JP6780607B2 - 分析用基板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、分析用基板およびその製造方法に関する。
従来、ラマン分光法は、ラマン散乱光の強度が非常に弱いことが問題とされていた。その改善のために表面増強ラマン散乱(Surface Enhanced Raman Scattering:SERS)を利用することが検討されている。SERSは、Au、Ag等の金属表面において、局在表面プラズモン共鳴による電場増強で、吸着した測定対象分子のラマン散乱光の強度が著しく増強される現象である。ラマン分光法以外の光学的分析法においても局在表面プラズモン共鳴による電場増強を利用することが検討されている。
局在表面プラズモン共鳴による電場増強を利用する分析用基板として、例えば以下のものが提案されている。
(1)金属ナノ粒子の分散液を金属基板上で凝集させたSERS光測定用基板(特許文献1)。
(2)基板上に微粒子を固相化し、該微粒子上に金属を付着させた分析用基板(特許文献2)。
(3)金属蒸着基板を高温の水と反応させることで表面に微細凹凸構造を形成した透明基板と、該微細凹凸構造の表面に形成された金属微細凹凸構造層とを備える光電場増強デバイス(特許文献3)。
(4)基板上にナノインプリントによって複数のピラーを形成し、該ピラー上に金属を堆積させて導電体層を形成したSERSユニット(特許文献4)。
国際公開第2010/101209号 特開2011−208993号公報 特開2012−198090号公報 特開2014−037969号公報
しかし、(1)〜(4)の分析用基板は、感度が充分ではない場合や、生産性が悪い(貴金属の使用量が多くコストがかかる、製造工程上、大面積化が難しい等)場合がある。
本発明は、局在表面プラズモン共鳴による電場増強を利用した光学的分析を高感度に実施でき、生産性にも優れた分析用基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]基板と、前記基板上に設けられた単粒子膜と、金属蒸着膜とを備え、
前記単粒子膜を構成する粒子の前記基板と対向する側と反対側の表面が粗面化されており、
前記金属蒸着膜が少なくとも、前記粒子の前記粗面化された表面に形成されており、前記表面に形成された金属蒸着膜の表面が、前記粒子の前記粗面化された表面に追従する凹凸形状になっている、分析用基板。
[2]前記単粒子膜を構成する粒子同士が接触していない[1]に記載の分析用基板。
[3]前記基板の表面の、前記単粒子膜の粒子間の隙間に対応する位置に凹部が形成されており、
前記金属蒸着膜がさらに、前記凹部の表面に形成されている[1]または[2]に記載の分析用基板。
[4]基板上に単粒子膜を配置する工程と、
前記単粒子膜をドライエッチングして、前記単粒子膜を構成する粒子の前記基板と対向する側と反対側の表面を粗面化する工程と、
前記粒子の前記粗面化された表面に金属蒸着膜を形成する工程と、
を有する、分析用基板の製造方法。
[5]基板上に単粒子膜を配置する工程と、
前記単粒子膜および前記基板をドライエッチングして、前記単粒子膜を構成する粒子の前記基板と対向する側と反対側の表面を粗面化するとともに、前記基板の表面の、前記単粒子膜の粒子間の隙間に対応する位置に凹部を形成する工程と、
前記粒子の前記粗面化された表面および前記凹部の表面に、金属蒸着膜を形成する工程と、
を有する、分析用基板の製造方法。
[6]前記ドライエッチングに用いられるエッチングガスが堆積性ガスを含む[4]または[5]に記載の分析用基板の製造方法。
[7]前記基板上に前記単粒子膜を配置する工程がラングミュア−ブロジェット法により行われる[4]〜[6]のいずれかに記載の分析用基板の製造方法。
[8]前記粒子が、無機酸化物、無機窒化物、無機硼化物、無機硫化物および無機セレン化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機材料で構成された無機粒子である[4]〜[7]のいずれかに記載の分析用基板の製造方法。
[9]前記金属蒸着膜が、平膜換算で1〜100nmの厚みで形成される[4]〜[8]のいずれかに記載の分析用基板の製造方法。
本発明によれば、局在表面プラズモン共鳴による電場増強を利用した光学的分析をより高感度に実施でき、生産性にも優れた分析用基板およびその製造方法を提供できる。
本発明の分析用基板の一実施形態を模式的に示す上面図である。 図1に示す分析用基板のII−II断面を模式的に示す部分断面図である。 本発明の分析用基板の製造方法の一実施形態を説明するフロー図である。 図3に示す分析用基板の製造方法において、ドライエッチングを行う前の、単粒子膜を配置した基板を模式的に示す上面図である。 本発明の分析用基板の製造方法の他の実施形態を示すフロー図である。 実施例1で得られたドライエッチングを行った後の単粒子膜付き基板の走査型電子顕微鏡像である。 実施例1で得られた分析用基板の走査型電子顕微鏡像である。 実施例2で得られた分析用基板の走査型電子顕微鏡像である。
以下、本発明の分析用基板およびその製造方法について、添付の図面を参照し、実施形態を示して説明する。
<分析用基板>
図1は、本発明の分析用基板の一実施形態を示す模式的に示す上面図であり、図2は、図1に示す分析用基板のII−II断面を模式的に示す部分断面図である。
本実施形態の分析用基板10は、基板1と、基板1上に設けられた単粒子膜5と、第一の金属蒸着膜7と、第二の金属蒸着膜9とを備える。
単粒子膜5は、複数の粒子3が二次元に配列してなる単層膜である。
単粒子膜5を構成する粒子3においては、基板1と対向する側と反対側の表面3aが粗面化されており、この表面3aに第一の金属蒸着膜7が形成されている。
基板1の表面の、単粒子膜5の粒子3間の隙間に対応する位置、つまり上面視で粒子3で覆われていない部分には、凹部1aが形成されている。この凹部1aの表面に第二の金属蒸着膜9が形成されている。
(基板)
基板1は、少なくとも単粒子膜5側の表面が誘電体または半導体からなる。
基板1としては、例えば、誘電体または半導体からなる基板、上記表面が誘電体または半導体となるように導電体層、誘電体層、半導体層のうち2層以上が積層された多層基板であってもよい。誘電体または半導体としては特に限定されず、分析用基板等の用途において公知の材質であってよい。
基板1としては、典型的には、誘電体または半導体のみからなる基板が用いられ、例えば石英基板、アルカリガラスや無アルカリガラス等の各種ガラス基板、サファイア基板、シリコン(Si)基板、シリコンカーバイド(SiC)等の無機物質からなる基板、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂等の有機物質からなる基板等が挙げられる。
基板1の凹部1aは、単粒子膜5の粒子3間の隙間に対応する位置で形成されており、その形状は、図2に示すように、基板1の主面に対して垂直かつ隣り合う粒子3の中心間を通る断面において、V字谷形状である。単粒子膜5を構成する粒子3同士は接触しておらず、個々の粒子3の周囲に隙間が形成されている。そのため、基板1の表面には、上面視で単粒子膜5を構成する複数の粒子3それぞれに対応する位置に複数の凸部が形成されている。
この複数の凸部はそれぞれ、円錐台状ないし円柱状であり、上面視で粒子3と略同一の形状で形成されている。
凹部1aの深さは、10〜200nmが好ましく、20〜150nmがより好ましい。
凹部1aの深さが前記範囲の下限値以上であれば、凹部1aに第二の金属蒸着膜9が堆積することで、凹部1aの切れ込みに於ける対面する斜面間および底部にできる20nm以下のギャップ(ナノギャップ)による、金属膜同士の近接に伴う局在表面プラズモン共鳴による電場増強が得られる。
さらに、凹部1aの深さが前記範囲の上限値以下であれば、凹部1aの集合体が回折格子として機能し、局在表面プラズモン共鳴を誘発することができる。
凹部1aの深さは、任意の適切な装置によって測定すればよい。好ましくは、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、あるいは原子間力顕微鏡(AFM)によって測定される。
凹部1aの最大幅は、1〜100nmが好ましく、1〜50nmがより好ましく、1〜20nmがさらに好ましい。凹部1aの最大幅が前記範囲の上限値以下であれば、凹部に金属蒸着膜が堆積することで、凹部の切れ込みに於ける対面する斜面間および底部にできる20nm以下のギャップ(ナノギャップ)による、金属膜同士の近接に伴う局在表面プラズモン共鳴による電場増強が得られる。
