JP6789183B2 - 蒸留酒または希釈された蒸留酒のための呈味改善剤、蒸留酒または希釈された蒸留酒、および蒸留酒または希釈された蒸留酒の呈味改善方法 - Google Patents

蒸留酒または希釈された蒸留酒のための呈味改善剤、蒸留酒または希釈された蒸留酒、および蒸留酒または希釈された蒸留酒の呈味改善方法 Download PDF

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本発明は、焼酎などの蒸留酒や水で希釈してアルコール濃度を調整した蒸留酒の、呈味や口当たりを改善する呈味改善剤、および該呈味改善剤を含有した蒸留酒または希釈した蒸留酒に関するものである。
蒸留酒は醸造により得られたアルコール含有物を蒸留することにより製造される。連続式蒸留機で蒸留される連続式蒸留酒は、単式蒸留機で蒸留される単式蒸留酒に比べて、多段蒸留により香り成分や呈味成分が減少し、味わいが薄くなるという問題があった。また、焼酎やウイスキーなどは、水ないし湯で割って飲用に供することが行われているが、これらの蒸留酒を水(湯も含む)で割ってアルコール濃度を低下させると、蒸留酒の本来の豊かな香りやコクなどが薄れ、香味が平板となり、味にしまりがなくなり、水っぽくなるという問題があった。このように、蒸留酒を水で希釈すると、飲料中の呈味成分等の割合が低くなり、風味やボディ感にかけ、味質のバランスに欠けたアルコール飲料となることがあった。
このような欠点の改善のために、単式蒸留酒と連続式蒸留酒とを混和して香味が付与された混和蒸留酒とし、さらに高級脂肪酸エステルを添加して味わいを増強すること(特許文献1)が報告されている。また、低アルコール飲料にコクやボディ感を付与し味質を改善する方法として、たとえば、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、キシリトールなどのノンカロリー、低カロリー素材を添加して、風味やボディ感のある低カロリーの酒類、醸造酒の製造方法(特許文献2)が開示されている。
また、難消化性デキストリンおよび/またはポリデキストロースなどの水溶性食物繊維、糖アルコールおよび非発酵性オリゴ糖などの非発酵性糖質を含有する副原料を添加することにより、低カロリー、低糖質でありながら、風味やキレなどの香味とボディ感のバランスに優れた低カロリービール風味アルコール飲料が提案されている(特許文献3)。さらに、馬鈴薯澱粉に塩酸を添加して加熱して先ず焙焼デキストリンとしてから、α−アミラーゼとグルコアミラーゼで加水分解することにより得られ、特定の関係式を満足する難消化デキストリンを酒類に含有させることが提案されている(特許文献4)。
加えて、難消化性デキストリンを特定の範囲で添加することにより、蒸留酒を水などで割ってアルコール濃度を低下させたアルコール飲料に、蒸留酒本来の香りや甘み、トロ味、コクを付与できること(特許文献5)が報告されている。
特開2012−249587号公報 特開2003−47453号公報 特開2009−142233号公報 特開平11−209403号公報 特許第5473177号明細書
焼酎は、連続式蒸留機で蒸留する連続式蒸留焼酎(焼酎甲類)と、連続式蒸留機以外の蒸留機で蒸留する単式蒸留焼酎(焼酎乙類)に分類される。焼酎甲類は大部分の不純物が除かれているため、原料特有の呈味成分、香味成分が少なく、味わいは薄い。また、焼酎は、その製造工程の最終段階でアルコール濃度調整のため“割り水(和水)“がされる。
一方、蒸留酒はアルコール濃度が高いため、嗜好上、ソーダ水、水、温水などを加えることによりアルコール濃度を低くして飲用することが行われている。しかし、上記のとおり、蒸留酒を水などで割ってアルコール濃度を低下させると、蒸留酒本来の香りやコクが薄れるという問題点があった。また、従来から、甘味料、糖類、ジュース類などの新たな味覚を加えて苦味を低減し、味を濃くすることによってできるだけ各飲用者の好みに合わせるようにしていたが、元の蒸留酒の官能評価を大きく変えてしまうという問題があった。
本発明は、これらの問題点を解決するために、蒸留酒、または水などで希釈した蒸留酒において、香味豊かなアルコール飲料を提供することを目的とするものである。本発明は、蒸留酒または水で希釈してアルコール濃度を調整した蒸留酒の呈味や口当たりを改善する呈味改善剤を提供すること、および該呈味改善剤を含有した呈味と口当たりが改善された蒸留酒または希釈された蒸留酒を提供することを目的とする。
本発明者らは、蒸留酒の呈味改善および口当たりを改善するための物質について鋭意検討を行った結果、インドールを蒸留酒に微量含有させることにより、蒸留酒が固有に有する呈味を増強し、改善できることを見出した。本発明は、蒸留酒および水で希釈してアルコール濃度を調整した蒸留酒の呈味改善剤を提供すること、および該呈味改善剤を含有し、苦味、甘味、まるみ、およびコクや口当たりの1つまたはそれ以上の呈味が改善すされた焼酎、スピリッツ、ウイスキー、ウオッカなどの蒸留酒、またはこれらを水で希釈した蒸留酒を提供することを目的とする。
本発明は、以下の(1)ないし(6)の蒸留酒用呈味改善剤の発明である。
(1)インドールを有効成分とする、蒸留酒用呈味改善剤。
