JP6791291B2 - 細胞移植装置 - Google Patents

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Description

本発明は、細胞の移植に用いられる細胞移植装置に関する。
生体から採取した細胞の培養に基づき得られた移植物を、生体の皮内や皮下へ移植する技術が開発されている。例えば、毛を作り出す器官である毛包の形成に寄与する細胞群を精製し、この細胞群を皮内へ移植することによって、毛髪を再生させることが試みられている。
毛包は、上皮系細胞と間葉系細胞との相互作用により形成される。毛髪の良好な再生のためには、移植された細胞群から、正常な組織構造を有して周期的な毛髪の形成能力を有する毛包が生じることが望ましい。そこで、こうした毛包を形成可能な細胞群の製造方法について、様々な研究開発が行われている(例えば、特許文献1〜3参照)。
国際公開第2017/073625号 国際公開第2012/108069号 特開2008−29331号公報
ところで、移植物の円滑な移植のためには、培養容器等の容器に入れられている移植物を、生体における移植の対象領域へ円滑に移動できることが望ましい。例えば、皮膚をメスで切開し、培養容器内の細胞群をピンセット等で1つずつ摘んで皮内に移すという移植方法では、使用する器具の交換や、細胞群を移動させる動作の頻繁な繰り返しが生じるため、移植が円滑に進められるとは言い難い。
本発明は、細胞の円滑な移植を可能とした細胞移植装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する細胞移植装置は、生体内の対象領域に、細胞を含む移植物を配置するための細胞移植装置であって、1つの方向に沿って延びる針状部であって、当該針状部の先端部に開口する流路を内部に有する前記針状部と、前記流路の途中に位置し、繊維状物から構成される留止部であって、前記開口から前記流路内に入った液状体中の前記移植物を前記留止部よりも先端側に留めるための前記留止部と、を備える。
上記構成によれば、細胞移植装置は、移植物を針状部の先端部の開口から針状部の内部へ取り込み、針状部を移植部位に刺した後に、移植物を針状部の上記開口から放出する。こうした装置を用いれば、移植物を容器から取り出して移植の対象領域へ配置するまでを1つの装置によって連続して行うことができるため、細胞の円滑な移植が可能である。そして、こうした細胞移植装置においては、移植の効率の更なる向上のために、移植物の取り込みと放出とをより円滑に行うことのできる針状部の構造が求められる。この点、上記構成であれば、移植物を開口から針状部の内部に収容したときに、移植物と共に取り込む液体の量や取り込みのための吸引時間等に関わらず、開口に近い位置に移植物を留めることができる。そのため、上記液体の取り込み量や吸引時間を増やしても、移植物と共に放出される保護液の量が過大になることを抑えることが可能であり、移植物の収容と放出とを円滑に進めることができる。
上記構成において、前記留止部は、複数本の繊維状物が交差したメッシュ状に構成されてもよい。
上記構成によれば、予め繊維状物が交差したメッシュ状の小片を作製しておくことによって、留止部を針状部に容易に組み付けることができる。
上記構成において、前記繊維状物は、公定水分率が7.0%以上の繊維から構成されてもよい。
上記構成によれば、繊維状物が水分を保持しやすい。それゆえ、繊維状物に液体を含ませておくことで、繊維状物の柔軟性が高められ、留止部に移植物が接触した場合に移植物が受ける衝撃を小さくできる。したがって、こうした衝撃が移植物に与える影響を小さくできる。
上記構成において、前記針状部は、前記留止部よりも先端側に位置する第1部と、前記留止部よりも基端側に位置する第2部と、を含み、前記第2部の流路断面積は、前記第1部の流路断面積よりも大きくてもよい。
上記構成によれば、移植物と保護液とを針状部の内部に取り込む際に、保護液が留止部を越えて基端側へ流れやすい。
上記構成において、前記針状部は、前記先端部を含む第1管と、前記第1管の基端部に接続された第2管と、を備え、前記留止部は、前記第1管と前記第2管との接続部分の付近に位置してもよい。
上記構成によれば、移植物を開口から針状部の内部に収容したときに、移植物を第1管の内部に留めることができる。
上記構成において、前記針状部の延びる方向から見た平面視において、前記第1管の基端部の開口と前記繊維状物とが重なる部分の面積が、当該基端部の開口の面積に占める割合は、20%以上85%以下であってもよい。
上記構成によれば、移植物が留止部を通過することを抑える効果が十分に得られる。一方で、移植物と共に針状部に取り込まれる液体が留止部を通過しやすくなるため、上記液体の圧力損失が抑えられて、移植物を含む液状体の取り込みと放出とを円滑に行うことができる。
上記構成において、前記繊維状物は、前記第1管の基端部を跨ぐように配置され、前記繊維状物の端部は、前記第1管の外周面に固定されていてもよい。
上記構成によれば、第1管と第2管とを接続する際に、針状部に留止部を組み付けることができる。したがって、第1管や第2管に、留止部の組み付けのための穴あけ等の加工を要する形態と比較して、留止部の配置が容易である。
上記構成において、前記針状部の延びる方向において、前記留止部と、前記第1管の基端部の端面との間の距離は、100μm以下であってもよい。
上記構成によれば、留止部が第2管内に位置する場合には、移植物が発毛または育毛に寄与する細胞群を含む場合に、細胞群の全体が第2管内に入り込むことが抑えられる。したがって、細胞群の放出に際して、第1管と第2管との接続部分で細胞群が第1管の縁に引っ掛かることが抑えられる。また、留止部が第1管内に位置する場合には、留止部の位置が針状部の先端部に近くなりすぎることが抑えられ、移植物が留められる空間の大きさが十分に確保されやすい。
