図1は、本発明の第1実施形態の非破壊検査装置1の構成及び非破壊検査要領を説明するための図であり、図1(A)は、全体構成図、図1(B)は、放射線発生装置103及び放射線検出装置105の設置要領を示す図である。図2は、本発明の第1実施形態の非破壊検査装置1における放射線発生装置103と放射線検出装置105との配置を模式的に示す図である。本実施形態において、配管201は検査対象の配管であり、配管本体205に保温材206及び保温板金207が施された配管であり、配管の管軸yが水平(Y軸に平行)に配置されているものとする。
本実施形態において、検査対象の配管201は、保温材206等で被覆されているが、検査対象の配管201は、配管本体205のみからなる配管であってもよい。この点は他の実施形態においても同じである。また図面(他の実施形態を含む)及び明細書に記載のX方向、Y方向、Z方向は、それぞれ3次元直交座標系のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向を表す。
本発明の第1実施形態の非破壊検査装置1は、配管201に対して放射線を照射する放射線発生装置103と、放射線発生装置103を配管201に沿って走行させる走行機41を有する第1走行手段11と、配管201を透過する放射線量を検出する放射線検出装置105と、放射線検出装置105を配管201に沿って走行させる走行機42を有する第2走行手段12とを備える。さらに非破壊検査装置1は、第1走行手段11及び第2走行手段12の動きを制御する走行制御装置81と、データ処理装置91とを備える。
第1走行手段11は、走行レール31と、走行レール31に連結し走行レール31に沿って走行する電動式の走行機41とで構成される電動スライダ21と、走行レール31を支持すると支持具51と、走行機41に装着され搭載される放射線発生装置103を支持する載置台61とを含む。走行レール31は、支持具51を介して配管201の上方に配管201の管軸yに平行に固定される。
電動スライダ21は、直線状の走行レール31を備え、放射線発生装置103が載置台61に搭載された状態で走行機41が一定の速度で走行可能に構成される。電動スライダ21は、搭載する放射線発生装置103を走行レール31に沿って一定の速度で走行させることができればよく、構造、型式等は特に問われない。電動スライダ21は、既成品を利用可能であり、走行レール31を継ぎ足し延長可能なものが好ましい。
支持具51は、電動スライダ21を安定して支持可能であると共に、保温材206及び保温板金207に局所的に荷重が加わり変形しないように保温板金207に対して広い面積で接するものが好ましい。支持具51の配管201の固定要領は特に限定されるものではなく、磁力で吸着する着脱自在なマグネットホルダ54、図5に示すようなラッシングベルトなどの固縛用ベルト55等の固定具を用いて固定すればよい。配管201に対して支持具51を載置させるだけで電動スライダ21を安定的に支持できるのであれば固定具を使用しなくてもよい。
載置台61は、走行機41に装着され、放射線発生装置103を安定して支持することができればよく、軽量であるものが好ましい。軽量化することで走行機41を含め電動スライダ21に加わる負荷を小さくすることができる。
第2走行手段12は、走行レール32と、走行レール32に連結し走行レール32に沿って走行する電動式の走行機42とで構成される電動スライダ22と、走行レール32を支持する支持具52と、走行機42に装着され搭載される放射線検出装置105を支持する載置台62とを含む。走行レール32は、支持具52を介して配管201の下方に配管201の管軸yに平行に固定される。走行レール32は、走行レール31に対して対向する位置にあり、走行レール31と走行レール32とは配管201を挟んで180°の位置にある。
第2走行手段12は、基本的に第1走行手段11と同じ構成からなり、電動スライダ22は、電動スライダ21に対応し、走行レール32及び走行機42は、それぞれ第1走行手段11の走行レール31及び走行機41に対応する。また支持具52及び載置台62は、それぞれ第1走行手段11の支持具51及び載置台61に対応する。第2走行手段12を構成する機器、部材は、第1走行手段11の対応する各機器、部材と同様に考えることができるので説明を省略する。
