憶手段(ROM71b、RAM71c、HDD71d)に記憶した内容に基づき、印刷画像データおよび制御情報データ等を生成する(S803)。
画像形成装置100は、制御手段70を用いて、生成した制御情報データに基づき、前処理液の付与量およびS808での前処理液の乾燥強度を決定する(S804)。
画像形成装置100は、制御手段70を用いて、設定した動作パラメータ情報に基づき、後処理液の付与量およびS812での後処理液の乾燥強度を決定する(S805)。すなわち、本実施形態においては、制御手段70が後処理剤付与制御装置として機能する。なお、画像形成装置100は、上位装置71を用いてS805の処理を行うように構成されていても良い。すなわち、上位装置71が単独で後処理剤付与制御装置として機能するように構成されていても良い。また、画像形成装置100は、プリンタ装置72を用いてS805の処理を行うように構成されていても良い。すなわち、プリンタ装置72が単独で後処理剤付与制御装置として機能するように構成されていても良い。なお、S805における後処理液の付与量の決定方法については、図10を参照して後述する。
画像形成装置100は、搬入手段10を用いて、記録媒体を前処理液付与手段20等へ搬入(搬送)を開始する(S806)。なお、画像形成装置100は、S801の画像形成の開始直後に、S806を行ってもよい。
画像形成装置100は、前処理液付与手段20を用いて、前処理を実施し、前処理液を付与する(S807)。ここで、前処理液乾燥手段31は、S804で決定した前処理液の付与量に基づいて前処理液を付与する。
画像形成装置100は、前処理液乾燥手段31を用いて、記録媒体を乾燥させる(S808)。ここで、前処理液乾燥手段31は、S804で決定した前処理液乾燥強度に基づいて記録媒体を乾燥させる。
画像形成装置100は、画像形成手段40を用いて、S803で生成した印刷画像データに基づいて、記録媒体の表面に画像を形成する(S809)。
ここで、画像形成手段40は、記録媒体の種類等および形成する画像の解像度をさらに用いて、画像を形成することができる。また、画像形成手段40は、圧電素子に印加する電圧(駆動電圧)を制御することによって、画像を形成する動作を制御することができる。
において、画像形成装置100は、後処理液付与手段50を用いて、記録媒体を後処理する(S810)。ここで、後処理液付与手段50は、S805で決定した後処理液の付与量に基づいて後処理液を付与する。
画像形成装置100は、浸透手段55を用いて記録媒体にインクおよび後処理液を浸透させる(S811)。
画像形成装置100は、後処理液乾燥手段32を用いて、記録媒体を乾燥させる(S812)。ここで、後処理液乾燥手段32はS805で決定した乾燥強度に基づいて記録媒体を乾燥させる。
搬出手段60を用いて、記録媒体を搬出(排出)する(S813)。その後、画像形成装置100は、図中のENDに進み、画像を形成する動作を終了する。
(12.後処理液の付与と断裁処理)
後処理液付与手段50による後処理液の付与処理と断裁処理について、図9を参照して説明する。図9は、後処理液付与手段50による後処理液の付与処理と断裁処理を説明するための図である。
本実施形態において、後処理液付与手段50は、印字部の定着性(耐擦過性)を向上させるために、印字後に印刷物の印刷面に後処理剤を付与するように構成されている。このとき、後処理液付与手段50は、印字部107にのみ後処理液を付与するように構成されている。これは、ページ当たりのコスト(CPP)の低減や乾燥性を向上させるために、後処理液の付与量を低減させる必要があるためである。
なお、印字部107にのみ後処理液を付与する場合、印字精度や後処理液の付与精度、記録媒体の搬送精度によっては、印字部107とずれた位置に後処理液を付与してしまうことがあるため、後処理液付与手段50は、上記精度を考慮して、印字部107よりも広い領域に後処理液を付与するようになっている。