(2)上記呈味が、苦味および/または甘味である、前記(1)に記載の蒸留酒用呈味改善剤。
(3)上記呈味が、苦味、甘味、まるみ、および/またはコクである、前記(1)に記載の蒸留酒用呈味改善剤。
(4)上記呈味改善が、先味と後味とで異なる呈味を付与する呈味改善である、前記(1)ないし(3)のいずれかに記載の蒸留酒用呈味改善剤。
(5)インドールが配合されて、インドールを0.05〜500ppb含有する呈味の改善された蒸留酒または希釈された蒸留酒である、前記(1)ないし(4)のいずれかに記載の蒸留酒用呈味改善剤
(6)上記蒸留酒が焼酎である、前記(1)ないし(5)のいずれかに記載の蒸留酒用呈味改善剤
本発明では、インドールを呈味改善剤として蒸留酒または希釈された蒸留酒に含有させることで、蒸留酒または希釈された蒸留酒の呈味および口当たりを改善することができる。具体的には、蒸留酒または希釈された蒸留酒に、苦味、甘味、まるみ、またはコクを付与することができる。
また、蒸留酒を水などで割ってアルコール濃度を低下させても、蒸留酒固有の呈味が薄まらないアルコール飲料を提供することができ、そうした呈味の改善により、水割りアルコール飲料を瓶詰あるいは罐詰のような製品として消費者に提供することができる。
本発明は、インドールを有効成分として蒸留酒に含有させることを特徴とする、蒸留酒または希釈された蒸留酒の呈味改善剤、および呈味が改善された蒸留酒または希釈された蒸留酒に関する。本発明でアルコール濃度については単位を明記していなくとも「容量%」を意味するものとする。
[蒸留酒]
蒸留酒とは、醸造により得られたアルコール含有物をさらに蒸留して製造するアルコール濃度の高い酒である。原料として、米や大麦などの穀類、リンゴ、サクランボ、洋ナシなどの果実、その他にサトウキビ、リュウゼツラン、イモ類などを発酵させて製造したアルコール含有物を蒸留してアルコール濃度を高くしたものであり、スピリッツとも称される。その代表的な種類としては、ウオッカ、ラム、テキーラ、ジン、アクアビット、コルン、ウイスキー、ブランデー、焼酎、カルバドス、キルシュなどが知られている。本発明で対象となる「蒸留酒」は、このような蒸留酒と称されている種類の酒類であるが、特に、焼酎やウイスキー、ブランデー、ウオッカ、ラム、テキーラ、ジンなどに好ましい。
下記は、本発明で対象となる「蒸留酒」について、さらに酒税法をもとに詳細に示すものである。
(ア)ウイスキー類
ウイスキー:発芽穀類、水を原料として、糖化・発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの、およびこれにアルコール、スピリッツ、香味料、色素などを添加したもの。
ブランデー:果実または果実と水を原料として、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの、およびこれにアルコール、スピリッツ、香味料、色素などを添加したもの。
(イ)スピリッツ類
スピリッツ:清酒、合成清酒、焼酎、みりん、ビール、果実酒類、ウイスキー類(ウイスキー、ブランデー)の酒類以外の酒類で、かつエキス分が2度未満のもの(雑酒を除く)のうち、原料用アルコール以外のもの。例:ジン、ラム、ウオッカ、テキーラ、ニュースピリッツや甲類スピリッツなど。
1)ジン:アルコール含有物を蒸留する際、アルコールに他の物品の成分を浸出させたもの。
2)ラム:砂糖、糖蜜などの含糖質物を原料としたもので蒸留の際のアルコール分が95%未満のもの。
3)ウオッカ:しらかばの炭でこしたもの。
原料用アルコール:アルコール含有物を蒸留した酒類で、アルコール分が45%を越えるスピリッツ。
(ウ)焼 酎
焼酎甲類:アルコール含有物を連続式蒸留機で蒸留したもので、アルコール分が36%未満のもの。
焼酎乙類:アルコール含有物を連続式蒸留機以外の蒸留機で蒸留したもので、アルコール分が45%以下のもの。
[希釈された蒸留酒]
本発明における「希釈された蒸留酒」としては、その製造工程の最終段階で、割り水されてアルコール濃度が調整された焼酎、あるいは例えば(ア)ウイスキー類(例えばウイスキーおよびブランデー)、(イ)スピリッツ類(例えばジン、ウオッカ、ラム、テキーラ、ジン、アクアビット、コルン、カルバドス、キルシュ、および原料用アルコール)、(ウ)焼酎(甲類、乙類)などを水で割ったものである。この「希釈された蒸留酒」には、蒸留酒の外に、蒸留酒に生得的に含有されている成分、意図的に含有させる成分(例えば香料)、あるいは製造工程や貯蔵時に不可避的に含有されることになる成分、を含んでいるものも包含する。また、本発明における「希釈された蒸留酒」としては、「蒸留酒」または製造工程において割り水した「希釈された蒸留酒」を、飲用者が飲用する際に、さらに水、お湯、氷、その他果汁などの飲料を加えることで希釈された蒸留酒も含まれる。
[インドール]
インドールは、化学式がCNであり、ベンゼン環とピロール環が縮合した構造の有機化合物である。合成インドールは、香水や香料に使われているが、酒類に呈味改善剤として添加することは知られていなかった。蒸留酒にインドールを含有させるためには、どのような工程および方法で含有させてもよく、例えば、蒸留酒に適量のインドールを添加する方法や、蒸留酒の蒸留前の原料である醪に添加してもよく、また、醪製造のための発酵工程でインドールを産生する酵母を用いてもよい。さらに、インドールを含有する蒸留酒自体を蒸留酒または希釈した蒸留酒に添加してもよい。
