JP6790883B2 - ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、得られる成形品の摺動性、耐傷付き性、耐摩耗性が改善されたポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物に関するものである。本発明はまた、このポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品に関するものである。
ポリ乳酸樹脂の原料となるL−乳酸は、トウモロコシ、芋等から抽出した糖分を用いて発酵法により生産されている。L−乳酸原料の植物は光合成により大気中の二酸化炭素の炭素原子を取り込んで有機化合物を合成し、これをもとに植物のからだを作る。従って、植物を燃やして二酸化炭素を発生させても、空気中に排出される二酸化炭素の中の炭素原子はもともと空気中に存在した炭素原子を植物が取り込んだものであるため、大気中の二酸化炭素総量の増減には影響を与えない(カーボンニュートラル)と言われている。また、ポリ乳酸樹脂は、その樹脂の特性として剛性、透明性が高いなどの特長により、各種分野での実用化が期待されている。
しかしながら、各種プラスチックに代替し得る樹脂として、ポリ乳酸樹脂にはさらなる改良が必要とされている。
ポリ乳酸樹脂とスチレン系樹脂を混合してなるポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、汎用ABS並みの物性と優れた発色性、植物由来成分配合による環境問題への配慮の利点を有する反面、汎用ABS樹脂に比べると材料特性の観点からその用途は限定されている。例えば、部品が複雑に接合されているOA機器内部部品やスイッチ部分、振動機器、車両カーオディオの嵌合部分等では、摺動性が劣ると軋み音(擦れ音)が発生するため、摺動特性が求められるが、従来のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物では、摺動性の要求特性を満足し得ない。
また、すべての用途において、通常耐傷付き性、耐摩耗性が要求される。
摺動性が低いことに起因する軋み音(擦れ音)を防止するために、不織布を張り付ける手段、勘合部にグリスを塗布することですべりを良くする技術は一般的ではあるが、マテリアルリサイクルの観点から分別や異物除去の徹底が必須となる中で、単一素材化がより好ましい。不織布やグリスといったものは異物と認識され、それらを分別、除去することは非常に困難である。
従来、ポリ乳酸樹脂成形品の摺動性、耐傷付き性を改善する技術として、次のような提案されている。
特許文献1には、ポリアセタール成分と、摺動性改良成分として摺動性改良重合体成分とポリ乳酸成分とを配合することにより、摩擦摩耗特性に優れたポリアセタール樹脂組成物が開示されている。このものは、摺動性は非常に優れているものの、ポリアセタールは、高温下で混練した際に発生するガスに含まれるホルムアルデヒドの人体への影響が懸念される。
特許文献2には、ポリ乳酸に、(メタ)アクリル酸系樹脂成分とマレイミド系樹脂成分を含むゴム強化樹脂を配合したポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物が開示されている。このものは、耐傷付き性には優れるものの摺動性については十分とは言えない。
特許文献3には、本発明で用いる有機変性シロキサン化合物を、ポリカーボネート樹脂成形品の摺動性改良のために配合することが提案されているが、ポリ乳酸樹脂に配合した場合の効果、特に同素材同士の摺動性のみならず、異素材同士の摺動性の改良効果については明らかにされていない。
ポリカーボネート樹脂とポリ乳酸樹脂とでは基本構造が異なり、相溶性の観点から摺動性や耐傷付き性が上手く発現せず、相溶性が悪いことで層状剥離を引き起こし耐衝撃性も低いものとなるなど、両者は異なる樹脂性状を有することから、ポリカーボネート樹脂に適用される特性改良剤をそのままポリ乳酸樹脂に適用できるというものではない。
特開2004−231829号公報 特開2007−63368号公報 特開2015−67706号公報
本発明は、得られる成形品の摺動性、耐傷付き性、耐摩耗性、更には耐衝撃性、耐熱性が改善されたポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物およびその成形品を提供することを課題とする。
本発明者らは、従来技術の検証・改良に鋭意努力した結果、ポリ乳酸樹脂に特定の有機変性シロキサン化合物を配合することによって、摺動性、耐傷付き性、耐摩耗性において実用上十分な特性を有するポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物を得ることができることを見出し、本発明に至った。
本発明は以下を要旨とする。
[1] ポリ乳酸樹脂(A)100重量部に対して、有機変性シロキサン化合物(B)を0.3〜3.5重量部含むポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物であって、該有機変性シロキサン化合物(B)は、有機変性されたシロキサン(b−1)と熱可塑性樹脂(b−2)とが化学的に結合した化合物、または有機変性されたシロキサン(b−1)と熱可塑性樹脂(b−2)との混合物であり、該熱可塑性樹脂(b−2)がポリオレフィンおよび/またはポリアミドを含むことを特徴とするポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物。
[2] ポリ乳酸樹脂(A)とゴム強化樹脂(C)との合計100重量部に対して、有機変性シロキサン化合物(B)を0.3〜3.5重量部含むポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物であって、該有機変性シロキサン化合物(B)は、有機変性されたシロキサン(b−1)と熱可塑性樹脂(b−2)とが化学的に結合した化合物、または有機変性されたシロキサン(b−1)と熱可塑性樹脂(b−2)との混合物であり、該熱可塑性樹脂(b−2)がポリオレフィンおよび/またはポリアミドを含むことを特徴とするポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物。