しかし、ロール紙Mdに画像を形成した場合、通常、連続紙から所定の用紙サイズに断裁し、1枚ずつ分離し、1枚ずつ分離した用紙(カット紙)を製本し、あるいはそのまま1枚の画像が形成された用紙として使用する。なお、用紙については、ロール紙Mdを含め、これまで記録媒体として説明してきたが、以下、より具体的にロール紙Mdと用紙(カット紙)Pに分けて説明する。
このため、搬出手段60で巻き取られたロール紙Mdは、印刷サイズに応じてカットされ、断裁工程にまわされる。断裁工程では、断裁機で所定のサイズに断裁される。断裁機で用紙Pを断裁する場合には、用紙Pを所定枚数重ねた用紙束とし、あらかじめ画像形成時に用紙Pの四隅に印刷された断裁トンボ(コーナートンボ)を目印にして作業者が断裁刃を断裁トンボに合わせ、断裁トンボによって設定される断裁線(仮想線)に沿って断裁する。
図10は画像形成手段40によって画像形成(印刷)される断裁トンボ101を示すロール紙Mdの要部正面図である。断裁トンボ101はコーナートンボとも称されるように断裁する用紙Pのコーナーに当たる4ヶ所に印刷される。印刷制御部72Ccは、画像をロール紙Mdに印刷する際、断裁トンボ101もコーナーに当たる4ヶ所に同時に印刷するように画像形成手段40に指示する。その際、Y,M,C,Kのどの版で印刷するのかも指示しておく。なお、印刷制御部72Ccは、上位装置71から指示入力に基づいて前記指示を実行する。
断裁トンボ101は、用紙全面に画像を印刷する場合には、断裁位置の精度も考慮して、各コーナーに内側と外側の領域を示す2本の線(内側断裁トンボ101a、外側断裁トンボ101b)として印刷され、画像は、通常、この間のどの位置で断裁されても良いように外側断裁トンボ101bの位置まで印刷される。
図11は本実施形態における断裁部の後処理液の付与領域の一例を示すロール紙Mdの要部正面図である。言い換えれば、図10の断裁トンボ101(内側断裁トンボ101a)で規定される断裁線103を含むように付与された断裁用後処理液付与領域105を示した図である。図11では、図10に示した内側断裁トンボ101aと外側断裁トンボ101bで示される断裁領域を含むように、各コーナーの内側断裁トンボ101aと外側断裁トンボ101bとを結ぶ線よりも内側と外側にも後処理液の付与領域が広がっている。この断裁用後処理液付与領域105では、各コーナーの内側断裁トンボ101aを結ぶ線より内側の印字部107よりも後処理液の付着(付与)量が多くなるように後処理液が付与されている。
なお、後処理液の付着(付与)量は後処理液出力部72Epから出力されるドット密度により規定される。すなわち、付着(付与)量が多い場合はドット密度が高く、付着(付与)量が少ない場合はドット密度が低くなる。
本実施形態では、図9に示すように、後処理液付与手段50は、印字部107にのみ後処理液を付与する。そのため断裁線103が非印字部に位置する場合、断裁機で断裁しても断裁刃から加わる圧力や用紙束のずれによるインクの擦れ、およびインクの擦れに起因する画像の転写が生じることはない。
図9では、印字部107は用紙Pの中央部のみであるが、印字部107に印字された画像は内側断裁トンボ101aを結ぶ線103a(仮想線:図12)、さらには外側断裁トンボ101bを結ぶ線103b(仮想線:図12)の外側まで印刷されていることも多い。このような場合、断裁線103に沿って断裁すると、断裁刃の圧力により積層された用紙にずれが生じ、インクの擦れおよび画像の転写が発生することがある。そこで、本実施形態では、この断裁線103に沿って前記図17に示す断裁用後処理液付与領域105を設定し、この領域に印字部107に付与した後処理液付与量より多い付与量(ドット密度)で後処理液を付与するようにした。