[インドールの濃度]
蒸留酒または希釈された蒸留酒に含有させるインドールの濃度は、蒸留酒の種類およびアルコール度数によって適切な範囲が異なるが、それぞれの蒸留酒に好適な量を含有させることができ、例えば、0.05〜500ppbの範囲の量で含有させることが好ましい。
驚くべきことに、同じアルコール度数の蒸留酒でも含有させるインドールの濃度によって、その先味、後味の呈味を変化させて改善できることがわかった。例えば、アルコール度数15度の麦焼酎においては、インドール濃度が0.05〜300ppbの範囲で呈味を改善することができるが、インドール濃度が低濃度と高濃度の場合では、改善される先味および後味の呈味は異なり、インドール濃度が50ppbでは、先味で苦味とコクが増強され、100〜300ppbではコクと甘味が増強される。
[インドールを有効成分とする呈味改善剤]
上記のように、含有させるインドールの濃度により、改善される蒸留酒の呈味は異なるものであるが、さらに、同じ蒸留酒でも含有する蒸留酒のアルコール濃度に応じて、また、含有されるインドールの濃度に応じて、増強され、また改善される蒸留酒の呈味の種類、度合が異なることもわかった。例えば、50ppbのインドールを含有させると、アルコール濃度が25度の麦焼酎では、先味でコクが増強されるのに対し、アルコール濃度が5度の麦焼酎では、先味で苦味が増強される。
このように、蒸留酒の呈味を改善できるインドール濃度は、含有させる蒸留酒の種類とそのアルコール度数の両方に依存することが解明されたことにより、例えば500ppb以上の高濃度のインドールを含有する蒸留酒の原酒も、呈味改善剤として蒸留酒または希釈された蒸留酒に添加することができる。
[インドールによる呈味改善の官能試験]
焼酎およびその他の蒸留酒にインドールを呈味改善剤として添加して、呈味の総合評価を、7名から12名の社内のパネリスト訓練を経た酒類の専門評価者による官能試験により行った。
下記表1に示すように、麦、芋、米、そば、黒糖、泡盛、および甲類のそれぞれの焼酎、並びに、ウイスキー、ブランデー、ウオッカ、テキーラ、ラム、およびジンのその他の蒸留酒にインドールを添加して、呈味および口当たりを評価した。具体的には、麦、芋、米、そば、黒糖、泡盛、および甲類のそれぞれの焼酎については、25%または5%のアルコール濃度の焼酎に、インドールを20ppbまたは4ppb添加して呈味性の官能評価を行い、ウイスキー、ブランデー、ウオッカ、テキーラ、ラム、およびジンについては20%のアルコール濃度のものにインドールを20ppb添加して呈味性の官能評価を行った。さらに、麦焼酎については、5%、10%、15%、25%のアルコール濃度の麦焼酎に、インドールを0.05〜5000ppb添加して、麦焼酎でのインドールの好ましい濃度範囲の官能評価を行った。
実施例1〜22での官能評価は、インドールを添加していない「ブランク」(対照)では感じることがなかったが、インドールを添加した試料では感じた呈味(コク、苦味、甘味、酸味、旨味等)および口当たり(渋味、刺激味、きめ、後味、金属味、粉っぽい等)の特性について、複数コメントを許可する条件で、各専門評価者からのコメントを1と数えて評価した。
以下の実施例1〜7では、アルコール濃度が25%の麦焼酎、芋焼酎、米焼酎、そば焼酎、黒糖焼酎、泡盛焼酎、および甲類焼酎のそれぞれにインドールを20ppb添加し、呈味および風味を官能評価により評価した。なお、実施例で用いた蒸留酒について銘柄等は省略する。
[実施例1]
麦焼酎A(アルコール濃度25度)にインドールを20ppb添加して試料を調製した。また、ブランクとしてインドールを添加していない麦焼酎A(アルコール濃度25度)を準備した。そして、7名もしくは9名の専門評価者により「先味」と「後味」とに分けて2回繰り返して官能評価を行った。具体的には、ブランクの麦焼酎Aでは感じることがなかったが、インドールを添加した試料では感じた呈味(風味を含む)および口当たりの特性についてコメントを求め、官能評価の結果を表2にまとめた。なお、「先味」とは、口に入れた瞬間の呈味(風味)または口当たりの特性であり、「後味」とは、吐き出した後に残る持続性のある味または口当たりの特性と定義した(他の実施例においても同様。)。
実施例1の官能試験の結果から、繰り返し評価において2回とも複数得られた呈味もしくは口当たりのコメントとして「先味」でコクおよび苦味、「後味」で苦味が確認された。よって、20ppbのインドールはアルコール濃度25度の麦焼酎において「先味」でコクおよび苦味、「後味」で苦味を増強することがわかった。
[実施例2]
芋焼酎B(アルコール濃度25度)にインドールを20ppb添加して試料を調製した。また、ブランクとしてインドールを添加していない芋焼酎B(アルコール濃度25度)を準備した。そして、9名もしくは8名の専門評価者により「先味」と「後味」とに分けて2回繰り返して官能評価を行い、官能評価の結果を表3にまとめた。