[3] [2]において、ゴム強化樹脂(C)が、ゴム質重合体に、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及びマレイミド化合物より選ばれるビニル系単量体の少なくとも1種をグラフト重合してなるグラフト共重合体(C−1)と、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及びマレイミド化合物より選ばれる少なくとも1種のビニル系単量体を共重合してなる共重合体(C−2)からなることを特徴とするポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物。
[4] [3]において、ゴム強化樹脂(C)を、ポリ乳酸樹脂(A)とゴム強化樹脂(C)との合計100重量部に対して95〜5重量部含み、ポリ乳酸樹脂(A)とゴム強化樹脂(C)との合計100重量部に対して、グラフト共重合体(C−1)を5〜40重量部、共重合体(C−2)を30〜70重量部含むことを特徴とするポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物。
[5] [1]ないし[4]のいずれかにおいて、更に、シリコーンオイル(D)を含むことを特徴とするポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物。
[6] [1]ないし[5]のいずれかに記載のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物を成形してなるポリ乳酸系熱可塑性樹脂成形品。
本発明によれば、摺動性、耐傷付き性、耐摩耗性、更には耐衝撃性、耐熱性が改善されたポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
本発明によれば、このように実用的なポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物を提供することにより、植物由来樹脂であるポリ乳酸樹脂の用途を広げ、カーボンニュートラルの理念の実践を促進して、環境負荷の低減に貢献することができる。
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品は、その優れた摺動性、耐傷付き性、耐摩耗性、更には耐衝撃性、耐熱性から、OA機器内部部品やスイッチ部分、振動する機器、車両カーオディオの嵌合部分等、異種材と接触する部品などに好適である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明において、ポリ乳酸樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)や、ゴム強化樹脂(C)のアセトン可溶分の重量平均分子量(Mw)、共重合体(C−2)の重量平均分子量(Mw)は、いずれも、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にてテトラヒドロフラン(THF)に溶解して測定したものをポリスチレン(PS)換算で示したものである。
また、本発明において、「樹脂成分」とは、ポリ乳酸樹脂(A)とゴム強化樹脂(C)及び必要に応じて更に含有されてもよいその他の樹脂の合計をさす。
〔ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物〕
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物(以下、「本発明の樹脂組成物」と称す場合がある。)は、ポリ乳酸樹脂(A)100重量部、或いは、ポリ乳酸樹脂(A)とゴム強化樹脂(C)との合計100重量部に対して、特定の有機変性シロキサン化合物(B)を0.3〜3.5重量部含むものである。
[ポリ乳酸樹脂(A)]
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物に適用されるポリ乳酸樹脂(A)は、乳酸を直接脱水縮重合する方法、或いはラクチドを開環重合する方法等といった、公知の手段で得ることができる。
ポリ乳酸樹脂にはL体、D体、DL体の3種の光学異性体が存在し、市販されているポリ乳酸樹脂としては、L体の純度が100%に近いものがあるが、本発明で用いるポリ乳酸樹脂(A)は、結晶化という観点から、L体もしくはD体の光学純度が98%以上のものであることが好ましい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリ乳酸樹脂(A)は他の共重合成分を含んだ共重合体でも構わない。
ポリ乳酸樹脂(A)に含まれる他の共重合成分としては、エチレングリコール、ブロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノ−ルA、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのグリコール化合物;シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸などのジカルボン酸;グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキ
シカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸;カプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オンなどのラクトン類などを挙げることができる。このような共重合成分の含有量は、ポリ乳酸樹脂(A)中の全単量体成分中通常30モル%以下の含有量とするのが好ましく、10モル%以下であることがより好ましい。
ポリ乳酸樹脂(A)の分子量や分子量分布については、実質的に成形加工が可能であれば特に制限されるものではないが、重量平均分子量(Mw)としては、通常1万以上、好ましくは5万以上、さらに10万以上であることが望ましい。ポリ乳酸樹脂(A)の重量平均分子量の上限については特に制限はないが、通常市場に存在するポリ乳酸樹脂の重量平均分子量は40万以下である。