これにより断裁線103に沿って断裁機で断裁しても、断裁部分に印字部107より高いドット密度で後処理液の保護層が形成されているので、断裁刃から加わる圧力や用紙束のずれによるインクの擦れ、およびインクの擦れに起因する画像の転写が生じることはない。このように後処理剤の付与量を用紙P上のドット密度で設定すると、画像形成(印字)密度と同様にドット密度で付与量を設定することができる。特に、インクジェット方式の印字ヘッドを採用した場合、印字制御と同様の制御で後処理剤の付与制御を行うことができる。
したがって、断裁領域に断裁用後処理液付与領域105を設定して画像形成領域と断裁用後処理液付与領域105に後処理液を付与する場合、
(1)前記ロール紙Mdの画像形成領域に画像を形成するステップ(S809)と、
(2)前記記録媒体の前記画像形成領域と前記記録媒体を断裁する断裁位置を含む所定の領域に後処理剤を付与するステップ(S810)と、
を実施し、
(3)断裁位置を含む所定の領域に後処理剤を付与するステップ(S810)では、前記断裁位置を含む所定の領域(断裁用後処理液付与領域105)における前記後処理剤の付与量が、前記断裁位置の内側に隣接した画像形成領域の前記後処理剤の付与量よりも多くなるように前記後処理剤を付与するようにして印刷物を生産すればよい。後処理剤は後述の保護液として付与される。なお、画像形成領域は印刷領域であり、当該領域に印字が行われる。したがって、印字は当該画像形成領域内に設定されているが、実際の画像は画像データによって決まるので、実際に印字された画像は、後述の図13に示すように例えば、画像形成領域に含まれる内側断裁トンボ101aによって示される領域より内側に存在する場合もある。したがって、印字部107は、画像形成領域の全域に亘る場合と、一部の領域のみ存在する場合がある。例えば後者は図13に示す印字部107aである。
図11では、断裁用後処理液付与領域105が内側断裁トンボ101aと外側断裁トンボ101bで示される断裁領域を含むように、内側断裁トンボ101aと外側断裁トンボ101bとを結ぶ線よりも内側と外側にも広がっている。このように断裁用後処理液付与領域105を広げ、内側断裁トンボ101aと外側断裁トンボ101bとを結ぶ線で示される領域を含む所定の幅を有する領域とると、画像を保護する点では有利である。しかし、後処理液の付与量を削減してコストを低減するという点では不利になる。
そこで、後処理液の付与量を少なくすることを考えると、最小限、断裁機の断裁刃で断裁するときに断裁圧で用紙のずれが生じる個所に後処理液を付与すればよいことが分かる。また、印字部107は、少なくとも内側断裁トンボ101aを結ぶ線103a(仮想線)まで設定され、通常は外側断裁トンボ101bを結ぶ線103bまで設定されている。そこで、内側断裁トンボ101aを結ぶ線103aと外側断裁トンボ101bを結ぶ線103bの間の領域を断裁用後処理液付与領域105に設定し、この領域に後処理液が付与されていればよい。
だだし、内側断裁トンボ101aを結ぶ線103aが断裁線103である場合には、線103aの内側の印字部107に位置する用紙Pも断裁時に撓み、ずれが生じることがある。そこで、これに対処するため、線103aの内側に若干入る程度の領域を断裁用後処理液付与領域105に設定して後処理液を付与すればよい。図12は、このように設定された断裁用後処理液付与領域105を示す図である。このように後処理液付与量を削減した上で、インクの擦れあるいは画像の転写を防ぐには断裁刃で断裁する断裁線103に沿った位置と、その位置より内側に若干入る程度の領域を断裁用後処理液付与領域105に設定して後処理液を付与すればよい。
このように設定すると、インクの擦れあるいは画像の転写は、断裁され、破棄される用紙部分に生じ、残った印字部107側に影響を及ぼさないので、最も低コストで目的を達成することができる。ただし、断裁線103に沿って断裁する際の断裁刃の位置精度、断裁機自体の機械精度、用紙Pを重ね合わせたときの位置精度等による誤差を考慮する必要がある。そのため、断裁部分の後処理液の量を少なくし、インクの擦れあるいは画像の転写を防ぐ場合には、最小で図12に示した断裁用後処理液付与領域105に後処理液を付与するように構成することが望ましい。
