JP6781452B2 - ロボティックウエアを用いた片麻痺者の歩行アシスト方法、歩行アシスト用コンピュータプログラム、およびロボティックウエア - Google Patents
ロボティックウエアを用いた片麻痺者の歩行アシスト方法、歩行アシスト用コンピュータプログラム、およびロボティックウエア Download PDFInfo
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Description
片麻痺者の左右の股関節部および左右の膝関節部のうちの一方の左右の関節部における健足側関節部に歩行アシスト力を伝えるための健足側関節アームおよび前記歩行アシスト力を発生する健足側関節アクチュエータと、前記左右の関節部における患足側関節部に歩行アシスト力を伝えるための患足側関節アームおよび前記歩行アシスト力を発生する患足側関節アクチュエータと、前記健足側関節アクチュエータおよび前記患足側関節アクチュエータの駆動を制御する制御装置とが備わっているロボティックウエアを用いて、片麻痺者の歩行運動をアシストするために、
前記健足側関節部の歩行運動に合わせて、前記健足側関節アクチュエータの出力回転軸に取り付けた前記健足側関節アームを、当該出力回転軸を中心として所定の振幅、周期で回転させる健足側歩行アシスト運動を制御し、前記患足側関節部の歩行運動に合わせて、前記患足側関節アクチュエータの出力回転軸に取り付けた前記患足側関節アームを、当該出力回転軸を中心として所定の振幅、周期で回転させる患足側歩行アシスト運動を制御するロボティックウエアを用いた歩行アシスト方法であって、
前記制御装置は、前記健足側関節部と前記健足側関節アクチュエータとの間に生じる健足側相互作用力、および、前記患足側関節部と前記患足側関節アクチュエータとの間に生じる患足側相互作用力を所定のサンプリング周期で検出し、
前記歩行アシスト力が加わらない状態で事前に測定された前記片麻痺者の歩行運動の健足側歩行周期、前記健足側関節部の振幅、患足側歩行周期および前記患足側関節部の振幅を、それぞれ、初期健足側歩行周期、初期健足側関節振幅、初期患足側歩行周期および初期患足側関節振幅とすると、
前記制御装置は、前記初期健足側関節振幅に基づき設定した基本関節振幅と、前記初期健足側歩行周期に基づき設定した基本歩行周期と、前記健足側相互作用力とに基づき、神経振動子を用いて、前記健足側関節部の歩行運動に対して、前記健足側歩行アシスト運動が同調した動きとなるように、前記健足側関節アクチュエータを制御し、
前記制御装置は、前記基本関節振幅と、前記基本歩行周期と、前記患足側相互作用力とに基づき、神経振動子を用いて、前記患足側関節部の歩行運動に対して、前記患足側歩行アシスト運動が同調した動きとなるように、前記患足側関節アクチュエータを制御し、
前記制御装置は、前記健足側歩行アシスト運動と前記患足側歩行アシスト運動とを相互に逆位相の状態に維持することを特徴としている。
前記健足側関節部と前記健足側関節アクチュエータとの間に生じる健足側相互作用力、および、前記患足側関節部と前記患足側関節アクチュエータとの間に生じる患足側相互作用力を所定のサンプリング周期で取り込む機能と、
前記基本関節振幅と、前記基本歩行周期と、前記健足側相互作用力とに基づき、神経振動子を用いて、前記健足側関節部の歩行運動に対して、前記健足側関節アクチュエータによる前記健足側歩行アシスト運動が同調した動きとなるように、前記健足側関節アクチュエータを制御する健足側同調制御機能と、
前記基本関節振幅と、前記基本歩行周期と、前記患足側相互作用力とに基づき、神経振動子を用いて、前記患足側関節部の歩行運動に対して、前記患足側関節アクチュエータによる前記患足側歩行アシスト運動が同調した動きとなるように、前記患足側関節アクチュエータを制御する患足側同調制御機能と、
前記健足側歩行アシスト運動に対して前記患足側歩行アシスト運動を逆位相の状態に維持するように、前記健足側同調制御機能および前記患足側同調制御機能を協調動作させる機能と
をコンピュータに実行させることを特徴としている。
片麻痺者の左右の股関節部および左右の膝関節部のうちの一方の左右の関節部における健足側関節部に歩行アシスト力を伝えるための健足側関節アームおよび前記歩行アシスト力を発生する健足側関節アクチュエータと、
