以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る行動管理システム1のシステム構成図である。行動管理システム1は、情報処理装置10、検出装置20−1、20−2、・・・20−n(以下「検出装置20」と総称する)を有する。
情報処理装置10は、検出装置20が設けられた席における人(観客、ユーザ)の行動を管理し、各席(シート)における人の行動を含むデータを表示する。
情報処理装置10は、各席におけるジャンプ、足をばたばたさせるような過度な動き等である危険行動の有無を判定し、危険行動が行われた場合に、その旨を表示する。
なお、情報処理装置10は、例えばインターネット、LAN、携帯電話網等の通信網を介して接続されたタブレット端末、スマートフォン、ウェアラブル端末等の情報端末に、各席における人の行動を通知し、表示させてもよい。
検出装置20は、例えば各席における足元に設けられ、各席における人の動作を検出する。
<ハードウェア構成>
図2は、本実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。
情報処理装置10は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置101、HDD(Hard disk drive)102、メモリ装置103、CPU(Central Processing Unit;演算処理装置)104、通信インターフェース(I/F)105、操作I/F106で構成される。
HDD102は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイル、データ等を格納する。メモリ装置103は、コンピュータの起動時にHDD102からプログラムを読み出して格納する。そして、CPU104はメモリ装置103に格納されたプログラムに従って、後述するような各種処理を実現する。
通信I/F105は、USBポート、無線LAN(Local Area Network)カード、LANカードなどで構成されており、ネットワークに接続するために用いられる。
操作I/F106は、タッチパネル、キーボード、ポインティングデバイス、リモコン等の入力装置、及びLCD(Liquid Crystal Display)パネルや、有機ELディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ等の表示装置により実現され、情報処理装置10を操作するための操作画面が表示される。
後述する実施形態の着座状態管理方法がプログラムによって実現される場合、プログラムは例えば記録媒体110の配布やネットワークからのダウンロードなどによって提供される。記録媒体110は、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。
また、実施形態のプログラムを記録した記録媒体110がドライブ装置101にセットされると、記録媒体110からドライブ装置101を介してHDD102にインストールされる。プログラムをネットワークからダウンロードした場合は、通信I/F105を介してHDD102にインストールされる。
図3は、第1の実施形態に係る検出装置20のハードウェア構成の一例を示す図である。検出装置20は、発電装置201、整流部202、A/D変換部203、送信部204を有する。
発電装置201は、例えば、座席の前の地面に設置され、観客がその場で立ちあがった状態における、足の動きによる荷重のかかりかたを検知する。
発電装置201は、圧電体に加えられた力を電圧に変換する、圧電効果を利用した受動素子(圧電素子)であり、例えば、セラミックスや発電ゴム等である。なお、発電ゴムは、圧力を電気信号に変換する弾性体の発電素子であるトランスデューサが用いられることにより、ゴムの変形の度合いによって電位が変わり、また力が加わる方向によりプラスマイナスの極性が変わるという特性を持っている。
また、発電装置201として、材料内の分極を偏在固定した圧電材料、材料の帯電列差を用いた剥離帯電を利用した摩擦発電素子等を用いてもよい。
発電装置201は、発電装置201の上に人体が乗っている場合、人体をアンテナとして受信した電磁ノイズ(電波ノイズ)による電気信号を検出してもよい。より詳細には、人体は導体であるため周囲の電子機器から放射される電磁波をアンテナとして受信する性質を持っており、発電装置201は人体が受信し放出する電磁波を検出し電気信号として出力する。なお、この場合の発電装置201のより詳細な実施例については後述する。
整流部202、及びA/D変換部203は、発電装置201が出力した電気信号の波形を量子化し、波形の値を示すデジタルデータに変換する。
送信部204は、A/D変換部203により変換された波形の値を示すデジタルデータを、LAN、無線LAN、またはUSBケーブル等を介して、情報処理装置10に送信する。
<機能構成>
次に、図4を参照し、情報処理装置10の機能構成について説明する。図4は、実施形態に係る情報処理装置10の機能構成図である。情報処理装置10は、通信部11、判定部12、表示制御部13を備える。これら各部は、情報処理装置10にインストールされた1以上のプログラムが、情報処理装置10のCPU104に実行させる処理により実現される。
通信部11は、検出装置20から、発電装置201より出力された電圧の波形データを受信する。
判定部12は、検出装置20から取得した波形データに基づいて、検出装置20が設けられた席における人の行動を判定する。
表示制御部13は、判定部12により判定された人(観客)の行動を、情報処理装置10の画面、または他の情報端末に表示させる。なお、判定部12により判定された人(観客)の行動は、情報処理装置10、または他の情報端末において音や振動等により報知してもよい。
<波形データについて>
次に、図5乃至図8を参照し、人(観客)の行動(状態)と、その際に検出装置20の発電装置201から出力される電圧の波形について説明する。
図5は、人の行動(状態)の一例を説明する図である。図5(A)、図5(B)、図5(C)、図5(D)は、それぞれ、着席、起立、ジャンプ(跳躍)、ジャンプからの着地を示す図である。
図6は、発電装置から出力される電圧について説明する図である。図6に示すように、発電装置201の発電ゴム等は、変形の度合いによって電位が変わる。また、押し込まれる方向に力がかかると負(マイナス)の電圧を発生し、離れる方向に力がかかると正(プラス)の電圧を発生するという特性をもつ。
図7は、人の行動に応じて出力される電圧の波形の一例を説明する図である。
図5(A)の着席している状態の場合、足元にそれほど大きな力の変化は与えられない。そのため、発電ゴム等の変形は少なくなり、601のような電圧の波形が発電装置201から出力される。
図5(A)から図5(B)のように、着席している状態から起立した場合、足元に鉛直下向きの力がかかる。そのため、下方向へ発電ゴム等が変形し、602のような電圧の波形が発電装置201から出力される。
図5(B)の起立した状態が続くと、603のように小刻みに正と負が変動し、振幅が602のものと比較して小さい電圧の波形が発電装置201から出力される。なお、検出装置20の送信部204は、603のような波形のデータは、情報処理装置10に送信しないようにしてもよい。
図5(B)から図5(C)のように、ジャンプした場合、戻る方向(上方向)に発電ゴム等が変形し、604のような大きな正極性の電圧の波形が発電装置201から出力される。そして、図5(C)のようにジャンプした後、人が滞空している間、足元に力の変化は与えられないため、発電ゴム等の変形はなくなり、605のような0V付近の電圧の波形が発電装置201から出力される。なお、発電ゴム等の材質によっては、変形が戻るまでに比較的時間がかかる場合は、605の波形が出力される時間が発生しない場合もある。
図5(C)から図5(D)のように、ジャンプした後で着地した場合、負の値の絶対値が602よりも大きい、606のような電圧の波形が発電装置201から出力される。
図8は、電圧の波形が変化する時間について説明する図である。
図8(A)は、図6の604乃至606の波形を含む部分と同様であり、ジャンプした場合の波形の例である。この場合、大きな正の電圧を出力してからの所定時間Aの間に、少しの時間(例えば0.5秒〜2秒)の経過後、負の大きな電圧を出力する場合の例である。
図8(B)は、所定時間C内において、人がその場で高速に足踏み等により足を動かしている場合の波形の例である。この場合、発電装置201から出力される電力の波形は、所定の閾値を超える電圧を出力しつつ、極性が正と負が切り替わる周期が時間Bのように短い。
<判定処理>
情報処理装置10の判定部12は、図7の604や606のように、急激な電圧の変化量があり、かつ所定の閾値(正閾値2、負閾値2)を超える電圧が検出装置20の発電装置201にて出力された場合は、ジャンプのような危険行為を行っていると判定する。
また、判定部12は、電圧波形の極性が変化する時間(図8の時間B)が所定時間t以下の場合、足踏み等の危険行為を行っていると判定する。