なお、ポリ乳酸樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、前述の如く、GPC(溶媒THF)にて測定することができるが、ポリ乳酸樹脂がペレット状の場合、THFに溶解し難い場合があり、その場合は、クロロホルムに溶解させた後、メタノールを用いてポリマー成分を析出させ、そのポリマー成分を乾燥させたものをTHFに溶解させて可溶分の重量平均分子量(Mw)を測定することができる。また、必要に応じて加温するなどして溶解させることもできる。
上記のポリ乳酸樹脂(A)は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
このようなポリ乳酸樹脂の具体例としては、例えば、Nature Works社製「INGEO」、中国海生生物材料公司社製「レヴォダ」などが挙げられ、いずれも本発明に使用することができる。
[有機変性シロキサン化合物(B)]
本発明で用いる有機変性シロキサン化合物(B)は、有機変性されたシロキサン(b−1)と熱可塑性樹脂(b−2)とが化学的に結合した化合物、または有機変性されたシロキサン(b−1)と熱可塑性樹脂(b−2)との混合物であって、その熱可塑性樹脂(b−2)が、ポリオレフィンおよび/またはポリアミドを含むものである。
有機変性シロキサン化合物(B)に含まれるシロキサンの構造は、特に限定されない。シロキサンを有機変性する方法は、熱可塑性樹脂(b−2)と化学的に結合できるような有機変性されたシロキサン(b−1)が得られる方法であればよく、特に限定されない。
熱可塑性樹脂(b−2)としては、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66等)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリカーボネート、ポリアミドイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、スチレン系樹脂(ポリスチレン、ABS樹脂等)、液晶ポリエステル、共重合体(例えば、アクリロニトリルとスチレンとの共重合体、ナイロン6とナイロン66との共重合体等)、これらの混合物(アロイを含む。)等が挙げられるが、本発明では、これらのうち、ポリオレフィンおよび/またはポリアミド、好ましくはポリオレフィンを必須とする。
本発明の樹脂組成物中の有機変性シロキサン化合物(B)の含有量は、ポリ乳酸樹脂(A)、或いはポリ乳酸樹脂(A)と後述のゴム強化樹脂(C)との合計100重量部に対して、0.3〜3.5重量部の範囲であるが、好ましくは0.4〜3.0重量部、より好ましくは0.5〜2.5重量部であることが、分散性と摺動性改善の点において好ましい。この範囲よりも、有機変性シロキサン化合物(B)の含有量が少ないと、摺動性、耐傷付き性、耐摩耗性の改良効果を十分に得ることができず、本発明の目的を達成し得ない。また、この範囲よりも有機変性シロキサン化合物(B)の含有量が多いと、分散性に優れたポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物が得られなくなる。
[ゴム強化樹脂(C)]
本発明の樹脂組成物は、樹脂成分として、ポリ乳酸樹脂(A)の他にゴム強化樹脂(C)を含有していてもよい。
本発明で使用するゴム強化樹脂(C)は、好ましくは、ゴム質重合体に、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、マレイミド化合物等のビニル系単量体の少なくとも1種をグラフト重合してなるグラフト共重合体(C−1)と、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、マレイミド化合物の少なくとも1種を共重合してなる共重合体(C−2)からなる。ここで、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の一方又は双方をさす。
<グラフト共重合体(C−1)>
グラフト共重合体(C−1)を形成するゴム質重合体としては、例えば、ポリブタジエン、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル/ブタジエン共重合体等のブタジエン系ゴムや、スチレン/イソプレン共重合体等の共役ジエン系ゴム;ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム、エチレン/プロピレン共重合体等のオレフィン系ゴムが挙げられ、これらのうち、摺動性、耐傷付き性、耐衝撃性の観点でポリブタジエン系ゴム、共役ジエン系ゴム、オレフィン系ゴム、アクリル系ゴムが好ましく、中でもポリブタジエン系ゴム、オレフィン系ゴムが好ましい。これらのゴム質重合体は1種を単独で、或いは2種以上を混合して使用することができる。
なお、これらゴム質重合体は、コア/シェル構造となっているものであってもよい。例えば、ポリブタジエンをコアにして、アクリル酸エステルをシェルにしたゴム質重合体とすることもできる。
グラフト共重合体(C−1)を形成するゴム質重合体がオレフィン系ゴムの場合、エチレン・α−オレフィン共重合体を架橋処理した架橋エチレン・α−オレフィン共重合体であってもよい。
ここで、エチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンと炭素数が3以上のα−オレフィンとを公知の重合方法によって共重合することによって得られた、エチレン単位とα−オレフィン単位とからなる共重合体である。α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−イコセン、1−ドコセン等の1種または2種以上が挙げられ、得られる成形品の耐衝撃性の点から、炭素数が3〜20のα−オレフィンが好ましく、プロピレンが特に好ましい。エチレン・α−オレフィン共重合体のエチレン単位の含有率は、エチレン・α−オレフィン共重合体を構成する全ての構成単位の合計を100重量%としたときに、45〜65重量%が好ましく、50〜60重量%がより好ましい。
架橋エチレン・α−オレフィン共重合体は、上記のエチレン・α−オレフィン共重合体を架橋処理したものである。エチレン・α−オレフィン共重合体を架橋処理することにより、得られる成形品の耐衝撃性等がさらに優れたものとなる。
