JP6793042B2 - 継手 - Google Patents

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Description

本発明は金属板を重ねて接合された接合部に金属板の曲がった界面が存在する継手に関する。
金属板を重ねて接合継手とする方法には、スポット溶接、摩擦撹拌接合等がある。その中でも重ね合わされた複数の鋼板を摩擦撹拌点接合することによって、継手を製作することがある。摩擦撹拌中、鋼板の点接合部は、摩擦熱でオーステナイト変態が生じる程度にまで昇温する。接合完了後にツールを抜くと点接合部が冷却され、点接合部が硬化する場合があり、継手強度の低下を招くおそれがある。
特許文献1では、点接合部がA3変態点以上に昇温すると、ツールを母材に挿したままでツールの回転速度を低減し、点接合部を徐冷していく。点接合部がA1変態点まで降温すると、ツールを抜き、点接合部を自然冷却させる。このような手法を採ることで冷却を遅らせ、点接合部の硬化を抑制し、接合強度の低下の抑制を図っている。
特許文献2には、摩擦撹拌点接合の条件を最適化することで、生産性を低下させずに接合強度の向上を図る技術が記載されている。
特開2011−115842号公報 特開2009−241084号公報
しかし、特許文献1、2に記載の方法であっても、接合強度の低下の抑制は十分ではなかった。そこで本発明は、接合強度に優れた継手を提供することを課題とする。
摩擦撹拌点接合によって複数の鋼板を接合させて継手とし、この継手に対して引張せん断試験を行い、試験後の接合部の破断状況を観察すると、接合部の断面において、接合部の引張方向一方側では、鋼板同士の旧界面が剥離し、他方側では引っ張り方向に沿ってせん断が起きていることを知見した。ところで、図5に一般的な抵抗スポット溶接によって得られた継手のせん断強さ及び剥離強さと、接合部硬度(接合部硬さ)との関係を示す。抵抗スポット溶接継手のせん断強さと剥離強さはいずれも、それぞれ接合部硬さがある値の場合に最大となる。せん断強さが最大となる接合部硬さは、剥離強さが最大となる接合部硬さより高い。これを踏まえて、摩擦撹拌点接合部において、せん断が起きる部分の硬度と、剥離が起きる部分の硬度とを適正に調整したところ、引張せん断時の接合強度が大幅に向上し、更に、十字引張時の接合強度も向上することを見出した。この知見に基づき、本発明は以下の構成を採用する。
[1] 一方の鋼板と他方の鋼板とが重ね合わされた接合部を備え、
前記接合部には前記一方の鋼板と前記他方の鋼板との界面が存在し、前記界面は、前記接合部の断面において、前記一方の鋼板と他方の鋼板との境界の延長にある平行界面と、前記接合部の平面視中央に近づくに従って前記平行界面から前記一方の鋼板側に曲げられた中央界面とがあり、
前記中央界面から前記接合部の平面視中央側に板面平行方向に0.05mm以上0.5mm以下離れた領域の平均硬度が350〜450HVであり、
前記平行界面と前記中央界面との境界点から前記接合部の平面視中央側に向かう前記平行界面の延長線上の平均硬度が400〜550HVである、継手。
[2] 前記接合部の断面において、
前記中央界面によって囲まれ、かつ、前記中央界面から前記接合部の平面視中央側に板面平行方向に0.05mm以上離れた領域の平均硬度が350〜450HVである、[1]に記載の継手。
[3] 前記一方の鋼板と前記他方の鋼板の少なくとも片方のC含有量が0.3質量%以上である[1]又は[2]に記載の継手。
[4] 前記接合部の前記中央界面より平面視中央側には、前記一方の鋼板を貫通し、前記他方の鋼板を途中まで穿つ穴が存在する[1]乃至[3]のいずれか一項に記載の継手。
本発明によれば、せん断強さ、剥離強さのいずれの接合強度にも優れた継手を提供できる。