前記左右の関節部における患足側関節部に歩行アシスト力を伝えるための患足側関節アームおよび前記歩行アシスト力を発生する患足側関節アクチュエータと、
前記健足側関節アクチュエータの出力回転軸に取り付けた前記健足側関節アームを、当該出力回転軸を中心として所定の振幅、周期で回転させる健足側歩行アシスト運動を制御する健足側制御ユニットと、
前記患足側関節アクチュエータの出力回転軸に取り付けた前記患足側関節アームを、当該出力回転軸を中心として所定の振幅、周期で回転させる患足側歩行アシスト運動を制御する患足側制御ユニットと、
前記健足側関節部と前記健足側関節アクチュエータとの間の相互作用力を検出する健足側検出部と、
前記患足側関節部と前記患足側関節アクチュエータとの間の相互作用力を検出する患足側検出部と、
を有しており、
前記健足側制御ユニットは、基本関節振幅と、基本歩行周期と、健足側相互作用力とに基づき、神経振動子を用いて、前記健足側関節部の歩行運動に対して、前記健足側関節アクチュエータによる前記健足側歩行アシスト運動が同調した動きとなるように、前記健足側関節アクチュエータを制御し、
前記患足側制御ユニットは、前記基本関節振幅と、前記基本歩行周期と、患足側相互作用力とに基づき、前記神経振動子を用いて、前記患足側関節部の歩行運動に対して、前記患足側関節アクチュエータによる前記患足側歩行アシスト運動が同調した動きとなるように、前記患足側関節アクチュエータを制御し、
前記健足側歩行アシスト運動に対して前記患足側歩行アシスト運動が逆位相の状態を維持するように、前記健足側制御ユニットおよび前記患足側制御ユニットの神経振動子の間に入れた抑制結合部を備えており、
前記歩行アシスト力が加わらない状態で事前に測定された前記片麻痺者の歩行運動の健足側歩行周期、前記健足側関節部の振幅、患足側歩行周期および前記患足側関節部の振幅を、それぞれ、初期健足側歩行周期、初期健足側関節振幅、初期患足側歩行周期および初期患足側関節振幅と呼ぶものとすると、
前記基本関節振幅は、前記初期健足側関節振幅に基づき設定されており、
前記基本歩行周期は、前記初期健足側歩行周期に基づき設定されていることを特徴としている。
xi:i番目の神経素子の内部状態を示す係数
g(xi):i番目の神経素子の出力
fi:i番目の神経素子の疲労状態を表す係数
Si:i番目の神経素子への定常入力
bi:i番目の神経素子の疲労係数
aij:i番目の神経素子からj番目の神経素子への結合係数
Ta,Tr:時定数
Input:外部入力
であり、
健足側相互作用力あるいは患足側相互作用力を相互作用トルクτ_mutualとし、健足側同調性あるいは患足側同調性の高低を調整するゲインを同調ゲインCとすると、神経振動子の外部入力Inputは、相互作用トルクτ_mutualと同調ゲインCを用いて、
Input=C*τ_mutual
ただし、0 ≦ C ≦ 1
で表される。
図1(a)、(b)は本発明を適用可能な非外骨格型の下肢用のロボティックウエアの一例を示す正面図および側面図である。ロボティックウエア1は、装着者(片麻痺者)Pの左右の股関節に対応する左右の側部に装着される左右一対の股関節ユニット2L、2Rと左右一対の膝関節ユニット3L、3Rを備えている。また、各ユニット2L、2R、3L、3Rによる歩行アシスト運動を制御する制御装置(図3参照)が備わっている。
図3はロボティックウエア1の制御装置を示すブロック図である。この制御装置20は、制御用PC21によってロボティックウエア1の左右の股関節ユニット2L、2R、膝関節ユニット3L、3R(図示せず)の駆動を制御するものである。図においては左右の股関節ユニット2L、2Rを制御する左制御ユニット20Lおよび右制御ユニット20Rのみを示してある。
図4は、制御装置20において行われる一方の股関節ユニットに対する同調制御の処理の流れを示す説明図である。神経振動子を用いた同調制御方法は生物が脊髄にもつ神経振動子というリズム生成器を数学的にモデル化したものを用いており、人とロボットが同調して動くことを実現している。このような同調制御については前述の特許文献1、2において提案されている。
