JP6792840B2 - X線透視装置及びx線透視方法 - Google Patents

X線透視装置及びx線透視方法 Download PDF

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Description

この発明は、X線管から照射され被検者を通過したX線をX線検出器により検出し、被検者の特定部位を含む画像を収集することにより、特定部位の位置を検出し、特定部位の動きを追跡するX線透視装置及びX線透視方法に関する。
腫瘍などの患部に対してX線や電子線等の放射線を照射する放射線治療においては、放射線を患部に正確に照射する必要がある。しかしながら、被検者が体を動かしてしまう場合があるばかりではなく、患部自体に動きが生ずる場合がある。例えば、肺の近くの腫瘍は呼吸に基づき大きく移動する。このため、腫瘍のそばに球形状を有する金製のマーカを留置し、このマーカの位置をX線透視装置により検出して、治療放射線の照射を制御する構成を有する放射線治療装置が提案されている(特許文献1参照)。
このような放射線治療装置においては、第1X線管と第1X線検出器から成る第1X線透視機構と、第2X線管と第2X線検出器から成る第2X線透視機構とを使用して体内に留置されたマーカを撮影し、第1X線透視機構による二次元の透視画像と第2X線透視機構による二次元の透視画像を利用して三次元の位置情報を得る。そして、連続してX線透視を行い、リアルタイムでマーカの三次元の位置情報を演算することで、移動を伴う部位のマーカを高精度で検出する。そして、検出されたマーカの位置情報に基づいて治療放射線の照射を制御することで、腫瘍の動きに応じた高精度の放射線照射を実行することが可能となる。このマーカの位置情報を得るときには、テンプレート画像を利用したテンプレートマッチングが実行される。
ところで、上述したようにマーカを利用して腫瘍の動きを検出するためには、被検者の体内に、予めマーカを留置する必要がある。このため、近年、患者の腫瘍の領域などの特定部位をマーカのかわりに使用することで、マーカの留置を省略する方法も提案されている。
特許第3053389号公報
このX線透視装置は、球状以外の形状を有するマーカや特定部位をも検出し得るものではあるが、特に、マーカの留置を省略して特定部位を検出するときに、検出精度をさらに向上させることが要請されている。ここで、例えば、被検者の小腸と重畳した状態で撮影される前立腺癌等を特定部位として検出するときには、小腸内のガスの影響で特定部位の検出精度が悪化することが、この発明の発明者により見出された。
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、特定部位を高い精度で検出することが可能なX線透視装置及びX線透視方法を提供することを目的とする。
第1の発明は、X線管と、前記X線管から照射され被検者を通過したX線を検出するX線検出器とにより収集された前記被検者の画像と前記被検者の特定部位を示す情報とを比較し、前記被検者の画像から被検者の特定部位の位置を検出することにより、前記特定部位の動きを追跡するX線透視装置であって、前記被検者の画像にガスの領域が存在するか否かを判定する判定部と、前記判定部がガスの領域が存在すると判定した位置に対しては、前記特定部位の検出を停止する検出停止部と、を備えたことを特徴とする。
第2の発明は、前記被検者の特定部位を示す情報は、テンプレートマッチングにおけるテンプレート、または、機械学習における識別器である。
第3の発明は、前記被検者の画像に対して探索窓を走査させ、前記探索窓内の画像と前記被検者の特定部位を示す情報とを比較し、前記被検者の画像から被検者の特定部位の位置を検出し、前記判定部は、前記探索窓内の画像にガスの領域が存在するか否かを判定する。
第4の発明は、前記判定部は、前記探索窓内の画像の画素値に基づいて、前記探索窓内の画像内にガスの領域が存在するか否かを判定する。
第5の発明は、前記判定部は、画素値が一定以上となる画素が、前記探索窓内に所定の画素数以上存在するとき、前記特定部位を含む画像内にガスの領域が存在すると判定する。
第6の発明は、前記判定部は、前記被検者の画像又は前記探索窓内における平均画素値に対する所定の割合以上の画素値となる画素が、前記探索窓内に所定の画素数以上存在する場合に、前記特定部位を含む画像内にガスの領域が存在すると判定する。
第7の発明は、前記判定部は、前記被検者の画像又は前記探索窓内における画素値のヒストグラムの上位所定割合以上の画素値となる画素が、前記探索窓内に所定の画素数以上存在する場合に、前記特定部位を含む画像内にガスの領域が存在すると判定する。
