JP6794208B2 - 回転検出センサ - Google Patents

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Description

本発明は、順方向および逆方向に回転可能な回転体の回転情報を検出する回転検出センサに関する。
従来より、回転体の回転情報を非接触で計測する方法としては、光の反射による計測方法が一般的である(例えば、特許文献1参照)。この光の反射による計測方法では、例えば回転体の回転速度を非接触で計測する場合、回転体の側面に反射板を取り付けて回転体に光を当て、反射板からの反射光の強弱の周期を計測する。
一例として、流路を流れる流体(被計測流体)の流速を光の反射によって計測する例を図20に示す。同図において、1はケーシング、2は羽根車(回転体)、3は投受光器である。ケーシング1は、被計測流体を導入する導入口1aと、導入口1aから導入された被計測流体を排出する排出口1bと、導入口1aと排出口1bとを連通する流路1cとを備えている。
羽根車2は、流路1c内に設けられ、流路1c内を流れる被測定流体の流れを受けて回転軸の軸心Jを中心として回転する。羽根車2の羽根2aの側面には反射板4が取り付けられている。ケーシング1には羽根車2に取り付けられた反射板4を覗く透明の窓5が設けられている。
投受光器3は、窓5を通してケーシング1内の羽根車2に光を当て、反射板4からの反射光を受光し、受光した反射光の強さに応じた信号を出力する(図21参照)。この投受光器3が出力する信号の周期から羽根車2の回転速度が求められ、この羽根車2の回転速度から流路1cを流れる被測定流体の流速が計測される。
しかしながら、この光の反射による計測方法では、回転体の回転情報として回転速度や回転数を検出することができるが、回転体の回転方向や回転角度は簡単に検出することはできない。また、原理的に、回転軸上に反射板を置くことはできず、小型化には制約がある。また、回転体が完全にケーシング内に収納され外部からアクセスできないような場合、例えばタービンでケーシング内圧が高く窓を設けられないような場合、回転体の回転情報を検出することは不可能である。
これに対し、回転体の回転情報を非接触で計測する他の方法として、磁気抵抗素子(MR素子)を利用したものがある。磁気抵抗素子は、この磁気抵抗素子が配置されている面と平行な磁界の方向が変化すると、それに応じて抵抗値が変化する。この磁気抵抗素子の抵抗値の変化から磁界の方向を検出することができ、この磁界の方向から各種部材間の相対的な回転角度を検出することが可能となる。
図22に磁気抵抗素子を利用した角度センサ(磁気センサ)の回路構成の要部を示す。同図において、6は磁気センサであり、ブリッジ接続された磁気抵抗素子6a〜6dによって構成されている。磁気抵抗素子6a〜6dは電極パターンとして基板面に形成されている。この磁気センサ6は、定電流Iによって駆動され、磁気抵抗素子6aと6bとの接続点と磁気抵抗素子6cと6dとの接続点との間の電位差V(θ)を検知出力とする。なお、この例では磁気センサ6を定電流で駆動する方式としているが、定電圧で駆動する方式を採用してもよい。
この磁気センサ6において、基板面に形成された磁気抵抗素子6a〜6dの電極パターンに対して平行な磁界をBとし、この磁界Bが回転するものとする。θは磁界Bの回転角である。この場合、磁気抵抗素子6a〜6dの抵抗値が変化し、検知出力V(θ)が変化する。この検知出力V(θ)の変化から磁界Bの方向を検出することができる。
すなわち、図23に示すように、回転体7の回転に伴って磁界Bが回転するものとすれば、この磁界Bの方向から回転体7の回転角度を検出することができる。なお、図23において、7−1は回転体7の回転軸、8−1,8−2は回転体7に設けられた1対の磁石(磁界生成部)であり、磁気センサ6はこの磁石8−1,8−2が生成する磁界B内に固定設置されている。この例では、部材9に固定されている。
この磁気センサ6において、磁気抵抗素子6a,6cの抵抗値をR(θ)、磁気抵抗素子6b,6dの抵抗値をR(θ−90゜)、磁気抵抗効果の大きさをΔR(ΔR=RH−RV)とすると、
R(θ)=RH・cos2θ+RV・sin2θ ・・・・(1)
R(θ−90゜)=RH・sin2θ+RV・cos2θ ・・・・(2)
と表され、
検知出力V(θ)は、
V(θ)=(I/2)・ΔR・cos(2θ) ・・・・(3)
と表される。