凹部1aの最大幅は、任意の適切な装置によって測定すればよい。好ましくは、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、あるいは原子間力顕微鏡(AFM)によって測定される。
また、凹部1aの最大幅(nm)に対する深さ(nm)の比は、凹部1aのアスペクト比(深さ/最大幅)であり、0.8〜20が好ましく、1〜10がより好ましい。凹部1aのアスペクト比が前記の範囲内であれば、凹部1aに第二の金属蒸着膜9が堆積したときに、凹部の切れ込みに於ける対面する斜面間および底部に20nm以下のギャップ(ナノギャップ)が形成されやすい。
(単粒子膜)
「単粒子膜」は、複数の粒子が二次元に配列した単層膜である。
単粒子膜5を構成する粒子3の材料としては、特に限定されず、有機材料でもよく、無機材料でもよく、有機材料と無機材料との複合材料でもよい。
有機材料としては、例えばポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂;等が挙げられる。
無機材料としては、例えば、炭素同素体、無機炭化物、無機酸化物、無機窒化物、無機硼化物、無機硫化物、無機セレン化物等が挙げられる。炭素同素体としては、例えばダイヤモンド、グラファイト、フラーレン類等が挙げられる。無機炭化物としては、例えば炭化ケイ素、炭化硼素等が挙げられる。無機酸化物としては、例えば酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化スズ、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)等が挙げられる。無機窒化物としては、例えば窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化硼素等が挙げられる。無機硼化物としては、例えばZrB、CrB等が挙げられる。無機硫化物としては、例えば硫化亜鉛、硫化カルシウム、硫化カドミウム、硫化ストロンチウム等が挙げられる。無機セレン化物としては、例えばセレン化亜鉛、セレン化カドミウム等が挙げられる。
粒子3を構成する材料は1種でもよく2種以上でもよい。
粒子3としては、無機酸化物、無機窒化物、無機硼化物、無機硫化物および無機セレン化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機材料で構成された無機粒子が好ましい。分析用基板10の測定対象物質は有機物質であることが多い。粒子3がかかる無機粒子であれば、分析用基板10で有機物質を分析する際に、測定値への影響が生じにくい。また、分析用基板10の製造時に、基板上にて該無機粒子からなる単粒子膜をドライエッチングして粒子表面(基板と対向する側と反対側の表面)を粗面化する際に、単粒子膜と基板との間におけるエッチングの選択比が得られやすい。
粒子3の粒径は、50nm〜900nmが好ましく、150〜700nmがより好ましい。該粒径が前記範囲の下限値以上であれば、粒径のドライエッチングによるコントロール性が良く、また回折格子の機能が発現しやすい。該粒径が前記範囲の上限値以下であれば、ドライエッチングによる粒子3表面の凹凸形成のコントロール性が良く、粒子表面を粗面化しやすい。
粒子3の粒径は、単粒子膜5の面内方向(基板1主面と平行な方向)における粒子3の最大径であり、任意の適切な装置によって測定すればよい。好ましくは、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、あるいは原子間力顕微鏡(AFM)によって測定される。
単粒子膜5を構成する粒子3は1種でもよく2種以上でもよい。例えば粒子3を構成する材料や粒子径が異なる2種以上の粒子3で構成されていてもよい。
粒子3の表面3aは粗面化されている。
表面3aが「粗面化されている」とは、表面3aが、粒子3の基板1と対向する側の表面に比べて粗面になっていることを意味する。
表面3aの粗面化の程度は、原子間力顕微鏡(AFM)によって求められる表面3aの中心線平均粗さ(Ra)として、0.3nm〜20nmが好ましく、1〜10nmがより好ましい。
また、粗面化される前の粒子3Bの表面3b(図3参照)のAFMによって求められる中心線平均粗さ(Ra’)(単位:nm)に対する表面3aの中心線平均粗さ(Ra)の比である表面粗さ比(Ra/Ra’)は、1.5〜20が好ましく、2〜20がより好ましく、5〜20がさらに好ましい。
後述する製法で分析用基板10を製造する場合、粗面化されている粒子3の表面3aに形成された第一の金属蒸着膜7の表面の中心線平均粗さを、粒子3の表面3aの中心線平均粗さ(Ra)と同等とみなすことができる。
中心線平均粗さは、具体的には、以下の手順で求められる。複数の粒子を含む視野範囲を走査対象とし、AFMにて粒子の表面形状像を得る。この操作を繰り返し行い、10〜20個の粒子の表面形状像を得る。得られた各粒子の表面形状像について、最大粒子径の約90%の長さに対して、表面粗さ解析を行う。得られた表面粗さの平均値を算出し、その平均値を粒子の中心線平均表面粗さ(RaまたはRa’)とする。
表面3aは、典型的には、略半球状の面に沿って複数の凹凸がランダムに繰り返された凹凸形状を有する。「ランダムに繰り返された」とは、凹凸の大きさや凹凸の繰り返される方向が一定ではないことを示す。
単粒子膜5を構成する粒子3同士は接触していない。
単粒子膜5中、隣り合う2つの粒子3間の最短距離は、1〜100nmが好ましく、1〜50nmがより好ましく、1〜20nmがさらに好ましい。前記最短距離が前記上限値以下であれば、各粒子3の表面3aに形成された第一の金属蒸着膜7同士が充分に近い位置で対向し、それらの間で局在表面プラズモン共鳴による電場増強が発生し得る。前記最短距離が前記下限値以上であれば、それらの粒子3の間の位置に形成される凹部1aが充分な幅を有するものとなり、その表面に形成される第二の金属蒸着膜9の表面にも測定対象分子が吸着し、局在表面プラズモン共鳴の効果が発生し得る。
前記最短距離は、任意の適切な装置によって測定すればよい。好ましくは、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、あるいは原子間力顕微鏡(AFM)によって測定される。
単粒子膜5は、基板1に固定されていることが好ましい。
単粒子膜5が基板1に固定されている例として、単粒子膜5を構成する各粒子3が基板1に融着している例、単粒子膜5を構成する各粒子3がバインダーにより基板1に固定されている例、単粒子膜5を構成する各粒子3が、堆積性ガスから生成した堆積物により基板1に固定されている例等が挙げられる。
単粒子膜5を基板1に固定する方法については後で詳しく説明する。
(第一の金属蒸着膜)
「金属蒸着膜」は、蒸着法により形成された金属膜である。
第一の金属蒸着膜7を構成する金属としては、局在表面プラズモン共鳴による電場増強を発生させ得るものであればよく、例えば金、銀、アルミニウム、銅、白金等が挙げられる。
第一の金属蒸着膜7は、粗面化されている粒子3の表面3aに形成されており、粒子3の粗面化された表面3aに追従する凹凸形状を有する。
ここで「追従する」とは、第一の金属蒸着膜7表面の凹凸形状における凸部の位置が、粒子3の表面3aの凹凸形状における凸部の位置とほぼ一致することを示す。ただし、第一の金属蒸着膜7表面の凹凸形状における凸部の形状と、粒子3の表面3aの凹凸形状における凸部の形状は必ずしも一致しない。凹凸形状を有する面に金属を蒸着させると、高い位置と低い位置では蒸着膜の厚さが異なる傾向がある。また、蒸着した金属が凝集することもある。これらのことが凸部の形状の違いを生じさせると考えられる。
第一の金属蒸着膜7表面の隣り合う凸部間では、金属表面同士が対向する。隣り合う凸部間の距離は極めて小さいため、それらの間で局在表面プラズモン共鳴による電場増強を発生させることができる。
第一の金属蒸着膜7表面の凹凸形状において、隣り合う凸部間の距離は、1〜50nmが好ましく、1〜40nmがより好ましく、1〜20nmがさらに好ましい。つまり、実際に対向する金属表面間の距離は斜面であり分布が生じるため、凸部間の距離より小さく、具体的には1〜20nm程度に作製される。隣り合う凸部間の距離が前記範囲の上限値以下であれば、局在表面プラズモン共鳴による電場増強効果がより優れる。