上記構成において、細胞移植装置は、複数の前記針状部と、各針状部に対して1つずつ配置された前記留止部とを備えてもよい。
上記構成によれば、複数の針状部に移植物を一括して収容すること、および、複数の針状部から移植物を一括して放出することが可能であり、これによって、移植の効率をさらに高めることができる。
上記構成において、細胞移植装置は、100μm以上1000μm以下の径を有する細胞集合体を含む前記移植物を、前記対象領域に配置するために用いられてもよい。上記構成において、細胞移植装置は、皮膚由来幹細胞を含んだ細胞凝集体である前記移植物を、前記対象領域に配置するために用いられてもよい。
こうした細胞の移植は、例えば、発毛や育毛を目的とする。発毛や育毛を目的とした移植では、多くの移植物を移植することが求められる場合が多い。こうした移植に上記細胞移植装置が用いられることで、細胞の移植の効率が大きく高められるため、細胞の円滑な移植が可能となることの利点が大きい。
本発明によれば、細胞を円滑に移植することができる。
細胞移植装置の第1実施形態について、単一の針状部を備える細胞移植装置の側面構造を示す図。 第1実施形態の細胞移植装置であって、複数の針状部を備える細胞移植装置の側面構造を示す図。 第1実施形態の細胞移植装置であって、吸引押出部を備える細胞移植装置の構成を示す図。 第1実施形態の細胞移植装置における針状部の断面構造を示す図。 第1実施形態の細胞移植装置における留止部が配置された第1管の第1例について、平面構造および側面構造を示す図。 第1実施形態の細胞移植装置における留止部が配置された第1管の第2例について、平面構造および側面構造を示す図。 第1実施形態の細胞移植装置における留止部が配置された第1管の第3例について、平面構造および側面構造を示す図。 第1実施形態の細胞移植装置における針状部および留止部の組み付けの工程を示す図。 第1実施形態の細胞移植装置における針状部および留止部の組み付けの工程を示す図。 第1実施形態の細胞移植装置の断面構造を示す図。 第1実施形態の細胞移植装置を用いた移植方法における細胞移植装置と移植物を保持するトレイとの配置を示す図。 第1実施形態の細胞移植装置を用いた移植方法における移植物の収容工程を示す図。 第1実施形態の細胞移植装置を用いた移植方法における移植物の収容工程を示す図。 第1実施形態の細胞移植装置を用いた移植方法における針状部を移植部位に刺す工程を示す図。 第1実施形態の細胞移植装置を用いた移植方法における移植物の配置工程を示す図。 第1実施形態の細胞移植装置を用いた移植方法に、複数の針状部を備える細胞移植装置を用いる場合の当該装置とトレイとの配置を示す図。 細胞移植装置の第2実施形態について、針状部の断面構造を示す図。 第2実施形態の細胞移植装置の変形例について、針状部の断面構造を示す図。 第2実施形態の細胞移植装置の変形例について、針状部の断面構造を示す図。
(第1実施形態)
図1〜図16を参照して、細胞移植装置の第1実施形態を説明する。
[移植物]
本実施形態の細胞移植装置は、生体へ移植物を移植するために用いられる。移植の対象領域は、皮内および皮下の少なくとも一方、あるいは、臓器等の組織である。移植物は、細胞群を含む。この移植される対象である細胞群について説明する。
移植対象の細胞群は、複数の細胞を含む。細胞群は、凝集された複数の細胞の集合体であってもよいし、細胞間結合により結合した複数の細胞の集合体であってもよい。あるいは、細胞群は、分散した複数の細胞から構成されてもよい。また、細胞群を構成する細胞は、未分化の細胞であってもよいし、分化が完了した細胞であってもよいし、細胞群は、未分化の細胞と分化した細胞とを含んでいてもよい。細胞群は、例えば、細胞塊(スフェロイド)、原基、組織、器官等である。
細胞群は、対象領域に配置されることによって、生体における組織形成に作用する能力を有する。こうした細胞群の一例は、皮膚由来幹細胞を含んだ細胞凝集体である。移植対象の細胞群は、例えば、皮内または皮下に配置されることにより、発毛または育毛に寄与する。こうした細胞群は、毛包器官として機能する能力、毛包器官へ分化する能力、毛包器官の形成を誘導もしくは促進する能力、あるいは、毛包における毛の形成を誘導もしくは促進する能力等を有する。また、細胞群は、色素細胞もしくは色素細胞に分化する幹細胞等のように、毛色の制御に寄与する細胞を含んでいてもよい。
具体的には、本実施形態における移植対象の細胞群の一例は、原始的な毛包器官である毛包原基である。毛包原基は、間葉系細胞と上皮系細胞とを含む。毛包器官では、間葉系細胞である毛乳頭細胞が、毛包上皮幹細胞の分化を誘導し、これによって形成された毛球部にて毛母細胞が分裂を繰り返すことにより、毛が形成される。毛包原基は、こうした毛包器官に分化する細胞群である。
毛包原基は、例えば、毛乳頭等の間葉組織に由来する間葉系細胞と、バルジ領域や毛球基部等に位置する上皮組織に由来する上皮系細胞とを、所定の条件で混合培養することによって形成される。ただし、毛包原基の製造方法は上述の例に限定されない。また、毛包原基の製造に用いられる間葉系細胞と上皮系細胞との由来も限定されず、これらの細胞は、毛包器官由来の細胞であってもよいし、毛包器官とは異なる器官由来の細胞であってもよいし、多能性幹細胞から誘導された細胞であってもよい。
なお、移植物は、細胞群とともに、細胞群の移植を補助する部材を含んでいてもよい。
[細胞移植装置の全体構成]