図1は、重ね合わせた鋼板に摩擦撹拌点接合を施して得られた継手の接合部の断面模式図である。 図2は、図1に示す継手に対して引張せん断試験を行った後の接合部の断面模式図である。 図3は、図1に示す継手に対して十字引張試験を行った後の接合部の断面模式図である。 図4は、図1に示す継手の接合部の拡大写真である。 図5は、抵抗スポット溶接継手における接合部硬さと接合強度との関係を示すグラフである。 図6は、本発明の第1実施形態である継手を示す断面模式図である。 図7は、摩擦撹拌点接合の手順を示す工程図である。 図8は、本発明の第2実施形態である継手を示す断面模式図である。 図9は、本発明の第3実施形態である継手を示す断面模式図である。 図10は、本発明の第4実施形態である継手を示す断面模式図である。
本発明の実施形態である継手を説明するにあたり、発明者によって得られた種々の知見について説明する。図1には、重ね合わせた鋼板に摩擦撹拌点接合を施すことによって得られた一般的な継手の断面模式図である。図1に示す継手は、相互に重ね合わされた2枚の鋼板1、2と、各鋼板1、2の間に設けられた接合部3とが備えられている。また、鋼板1、2には、摩擦撹拌接合時に、ツールによって形成された平面視円形の凹部4が設けられている。凹部4を囲む領域が接合部3とされている。接合部3は、摩擦撹拌接合時に各鋼板1、2の材料が軟化して塑性流動が生じた部位を含んでおり、この接合部3において各鋼板1、2が接合されている。また、接合部3の更に外周側には図示略の熱影響部が形成されている。
接合部3には、一方の鋼板1と他方の鋼板2との界面10が存在している。界面10には、平行界面11と、平行界面11から一方の鋼板1側に曲げられた中央界面12とがある。
平行界面11は、一方の鋼板1及び他方の鋼板2の境界面13の延長上にあり、連続した空隙が存在する界面である。平行界面11では、摩擦撹拌点接合時の材料の塑性流動の影響が小さく、接合前の鋼板の境界面の痕跡を残している。図4(a)に、接合部断面における平行界面11の電子顕微鏡写真を示す。図4(a)には、平行界面11と、鋼板の境界面13と、後述する別の界面14を示している。
一方、中央界面12は、図1では点線で示されており、断続的にボイドが生じている場合があるものの、連続した空隙が存在しない界面であり、一方の鋼板1と他方の鋼板2とが金属的に接合された界面である。中央界面12は、平行界面11から上側の鋼板1の板厚方向に向けて立ち上がっているように見える界面である。この中央界面12は、接合前の各鋼板の突き合わせ面であったもので、摩擦撹拌点接合時に材料が塑性流動した結果、図1に示すように鋼板厚み方向に立ち上がったように曲げられている。図4(b)に、接合部断面における中央界面12の電子顕微鏡写真を示す。図4(b)に示すように、中央界面12には連続した空隙が存在していない。
なお、接合部3の近傍には、平行界面11から枝分かれしように見える別の界面14もある。この界面14には、連続した隙間が存在している。この別の界面14は、摩擦撹拌点接合工程の初期にツールが押し込まれて上側の鋼板1が変形した際に、変形部分が鋼板1、2同士の間に張り出し、その後、接合工程の中期以降に鋼板1、2同士の隙間が潰され、変形部分が上側の鋼板1に折り込まれたことにより形成されたものであり、鋼板同士の摩擦撹拌点接合時にはよく見られる界面である。この別の界面14は、中央界面12の位置とは異なる位置に形成され、また、連続した空隙が存在するので、連続した空隙が存在しない中央界面12とは明確に区別できる。
更に、接合部3近傍には、平行界面11と中央界面12の境界付近に、平行界面11から枝分かれしたように見える比較的短い更に別の界面が観察される場合もある。この更に別の界面は、中央界面12に比べて短いものであり、中央界面12とは容易に区別できる。
以上、図1〜図4を参照して説明した摩擦撹拌点接合による一般的な接合部3の詳細な形態は、本発明に係る継手にも共通する形態である。
ここで、一般的な方法で製作された摩擦撹拌点接合による継手に対して、引張せん断試験及び十字引張試験を実施すると、試験後の継手の形態は図2または図3のようになる。図2は、引張せん断試験によって破断した後の接合部の断面模式図であり、図3は、十字引張試験によって破断した後の接合部の断面模式図である。
