次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1を参照して、本実施の形態のバンプ付電子部品搭載装置について説明する。バンプ付電子部品搭載装置1はBGA(Ball Grid Array)等の複数のバンプを有するバンプ付電子部品P(図2、図3参照・・以下、単に「バンプ付部品P」と略記する。)を基板2に搭載する機能を有するものである。バンプ付電子部品搭載装置1の基台1aには、X方向(基板搬送方向)に基板搬送機構3が配設されている。基板搬送機構3は実装対象となる基板2をX方向に搬送し、所定の搭載作業位置に位置決めする。
基板搬送機構3の両側には部品供給部4A,4Bが配設されている。一方側の部品供給部4Aには、トレイ5aに格納されたバンプ付部品Pを供給するトレイフィーダ5とフラックス供給ユニット6がX方向に並列して装着されている。したがって部品供給部4Aは、バンプ付電子部品を供給するバンプ付電子部品供給部となっている。他方側の部品供給部4Bには、キャリアテープに保持されたチップ部品等の小型の部品を供給する複数のテープフィーダ7がセットされている。
図2において、フラックス供給ユニット6は後述する搭載ヘッド11Aに保持されたバンプ付部品Pの複数のバンプPa(図3参照)に転写される転写材料であるフラックス8を塗膜の状態で供給する機能を有する。フラックス8は、バンプPa(図3(a))の表面や、部品実装時にバンプPaと接続される基板2の電極の表面に付着する酸化膜を除去する作用を有する粘性流体である。
図1において、基台1aのX方向の一端部にはリニア駆動機構を備えたY軸移動機構9がX方向と水平面内において直交するY方向に配設されている。Y軸移動機構9には、同様にリニア駆動機構を備えた2基のX軸移動機構10A,10BがY方向に移動自在に結合されている。X軸移動機構10A,10Bには、搭載ヘッド11A,11BがX方向に移動自在に装着されている。Y軸移動機構9及びX軸移動機構10Aを駆動することにより、搭載ヘッド11AはXY方向に水平移動する。同様に、Y軸移動機構9及びX軸移動機構10Bを駆動することにより、搭載ヘッド11BはXY方向に水平移動する。
図1、図2において、搭載ヘッド11A,11Bは、複数の部品保持ヘッド11aを備えている。部品保持ヘッド11aは下端部にバンプ付部品Pを吸着可能な吸着ノズル12を備えており、吸着ノズル12はノズル昇降機構(図示省略)によって個別に上下方向(Z方向)に移動可能となっている。搭載ヘッド11Aは、バンプ付電子部品供給部である部品供給部4Aのトレイフィーダ5から供給されるバンプ付部品Pを吸着ノズル12により吸着して取り出し、実装作業位置に位置決めされた基板2に搭載する機能を有する。搭載ヘッド11Bは、テープフィーダ7から供給される部品を吸着ノズル12により吸着し、実装作業位置に位置決めされた基板2に搭載する機能を有する。上記構成において、Y軸移動機構9、X軸移動機構10A,10B、搭載ヘッド11A、11Bは、部品供給部4A,4Bからバンプ付部品Pやチップ部品を取り出して基板2へ移送搭載する部品搭載機構を構成する。
図1において、搭載ヘッド11A,11Bには基板認識カメラ14が撮像方向を下方に向けて配設されている。基板認識カメラ14は搭載ヘッド11A,11Bと一体的に移動し、基板2を上方から撮像する。また、基台1aにおいて部品供給部4A,4Bと基板搬送機構3との間には、認識ユニット15が配設されている。認識ユニット15は、その上方を移動する搭載ヘッド11A,11Bに保持されたバンプ付部品Pやチップ部品等の部品を下方から撮像する。
次に図2および図3を参照して、フラックス供給ユニット6の構造および機能について説明する。フラックス供給ユニット6は、搭載ヘッド11Aに保持されたバンプ付部品Pの複数のバンプPaに転写される転写材料としてのフラックス8を成膜した状態で供給する転写材料供給装置であり、長尺形状のベース部20に、以下に説明する各部を設けて構成される。なお転写材料としては、フラックス8以外にも、金属粒子入りのフラックスや接着材を用いてもよい。
ベース部20は、部品供給部4Aに設けられたフィーダベース(図示省略)にY方向に長手方向を合わせて、矢印aで示す搭載ヘッド11Aのアクセス方向の反対側から着脱自在に装着される。本明細書においては、搭載ヘッド11Aがフラックス供給ユニット6にアクセスする側を前側とし、その反対方向を後側と定義する。フラックス供給ユニット6には、フィーダベースに係合してベース部20を固定する係合部20aが設けられており、さらに係合部20aから後方にはハンドル21が突出して設けられている。フラックス供給ユニット6をフィーダベースに装着する際には、ベース部20の下面側をフィーダベースの上面に沿わせてハンドル21を把持して前方に押し込む。これにより、係合部20aがフィーダベースの後端部に係合して、ベース部20は所定位置に装着される。