なお、印字部107は図13に示すように断裁位置までの全ての領域に存在するとは限らず、画像が印字されていない場合もある。この場合、断裁領域は印字部107aの縦横の最大の位置が断裁の影響を受ける位置である場合は、断裁用後処理液付与領域105とするように設定する。このように設定すると、画像が印字されている部分で断裁される個所は断裁用後処理液付与領域105に含まれ、印字されていない部分はそもそもインクの擦れは生じないので、断裁個所の画像表面は保護され、インクの擦れや画像の転写が生じることはない。
図14は後処理液の付与制御を行うRIP装置の版生成の構成を示すブロック図である。同図において、RIP装置200は、RGBデータ201から図5に示すようにC版203、M版205、Y版207およびK版209のデータを作成し、また、後処理液付与層データ211から後処理液付与層版213のデータを作成する。後処理液の付与量および断裁用後処理液付与領域105の領域は、上位装置71のDFEでRIP(Raster Image Processing)を行って、C版203、M版205、Y版207およびK版209のデータを作成する際に決定される。
ユーザが上位装置71の入力装置から断裁トンボ101の印刷指示を操作入力すると、あらかじめ用紙サイズに応じて複数設定されていた断裁トンボ101の1つの位置が、前記操作入力に基づいて決定され、図14において「トンボを入れる」215という指示が、本実施形態では、K版209を作成する際にデータ化される。一方、「トンボを入れる」215という指示は後処理液付与層版213を作成する際に、RIP装置200内でデータ化される。RIP装置200では、後処理液付与層データ211から取得したデータに基づいて後処理液付与層版213を作成する。後処理液付与層版213には、前記決定された断裁トンボ101の1つの位置に基づいて断裁用後処理液付与領域105の領域と、後処理液の付与量のデータが含まれる。
なお、本実施形態では、断裁トンボ101のデータはK版209に入れられているが、C版203、M版205およびY版207のいずれに入れてもよい。また、全てに入れてフルカラーで印刷してもよいが、見易さと版生成の手間を省く意味でK版209に含まれるように処理するのが通例である。また、本実施形態では、図4(a)および図5に示すように上位装置71はプリンタ装置72とは別体に設けられているが、上位装置(RIP装置200:図19、DFE)71をプリンタ装置72に制御部として含まれるように構成することもできる。具体的には、プリンタ装置72全体を制御するプリンタコントローラ72C内に組み込み、あるいはプリンタコントローラ72Cとは別体に設ける。これにより、上位装置71を本体内に一体に備えたプリンタ装置72を提供することができる。
(13.インク、保護液の組成)
インクは、着色剤、水、水溶性有機溶剤、および界面活性剤を含有し、さらに必要に応じてその他の成分を含有してなる。
着色剤としては、顔料、自己分散型顔料、または樹脂被覆型顔料を用いることができる。顔料としては、有機顔料および無機顔料のいずれであっても構わない。
有機顔料としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、キナクリ
ドン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリレン系、イソインドレノン
系、アニリンブラツク、アゾメチン系、ローダミンBレーキ顔料、カーボンブラックなど
が挙げられる。
無機顔料としては、例えば、酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水
酸化アルミニウム、バリウムイエロー、紺青、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属
粉などが挙げられる。
ブラック顔料としては、例えば、No.2300、No.900、MCF88、No.
