JP6794565B1 - 変位計 - Google Patents

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【課題】制震ダンパーの詳細な最大変位量を遠方から確認できる変位計を提供する。【解決手段】変位計1は、相対移動可能な第1部材11および第2部材12を有する制震ダンパー10に設置されて第1部材11と第2部材12との最大変位量L2を記録するために、第1部材11および第2部材12の相対変位を拡大する変位部材として回動レバー21を有する拡大機構20と、拡大機構20で拡大された回動レバー21の最大変位量L2を記録する記録機構30と、を有する。【選択図】図2

Description

本発明は変位計に関する。
建物の耐震設備として、座屈拘束ブレースが設置される。座屈拘束ブレースには、鋼材ダンパーや摩擦ダンパーなどの軸降伏型の制震ダンパーが用いられる。
軸降伏型の制震ダンパーでは、外力を受けて降伏した変位量に基づいて残余性能を推定することがある。例えば、建物が大規模地震や大風を受けた際に、制震ダンパーの最大変位量を記録しておけば、後ほど最大変位量を参照することで制震ダンパーとしての残余性能を推定できる。
制震ダンパーの最大変位量の記録には、例えばセンサにより制震ダンパーの変位を計測して記録する計測装置を用いることも考えられる。しかし、制震ダンパーの変位量の記録は長期間にわたって参照されるものではなく、かつ、記録すべき箇所が多数であるため、過剰設備となる。これに対し、簡単な構造で制震ダンパーの最大変位量を記録する方法として、罫書針を用いた罫書き法が利用されている。
罫書き法では、制震ダンパーの相対移動する部分にステンレス板および硬度が高い罫書針を設置しておき、制震ダンパーが変位した際に罫書針でステンレス板の表面に摺動痕を形成する。従って、構造が簡単で長期間にわたって最大変位量の記録が可能である。
しかし、罫書き法では、罫書針の設置箇所が限られるという問題があった。例えば、変位量を示す摺動痕の長さが数十mmと小さい場合、近接しないと変位量を確認できない。
このような問題に対し、色つきの表示パネルを用いることで、変位量の大小を遠方から確認できるようにした変位計が開発されている(特許文献1参照)。
特許第6202663号公報
前述した特許文献1の変位計では、変位量の大小を遠方からも容易に確認できる。しかし、特許文献1の変位計による遠方からの変位量の確認は、色分けされた区画の識別に限られ、詳細な変位量まで確認することができない。
このような問題に対し、遠方からでも詳細な変位量を確認できる変位計が求められていた。
本発明の目的は、制震ダンパーの詳細な最大変位量を遠方から確認できる変位計を提供することにある。
本発明の変位計は、相対移動可能な第1部材および第2部材を有する制震ダンパーに設置されて前記第1部材と前記第2部材との最大変位量を記録する変位計であって、前記第1部材および前記第2部材の相対変位を拡大する変位部材を有する拡大機構と、前記拡大機構で拡大された前記変位部材の変位量の最大値を記録する記録機構と、を有することを特徴とする。
このような本発明では、制震ダンパーに荷重が加わって第1部材と第2部材とが相対変位した際に、拡大機構により第1部材と第2部材との相対変位が拡大され、記録機構により変位部材の拡大された変位量の最大値が記録される。従って、元の第1部材と第2部材との相対変位が小さく、そのまま最大変位量として記録しても遠方から詳細に確認できない場合でも、記録機構で記録された最大変位量が拡大機構で拡大されており、詳細な最大変位量を遠方からでも確認することができる。
本発明の変位計において、前記変位部材は、前記第1部材に支点を回動自在に支持されかつ前記記録機構で変位を記録される作用点を有する回動レバーであり、前記拡大機構は、前記第2部材に一部を固定されかつ前記回動レバーの力点に接続された伝達部材を有し、前記回動レバーは、前記支点から前記作用点までの距離が前記支点から前記力点までの距離よりも大きいことが好ましい。
このような本発明では、回動レバー式の変位部材を用いることで、回動による円滑な動作が可能である。また、回動レバーにおけるレバー比つまり支点から作用点までの距離と支点から力点までの距離との比率の設定が容易であり、レバー比を大きくしても円滑な動作を維持できる。
伝達部材は、回動レバーに直接接続されるものに限らず、例えば棒状の伝達部材の側面に転動する転動部材を介して回動レバーを回動させる構造など、回動レバーと間接的に接続されるものを含む。