図2に示すように、摩擦撹拌点接合した継手に対して引張せん断応力を加えて継手を破断させると、接合部の引張方向一方側(図中右側)では、中央界面12が剥離し、他方側では平行界面11の延長線に沿って接合部にせん断が起きることがわかる。図2における剥離箇所を符号Pで示し、せん断箇所を符号Sで示す。
一方、図3に示すように、摩擦撹拌点接合した継手に対して十字引張応力を加えて継手を破断させると、接合部の中央界面12が剥離し、せん断は起きないことがわかる。図3における剥離箇所を符号Pで示す。
特に、図2に見られるような現象は、炭素量が比較的高い鋼板を用いた場合に見られ、特に、炭素量0.3質量%以上の鋼板を用いた場合に見られる。
このような現象から、摩擦撹拌点接合によって得られた継手の接合強度を高めるには、中央界面12の剥離強度と、平行界面11の延長上の接合部のせん断強度の両方を高める必要があることがわかる。ここで、一般的な抵抗スポット溶接によって得られる継手では、せん断強さと接合部硬度(接合部硬さ)の関係と、剥離強さと接合部硬度との関係は異なっている。図5のグラフに示すように、抵抗スポット溶接継手のせん断強さ及び剥離強さはいずれも、それぞれ接合部硬さがある値の場合に最大となる。せん断強さが最大となる接合部硬さは、剥離強さが最大となる接合部硬さより高くなる傾向にある。これを踏まえて、摩擦撹拌点接合された継手において、中央界面12近傍の硬度と、平行界面11の延長線上にある接合部の硬度を調整したところ、十字引張時の接合強度と引張せん断時の接合強度の両方が大幅に向上することを見出した。より具体的には、中央界面12近傍の平均硬度を350〜450HVとし、平行界面11と中央界面12の境界点から平行界面11の延長線上にある接合部3の平均硬度を400〜550HVとするとよい。なお、中央界面12近傍の平均硬度は370〜430HVとし、平行界面11と中央界面12の境界点から平行界面11の延長線上にある接合部3の平均硬度を400〜500HVとする方が、更に継手強度が高いので望ましい。
以下、本発明の実施形態の継手について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図6に、本実施形態の継手の断面模式図を示す。図6に示す継手21は、相互に重ね合わされた2枚の鋼板1、2と、各鋼板1、2の間に設けられた接合部23とが備えられている、図6に示す接合部23は、摩擦撹拌点接合によって形成され、その後の加工によりツール痕(凹部)が埋められたものとなっている。接合部23は、摩擦撹拌接合時に各鋼板の材料が軟化して塑性流動が生じた部位を含んでおり、この接合部23において各鋼板1、2が接合されている。また、接合部の更に外周側には図示略の熱影響部が形成されている。
鋼板1、2は、特に限定するものではないが、一方の鋼板1と他方の鋼板2の少なくとも片方の鋼板については、C含有量が0.3質量%以上であることが好ましい。C含有量が0.3質量%以上の中高炭素鋼板に対して摩擦撹拌点接合を実施すると、接合部23が硬くなって接合強度が低下するため、本発明を適用することが特に効果的である。ただし、炭素量が0.70質量%を超える鋼板については、本発明を適用したとしても接合強度の向上の効果が小さくなる可能性がある。
図1における説明と同様に、図6に示す接合部23には、一方の鋼板1と他方の鋼板2との界面10が存在している。界面10には、平行界面11と、平行界面11から一方の鋼板1側に曲げられた中央界面12とがある。継手21の断面においては、平行界面11と中央界面12とが境界点Mを介して連続してつながっているように見える。
平行界面11は、一方の鋼板1及び他方の鋼板2の境界面13の延長上にあり、連続した空隙が存在する界面である。平行界面11では、摩擦撹拌点接合時の材料の塑性流動の影響が小さく、接合前の鋼板1、2の境界面の痕跡を残している。
一方、中央界面12は、断続的にボイドが生じている場合があるものの、連続した空隙は存在しない界面であり、一方の鋼板1と他方の鋼板2とが金属的に接合された界面である。中央界面12は、平行界面11から上側の鋼板1の板厚方向に向けて立ち上がっているように見える界面である。この中央界面12は、接合前の段階では各鋼板1、2の突き合わせ面であったものであり、摩擦撹拌点接合時に材料が塑性流動した結果、図6に示すように鋼板厚み方向に立ち上がったように曲げられたものである。