さらに第2走行手段12は、載置台62に重り(カウンターウエイト)65を有する。この重り65は、走行機41に加わる負荷と走行機42に加わる負荷とを同じくするためのものである。第1走行手段11の電動スライダ21において、走行機41には載置台61及び搭載する放射線発生装置103の重量が加わる。同様に、第2走行手段12の電動スライダ22において、走行機42には載置台62及び搭載する放射線検出装置105の重量が加わる。
第1走行手段11の電動スライダ21と第2走行手段12の電動スライダ22とは、走行レール31と走行レール32、走行機41と走行機42とが同じ型式であれば、走行機41と走行機42とに加わる重量を同じにすることで走行機41及び走行機42に加わる負荷を同じにすることができる。これにより放射線発生装置103と放射線検出装置105とを同じ速度で走行させることが容易となる。
本実施形態では、載置台62に重り65を取付けるが、放射線発生装置103の重量が放射線検出装置105の重量に比較して軽い場合には、載置台61に重り65を取付ければよい。なお、重り65を取付けなくても走行制御装置81により、放射線発生装置103を搭載した走行機41と放射線検出装置105と搭載した走行機42とを同じ速度で走行させることができる場合には、重り65は取付ける必要はない。これらは他の実施形態においても同じである。
走行レール31、32は、ラッシングベルトなどの固定用ベルトを使用すれば、配管201に対して、任意の位置に固定することができる。よって走行レール31、32を斜め方向に固定することで、図2に示すように30°、60°の撮影も可能となる。この方法により図2に示すように配管201の全周を撮影することができる。
放射線発生装置103は、第1走行手段11の載置台61に取付けられ、配管201に沿って移動し、配管201に対して配管201の上方から下向き(−Z方向)に放射線を照射する。放射線検出装置105は、ラインセンサであり、第2走行手段12の載置台62に取付けられ、配管201に沿って移動し、配管201を透過する放射線を検出する。放射線は、エックス線、ガンマ線であり、目的・状況に応じてエックス線又はガンマ線が適宜選択し使用される。
走行制御装置81は、第1走行手段11の走行機41及び第2走行手段12の走行機42に駆動用の電源を送ると共に、走行機41及び走行機42の起動・停止及び走行速度を制御する。本実施形態の走行制御装置81は、放射線発生装置103が搭載された走行機41と、放射線検出装置105が搭載された走行機42とが同じ走行速度となるように制御する。
データ処理装置91は、放射線発生装置103及び放射線検出装置105と接続し、それぞれの機器を制御するとともに撮影画像データを取得する。またデータ処理装置91は、走行制御装置81と接続し、放射線発生装置103及び放射線検出装置105の位置データを取得し、配管201の各位置における肉厚等を算出する。
非破壊検査装置1を用いて配管201の肉厚等を検査するときは、基本的に検査開始時の放射線発生装置103と放射線検出装置105との位置(Y方向)を一致させ、同時に同じ速度でY方向に走行させながら配管201の検査を行う。
図3は、本発明の第1実施形態の非破壊検査装置1の使用例を説明するための図であり、図3(A)は本発明に関し、図3(B)は従来法に関する。図1では電動スライダ22を介して配置される放射線検出装置105が、検査対象配管201に比較的近接している。一方、図3(A)では、図中Lで示すように電動スライダ22を介して配置される放射線検出装置105が、検査対象配管201から離れている。
検査対象配管201と放射線検出装置105との距離を短くすると、放射線検出装置105が受信する線量が大きく、得られる透過画像のコントラストが良好となる。一方、検査対象配管201と放射線検出装置105との距離を短くすると、小さい減肉及び割れは検出することができない。ここでは、検査対象配管201と放射線検出装置105との距離を比較的短くし撮影する方法を「通常撮影方法」と記す。
一方、検査対象配管201と放射線検出装置105との距離を大きくすると、放射線検出装置105が受信する線量が小さくなるものの、小さい減肉及び割れを検出できるメリットがある。ここでは、検査対象配管201と放射線検出装置105との距離を大きく取り撮影する方法を「拡大撮影方法」と記す。
本発明の第1実施形態の非破壊検査装置1は、放射線発生装置103及び放射線検出装置105がそれぞれ独立した走行手段で支持されるため、図1及び図3(A)に示すように「通常撮影方法」及び「拡大撮影方法」の両方を容易に実施することができる。