上記のゴム質重合体のゲル含有量は、好ましくは40〜99重量%、より好ましくは50〜95重量%で、特に好ましくは60〜85重量%である。ゲル含有量がこの範囲内であれば、得られるポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物の特性、特に、耐衝撃性を向上させることができる。
なお、ゴム質重合体のゲル含有量を測定するには、具体的には、秤量したゴム質重合体を、適当な溶剤に室温(23℃)で20時間かけて溶解させ、次いで、100メッシュ金網で分取して、金網上に残った不溶分を60℃で24時間乾燥した後秤量する。分取前のゴム質重合体に対する不溶分の割合(重量%)を求め、ゴム質重合体のゲル含有量とする。ゴム質重合体の溶解に用いる溶剤としては、例えば、ポリブタジエンではトルエンを、ポリブチルアクリレートではアセトンを用いると測定が行いやすい。
また、ゴム質重合体の平均粒子径は、特に限定されるものではないが、0.1〜1μmが好ましく、0.2〜0.5μmであることがより好ましい。なお、ゴム質重合体の平均粒子径は、グラフト重合前であれば、光学的な方法で測定することができる。また、グラフト重合した後は、染色剤によりゴム質重合体を染色した後に透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて平均粒子径を算出することができる。
グラフト共重合体(C−1)は、好ましくは上記のゴム質重合体50〜90重量%の存在下、グラフト重合可能なビニル系単量体成分50〜10重量%をグラフト重合させて得ることができる(ただし、ゴム質重合体と単量体混合物との合計で100重量%とする。)。ここで、ゴム質重合体が上記下限値以上であると、得られるポリ乳酸系熱可塑性樹脂成形品の耐衝撃性が良好となり、また、上記上限値以下であると耐衝撃性の低下を防止することができる。
ゴム質重合体にグラフト重合可能なビニル系単量体成分としては、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、マレイミド化合物が挙げられ、上記単量体はそれぞれ、1種または2種以上を選択して使用することができる。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等が挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。また、芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。メタクリル酸エステル系単量体としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチルおよびこれらの誘導体等が挙げられ、この中でも特にメタクリル酸メチルが好ましい。アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチルおよびこれらの誘導体等が挙げられ、この中でも特にアクリル酸メチルが好ましい。マレイミド化合物としては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
また、これらの単量体成分には、場合により官能基により変性された単量体を含んでもよく、このような単量体としては例えば、不飽和カルボン酸として、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられる。これらは、それぞれ1種を単独で、或いは2種以上を混合して用いることができる。その使用割合は単量体成分の合計100重量%に対して30重量%以下、特に10重量%以下であることが好ましい。
グラフト共重合体(C−1)のゴム質重合体にグラフトするビニル系単量体成分としては、上記例示単量体のうち、特にシアン化ビニル系単量体および芳香族ビニル系単量体の組み合わせ、メタクリル酸エステル系単量体およびアクリル酸エステル系単量体の組み合わせが好ましい。シアン化ビニル系単量体および芳香族ビニル系単量体の組み合わせとして、シアン化ビニル系単量体としてはアクリロニトリルが、芳香族ビニル系単量体としてはスチレンが、特に得られるポリ乳酸系熱可塑性樹脂成形品の耐衝撃性をさらに向上させる点から好ましい。この場合、シアン化ビニル系単量体と芳香族ビニル系単量体の重量組成比は、20/80〜35/65の範囲が好ましく、より好ましくは25/75〜30/70である。この範囲内であることにより、分散性が良好なものとなる。また、メタクリル酸エステル系単量体およびアクリル酸エステル系単量体の組み合わせとして、メタクリル酸エステル系単量体としてはメタクリル酸メチルが、アクリル酸エステル系単量体としてはアクリル酸メチルが、特に得られる樹脂組成物におけるポリ乳酸樹脂(A)との相溶性の観点から好ましい。この場合、メタクリル酸エステル系単量体とアクリル酸エステル系単量体の重量組成比は100/0〜50/50が好ましく、さらには99/1〜80/20の範囲である。この範囲内であることにより、ポリ乳酸樹脂(A)との相溶性が良好なものとなる。
なお、グラフト共重合体(C−1)のアセトン可溶分の重量平均分子量(Mw)は、50,000〜600,000の範囲が好ましく、より好ましくは50,000〜550,000、さらに好ましくは50,000〜450,000の範囲である。グラフト共重合体(C−1)のアセトン可溶分の重量平均分子量(Mw)が上記下限値以上であることにより、得られるポリ乳酸系熱可塑性樹脂成形品の耐衝撃性が十分なものとなり、上記上限値以下であることにより、本発明の樹脂組成物の成形性が良好となる。なお、アセトン可溶分とは、ゴム質重合体にビニル系単量体をグラフト重合した際に生じるゴム質重合体にグラフト重合していないビニル系単量体の重合体生成物に相当するものである。
また、グラフト共重合体(C−1)のグラフト率((アセトン不溶分重量/ゴム質重合体重量−1)×100)は、15〜120重量%であることが好ましく、さらに20〜85重量%であることがより好ましい。グラフト共重合体(C−1)のグラフト率が上記下限値以上であることにより、グラフト共重合体(C−1)の分散性、得られるポリ乳酸系熱可塑性樹脂成形品の衝撃強度が良好となる。また、グラフト率が上記上限値以下であることにより、耐衝撃性が良好となる。なお、ゴム質重合体にグラフトしている共重合体は、ゴム質重合体の外部のみならず内部にオクルードした構造であっても良い。