第8の発明は、X線管と、前記X線管から照射され被検者を通過したX線を検出するX線検出器とにより収集された前記被検者の画像と前記被検者の特定部位を示す情報とを比較し、前記被検者の画像から被検者の特定部位の位置を検出することにより、前記特定部位の動きを追跡するX線透視方法であって、前記被検者の画像にガスの領域が存在するか否かを判定するステップと、ガスの領域が存在すると判定した位置に対しては、前記特定部位の検出を停止するステップと、を含む。
第1および第8の発明によれば、被検者の体内に存在するガスの影響により特定部位ではない領域を特定部位と認識することを防止することが可能となる。すなわち、特定部位の検出の停止により、特定部位を検出できる確率は低下してしまうものの、特定部位が検出できる確率を犠牲にすることと引き換えに、特定部位の位置の誤判定を防止することができる。
第2の発明によれば、テンプレートマッチングまたは機械学習を利用することにより、特定部位を高い精度で検出することが可能となる。
第3から第7の発明によれば、探索窓内の画像の画素値に基づいてガスの存在を認識することができ、これにより、特定部位を高い精度で検出することが可能となる。
この発明に係るX線透視装置を、放射線照射装置90とともに示す斜視図である。 この発明のX線透視装置の主要な制御系を示すブロック図である。 テンプレートの画像の作成工程を示す説明図である。 被検者50に対するX線透視領域E1と、探索領域E2とを模式的に示す説明図である。 図4中の探索領域E2に対して探索窓Wを走査することによりテンプレートマッチングを実行する状態を示す模式図である。 探索領域E2を走査して得た探索窓W内の画像を示す模式図である。 探索領域E2を走査して得た探索窓W内の画像を示す模式図である。 第2の形態に係る探索窓W内のガスGの領域の判定方法を示す説明図である。 第3の形態に係る探索窓W内のガスGの領域の判定方法を示す説明図である。 この発明の第2実施形態に係るX線透視装置の主要な制御系を示すブロック図である。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、この発明に係るX線透視装置を、放射線照射装置90とともに示す斜視図である。これらのX線透視装置と放射線照射装置90とにより、放射線治療装置が構成される。
放射線照射装置90は、カウチとも呼称される検診台29上の被検者に対して放射線照射を行うものであり、治療室の床面に設置された基台91に対して揺動可能に設置されたガントリー92と、このガントリー92に配設された治療ビームを出射するヘッド93とを備える。この放射線照射装置90によれば、ガントリー92が基台91に対して揺動することにより、ヘッド93から照射される治療ビームの照射方向を変更することができる。このため、被検者における腫瘍等の患部に対して様々な方向から治療ビームを照射することが可能となる。
この放射線照射装置90とともに使用されるX線透視装置は、被検者の患部の位置を特定する動体追跡を行うためのX線透視を実行するものである。すなわち、上述した放射線照射装置90を使用した放射線治療時においては、放射線を被検者の体動に伴って移動する患部に正確に照射する必要がある。このため、被検者における腫瘍等の特定の形状を有する部位を特定部位として予め登録し、この特定部位を連続的にX線透視して、特定部位の三次元の位置情報を演算することで、特定部位を高精度で検出する、所謂、動体追跡を行う構成となっている。このように、従来の被検者における患部付近にマーカを留置する代わりに、被検者における腫瘍等の特定部位の画像をマーカとして使用する動体追跡の手法は、マーカレストラッキングと呼称されている。
このX線透視装置は、第1X線管11aおよび第2X線管11bと、第1フラットパネルディテクタ21aおよび第2フラットパネルディテクタ21bとを備える。第1X線管11aから照射されたX線は、検診台29上の被検者を透過した後、第1フラットパネルディテクタ21aにより検出される。また、第2X線管11bから照射されたX線は、検診台29上の被検者を透過した後、第2フラットパネルディテクタ21bにより検出される。
図2は、この発明の第1実施形態に係るX線透視装置の主要な制御系を示すブロック図である。なお、この第1実施形態に係るX線透視装置は、テンプレートマッチングを利用して動体追跡を実行するものである。
このX線透視装置は、論理演算を実行するCPU、装置の制御に必要な動作プログラムが格納されたROM、制御時にデータ等が一時的にストアされるRAM等を備え、装置全体を制御する制御部30を備える。この制御部30は、上述した第1X線管11aおよび第2X線管11bと、第1フラットパネルディテクタ21aおよび第2フラットパネルディテクタ21bとに接続されている。