但し、RV:磁気抵抗素子に垂直に磁界がかかった時の抵抗値(最小値)、RH:磁気抵抗素子に水平に磁界がかかった時の抵抗値(最大値)。
図24に、回転体を羽根車2とした流量計において、磁気センサ6を利用した例を示す。この例では、羽根車2の羽根2a,2bに1対の磁石8−1,8−2を埋め込み、磁石8−1,8−2が生成する磁界B内(羽根車6の回転軸と直交する平面内)に、その中心を羽根車6の回転軸の軸心Jに一致させて、磁気センサ6を固定設置している。図25に図24におけるA方向から見た一部破断断面図を示す。
図24において、羽根車2が回転すると、磁気センサ6の検知出力V(θ)は増減し、半回転で1周期となる(図26参照)。羽根車2が1方向に回転している場合、検知出力V(θ)がピーク値(Vp=(I/2)・ΔR)となった時点から2回ピークを迎えると、1回転とカウントできる。しかし、この検知出力V(θ)は反転対称性のため、回転方向を検出することができない。また、検知出力V(θ)が単調増加する範囲を超えて回転する場合には角度が一意に定まらず、磁気抵抗素子を利用した角度センサは単調増加の範囲がπ/2しかない。
これに対し、図27に参考例として示すように、磁石8−1,8−2が生成する磁界B内に、2つの磁気センサ6−1と6−2とを回転位置ずれδを持たせて固定設置することが考えられる。図28に図27における矢印A方向から見た一部破断断面図を示す。図27において、羽根車2が回転すると、磁気センサ6−1の検知出力V1(θ)および磁気センサ6−2の検知出力V2(θ)は増減する(図29参照)。
この場合、磁気センサ6−1と6−2とは回転位置ずれδを持たせて設置されているので、磁気センサ6−1の検知出力V1(θ)と磁気センサ6−2の検知出力V2(θ)との間に位相差が生じ、磁気センサ6−1はV1(θ)=Vp・cos(2θ)の検知出力を出力し、磁気センサ6−2はV2(θ)=Vp・cos(2(θ−δ))の検知出力を出力する。
このような構成とすると、磁気センサ6−1の検知出力V1(θ)と磁気センサ6−2の検知出力V2(θ)とから、羽根車2の回転方向を検出することが可能となる。例えば、図29におけるP1の位置では、V1(θ)>V2(θ)なので、V1(θ)の値が上昇(dV1/dt>0)の場合は順方向、V1(θ)の値が下降(dV1/dt<0)の場合は逆方向と判定することができる。また、図29におけるP2の位置では、V1(θ)<V2(θ)なので、V1(θ)の値が下降(dV1/dt<0)の場合は順方向、V1(θ)の値が上昇(dV1/dt>0)の場合は逆方向と判定することができる。
特開2002−5701号公報
しかしながら、図29に示したような検知出力V1(θ),V2(θ)からは、回転体の全周にわたって回転方向を検出することができない。すなわち、図29におけるP3の位置では、V1(θ)>V2(θ)であるが、順方向のときV1(θ)が下降しており、「V1(θ)>V2(θ)の時、V1(θ)の値が上昇の場合は順方向」という判定条件が成立しない。この判定条件が成立しない区間を不成立区間と呼び、判定条件が成立する区間を成立区間と呼ぶ。図29では、不成立区間を斜線で示している。
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、回転体の全周にわたって回転方向を検出することが可能な回転検出センサを提供することにある。
このような目的を達成するために本発明は、順方向および逆方向に回転可能な回転体(11)の回転情報を検出する回転検出センサ(100)であって、回転体の回転に伴ってその方向が変化する磁界を生成する磁界生成部(12−1,12−2)と、磁界生成部が生成する磁界内に固定設置され、回転体の回転に伴う磁界の方向の変化に連動してその検知出力が変化する第1の磁気センサ(13−1)と、磁界生成部が生成する磁界内に第1の磁気センサに対して回転位置ずれδを持たせて固定設置され、回転体の回転に伴う磁界の方向の変化に連動してその検知出力が変化する第2の磁気センサ(13−2)と、第1の磁気センサの検知出力を第1の検知出力、第2の磁気センサの検知出力を第2の検知出力とし、この第1の検知出力および第2の検知出力に基づいて少なくとも回転体の回転方向を回転情報として検出する回転情報検出部(14)とを備え、第1の磁気センサは、回転体の回転に伴う磁界の回転角をθ、第1の検知出力の最大値をV1pとした場合、第1の検知出力としてV1(θ)=V1p・cos(2θ)の電圧を生成し、第2の磁気センサは、回転体の回転に伴う磁界の回転角をθ、第2の検知出力の最大値をV2pとした場合、第2の検知出力としてV2(θ)=V2p・cos(2(θ−δ))の電圧を生成し、第1の磁気センサが生成する第1の検知出力V1(θ)と第2の磁気センサが生成する第2の検知出力V2(θ)とは、第2の検知出力V2(θ)の最大値V2pが第1の検知出力V1(θ)の最大値V1pよりも大きく、かつV1(θ)=V1pの点で交差することを特徴とする。