図1が示すように、細胞移植装置100は、針状部10と、針状部10を支持する支持部50とを備えている。針状部10は、1つの方向に沿って延びる筒状を有し、言い換えれば、中空の針形状を有する。針状部10の外形は、その先端部が、生体における移植の対象の部位を刺すことの可能な形状を有していれば特に限定されない。針状部10の先端部は、例えば、円筒をその延びる方向に対して斜めに切断した形状を有し、尖っている。
支持部50は、針状部10の先端部から延びる部分の外側を囲み、針状部10を支持している。針状部10の先端部とその付近は、針状部10の延びる方向に沿って、支持部50から突き出している。例えば、支持部50が有する孔に針状部10が通されることによって、支持部50に針状部10が組み付けられている。支持部50の外形は特に限定されない。針状部10のなかで支持部50から突き出している部分には、少なくとも、移植の際に生体の対象領域に進入する部分が含まれる。
細胞移植装置100が備える針状部10の数は特に限定されず、細胞移植装置100は、図1が示すように単一の針状部10を備えていてもよいし、図2が示すように複数の針状部10を備えていてもよい。細胞移植装置100が複数の針状部10を備える場合、複数の針状部10の配置は特に限定されず、複数の針状部10は規則的に並んでいてもよいし、不規則に並んでいてもよい。また、細胞移植装置100が複数の針状部10を備える場合、1つの支持部50が、すべての針状部10を一括して支持することが好ましい。すなわち、複数の針状部10が1つの支持部50に支持されることで、複数の針状部10が一体となった細胞移植装置100を構成していることが好ましい。
図3が示すように、細胞移植装置100は、針状部10への移植物の取り込みと放出とを補助する吸引押出部60を備えていてもよい。吸引押出部60は、針状部10の外部にある移植物を針状部10の先端部の開口から内部へ取り込むために、移植物を吸引すること、および、針状部10の上記開口から移植物を外部へ放出するために、針状部10の内部にある移植物を押すことを行う。
吸引押出部60は、移植物の吸引および押し出しが可能な機構を備えて当該吸引および押し出しが可能に針状部10に接続されていればよい。例えば、吸引押出部60は、針状部10の内部の空気を吸い込むことによって移植物をその保護液と共に吸引し、針状部10の内部へ空気を送り込むことによって移植物を保護液と共に押し出すように構成される。
なお、図3においては、細胞移植装置100が単一の針状部10を備える形態を図示しているが、細胞移植装置100が複数の針状部10を備える場合も同様に、細胞移植装置100は、吸引押出部60を備えていればよい。
[針状部の詳細構成]
図4が示すように、針状部10は、針状部10の先端部を含む第1管11と、第1管11よりも大きい流路断面積を有する第2管12とを備えている。第1管11と第2管12との各々は、針状部10の延びる方向に沿って延びる。第1管11の先端部は、針状部10の先端部を構成し、その先端部に開口13を有する。第2管12は、第1管11の基端部に接続されている。針状部10の内部に区画される内部流路14は、針状部10の延びる方向に沿って延び、開口13に通じている。言い換えれば、内部流路14は、針状部10の先端部に開口している。
第1管11の流路断面積は、針状部10が延びる方向と直交する断面において、第1管11の内周面が囲む領域の面積であり、第2管12の流路断面積は、針状部10が延びる方向と直交する断面において、第2管12の内周面が囲む領域の面積である。第1管11の流路断面積は一定であり、第2管12の流路断面積もまた、一定である。
例えば、第1管11の開口13を除く部分と第2管12との各々は、一定の内径を有する円筒状であり、第2管12の内径は、第1管11の内径よりも大きい。第1管11と第2管12との接続部分において、第1管11の端部は第2管12の端部に挿入されており、第2管12の内径は、第1管11の外径とほぼ一致するか大きい。第1管11および第2管12は、金属や樹脂から構成される。
細胞移植装置100は、針状部10における流路断面積が変わる箇所の付近、すなわち、第1管11と第2管12との接続部分の付近に、留止部20を備えている。留止部20は、内部流路14の途中で内部流路14を横断する。留止部20は、留止部20に対して針状部10の先端側から基端側へ、保護液を通す一方で移植物が通ることを抑える。
留止部20は、繊維状物21から構成される。繊維状物21が内部流路14を横断していることで、移植物が留止部20を通過することが抑えられる。移植物の通過を抑えることが可能であれば、留止部20を構成する繊維状物21の本数、材質、配置は特に限定されない。
第1実施形態においては、繊維状物21は、第1管11の基端部を跨ぐように配置されている。詳細には、繊維状物21の両端は、第1管11の外周面上に位置し、繊維状物21はその一端から他端へ第1管11の端面上を通って延びている。すなわち、留止部20のなかで内部流路14を横断する部分は、第2管12内に位置し、留止部20は、第1管11内から第2管12内へ移植物が進入することを抑える。
留止部20は、第1管11の基端部の端面に接していてもよいし、離れていてもよい。留止部20が第1管11の端面から離れている方が、留止部20の一方側から他方側へ保護液が流れやすくなる。ただし、留止部20が第1管11の端面から離れすぎていると、移植物が含む細胞群の全体が第1管11内から第2管12内へ入り込み、移植に際して細胞群が開口13の方へ移動しようとする際に、細胞群が第1管11の縁に引っ掛かりやすい。したがって、細胞群が細胞の集合体である場合には、針状部10が延びる方向における留止部20と第1管11の基端部の端面との間の距離Lは、細胞群の径以下であることが好ましい。距離Lは、すなわち、針状部10が延びる方向における留止部20と流路断面積が変わる箇所との間の距離である。