ベース部20の上面にはガイドレール22によって長手方向の往復動がガイドされたステージ24が配設されている。ステージ24は、モータ25、送りねじ26およびステージ24の下面に結合されて送りねじ26が螺合するナット部材(図示省略)より成るステージ駆動機構を備えており、モータ25を正逆駆動することによりステージ24は長手方向(Y方向)に往復動する。ステージ24は矩形状部材の上面側に底面が平滑な凹部を形成した構造であり、この凹部の底面は、フラックス8の塗膜を形成するための塗膜形成面24aとなっている(図3参照)。
ベース部20の上面には、ステージ24を跨ぐ形で門形のブラケット27が配置されており、ブラケット27にはスキージユニット28が保持されている。図3に示すように、スキージユニット28は下方に延出して下端部が塗膜形成面24aとの間に塗膜形成隙間gを保って配設されたスキージ28aを備えている。塗膜形成面24aにフラックス8が供給された状態で、図3(a)に示すように、ステージ24を成膜動作方向(矢印b)に移動させることにより、塗膜形成面24aには塗膜形成隙間gに応じた塗膜厚のフラックス8の塗膜が成膜される。スキージユニット28のステージ24に対する高さ位置は可変となっており、形成されるフラックス8の塗膜厚を所望の厚みに調整することができるようになっている。
スキージユニット28の後方には掻取り部29が配置されており、掻取り部29は下方に延出して下端部が塗膜形成面24aに当接したスクレーパ29aを備えている。スクレーパ29aは塗膜形成面24aに付勢されて、常に塗膜形成面24aに当接した状態にある。スクレーパ29aがステージ24に当接した状態でステージ24を移動させることにより、塗膜形成面24a上のフラックス8はスクレーパ29aによって一方側へかき寄せられる。スキージユニット28と掻取り部29との間には、シリンジ30から供給されるフラックス8を塗膜形成面24aに導く供給ニードル30aが挿入配置されている。
部品供給部4Aのトレイフィーダ5のトレイ5aからバンプ付部品Pを取り出した搭載ヘッド11Aが認識ユニット15の上方へ移動する途中において、搭載ヘッド11Aはフラックス供給ユニット6に移動する。そして図3(a)に示すように、フラックス8が成膜されたステージ24に対して、部品保持ヘッド11aの吸着ノズル12に保持されたバンプ付部品Pを下降させる(矢印c)。次いでバンプ付部品PのバンプPaをフラックス8に接触させた後に部品保持ヘッド11aを上昇させると(矢印d)、図3(b)に示すように、バンプ付部品PのバンプPaにはフラックス8が転写された状態となる。
このようにしてバンプPaにフラックス8が転写された後のバンプ付部品Pを保持した部品保持ヘッド11aは、認識ユニット15の上方へ移動する。そしてここでバンプ付部品Pは認識ユニット15によって撮像され、撮像によって取得された画像を認識部40(図5参照)によって認識処理することにより、バンプ付部品Pにおけるフラックス8の転写状態の検査が行われる。この転写状態の検査では、予め設定された判定基準(例えばバンプ付部品Pに転写されたフラックス8の転写面積が基準値以上であるか、また転写位置の偏りが許容範囲以内であるか、など)に基づいて良否判定が行われる。
図4は、この転写状態の検査に用いられる認識ユニット15の構成を示している。認識ユニット15の撮像部15aは、照明部31、ハーフミラー32、カメラ33を備えており、この構成により上方に位置する部品保持ヘッド11aの吸着ノズル12に保持されたバンプ付部品PのバンプPaを撮像する。カメラ33は、上方から入射する撮像光を受光し、レンズ33aによって結像された光学画像を撮像素子33bによってデジタル画像データとして取得する。取得された画像は認識部40の認識処理部44による認識処理の対象となる。
照明部31は撮像対象のバンプ付部品Pに対して照明用の光を照射する。ここで照明部31は、それぞれ異なる方向から光を照射するバックライト用照明31a、側方照明31b、同軸照明31cより構成される。バックライト用照明31aは、吸着ノズル12の鍔部12aの下面に設けられた背景面12bに対して光を照射し、その反射光が撮像対象であるバンプ付部品Pの背面から下方に透過した光を撮像光としてカメラ33によって受光する。側方照明31bは、撮像対象であるバンプ付部品Pの下面に対して光を斜め下方から照射し、その反射光を撮像光としてカメラ33が受光する。