実施例2の結果から、繰り返し評価において2回とも複数得られた呈味もしくは口当たりのコメントとして「先味」でコクおよび甘味、「後味」で苦味が確認された。よって、インドールは芋焼酎において「先味」でコクおよび甘味、「後味」で苦味を増強することがわかった。
[実施例3]
米焼酎C(アルコール濃度25度)にインドールを20ppb添加して試料を調製した。また、ブランクとしてインドールを添加していない米焼酎C(アルコール濃度25度)を準備した。そして、12名の専門評価者により「先味」と「後味」とに分けて2回繰り返して官能評価を行い、官能評価の結果を表4にまとめた。
実施例3の官能試験の結果から、繰り返し評価において2回とも複数得られた呈味もしくは口当たりのコメントとして「先味」でコクおよび甘味、「後味」で苦味、コクおよび刺激が確認された。よって、インドールは米焼酎において「先味」でコクおよび甘味、「後味」で苦味、コクおよび刺激を増強することがわかった。
[実施例4]
そば焼酎D(アルコール濃度25度)にインドールを20ppb添加して試料を調製した。また、ブランクとしてインドールを添加していないそば焼酎D(アルコール濃度25度)を準備した。そして、10名の専門評価者により「先味」と「後味」とに分けて2回繰り返して官能評価を行い、官能評価の結果を表5にまとめた。
実施例4の官能試験の結果から、繰り返し評価において2回とも複数得られた呈味もしくは口当たりのコメントとして「先味」でコク、「後味」で苦味が確認された。よって、インドールはそば焼酎において「先味」でコク、「後味」で苦味を増強することがわかった。
[実施例5]
黒糖焼酎E(アルコール濃度25度)にインドールを20ppb添加して試料を調製した。また、ブランクとしてインドールを添加していない黒糖焼酎E(アルコール濃度25度)を準備した。そして、12名の専門評価者により「先味」と「後味」とに分けて2回繰り返して官能評価を行い、官能評価の結果を表6にまとめた。
実施例5の官能試験の結果から、繰り返し評価において2回とも複数得られた呈味もしくは口当たりのコメントとして「先味」でコクおよび甘味、「後味」で苦味およびコクが確認された。よって、インドールは黒糖焼酎において「先味」でコクおよび甘味、「後味」で苦味およびコクを増強することがわかった。
[実施例6]
泡盛F(アルコール濃度25度)にインドールを20ppb添加して試料を調製した。また、ブランクとしてインドールを添加していない泡盛F(アルコール濃度25度)を準備した。そして、12名の専門評価者により「先味」と「後味」とに分けて2回繰り返して官能評価を行い、官能評価の結果を表7にまとめた。
実施例6の官能試験の結果から、繰り返し評価において2回とも複数得られた呈味もしくは口当たりのコメントとして「先味」でコクおよび甘味、「後味」で苦味および刺激が確認された。よって、インドールは泡盛において「先味」でコクおよび甘味、「後味」で苦味および刺激を増強することがわかった。
[実施例7]
甲類焼酎G(アルコール濃度25度)にインドールを20ppb添加して試料を調製した。また、ブランクとしてインドールを添加していない甲類焼酎G(アルコール濃度25度)を準備した。そして、11名もしくは12名の専門評価者により「先味」と「後味」とに分けて2回繰り返して官能評価を行い、官能評価の結果を表8にまとめた。
実施例7の官能試験の結果から、繰り返し評価において2回とも複数得られた呈味もしくは口当たりのコメントとして「先味」でコク、甘味およびまるい、「後味」で苦味およびコクが確認された。よって、インドールは甲類焼酎において「先味」でコク、甘味およびまるい、「後味」で苦味およびコクを増強することがわかった。
次いで、実施例8〜14では、実施例1〜7で用いた麦焼酎A、芋焼酎B、米焼酎C、そば焼酎D、黒糖焼酎E、泡盛F、および甲類焼酎Gにインドールを20ppb添加してから、アルコール濃度を5%となるように水で希釈し、希釈したそれぞれの焼酎に呈味および風味を官能評価により評価した。希釈後の添加したインドール濃度は4ppbとなる。
[実施例8]
インドールを20ppb添加した麦焼酎A(アルコール濃度25度)をアルコール度数5%になるように水を加えた試料を調製した。ブランクとして、インドールを添加していない麦焼酎A(アルコール濃度25度)をアルコール度数5%になるように水を加えた試料を準備した。そして、11名もしくは9名の専門評価者により「先味」と「後味」とに分けて2回繰り返して官能評価を行い、官能評価の結果を表9にまとめた。
実施例8の官能試験の結果から、繰り返し評価において2回とも複数得られた呈味もしくは口当たりのコメントとして「先味」でコクおよび甘味、「後味」で苦味およびコクが確認された。よって、4ppbインドールはアルコール度数5%になるように水を加えた麦焼酎において「先味」でコクおよび甘味、「後味」で苦味およびコクを増強することがわかった。
[実施例9]
インドールを20ppb添加した芋焼酎B(アルコール濃度25度)をアルコール度数5%になるように水を加えた試料を調製した。ブランクとして、インドールを添加していない芋焼酎B(アルコール濃度25度)をアルコール度数5%になるように水を加えた試料を準備した。そして、11名もしくは9名の専門評価者により「先味」と「後味」とに分けて2回繰り返して官能評価を行い、官能評価の結果を表10にまとめた。