発毛または育毛に寄与する細胞群として、細胞凝集体等の細胞の集合体を移植しようとする場合、細胞群が含む細胞数は、1×10cellsから4×10cellsの程度である。この場合、細胞群を球体に近似したときの当該球体の直径、すなわち、細胞群に外接する最小の球の直径は、100μmから1000μm程度となる。したがって、上記距離Lは、100μm以下であることが好ましい。
また、針状部10の延びる方向において、開口13の基端から留止部20までの長さは、細胞群の径よりも大きければよい。したがって、開口13の基端から留止部20までの長さは、1mm以上であることが好ましい。また、開口13から移植物を放出する際に、移植物と共に放出される保護液の量を抑える観点では、開口13の基端から留止部20までの長さは、50mm以下であることが好ましい。
以下、繊維状物21の配置の具体例を説明する。図5〜図7は、留止部20が配置されている状態での第1管11の基端部を、針状部10の延びる方向に沿った方向と、針状部10の延びる方向に直交する方向とから見た図である。
図5が示す第1例では、留止部20は、複数本の繊維状物21がメッシュ状に配置された構成を有する。第1例の留止部20が配置された針状部10は、例えば、予め複数本の繊維状物21を交差させたメッシュ状の小片を作製し、当該小片を第1管11の基端部に被せて接着剤等で固定した後に、第1管11と第2管12とを接続することによって形成できる。こうした方法であれば、繊維状物21を一本ずつ配置する方法と比較して、留止部20の配置が容易である。
第1例の留止部20を、針状部10の延びる方向に沿った方向から見ると、繊維状物21が位置している領域と、隣り合う繊維状物21の隙間の領域とが存在する。繊維状物21の径、本数、交差態様の調整によって、上記隙間の大きさの調整が可能であり、これによって、留止部20の通過性能、すなわち、移植物の通しにくさと保護液の通しやすさとを調整することができる。第1例においては、こうした留止部20の通過性能の細かな設定が可能であるため、良好な通過性能を得やすい。
図6が示す第2例では、留止部20は、1本の繊維状物21から構成される。第2例の留止部20が配置された針状部10は、例えば、繊維状物21を第1管11の基端部に掛け渡して固定した後に、第1管11と第2管12とを接続することによって形成できる。繊維状物21は、接着剤のみで第1管11に固定してもよいし、第1管11の端面の2か所に切り込みを形成し、この切り込みに繊維状物21を引っ掛けることで繊維状物21を第1管11に仮止めした後に、接着剤で繊維状物21を第1管11に固定してもよい。切り込みを利用して繊維状物21を仮止めすると、繊維状物21の配置が容易である。第2例では、繊維状物21の径や配置位置の調整によって、留止部20の通過性能を調整することができる。
図7が示す第3例では、留止部20は、2本の繊維状物21から構成される。2本の繊維状物21は、第1管11の基端部の開口に面する位置で交差している。第3例の留止部20が配置された針状部10は、例えば、2本の繊維状物21を第1管11の基端部に掛け渡して固定した後に、第1管11と第2管12とを接続することによって形成できる。繊維状物21は、接着剤のみで第1管11に固定してもよいし、第1管11の端面の4か所に切り込みを形成し、2本の繊維状物21が交差するように切り込みに繊維状物21を引っ掛けて仮止めした後に、接着剤で繊維状物21を第1管11に固定してもよい。切り込みを利用して繊維状物21を仮止めすると、繊維状物21の配置が容易である。第3例では、繊維状物21の径や配置位置の調整によって、留止部20の通過性能を調整することができる。
針状部10の延びる方向から見た平面視において、第1管11の基端部の開口と繊維状物21とが重なる部分の面積を遮蔽面積Sとする。繊維状物21の本数および配置に関わらず、第1管11の基端部の開口の面積に対して遮蔽面積Sが占める割合は、20%以上85%以下であることが好ましい。すなわち、第1管11の流路断面積が一定である場合においては、第1管11の流路断面積に対して遮蔽面積Sが占める割合が、20%以上85%以下であることが好ましい。
遮蔽面積Sの上記割合が20%以上であれば、移植物が留止部20を通過することを抑える効果が十分に得られる。遮蔽面積Sの上記割合が85%以下であれば、保護液が留止部20を通過しやすくなるため、保護液の圧力損失が抑えられて、吸引および押し出しを円滑に行うことができる。なお、遮蔽面積Sが大きい場合でも、留止部20と第1管11との間の距離Lを大きくすることで、留止部20を通過する際の保護液の圧力損失を低減することはできる。
繊維状物21は、糸状に細長くのびる構造体であれば、その材料は限定されない。繊維状物21は、一般的な繊維に限らず、ワイヤー状に加工された構造体や、管状に加工された構造体であってもよい。繊維としては、綿、麻、亜麻、ラミー、ジュート等の植物繊維、毛、絹等の動物繊維、鉱物繊維、レーヨン、ポリノジック、キュプラ等の再生繊維、アセテート、トリアセテート、プロミックス等の半合成繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン等の合成繊維、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維等が利用可能である。なお、1本の繊維状物21は、複数本の繊維が縒り合わされた構成を有していてもよい。
また、特に、移植物が物理的な衝撃による影響を受けやすい場合には、開口13から入って内部流路14を流れた移植物が留止部20と接触したときに受ける衝撃が小さいことが好ましい。移植物が物理的な衝撃による影響を受けやすい場合には、例えば、細胞が衝撃によってダメージを受けやすい場合や、細胞同士の結合が弱いために細胞の集合が崩れやすい場合が含まれる。