40、No.52、MA7、MA8、No.2200B(以上、三菱化成社製)、RAV
EN1255(コロンビア社製)、REGAL400R、REGAL660R、MOGU
L L(以上、キヤボット社製)、Color Black FW1、Color Bl
ack FW18、Color BlackS170、Color Black S15
0、Printex 35、Printex U(以上、デグッサ社製)などが挙げられ
る。
着色剤の含有量は、インク全量に対して、2質量%〜12質量%が好ましく、4質量%
〜8質量%がより好ましい。含有量が、2質量%未満であると、着色力の低下により、画
像濃度が低くなったり、粘度の低下によりフェザリングや滲みが悪化することがあり、1
2質量%を超えると、インクジェット記録装置を放置しておいた場合に、ノズル内のイン
クが増粘し易くなり、不吐出現象が発生したり、粘度が高くなりすぎることにより浸透性
が低下したり、ドットが広がらないために画像濃度が低下したり、ぼそついた画像になる
ことがある。
水溶性有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例
えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエ
チレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジ
オール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−
ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、グリセリン、
1,2,6−へキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2,4
−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール
類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、
ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、
ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル
、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエー
テル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル
、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエ−テル類;N
−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、
1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物;ホル
ムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノ
エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジ
エチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チ
オジエタノール等の含硫黄化合物類;プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、γ−ブチ
ロラクトンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用
してもよい。
水溶性有機溶剤の含有量は、前処理液全量に対して、5質量%〜80質量%が好ましく
、10質量%〜20質量%がより好ましい。含有量が、80質量%未満であると、水溶性
有機溶剤の種類によっては保護液を付与した被記録物の乾燥性が低下することがあり、ま
た、保護液中の凝集剤の添加量が少量になってしまい、保護液の凝集能が大きく低下する
可能性がある。一方、前記含有量が、5質量%未満であると、保護液に含まれる水が気化
し易くなり、水が気化すると保護液の粘度が上昇し、保護液付与工程で不具合が生じてし
まう可能性がある。
浸透剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジ
エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、
エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、
ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、
テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキルおよびアリールエーテル類;エタノール、2−プロパノール等の低級アルコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。浸透剤の含有量は、保護液全量に対して、0.1質量%〜20質量%が好ましく、0.5質量%〜10質量%がより好ましい。
界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面