また同軸照明31cは、カメラ33の上方に斜め姿勢で配置されたハーフミラー32に対して横方向から照明光を照射する。この照明光はハーフミラー32によって上方に反射されて、カメラ33の光軸と同軸方向からバンプ付部品Pの下面に入射する。そしてこの照明光が下方に反射された反射光を、ハーフミラー32を透過させてカメラ33によって撮像光として受光する。なお本実施の形態に示す転写状態の検査のための撮像においては、側方照明31b、同軸照明31cのみを用いて検査用画像を取得する例を示している。
次に図5を参照して、バンプ付電子部品搭載装置1の制御系の構成を説明する。なおここでは、バンプ付電子部品搭載装置1の構成要素のうち、搭載ヘッド11Aに保持されたバンプ付部品Pや搭載ヘッド11Bに保持されるチップ部品の認識、バンプ付部品PのバンプPaにおけるフラックス8の転写状態の検査に関連した要素のみを記載している。
図5において認識部40には、カメラ33、照明部31を構成するバックライト用照明31a、側方照明31b、同軸照明31cが接続されている。認識部40は、画像記憶部41、照明制御部42、カメラ制御部43、認識処理部44、検査パラメータ設定部45、パラメータ記憶部46を備えている。認識部40は実装機制御部47に接続されており、さらに実装機制御部47は表示部48、操作・入力部49に接続されている。
画像記憶部41は、カメラ33によって撮像して取得した画像を記憶する。照明制御部42は、認識ユニット15による撮像時における照明部31のバックライト用照明31a、側方照明31b、同軸照明31cのON/OFFや照明光の明度を制御する。このとき、バンプ付部品Pを搭載ヘッド11Aから取り出して基板2に搭載する通常動作時には、パラメータ記憶部46に記憶された通常動作用の検査パラメータに含まれる照明条件に基づいて照明部31を制御する。また転写状態の検査に使用される検査用パラメータを取得するティーチング操作時には、検査パラメータ設定部45に記憶されたティーチング操作用の照明条件(図9に示す照明条件データ50参照)に基づき照明部31を制御する。
カメラ制御部43はカメラ33による撮像処理、すなわち通常動作時における部品認識、フラックスの転写状態の検査のための撮像や、検査パラメータ設定のために行われるティーチング操作時のサンプル画像取得を目的とした撮像を制御する。撮像結果は、画像記憶部41に画像データとして記憶される。認識処理部44は、画像記憶部41に記憶された画像データを認識処理することにより、チップ部品の電極や、バンプ付部品PのバンプPaの位置や状態を認識する。またこれら認識した部品の良否検査や、バンプPaに転写されたフラックス8の転写状態の検査を行う機能も有している。これらの認識結果や検査結果は、実装機制御部47へ転送され、必要に応じて表示部48に表示される。
実装機制御部47は、バンプ付電子部品搭載装置1による基板2への部品搭載動作を実行するための制御、すなわち基板搬送機構3や部品供給部4A、4B、前述の部品搭載機構、フラックス供給ユニット6 などの各部を対象とした制御を行う。この制御に際しては、認識処理部44から転送された部品の認識結果やフラックス8の転写状態の検査結果が反映される。すなわち部品認識の結果は部品搭載機構による部品搭載時の位置補正に反映され、また転写状態の検査により転写状態不良と判定されたバンプ付部品Pは基板2への搭載対象から除外され、不良部品として排除・回収される。
表示部48は液晶パネルなどの表示装置であり、前述の部品の認識結果、転写状態の検査結果や、バンプ付電子部品搭載装置1を稼働させる際の各種の操作指示やデータの入力操作を行うための操作画面を表示する。操作・入力部49は表示部48に組み込まれたタッチパネルやポインティングデバイスなどの入力装置であり、上述の操作指示やデータの入力操作を行う。
検査パラメータ設定部45は、フラックス8の転写状態の検査に適用される検査パラメータを設定するための処理を実行する機能を有している。検査パラメータには検査用画像を取得するためのカメラ33による撮像における照明条件と、取得された検査用画像から認識処理部44の認識処理機構によってフラックス8を検出するために用いられる閾値とが含まれている。この検査パラメータの設定の態様は、オペレータが手動入力によって検査パラメータを設定するマニュアル操作と、検査パラメータ設定部45が備えたパラメータ設定処理機能により自動的に検査パラメータを設定する自動設定のいずれかを選択することができる。
