以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るリモコン装置を表す正面図である。
図1に表したように、リモコン装置2(水周り機器)は、本体部6と、複数のスイッチ部10と、を備える。リモコン装置2は、トイレルームに設置して使用され、使用者の操作に応じて衛生洗浄装置(図示は省略)に所定の操作指示を入力する水周り機器である。
衛生洗浄装置は、洋式腰掛便器の上に設けられ、便座に座った使用者の「おしり」などを洗浄する身体洗浄機能を有する。衛生洗浄装置は、リモコン装置2からの操作指示に応じて身体洗浄機能の実行や身体洗浄機能の停止などを制御する。
本体部6は、例えば、直方体状である。各スイッチ部10は、本体部6の前面6aに設けられる。各スイッチ部10は、いわゆる押しボタンスイッチである。各スイッチ部10を前面6aと直交する方向に見た外形形状は、例えば、矩形状である。換言すれば、各スイッチ部10を前方から見た外形形状は、矩形状である。各スイッチ部10の外形形状は、矩形状に限ることなく、押圧操作が可能な任意の形状でよい。
各スイッチ部10には、例えば、おしり洗浄の開始を指示するおしり洗浄ボタン、ビデ洗浄の開始を指示するビデ洗浄ボタン、局部乾燥の開始を指示する乾燥ボタン、衛生洗浄機能や局部乾燥機能の停止を指示する停止ボタン、衛生洗浄時に噴射される洗浄水の勢いを調節するための流量調節ボタン、ノズルの位置を調節するためのノズル位置調節ボタンなどが含まれる。なお、各スイッチ部10から入力される操作指示は、上記に限ることなく、任意の操作指示でよい。
リモコン装置2は、例えば、各スイッチ部10の押圧操作に応答して所定の制御を実行する制御部(図示は省略)をさらに備える。リモコン装置2の制御部は、各スイッチ部10のいずれかが押圧操作された際に、押圧操作されたスイッチ部10に対応する操作指示を衛生洗浄装置に入力する。これにより、リモコン装置2の各スイッチ部10の押圧操作に応じた動作が、衛生洗浄装置で実行される。
図2(a)〜図2(c)は、第1の実施形態に係るリモコン装置のスイッチ構造を表す断面図である。
図2(a)〜図2(c)に表したように、スイッチ部10は、基板12(支持体)と、タクトスイッチ14(検出部)と、ケース16と、可動部18と、表面シート20と、を有する。
なお、リモコン装置2においては、各スイッチ部10のそれぞれが、図2(a)〜図2(c)に表すスイッチ構造を有していてもよいし、各スイッチ部10のいずれか1つのみが、図2(a)〜図2(c)に表すスイッチ構造を有していてもよい。すなわち、リモコン装置2においては、各スイッチ部10の少なくとも1つが、図2(a)〜図2(c)に表すスイッチ構造を有していればよい。
タクトスイッチ14は、基板12の表面12aの上に設けられ、上方からの押圧操作を検出する。タクトスイッチ14は、本体部14aと、プランジャ14bと、を有する。本体部14aは、本体部14aよりも上方に突き出た非検出位置と、非検出位置よりも下方に押し込まれた検出位置と、の間で、プランジャ14bを上下動可能に支持する。また、本体部14aは、プランジャ14bに弾性力を付与することにより、外力が加わっていない状態において、プランジャ14bを非検出位置に保持する。タクトスイッチ14は、プランジャ14bが押圧され、検出位置に移動した際に、内部の接点を導通させることにより、上方からの押圧操作を検出する。このように、タクトスイッチ14は、プランジャ14bが検出位置に移動した際に、押圧操作の検出状態となる。
基板12は、例えば、プリント配線基板である。基板12は、タクトスイッチ14を支持するとともに、タクトスイッチ14と電気的に接続される。タクトスイッチ14は、例えば、基板12を介してリモコン装置2の制御部と電気的に接続される。タクトスイッチ14は、内部の接点の導通・非導通を検出信号として制御部に入力する。これにより、タクトスイッチ14で押圧操作が検出され、その検出結果が制御部に入力される。
ここで、「基板12の上」とは、基板12を基準とした方向である。例えば、リモコン装置2の使用状態において、基板12の表面12aは、トイレルームの取付壁面に対して前方を向く。従って、取り付け壁面を基準とした場合には、タクトスイッチ14は、基板12の前方に設けられ、前方からの押圧操作を検出する。