実施例9の官能試験の結果から、繰り返し評価において2回とも複数得られた呈味もしくは口当たりのコメントとして「先味」でコク、「後味」で苦味が確認された。よって、インドールはアルコール度数5%になるように水を加えた芋焼酎において「先味」でコク、「後味」で苦味を増強することがわかった。
[実施例10]
インドールを20ppb添加した米焼酎C(アルコール濃度25度)をアルコール度数5%になるように水を加えた試料を調製した。ブランクとして、インドールを添加していない米焼酎C(アルコール濃度25度)をアルコール度数5%になるように水を加えた試料を準備した。そして、11名もしくは9名の専門評価者により「先味」と「後味」とに分けて2回繰り返して官能評価を行い、官能評価の結果を表11にまとめた。
実施例10の官能試験の結果から、繰り返し評価において2回とも複数得られた呈味もしくは口当たりのコメントとして「先味」でコク、「後味」で苦味が確認された。よって、インドールはアルコール度数5%になるように水を加えた米焼酎において「先味」でコク、「後味」で苦味を増強することがわかった。
[実施例11]
インドールを20ppb添加したそば焼酎D(アルコール濃度25度)をアルコール度数5%になるように水を加えた試料を調製した。ブランクとして、インドールを添加していないそば焼酎D(アルコール濃度25度)をアルコール度数5%になるように水を加えた試料を準備した。そして、11名もしくは9名の専門評価者により「先味」と「後味」とに分けて2回繰り返して官能評価を行い、官能評価の結果を表12にまとめた。
実施例11の官能試験の結果から、繰り返し評価において2回とも複数得られた呈味もしくは口当たりのコメントとして「先味」でコク、「後味」で苦味が確認された。よって、インドールはアルコール度数5%になるように水を加えたそば焼酎において「先味」でコク、「後味」で苦味を増強することがわかった。
[実施例12]
インドールを20ppb添加した黒糖焼酎E(アルコール濃度25度)をアルコール度数5%になるように水を加えた試料を調製した。ブランクとして、インドールを添加していない黒糖焼酎E(アルコール濃度25度)をアルコール度数5%になるように水を加えた試料を準備した。そして、9名もしくは11名の専門評価者により「先味」と「後味」とに分けて2回繰り返して官能評価を行い、官能評価の結果を表13にまとめた。
実施例12の官能試験の結果から、繰り返し評価において2回とも複数得られた呈味もしくは口当たりのコメントとして「先味」でコクおよび甘味、「後味」で苦味が確認された。よって、インドールはアルコール度数5%になるように水を加えた黒糖焼酎において「先味」でコクおよび甘味、「後味」で苦味を増強することがわかった。
[実施例13]
インドールを20ppb添加した泡盛F(アルコール濃度25度)をアルコール度数5%になるように水を加えた試料を調製した。ブランクとして、インドールを添加していない泡盛F(アルコール濃度25度)をアルコール度数5%になるように水を加えた試料を準備した。そして、9名もしくは11名の専門評価者により「先味」と「後味」とに分けて2回繰り返して官能評価を行い、官能評価の結果を表14にまとめた。
実施例13の官能試験の結果から、繰り返し評価において2回とも複数得られた呈味もしくは口当たりのコメントとして「先味」でコク、「後味」で苦味が確認された。よって、インドールはアルコール度数5%になるように水を加えた泡盛において「先味」でコク、「後味」で苦味を増強することがわかった。
[実施例14]
インドールを20ppb添加した甲類焼酎G(アルコール濃度25度)をアルコール度数5%になるように水を加えた試料を調製した。ブランクとして、インドールを添加していない甲類焼酎G(アルコール濃度25度)をアルコール度数5%になるように水を加えた試料を準備した。そして、9名もしくは11名の専門評価者により「先味」と「後味」とに分けて2回繰り返して官能評価を行い、官能評価の結果を表15にまとめた。
実施例14の官能試験の結果から、繰り返し評価において2回とも複数得られた呈味もしくは口当たりのコメントとして「先味」で甘味およびコク、「後味」で苦味が確認された。よって、インドールはアルコール度数5%になるように水を加えた甲類焼酎において「先味」で甘味およびコク、「後味」で苦味を増強することがわかった。
次に、実施例15〜21では、シングルモルトウィスキー、ブレンデッドウイスキー、バーボンウイスキー、ブランデー、ウオッカ、テキーラ、ラム、およびジンのアルコール濃度が20%となるように水で希釈し、希釈したそれぞれにインドールを20ppb添加して呈味および風味を官能評価により評価した。
[実施例15]
シングルモルトウイスキーH(アルコール濃度40度)をアルコール度数20%になるように水を加え、さらにインドールを20ppb添加して試料を調製した。ブランクとして、インドールを添加していないシングルモルトウイスキーH(アルコール濃度40度)をアルコール度数20%になるように水を加えた試料を準備した。そして、9名もしくは11名の専門評価者により「先味」と「後味」とに分けて2回繰り返して官能評価を行い、官能評価の結果を表16にまとめた。