隣り合う凸部間の距離は、任意の適切な装置によって測定すればよい。好ましくは、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、あるいは原子間力顕微鏡(AFM)によって測定される。
具体的な例としては、複数の粒子を含む視野範囲を走査対象とし、AFMまたはSEMにて粒子の表面形状像を得る。この操作を繰り返し行い、10〜20個の粒子の表面形状像を得る。AFMでは、得られた各粒子の表面形状像について、粒子径の最頻値の約90%の長さの範囲にある隣接する凸部に対して断面プロファイルを得て、各々最も高さが高い点同士の距離を測定する。SEMでは、得られた各粒子の表面形状像について、粒子径の最頻値の約90%の長さの範囲にある隣接する凸部に対して、隣接する凸部の中心同士の距離を測定する。各々の測定方法において、各粒子に対し5〜10点測定した後、得られた50点以上の平均値を算出し、その平均値を凸部間の距離とする。
第一の金属蒸着膜7の厚みは、おおむね、上面視で表面3aの外縁に近いほど薄くなっている。凹凸形状を有する表面3aに対して金属の蒸着を行うと、まず凹凸形状全体に金属の蒸着粒子が付着し、島状の金属蒸着膜が形成される。蒸着が進むにつれて見かけ上、金属蒸着膜が凸部下側(基板1側)から頂部に広がっていき、隣り合う凸部上の金属蒸着膜同士がクラスターを形成し、第一の金属蒸着膜7の厚みが厚くなっていく。表面3aは、上面視で表面3aの外縁に近いほど凹凸形状の密度が低くなっており、凹凸形状に伴う金属蒸着膜同士のクラスター形成速度が遅いため、表面3aの中心から外縁に向かって第一の金属蒸着膜7の厚みが薄くなっていると考えられる。
このように、表面3aの外縁に近いほど第一の金属蒸着膜7の厚みが薄いことで、第一の金属蒸着膜7表面の凹凸の高さ(深さ)が、表面3aの外縁に近いほど低く(浅く)なる。凹凸の高さが異なれば、蒸着が進むにつれて凹凸が金属蒸着膜によって埋まりづらく、つまりは金属表面間にギャップが生じやすいため、局在表面プラズモン共鳴による電場増強効果が得られやすいと考えられる。また、上記のように金属蒸着膜7表面の凹凸の深さやギャップに分布が発生するため、表面増強ラマン散乱において高感度で検出できる測定対象(分子量や分子構造による)の種類や幅が広くなる。
(第二の金属蒸着膜)
第二の金属蒸着膜9は、基板1の凹部1aの表面に金属を蒸着して形成されたものであり、第二の金属蒸着膜9の表面は、凹部1aの表面形状を反映して、単粒子膜5側とは反対側に凹んだ形状になっている。そのため、凹部1aの部分では、第二の金属蒸着膜9の表面同士が対向しており、この部分でも局在表面プラズモン共鳴による電場増強を発生させることができるようになっている。
第二の金属蒸着膜9を構成する金属としては、局在表面プラズモン共鳴による電場増強を発生させ得るものであればよく、第一の金属蒸着膜7を構成する金属として挙げたものと同様のものが挙げられる。
<分析用基板の製造方法>
図3を用いて、分析用基板10の製造方法の一例を説明する。
この例の分析用基板10の製造方法は、
基板1B上に、単粒子膜5Bを配置する工程(単粒子膜配置工程)と、
単粒子膜5Bおよび基板1Bをドライエッチングして、単粒子膜5Bを構成する粒子3Bの基板1Bと対向する側と反対側の表面3bを粗面化する(単粒子膜5Bを単粒子膜5とする)とともに、基板1Bの表面の、単粒子膜5の粒子3間の隙間に対応する位置に凹部1aを形成する(基板1Bを基板1とする)工程(ドライエッチング工程)と、
粒子3の粗面化された表面3aおよび基板1の凹部1aの表面にそれぞれ金属蒸着膜(第一の金属蒸着膜7および第二の金属蒸着膜9)を形成する工程(金属蒸着工程)と、
を有する。
図3中の(a)は、単粒子膜配置工程で得られる、つまりドライエッチングを行う前の、単粒子膜5Bが配置された基板1Bを示す。図4にその上面図を示す。図3中の(b)は、ドライエッチング工程で得られる、単粒子膜5が配置された基板1を示す。図3中の(c)は、金属蒸着工程で得られる分析用基板10を示す。
(単粒子膜)
単粒子膜配置工程で基板1B上に配置する単粒子膜5Bは、複数の粒子3Bが二次元に密集したものである。
本実施形態においては、単粒子膜5Bを構成する粒子3Bとして粒径の変動係数が小さいものを用いており、単粒子膜5Bは、複数の粒子3Bが二次元に最密充填したものとなっている。
ただし本発明はこれに限定されるものではなく、粒子3Bとして粒径の変動係数の大きいもの、例えば平均粒径の異なる複数の粒子群を混合したものを用いてもよい。
粒子3Bの材料としては、粒子3と同様のものが挙げられ、好ましい態様も同様である。
粒子3Bの平均粒径は100nm〜1.0μmが好ましく、250〜800nmがより好ましい。粒子3Bの平均粒径が前記範囲内であれば、得られる分析用基板10における粒子3の粒径を前記の好ましい範囲内としやすい。
粒子3Bの平均粒径は、平均一次粒径のことであって、粒子動的光散乱法により求めた粒度分布をガウス曲線にフィッティングさせて得られるピークから常法により求めることができる。
図4に示すような複数の粒子3Bが二次元に最密充填した単粒子膜5Bを形成する場合、粒子3Bの粒径の変動係数(標準偏差を平均値で除した値)は、20%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましい。このように粒径の変動係数、すなわち、粒径のばらつきが小さい粒子を使用すると、形成される単粒子膜5Bに、粒子3Bが存在しない欠陥箇所が生じにくくなり、粒子3Bの配列のずれDが10%以下である高精度の単粒子膜5Bを得ることができる。配列のずれDが10%以下である単粒子膜5Bは、各粒子3Bが二次元に最密充填し、粒子3Bの間隔が制御されていて、その配列の精度が高い。よって、このような単粒子膜5Bを基板1B上に配置し、ドライエッチングを行うと、基板1Bに高精度な凹凸パターンを形成できる。
粒子3Bの配列のずれDは、下記式(1)で定義される。
D[%]=|B−A|×100/A・・・(1)
式(1)中、Aは単粒子膜5Bを構成している粒子3Bの平均粒径、Bは単粒子膜5Bにおける粒子3B間の平均ピッチである。また、|B−A|はAとBとの差の絶対値を示す。
ここで、粒子3Bの平均粒径Aとは、前記で定義したとおりである。
粒子3B間のピッチとは、隣り合う2つの粒子3Bの頂点と頂点の距離であり、平均ピッチBとはこれらを平均したものである。なお、粒子3Bが球形であれば、隣り合う2つの粒子3Bの頂点と頂点との距離は、隣り合う2つの粒子3Bの中心と中心の距離と等しい。
単粒子膜5Bにおける粒子3B間の平均ピッチBは、具体的には次のようにして求められる。
まず、単粒子膜5Bにおける無作為に選択された領域で、一辺が微細構造の繰り返し単位30〜40波長分の正方形の領域について、原子間力顕微鏡イメージまたは走査型電子顕微鏡イメージを得る。例えば粒径300nmの粒子3Bを用いた単粒子膜5Bの場合、9μm×9μm〜12μm×12μmの領域のイメージを得る。そして、このイメージをフーリエ変換により波形分離し、FFT像(高速フーリエ変換像)を得る。ついで、FFT像のプロファイルにおける0次ピークから1次ピークまでの距離を求める。こうして求められた距離の逆数がこの領域における平均ピッチBである。このような処理を無作為に選択された合計25カ所以上の同面積の領域について同様に行い、各領域における平均ピッチB〜B25を求める。こうして得られた25カ所以上の領域における平均ピッチB〜B25の平均値が式(1)における平均ピッチBである。なお、この際、各領域同士は、少なくとも1mm離れて選択されることが好ましく、より好ましくは5mm〜1cm離れて選択される。
また、この際、FFT像のプロファイルにおける1次ピークの面積から、各イメージについて、その中の粒子3B間のピッチのばらつきを評価することもできる。
(単粒子膜配置工程)
単粒子膜配置工程は、ラングミュア−ブロジェット法(LB法)により行われることが好ましい。この方法は、単層化の精度、操作の簡便性、大面積化への対応、再現性等を兼ね備え、例えばNature, Vol.361, 7 January, 26(1993)等に記載されている液体薄膜法や特開昭58−120255号公報等に記載されているいわゆる粒子吸着法に比べて非常に優れ、工業生産レベルにも対応できる。