上記衝撃を小さくするためには、繊維状物21を、公定水分率が7.0%以上の繊維から構成することが好ましい。繊維状物21が上記公定水分率を有する繊維から構成されていれば、移植物を針状部10の内部に取り込む前に、保護液等の液体を留止部20の位置まで取り込んでおくことで、繊維状物21に水分を保持させ、その柔軟性を高めることができる。繊維状物21の柔軟性が高められることにより、移植物が留止部20に接触した場合に生じる衝撃が小さくなる。したがって、物理的な衝撃による影響を移植物が受けることを抑えられる。
[針状部の組み付け]
針状部10と留止部20との組み付けの手順を説明する。なお、図8および図9では、部材の固定に用いる接着部を強調して示している。
図8が示すように、まず、第1管11の基端部に繊維状物21を固定することにより、留止部20を形成する。具体的には、接着部30によって、繊維状物21の端部を第1管11の外周面に接着する。接着部30は、第1管11の外周面における周方向の一部に形成されていればよく、繊維状物21の位置が固定されるように設けられればよい。
図9が示すように、続いて、留止部20を配置した第1管11の基端部を、第2管12の端部に挿入し、第1管11の外周面および外周面上に位置する繊維状物21と第2管12の内周面とを、接着部31によって接着する。接着部31は、第1管11の外周面および第2管12の内周面における周方向の全体に形成される。繊維状物21の端部は、第2管12から露出していてもよいし、第2管12に覆われていてもよい。なお、接着部30,31は、公知の接着性樹脂からなる接着剤から構成されればよい。
これにより、第1管11に第2管12が固定されて針状部10が形成されるとともに、針状部10と留止部20とが組み付けられる。上記製造方法によれば、第1管11と第2管12とを接続する際に、留止部20を内部流路14内に配置することができるため、留止部20が配置された針状部10の形成が容易である。なお、内部流路14の途中に留止部20を配置できれば、針状部10と留止部20との組み付けの手順や第1管11と第2管12と繊維状物21との固定の方法は、上述の形態に限られない。
図10は、単一の針状部10を備える細胞移植装置100について、針状部10を支持部50に組み付けた状態の断面構造を示す。支持部50からは、少なくとも、第1管11の開口13を含む部分であって、移植に際して対象領域に進入する部分が露出していればよい。第2管12は、その全体が支持部50に覆われていてもよいし、第2管12の端部は、支持部50から露出していてもよい。また、第2管12から繊維状物21の端部が露出している場合には、この繊維状物21の端部は、支持部50に覆われていてもよいし、支持部50から露出していてもよい。第2管12および繊維状物21の端部が支持部50に覆われている方が、第1管11と第2管12との接続部分の段差や繊維状物21の端部に外部の物品が引っ掛かることが抑えられる。
[移植方法]
細胞移植装置100を用いた移植物の移植方法を説明する。
図11が示すように、移植前において、移植物Cgは、培養容器等のトレイ70に保護液Plと共に保持されている。例えば、図11が示すように、移植物Cgと保護液Plとは、トレイ70が有する凹部71に入れられている。トレイ70における移植物Cgと保護液Plとの保持態様は、凹部71に移植物Cgと保護液Plとが保持される形態に限らず、例えば、トレイ70が有する平面上に移植物Cgと保護液Plとが配置されていてもよい。
保護液Plは、細胞の生存を阻害し難い液体であればよく、また、生体に注入された場合に生体に与える影響の小さい液体であることが好ましい。例えば、保護液Plは、生理食塩水、ワセリンや化粧水等の皮膚を保護する液体、あるいは、これらの液体の混合物である。保護液Plは、栄養成分等の添加成分を含んでいてもよい。また、トレイ70が培養容器であって、移植物Cgがトレイ70にて培養される場合、保護液Plは、細胞の培養のための培地であってもよいし、培地から交換された液体であってもよい。移植物Cgと保護液Plとを含む液状体は、低粘度の流体、あるいは、高粘度の流体であり得る。
細胞移植装置100は、開口13から、移植物Cgを針状部10の内部に取り込む。より詳細には、トレイ70にて、移植物Cgが保護液Plと共に位置する部分に、針状部10の先端部が向けられ、保護液Plと共に移植物Cgが針状部10に取り入れられる。例えば、図11が示すように、凹部71と針状部10との位置が合わせられた後、図12が示すように、凹部71に針状部10の先端部が入れられる。そして、吸引押出部60の作動によって、図13が示すように、保護液Plと共に移植物Cgが開口13から内部流路14に引き込まれる。
ここで、開口13から内部流路14に入った移植物Cgは、保護液Plの流れとともに第1管11内を留止部20に向けて移動する。留止部20は保護液Plを通すため、保護液Plは、吸引の流れに従って、第1管11から第2管12に入り、さらに基端側に向けて流れる。一方、留止部20は移植物Cgを通さないため、移植物Cgは、留止部20よりも先端側、すなわち、第1管11内に留められる。これにより、第1管11の内部に移植物Cgが収容され、吸引は停止される。
続いて、図14が示すように、生体の例えば皮膚Skである移植部位に針状部10が刺され、第1管11の先端部が皮膚Skの内部に進入して、移植の対象領域に開口13が配置される。発毛または育毛に寄与する細胞群を移植しようとする場合、対象領域は、皮内または皮下である。