回動レバーは、支点、力点、作用点が設定できる部材であればよく、棒状の部材に限らず、円盤状の部材、例えばディスクやプーリであってもよい。さらに、回動レバーなどの回動する変位部材の回動軸の回転を、歯車列あるいはプーリなどを介して増速し、変位部材の作用点側の変位量をさらに拡大するようにしてもよい。
本発明の変位計において、前記拡大機構は、前記第1部材に前記第1部材と前記第2部材との相対移動方向と交差方向に移動自在に支持されかつ前記記録機構で変位を記録される前記変位部材と、前記第2部材に一部を固定されかつ前記変位部材との交差位置まで延びる伝達部材と、前記変位部材または前記伝達部材のいずれか一方に固定されたカム部材と、前記変位部材または前記伝達部材のいずれか他方に固定されかつ前記カム部材のカム面に摺動自在に接触するカムフォロワと、を有し、前記カム面が前記相対移動方向とのなす角度が45度より大きいことが好ましい。
このような本発明では、カム面の傾斜に応じて変位の拡大比率を設定することができる。とくに、カム面の一部を任意の傾斜にすることができるため、変位部材の変位量(第1部材と第2部材との相対移動量)が小さいときには拡大比率を大きくして詳細な変位量を識別できるようにし、変位部材の変位量が大きな場合には拡大比率を小さくして変位量の最大値が大きくても測定できる(振り切れない)ようにできる。
本発明の変位計において、前記記録機構は、前記変位部材の変位方向に伸びるガイド部材と、前記ガイド部材に沿って移動可能なマーカ部材と、を有し、前記マーカ部材は、前記変位部材が前記変位方向に当接可能であることが好ましい。
このような本発明では、変位部材が変位した際に、変位部材で押されることでマーカ部材がガイド部材に沿って移動し、変位部材が戻る際にはマーカ部材は到達位置に残ることで、最大変位量を記録することができる。そして、マーカ部材とガイド部材とを用いた簡単な構成であるため、必要な機能を長期間にわたって維持することができる。
本発明の変位計において、前記ガイド部材には一対の前記マーカ部材が設置され、一対の前記マーカ部材は前記変位部材を挟んで両側に配置され、前記マーカ部材の一方が前記変位部材の+方向の変位を記録し、前記マーカ部材の他方が前記変位部材の−方向の変位を記録することが好ましい。
このような本発明では、一対のマーカ部材により+方向および−方向の最大変位量を記録することができ、最大変位量として最大振幅を判別することができる。
本発明によれば、制震ダンパーの詳細な最大変位量を遠方から確認できる変位計を提供することができる。
本発明の変位計の前提となる参考例としての第1実施形態を示す側面図。 前記第1実施形態を示す平面図。 前記第1実施形態の図1A−A部を示す断面図。 前記第1実施形態の図1B−B部を示す断面図。 前記第1実施形態の変位計の初期状態を示す断面図。 前記第1実施形態の変位計の動作状態を示す断面図。 前記第1実施形態の変位計の最大変位量の記録状態を示す断面図。 本発明の変位計の前提となる参考例としての第2実施形態を示す平面図。 本発明の変位計である第3実施形態を示す平面図。 本発明の変位計の前提となる参考例としての第4実施形態を示す平面図。 本発明の変位計である実施形態を示す平面図。
〔第1実施形態〕
図1から図7には本発明の前提となる参考例としての第1実施形態が示されている。
図1から図4の各図において、変位計1は制震ダンパー10に設置されてその最大変位量を記録する。
制震ダンパー10は、建物の座屈拘束ブレースに利用される軸降伏型の制震ダンパーであり、相対移動可能な第1部材11および第2部材12を有する。
第2部材12は、軸方向DAに沿って延びる断面十字状の鋼材121で形成され、一端が建物に締結される締結部122とされている。締結部122には、鋼材121の両面に補強用の鋼板123が張られ、表裏を貫通する締結用のボルト孔124が形成されている。鋼材121の他端側は、段階的に細くなる拘束部125とされている。
第1部材11は、矩形断面を有する鋼管111で形成され、その端部開口は端板112で塞がれている。端板112には十字状の開口113が形成され、開口113には第2部材12の拘束部125が軸方向DAに沿って挿入される。鋼管111の内部には図示しない降伏部材が設置され、開口113から挿入された拘束部125を拘束している。
変位計1は、第1部材11と第2部材12との相対変位を拡大する変位部材(回動レバー21)を有する拡大機構20と、拡大機構20で拡大された変位部材の変位量の最大値を記録する記録機構30と、を有する。