ケース16は、基板12及びタクトスイッチ14の上に設けられる。ケース16は、例えば、中空の箱状であり、基板12及びタクトスイッチ14を囲む。換言すれば、ケース16は、内部の空間に基板12及びタクトスイッチ14を収納する。基板12は、例えば、ケース16内において、ケース16に保持される。なお、ケース16は、必ずしも箱状である必要はなく、少なくとも基板12及びタクトスイッチ14の上に設けられていればよい。
ケース16は、タクトスイッチ14と対向する位置に開口部16aを有する。開口部16aは、タクトスイッチ14の上方に設けられ、タクトスイッチ14の上方を露呈させる。
可動部18は、開口部16aに設けられる。可動部18は、タクトスイッチ14の上方に離間した第1位置と、第1位置よりも下方に押し込まれ、タクトスイッチ14を検出状態にする第2位置と、に移動する。第1位置は、例えば、図2(a)に表した位置である。第2位置は、例えば、図2(b)あるいは図2(c)に表した位置である。この例において、第1位置は、より詳しくは、プランジャ14bの上方に離間し、プランジャ14bを非検出位置に保持する位置である。第2位置は、より詳しくは、プランジャ14bの上端に当接し、プランジャ14bを検出位置に移動させた位置である。
表面シート20は、ケース16及び可動部18の上を覆う。表面シート20は、弾性を有し、可動部18の移動に応じて一部を弾性変形させる。表面シート20には、例えば、樹脂材料が用いられる。表面シート20は、換言すれば、樹脂シートである。また、表面シート20は、1枚のシートからなる単層構造でもよいし、複数枚のシートを重ねた多層構造でもよい。
リモコン装置2の本体部6は、例えば、ケース16と表面シート20とによって形成される。本体部6の前面6aは、換言すれば、表面シート20の表面20a(上面)である。このように、スイッチ部10は、本体部6と略一体に形成される。
図3は、第1の実施形態に係るリモコン装置の一部を表す正面図である。
図3では、ケース16の開口部16aの部分を拡大して表している。図2(a)〜図2(c)は、図3のA1−A2線断面に相当する。また、図3では、便宜的に、表面シート20の図示を省略している。
図3に表したように、ケース16の表面16bと直交する方向に見た開口部16aの外形形状は、略矩形状である。同様に、表面16bと直交する方向に見た可動部18の外形形状は、略矩形状である。開口部16aの外形形状及び可動部18の外形形状は、スイッチ部10の外形形状に対応する。
また、可動部18の外形形状は、開口部16aの外形形状よりも小さい。このため、ケース16の開口端と可動部18との間には、隙間CL(図3において網掛けを施した部分)が設けられている。ケース16と可動部18との間には、水平方向において隙間CLが空く。
隙間CLには、ケース16と可動部18とを連結する連結部22が設けられている。この例において、スイッチ部10は、4つの連結部22を有する。各連結部22は、矩形状の可動部18の四隅をケース16の開口端に連結する。これにより、各連結部22は、可動部18を第1位置に保持する(図2(a)参照)。
また、各連結部22は、弾性を有する。これにより、各連結部22は、第1位置と第2位置との間の可動部18の移動を許容する。各連結部22は、第1位置と第2位置との間の可動部18の移動を弾性変形によって許容しつつ、可動部18を第1位置に保持する弾性体である。
スイッチ部10では、表面シート20の可動部18の上を押圧操作することで、可動部18が第1位置から第2位置に移動し、タクトスイッチ14が押圧操作を検出する。そして、押圧操作を解除することで、各連結部22の弾性力により、可動部18が第2位置から第1位置に戻り、タクトスイッチ14が非検出状態となる。
各連結部22は、略L字状に屈曲している。換言すれば、各連結部22は、略L字状に屈曲した板バネ状である。これにより、各連結部22の長さを長くし、各連結部22に適切な弾性力を付与することができる。例えば、可動部18を第1位置と第2位置とに移動させ易くすることができる。
各連結部22は、例えば、ケース16及び可動部18と一体に形成される。ケース16、可動部18、及び各連結部22には、例えば、樹脂材料が用いられる。これにより、ケース16と可動部18と各連結部22とを型成形によって一体に形成しつつ、各連結部22に弾性力を付与することができる。
