JP6788338B2 - 耐スポーリング性試験装置及び耐スポーリング性評価方法 - Google Patents

耐スポーリング性試験装置及び耐スポーリング性評価方法 Download PDF

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本発明は、耐火物試験片の耐スポーリング性試験装置及び耐スポーリング性評価方法に関する。
例えば溶鉄用容器に内張される耐火物やSNプレートれんが等の一部の耐火物は、外周鉄皮(鉄皮)からの機械的拘束を受けた状態で使用される。このため、これらの材料の耐スポーリング性評価は実際の使用に近づけるため機械的拘束下で行うことが好ましい。
しかし、従来の耐スポーリング性試験は非拘束下で実施されるのが一般的である(例えば、溶銑浸漬、電気炉加熱・冷却試験等)。拘束下と非拘束下では優劣が一致するとは限らず、非拘束試験では適切な評価ができていない可能性がある。例えば、剥離は加熱面に平行に入る亀裂により生じやすい。しかし、非拘束下での試験では、亀裂が加熱面に平行にならないことが多く、剥離を再現できない。このため、機械的拘束下での耐スポーリング性を評価する手法が検討されてきた。
従来、機械的拘束下での耐スポーリング性や亀裂発生を評価する方法としては、角型の金属製フレームに耐火物を配置して加熱するパネルスポーリング試験(例えば、非特許文献1参照)や、部分円周状の金属製フレームに耐火物を配置して機械的拘束力を付与した上で実施される実炉使用の模擬的試験の例(例えば、非特許文献2参照)がある。
これらの試験では、耐火物を何層にも積層するのが一般的であるが、耐火物と耐火物との接触状態を一定にするのが難しく、評価の安定性に課題がある。また、亀裂の状態が確認できるのは試験終了後に積層した耐火物を取り外した後になるため、その亀裂が発生した時期や亀裂の長さを詳細に知ることができない。
一方、亀裂の発生時期を調査するため、アコースティックエミッションを計測する方法もある(例えば、非特許文献3、特許文献1参照)。しかし、この方法では亀裂位置や長さとの対応を正確に知ることは困難である。さらには、試験が大掛かりなため、評価に時間やコストがかかる問題がある。
また、耐火物の熱膨張量や発生応力を評価する装置もある(例えば、特許文献2参照)。しかし、この装置は耐スポーリング性を評価するものではない。
特開平8−114389号公報 特開2014−35251号公報
耐火物手帳 1981年版,pp.564−568 耐火物技術協会 耐火物22[12]550−556(1970) 耐火物31[6]285−295(1979)
本発明が解決しようとする課題は、実炉使用に沿った耐火物試験片の耐スポーリング性を時系列で正確かつ簡単に把握することができる耐スポーリング性試験装置及び耐スポーリング性評価を提供することにある。
本発明の一観点によれば、耐火物試験片を上下方向に一軸上に拘束する拘束手段と、
前記耐火物試験片の上下方向に一軸上に配置され、前記拘束手段による拘束荷重を測定する荷重測定手段と、前記拘束手段により拘束された耐火物試験片のうちの一面である加熱面を加熱する加熱手段と、前記加熱手段により加熱された前記耐火物試験片の前記加熱面以外の面であって前記加熱面と直交する直接加熱されない側面である撮影面を加熱中又は冷却中に撮影可能な撮影手段と、を備えた耐スポーリング性試験装置が提供される。
本発明の他の観点によれば、耐火物試験片を上下方向に一軸上に拘束する拘束工程と、拘束された耐火物試験片のうちの一面である加熱面を加熱又は冷却する加熱冷却工程と、を含み、前記加熱冷却工程中に、前記耐火物試験片の上下方向に一軸上に配置された荷重測定手段によって前記耐火物試験片の拘束荷重を測定する荷重測定工程と、前記耐火物試験片の前記加熱面以外の面であって前記加熱面と直交する直接加熱されない側面である撮影面を撮影する撮影工程と、を含み、さらに、あらかじめ撮影された前記撮影面の初期画像及び前記撮影工程で撮影された前記撮影面の画像並びに前記拘束荷重から耐スポーリング性を評価する評価工程と、を含む耐スポーリング性評価方法が提供される。