第1部材11の上面には、軸方向DAと交差方向に延びる回動レバー21が設置されている。第1部材11には支軸22が設置され、この支軸22により回動レバー21の中間部の支点210が回動自在に支持されている。
回動レバー21の両端には力点211および作用点212が設定されている。支点210から作用点212までの距離R2は、支点210から力点211までの距離R1よりも長く設定され、回動レバー21の拡大比率R=R2/R1(レバー比)はR>1である。
第2部材12の上側には、支持部材231を介して伝達部材23が支持されている。伝達部材23は、軸方向DAに長い棒状部材であり、先端側が第1部材11の上面まで達している。第1部材11の上面には保持部材232が設置され、伝達部材23は保持部材232に挿通されて軸方向DAへ摺動自在に支持されている。伝達部材23の先端は、回動レバー21の力点211に回動自在に接続されている。
第1部材11と第2部材12とが軸方向DAへ相対移動した際には、伝達部材23が第1部材11に対して変位し、この変位により回動レバー21が支点210まわりに回動可能である。回動レバー21が回動されることで、作用点212において軸方向DAの変位が生じる。前述の通り、回動レバー21の拡大比率R>1であるため、作用点212の変位量L2は、力点211の変位量L1(第1部材11と第2部材12との変位量)を拡大比率Rで乗じた値に拡大される。
これらの回動レバー21および伝達部材23により拡大機構20が構成されている。
第1部材11の上面には、回動レバー21の作用点212と交差するように、軸方向DAに延びるガイド部材31が設置されている。前述の通り、回動レバー21は軸方向DAと交差方向に延びており、作用点212は軸方向DAに沿って変位する。ガイド部材31は、この作用点212の変位する範囲にわたって延びている。
ガイド部材31は、支持部材311を介して両端を第1部材11の上面に支持されている。ガイド部材31には、2個一対のマーカ部材32,33が装着されている。
マーカ部材32,33は、それぞれ鋼製の小片であり、中央部に形成された貫通孔にガイド部材31を挿通されており、ガイド部材31に沿って移動可能である。
一対のマーカ部材32,33は、回動レバー21の作用点212を挟んで両側に配置されている。使用時には、回動レバー21が軸方向DAに対して直交方向に向くように伝達部材23の長さを調節したうえで、一対のマーカ部材32,33を互いに近接させ、それぞれ回動レバー21に当接させておく(図5参照)。
一方のマーカ部材32(図面左側、第1部材11がある側)は、第1部材11と第2部材12とが近接し、伝達部材23が進出して回動レバー21が図上時計回りに回動した際に、回動レバー21で押されて第1部材11がある側(+方向)へ移動される(図6参照)。この後、伝達部材23および回動レバー21が図5の位置へ戻っても、マーカ部材32はガイド部材31との摩擦力によって移動された位置に残り、これにより+方向の最大変位量L21を記録可能である。
他方のマーカ部材33(図面右側、第1部材11と反対側)は、第1部材11と第2部材12とが離隔し、伝達部材23が後退して回動レバー21が図上反時計回りに回動した際に、回動レバー21で押されて第1部材11と反対側(−方向)へ移動される(図7参照)。この後、伝達部材23および回動レバー21が図5の位置へ戻っても、マーカ部材33は移動された位置に残り、これにより−方向の最大変位量L22を記録可能である。
従って、一対のマーカ部材32,33により、回動レバー21の作用点212の+方向の変位量L21、−方向の変位量L22が記録され、最大変位量L2=L21+L22を計測することができる。
これらのガイド部材31およびマーカ部材32,33により、記録機構30が構成されている。
このような実施形態によれば、制震ダンパー10に荷重が加わって第1部材11と第2部材12とが相対変位した際に、拡大機構20により第1部材11と第2部材12との相対変位が拡大され、記録機構30により変位部材(回動レバー21)の拡大された変位量の最大値が記録される。
すなわち、第1部材11と第2部材12との軸方向DAの変位量L1は、回動レバー21の拡大比率Rに応じて、作用点212において軸方向DAの変位量L2=R・L1に拡大される。
従って、第1部材11と第2部材12との元の変位量L1が小さく、そのまま記録機構30で最大変位量として記録しても遠方から詳細に確認できない場合でも、拡大機構20で拡大された変位量L2の最大値を記録機構30で記録することで、第1部材11と第2部材12との詳細な最大変位量を遠方からでも確認することができる。