また、判定部12は、所定時間C(図8参照)の間に、振幅が正閾値1または負閾値1を超えた極性の切り替わり回数が所定回数以上だった場合に、足踏み等の危険行為を行っていると判定する。
次に、図9を参照し、判定部12による、判定処理について説明する。図9は、判定処理の一例を示すフローチャートである。
まず、判定部12は、検出装置20から電圧の波形データを受信すると、受信した電圧の波形データが、正閾値2を超えたか否か判定する(ステップS101)。
受信した電圧の波形データが、正閾値2を超えた場合(ステップS101でYES)、判定部12は、第1の所定時間以内に負閾値2を超えた(負の値で、絶対値の大きさが負閾値2より大きい)か否かを判定する(ステップS102)。
第1の所定時間以内に負閾値2を超えた場合(ステップS102でYES)、判定部12は、監視対象である人の行動を「危険行為」と判定し(ステップS103)、後述するステップS110の処理に進む。
第1の所定時間以内に負閾値2を超えない場合(ステップS102でNO)、判定部12は、監視対象である人の行動を「空席(人がいない)」と判定し(ステップS104)、後述するステップS108の処理に進む。
受信した電圧の波形データが、正閾値2を超えない場合(ステップS101でNO)、判定部12は、電圧の正極性が負極性に変化する時間tが第2の所定時間以下であるか否か判定する(ステップS105)。
電圧の正極性が負極性に変化する時間tが第2の所定時間以下である場合(ステップS105でYES)、ステップS103の処理に進む。
電圧の正極性が負極性に変化する時間tが第2の所定時間以下でない場合(ステップS105でNO)、判定部12は、第3の所定時間以内に、正極性と負極性の切り替わり回数が一定以上検出されたか否かを判定する(ステップS106)。
第3の所定時間以内に、正極性と負極性の切り替わり回数が一定以上検出された場合(ステップS106でYES)、ステップS103の処理に進む。
第3の所定時間以内に、正極性と負極性の切り替わり回数が一定以上検出されない場合(ステップS106でNO)、判定部12は、受信した電圧の波形データが、負閾値1を超える(負の電圧で絶対値が負閾値1より大きい)か否かを判定する(ステップS107)。
受信した電圧の波形データが、負閾値1を超える場合(ステップS107でYES)、後述するステップS109の処理に進む。
受信した電圧の波形データが、負閾値1を超えない場合(ステップS107でNO)、判定部12は、受信した電圧の波形データが、正閾値1を超えるか否かを判定する(ステップS108)。
受信した電圧の波形データが、正閾値1を超えない場合(ステップS108でNO)、ステップS104の処理に進む。
受信した電圧の波形データが、正閾値1を超える場合(ステップS108でYES)、監視対象である人の行動を「立っている」と判定する(ステップS109)。
続いて、判定部12は、監視対象である人の行動が、現在表示されているものから変更されているか判定する(ステップS110)。
監視対象である人の行動が、現在表示されているものから変更されていない場合(ステップS110でNO)、処理を終了する。
監視対象である人の行動が、現在表示されているものから変更されている場合(ステップS110でYES)、監視対象である人の行動の表示を更新し(ステップS111)、処理を終了する。
図10は、監視対象である人の行動の表示例を示す図である。図10(A)、図10(B)、図10(C)は、それぞれ、監視対象である人の行動が「危険行為」、「空席(人がいない)」、「立っている」と判定された場合の表示画面の例である。例えば、人の行動を絵で示したり、色の変化や文字の大きさ等を強調させたりする。また電圧の波形データを表示してもよい。あるいは、音や光等で出力してもよい。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、監視対象者の波形に応じて、行動を判定する例について説明した。
第2の実施形態では、第1の実施形態に加え、監視対象者の波形に基づいて算出したスコアにも応じて、行動を判定する例について説明する。
なお、第2の実施形態は一部を除いて第1の実施形態と同様であるため、適宜説明を省略する。
図11は、第2の実施形態に係る検出装置20の配置例を示す図である。第2の実施形態に係る検出装置20は、複数の発電装置201a、201bを有する。そして、発電装置201aは各席の足元に設置され、発電装置201bは各席の着座する部分に設置される。そのため、発電装置201a、201bをそれぞれ、「危険行動検知部」、「着座検知部」とも称する。なお、発電装置201aは、椅子や椅子におかれるクッションに内蔵してもよい。
<ハードウェア構成>
図12は、第2の実施形態に係る検出装置20のハードウェア構成の一例を示す図である。第2の実施形態に係る検出装置20は、複数の発電装置201a、201bに応じた複数の整流部202a、202b、及び複数のA/D変換部203a、203bと、送信部204、制御部205を有する。
なお、発電装置201aは、各席の足元に設置され、発電装置201bは、各席の着座する部分(おしりが乗る部分)に設置される。
制御部205は、発電装置201b(「第2の圧電素子」の一例)から、人体をアンテナとして受信した電磁ノイズを検出した後、発電装置201bから、所定の閾値以上の電圧を検出した場合に、発電装置201a(「第1の圧電素子」の一例)から出力される電圧の波形(パターン)を情報処理装置10に送信する。
制御部205は、さらに、発電装置201aから、所定の閾値以上の電圧を検出した場合に、発電装置201aから出力される電圧の波形を情報処理装置10に送信する。
それにより、情報処理装置10に送信されるデータ量を削減できるとともに、情報処理装置10における処理量を低減できる。
<波形データについて>
次に、図13を参照し、着座する部分に設置された発電装置201bにより出力される電圧の波形データについて説明する。なお、発電装置201a及び発電装置201bは、第1の実施形態の発電装置201とそれぞれ同様の装置でもよい。
図13(A)は、人が着席した際の、発電装置201bが出力する波形の一例を示す図である。
図13(A)の501及び505の期間は、シートに人が着席していない期間である。501及び505の期間において、発電装置201は、ほぼ信号を出力しない。
図13(A)の502の期間は、シートに人が座った際の期間である。502の期間において、発電装置201は、比較的大きいマイナスの電圧を出力する。
図13(A)の503の期間は、シートに人が座っている間の期間である。503の期間において、発電装置201は、発電装置201の上に乗っている人体をアンテナとして受信した電磁波によるノイズを含む電圧を出力する。503の期間において、発電装置201は、例えば、5V、−5Vの電圧に対する値をそれぞれ1024、−1024とした場合に、30から−30のレンジを超え、細かく振動する電気信号を出力する。
図13(A)の504の期間は、シートから人が立った際の期間である。504の期間において、発電装置201は、比較的大きいプラスの電圧を出力する。
図13(B)は、物を座席に置いた際の、発電装置201bが出力する波形の一例を示す図である。図13(B)では、図13(A)の波形と比較して、503の期間における波形が大きく異なる。これは、人と発電ゴムが密着している際は、人間の体が受ける電磁ノイズ(電波ノイズ)を拾うため、電圧にノイズが乗った波形が出力されるが、物の場合はノイズの影響を受けないことによりほぼ一定の電圧を保つためである。
<処理>
以下では第2の実施形態に係る行動管理システム1の処理について、第1の実施形態との差異を説明する。
<検出装置の処理>
危険行動は、人が立ち上がっている際に発生することがほとんどである。そのため、例えば人が座っている(着座状態が「着席」である)場合には、検出装置20は、波形データを情報処理装置10に送信しないようにしてもよい。
この場合、第2の実施形態に係る検出装置20は、着座状態を管理し、例えば着座状態が変化した際と、人が立っている場合にのみ、波形データを情報処理装置10に送信するようにしてもよい。これにより、情報処理装置10に送信されるデータ量を削減できる。
また、第2の実施形態に係る検出装置20の送信部204は、足元に設置されている発電装置201aからの電圧の変動や絶対値が所定範囲内である場合、着座状態が「立っている」と判定されても、波形データを情報処理装置10に送信しないようにしてもよい。これにより、人が立っていても、危険行動を起こしている様子がない場合に、情報処理装置10に送信されるデータ量を削減できる。
次に、図14を参照し、第2の実施形態に係る検出装置20の処理について説明する。図14は、第2の実施形態に係る検出装置20の処理の一例を示すフローチャートである。
第2の実施形態に係る検出装置20の制御部205は、例えば情報処理装置10からの検知開始命令を受けた場合に、処理を開始してもよい。そして、処理を開始する際、記憶していたデータを初期化してもよい。例えば、着座状態を「空席」へリセットしておく。