ここで、アセトン可溶分は、共重合体(C−2)と同様の重合体であって、ゴム質重合体にグラフトしていない重合体である。アセトン可溶分は、ゴム質重合体にビニル系単量体成分をグラフトさせる際に同時に生成することが多い。よって、グラフト共重合体(C−1)は、アセトン可溶分とアセトン不溶分とを含む。
尚、グラフト共重合体(C−1)は、ゴム質重合体とビニル系単量体成分とがどのように重合しているか、詳細に特定することは困難である。すなわち、グラフト共重合体(C−1)をその構造または特性により直接特定することが不可能であるか、またはおよそ実際的ではないという事情(不可能・非実際的事情)が存在する。
グラフト重合は、公知の乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合により行うことができ、これらの重合方法を組み合わせた方法でもよい。
グラフト共重合体(C−1)としては、重合方法や成分組成の異なるグラフト共重合体(C−1)の2種以上を混合して用いても良い。
<共重合体(C−2)>
共重合体(C−2)を形成するビニル系単量体成分としては、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、マレイミド化合物が挙げられ、上記単量体はこれらの2種以上を選択して使用することができる。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等が挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。また、芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。メタクリル酸エステル系単量体としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチルおよびこれらの誘導体等が挙げられ、この中でも特にメタクリル酸メチルが好ましい。アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチルおよびこれらの誘導体等が挙げられ、この中でも特にアクリル酸メチルが好ましい。マレイミド化合物としては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
共重合体(C−2)のビニル系単量体成分としては、上記例示単量体のうち、シアン化ビニル系単量体および芳香族ビニル系単量体の組み合わせが分散性、耐熱性の観点から好ましく、メタクリル酸エステル系単量体およびアクリル酸エステル系単量体の組み合わせが耐衝撃性の観点から好ましい。シアン化ビニル系単量体および芳香族ビニル系単量体の組み合わせとして、シアン化ビニル系単量体としてはアクリロニトリルが、芳香族ビニル系単量体としてはスチレンが、特に得られるポリ乳酸系熱可塑性樹脂成形品の耐衝撃性をさらに向上させる点から好ましい。この場合、シアン化ビニル系単量体と芳香族ビニル系単量体の重量組成比は、20/80〜35/65の範囲が好ましく、より好ましくは25/75〜30/70である。この範囲内であることにより、分散性が良好なものとなる。また、メタクリル酸エステル系単量体およびアクリル酸エステル系単量体の組み合わせとして、メタクリル酸エステル系単量体としてはメタクリル酸メチルが、アクリル酸エステル系単量体としてはアクリル酸メチルが、特に得られるポリ乳酸系熱可塑性樹脂成形品のポリ乳酸との相溶性の観点から好ましい。この場合、メタクリル酸エステル系単量体とアクリル酸エステル系単量体の重量組成比は100/0〜50/50が好ましく、さらには99/1〜80/20の範囲である。この範囲内であることにより、ポリ乳酸樹脂(A)との相溶性が良好なものとなる。
共重合体(C−2)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは30,000〜300,000の範囲であり、さらに好ましくは50,000〜250,000の範囲である。共重合体(C−2)の重量平均分子量がこの範囲よりも低い場合には、得られるポリ乳酸系熱可塑性樹脂成形品の耐衝撃性が不足し、また、この範囲を超えた場合には、成形加工性が低下するおそれがある。
<樹脂組成物中の含有量>
本発明の樹脂組成物が、ゴム強化樹脂(C)を含有する場合、ポリ乳酸樹脂(A)とゴム強化樹脂(C)の合計100重量部に対して、ゴム強化樹脂(C)の含有量は、95〜5重量部の範囲であることが、カーボンニュートラルの観点や、摺動性、耐傷付き性、耐摩耗性、耐衝撃性、耐熱性、特に耐衝撃性、耐熱性の点において好ましく、93〜8重量部の範囲であることが、摺動性、耐熱性の点において更に好ましく、90〜10重量部の範囲であることが、耐熱性の点において特に好ましい。この範囲よりも、ゴム強化樹脂(C)の含有量が多いとポリ乳酸樹脂(A)を有効利用する本発明の目的を達成し得ず、摺動性、耐傷付き性、耐摩耗性に優れたポリ乳酸系熱可塑性樹脂成形品を得ることができず、この範囲よりもゴム強化樹脂(C)の含有量が少ないと耐衝撃性、耐熱性に優れたポリ乳酸系熱可塑性樹脂成形品を得ることができなくなる。
ゴム強化樹脂(C)のグラフト共重合体(C−1)と共重合体(C−2)の割合は、ポリ乳酸樹脂(A)とゴム強化樹脂(C)との合計100重量部に対して、グラフト共重合体(C−1)5〜40重量部、共重合体(C−2)30〜70重量部の範囲であることが好ましく、より好ましくはグラフト共重合体(C−1)7〜38重量部、共重合体(C−2)32〜68重量部、さらに好ましくはグラフト共重合体(C−1)9〜36重量部、共重合体(C−2)34〜66重量部の範囲である。グラフト共重合体(C−1)と共重合体(C−2)の割合がこの範囲であると、摺動性、耐傷付き性、耐摩耗性、耐衝撃性、耐熱性、特に耐衝撃性、耐熱性の点において優れることから好ましい。この範囲よりも、グラフト共重合体(C−1)の割合が少なく、共重合体(C−2)が多いと、十分な耐衝撃性を発現し得ず本発明の目標を達成しない。一方、共重合体(C−2)の割合が少なく、グラフト共重合体(C−1)が多いと、ポリ乳酸樹脂(A)との相溶性が悪くなり、分散性、衝撃性に優れたポリ乳酸系熱可塑性樹脂成形品を得ることができなくなる。
[シリコーンオイル(D)]
本発明の樹脂組成物は、更にシリコーンオイル(D)を含むものであってもよく、シリコーンオイル(D)を含むことで、より耐衝撃性に優れたものとすることができる。