また、接合部23近傍には、平行界面11から枝分かれしように見える別の界面14も存在する。この界面14は、図1において説明した別の界面14と同種の界面である。
次に、本実施形態の継手21の接合部23における硬度分布について説明する。
本実施形態の継手21は、図6に示すように、中央界面12から接合部23の平面視中央側に板面平行方向に0.05mm以上0.5mm以下離れた領域(以下、領域Aという)の平均硬度と、平行界面11と中央界面12との境界点Mから接合部23の平面視中央側に向かう平行界面11の延長線上の領域(以下、領域Bという)の平均硬度をそれぞれ、所定の範囲に設定する。
領域Aは、継手21に対して引張せん断応力または十字引張応力を与えた際に剥離が生じる箇所に対応し、中央界面12の長手方向に沿って延在する領域である。領域Aを、中央界面12から接合部23の平面視中央側に板面平行方向に0.05mm以上0.5mm以下離れた領域と定義したのは、本来は中央界面12における平均硬度を定義すべきところだが、中央界面12の直上でビッカース硬度を測定すると、中央界面12に存在する酸化物やボイドの影響で硬度に大きなばらつきが生じるおそれがあるので、中央界面12から接合部23の平面視中央側に板面平行方向に0.05mm以上0.5mm以下離れた領域とした。中央界面12から0.05mm以上離れれば硬度のばらつきが小さくなり、また、中央界面12から0.5mm以内の領域であれば剥離が起きやすい領域の硬度を代表するものとなる。
領域Aの平均硬度はビッカース硬度で350〜450HVの範囲である。なぜなら、領域Aの平均高度が350HV未満であったり、450HVを超えたりすると、領域Aにおける剥離強度が低下し、継手21の接合強度が低下するからである。なお、領域Aの平均硬度は前記の境界条件近くより、ビッカース硬度で370〜430HVの範囲であることが更に望ましい。
領域Bは、継手21に対して引張せん断応力を与えた際にせん断が生じる箇所に対応し、平行界面11から接合部23の中央方向に向いた延長線上の領域である。領域Bの平均硬度はビッカース硬度で400〜550HVの範囲である。なぜなら領域Bの平均高度が450HV未満であったり、550HVを超えたりすると、領域Bにおけるせん断強度が低下し、継手21の接合強度が低下するからである。なお、領域Bの平均硬度は前記の境界条件近くより、ビッカース硬度で400〜500HVの範囲であるのが更に望ましい。
領域Aの平均硬度の測定は例えば次のようにして行う。継手21の接合部23の断面を露出させ、適当なエッチング処理を行う。エッチング処理は、例えば、露出後の断面を鏡面研磨し、ナイタール液(硝酸とエチルアルコールの混合液)やピクリン酸飽和水溶液で数秒腐食する。また、界面にボイドが多く観察される場合はエッチング処理は省略してよい。そして、断面を光学顕微鏡で観察することにより、界面10の位置を特定する。更に、平行界面11及び中央界面12を特定する。更に領域Aを特定し、領域Aの長手方向に沿って複数の測定位置を等間隔に設定して硬度を測定する。各測定位置における硬度の平均値を領域Aの平均硬度とする。測定位置は少なくとも5箇所確保する。好ましくは10箇所以上確保する。また、測定位置の設置間隔は、例えば0.1mmに設定すればよい。一つの断面で必要な数だけ硬度を測定できない場合、接合部の中心を挟んだ別の面でサンプルを切り出し硬度測定して測定箇所を増やしてもよい。
また、領域Bの平均硬度を測定するには、平行界面11の位置から領域Bを特定し、領域Bの長手方向に沿って複数の測定位置を等間隔に設定して硬度を測定する。各測定位置における硬度の平均値を領域Bの平均硬度とする。領域Aの場合と同様に、測定位置は少なくとも5箇所確保する。好ましくは10箇所以上確保する。また、測定位置の設置間隔は、例えば0.1mmに設定すればよい。一つの断面で必要な数だけ硬度を測定できない場合、接合部の中心を挟んだ別の面でサンプルを切り出し硬度測定して測定箇所を増やしてもよい。
次に、本実施形態の継手21の製造方法について説明する。