この発明において、第2の磁気センサは、磁界生成部が生成する磁界内に、第1の磁気センサに対して回転位置ずれδを持たせて固定設置されている。第1の磁気センサは、回転体の回転に伴う磁界の方向の変化に連動して、第1の検知出力としてV1(θ)=V1p・cos(2θ)の電圧を生成し、第2の磁気センサは、回転体の回転に伴う磁界の方向の変化に連動して、第2の検知出力としてV2(θ)=V2p・cos(2(θ−δ))の電圧を生成する。この場合、第1の検知出力V1(θ)の最大値はV1pとなり、第2の検知出力V2(θ)の最大値はV2pとなる。本発明において、第1の磁気センサが生成する第1の検知出力V1(θ)と第2の磁気センサが生成する第2の検知出力V2(θ)とは、第2の検知出力V2(θ)の最大値V2pが第1の検知出力V1(θ)の最大値V1pよりも大きく(V2p>V1p)、V1(θ)=V1pの点で交差する。
これにより、本発明では、「V1(θ)>V2(θ)であるが、順方向のときV1(θ)が下降する」というような判定条件が成立しない区間(不成立区間)が生じなくなり、回転体の全周にわたって回転方向を検出することが可能となる。
本発明では、回転体の全周にわたって回転方向を検出することが可能となることから、回転基準位置からの回転体の順方向に回転した回数と逆方向に回転した回数との差として回転体が回転した回数をカウントすることが可能となる。また、検出した回転体の回転方向とカウントした回転体の回転回数と第1の検知出力とに基づいて回転体の回転基準位置からの回転角度を求めることも可能となる。
なお、上記説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の構成要素を、括弧を付した参照符号によって示している。
以上説明したことにより、本発明によれば、第1の磁気センサが生成する第1の検知出力V1(θ)と第2の磁気センサが生成する第2の検知出力V2(θ)とを、第2の検知出力V2(θ)の最大値V2pが第1の検知出力V1(θ)の最大値V1pよりも大きくするとともに、V1(θ)=V1pの点で交差させるようにしたので、回転体の全周にわたって回転方向を検出することが可能となる。
図1は、本発明の実施の形態1に係る回転検出センサの要部を示す平面図である。 図2は、この回転検出センサの斜視図である。 図3は、この回転検出センサの2つの磁気センサの検知出力V1(θ),V2(θ)を示す波形図である。 図4は、この回転検出センサに付設する回転情報検出部の概略を示す構成図である。 図5は、2つの磁気センサを回転体の上側と下側とに分けて設置するようにした例を示す図である。 図6は、2つの回転軸が連動するような場合の2つの磁気センサの設置例(例1)を示す図である。 図7は、2つの回転軸が連動するような場合の2つの磁気センサの設置例(例2)を示す図である。 図8は、2つの回転軸が連動するような場合の2つの磁気センサの設置例(例3)を示す図である。 図9は、回転軸の軸心を挾んだ位置に2つの磁気センサを設置した例を示す図である。 図10は、図9におけるC方向から見た断面図である。 図11は、本発明に係る回転検出センサを機械式の水用流量計に用いた例(流体計測回転計)を示す図である。 図12は、図11におけるI−I線断面図である。 図13は、この流体計測回転計における2つの磁気センサの検知出力V1(θ),V2(θ)を示す波形図である。 図14は、この流体計測回転計に付設する演算部の概略を示す構成図である。 図15は、この演算部における回転方向判定部で使用される回転方向の判定条件および回転回数カウント部で使用される回転回数のカウント条件を示す図である。 図16は、この流体計測回転計における羽根車の回転に伴う2つの磁気センサの検知出力V1(θ),V2(θ)の変化例およびカウントされる回転回数Nの変化例を示す図である。 図17は、羽根車の回転に伴う検知出力V1(θ)の接線の傾き「dV1/dt」の符号(正負)の変化と「V1(θ)−V2(θ)」の符号(正負)の変化を例示する図である。 