本発明の耐スポーリング性試験装置及び耐スポーリング性評価方法によれば、上下方向に拘束された耐火物試験片の拘束荷重を測定するとともに、その拘束下で加熱された耐火物試験片の加熱面以外の側面である撮影面を撮影することで、その撮影した画像及び拘束荷重から耐火物試験片の耐スポーリング性を時系列で正確かつ簡単に把握することができる。また、耐火物試験片は、上下方向に拘束されており、しかもその一面を加熱することが可能であるから、実炉使用に沿った耐火物試験片の耐スポーリング性を把握することができる。
本発明の一実施形態に係る耐スポーリング性試験装置の構成図である。 図1の耐スポーリング性試験装置において遮熱手段(遮熱れんが)の設置状態を示す斜視図である。 遮熱れんがの他の設置例を示す斜視図である。 遮熱れんがのさらに他の設置例を示す斜視図である。 実施例1において、耐火物試験片の加熱面側と背面側の温度、及び耐火物試験片の上下方向にかかる力から計算した応力を示すグラフである。 実施例1において、耐火物試験片の撮影面の画像をプログラムで処理することによって得られたひずみ分布を示す図である。 比較例1において、画像処理によって得られた耐火物試験片の撮影面のひずみ分布を示す図である。 実施例2における耐火物試験片の撮影面の各位置を示す図である。 実施例2において、耐火物試験片の温度と応力の推移を示すグラフである。 実施例2において、耐火物試験片加熱面側の端部付近(図8中のa−f間)のy方向ひずみの推移を示すグラフである。 実施例2において、耐火物試験片の加熱面から背面までの各2点間のx方向ひずみを6箇所について求めて、それらの平均値をプロットしたものの推移を示すグラフである。 実施例2において、1〜6回の加熱時の画像を用いてデジタル画像相関法によって求めたひずみ分布を示す図である。 実施例3において、耐火物試験片の温度と応力の推移を示すグラフである。 実施例3において、耐火物試験片の加熱面側のy方向ひずみ量の推移を示すグラフである。 実施例3において、実炉鉄皮拘束を想定した熱ひずみ量を下回った後の最初の冷却後のひずみ分布を示す図である。
図1は、本発明の一実施形態に係る耐スポーリング性試験装置の構成図である。
本発明の耐スポーリング性試験装置は、耐火物試験片Sを一軸方向(上下方向)に拘束する拘束手段10と、拘束手段10による拘束荷重を測定する荷重測定手段20と、拘束手段10により拘束された耐火物試験片Sを加熱する加熱手段30と、加熱手段30により加熱された耐火物試験片Sの加熱面以外の側面である撮影面を加熱中又は冷却中に撮影可能な撮影手段40とを備える。
拘束手段10は、耐火物試験片Sの一端(上端)を拘束する第1拘束手段11と、耐火物試験片の他端(下端)を拘束する第2拘束手段12とからなる。第1拘束手段11の一端(上端)は支持フレーム50に固定され、第1拘束手段11の他端(下端)が耐火物試験片Sの一端(上端)を拘束する。一方、第2拘束手段12の一端は荷重制御手段60に連結され、第2拘束手段12の他端(上端)が耐火物試験片Sの他端(下端)を拘束する。具体的には、第1拘束手段11の他端(下端)及び第2拘束手段12の他端(上端)にはそれぞれ加圧板11a及び12aが形成されており、耐火板11b及び12bを介して、耐火物試験片Sの一端(上端)及び他端(下端)が拘束される。
荷重制御手段60は、第2拘束手段12の一端(下端)が連結された載荷板61と、この載荷板61を一軸方向(上下方向)に移動させるモータやシリンダからなる移動手段62とを備え、載荷板61によって第2拘束手段12を一軸方向(上下方向)に移動させることで、拘束手段10による拘束荷重を変更制御可能である。この拘束荷重は、第1拘束手段11に設置した荷重測定手段20によって測定される。荷重測定手段20は、例えばロードセルによって構成できる。