さらに、本実施形態では、変位部材として回動レバー21を用いることで、回動式であるため摺動式などに比べて円滑な動作が可能である。また、回動レバー21における拡大比率Rつまり支点210から作用点212までの距離R2と支点210から力点211までの距離R1との比率の設定が容易であり、拡大比率Rを大きくしても円滑な動作を維持できる。
本実施形態では、記録機構30としてガイド部材31およびマーカ部材32,33を設けた。これにより、変位部材である回動レバー21の作用点212が変位した際に、作用点212部分で押されることで、マーカ部材32,33がガイド部材31に沿って変位量の分移動し、回動レバー21が戻る際(振動する前の元の位置に復帰した状態)にはマーカ部材32,33が到達位置に残ることで、最大変位量を記録することができる。
そして、マーカ部材32,33とガイド部材31とを用いた簡単な構成であるため、記録機構30として必要な機能を長期間にわたって維持することができる。
さらに、本実施形態の記録機構30では、ガイド部材31には一対のマーカ部材32,33を設置し、回動レバー21を挟んで両側に一対のマーカ部材32,33を配置したため、一方のマーカ部材32で回動レバー21の作用点212の+方向の変位量L21を記録し、他方のマーカ部材33で回動レバー21の作用点212の−方向の変位量L22を記録することができ、これらにより最大変位量L2を判別することができる。
以上により、本実施形態の変位計1によれば、制震ダンパー10の詳細な最大変位量L22を遠方から確認することができる。
〔第2実施形態〕
図8には本発明の前提となる参考例としての第2実施形態の変位計1Aが示されている。
本実施形態は、拡大機構20Aが第1実施形態と異なるが、他の構成は第1実施形態と同様である。従って、共通の構成については重複する説明を省略し、以下相違する構成について説明する。
前述した第1実施形態では、図2の通り、拡大機構20の回動レバー21が、中間部に支点210を有し、伝達部材23が接続される力点211と記録機構30に接続される作用点212とが支点210を挟んで反対側に設けられていた。
これに対し、本実施形態では、図8に示すように、拡大機構20Aの回動レバー21Aは、支軸22Aが伝達部材23の反対側に設置され、回動レバー21Aの一端側に支点210が設定されている。さらに、回動レバー21Aの中間部に伝達部材23が接続されて力点211とされ、他端側に記録機構30が接続されて作用点212とされている。
このような本実施形態においても、第1部材11と第2部材12との軸方向DAの変位量L1を、回動レバー21Aの拡大比率R(支点210から作用点212までの距離R2と支点210から力点211までの距離R1との比率R2/R1)に応じて、軸方向DAの変位量L2=R・L1に拡大することができる。
その結果、本実施形態においても、前述した第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
〔第3実施形態〕
図9には本発明である第3実施形態の変位計1Bが示されている。
本実施形態は、記録機構30Bが第1実施形態と異なるが、他の構成は第1実施形態と同様である。従って、共通の構成については重複する説明を省略し、以下相違する構成について説明する。
前述した第1実施形態では、図2の通り、記録機構30のガイド部材31が直線状に形成されていた。このため、変位部材である回動レバー21の回動角度が大きくなると、回動レバー21の作用点212がマーカ部材32,33から外れる可能性があった。
これに対し、本実施形態では、図9に示す通り、記録機構30Bのガイド部材31Bが、回動レバー21の支点210を中心とする円弧状に形成されている。このため、回動レバー21の回動角度が大きくなっても、回動レバー21の作用点212がマーカ部材32,33から外れることがない。
このような本実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
〔第4実施形態〕
図10には本発明の前提となる参考例としての第4実施形態の変位計1Cが示されている。
本実施形態は、拡大機構20Cが第1実施形態と異なるが、他の構成は第1実施形態と同様である。従って、共通の構成については重複する説明を省略し、以下相違する構成について説明する。
前述した第1実施形態では、図2の通り、拡大機構20の伝達部材23は、拡大機構20の回動レバー21の力点211に回動自在に接続され、第1部材11と第2部材12との軸方向DAの変位量L1を直接回動レバー21に伝達していた。