図18は、算出された羽根車の回転角θ’を実際の回転角θと対比して示す図である。 図19は、ケーシングを挟んで2つの磁気センサを対向して設置するようにした例を示す図である。 図20は、被計測流体の流速を光の反射によって計測する例を示す図である。 図21は、受光した反射光の強さに応じた信号を示す図である。 図22は、磁気抵抗素子を利用した角度センサ(磁気センサ)の回路構成の要部を示す図である。 図23は、磁気センサを用いた例を示す図である。 図24は、回転体を羽根車とした流量計において磁気センサを利用した例を示す図である。 図25は、図24におけるA方向から見た一部破断断面図である。 図26は、1つの磁気センサの検知出力V(θ)を示す波形図である。 図27は、2つの磁気センサを回転位置ずれδを持たせて固定設置した例(参考例)を示す図である。 図28は、図27における矢印A方向から見た一部破断断面図である。 図29は、参考例における2つの磁気センサの検知出力V1(θ),V2(θ)を示す波形図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〔実施の形態1〕
図1は本発明の実施の形態1に係る回転検出センサ100の要部を示す平面図である。同図において、11は回転体、12−1,12−2は回転体11に埋め込まれた1対の磁石であり、13−1,13−2は磁気センサである。磁気センサ13−1,13−2の構成は、図22を用いて説明した磁気センサ6と同じであるので、その説明は省略する。
この回転検出センサ100において、磁気センサ13−1,13−2は、磁石12−1,12−2が生成する磁界B内(回転体11の回転軸と直交する平面内)に、回転位置ずれδ(δ≠nπ/4(nは整数))を持たせて固定設置されている。この例では、図2に示すように、磁気センサ13−1,13−2の中心を回転体11の回転軸の軸心Jに一致させて、また磁気センサ13−1と磁気センサ13−2とを上下に平行に間隔を持って重ねるようにして、回転体11の上側に設置している。
この回転検出センサ100において、回転体11が回転すると、磁気センサ13−1の検知出力V1(θ)および磁気センサ13−2の検知出力V2(θ)は増減する(図3参照)。この場合、磁気センサ13−1と13−2とは回転位置ずれδを持たせて設置されているので、磁気センサ13−1の検知出力V1(θ)と磁気センサ13−2の検知出力V2(θ)との間に位相差が生じ、磁気センサ13−1はV1(θ)=V1p・cos(2θ)の検知出力を出力し、磁気センサ13−2はV2(θ)=V2p・cos(2(θ−δ))の検知出力を出力する。
ここで、図29に示した例ではV1p=V2p=Vpとしていたが、この回転検出センサ100では、V2p>V1pとし、磁気センサ13−1が生成する検知出力V1(θ)と磁気センサ13−2が生成する検知出力V2(θ)とをV1(θ)=V1pの点で交差させるようにする。具体的には、θ=0゜の時、V1(θ)=V1pとなるようにし、この点で磁気センサ13−1が生成する検知出力V1(θ)と磁気センサ13−2が生成する検知出力V2(θ)とが交差するようにする。
この場合、θ=0゜の時、磁気センサ13−2が生成する検知出力V2(θ)は、V2(θ)=V2p・cos(2(θ−δ))=V2p・cos(2δ)となる。このV2p・cos(2δ)をV1pとなるようにすることから、すなわちV2p・cos(2δ)=V1pとなるようにすることから、検知出力V2(θ)の最大値V2pをV2p=V1p/cos(2δ)とすればよいことになる。V1p,V2pは磁気センサ13−1,13−2に印加する電流や電圧を調整(出力ゲインの調整)したり、センサ抵抗値の作り込みなどによって設定可能である。
このような構成とすることにより、磁気センサ13−1の検知出力V1(θ)と磁気センサ13−2の検知出力V2(θ)とから、回転体11の全周にわたって回転方向を検出することができるようになる。
すなわち、回転体11が順方向に回転する場合、V1(θ)の値が上昇時(dV1/dt>0)には常にV1(θ)>V2(θ)となり、V1(θ)の値が下降時(dV1/dt<0)には常にV1(θ)<V2(θ)となる。また、回転体11が逆方向に回転する場合、V1(θ)の値が上昇時(dV1/dt>0)には常にV1(θ)<V2(θ)となり、V1(θ)の値が下降時(dV1/dt<0)には常にV1(θ)>V2(θ)となる。これにより、図29に示したような判定条件の不成立区間が生じないものとなる。