ここで、上述のとおり、溶鉄用容器に内張される耐火物やSNプレートれんが等の一部の耐火物は鉄皮からの機械的拘束を受けた状態で使用されるから、その耐スポーリング性試験は、実炉使用時の鉄皮の熱ひずみ量に相当する熱ひずみ量となる拘束条件下で実施することが好ましい。ただし、図1に示す支持フレーム50等の金属製フレームで拘束荷重を与える方法では、金属製フレームの弾性変形の影響もあり、耐火物試験片の熱ひずみ量は実炉使用時の鉄皮の熱ひずみ量を上回ることが多い。これに対して、レーザ変位計等で耐火物試験片の変位量を測定し、その信号を用いて耐火物試験片の熱ひずみ量を制御する方法も考えられるが、変位測定には熱変形や空気のゆらぎによるノイズが生じやすいため、この制御方法は適していない。一方で、荷重値はノイズが少なく制御上の不具合を生じにくいので、安定性の面ではレーザ変位等を用いるよりも優れている。このため、本発明では、レーザ変位計等は使用せず、荷重制御手段60により拘束荷重を徐々に増加させる手法を採用している。拘束荷重を徐々に増加させた場合、耐火物試験片の加熱面側は圧縮応力の増加に伴って徐々に収縮してゆく。収縮の過程では、使用時の鉄皮の熱ひずみ量と概ね同一になる点が生じるので(詳細は後述の実施例2参照)、その近傍の加熱・冷却時の状態が実炉における鉄皮の熱ひずみ量と概ね同一のひずみ量で拘束された状態の再現となる。すなわち、荷重制御手段60により荷重を変更(増加)させることで、金属製フレームの弾性変形の影響があった場合であっても、実炉における鉄皮の熱ひずみ量と概ね同一のひずみ量で拘束された条件を再現することができる。
加熱手段30は例えばガスバーナからなり、実炉使用の耐火物の稼働面を想定した耐火物試験片Sの一面である加熱面を加熱する。
撮影手段40は例えばデジタルカメラからなり、本実施形態では耐火物試験片Sの加熱面と直交する側面である撮影面を撮影する。
また、本実施形態では、撮影対象の撮影面が加熱手段30によって直接加熱されないように遮熱手段(遮熱れんが)70を設置している。図2は、遮熱れんが70の設置状態を示す斜視図である。このように加熱手段30であるガスバーナの火炎が、耐火物試験片Sの側面である撮影面に直接当たらないように遮熱れんが70を設置することで、より実炉使用に近い条件下での試験が可能となる。すなわち、一般的に実炉使用では稼働面のみが加熱され、側面は加熱されない。なお、図2では、加熱手段30及び遮熱れんが70を設置するための遮熱れんが台71(図1参照)は省略している。
また、図3に示すように遮熱れんが60に加えて上側遮熱れんが72を設置すれば、上側への抜熱が抑制され、加熱手段30による加熱効率を向上させることができる。さらに図4に示すように前側遮熱れんが73を設置すれば、輻射による抜熱も抑制され、加熱手段30による加熱効率をさらに向上させることができる。
図1に戻って、本実施形態の耐スポーリング性試験装置では、耐火物試験片Sの撮影面を覆うように断熱材80を配置し、撮影手段40で撮影面を撮影するときは、移動手段によって撮影手段40による撮影面の撮影が可能な位置に断熱材80を一時的に移動させるようにしている。このように、撮影手段40による撮影時を除いて耐火物試験片Sの撮影面を断熱材80で覆うことができるようにすることで、当該撮影面の温度低下を抑制することができ、より実炉使用に近い条件下での試験が可能となる。なお、断熱材80を移動させる移動手段は図1では省略しているが、シリンダやモータなどの周知の駆動手段によって構成できる。
また、図1に示す本実施形態の耐スポーリング性試験装置は、耐火物試験片Sの加熱面及びその背面の温度をそれぞれ測定する温度測定手段90a及び90bを備える。温度測定手段90a及び90bは、例えば放射温度計によって構成できる。これら温度測定手段90a及び90bによって測定された温度のデータ、上述の荷重測定手段20によって測定された拘束荷重のデータ、及び撮影手段40によって撮影された画像のデータは、コンピュータからなる評価手段100に入力され、評価手段100は、これらのデータから耐火物試験片Sの耐スポーリング性を評価する。
次に、図1の耐スポーリング性試験装置による本発明の耐スポーリング性評価方法を説明する。
まず、耐火物試験片Sを拘束手段10により一軸方向(上下方向)に拘束する(拘束工程)。次いで、拘束手段10により拘束された耐火物試験片Sの加熱面を加熱手段30によって加熱又は冷却する(加熱冷却工程)。なお、この場合の冷却とは、加熱手段30による加熱を止めることにより自然冷却されることをいう。