まず、制御部205は、「着座検知部」である発電装置201bから、極性に関わらず所定の閾値以上の大きさの電圧が出力されたことを検知する(ステップS201)。
続いて、制御部205は、現在の着座状態を判定する(ステップS202)。
現在の着座状態が「空席」であれば(ステップS202で「空席」)、制御部205は、所定時間経過後に発電装置201bから出力された電圧の波形が、図13(A)の503の期間のような電磁ノイズによるものであるか否か判定する(ステップS203)。この場合、例えば、5V、−5Vの電圧に対する値をそれぞれ1024、−1024とした場合に、30から−30のレンジを超え、所定時間(例えば5秒)において、極性が反転するまでの時間が所定値以内である振幅の変動が所定回数以上である場合に、電磁ノイズによるものと判定してもよい。
電磁ノイズによるものでない場合(ステップS203でNO)、後述するステップS206の処理に進む。
電磁ノイズによるものである場合(ステップS203でYES)、制御部205は、着座状態を「着席」に変更する(ステップS204)。
続いて、制御部205は、送信部204から情報処理装置10に、着座状態「着席」と、座席の識別情報(位置情報)を送信させ(ステップS205)、処理を終了する。
現在の着座状態が「着席」であれば(ステップS202で「着席」)、制御部205は、着座状態を「立っている」に変更する(ステップS206)。
続いて、制御部205は、送信部204から情報処理装置10に、着座状態「立っている」と、座席の識別情報(位置情報)を送信させる(ステップS207)。
続いて、制御部205は、所定時間経過後の「危険行動検知部」である発電装置201aからの電圧の変動や絶対値が所定範囲内であるか否か判定する(ステップS208)。
発電装置201aからの電圧の変動や絶対値が所定範囲内である場合(ステップS208でYES)、処理を終了する。
発電装置201aからの電圧の変動や絶対値が所定範囲内でない場合(ステップS208でNO)、制御部205は、送信部204から情報処理装置10に、「危険行動検知部」の波形データを送信させる(ステップS209)。
図15は、第2の実施形態に係る検出装置20による着座状態の遷移を説明する図である。
着座状態が「空席」の場合に、「着座検知部」である発電装置201bに下向きの大きな力の変化が加えられた後、発電装置201bからの電圧の波形が、図13(A)の503の期間のような電磁ノイズによる波形であれば、着座状態が「着席」となる(図15の遷移611)。
着座状態が「空席」の場合に、「着座検知部」である発電装置201bに上向きの大きな力の変化が加えられた後、発電装置201bからの電圧の波形が、図13(A)の503の期間のような電磁ノイズによる波形でなければ、着座状態が「立っている」となる(図15の遷移612)。これは、荷物等が椅子の上に乗った状態であり、その座席の人はいるが、着席していないと推定できるためである。
着座状態が「着席」の場合に、「着座検知部」である発電装置201bに大きな力の変化が加えられた場合、着座状態が「立っている」となる(図15の遷移613)。これは、人が立ち上がったと推定できるためである。
着座状態が「立っている」の場合に、「着座検知部」である発電装置201bに下向きの大きな力の変化が加えられた後、発電装置201bからの電圧の波形が、図13(A)の503の期間のような電磁ノイズによる波形であれば、着座状態が「着席」となる(図15の遷移614)。
着座状態が「立っている」の場合に、所定期間継続して、「危険行動検知部」である発電装置201aに力の変化がない場合、着座状態が「空席」となる(図15の遷移615)。
<情報処理装置の処理>
情報処理装置10は、例えば起動時に、各種パラメータのリセット、会場図の入力、表示部のリセット、解析データ送信先の設定等の初期化処理を行う。また、検出装置20への処理開始要求を自動で送信してもよい。
次に、図16を参照し、第2の実施形態に係る情報処理装置10の判定部12による、判定処理について説明する。
第2の実施形態に係る判定部12は、図9の第1の実施形態の判定処理を行った後、図15の判定処理も行う。図16は、第2の実施形態に係る判定処理の一例を示すフローチャートである。
判定部12は、監視対象者の行動の危険度を示すスコアを算出する(ステップS301)。
図17は、監視対象者のスコアの算出方法を説明する図である。判定部12は、例えば図17に示す式により、「危険行動検知部」から出力された電圧の波形データに基づいてスコアを算出する。ここで、固定値の「1」及び「8」は、一例であり、スコアの範囲に応じて任意に設定してよい。
図17において係数αに乗算される部分621は、電圧の絶対値の平均値を求める式であり、この部分の値は常に1以下となる。
図17において係数βに乗算される部分622は、電圧の極性の切り替わり回数が、制限値tに対してどれぐらいかを求める式であり、値は1以下となる。
αとβは検出したい危険行動に応じて調整可能なパラメータであり、電圧の変化が大きいジャンプを行う観客をより抽出したい場合はαを大きくし、正極性と負極性の切り替わりが激しいその場でバタバタ動いている観客をより抽出したい場合は、βを大きくする。
続いて、判定部12は、監視対象者のスコアが第1の閾値(例えば8)以上であるか否か判定する(ステップS302)。
算出したスコアが第1の閾値以上である場合(ステップS302でYES)、監視対象者の行動を「危険行為」と判定し(ステップS303)、後述するステップS314の処理に進む。なお、この場合、情報処理装置10は、所定の端末に、監視対象者が危険行為をしている旨を通報してもよい。
算出したスコアが第1の閾値以上でない場合(ステップS302でNO)、判定部12は、監視対象者の周囲のスコアを算出する(ステップS304)。
≪周囲のスコアの算出≫
図18は、周囲のスコアの算出方法を説明する図である。監視対象者631の周囲の各席632〜639の人に対する各スコアに、一定の重み(重みの和は1)を乗算したものを合計した値を周囲のスコアとする。図18の例では、周囲のスコアは4.12と算出される。
続いて、判定部12は、監視対象者のスコアが、第1の閾値よりも小さい第2の閾値(例えば6.5)以上であるか否か判定する(ステップS305)。
監視対象者のスコアが第2の閾値以上である場合(ステップS305でYES)、判定部12は、監視対象者のスコアと周囲のスコアとの差が第1の差閾値(例えば2)以上であるか判定する(ステップS306)。
監視対象者のスコアと周囲のスコアとの差が第1の差閾値以上である場合(ステップS306でYES)、判定部12は、周囲に比べて異常な行動をしているため、ステップS303の処理に進む。
監視対象者のスコアと周囲のスコアとの差が第1の差閾値以上でない場合(ステップS306でNO)、判定部12は、監視対象者の行動を「要注意」と判定し(ステップS307)、後述するステップS314の処理に進む。
監視対象者のスコアが第2の閾値以上でない場合(ステップS305でNO)、判定部12は、監視対象者のスコアと周囲のスコアとの差が第2の差閾値(例えば2.5)以上であるか判定する(ステップS308)。
監視対象者のスコアと周囲のスコアとの差が第2の差閾値以上である場合(ステップS308でYES)、ステップS307の処理に進む。
監視対象者のスコアと周囲のスコアとの差が第2の差閾値以上でない場合(ステップS308でNO)、判定部12は、監視対象者のスコアが第2の閾値よりも小さい第3の閾値(例えば5)以上であるか否か判定する(ステップS309)。
監視対象者のスコアが第3の閾値以上である場合(ステップS309でYES)、判定部12は、監視対象者の行動を「様子見」と判定し(ステップS310)、後述するステップS314の処理に進む。
監視対象者のスコアが第3の閾値以上でない場合(ステップS309でNO)、判定部12は、監視対象者のスコアが第3の閾値よりも小さい第4の閾値(例えば3)以上であるか否か判定する(ステップS311)。
監視対象者のスコアが第4の閾値以上である場合(ステップS311でYES)、判定部12は、監視対象者の行動を「正常」と判定し(ステップS312)後述するステップS314の処理に進む。
監視対象者のスコアが第4の閾値以上でない場合(ステップS311でNO)、判定部12は、監視対象者の行動を「静か」と判定する(ステップS313)。
続いて、判定部12は、監視対象である人の行動が、現在表示されているものから変更されているか判定する(ステップS314)。
監視対象である人の行動が、現在表示されているものから変更されていない場合(ステップS314でNO)、処理を終了する。
監視対象である人の行動が、現在表示されているものから変更されている場合(ステップS314でYES)、監視対象である人の行動の表示を更新し(ステップS315)、処理を終了する。
次に、図19を参照し、図9及び図16の第2の実施形態に係る判定処理を行った場合の監視対象者の行動とスコアの対応の一例について説明する。図19は、監視対象者の行動の判定結果とスコアの対応の一例について説明する図である。