なお、dV1/dt=0の位置(V1(θ)=±V1pの位置)では、V1(θ)の値とdV2/dtの符号をみることで回転方向を判別するができる。すなわち、V1(θ)=+V1pの場合(P4点)、dV2/dt>0(上昇)であれば順方向と判定することができ、dV2/dt<0(下降)であれば逆方向と判定することができる。また、V1(θ)=−V1pの場合(P5点)、dV2/dt<0(下降)であれば順方向と判定することができ、dV2/dt>0(上昇)であれば逆方向と判定することができる。
図4に、この回転検出センサ100に付設する回転情報検出部14の概略を示す。この回転情報検出部14は、磁気センサ13−1の検知出力V1(θ)の増減傾向をdV1/dt(接線の傾き)の正負として検出する第1の微分回路14−1と、磁気センサ13−2の検知出力V2(θ)の増減傾向をdV2/dt(接線の傾き)の正負として検出する第2の微分回路14−2と、磁気センサ13−1の検知出力V1(θ)と磁気センサ13−2の検知出力V2(θ)の大小を比較する比較回路14−3と、微分回路14−1,14−2での検出結果と比較回路14−3での比較結果と磁気センサ13−1の検知出力V1(θ)とに基づいて回転体11の回転方向を判定する回転方向判定部14−4と、回転方向判定部14−4での回転方向の判定結果と磁気センサ13−1の検知出力V1(θ)とに基づいて回転基準位置からの回転体11の順方向に回転した回数と逆方向に回転した回数との差として回転体11の回転回数をカウントする回転回数カウント部14−5と、回転回数カウント部14−5においてカウントされた回転体11の回転回数と磁気センサ13−1の検知出力V1(θ)とに基づいて回転体11の回転基準位置からの回転角度を求める回転角度算出部14−6とを備えている。
この回転情報検出部14において、回転方向判定部14−4は、上述した判定条件に従って、回転体11の回転方向を判定する。なお、dV1/dt=0の位置(V1(θ)=±V1pの位置)での回転方向の判定は、dV1/dt=0の位置で回転体11が留まるのは希であるので、省略するものとしてもよい。また、回転方向判定部14−4や回転回数カウント部14−5、回転角度算出部14−6の詳細については、後述する実施の形態2で具体的に説明する。
この回転検出センサ100では、回転体11の上側に磁気センサ13−1と13−2とを重ねるようにして設置するようにしたが、図5に示すように、磁気センサ13−1と13−2とを回転体11の上側と下側とに分けて設置するようにしてもよい。
また、歯車のように2つの回転軸が連動するような場合、それぞれの回転軸に各1個、磁気センサを設置するようにしてもよい。例えば、図6に示すように、中央の回転軸(歯車)15と連動して左右の回転軸(歯車)16,17が回転するような場合、回転軸16側に磁気センサ13−1を設置するようにし、回転軸17側に磁気センサ13−2を設置するようにする。この場合、回転軸16側に1対の磁石12−1と12−2を設け、回転軸17側に1対の磁石12−3と12−4を設け、回転軸16,17の回転に伴って回転する磁界B1,B2の方向を磁気センサ13−1,13−2で検出する。
なお、図6では、磁界B1,B2の方向を平行としているが、周期が揃っていれば、磁界B1,B2の方向は平行でなくてもよい。例えば、図7に示すように、磁気センサ13−1,13−2の回転位置をずらすのではなく、磁界B1,B2の方向をδだけずらすようにしてもよい。また、図6では、磁気センサ13−1,13−2の感磁面を同じ方向に向けて配置しているが、図8に示すように、回転軸16と回転軸17とを食い違い軸とし、磁気センサ13−1,13−2の感磁面を直交する方向に向けて配置するようにしてもよい。この場合、磁気センサ13−1,13−2の回転位置をδだけずらすものとしてもよく、磁界B1,B2の方向をδだけずらすようにしてもよい。また、回転軸16と回転軸17とを交差軸などとしてもよい。
本発明において、磁界生成部が生成する磁界をB1,B2とすると、磁界B1,B2の方向をδだけずらすようにした場合、磁気センサ13−2は、磁界生成部が生成する磁界B2内に磁気センサ13−1に対して(磁気センサ13−1が検知する磁界B1に対して)回転位置ずれδを持たせて固定設置されていると言える。すなわち、本発明は、図7や図8に示した構成もその権利範囲に含まれるものである。