図3(B)に示すように放射線発生装置103及び放射線検出装置105をコ字型の支持装置403に搭載し、これを1つの走行手段405を用いて走行させる従来型の非破壊検査装置401の場合、図中Lを短くした「通常撮影方法」は特に問題なく行える。従来型の非破壊検査装置401で「拡大撮影方法」を実施するには、支持装置403を大きくし、検査対象配管201と放射線検出装置105との距離を大きくする必要がある(図中Lを大きくする)。しかしこのような支持装置403は、構造的に無理があり、重量バランスも悪く、放射線発生装置103及び放射線検出装置105を安定走行させることは難しい。よって図3(B)に示す従来型の非破壊検査装置で「拡大撮影方法」を実施することは、現実的には難しい。
図4は、本発明の第1実施形態の非破壊検査装置1の使用例を説明するための図である。図4に示す配管201は、検査対象配管であり、口径が異なる2つの直管部205がレデューサ209でつながれた配管である。レデューサ209は、図4(A)に示す同心タイプでも図4(B)に示す偏心タイプであってもよい。このような配管201に対しても第1実施形態の非破壊検査装置1を使用することで容易に検査することができる。
図5は、本発明の第2実施形態の非破壊検査装置2の構成及び非破壊検査要領を説明するための図であり、図5(A)は、全体構成を示す平面図、図5(B)は、放射線発生装置103及び放射線検出装置105の設置要領を示す図である。図1から図4に示す第1実施形態の非破壊検査装置1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
第2実施形態の非破壊検査装置2の基本構成は、第1実施形態の非破壊検査装置1と同じであり、放射線発生装置103を第1走行手段11を介して配管201に沿って走行させ、同時に放射線検出装置105を第2走行手段12を介して配管201に沿って走行させ配管201の検査を行う。
第2実施形態の非破壊検査装置2は、放射線発生装置103及び放射線検出装置105をそれぞれ独立した走行手段を介して走行させ、配管201の検査を行う点において第1実施形態の非破壊検査装置1と共通するが、第1走行手段11及び第2走行手段12の取付け要領が大きく異なる。
具体的には第1実施形態の非破壊検査装置1では、検査対象物である配管201に支持具51、52を介して走行レール31、32が固定される。これに対して第2実施形態の非破壊検査装置2では、検査対象物である配管201に隣接する配管211に支持具51を介して走行レール31が、検査対象物である配管201に隣接する配管212に支持具52を介して走行レール32が取付けられる。放射線発生装置103及び放射線検出装置105が、それぞれ載置台61、62を介して走行機41、42に搭載される点は、第1実施形態の非破壊検査装置1と同じである。
第2実施形態の非破壊検査装置2では、検査対象物である配管201に対して何らの部材、機器を接触させることなく配管201の検査を行うことができる。このような検査方法は、配管201に荷重を加えることが不適当な場合、例えば走行レール31、32を取付けると配管201を覆う保温板金207が変形するような場合には好適である。さらには配管201のサポートなどが邪魔となり、あるいは配管が密集していて狭所であるなど配管201に走行レール31、32を上手く取付けることができない場合、あるいは配管201の口径が小さく、走行レール31、32を取付けることができないような場合にも好適に用いることができる。
第2実施形態の非破壊検査装置2では、配管201の横(X方向)を検査すべく、配管201の両横(X方向)に位置する配管211、212にそれぞれ走行レール31、32を固定する。第1走行手段11は、配管211の上部に走行レール31を固定し、L字型の載置台61を用いて放射線発生装置103を横向きに固定する。一方、第2走行手段12は、配管212の横に走行レール32を固定し、載置台62を用いて放射線検出装置105を横向きに固定する。
第2実施形態では、第1走行手段11は、配管211の上部に走行レール31を固定し、L字型の載置台61を用いて放射線発生装置103を横向きに固定するが、配管211の横に走行レール31を固定し、載置台61を用いて放射線発生装置103を横向きに固定してもよい。一方、第2走行手段12は、配管212の上部に走行レール32を固定し、L字型の載置台62を用いて放射線検出装置105を横向きに固定してもよい。
配管201の上下方向(Z方向)を検査する場合には、配管201の上下(Z方向)に位置する配管にそれぞれ走行レール31、32を固定すればよい。