この制御部30は、画像収集部31と、テンプレートマッチング部32と、判定部33と、検出停止部34とを備える。画像収集部31は、第1X線管11aおよび第2X線管11bと、第1フラットパネルディテクタ21aおよび第2フラットパネルディテクタ21bとを使用して、被検者の特定部位を含む画像を所定のフレームレートで収集する。テンプレートマッチング部32は、画像収集部31により収集された特定部位を含む画像に基づいてテンプレートマッチングにより特定部位の位置を検出する。判定部33は、被検者の特定部位を含む画像を走査する探索窓内の画像の画素値に基づいて探索窓内にガスが存在するか否かを判定する。検出停止部34は、判定部33がガスの領域が存在すると判定した位置に対しては、被検者の特定部位の検出を停止する。
次に、以上のような構成を有するX線透視装置を使用することにより、被検者の体動に伴って移動する特定部位の位置を検出する動体追跡を実行する動作について説明する。なお、以下の動作は、第1X線管11aと第1フラットパネルディテクタ21aとからなるX線撮影系と第2X線管11bと第2フラットパネルディテクタ21bとからなるX線撮影系の両方を使用して実行されるが、以下においては、それらのうちの一方についてのみ説明を行う。以下の動作は、2つのX線撮影系に対して同様に実行される。
この発明に係るX線透視装置により動体追跡を実行するときには、最初に、図2に示す画像収集部31により、被検者の画像を収集する。この画像の収集時においては、被検者を検診台29上に載置し、被検者の特定部位を含む画像を所定のフレームレートで撮影することにより、複数の画像を収集する。
次に、この画像収集工程により得た複数のX線画像に基づいて、テンプレートマッチング用の複数のテンプレートを作成する。
図3は、テンプレートの画像の作成工程を示す説明図である。
なお、この図においては、例えば、腫瘍等の被検者の特定部位Cを含む画像100、101、102を3枚連続で撮影した状態を示している。実際には、これらの画像は、所定のフレームレートでより多くの枚数が撮影される。オペレータは、これらの画像100、101、102から特定部位C部分をトリミングする。このようにオペレータがトリミングを行うかわりに、治療計画に用いる4DCT(経時的に撮影された3次元のCT画像データ群からなる4次元CT画像データ)における特定部位の位置から各位相の特定部位Cの投影位置を取得し、画像100、101、102と4DCTの対応関係から、特定部位Cの位置を認識して自動的にトリミングを実行するようにしてもよい。また、4DCTを利用して特定部位Cのおおよその位置を取得し、オペレータがこれを修正するようにしてもよい。図3に示すトリミング後の画像105、106、107の各々が、テンプレートマッチングに使用されるテンプレートとなる。
以上の準備工程が終了すれば、被検者を、再度、検診台29上に載置し、この発明に係るX線透視装置によりX線透視による動体追跡を行うとともに、放射線照射装置90から放射線を照射して放射線治療を開始する。
放射線治療を開始するときには、最初に、X線透視を行う。このX線透視は、例えば30fps(frame per second)程度の、所定のフレームレートで実行される。これにより、特定部位Cを含む画像が所定のフレームレートで取得される。
図4は、被検者50に対するX線透視領域E1と、探索領域E2とを模式的に示す説明図である。また、図5は、探索領域E2に対して探索窓Wを走査することによりテンプレートマッチングを実行する状態を示す模式図である。
X線透視により得られた被検者50に対するX線透視領域E1のうち、被検者50の体動に伴って特定部位Cが移動する領域、すなわち、特定部位Cが存在するであろう領域が探索領域E2となる。テンプレートマッチングを行うときには、この探索領域E2に対して、探索窓Wを走査してテンプレートマッチングが実行される。
すなわち、放射線治療とともに動体追跡を実行するときには、図2に示すテンプレートマッチング部32により、探索領域E2に対して探索窓Wを走査して得た画像と、予め記憶したテンプレートの画像とを比較することにより、テンプレートマッチングを実行する。
図6および図7は、探索領域E2を走査して得た探索窓W内の画像を示す模式図である。