活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などが挙げられ
る。界面活性剤の含有量は、保護液全量に対して、0.01質量%〜3.0質量%が好ま
しく、0.5質量%〜2質量%がより好ましい。
含有量が、0.01質量%未満であると、界面活性剤を添加した効果が得られないこと
があり、3.0質量%を超えると、記録用メディアへの浸透性が必要以上に高くなり、画
像濃度の低下や裏抜けが発生することがある。
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例え
ば、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤などが挙げられる。
防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−
ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、イソチアゾリン系化合物、安息香酸ナト
リウム、ペンタクロロフェノールナトリウムなどが挙げられる。防腐防黴剤の含有量は、
保護液全量に対して、0.01質量%〜3.0質量%が好ましく、0.5質量%〜2質量
%がより好ましい。
防錆剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、
チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエ
リスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライトなどが挙げられる。防錆剤の含
有量は、保護液全量に対して、0.01質量%〜3.0質量%が好ましく、0.5質量%
〜2質量%がより好ましい。
pH調整剤としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等
のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第
4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ
金属の炭酸塩、ジエタノールアミン、トリエタノ−ルアミン等のアミン類、硼酸、塩酸、
硝酸、硫酸、酢酸などが挙げられる。pH調整剤の含有量は、保護液全量に対して、0.
01質量%〜3.0質量%が好ましく、0.5質量%〜2質量%がより好ましい。
S809における画像形成は、インクに刺激(エネルギー)を印加し、被記録物の塗工層を有する面上に、インクを飛翔させて非記録物上に画像を形成するものであり、公知の種々のインクジェット記録方法を適用でき、例えば、ヘッドを走査する方式のインクジェット記録方法や、ライン化されたヘッドを用い、被記録物上に画像形成を行うインクジェット記録方法が挙げられる。
画像形成工程におけるインク飛翔手段である記録ヘッドの駆動方式としては、特に制限
はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、PZT等を用いた圧電素子アク
チュエータ、熱エネルギーを作用させる方式、静電気力を利用したアクチュエータ等を利
用したオンディマンド型のヘッドを用いることもできるし、連続噴射型の荷電制御タイプ
のヘッドで記録することもできる。
保護液付与工程は、画像形成部に保護液を付与する工程であり、保護液付与手段により
行われる。保護液付与工程の目的は、搬送時の記録画像の転写汚れを防ぎ、被記録物がブ
ロッキングするのを防止することである。
保護液は、水分散性樹脂、水溶性有機溶剤、浸透剤、界面活性剤、および水を含有し、ワックスおよびポリエーテル変性シリコーンオイルを含有することが好ましく、さらに必要に応じてその他の成分を含有してなる。
保護液は、塗布または飛翔させる方法によっても異なるが、画像部光沢性を出すために、または画像部を樹脂層で保護するため(光沢性および定着性向上)、紫外線照射により高分子化する成分を含んでなる樹脂組成物および熱可塑性樹脂が好ましい。特に、光沢性および定着性向上の理由から、熱可塑性樹脂エマルジョン(水分散性樹脂ともいう)が好ましい。なお、インクジェット記録装置により保護液を飛翔させる場合には、インクジェット用インクで使用されている水溶性有機溶剤(湿潤剤)を適当量含有することが好ましい。
水分散性樹脂としては、そのガラス転移温度(Tg)は−30℃以上が好ましく、−2
0℃〜100℃がより好ましい。ガラス転移温度(Tg)が、−30℃未満であると、水
分の蒸発後も粘着剤の様にタック性があり、実使用が困難となることがある。水分散性樹
脂のガラス転移温度は、例えば、TMA法、DSC法、DMA法(引張り法)により測定
することができる。
水分散性樹脂の最低造膜温度(MFT)は、50℃以下が好ましく、35℃以下がより
好ましい。最低造膜温度(MFT)が、50℃を超えると、ヒーター、温風等の乾燥手段
を用いても短時間で成膜できないため、実使用が困難となることがある。水分散性樹脂の
最低造膜温度(MFT)は、例えば、最低造膜温度測定装置(MFT型)により測定する
ことができる。
水分散性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ウレタン樹
脂、アクリル−シリコーン樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。これらの水分散性樹脂は