図19に示すように、スコアに応じて、「空席」、「着席」、「立っている(静か)」、「立っている(正常)、「立っている(様子見)」、「要注意」、「危険行為」、「危険行為(その場で過度な動き)」、「危険行為(ジャンプ)」が判定される。
なお、「空席」、「着席」、「危険行為(その場で過度な動き)」、「危険行為(ジャンプ)」のスコアについては、図17の式ではなく、予め決定されているものとする。
例えば、図9の処理において、ステップS104、ステップS102でYESの場合、ステップS106でYESの場合に、それぞれ、「空席」、「危険行為(その場で過度な動き)」、「危険行為(ジャンプ)」と判定し、それぞれのスコアを「0」、「1」、「9」、「10」と決定する。
「着席」は、図14の処理により、検出装置20から通知された際に、スコアを「1」と決定する。なお、「着席」については、検出装置20が、情報処理装置10に「着座検知部」の波形データを送信し、情報処理装置10の判定部12にて、図14と同様の処理により「着席」を判定してもよい。
図19の備考に示すように、周囲のスコアを考慮して、監視対象者の行動の判定結果は修正される。例えば、図16で説明したように、監視対象のスコアが、周囲のスコアに比べて第2の差閾値以上の場合は、強制的にスコアを「7」として、「要注意」表示が行われるようにする。また、監視対象者のスコアが、周囲のスコアに比べて第1の差閾値であり、かつ、監視対象のスコアが第2の閾値の場合に、強制的にスコアを「8」として、「危険行為」表示が行われるようにする。
図20は、監視対象者の行動の表示例を示す図である。表示内容としては、各座席に対する観客の状態、例えば危険行為を現在行っている、今はやっていないが過去に危険行為を実施した、着席中、危険行為ではないが要注意、空席、普通に立って観覧等を、色の表示を変化させたり、文字情報で強調させたり、特に注意して欲しい箇所のみを拡大表示して表示する。
図21は、監視対象者の行動を遠隔の端末に表示する例を示す図である。判定部12は、判定した監視対象者の行動のうち、特に重要な情報(要注意な観客等)を選択し、会場内の監視スタッフが持つウェアラブル端末等に表示させる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、第2の実施形態の周囲のスコアの算出において、監視対象者の席とその周囲の各席の相対的な位置関係、監視対象者の席の会場内における位置、周囲の各席の人のスコアのばらつき等を用いて、監視対象者の行動を判定する例について説明する。
なお、第3の実施形態は一部を除いて第1の実施形態または第2の実施形態と同様であるため、適宜説明を省略する。
<機能構成>
図22を参照し、第3の実施形態に係る情報処理装置10の機能構成について説明する。
第3の実施形態に係る情報処理装置10は、図22にように、重み付け設定部14をさらに備える。
重み付け設定部14は、監視対象者の席とその周囲の各席の相対的な位置関係、監視対象者の席の会場内における位置、周囲の各席の人のスコアのばらつき等を用いて、周囲の各席に対する重み付けを設定する。
≪周囲のスコアの算出≫
監視対象者が、友人や家族等の複数人で観覧している等により、監視対象者、及び監視対象者と同じ列の隣の席の人が同じような観覧行動をした場合、第2の実施形態の図18のように均一の重み付けを用いると、危険行為を判定できない場合がある。
そこで、重み付け設定部14は、監視対象者と同じ列の席の人に対する重み付けを比較的低く設定する。図23は、監視対象者と同じ列の席の人に対する重み付けを低く設定する例について説明する図である。重み付け設定部14は、図23のように、ステージの観覧方向を上とした場合、監視対象者と同じ列の席の人に対する重み付け735、739を比較的低く設定する。
また、会場の座席位置によってステージの見え方(角度・目の前の他の観客等の障害物)、観客の視線方向が異なるため、周囲の観客に与える行動の影響度が座席位置によって大きく変わってくる。例えば、舞台の最前列の観客が必要以上に動くことと、端の最後列の観客が同じ行動をとった場合の周囲観客への影響度は大きく変わってくる。また、イベント会場やイベントの内容によっては、座席位置に応じて盛り上がり度に差がある。
そこで、重み付け設定部14は、監視対象者の席の会場における位置に応じて、重み付けを設定する。例えば、重み付け設定部14は、影響度が大きい座席に関しては重み付けを高く(厳しく)したり、影響度が大きい席の場合は重み付けを低くしたりする。
図24は、監視対象者の席の会場における位置に応じて、重み付けを設定する例について説明する図である。
図24の例では、1列目11番の席651では席番に応じた倍率が0.8、列に応じた倍率が0.9のため、この2つの倍率を乗算した値である0.72が重み付けとして算出される。同様に7列目18番の席652では1.1、1列目3番653の席では0.92と重み付けが算出される。
これにより、席651のような最前列で中央の座席が周囲に与える影響は大きいため、比較的厳しく危険行為と判定されるのに対し、席652のような後ろの端の座席が周囲に与える影響は小さいため、比較的緩やかに判定される。
第3の実施形態に係る判定部12は、周囲の複数の席の各人に対するスコアのうち、例えば「危険行為」や「空席」と判定されたものを、周囲のスコアを算出する要素から除外する。
図25は、周囲のスコアを算出する要素から除外する処理について説明する図である。
図25(A)の661のような「危険行為」を行っている人のスコアや、図25(B)の662のような「空席」のスコアを除去する。この場合、判定部12は、残りの各席のスコアに基づいて周囲のスコアを算出してもよい。または、除去した席の近くの席のスコアを、除去した席のスコアの代わりに用いてもよい。
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、メインステージとは別にサブステージがあるような会場で、イベントの進行状況に応じて観客がこれまで見ていたステージと違う方向を見るような場合に、周囲のスコアを算出するための重み付けを動的に変更する例について説明する。
なお、第4の実施形態は一部を除いて第1の実施形態乃至第3の実施形態と同様であるため、適宜説明を省略する。
第4の実施形態に係る重み付け設定部14は、どの時間でどの方向に観客が注目することになるのかの情報を取得し、当該情報に基づいて、各席に対する重み付けの値を動的に変更する。
図26は、観客が注目する方向の変化に応じた重み付けの値の変化を説明する図である。
図26(B)の例では、重み付け設定部14は、図26(A)の例と比較して、観覧方向の変更に伴い、右側席の観客の重みに対して左側の観客の重みを大きくする。これは、観覧方向が右側になることで、左側の観客が対象者より後ろの座席になってしまうため、対象者の行動の影響が右側の観客よりも大きくなるからである。
図27は、会場の中心にサブステージがあり、観覧方向がサブステージに向かった場合の、重み付けの値の変化を説明する図である。
図27の例では、サブステージは横方向の中心に配置しているため、重み付け設定部14は、席番に対する倍率は図24のものから変更しない。なお、サブステージが横方向の中心ではなく、例えば右側によっていた場合は、会場の右側の席ほど倍率が小さく、左側の席ほど倍率を大きくする。
図27の例では、重み付け設定部14は、サブステージに近い席ほど列の倍率を小さくする。
そして、上述した第3の実施形態と同様に、席番に対する倍率、及び列に対する倍率を乗算した値を用いて周囲のスコアを算出することにより、観覧方向の変更に応じて、座席の位置による周囲のスコアを算出する際の重み付けを変更できる。
なお、重み付け設定部14は、以下のような処理を行うようにしてもよい。まず、重み付け設定部14は、事前にイベント開催者等が作成したイベント時の舞台使用の流れを取得する。そして、取得した情報を解析し、カメラやライト等のセンサ情報から注目箇所を抽出し、解析結果と抽出結果と時間の情報からイベントのリアルタイムの流れの状況を把握する。そして、注目箇所が変わった場合の重みを注目箇所にあうように設定する。
<発電装置について>
発電装置201は、例えば以下のような構成としてもよい。
以下、図28乃至図34を参照し、発電装置201の実施形態の一例について説明する。
発電装置201の発電素子は、例えば、第1の電極と、中間層と、第2の電極とをこの順で積層してなる発電素子であって、前記中間層が、シリコーンゴムを含有するシリコーンゴム組成物からなり、前記中間層が、前記第1の電極面及び前記第2の電極面に対して垂直方向に赤外吸収スペクトルのピーク強度比(1095±5cm−1/1025±5cm−1)が異なる。
図28は、発電素子の一例を示す概略断面図である。
(発電素子)
発電素子は、第1の電極と、中間層と、第2の電極とをこの順で積層してなり、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