ここで、図6は、探索領域E2を走査したときに、特定部位Cの画像が探索窓W内に配置された状態を示している。テンプレートマッチングにおいては、この探索窓Wの画像と予め記憶したテンプレートの画像とを比較し、それらの類似度に基づいて、この探索窓Wの位置を特定部位Cの位置と判定する。一方、図7は、探索領域E2を走査したときに、被検者50の消化管内のガスGの画像が探索窓W内に配置された状態を示している。このように、探索窓W内にガスGが配置された場合には、類似度の判定が信用できないものとなり、テンプレートマッチング部32がこのガスGの領域を特定部位Cと判定してしまう危険性がある。また、被検者50の特定部位CとガスGとの領域が重畳した場合においても、正確に特定部位Cを検出できないことになる。
このため、この発明に係るX線透視装置においては、図2に示す判定部33により探索窓Wの画像内にガスGの領域が存在するか否かを判定し、ガスGの領域が存在すると判定した画像に対しては、検出停止部34により特定部位Cの検出を停止する構成を採用している。
すなわち、探索領域E2を走査して得た探索窓W内の画像を取得したときに、判定部33は、探索窓Wの画像内にガスGの領域が存在するか否かを判定する。このガスGの領域の判定は、探索窓W内の画像内における画素値が一定以上となる画素数に基づいて行われる。すなわち、この発明に係るX線透視装置においては、X線透視を実行した画像においては、ガスGの領域の画素値が高くなることを利用して、ガスGの領域を判定する構成を採用している。
より具体的には、第1の形態として、画素値が一定以上となる画素が、探索窓W内に所定の画素数以上存在する場合に、探索窓W内にガスGの領域が存在すると判定する。また、第2の形態として、被検者の画像(探索領域E2またはX線透視領域E1)の平均画素値に対する所定の割合以上の画素値となる画素が、探索窓W内に所定の画素数以上存在する場合に、探索窓W内にガスGの領域が存在すると判定する。さらに、第3の形態として、被検者の画像(探索領域E2またはX線透視領域E1)における画素値のヒストグラムの上位所定割合以上の画素値となる画素が、探索窓W内に所定の画素数以上存在する場合に、探索窓W内にガスGの領域が存在すると判定する。
すなわち、探索窓W内のガスGの領域を判定するための第1の形態においては、判定のための画素値の設定値をPとしたときに、探索窓W内の画素のうち、その画素値がP以上の画素の数Mが、予め設定した画素数N以上であるとき、すなわちMがN以上であるときに、探索窓W内にガスGの領域が存在すると判定する。
図8は、第2の形態に係る探索窓W内のガスGの領域の判定方法を示す説明図である。なお、図8は探索領域E2またはX線透視領域E1における画素値のヒストグラムを示しており、横軸は画素値(単位なし)を示し、縦軸は画素数(個)を示している。
探索領域E2またはX線透視領域E1内にガスGの領域が存在するときには、ヒストグラムは図8に示すように、二峰性となる。このヒストグラムにおける2つの山のうち、画素値が大きい小さな山がガスの領域に対応している。
探索窓W内のガスGの領域を判定するための第2の形態においては、探索領域E2またはX線透視領域E1内の画素値の平均がQであった場合に、その平均画素値Qに対して、例えば、3倍以上の画素値の領域の画素数に基づいて、探索窓W内のガスGの領域の判定を行う。すなわち、この第2の形態では、探索窓W内の画素のうち、その画素値が3Q以上の画素の数Mが、予め設定した画素数N以上であるとき、すなわちMがN以上であるときに、探索窓W内にガスGの領域が存在すると判定する。
なお、この第2形態において、平均画素値Qを取得する対象となる画像は、探索領域E2であってもよく、また、X線透視領域E1であってもよい。また、探索窓W内の平均画素値を取得し、探索窓Wにおける平均画素値に対する所定割合(例えば、3倍)以上の画素値となる画素が探索窓W内に所定の画素数以上存在する場合に、探索窓W内にガスの領域が存在すると判定するようにしてもよい。
図9は、第3の形態に係る探索窓W内のガスGの領域の判定方法を示す説明図である。なお、この図は、図8と同様、探索領域E2またはX線透視領域E1における画素値のヒストグラムを示しており、横軸は画素値を示し、縦軸は画素数を示している。
探索窓W内のガスGの領域を判定するための第3の形態においては、探索領域E2またはX線透視領域E1における画素値のヒストグラムの上位所定割合以上の画素値となる画素が、探索窓W内に所定の画素数以上存在する場合に、探索窓W内にガスGの領域が存在すると判定する。すなわち、図9に示す実施形態においては、探索窓W内の画素のうち、図9においてハッチングを付して示す所定値以上の画素値を有する画素の数Mが、探索窓W内において予め設定した画素数N以上であるとき、すなわちMがN以上であるときに、探索窓W内にガスGの領域が存在すると判定する。