LB法による単粒子膜配置工程は、例えば、その液面上で粒子3Bを展開させるための液体(以下、下層液という場合もある。)として水を入れた水槽(トラフ)を用意し、その液面に、水よりも比重の小さい有機溶剤中に粒子3Bが分散した分散液を滴下する工程(滴下工程)と、前記有機溶剤を揮発させることにより粒子3Bからなる単粒子膜5Bを形成する工程(単粒子膜形成工程)と、形成した単粒子膜5Bを基板1Bに移し取る工程(移行工程)と、を有する方法により実施できる。移行工程後に、基板1Bに移し取った単粒子膜5Bを基板1Bに固定する工程(固定工程)を行ってもよい。
このとき、粒子3Bとしては、粒子3Bが親水性の下層液の液面下に潜ってしまわないように、表面が疎水性である粒子が用いられる。また、有機溶剤としては、分散液を下層液の液面に滴下した際に分散液が下層液と混和せずに空気と下層液の気液界面に展開するように、疎水性のものが選択される。
なお、ここでは粒子3Bとして表面が疎水性のもの、有機溶剤として疎水性のものを選択し、下層液として親水性のものを使用する例を示したが、粒子3Bとして表面が親水性のもの、有機溶剤として親水性のものを選択し、下層液として疎水性の液体を使用してもよい。
以下に、使用する分散液および各工程について具体的に説明する。
「分散液」
分散液に用いる有機溶剤は、水よりも比重が小さい疎水性のものである。該有機溶剤はまた、高い揮発性を有することも重要である。水よりも比重が小さく疎水性であり、高い揮発性を有する有機溶剤としては、例えば、クロロホルム、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、エチルエチルケトン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の1種以上からなる揮発性有機溶剤が挙げられる。
表面が疎水性の粒子としては、先に例示した粒子のうち、ポリスチレン等の有機材料からなり表面が元々疎水性を示すものを使用してもよく、表面が親水性の粒子を疎水化剤で疎水性にしたものを使用してもよい。
疎水化剤としては、例えば界面活性剤、金属アルコキシド等が使用できる。
界面活性剤を疎水化剤として使用する方法は、幅広い材料の疎水化に有効であり、粒子が無機酸化物等からなる場合に好適である。
金属アルコキシドを疎水化剤として使用する方法は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン等の無機酸化物粒子を疎水化する際に有効である。また、無機酸化物粒子以外にも、表面に水酸基を有する粒子に対して適用することができる。
界面活性剤としては、臭素化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、臭素化デシルトリメチルアンモニウム等のカチオン性界面活性剤、ドデシル硫酸ナトリウム、4−オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤が好適に使用できる。また、アルカンチオール、ジスルフィド化合物、テトラデカン酸、オクタデカン酸等も使用できる。
金属アルコキシドとしては、例えばアルコキシシランが挙げられる。
アルコキシシランとしては、モノメチルトリメトキシシラン、モノメチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
界面活性剤を用いた疎水化処理は、有機溶剤や水等の液体に粒子を分散させて液中で行ってもよいし、乾燥状態にある粒子に対して行ってもよい。
液中で行う場合には、例えば、前述の揮発性有機溶剤中に、疎水化対象の粒子を加えて分散させ、その後、界面活性剤を混合してさらに分散を続ければよい。このようにあらかじめ粒子を分散させておき、それから界面活性剤を加えると、表面をより均一に疎水化することができる。このような疎水化処理後の分散液は、そのまま、滴下工程において下層液の液面に滴下するための分散液として使用できる。
疎水化対象の粒子が水分散体の状態である場合には、この水分散体に界面活性剤を加えて水相で粒子表面の疎水化処理を行った後、有機溶剤を加えて疎水化処理済みの粒子を油相抽出する方法も有効である。こうして得られた分散液(有機溶剤中に粒子が分散した分散液)は、そのまま、滴下工程において下層液の液面に滴下するための分散液として使用できる。
分散液の粒子分散性を高めるために、有機溶剤の種類と界面活性剤の種類とを適切に選択し、組み合わせることが好ましい。粒子分散性の高い分散液を使用することによって、粒子3Bがクラスター状に凝集することを抑制でき、各粒子3Bが二次元に密集した単粒子膜5Bがより得られやすくなる。例えば、有機溶剤としてクロロホルムを選択する場合には、界面活性剤として臭素化デシルトリメチルアンモニウムを使用することが好ましい。その他にも、エタノールとドデシル硫酸ナトリウムとの組み合わせ、メタノールと4−オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウムとの組み合わせ、メチルエチルケトンとオクダデカン酸との組み合わせ等を好ましく例示できる。
疎水化対象の粒子と界面活性剤の比率は、疎水化対象の粒子の質量に対して、界面活性剤の質量が1/3〜1/15倍の範囲が好ましい。
こうした疎水化処理の際には、処理中の分散液を撹拌したり、分散液に超音波照射したりすることも粒子分散性向上の点で効果的である。
金属アルコキシドを用いた疎水化処理では、金属アルコキシド中の金属原子に結合したアルコキシ基が加水分解し、水酸基が生成する。例えばアルコキシシランの場合、アルコキシシリル基が加水分解してシラノール基(Si−OH)が生成する。生成した水酸基が粒子表面の水酸基に脱水縮合することで疎水化が行われる。よって、金属アルコキシドを用いた疎水化処理は、水中で実施することが好ましい。このように水中で疎水化処理を行う場合には、例えば界面活性剤等の分散剤を併用して、疎水化前の粒子の分散状態を安定化するのが好ましいが、分散剤の種類によっては金属アルコキシドの疎水化効果が低減することもあるため、分散剤と金属アルコキシドとの組み合わせは適切に選択する。
金属アルコキシドにより粒子を疎水化する具体的方法としては、まず、水中に粒子を分散させておき、これと金属アルコキシド含有水溶液(金属アルコキシドの加水分解物を含む水溶液)とを混合し、室温から40℃の範囲で適宜攪拌しながら所定時間、好ましくは6〜12時間反応させる。このような条件で反応させることによって、反応が適度に進行し、十分に疎水化された粒子の分散液を得ることができる。反応が過度に進行すると、シラノール基同士が反応して粒子同士が結合してしまい、分散液の粒子分散性が低下し、得られる単粒子膜は、粒子が部分的にクラスター状に凝集した2層以上のものになりやすい。一方、反応が不十分であると、粒子表面の疎水化も不十分となり、得られる単粒子膜は粒子間のピッチが広がったものになりやすい。
前述のアルコキシシランのうちアミン系以外のアルコキシシランは、酸性またはアルカリ性の条件下で加水分解するため、反応時には分散液のpHを酸性またはアルカリ性に調整する必要がある。pHの調整法には制限はないが、0.1〜2.0質量%濃度の酢酸水溶液を添加する方法によれば、加水分解促進の他に、シラノール基安定化の効果も得られるため好ましい。
疎水化対象の粒子と金属アルコキシドの比率は、疎水化対象の粒子の質量に対して、金属アルコキシドの質量が1/10〜1/100倍の範囲が好ましい。
所定時間反応後、この分散液に対して、前述の揮発性有機溶剤のうちの1種以上を加え、水中で疎水化された粒子を油相抽出する。この際、添加する有機溶剤の体積は、有機溶剤添加前の分散液に対して0.3〜3倍の範囲が好ましい。こうして得られた分散液(有機溶剤中に粒子が分散した分散液)は、そのまま、滴下工程において下層液の液面に滴下するための分散液として使用できる。
こうした疎水化処理においては、処理中の分散液の粒子分散性を高めるために、撹拌、超音波照射等実施することが好ましい。分散液の粒子分散性を高めることによって、粒子がクラスター状に凝集することを抑制でき、各粒子3Bが二次元に密集した単粒子膜がより得られやすくなる。
「滴下工程」
滴下工程では、上記の分散液を、下層液の液面に滴下する。
下層液に滴下する分散液の粒子3Bの濃度は1〜10質量%とすることが好ましい。また、分散液の滴下速度を0.001〜0.01mL/秒とすることが好ましい。分散液中の粒子3Bの濃度や分散液の滴下量がこのような範囲であると、粒子3Bが部分的にクラスター状に凝集して2層以上となる、粒子3Bが存在しない欠陥箇所が生じる、粒子3B間のピッチが広がる等の傾向が抑制され、各粒子3Bが二次元に密集した単粒子膜5Bがより得られやすい。