神経振動子の数学モデルには様々なものがあるが、本例では松岡モデルを用いた。松岡モデルは以下の3式に示すように、非線形1階連立微分方程式で表すことができる。
xi:i番目の神経素子の内部状態を示す係数
g(xi):i番目の神経素子の出力
fi:i番目の神経素子の疲労状態を表す係数
Si:i番目の神経素子への定常入力
bi:i番目の神経素子の疲労係数
aij:i番目の神経素子からj番目の神経素子への結合係数(神経素子間の重み係数)Ta,Tr:時定数
Input:外部入力
Input=C*τ_mutual
ただし、0 ≦ C ≦ 1
本例の同調制御においては、左右の股関節ユニット2L、2Rを有するロボティックウエア1が発生するアシスト力によって装着者Pの歩行の安定性を確保するために、左右の股関節ユニット2L、2R間の協調動作を考慮する。左右の股関節ユニット2L、2R間の協調動作を考慮するために、左右の股関節ユニット2L、2Rの神経振動子間に抑制結合を加えて制御する。
(予備実験方法)
各被験者の基本歩行データを基に本実験での設定値を算出するために、予備実験を行って基本歩行データを採取した。歩数、所要時間を計測し、歩行周期(一回の歩行サイクル所要時間)、歩行1ステップの股関節の歩行振幅等を算出した。算出された値を、設定値として、ロボティックウエア1の制御装置20に設定した。なお、被験者は右片麻痺患者1名を対象とした。
予備実験により得た被験者の歩行周期、股関節の振幅を用いて、図7に示す条件で本実験を行った。被験者は予備実験に参加した右片麻痺患者1名を対象とした。
図8、図9、図10は、基本歩行の試験条件A1、B1、B2において計測された被験
者の股関節の振幅の変化を示すグラフである。
片麻痺者の歩行アシストを目的として、ロボティックウエアを用いた制御方法を提案して、その有用性を検証した。その結果、歩行運動における振幅の大きい健足側の股関節の動きに合わせて、振幅の小さな患足側の股関節のモータを制御することにより、患足の歩行運動の歩幅が拡がり、歩行速度を増すことができることがわかった。
上記の実験その1は、ロボティックウエアの股関節ユニットのみを用いて同調制御を行っている。股関節ユニットおよび膝関節ユニットの双方を用い、双方について同調制御を行って、片麻痺者の歩行支援を行う場合もある。
準(100%)とした場合の値である。股関節および膝関節の同調ゲインについては、それぞれ、健足側および患足側の双方について同一の値とした。
図14、図15には、図13に示す制御条件による実験結果を示す。図14(a)、(b)は、被験者のうちの2名の被験者(L012、L014)についての各制御条件下での歩行時間の計測結果を示すグラフである。図15(a)、(b)は、2名の被験者(L012、L014)について、制御条件No1〜No5の下で得られた患足側股関節振幅の変化率(L_Hip rate)、健足側股関節振幅の変化率(R_Hip rate)、患足側膝関節振幅の変化率(L_Knee rate)、健足側膝関節振幅の変化率(R_Knee rate)、患足側歩行周期の変化率(L_cyc rate)、および、健足側歩行周期の変化率(R_cyc rate)を、制御条件No1〜No5のそれぞれについて、この順番で示したグラフである。
これらの結果から分かるように、歩行時間短縮効果に有意差があること(p値で5%未満)が確認された。また、同調ゲインを、股関節アクチュエータについてはC=0.3、膝関節アクチュエータについてはC=0.4に設定することにより、歩行時間短縮効果(股関節振幅増加・周期減少の効果)が得られることが確認された。さらに、実験結果から、同調ゲインについては、股関節側および膝関節側の双方共に中程度に設定し、股関節側に比べて膝関節側を大きな値にする(アクチュエータの同調の度合いを高く設定する)ことが望ましいと考えられる。
上記の例は本発明を非外骨格型のロボティックウエアに適用した場合であるが、本発明は外骨格型のロボティックウエアに対しても同様に適用可能である。
2L 左側の股関節ユニット
2R 右側の股関節ユニット
3L、3R 膝関節ユニット
4L 左側のアクチュエータ
4R 右側のアクチュエータ
5L、5R 上アーム
6L、6R 下アーム
7 ウエストバンド
8L、8R 大腿部バンド