なお、この第3形態においても、ヒストグラムを取得する対象となる画像は、探索領域E2であってもよく、また、X線透視領域E1であってもよい。また、探索窓W内のヒストグラムを取得し、探索窓Wにおける画素値のヒストグラムの上位所定割合以上の画素値となる画素が探索窓W内に所定の画素数以上存在する場合に、探索窓W内にガスの領域が存在すると判定するようにしてもよい。
そして、以上の判定により、探索窓W内にガスGの領域が存在すると判定された場合においては、検出停止部34により、その位置においては特定部位Cの検出が停止される。これにより、テンプレートマッチング部32がこのガスGの領域を特定部位Cと判定してしまう危険性を排除することができる。すなわち、特定部位Cの検出の停止により、特定部位Cを検出できる確率は低下してしまうものの、特定部位Cが検出できる確率を犠牲にすることと引き換えに、特定部位Cの位置の誤判定を防止することができる。
次に、この発明の他の実施形態について説明する。図10は、この発明の第2実施形態に係るX線透視装置の主要な制御系を示すブロック図である。
上述した第1実施形態に係るX線透視装置は、テンプレートマッチングを利用して動体追跡を実行している。これに対して、この第2実施形態に係るX線透視装置は、機械学習を利用して動体追跡を実行するものである。なお、上述した第1実施形態と同様の部材については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
この第2実施形態に係るX線透視装置は、第1実施形態に係るテンプレートマッチング部32にかえて、機械学習部35を備え、機械学習により動体追跡を実行する。この機械学習としては、例えば、SVM(Support Vector Machine/サポートベクターマシン)を利用することができる。このSVMは、パターン認識を実行するときに、多くの手法の中でも最も迅速性に優れ、かつ、認識性能の高い学習モデルの一つである。また、迅速性に優れた機械学習として、SVMにかえて、Haar‐like特徴量などによるAdaBoost(エイダブースト)や、Deep Learning(深層学習)などのニューラルネットワークを利用してもよい。
この第2実施形態に係るX線透視装置を使用することにより、被検者50の体動に伴って移動する特定部位Cの位置を検出する動体追跡を実行するときには、第1実施形態の場合と同様、最初に、図2に示す画像収集部31により、画像収集工程を実行する。そして、この画像収集工程により得た複数のX線画像に基づいて、機械学習用の正解画像を作成する。この正解画像は、図3に示すテンプレートの作成と同様、画像収集工程により得た複数のX線画像から特定部位C部分をトリミングすることにより作成され、記憶される。また、正解画像の作成時には、必要に応じ、トリミング後の画像を自動的にわずかに平行移動、回転(例えば約10°)、変形、拡大縮小した画像が機械学習のための正解画像として生成される。トリミングした画像を平行移動、回転、変形、拡大縮小した画像も正解画像として使用するのは、腫瘍等の被検者50の特定部位Cが被検者50の体内で移動又は変形した際にも特定部位Cをより確実に追跡できるようにするためである。
また、X線透視により得られた画像のうち、トリミング後の画像以外の領域の任意の領域の画像が自動的に抽出されて、不正解画像として登録される。なお、不正解画像をその都度作成する代わりに、予め記憶されている不正解画像が使用されてもよい。
そして、登録された正解画像および不正解画像に基づいて、機械学習を実行し、一つの識別器を作成する。識別器は、計算式とパラメータとから構成されるものであり、機械学習を使用した特定部位Cの位置の追跡に使用される指標である。この識別器は、複数の正解画像および複数の不正解画像を使用して機械学習により作成される。計算式は機械学習の種別によって決まっているが、計算式自体は周知技術であるので、ここでは説明を割愛する。この学習工程には、一定の時間が必要である。しかしながら、予め被検者50における特定部位Cを含む画像の撮影が完了した後、実際に放射線治療を実行するまでの間の時間に、この学習工程を実行することにより、被検者50に負担をかける必要はない。なお、特定部位Cを含む画像の撮影は、後述する放射線治療の直前に実行してもよく、それに先立ち、事前に実行してもよい。