なお、各連結部22の数及び形状は、上記に限ることなく、可動部18の第1位置と第2位置との間の移動を許容しつつ、第1位置に保持可能な任意の数及び形状でよい。また、各連結部22は、ケース16及び可動部18と別体に形成してもよい。この場合、ケース16、可動部18、及び各連結部22のそれぞれの材料は、樹脂材料に限ることなく、任意の材料でよい。また、弾性体は、板バネ状の連結部22に限ることなく、第1位置と第2位置との間の可動部18の移動を弾性変形によって許容しつつ、可動部18を第1位置に保持可能な任意の部材でよい。
可動部18は、枠状の外周部30と、外周部30の内側から外周部30よりも上方に突出した凸形状部32と、を有する。外周部30は、換言すれば、凸形状部32の外周を囲み、凸形状部32よりも凹んだ部分である。
ケース16の表面16bと直交する方向に見た凸形状部32の外形形状は、略矩形状である。表面16bと直交する方向に見た凸形状部32の外形形状は、スイッチ部10の外形形状に対応する。凸形状部32の外形形状は、外周部30の外形形状(可動部18の外形形状)と異なってもよい。
外周部30は、表面30aを有する。凸形状部32は、表面32aと、側面32bと、を有する。側面32bは、表面32aの外周を囲む。凸形状部32の外形形状は、略矩形状である。従って、凸形状部32は、より具体的には、表面32aの各辺に対応する4つの側面32bを有する。
外周部30の表面30aは、第1位置において、ケース16の表面16bと略面一である。各連結部22は、第1位置において、外周部30の表面30aとケース16の表面16bとが略面一となるように、可動部18を保持する。従って、可動部18が第1位置にある場合、凸形状部32の表面32aは、ケース16の表面16bよりも上方(前方)に突出する。なお、「略面一」とは、例えば、高さ方向の変位が1mm以下の状態である。
表面シート20は、シート本体40と、可動部18の凸形状部32に対応してシート本体40よりも上方に突出したエンボス部42と、を有する。エンボス部42は、例えば、表面シート20の裏面側からエンボス加工(浮き出し加工)を施し、表面シート20の一部を凸形状部32の形状に合わせて押し出すことによって形成される。
エンボス部42は、凸形状部32の形状に対応した内部空間を有する。エンボス部42の内部空間の形状は、凸形状部32の形状と実質的に同じである。これにより、エンボス部42の内周面は、凸形状部32の表面32a及び側面32bに接する。換言すれば、エンボス部42は、凸形状部32に沿う。なお、エンボス部42は、必ずしも凸形状部32の表面32a及び側面32bに接しなくてもよい。エンボス部42と凸形状部32との間には、僅かに隙間が空いていてもよい。
前述のように、可動部18が第1位置にある状態では、外周部30の表面30aが、ケース16の表面16bと略面一となり、凸形状部32の表面32aが、ケース16の表面16bよりも突出する。そして、可動部18が第1位置にある状態において、外周部30、ケース16の開口部16a、及び隙間CLは、表面シート20のシート本体40によって略面一に覆われる。従って、使用者には、凸形状部32及びエンボス部42の外形形状を、スイッチ部10の外形形状として認識させることができる。図2(b)及び図2(c)に表したように、スイッチ部10においては、凸形状部32及びエンボス部42の上を使用者に押圧操作させることができる。
凸形状部32の側面32bと外周部30の表面30aとの成す角度は、略90°(90°以上100°以下)である。換言すれば、凸形状部32の立ち上がりの角度は、略90°である。また、凸形状部32の表面32aと側面32bとの成す角度は、略90°(90°以上100°以下)である。換言すれば、凸形状部32の角部の角度は、略90°である。この凸形状部32にエンボス部42を沿わせる。これにより、凸形状部32及びエンボス部42を、エッジを立てたシャープでフラットなデザインとすることができる。
凸形状部32及びエンボス部42は、立ち上がり部及び角部において、面取り加工や角丸め加工を有してもよい。この際、面取り加工又は角丸め加工の寸法(半径)は、1mm以下とする。これにより、凸形状部32及びエンボス部42を、シャープでフラットなデザインとすることができる。
シート本体40は、第1接着領域40aと、第2接着領域40b(接着領域)と、を有する。第1接着領域40aは、シート本体40において、ケース16の表面16bの上に重なる領域である。換言すれば、第1接着領域40aは、シート本体40において、ケース16の開口部16a以外の部分と重なる領域である。