マニュアル操作を行う場合には、表示部48に検査パラメータ設定用の操作画面が表示され、オペレータは表示された操作画面上でパラメータ値を手動入力する。また自動設定を選択する場合には、以下に説明する検査パラメータ設定用画像であるサンプル画像を取得し、取得されたサンプル画像に基づいて、検査パラメータである照明条件と閾値とを自動的に設定する検査パラメータの自動設定処理が実行される。このようにして設定された検査パラメータはパラメータ記憶部46に転送されて記憶され、以下に説明する検査装置によるフラックス8の転写状態の検査においては、パラメータ記憶部46に記憶された検査パラメータが参照される。
本実施の形態に示す構成において、認識ユニット15および図5に示す認識部40は、複数のバンプPaに転写材料であるフラックス8が転写されたバンプ付部品Pを、検査パラメータに含まれる照明条件で光を照射しながら撮像して検査用画像を取得し、検査パラメータに含まれる閾値を用いて検査用画像からフラックス8を検出してフラックス8の転写状態を検査する検査装置を構成する。
この検査装置は、検査パラメータの自動設定処理に用いられるサンプル画像、すなわちバンプPaにフラックス8が転写される前のバンプ付部品Pの転写前画像とバンプPaにフラックス8が転写された後の転写後画像の取得を、照明条件を変えながら複数回実行するサンプル画像取得部を備えた構成になっている。図5に示す構成では、カメラ33、照明部31、照明制御部42、カメラ制御部43がサンプル画像取得部となっている。そして検査パラメータ設定部45は、転写前画像におけるバンプの明るさと転写後画像におけるバンプの明るさを比較することにより、転写状態の検査で使用する照明条件を設定する機能を有している。
次に、検査パラメータ設定部45によって実行される検査パラメータの自動設定処理の詳細について、図8,図9,図10を参照して説明する。検査パラメータの自動設定処理においては、まず図8に示すサンプル画像の取得が行われる。すなわち図8(a)に示すバンプPaにフラックス8が転写される前のバンプ付部品Pの転写前画像34aと、図8(b)に示すバンプPaにフラックス8が転写された後の転写後画像34bの取得を、照明条件を変えながら複数回実行する。
図9は、このサンプル画像の取得において用いられる複数(ここでは100通り)の照明条件の詳細を規定する照明条件データ50を示している。照明条件データ50は、複数の照明条件を照明条件番号(1,2,・・・100)によって個別に特定する「照明条件」51に、当該照明条件において適用される「ランプ値」52を対応させたデータ構成となっている。ここでランプ値は、照明装置を点灯させる際の照明光の明度を規定する数値データである。
「ランプ値」52は、撮像時の照明光の発光に際して点灯される個別照明(図4に示すバックライト用照明31a、側方照明31b、同軸照明31c)毎に、「バックライト照明」52a、「側方照明」52b、「同軸照明」52cとして個別に規定されている。すなわち本実施の形態において適用される照明条件データ50では、サンプル画像を取得する際の照明条件として、複数の個別照明を用いて照明光を照射する際の個別照明毎の照明条件の組み合わせより成る点灯パターンを含んだデータ構成となっている。そしてサンプル画像の取得に際しては、図4に示す照明部31を点灯させる照明条件を、「照明条件」特定番号51に示す照明条件に従って順次切り換えながら、前述の転写前画像34aと転写後画像34bとを複数回撮像し、取得されたサンプル画像を画像記憶部41に記憶する。
次に、検査パラメータとしての照明条件、すなわちフラックス8の転写状態の検査のために適用される照明条件の決定について説明する。前述のようにこの照明条件の決定は、図8(a)に示す転写前画像34a、図8(b)に示す転写後画像34bのそれぞれにおいてバンプの明るさを計測し、計測により求められたバンプの明るさを比較することにより行われる。このバンプ中の明るさの計測および明るさの比較は、図9の照明条件データ50に規定する「照明条件」51、すなわち照明条件番号1.2.・・によって特定される個々の照明条件毎に行われる。転写前画像34aにおけるバンプの明るさは、転写前画像34aの中でバンプが存在する領域内の明るい部分で計測する。照明光の状態にもよるが球状バンプの場合はバンプの中心部が明るくなる場合が多いのでバンプ中心部の明るさをバンプの明るさとする。
図8(a)に示す転写前画像34aでは、バンプPaにフラックス8が転写されていない状態のバンプ付部品Pの画像が含まれている。この転写前画像34aを認識処理部44によって認識処理することにより、複数のバンプPa(i)(添字iは全バンプ数のうちのi番目のバンプPaであることを示す。)の全てについて、バンプの明るさA1(i)を検出する。バンプの明るさA1(i)は、転写前画像34aの中でバンプが存在する領域内の明るい部分の明るさである。照明光の状態にもよるが球状バンプの場合はバンプの中心部が明るくなる場合が多いのでバンプ中心部の明るさをバンプの明るさA1(i)とする。そして検出された複数のA1(i)に基づいて、当該転写前画像34aを代表する明るさA1を求める。