また、2つの磁気センサに対して同じ向きに磁界が加われば、2つの磁気センサは回転軸と同軸上になくても構わない。例えば、図9に示すように、回転体18の広い範囲に同じ向きに磁界Bが加わるものとした場合、この回転体1の回転軸18−1と同軸上ではなく、磁界B内の任意の位置に磁気センサ13−1と13−2とを設置するようにしてもよい。図10に図9におけるC方向から見た断面図を示す。
〔実施の形態2〕
上述した回転検出センサ100は、機械式の水用流量計や風力発電用の翼、自動車の車軸などで逆流の検知や回転方向を検出する場合に有効である。図11に、上述した回転検出センサ100の原理を機械式の水用流量計に用いた例を流体計測回転計200とし、これを実施の形態2として示す。
この流体計測回転計200は、下部にケーシング21を備え、上部にハウジング22を備えている。ハウジング21の上側にはカバー23が被せられ、このカバー23に設けられた透明の窓24からハウジング21内の表示器25等を覗くことができる。また、ハウジング21内には、回路基板26等も収容されている。
ケーシング21は、図12に図11におけるI−I線断面図を示すように、被計測流体を導入する導入口21aと、導入口21aから導入された被計測流体を排出する排出口21bと、導入口21aと排出口21bとを連通する流路21cとを備えている。流路21c内には羽根車27が設けられている。羽根車27は、流路1c内を流れる被測定流体の流れを受けて、回転軸の軸心Jを中心として回転する。なお、ケーシング21の材質としては非磁性体であることが望ましく、羽根車27の回転軸など一部がケーシング21の外にあってもよい。
羽根車27の羽根27a,27bには1対の磁石12−1,12−2が埋め込まれており、この磁石12−1,12−2が生成する磁界B内(羽根車27の回転軸と直交する平面内)に、磁気センサ13−1,13−2が回転位置ずれδ(δ≠nπ/4(nは整数))を持たせて固定設置されている。この例では、磁気センサ13−1,13−2の中心を羽根車27の回転軸の軸心Jに一致させて、また磁気センサ13−1と磁気センサ13−2とを上下に平行に間隔を持って重ねるようにして、ケーシング21の外側のハウジング22内に設置している。また、ハウジング22内には、磁気センサ13−1,13−2と回路基板26との間に磁気シールド28が設けられている。なお、図12に示した断面図では、羽根車27に対する磁気センサ13−1,13−2の位置関係を示している。
この流体計測回転計200において、羽根車27が回転すると、磁気センサ13−1の検知出力V1(θ)および磁気センサ13−2の検知出力V2(θ)は増減する(図13参照)。この場合、磁気センサ13−1と13−2とは回転位置ずれδを持たせて設置されているので、磁気センサ13−1の検知出力V1(θ)と磁気センサ13−2の検知出力V2(θ)との間に位相差が生じ、磁気センサ13−1はV1(θ)=V1p・cos(2θ)の検知出力を出力し、磁気センサ13−2はV2(θ)=V2p・cos(2(θ−δ))の検知出力を出力する。
この実施の形態においても、実施の形態1と同様、V2p>V1p(V2p=V1p/cos(2δ))とし、磁気センサ13−1が生成する検知出力V1(θ)と磁気センサ13−2が生成する検知出力V2(θ)とをV1(θ)=V1pの点で交差させるものとしている。
このような構成とすることにより、実施の形態1と同様、磁気センサ13−1の検知出力V1(θ)と磁気センサ13−2の検知出力V2(θ)とから、羽根車27の全周にわたって回転方向を検出することができるようになる。
図14に、この流体計測回転計200に付設する演算部29の概略を示す。この演算部29は、羽根車27の回転情報を検出する回転情報検出部30と、この回転情報検出部30によって検出された羽根車27の回転情報に基づいて被計測流体に関する所望の計測結果(例えば、被測定流体の流量や流速)を求める流体計測部31とを備えている。この演算部29は、ハウジング22内の回路基板26に構築されており、プロセッサや記憶装置からなるハードウェアと、これらのハードウェアと協働して各種機能を実現させるプログラムとによって実現されている。