第1接着領域40aは、接着部材24を介してケース16の表面16bに接着される。これにより、表面シート20は、表面16bに貼り付けられた状態でケース16に保持される。接着部材24は、例えば、両面テープである。これにより、表面シート20の組立性を向上させることができる。接着部材24は、例えば、接着剤や粘着剤などでもよい。なお、本願明細書において、「接着」には、粘着も含まれるものとする。
第2接着領域40bは、エンボス部42の外周に設けられる。第2接着領域40bは、エンボス部42と第1接着領域40aとの間に設けられる。第2接着領域40bは、シート本体40において、可動部18の外周部30の上に重なる領域である。
第2接着領域40bは、接着部材26を介して外周部30の表面30aに接着される。これにより、第2接着領域40bは、押圧操作された際に、可動部18にともなって移動する。接着部材26には、接着部材24と同様に、両面テープや接着剤などが用いられる。
一方、エンボス部42は、可動部18に接着されない。可動部18とエンボス部42との間には、接着部材が設けられていない。エンボス部42は、例えば、凸形状部32の表面32a及び側面32bに直接接する。すなわち、接着部材24、26は、表面シート20の裏側の同一平面上のみに設けられる。これにより、例えば、接着部材24、26を製造し易くすることができる。
接着部材24、26は、例えば、型抜き成形により、同一の両面テープから形成される。リモコン装置2の製造においては、例えば、表面シート20の裏面に型抜き成形された両面テープを貼り付け、接着部材24、26を形成する。この際、表面シート20の裏側の同一平面上のみに両面テープを貼り付けることにより、両面テープの貼り付けを容易にすることができる。この後、ケース16の表面16bの上に、両面テープを介して表面シート20を貼り付ける。この際、エンボス部42に両面テープを設けないことで、エンボス部42の内部空間に可動部18の凸形状部32を入り込み易くすることができる。このように、エンボス部42を可動部18に接着しないようにすることで、表面シート20の製造性及び組立性を向上させることができる。但し、エンボス部42は、必要に応じて可動部18に接着してもよい。
シート本体40は、変形領域40dをさらに有する。変形領域40dは、エンボス部42の外周に設けられる。変形領域40dは、エンボス部42と第1接着領域40aとの間に設けられる。より詳しくは、変形領域40dは、第1接着領域40aと第2接着領域40bとの間に設けられる。また、スイッチ部10では、ケース16の開口端と可動部18との間に、隙間CLが設けられている。変形領域40dは、この隙間CLの上に設けられている。すなわち、変形領域40dは、シート本体40において、ケース16にも可動部18にも接着されない領域である。これにより、変形領域40dは、可動部18の移動に応じて弾性変形する。このように、スイッチ部10では、押圧操作された際に、表面シート20のエンボス部42よりも外側の部分を弾性変形させる。
図4(a)〜図4(d)は、参考のスイッチ構造を表す断面図である。
図4(a)に表したように、参考のスイッチ部SU1は、基板SBと、タクトスイッチTSと、ケースCSと、可動部MUと、表面シートSHと、を有する。基板SB、タクトスイッチTS、ケースCS、可動部MU、及び表面シートSHのそれぞれは、スイッチ部10の基板12、タクトスイッチ14、ケース16、可動部18、及び表面シート20のそれぞれに相当するものであるから、詳細な説明は省略する。
スイッチ部SU1では、可動部MUが、凸形状部32を有しておらず、エンボス部EUの角部CN及び立ち上がり部RPが、可動部MUよりも外側に位置している。スイッチ部SU1では、表面シートSHのエンボス部EUの外形形状が、ケースCSの開口部の外形形状と実質的に同じである。このため、スイッチ部SU1では、押圧操作した際に、エンボス部EUの角部CN及び立ち上がり部RPが、弾性変形する。
この際、スイッチ部SU1では、比較的大きな丸みを角部CNに設けるとともに、立ち上がり部RPの傾斜を比較的緩やかに形成し、エンボス部EUを全体的に丸みを帯びたふっくらした形状に形成している。これにより、押圧操作にともなってエンボス部EUが撓んだ際に、エンボス部EUの角部CNや立ち上がり部RPに応力が集中し、押圧操作の繰り返しによって表面シートSHのエンボス部EUの部分に破れやひび割れが生じてしまうことを抑制することができる。