この明るさA1を求める方法としていくつかのバリエーションが可能であり、これらのバリエーションから適宜選択して決定する。まず第1の方法では、全てのバンプPa(i)について検出された複数の明るさA1(i)のうち、最も明るい明るさA1を当該転写前画像34aを代表する明るさA1とする。第2の方法では、全てのバンプPa(i)について検出された複数の明るさA1(i)の平均値を求め、この平均値を当該転写前画像34aを代表する明るさA1とする。さらに第3の方法では、複数の明るさA1(i)の平均値を求めて代表する明るさA1とする方法において、平均値算出の対象となるバンプPa(i)の範囲を、予め設定された範囲に限定するようにしたものである。例えば、平均値算出の対象となるバンプPaを、バンプ付部品Pの中央部の所定範囲内に存在するものに限定する。
図8(b)に示す転写前画像では、バンプPaにフラックス8が転写された状態のバンプ付部品Pの画像が含まれている。この転写後画像34bを認識処理部44によって認識処理することにより、複数のバンプPa(i)(添字iについては転写前画像34aと同様。)の全てについて、バンプの明るさA2(i)を検出する。バンプの明るさA2(i)は、転写後画像34bの中でバンプが存在する領域内でフラックスが付着している部分の明るさである。照明光の状態にもよるが球状バンプの場合はバンプの中心部にフラックスが付着する場合が多いのでバンプ中心部の明るさをバンプの明るさA2(i)とする。そして検出された複数のA2(i)に基づいて、当該転写後画像34bを代表する明るさA2を求める。
この明るさA2を求める方法としては、前述の転写前画像34aの場合と同様にいくつかのバリエーションが可能であり、これらのバリエーションから適宜選択して決定する。まず第1の方法では、全てのバンプPa(i)について検出された複数の明るさA2(i)のうち、最も明るいA1を当該転写前画像34aを代表する明るさA2とする。第2の方法では、全てのバンプPa(i)について検出された複数の明るさA2(i)の平均値を求め、この平均値を当該転写前画像34aを代表する明るさA2とする。さらに第3の方法では、複数の明るさA2(i)の平均値を求めて、代表する明るさA2とする方法において、平均値算出の対象となるバンプPa(i)の範囲を、前述の転写前画像34aの場合と同様に、予め設定された範囲に限定する。
図10は、このようにしてサンプル画像(転写前画像34a、転写後画像34b)を対象とした明るさの計測結果を表形式とした計測結果データ60を示している。「照明条件」61は、図9に示す照明条件データ50における「照明条件」51に対応しており、複数の照明条件を照明条件番号(1,2,・・・100)によって個々に特定している。
そしてこれらの照明条件を用いて取得したサンプル画像から上述の方法によって計測された明るさの計測結果を、「照明条件」61によって特定されるそれぞれの照明条件に対応させている。「計測結果」62は明るさの計測結果を示すデータであり、図8(a)に示す転写前画像34aから求められた明るさA1を示す「フラックス転写前(A1)」62a、図8(b)に示す転写後画像34bから求められた明るさA2を示す「フラックス転写後(A2)」62bが示されている。そして「差(A1−A2)」63には、転写前画像34aにおける明るさA1と転写後画像34bにおける明るさA2の差(A1−A2)が示されている。
次に、計測結果データ60に基づいて検査パラメータを設定する方法について説明する。まず、計測結果データ60の「差(A1−A2)」63において、差(A1−A2)が最大となる「照明条件」61を求める。そしてこの「照明条件」61を、転写状態の検査で使用する照明条件に設定する。すなわち、検査パラメータ設定部45は、転写前画像34aにおけるバンプの明るさA1と転写後画像34bにおけるバンプの明るさA2の差が最も大きくなる照明条件を、転写状態の検査で使用する検査パラメータに含まれる照明条件に設定する。
次いで、同様に検査パラメータに含まれる閾値の設定について説明する。すなわち、上述の方法で設定された照明条件で取得された明るさデータ(「フラックス転写前(A1)」62a、「フラックス転写後(A2)」62b)を求める。次いでこのようにして求められた転写前画像34aにおける明るさA1と、転写後画像34bにおける明るさA2との中間値を、フラックス8の転写あり、転写無しを識別する閾値として設定する。