この加熱冷却工程中に、耐火物試験片Sの拘束荷重が荷重測定手段20によって連続的に測定され(荷重測定工程)、その拘束荷重のデータは評価手段100に入力される。また、この加熱冷却工程中に、耐火物試験片Sの撮影面が撮影手段40によって撮影され(撮影工程)、この画像のデータも評価手段100に入力される。なお、撮影工程では上述のとおり、耐火物試験片Sの撮影面に配置された断熱材80を移動させて撮影する。
また、評価手段100には、あらかじめ撮影手段40等によって撮影された耐火物試験片Sの撮影面の初期画像のデータも入力される。この初期画像は、拘束工程前又は拘束工程後加熱冷却工程前の適当なタイミングで撮影しておく。
最後に、耐火物試験片Sの撮影面の初期画像及び撮影工程で撮影された撮影面の画像並びに荷重測定工程で測定された拘束荷重から耐火物試験片Sの耐スポーリング性を評価する(評価工程)。例えば評価工程(評価手段100)では、デジタル画像相関法のプログラムを用いて初期画像及び撮影工程で得られた画像のデータを解析し、ひずみ分布や亀裂の状態などの耐スポーリング性を評価する。
<実施例1>
耐火物試験片Sとして65×112×35mmのアルミナ−マグネシア質流し込み材の試料を作製し、事前に1000℃×3Hの熱処理を実施した。112×35mmの面を加熱面側、65×35mmの面の一方を下側になるように配置し、拘束手段10で一軸方向(上下方向)に0.5MPaの圧力(拘束荷重)を負荷した状態で固定した。この状態で耐火物試験片Sの撮影面を撮影手段40(デジタルカメラ)で撮影し初期画像を得た。
次いで、昇温速度を50℃/minに設定し、加熱手段30(プロパン−酸素ガスバーナ)で室温から1600℃まで昇温した後、温度を10分間保持し、バーナの火力を弱めて10分間保持して耐火物試験片Sの温度を下げた後、昇温速度を200℃/minで再び1600℃まで加熱した。
試験中は、耐火物試験片Sの加熱面と背面の温度(温度測定手段90a及び90bで測定された温度)、及び耐火物試験片Sの上下方向にかかる力(荷重測定手段20で測定された拘束荷重)を記録するとともに、耐火物試験片Sの撮影面を10秒毎に撮影手段40(デジタルカメラ)で撮影した。得られた画像は、前記初期画像とともにデジタル画像相関法のプログラムを用いて解析し、ひずみ分布を求めた。
図5は、耐火物試験片Sの加熱面側と背面側の温度、及び耐火物試験片Sの上下方向にかかる力から計算した応力を示している。図6は耐火物試験片Sの撮影面の画像をプログラムで処理することによって得られたひずみ分布を示している。図6より、加熱面に垂直な方向と平行な方向の両方に発生した亀裂が確認できる。実炉で起こる剥離現象は、加熱面(稼働面)に平行な方向に亀裂が発生し、その後の使用で加熱面側が剥がれ落ちる現象であるが、本実施例による試験では、それと類似の亀裂発生が確認できる。このため、本試験によって剥離しにくい条件を探索することで、剥離を起こしにくい材料の開発につなげることができる。また、図5に示したように、片面加熱条件における発生応力も同時に求めることができる。
<比較例1>
耐火物試験片Sの一軸方向(上下方向)の拘束をなくした以外は実施例1と同様の条件で試験を実施した。図7に、画像処理によって得られた耐火物試験片Sの撮影面のひずみ分布を示すが、亀裂は加熱面に垂直な方向のものだけで、加熱面に平行な亀裂は確認できない。実炉で起こる剥離現象は上述のとおり加熱面に平行な亀裂によって起こるが、それと類似の亀裂は起こっておらず、この試験方法を用いて剥離しにくい材質を設計するのは困難である。
<実施例2>
耐火物試験片Sとして114×230×65mmのアルミナ−マグネシア質流し込み材の試料を作製し、事前に1000℃×3Hの熱処理を実施した。230×65mmの面を加熱面側、114×65mmの面の一方を下側になるように配置し、拘束手段10で一軸方向(上下方向)に0.5MPaの圧力を負荷した状態で固定した。この状態で耐火物試験片Sの撮影面を撮影手段40(デジタルカメラ)で撮影し初期画像を得た。
昇温速度を200℃/minに設定し、加熱手段30(プロパン−酸素ガスバーナ)で室温から1600℃まで昇温した後、温度を10分間保持し、バーナの火力を弱めて10分間保持して耐火物試験片Sの温度を下げた後、昇温速度を200℃/minで再び1600℃まで加熱した。