、インクに用いられる水分散性樹脂と同様のものを適宜選択して用いることができる。
水分散性樹脂の保護液における含有量は、固形分で、1質量%〜50質量%が好ましく
、1質量%〜30質量%が好ましい。含有量が、50質量%を超えると、粘度が高くなる
可能性があり、1質量%未満であると、成膜性が落ちたり水分蒸発のためのエネルギーも
多く必要になったりする。
水分散性樹脂の体積平均粒子径は、保護液の粘度と関係しており、組成が同じものでは粒子径が小さくなるほど同一固形分での粘度が大きくなる。保護液にした時に過剰な高粘度にならないためにも水分散性樹脂の体積平均粒子径は50nm以上が好ましい。また、粒子径が数十μmになると保護液を飛翔させるインクジェット記録装置のヘッドのノズル口より大きくなるため好ましくない。ノズル口より小さくとも粒子径の大きな粒子が保護液中に存在すると吐出性を悪化させる。そこで、インク吐出性を阻害させないために保護液の体積平均粒子径は200nm以下がより好ましく、150nm以下がさらに好ましい。
ワックスは、画像表面に配向することで画像の耐摩擦性、および耐ブロッキング性を向上させることができる。
ワックスとしては、水に分散が可能であれば使用することができる。ワックスは、融点
が120℃以上140℃以下のポリエチレンワックスエマルションであることが好ましい
。融点が、120℃未満であると、樹脂微粒子との凝集により保護液の保存安定性が低下
することがあり、140℃を超えると、スリップ効果が低下し、画像の耐摩擦性が低下す
ることがある。ポリエチレンワックスエマルションの粒子径は、0.2μm以下が好まし
い。
ポリエチレンワックスエマルションとしては、例えば、AQUACER−515(ビッ
クケミー・ジャパン株式会社製)、ポリロンP−502(中京油脂株式会社製)などが挙
げられる。
ワックスの含有量は、使用するワックスや使用目的にもよるが、保護液全量に対して、
1質量%〜10質量%が好ましく、1質量%〜7質量%がより好ましく、1質量%〜5質
量%がさらに好ましい。
保護液は、スリップ性を有し、画像の耐擦過性、耐ブロッキング性向上のためポリエー
テル変性シリコーンオイルを含むことが好ましい。
ポリエーテル変性シリコーンオイルとは、シリコーンオイルの側鎖、末端、およびその両方にポリエーテル基を導入したものである。また、シリコーンオイルは、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーによって構成される。シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーとしては、側鎖および両末端のすべてがメチル基であるものが挙げられる。シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーの平均重合度は45〜230であることが好ましい。
ポリジメチルシロキサン主鎖をもつ両末端ポリエーテル変性シリコーンオイルとしては
、市販品を用いることができ、具体的には、BYK−333、BYK−UV3500(い
ずれも、ビックケミー・ジャパン株式会社製)などが挙げられる。
ポリエーテル変性シリコーンオイルの含有量は、保護液全量に対して、0.1質量%〜
5質量%が好ましく、0.5質量%〜3質量%がより好ましく、1質量%〜1.5質量%
がさらに好ましい。
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例え
ば、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤などが挙げられる。保護液における水溶性有機溶剤
、界面活性剤、防腐防黴剤、防錆剤、およびpH調整剤としては、上記と同様なものを使用することができる。
保護液は、被記録物の画像表面の全体にわたって付着させても、画像表面の特定の部分
のみに付着させてもよい。保護液の付与方法としては、特に制限はなく、保護液の種類に
よって各種方法が適宜選択できるが、インクを飛翔させる方法と同様の方法が好適である
。
保護液の乾燥付着量は、0.5g/m2〜10g/m2が好ましく、2g/m2〜8g
/m2がより好ましい。付着量が、0.5g/m2未満では、画像品質(画像濃度、彩度
、光沢度および定着性)の向上が殆ど見られず、10g/m2を超えると、保護層の乾燥性が低下し、画像品質向上効果も飽和するため経済的にも不利となる。
保護液は、着弾後のドットの拡がりが大きくなるように、粘度と表面張力を調整するこ
とが好ましい。保護液は、25℃での静的表面張力が10mN/m〜35mN/mが好ま
しく、15mN/m〜30mN/m以下がより好ましい。静的表面張力が、35mN/m
を超えると、画像上で拡がり難く耐ブロッキング性が低下することがあり、また、乾燥時
間の長時間化を招くことがある。
保護液の粘度は、1.2mPa・s以上15mPa・s以下であることが好ましく、よ
り好ましくは1.5mPa・s以上10mPa・s未満、さらに好ましくは1.8mPa・s以上8mPa・s未満である。粘度が、15mPa・sを超えると、画像上で拡がり難く、耐ブロッキング性が低下することがあり、1.2mPa・s未満であると、吐出安定性が低下することがある。
以上のように、本発明を本実施形態に対応させれば、次のような効果を奏する。なお、以下の説明では、特許請求の範囲における各構成要素と本実施形態の各部について対応を取り、両者の用語が異なる場合には後者をかっこ書きで示し、また、対応する参照符号を付して両者の対応関係を明確にした。