図15が示すように、吸引押出部60の作動によって、第1管11の内部に収容されている移植物Cgは、保護液Plと共に押し出され、開口13から出る。これにより、対象領域に移植物Cgが配置される。その後、針状部10は皮膚Skから引き抜かれる。
以上により、移植物Cgの対象領域への移植が完了する。
細胞移植装置100を用いた上記移植方法によれば、移植物Cgをトレイ70から取り出して移植の対象領域へ配置するまでを1つの装置によって連続して行うことができるため、細胞の円滑な移植が可能である。
ここで、移植物Cgを対象領域に配置する際に、針状部10から移植物Cgと共に放出される保護液Plが多すぎると、移植部位が膨らみ、移植が阻害される。例えば、複数の針状部10を備える細胞移植装置100を用いる場合には、一部の針状部10の開口13が移植部位の膨らみにより塞がれ、移植できないという問題が発生する場合がある。また、針状部10を移植部位から抜いたときに、保護液Plが移植部位の表面へ逆流し、それと共に移植物Cgも移植部位の表面へ出てしまうことが起こり得る。
これに対し、本実施形態の細胞移植装置100においては、内部流路14の途中に留止部20が配置されているため、移植物Cgを針状部10に収容したときに、移植物Cgが、留止部20よりも先端側、すなわち、開口13を有する第1管11内に留められる。したがって、留止部20が設けられない形態と比較して、開口13に近い位置に移植物Cgを留めることが可能である。そして、開口13に近い位置に移植物Cgを留めた状態で、針状部10が移植部位に進入して移植物Cgが開口13から放出される。それゆえ、移植物Cgの放出と共に放出される保護液Plの量が過大になることが抑えられる。
特に、留止部20は保護液Plを通すため、移植物Cgの取り込みの際に取り込んだ保護液Plの量や吸引時間に関わらず、開口13に近い位置に移植物Cgが留められ、移植物Cgと共に放出される保護液Plの量も所定の量に保たれる。したがって、留止部20が設けられない形態と比較して、保護液Plの取り込み量や吸引時間を増やして、移植物Cgの取り込みが成功しやすい条件で移植物Cgの取り込みを行っても、移植物Cgの放出の際の保護液Plの放出量の増大が抑えられる。それゆえ、移植物Cgの収容と放出の双方の成功率を高めることも可能であるため、移植の効率がより高められる。
図16は、複数の針状部10を備える細胞移植装置100を用いた移植方法の一工程を示す。
留止部20は、各針状部10に対して1つずつ配置される。細胞移植装置100が複数の針状部10を備える場合も、針状部10の延びる方向における針状部10および留止部20と支持部50との位置関係は、細胞移植装置100が単一の針状部10を備える場合と同様である。
複数の針状部10を備える細胞移植装置100を用いる場合、移植物Cgの収容に際しては、各針状部10と移植物Cgとが向かい合うように、細胞移植装置100とトレイ70との位置が合わせられることによって、複数の針状部10に一括して移植物Cgを収容することができる。また、各針状部10から移植物Cgを放出することによって、複数の移植物Cgを一括して対象領域に配置することができる。したがって、移植の効率がより高められる。
以上説明したように、第1実施形態の細胞移植装置によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)内部流路14の途中に留止部20が配置されているため、移植物Cgを取り込んだ際の保護液Plの取り込み量や吸引時間に関わらず、開口13に近い位置に移植物Cgを留めることができる。そのため、保護液Plの取り込み量や吸引時間を増やしても、移植物Cgと共に放出される保護液Plの量が過大になることを抑えることが可能であり、移植物Cgの収容と放出とを好適に進めることができる。したがって、移植の効率が高められる。
(2)針状部10が、第1管11と第2管12とを備え、留止部20が、第1管11と第2管12との接続部分の付近に位置する。したがって、移植物Cgを開口13から針状部10の内部に収容したときに、移植物Cgを第1管11の内部に留めることができる。また、第2管12の流路断面積が第1管11の流路断面積よりも大きいため、移植物Cgと保護液Plとを取り込む際に、保護液Plが留止部20を越えて基端側へ流れやすい。
(3)留止部20が、複数本の繊維状物21が交差したメッシュ状に構成されている形態であれば、予め繊維状物21が交差したメッシュ状の小片を作製しておくことによって、留止部20を針状部10に容易に組み付けることができる。
(4)繊維状物21が、7.0%以上の公定水分率を有する繊維から構成される形態であれば、繊維状物21が水分を保持しやすく、繊維状物21に液体を含ませておくことで、繊維状物21の柔軟性が高められる。これにより、留止部20に移植物Cgが接触した場合に移植物Cgが受ける衝撃を小さくできるため、こうした衝撃が移植物Cgに与える影響を小さくできる。
(5)第1管11の流路断面積に対する遮蔽面積Sの割合が、20%以上85%以下である。これにより、移植物Cgが留止部20を通過することを抑える効果が十分に得られる。一方で、移植物Cgと共に針状部10に取り込まれる保護液Plが留止部20を通過しやすくなるため、保護液Plの圧力損失が抑えられて、移植物Cgを含む液状体の取り込みと放出とを円滑に行うことができる。
(6)繊維状物21が、第1管11の基端部を跨ぐように配置され、繊維状物21の端部は、第1管11の外周面に固定されている。こうした構成によれば、第1管11と第2管12とを接続する際に、針状部10に留止部20を組み付けることができる。したがって、第1管11や第2管12に、留止部20の組み付けのための穴あけ等の加工を要する形態と比較して、留止部20の配置が容易である。