第2実施形態の非破壊検査装置2では、検査対象物である配管201に隣接する配管211、212にそれぞれ走行レール31、32を固定するが、配管211、212に代えて、検査対象物である配管201に隣接する架台、他の装置、機器、足場、さらには地面に走行レール31、32を固定し又は載置してもよい。
また第2実施形態の非破壊検査装置2は、検査対象物である配管201に取付け使用する、第1走行手段11の走行機41及び第2走行手段12の走行機42の動きを確認するための走行確認手段71を備える。
走行確認手段71は、一対のマーカー72と、一対のマーカー72を連結する連結具74とからなる。連結具74は、柔軟性を有するゴムバンドであり、連結具74の長手方向の中心を配管201の頂部に合せるように配管201上に載置すると、一対のマーカー72がそれぞれ配管201の真横に位置する長さを有する。このため走行確認手段71は、連結具74の中心を配管201の頂部に合せるように配管201上に載置すると、一対のマーカー72が配管201を挟んで180°に位置し、一対のマーカー72及び配管201の中心とがX方向に直線状に並ぶ(図5(B)参照)。
走行確認手段71を配管201に配置し、配管201の検査を行うと、放射線発生装置103から照射される放射線を受けマーカー72が撮影される。放射線発生装置103と放射線検出装置105との走行位置(Y方向)が同じであれば、左右の一対のマーカー72は、重なり1つのマーカーとして撮影される。よって配管201上に1個の走行確認手段71を載置した状態で、放射線発生装置103を搭載する走行機41と放射線検出装置105を搭載する走行機42とをY方向に対して同じ位置からスタートさせ配管201を検査したとき、撮影画像に1つのマーカー72が写っていれば、走行機41と走行機42とが同じ速度で走行していたことが分かる。
配管201上に、長手方向に間隔をあけて第1及び第2の走行確認手段71a、71bを載置した状態で、放射線発生装置103を搭載する走行機41と放射線検出装置105を搭載する走行機42とで配管201を検査する。このとき第1の走行確認手段71aを撮影した画像に含まれるマーカー72と第2の走行確認手段71bを撮影した画像に含まれるマーカー72とが同じ状態で撮影されていれば、走行機41と走行機42とが第1の走行確認手段71aと第2の走行確認手段71bとの間を同じ速度で走行していたことが分かる。
放射線発生装置103と放射線検出装置105とを別々の走行手段に搭載し、放射線発生装置103及び放射線検出装置105を走行させる非破壊検査方法、非破壊検査装置の場合、検査中に放射線発生装置103と放射線検出装置105との位置関係が変わらないということを担保することが難しいが、本実施形態に示す走行確認手段71を使用することで、走行中の放射線発生装置103と放射線検出装置105との位置関係を確認、把握することができる。第1実施形態の非破壊検査方法において、走行確認手段71を使用可能なことは当然である。
走行確認手段71以外の放射線発生装置103と放射線検出装置105の同期を担保する方法としては、測定前及び測定中にワイヤ式エンコーダにより、放射線発生装置103及び放射線検出装置105を搭載した走行機41、42の移動速度を確認する方法、第1実施形態で説明したバランスウェイト65を用いる方法がある。これは他の実施形態においても同じである。
図6は、本発明の第2実施形態の非破壊検査装置2の使用例を説明するための図である。図6に示す配管201は、検査対象配管であり、Y方向に伸びる直管部205とX方向に伸びる直管部205とが曲管部(エルボ)202でつながれた配管である。このような配管201に対して、第1実施形態の非破壊検査装置1のように、配管201に走行レール31(32)を固定すると図6に示すようにY方向に伸びる直管部205しか検査(撮影)することができない。これに対して第2実施形態の非破壊検査装置2のように、検査対象配管201に隣接する配管に走行レール31(32)を固定すれば、直管部205と曲管部202(エルボ)とを検査(撮影)することができる。
図7は、本発明の第3実施形態の非破壊検査装置3の構成及び非破壊検査要領を説明するための図である。図1から図6に示す非破壊検査装置1、2と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