形成する単粒子膜5Bの精度をより高めるために、液面に滴下する前の分散液をメンブランフィルター等で精密ろ過して、分散液中に存在する凝集粒子(複数の1次粒子からなる2次粒子)を除去することが好ましい。このようにあらかじめ精密ろ過を行っておくと、部分的に2層以上となった箇所や、粒子3Bが存在しない欠陥箇所が生じにくく、精度の高い単粒子膜5Bが得られやすい。仮に、形成された単粒子膜5Bに、数〜数十μm程度の大きさの欠陥箇所が存在したとすると、詳しくは後述する移行工程において、単粒子膜5Bの表面圧を計測する表面圧力センサーと、単粒子膜5Bを液面方向に圧縮する可動バリアとを備えたLBトラフ装置を使用したとしても、このような欠陥箇所は表面圧の差として検知されず、高精度な単粒子膜5Bを得ることは難しくなる。
「単粒子膜形成工程」
滴下工程において分散液を下層液の液面に滴下すると、分散媒である溶剤が揮発するとともに、粒子3Bが下層液の液面上に単層で展開し、粒子3Bが二次元に密集した単粒子膜5Bを形成することができる。
この単粒子膜5Bの形成は、粒子3Bの自己組織化によるものである。その原理は、粒子3Bが集結すると、粒子3B間に存在する分散媒に起因して表面張力が作用し、その結果、粒子3B同士はバラバラの状態で存在するのではなく、下層液の液面上で密集した単層構造を自動的に形成するというものである。このような表面張力による単層構造の形成は、別の表現をすると横方向の毛細管力による粒子同士の相互吸着ともいえる。
例えば、同じ粒径の3つの粒子3Bが水面上に浮いた状態で集まり接触すると、粒子群の喫水線の合計長を最小にするように表面張力が作用し、3つの粒子3Bは正三角形を基本とする配置で安定化する。
仮に、喫水線が粒子群の頂点にくる場合、すなわち、粒子3Bが液面下に潜ってしまう場合には、このような自己組織化は起こらず、単粒子膜5Bは形成されない。よって、粒子3Bと下層液は、一方が疎水性である場合には他方を親水性にして、粒子群が液面下に潜ってしまわないようにすることが重要である。
下層液としては、以上の説明のように水を使用することが好ましく、水を使用すると、比較的大きな表面自由エネルギーが作用して、一旦生成した粒子3Bの密集した単層構造が液面上に安定的に持続しやすくなる。
単粒子膜形成工程は、超音波照射条件下で実施することが好ましい。下層液から水面に向けて超音波を照射しながら単粒子膜形成工程を行うと、粒子3B同士の相互吸着が促進され、各粒子3Bがより高精度に二次元に密集した単粒子膜5Bが得られる。
この際、超音波の出力は1〜1200Wが好ましく、50〜600Wがより好ましい。
超音波の周波数には特に制限はないが、例えば28kHz〜5MHzが好ましく、700kHz〜2MHzがより好ましい。振動数が高すぎると、水分子のエネルギー吸収が始まり、水面から水蒸気または水滴が立ち上る現象が起きるため、LB法にとって好ましくない。振動数が低すぎると、下層液中のキャビテーション半径が大きくなり、水中に泡が発生して水面に向かって浮上してくる。このような泡が単粒子膜の下に集積すると、水面の平坦性が失われるためLB法にとって不都合となる。
超音波照射を行うと、水面に定常波が発生する。いずれの周波数でも出力が高すぎたり、超音波振動子と発信機のチューニング条件によって水面の波高が高くなりすぎたりすると、単粒子膜が水面波で破壊されるため気をつける必要がある。
以上のことに留意して超音波の周波数を適切に設定すると、形成されつつある単粒子膜を破壊することなく、効果的に粒子3Bの密集を促進することができる。効果的な超音波照射を行うためには、粒子3Bの粒径から計算される固有振動数を目安にするのが良い。しかし、粒径が例えば100nm以下等小さな粒子になると固有振動数は非常に高くなってしまうため、計算結果のとおりの超音波振動を与えるのは困難になる。このような場合は、粒子3Bの2量体〜20量体程度までの質量に対応する固有振動を与えると仮定して計算を行うと、必要な振動数を現実的な範囲まで低減させることが出来る。粒子3Bの会合体の固有振動数に対応する超音波振動を与えた場合でも、粒子3Bの充填率向上効果は発現する。超音波の照射時間は、粒子3Bの再配列が完了するのに十分であればよく、粒径、超音波の周波数、水温等によって所要時間が変化する。しかし通常の作成条件では10秒間〜60分間で行うのが好ましく、より好ましくは3分間〜30分間である。
超音波照射によって得られる利点は、粒子3Bの高精度の密集化の他に、ナノ粒子分散液調製時に発生しやすい粒子の軟凝集体を破壊する効果、一度発生した点欠陥、線欠陥、または結晶転移等をある程度修復する効果等がある。
「移行工程」
移行工程では、単粒子膜形成工程により液面上に形成された単粒子膜5Bを、単層状態のまま基板1B上に移し取る。
基板1Bは、凹部1aが形成されていない以外は、前述の基板1と同様である。
単粒子膜5Bを基板上に移し取る具体的な方法には特に制限はなく、例えば、疎水性の基板1Bを単粒子膜5Bに対して略平行な状態に保ちつつ、上方から降下させて単粒子膜5Bに接触させ、ともに疎水性である単粒子膜5Bと基板1Bとの親和力により、単粒子膜5Bを基板1Bに移行させ、移し取る方法;単粒子膜5Bを形成する前にあらかじめ水槽の下層液内に基板1Bを略水平方向に配置しておき、単粒子膜5Bを液面上に形成した後に液面を徐々に降下させることにより、基板1B上に単粒子膜を移し取る方法;等がある。
これらの方法によれば、特別な装置を使用せずに単粒子膜5Bを基板1B上に移し取ることができるが、より大面積の単粒子膜5Bであっても、複数の粒子3Bが二次元に密集した単層膜の状態を維持したまま基板1B上に移し取りやすい点で、いわゆるLBトラフ法を採用することが好ましい(Journal of Materials and Chemistry, Vol.11, 3333 (2001)、Journal of Materials and Chemistry, Vol.12, 3268 (2002)等参照。)。
LBトラフ法では、水槽内の下層液に基板1Bをあらかじめ略鉛直方向に浸漬しておき、その状態で上述の滴下工程と単粒子膜形成工程とを行い、単粒子膜5Bを形成する。そして、単粒子膜形成工程後に、基板1Bを上方に引き上げることによって、単粒子膜5Bを基板1B上に移し取ることができる。
単粒子膜5Bは、単粒子膜形成工程により下層液の液面上ですでに単層の状態に形成されているため、移行工程の温度条件(下層液の温度)や基板1Bの引き上げ速度等が多少変動しても、移行工程において単粒子膜5Bが崩壊して多層化する等のおそれはない。なお、下層液の温度は、通常、季節や天気により変動する環境温度に依存し、ほぼ10〜30℃程度である。
この際、水槽として、単粒子膜5Bの表面圧を計測するウィルヘルミープレート等を原理とする表面圧力センサーと、単粒子膜5Bを液面に沿う方向に圧縮する可動バリアとを具備するLBトラフ装置を使用すると、より大面積の単粒子膜5Bをより安定に基板1B上に移し取ることができる。このような装置によれば、単粒子膜5Bの表面圧を計測しながら、単粒子膜5Bを好ましい拡散圧(密度)に圧縮でき、また、基板1Bの方に向けて一定の速度で移動させることができる。そのため、単粒子膜5Bの液面から基板1B上への移行が円滑に進行し、小面積の単粒子膜5Bしか基板上に移行できない等のトラブルが生じにくい。
好ましい拡散圧は5〜80mNm−1であり、より好ましくは10〜40mNm−1である。このような拡散圧であると、各粒子3Bがより高精度で二次元に密集した単粒子膜5Bが得られやすい。基板1Bを引き上げる速度は、0.5〜20mm/分が好ましい。なお、LBトラフ装置は、市販品として入手することができる。
「固定工程」
移行工程で基板1B上に移行させた単粒子膜5Bを基板1Bに固定する固定工程を行うことで、後述のドライエッチング工程中に、単粒子膜5Bを構成する粒子3Bが基板1Bの表面を移動したり単粒子膜5Bが剥がれたりすることを抑制でき、より安定かつ高精度に基板1Bをエッチングすることができる。また、得られた分析用基板10の使用中に、単粒子膜5を構成する粒子3が基板1の表面を移動したり単粒子膜5が剥がれたりすることを抑制できる。
固定工程の方法としては、バインダーを使用する方法や焼結法が挙げられる。
バインダーを使用する方法では、バインダー溶液を、単粒子膜5Bが形成された基板1Bの表面に供給し、単粒子膜5Bを構成する粒子3Bと基板1Bとの間に浸透させる。
バインダーとしては、先に疎水化剤として例示した金属アルコキシドや一般の有機バインダー、無機バインダー等を使用できる。分析用基板10の測定対象分子が有機物質である場合は、測定値への影響が少ない点で、金属アルコキシドが好ましい。