すなわち、検査パラメータ設定部45は、転写前画像34aにおけるバンプの明るさA1と転写後画像34bにおけるバンプの明るさA2の差が最も大きくなる照明条件と、当該照明条件で取得した転写前画像34aにおけるバンプの明るさA1と転写後画像34bにおけるバンプの明るさA2に基づいて定めた閾値とを、転写状態の検査で使用する照明条件と閾値に設定するようになっている。
なお上述例では、転写前画像34aにおけるバンプの明るさA1と転写後画像34bにおけるバンプの明るさA2の差が最も大きくなる照明条件を検査パラメータとして設定する例を示した。この設定例は推奨例であり、実用的な観点からは必ずしも転写前画像34a、転写後画像34bにおけるバンプの明るさの差が最大になる照明条件を、実際に採用する検査パラメータとして設定する必要はない。すなわち、転写状態の検査においては、フラックス8が転写された状態と転写されていない状態とを確実に検査画像上で識別できれば目的として足りており、必ずしも明るさの差が最大になることは必要とされない。
したがって、明るさの差が所定の基準を満たしており、フラックス8が転写された状態と転写されていない状態とを、検査画像上で確実に識別可能な照明条件であれば、この照明条件を検査パラメータとして設定することができる。例えばフラックス8が転写された状態と転写されていない状態とを検査画像上で確実に識別可能な明るさの差(A1−A2)の下限値を適切に設定しておき、転写前画像34a、転写後画像34bにおけるバンプの明るさの差(A1−A2)がこの下限値以上となるような照明条件であれば、この照明条件を検査パラメータとして設定することができる。
すなわちこの場合には、検査パラメータ設定部45は、転写前画像34aにおけるバンプの明るさA1と転写後画像34bにおけるバンプの明るさA2の差(A1−A2)が上述の下限値以上となる照明条件を、転写状態の検査で使用する照明条件に設定する。このような照明条件の設定方法を採用することにより、検査パラメータの設定作業時点において既設定の照明条件が、差(A1−A2)が上述の下限値以上となる照明条件に含まれている場合には、新たな設定変更を行うことなく既設定の照明条件をそのまま使用することができるという利点がある。
そして検査パラメータに含まれる閾値の設定についても前述例と同様に行われる。すなわち、上述の方法で設定された照明条件で取得された「フラックス転写前(A1)」62a、「フラックス転写後(A2)」62bを求める。次いでこのようにして求められた転写前画像34aにおける明るさA1と、転写後画像34bにおける明るさA2との中間値を、検査画像においてフラックス8の転写あり・転写無しを識別する閾値として設定する。
すなわち、検査パラメータ設定部45は、転写前画像34aにおけるバンプの明るさA1と転写後画像34bにおけるバンプの明るさA2の差(A1−A2)が上述の下限値以上となる照明条件と、当該照明条件で取得した転写前画像34aにおけるバンプの明るさA1と転写後画像34bにおけるバンプの明るさA2に基づいて定めた閾値とを、転写状態の検査で使用する照明条件と閾値に設定するようになっている。
次に図6を参照して、バンプ付電子部品搭載装置1によるバンプ付き部品搭載方法において実行されるバンプ付部品の搭載フローについて説明する。まずバンプ付部品取り出しが行われる(ST1)。すなわち、部品供給部4Aのトレイフィーダ5から搭載ヘッド11Aによってバンプ付部品Pを保持して取り出す。次いでバンプ付部品Pを保持した搭載ヘッド11Aをフラックス供給ユニット6に移動させて、フラックス転写が行われる(ST2)。すなわち、搭載ヘッド11Aで保持したバンプ付部品Pをフラックス供給ユニット6のステージ24に成膜された転写材料であるフラックス8に接触させて、複数のバンプPaにフラックス8を転写する(図3参照)。
フラックス8の転写後のバンプ付部品Pを保持した搭載ヘッド11Aは認識ユニット15の上方へ移動し、ここでバンプ付部品Pの撮像が行われる(ST3)。すなわちフラックス8が転写されたバンプ付部品Pに検査パラメータに含まれる照明条件に基づいて光を照射しながら下方から撮像することにより、バンプ付部品Pの位置認識やバンプPaに転写されたフラックス8の転写状態を検査するための検査用画像を取得する。この撮像においては、パラメータ記憶部46に記憶されたバンプ付部品認識用パラメータである検査パラメータに含まれる照明条件が参照される。