<第1の電極及び第2の電極>
前記第1の電極及び前記第2の電極の材質、形状、大きさ、及び構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記第1の電極及び前記第2の電極において、その材質、形状、大きさ、及び構造は、同じであってもよいし、異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
前記第1の電極、及び前記第2の電極の材質としては、例えば、金属、炭素系導電材料、導電性ゴム組成物などが挙げられる。
前記金属としては、例えば、金、銀、銅、鉄、アルミニウム、ステンレス、タンタル、ニッケル、リン青銅などが挙げられる。
前記炭素系導電材料としては、例えば、黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブなどが挙げられる。
前記導電性ゴム組成物としては、例えば、導電性フィラーと、ゴムとを含有する組成物などが挙げられる。
前記導電性フィラーとしては、例えば、炭素材料(例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、炭素繊維、カーボンファイバー(CF)、カーボンナノファイバー(CNF)、カーボンナノチューブ(CNT)等)、金属フィラー(例えば、金、銀、白金、銅、鉄、アルミニウム、ニッケル等)、導電性高分子材料(例えば、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、及びポリパラフェニレンビニレンのいずれかの誘導体、又は、これら誘導体にアニオン若しくはカチオンに代表されるドーパントを添加したもの等)、イオン性液体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゴムとしては、例えば、シリコーンゴム、変性シリコーンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ポリサルファイドゴム、ウレタンゴム、イソブチルゴム、フロロシリコーンゴム、エチレンゴム、天然ゴム(ラテックス)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記第1の電極の形態、及び前記第2の電極の形態としては、例えば、シート、フィルム、薄膜、織布、不織布、メッシュ、スポンジなどが挙げられる。なお、繊維状の前記炭素材料が重なって形成された不織布であってもよい。
前記第1の電極の形状、及び前記第2の電極の形状としては、特に制限はなく、発電素子の形状に応じて適宜選択することができる。
前記第1の電極の大きさ、及び前記第2の電極の大きさとしては、特に制限はなく、発電素子の大きさに応じて適宜選択することができる。
前記第1の電極の平均厚み、及び前記第2の電極の平均厚みは、発電素子の構造に応じて適宜選択することができるが、導電性及び可撓性の点から、0.01μm〜1mmが好ましく、0.1μm〜500μmがより好ましい。前記平均厚みが、0.01μm以上であると、機械的強度が適正であり、導電性が向上する。また、前記平均厚みが、1mm以下であると、発電素子が変形可能であり、発電性能が良好である。
<中間層>
前記中間層は、シリコーンゴムを含有するシリコーンゴム組成物からなり、前記第1の電極面及び前記第2の電極面に対して垂直方向(中間層の深さ方向)に赤外吸収スペクトルのピーク強度比(1095±5cm−1/1025±5cm−1)が異なることを特徴とする。前記シリコーンゴム組成物からなる中間層が深さ方向にピーク強度比が異なることにより、歪みが加わると中間層の両端で電位差が発生して、発電することができると推測される。
ここで、前記「ピーク強度比(1095±5cm−1/1025±5cm−1)が異なる」とは、前記中間層の深さ方向にピーク強度比が異なっていれば特に制限はなく、ピーク強度比が異なる領域を有することが好ましく、ピーク強度比が連続的に変化していても非連続的に変化していてもよく、中間層の第1の電極側のピーク強度比及び中間層の第2の電極側のピーク強度比のいずれが高くなっていても構わない。
−中間層の赤外吸収スペクトル測定−
前記中間層の赤外吸収スペクトルは、中間層から試料片を切り出し、試料片の深さ方向(断面)を顕微赤外分光分析装置で分析することにより、測定することができる。
シリコーンゴムは、1150cm−1〜1000cm−1の領域にSi−O−Si伸縮振動に由来する2つの吸収を持つことが知られており、高波数側のピークは対称伸縮振動、低波数側のピークは逆対称伸縮振動に帰属される(「I.Soga, S.Granick, Macromolecules 1998, 31, 5450」参照)。
実施形態においては、前記中間層に、1095cm−1付近と1025cm−1付近にシリコーンゴムのSi−O−Si伸縮振動に由来する吸収が観察されており、また、中間層の深さ方向に赤外吸収スペクトルのピーク強度比(1095±5cm−1/1025±5cm−1)が異なっている。即ち、前記中間層中にはシリコーンゴムのSi−O−Si結合の状態が異なる領域が存在しており、これに起因して、歪みが加わると中間層の両端で電位差が発生して、発電することができると推測される。
実施形態においては、第1の電極側の中間層表面から深さ方向に1μmの位置での赤外吸収スペクトルのピーク強度比(1095±5cm−1/1025±5cm−1)、及び第2の電極側の中間層表面から深さ方向に1μmの位置での赤外吸収スペクトルのピーク強度比(1095±5cm−1/1025±5cm−1)のいずれかのうち、小さい方のピーク強度比を大きい方のピーク強度比で割った値である、ピーク強度比の変化率は、0.95以下であることが好ましい。前記ピーク強度比の変化率が、0.95以下であると、中間層の深さ方向にピーク強度比が異なっており、中間層中にシリコーンゴムのSi−O−Si結合の状態が異なる領域が存在していることがわかる。
前記中間層の深さ方向に赤外吸収スペクトルのピーク強度比(1095±5cm−1/1025±5cm−1)を異ならせる方法としては、例えば、中間層を表面改質処理する方法、中間層中にケイ素原子を有する化合物を添加する方法などが挙げられる。
前記中間層は、シリコーンゴム組成物からなる。
前記シリコーンゴム組成物は、シリコーンゴムを含有し、フィラーを含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
−シリコーンゴム−
前記シリコーンゴムとしては、オルガノポリシロキサン結合を有するゴムであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記シリコーンゴムとしては、例えば、ジメチルシリコーンゴム、メチルフェニルシリコーンゴム、変性シリコーンゴム(例えば、アクリル変性シリコーンゴム、アルキッド変性シリコーンゴム、エステル変性シリコーンゴム、エポキシ変性シリコーンゴム等)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記シリコーンゴムとしては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えば、IVS4312、TSE3033、XE14−C2042(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、KE−1935(信越化学工業株式会社製)、DY35−2083(東レ・ダウコーニング株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−フィラー−
前記フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機フィラー、無機フィラー、有機無機複合フィラーなどが挙げられる。前記フィラーを含有することにより、小さい歪みでも中間層の静電容量が変化して、発電量を増やすことができると推測される。
前記有機フィラーとしては、有機化合物であれば特に制限されずに用いることができる。
前記有機フィラーとしては、例えば、アクリル微粒子、ポリスチレン微粒子、メラミン微粒子、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂微粒子、シリコーンパウダー(シリコーンレジンパウダー、シリコーンゴムパウダー、シリコーン複合パウダー)、ゴム粉末、木粉、パルプ、デンプンなどが挙げられる。
前記無機フィラーとしては、無機化合物であれば特に制限されずに用いることができる。
前記無機フィラーとしては、例えば、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、窒化物、炭素類、金属、又はその他の化合物などが挙げられる。
前記酸化物としては、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、酸化マグネシウムなどが挙げられる。
前記水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられる。