9L、9R モータ
10L、10R 減速機
11L、11R 関節軸
12L、12R トルクセンサ
20 制御装置
20L、20R 制御ユニット
21 制御用PC
22L、22R ゲイン調整部
23L、23R 解析部
24L、24R PID制御部
25L、25R アンプ
26L、26R AD変換器
27 I/Oインターフェース
28L、28R D/A変換器
29L、29R モータドライバ
Claims (16)
- 片麻痺者の左右の股関節部および左右の膝関節部のうちの一方の左右の関節部における健足側関節部に歩行アシスト力を伝えるための健足側関節アームおよび前記歩行アシスト力を発生する健足側関節アクチュエータと、前記左右の関節部における患足側関節部に歩行アシスト力を伝えるための患足側関節アームおよび前記歩行アシスト力を発生する患足側関節アクチュエータと、前記健足側関節アクチュエータおよび前記患足側関節アクチュエータの駆動を制御する制御装置とが備わっているロボティックウエアを用いて、片麻痺者の歩行運動をアシストするために、
前記健足側関節部の歩行運動に合わせて、前記健足側関節アクチュエータの出力回転軸に取り付けた前記健足側関節アームを、当該出力回転軸を中心として所定の振幅、周期で回転させる健足側歩行アシスト運動を制御し、前記患足側関節部の歩行運動に合わせて、前記患足側関節アクチュエータの出力回転軸に取り付けた前記患足側関節アームを、当該出力回転軸を中心として所定の振幅、周期で回転させる患足側歩行アシスト運動を制御するロボティックウエアを用いた歩行アシスト方法であって、
前記制御装置は、前記健足側関節部と前記健足側関節アクチュエータとの間に生じる健足側相互作用力、および、前記患足側関節部と前記患足側関節アクチュエータとの間に生じる患足側相互作用力を所定のサンプリング周期で検出し、
前記歩行アシスト力が加わらない状態で事前に測定された前記片麻痺者の歩行運動の健足側歩行周期、前記健足側関節部の振幅、患足側歩行周期および前記患足側関節部の振幅を、それぞれ、初期健足側歩行周期、初期健足側関節振幅、初期患足側歩行周期および初期患足側関節振幅とすると、
前記制御装置は、前記初期健足側関節振幅に基づき設定した基本関節振幅と、前記初期健足側歩行周期に基づき設定した基本歩行周期と、前記健足側相互作用力とに基づき、神経振動子を用いて、前記健足側関節部の歩行運動に対して、前記健足側歩行アシスト運動が同調した動きとなるように、前記健足側関節アクチュエータを制御し、
前記制御装置は、前記基本関節振幅と、前記基本歩行周期と、前記患足側相互作用力とに基づき、神経振動子を用いて、前記患足側関節部の歩行運動に対して、前記患足側歩行アシスト運動が同調した動きとなるように、前記患足側関節アクチュエータを制御し、
前記制御装置は、前記健足側歩行アシスト運動と前記患足側歩行アシスト運動とを相互に逆位相の状態に維持することを特徴とするロボティックウエアを用いた片麻痺者の歩行アシスト方法。 - 請求項1において、
片麻痺者の健足側歩行運動に対する前記健足側歩行アシスト運動の同調の度合いを健足側同調性と呼び、片麻痺者の患足側歩行運動に対する前記患足側歩行アシスト運動の同調の度合いを患足側同調性と呼ぶものとすると、
前記患足側同調性は前記健足側同調性よりも低いロボティックウエアを用いた片麻痺者の歩行アシスト方法。 - 請求項1において、
前記初期健足側関節振幅が前記初期患足側関節振幅よりも小さい場合には、
前記制御装置は、前記初期健足側関節振幅の代わりに前記初期患足側関節振幅に基づき前記基本関節振幅を設定し、前記初期健足側歩行周期の代わりに前記初期患足側歩行周期に基づき前記基本歩行周期を設定するロボティックウエアを用いた片麻痺者の歩行アシスト方法。 - 請求項1において、
前記ロボティックウエアは、
前記健足側関節アームおよび前記健足側関節アクチュエータとして、片麻痺者の左右の股関節部における前記健足側関節部である健足側股関節部の歩行アシスト運動を行う健足側股関節アームおよび健足側股関節アクチュエータと、片麻痺者の左右の膝関節部における前記健足側関節部である健足側膝関節部の歩行アシスト運動を行う健足側膝関節アームおよび健足側膝関節アクチュエータとを備えており、