バインダーの使用量は、単粒子膜5Bの質量の0.001〜0.02質量倍が好ましい。このような範囲であれば、バインダーが多すぎて粒子3B間にバインダーが詰まってしまい、単粒子膜5Bの精度に悪影響を与えるという問題を生じることなく、十分に粒子3Bを固定することができる。バインダー溶液を多く供給してしまった場合には、バインダー溶液が浸透した後に、スピンコーターを使用したり、基板1Bを傾けたりして、バインダー溶液の余剰分を除去すればよい。
バインダー溶液が浸透した後には、バインダーの種類に応じて、適宜加熱処理を行えばよい。金属アルコキシドをバインダーとして使用する場合には、40〜80℃で3〜60分間の条件で加熱処理することが好ましい。
焼結法を採用する場合には、単粒子膜5Bが形成された基板1Bを加熱して、単粒子膜5Bを構成している各粒子3Bを基板1Bに融着させればよい。
加熱温度は、粒子3Bの材質および基板1Bの材質に応じて決定すればよい。粒径が1μm以下の粒子3Bの場合は、粒子3Bを構成する材料本来の融点よりも低い温度で界面反応を開始するため、比較的低温側で焼結は完了する。
加熱温度が高すぎると、粒子3Bの融着面積が大きくなり、その結果、単粒子膜5Bの形状が変化する等、精度に影響を与える可能性がある。
加熱を空気中で行うと、材質によっては、基板1Bや粒子3Bが酸化する可能性がある。例えば、基板としてシリコン基板を用い、これを1100℃で焼結すると、この基板の表面には約200nmの厚さで熱酸化層が形成される。そのため、後述のドライエッチング工程では、このような酸化の可能性を考慮して、エッチング条件を設定することが必要となる。
(ドライエッチング工程)
単粒子膜5Bが表面に配置された基板1Bに対してドライエッチングを行うと、単粒子膜5Bを構成している各粒子3Bの露出している面(基板1Bと対向する側と反対側の表面3b)がエッチングされ、粗面化される。また、各粒子3Bの粒子径が徐々に小さくなり、ドライエッチング前は粒子3B同士が接していた部分にも隙間が形成され、粒子同士が接触していない状態になる。これにより、表面3bが表面3a、粒子3Bが粒子3となり、単粒子膜5Bが単粒子膜5となる。
また、このとき、単粒子膜5Bの粒子3B間の隙間をエッチングガスが通り抜けて基板1Bの表面に到達し、その部分がエッチングされて凹部1aが形成される。これにより、基板1Bが基板1となる。
こうして得られた単粒子膜5について、先に述べた単粒子膜5Bにおける粒子3B間の平均ピッチBを求める方法と同様にして、単粒子膜5における粒子3間の平均ピッチEを求めると、この平均ピッチEは、単粒子膜5Bの平均ピッチBとほぼ同じ値となる。
ドライエッチング条件、例えば圧力、プラズマ電力、バイアス電力、エッチングガス種、エッチングガス流量、エッチング時間等を調節することによって、粒子3の表面3aの粗面化の程度、表面3aの凹凸形状、粒子3間の距離、凹部1aの深さ等を調節できる。
粒子3B自体の密度分布が均一ではない場合、密度が低い箇所のエッチング進行度が速く、粒子3B表面でエッチング進行度が不均一になる。そのため、粒子3B自体の密度分布を調整することによっても、粒子3表面に形成される凹凸形状を調整できる。
表面3aの粗面化の程度は、表面3aの中心線平均粗さ(Ra)(単位:nm)と、粗面化される前の粒子3Bの表面3bの中心線平均粗さ(Ra’)(単位:nm)との比である表面粗さ比(Ra/Ra’)として、1.5〜20が好ましく、2〜20がより好ましく、5〜20がさらに好ましい。
中心線平均粗さは、原子間力顕微鏡(AFM)によって求められる。具体的には前記のとおりである。
エッチングガスとしては、粒子3Bおよび基板1Bの両方をエッチングできるように、粒子3Bや基板1Bの材質等に応じて公知のエッチングガスのなかから適宜選択できる。エッチングガスは、1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エッチングガスは、堆積性ガスを含むことが好ましい。
堆積性ガスとは、ドライエッチング工程において堆積物を生成するエッチングガスである。堆積性ガスとしては、例えばC2x+2−y(x=1または2、1≦y≦2x+2)、C4−m(1≦m≦4)、C2p+2−qCl(p=1または2、1≦q≦2p+2)、C4−nCl(1≦n≦4)およびBClからなる群から選ばれる少なくとも1種のガスが挙げられる。
このような堆積性ガスを含むエッチングガスを用いてドライエッチングを行うと、堆積性ガスのラジカルが生成する。そして、それらが重合する等、固体種を形成する反応に寄与することにより、フルオロカーボン重合体、クロロカーボン重合体、ホウ素化合物および塩素化合物のうち少なくとも1種の化合物を含む堆積物が生成する。
このような堆積物はエッチング耐性がある。そのため、粒子3Bの表面3b上に堆積物が堆積すると、この堆積物がエッチングマスクとなり、粒子3Bの表面3bにランダムな凹凸形状が形成可能となる。
また、このような堆積物は、基板1Bと粒子3Bの接着力を強める効果がある。そのため、基板1Bと粒子3Bとの間の隙間の部分に堆積物が堆積すると、この堆積物によって粒子3Bが基板1Bに固定される。
エッチングガスは、堆積性ガスの他に、堆積性ガスよりもエッチング能力の高いガスを含んでいてもよい。この場合、粒子3Bおよび基板1Bをエッチングする機能と堆積物を生成する機能とをそれぞれのガスに持たせることができ、エッチング条件の調整が容易となる。堆積性ガスよりもエッチング能力の高いガスとしては、例えばSF、Cl等が挙げられる。
エッチングガスは、希ガス(アルゴンガス、ヘリウムガス等)、酸素ガス等により希釈されてもよい。
ドライエッチングは、基板の水平方向よりも垂直方向のエッチング速度が大きくなる異方性エッチングで行うことが好ましい。使用可能なエッチング装置としては、反応性イオンエッチング装置、イオンビームエッチング装置等の異方性エッチングが可能なものであって、最小で20W程度のバイアス電場を発生できるものであれば、プラズマ発生の方式、電極の構造、チャンバーの構造、高周波電源の周波数等の仕様には特に制限ない。
ドライエッチングにおけるエッチング選択比(基板1Bのエッチング速度/単粒子膜5Bのエッチング速度)は、特に制限されず、エッチングの各条件(単粒子膜5Bを構成する粒子3Bの材質、基板1Bの材質、エッチングガスの種類、バイアス電力、アンテナ電力、ガス流量、圧力、エッチング時間等)により調整できる。
(金属蒸着工程)
金属蒸着工程では、ドライエッチング工程で得られた、単粒子膜5が配置された基板1に対し、金属を蒸着させる。これにより、単粒子膜5を構成する粒子3の粗面化された表面3aおよび基板1の凹部1aの表面にそれぞれ金属蒸着膜(第一の金属蒸着膜7および第二の金属蒸着膜9)が形成され、分析用基板10が得られる。
金属の蒸着方法としては、特に限定されず、公知の蒸着法を利用でき、例えばスパッタリング、真空蒸着等が挙げられる。製膜性の点から、スパッタリングが好ましい。
金属蒸着工程において、金属蒸着膜(第一の金属蒸着膜7および第二の金属蒸着膜9)は、平膜換算で1〜100nmの厚みで形成されることが好ましく、20〜50nmの厚みで形成されることがより好ましい。金属蒸着膜の厚みが前記範囲の下限値以上であれば、蒸着時の金属粒子が連続した膜となりやすく、粒子3の表面3aの凹凸形状に追従した金属蒸着膜が得られることで、局在表面プラズモン共鳴による電場増強効果が得られやすいと考えられる。金属蒸着膜の厚みが前記範囲の上限値を超えると、第一の金属蒸着膜7表面の凹凸が小さくなり、局在表面プラズモン共鳴による電場増強効果が不十分になるおそれがある。
平膜換算での厚みは、平坦な基板の表面に、金属蒸着工程と同じ条件で金属を蒸着させて得られる金属蒸着膜の厚みである。この厚みは、任意の適切な装置によって測定すればよい。好ましくは、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、原子間力顕微鏡(AFM)、あるいは触針式段差計等により測定される。
なお、凹凸のある面に対して金属の蒸着を行うと、高い位置ほど粒子3の表面3aに形成される第一の金属蒸着膜7の厚みは通常、表面3aの上面視で外縁に近い程、薄くなる傾向がある。