前記炭酸塩としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、ハイドロタルサイトなどが挙げられる。
前記硫酸塩としては、例えば、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどが挙げられる。
前記ケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸カルシウム(ウォラストナイト、ゾノトライト)、ケイ酸ジルコン、カオリン、タルク、マイカ、ゼオライト、パーライト、ベントナイト、モンモロナイト、セリサイト、活性白土、ガラス、中空ガラスビーズなどが挙げられる。
前記窒化物としては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素などが挙げられる。
前記炭素類としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、炭素繊維、カーボンファイバー、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブなどが挙げられる。
前記金属としては、例えば、金、銀、白金、銅、鉄、アルミニウム、ニッケルなどが挙げられる。
前記その他の化合物としては、例えば、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸ジルコン酸鉛、炭化ケイ素、硫化モリブテン、などが挙げられる。
なお、前記無機フィラーは、表面処理をしていてもよい。
前記有機無機複合フィラーとしては、有機化合物と無機化合物とを分子レベルで組み合わせた化合物であれば特に制限されずに用いることができる。
前記有機無機複合フィラーとしては、例えば、シリカ・アクリル複合微粒子、シルセスキオキサンなどが挙げられる。
前記フィラーの中でも、ケイ素原子を有する化合物は、添加により発電量を増やすことができるため好ましい。
前記ケイ素原子を有する化合物としては、例えば、シリカ、珪藻土、ケイ酸塩(ケイ酸カルシウム(ウォラストナイト、ゾノトライト)、ケイ酸ジルコン、カオリン、タルク、マイカ、ゼオライト、パーライト、ベントナイト、モンモロナイト、セリサイト、活性白土、ガラス、中空ガラスビーズ)、シリコーンパウダー(シリコーンレジンパウダー、シリコーンゴムパウダー、シリコーン複合パウダー)、シリカ・アクリル複合微粒子、シルセスキオキサンなどが挙げられる。これらの中でも、発電性能の点から、シリカ、カオリン、タルク、ウォラストナイト、シリコーンパウダー、シルセスキオキサンが好ましい。
前記シリカとしては、例えば、サイシリア430(富士シリシア株式会社製)、HS−207(新日鉄住金マテリアルズ株式会社製)などが挙げられる。
前記カオリンとしては、例えば、ST−100、ST−KE、ST−CROWN(白石カルシウム株式会社製)、RC−1、Glomax LL、Satintone No.5(竹原化学工業株式会社製)などが挙げられる。
前記タルクとしては、例えば、JM−209、JM−309(浅田製粉株式会社製)、Pタルク、PHタルク、ミクロライト、ハイミクロンHE5(竹原化学工業株式会社製)、D−1000、D−800、SG−95、P−3(日本タルク株式会社製)などが挙げられる。
前記マイカとしては、例えば、A−11(ヤマグチマイカ株式会社製)、PDM−5B(トピー工業株式会社製)などが挙げられる。
前記ウォラストナイトとしては、例えば、ワラストJET30w、ワラスト325(浅田製粉株式会社製)、ST−40F(白石カルシウム株式会社製)などが挙げられる。
前記ゼオライトとしては、例えば、SP#2300、SP#600(日東粉化工業株式会社製)などが挙げられる。
前記チタン酸バリウムとしては、例えば、208108(ALDRICH社製)など挙げられる。
前記チタン酸ストロンチウムとしては、例えば、396141(ALDRICH社製)など挙げられる。
前記セリサイトとしては、例えば、ST−501(白石カルシウム株式会社製)などが挙げられる。
前記珪藻土としては、例えば、CT−C499(白石カルシウム株式会社製)などが挙げられる。
前記中空ガラスビーズとしては、例えば、Sphericel 110P8(ポッターズ・バロティーニ社製)などが挙げられる。
前記アクリル微粒子としては、例えば、FH−S005(東洋紡株式会社製)などが挙げられる。
前記ポリスチレン微粒子としては、例えば、19520−500(テクノケミカル株式会社製)などが挙げられる。
前記シリコーンレジンパウダーとしては、例えば、トスパール120(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、KMP−590(信越化学工業株式会社製)などが挙げられる。
前記シリコーンゴムパウダーとしては、例えば、EP−2600(東レ・ダウコーニング株式会社製)、KMP−597(信越化学工業株式会社製)などが挙げられる。
前記シリコーン複合パウダーとしては、例えば、KMP−605、X−52−7030(信越化学工業株式会社製)などが挙げられる。
前記シリカ・アクリル複合微粒子としては、例えば、ソリオスターRA(株式会社日本触媒製)などが挙げられる。
前記シルセスキオキサンとしては、例えば、PPS−オクタメチル置換体526835、PPS−オクタフェニル置換体526851、PPS−オクタビニル置換体475424(ALDRICH社製)などが挙げられる。
前記フィラーの平均粒径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01μm〜30μmが好ましく、0.1μm〜10μmがより好ましい。前記平均粒径が、0.01μm以上であると、発電性能が向上することがある。また、前記平均粒径が、30μm以下であると、中間層が良好な柔軟性を有しており、発電性能の増加を図ることができる。
前記平均粒径は、公知の粒度分布測定装置、例えば、マイクロトラックHRA(日機装株式会社製)などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。
前記フィラーの含有量は、シリコーンゴム100質量部に対して、0.1質量部〜100質量部が好ましく、1質量部〜50質量部がより好ましい。前記含有量が、0.1質量部以上であると、発電性能が向上することがある。また、前記含有量が、100質量部以下であると、中間層が良好な柔軟性を有しており、発電性能の増加を図ることができる。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゴム、添加剤などが挙げられる。前記その他の成分の含有量は、実施形態の目的を損なわない程度で適宜選定することができる。
前記ゴムとしては、例えば、フロロシリコーンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム(ラテックス)、ウレタンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴムなどが挙げられる。
前記添加剤としては、例えば、架橋剤、劣化防止剤、耐熱剤、着色剤などが挙げられる。
−シリコーンゴム組成物の調製−
前記シリコーンゴム組成物は、前記シリコーンゴム及び前記フィラー、更に必要に応じて前記その他の成分を混合し、混錬分散することにより調製することができる。
−中間層の形成方法−
前記中間層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記シリコーンゴム組成物を、基材上にブレード塗装、ダイ塗装、ディップ塗装などで塗布し、その後、熱や電子線などで硬化する方法が挙げられる。
前記中間層は、単層であっても複層であってもよい。
前記中間層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜10mmが好ましく、20μm〜200μmがより好ましい。前記平均厚みが、1μm以上であると、機械的強度が適正であり、発電性能が向上する。また、前記平均厚みが、10mm以下であると、中間層の柔軟性が良好であり、発電性能が向上する。
前記中間層の電気特性としては、絶縁性が好ましい。前記絶縁性としては、108Ωcm以上の体積抵抗率を持つことが好ましく、1010Ωcm以上の体積抵抗率を持つことがより好ましい。前記中間層の体積抵抗率を好ましい数値範囲とすることにより、良好な発電性能を達成できる。
−中間層の表面改質処理−
前記中間層は、表面改質処理を行うことが好ましい。
前記表面改質処理としては、ある程度の照射エネルギーを有し、材料を改質し得るものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プラズマ処理、コロナ放電処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、オゾン処理、放射線(X線、α線、β線、γ線、中性子線)照射処理などが挙げられる。これらの中でも、処理スピードの点から、プラズマ処理、コロナ放電処理、電子線照射処理が好ましい。