演算部29において、回転情報検出部30は、図4に示した回転情報検出部14と同じ構成とされており、磁気センサ13−1の検知出力V1(θ)の増減傾向をdV1/dt(接線の傾き)の正負として検出する第1の微分回路30−1と、磁気センサ13−2の検知出力V2(θ)の増減傾向をdV2/dt(接線の傾き)の正負として検出する第2の微分回路30−2と、磁気センサ13−1の検知出力V1(θ)と磁気センサ13−2の検知出力V2(θ)の大小を比較する比較回路30−3と、微分回路30−1,30−2での検出結果と比較回路30−3での比較結果と磁気センサ13−1の検知出力V1(θ)とに基づいて羽根車27の回転方向を判定する回転方向判定部30−4と、回転方向判定部30−4での回転方向の判定結果と磁気センサ13−1の検知出力V1(θ)とに基づいて回転基準位置からの羽根車27の順方向に回転した回数と逆方向に回転した回数との差として羽根車27の回転回数をカウントする回転回数カウント部30−5と、回転回数カウント部30−5においてカウントされた羽根車27の回転回数と磁気センサ13−1の検知出力V1(θ)とに基づいて羽根車27の回転基準位置からの回転角度を求める回転角度算出部30−6とを備えている。
図15に回転方向判定部30−4で使用される回転方向の判定条件および回転回数カウント部30−5で使用される回転回数のカウント条件を示す。
回転方向判定部30−4は、V1(θ)の接線の傾き「dV1/dt」が正(上昇)の場合に「V1(θ)−V2(θ)」が正であった場合を条件1として、V1(θ)の接線の傾き「dV1/dt」が負(下降)の場合に「V1(θ)−V2(θ)」が負であった場合を条件2として、羽根車27が正回転していると判定する。
また、V1(θ)の接線の傾き「dV1/dt」がゼロで、「V1(θ)−V2(θ)」がゼロであった場合、V1(θ)が最大でV2(θ)の接線の傾き「dV2/dt」が正(上昇)であった場合を条件3として、V1(θ)が最小でV2(θ)の接線の傾き「dV2/dt」が負(下降)であった場合を条件4として、羽根車27が正回転していると判定する。
また、回転方向判定部14−4は、V1(θ)の接線の傾き「dV1/dt」が負(下降)の場合に「V1(θ)−V2(θ)」が正であった場合を条件5として、V1(θ)の接線の傾き「dV1/dt」が正(上昇)の場合に「V1(θ)−V2(θ)」が負であった場合を条件6として、羽根車27が逆回転していると判定する。
また、V1(θ)の接線の傾き「dV1/dt」がゼロで、「V1(θ)−V2(θ)」がゼロであった場合、V1(θ)が最大でV2(θ)の接線の傾き「dV2/dt」が負(下降)であった場合を条件7として、V1(θ)が最小でV2(θ)の接線の傾き「dV2/dt」が正(上昇)であった場合を条件8として、羽根車27が逆回転していると判定する。
回転回数カウント部30−5は、羽根車27が正回転しているとき、磁気センサ13−1の検知出力V1(θ)が振幅の最小値となった時点で羽根車27の回転した回数を+0.5とし、羽根車27が逆回転しているとき、磁気センサ13−1の検知出力V1(θ)が振幅の最小値となった時点で羽根車27の回転した回数を−0.5とする。なお、この回転回数のカウント条件は一例であり、他にも考えられる。
図16に、図13において、PA点から正回転し始めた羽根車27がPB点で方向を転換し、PC点まで逆回転した後、再び正回転に戻るという動作を行った場合の磁気センサ13−1,13−2の検知出力V1(θ),V2(θ)の変化とカウントされる羽根車27の回転回数Nの変化を示す。参考として、図17に、この時のV1(θ)の接線の傾き「dV1/dt」の符号(正負)の変化と、「V1(θ)−V2(θ)」の符号(正負)の変化を示す。
回転角度算出部30−6は、この回転回数カウント部30−5がカウントする羽根車27の回転回数Nと磁気センサ13−1の検知出力V1(θ)とから、羽根車27の現在の回転角θを算出する。図18に、回転角度算出部30−6によって算出された羽根車27の回転角θ’を実際の回転角θと対比して示す。なお、図18中、N(θ)は羽根車27の回転回数N×360゜として求められる回転角度を示す。
このようにして、回転情報検出部30において、羽根車27の回転情報として羽根車27の回転方向や回転回数、回転角が検出され、この検出された羽根車27の回転情報が流体計測部31に送られる。流体計測部31は、この回転情報検出部30から送られてくる羽根車27の回転情報に基づいて、被測定流体の流量や流速などを計測結果として求める。この場合、羽根車27の全周にわたって回転方向が検出されるので、被計測流体の流量や流速などの計測精度が高められるものとなる。