実施例15の官能試験の結果から、繰り返し評価において2回とも複数得られた呈味もしくは口当たりのコメントとして「先味」でコクおよび甘味、「後味」で苦味が確認された。よって、インドールはアルコール度数20%になるように水を加えたシングルモルトウイスキーにおいて「先味」でコクおよび甘味、「後味」で苦味を増強することがわかった。
[実施例16]
ブレンデッドウイスキーI(アルコール濃度40度)をアルコール度数20%になるように水を加え、さらにインドールを20ppb添加して試料を調製した。ブランクとして、インドールを添加していないブレンデッドウイスキーI(アルコール濃度40度)をアルコール度数20%になるように水を加えた試料を準備した。そして、9名もしくは11名の専門評価者により「先味」と「後味」とに分けて2回繰り返して官能評価を行い、官能評価の結果を表17にまとめた。
実施例16の官能試験の結果から、繰り返し評価において2回とも複数得られた呈味もしくは口当たりのコメントとして「先味」でコク、「後味」で苦味が確認された。よって、インドールはアルコール度数20%になるように水を加えたブレンデッドウイスキーにおいて「先味」でコク、「後味」で苦味を増強することがわかった。
[実施例17]
バーボンウイスキーJ(アルコール濃度40度)をアルコール度数20%になるように水を加え、さらにインドールを20ppb添加して試料を調製した。ブランクとして、インドールを添加していないバーボンウイスキーJ(アルコール濃度25度)をアルコール度数20%になるように水を加えた試料を準備した。そして、9名もしくは11名の専門評価者により「先味」と「後味」とに分けて2回繰り返して官能評価を行い、官能評価の結果を表18にまとめた。
実施例17の官能試験の結果から、繰り返し評価において2回とも複数得られた呈味もしくは口当たりのコメントとして「先味」でコクおよび甘味、「後味」で苦味が確認された。よって、インドールはアルコール度数20%になるように水を加えたバーボンウイスキーにおいて「先味」でコクおよび甘味、「後味」で苦味を増強することがわかった。
[実施例18]
ブランデーK(アルコール濃度40度)をアルコール度数20%になるように水を加え、さらにインドールを20ppb添加して試料を調製した。ブランクとして、インドールを添加していないブランデーK(アルコール濃度40度)をアルコール度数20%になるように水を加えた試料を準備した。そして、9名の専門評価者により「先味」と「後味」とに分けて2回繰り返して官能評価を行い、官能評価の結果を表19にまとめた。
実施例18の官能試験の結果から、繰り返し評価において2回とも複数得られた呈味もしくは口当たりのコメントとして「先味」でコクおよび甘味、「後味」で苦味が確認された。よって、インドールはアルコール度数20%になるように水を加えたブランデーにおいて「先味」でコクおよび甘味、「後味」で苦味を増強することがわかった。
[実施例19]
ウオッカL(アルコール濃度40度)をアルコール度数20%になるように水を加え、さらにインドールを20ppb添加して試料を調製した。ブランクとして、インドールを添加していないウオッカL(アルコール濃度40度)をアルコール度数20%になるように水を加えた試料を準備した。そして、9名もしくは10名の専門評価者により「先味」と「後味」とに分けて2回繰り返して官能評価を行い、官能評価の結果を表20にまとめた。
実施例19の官能試験の結果から、繰り返し評価において2回とも複数得られた呈味もしくは口当たりのコメントとして「先味」でコクおよび甘味、「後味」でコクおよび苦味が確認された。よって、インドールはアルコール度数20%になるように水を加えたウオッカにおいて「先味」でコクおよび甘味、「後味」でコクおよび苦味を増強することがわかった。
[実施例20]
テキーラM(アルコール濃度40度)をアルコール度数20%になるように水を加え、さらにインドールを20ppb添加して試料を調製した。ブランクとして、インドールを添加していないテキーラM(アルコール濃度40度)をアルコール度数20%になるように水を加えた試料を準備した。そして、9名もしくは10名の専門評価者により「先味」と「後味」とに分けて2回繰り返して官能評価を行い、官能評価の結果を表21にまとめた。
実施例20の官能試験の結果から、繰り返し評価において2回とも複数得られた呈味もしくは口当たりのコメントとして「先味」でコクおよび甘味、「後味」で苦味が確認された。よって、インドールはアルコール度数20%になるように水を加えたテキーラにおいて「先味」でコクおよび甘味、「後味」で苦味を増強することがわかった。
[実施例21]
ラムN(アルコール濃度40度)をアルコール度数20%になるように水を加え、さらにインドールを20ppb添加して試料を調製した。ブランクとして、インドールを添加していないラムN(アルコール濃度40度)をアルコール度数20%になるように水を加えた試料を準備した。そして、9名もしくは10名の専門評価者により「先味」と「後味」とに分けて2回繰り返して官能評価を行い、官能評価の結果を表22にまとめた。