シリコーンオイル(D)としては、ポリオルガノシロキサン構造をもつものであれば特
に限定されず、未変性シリコーンオイルであってもよいし、変性シリコーンオイルであっ
てもよい。ただし、有機変性シロキサン化合物(B)はこれに含まない。
未変性シリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニル
シリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル等が挙げられる。
これらシリコーンオイル(D)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の樹脂組成物がシリコーンオイル(D)を含む場合、シリコーンオイル(D)の含有量は、ポリ乳酸樹脂(A)と必要に応じて含まれるゴム強化樹脂(C)の合計100重量部に対して好ましくは3重量部以下、さらに好ましくは0.05〜2重量部である。シリコーンオイル(D)の含有量が少な過ぎるとシリコーンオイル(D)を配合することによる上記効果を十分に得ることができないが、多過ぎると溶融混練時に溶融混練機内で樹脂がスリップしやすくなり、混練状態の確認など製造面で注意が必要となる。
[その他の成分]
本発明の樹脂組成物には、上記ポリ乳酸樹脂(A)、有機変性シロキサン化合物(B)、ゴム強化樹脂(C)、シリコーンオイル(D)の他、更に各種の添加剤やその他の樹脂を配合することができる。この場合、各種添加剤としては、公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、安定剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤(顔料、染料など)、難燃剤(ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、アンチモン化合物など)、ドリップ防止剤、抗菌剤、防カビ剤、カップリング剤、耐加水分解防止剤などの1種または2種以上が挙げられる。
また、その他の樹脂としては、AS樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ナイロン樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリプロピレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。また、これらを2種類以上ブレンドしたものでも良く、さらに、相溶化剤や官能基などにより変性された上記樹脂を配合してもよい。
ただし、本発明の樹脂組成物が上述のその他の樹脂を含む場合、上述のその他の樹脂は、樹脂成分100重量部に対して50重量部以下、特に30重量部以下であることが、ポリ乳酸樹脂(A)の有効利用、ゴム強化樹脂(C)による特性改善の面で好ましい。
<ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物の製造および成形>
本発明の樹脂組成物をペレット化する方法としては、特に制限はなく、例えば、二軸押出機、バンバリーミキサー、加熱ロール等を用いることができるが、中でも二軸押出機による溶融混練が好ましく、必要に応じて、サイドフィードなどにより樹脂やその他の添加剤を配合することもできる。
本発明の樹脂組成物は、射出成形、ブロー成形、シート成形、真空成形などの通常の成形方法によって、各種成形品に成形することができるが、その成形法としては特に射出成形が好適である。
なお、本発明の樹脂組成物の各成分を調製する際、或いはこれらの成分を混合、混練、成形する際などに発生する樹脂屑等は、そのままの状態もしくは、場合によって破砕して溶融再生処理に供することができる。この場合、成形中に回収することも可能であるが、別途回収しておいて、上述のペレットの製造工程において、原料として混合使用することも可能である。
〔成形品〕
本発明の樹脂組成物を成形してなる本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂成形品の用途としては特に制限はないが、その優れた摺動性、耐傷付き性、耐摩耗性、更には耐衝撃性、耐熱性から、家電関連では、冷蔵庫や洗濯機といった白物家電のハウジング部材やOA機器内部部品、自動車関連では、スイッチ部分や振動する機器、車両カーオディオの嵌合部分などに好適に用いることができる。
以下に、合成例、実施例、参考例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら制限されるものではない。
なお、以下において、「部」は「重量部」を意味するものとする。
重量平均分子量は、東ソー(株)製:GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー、溶媒;THF)を用いた標準PS(ポリスチレン)換算法にて測定した。
ゴム質重合体の平均粒子径は、日機装(株)製:Microtrac Model:9230UPAを用いて動的光散乱法により求めた。
単量体の重量組成比率は、(株)堀場製作所製:FT−IRを使用して求めた。
[ポリ乳酸樹脂(A)]
ポリ乳酸樹脂(A):ポリ乳酸樹脂(L体/D体=98/2(重量比)、
重量平均分子量(Mw)=140,000、融点=171℃)
[有機変性シロキサン化合物(B)]
有機変性シロキサン化合物(B−1):エボニックインダストリー社製「TEGOMER(登録商標) AntiScratch 100」(有機変性シロキサンとポリオレフィンとの化合物)
有機変性シロキサン化合物(B−2):エボニックインダストリー社製「TEGOMER(登録商標) AntiScratch 200」(有機変性シロキサンとポリアミドとの化合物)
有機変性シロキサン化合物(B−3):エボニックインダストリー社製「TEGOMER(登録商標)H−Si 6440」(有機変性シロキサンとポリエステルとの化合物)
[ゴム強化樹脂(C)]
[合成例1:グラフト共重合体(C−1−1)の製造]
以下の配合にて、乳化重合法によりゴム含有グラフト共重合体を合成した。
〔配合〕
スチレン(ST) 25部
アクリロニトリル(AN) 10部
ポリブタジエンラテックス 65部(固形分として)
不均化ロジン酸カリウム 1部
水酸化カリウム 0.03部