これに対し、本実施形態では、図10に示すように、拡大機構20Cにおいて、支軸22には回動レバー21Cおよびローラ24Cが回動自在に支持されている。ローラ24Cは、回動レバー21Cに接続されて一体に回動可能であるとともに、伝達部材23の測位面に圧接されて転動可能である。
つまり、伝達部材23と回動レバー21Cとはローラ24Cを介して間接的に連結され、伝達部材23が軸方向DAに沿って変位した際にはローラ24Cが転動して回動レバー21Cを回動可能である。
本実施形態においては、ローラ24Cと伝達部材23との転動位置が力点211となり、回動レバー21Cを支点210まわりに回動させ、作用点212の変位を記録機構30で記録することができる。
このような本実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
〔第5実施形態〕
図11には本発明である第5実施形態の変位計1Dが示されている。
本実施形態は、拡大機構20Dが第1実施形態と異なるが、他の構成は第1実施形態と同様である。従って、共通の構成については重複する説明を省略し、以下相違する構成について説明する。
前述した第1実施形態では、図2の通り、拡大機構20は、伝達部材23で回動される回動レバー21を設け、その拡大比率R>1となるように支点210、力点211、作用点212を設定し、これにより第1部材11と第2部材12との軸方向DAの変位量L1を拡大し、記録機構30で拡大された変位量L2=R・L1を記録していた。
これに対し、本実施形態では、図11に示すように、拡大機構20Dとして伝達部材23に支持されたカム部材25Dを用い、記録機構30Dのマーカ部材32D,33Dを変位させる。
カム部材25Dは、伝達部材23の第2部材12と反対側の上面に固定された鋼板で形成され、伝達部材23の両側に突出する部分にカム面26D,27Dが形成されている。
このうち、カム面26Dは第2部材12がある側(−向き)に向けて形成され、カム面27Dは第2部材12と反対向き(+向き)に形成されている。カム面26D,27Dのカム形状は、ともに軸方向DAに対して約55度傾斜した直線状とされている。
第1部材11の上面には、伝達部材23の下方を通り伝達部材23と直交方向に延びる直線状のガイド部材31Dが設置され、マーカ部材32D,33Dはそれぞれガイド部材31Dに沿って移動可能である。
マーカ部材32D,33Dは、それぞれガイド部材31Dに移動可能に支持された本体部と、この本体部に回転自在に支持されたローラ状の転動部とを有し、この転動部がカム面26D,27Dに転動するカムフォロワとされている。
このような本実施形態では、一方のマーカ部材32Dは、伝達部材23が図中右側(+向き)に移動した際に、カム面26Dに押されて転動し、ガイド部材31Dに沿って図中下方へ変位する。伝達部材23が図中左側へ移動する際には、カム面26Dから離れ、ガイド部材31Dの現在位置に留まる。
他方のマーカ部材33Dは、伝達部材23が図中左側(−向き)に移動した際に、カム面27Dに押されて転動し、ガイド部材31Dに沿って図中上方へ変位する。伝達部材23が図中右側へ移動する際には、カム面27Dから離れ、ガイド部材31Dの現在位置に留まる。
従って、本実施形態では、第1部材11に対する第2部材12の軸方向DAの変位量L1が伝達部材23を介してカム部材25Dに伝達され、カムフォロワを兼ねるマーカ部材32D,33Dがカム面26D,27Dにより押されてガイド部材31Dに沿って移動し、拡大された最大変位量L2=R・L1を記録することができる。
この際、拡大比率Rはカム形状に基づいてtan(55度)つまり約1.43倍となる。変位量L1に対して変位量L2を拡大させるためには、軸方向DAに対するカム面26D,27Dの傾斜角度を45度より大きくすればよい。
本実施形態において、カムフォロワを兼ねるマーカ部材32D,33Dおよびガイド部材31Dにより記録機構30Dが構成される。また、カムフォロワおよび変位部材を兼ねるマーカ部材32D,33D、カム部材25D、伝達部材23により、拡大機構20Dが構成されている。
このような本実施形態では、前述した第1実施形態と同様な効果が得られるほか、カム面26D,27Dの傾斜に応じて変位量L2の拡大比率Rを設定することができる。
さらに、カム面26D,27Dを直線状ではなく、一部を任意の傾斜にすることができるため、変位部材であるマーカ部材32D,33Dの変位量(元の第1部材11と第2部材12との相対移動量である変位量L1)が小さいときには拡大比率Rを大きくして詳細な変位量を識別できるようにし、変位量L1が大きな場合には拡大比率Rを小さくして変位量L1の最大値が大きくても、拡大された変位量L2を相対的に小さくして振り切れない(測定できる)ようにできる。