実施例21の官能試験の結果から、繰り返し評価において2回とも複数得られた呈味もしくは口当たりのコメントとして「先味」でコク、「後味」で苦味およびコクが確認された。よって、インドールはアルコール度数20%になるように水を加えたラムにおいて「先味」でコク、「後味」で苦味およびコクを増強することがわかった。
[実施例22]
ジンO(アルコール濃度47.3度)をアルコール度数20%になるように水を加え、さらにインドールを20ppb添加して試料を調製した。ブランクとして、インドールを添加していないジンO(アルコール濃度47.3度)をアルコール度数20%になるように水を加えた試料を準備した。そして、9名もしくは10名の専門評価者により「先味」と「後味」とに分けて2回繰り返して官能評価を行い、官能評価の結果を表23にまとめた。
実施例22の官能試験の結果から、繰り返し評価において2回とも複数得られた呈味もしくは口当たりのコメントとして「先味」でコクおよび甘味、「後味」で苦味が確認された。よって、インドールはアルコール度数20%になるように水を加えたジンにおいて「先味」でコクおよび甘味、「後味」で苦味を増強することがわかった。
また、実施例23〜26では、アルコール濃度25%、15%、10%、5%の麦焼酎Aに、0.05〜5000ppbのインドールを添加して、インドールの好ましい濃度範囲を官能評価により評価した。
[実施例23]
麦焼酎A(アルコール濃度25度)に、表25に示すように、0.05〜5000ppbのインドールをそれぞれ添加して試料を調製した。ブランクとして、インドールを添加していない麦焼酎A(アルコール濃度25度)を準備した。そして、ブランクに対する試料の呈味・口当たりを、表24に示す評価基準を用いて「先味」と「後味」とで官能評価を行い、インドールの添加により付与された呈味・口当たりの官能評価の結果を表25にまとめた。具体的には、11名もしくは8名の専門評価者に、呈味もしくは口当たりについて、表24に示す評価基準に応じた点数を付けて貰うとともに、呈味もしくは口当たりについてのコメントを貰った。なお、表24からわかるように、評価基準は数値が高いほど呈味もしくは口当たりについて好ましい効果があることを示しており、評価基準値が「4」を超える場合には、インドールを添加していない場合と比べて好ましい効果があることを表している。本実施例では、11名もしくは8名の専門評価者が付けた評価基準値の平均値を評価値として算出した。たとえば、表25において、インドールを0.5ppb添加した場合の「先味」の評価値は、11名の専門評価者が選んだ評価基準値の平均値から5.4となったことを示す。
実施例23の官能試験の結果から、アルコール濃度25度の麦焼酎では、特にインドールを0.05〜400ppb添加することにより、「先味」または「後味」において味・口当たり付与の効果の評価値が4.5以上になることが確認された。よって、インドールは麦焼酎において0.05〜400ppbの濃度を添加した際に味呈もしくは口当たりに良い効果を付与することがわかった。特に、0.05〜200ppbの濃度のインドールを含有するアルコール濃度25度の麦焼酎は、「先味」および「後味」の両方において味・口当たり付与の効果の評価値が4以上になることがわかった。
[実施例24]
アルコール度数15%になるように水を加えた麦焼酎A(アルコール濃度25度)に、0.05〜5000ppbのインドールを添加して試料を調製した。ブランクとして、インドールを添加していないアルコール度数15%になるように水を加えた麦焼酎A(アルコール濃度25度)を準備した。そして、ブランクに対する試料の呈味・口当たりを、表24に示す評価基準を用いて「先味」と「後味」とで官能評価を行い、インドールの添加により付与された呈味・口当たりの官能評価の結果を表26にまとめた。なお、実施例24では、8名もしくは10名の専門評価者の平均値を評価値として採用した。
実施例24の官能試験の結果から、特にインドールを0.05〜300ppb添加することにより、「先味」または「後味」において呈味・口当たり付与の効果の評価値が4.5以上になることが確認された。よって、インドールはアルコール度数15%になるように水を加えた麦焼酎において0.05〜300ppbの濃度を添加した際に呈味もしくは口当たりに良い効果を付与することがわかった。特に、0.05〜200ppbの濃度のインドールを含有するアルコール濃度15度の麦焼酎は、「先味」および「後味」の両方において味・口当たり付与の効果の評価値が4.5以上になる。
[実施例25]
アルコール度数10%になるように水を加えた麦焼酎A(アルコール濃度25度)に、0.05〜5000ppbのインドールを添加して試料を調整した。ブランクとして、インドールを添加していないアルコール度数10%になるように水を加えた麦焼酎A(アルコール濃度25度)を準備した。そして、ブランクに対する試料の呈味・口当たりを、表24に示す評価基準を用いて「先味」と「後味」とで官能評価を行い、インドールの添加により付与された呈味・口当たりの官能評価の結果を表27にまとめた。なお、実施例25では、8名もしくは9名の専門評価者の平均値を評価値として採用した。