ターシャリードデシルメルカプタン(t−DM) 0.04部
クメンハイドロパーオキサイド 0.3部
硫酸第一鉄 0.007部
ピロリン酸ナトリウム 0.1部
結晶ブドウ糖 0.3部
蒸留水 190部
オートクレーブに蒸留水、不均化ロジン酸カリウム、水酸化カリウムおよびポリブタジエンラテックス(ゲル含有量80重量%、平均粒子径0.3μm)を仕込み、60℃に加熱後、硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウム、結晶ブドウ糖を添加し、60℃に保持したままST、AN、t−DMおよびクメンハイドロパーオキサイドを2時間かけて連続添加し、その後70℃に昇温して1時間保って反応を完結した。かかる反応によって得たABSラテックスに酸化防止剤を添加し、その後硫酸により凝固させ、十分水洗後、乾燥してABSグラフト共重合体(C−1−1)を得た。
[合成例2:グラフト共重合体(C−1−2)の製造]
[架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(c)の製造]
三井化学社製EPDM(EPT3012P、エチレン含有量は82モル%で非共役ジエン成分として5−エチリデン−2−ノルボルネンを1モル%含む。)100部をn−ヘキサン566部に溶解した後、三井化学社製酸変性ポリエチレン(ハイワックス2203A)10部を添加し、さらにオレイン酸4.5部を加え、完全に溶解した。別に水700部にKOH0.9部を溶解した水溶液に、エチレングリコール0.5部を加え60℃に保ち、これに先に調製した上記重合体溶液を徐々に加えて乳化した後、ホモミキサーで攪拌した。次いで、溶剤と水の一部を留去して粒径0.4〜0.6μmのラテックスを得た。このラテックスにゴム成分であるEPDM100部にジビニルベンゼン1.5部、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルシクロヘキサン1.0部を添加して、120℃で1時間反応させて、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(c)を得た。
撹拌機付きステンレス重合槽に、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(c)(エチレン・プロピレン共重合体の固形分として70部)を入れ、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体に固形分濃度が30重量%になるようにイオン交換水を加え、硫酸第一鉄0.006部、ピロリン酸ナトリウム0.3部およびフラクトース0.35部を仕込み、温度を80℃とした。スチレン23.4部、アクリロニトリル6.6部およびクメンハイドロパーオキサイド0.6部を150分間連続的に添加し、重合温度を80℃に保ち乳化重合を行った。重合後、グラフト共重合体を含む水性分散体に酸化防止剤を添加し、硫酸にて固形分の析出を行い、洗浄、脱水、乾燥の工程を経て、AESグラフト共重合体(C−1−2)を得た。
[合成例3:グラフト共重合体(C−1−3)の製造]
合成例1の原料配合において、ゴム質重合体としてポリアクリル酸ブチル(ゲル含有量65重量%、平均粒子径0.34μm)60部(固形分として)を用い、単量体としてメタクリル酸メチル(MMA)36部、アクリル酸メチル(MA)4部を反応させたこと以外は、合成例1と同様にグラフト重合を行いグラフト共重合体(C−1−3)を得た。
合成例1,2,3で製造したゴム含有グラフト共重合体(C−1−1)〜(C−1−3)のゴム含有量、単量体の重量組成比率、グラフト率、およびアセトン可溶分の重量平均分子量を測定したところ、以下の通りであった。
グラフト共重合体(C−1−1):ゴム含有量=66.2重量%
AN/ST=28/72
グラフト率=40重量%
重量平均分子量(Mw)=154,000
グラフト共重合体(C−1−2):ゴム含有量=70.0重量%
AN/ST=33/67
グラフト率=34重量%
重量平均分子量(Mw)=50,000
グラフト共重合体(C−1−3):ゴム含有量=62.3重量%
MMA/MA=90/10
グラフト率=35重量%
重量平均分子量(Mw)=70,000
[グラフト共重合体(C−2)]
[合成例4:共重合体(C−2−1)の製造]
以下のように、懸濁重合法により共重合体を合成した。
窒素置換した反応器に水120部、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ0.002部、ポリビニルアルコール0.5部、アゾイソブチルニトリル0.3部、t−DM0.5部と、アクリロニトリル11部、スチレン5部、メタクリル酸メチル69部、α−メチルスチレン15部からなる単量体混合物を使用し、スチレンの一部を逐次添加しながら開始温度60℃から5時間昇温加熱後、120℃に到達させた。更に、120℃で4時間反応した後、重合物を取り出し、共重合体(C−2−1)を得た。
<合成例5:共重合体(C−2−2)の製造>
アクリロニトリル26部、スチレン74部からなる単量体混合物を使用し、スチレンの一部を逐次添加したこと以外は合成例4と同様にして重合を行って、共重合体(C−2−2)を得た。
合成例4、5で製造した共重合体の単量体の重量組成比率、および重量平均分子量(Mw)を測定したところ、以下の通りであった。
共重合体(C−2−1) :AN/ST/MMA/α−メチルスチレン =11/5/69/15
重量平均分子量(Mw)=90,000
共重合体(C−2−2) :AN/ST=26/74
重量平均分子量(Mw)=110,000
[シリコーンオイル(D)]
シリコーンオイル(D)として、ジメチルシリコーンオイル(東レ・ダウコーニング社製、「SH200−100cs」)を用いた。
[ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造および評価]
上記の各成分を表1〜3に示す配合割合で混合し、200〜240℃で2軸押出機(日本製鋼所製「TEX−30α」)にて溶融混合し、ペレット化することにより、ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。
これらの樹脂ペレットを2オンス射出成形機(東芝(株)製)で200〜240℃にて各種試験片を成形し、耐衝撃性、耐傷付き性、耐熱性を下記方法で測定した。