〔他の実施形態〕
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形などは本発明に含まれる。
伝達部材23は、第2部材12から第1部材11の上面に延びる棒状部材に限らず、第1部材11の側面あるいは底面に設けられていてもよい。伝達部材23は、1本の棒状部材に限らず、2本のワイヤを用い、そのうち1本をプーリなどで折返し、これにより+方向および−方向の変位を伝達できるようにしてもよい。
回動レバー21,21A,21Cは、支点210、力点211、作用点212が設定できる部材であればよく、棒状の部材に限らず、円盤状の部材、例えばディスクやプーリであってもよい。
前述した第4実施形態のようなローラ24Cを用いる場合、回動レバー21Cまでの伝達に歯車列あるいはプーリなどを介して増速し、回動レバー21Cの作用点212側の変位量L2をさらに拡大するようにしてもよい。
本発明は変位計に利用できる。
1,1A,1B,1C,1D…変位計、10…制震ダンパー、11…第1部材、111…鋼管、112…端板、113…開口、12…第2部材、121…鋼材、122…締結部、123…鋼板、124…ボルト孔、125…拘束部、20,20A,20C,20D…拡大機構、21,21A,21C…回動レバー、210…支点、211…力点、212…作用点、22,22A…支軸、23…伝達部材、231…支持部材、232…保持部材、24C…ローラ、25D…カム部材、26D,27D…カム面、30,30B,30D…記録機構、31,31B,31D…ガイド部材、311…支持部材、32,33…マーカ部材、32D,33D…変位部材およびカムフォロワを兼ねるマーカ部材、DA…軸方向、L1,L2,L21,L22…変位量、R…拡大比率、R1,R2…距離。

Claims (4)

  1. 相対移動可能な第1部材および第2部材を有する制震ダンパーに設置されて前記第1部材と前記第2部材との最大変位量を記録する変位計であって、
    前記第1部材および前記第2部材の相対変位を拡大する変位部材を有する拡大機構と、
    前記拡大機構で拡大された前記変位部材の変位量の最大値を記録する記録機構と、を有し、
    前記変位部材は、前記第1部材に支点を回動自在に支持されかつ前記記録機構で変位を記録される作用点を有する回動レバーであり、
    前記拡大機構は、前記第2部材に一部を固定されかつ前記回動レバーの力点に接続された伝達部材を有し、
    前記回動レバーは、前記支点から前記作用点までの距離が前記支点から前記力点までの距離よりも大きく、
    前記記録機構が、前記回動レバーの支点を中心とする円弧状に形成されていることを特徴とする変位計。
  2. 相対移動可能な第1部材および第2部材を有する制震ダンパーに設置されて前記第1部材と前記第2部材との最大変位量を記録する変位計であって、
    前記第1部材および前記第2部材の相対変位を拡大する変位部材を有する拡大機構と、
    前記拡大機構で拡大された前記変位部材の変位量の最大値を記録する記録機構と、を有し、
    前記拡大機構は、前記第1部材に前記第1部材と前記第2部材との相対移動方向と交差方向に移動自在に支持されかつ前記記録機構で変位を記録される前記変位部材と、前記第2部材に一部を固定されかつ前記変位部材との交差位置まで延びる伝達部材と、前記変位部材または前記伝達部材のいずれか一方に固定されたカム部材と、前記変位部材または前記伝達部材のいずれか他方に固定されかつ前記カム部材のカム面に摺動自在に接触するカムフォロワと、を有し、
    前記カム面が前記相対移動方向とのなす角度が45度より大きいことを特徴とする変位計。
  3. 請求項1または請求項に記載した変位計において、
    前記記録機構は、前記変位部材の変位方向に伸びるガイド部材と、前記ガイド部材に沿って移動可能なマーカ部材と、を有し、
    前記マーカ部材は、前記変位部材が前記変位方向に当接可能であることを特徴とする変位計。
  4. 請求項に記載した変位計において、
    前記ガイド部材には一対の前記マーカ部材が設置され、
    一対の前記マーカ部材は前記変位部材を挟んで両側に配置され、
    前記マーカ部材の一方が前記変位部材の+方向の変位を記録し、
    前記マーカ部材の他方が前記変位部材の−方向の変位を記録することを特徴とする変位計。
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