次いで、取得された検査用画像を対象としてバンプ付部品認識処理が行われる(ST4)、すなわち認識処理部44の処理機能により、バンプ付部品Pの位置とバンプPaの位置を認識する処理と、バンプPaに転写されたフラックス8の転写状態の検査が実行される。この検査においては、パラメータ記憶部46に記憶された検査パラメータに含まれる閾値を用いて検査用画像からフラックス8を検出して、フラックス8の転写状態を検査する。ここでは、認識処理部44に記憶された良否判定用の判定基準を参照することにより、転写状態が良好であるか否か?が判定される(ST5)。
この判定において転写状態が不良であると判定された場合には、部品回収(ST6)の後、(ST1)に戻って同様の作業処理サイクルが反復実行される。部品回収は、搭載ヘッド11Aに保持されたバンプ付部品Pを回収ボックス(図示省略)などに投棄することにより行われる。そして(ST5)にて転写状態が良好であればそのバンプ付部品Pを基板2に搭載し(ST7)、バンプ付部品搭載の1サイクルが終了する。
すなわち、上述のバンプ付き部品搭載フローでは、搭載ヘッド11Aで保持したバンプ付部品Pを成膜された転写材料であるフラックス8に接触させて複数のバンプPaにフラックス8を転写し、フラックス8が転写されたバンプ付部品Pに光を照射しながら撮像して検査用画像を取得し、閾値を用いて検査用画像からフラックス8を検出してフラックス8の転写状態を検査し、転写状態が良好であればそのバンプ付部品Pを基板2に搭載するようにしている。
本実施の形態に示すバンプ付電子部品搭載方法においては、上述のバンプ付部品Pの基板2への搭載に先立ち、以下の検査用パラメータ設定処理が実行される。まずバンプPaにフラックス8が転写される前のバンプ付部品Pの転写前画像34aとフラックス8が転写された後の転写後画像34bの取得を、バンプ付部品Pに照射する光の照明条件を変えながら複数回実行し、転写前画像34aにおけるバンプの明るさA1と転写後画像34bにおけるバンプの明るさA2を比較することにより、転写状態の検査で使用する検査用パラメータである照明条件を設定し、バンプ付部品Pを搭載する際には、設定した照明条件を使用して検査用画像を取得する。
以下、上述のバンプ付電子部品搭載方法におけるフラックス検査用パラメーラ設定処理について、図7のフローを参照して説明する。以下の処理は、図5に示す認識部40の処理機能によって実行されるものである。まずバンプ付部品取り出しが行われる(ST11)。すなわち部品供給部4Aのトレイフィーダ5から搭載ヘッド11Aによってバンプ付部品Pを取り出して保持する。
次いでバンプ付部品Pを保持した搭載ヘッド11Aを認識ユニット15の上方に移動させて、フラックス転写前のバンプ付部品連写が行われる(ST12)。ここでは、バンプ付部品Pに照射する光の照明条件を変えながら撮像を複数回実行する。すなわち図9に示す照明条件データ50に規定される複数の「照明条件」51を順次適用して、照明条件の異なる複数の画像を取得する。これにより、図8(a)に示すように、バンプPaにフラックス8を転写する前の状態の転写前画像34aが、複数の照明条件のそれぞれについて取得される。
次いでバンプ付部品Pを保持した搭載ヘッド11Aをフラックス供給ユニット6 に移動させて、フラックス転写が行われる(ST13)。すなわち、搭載ヘッド11Aで保持したバンプ付部品Pをフラックス供給ユニット6 のステージ24に成膜された転写材料であるフラックス8に接触させて、複数のバンプPaにフラックス8を転写する。
次いでフラックス8が転写された転写後のバンプ付部品Pを保持した搭載ヘッド11Aを認識ユニット15の上方に移動させて、フラックス転写後のバンプ付部品連写が行われる(ST14)。すなわち(ST12)と同様に、図9に示す照明条件データ50に規定される複数の「照明条件」51を順次適用して、照明条件の異なる複数の画像を取得する。これにより、図8(b)に示すように、バンプPaにフラックス8を転写した後の状態の転写後画像34bが、複数の照明条件のそれぞれについて取得される。
このように、(ST12)、(ST14)を実行することにより、フラックス8の転写前、転写後のバンプ付部品Pを同一の照明条件で撮像した1対のサンプル画像が、複数の照明条件のそれぞれについて取得される。すなわちここでは、バンプ付部品Pに照射する光の照明条件を変えながら撮像を複数回実行する。
この後、バンプ付部品認識用の照明条件決定が行われる(ST15)。すなわち転写前画像34aにおけるバンプの明るさA1と転写後画像34bにおけるバンプの明るさA2を比較することにより、転写状態の検査で使用する照明条件を設定する。ここに示す例では、転写前画像34aにおけるバンプの明るさA1と転写後画像34bにおけるバンプの明るさA2の差(A1−A2)が最も大きくなる照明条件を、転写状態の検査で使用する照明条件に設定するようにしている。