図4(b)に表したように、スイッチ部SU2では、角部CN及び立ち上がり部RPの角度を略90°とし、シャープでフラットな形状にエンボス部EUを形成している。これにより、スイッチ部SU2では、デザイン性を向上させることができる。例えば、表面シートで覆うスイッチ構造の見た目を、可動部MUが外部に露出したスイッチ構造の見た目に近付けることができる。スイッチ部SU2では、例えば、スイッチ部SU1に比べて見た目の高級感を高めることができる。
しかしながら、スイッチ部SU2のスイッチ構造では、図4(c)に表したように、押圧操作にともなってエンボス部EUが撓んだ際に、角部CNや立ち上がり部RPが延び、これらの部分に応力が集中してしまうため、表面シートSHの破れやひび割れの可能性が生じてしまう。
さらに、スイッチ部SU2のスイッチ構造では、図4(d)に表したように、可動部MUの端部が押圧された際に、エンボス部EUのエンボス形状が反転し、これによって表面シートSHに破れが生じてしまう可能性も有る。
これに対して、本実施形態に係るスイッチ部10のスイッチ構造によれば、表面シート20のエンボス部42の部分を押圧操作した際に、エンボス部42の周囲の変形領域40dが弾性変形し、押圧操作にともなうエンボス部42の変形を抑制することができる。また、図2(c)に表したように、凸形状部32及びエンボス部42の端部を押圧された際に、エンボス部42のエンボス形状が反転することもない。
これにより、スイッチ部10では、エンボス部42をシャープでフラットなデザインとした場合にも、エンボス部42の角部や立ち上がり部に応力が集中することを抑制し、表面シート20に破れやひび割れが生じることを抑制することができる。また、エンボス加工によってエンボス部42を形成することができ、複雑な防水構造などを必要とすることもない。従って、コストの増加を抑制しつつ、耐久性とデザインの自由度とを向上させることができる。リモコン装置2などの水周り機器において、防水性、操作性、及びデザイン性を満足するスイッチ構造を提供することができる。
また、スイッチ部10のスイッチ構造では、ケース16と可動部18との間に隙間CLを設け、隙間CLの上に変形領域40dを設けている。これにより、押圧操作にともなうエンボス部42の変形、及びこれにともなう表面シート20の破れやひび割れをより抑制することができる。
また、スイッチ部10のスイッチ構造では、シート本体40が、第2接着領域40bを有する。第2接着領域40bは、エンボス部42の外周に設けられ、可動部18の外周部30の上に接着される。そして、変形領域40dは、第2接着領域40bの外周に設けられる。これにより、押圧操作にともなうエンボス部42の変形、及びこれにともなう表面シート20の破れやひび割れをより抑制することができる。
なお、表面シート20を可動部18の外周部30に接着しなくても、押圧操作にともなうエンボス部42の変形を適切に抑制できる場合には、第2接着領域40bを省略してもよい。表面シート20は、必ずしも外周部30に接着しなくてもよい。第2接着領域40bは、必要に応じて設けられ、省略可能である。
また、スイッチ部10のスイッチ構造では、エンボス部42が、可動部18に接着されていない。これにより、エンボス部42の変形を適切に抑制しつつ、表面シート20の製造性及び組立性を向上させることができる。エンボス部42の変形を適切に抑制しつつ、コストの増加をより抑制することができる。
上記実施形態では、押圧操作を検出する検出部として、タクトスイッチ14を示している。検出部は、これに限ることなく、他の機械式スイッチでもよい。検出部は、例えば、押圧操作を磁気的に検出する磁気センサ(ホール素子など)や、押圧操作を光学的に検出する光学センサ(フォトインタラプタなど)でもよい。検出部は、押圧操作を検出可能な任意のスイッチやセンサなどでよい。
上記実施形態では、検出部を支持する支持体として、基板12を示している。支持体は、これに限ることなく、押圧操作による力を受けた際にも、検出部を適切に支持可能な任意の部材でよい。例えば、ケース16の一部を支持体として用いてもよい。
(第2の実施形態)
図5(a)及び図5(b)は、第2の実施形態に係るリモコン装置のスイッチ構造を表す断面図である。