なお、この実施の形態2では、磁気センサ13−1と13−2をハウジング22内に重ねるようにして設置するようにしたが、図19に示すように、例えばケーシング21を挟んで磁気センサ13−1の反対側に磁気センサ13−2を対向して設置するようにしてもよい。この場合、磁気センサ13−2をセンサハウジング32で覆い、磁気センサ13−2とハウジング22内の回路基板26とを配線33によって接続するようにする。
また、上述した実施の形態1,2では、磁気センサ13−1,13−2を磁気抵抗素子(MR素子)を用いた角度センサとしたが、ホール素子を用いた角度センサなどとしてもよい。
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
11…回転体、12−1,12−12…磁石、13−1,13−2…磁気センサ、14…回転情報検出部、14−1…第1の微分回路、14−2…第2の微分回路、14−3…比較回路、14−4…回転方向判定部、14−5…回転回数カウント部、14−6…回転角度算出部、21…ケーシング、22…ハウジング、26…回路基板、27…羽根車、28…磁気シールド、29…演算部、30…回転情報検出部、30−1…第1の微分回路、30−2…第2の微分回路、30−3…比較回路、30−4…回転方向判定部、30−5…回転回数カウント部、30−6…回転角度算出部、31…流体計測部、100…回転検出センサ、200…流体計測回転計(機械式の水用流量計)。

Claims (5)

  1. 順方向および逆方向に回転可能な回転体の回転情報を検出する回転検出センサであって、
    前記回転体の回転に伴ってその方向が変化する磁界を生成する磁界生成部と、
    前記磁界生成部が生成する磁界内に固定設置され、前記回転体の回転に伴う前記磁界の方向の変化に連動してその検知出力が変化する第1の磁気センサと、
    前記磁界生成部が生成する磁界内に前記第1の磁気センサに対して回転位置ずれδを持たせて固定設置され、前記回転体の回転に伴う前記磁界の方向の変化に連動してその検知出力が変化する第2の磁気センサと、
    前記第1の磁気センサの検知出力を第1の検知出力、前記第2の磁気センサの検知出力を第2の検知出力とし、この第1の検知出力および第2の検知出力に基づいて少なくとも前記回転体の回転方向を前記回転情報として検出する回転情報検出部とを備え、
    前記第1の磁気センサは、
    前記回転体の回転に伴う前記磁界の回転角をθ、前記第1の検知出力の最大値をV1pとした場合、前記第1の検知出力としてV1(θ)=V1p・cos(2θ)の電圧を生成し、
    前記第2の磁気センサは、
    前記回転体の回転に伴う前記磁界の回転角をθ、前記第2の検知出力の最大値をV2pとした場合、前記第2の検知出力としてV2(θ)=V2p・cos(2(θ−δ))の電圧を生成し、
    前記第1の磁気センサが生成する第1の検知出力V1(θ)と前記第2の磁気センサが生成する第2の検知出力V2(θ)とは、
    前記第2の検知出力V2(θ)の最大値V2pが前記第1の検知出力V1(θ)の最大値V1pよりも大きく、かつV1(θ)=V1pの点で交差する
    ことを特徴とする回転検出センサ。
  2. 請求項1に記載された回転検出センサにおいて、
    前記第2の磁気センサが生成する第2の検知出力V2(θ)は、
    前記最大値V2pがV2p=V1p/cos(2δ)である
    ことを特徴とする回転検出センサ。
  3. 請求項1に記載された回転検出センサにおいて、
    前記回転情報検出部は、
    前記第1の検知出力V1(θ)の増減傾向、及び、前記第1の検知出力V1(θ)と前記第2の検知出力V2(θ)の大小関係に基づいて、前記回転体の回転方向を検出する
    ことを特徴とする回転検出センサ。
  4. 請求項3に記載された回転検出センサにおいて、
    前記回転情報検出部は、
    回転基準位置からの前記回転体の順方向に回転した回数と逆方向に回転した回数との差として前記回転体の回転回数をカウントする
    ことを特徴とする回転検出センサ。
  5. 請求項4に記載された回転検出センサにおいて、
    前記回転情報検出部は、
    前記検出した回転体の回転方向と前記カウントした回転体の回転回数と前記第1の検知出力とに基づいて前記回転体の前記回転基準位置からの回転角度を求める
    ことを特徴とする回転検出センサ。
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