(7)針状部10の延びる方向において、留止部20と第1管11の基端部の端面との間の距離Lが100μm以下であれば、移植物Cgが発毛または育毛に寄与する細胞群を含む場合に、細胞群の全体が第2管12内に入り込むことが抑えられる。したがって、細胞群の放出に際して、第1管11と第2管12との接続部分で細胞群が第1管11の縁に引っ掛かることが抑えられる。
(8)細胞移植装置100が、複数の針状部10と、各針状部10に対して1つずつ配置された留止部20とを備える形態であれば、複数の針状部10に移植物Cgを一括して収容すること、および、複数の針状部10から移植物Cgを一括して放出することが可能である。したがって、細胞の移植の効率をさらに高めることができる。
(9)移植物Cgが、細胞群として、100μm以上1000μm以下の径を有する細胞集合体を含む。また、移植物Cgが、細胞群として、皮膚由来幹細胞を含んだ細胞凝集体を含む。こうした細胞群の移植が発毛や育毛を目的とする場合、多くの細胞群を移植することが求められる場合が多い。こうした細胞群の移植に細胞移植装置100が用いられることで、細胞の移植の効率が大きく高められるため、細胞の円滑な移植が可能となることの利点が大きい。
(第2実施形態)
図17〜図19を参照して、細胞移植装置の第2実施形態を説明する。以下では、第2実施形態と第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
第2実施形態の細胞移植装置においては、針状部10と留止部20との組み付けの態様が第1実施形態と異なっており、支持部50および吸引押出部60の構造や機能は第1実施形態と同様である。したがって、以下の図では、針状部10および留止部20のみを示してこれらの構成を説明する。なお、第2実施形態の細胞移植装置も、単一の針状部10を備えていてもよいし、複数の針状部10を備えていてもよい。留止部20は、針状部10ごとに1つずつ設けられる。
図17が示すように、第2実施形態においては、繊維状物21が、針状部10の側壁を貫通して、内部流路14を横断することにより、留止部20が構成されている。留止部20は、針状部10における流路断面積が変わる箇所に対して基端側に位置し、言い換えれば、第1管11と第2管12との接続部分よりも針状部10の基端側に位置する。留止部20は、第2管12内で内部流路14を横断しており、繊維状物21は、第2管12を、針状部10の延びる方向と直交する方向に貫通している。そして、繊維状物21の両端部は、第2管12の外周面に、接着部32によって固定されている。
また、第1管11と第2管12との接続部分には繊維状物21は挟まれておらず、第1管11の基端部が第2管12の先端部に挿入されて、第1管11の外周面が第2管12の内周面に接着部33によって固定されている。
留止部20は、保護液を通す一方で、第1管11内から第2管12内へ移植物が進入することを抑える。留止部20を構成する繊維状物21の数および配置は特に限定されない。繊維状物21の本数、径、配置を調整することによって、留止部20の通過性能を調整することができる。
第2管12内への移植物の進入を的確に抑えるためには、第2実施形態においても、針状部10が延びる方向における留止部20と第1管11の端面との間の距離Lは、移植物の径以下であることが好ましい。そして、発毛または育毛に寄与する細胞群を移植しようとする場合、上記距離Lは、100μm以下であることが好ましい。
第2実施形態の細胞移植装置を用いた移植方法も、第1実施形態と同様の手順で行われる。すなわち、まず、針状部10の開口13から、移植物が保護液とともに内部流路14に取り込まれる。留止部20は、保護液を通す一方、移植物を通さないため、移植物は、留止部20よりも先端側の第1管11内に留められる。そして、移植部位に針状部10が刺され、開口13から移植物が放出されることにより、移植物Cgが生体内における移植の対象領域に配置される。
第2実施形態においても、内部流路14の途中に留止部20が配置されているため、保護液の取り込み量や吸引時間に関わらず、開口13に近い位置に移植物を留めることができる。そのため、保護液の取り込み量や吸引時間を増やしても、移植物と共に放出される保護液の量が過大になることを抑えることが可能であり、移植物の収容と放出とを好適に進めることができる。したがって、移植の効率が高められる。
以上のように、第2実施形態の細胞移植装置によっても、第1実施形態の(1),(2),(4),(5),(7)〜(9)と同様の効果を得ることができる。
[変形例]
第2実施形態の変形例を説明する。
図18が示すように、留止部20は、針状部10における流路断面積が変わる箇所に対して先端側に位置してもよい。すなわち、留止部20は、第1管11と第2管12との接続部分よりも針状部10の先端側に位置し、第1管11内で内部流路14を横断している。繊維状物21は、第1管11を、針状部10の延びる方向と直交する方向に貫通しており、繊維状物21の両端部は、第1管11の外周面に接着部32によって固定されている。
こうした形態であっても、留止部20は、第1管11内から第2管12内へ移植物が進入することを抑え、留止部20よりも先端側に移植物を留める。この場合も、針状部10が延びる方向における留止部20と第1管11の基端部の端面との間の距離Lは、移植物の径以下であることが好ましい。そして、発毛または育毛に寄与する細胞群を移植しようとする場合、上記距離Lは、100μm以下であることが好ましい。これによれば、留止部20の位置が針状部10の先端部に近くなりすぎることが抑えられ、移植物が留められる空間の大きさが十分に確保されやすい。
以上の変形例によっても、第1実施形態の(1),(2),(4),(5),(8),(9)と同様の効果を得ることができる。