その後、荷重制御手段60によって圧力を5MPaに変更し、同様に2回の加熱・冷却を行い、さらに圧力を10MPaに変更した後、3回の加熱・冷却を実施した。本実施例の荷重可変試験では、実炉における鉄皮の熱ひずみ量に合わせた拘束状態をある程度再現できる特徴がある。例えば、室温25℃、鉄皮温度300℃、鉄皮の熱膨張係数1.2×10−5(1/℃)を前提条件とすると、鉄皮の熱ひずみ量は0.0033となり、この値が目標ひずみ量となるので、耐火物試験片Sの撮影面における加熱面側の熱ひずみ量がこの値を跨ぐ(含む)ように試験を実施する。具体的に、本実施例では、実施例1と同様に温度と荷重の計測、及び耐火物試験片Sの撮影面の外観撮影を実施した。また、図8に示す各位置について、デジタル画像相関法によって変位を求め、その結果を用いて、各2点間における図8中に示すx方向とy方向のひずみを算出した(後述する図10、図11参照)。
まず、温度と応力の推移を図9に示す。図9の応力は、荷重値と試料の断面積から計算した値である。図9に示すように、応力は10MPa負荷後に徐々に低下している。応力の低下は試料(耐火物試験片S)の収縮に伴って生じると考えられ、収縮傾向がある程度継続したのを確認した後(本実施例では7回目の加熱・冷却を繰り返した後)、試験を終了させた。なお、評価する試料の熱膨張係数や圧縮強さによっては、目標ひずみ量に達するまでの収縮させるべきひずみ量が異なるので、収縮傾向が見られてからの加熱冷却の繰り返し回数は試料に応じて調整される。また、試験中の試料の熱ひずみ量をオンラインで測定可能とすれば、その熱ひずみ量が目標ひずみ量に達したことを確認した後に、試験を終了させるようにすることもできる。
耐火物試験片Sの撮影面の加熱面側(加熱面側端部付近(図8中のa−f間))のy方向ひずみの推移を図10に示す。図10の破線は、5MPa及び10MPaにおける各加熱・冷却サイクルにおける加熱面側のひずみの最大値を通るように引いた直線である。5MPaでは破線の勾配が概ね水平に近いが、10MPaでは破線の勾配が右下がりとなっており、10MPaを負荷した後の加熱・冷却によって、加熱面側におけるy方向ひずみが収縮側に変化していくことが分かる。上述のとおり、荷重可変試験では実炉鉄皮拘束(実炉における鉄皮による拘束)に近いひずみ量の時点で評価することが好ましいところ、実炉鉄皮拘束を想定したひずみ量0.0033に対して、6回目加熱時の加熱面側のひずみ量の最大値が0.0034であるので、6回目加熱時が実炉に近い拘束条件となっているといえる。
加熱面から背面までの各2点間(図8中のa−g間、b−h間、c−i間、d−j間、e−k間、f−l間)のx方向ひずみを6箇所について求めて、それらの平均値をプロットしたものの推移を図11に示す。図11に示すように、初回から6回までの加熱・冷却サイクルにおいて、x方向ひずみは徐々に増加している。
図12は、1〜6回の加熱時の画像を用いてデジタル画像相関法によって求めたひずみ分布を示している。剥離を引き起こす加熱面に平行な亀裂は1回目の加熱中に発生しているが、その後の加熱・冷却の繰り返しと荷重の増加により、徐々に損傷が進んでいることが確認できる。なお、実験で得られた亀裂の形態は加熱面に平行な亀裂が目立つものであったが、これは実炉で使用された耐火物の切断面で見られる亀裂の形態と類似している。また、図10で示したように、6回目の加熱・冷却後の状態が実炉鉄皮拘束に近い状態と考えられる。複数の材質を比較評価する場合は、各材質について実炉鉄皮拘束に近いひずみ分布図(本実施例では図12における6回目の状態のひずみ分布図)を決定し、各材質で決定した実炉鉄皮拘束に近いひずみ分布図を比較評価するのが好ましい。
<実施例3>
実施例3では、複数材質を比較する上で実炉鉄皮拘束に近いひずみ量に拘束した試験結果を得られるように検討した。具体的には、保持応力0.5MPaで加熱・冷却試験を実施し、その後保持応力5MPaで加熱・冷却試験を実施し、それ以降は2.5MPaずつ保持応力を高めて加熱・冷却試験を繰り返した。