まず、被接合材となる鋼板1、2を用意する。鋼板1、2は、板状に限らず、プレス加工等により部品形状に成形されたものであってもよい。
次に、鋼板1、2に対して摩擦撹拌点接合を行う。図7(a)に示すように、被接合材である鋼板1、2を重ねて載置し、接合用のツール105の回転軸106が鋼板1、2の表面に対して垂直になるようにツール105を位置決めし、図示略の回転駆動手段によってツール105を所定の回転数(例えば2750〜3250rpm)で回転させる。
次いで、図7(b)に示すように、ツール105を回転させながら、所定の加圧力(例えば20〜40kN)で鋼板1にツールを押し付ける。これにより、ツール105と鋼板1との間に摩擦熱が発生し、鋼板1の一部が軟化(図7(b)中の符合T参照)し、鋼板1にツール105の先端105aが圧入され、更に図7(c)に示すように、ツール105の先端105aが鋼板1、2に入り込む。この際、図7(c)に示すように、ツールの先端105aの周囲にある材料は、塑性流動される(図7(c)中の符号U参照)。
その後、図7(d)に示すように、ツール105を上方に引き上げて鋼板1、2から引き抜くことで、接合処理を完了する。このとき、ツールの引き上げに伴い接合部23の温度が急速に低下し、接合部23は比較的高い硬度を有するものとなる。以上により、一対の鋼板1、2が接合部23の位置で接合された状態となる。
本実施形態の継手21は、ツール105の押し込みによって形成された凹部24に、金属材料を充填して埋めることが望ましい。何故なら、凹部24が存在する状態では、局所的な板厚減少により継手強度が低下する場合が有るためである。凹部24を金属材料等で充填することで、継手の外観も良好になり、また異物の付着も防止できる。凹部24を埋める材料に要求される特性は、凹部24と容易に剥離しないことと、継手21の凹部周辺の材料と同等の機械特性を備えることである。機械特性とは応力−歪み特性である。応力−歪み特性の代わりに硬さで機械特性を評価しても良い。従って、凹部24を埋めた箇所の領域Bの硬度は、凹部24外周側の領域Bの硬度と同じように、400〜550HVである。同様に、凹部24を埋めた箇所の領域Aの硬度は、凹部24外周側の領域Aの硬度と同じように、350〜450HVである。以上を満たしていれば、凹部24に充填される材料の組成にはこだわらない。
また、ツール105の押し込みに伴い、下側の鋼板2の接合部直下の部分が鋼板から突出した場合は、上述した特性を満たすのなら、突出した部分を押し戻すことにより凹部25を埋め戻してもよい。
次に、摩擦撹拌点接合した継手21の断面における硬度分布が好ましい範囲になるように調整する。摩擦撹拌点接合した継手21の接合部23の硬度が好ましい範囲よりも高い場合の調整手段としては、たとえば、周波数を調整した高周波加熱でもよく、接合部23の上側に発熱体を接触させて伝熱により加熱してもよく、炉加熱でもレーザ加熱でもよい。いずれの加熱方法においても、ツール105を挿入した側から継手21を加熱することで、鋼板1、2の板厚方向に沿って温度分布を生じさせるとよい。これにより、領域Bに対する加熱温度が、ツール105の挿入側にある領域Aに対する加熱温度よりも低くなり、領域Bにおける硬度の低下量は領域Aにおける硬度の低下量よりも小さくなる。その結果、領域Aは比較的高い温度まで加熱され、領域Bは比較的低い温度で加熱されることになる。そして、加熱条件を適宜調整することにより、領域Aの平均硬度を350〜450HVの範囲とし、領域Bの平均硬度を400〜550HVの範囲とすればよい。
ツール105を挿入した側から継手21を加熱する手段について説明したが、本発明では、ツール105を挿入した側とは反対側から継手21を加熱する手段を採用してもよい。例えば、目的とする硬度範囲よりも過剰に軟質な継手を焼入れ硬化させる場合や、接合によって硬くなり過ぎた継手を二相域温度からの再焼入れで軟化(硬さ調整)させる場合が考えられる。このような場合は、ツール105を挿入した側とは反対側から加熱して、加熱時の各領域の温度を領域B>領域Aの関係にする。