図5(a)及び図5(b)に表したように、スイッチ部10aでは、可動部18が、延長部34を有する。なお、上記第1の実施形態と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明を省略する。
延長部34は、下方に向かって延びる。換言すれば、延長部34は、可動部18から基板12に向かって延びる。延長部34は、可動部18が第2位置にある際に、可動部18と対向する基板12の表面12a(対向面)に当接する。
これにより、スイッチ部10aのスイッチ構造では、例えば、凸形状部32及びエンボス部42の端部を押圧された際などにも、可動部18の傾きを抑制し、押圧操作にともなうエンボス部42の変形、及びこれにともなう表面シート20の破れやひび割れをより抑制することができる。
延長部34は、例えば、可動部18の外縁に沿う筒状に形成される。これにより、可動部18のどの位置を押圧された際にも、可動部18の傾きを適切に抑制することができる。延長部34の形状は、筒状に限ることなく、柱状などでもよい。また、延長部34は、複数設けてもよい。例えば、柱状に形成された4つの延長部34を、矩形状の可動部18の四隅に設ける。これにより、可動部18の傾きを適切に抑制することができる。延長部34の形状及び数は、可動部18の傾きを抑制可能な任意の形状及び数でよい。
スイッチ部10aでは、延長部34を基板12の表面12aに当接させている。延長部34と当接する対向面は、基板12の表面12aに限ることなく、可動部18と対向する任意の面でよい。例えば、ケース16の一部を可動部18と対向させ、このケース16の一部の面を対向面として用いてもよい。
(第3の実施形態)
図6は、第3の実施形態に係るリモコン装置のスイッチ構造を表す断面図である。
図6に表したように、スイッチ部10bでは、ケース16の表面16bと直交する方向に見た状態において、可動部18の外周部30の外形形状は、ケース16の開口部16aの外形形状と実質的に同じである。スイッチ部10bでは、ケース16と可動部18との間に隙間CLがない。スイッチ部10bでは、例えば、外周部30の外側面が、開口部16aの開口端面に当接する。また、このため、スイッチ部10bでは、連結部22が省略されている。
可動部18は、係合部36を有する。係合部36は、外周部30よりも外方に突出し、可動部18が第1位置にある際に、ケース16の内面に係合することにより、可動部18の第1位置よりも上方への移動を規制する。
また、スイッチ部10bは、コイルバネ50を有する。コイルバネ50は、基板12と可動部18との間に設けられ、可動部18に対し、上方に向かう弾性力を付与する。これにより、スイッチ部10bでは、コイルバネ50の弾性力及び係合部36の係合により、外力が加わっていない状態において、可動部18が第1位置に保持される。そして、可動部18が押圧操作されると、コイルバネ50が弾性変形して縮み、可動部18が第1位置から第2位置に移動する。すなわち、コイルバネ50は、第1位置と第2位置との間の可動部18の移動を弾性変形によって許容しつつ、可動部18を第1位置に保持する弾性体である。
スイッチ部10bにおいても、表面シート20のエンボス部42の部分を押圧操作した際に、エンボス部42の周囲の変形領域40dが弾性変形し、押圧操作にともなうエンボス部42の変形を抑制することができる。上記各実施形態と同様に、コストの増加を抑制しつつ、耐久性とデザインの自由度とを向上させることができる。このように、ケース16と可動部18との間には、必ずしも隙間CLを設けなくてもよい。
スイッチ部10bでは、コイルバネ50によって可動部18を第1位置に保持している。例えば、可動部18を表面シート20に接着し、可動部18を表面シート20の弾性力によって第1位置に保持できる場合には、コイルバネ50などの弾性体を省略してもよい。
上記各実施形態では、衛生洗浄装置のリモコン装置2を水周り機器の一例として示している。水周り機器は、これに限ることなく、例えば、浴室に設置される浴室乾燥機のリモコン装置などでもよい。水周り機器は、トイレルーム、浴室、キッチン、あるいは洗面台などの水周りで使用される任意の機器でよい。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、リモコン装置2、スイッチ部10、10a、10bなどが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。