−−プラズマ処理−−
前記プラズマ処理の場合、プラズマ発生装置としては、例えば、平行平板型、容量結合型、誘導結合型のほか、大気圧プラズマ装置でも可能である。耐久性の観点から、減圧プラズマ処理が好ましい。
前記プラズマ処理における反応圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05Pa〜100Paが好ましく、1Pa〜20Paがより好ましい。
前記プラズマ処理における反応雰囲気としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、不活性ガス、希ガス、酸素などのガスが有効であるが、効果の持続性においてアルゴンが好ましい。また、その際、酸素分圧を5,000ppm以下とすることが好ましい。前記反応雰囲気における酸素分圧が、5,000ppm以下であると、オゾンの発生を抑制でき、オゾン処理装置の使用を控えることができる。
前記プラズマ処理における照射電力量は、(出力×照射時間)により規定される。前記照射電力量としては、5Wh〜200Whが好ましく、10Wh〜50Whがより好ましい。前記照射電力量が、好ましい範囲内であると、前記中間層に発電機能を付与でき、かつ照射過剰により耐久性を低下させることもない。
−−コロナ放電処理−−
前記コロナ放電処理における印加エネルギー(積算エネルギー)としては、6J/cm2〜300J/cm2が好ましく、12J/cm2〜60J/cm2がより好ましい。前記印加エネルギーが、好ましい範囲内であると、良好な発電性能及び耐久性を達成できる。
前記コロナ放電処理における印加電圧は、50V〜150Vが好ましく、100Vがより好ましい。前記コロナ放電処理の反応雰囲気としては、空気が好ましい。
−−電子線照射処理−−
前記電子線照射処理における照射量としては、1kGy以上が好ましく、300kGy〜10MGyがより好ましい。前記照射量が、好ましい範囲内であると、前記中間層に発電機能を付与でき、かつ照射過剰により耐久性を低下させることもない。
前記電子線照射処理における反応雰囲気としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アルゴン、ネオン、ヘリウム、窒素等の不活性ガスを充填し酸素分圧を5,000ppm以下とすることが好ましい。前記反応雰囲気における酸素分圧が、5,000ppm以下であると、オゾンの発生を抑制でき、オゾン処理装置の使用を控えることができる。
−−紫外線照射処理−−
前記紫外線照射処理における紫外線としては、波長365nm以下で200nm以上が好ましく、波長320nm以下で240nm以上がより好ましい。
前記紫外線照射処理における積算光量としては、5J/cm2〜500J/cm2が好ましく、50J/cm2〜400J/cm2がより好ましい。前記積算光量が、好ましい範囲内であると、前記中間層に発電機能を付与でき、かつ照射過剰により耐久性を低下させることもない。
前記紫外線照射処理における反応雰囲気としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アルゴン、ネオン、ヘリウム、窒素等の不活性ガスを充填し酸素分圧を5,000ppm以下とすることが好ましい。前記反応雰囲気における酸素分圧が、5,000ppm以下であると、オゾンの発生を抑制でき、オゾン処理装置の使用を控えることができる。
従来技術として、プラズマ処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、電子線照射処理などにより励起又は酸化させることで活性基を形成し、層間接着力を高めることが提案されている。しかし、これらの技術は、層間への適用に限定され、最表面への適用はむしろ離型性を低下させるため好ましくないことがわかっている。また、反応を酸素リッチな状態下で行い、効果的に反応活性基(水酸基)を導入している。そのため、そのような従来技術は、実施形態における前記表面改質処理とは本質が異なる。
前記表面改質処理は、酸素が少なく減圧された反応環境による処理(例えば、プラズマ処理)のため、表面の再架橋及び結合を促し、例えば、「結合エネルギーの高いSi−O結合の増加」に起因して耐久性が向上し、更に加えて「架橋密度向上による緻密化」に起因して離型性が向上すると考えられる。
ここで、図30は、実施形態の発電素子を構成する中間層2014の微細構造の一例を拡大して示す概略断面図である。ここで、2019は中間層のピーク強度比が小さい領域、20110は中間層のピーク強度比が大きい領域である。
前記中間層2014は、シリコーンゴム2017を含有するシリコーンゴム組成物からなる。前記中間層2014は、前記第1の電極面及び前記第2の電極面に対して垂直方向(中間層の深さ方向)に赤外吸収スペクトルのピーク強度比(1095±5cm−1/1025±5cm−1)が異なっている。
前記中間層2014は、中間層のピーク強度比が小さい領域2019から中間層のピーク強度比が大きい領域20110へと連続的に変化している。
図31は、実施形態の発電素子を構成する中間層2014の微細構造の別の一例を拡大して示す概略断面図である。
前記中間層2014は、シリコーンゴム2017を含有するシリコーンゴム組成物からなる。前記中間層2014は、前記第1の電極面及び前記第2の電極面に対して垂直方向(中間層の深さ方向)に赤外吸収スペクトルのピーク強度比(1095±5cm−1/1025±5cm−1)が異なっている。
前記中間層2014は、中間層のピーク強度比が小さい領域2019と、中間層のピーク強度比が大きい領域20110とが界面を境に異なっており、非連続的に変化している。
図32は、実施形態の発電素子を構成する中間層2014の微細構造の他の一例を拡大して示す概略断面図である。
前記中間層2014は、シリコーンゴム2017とフィラー2018とを含有するシリコーンゴム組成物からなる。
前記中間層2014は、前記第1の電極面及び前記第2の電極面に対して垂直方向(中間層の深さ方向)に赤外吸収スペクトルのピーク強度比(1095±5cm−1/1025±5cm−1)が異なっている。
前記中間層2014は、中間層のピーク強度比が小さい領域2019から中間層のピーク強度比が大きい領域20110へと連続的に変化している。
前記フィラー2018は中間層2014に均一に分散されていてもよいし、中間層のピーク強度比が小さい領域2019及び中間層のピーク強度比が大きい領域20110のいずれかに偏在していてもよい。
図33は、実施形態の別の中間層2014の微細構造を拡大して説明する図である。
前記中間層2014は、シリコーンゴム2017とフィラー2018とを含有するシリコーンゴム組成物からなる。
前記中間層2014は、前記第1の電極面及び前記第2の電極面に対して垂直方向(中間層の深さ方向)に赤外吸収スペクトルのピーク強度比(1095±5cm−1/1025±5cm−1)が異なっている。
前記中間層2014は、中間層のピーク強度比が小さい領域2019と、中間層のピーク強度比が大きい領域20110とが界面を境に異なっており、非連続的に変化している。
前記フィラー2018は中間層2014に均一に分散されていてもよいし、中間層のピーク強度比が小さい領域2019及び中間層のピーク強度比が大きい領域20110のいずれかに偏在していてもよい。
−空間−
前記発電素子は、前記中間層と、前記第1の電極及び前記第2の電極の少なくともいずれかとの間に空間を有することが好ましい。前記空間を有することにより、弱い振動であっても発電素子の静電容量が変化して、発電量を増やすことができる。
前記中間層における赤外吸収スペクトルのピーク強度比(1095±5cm−1/1025±5cm−1)が小さい側の面が空間側であることが、発電効率の点から好ましい。
前記空間を設ける方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記中間層と、前記第1の電極及び前記第2の電極の少なくともいずれかとの間にスペーサーを配置する方法などが挙げられる。
−−スペーサー−−
前記スペーサーとしては、その材質、形態、形状、大きさなどについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記スペーサーの材質としては、例えば、高分子材料、ゴム、金属、導電性高分子材料、導電性ゴム組成物などが挙げられる。
前記高分子材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。
前記ゴムとしては、例えば、シリコーンゴム、変性シリコーンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ポリサルファイドゴム、ウレタンゴム、イソブチルゴム、フロロシリコーンゴム、エチレンゴム、天然ゴム(ラテックス)などが挙げられる。