本実施形態の継手21によれば、中央界面12から接合部23の平面視中央側に板面平行方向に0.05mm以上0.5mm以下離れた領域Aの平均硬度を、剥離強度に優れる350〜450HVの範囲とし、平行界面11と中央界面12との境界点Mから接合部23の平面視中央側に向かう平行界面の延長線上の領域Bの平均硬度を、せん断強度に優れる400〜550HVの範囲とすることで、十字引張強度及び引張せん断強度の両方に優れた継手21とすることができる。
(第2実施形態)
図8には、本発明の第2実施形態である継手を断面模式図で示す。図8に示す継手31と、図6に示す継手21との違いは、図8の継手31において領域Aの範囲を広げた点である。本実施形態における領域Aは、中央界面12によって囲まれ、かつ、中央界面12から接合部34の平面視中央側に板面平行方向に0.05mm以上離れた領域とされている。そして、この領域Aの平均硬度が350〜450HVの範囲とされている。領域Aを本実施形態のように設定することで、中央界面12から比較的離れた箇所での硬度が350〜450HVの範囲となり、これにより、応力が印加された場合の継手31の変形が図6に示した例よりも抑制され、継手31の接合強度をより高めることができる。
図8に示す継手の製造方法としては、以下に説明する方法のうちの何れかを採用するとよい。
摩擦攪拌点接合工程の後、ツールによって設けられた凹部24を埋戻す前に、先に説明したように硬度調整を行い、その後に金属材料を充填する。充填する金属材料は、充填時の温度から冷却されて室温に至る間の平均硬さが350〜450HVとなるように組成を調整したものとする。また、充填後の冷却速度を調整することで、埋め戻す金属材料の硬度を調整し、図8に示す継手を得る。
摩擦攪拌点接合工程中に、ツールを挿入した側とは反対側に、ツールによって突出した部分が形成された場合は、この突出した部分を押し戻すことにより凹部24を埋め戻す。この場合の継手は、領域A、Bの全体が硬化した状態にある。その後、ツールを挿入した側から継手を加熱し、更に焼戻しを行って硬さ分布を調整する。ツールを挿入した側から継手を加熱する方法としては、レーザ加熱、高周波加熱、高温物体を押し当てるなどの方法でよい。
摩擦攪拌点接合工程後に冷却を行って、接合部の硬度が好ましい範囲より高くなった場合は、例えば鋼板と同じ成分の金属溶湯を凹部24に注入して充填し、冷却後、上方から加熱して、焼戻により硬さ調整する。金属溶湯の注入方法としては、消耗電極でのアーク溶接、フィラーを溶融させてプローブ孔を埋めるなどの手段がある。
凹部24に金属溶湯を充填する際、領域Aと領域Bで成分を調整し、冷却する。その後、全体を焼戻処理して硬さを調整する。領域Aと領域Bで成分を調整するには、例えばC量のやや高いフィラーを領域Bに埋めて、C量のやや低いフィラーで領域Aを埋めるといった方法を例示できる。
摩擦攪拌点接合工程に用いるツールとして、消耗式のツールを用い、接合後にツール材を凹部24に充填し、冷却後、上方から加熱し、焼戻により硬さ調整する。
(第3実施形態)
図9には、本発明の第3実施形態である継手41を断面模式図で示す。図9に示す継手41と、図6に示す継手21との違いは、図9の継手41においてツール105によって設けられた凹部24を残した点である。凹部24は、一方の鋼板1を貫通し、他方の鋼板2を途中まで穿つ穴となっている。本実施形態によれば、凹部24を埋める作業が軽減されるので、継手41の生産性を向上させることができる。
(第4実施形態)
図10には、本発明の第4実施形態である継手51を断面模式図で示す。図10に示す継手51と、図8に示す継手31との違いは、図10の継手51においてツール105によって設けられた凹部24を残した点である。凹部24は、一方の鋼板1を貫通し、他方の鋼板2を途中まで穿つ穴となっている。本実施形態によれば、凹部24を埋める作業が軽減されるので、継手51の生産性を向上させることができる。
(実施例1)