照明条件が決定したならば、フラックス検査用閾値の決定が行われる(ST16)。すなわち、(ST15)にて決定された照明条件で取得された転写前画像34aにおける明るさA1と、転写後画像34bにおける明るさA2との中間値を、検査画像においてフラックス8の転写あり・転写無しを識別する閾値として設定する。このようにして決定された照明条件、閾値を含む検査パラメータの設定結果は、表示部48に表示される(ST17)。そしてバンプ付部品Pを基板2に搭載する部品搭載作業に際しては、設定した照明条件を使用して転写状態の検査のための検査用画像を取得し、設定した閾値を用いて検査用画像からフラックス8を検出してフラックス8の転写状態を検査する。
なお上述のバンプ付電子部品搭載方法では、転写前画像34aにおけるバンプの明るさと転写後画像34bにおけるバンプの明るさの差が最も大きくなる照明条件を検査パラメータとして設定する例を示した。この設定例は推奨例であり、実用的な観点からは必ずしも転写前画像34a、転写後画像34bにおけるバンプの明るさの差が最大になる照明条件を、実際に採用する検査パラメータとして設定する必要はない。すなわち、転写状態の検査においては、フラックス8が転写された状態と転写されていない状態とを検査画像上で確実に識別できれば目的として足りており、必ずしも明るさの差が最大になることは必要とされない。
したがって、明るさの差が所定の基準を満たしており、フラックス8が転写された状態と転写されていない状態とを検査画像上で確実に識別可能な照明条件であれば、この照明条件を検査パラメータとして設定することができる。例えばフラックス8が転写された状態と転写されていない状態とを検査画像上で確実に識別可能な明るさの差(A1−A2)の下限値を適切に設定しておき、転写前画像34a、転写後画像34bにおけるバンプの明るさの差(A1−A2)がこの下限値以上となるような照明条件であれば、この照明条件を検査パラメータとして設定することができる。
すなわちこの場合には、転写前画像34aにおけるバンプの明るさA1と転写後画像34bにおけるバンプの明るさA2の差(A1−A2)が上述の下限値以上となる照明条件を、転写状態の検査で使用する照明条件に設定する。そして検査パラメータに含まれる閾値の設定についも前述例と同様に行われる。すなわち、上述の方法で設定された照明条件で取得された明るさデータ(「フラックス転写前(A1)」62a、「フラックス転写後(A2)」62b)(図10)を求める。次いでこのようにして求められた転写前画像34aにおける明るさA1と、転写後画像34bにおける明るさA2との中間値を、検査画像においてフラックス8の転写あり・転写無しを識別する閾値として設定する。
すなわち、転写前画像34aにおけるバンプの明るさA1と転写後画像34bにおけるバンプの明るさA2の差(A1−A2)が上述の下限値以上となる照明条件と、当該照明条件で取得した転写前画像34aにおけるバンプの明るさA1と転写後画像34bにおけるバンプの明るさA2に基づいて定めた閾値とを、転写状態の検査で使用する照明条件と閾値に設定するようになっている。
上記説明したように、本実施の形態に示すバンプ付電子部品搭載装置およびバンプ付電子部品搭載方法においては、搭載ヘッド11Aで保持したバンプ付部品Pを、成膜されたフラックス8に接触させて複数のバンプPaにフラックス8を転写し、フラックス8が転写されたバンプ付部品Pに光を照射しながら撮像して検査用画像を取得し、閾値を用いて検査用画像からフラックス8を検出してフラックス8の転写状態を検査し、転写状態が良好であればバンプ付部品Pを基板2に搭載するバンプ付電子部品搭載において、バンプ付部品Pの搭載に先立ち、バンプPaにフラックス8が転写される前のバンプ付部品Pの転写前画像34aとフラックス8が転写された後の転写後画像34bの取得を、バンプ付部品Pに照射する光の照明条件を変えながら複数回実行し、転写前画像34aにおけるバンプの明るさA1と転写後画像34bにおけるバンプの明るさA2を比較することにより転写状態の検査で使用する照明条件を設定し、バンプ付部品Pを搭載する際には、設定した照明条件を使用して転写状態の検査用画像を取得するようにしている。
これにより、従来は作業者の人手操作によって行っていた検査パラメータの設定作業、すなわち転写材料の転写前、転写後後のそれぞれについて複数回の撮像を行った計測結果を記録してデータ処理するという煩雑な作業を自動化することが可能となっており、転写材料の転写状態の検査に用いられる検査パラメータの設定処理を、個人差によるばらつきを排して効率的に行うことができる。