第3実施形態の非破壊検査では、配管201のうち、主として配管201を支持するサポート208と接触する部分を検査する。このような配管201の場合、サポート208が邪魔となり、配管201に走行手段を取り付けることができないため、第2実施形態と同様に、検査対象物である配管201に隣接する物に放射線発生装置103及び放射線検出装置105を走行させるための第1走行手段11及び第2走行手段12を取付ける。
第1走行手段11は、検査対象物である配管201の上方に位置する配管213に取付ける。一方、第2走行手段12は、地面301に設置した仮設の杭302に取付ける。ここでは第2走行手段12を仮設の杭302に取付ける例を示すが、仮設の杭302の他に、三脚等の支持台、及びビールケース等のボックス状のもの等に第2走行手段12を取付け、あるいは載置して使用することができる。
サポート208と接触する配管201部分の肉厚を検査するため、当該部分に斜め上から放射線を照射する。一例を示せば、第1走行手段11に搭載される放射線発生装置103の位置を、配管検査部分から−Y1だけ後退させた位置とする(図7参照)。同時に載置台61に対して放射線発生装置103が配管検査部分を向くように取付ける。
第2走行手段12に搭載される放射線検出装置105の位置を、配管検査部分から+Y2だけ前進させた位置とする(図7参照)。同時に載置台62に対して放射線検出装置105が配管検査部分を向くように取付ける。
全体として放射線発生装置103と配管検査部分と放射線検出装置105とが直線状に並び、また配管201の管軸yに対して傾斜するように放射線発生装置103、放射線検出装置105を設置する。以降、放射線発生装置103を搭載する走行機41及び放射線検出装置105を搭載する走行機42を同じ速度で走行させ配管検査部分を検査する。
図8は、本発明の第4実施形態の非破壊検査装置4の構成及び非破壊検査要領を説明するための図である。図1から図6に示す非破壊検査装置1、2と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態で検査対象とする配管201は、水平管部203と鉛直管部204とが曲管部202でつながれている。ここではこのうち曲管部202の検査方法について説明する。ここでは第1実施形態の非破壊検査方法と同様に、第1走行手段11を介して放射線発生装置103を走行させ、第2走行手段12を介して放射線検出装置105を走行させ、曲管部202の検査を行う。
第4実施形態の非破壊検査装置4は、第1実施形態の非破壊検査装置1と基本構成を同じくするが、放射線発生装置103を走行させる走行レール31及び放射線検出装置105を走行させる走行レール32が湾曲している点において、第1実施形態の非破壊検査装置1と異なる。走行レール31、曲管202、走行レール32は、ぞれぞれの曲率半径がR1、R2、R3であり、走行レール31、曲管202、走行レール32は平行である。
また走行制御装置81は、走行時に、曲率半径の中心Oを起点に放射線発生装置103及び放射線検出装置105が一直線となるように第1走行手段11の走行機41及び第2走行手段11の走行機42を制御する。
本実施形態では、放射線発生装置103が曲管部202の内側に配置され、放射線検出装置105が曲管部202の外側に配置されるが、検査目的に応じて放射線発生装置103を曲管部202の外側に配置し、放射線検出装置105を曲管部202の内側に配置してもよい。ここで曲管部202の内側とは円弧の半径の小さい方をいう。
第4実施形態では、水平管部203と鉛直管部204とをつなぐ曲管部202を検査対象とするが、水平管部と水平管部とをつなぐ、同一平面に位置する曲管部も同じ要領で検査することができる。曲管部は、U字管であってもよい。
図9は、本発明の第5実施形態の非破壊検査装置5の構成及び非破壊検査要領を説明するための図であり、図9(A)は、非破壊検査装置5の構成を示す図、図9(B)は、第2走行手段13の構成を示す斜視図である。図1から図6に示す非破壊検査装置1、2と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
第1から第4実施形態に示す非破壊検査方法は、第1走行手段11を介して放射線発生装置103を、また第2走行手段12を介して放射線検出装置105を検査対象物である配管201に沿って走行させながら検査を行う。これに対して第5実施形態の非破壊検査方法では、放射線検出装置105を検査対象物である配管201に沿って走行させる一方で、放射線発生装置103は、固定して使用する。このため第5実施形態の非破壊検査装置5は、放射線発生装置103を走行させる第1走行手段11を有していない。