得られた温度及び応力データの一例を図13に示す。評価には同一の製鉄所で使用された実績のある、材質A〜Dの4種類のアルミナ−マグネシア質流し込み材を選定し、事前の熱処理は110℃×24hとした。実炉における耐用性は、材質Aが最も良好であり、続いて材質B,C,Dの順であった。加熱面側のy方向ひずみ量の推移を図14に示す。いずれの材質も5MPa以上の保持応力では、加熱・冷却を繰り返す度にひずみが減少、つまり収縮している。耐用性の比較的良好な材質Aのひずみ量の変化は比較的小さく、耐用性に劣る材質Dはひずみ量の減少速度が大きい結果であった。実施例2で算出した、実炉鉄皮拘束を想定した熱ひずみ量0.0033と比較すると、材質Aは5回目の加熱、その他の材質は3回目の加熱において、加熱中の熱ひずみ量が0.0033を下回った。実炉鉄皮拘束を想定した熱ひずみ量を下回った後の最初の冷却後のひずみ分布図を図15に示す。材質Cの背面側には比較的大きい垂直亀裂が見られるが、それ以外は、平行亀裂が主体となっている。材質A及びBは大きい亀裂が少なく比較的良好であった。材質C及びDは加熱面付近に比較的大きい平行亀裂が発生していた。材質Dはさらに内部の損傷も他の材質よりも目立つ結果であった。このように、材質間の差異は顕著なものではなかったが、今回評価した4材質について、実炉での耐用性が悪くなるに従い損傷が多くなる傾向を再現できた。
10 拘束手段
11 第1拘束手段
11a 加圧板
11b 耐火板
12 第2拘束手段
12a 加圧板
12b 耐火板
20 荷重測定手段
30 加熱手段
40 撮影手段
50 支持フレーム
60 荷重制御手段
70 遮熱れんが(遮熱手段)
71 遮熱れんが台
72 上側遮熱れんが
73 前側遮熱れんが
80 断熱材
90a,90b 温度測定手段
100 評価手段

Claims (7)

  1. 耐火物試験片を上下方向に一軸上に拘束する拘束手段と、
    前記耐火物試験片の上下方向に一軸上に配置され、前記拘束手段による拘束荷重を測定する荷重測定手段と、
    前記拘束手段により拘束された耐火物試験片のうちの一面である加熱面を加熱する加熱手段と、
    前記加熱手段により加熱された前記耐火物試験片の前記加熱面以外の面であって前記加熱面と直交する直接加熱されない側面である撮影面を加熱中又は冷却中に撮影可能な撮影手段と、
    を備えた耐スポーリング性試験装置。
  2. 前記拘束手段による拘束荷重を変更制御する荷重制御手段をさらに備えた請求項1に記載の耐スポーリング性試験装置。
  3. 前記耐火物試験片の撮影面に配置された断熱材と、
    前記撮影手段による撮影時、前記撮影手段による撮影が可能な位置に前記断熱材を移動させる移動手段と、
    をさらに備えた請求項1又は2に記載の耐スポーリング性試験装置。
  4. 耐火物試験片を上下方向に一軸上に拘束する拘束工程と、
    拘束された耐火物試験片のうちの一面である加熱面を加熱又は冷却する加熱冷却工程と、を含み、
    前記加熱冷却工程中に、前記耐火物試験片の上下方向に一軸上に配置された荷重測定手段によって前記耐火物試験片の拘束荷重を測定する荷重測定工程と、前記耐火物試験片の前記加熱面以外の面であって前記加熱面と直交する直接加熱されない側面である撮影面を撮影する撮影工程と、を含み
    さらに、あらかじめ撮影された前記撮影面の初期画像及び前記撮影工程で撮影された前記撮影面の画像並びに前記拘束荷重から耐スポーリング性を評価する評価工程と、を含む耐スポーリング性評価方法。
  5. 前記撮影工程中に、前記耐火物試験片への拘束荷重を変更制御する、請求項4に記載の耐スポーリング性評価方法。
  6. 前記撮影工程中に、前記加熱面側の前記撮影面の熱ひずみ量が、実炉における鉄皮の熱ひずみ量を跨ぐように、前記耐火物試験片への拘束荷重を変更制御する請求項5に記載の耐スポーリング性評価方法。
  7. 前記撮影工程では、前記撮影面に配置された断熱材を移動させて撮影する、請求項4から6のいずれか一項に記載の耐スポーリング性評価方法。
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