耐衝撃性:シャルピー衝撃値(KJ/m):ISO 179(常温)
耐傷付き性:鉛筆硬度JIS K−5400
耐熱性:荷重たわみ温度(℃):ISO 75(測定荷重0.45MPa)
また、以下の方法で摺動性、耐摩耗性、分散性を評価した。
摺動性:(株)オリエンテック製EFM−III−N型試験機を用い、以下の条件で、動摩擦係数を測定した。
試験片形状:外寸直径25.6mm、内寸直径20mm、高さ15mmの円筒形(摺動面積200mm
回転速度:100mm/秒
試験荷重:1.5kg(試験機の荷重)
摩擦時間:5分
試験項目:対ポリカーボネート(相手材をポリカーボネート製としたもの)
対ポリスチレン(相手材をポリスチレン製としたもの)
同種材(同一試験片同士)
耐摩耗性:二連式平面磨耗試験機(大栄科学精器製作所)を用いて、下記条件で、平面摩耗試験を行い、成形品表面の傷や摩耗、ガーゼに付着している粉の有無を目視で観察し、下記基準で評価し、○を実用性あると判断した。
相手材:ガーゼ8枚重ね
荷重:1kg
摩耗回数:100往復
<評価基準>
○:成形品に傷、摩耗がない
×:成形品に傷、摩耗が存在する
分散性:射出成形品の表面外観の状態(ムラ)を分散性として下記基準で評価し、○を実用性があると判断した。
<評価基準>
○:表面外観にムラ無し
△:表面外観に若干ムラ有り
×:表面外観全体にムラ有り
[実施例および比較例]
表1〜3に、実施例1〜25、および比較例1〜9の結果を示した。
Figure 0006790883
Figure 0006790883
Figure 0006790883
[考察]
表1〜3から次のことが分かる。
本発明の請求項の要件を満たす実施例1〜25のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物により、摺動性、耐傷付き性、耐摩耗性、更には耐衝撃性、耐熱性に優れる成形品を得ることができる。また、摺動性、耐摩耗性に優れることから軋み音の低減も期待できる。
これに対して、有機変性シロキサン化合物(B)を含まない比較例1、6は、摺動性が劣る。比較例5は、ポリ乳酸樹脂(A)も有機変性シロキサン化合物(B)も含まず、摺動性、耐傷付き性が劣る。比較例2、7では、有機変性シロキサン化合物(B)が少ないため、摺動性が劣り、また、比較例2では、有機変性シロキサン化合物(B)が少なすぎるために樹脂中に均等分散し難く、分散性も劣るものとなっている。比較例3、8は、有機変性シロキサン化合物(B)が多いため分散性が劣る。比較例4、9では、有機変性シロキサンとポリエステルとの化合物を使用しているため、摺動性の改善効果が不十分である。
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、摺動性、耐傷付き性、耐摩耗性に優れ、また、分散性にも優れるため、得られる成形品の表面外観も良好であり、更には耐衝撃性、耐熱性といった特性等にも優れたものとすることができる。本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品は、例えば、OA機器内部部品やスイッチ部分、振動する機器、車両カーオディオの嵌合部分等、異種材と接触して摩耗、傷付き、軋み音などが発生する部品などの用途に適した素材であり、市場のニーズに合わせて多彩な用途に使用することができ、その工業的有用性は非常に高い上に、環境負荷の低減にも有効である。

Claims (6)

  1. ポリ乳酸樹脂(A)100重量部に対して、有機変性シロキサン化合物(B)を0.3〜3.5重量部含むポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物であって、
    該有機変性シロキサン化合物(B)は、有機変性されたシロキサン(b−1)と熱可塑性樹脂(b−2)とが化学的に結合した化合物であり、
    該熱可塑性樹脂(b−2)がポリオレフィンおよび/またはポリアミドを含むことを特徴とするポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物。
  2. ポリ乳酸樹脂(A)とゴム強化樹脂(C)との合計100重量部に対して、有機変性シロキサン化合物(B)を0.3〜3.5重量部含むポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物であって、
    該有機変性シロキサン化合物(B)は、有機変性されたシロキサン(b−1)と熱可塑性樹脂(b−2)とが化学的に結合した化合物であり、
    該熱可塑性樹脂(b−2)がポリオレフィンおよび/またはポリアミドを含むことを特徴とするポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物。
  3. 請求項2において、ゴム強化樹脂(C)が、ゴム質重合体に、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及びマレイミド化合物より選ばれるビニル系単量体の少なくとも1種をグラフト重合してなるグラフト共重合体(C−1)と、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及びマレイミド化合物より選ばれる少なくとも1種のビニル系単量体を共重合してなる共重合体(C−2)からなることを特徴とするポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物。
  4. 請求項3において、ゴム強化樹脂(C)を、ポリ乳酸樹脂(A)とゴム強化樹脂(C)との合計100重量部に対して95〜5重量部含み、ポリ乳酸樹脂(A)とゴム強化樹脂(C)との合計100重量部に対して、グラフト共重合体(C−1)を5〜40重量部、共重合体(C−2)を30〜70重量部含むことを特徴とするポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、更に、シリコーンオイル(D)を含むことを特徴とするポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物を成形してなるポリ乳酸系熱可塑性樹脂成形品。
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