以上の準備工程が終了すれば、被検者50を、再度、検診台29上に載置し、この発明に係るX線透視装置によりX線透視による動体追跡を行うとともに、放射線照射装置90から放射線を照射して放射線治療を開始する。このときには、上述した第1実施形態と同様、最初に、X線透視を行う。これにより、特定部位Cを含む画像が所定のフレームレートで取得される。そして、探索領域E2に対して、探索窓Wを走査して機械学習に基づく識別が実行される。すなわち、放射線治療とともに動体追跡を実行するときには、図10に示す機械学習部35により、探索領域E2に対して探索窓Wを走査して得た画像と、学習工程で作成した識別器とを利用して、機械学習に基づく識別を実行する。
この識別を実行するときにも、探索領域E2を走査して得た探索窓W内の画像を取得したときに、判定部33は、探索窓Wの画像内にガスGの領域が存在するか否かを判定する。そして、探索窓W内にガスGの領域が存在すると判定された場合においては、検出停止部34により、その位置においては特定部位Cの検出が停止される。これにより、機械学習部35がこのガスGの領域を特定部位Cと判定してしまう危険性を排除することができる。すなわち、特定部位Cの検出の停止により、特定部位Cを検出できる確率は低下してしまうものの、特定部位Cが検出できる確率を犠牲にすることと引き換えに、特定部位Cの位置の誤判定を防止することができる。
11a 第1X線管
11b 第2X線管
21a 第1フラットパネルディテクタ
21b 第2フラットパネルディテクタ
29 検診台
30 制御部
31 画像収集部
32 テンプレートマッチング部
33 判定部
34 検出停止部
35 機械学習部
50 被検者
C 特定部位
G ガス
W 探索窓

Claims (7)

  1. X線管と、前記X線管から照射され被検者を通過したX線を検出するX線検出器とにより前記被検者の画像を複数収集し、前記被検者の複数の画像を、順次、前記被検者の特定部位を示す情報と比較し前記被検者の画像から被検者の特定部位の位置を検出することにより、前記特定部位の動きを追跡するX線透視装置であって、
    前記被検者の画像に対して探索窓を走査させ、前記探索窓内の画像と前記被検者の特定部位を示す情報と比較することにより、前記被検者の特定部位の位置を検出する、特定部位検出部と、
    前記探索窓内の画像にガスの領域が存在するか否かを判定する判定部と、
    前記探索窓内の画像にガスの領域が存在すると判定されたときは、その探索窓内の画像に対する前記特定部位の検出を停止する検出停止部と、
    を備えたことを特徴とするX線透視装置。
  2. 請求項1に記載のX線透視装置において、
    前記被検者の特定部位を示す情報は、テンプレートマッチングにおけるテンプレート、または、機械学習における識別器であるX線透視装置。
  3. 請求項1又は2に記載のX線透視装置において、
    前記判定部は、前記探索窓内の画像の画素値に基づいて、前記探索窓内の画像内にガスの領域が存在するか否かを判定するX線透視装置。
  4. 請求項に記載のX線透視装置において、
    前記判定部は、前記探索窓内に、画素値が所定値以上となる画素が所定の画素数以上存在するとき、前記探索窓内の画像内にガスの領域が存在すると判定する、X線透視装置。
  5. 請求項に記載のX線透視装置において、
    前記判定部は、前記被検者の画像又は前記探索窓内における平均画素値に対する所定の割合以上の画素値となる画素が、前記探索窓内に所定の画素数以上存在する場合に、前記探索窓内の画像内にガスの領域が存在すると判定するX線透視装置。
  6. 請求項に記載のX線透視装置において、
    前記判定部は、前記被検者の画像又は前記探索窓内における画素値のヒストグラムの上位所定割合以上の画素値となる画素が、前記探索窓内に所定の画素数以上存在する場合に、前記探索窓内の画像内にガスの領域が存在すると判定するX線透視装置。
  7. X線管と、前記X線管から照射され被検者を通過したX線を検出するX線検出器とにより前記被検者の画像を複数収集し、前記被検者の複数の画像を、順次、前記被検者の特定部位を示す情報と比較し前記被検者の画像から被検者の特定部位の位置を検出することにより、前記特定部位の動きを追跡するX線透視方法であって、
    前記被検者の画像に対して探索窓を走査させ、前記探索窓内の画像と前記被検者の特定部位を示す情報と比較することにより、前記被検者の特定部位の位置を検出するステップと、
    前記探索窓内の画像にガスの領域が存在するか否かを判定するステップと、
    前記探索窓内の画像にガスの領域が存在すると判定されたときは、その探索窓内の画像に対する前記特定部位の検出を停止するステップと、
    を含むX線透視方法。
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