また、凹凸形状を有する表面3aに対して金属の蒸着を行うと、まず凹凸形状全体に金属粒子が付着し、島状の金属蒸着膜が形成される。蒸着が進むにつれて見かけ上金属蒸着膜が凸部下側(基板1側)から頂部に広がっていき、隣り合う凸部上の金属蒸着膜同士がクラスターを形成し、金属蒸着膜の厚みが厚くなっていく。表面3aは、上面視で表面3aの外縁に近いほど凹凸形状の密度が低くなっており、凹凸形状に伴う金属蒸着膜同士のクラスター形成速度が遅いため、表面3aの中心から外縁に向かって第一の金属蒸着膜7の厚みが薄くなっていると考えられる。
そのため、凸部の頂部に近いほど金属蒸着膜が厚い傾向がある。
金属蒸着工程の後、長期保管等により基板表面に汚染が発生し本発明の効果が低下する場合には、必要に応じて、同基板に対して紫外線(UV)/オゾン等の表面処理を行い、その機能を回復してもよい。
<作用効果>
分析用基板10にあっては、基板1上に単粒子膜5が設けられており、単粒子膜5を構成する粒子3の表面3aが粗面化されており、この表面3aに第一の金属蒸着膜7が形成されており、第一の金属蒸着膜7の表面が微細な凹凸形状になっている。そのため、第一の金属蒸着膜7の表面で、局在表面プラズモン共鳴による電場増強を発生させることができ、この電場増強を利用した光学的分析を高感度に実施できる。
また、分析用基板10にあっては、単粒子膜5を構成する粒子3同士が接触していないため、単粒子膜5を構成する複数の粒子3各々の上だけでなく、隣り合う粒子3間においても局在表面プラズモン共鳴による電場増強を発生させることができる。
また、分析用基板10にあっては、基板1が凹部1aを有し、凹部1a表面に第二の金属蒸着膜9が形成されている。凹部1aは必須ではないが、凹部1a表面に第二の金属蒸着膜9が形成されていることで、第二の金属蒸着膜9の部分でも、20nm以下のギャップによる、局在表面プラズモン共鳴による電場増強を発生させることができる。
また、金属表面に形成された一次元または二次元の周期的微細構造は、回折格子として機能し、局在表面プラズモン共鳴を誘発する。凹部1a表面に形成された第二の金属蒸着膜8も回折格子として機能し得る。そのため、凹部1aが無い場合に比べて、さらなる高感度化が期待できる。
さらに、基板1と単粒子膜5との間には隙間が存在する。このような隙間が存在することで、測定対象分子を含む液状試料を分析用基板10に供給したときに、該液体試料を基板1と単粒子膜5との間に保持しやすい利点もある。
また、分析用基板10は、前述の単粒子膜配置工程、ドライエッチング工程および金属蒸着工程を有する製造方法により製造でき、生産性に優れる。
すなわち、前記製造方法にあっては、粒子を利用するため、基板1上における第一の金属蒸着膜7の数や大きさ、ピッチのコントロールが容易であり、分析用基板10の大面積化も容易である。また、局在表面プラズモン共鳴による電場増強を発生させ得る凹凸形状を、ドライエッチングで粒子表面を粗面化し、そこに金属を蒸着する簡単な手法で形成できる。特にトライエッチングに堆積性ガスを含むエッチングガスを用いた場合には、ドライエッチングの際に、粒子3と基板1との間の接着力を強化することもできる。また、局在表面プラズモン共鳴による電場増強を発生させ得る構造を形成するために多量の金属を用いる必要がなく、原料コストを抑制できる。
上記効果を奏することから、分析用基板10は、局在表面プラズモン共鳴による電場増強を利用した光学的分析に有用である。
かかる光学的分析法としては、例えば表面増強ラマン分光分析法、赤外分光法、蛍光分析等が挙げられる。これらの中でも、表面増強ラマン分光分析法が好適である。
表面増強ラマン分光分析法とは、SERSを利用したラマン分光分析法である。ラマン分光分析法とは、試料に光を照射したときに、入射光に対して分子の振動エネルギーだけシフトしたラマン散乱を観測し、分子レベルの構造を解析する分析手段である。得られたラマンスペクトルは、赤外分光法で得られる赤外スペクトルと同様に、分子の振動に基づく振動スペクトルであり、縦軸は散乱強度(Intensity)、横軸はラマンシフト(cm−1)である。ラマン分光分析法と赤外分光分析法とでは同じ官能基の振動モードが同じ波数に検出される。表面増強ではない通常のラマン分光分析法は、ラマン散乱光の強度が非常に弱い。分析用基板10にあっては、分析用基板10表面に吸着した分子のラマン散乱強度を著しく増強させることができる。
以上、実施形態を示して本発明を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。上記実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
例えば、図3を用いて説明した製造方法においては、ドライエッチング工程で、単粒子膜5Bおよび基板1Bの両方をドライエッチングして、単粒子膜5Bを構成する粒子3Bの表面3bを粗面化するとともに、基板1Bの表面の、単粒子膜5の粒子3間の隙間に対応する位置に凹部1aを形成する例を示したが、単粒子膜5Bのみをドライエッチングして、凹部1aを形成しないようにしてもよい。
図5に、単粒子膜5Bのみをドライエッチングする場合の製造方法の一例を示す。なお、この例において、前出の実施形態に対応する構成要素には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
この例の分析用基板の製造方法は、
基板1B上に、単粒子膜5Bを配置する工程(単粒子膜配置工程)と、
基板1Bがエッチングされない条件で単粒子膜5Bをドライエッチングして、単粒子膜5Bを構成する粒子3Bの基板1Bと対向する側と反対側の表面3bを粗面化する(単粒子膜5Bを単粒子膜5とする)工程(ドライエッチング工程)と、
粒子3の粗面化された表面3a、および基板1Bの表面の、単粒子膜5の粒子3間の隙間に対応する位置にそれぞれ金属蒸着膜(第一の金属蒸着膜7および第二の金属蒸着膜11)を形成する工程(金属蒸着工程)と、
を有する。
図5中の(a)は、単粒子膜配置工程で得られる、単粒子膜5Bが配置された基板1Bを示し、図3中の(a)と同じである。図5中の(b)は、ドライエッチング工程で得られる、単粒子膜5が配置された基板1Bを示す。図5中の(c)は、金属蒸着工程で得られる分析用基板20を示す。
上記のようにして得られる分析用基板20は、凹部1aがなく、第二の金属蒸着膜9の表面が平坦になっている以外は、分析用基板10と同様である。
前記実施形態では、粒径の変動係数の小さいものを用い、単粒子膜5Bとして、複数の粒子3Bが二次元に最密充填されたものを形成する例を示したが、粒子3Bとして、粒径の変動係数の大きいもの、例えば平均粒径の異なる複数の粒子群を混合したものを用いてもよい。粒径の変動係数の大きい粒子を用いても、複数の粒子3Bが二次元に密集した単粒子膜が得られる。ただしこの場合、複数の粒子3Bの配列は最密充填とはならず、粒子3Bの配列のずれDが大きいものとなる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
図1〜2に示した分析用基板10と同様の構成の分析用基板を以下の手順で製造した。
平均粒径が308nmで、粒径の変動係数が3.44%である球形コロイダルシリカの20質量%水分散体を用意した。なお、平均粒径および粒径の変動係数は、粒子動的光散乱法により求めた粒度分布をガウス曲線にフィッティングさせて得られるピークから求めた。測定器としては、動的光散乱法によって、粒径10nm〜3μm程度の粒子を測定することが出来るMalvern Instruments Ltd社製 Zetasizer Nano-ZSを使用した。
この水分散体を孔径1.2μmφのメンブランフィルターでろ過した。メンブランフィルターを通過した水分散体に、濃度1.0質量%のフェニルトリエトキシシランの加水分解物水溶液を加え、約40℃で3時間反応させて反応液を得た。この際、フェニルトリエトキシシランの質量がコロイダルシリカ粒子の質量の0.02質量倍となるように水分散体と加水分解水溶液とを混合した。
得られた反応液に、この反応液の体積の4倍の体積のメチルエチルケトンを加えて十分に攪拌して、疎水化されたコロイダルシリカを油相抽出し、濃度0.91質量%の疎水化コロイダルシリカ分散液を得た。
こうして得られた疎水化コロイダルシリカ分散液を、単粒子膜の表面圧を計測する表面圧力センサーと、単粒子膜を液面に沿う方向に圧縮する可動バリアとを備えた水槽(LBトラフ装置)中の液面(下層水として水を使用、水温25℃)に滴下速度0.01mL/秒で滴下した。水槽の下層水にはあらかじめ、基板として、表面が平坦な石英基板(30mm×30mm、厚さ:1mm)を略鉛直方向に浸漬しておいた。