前記患足側関節アームおよび前記患足側関節アクチュエータとして、片麻痺者の左右の股関節部における前記患足側関節部である患足側股関節部の歩行アシスト運動を行う患足側股関節アームおよび患足側股関節アクチュエータと、片麻痺者の左右の膝関節部における前記患足側関節部である患足側膝関節部の歩行アシスト運動を行う患足側膝関節アームおよび患足側膝関節アクチュエータとを備えているロボティックウエアを用いた片麻痺者の歩行アシスト方法。 - 請求項4において、
片麻痺者の健足側歩行運動に対する前記健足側股関節アクチュエータによる健足側股関節歩行アシスト運動の同調の度合いを健足側股関節同調性と呼び、健足側歩行運動に対する前記健足側膝関節アクチュエータによる健足側膝関節歩行アシスト動作の同調の度合いを健足側膝関節同調性と呼び、
片麻痺者の患足側歩行運動に対する前記患足側股関節アクチュエータによる患足側股関節歩行アシスト運動の同調の度合いを患足側股関節同調性と呼び、患足側歩行運動に対する前記患足側膝関節アクチュエータによる患足側膝関節歩行アシスト動作の同調の度合いを患足側膝関節同調性と呼ぶものとすると、
前記健足側膝関節同調性は、前記健足側股関節同調性よりも高く、
前記患足側膝関節同調性は、前記患足側股関節同調性よりも高いロボティックウエアを用いた片麻痺者の歩行アシスト方法。 - 請求項5において、
前記健足側股関節同調性、前記健足側膝関節同調性、前記患足側股関節同調性および前記患足側膝関節同調性のそれぞれの高低を同調ゲインC(0≦C≦1)で表し、同調ゲインCの値が高いほど同調の度合いが高いものとすると、
前記健足側股関節同調性および前記患足側股関節同調性は共に、同調ゲインC=0.3であり、
前記健足側膝関節同調性および前記患足側膝関節同調性は共に、同調ゲインC=0.4であるロボティックウエアを用いた片麻痺者の歩行アシスト方法。 - 請求項1ないし6のうちのいずれかの項に記載の方法により前記ロボティックウエアの前記健足側関節アクチュエータおよび前記患足側関節アクチュエータを制御するロボティックウエアを用いた片麻者の歩行アシスト用コンピュータプログラムであって、
前記健足側関節部と前記健足側関節アクチュエータとの間に生じる健足側相互作用力、および、前記患足側関節部と前記患足側関節アクチュエータとの間に生じる患足側相互作用力を所定のサンプリング周期で取り込む機能と、
前記基本関節振幅と、前記基本歩行周期と、前記健足側相互作用力とに基づき、神経振動子を用いて、前記健足側関節部の歩行運動に対して、前記健足側関節アクチュエータによる前記健足側歩行アシスト運動が同調した動きとなるように、前記健足側関節アクチュエータを制御する健足側同調制御機能と、
前記基本関節振幅と、前記基本歩行周期と、前記患足側相互作用力とに基づき、神経振動子を用いて、前記患足側関節部の歩行運動に対して、前記患足側関節アクチュエータによる前記患足側歩行アシスト運動が同調した動きとなるように、前記患足側関節アクチュエータを制御する患足側同調制御機能と、
前記健足側歩行アシスト運動に対して前記患足側歩行アシスト運動を逆位相の状態に維持するように、前記健足側同調制御機能および前記患足側同調制御機能を協調動作させる機能と
をコンピュータに実行させることを特徴とするロボティックウエアを用いた片麻痺者の歩行アシスト用コンピュータプログラム。 - 請求項7において、
前記健足側同調制御機能は、
前記健足側相互作用力に基づき、片麻痺者の健足側歩行運動に対する健足側関節アクチュエータの健足側歩行アシスト運動の同調の度合いを調整する健足側調整機能、
前記基本関節振幅および前記基本歩行周期に基づき自励振動を行う神経振動子を用いて、前記健足側調整機能によって調整された入力に同調する出力を算出する健足側解析機能、および、
当該健足側解析機能によって得られる出力に基づき前記健足側関節アクチュエータの健足側歩行アシスト運動をフィードバック制御する健足側制御機能を含み、
前記患足側同調制御機能は、
前記患足側相互作用力に基づき、片麻痺者の患足側歩行運動に対する患足側関節アクチュエータの患足側歩行アシスト運動の同調の度合いを調整する患足側調整機能、