放射線検出装置105を搭載し検査対象物である配管201に沿って走行させる第2走行手段は、第1及び第2実施形態に示す第2走行手段12を使用することができるが、本実施形態では、第1及び第2実施形態に示す第2走行手段12とは異なる第2走行手段13を示す。
第2走行手段13は、走行レール33と、走行台車45と、走行台車45を移動させる移動装置46とを含む。走行レール33は、走行台車45が走行する一対のガイドレール35と、ガイドレール35を連結するベルト36とを含み、ガイドレール35は、取付具37を介してベルト36の左右に固定される。ベルト36は、ゴム素材からなり可撓性を有し、配管201の外周面(外壁面)に接し、走行レール33のずれを防止する。
走行台車45は、車輪を有し、放射線検出装置105を搭載し走行レール33を走行する。走行台車45の構造、形状は、特に限定されるものではなく、放射線検出装置105をしっかりと固定し、放射線検出装置105を搭載した状態で走行レール33を安定して走行できればよい。
移動装置(駆動装置)46は、ワイヤ巻取り器47を主に構成され、ワイヤ48を走行台車45に連結し、ワイヤ48を巻き取ることで走行台車45を移動させる。ワイヤ巻取り器47は、スピードコントローラ及び距離エンコーダ49を備え、ワイヤ48の巻取り速度を調整可能であり、ワイヤ48の巻取量を検知する。ワイヤ巻取り器47及びスピードコントローラ及び距離エンコーダ49は、走行台車45には搭載されていない。ここに示す第2走行手段13は、特開2019−105579号公報に記載の走行装置(走行台車の形状を除く)と同じであり、より詳細な構成、構造は、特開2019−105579号公報の明細書の段落0036〜0067、図1〜図8を参照されたい。
本実施形態に示す第2走行手段13は、第1から第4実施形態に示す第2走行手段12と異なり、走行台車45を移動させる移動装置46が走行レール33上を移動しない。このような第2走行手段13は、移動装置46の重量が走行レール33に加わらないので走行レール33の必要強度を小さくすることができる。このため走行レール33が軽量となり、設置、移動が容易となる。また移動装置46の重量が配管201に加わらず、保温板金207等への損傷を防止することができる。
第5実施形態の非破壊検査方法では、検査対象物の配管201を複数の区間に区分けし、区間を順次変更しながら検査を行う。図9(A)を用いて具体的に説明すれば、配管201の検査区間を、区間A,区間B,区間Cの3区間に区分けする。各区間の区分けは、区間の境界部に鉛マーク75を設置することで行う。また各区間の中央にも鉛マーク76を設置する。鉛マーク75は配管201の上部外壁に、鉛マーク76は、配管201の底部外壁に取付ける。検査区間の長さは、放射線発生装置103及び放射線検出装置105の仕様に基づき適宜決定すればよい。
検査対象物の配管201を検査する場合は、第1に、区間Aの中心(Y方向)に放射線発生装置103を設置し、第2走行手段13を介して放射線検出装置105を区間A内を走行させ、区間Aの検査を行う。放射線発生装置103を設置は、鉛マーク76を目印に、走行区間は、鉛マーク75を目印に行う。次に区間Bの中心(Y方向)に放射線発生装置103を設置し、第2走行手段13を介して放射線検出装置105を区間B内を走行させ、区間Bの検査を行う。区間Cについても同様に検査する。
第5実施形態において、配管201の検査区間の長さが第2走行手段13の走行レール33の長さよりも長い場合には、第2走行手段13を移動させ、その場所で検査区間を区分けし、上記要領で各区間を順次検査すればよい。第2走行手段13の配管201への設置は、載置するだけでよく、また第2走行手段13は、移動装置46が走行レール33とは分離しているため軽い。このため第2走行手段13の移動、設置が簡単である。
図10は、本発明の第6実施形態の非破壊検査装置6の構成及び非破壊検査要領を説明するための図であり、図10(A)は、非破壊検査装置6の配置を示す正面図、図10(B)は、非破壊検査装置6の配置を示す平面図である。図1から図6に示す非破壊検査装置1、2と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。ここでは管軸yがZ軸と平行であるとする。
本実施形態での検査対象物は、大口径の鉛直配管201である。ここでは、第5実施形態の非破壊検査方法と同様に、放射線発生装置103を固定し、第2走行手段12を介して放射線検出装置105を鉛直方向に走行させ、鉛直配管201の検査を行う。本方法は、放射線発生装置103及び放射線検出装置105を鉛直配管201の外側に配置して検査を行うので、タンク、塔など塔槽類の検査にも容易に適用することができる。