鋼板として、炭素量0.45質量%のJIS S45C材を用いて摩擦撹拌接合を行い、図1に示すような継手を製造した。継手の接合条件は、ツールの回転速度を750rpmとし、摩擦時間を2.3秒とし、加圧力を29.4kNとした。得られた継手に対して、加熱処理を行って、接合部近傍の硬度を調整した。領域A、Bの平均硬度を求めたところ、領域Aの平均硬度は380HVであり、領域Bの平均硬度は440HVであった。
(比較例1)
実施例と同じ鋼板を用いて摩擦撹拌接合を行い、図1に示すような継手を製造した。継手の接合条件は実施例と同じとした。硬度の調整は実施しなかった。得られた継手の領域A、Bの平均硬度を求めたところ、領域Aの平均硬度は640HVであり、領域Bの平均硬度は590HVであった。
(比較例2)
実施例と同じ鋼板を用いて摩擦撹拌接合を行い、図1に示すような継手を製造した。継手の接合条件は実施例と同じとした。得られた継手に対して、加熱処理を行って、接合部近傍の硬度を調整した。領域A、Bの平均硬度を求めたところ、領域Aの平均硬度は530HVであり、領域Bの平均硬度は390HVであった。
(評価)
実施例1及び比較例1、2の継手について、引張せん断試験及び十字引張試験をそれぞれ実施し、引張せん断強度(TSS)及び十字引張強度(CTS)をそれぞれ測定した。結果を下記表1に示す。
表1に示すように、接合部の硬度を調整し、領域A及びBの平均硬度が本発明の範囲にある実施例1は、接合部の硬度を調整しなかった比較例1に対して、引張せん断強度(TSS)及び十字引張強度(CTS)が大幅に向上していることがわかる。
一方、比較例2は、硬度を調整する際に加熱を過剰に行ったため、領域Bの硬度が発明範囲から外れてしまった。このため、剥離強度が大きく影響する十字引張強度(CTS)では実施例とほぼ同程度であったが、せん断強度が影響する引張せん断強度(TSS)では実施例に比べて大幅に低下した。
以上の実施形態では、摩擦撹拌点接合による継手について説明したが、本発明の対象は摩擦撹拌点接合による継手に限らない。例えば摩擦攪拌接合により金属板を重ね溶接した場合には、接合ツールの通過後に、ツールの押し込みによって形成された凹部24には、前方から押し流された(塑性流動した)材料が充填されるため、接合終端部以外の位置における接合方向に直交する断面は、図6および図8と同様の、凹部24がなく曲がった界面が存在する接合部となる。この場合にも上述した硬度の配置とすることで良好な継手を得る事ができる。
1…一方の鋼板、2…他方の鋼板、10…界面、11…平行界面、12…中央界面、21、31,41、51…継手、23…接合部、24…凹部(穴)、A…領域(中央界面から平面視中央側に板面平行方向に0.05mm以上0.5mm以下離れた領域)、B…領域(平行界面の延長線上の領域)。

Claims (4)

  1. 一方の鋼板と他方の鋼板とが重ね合わされた接合部を備え、
    前記接合部には前記一方の鋼板と前記他方の鋼板との界面が存在し、前記界面は、前記接合部の断面において、前記一方の鋼板と他方の鋼板との境界の延長にある平行界面と、前記接合部の平面視中央に近づくに従って前記平行界面から前記一方の鋼板側に曲げられた中央界面とがあり、
    前記中央界面から前記接合部の平面視中央側に板面平行方向に0.05mm以上0.5mm以下離れた領域の平均硬度が350〜450HVであり、
    前記平行界面と前記中央界面との境界点から前記接合部の平面視中央側に向かう前記平行界面の延長線上の平均硬度が400〜550HVである、継手。
  2. 前記接合部の断面において、
    前記中央界面によって囲まれ、かつ、前記中央界面から前記接合部の平面視中央側に板面平行方向に0.05mm以上離れた領域の平均硬度が350〜450HVである、請求項1に記載の継手。
  3. 前記一方の鋼板と前記他方の鋼板の少なくとも片方のC含有量が0.3質量%以上である請求項1又は請求項2に記載の継手。
  4. 前記接合部の前記中央界面より平面視中央側には、前記一方の鋼板を貫通し、前記他方の鋼板を途中まで穿つ穴が存在する請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の継手。
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