前記基本関節振幅および前記基本歩行周期に基づき自励振動を行う神経振動子を用いて、前記患足側調整機能によって調整された入力に同調する出力を算出する患足側解析機能、および、
当該患足側解析機能によって得られる出力に基づき前記患足側関節アクチュエータの患足側歩行アシスト運動をフィードバック制御する患足側制御機能を含む
ロボティックウエアを用いた片麻痺者の歩行アシスト用コンピュータプログラム。 - 請求項8において、
前記神経振動子は、以下の三式で示す非線形1階連立微分方程式で表され、
ここで、
xi:i番目の神経素子の内部状態を示す係数
g(xi):i番目の神経素子の出力
fi:i番目の神経素子の疲労状態を表す係数
Si:i番目の神経素子への定常入力
bi:i番目の神経素子の疲労係数
aij:i番目の神経素子からj番目の神経素子への結合係数
Ta,Tr:時定数
Input:外部入力
であり、
前記健足側相互作用力あるいは前記患足側相互作用力を相互作用トルクτ_mutualとし、健足側同調性あるいは患足側同調性を調整するゲインを同調ゲインCとすると、前記神経振動子の前記外部入力Inputは、前記相互作用トルクτ_mutualと前記同調ゲインCを用いて、
Input=C*τ_mutual
ただし、0≦ C ≦ 1
で表されるロボティックウエアを用いた片麻痺者の歩行アシスト用コンピュータプログラム。 - 片麻痺者の左右の股関節部および左右の膝関節部のうちの一方の左右の関節部における健足側関節部に歩行アシスト力を伝えるための健足側関節アームおよび前記歩行アシスト力を発生する健足側関節アクチュエータと、
前記左右の関節部における患足側関節部に歩行アシスト力を伝えるための患足側関節アームおよび前記歩行アシスト力を発生する患足側関節アクチュエータと、
前記健足側関節アクチュエータの出力回転軸に取り付けた前記健足側関節アームを、当該出力回転軸を中心として所定の振幅、周期で回転させる健足側歩行アシスト運動を制御する健足側制御ユニットと、
前記患足側関節アクチュエータの出力回転軸に取り付けた前記患足側関節アームを、当該出力回転軸を中心として所定の振幅、周期で回転させる患足側歩行アシスト運動を制御する患足側制御ユニットと、
前記健足側関節部と前記健足側関節アクチュエータとの間の相互作用力を検出する健足側検出部と、
前記患足側関節部と前記患足側関節アクチュエータとの間の相互作用力を検出する患足側検出部と、
を有しており、
前記健足側制御ユニットは、基本関節振幅と、基本歩行周期と、健足側相互作用力とに基づき、神経振動子を用いて、前記健足側関節部の歩行運動に対して、前記健足側関節アクチュエータによる前記健足側歩行アシスト運動が同調した動きとなるように、前記健足側関節アクチュエータを制御し、
前記患足側制御ユニットは、前記基本関節振幅と、前記基本歩行周期と、患足側相互作用力とに基づき、前記神経振動子を用いて、前記患足側関節部の歩行運動に対して、前記患足側関節アクチュエータによる前記患足側歩行アシスト運動が同調した動きとなるように、前記患足側関節アクチュエータを制御し、
前記健足側歩行アシスト運動に対して前記患足側歩行アシスト運動が逆位相の状態を維持するように、前記健足側制御ユニットおよび前記患足側制御ユニットの神経振動子の間に入れた抑制結合部を備えており、
前記歩行アシスト力が加わらない状態で事前に測定された前記片麻痺者の歩行運動の健足側歩行周期、前記健足側関節部の振幅、患足側歩行周期および前記患足側関節部の振幅を、それぞれ、初期健足側歩行周期、初期健足側関節振幅、初期患足側歩行周期および初期患足側関節振幅と呼ぶものとすると、
前記基本関節振幅は、前記初期健足側関節振幅に基づき設定されており、
前記基本歩行周期は、前記初期健足側歩行周期に基づき設定されていることを特徴とする片麻痺者の歩行をアシストするロボティックウエア。 - 請求項10において、
前記健足側制御ユニットによる片麻痺者の健足側歩行運動に対する前記健足側歩行アシスト運動の同調の度合いを健足側同調性と呼び、前記患足側制御ユニットによる片麻痺者の患足側歩行運動に対する前記患足側歩行アシスト運動の同調の度合いを患足側同調性と呼ぶものとすると、
前記患足側同調性は前記健足側同調性よりも低いロボティックウエア。 - 請求項10において、