図11は、本発明の第7実施形態の非破壊検査装置7の構成及び非破壊検査要領を説明するための図である。図1から図6に示す非破壊検査装置1、2と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態で検査対象とする配管201は、水平管部203と鉛直管部204とが曲管部202でつながれている。ここではこのうち曲管部202の検査方法について説明する。ここでは、第5、第6実施形態の非破壊検査方法と同様に、放射線発生装置103は固定し、第2走行手段12を介して放射線検出装置105を走行させ、曲管部202の検査を行う。
本実施形態では、放射線発生装置103が曲管部202の内側に配置され、放射線検出装置105が曲管部202の外側に配置されるが、検査目的に応じて放射線発生装置103を曲管部202の外側に配置し、放射線検出装置105を曲管部202の内側に配置してもよい。ここで曲管部202の内側とは円弧の半径の小さい方をいう。
曲管部202の長さが長い場合や曲管部202の半径が小さい場合には、第5実施形態と同様に曲管部202を複数の区間に区分けし、各区間に対応するように放射線発生装置103の向き、あるいは必要に応じて放射線発生装置103の位置、第2走行手段12の設置位置を変更し検査するのがよい。
第7実施形態では、水平管部203と鉛直管部204とをつなぐ曲管部202を検査対象とするが、水平管部と水平管部とをつなぐ、同一平面に位置する曲管部も同じ要領で検査することができる。曲管部は、U字管であってもよい。
図12は、本発明の第7実施形態の非破壊検査装置7の他の使用例を説明するための図である。図12では、放射線発生装置103が曲管部202の内側に配置され、走行機42の動きに合わせて放射線発生装置103が首を振り撮影する要領を示す。ここで放射線発生装置(線源)103が首を振るとは、放射線発生装置103自体はその位置を変えずに、照射方向のみを変えることをいう。
以上、第1から第4実施形態に示すように本発明に係る非破壊検査装置及び非破壊検査方法は、放射線発生装置と放射線検出装置とを異なる走行手段を介して走行させることができるので、放射線発生装置及び放射線検出装置の設置及び走行の自由度が高い。このため従来の検査装置では、検査が難しかった途中に分岐管が設けられている配管、配管を支持するためのサポート又は架台が横方向に突出している配管等も容易に検査することができる。
また本発明に係る非破壊検査装置及び非破壊検査方法は、放射線発生装置と放射線検出装置とを異なる走行手段を介して走行させることができるので、複雑な形状の配管を検査する場合、従来の検査装置に比較して段取りが簡単でまた撮影回数も少なくてよい。図13を用いて具体的に説明する。
図13は、本発明に係る非破壊検査装置を用いた検査方法と従来の非破壊検査装置を用いた検査方法との対比図であり、(A)は検査対象配管を、(B)は、本発明に係る非破壊検査装置を用いた検査要領を説明するための図、(C)は、従来の非破壊検査装置を用いた検査要領を説明するための図である。図中の太矢印は、検査装置の走行を表し、太矢印に付された数字は、段取りの回数を示す。
図13(A)に示す検査対象配管201は、左から右に向けて水平配管203a、エルボ(曲管)202a、エルボ(曲管)202b、水平配管203bが順に配置され、それぞれの管部材が溶接付けされ、水平配管203aと水平配管203bとは平行となっている。図13中、210は溶接線を表す。
図13(A)に示す検査対象配管201を非破壊検査装置を用いて検査する場合、水平配管203b、2つのエルボ202a、202bが連続して繋がる曲管部、水平配管203aの3つのブロックに分けて検査する。
図3(B)に示す、放射線発生装置103及び放射線検出装置105をコ字型の支持装置403に搭載し、これを1つの走行手段405を用いて走行させる従来型の非破壊検査装置401の場合、2つのエルボ202a、202bが連続して繋がる曲管部では、支持装置403がいずれか一方のエルボ202a(202b)に衝突してしまう。このため従来型の非破壊検査装置401の場合、2つのエルボ202a、202bが連続して繋がる曲管部を一度に走行することができず、図13(C)に示すようにエルボ202bの部分を撮影した後に、非破壊検査装置401を付け替えてエルボ202aの部分を撮影する必要がある。