また、図19が示す針状部15のように、針状部15は、1つの管から構成されていてもよい。そして、内部流路14の流路断面積は一定であってもよい。留止部20は、内部流路14の途中にて、内部流路14を横断している。繊維状物21は、針状部15を、針状部15の延びる方向と直交する方向に貫通しており、繊維状物21の両端部は、針状部15の外周面に接着部32によって固定されている。
こうした形態であっても、留止部20が設けられない形態と比較して、開口13に近い位置に移植物を留めることができる。そのため、移植物と共に放出される保護液の量が過大になることを抑えることが可能であり、移植物の収容と放出とを好適に進めることができる。したがって、移植の効率が高められる。
以上の変形例によっても、第1実施形態の(1),(4),(5),(8),(9)と同様の効果を得ることができる。
(他の形態)
上記各実施形態およびその変形例は、以下のように変更して実施することが可能である。
・留止部20は、内部流路14の途中に配置されていればよく、針状部10に対する繊維状物21の固定の態様は、上記実施形態とは異なっていてもよい。
・第1管11の流路断面積は一定でなくてもよいし、第2管12の流路断面積は一定でなくてもよい。第1管11と第2管12との流路断面積に関わらず、繊維状物21が第1管11の基端部に跨るように留止部20が配置される形態であれば、第1管11と第2管12とを接続する際に、針状部10に留止部20を組み付けることができるため、留止部20の配置が容易である。
また、針状部10において、留止部20よりも先端側に、相対的に流路断面積の小さい部分である第1部が含まれ、留止部20よりも基端側に、相対的に流路断面積の大きい部分である第2部が含まれる形態であれば、留止部20の基端側の全体においてその流路断面積が留止部20の先端側よりも小さい形態と比較して、移植物と保護液とを針状部10の内部に取り込む際に、保護液が留止部20を越えて基端側へ流れやすい。
・針状部10,15を構成する管は、先端部と基端部とに開口を有し、これらの開口が管内の空間を通じて連通している構成を有していればよく、円筒状に延びる構造体に限られない。上記管の外形は、円柱状であってもよく、錐体状であってもよく、角柱体状であってもよく、特に限定されない。また、上記管の内部に区画される空間の形状は、円柱状であってもよく、錐体状であってもよく、角柱体状であってもよく、特に限定されない。針状部10が第1管11と第2管12との複数の管から構成される場合には、第1管11の内部の空間と第2管12の内部の空間とが連通して内部流路14を構成していればよい。
10,15…針状部、11…第1管、12…第2管、13…開口、14…内部流路、20…留止部、21…繊維状物、30,31,32,33…接着部、50…支持部、60…吸引押出部、100…細胞移植装置。

Claims (11)

  1. 生体内の対象領域に、細胞を含む移植物を配置するための細胞移植装置であって、
    1つの方向に沿って延びる針状部であって、当該針状部の先端部に開口する流路を内部に有する前記針状部と、
    前記流路の途中に位置し、繊維状物から構成される留止部であって、前記開口から前記流路内に入った液状体中の前記移植物を前記留止部よりも先端側に留めるための前記留止部と、
    を備える細胞移植装置。
  2. 前記留止部は、複数本の繊維状物が交差したメッシュ状に構成されている
    請求項1に記載の細胞移植装置。
  3. 前記繊維状物は、公定水分率が7.0%以上の繊維から構成される
    請求項1または2に記載の細胞移植装置。
  4. 前記針状部は、
    前記留止部よりも先端側に位置する第1部と、
    前記留止部よりも基端側に位置する第2部と、含み、
    前記第2部の流路断面積は、前記第1部の流路断面積よりも大きい
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の細胞移植装置。
  5. 前記針状部は、
    前記先端部を含む第1管と、
    前記第1管の基端部に接続された第2管と、を備え、
    前記留止部は、前記第1管と前記第2管との接続部分の付近に位置する
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の細胞移植装置。
  6. 前記針状部の延びる方向から見た平面視において、
    前記第1管の基端部の開口と前記繊維状物とが重なる部分の面積が、当該基端部の開口の面積に占める割合は、20%以上85%以下である
    請求項5に記載の細胞移植装置。
  7. 前記繊維状物は、前記第1管の基端部を跨ぐように配置され、
    前記繊維状物の端部は、前記第1管の外周面に固定されている
    請求項5または6に記載の細胞移植装置。
  8. 前記針状部の延びる方向において、前記留止部と、前記第1管の基端部の端面との間の距離は、100μm以下である
    請求項5〜7のいずれか一項に記載の細胞移植装置。
  9. 複数の前記針状部と、各針状部に対して1つずつ配置された前記留止部とを備える
    請求項1〜8のいずれか一項に記載の細胞移植装置。
  10. 100μm以上1000μm以下の径を有する細胞集合体を含む前記移植物を、前記対象領域に配置するために用いられる
    請求項1〜9のいずれか一項に記載の細胞移植装置。
  11. 皮膚由来幹細胞を含んだ細胞凝集体である前記移植物を、前記対象領域に配置するために用いられる
    請求項1〜10のいずれか一項に記載の細胞移植装置。
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