前記金属としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、ステンレス、タンタル、ニッケル、リン青銅などが挙げられる。
前記導電性高分子材料としては、例えば、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアニリンなどが挙げられる。
前記導電性ゴム組成物としては、例えば、導電性フィラーとゴムとを含有する組成物などが挙げられる。前記導電性フィラーとしては、例えば、炭素材料(例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、炭素繊維、カーボンファイバー、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ等)、金属(例えば、金、銀、白金、銅、鉄、アルミニウム、ニッケル等)、導電性高分子材料(例えば、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、及びポリパラフェニレンビニレンのいずれかの誘導体、又は、これら誘導体にアニオン若しくはカチオンに代表されるドーパントを添加したもの等)、イオン性液体などが挙げられる。
前記ゴムとしては、例えば、シリコーンゴム、変性シリコーンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ポリサルファイドゴム、ウレタンゴム、イソブチルゴム、フロロシリコーンゴム、エチレンゴム、天然ゴム(ラテックス)などが挙げられる。
前記スペーサーの形態としては、例えば、シート、フィルム、織布、不織布、メッシュ、スポンジなどが挙げられる。
前記スペーサーの形状、大きさ、厚み、設置場所は、発電素子の構造に応じて適宜選択することができる。
前記中間層は、静置状態において初期表面電位を持たないことが好ましい。
なお、静置状態における初期表面電位は、以下の測定条件で測定できる。ここで、初期表面電位を持たないとは、下記測定条件で測定した際に、±10V以下を意味する。
[測定条件]
前処理:温度30℃、相対湿度40%の雰囲気に24時間静置後、除電を60秒間実施した(Keyence社製のSJ−F300を使用)
装置:Treck Model344
測定プローブ:6000B−7C
測定距離:2mm
測定スポット径:直径(Φ)10mm
実施形態の前記発電素子は、中間層が初期表面電位を持たないという点から、特開昭54−014696号公報、特許第5563746号公報、特開2012−164727号公報、特開2012−164917号公報、及び特開2014−027756号公報に記載の先行技術とは、発電の原理が異なると考えられる。
実施形態の発電素子は、外力又は振動などの負荷を加えることによって発電素子が変形して、発電する。負荷を加えることにより、電極近傍の中間層が摩擦帯電に似たメカニズムで帯電する、又は、中間層の内部に電荷が発生する。これに起因して、表面電位差が生じる。この表面電位差がゼロになるように電荷が移動して発電する、と推測される。
ここで、図28は、実施形態の発電素子の一例を示す概略断面図である。この図28に示す発電素子2011は、一対の電極(第1の電極2012及び第2の電極2013)と、中間層2014とから構成されている。
また、図29は、実施形態の発電素子の他の一例を示す概略断面図である。この図29に示す発電素子2011は、第1の電極2012と中間層2014との間に、スペーサー2015を介して空間2016が設けられている。この空間2016を有することにより、図29に示す発電素子2011は変形しやすい構造となっている。
なお、前記空間2016は、前記第1の電極2012及び前記第2の電極2013の少なくともいずれかとの間に設けることができる。
(発電装置)
実施形態の発電装置201は、実施形態の前記発電素子を少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。前記発電装置は、実施形態の発電素子を採用しているので、動作時に高印加電圧を必要としない。
実施形態の発電装置201は、外力又は振動などの負荷を加えることによって発電素子が変形して、発電する。その発電メカニズムは正確にはまだわかっていないが、負荷を加えることにより、電極近傍の中間層が摩擦帯電に似たメカニズムで帯電する、又は中間層の内部に電荷が発生する。この状態で発電素子が変形すると、静電容量が変化して表面電位差が生じる。この表面電位差がゼロになるように電荷が移動して発電する、と推測される。
<その他の部材>
前記その他の部材としては、例えば、カバー材、電線、電気回路などが挙げられる。
−カバー材−
前記カバー材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記カバー材の材質としては、例えば、高分子材料、ゴムなどが挙げられる。前記高分子材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。前記ゴムとしては、例えば、シリコーンゴム、変性シリコーンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ポリサルファイドゴム、ウレタンゴム、イソブチルゴム、フロロシリコーンゴム、エチレンゴム、天然ゴム(ラテックス)などが挙げられる。
前記カバー材の構成、形状、大きさ、厚みなどについては、特に制限はなく、発電装置に応じて適宜選択することができる。
−電線−
前記電線としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記電線の材質としては、例えば、金属、合金などが挙げられる。前記金属としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケルなどが挙げられる。
前記電線の構成、形状、太さなどについては、特に制限はなく、発電装置に応じて適宜選択することができる。
−電気回路−
前記電気回路としては、例えば、前記発電素子で発電した電力を取り出す回路であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記電気回路としては、例えば、整流回路、オシロスコープ、電圧計、電流計、蓄電回路、LED、各種センサ(超音波センサ、圧力センサ、触覚センサ、歪みセンサ、加速度センサ、衝撃センサ、振動センサ、感圧センサ、電界センサ、音圧センサなど)などが挙げられる。
ここで、図34は、実施形態の発電装置の構成の一例を示す断面図である。この図34に示す発電装置201は、発電素子2011、カバー材20112、電線20113、及び電気回路20114から構成されている。
また、図35は、実施形態の発電装置201の構成の別の一例を示す断面図である。この図35に示す発電装置201の発電素子2011には空間2016が設けられている。発電素子2011が空間2016を有することで、発電素子2011が変形しやすい構造となっている。このため、弱い振動であっても発電素子の静電容量が変化して、発電量を増やすことができる。
以上、発電装置201の実施形態について説明した。上述した発電装置201の実施形態の場合、人体をアンテナとして受信した電磁ノイズにより検出するため、人体をアンテナとして受信した電磁ノイズを検知することができる。また、上述した発電装置201の実施形態の場合、発電性能が高いため、外部電源が不要である。また、上述した発電装置201の実施形態の場合、可撓性に優れているため、シートに設置しやすい。
なお、従来の圧電素子を利用する方式は、人体をアンテナとして受信した電磁ノイズを検知することはできない。また、従来の圧電素子を利用する方式は、主としてセラミックス系の圧電素子を用いるため、可撓性がなく壊れやすい。また、特許文献1記載のように導電性ゴム体の抵抗変化に基づいて検出する方式では、発電をしないため、外部電源が必要な場所には設置できない。
本発明の実施形態の発電装置201は上述の例に限定されない。例えば、人体をアンテナとして受信した電磁ノイズを検知する装置であれば良い。またその場合、従来の圧電素子等、上に人や物が乗った際に所定の閾値以上の信号を出力するセンサを併せて備える構成としても良い。
なお、上述した実施形態におけるシステム構成は一例であり、用途や目的に応じて様々なシステム構成例があることは言うまでもない。
例えば、情報処理装置10は、例えば1以上のコンピュータにより構成されるクラウドコンピューティングにより実現してもよい。
また、例えば、情報処理装置10の機能の一部を、検出装置20に設けた構成としてもよい。例えば、判定部12を、検出装置20に設けた構成としてもよい。この場合、判定部12は、FPGA(Field Programmable Gate Array)や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の半導体集積回路を用いて実現されてもよい。
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。また、上述した各実施形態の一部又は全部を組み合わせることも可能である。