前記初期健足側関節振幅が前記初期患足側関節振幅よりも小さい場合には、
前記初期健足側関節振幅の代わりに前記初期患足側関節振幅に基づき前記基本関節振幅が設定されており、前記初期健足側歩行周期の代わりに前記初期患足側歩行周期に基づき前記基本歩行周期が設定されているロボティックウエア。 - 請求項10において、
前記健足側関節アームおよび前記健足側関節アクチュエータとして、片麻痺者の左右の股関節部における前記健足側関節部である健足側股関節部の歩行アシスト運動を行う健足側股関節アームおよび健足側股関節アクチュエータと、片麻痺者の左右の膝関節部における前記健足側関節部である健足側膝関節部の歩行アシスト運動を行う健足側膝関節アームおよび健足側膝関節アクチュエータとを備えており、
前記患足側関節アームおよび前記患足側関節アクチュエータとして、片麻痺者の左右の股関節部における前記患足側関節部である患足側股関節部の歩行アシスト運動を行う患足側股関節アームおよび患足側股関節アクチュエータと、片麻痺者の左右の膝関節部における前記患足側関節部である患足側膝関節部の歩行アシスト運動を行う患足側膝関節アームおよび患足側膝関節アクチュエータとを備えているロボティックウエア。 - 請求項13において、
片麻痺者の健足側歩行運動に対する前記健足側股関節アクチュエータによる健足側股関節歩行アシスト運動の同調の度合いを健足側股関節同調性と呼び、健足側歩行運動に対する前記健足側膝関節アクチュエータによる健足側膝関節歩行アシスト動作の同調の度合いを健足側膝関節同調性と呼び、
片麻痺者の患足側歩行運動に対する前記患足側股関節アクチュエータによる患足側股関節歩行アシスト運動の同調の度合いを患足側股関節同調性と呼び、患足側歩行運動に対する前記患足側膝関節アクチュエータによる患足側膝関節歩行アシスト動作の同調の度合いを患足側膝関節同調性と呼ぶものとすると、
前記健足側膝関節同調性は、前記健足側股関節同調性よりも高く、
前記患足側膝関節同調性は、前記患足側股関節同調性よりも高いロボティックウエア。 - 請求項11において、
前記健足側制御ユニットは、
前記健足側相互作用力に基づき、片麻痺者の健足側歩行運動に対する健足側関節アクチュエータの健足側歩行アシスト運動の同調の度合いを調整する健足側調整部、
前記基本関節振幅および前記基本歩行周期に基づき自励振動を行う神経振動子を用いて、前記健足側調整部によって調整された入力に同調する出力を算出する健足側解析部、および、
当該健足側解析部によって得られる出力に基づき前記健足側関節アクチュエータの健足側歩行アシスト運動をフィードバック制御する健足側制御部を含み、
前記患足側制御ユニットは、
前記患足側相互作用力に基づき、片麻痺者の患足側歩行運動に対する患足側関節アクチュエータの患足側歩行アシスト運動の同調の度合いを調整する患足側調整部、
前記基本関節振幅および前記基本歩行周期に基づき自励振動を行う神経振動子を用いて、前記患足側調整部によって調整された入力に同調する出力を算出する患足側解析部、および、
当該患足側解析部によって得られる出力に基づき前記患足側関節アクチュエータの患足側歩行アシスト運動をフィードバック制御する患足側制御部を含むロボティックウエア。 - 請求項15において、
前記健足側制御ユニットおよび前記患足側制御ユニットにおける前記神経振動子は、以下の三式で示す非線形1階連立微分方程式で表され、
ここで、
xi:i番目の神経素子の内部状態を示す係数
g(xi):i番目の神経素子の出力
fi:i番目の神経素子の疲労状態を表す係数
Si:i番目の神経素子への定常入力
bi:i番目の神経素子の疲労係数
aij:i番目の神経素子からj番目の神経素子への結合係数
Ta,Tr:時定数
Input:外部入力
であり、
前記健足側相互作用力あるいは前記患足側相互作用力を相互作用トルクτ_mutualとし、前記健足側同調性あるいは前記患足側同調性の度合いを同調ゲインCとして表すものとすると、前記神経振動子の前記外部入力Inputは、前記相互作用トルクτ_mutualは、
Input=C*τ_mutual
ただし、 0 ≦ C ≦ 1
で表されるロボティックウエア。
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