その後、超音波(出力300W、周波数950kHz)を下層水中から水面に向けて10分間照射して粒子が二次元的に最密充填するのを促しつつ、分散液の溶剤であるメチルエチルケトンを揮発させ、単粒子膜を形成させた。
ついで、この単粒子膜を可動バリアにより拡散圧が25mNm−1になるまで圧縮し、基板を5mm/分の速度で引き上げ、基板の片面上に移し取った。
ついで、単粒子膜が形成された基板上にバインダーとして1質量%モノメチルトリメトキシシランの加水分解液を浸透させ、その後、加水分解液の余剰分をスピンコーター(3000rpm)で1分間処理して除去した。その後、これを100℃で10分間加熱してバインダーを反応させ、単粒子膜付きの基板を得た。
こうして基板上に配置された単粒子膜について、10μm×10μmの領域を無作為に1カ所選択して、その部分の原子間力顕微鏡イメージを得て、ついで、このイメージをフーリエ変換により波形分離し、FFT像を得た。ついで、FFT像のプロファイルにおける0次ピークから1次ピークまでの距離を求め、さらにその逆数を求めた。この逆数がこの領域における粒子間の平均ピッチBである。
このような処理を合計25カ所の10μm×10μmの領域について同様に行い、各領域における平均ピッチB〜B25を求め、これらの平均値を算出し、式(1)における平均ピッチBとした。なお、この際、隣り合う各領域同士が5mm〜1cm程度離れるように各領域を設定した。
算出された平均ピッチBは、323nmであった。そこで、粒子の平均粒径A=308nmと、平均ピッチB=323nmとを式(1)に代入したところ、この例の単粒子膜における粒子の配列のずれDは4.64%であった。
また、この単粒子膜を構成する粒子表面(粗面化される前の表面)の中心線平均粗さ(Ra’)を原子間力顕微鏡によって求めたところ、0.4nmであった。
ついで、前記単粒子膜付き基板に対して、CF、Clの混合ガスによりドライエッチングを行った。エッチング条件は、アンテナ電力1500W、バイアス電力200W、ガス流量100sccm、エッチング選択比0.6、エッチング時間210秒とした。
ドライエッチング後、単粒子膜を走査型電子顕微鏡像で観察したところ、粒子同士が接触していない状態になっていた。粒子の平均粒径を走査型電子顕微鏡により測定したところ、約280nmであった。また、隣り合う粒子間の最短距離を走査型電子顕微鏡により測定したところ、約43nmであった。また、この単粒子膜を構成する粒子表面(粗面化された表面)の中心線平均粗さ(Ra)を原子間力顕微鏡によって求めたところ、3.0nmであった。したがって、表面粗さ比(Ra/Ra’)は3.0nm/0.4nm=7.5であった。図6に、ドライエッチングを行った後の単粒子膜付き基板の走査型電子顕微鏡像を示す。
ついで、前記単粒子膜付き基板に対して、以下の条件でスパッタリングを行って下記の平膜換算の厚さのAu蒸着膜を成膜し、分析用基板を得た。
スパッタリング条件は、チャンバー内真空度6.0Pa、放電電流値10mA、ターゲットと試料との間隔を30mm程度とし、スパッタリング時間を240secとした。
Au蒸着膜の平膜換算の厚さ:40nm。
図7に、得られた分析用基板の走査型電子顕微鏡像を示す。
粒子上に形成されたAu蒸着膜の表面は、微細な凹凸形状を有していた。この凹凸形状における隣り合う凸部間の距離を走査型電子顕微鏡により測定したところ、20nmであった。また、凹部1aの断面は図2に示すようなV字谷形状であった。
[実施例2]
実施例1と同様にして単粒子膜付き基板を作製し、該単粒子膜付き基板に対して、Cl、O、Arの混合ガスによりドライエッチングを行った。エッチング条件は、アンテナ電力1500W、バイアス電力50W、ガス流量150sccm、エッチング選択比約0(基板がほぼエッチングされていないため測定不可)、エッチング時間300秒とした。
ドライエッチング後、単粒子膜を走査型電子顕微鏡像で観察したところ、粒子同士が接触していない状態になっていた。粒子の平均粒径を走査型電子顕微鏡により測定したところ、約280nmであった。また、隣り合う粒子間の最短距離を走査型電子顕微鏡により測定したところ、約40nmであった。また、この単粒子膜を構成する粒子表面(粗面化された表面)の中心線平均粗さ(Ra)を原子間力顕微鏡によって求めたところ、2.9nmであった。したがって、表面粗さ比(Ra/Ra’)は2.9nm/0.4nm=7.3であった。
ついで、前記単粒子膜付き基板に対して、以下の条件でスパッタリングを行って下記の平膜換算の厚さのAu蒸着膜を成膜し、分析用基板を得た。
スパッタリング条件は、チャンバー内真空度6.0Pa、放電電流値10mA、ターゲットと試料との間隔を30mm程度とし、スパッタリング時間を240secとした。
Au蒸着膜の平膜換算の厚さ:40nm。
図8に、得られた分析用基板の走査型電子顕微鏡像を示す。
粒子上に形成されたAu蒸着膜の表面は、微細な凹凸形状を有していた。この凹凸形状における隣り合う凸部間の距離を走査型電子顕微鏡により測定したところ、20nmであった。また、図5に示すように凹部はなかった。
[比較例1]
実施例1で用いたのと同じ石英基板をそのまま比較例1の分析用基板とした。
[評価]
実施例1、2および比較例1の分析用基板について、各基板上に濃度100μMの4、4’−ビピリジル水溶液を付着させて、サーモフィッシャーサイエンティフィック社Almega XRを用いてそれぞれラマンスペクトルの測定を行った。励起波長780nm、出力2.5μWのレーザーを光源とし、検出ピーク1607cm−1で測定した。各例で検出されたラマン散乱強度を表1に示す。
実施例1、2の分析用基板では、試料濃度100μMにおけるラマン散乱強度が各々8.0×10、6.2×10を示しており、試料濃度1μMという低濃度の試料でもラマン散乱を検出することができた。
基板のみからなる比較例1の分析用基板では、試料濃度1mMでもラマン散乱強度が検出されなかった。
1、1B 基板
3、3B 粒子
5、5B 単粒子膜
7 第一の金属蒸着膜
9、11 第二の金属蒸着膜
10 分析用基板
20 分析用基板

Claims (9)

  1. 基板と、前記基板上に設けられた単粒子膜と、金属蒸着膜とを備え、
    前記単粒子膜を構成する粒子の前記基板と対向する側と反対側の表面が粗面化されており、
    前記金属蒸着膜が少なくとも、前記粒子の前記粗面化された表面に形成されており、前記表面に形成された金属蒸着膜の表面が、前記粒子の前記粗面化された表面に追従する凹凸形状になっている、分析用基板。
  2. 前記単粒子膜を構成する粒子同士が接触していない請求項1に記載の分析用基板。
  3. 前記基板の表面の、前記単粒子膜の粒子間の隙間に対応する位置に凹部が形成されており、
    前記金属蒸着膜がさらに、前記凹部の表面に形成されている請求項1または2に記載の分析用基板。
  4. 基板上に単粒子膜を配置する工程と、
    前記単粒子膜をドライエッチングして、前記単粒子膜を構成する粒子の前記基板と対向する側と反対側の表面を粗面化する工程と、
    前記粒子の前記粗面化された表面に金属蒸着膜を形成する工程と、
    を有する、分析用基板の製造方法。
  5. 基板上に単粒子膜を配置する工程と、
    前記単粒子膜および前記基板をドライエッチングして、前記単粒子膜を構成する粒子の前記基板と対向する側と反対側の表面を粗面化するとともに、前記基板の表面の、前記単粒子膜の粒子間の隙間に対応する位置に凹部を形成する工程と、
    前記粒子の前記粗面化された表面および前記凹部の表面に、金属蒸着膜を形成する工程と、
    を有する、分析用基板の製造方法。
  6. 前記ドライエッチングに用いられるエッチングガスが堆積性ガスを含む請求項4または5に記載の分析用基板の製造方法。
  7. 前記基板上に前記単粒子膜を配置する工程がラングミュア−ブロジェット法により行われる請求項4〜6のいずれか一項に記載の分析用基板の製造方法。
  8. 前記粒子が、無機酸化物、無機窒化物、無機硼化物、無機硫化物および無機セレン化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機材料で構成された無機粒子である請求項4〜7のいずれか一項に記載の分析用基板の製造方法。
  9. 前記金属蒸着膜が、平膜換算で1〜100nmの厚みで形成される請求項4〜8のいずれか一項に記載の分析用基板の製造方法。
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