1.後処理剤付与装置(後処理液付与手段50)による記録媒体(ロール紙Md)への後処理剤の付与を制御する後処理剤付与制御装置(上位装置71)において、前記記録媒体(ロール紙Md)を断裁する断裁位置(断裁線103)を含むあらかじめ設定された領域(断裁用後処理液付与領域105)における前記後処理剤の付与量が、前記断裁位置の内側に隣接した画像形成領域(印字部107)の後処理剤の付与量よりも多くなるように前記後処理剤の付与量を設定する設定手段(RIP装置200)を備えた本実施形態によれば、画像形成領域(印字部107に相当)に加え断裁位置に沿った断裁用後処理液付与領域105にも後処理剤を付与するので、裁断する際に、裁断刃の押圧力によって用紙束に撓みやずれが生じたとしても、後処理剤が保護層として機能することからインクの擦れや画像転写が生じることはない。
2.前記あらかじめ設定された領域が、前記断裁位置の少なくとも内側の所定幅の領域(断裁用後処理液付与領域105)を含む本実施形態によれば、断裁時に用紙束に撓みやずれが生じたとしても、用紙P内側に保護層が形成されているので、用紙Pの内側に印刷された画像にインクの擦れや画像転写が生じることはない。
3.前記あらかじめ設定された領域が、前記断裁位置の内側と外側の所定幅の領域(断裁用後処理液付与領域105)を含む本実施形態によれば、断裁時に用紙束に撓みやずれが生じたとしても、前記所定幅の領域に保護層が形成されているので、用紙Pに印刷された画像にインクの擦れや画像転写が生じることはない。
4.前記領域(断裁用後処理液付与領域105)の前記後処理剤の付与量が、前記画像形成領域(印字部107に相当)における前記後処理剤の最大付与量よりも多い同等である本実施形態によれば、印刷された画像に対して最大限の保護効果を得ることができる。
5.前記断裁位置が、前記記録媒体(ロール紙Md)にマーク(断裁トンボ101)として印字された本実施形態によれば、断裁位置が、記録媒体(ロール紙Md)にあらかじめマーク(断裁トンボ101)として印字されているので、作業者がマーク(断裁トンボ101)を確認して用紙束を断裁することができる。
6.前記1ないし5のいずれかに記載の後処理剤付与制御装置(上位装置71)を記録媒体(ロール紙Md)上に画像を形成する画像形成装置(プリンタ装置72)の制御部に含む本実施形態に係る画像形成装置によれば、画像形成装置内に一体に上位装置71を組み込んで後処理剤の付与制御を行うことができる。なお、制御部は、例えばプリンタコントローラ72C内に、あるいはプリンタコントローラ72Cとは別体に設ける。
7.記録媒体(ロール紙Md)上に画像を形成する画像形成装置(画像形成手段40)と、後処理剤を前記記録媒体上に付与する後処理剤付与装置(後処理液付与手段50)と、前記1ないし6のいずれかに記載の後処理剤付与制御装置(上位装置71)と、を備えた本実施形態に係る画像形成システムによれば、前記1ないし5で述べた効果を奏する画像形成システムを構築することができる。
8.記録媒体(ロール紙Md)へ画像を形成し、後処理剤を付与して印刷物を生産する印刷物生産方法であって、前記記録媒体(ロール紙Md)の画像形成領域(印字部107)に画像を形成するステップ(画像形成処理S809)と、前記記録媒体(ロール紙MD)の前記画像形成領域(印字部107)と前記記録媒体(ロール紙Md)を断裁する断裁位置(断裁線103)を含む所定の領域(断裁用後処理液付与領域105)に前記後処理剤を付与するステップ(後処理剤付与処理S810)と、を備え、前記断裁位置を含む所定の領域における前記後処理剤の付与量が、前記断裁位置の内側に隣接した画像形成領域(印字部107に相当)の後処理剤の付与量よりも多くなるように前記後処理剤を付与するので、裁断する際に、裁断刃の押圧力によって用紙束に撓みやずれが生じたとしても、後処理剤が保護層として機能することからインクの擦れや画像転写が生じることなく印刷物を生産することができる。
9.コンピュータ(CPU71a、ROM71b、RAM71c)に、記録媒体(ロール紙Md)を断裁する断裁位置(断裁線103)を含むあらかじめ設定された領域(断裁用後処理液付与領域105)における後処理剤の付与量が、前記断裁位置の内側に隣接した画像形成領域(印字部107に相当)における前記後処理剤の付着量よりも多くなるように前記後処理剤の付与量を設定する手順を実行させるためのプログラムをインストールし、前記コンピュータに当該プログラムを実行させることにより、裁断する際に、裁断刃の押圧力によって用紙束に撓みやずれが生じたとしても、後処理剤が保護層として機能することからインクの擦れや画像転写が生じることがないように制御することができる。
前記プログラムは、記録媒体に記憶させてもよい。その場合、この記録媒体を用いて前記コンピュータに当該プログラムをインストールすることができる。なお、前記記録媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記憶媒体は特に限定されないが、例えばCD−ROM等の記録媒体が使用できる。
なお、本実施形態においては、記録媒体に後処理液を付与するインクジェット方式の画像形成装置について説明したが、本発明は、後処理剤の一種である後処理用のトナーを記録媒体に付与する電子写真方式の画像形成装置についても同様に適用可能である。
さらに、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。