一方、本発明の第1実施形態の非破壊検査装置1の場合、放射線発生装置103及び放射線検出装置105がそれぞれ独立した走行手段で支持されるため、2つのエルボ202a、202bが連続して繋がる曲管部を一度に走行することができる。
以上のように図13(A)に示す検査対象配管201を非破壊検査装置を用いて検査する場合、本発明に係る非破壊検査装置を用いた検査方法は、従来の非破壊検査装置を用いた検査方法と比較して、検査装置のセッティング回数及び撮影回数を1回減らすことができる。
また本発明に係る非破壊検査装置及び非破壊検査方法は、放射線発生装置と放射線検出装置とを検査対象物の外側に配置し検査するので準備も含め検査を容易に行うことができる。
また第1から第4実施形態に示す本発明に係る非破壊検査装置は、放射線発生装置と放射線検出装置とをそれぞれ独立した走行手段で走行させるので、それぞれの走行手段にかかる荷重が、1つの走行手段で放射線発生装置及び放射線検出装置を一緒に走行させる方法に比較して半減される。このため本発明に係る非破壊検査装置では、走行レール、走行レールを支持固定する部材を小型・軽量化することができる。
上下方向に配置される放射線発生装置と放射線検出装置とをコ字形状の支持装置に搭載し、1つの走行レール上を走行させる従来の非破壊検査装置では、放射線発生装置と放射線検出装置とを含む支持装置の重心が、構造上、走行レールの真上、真下から横にずれてしまう。このため走行レール、走行レールを支持固定する部材、さらには放射線発生装置及び放射線検出装置を搭載する支持装置が大型化してしまう。これに対して本発明に係る非破壊検査装置は、それぞれの走行レールの真上、真下に放射線発生装置又は放射線検出装置の重心がくるため走行レール、走行レールを支持固定する部材、さらには放射線発生装置及び放射線検出装置を搭載する載置台を小型・軽量化し易い。
放射線発生装置と放射線検出装置とをそれぞれ独立した走行手段で走行させる場合には、放射線発生装置と放射線検出装置との同期が懸念されるが、本発明に係る非破壊検査装置では、それぞれの走行手段に加わる負荷を同一するための手段、放射線発生装置と放射線検出装置との同期を確認するための手段も準備されているので、放射線発生装置と放射線検出装置との同期を担保し、また確認することができる。
また第5から第7実施形態に示すように本発明に係る非破壊検査装置及び非破壊検査方法は、放射線発生装置を一カ所に固定し、放射線検出装置のみを走行させながら検査を行うことも可能なため、従来の非破壊検査装置では検査が難しかったベント管、エルボなどの曲管も容易に検査することができる。
以上、第1から第7実施形態の非破壊検査装置及び非破壊検査方法を用いて本発明に係る非破壊検査装置及び非破壊検査方法を説明したが、本発明に係る非破壊検査装置及び非破壊検査方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で変更して使用することができる。
上記実施形態に示す第1走行手段11で使用する電動スライダ21は、走行レール31が一本であるが、走行レール31が2本の電動スライダを用いてもよい。さらには電動スライダ21を2つ並列に並べ、これに掛け渡すように載置台61を取付け、放射線発生装置103を搭載してもよい。これは、第2走行手段12及び放射線発生装置105についても同様である。これらにより重量を分散して支持することができる。
第3実施形態において、第2走行手段12を杭302に取付ける代わりに地面301に固定し又は地面301に載置してもよい。上記実施形態では、配管201として、配管本体205に保温材206及び保温板金207が施された配管201を検査する例を示したが、配管201が配管本体205のみからなる配管であってもよいことは当然である。また検査対象物は、熱交換器、塔槽類であってもよく、これらに保温材及び保温板金が施されていてもよい。
検査対象物が、直線部の他に曲線部、異径部を含むことは既に説明の通りであるが、検査対象物は、横断面が中空又は中実であり、横断面の外形形状が円、方形、矩形又は多角形であってもよい。このため本発明に係る非破壊検査装置及び非破壊検査方法により建築物の柱、橋梁の支柱などの検査を行うことができる。
図面を参照しながら好適な非破壊検査装置及び非破壊検査方法について説明したが、当業者であれば、本件明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。従って、そのような変更及び修正は、請求の範囲から定まる発明の範囲内のものと解釈される。