実施例25の官能試験の結果から、特にインドールを0.05〜200ppb添加することにより、「先味」または「後味」において呈味・口当たり付与の効果の評価値が4.5以上になることが確認された。よって、インドールはアルコール度数10%になるように水を加えた麦焼酎において0.05〜200ppbの濃度を添加した際に呈味もしくは口当たりに良い効果を付与することがわかった。
[実施例26]
アルコール度数5%になるように水を加えた麦焼酎A(アルコール濃度25度)に、0.05〜5000ppbのインドールを添加して試料を調製した。ブランクとして、インドールを添加していないアルコール度数5%になるように水を加えた麦焼酎A(アルコール濃度25度)を準備した。そして、ブランクに対する試料の呈味・口当たりを、表24に示す評価基準を用いて、「先味」と「後味」とで官能評価を行い、インドールの添加により付与された呈味・口当たりの官能評価の結果を表28にまとめた。なお、実施例26では、10名もしくは9名の専門評価者の平均値を評価値として採用した。
実施例26の官能試験の結果から、特にインドールを0.05〜30ppb添加することにより、「先味」または「後味」において呈味・口当たり付与の効果の評価値が4.5以上になることが確認された。よって、インドールはアルコール度数5%になるように水を加えた麦焼酎において0.05〜30ppbの濃度を添加した際に呈味もしくは口当たりに良い効果を付与することがわかった。また、インドール濃度が30ppb以下では、先味で甘味及びコクが増強されるのに対して、30ppb以上では先味で苦味が増強されることがわかった。
以上実施例1〜26の結果から、各種蒸留酒にインドールを有効成分とする呈味改善剤を添加することで、蒸留酒に苦味、甘味、まるみ、またはコクといった呈味を付与することができることがわかった。また、インドールを含有する蒸留酒のアルコール濃度に応じて、また、含有されるインドールの濃度に応じて、増強され、また改善される蒸留酒の呈味の種類、度合が異なることもわかった。このように、インドールを有効成分とする呈味改善剤は、インドールの濃度が例えば0.05〜50ppb程度の比較的低い場合でも、呈味または口当たりに良さを付与することができるため、蒸留酒を水やお湯で割った場合でも、お酒が水っぽくなりにくく、お酒の味や口当たりをよくすることができる。そのため、たとえば、インドールを50ppb含む麦焼酎(アルコール濃度25%)をそのまま飲んでも、あるいは水を加えてアルコール濃度を5%としても(インドールは10ppb)、苦味、甘味、まるみ、またはコクといった呈味を付加することできるため、いわゆる「味が伸びる」と表現される、水で蒸留酒または希釈された蒸留酒を割った場合において、水で割る前の蒸留酒の呈味や口当たりを感じることができるという希有な効果を有する蒸留酒または希釈された蒸留酒を提供することができる。
また、酒のアルコール濃度を5%より低くするためにより多くの水で割る場合や、氷が溶けてしまうことにより、インドールの濃度が低下することを考慮して、蒸留酒または希釈された蒸留酒(製造段階で割水された蒸留酒)が500ppb以上のインドールを含有するように、蒸留酒を製造することもできる。これにより、蒸留酒や希釈された蒸留酒を、飲用の際に、多くの水で割る場合や、氷が溶けた場合でも、苦味、甘味、まるみ、またはコクといった呈味を感じさせることができる。
さらに、高濃度のインドールを含有する蒸留酒の原酒を、そのまま呈味改善剤として蒸留酒または希釈された蒸留酒に添加することができ、インドールを有効成分とする蒸留酒または希釈された蒸留酒の呈味改善剤として、インドールを含有する蒸留酒自体を用いることもできるという極めて実用的な効果も有する。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態の記載に限定されるものではない。上記実施形態には様々な変更・改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態のものも本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、上述した実施例では、インドールを呈味改善剤として含有する蒸留酒または希釈された蒸留酒のアルコール濃度を5〜25%としたが、上述のとおり、インドールを呈味改善剤として含有させる蒸留酒または希釈された蒸留酒のアルコール濃度は特に限定されるものではなく、5%未満でも、25%以上であってもよい。

Claims (6)

  1. インドールを有効成分とする、蒸留酒用呈味改善剤。
  2. 上記呈味が、苦味および/または甘味である、請求項1に記載の蒸留酒用呈味改善剤。
  3. 上記呈味が、苦味、甘味、まるみ、および/またはコクである、請求項1に記載の蒸留酒用呈味改善剤。
  4. 上記呈味改善が、先味と後味とで異なる呈味を付与する呈味改善である、請求項1ないし3のいずれかに記載の蒸留酒用呈味改善剤。
  5. インドールを0.05〜500ppb含有する蒸留酒または希釈された蒸留酒である、請求項1ないし4のいずれかに記載の蒸留酒用呈味改善剤。
  6. 上記蒸留酒が焼酎である、請求項1ないし5のいずれかに記載の蒸留酒用呈味改善剤。
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